JPH0155921B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は切削インサートに関し、特に炭化タ
ングステン等の硬質耐摩耗性材料の切削インサー
トの表面に成形される独特のチツプブレーカ形態
に関するものである。

（従来の技術） 工作物の切削時ツールホルダのポケツトに着脱
可能に保持され、割出可能かつ反転可能な切削イ
ンサートは公知である。このような切削インサー
トに使用する種々の形式のチツプブレーカー形態
が知られており、これらのチツプブレーカは切削
インサートと別個の上部構造体からなり、これら
の構造体は切削インサートをツールホルダのポケ
ツト中で取り付けることを助ける働きをし、かつ
また切削インサートの頂面または底面に成形され
るようになつている。成形チツプブレーカみぞを
備えた切削インサートはセラミツクまたは焼結硬
質金属炭化物材料のような硬質耐摩耗性材料から
通常形成される。

このような材料製の切削インサートに成形され
るみぞは、様々であり、例えばFriedlineらに許
可された米国特許第4140431号、Friedlineに許可
された米国特許第4068976号、Soriceらに許可さ
れた米国特許第3973809号、Jonesらに許可され
た米国特許第3781956号、Mc Creeryらに許可さ
れた米国特許第3975307号、Naniniに許可され、
Societe Igmanに譲渡された米国特許第4180355
号に記載されている。

さらに、平坦で平行な頂面と底面とを有し、こ
の頂面あるいは底面に球状の小くぼみが切削イン
サートの切刃に沿つて間隔をおいて配置されて形
成された切削インサートは公知である。

〔発明が解決しようとする課題〕

従来の球状の小くぼみにおいては、この小くぼ
みが球状をしているので、切り粉（チツプ）が小
くぼみの大きい幅の部分から小さい幅の部分へと
漏斗内を通過し、該小くぼみから出る時、丸く千
切り状態となるので該小くぼみの背部の壁の所で
からみ合つてしまい、切り粉（チツプ）と切削イ
ンサートとの間に不要な接触力が増加することに
なる。

したがつて加工動作を遂行するのに必要なエネ
ルギーが増加することになる。

そこで本発明は、従来の球状の小くぼみのこの
ような欠点をなくすため、以下の目的の下に開発
されたものである。

本発明の一目的は、切削インサートに成形され
た良好な切り粉（チツプ）破砕能力を有するチツ
プブレーカを提供することである。

本発明の別の目的は、除去する切り粉（チツ
プ）材料に剛性をもたせ切り粉（チツプ）がより
容易に破砕されるようにすることである。

本発明の別の目的は、工作物を切削するに要す
るエネルギーを低減しようとすることである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明における切削インサートは硬質耐摩耗性
材料、好適にはタングステン炭化物のような焼結
硬質金属炭化物またはセラミツク材料製のボデイ
を備えている。

ボデイは頂面と底面を有し、さらにこの両面を
継ぐ周壁を有し、平面図で見たときボデイが多角
形の形状を持つようになつている。周壁と頂面あ
るいは底面の少なくとも一方の接合部に切刃が形
成される。この切刃の後方にランド区域を持たせ
るようにしても良い。

平坦な降下壁が切刃または切刃後方のランド区
域から下方にかつボデイの中心に向つて延在し、
そしてボデイの中心に向つて延在する平坦床と接
合している。

前記平坦降下壁の最上部分において各々独立し
た凹部が形成されかつ切刃の長さに沿つて間隔を
おいて配置されている。これらの凹部は、切刃か
らボデイの内方へ延在し、外方を向いた凹部を有
するように形成されている。凹部は平面図で見た
とき正方形であり、切刃または切刃後方のランド
区域から平坦な側壁がボデイの中心に向つて延在
し、これにより上記凹部が画定されている。

切削インサートはある角度をなして配列された
切刃を有し、この切刃はボデイの仮想平面を形成
する。各凹部は一様な形状を有しすなわち軸芯が
隣接切刃にほぼ平行な仮想円柱の一部分の形をし
ている。

凹部の最内方部分は切削インサートの降下壁に
接合し、また接合部の軌跡は好適には切刃に沿う
仮想線に一致する。

切刃および仮想線を通して第三の仮想平面を形
成することができ、この第二の仮想平面はある角
度で配列された切刃がなす第一の仮想平面と鋭角
を形成する。

好適には、凹部はほぼ0.030−0.050インチ
（0.76〜1.27mm）の半径を有する仮想円柱の一部
であり、前記第二の仮想平面から前記凹部の底ま
での距離は0.003−0.005インチ（0.076−0.127mm）
の範囲内にある。

本発明を添付図面に従つて以下に説明する。

〔実施例〕

図面を参照すると、第１図に示されているもの
は、焼結硬質金属炭化物のような硬質耐摩耗性材
料のボデイからなる切削インサート１０であり、
このインサートは頂面１２と底面１４とを有し、
これら両面はそれぞれの間に延在する周壁１６に
よつて継ながれている。切刃１７は切削インサー
ト１０の周壁１６と頂面１２との接合部に形成さ
れている。凹部１８は頂面１２に切刃１７に沿つ
て間隔をおいて配置され形成されている。

第２図にさらに明瞭に示されているように、切
削インサート１０は頂面１２と底面１４とを有
し、周壁１６が前記頂面と底面を継ないでいる。
頂面１２には、切刃１７と降下壁２０があり、降
下壁２０は切刃１７から下方かつ内方に延在し、
切削インサート１０の中心に向つて延在する平坦
床２２と接合している。

第３図には切削インサート１０の断面が示され
ている。この断面は切削インサート１０の切刃１
７に沿つて形成された凹部１８の１つを横切つた
断面である。図示のように、凹部１８は降下壁２
０に形成されている。好適には、降下壁２０は平
坦状である。側断面図で見た場合、凹部１８は切
削インサート１０の上方すなわち外方に向いた凹
面を有する。ここで凹部１８の最内方部分は、降
下壁２０に接合線１９に沿つて接合している。好
適には、切削インサート１０の切刃１７はある角
度をなすものでありかつ第３図に２６で示された
仮想平面上にある。さらに、この凹部１８の接合
線１９を結んだ線は、第３図の紙面と直交して延
在しかつ切削インサート１０の切刃１７に隣接し
ている仮想線と一致する。この線の点が第３図に
２５で示されている。

第一の仮想平面２６はある角度をなして配列す
る切刃１７を含むものとして画定され、第二の仮
想平面２８は降下壁２０に沿つて延在し、一つの
切刃１７を含むものとして画定されている。これ
らの第一および第二の仮想平面２６および２８は
第３図に２３で示されているような鋭角を形成し
ている。好適には第３に２３で示された角はほぼ
15度であるが、10〜20度の範囲内であれば良い。

第３Ａ図は第３図と同一の図であるが、本発明
に係る切削インサートの詳細な寸法関係を詳細か
つ明瞭に示したものである。第３図について述べ
たように、仮想平面２６，２８は好適には約10度
から20度の鋭角をなしている。

切刃１７の第一の画定仮想平面と切削インサー
ト１０の平坦床２２との間の垂直距離は図面に寸
法Ａで示されている。寸法Ａは好適には0.018±
0.005インチ（0.46±0.13mm）である。

凹部１８は、軸芯が切削インサート１０の切刃
１７にほぼ平行に延在する直円柱の円柱の一部分
の形をしている。第３Ａ図に示されているよう
に、この円柱は半径Ｒを持ち、このＲは好適には
0.043±0.005インチ（1.09±0.13mm）である。し
かしながらこの半径はインサートの使用条件、す
なわち送りおよび速度に応じて、より広い範囲を
取りうる。

第３Ａ図で図示のごとく凹部１８の最下点の第
二の仮想平面２８からの垂直距離をＢとすると、
この垂直距離Ｂは好適には0.005±0.001インチ
（0.127±0.025mm）であるが、この深さは切削条
件に応じて0.002〜0.010インチ（0.051〜0.254mm）
の範囲内を取りうる。凹部１８は切刃１７から内
方に切削インサート１０の降下壁２０に接合する
まで延在するものとして示されており、この延在
距離は好適には0.040±0.003インチ（1.02±0.08
mm）であるが、この距離は切削送り条件に応じて
0.020〜0.050インチ（0.51〜1.27mm）の範囲内を
取りうる。平面図で見た場合、凹部は好適には外
観が正方形であり、切刃に沿つた長さは凹部が切
刃１７から切削インサート１０の内方に延在する
距離に等しい。

第４図を参照すると、複数の凹部１８が４つの
切刃１７に沿つて間隔をおいて配置された切削イ
ンサート１０の平面図が示されている。この平面
図に見られるように、凹部１８は平面図で見たと
き正方形または長方形の形状を有している。そし
て第５，６図にさらに明瞭に示されているよう
に、側壁３０は、切刃１７から内方に降下壁２０
と凹部１８の接合部１９まで延在し、これにより
凹部１８を画定している。

第６図にさらに明瞭に示されているように、側
壁３０は降下壁２０の平坦表面上に引かれた垂線
と好適には15度の角を有する。

さらに、第５図には角の凹部１８Ａが拡大して
示されている。この角の凹部１８Ａは、第４図に
示されているように、多角形の切削インサートの
角隅を横切つて延在するように設計されている。

なおさらに好適には、第７図において、切刃１
７の後方に設けられかつ切削インサート１０の周
囲に延在するランド区域２１を有する切削インサ
ートが示されている。ランド区域２１の幅は好適
にはほぼ0.005インチ（0.13mm）であるが、0.004
〜0.030インチ（0.10〜0.76mm）の範囲内であれば
よい。

切刃１７から切削インサート１０の内方への凹
部１８の長さは切削インサートの大きさと共に変
わりうる。負荷がより低い場合には、凹部の長さ
は長い方がよい。すなわち、凹部の長さが長いと
曲率半径が大きくなり、したがつて、切り粉（チ
ツプ）のからみ合いが小さくなる。ステンレス鋼
を切削し、切り粉（チツプ）コントロールが重要
であるときには、凹部の長さは短くされるが、負
荷は高くなる。

本発明に係る切削インサートは好適には、例え
ば、出願人所有の米国特許第4035541号に開示さ
れている被覆法を含む周知の被覆法で、又例えば
焼結炭化物製の切削インサートは酸化アルミニウ
ムコーテイングのような、被覆法で被覆すること
が適当である。

前記の如く、本発明の凹部は平面でみたとき正
方形又は長方形の形状を有しているので、凹部の
切削エツジから最も離れた背部もその凹部の前部
と同じ幅を有し、実質的に平行な壁で画定される
ことになる。

一般に金属切り粉（チツプ）は、被工作物から
離れて凹部に係合するとき変形する。この変形し
た切り粉（チツプ）は、それから凹部の背部をへ
て凹部内に入る。本発明の凹部の背部は切り粉
（チツプ）が最初に係合する前部と前記の如く同
じ幅をもつているので、切り粉（チツプ）が本発
明の凹部のような一定の直径をもつた円柱状のみ
ぞを通過するときには、切り粉（チツプ）が大き
い幅の部分から小さい幅の部分へと漏斗内を通過
するときに出合うような通過制限には出合わず、
切り粉（チツプ）がまつすぐにスーツと出てくる
ことになる。

（効果） このように本発明に係る切削インサートを使用
すると、特に金属および他の類似物質を加工して
いるとき、被工作物から除去される切り粉（チツ
プ）がまつすぐにスーツと出てくるので、凹部の
背部のところでからみ合わず、そのため被工作物
から金属などの材料を切削するために要求される
エネルギーを低減することが出来るのである。

特許請求の範囲で種々の変更をしうるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る切削インサートの斜視図
である。第２図は本発明に係る切削インサートの
部分側面図である。第３図は本発明に係る切削イ
ンサートの断面図である。第３Ａ図は第３図類似
の図である。第４図は本発明に係る切削インサー
トの平面図である。第５図は本発明に係る切削イ
ンサートの角隅の拡大平面図である。第６図は本
発明に係る切削インサートの凹部の側壁を示す部
分断面図である。第７図は切刃の後方にランド区
域を有する本発明に係る改変切削インサートの平
面図である。第８図は第７図に示された切削イン
サートの部分断面図である。 １０……切削インサート、１２……頂面、１４
……底面、１６……周壁、１７……切刃、１８…
…凹部、１９……接合線、２０……降下壁、２１
……ランド区域、２２……平坦床、２６……仮想
平面、２８……仮想平面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 頂面および底面および前記両面と接合する周
   壁を有しかつ平面図で見たとき多角形の形状を有
   するボデイと、前記周壁と前記頂面および底面の
   一方との接合部に形成された切刃と、切刃から下
   方に前記ボデイの中心に向かつて延在する平坦床
   まで延在する平坦な降下壁とを具備した切削イン
   サートにおいて、前記平坦降下壁の上部分におい
   て個々に独立した凹部が形成されかつ切刃の長さ
   に沿つて間隔をおいて配置され、前記凹部は、側
   方から見て、外方を向き、かつ切刃から内方に延
   在する凹面であり、そして隣接の切刃にほぼ平行
   に走る軸芯を持つた仮想円柱の一部をなすもので
   あり、さらに前記凹部は、該凹部の側辺を境界づ
   ける平担な側壁を有すると共に、前記ボデイの内
   方かつ上方に延在するべく構成したことを特徴と
   する切削インサート。 ２ 前記凹部が、平面図で見たとき長方形の形態
   を有することをさらに特徴とする特許請求の範囲
   第１項に記載の切削インサート。 ３ 前記凹部の１つが、前記多角形ボデイの辺の
   内の２つの接合部に配置されていることを特徴と
   する特許請求の範囲第１項または第２項に記載の
   切削インサート。 ４ 少なくとも２つのある角度で配列された切刃
   を含む第１の平面が画定されていることをさらに
   特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の切削イ
   ンサート。 ５ 前記凹部の最内部分と前記降下壁との接合部
   の軌跡を通して仮想線を形成することを特徴とす
   る特許請求の範囲第４項に記載の切削インサー
   ト。 ６ 前記ボデイの切刃の１つと隣接凹部の前記仮
   想線を含む第二つ平面が画定されていることをさ
   らに特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の切
   削インサート。 ７ 前記第一の平面が前記第二の平面と10から20
   度の鋭角を形成していることをさらに特徴とする
   特許請求の範囲第６項に記載の切削インサート。 ８ 前記凹部の最低部分が前記第二平面から
   0.002から0.006インチ（0.05から0.15mm）の垂直
   距離のところにあることをさらに特徴とする特許
   請求の範囲第７項に記載の切削インサート。 ９ 前記仮想円柱の半径が0.030から0.050インチ
   （0.76から1.27mm）の範囲にあることをさらに特
   徴とする特許請求の範囲第１項に記載の切削イン
   サート。 １０ 隣接切刃から仮想線までの距離が0.030か
   ら0.050インチ（0.76から0.127mm）の範囲内にあ
   ることをさらに特徴とする特許請求の範囲第５項
   に記載の切削インサート。 １１ 前記平坦側壁が垂線と鋭角を形成している
   ことをさらに特徴とする特許請求の範囲第１項に
   記載の切削インサート。 １２ 前記凹部が前記切刃の所から始まつて内方
   に延在することをさらに特徴とする特許請求の範
   囲第１項に記載の切削インサート。