JPH0120518Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案はバーナ装置に係り、特にこのバーナ装
置を取り付けた燃焼装置を緊急停止する場合に、
バーナガンを中心とする部分の詰りを防止するの
に効果的な装置に関する。

〈従来の技術及びその問題点〉 化石燃料を主体とするボイラ等の燃料燃焼設備
はボイラの運用にとつて最も重要な設備の一つで
あり、とりわけ燃料を確実に供給・しや断できる
ことは安全上からも最重要な点である。流体燃料
での緊急しや断方法としては、しや断弁により母
管の燃料を停止する方法が広く知られている。

第１図は従来技術を示す。燃料タンク１からポ
ンプ２によつて供給される流体燃料は圧力調整弁
４により戻り配管５を経由してのタンクへの戻り
量を制御されながら流量調整弁６、緊急しや断弁
７を通り、さらに各バーナ毎に分割された供給配
管９を通つて、バーナ入口の燃料止弁１０を通過
してフレキシブルホース等の自在継手１２を介し
てバーナガン１３に供給される。バーナガン先端
のバーナアトマイザ２０での噴霧微粒化には、燃
料の圧力だけによることもあるが蒸気又は空気の
噴霧媒体１４をバーナ入口の止弁１５、自在継手
１７を介してバーナガンに供給し微粒化をはかる
ことが多い。緊急しや断弁７と燃料止弁１０、媒
体止弁１５にはそれぞれ遠隔操作可能な駆動装置
８，１１，１６がつけられ中央制御ユニツト２５
からの信号を電気結線２６及び電気一空気変換器
２７・空気配管２８を介して連絡動作されること
が多い。風箱１８内にはエアレジスタ１９が設置
され燃焼用空気が炉内に供給される。風箱１８に
はさらに引抜シリンダ２３が取りつけられロツド
２４によりバーナガン１３と連絡されている。

バーナの通常停止時には中央制御ユニツト２５
からの信号により、まずバーナ入口燃料止弁１０
と噴霧媒体止弁１５が閉となり、同時にバーナガ
ン内に残つた燃料をパージするために、蒸気ある
いは空気の噴霧媒体と通常同一のパージ用媒体２
２が弁３３を開とすることにより、燃料止弁１０
以降に入れられて自在継手１２内を含む残留流体
燃料が炉内にパージされる。その後、バーナアト
マイザ２０が炉内にある他バーナによる火炎輻射
熱を受けて焼損することを防止するため引抜シリ
ンダ２３によりバーナガン全体が焼損しない位置
まで引き抜かれて停止する。さらに全バーナが停
止した場合には、母管のしや断弁７を閉として燃
料の供給を完全に停止させる。

次に、何らかの原因でバーナの運転を一刻も早
く停止する緊急停止の場合には、制御ユニツト２
５から緊急しや断弁７及びバーナ入口止弁１０及
び１５に「閉」指令が同時に出されて燃料が緊急
停止される。この場合、炉内への燃料供給の停止
を優先させるためバーナガンのパージを行なわ
ず、又、ガンの引抜も行なわずそのままの位置と
して再起動がすぐできるように考えられているこ
とが多い。しかしながら、実際には、重油などの
液体燃料、COM（Coal and Oil Mixture）や
CWM（Coal and Water Mixture）などのスラ
リー燃料では、炉内の残留熱を受けてバーナアト
マイザ部内に残つた燃料が沸騰したり液体の蒸発
が起こつたりして、アトマイザ内に残留炭素・石
炭粒子等の固体粒子が付着閉塞し、再起動が困難
となるという問題がある。また、バーナ入口弁が
閉となつても弁以降の配管・バーナガンに残つた
燃料が停止後ノズルから洩れ落ちて炉内又はウイ
ンドボツクスに入り焼損等のトラブルを起こす危
惧がある。

〈問題点を解決するための手段〉 本考案は上述した問題点に鑑み構成したもので
あり、緊急停止時にもバーナガンを中心とした部
分についての閉塞が生じない装置である。

〈手段の概要〉 要するにこの考案は、固定筒と該固定筒内を軸
心方向に移動するバーナガンを有する流体燃料バ
ーナ装置において、該固定筒の一端にシール媒
体、冷却媒体の少なくとも一方を供給する管路を
設けるとともに、該固定筒の中間に開閉装置及び
前記シール流体につき該開閉装置の上流側に排出
管路を接続し、前記バーナガンにはその点火位置
にあるとき前記排出管路を閉止する閉止板を接続
して設け、前記バーナガンを点火位置から消火停
止位置に移動後、前記開閉装置を前記固定筒を閉
とする位置に変化させ、前記排出管路より前記シ
ール流体とパージ燃料を流体燃料バーナ装置外に
排出可能に構成した流体燃料バーナ装置であるこ
とを特徴とする。

〈実施例〉 以下本考案の一実施例につき説明する。

第２図において、流体燃料はタンク１からポン
プ２により流量調整弁６、しや断弁７を通つて供
給管９によりバーナガン１３に供給されアトマイ
ザ２０にて噴霧燃焼され火炎２１を形成する。バ
ーナ入口には燃料止弁１０および噴霧用媒体止弁
１５があり各バーナガン１３への燃料と媒体の供
給・停止ができる。次に中央制御ユニツト２５は
モータ３のスイツチユニツト２９、空気配管２８
を介して緊急しや断弁７を作動させる電気・空気
変換器２７、同様に空気配管２８を介して媒体止
弁１５を駆動する駆動装置１６と燃料止弁１５を
駆動する駆動装置１１とを作動させる別の電気・
空気変換器２７と各々接続している。バーナ部に
は、バーナガン１３と風箱１８との間に断熱材３
０が設置されさらにエアレジスタ１９の後面に開
閉機構３１（構造の詳細は後述する）が取り付け
てある。

第３図はさらにバーナ部の詳細を示す。バーナ
ガン１３は風箱１８内に、炉内に向けて設けられ
た固定筒３４の中に設置され、引抜シリンダ２３
によつてロツド２４を介して引抜きできる。固定
筒３４とバーナガン１３との間にはシール媒体３
５が、シール媒体供給弁３６を介して供給され
る。シール媒体としては通常空気が用いられる。
又、供給弁３６には冷却媒体３７も供給できるよ
う切替え構造となつている。冷却媒体としては熱
容量が大きい水が適している。バーナガン１３に
は固定筒３４との間を引抜時に移動できるように
突起またはボールベアリングが筒の周囲に適当数
設けられてガンが常に中心に位置できるようにな
つている。

第４図ないし第７図は開閉装置３１設置部の構
造の詳細を示す。

第４図（バーナガンが消火停止位置にあるとき
の部分図である。）及び第５図（バーナガンが点
火位置にあるときの部分図である。）に示す如く
開閉装置３１はエアレジスタ１９を形成した壁面
４０に対して取り付けてあり、シリンダ４１によ
りピン４２を中心として揺動し得るよう構成して
ある。第７図はこの開閉機構３１の構造を示し、
ピン４２を中心として揺動する本体４３と、本体
に接続するアーム４４と、エアシリンダ４１と接
続する接続部４４ａとから成り、本体の一部に対
しては固定筒３４の内径とほぼ等しい径を有する
挿通孔４３ａが形成してある。本体４３を揺動さ
せて挿通孔４３ａと固定筒４３とを連通状態とす
ることにより「開」となり、またこの挿通孔４３
ａと固定筒３４とを変位させることにより「閉」
とする。

次に固定筒３４に対してはパージ燃料（流体燃
焼装置内より消火時に燃料固化防止のためパージ
される燃料）等を外部に排出するための排出ホツ
パ３９が形成、開口している。このホツパ３９
は、バーナガン１３が運転位置まで前進している
場合にはバーナガン１３下部に取り付けた閉止板
４５により閉止され、固定筒内に供給される一次
空気がホツパ側に漏出するのを防止している（第
５図、第６図参照）。一方バーナガン１３を引き
戻すと、閉止板４５もこのバーナガンと共に移動
するのでホツパ３９は固定筒と連通状態となり、
最終的には開閉機構を「閉」とすることにより第
４図の如くパージ燃料等は全てホツパ側に流出す
るよう構成される。

次に上述した装置の作動につき主として緊急し
や断時を例として説明する。ボイラ等この燃焼装
置を取り付けた装置の運転に何らかの異常をきた
して燃料を直ちに停止しなければならない時、中
央制御ユニツト２５より停止のための操作指令が
電気結線２６を通つて伝達される。伝達信号の一
つは緊急しや断弁７の閉操作のため電気・空気変
換器２７を介して空気配管２８の空気信号に代え
られてしや断弁が操作され、同時にポンプ起動・
停止用のスイツチユニツト２９を介してポンプ用
モータ３の電源が切られてポンプ２が停止する。
従来技術では遮断弁のみ閉としているが、ポンプ
も同時停止することにより万一しや断弁が動作し
なかつた場合、或いはしや断してもリークがある
場合にもポンプ停止により確実に燃料の供給が停
止できるよう構成してある。もちろん再起動を直
ちに行なうことを考慮してポンプは停止しない回
路にすることも可能である。

緊急しや断時もう一つの操作信号として、制御
ユニツト２５から別の電気結線２６を通りバーナ
入口の燃料および噴霧媒体の止弁１０および１５
の閉操作が実施され各バーナへの燃料供給が停止
される。この時、同時にバーナ引抜シリンダ２３
にも引抜指令を発し、バーナガン１３を炉内噴射
状態から風箱内へ引抜動作させかつガン１３が所
定の位置まで後退したならシリンダ４１により開
閉機構３１を閉とする。

以上の作動によりホツパ３９と固定筒３４とは
連通され、バーナガン収納部と、火炉側空間とは
開閉機構により閉止される。バーナガンは、バー
ナ停止信号により燃料供給が停止するが上記動作
により炉内に残つた輻射熱を開閉装置３１によつ
て遮られるためノズル内に残つた燃料の加熱が防
止できる。さらに、バーナガンと風箱１８との間
を円環状に設置した断熱材３０により風箱１８内
の300℃程度に加熱された燃焼用空気とも熱伝達
を隔離してバーナガン内の燃料の加熱を防ぐ。さ
らにバーナガンの保有熱によるガン内の燃料の加
熱を防ぐため、ガン外周に冷却媒体を投入して積
極的に冷却することにより、バーナガン内の燃料
は蒸発固化することが防止できる。この具体的方
法として第３図に示すようにバーナガン周囲に
は、通常、炉内が正圧となるよう押込通風方式が
採用されている場合、固定筒３４との間にシール
媒体３５が媒体注入箱５４を通つて供給される。
これには空気を使用し炉内から高温ガスがこのガ
ンと固定筒との間を通つて炉外へ洩出するのを防
ぐ目的で設置されている。このシール空気の供給
に入口弁３６を水等の冷却容量の大きな媒体と切
替可能とし、バーナ引抜操作信号を同時にこの冷
却媒体への切替信号として入力し、ガンと固定筒
３４との間に冷却水が投入されるようにする。投
入された水はこの円環状の通路を通つて炉内側へ
流れガン先端部の開閉機構３１に沿つて固定筒下
側に設置されたホツパ３９から排出管５０を通り
炉及び風箱の外に設置されたピツト５１へ導かれ
る。この水の流れによつてバーナガンは冷却され
てガン内の燃料は蒸発が防止され、固体の付着・
閉塞が起こらなくなる。

以上の緊急しや断時の弁及び引抜動作を組み合
わせることにより、確実な燃料しや断が可能とな
り、かつCWMのようにスラリ中水分の蒸発によ
つて固体閉塞し易い燃料でも再起動まで固化防止
が可能となる。また、ガン内に残つた燃料がノズ
ル先端から洩れ落ちても冷却水によりホツパ３９
から風箱外へ排出されるので、風箱内の焼損の心
配もない。

なお、バーナガンを中心とした部分に残留した
燃料をパージすることももとより可能であり、こ
の場合にはパージ媒体２２により排出されたパー
ジ燃料は冷却媒体を同様にホツパ３９、管路５０
を介して外部に排出される。

〈効果〉 本考案を実施することにより装置の緊急停止時
も火炉側の熱や、風箱内の熱を効果的にしや断で
き、かつバーナガンを中心とした部分を積極的に
冷却できるので、内部で燃料が沸騰したり固化し
たりする虞れがない。

またバーナガン等に残留した燃料をパージする
場合にも、パージ燃料は全て外部に排出され、炉
内にはパージされないので、火炉内の残留燃料に
よる再起動時の異常燃焼や炉内爆発等の心配もな
く安全である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の燃焼装置の系統図、第２図は本
考案の実施例を示す燃焼装置の系統図、第３図は
第２図のバーナガン配置部を中心とした詳細図、
第４図及び第５図は開閉装置取付部を中心とした
固定筒の断面図、第６図は第５図のＡ−Ａ線によ
る断面図、第７図は開閉機構の斜視図である。 １３……バーナガン、１８……風箱、３０……
断熱材、３１……開閉装置、３５……シール媒
体、３７……冷却媒体、４５……閉止板、５０…
…排出管。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 固定筒と該固定筒内を軸心方向に移動するバ
   ーナガンを有する流体燃料バーナ装置におい
   て、該固定筒の一端にシール媒体、冷却媒体の
   少なくとも一方を供給する管路を設けるととも
   に、該固定筒の中間に開閉装置及び前記シール
   流体につき該開閉装置の上流側に排出管路を接
   続し、前記バーナガンにはその点火位置にある
   とき前記排出管路を閉止する閉止板を接続して
   設け、前記バーナガンを点火位置から消火停止
   位置に移動後、前記開閉装置を前記固定筒を閉
   とする位置に変位させ、前記排出管路より前記
   シール流体とパージ燃料を流体燃料バーナ装置
   外に排出可能に構成したことを特徴とする流体
   燃料バーナ装置。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の流体燃
   料バーナ装置において、固定筒のうち、風箱内
   に位置する部分の外周壁に対して断熱材層を形
   成したことを特徴とする流体燃料バーナ装置。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項または第２項
   記載の流体燃料バーナ装置において、前記開閉
   装置を、固定筒内径とほぼ等しい径を有する挿
   通孔を一部に形成した本体と、ピンを中心とし
   て本体を揺動させるシリンダとから構成し、前
   記本体を揺動させて挿通孔と固定筒とを一致ま
   たはその一致位置から変位させることにより前
   記固定筒内通路を開閉するようにエアレジスタ
   ーの壁面に前記ピンの一端を接続したことを特
   徴とする流体燃料バーナ装置。