JPH0126790Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は不織布に係り、特に一側をニツト調
編成を行い他側を短繊維層状物とした自動車用内
装材および衣料用のニツト調不織布に関する。

＜従来の技術＞ 一般に、不織布は短繊維を展綿積層し繊維相互
間を種々の結合手段により結合したシート状の繊
維集合体であり、かさ高性を発揮させようとする
と、表面の仕上り感が粗くなり、一般に耐摩耗性
が低くなるという欠点があつた。更に、ストレツ
チ性とかドレープ性にとぼしいことは周知の事実
であつた。

一方、ニツト地は糸状物を編成してなる集合体
であり、ストレツチ性に富み、表面の仕上がりを
緻密にでき意匠効果が優れている反面、厚み方向
のクツシヨン性にとぼしく生産性が低いという問
題があつた。

そのため、従来、クツシヨン性に富み、表面の
耐摩耗性を増して、且つ仕上がり感を補うように
したステツチボンド不織布が提案されている。

このステツチボンド不織布は、ウエブを縫合糸
で鎖縫いを行つたもので、この縫合糸が一種の結
合剤としてのはたらきをするとともに、不織布表
面に畝状の模様を形成して意匠効果を上げるよう
にしていた（このようなステツチボンド不織布の
例としては。例えば実公昭50−14339号公報があ
げられる）。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、このようなステツチボンド不織
布においては、表面の縫合糸の間からウエブの短
繊維が脱落し易く、脱落を防止させようとすると
縫合密度が密になるため、生産性が低くなり、且
つ、縫合のための縫合糸を用いるので高価になる
という問題があつた。

＜考案の目的＞ この考案は上記の点にかんがみなされたもの
で、積層ウエブの一側にニツト調編成を行つて、
その表面の仕上がりを緻密にするとともに、耐摩
耗性を増加し、他側に短繊維絡合層を形成してク
ツシヨン性に富むように構成されたニツト調不織
布を提供することを目的とする。

＜問題点を解決するための手段＞ この考案のニツト調不織布は、 ウエブの基部に短繊維絡合層を形成し、上記ウ
エブの表面部にステツチングニードルによるルー
プ形成を行うとともにそのループ先端部を上記短
繊維絡合層内に交絡させて該表面部の表面に添つ
て伏臥状に連続した鎖編み状部を形成してなるも
のであり、かかる構成により上記目的を達成する
ものである。

以下更に図面に示す実施例に基づいて本考案を
詳述する。

第１，２図はこの考案のニツト調不織布の概要
を示すものであり、第３図、第４図はその構成を
示すものである。図においてウエブ１は一方の側
（表面部）の鎖編み状部２と他方の側（基部）の
短繊維絡合層３とから構成されている。ウエブ１
の構成繊維としては、天然繊維または合成繊維の
あらゆる短繊維原料が使用可能であり、この繊維
は繊度1.5d〜30d、カツト長38mm〜128mm、目付量
80ｇ／m²〜300ｇ／m²で所望厚さに展綿積層され
ている。

鎖編み状部２は、ステツチングニードルにより
所定のステツチ長が与えられて、チエーンステツ
チ状に形成される。すなわち、ステツチングニー
ドルにより引出されたループ状の短繊維は、短繊
維絡合層３を基部としてチエーンステツチの連続
する方向へ先窄り状のハ字状に結集され、その先
端部はニードリング点５において短繊維絡合層３
内に交絡されている。そして、ウエブの表面部に
添つてハ字状に伏臥して列状に連続した鎖編み状
部２が形成されている。

この鎖編み状部２と短繊維絡合層３の形成は、
ウエブ１にステツチングニードル６の往復運動に
よるニードリングによつて行われる。

この形成過程を第５図Ａ〜Ｃによつて説明す
る。ステツチングニードル６は、先端部に短繊維
を係合させるバーブ７を有するとともに、ステツ
チングニードル６に随伴して前進後退を行い、更
に単独に前後に移動してバーブ７部を開閉するク
ロージングワイヤ８を備えている。

先ず、ウエブ１にステツチングニードル６が進
入し、バーブ７がウエブ１を貫通して図の上面側
に到達する。このとき、クロージングワイヤ８は
後退位置にある（第５図Ａ参照）。

続いて、ステツチングニードル６が後退を始め
ると、バーブ７が短繊維を係合しながらウエブ１
内に投入するとともに、クロージングワイヤ８が
前進してバーブ７部を閉鎖し、係合された短繊維
の引込みを確実なものとして、ステツチングニー
ドル６、クロージングワイヤ８が後退を続ける
（第５図Ｂ参照）。

ステツチングニードル６が後退端に達すると、
ステツチングニードル６はウエブ１から抜け出す
とともに、クロージングワイヤ８が後退してバー
ブ７部を開放する（第５図Ｃ参照）。そして、バ
ーブ７に係合されてウエブ１内に引込まれた短繊
維、およびウエブ１外へ引出された一部短繊維
は、バーブ７によつてループ状に引出される。こ
のとき、同時に引込まれた短繊維は、ウエブ１内
部の短繊維と交絡するとともに、図の上面側には
ニードリング点５を谷とした、畝状の交絡された
短繊維絡合層３が形成される。

そして、ウエブ１がステツチ長だけ移動される
と、ステツチングニードル６は、そのバーブ７に
より引出したループ状短繊維を引掛けた状態で、
ステツチ長だけ相対的に移動する。この移動によ
りループ状短繊維は、次のニードリング点５へ向
かつて先窄り状のハ字形に伸張、結集され、次の
ステツチングニードル６の前進により、ループ状
短繊維の先端部は短繊維絡合層３内に没入し交絡
される。これにより１個の鎖編み状部２が形成さ
れ、上記が繰返されて、ウエブ１の移動方向に多
数の先窄り状のハ字形が連続した列状の鎖編み状
部２が形成される。

以上のように、ウエブ１の一側に短繊維がチエ
ーンステツチの方向へ結集されて、列状の鎖編み
状部２が形成され、他側にかさ高性を保持した短
繊維絡合層３が形成される。

＜考案の効果＞ 以上のような構成を有するニツト調不織布によ
れば、ウエブの一側（表面部）に添つて伏臥状に
連続したニツト調の鎖編み状部を形成したので、
表面が緻密で、且つ連続した鎖編み模様が形成さ
れ、原綿色相が組合わさつた場合の相乗効果によ
り優れた意匠効果が発揮できる。

また、鎖編み状部の繊維が結集され、且つルー
プ先端が短繊維絡合層内に交絡されているので、
表面の耐摩耗性が増大できる。

更に、ウエブの他側には短繊維絡合層が形成さ
れているのでクツシヨン性に富み、しかも、鎖編
み状部の有するすぐれたストレツチ性とニツト布
ライクなドレープ性が発揮できる。

しかも、このようなニツト調不織布が縫合糸な
どの付加物なしてウエブから直接不織布形成で
き、生産性および生産コストの面で優れるなど、
その奏する効果は極めて大である。

＜実施例＞ ポリエステル繊維の繊度10d、カツト長90mm、
目付量200ｇ／m²のカードウエブを厚さ約10mmに
展綿積層を行い、ステツチングニードルにより、
ステツチ長1.2mmでニードリング加工を行つて所
期の鎖編み状部を形成した。

このようにして形成されたニツト調不織布は、
表面が緻密で、意匠効果がよく、クツシヨン性に
富んでいた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例のニツト調不織布の
表側から見た斜視図、第２図は裏側から見た斜視
図、第３図は平面図、第４図は第３図のイ−イ線
断面図、第５図Ａ〜Ｃは鎖編み状部形成の説明図
である。 １……ニツト調不織布、２……鎖編み状部、３
……短繊維絡合層、５……ニードリング点。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ウエブの基部に短繊維絡合層を形成し、 前記ウエブの表面部にステツチングニードルに
   よるループ形成を行うとともにそのループ先端部
   を前記短繊維絡合層内に交絡させて該表面部の表
   面に添つて伏臥状に連続した鎖編み状部を形成し
   てなるニツト調不織布。