JPH0129498Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案はロータリ圧縮機を用いて冷凍システム
を構成した冷蔵庫において、前記ロータリ圧縮機
の停止時に高温冷媒が蒸発器へ流入するのを防止
する構成であつて、その動作の安定した組込みが
達成される構成に関する。

(ロ) 従来技術 従来例えば冷蔵庫等の冷却装置の冷媒回路は、
圧縮機、凝縮器、減圧器としてのキヤピラリチユ
ーブ、蒸発器及び冷媒液溜めとしてのアキユムレ
ータを順次接続して構成し、圧縮機から吐出され
た高温高圧のガス冷媒は凝縮器にて放熱して液化
し、キヤピラリチユーブを通過して減圧された
後、蒸発器に流入して蒸発し、その時の吸熱作用
を利用して貯蔵室内の冷却を行つている。ここで
圧縮機としてロータリー式の圧縮機を用いた場合
にはその構造上圧縮機の停止時に吸入側より高温
冷媒が逆流し、アキユムレータを通つて蒸発器に
逆流入する。又、キヤピラリチユーブを介しても
高温冷媒が蒸発器に流入する為蒸発部の温度が上
昇し貯蔵室内は蒸発器によつて加熱されてしま
う。

この様な不都合を解消する為、アキユムレータ
の流出側等に逆止弁を設け、且つ凝縮器とキヤピ
ラリチユーブの間の流路には圧縮機の吸入側の圧
力上昇を検出して流路を閉じる圧力作動弁を接続
するものが考えられている。この圧力作動弁は電
磁弁に比して消費電力が不要で且つ動作音も静か
である等のメリツトを有しているが、開閉動作が
遅い欠点が有り、その為蒸発器へ比較的多量の高
温冷媒が流入してしまう不都合が生じる。又、冷
却装置内の圧力状態は周囲温度によつて種々変わ
るので動作が不安定となる。

(ハ) 考案の目的 本考案はロータリ圧縮機を用いた冷凍システム
において、減圧器としてのキヤピラリチユーブと
蒸発器の間の冷媒路にロータリ圧縮機の吸入側の
圧力が上昇したときこの冷媒路を閉じる圧力作動
弁を設けることによりこの圧力作動弁の動作が迅
速に行なわれて蒸発器の温度上昇を抑制して冷却
効率を向上すると共に、冷蔵庫本体へ前記冷凍シ
ステムを組込んだ場合の各配管の配設が容易であ
つてかつ前記動作の良好性が確保できる冷蔵庫を
提供するものである。

(ニ) 考案の構成 本考案は、ロータリ圧縮機を用いた冷凍システ
ムを組込んだ冷蔵庫において、蒸発器とロータリ
圧縮機の間の冷媒帰還路のロータリ圧縮機に近い
部分であつて前記冷蔵庫本体の庫外に露出して設
けた逆止弁と、前記キヤピラリチユーブと前記蒸
発器の間の冷媒路に設けられ前記逆止弁と前記ロ
ータリ圧縮機間の冷媒路の圧力を伝達する圧力伝
達管を有しこの圧力伝達管内の圧力上昇によつて
前記キヤピラリチユーブと前記蒸発器間の冷媒路
を閉じる圧力作動弁とを設け、前記圧力作動弁は
前記冷蔵庫本体に断熱材で被われて配設され、前
記蒸発器から前記逆止弁に至る冷媒帰還路と前記
圧力伝達管は寄せ集められた状態で前記冷蔵庫本
体の底面の一個所から前記冷蔵庫本体の庫外に延
出してなる冷蔵庫である。

(ホ) 実施例 第１図には本考案の冷凍システムを示してい
る。これにおいて、１は高圧シエル型ロータリ圧
縮機、２は凝縮器、３は減圧器としてのキヤピラ
リチユーブ、４は圧力作動弁、５は蒸発器、６は
冷媒液溜めとしてのアキユムレータ、７は蒸発器
５から圧縮機１への冷媒帰還路２４に設けられそ
の中の冷媒に対しては通路を開きその逆向きの冷
媒の流れに対しては通路を閉じる逆止弁であり、
これらによつて冷媒循環回路が構成されている。
この構成で圧縮機１から吐出された高温高圧冷媒
は凝縮器２にて放熱して液化し、キヤピラリチユ
ーブ３にて減圧されて圧力作動弁４を通過し蒸発
器５に流入して蒸発した後、アキユムレータ６及
び逆止弁７を通過して圧縮機１へ帰還するよう循
環する。上記の如く圧力作動弁４はキヤピラリチ
ユーブと蒸発器５の間の冷媒路に設けられ、また
逆止弁７は蒸発器５と圧縮機１の間の冷媒帰還路
２４に設けられている。２５はデハイドレータで
ある。

第２図には圧力作動弁４の拡大断面図を示して
おり、以下その構造について説明する。即ち８は
上蓋で中央部を上方に膨出して中空の圧力伝達室
９を形成している。１０は圧力伝達管であり、逆
止弁７の下流側で圧縮機１の吸入側１ａと圧力伝
達室９とを連通している。１１は厚さ約0.2乃至
0.4mmの金属薄板から成るダイヤフラムであり、
圧力伝達室９を閉塞するようその下側に取り付け
られる。１２は上蓋８下側に取り付けた下ケー
ス、１３は下ケース１２下方に固定される本体で
ある。下ケース１２及び本体１３内には上下に連
通して弁体室１４が形成され、弁体室１４内に弁
体１５が上下に移動自在に収納される。弁体１５
の上端には外側へ突出した鍔部１６が形成され、
この鍔部１６の上面がダイヤフラム１１下面に当
接する。１７は下ケース１２内に収納された弾性
押圧部材としての圧縮コイルバネで上端を弁体１
５の鍔部１６下面に当接している。又、弁体１５
の下端には球体１８が取り付けられる。本体１３
には弁体室１４の下端に流入口１９が、又、弁体
室１４下部側方に流出口２０が形成され、流入口
１９の弁体室１４側を弁座２１としている。２２
は流入口１９に接続され、キヤピラリチユーブ３
の流出側配管３ａに連通接続される配管で、２３
は流出口２０に接続され、蒸発器５の流入側配管
５ａに接続される配管である。ここでダイヤフラ
ム１１の圧力伝達室９に面した有効直径は約25
mm、流入口１９は内径約２mmとし、ダイヤフラム
１１は流入口１９よりも十分大としておく。又、
球体１８は弁座２１に当接して流入口１９を閉塞
して流路を閉じ、更にコイルバネ１７は球体１８
を弁座２１より離間せしめて流路を開く様常時弾
性力を発揮している。

以上の構成で動作を説明する。圧縮機１の運転
中は圧縮機１から凝縮器２に至る管内は約８Kg／
cm²Ｇ程の高圧状態となつているが、減圧器３を通
過する事によつて減圧され、流出側配管３ａ又は
流入側配管５ａ内は約0.2Kg／cm²Ｇ程となつてい
る。又、この時圧縮機１の吸入側１ａの圧力は０
Kg／cm²Ｇとなつている。この状態では第２図の如
くダイヤフラム１１は略水平状態で、又、球体１
８は弁座２１より離間して流路を開く様コイルバ
ネ１７の弾性力を予め決定しておく。

次に圧縮機１が停止すると同時に圧縮機１の吸
入側１ａより高温冷媒の漏出が始まる。これによ
つて吸入側１ａ圧力は上昇して行き、逆止弁７が
閉鎖され、又、圧力伝達管１０を通じて圧力伝達
室９内圧力も上昇して行き、約0.6Kg／cm²Ｇまで
上昇するとコイルバネ１７の弾性力により圧力伝
達室９内の圧力が勝つて弁体１５は押し下げら
れ、第３図の如く球体１８が弁座２１に密接され
て流路が閉ざされる。これによりキヤピラリチユ
ーブ３からの蒸発器５への高温冷媒の流入と圧縮
機１吸入側１ａからの蒸発器５への高温冷媒の流
入が阻止され、冷蔵庫に於いては庫内の温度上昇
が防止されると共に、圧縮機１の再起動時の負荷
が軽減される。又、電磁弁を使用するものに比し
て省費電力が削減される事になる。その後圧力伝
達室９内の圧力は約８Kg／cm²Ｇまで上昇する。

ここで流入口１９の内径は約２mmであり、ダイ
ヤフラム１１に比して非常に小さく、又、圧力も
キヤピラリチユーブ３にて減圧されて低くなつて
いるので、流入口１９からの圧力は弁体１５の動
作に対して殆ど影響しない事になる。従つて弁体
１５は専ら圧力伝達室９内の圧力と流出口２０か
らの圧力との差によつて動作せられる事になり、
流入口１９は圧縮機１の停止から吸入側１ａが約
0.6Kg／cm²という低圧力に上昇するまでの短い時
間で閉ざされる事となる。これによつて蒸発器５
にキヤピラリチユーブ３から流入る高温冷媒量は
非常に少なくなり蒸発器５の温度上昇は更に低く
抑えられる。

又、コイルバネ１７は常時弁体１５先端の球体
１８を弁座２１から引き離す方向に弾性力を発生
しており、圧力伝達管１０、配管２２及び２３を
開放した状態では圧力作動弁４は常に開状態であ
る。従つて例えば冷蔵庫周囲が極低温の状況下に
於いて、圧縮機１の吐出圧力が高くならない様な
悪条件に於いて常閉の圧力作動弁では流路が開か
なくなる危険性があるが、本発明の圧力作動弁４
では斯かる不都合は起こり得ない。

更に弁体１５の球体１８は流入口１９を閉じる
ものであるから、圧縮機１の停止後、圧力作動弁
４の閉状態は圧縮機１の吸入側１ａと流出口２０
の圧力差によつて保持される事になる。ここで流
出口２０側の圧力は逆止弁７によつて保持され約
0.3Kg／cm²Ｇ程の低圧状態となつているので、こ
の閉状態は周囲温度による影響を受けず、良好に
保持される事になる。

また本考案では蒸発器５、アキユムレータ６及
び圧力作動弁４は冷蔵庫本体２６に庫外に露出し
ないように設けられ、圧力作動弁４は冷蔵庫本体
２６の内箱と外箱との間の断熱材中若しくは本体
２６の庫内側で断熱材にて被われて設けられてい
る。そして第３図及び第４図の如く逆止弁７は蒸
発器５と圧縮機１の間の冷媒帰還路２４の圧縮機
１に近い部分であつて冷蔵庫本体２６の庫外に露
出して本体２６の下部に設けた機械室２７に圧縮
機１と共に配設されており、また冷媒帰還路２４
に圧力伝達管１０は冷媒帰還路２４に取りつけた
断熱材２８にバンド２９で支持せしめ冷蔵庫本体
２６の底面２６Ａの一個所に設けた孔３０から両
者はキヤピラリチユーブ３と共に寄め集められた
状態で機械室２７に露出し、圧力伝達管１０は逆
止弁７と圧縮機１の間の冷媒帰還路２４にコネク
タ３１の部分で連通している。断熱材２８はキヤ
ピラリチユーブ３を冷媒帰還路２４に沿わせる支
持部材として作用する。３２は孔３０の部分での
本体２６の断熱材漏出防止用シール材である。

(ヘ) 考案の効果 本考案によればロータリー圧縮機を用いた冷却
装置に於いて圧縮機の停止時に吸入側或いはキヤ
ピラリチユーブより蒸発器に流入する高温冷媒を
阻止するから蒸発器は加熱されず、被冷却空間の
温度上昇を防止出来る。又、流路の開閉には圧力
作動弁を用いたから消費電力を必要とせず省エネ
ルギに寄与する。更に圧力作動弁はキヤピラリチ
ユーブ下流の比較的低圧の流路中に接続した事に
より、圧縮機停止から流路を閉じるまでの時間が
非常に短く、従つて蒸発器への高温冷媒の流入量
を更に低く抑える事ができる。また圧力作動弁へ
の圧力伝達管は逆止弁が圧縮機に近い部分の冷媒
帰還路に設けられていることにより、圧縮機から
冷媒帰還路へ伝達される圧力上昇は迅速に圧力作
動弁へ伝達でき、蒸発器の温度上昇の抑制動作上
極めて良好な動作となる。更にまたこれらの動作
を維持するための配管の組立ても圧力伝達管と冷
媒帰還路とは冷蔵庫本体の底面の一個所から庫外
に露出する構成であるために冷蔵庫本体への組込
み構造も簡単になるものである。

【図面の簡単な説明】

各図は本考案の実施例を示し、第１図は冷凍シ
ステムの配管図、第２図は圧力作動弁の断面図、
第３図は冷媒回路の一部斜視図、第４図は冷蔵庫
本体の背面斜視図である。 １……ロータリ圧縮機、２……凝縮器、３……
キヤピラリチユーブ、４……圧力作動弁、５……
蒸発器、７……逆止弁、１０……圧力伝達管、２
４……冷媒帰還路、２６……冷蔵庫本体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロータリ圧縮機を出た冷媒が凝縮器、減圧器と
   してのキヤピラリチユーブ及び蒸発器を経て前記
   ロータリ圧縮機へ帰還する循環を行なう冷凍シス
   テムを組込んだ冷蔵庫において、前記蒸発器と前
   記ロータリ圧縮機の間の冷媒帰還路の前記ロータ
   リ圧縮機に近い部分であつて前記冷蔵庫本体の庫
   外に露出して設けた逆止弁と、前記キヤピラリチ
   ユーブと前記蒸発器の間の冷媒路に設けられ前記
   逆止弁と前記ロータリ圧縮機間の冷媒路の圧力を
   伝達する圧力伝達管を有しこの圧力伝達管内の圧
   力上昇によつて前記キヤピラリチユーブと前記蒸
   発器間の冷媒路を閉じる圧力作動弁とを設け、前
   記圧力作動弁は前記冷蔵庫本体に断熱材で被われ
   て配設され、前記蒸発器から前記逆止弁に至る冷
   媒帰還路と前記圧力伝達管は寄せ集められた状態
   で前記冷蔵庫本体の底面の一個所から前記冷蔵庫
   本体の庫外に延出してなる冷蔵庫。