JPH0144197Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の目的 （産業上の利用分野） この考案は、金属缶の缶胴端にネツキング加工
を行うための成形ロールの形状に関する。

（従来技術） 近年、アルミニユウム、ブリキ等の金属缶にお
いて、小型の缶蓋に対応して缶胴の端部を絞つた
ネツキング缶が用いられている。

このネツク部の成形法には成形ダイ金型のセン
タリングとダイリングの間に缶胴端を挟み込んで
絞るダイ方式と、チヤツクにバツクアツプされた
缶胴とネツキングロールとを回転圧接させるスピ
ン方式とが知られている。

缶のネツク部にも、絞り込みの段数に応じて波
形あるいは段状の絞り部形を有しているものと、
ネツク部からフランジ部にかけて滑らかな断面形
状を有しているスムーズネツクと呼ばれるものと
がある。

このスムーズネツクと呼ばれるものは、第６図
にその部分断面を示すように、缶胴の縮径量は半
径で2.5〜５mm、縮径高さは15〜20mm程度のもの
であるが、その成形工程の１例を第５図に示す。
缶胴１は２段のダイ方式による絞り加工を受け波
形のネツク部が形成されている。この缶胴１はプ
ツシヤー２上に載置され（第１図ａ）プツシヤー
２の上昇によりチヤツク３が挿入され、制御リン
グ４に缶胴１の上端が当つてプツシヤー２の上昇
は停止する。（図ｂ）缶胴１とネツキングロール
５は互いに回転しながら接触し、缶胴１はプツシ
ヤー２と制御リング４とによつて降下しながらネ
ツキングロール５によつて押圧縮径される（図
ｃ，ｄ，ｅ）。ネツキングロール５がチヤツク３
の下迄押しこまれ、制御リング４の下端がネツキ
ングロール５の近傍まで下降するとフランジ６が
形成され（図ｆ）、加工を終了する（図ｇ）。

（この考案が解決しようとする問題点） 上記のスムースネツクの形成は、缶胴１を軸方
向に移動させながら廻転させてネツキングロール
５で成形を行つている。このために缶の外面にス
パイラル状に成形跡が残り、外観を損なつてい
た。これはネツキングロール５の成形面７の曲率
半径が小さいためであり、曲率半径を大きくすれ
ば改善されるが、単に大きくするだけではフラン
ジの曲率半径も大きくなり、巻締性が悪化する。

この考案は巻締性を悪化せずに成形跡を改善出
来るネツキングロール５を得ようとするものであ
る。

考案の構成 （問題点を解決するための手段） この考案においては、フランジの曲率半径はネ
ツキングロールの上半部の曲率半径によつて決定
されるのに対して、成形跡を生ずるのは下半部の
曲率半径であることを見出し、このネツキングロ
ールの形状を、その上半部の曲率半径は従来と同
一に保ちながら、下半部の曲率半径を従来よりも
大きくすることにより、目的を達成したものであ
る。

上記の下半部の曲率半径を大きくすることの中
には、曲率半径の大きい面に続いて曲率半径の小
さい面を配すること、また、曲率半径の大きい面
は直線部で形成されることも含まれる。

（実施例） 以下、図面によつて本考案のネツキングロール
の実施例を説明する。

第４図に示す従来のネツキングロール５の成形
面７は単一の曲率半径R₁を有している。これに
対して第１図に示すこの考案の実施例では、フラ
ンジの曲率半径を決めるネツキングロール５の上
半部の曲率半径は、従来のネツキングロール５の
成形面７の曲率半径R₁と同一とされているが、
下半部の曲率半径R₂はR₁よりも大きくされてい
る。具体的な数値の一例をあげれば、R₁が1.27mm
に設定された場合、R₂としては2.00mmが用いられ
る。

第２図に示す実施例においては、ネツキングロ
ール５の先端部にR₂とR₁とに接する直線部８が
設けられている。この直線部８の長さＡは0.35mm
以上あることが望ましい。

第３図に示す実施例においては、先の実施例に
おける直線部８に代えて大きい曲率半径R₃の面
９を用いた例である。この場合、曲率半径R₂と
R₁とが第１実施例と同じとしてR₃は3.0mm以上あ
ることが望ましい。

なお、第２図、第３図に示す実施例において
は、成形跡を改善する効果は直線部８あるいは緩
い曲面部９で達成されるので、ネツキングロール
５の下側の面の曲率半径R₂には制限はなく、場
合によつては曲率半径R₁と同じでもよい。

考案の効果 この考案は上記の構成からなり、ネツキングロ
ール５の缶胴への接触部の僅かな改良によつてフ
ランジの巻締性を悪化させることなく、ネツク部
の成形跡を改良することが出来た。具体例を示せ
ば、第４図に示す従来例のネツキングロールによ
る場合の成形跡の谷と山の高さの差は約0.01mmで
あるのに対して、第１図の実施例のネツキングロ
ールを用いた場合の谷と山の高さの差は0.002〜
0.003mmと略1/5に改善された。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図、３図はそれぞれこの考案のネ
ツキングロールの第１、第２、第３実施例の形状
を示す断面図、第４図は従来のネツキングロール
の形状を示す断面図、第５図はネツキング加工の
工程図、第６図は缶のスムーズムツク部の拡大断
面図である。 １：缶胴、２：プツシヤー、３：チヤツク、
４：制御リング、５：ネツキングロール、６：フ
ランジ、７：成形面、８：直線部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 缶胴端にスピンネツキング加工するためのネ
   ツキングロールであつて、その断面形状を、下
   半部の曲率半径が上半部の曲率半径より大きく
   なるようにしたことを特徴とするスピンネツキ
   ング成形工具。 ２ 上記下半部の曲率半径をより大きくした部分
   の形状は、曲率半径の大きい面に続いて曲率半
   径の小さい面を配したものであることを特徴と
   する実用新案登録請求の範囲第１項記載のスピ
   ンネツキング成形工具。 ３ 上記曲率半径の小さい面を続けて配置する曲
   率半径の大きい面はその曲率半径が無限大であ
   ることを特徴とする実用新案登録請求の範囲第
   ２項記載のスピンネツキング成形工具。