JPH0140907B2

JPH0140907B2 -

Info

Publication number: JPH0140907B2
Application number: JP57072268A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Nishe; Tetsuo Sekimoto
Original assignee: Mitsubishi Metal Corp
Current assignee: Mitsubishi Metal Corp
Priority date: 1982-04-28
Filing date: 1982-04-28
Publication date: 1989-09-01
Also published as: JPS58189361A

Description

【発明の詳細な説明】

この発明は、なじみ性、潤滑性、および耐摩耗
性にすぐれ、かつ相手攻撃性も低く、特に高速回
転および高荷重条件下での使用に際しても発熱の
きわめて小さいFe基焼結合金製含油軸受に関す
るものである。従来、例えば自動車や二輪車のスターターモー
タや、一般の駆動モータなどの軸受のうち、その
使用条件が高速回転および高荷重となる軸受に
は、なじみ性および潤滑性にすぐれ、かつ相手攻
撃性も小さいCu基焼結合金製含油軸受が使用さ
れている。一方、これらCu基焼結合金製含油軸受は、主
要原料粉末として高価なCu粉末を使用するめに
コストの高いものとなるばかりでなく、主成分が
Cuであるために比較的耐摩耗性の低いものとな
つている。そこで、上記のCu基焼結合金製含油軸受に代
つてコストが安く、かつ耐摩耗性のあるFe基焼
結合金製含油軸受を使用する試みもなされたが、
これらFe基焼結合金製含油軸受は、なじみ性が
悪いばかりでなく、使用中の発熱も大きいので、
軸受中に含浸された油が著しく消耗するようにな
り、この結果かじりやロツク現象が発生し、かえ
つてその使用が短かくなるものであり、さらに相
手材たる軸に対する攻撃性（相手攻撃性）も大き
いものであり、したがつて高速回転および高荷重
条件下での使用はほとんど不可能であるのが現状
である。とこで、本発明者等は、上述のような観点か
ら、Cu基焼結合金製含油軸受のもつすぐれたな
じみ性および潤滑性、さらに著しく低い相手攻撃
性を有し、かつ耐摩耗性にもすぐれた含油軸受を
コストの比較的安価なFe基焼結合金にて得べく
研究を行なつた結果、含油軸受を、Cu：15〜40
％、Pb：５〜20％、Ｃ：0.1〜5.0％を含有し、さ
らにSn：0.1〜5.0％、Zn：0.1〜3.0％、および
Ｐ：0.1〜1.0％のうちの１種または２種以上を含
有し、残りがFeと不可避不純物からなる組成
（以上重量％）、並びにCu合金，Pb、および遊離
黒鉛が素地中に分散した組織を有し、かつ含油率
が３〜35容量％のFe基焼結合金で構成すると、
このFe基焼結合金製含油軸受は、特に高速回転
および高荷重条件下での使用に際して、発熱がき
わめて小さく、かつ相手攻撃性も著しく低い状態
で、すぐれたなじみ性、潤滑性、および耐摩耗性
を示すという知見を得たのである。この発明は、上記知見にもとづいてなされたも
のであつて、以下に成分組成範囲および含油率を
上記の通りに限定した理由を説明する。 (a) Cu Cu成分には、その一部が素地に固溶して、そ
の強度を向上させ、一方残りがSn，Zn、および
Ｐのうちの１種または２種以上と合金化した形で
素地中に分散してなじみ性および耐摩耗性を向上
させる作用があるほか、焼結時におけるFeとPb
のぬれ性を促進せてPbの飛散を防止し、これを
安定化させる作用があるが、その含有量が15％未
満では前記作用に所望の効果が得られず、一方40
％を越えて含有させると、素地が硬くなりすぎて
相手攻撃性が大きくなることから、その含有量を
15〜40％と定めた。 (b) Pb Pb成分には、焼結時に原料粉末たる黒鉛粉末
がFe粉末と反応してセメンタイトを形成するの
を抑制すると共に、素地中に均一に分散してなじ
み性および耐焼付性を向上させる作用があるが、
その含有量が５％未満では前記作用に所望の効果
が得られず、一方20％を越えて含有させると、軸
受強度がが低下するようになることから、その含
有量を５〜20％と定めた。 (c) ＣＣ成分には、その一部が素地に固溶し、また他
の一部がパーライトを形成して素地を強化し、さ
らに残部が遊離黒鉛として素地中に均一に分散し
て潤滑性を向上させる作用があるが、その含有量
が0.1％未満では前記作用に所望の効果が得られ
ず、一方5.0％を越えて含有させると軸受強度が
低下するようになることから、その含有量を0.1
〜5.0％と定めた。 (d) Sn，Zn、およびＰこれらの成分には、それぞれ単独粉末で配合し
た場合には焼結時にCu中に固溶し（したがつて
これら成分をCu合金粉末の形で配合してもよ
い）、素地中に均一に分散したCu−（Sn，Zn，
Ｐ）合金を形成して、なじみ性および耐摩耗性を
向上させる作用があるが、その含有量はそれぞれ
Sn：0.1％未満、Zn：0.1％未満、およびＰ：0.1
％未満では前記作用に所望の効果が得られず、一
方それぞれSn：５％、Zn：３％、およびＰ：１
％を越えて含有させてもなじみ性および耐摩耗性
により一段の向上効果が得られないことから、そ
の含有量をSn：0.1〜5.0％、Zn：0.1〜3.0％、お
よびＰ：0.1〜1.0％と定めた。 (e) 含油率含油率が５容量％未満では所望の潤滑性を確保
することができず、一方35容量％を越えた含油率
にすると軸受強度が著しく低下するようになるこ
とから、含油率を５〜35容量％と定めた。つぎに、この発明の含油軸受を実施例により具
体的に説明する。実施例原料粉末として、粒度：−100meshのアトマイ
ズ鉄粉、同−150meshの電解銅粉末、同−
150meshのりん片状黒鉛粉末、同−100meshのPb
粉末、同−100meshのSn粉末、同−100meshの
Cu−Sn合金（Sn：９％含有）粉末、同−
100meshのZn粉末、同−100meshのCu−Zn合金
（Zn：30％含有）粉末、同−100meshのCu−Ｐ合
金（Ｐ：８％含有）粉末を用意し、これら原料粉
末をそれぞれ第１表に示される配合組成に配合
し、これに潤滑剤として0.4％のステアリン酸亜
鉛を添加して混合し、この混合粉末よりそれぞれ
３〜5ton／cm²の範囲内の適宜の圧力にて圧粉体を
成形し、ついでこれらの圧粉体を、アンモニア分
解ガス中、温度：1000〜1100℃の範囲内の適宜温
度に60分間保持の条件で焼結し、最終的に真空浸
油処理を施すことによつて、実質的に配合組成と
同一の成分組成、並びにそれぞれ第１表に示され
る含油率を有し、かつ外径：16mmφ×内径：８mm
φ×高さ：10mmの寸法をもつた本発明含油軸受１
〜23および比較含油軸受１〜８をそれぞれ製造し
た。なお、比較含油軸受１

【表】

【表】〜７はいずれも構成成分のうちのいずれかの成分
含有量、並びに含油率（第１表※印を付したも
の）がこの発明の範囲から外れたものであり、ま
た比較含油軸受８は従来Cu基焼結合金製のもの
である。ついで、この結果得られた本発明含油軸受１〜
23および比較含油軸受１〜８について、圧環強度
を測定すると共に、PV値：700Kg／cm²・ｍ／
min、周速：150ｍ／minおよび200ｍ／minの条
件（高速回転・高荷重条件）での摩耗量、摩擦係
数、および軸受温度を測定した。これらの測定結
果を第１表に合せて示した。第１表に示される結果から、本発明含油軸受１
〜23は、いずれも従来Cu基焼結合金製含油軸受
に相当する比較含油軸受８に比して一段とすぐれ
た強度および耐摩耗性を有し、かつこれと同等の
すぐれたなじみ性および潤滑性、並びに低い相手
攻撃性を有するのに対して、比較含油軸受１〜７
に見られるように成分組成および含油率がこの発
明の範囲から外れると、上記の軸受特性のうちの
少なくともいずれかの性質が劣つたものになるこ
とが明らかである。上述のように、この発明の含油軸受は、Fe基
焼結合金製であるので安価であり、かつすぐれた
なじみ性、潤滑性、および耐摩耗性、並びに低い
相手攻撃性を有し、しかも特に高速回転・高荷重
条件下での使用に際しても発熱がきわめて少ない
ものであるので、広い範囲での長期に亘つての安
定的使用が可能となるなどの工業上有用な特性を
有するのである。

Claims

【特許請求の範囲】

１ Cu：15〜40％、Pb：５〜20％、Ｃ：0.1〜5.0
％を含有し、さらにSn：0.1〜5.0％，Zn：0.1〜
3.0％、およびＰ：0.1〜1.0％のうちの１種または
２種以上を含有し、残りがFeと不可避不純物か
らなる組成（以上重量％）、並びにCu合金、Pb、
および遊離黒鉛が素地中に分散した組織を有し、
かつ含油率：５〜35容量％を有することを特徴と
するなじみ性および潤滑性のすぐれたFe基焼結
合金製含油軸受。