JPH0143109B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、住宅用建築物の壁あるいは屋根等に
おける断熱材、防露性に優れた下地材として好適
な建築用下地板およびその製造方法に関する。

一般に、住宅等建築物の内外壁用下地板、屋根
用下地板などの下地板として、軟質繊維板、合
板、石膏ボード等の建築用板が広く用いられてい
る。特に、軟質繊維板等の繊維板は、ポーラスで
断熱性に優れているとともに、周囲の環境条件に
応じて空気中の湿気を吸収し、また放散するとい
う所謂呼吸性に優れていて、壁体内空間等におい
て調湿作用を発現して結露の発生を抑制する効果
を有しており、上記のような下地板の基板として
好適なものである。

一方、このような下地板の断熱性を向上させる
手段の一つとして、、従来、下地板表面にアルミ
ニウムの箔やシートを貼着して、下地板の輻射熱
吸収率を低くすることが知られている。

しかしながら、このようなアルミニウムの箔や
シートの貼着は、下地板の断熱性向上には効果を
有するが、反面、下地板の呼吸性能を低下させる
ことになる。このため、このような下地板が施工
された、例えば壁体内空間等においては結露を発
生し易いという問題を有している。特に、軟質繊
維板等の繊維板や木質系材料からなる下地板の場
合にはその長所の一つが消失することになる。

このため、上記アルミニウムの箔やシートに透
孔を設けて、上記の如き問題を解決しようとする
ことが考えられるが、単に透孔部分のみが改善さ
れるだけで、十分なる防露性を発揮するには未だ
不充分なものである。さりとて、そのために透孔
を増やしすぎると、基板面の露出部分が増えて輻
射熱吸収率が高くなり、断熱性の向上が図り得な
い。さらには、生産上においても、アルミニウム
の箔やシートを基板に貼着し、またこの箔やシー
トに透孔を設けなければならないという手間がか
かり好ましくない。

そこで、本発明は斯かる諸点に鑑み、輻射熱吸
収率が低くて断熱性に優れているとともに、吸収
性能を保有して防露性に優れた建築用下地板を簡
便に得ることを目的とするものである。

この目的のため、本発明の建築用下地板の構成
は、繊維板等の基盤表面に、アルミニウム粉含有
塗料を塗布してなるアルミニウム粉含有塗布層が
設けられてなるものであつて、アルミニウム粉含
有塗布層によつて輻射熱吸収率が低くて断熱性に
優れているとともに、塗布層の持つ適度な水蒸気
透過性によつて基板の呼吸性能を著しく損うこと
がなく防露性を効果的に発現するようにしたもの
である。

さらに、本発明の目的は、上記構成の建築用下
地板を、断熱性は勿論のこと、防露性を有効に高
めて、しかも生産性良く製造する方法を提供する
ものである。

すなわち、本発明の製造方法は、木質繊維又は
鉱物質繊維を主原料として調整した繊維質スラリ
ーを湿式抄造して湿潤マツトに形成し、該湿潤マ
ツトの表面にアルミニウム粉含有塗料を塗布した
のち、湿潤マツトを乾燥することを特徴とするも
のであり、このことにより、繊維板等基板の乾燥
と同時にアルミニウム粉含有塗布層の乾燥を行う
とともに、この乾燥工程において繊維板等基板中
の水分の一部および塗料中の水分が塗布層から蒸
発することによつて塗布層に極微細な水蒸気透過
路が多数形成され、良好な水蒸気透過性を得るよ
うにしたものである。

以下、本発明について図面に基づいて詳細に説
明する。

第１図は本発明に係る建築用下地板Ａを示し、
該建築用下地板Ａは、繊維板等の基板１表面に、
アルミニウム粉含有塗料を塗布乾燥してなるアル
ミニウム粉含有塗布層２が設けられてなるもので
ある。

上記基板１としては、軟質繊維板、鉱物質繊維
板等の繊維板の他、合板、パーテイクルボード、
ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、炭酸マグネシ
ウム板など、多孔質で断熱性が良く、また湿式吸
収、放出性能（吸呼性能）を有しているものが適
している。特に、インシユレーシヨンボード、シ
ージングインシユレーシヨンボード等の軟質繊維
板は、断熱性、吸呼性に優れた材料であり、また
通常茶褐色で輻射熱吸収率が高い材料であるた
め、本発明の下地板Ａの基板１として用いた際に
は、アルミニウム粉含有塗布層２の効果が有効に
発現され、断熱性、防露性に優れた下地板Ａを形
成できるので望ましい。

また、上記アルミニウム粉含有塗布層２は、基
板１表面全面に略均一にアルミニウム色に着色さ
れており、下地板Ａの輻射熱吸収率を低くすると
ともに、水系塗料等の塗料を塗布乾燥して形成し
たものであるので、水蒸気の透過する極微細な小
孔を多数有しており、水蒸気透過性を良好に保有
するものである。

上記のような構成からなる建築用下地板Ａは、
基板１の持つ断熱性および基板１表面のアルミニ
ウム粉含有塗布層２の持つ低輻射熱吸収性によつ
て断熱性に優れ、しかも該塗布層２の水蒸気透過
性によつて基板１の持つ呼吸性能がさほど損われ
ず防露性に優れたものとなる。また、基板１表面
へのアルミニウム粉含有塗料の塗装という簡単な
手段によつて得られるで、従来のアルミニウムの
箔やシートの貼着あるいは該箔等の透孔の形成に
較べて簡便にかつ生産性良く形成することがで
き。尚、第１図では基板１の片面にアルミニウム
粉含有塗布層２を形成したものを示したが、両面
に形成してもよいのは勿論である。

したがつて、このような建築用下地板Ａを、例
えば外壁用下地板として用いる場合には、第２図
に示すように、アルミニウム粉含有塗布層２を外
側にして間柱３あるいは胴縁４に釘５で釘打ちし
て取付け、しかる後、サイデイング材６等の外壁
材を取付けて壁体を構成すると、サイデイング材
６からの輻射熱が、アルミニウム粉含有塗布層２
で反射され、基板１の断熱性と相俟つて優れた断
熱性を発現するとともに、壁体内空間に生じる湿
気が、水蒸気透過性を有する塗布層２を通じて基
板１によつて適度に吸収され、結露を生じること
がない。

次に、上記建築用下地板Ａの製造方法について
説明する。

先ず、木材をパルパー等で解繊してなる木質繊
維、またはロツクウール、スラツグウール等の鉱
物質繊維を主原料とし、これに要すれば澱粉、合
成樹脂等の結合剤、ロジン、ワツクス、アスフア
ルト等の耐水剤、さらに硫酸バンド等の定着剤を
加えて調整した繊維質スラリーを、丸網式湿式抄
造装置等を用いて湿式抄造して湿潤マツトに形成
する。

次いで、この湿潤マツトの表面にアルミニウム
粉含有塗料を塗布する。ここに用いるアルミニウ
ム粉含有塗料としては水系塗料を用いるのが好ま
しい。この水系塗料とは、例えばアルミニウム粉
と合成樹脂水溶液又は合成樹脂エマルジヨンとを
主成分とし適度に水で希釈したものであつて、さ
らに具体的にはアルミニウム粉をミネラルスピリ
ツト等の溶剤および水溶性界面活性剤と混合して
調整したペースト状物の顔料分とするものであ
り、また上記合成樹脂水溶液又は合成樹脂エマル
ジヨンとしては例えば水溶性のフエノール樹脂、
メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、アクリ
ルスチレン樹脂エマルジヨン、エチレン酢酸ビニ
ル樹脂エマルジヨン等のアクリル系樹脂、スチレ
ン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂エマルジヨンなどが
ある。

尚、上記アルミニウム粉には、鱗片状のものを
用いると、少量のアルミニウム粉でも隠蔽性の良
い塗布層を得ることができるので好ましい。

また、上記アルミニウム粉含有塗料を下記のよ
うにして塗布してもよい。

すなわち、ビヒクルにイオン性を有する合成樹
脂液を用いたアルミニウム粉含有塗料を塗布する
に際し、この塗料と、上記合成樹脂のイオン性と
は逆イオン性のゲル化剤とを塗布して、予め空気
中あるいは塗布面で両者を混合し樹脂フロツクを
形成するようにした塗布方法である。例えば、ア
ルミニウム粉含有塗料中にアニオン性のアクリル
スチレン樹脂エマルジヨンを用いた場合には、ゲ
ル化剤として硫酸バンド、ポリアクリルアマイ
ド、エピクロルヒドリン等のカチオン性のものを
用いる。このような方法では、湿潤マツトの表面
にアルミニウム粉含有塗布層を一層良好に形成す
ることができる。

しかる後、上記のように表面にアルミニウム粉
含有塗料が塗布された湿潤マツトを乾燥装置で乾
燥することにより、基板１表面にアルミニウム粉
含有塗布層２が形成された本発明の建築用下地板
Ａが製造される。

したがつて、このようにして得られた建築用下
地板Ａは、上記の如く湿潤マツトの表面にアルミ
ニウム粉含有塗料を塗布したのち乾燥して形成さ
れるので、湿潤マツトの乾燥と同時にアルミニウ
ム粉含有塗布層２の乾燥を行うことができ、生産
性良く製造することができる。しかも、この乾燥
工程において塗料中の水分と共に繊維板等基板１
中の水分の一部が塗布層２から蒸発するので、こ
の蒸発によつて塗布層２に極微細な水蒸気透過路
が多数良好に形成されることになり、このため、
単に基板１表面に塗料を塗布する場合に較べて優
れた防露性を有する下地板Ａを得ることができ
る。

今、具体的な本発明方法の一例を示すと、木材
チツプをパルパーで解繊して得られた木質繊維に
結合剤、耐水剤、定着剤等の添加剤を加えて調整
したスラリー状物を丸網式湿式抄造機によつて抄
造して湿潤な繊維質マツトを得、この湿潤マツト
の表面に、鱗片状アルミニウム粉をミネラルスピ
リツトに分散させたアルミニウム粉のペースト状
物（固型分65重量％）を４重量部と、アクリルス
チレン共重合エマルジヨン樹脂（固型分50重量
％）を30重量部と、水を60重量部とからなるアル
ミニウム粉含有塗料を300ｇ／m²塗布したのち、
ドライヤで乾燥して建築用下地板を得た。この建
築用下地板は、銀白色を呈しており、基板である
繊維板の断熱性と基板表面に塗布されたアルミニ
ウム粉含有塗布層の輻射熱吸収率の低さにより優
れた断熱性を有するとともに、該塗布層の良好な
水蒸気透過性により優れた防露性を有するもので
ある。

以上の如く、本発明の建築用下地板によれば、
断熱性および防露性に優れ、かつ簡便に得られる
ので、壁や屋根等の下地材として好適なものを安
価に提供することができるものである。

さらに、本発明の製造方法によれば、断熱性、
防露性に優れた上記建築用下地板を生産性良く製
造できるとともに、防露性を一層向上させること
ができる利点を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の建築用下地板の一例を示す断
面図、第２図は第１図の建築用下地板を外壁用下
地板として用いた場合の施工状態を示す断面図で
ある。 Ａ……建築用下地板、１……基板、２……アル
ミニウム粉含有塗布層。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 繊維板等の基礎表面に、アルミニウム粉含有
   塗料を塗布してなるアルミニウム粉含有塗布層が
   設けられている建築用下地板。 ２ 基板が軟質繊維板である特許請求の範囲第１
   項記載の建築用下地板。 ３ 木質繊維又は鉱物質繊維を主原料として調整
   した繊維質スラリーを湿式抄造して湿潤マツトに
   形成し、該湿潤マツトの表面にアルミニウム粉含
   有塗料を塗布したのち、該湿潤マツトを乾燥する
   ことを特徴とする建築用下地板の製造方法。 ４ アルミニウム粉含有塗料が、鱗片状アルミニ
   ウム粉と合成樹脂水溶液又は合成樹脂エマルジヨ
   ンと水とを主成分として調合された水系塗料であ
   る特許請求の範囲第３項記載の建築用下地板の製
   造方法。