JP2007331336A - 繊維板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】通常の湿式抄造方法で製造できるとともに、繊維板の各繊維の表面に硼素化合物を均一、かつ、効率的に付着させることにより、高い防蟻性・防腐性を有する繊維板およびその製造方法を提供することにある。
【解決手段】木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃の溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、結合剤と、からなるスラリーを湿式抄造して成形した比重0.2以上、0.3以下の繊維板である。
【選択図】図1
【解決手段】木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃の溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、結合剤と、からなるスラリーを湿式抄造して成形した比重0.2以上、0.3以下の繊維板である。
【選択図】図1
Description
本発明は一般住宅の壁、床、天井等に施工される内装材、特に、断熱材としても使用できる繊維板に関する。
従来、防蟻性,防火性および物理的強度に優れた建築用繊維板が提案されている。例えば、鉱物質繊維、有機繊維を主成分とする水性スラリーを抄造してウェットマットを成形した後、前記ウェットマットに、熱水に溶解した硼素化合物を塗布,含浸させて製造される建築用繊維板がある(特許文献1参照)。
特開平6−47826号公報
しかしながら、前述の製造方法では、硼素化合物を熱水に溶解させる工程が必要であるだけでなく、溶解液をウェットマットに塗布,含浸させる必要があるので、製造作業に手間がかかる。また、硼素化合物を溶解させた溶解液をウェットマットに塗布,含浸させているので、建築用繊維板全体、特に、各繊維表面に均一に硼素化合物を付着させることが困難であった。さらに、硼素化合物を塗布,含浸させるために溶解液を使用するので、繊維表面に付着させる硼素化合物の歩留まりを高めようとすると、硼素化合物の濃度を高めるか、溶解液の液量を増大させる必要があり、生産コストが高い。そして、高濃度の溶解液を使用した場合には、その廃液処理のための処理施設が必要であり、生産コストがより一層高くなるという問題点がある。
本発明は、前記問題点に鑑み、通常の湿式抄造方法で製造できるとともに、繊維板の各繊維の表面に硼素化合物を均一、かつ、効率的に付着させることにより、高い防蟻性・防腐性を有する繊維板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記問題点を解決すべく、鋭意研究の結果、溶解度の低いホウ素化合物を使用すれば、各繊維の表面に前記ホウ素化合物を均一、かつ、効率的に付着させることができ、防蟻性等が向上することを知見し、この知見に基づいて本願発明を完成した。
本発明にかかる繊維板は、前記課題を解決すべく、木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃の溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、結合剤と、からなるスラリーを湿式抄造して成形した比重0.2以上、0.3以下としてある。
本発明の繊維板は、溶解度の低いホウ素化合物を添加したスラリーを抄造して製造されるので、木質繊維および無機繊維の各繊維表面に前記ホウ素化合物が均一、かつ、効率的に付着する。このため、従来例のように別工程を必要とせず、生産性が高いだけでなく、防蟻性,防腐性の高い繊維板が得られる。特に、無機繊維が添加されているので、木質繊維だけからなる繊維板よりも優れた防火性をも有する繊維板が得られる。
本発明にかかる実施形態としては、無機繊維が繊維長さ125μm以上、500μm以下であってもよい。
本実施形態によれば、無機繊維をスラリー中に均一に分散させやすいとともに、強度の大きい繊維板が得られる。
本実施形態によれば、無機繊維をスラリー中に均一に分散させやすいとともに、強度の大きい繊維板が得られる。
本発明にかかる他の実施形態としては、前述の繊維板を複数枚、積層一体化して得た積層板の外周に本実加工を施しておいてもよい。
本実施形態によれば、物理的強度が高く、組付作業が容易で組付精度の高い繊維板が得られる。
本実施形態によれば、物理的強度が高く、組付作業が容易で組付精度の高い繊維板が得られる。
本発明にかかる繊維板の製造方法は、木質繊維、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維、温度20℃で溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物、および、結合剤を水中で混合分散させてスラリーを得る工程と、前記スラリーからウェットマットを湿式抄造する工程と、前記ウェットマットをプレスして水分を搾り出し、厚さを整える工程と、搾った前記ウェットマットを加熱,乾燥させて結合剤を硬化させる工程と、からなるものである。
本発明の繊維板は、溶解度の低いホウ素化合物を添加したスラリーを抄造して製造されるので、木質繊維および無機繊維の各繊維表面に前記ホウ素化合物が均一、かつ、効率的に付着する。このため、従来例のように別工程を必要とせず、生産性が高いとともに、防蟻性,防腐性の高い繊維板が得られる。特に、無機繊維が添加されているので、木質繊維だけからなる繊維板よりも優れた防火性をも有する繊維板が得られるという効果がある。
本発明にかかる繊維板の実施形態としては、木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃の溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、結合剤と、からなるスラリーを湿式抄造して成形した比重0.2以上、0.3以下であることを特徴とする繊維板が挙げられる。
木質繊維としては、その樹種を限定するものではなく、針葉樹、広葉樹であってもよく、また、建築廃材、パレット用廃材から得たものでもよく、麻、亜麻等の植物繊維であってもよい。
さらに、木質繊維の添加量は、全固形成分の50重量%〜90重量%が好ましい。50重量%未満であると、木質の特性である吸放湿性が低下し、壁体等に結露が発生しやすくなるからである。また、90重量%を越えると、無機繊維が相対的に少なくなり、必要な防火性能が得られないからである。
さらに、木質繊維の添加量は、全固形成分の50重量%〜90重量%が好ましい。50重量%未満であると、木質の特性である吸放湿性が低下し、壁体等に結露が発生しやすくなるからである。また、90重量%を越えると、無機繊維が相対的に少なくなり、必要な防火性能が得られないからである。
無機質繊維としては、ロックウール、グラスウール、ミネラネウールおよびガラス繊維などが挙げられ、これらを単独あるいは2種以上組み合わせて使用できる。
また、前記無機質繊維は繊維長が125μm〜500μmであるものが好ましい。125μm未満であると、無機質繊維は粉状体であり、木質繊維間に偏って入り込んだり、あるいは、いわゆるダマになったりし、密度にバラツキが生じて断熱性能にバラツキが生じるからである。一方、500μmを越えると、均一な混合が困難となり、偏在しやすくなり、断熱性能にバラツキが生じるからである。
さらに、前記無機質繊維の添加量は、木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。5重量%未満であると、難燃効果が乏しくなるからであり、50重量%を越えると、均一に混練しにくくなり、生産性が低下するからである。
また、前記無機質繊維は繊維長が125μm〜500μmであるものが好ましい。125μm未満であると、無機質繊維は粉状体であり、木質繊維間に偏って入り込んだり、あるいは、いわゆるダマになったりし、密度にバラツキが生じて断熱性能にバラツキが生じるからである。一方、500μmを越えると、均一な混合が困難となり、偏在しやすくなり、断熱性能にバラツキが生じるからである。
さらに、前記無機質繊維の添加量は、木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。5重量%未満であると、難燃効果が乏しくなるからであり、50重量%を越えると、均一に混練しにくくなり、生産性が低下するからである。
ホウ素化合物は防蟻性,防腐性を高めるために添加されるものであり、ホウ砂、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。
使用するホウ素化合物は、20℃での溶解度が0.01重量%以上、2重量%未満のものが好ましい。0.01重量%未満であると、溶解度が低すぎるため、前記ホウ素化合物を蟻が食べても、その体内で溶解せず、所望の防蟻性は得られないからである。一方、溶解度が2重量%以上であると、溶解しやすいので、ホウ素化合物が繊維の表面に付着しにくくなり、付着効率が低くなるからである。さらに、溶解度が高いと、廃水処理のために高度な廃水処理施設が必要になるからである。
また、ホウ素化合物の粒度は、10〜100μmであることが好ましい。粒度が10μm未満であると、繊維に付着しにくくなり、歩留まりが悪いからであり、100μmを越えると、ホウ素化合物の付着箇所(分散点)が少なくなり、防蟻効果が相対的に低下するからである。
さらに、スラリー作成のために添加するホウ素化合物の添加量は、全固形成分の2重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。2重量%未満であると、所望の防蟻性が得られないからであり、10重量%を越えると、防蟻性能の向上が望めないからである。
使用するホウ素化合物は、20℃での溶解度が0.01重量%以上、2重量%未満のものが好ましい。0.01重量%未満であると、溶解度が低すぎるため、前記ホウ素化合物を蟻が食べても、その体内で溶解せず、所望の防蟻性は得られないからである。一方、溶解度が2重量%以上であると、溶解しやすいので、ホウ素化合物が繊維の表面に付着しにくくなり、付着効率が低くなるからである。さらに、溶解度が高いと、廃水処理のために高度な廃水処理施設が必要になるからである。
また、ホウ素化合物の粒度は、10〜100μmであることが好ましい。粒度が10μm未満であると、繊維に付着しにくくなり、歩留まりが悪いからであり、100μmを越えると、ホウ素化合物の付着箇所(分散点)が少なくなり、防蟻効果が相対的に低下するからである。
さらに、スラリー作成のために添加するホウ素化合物の添加量は、全固形成分の2重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。2重量%未満であると、所望の防蟻性が得られないからであり、10重量%を越えると、防蟻性能の向上が望めないからである。
結合剤は、前記木質繊維および前記無機質繊維を結合一体化するためのものであり、例えば、フェノール樹脂、ポバール樹脂、エポキシ樹脂、スターチ等を用いることができ、また、これらを単独あるいは2種類以上組み合わせて使用できる。
そして、前記結合剤の添加量は、全固形成分の1重量%〜10重量%が好ましい。1重量%未満であると、所望の接着力が得られず、板強度が低下するからであり、10重量%を越えると、接着力の増大がなくなり、生産コストだけが上昇するからである。
そして、前記結合剤の添加量は、全固形成分の1重量%〜10重量%が好ましい。1重量%未満であると、所望の接着力が得られず、板強度が低下するからであり、10重量%を越えると、接着力の増大がなくなり、生産コストだけが上昇するからである。
また、必要に応じ、前記スラリーに抄造用添加剤として、ワックス,ロジン,ロジンワックス等の耐水剤、硫酸バンド,ポリ塩化アルミニウム等の凝集剤、または、消泡剤等を適宜添加してもよい。
(実施例)
木質繊維としては松および杉の混合材80重量%、無機質繊維としてロックウール12.5重量%、ホウ素化合物として平均粒度20μm、20℃の水における溶解度0.08重量%のホウ酸カルシウム3重量%、結合剤としてスターチ3重量%を清水に投入するとともに、その他、耐水剤、凝集剤、消泡剤等1.5重量%を水中に投入し、攪拌して固形成分2%のスラリーを得た。そして、前記スラリーを抄造してウェットマットを得、これをプレスして水分を搾り出しつつ、厚さを整えた。ついで、前記ウェットマットを乾燥炉で加熱,乾燥して結合剤を硬化させることにより、厚さ20mmの繊維板を得た。この繊維板から長さ20mm、巾20mmの正方形のサンプルを切り出し、このサンプルに対してJIS−K−1571に準じた防蟻性試験を行った。
木質繊維としては松および杉の混合材80重量%、無機質繊維としてロックウール12.5重量%、ホウ素化合物として平均粒度20μm、20℃の水における溶解度0.08重量%のホウ酸カルシウム3重量%、結合剤としてスターチ3重量%を清水に投入するとともに、その他、耐水剤、凝集剤、消泡剤等1.5重量%を水中に投入し、攪拌して固形成分2%のスラリーを得た。そして、前記スラリーを抄造してウェットマットを得、これをプレスして水分を搾り出しつつ、厚さを整えた。ついで、前記ウェットマットを乾燥炉で加熱,乾燥して結合剤を硬化させることにより、厚さ20mmの繊維板を得た。この繊維板から長さ20mm、巾20mmの正方形のサンプルを切り出し、このサンプルに対してJIS−K−1571に準じた防蟻性試験を行った。
また、得られた2枚の前記繊維板を接着剤で貼り合わせて厚さ40mmの繊維板とし、さらに、前記繊維板の外周にテノーナー加工を施すことにより、図1に示すような雄実10a,雌実10bを有するサンプル10を得た。そして、前記サンプル10を図2および図3に示すような外断熱工法の断熱材として施工した。
すなわち、柱11間に所定のピッチで間柱12を配設するとともに、ころび止め13で連結する。さらに、前記柱11,間柱12の間に断熱材14を充填するとともに、前記柱11,間柱12に内装材15および構造用面材16取り付ける。ついで、前記構造用面材16の外向面に前記サンプル10を突き合わせて張り付けるとともに、前記サンプル10の表面に防水紙17を張り付ける。そして、通気用胴縁18を介して外装材19を固定し、目地部分をシールした。なお、20は胴差、21は基礎、22は土台である。
(比較例)
市販のA級インシュレーションボード(厚さ20mm)から長さ20mm、巾20mmの正方形のサンプルを切り出し、実施例と同様、JIS−K−1571に準じた防蟻性試験を行った。
市販のA級インシュレーションボード(厚さ20mm)から長さ20mm、巾20mmの正方形のサンプルを切り出し、実施例と同様、JIS−K−1571に準じた防蟻性試験を行った。
前述のJIS−K−1571に準じた防蟻性試験の結果、実施例の質量減少率は9%であったのに対し、比較例の質量減少率は19%であった。したがって、市販のA級インシュレーションボードよりも本願発明に係る繊維板の方が高い防蟻性を有することが判った。
実施例にかかる繊維板を断熱材として外断熱工法で施工することにより、通常の施工が可能であることを確認できた。
なお、前記A級インシュレーションボードには無機繊維が添加されていないので、本願発明に係る繊維板の方が優れた難燃性,防火性を有することは明かである。
本願発明に係る繊維板は、前述の内装材,断熱材に限らず、他の建築資材としても使用できるものである。
10:繊維板
10a:雄実
10b:雌実
10a:雄実
10b:雌実
Claims (4)
- 木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃の溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、結合剤と、からなるスラリーを湿式抄造して成形した比重0.2以上、0.3以下であることを特徴とする繊維板。
- 請求項1に記載の無機繊維が、繊維長さ125μm以上、500μm以下であることを特徴とする繊維板。
- 請求項1または2に記載の繊維板を複数枚、積層一体化して得た積層板の外周に本実加工を施したことを特徴とする繊維板。
- 木質繊維と、前記木質繊維の添加量の5重量%以上、50重量%以下で添加される無機質繊維と、温度20℃で溶解度0.01重量%以上、2重量%未満のホウ素化合物と、および、結合剤とを水中で混合,分散させてスラリーを得る工程と、前記スラリーからウェットマットを湿式抄造する工程と、前記ウェットマットをプレスして水分を搾り出し、厚さを整える工程と、搾った前記ウェットマットを加熱,乾燥させて結合剤を硬化させる工程と、からなる繊維板の製造方法。
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