JPH0137011Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本願考案は、手洗い付き貯水タンクの水受け部
に載置して使用する水洗トイレ用防汚洗浄剤に関
する。

〔従来の技術〕

従来、消臭・殺菌等の薬効性を有する水溶性固
形洗浄剤を容器に収納し、これを水洗トイレの貯
水タンク内に吊り下げておき、水洗使用時に、該
固形洗浄剤が溶解して着色された貯溜水を、便器
内に放流するようにした水洗トイレにおける洗浄
方式は公知である。

ところで、従来のこの種洗浄方式による場合に
は、使用に先立ち、水溶性固形洗浄剤を収容した
容器を、貯水タンク内に吊り下げるか投入してお
く必要があり、そのために、手洗い付き水洗トイ
レの貯水タンクでは、重い上蓋水受け部を持ち上
げて移動するなどして、上蓋を部分開口させなけ
ればならず、しかも、上記上蓋には、手洗い水の
蛇口及び該蛇口への給水管等が附設されているた
め、上記洗浄剤を貯水タンク内へ取り付ける作業
は容易ではなかつた。

そこで、この種水溶性洗浄剤の設置作業の不便
さを解消するための一手段として、これを手洗い
付き水洗トイレの貯水タンクの上蓋水受け部に載
置する上置き型構成（例えば、実開昭56−68084
号公報等）が提案されている。

上記した上置き型構成では、前述した消臭洗浄
剤を特定の容器内に充填し、その容器を水受け部
の手洗い水の蛇口の直下に設置することにより、
手洗い水が該容器中の洗浄剤を収容した椀部に溜
り、更にはオバーフローして貯水タンク内に流下
する構造体に形成し、上記椀部における貯溜水で
前記消臭洗浄剤を溶解させて、その溶解液の定量
を常に蓄えておき、次回の水洗使用時における前
記オーバーフローによる放流水とするように構成
してある。

〔考案が解決しようとする課題〕

上述した手洗い付き水洗トイレにおける水溶性
洗浄剤における洗浄方式によれば、貯水タンク内
の貯溜水或いは容器内の溜り水に前記洗浄剤を浸
漬しておき、この浸漬状態下で溶解した洗浄剤の
溶解液を、次回使用時に放流するものであるが、
この放流による洗浄効果は、使用時毎の前記溶解
液の流出量とその都度の液濃度に大きく左右され
る。

しかして、洗浄剤の溶解液の流出量は、貯水タ
ンクの容積或いは溶解液の溜り部の容積の設定に
よつて、所定の量を確保することが比較的容易で
ある反面、溶解液の濃度は、液温（外気温度）及
び浸漬時間（使用間隔）によつて変化する。

この液濃度の気温変化による洗浄機能の補足修
正のために、溜り部に流入する水量（オーバーフ
ロー量）を加減することも、従来提案されている
が、かかる修正では不定周期の使用間隔による液
濃度の変化に対処することはできない。

そこで、本願考案では、この種水溶性固形洗浄
剤の前記上置き型設置手段を採用して、該洗浄剤
の貯水タンク上蓋への載置を容易に行い得るよう
にすると共に、常に、所望の洗浄効果が得られる
ように、洗浄剤溶解液の濃度の変化を、可及的に
少なくすることを目的とした水洗トイレ用防汚洗
浄剤を提供するものである。

〔問題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するために、本願考案におい
ては、徐々に溶解する主として水溶性の界面活性
剤からなり、必要に応じて芳香剤・着色剤更には
殺菌剤等を配合した賦形物の少なくとも上面と下
面とを、連続発泡状材料又は繊維状材料等を嵩高
に重ねた通水性の多孔質層で覆い、この賦形物を
手洗い付き貯水タンク上蓋の水受け部に載置し得
る形状に構成した。

〔作用〕

水溶性の賦形物は、注水或いは浸水によつて
徐々に溶解する。

この賦形物を、手洗い付き貯水タンク上蓋の水
受け部に載置することによつて、注水及び浸水は
水洗使用時の間のみに行われ、しかも、使用時の
水温は、その都度、水道等から直接給水されるの
で、外気温の影響を受けにくい。

したがつて、賦形物には、一年中、略一定温度
の水が使用間隔に関係なく、常に一定の時間だけ
給水若しくは浸水がなされる。その結果、常に略
一定の溶解濃度の水量を得ることができる。

その際、賦形物の上面に附設した多孔質層は、
注水時における水跳ね防止材として機能し、同じ
く下面に附設した多孔質層は、貯水タンク上蓋の
中央に位置する流入孔からの賦形物の流出落下を
阻止すると共に、タンク上蓋面若しくは収能容器
の底面と賦形物との間に隙間を形成して、溶解液
の貯水タンクへの流入を良好にする。

更に、賦形物の上下面に附設する多孔質層は、
賦形物中に混入した芳香消臭剤の芳香を吸収する
蓄香機能材として作用する。

〔実施例〕

以下に、図面に示した実施例に基づき、本願考
案の要旨を説明すると、第１図は本願考案の一実
施例を示す斜視図であり、第２図はその縦断側面
図で、所望の薬効剤を配合混練して型押し成型等
によつて成形した賦形物１の上面及び下面に多孔
質のマツト２，２を附設し、これを上面及び側面
開口の容器３に収納してある。

上記賦形物１は、主として水溶性の界面活性剤
からなり、必要に応じて芳香剤・着色剤更には殺
菌剤等を配合する。

多孔質層のマツト２は、通水性を有するが水に
よつて軟化しない非親水性のポリプロピレン・ナ
イロン・ポリエステル・アクリル又は金属等から
なる繊維材料又はスポンジ・ウレタン等の連続発
泡状材料を嵩高に重ねたものが使用される。

なお、前記容器３は、マツト２，２の介在下に
賦形物３をその中央部に挟み込むようにして収納
する上下の割型容器からなり、上容器３ａと下容
器３ｂは、その接合部で爪係合又は螺合手段等に
よつて一体化するように構成してある。

そして、この上容器３ａの中央の賦形物１の収
納位置上方に開口部４を有し、他方、下容器３ｂ
の中央の賦形物１の収納位置下方には、中空の垂
下筒５を設けてあり、かつ、上下容器３ａ及び３
ｂの接合部の一部に側口６が形成されるようにし
てある。

なお、本願考案品の実施に際しては、前記した
容器３は、必ずしも必要ではなく、前記マツト
２，２を附設した賦形物１それ自体を、貯水タン
クの上蓋水受け部に直接載置して使用し得ること
は勿論である。

上述の構成からなる本願考案品は、先ず、容器
３を使用する第１図示実施例の場合には、手洗い
付き水洗トイレの貯水タンク上蓋の流入口に、容
器３の下面から突出する垂下筒５を挿入して、貯
水タンクの上蓋の上に設置する。

しかして、トイレ使用時に、貯水タンク蓋の上
方から手洗い水が放出されると、手洗い水の蛇口
が、前記貯水タンク蓋の中央即ち流入口の直上に
臨む場合には、この流入口の部分に容器３が占位
するので、蛇口から流出した手洗い水は容器３の
開口部４に注がれる。

開口部４には、賦形物１の上面マツト２を附設
してあるので、手洗い水は比較的強くマツト２に
当たるが、該マツト２はスポンジ状又は繊維状の
多孔質層に形成されているため、マツト２に当た
る手洗い水が飛び跳ねることはない。この手洗い
水の飛び跳ね防止効果は、マツト２の前述した構
成素材を、嵩高に重ねることにより、最も効果的
な結果が得られることが、種々の実験によつて確
認された。

マツト２を通過した手洗い水は、賦形物１の表
面に沿つて、容器３の側口６及び賦形物１と容器
底面との間の密着を阻止して通水路として機能す
る下面マツト２を経て、垂下筒５を経由して貯水
タンクの流入口に流下する。

上記手洗い水の流下により、賦形物１はその表
面から徐々に溶解して、上記手洗い水に所定の薬
効機能を発揮させる濃度状態を付与して、貯水タ
ンク内に貯溜されて、次回使用時における便器の
洗浄水となる。

手洗い水の蛇口が、貯水タンク蓋の中央から外
れた位置に臨んでいる場合には、蛇口から流出す
る手洗い水は、タンク蓋の内周面に沿つて流れ、
タンク蓋の中央に位置する容器３の側口６から容
器３内に流入して、他の側口６若しくは垂下筒５
を通過して流入孔から貯水タンク内に流下する。

この場合においても、前記と同様に賦形物１の
表面から溶解して、薬効剤の水溶液が貯水タンク
内に貯溜される。

しかして、容器３を使用しない場合には、その
上下に前記マツト２，２を附設した賦形物１を、
そのままの状態で、貯水タンク上蓋の水受け面に
直接載置する。

この場合の載置位置は、貯水タンク上蓋の流入
口の上或いは横位置にある手洗い水の蛇口の真下
など手洗い水の水受け面上の任意の箇所でよい。

上記いずれの場合の載置状態においても、前述
した上面マツト２による手洗い水の水跳ね防止効
果並びに下面マツト２による手洗い水の通水路機
能を発揮する。

この使用時におけるマツト２，２に覆われた賦
形物１の溶解速度は、通常使用状態で、略１ケ月
位で溶解終了するように賦形物１の薬効剤の配合
並びに賦形物１の形状（表面積）を規制して調整
してある。

なお、賦形物１の上面マツト２の上に調整板を
介在させることも可能である。

〔考案の効果〕

叙上の如く、本願考案に係る水洗トイレ用防汚
洗浄剤は、薬効剤を配合した賦形物の上下面を連
続発泡状材料又は繊維状材料等を嵩高に重ねた多
孔質層のマツトで覆い、これを手洗い付き水洗ト
イレの貯水タンク蓋の上に直接載置して使用する
構成を採用した結果、従来の貯水タンク内に吊り
下げるか或いは投入する水洗トイレ用洗浄剤にお
ける設置作業の繁雑さを抜本的に解消させる著効
を発揮すると同時に、貯水タンク蓋の上に載置す
る構造体としてて構成されるため、上下マツト又
は容器を装飾効果の高いデザインに取纒めること
ができることに加えて、本願考案品は、賦形物に
対し、手洗い水を直接的に放水する方式を採用し
たので、外気温変化及び使用頻度による溶解液濃
度を、常に略一定に保持することができ、高い洗
浄効果を期待し得ると共に、賦形物は吸収性の高
い上下マツトで覆われた状態で、常時空気に晒さ
れているため、タンク内に設置される在来品に比
して、格段の消臭芳香機能を発揮する。

しかも、本考案品の構成によれば、賦形物上面
の多孔質層が、手洗い水の飛び跳ね防止材として
よく機能する一方、下面の多孔質層が、径時使用
による溶失により小形化した賦形物の流出を阻止
すると共に、溶解液流入の通水性を円滑にするの
で、本考案品は使用開始時から使用終了時に至る
までの間、安定した洗浄消臭効果を発揮し、よく
所期の目的を達成するため、実用に供して極めて
有効である。

なお、本考案品を容器に収納して使用する場合
には、前記賦形物を、詰め替え品として使用し得
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案品の一実施例を示す斜視図、第
２図は第１図実施例の縦断側面図である。 １……賦形物、２……マツト、３……容器、４
……開口部、５……垂下筒、６……側口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 徐々に水に溶解する主として界面活性剤からな
   り、必要に応じて芳香剤・着色剤更には殺菌剤等
   を配合した賦形物の少なくとも上面と下面とを、
   連続発泡状材料又は繊維状材料等を嵩高に重ねた
   通水性の多孔質層で覆い、この賦形物を、手洗い
   付き貯水タンク上蓋の水受け部に載置し得る形状
   に構成してなる水洗トイレ用防汚洗浄剤。