JP2004143935A - オイル粒子捕集装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】圧力損失の増大を抑制して、効率良くオイル粒子を捕集することができるオイル粒子捕集装置を提供する。
【解決手段】オイル粒子捕集装置1は、ガス流入口6,7と、ガス排出口9と、オイル排出口11,12とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体3と、空間形成体3のガス流入口6,7とガス排出口9との間の空間を部分的に遮断する仕切り部20〜22,24,25とを備えている。仕切り部21,22は、内径2mm以上3mm以下の複数の貫通孔29が、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列されている捕集部27を備えている。このオイル粒子捕集装置では、貫通孔を備えない仕切り部では捕集されにくい比較的小さいオイル粒子を良好に脱落させて捕集でき、かつ仕切り部における開口面積の割合を所定以上に確保して、圧力損失の増大を軽減できる。
【選択図】図1
【解決手段】オイル粒子捕集装置1は、ガス流入口6,7と、ガス排出口9と、オイル排出口11,12とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体3と、空間形成体3のガス流入口6,7とガス排出口9との間の空間を部分的に遮断する仕切り部20〜22,24,25とを備えている。仕切り部21,22は、内径2mm以上3mm以下の複数の貫通孔29が、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列されている捕集部27を備えている。このオイル粒子捕集装置では、貫通孔を備えない仕切り部では捕集されにくい比較的小さいオイル粒子を良好に脱落させて捕集でき、かつ仕切り部における開口面積の割合を所定以上に確保して、圧力損失の増大を軽減できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、気流中のオイル粒子を捕集する装置に関し、特に車両のエンジン部分から排出されるブローバイガスに含まれるオイル粒子の捕集に好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のピストンを用いたエンジンでは、シリンダとピストンとの隙間から漏れる未燃焼の燃料ガスを含み、エンジンオイルが粒子化されたオイル粒子が混入されたブローバイガスが発生する。ブローバイガス中のオイル粒子は分離回収されてエンジンオイルの循環系へ戻され、ガスはエンジンの吸気系へ戻されているのが一般的である。
オイルミスト粒子の分離回収のための装置として、迷路型のオイルセパレータを用いることがある。迷路型のオイルセパレータは、例えば、図12に示すように、屈曲部を有するガス通路62を備えており、屈曲部を形成する仕切板60などにガス中のオイルミスト粒子を慣性力によって衝突させ、付着させることでオイルを回収している。このようなオイルセパレータでは、比較的大きいオイルミスト粒子は、仕切板60や内壁に衝突してガスから除去されるが、より小さいオイルミスト粒子は、衝突せず、ガスから除去しにくい。このため、仕切板60に適当な貫通孔64を設け、この貫通孔64の周りに発生する急激な気流の変化を利用して、小さいオイルミスト粒子を気流から脱落させる形態のものがある。
なお、本発明者らは、これらの技術を文献によらず、市販の製品等から取得している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この貫通孔64は、内径が小さいほどより小さいオイルミスト粒子まで捕集することができるが、貫通孔64の内径が小さいと圧力損失が増大してしまう。また、貫通孔64の内径が小さいと、捕集されたオイルが溜まって目詰まりするおそれがある。
【0004】
そこで、本発明では、圧力損失の増大を抑制して、効率良くオイル粒子を捕集することができるオイル粒子捕集装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、貫通孔を備えない仕切板では捕集できず、かつブローバイガス中に比較的多く存在するオイル粒子の重量に着目し、このオイル粒子の捕集と、圧力損失とを考慮して、以下の発明を完成させるにいたった。すなわち、本発明は、オイル粒子捕集装置において、ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部とを備え、前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、内径2mm以上3mm以下の複数の貫通孔が、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列されている捕集部を備える構成とすることである。
このオイル粒子捕集装置では、捕集部に従来と同様にガス流を当てると、内径2mm以上3mm以下の貫通孔およびその開口端周辺で、貫通孔を備えない仕切り部では捕集されにくい比較的小さいオイル粒子が脱落する程度のガス流の方向変化、すなわちガス流の乱れを発生させることができる。また、貫通孔どうしの中心間距離が3mm以上6mm以下であると、オイル粒子の衝突部分が確保され、かつ気流の乱れが良好に発生させられるとともに、仕切り部における開口面積の割合を所定以上に確保することができ、圧力損失の増大が軽減されている。したがって、このオイル粒子捕集装置は、オイル捕集率が向上されており、かつ圧力損失の増大が軽減されている。
【0006】
また、本発明者らは、ガス流に急激な方向変化を付与することでオイル粒子をガス流から脱落させることができることに着目し、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は、ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部とを備え、前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、開口端がガス流入口側に突出して形成された複数の貫通孔を有する捕集部を備える、オイル粒子捕集装置を提供する。
この装置では、貫通孔の開口端に対して凹状の捕集部の部位に向かった気流は、開口端の突出方向まで逆戻りしてから貫通孔を通して空間形成体のガス排出口に向かって移動する。この気流方向の変化の激しい部位で、オイル粒子は気流から振り落とされて捕集部に付着する。この構成では、より小さいオイル粒子を良好に捕集することができる。
また、上記所定の内径および中心間距離を有する貫通孔を備える捕集部において、貫通孔の開口端は、ガス流入口側に突出している構成とすることによっても、この効果を得ることができ、オイル粒子をより効率よく捕集できる装置となる。
【0007】
また、上記貫通孔の開口端が突出しているオイル粒子捕集装置において、前記複数の貫通孔の開口端の突出部分は、互いに離間して形成されていると、捕集部に付着したオイルが開口端以外の部分を通って流れ落ちるため、良好にオイルを回収することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2に本発明の第1の実施形態に係わるオイル粒子捕集装置1を断面で示す。図1のオイル粒子捕集装置1は、車両のクランクケースに漏出するブローバイガスをエンジンの吸気系に移送するための流通路に設けられており、クランクケースに一体化されている。
【0009】
オイル粒子捕集装置1は、空間形成体3を備えており、空間形成体3の内部に複数の仕切り部20〜22,24,25を有している。
空間形成体3は、ガスを所定の方向に向かって流通可能な空間部分である。空間形成体3は、種々の部材で、種々の形状の内部空間を備える形状に形成することができる。典型的には、ガスの流通方向に長い空間を備える形状とされる。
【0010】
本実施形態の空間形成体3は、シリンダヘッドカバーに形成された矩形状で長手方向の一面が開口された凹状部4と、この凹状部4の開口を塞ぐように取り付けられるバッフルプレート5とによって形成されている。この空間形成体3の内部空間は、一端から他端(図1では右から左)に向かって断面形状が大きくなる略長方形状に形成されている。
【0011】
空間形成体3は、少なくとも1つのガス流入口とガス排出口とを備えている。本実施形態では、空間形成体3の長手方向の両端下部にそれぞれガス流入口6,7が設けられている。また、空間形成体3の中央部分の一壁面に1つのガス排出口9が形成されている。
【0012】
空間形成体3は、空間形成体3内でガスから回収されたオイルを排出するオイル排出口11,12を備えている。オイル排出口11,12は、オイル粒子捕集装置1の取り付け状態において底面3aとなる部位に配置され、底面3aに集められるオイルが流入されるように形成されている。本実施形態では、オイル排出口11,12は、各ガス流入口6,7の近傍に1つずつ設けられている。
【0013】
仕切り部20〜22,24,25は、空間形成体3内のガス流が形成される空間を連通状態を維持して部分的に遮断する部材で、ガス流に流れ方向を変える負荷を与える部分である。本実施形態では、ガス流入口6,7とガス排出口9との間に、それぞれ5つの仕切り部20〜22,24,25が設けられている。
【0014】
仕切り部は、種々の形状に形成することができる。板状に形成されていると、省スペースや、後述する貫通孔29の形成が容易となり、好ましい。仕切り部は、金属、樹脂などオイルやガスによって劣化等しにくい種々の部材で形成される。また、例えば、バッフルプレート5などの空間形成体3の壁面を構成する部材に一体成形されても良い。
【0015】
図1に示すオイル粒子捕集装置1では、仕切り部20〜22は、平板状で、上端がガス流入口6,7側に約45°だけ傾斜する先端部に形成されている。仕切り部20〜22は、空間形成体3の底面3aからほぼ垂直に延び、各ガス流入口6,7とガス排出口9との間に配置されている。
また、仕切り部24,25は、平板状に形成されている。仕切り部24,25は、空間形成体3の上面3bから仕切り部20〜22に対して平行に延び、それぞれ仕切り部20と21、仕切り部21と22の間に配置されている。
【0016】
仕切り部は、捕集部を備える。捕集部は、すべての仕切り部に設けられても良いが、好ましくは、ガス流入口に最近接する仕切り部20以外の仕切り部に設けられる。また、空間形成体3内のガス流が屈曲して進行する構成とするため、すべての仕切り部には捕集部を設けず、配列された仕切り部の1枚おきなど間隔をあけて設けられることが好ましい。本実施形態では、空間形成体3の底面3aから延び、ガス排出口9に近い各2つの仕切り部21,22が捕集部27を備えている。
【0017】
捕集部27は、複数の貫通孔を備え、ガス流が衝突可能、かつガス流が貫通孔を挿通可能な部分である。捕集部27に形成される貫通孔29は、内径2mm以上3mm以下で、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列される。捕集部27は、貫通孔を有しない仕切り部では除去しにくい比較的小さいオイル粒子を捕集することができる。また、捕集部27のガス流入口6,7側の面における貫通孔29の総面積割合が40%付近とより大きくなっているため、捕集部27を通り抜けることによるガス流の圧力損失の増大が低減されている。具体的には、この捕集部27では、径が2μm以上のオイル粒子を良好に捕集できる。
【0018】
図2に、より好ましい一実施形態である捕集部27の平面図を示す。捕集部27は、内径が3mmの貫通孔29を備えており、各貫通孔29どうしは中心間距離4.2mmとなるように配列されている。内径3mmの貫通孔が中心間距離4.2mm±1mmの間隔で配列された捕集部27は、車両用のエンジン部分から漏出するエンジンオイルの粒子を含むガスからオイル粒子を捕集するのに特に好ましい。具体的には、径が2μm程度のオイル粒子を良好に付着させることができる。
【0019】
また、捕集部27の厚みは、1mm以上8mm以下が好ましい。8mmを超えると圧力損失が増大するおそれがある。1mm以下では、捕集部27に好ましい強度を付与できないおそれがある。本実施形態では、捕集部27の厚みは3mmである。
【0020】
このオイル粒子捕集装置1は、ガス流入口6,7がクランクケースに開放されており、ガス排出口9は、エンジンの吸気系に連通されて設置される。これにより、空間形成体3内には、常にガス流入口6,7からガス排出口9の外側に向かう圧力が働く。ガスは、ガス流入口6,7から空間形成体3内に導入されてガス流となり、各仕切り部20,24,25を乗り越えたり通り抜けたりしてガス排出口9に向かう。また、オイル排出口11,12は、車両ではエンジンオイルの循環系に連通される。
【0021】
ガス流は、まずガス流入口6,7に最も近い仕切り部20に衝突して、仕切り部20に沿う方向に屈曲される。より大きいオイル粒子(例えば、径5μm以上の粒子)は、慣性力によって仕切り部20に衝突して付着したり、方向変化に追従できずに振り落とされたりしてガス流から除去される。また、仕切り部20の先端部では、流通路が狭くなることによって、ガスの流速が早くなる。このとき、仕切り部20〜22に沿って移動するガス流中のオイル粒子は、先端部に衝突して引っかかりやすくなっており、ガス流から除去される。仕切り部20を乗り越えたガスは上面3bから延びる仕切り部24にも衝突して、同様にその流れが屈曲され、同様の仕組みによってオイル粒子がガスから除去される。なお、仕切り部25においても同様である。
【0022】
仕切り部21,22に衝突したガス流の多くは、貫通孔29を通ってガス排出口9側に移動する。このとき、ガス流は、貫通孔29側に向かう力を受けるため、オイル粒子は、捕集部27、特に貫通孔29の開口周りに接触しやすく、付着しやすい。貫通孔29の大きさは2mm以上3mm以下と小さいため、ガス流の方向変化によるオイル粒子の慣性力が大きく、オイル粒子の捕集が良好に行われる。また、この貫通孔29間の中心間距離は3mm以上6mm以下であるため、捕集部27における総開口面積(貫通孔29の割合)が40%付近とより大きいため、ガス流にかかる抵抗による圧力損失の増大が抑制されている。
【0023】
また、捕集部27において、貫通孔29ではない部分に衝突したガス流は、仕切り部21,22の面に沿うように、あるいは、一度逆流してから貫通孔29を通っていく。このときのガス流の流れの乱れによってオイル粒子にかかる推進力が低下して自重によって落下したり、オイル粒子が乱流に巻き込まれて捕集部27に付着したりする。あるいは、オイル粒子どうしが衝突して結合し、より大きな粒子となって自重によって落下したりすることも考えられる。
なお、仕切り部21、22に衝突したガス流の一部は仕切り部21に沿って上方へ向きを変えて仕切り部21の上端を乗り越えていくこともある。
【0024】
ガス流に追従できなくなったオイル粒子は、仕切り部20〜22,24,25や空間形成体3の各壁面(底面3aを含む)に付着し、空間形成体3の底面3aまで移動され、オイル排出口11,12から空間形成体3の外に排出される。
【0025】
このオイル粒子捕集装置1では、捕集部27は、所定の開口面積の割合が確保された状態で、貫通孔29を備えない仕切り部よりもより大きなガス流への負荷をかけることができる。このため、圧力損失の増加を低減して、ガス流中のより小さいオイル粒子を捕集することができる。したがって、この装置は、オイルの捕集率が高く、かつオイル分の残留率の少ないガスを提供することができる。
【0026】
また、図3,4に第2の実施形態に係わるオイル粒子捕集装置を示す。オイル粒子捕集装置31は、仕切り部21,22に代えて仕切り部33,34を設けた他は第1の実施形態と同様の構成であるため、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
仕切り部33,34は、平板状で、全体に均等に貫通孔38が設けられて捕集部36に形成されている。仕切り部33,34は、空間形成体3の底面3aから延びており、ガス排出口9寄りに配置されている。
【0027】
捕集部36は、図3,4に示すように、複数の貫通孔38を有し、貫通孔38の開口端は、ガス流入口側に突出する突出部40に形成されている。
貫通孔38は、種々の形状、種々の配置で形成されていれば良い。例えば、円形に限定されず、図5に示す貫通孔51のように矩形状に形成されても良い。また、円形の貫通孔の場合、第1の実施形態と同様、内径2mm以上3mm以下に形成され、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配置されていることが好ましい。
【0028】
突出部40は、貫通孔38の開口端周りにガス流入口側、すなわちガス流に対向する側に突出して形成される部分で、捕集部36周辺でガス流を乱したり、オイル粒子を引っ掛けたりする部分である。例えば、突出部40に対して凹状に形成された部分に衝突したガス流は、突出部40を乗り越えるように逆戻りする。また、貫通孔38に向かう捕集部36の面に沿う方向のガス流が発生する。これらの組合わせおよびこれらに起因する他のガス流が発生して、捕集部36のガス流入口6,7側には複雑なガス流が形成されるようになっている。突出部40の捕集部36の平面部分からの突出量は、貫通孔38の内径より小さい範囲であると、ガス中に含まれる多量のオイル粒子を捕集できる程度の乱れが良好に発生させることができ、好ましい。また、具体的には、所定のガス流の乱れを発生させるためには、突出部40の突出量は1mm以上であることが好ましい。ブローバイガス用のオイル粒子捕集装置では、突出部40の突出量が1mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0029】
突出部の形状は、特に限定されないが、典型的には貫通孔38の開口形状にほぼ等しい形状とされる。例えば、図4に示すように円形の貫通孔38と同心状の円環状(円筒状)の突出部40に形成しても良いし、図5に示すように矩形の貫通孔51と同一中心を備える矩形枠状の突出部52に形成しても良い。図6は、貫通孔54の形状と突出部55の形状とが異なる例であり、円形の貫通孔54に矩形状の突出部55が形成されている。この突出部55は、水平方向の突出していない部分との間でガス流を乱すことができる。本発明は、図6のように、仕切り部を曲げ成形して、ガス流入口側に突出して設けられる部分に貫通孔54を形成することによっても、貫通孔の開口端をガス流入口側に突出して形成することができる。
【0030】
突出部は、図4,5に示すように貫通孔の端縁の延長上に角部を備える形状であると、角部でオイル粒子を付着させやすく、好ましい。より好ましくは、捕集部36側にも角部を備える形状とされる。角部は、好ましくは約90°とされるが、鋭角や鈍角であっても良い。
【0031】
突出部40は、各貫通孔38ごとに独立して、すなわち突出部40どうしが互いに離間して形成されていることが好ましい。この形態であると、貫通孔38の全周において、上述したような逆流を含むガス流の乱れを起こすことができる。また、捕集部36に付着したオイル粒子は、突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで流れ落ちることができる。
【0032】
また、オイルの回収の観点では、捕集部36の突出部40以外の部分が上部から空間形成体3の底面3aまで連通して形成されていることが好ましい。例えば、図7に示すように、水平方向には、各突出部57は、離間して形成され、垂直方向には互いに連結されている捕集部とすることができる。この形態では、捕集部36に付着したオイル粒子は、捕集部36の突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで良好に移動でき、突出部57以外の部分がオイル流通路になる。
【0033】
図3,4に示す捕集部36は、内径4mmの貫通孔38が、互いの中心間距離が8.4mmとなるように配列されて形成されている。また、貫通孔38の突出部40は、半径方向に1mmの幅を有し、捕集部36の平面から1mm突出するリング状に形成されており、各貫通孔38の突出部40は、互いに離間して形成されている。
【0034】
このオイル粒子捕集装置31では、オイル粒子は、捕集部36に衝突して付着したり、ガス流の急激な方向変化に追従できなくなり、捕集部36や空間形成体3の底面3aに付着する。ガス流の急激な方向変化が起こるため、より小さなオイル粒子もガス流から脱落させることができる。
また、捕集部36、特に捕集部36の突出していない部分や突出部40の下部に付着したオイル粒子は、重力によって流れ落ちるときに、捕集部36の突出部40より突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで移動し、オイル排出口11,12から排出される。この形態では、捕集部36に付着したオイルが良好に落下し、オイルの捕集部36での残留時間が短縮される。このため、捕集部36に付着したオイルが貫通孔38の孔内に溜まり、貫通孔38を通るガス流によって再度ガス中に分散されることが良好に抑制されている。
したがって、この捕集部36を備えるオイル粒子捕集装置31では、ガス中への再混入を抑制して、オイル粒子を効率よく回収でき、かつ圧力損失の増大が抑制されている。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
捕集部が設けられる仕切り部の位置は、空間形成体の底面から延びるものに限定されず空間形成体の上面から延びるものであっても良い。また、ガス流入口の近傍に設けられる仕切り部に設けられていても良い。また、仕切り部は、空間形成体の上面又は底面に限定されず側面から延びていても良い。また、仕切り部の空間形成体からの突出角度は垂直に限定されず、ガス流入口側に対して鋭角または鈍角を成すように延びていても良いし、仕切り部自体が曲面状に形成されていても良い。また、仕切り部は板状に限定されず、厚みが異なる部位を備える種々の形状であっても良い。
空間形成体は、種々の形状に形成することができ、また、ガス流入口、ガス排出口の位置、数なども種々の組合わせが可能である。
【0036】
【実施例】
実施例1:仕切り部に設ける貫通孔の大きさおよび配置
板厚3mmの板状部材に、ガス流入方向に対向する総面積に対する貫通孔の総開口面積の割合をほぼ一定にして、図8に示すように、貫通孔の内径および貫通孔どうしの中心間距離を変えて試料1〜9を作成した。各試料1〜9について、同一条件でガス流を通し、オイルの捕集効率と圧力損失とを測定した。
ガス流は、オイル粒子を約0.8g/hで含有させた空気を使用し、流速約6m/sで仕切り部の板面に垂直に衝突させた。
なお、仕切り部の板厚は、3mmとした。
これらの試料1〜9についてオイルの捕集効率と圧力損失とを測定した結果を図8および図10に示す。
【0037】
この結果によれば、孔の中心間距離が同一である試料3と試料8、および試料6と7とを比較することにより、孔の中心間距離が同じ場合、貫通孔の内径が小さいほどオイル粒子を良好に捕集できることがわかった。一方、圧力損失は、孔の中心間距離が孔の内径の2倍以下である試料6,8,9において小さく、特に孔の中心間距離が孔の内径の2倍未満の試料7〜9において、特に約40Paと小さかった。これらのことから、内径2〜3mm、孔の中心間距離4.2mm±1mmとなるように貫通孔が設けられた仕切り部(試料1,3,6,8,9)は、圧力損失の増大が抑制された状態で、オイル捕集率が良好となっていることが明らかとなった。また、内径2〜3mmで孔の中心間距離が内径の2倍以下となるように貫通孔が設けられた仕切り部(試料6,8,9)において、圧力損失の増大を良好に抑制して、オイル捕集率を良好に保つことができることが明らかとなった。
【0038】
実施例2:突出部を備える捕集部
板厚3mmの板状部材に内径4mmの貫通孔を孔の中心間距離が8.4mmとなるように等間隔で形成し、貫通孔の開口端に沿って、一方向に厚さ1mmで突出する幅1mmの円環状の突出部を設けて、試料10とした。試料10について、実施例1と同様のガス流を通して、オイルの捕集効率と圧力損失とを測定した。
また、同様の貫通孔を備え、突出部を有しない比較試料を作成し、同様の測定を行った。
これらの結果を図11に示す。
【0039】
この結果から、突出部を備える試料10と比較試料とでは、圧力損失はほとんど変わらないにもかかわらず、試料10では、オイル捕集率が約13%向上している。このことから、貫通孔の開口端縁にガス流入方向に突出する突出部を設けることにより、圧力損失の増大を低減して、より多くのオイルを捕集できることが明らかとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明では、圧力損失を抑制して、効率良くオイル粒子を捕集することができるオイル粒子捕集装置を提供することにより、ブローバイガスの圧力の増大によるエンジンの効率の低下を軽減して、オイル粒子を効率よく回収してオイル粒子の捕集量が向上されたブローバイガス用のオイル粒子捕集装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるオイル粒子捕集装置を示す模式的な断面図である。
【図2】図1のオイル粒子捕集装置に設けられている捕集部の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態であるオイル粒子捕集装置を示す模式的な断面図である。
【図4】図3のオイル粒子捕集装置に設けられている捕集部の斜視図である。
【図5】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図6】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図7】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図8】実施例1の各試料における孔の内径と孔の中心間距離を示す表である。
【図9】実施例1の各試料のオイル捕集率と圧力損失とを示す表である。
【図10】実施例1の測定結果を示すグラフである。
【図11】実施例2のオイル捕集率と圧力損失とを示す表である。
【図12】従来のオイル粒子捕集装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,31 オイル粒子捕集装置
3 空間形成体
4 凹状部
5 バッフルプレート
3a 底面
3b 上面
6,7 ガス流入口
9 ガス排出口
11,12 オイル排出口
20,21,22,24,25,33,34 仕切り部
27,36 捕集部
29,38,51,54,56,64 貫通孔
40,52,55,57 突出部
60 仕切板
62 ガス通路
【発明の属する技術分野】
この発明は、気流中のオイル粒子を捕集する装置に関し、特に車両のエンジン部分から排出されるブローバイガスに含まれるオイル粒子の捕集に好適な装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のピストンを用いたエンジンでは、シリンダとピストンとの隙間から漏れる未燃焼の燃料ガスを含み、エンジンオイルが粒子化されたオイル粒子が混入されたブローバイガスが発生する。ブローバイガス中のオイル粒子は分離回収されてエンジンオイルの循環系へ戻され、ガスはエンジンの吸気系へ戻されているのが一般的である。
オイルミスト粒子の分離回収のための装置として、迷路型のオイルセパレータを用いることがある。迷路型のオイルセパレータは、例えば、図12に示すように、屈曲部を有するガス通路62を備えており、屈曲部を形成する仕切板60などにガス中のオイルミスト粒子を慣性力によって衝突させ、付着させることでオイルを回収している。このようなオイルセパレータでは、比較的大きいオイルミスト粒子は、仕切板60や内壁に衝突してガスから除去されるが、より小さいオイルミスト粒子は、衝突せず、ガスから除去しにくい。このため、仕切板60に適当な貫通孔64を設け、この貫通孔64の周りに発生する急激な気流の変化を利用して、小さいオイルミスト粒子を気流から脱落させる形態のものがある。
なお、本発明者らは、これらの技術を文献によらず、市販の製品等から取得している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この貫通孔64は、内径が小さいほどより小さいオイルミスト粒子まで捕集することができるが、貫通孔64の内径が小さいと圧力損失が増大してしまう。また、貫通孔64の内径が小さいと、捕集されたオイルが溜まって目詰まりするおそれがある。
【0004】
そこで、本発明では、圧力損失の増大を抑制して、効率良くオイル粒子を捕集することができるオイル粒子捕集装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明者らは、貫通孔を備えない仕切板では捕集できず、かつブローバイガス中に比較的多く存在するオイル粒子の重量に着目し、このオイル粒子の捕集と、圧力損失とを考慮して、以下の発明を完成させるにいたった。すなわち、本発明は、オイル粒子捕集装置において、ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部とを備え、前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、内径2mm以上3mm以下の複数の貫通孔が、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列されている捕集部を備える構成とすることである。
このオイル粒子捕集装置では、捕集部に従来と同様にガス流を当てると、内径2mm以上3mm以下の貫通孔およびその開口端周辺で、貫通孔を備えない仕切り部では捕集されにくい比較的小さいオイル粒子が脱落する程度のガス流の方向変化、すなわちガス流の乱れを発生させることができる。また、貫通孔どうしの中心間距離が3mm以上6mm以下であると、オイル粒子の衝突部分が確保され、かつ気流の乱れが良好に発生させられるとともに、仕切り部における開口面積の割合を所定以上に確保することができ、圧力損失の増大が軽減されている。したがって、このオイル粒子捕集装置は、オイル捕集率が向上されており、かつ圧力損失の増大が軽減されている。
【0006】
また、本発明者らは、ガス流に急激な方向変化を付与することでオイル粒子をガス流から脱落させることができることに着目し、以下の発明を完成させた。すなわち、本発明は、ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部とを備え、前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、開口端がガス流入口側に突出して形成された複数の貫通孔を有する捕集部を備える、オイル粒子捕集装置を提供する。
この装置では、貫通孔の開口端に対して凹状の捕集部の部位に向かった気流は、開口端の突出方向まで逆戻りしてから貫通孔を通して空間形成体のガス排出口に向かって移動する。この気流方向の変化の激しい部位で、オイル粒子は気流から振り落とされて捕集部に付着する。この構成では、より小さいオイル粒子を良好に捕集することができる。
また、上記所定の内径および中心間距離を有する貫通孔を備える捕集部において、貫通孔の開口端は、ガス流入口側に突出している構成とすることによっても、この効果を得ることができ、オイル粒子をより効率よく捕集できる装置となる。
【0007】
また、上記貫通孔の開口端が突出しているオイル粒子捕集装置において、前記複数の貫通孔の開口端の突出部分は、互いに離間して形成されていると、捕集部に付着したオイルが開口端以外の部分を通って流れ落ちるため、良好にオイルを回収することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2に本発明の第1の実施形態に係わるオイル粒子捕集装置1を断面で示す。図1のオイル粒子捕集装置1は、車両のクランクケースに漏出するブローバイガスをエンジンの吸気系に移送するための流通路に設けられており、クランクケースに一体化されている。
【0009】
オイル粒子捕集装置1は、空間形成体3を備えており、空間形成体3の内部に複数の仕切り部20〜22,24,25を有している。
空間形成体3は、ガスを所定の方向に向かって流通可能な空間部分である。空間形成体3は、種々の部材で、種々の形状の内部空間を備える形状に形成することができる。典型的には、ガスの流通方向に長い空間を備える形状とされる。
【0010】
本実施形態の空間形成体3は、シリンダヘッドカバーに形成された矩形状で長手方向の一面が開口された凹状部4と、この凹状部4の開口を塞ぐように取り付けられるバッフルプレート5とによって形成されている。この空間形成体3の内部空間は、一端から他端(図1では右から左)に向かって断面形状が大きくなる略長方形状に形成されている。
【0011】
空間形成体3は、少なくとも1つのガス流入口とガス排出口とを備えている。本実施形態では、空間形成体3の長手方向の両端下部にそれぞれガス流入口6,7が設けられている。また、空間形成体3の中央部分の一壁面に1つのガス排出口9が形成されている。
【0012】
空間形成体3は、空間形成体3内でガスから回収されたオイルを排出するオイル排出口11,12を備えている。オイル排出口11,12は、オイル粒子捕集装置1の取り付け状態において底面3aとなる部位に配置され、底面3aに集められるオイルが流入されるように形成されている。本実施形態では、オイル排出口11,12は、各ガス流入口6,7の近傍に1つずつ設けられている。
【0013】
仕切り部20〜22,24,25は、空間形成体3内のガス流が形成される空間を連通状態を維持して部分的に遮断する部材で、ガス流に流れ方向を変える負荷を与える部分である。本実施形態では、ガス流入口6,7とガス排出口9との間に、それぞれ5つの仕切り部20〜22,24,25が設けられている。
【0014】
仕切り部は、種々の形状に形成することができる。板状に形成されていると、省スペースや、後述する貫通孔29の形成が容易となり、好ましい。仕切り部は、金属、樹脂などオイルやガスによって劣化等しにくい種々の部材で形成される。また、例えば、バッフルプレート5などの空間形成体3の壁面を構成する部材に一体成形されても良い。
【0015】
図1に示すオイル粒子捕集装置1では、仕切り部20〜22は、平板状で、上端がガス流入口6,7側に約45°だけ傾斜する先端部に形成されている。仕切り部20〜22は、空間形成体3の底面3aからほぼ垂直に延び、各ガス流入口6,7とガス排出口9との間に配置されている。
また、仕切り部24,25は、平板状に形成されている。仕切り部24,25は、空間形成体3の上面3bから仕切り部20〜22に対して平行に延び、それぞれ仕切り部20と21、仕切り部21と22の間に配置されている。
【0016】
仕切り部は、捕集部を備える。捕集部は、すべての仕切り部に設けられても良いが、好ましくは、ガス流入口に最近接する仕切り部20以外の仕切り部に設けられる。また、空間形成体3内のガス流が屈曲して進行する構成とするため、すべての仕切り部には捕集部を設けず、配列された仕切り部の1枚おきなど間隔をあけて設けられることが好ましい。本実施形態では、空間形成体3の底面3aから延び、ガス排出口9に近い各2つの仕切り部21,22が捕集部27を備えている。
【0017】
捕集部27は、複数の貫通孔を備え、ガス流が衝突可能、かつガス流が貫通孔を挿通可能な部分である。捕集部27に形成される貫通孔29は、内径2mm以上3mm以下で、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列される。捕集部27は、貫通孔を有しない仕切り部では除去しにくい比較的小さいオイル粒子を捕集することができる。また、捕集部27のガス流入口6,7側の面における貫通孔29の総面積割合が40%付近とより大きくなっているため、捕集部27を通り抜けることによるガス流の圧力損失の増大が低減されている。具体的には、この捕集部27では、径が2μm以上のオイル粒子を良好に捕集できる。
【0018】
図2に、より好ましい一実施形態である捕集部27の平面図を示す。捕集部27は、内径が3mmの貫通孔29を備えており、各貫通孔29どうしは中心間距離4.2mmとなるように配列されている。内径3mmの貫通孔が中心間距離4.2mm±1mmの間隔で配列された捕集部27は、車両用のエンジン部分から漏出するエンジンオイルの粒子を含むガスからオイル粒子を捕集するのに特に好ましい。具体的には、径が2μm程度のオイル粒子を良好に付着させることができる。
【0019】
また、捕集部27の厚みは、1mm以上8mm以下が好ましい。8mmを超えると圧力損失が増大するおそれがある。1mm以下では、捕集部27に好ましい強度を付与できないおそれがある。本実施形態では、捕集部27の厚みは3mmである。
【0020】
このオイル粒子捕集装置1は、ガス流入口6,7がクランクケースに開放されており、ガス排出口9は、エンジンの吸気系に連通されて設置される。これにより、空間形成体3内には、常にガス流入口6,7からガス排出口9の外側に向かう圧力が働く。ガスは、ガス流入口6,7から空間形成体3内に導入されてガス流となり、各仕切り部20,24,25を乗り越えたり通り抜けたりしてガス排出口9に向かう。また、オイル排出口11,12は、車両ではエンジンオイルの循環系に連通される。
【0021】
ガス流は、まずガス流入口6,7に最も近い仕切り部20に衝突して、仕切り部20に沿う方向に屈曲される。より大きいオイル粒子(例えば、径5μm以上の粒子)は、慣性力によって仕切り部20に衝突して付着したり、方向変化に追従できずに振り落とされたりしてガス流から除去される。また、仕切り部20の先端部では、流通路が狭くなることによって、ガスの流速が早くなる。このとき、仕切り部20〜22に沿って移動するガス流中のオイル粒子は、先端部に衝突して引っかかりやすくなっており、ガス流から除去される。仕切り部20を乗り越えたガスは上面3bから延びる仕切り部24にも衝突して、同様にその流れが屈曲され、同様の仕組みによってオイル粒子がガスから除去される。なお、仕切り部25においても同様である。
【0022】
仕切り部21,22に衝突したガス流の多くは、貫通孔29を通ってガス排出口9側に移動する。このとき、ガス流は、貫通孔29側に向かう力を受けるため、オイル粒子は、捕集部27、特に貫通孔29の開口周りに接触しやすく、付着しやすい。貫通孔29の大きさは2mm以上3mm以下と小さいため、ガス流の方向変化によるオイル粒子の慣性力が大きく、オイル粒子の捕集が良好に行われる。また、この貫通孔29間の中心間距離は3mm以上6mm以下であるため、捕集部27における総開口面積(貫通孔29の割合)が40%付近とより大きいため、ガス流にかかる抵抗による圧力損失の増大が抑制されている。
【0023】
また、捕集部27において、貫通孔29ではない部分に衝突したガス流は、仕切り部21,22の面に沿うように、あるいは、一度逆流してから貫通孔29を通っていく。このときのガス流の流れの乱れによってオイル粒子にかかる推進力が低下して自重によって落下したり、オイル粒子が乱流に巻き込まれて捕集部27に付着したりする。あるいは、オイル粒子どうしが衝突して結合し、より大きな粒子となって自重によって落下したりすることも考えられる。
なお、仕切り部21、22に衝突したガス流の一部は仕切り部21に沿って上方へ向きを変えて仕切り部21の上端を乗り越えていくこともある。
【0024】
ガス流に追従できなくなったオイル粒子は、仕切り部20〜22,24,25や空間形成体3の各壁面(底面3aを含む)に付着し、空間形成体3の底面3aまで移動され、オイル排出口11,12から空間形成体3の外に排出される。
【0025】
このオイル粒子捕集装置1では、捕集部27は、所定の開口面積の割合が確保された状態で、貫通孔29を備えない仕切り部よりもより大きなガス流への負荷をかけることができる。このため、圧力損失の増加を低減して、ガス流中のより小さいオイル粒子を捕集することができる。したがって、この装置は、オイルの捕集率が高く、かつオイル分の残留率の少ないガスを提供することができる。
【0026】
また、図3,4に第2の実施形態に係わるオイル粒子捕集装置を示す。オイル粒子捕集装置31は、仕切り部21,22に代えて仕切り部33,34を設けた他は第1の実施形態と同様の構成であるため、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
仕切り部33,34は、平板状で、全体に均等に貫通孔38が設けられて捕集部36に形成されている。仕切り部33,34は、空間形成体3の底面3aから延びており、ガス排出口9寄りに配置されている。
【0027】
捕集部36は、図3,4に示すように、複数の貫通孔38を有し、貫通孔38の開口端は、ガス流入口側に突出する突出部40に形成されている。
貫通孔38は、種々の形状、種々の配置で形成されていれば良い。例えば、円形に限定されず、図5に示す貫通孔51のように矩形状に形成されても良い。また、円形の貫通孔の場合、第1の実施形態と同様、内径2mm以上3mm以下に形成され、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配置されていることが好ましい。
【0028】
突出部40は、貫通孔38の開口端周りにガス流入口側、すなわちガス流に対向する側に突出して形成される部分で、捕集部36周辺でガス流を乱したり、オイル粒子を引っ掛けたりする部分である。例えば、突出部40に対して凹状に形成された部分に衝突したガス流は、突出部40を乗り越えるように逆戻りする。また、貫通孔38に向かう捕集部36の面に沿う方向のガス流が発生する。これらの組合わせおよびこれらに起因する他のガス流が発生して、捕集部36のガス流入口6,7側には複雑なガス流が形成されるようになっている。突出部40の捕集部36の平面部分からの突出量は、貫通孔38の内径より小さい範囲であると、ガス中に含まれる多量のオイル粒子を捕集できる程度の乱れが良好に発生させることができ、好ましい。また、具体的には、所定のガス流の乱れを発生させるためには、突出部40の突出量は1mm以上であることが好ましい。ブローバイガス用のオイル粒子捕集装置では、突出部40の突出量が1mm以上3mm以下であることが好ましい。
【0029】
突出部の形状は、特に限定されないが、典型的には貫通孔38の開口形状にほぼ等しい形状とされる。例えば、図4に示すように円形の貫通孔38と同心状の円環状(円筒状)の突出部40に形成しても良いし、図5に示すように矩形の貫通孔51と同一中心を備える矩形枠状の突出部52に形成しても良い。図6は、貫通孔54の形状と突出部55の形状とが異なる例であり、円形の貫通孔54に矩形状の突出部55が形成されている。この突出部55は、水平方向の突出していない部分との間でガス流を乱すことができる。本発明は、図6のように、仕切り部を曲げ成形して、ガス流入口側に突出して設けられる部分に貫通孔54を形成することによっても、貫通孔の開口端をガス流入口側に突出して形成することができる。
【0030】
突出部は、図4,5に示すように貫通孔の端縁の延長上に角部を備える形状であると、角部でオイル粒子を付着させやすく、好ましい。より好ましくは、捕集部36側にも角部を備える形状とされる。角部は、好ましくは約90°とされるが、鋭角や鈍角であっても良い。
【0031】
突出部40は、各貫通孔38ごとに独立して、すなわち突出部40どうしが互いに離間して形成されていることが好ましい。この形態であると、貫通孔38の全周において、上述したような逆流を含むガス流の乱れを起こすことができる。また、捕集部36に付着したオイル粒子は、突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで流れ落ちることができる。
【0032】
また、オイルの回収の観点では、捕集部36の突出部40以外の部分が上部から空間形成体3の底面3aまで連通して形成されていることが好ましい。例えば、図7に示すように、水平方向には、各突出部57は、離間して形成され、垂直方向には互いに連結されている捕集部とすることができる。この形態では、捕集部36に付着したオイル粒子は、捕集部36の突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで良好に移動でき、突出部57以外の部分がオイル流通路になる。
【0033】
図3,4に示す捕集部36は、内径4mmの貫通孔38が、互いの中心間距離が8.4mmとなるように配列されて形成されている。また、貫通孔38の突出部40は、半径方向に1mmの幅を有し、捕集部36の平面から1mm突出するリング状に形成されており、各貫通孔38の突出部40は、互いに離間して形成されている。
【0034】
このオイル粒子捕集装置31では、オイル粒子は、捕集部36に衝突して付着したり、ガス流の急激な方向変化に追従できなくなり、捕集部36や空間形成体3の底面3aに付着する。ガス流の急激な方向変化が起こるため、より小さなオイル粒子もガス流から脱落させることができる。
また、捕集部36、特に捕集部36の突出していない部分や突出部40の下部に付着したオイル粒子は、重力によって流れ落ちるときに、捕集部36の突出部40より突出していない部分を通って空間形成体3の底面3aまで移動し、オイル排出口11,12から排出される。この形態では、捕集部36に付着したオイルが良好に落下し、オイルの捕集部36での残留時間が短縮される。このため、捕集部36に付着したオイルが貫通孔38の孔内に溜まり、貫通孔38を通るガス流によって再度ガス中に分散されることが良好に抑制されている。
したがって、この捕集部36を備えるオイル粒子捕集装置31では、ガス中への再混入を抑制して、オイル粒子を効率よく回収でき、かつ圧力損失の増大が抑制されている。
【0035】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。
捕集部が設けられる仕切り部の位置は、空間形成体の底面から延びるものに限定されず空間形成体の上面から延びるものであっても良い。また、ガス流入口の近傍に設けられる仕切り部に設けられていても良い。また、仕切り部は、空間形成体の上面又は底面に限定されず側面から延びていても良い。また、仕切り部の空間形成体からの突出角度は垂直に限定されず、ガス流入口側に対して鋭角または鈍角を成すように延びていても良いし、仕切り部自体が曲面状に形成されていても良い。また、仕切り部は板状に限定されず、厚みが異なる部位を備える種々の形状であっても良い。
空間形成体は、種々の形状に形成することができ、また、ガス流入口、ガス排出口の位置、数なども種々の組合わせが可能である。
【0036】
【実施例】
実施例1:仕切り部に設ける貫通孔の大きさおよび配置
板厚3mmの板状部材に、ガス流入方向に対向する総面積に対する貫通孔の総開口面積の割合をほぼ一定にして、図8に示すように、貫通孔の内径および貫通孔どうしの中心間距離を変えて試料1〜9を作成した。各試料1〜9について、同一条件でガス流を通し、オイルの捕集効率と圧力損失とを測定した。
ガス流は、オイル粒子を約0.8g/hで含有させた空気を使用し、流速約6m/sで仕切り部の板面に垂直に衝突させた。
なお、仕切り部の板厚は、3mmとした。
これらの試料1〜9についてオイルの捕集効率と圧力損失とを測定した結果を図8および図10に示す。
【0037】
この結果によれば、孔の中心間距離が同一である試料3と試料8、および試料6と7とを比較することにより、孔の中心間距離が同じ場合、貫通孔の内径が小さいほどオイル粒子を良好に捕集できることがわかった。一方、圧力損失は、孔の中心間距離が孔の内径の2倍以下である試料6,8,9において小さく、特に孔の中心間距離が孔の内径の2倍未満の試料7〜9において、特に約40Paと小さかった。これらのことから、内径2〜3mm、孔の中心間距離4.2mm±1mmとなるように貫通孔が設けられた仕切り部(試料1,3,6,8,9)は、圧力損失の増大が抑制された状態で、オイル捕集率が良好となっていることが明らかとなった。また、内径2〜3mmで孔の中心間距離が内径の2倍以下となるように貫通孔が設けられた仕切り部(試料6,8,9)において、圧力損失の増大を良好に抑制して、オイル捕集率を良好に保つことができることが明らかとなった。
【0038】
実施例2:突出部を備える捕集部
板厚3mmの板状部材に内径4mmの貫通孔を孔の中心間距離が8.4mmとなるように等間隔で形成し、貫通孔の開口端に沿って、一方向に厚さ1mmで突出する幅1mmの円環状の突出部を設けて、試料10とした。試料10について、実施例1と同様のガス流を通して、オイルの捕集効率と圧力損失とを測定した。
また、同様の貫通孔を備え、突出部を有しない比較試料を作成し、同様の測定を行った。
これらの結果を図11に示す。
【0039】
この結果から、突出部を備える試料10と比較試料とでは、圧力損失はほとんど変わらないにもかかわらず、試料10では、オイル捕集率が約13%向上している。このことから、貫通孔の開口端縁にガス流入方向に突出する突出部を設けることにより、圧力損失の増大を低減して、より多くのオイルを捕集できることが明らかとなった。
【0040】
【発明の効果】
本発明では、圧力損失を抑制して、効率良くオイル粒子を捕集することができるオイル粒子捕集装置を提供することにより、ブローバイガスの圧力の増大によるエンジンの効率の低下を軽減して、オイル粒子を効率よく回収してオイル粒子の捕集量が向上されたブローバイガス用のオイル粒子捕集装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態であるオイル粒子捕集装置を示す模式的な断面図である。
【図2】図1のオイル粒子捕集装置に設けられている捕集部の平面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態であるオイル粒子捕集装置を示す模式的な断面図である。
【図4】図3のオイル粒子捕集装置に設けられている捕集部の斜視図である。
【図5】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図6】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図7】図3の捕集部の変形例を示す斜視図である。
【図8】実施例1の各試料における孔の内径と孔の中心間距離を示す表である。
【図9】実施例1の各試料のオイル捕集率と圧力損失とを示す表である。
【図10】実施例1の測定結果を示すグラフである。
【図11】実施例2のオイル捕集率と圧力損失とを示す表である。
【図12】従来のオイル粒子捕集装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,31 オイル粒子捕集装置
3 空間形成体
4 凹状部
5 バッフルプレート
3a 底面
3b 上面
6,7 ガス流入口
9 ガス排出口
11,12 オイル排出口
20,21,22,24,25,33,34 仕切り部
27,36 捕集部
29,38,51,54,56,64 貫通孔
40,52,55,57 突出部
60 仕切板
62 ガス通路
Claims (4)
- ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、
前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部と
を備え、
前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、内径2mm以上3mm以下の複数の貫通孔が、互いの中心間距離が3mm以上6mm以下となるように配列されている捕集部を備える、オイル粒子捕集装置。 - ガス流入口と、ガス排出口と、オイル排出口とを備えるガスを流通可能な空間を形成する空間形成体と、
前記空間形成体の前記ガス流入口とガス排出口との間の空間を部分的に遮断する複数の仕切り部と
を備え、
前記複数の仕切り部の少なくとも1つは、開口端がガス流入口側に突出して形成された複数の貫通孔を有する捕集部を備える、オイル粒子捕集装置。 - 前記貫通孔の開口端は、ガス流入口側に突出している、請求項1に記載のオイル粒子捕集装置。
- 前記複数の貫通孔の開口端の突出部分は、互いに離間して形成されている、請求項2または3に記載のオイル粒子捕集装置。
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