以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
実施形態における板厚制御装置は、圧延機によって圧延される圧延材の厚みが圧延終了後の目標値となるように前記圧延機を制御する装置である。この圧延機の板厚制御装置は、入側板厚を測定する入側板厚測定部と、出側板厚を測定する出側板厚測定部と、前記圧延機のロールギャップ長を制御する板厚制御部とを備える。この板厚制御部は、圧延開始の第1時点から、前記圧延機で圧延された圧延材が前記出側板厚測定部によって前記第1時点後初めて測定される直前の第2時点までの第1期間、所定の第1制御方法で前記圧延機のロールギャップ長を制御する。前記板厚制御部は、前記第2時点から、前記第1時点で前記入側板厚測定部によって測定された前記圧延材の入側板厚測定開始箇所が前記出側板厚測定部によって測定される直前の第3時点までの第2期間、前記第1制御方法と異なる所定の第2制御方法で前記圧延機のロールギャップ長を制御する。そして、前記板厚制御部は、前記第3時点以降の第3期間、前記第1および第2制御方法と異なる所定の第3制御方法で前記圧延機のロールギャップ長を制御する。以下、このような圧延機の板厚制御装置について、前記板厚制御装置を含む圧延システムを用いて、より具体的に説明する。
図1は、実施形態における圧延システムの構成を示す図である。実施形態における圧延システムSは、圧延対象である圧延材WKを自動的に所定の目標の厚み(板厚)となるように圧延するシステムであり、例えば、図1に示すように、圧延機1と、板厚制御部2と、第1速度計4と、第1厚み計5と、第2速度計6と、第2厚み計7と、第1デフレクタロール8と、第2デフレクタロール9とを備え、例えば第1および第2リールR1、R2に巻回された帯状の圧延材WKを、第1および第2リールR1、R2間に配設された圧延機1によって圧延する。この圧延システムSによって製造される圧延製品の板厚は、任意であってよいが、近年の薄物化に鑑み、好適には、例えば数百ミクロンメートル以下や100μm以下等の領域である。
圧延機1は、一対のワークロールの間に圧延材を通し、前記一対のワークロールから力を受けて変形することでその厚みを減じ、前記目標の厚みに成形する装置である。圧延機1は、複数のパスそれぞれに対応する前記一対のワークロールを複数備え、圧延材を前記複数の一対のワークロールにおける各間を順次に通過させることによって順次にその厚みを減じ、圧延終了後に、前記目標の厚みに成形するタンデム型圧延機であってよいが、本実施形態では、前記一対のワークロールを1個備え、圧延材を前記一対のワークロールの間に、正方向およびその逆方向に1または複数回通過させることによって各回(各パス)で順次にその厚みを減じ、圧延終了後に、前記目標の厚みに成形するリバース型圧延機である。すなわち、複数回のパスを実施する一対のワークロールは、異なっても同一であってもよい。
本実施形態では、より具体的には、圧延機1は、圧下装置13と、圧下装置13によりその間に力を加えながら圧延材WKを通して圧延材WKを圧延する一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2と、前記一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2の弾性変形等を抑制するように前記一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2それぞれを支持する一対の第1および第2バックアップロール12-1、12-2とを備える。なお、図1に示す例では、1つのワークロール11は、1つのバックアップロール12によって支持されるが、複数のバックアップロール12によって支持されてもよい。すなわち、圧延機1は、縦型ミルやクラスタ型ミル等の複数段型圧延機であってもよい。圧下装置13は、板厚制御部2に接続され、板厚制御部2の制御に従って、前記一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2のうちの一方を他方に対して近接移動または離間移動することによって、前記一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2の間における隙間(ロールギャップ)の長さ(ロールギャップ長)を調整しながら、前記一対の第1および第2ワークロール11-1、11-2を圧下する装置である。圧下装置13は、本実施形態では、高応答性の観点から、例えば、油圧圧下装置である。
第1デフレクタロール8は、圧延機1に対し一方側に、圧延機1から所定の距離だけ離間した位置に配設された、所定の軸回りに回転可能な円柱状の部材である。第2デフレクタロール9は、圧延機1に対し他方側に、圧延機1から所定の距離だけ離間した位置に配設された、所定の軸回りに回転可能な円柱状の部材である。
第1速度計4は、圧延機1と第1デフレクタロール8と間における圧延材WKの移動速度を測定する装置である。第1速度計4は、その測定した圧延材WKの移動速度を板厚制御部2へ出力する。第1速度計4は、本実施形態では、例えば、第1デフレクタロール8の回転速度を測定するパルスジェネレータである。第2速度計6は、圧延機1と第2デフレクタロール9と間における圧延材WKの移動速度を測定する装置である。第2速度計6は、その測定した圧延材WKの移動速度を板厚制御部2へ出力する。第2速度計6は、本実施形態では、例えば、第2デフレクタロール9の回転速度を測定するパルスジェネレータである。
第1厚み計5は、圧延機1と第1デフレクタロール8と間における圧延材WKの厚み(板厚)を測定する装置である。第1厚み計5は、その測定した圧延材WKの板厚を板厚制御部2へ出力する。第1厚み計5は、本実施形態では、例えば、圧延機1と第1デフレクタロール8と間に配設されたX線透過型厚み計である。第2厚み計7は、圧延機1と第2デフレクタロール9と間における圧延材WKの厚み(板厚)を測定する装置である。第2厚み計7は、その測定した圧延材WKの板厚を板厚制御部2へ出力する。第2厚み計7は、本実施形態では、例えば、圧延機1と第2デフレクタロール9と間に配設されたX線透過型厚み計である。
ここで、第1および第2速度計4、6で圧延材WKの速度を計測することで、サンプリング時間間隔が予め既知であるので、板厚制御部2は、第1および第2厚み計5、7で計測された厚みに対する圧延材WKにおける長手方向の位置を求めることができ、第1および第2厚み計5、7で計測された厚みと圧延材WKにおける長手方向の位置とを互いに対応付けることができる。すなわち、板厚制御部2は、圧延材WKの板厚をその長手方向でトラッキングできる。
なお、第1および第2速度計4、6は、それぞれ、パルスジェネレータに限定されるものではなく、他の速度計であってもよい。例えば、第1速度計4は、圧延機1と第1デフレクタロール8と間に配設されたレーザドップラ速度計等であってもよく、第2速度計6は、圧延機1と第2デフレクタロール9と間に配設されたレーザドップラ速度計等であってもよい。特に、マスフロー板厚制御の場合では、速度の検出精度が板厚精度に影響するので、第1および第2速度計4、6は、それぞれ、検出精度のより高いレーザドップラ速度計が好適である。第1および第2厚み計5、7は、それぞれ、X線透過型厚み計に限定されるものではなく、他の厚み計であってもよい。例えば、第1および第2厚み計5、7は、それぞれ、レーザ型厚み計や接触式厚み計等であってもよい。
図1に矢符(→)で示す正方向(図1では紙面の左側から右側へ向かう方向)に圧延材WKが移動するパスの場合、第1および第2リールR1、R2、第1および第2速度計4、6、第1および第2厚み計5、7、ならびに、第1および第2デフレクタロール8、9は、次のように機能する。すなわち、第1リールR1は、入側リールとなり、巻回された圧延材WKを圧延機1へ供給する。第1デフレクタロール8は、第1リールR1から引き出された圧延材WKの方向を水平方向に変更する。第1速度計4は、入側速度計となり、圧延機1の入側における圧延材WKの移動速度(入側速度)を測定し、この測定した入側速度を板厚制御部2へ出力する。第1厚み計5は、入側厚み計となり、圧延機1の入側における圧延材WKの厚み(入側板厚)を測定し、この測定した入側板厚を板厚制御部2へ出力する。第2デフレクタロール9は、圧延機1から送られてきた水平方向の圧延材WKを第2リールR2の方向に変更する。第2リールR2は、出側リールとなり、圧延機1で圧延された圧延材WKを巻き取って収容する。第2速度計6は、出側速度計となり、圧延機1の出側における圧延材WKの移動速度(出側速度)を測定し、この測定した出側速度を板厚制御部2へ出力する。第2厚み計7は、出側厚み計となり、圧延機1の出側における圧延材WKの厚み(出側板厚)を測定し、この測定した出側板厚を板厚制御部2へ出力する。
一方、図1に矢符(→)で示す前記正方向に対し逆方向(図1では紙面の右側から左側へ向かう方向)に圧延材WKが移動するパスの場合、第1および第2リールR1、R2、第1および第2速度計4、6、第1および第2厚み計5、7、ならびに、第1および第2デフレクタロール8、9は、次のように機能する。すなわち、第2リールR2は、入側リールとなり、巻回された圧延材WKを圧延機1へ供給する。第2デフレクタロール9は、第2リールR2から引き出された圧延材WKの方向を水平方向に変更する。第2速度計6は、入側速度計となり、圧延機1の入側における圧延材WKの入側速度を測定し、この測定した入側速度を板厚制御部2へ出力する。第2厚み計7は、入側厚み計となり、圧延機1の入側における圧延材WKの入側板厚を測定し、この測定した入側板厚を板厚制御部2へ出力する。第1デフレクタロール8は、圧延機1から送られてきた水平方向の圧延材WKを第1リールR1の方向に変更する。第1リールR1は、出側リールとなり、圧延機1で圧延された圧延材WKを巻き取って収容する。第1速度計4は、出側速度計となり、圧延機1の出側における圧延材WKの出側速度を測定し、この測定した出側速度を板厚制御部2へ出力する。第1厚み計5は、出側厚み計となり、圧延機1の出側における圧延材WKの出側板厚を測定し、この測定した出側板厚を板厚制御部2へ出力する。
板厚制御部2は、圧延機1のロールギャップ長を制御する装置である。本実施形態では、板厚制御部2は、フィードバック板厚制御を含む板厚制御によって圧下装置13を介してワークロール11のロールギャップ長を調整することで圧延機1を制御する。このような板厚制御部2は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、記憶素子(ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等)およびその周辺回路を備えるマイクロコンピュータを備えて構成される。なお、板厚制御部2は、PLC(Programmable Logic Controller)を備えて構成されてもよい。
より具体的には、板厚制御部2は、圧延開始の第1時点から、圧延機1で圧延された圧延材WKが前記出側板厚計によって前記第1時点後初めて測定される直前の第2時点までの第1期間、所定の第1制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第1期間では、入側板厚偏差も出側板厚偏差も実測されないので、これら予測値でフィードバック板厚制御が実施される。
例えば、前記第1制御方法は、予め予測した所定の予測入側板厚偏差、前記入側速度測定部で測定した入側速度、および、前記出側速度測定部で測定した出側速度に基づき予測した予測出側板厚偏差を用いたフィードバック板厚制御方法である。より詳しくは、k回目の制御における予測入側板厚偏差、予測出側板厚偏差、入側速度および出側速度それぞれを、△Hp(k)、△hp(k)、Vin(k)およびVout(k)とし、入側板厚設定値をHとし、出側板厚設定値をhとした場合に、板厚制御部2は、次式1によって求めた予測出側板厚偏差△hp(k)を用いたフィードバック板厚制御(第1フィードバック板厚制御)で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第1フィードバック板厚制御の指令値△S(k)は、ワークロール11のミル定数をMとし、圧延材WKの塑性定数をmとする場合に、次式2によって求められる。ここで、前記予測入側予測偏差△Hp(k)は、例えば複数のサンプルを用いることによって予め適宜に設定されてよいが、本実施形態では、前記予測入側予測偏差△Hp(k)には、初回(k=1)の制御タイミングCT(1)では、前記入側板厚計で求めた入側板厚H(1)と入側板厚設定値Hとの差が用いられ(△Hp(1)=H-H(1))、2回目以降(k≧2)の制御タイミングCT(k)では、前回(k-1)の制御タイミングCT(k-1)で求めた予測出側板厚偏差△hp(k-1)が用いられる(△Hp(k)=△hp(k-1))。
式1;△hp(k)=(Vin(k)/Vout(k))×(H+△Hp(k))-h
式2;△S(k)=((M+m)/M)×△hp(k)
板厚制御部2は、前記第2時点から、前記第1時点で前記入側板厚計によって測定された圧延材WKの入側板厚測定開始箇所が前記出側板厚計によって測定される直前の第3時点までの第2期間、前記第1制御方法と異なる所定の第2制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第2期間では、出側板厚偏差が実測されているので、この実測の出側板厚偏差に基づく第2制御方法のフィードバック板厚制御が実施される。このため、第2制御方法は、第1制御方法より板厚精度を向上できる。
例えば、前記第2制御方法は、前記第1制御方法で予測した予測出側板厚偏差を、前記出側板厚計で測定した出側板厚に基づき補正した補正出側板厚偏差を用いたフィードバック板厚制御方法である。より詳しくは、k回目の制御における予測入側板厚偏差、出側板厚偏差、入側速度および出側速度それぞれを、△Hp(k)、△h(k)、Vin(k)およびVout(k)とし、入側板厚設定値をHとし、出側板厚設定値をhとし、前記予測出側板厚偏差△hp(k)と前記出側板厚偏差△hとの誤差(第1誤差)e1(k)とした場合に、板厚制御部2は、次式3によって第1誤差e1(k)を求め、この求めた第1誤差e1(k)で次式4によって補正した補正出側板厚偏差△hc1(k)を用いたフィードバック板厚制御(第2フィードバック板厚制御)で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第2フィードバック板厚制御の板厚制御の指令値△S(k)は、ワークロール11のミル定数をMとし、圧延材WKの組成定数をmとする場合に、次式5によって求められる。ここで、第1誤差e1(k)は、出側板厚偏差△h(k)が入側速度Vin(k)および出側速度Vout(k)の誤差に主に影響されるものと考えられることから、入側速度Vin(k)および出側速度Vout(k)を補正するために、△h(k)=e1(k)×(Vin(k)/Vout(k))×(H+△H(k))-hで定義され、これを第1誤差e1(k)で整理することによって式3が求められた。
式3;e1(k)=(h+△h(k))/((Vin(k)/Vout(k))×(H+△Hp(k)))
式4;△hc1(k)=e1(k)×(Vin(k)/Vout(k))×(H+△Hp(k)-h)
式5;△S(k)=((M+m)/M)×△hc1(k)
板厚制御部2は、前記第3時点以降の第3期間、前記第1および第2制御方法と異なる所定の第3制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第3期間では、出側板厚偏差および入側板厚偏差が実測されているので、この実測の出側板厚偏差および入側板厚偏差に基づく第3制御方法のフィードバック板厚制御が実施される。このため、第3制御方法は、第2制御方法より板厚精度を向上できる。
例えば、前記第3制御方法は、前記第1制御方法で予測した予測出側板厚偏差を、前記出側板厚計で測定した出側板厚および前記入側板厚計で測定した入側板厚に基づき補正した第2補正出側板厚偏差を用いたフィードバック板厚制御方法である。より詳しくは、k回目の制御における入側板厚偏差、出側板厚偏差、入側速度および出側速度それぞれを、△H(k)、△h(k)、Vin(k)およびVout(k)とし、入側板厚設定値をHとし、出側板厚設定値をhとし、前記予測出側板厚偏差△hp(k)と前記出側板厚偏差△h(k)との誤差(第2誤差)をe2(k)とした場合に、板厚制御部2は、次式6によって第2誤差e2(k)を求め、この求めた第2誤差e2(k)で次式7によって補正した第2補正出側板厚偏差△hc2(k)を用いたフィードバック板厚制御(第3フィードバック板厚制御)で圧延機1のロールギャップ長を制御する。この第3フィードバック板厚制御の指令値△S(k)は、ワークロール11のミル定数をMとし、圧延材WKの組成定数をmとする場合に、次式8によって求められる。ここで、第2誤差e2(k)は、第1誤差e1(k)と同様に、出側板厚偏差△h(k)が入側速度Vin(k)および出側速度Vout(k)の誤差に主に影響されるものと考えられることから、入側速度Vin(k)および出側速度Vout(k)を補正するために、△h(k)=e2(k)×(Vin(k)/Vout(k))×(H+△H(k))-hで定義され、これを第2誤差e2(k)で整理することによって式6が求められた。
式6;e2(k)=((h+△h(k))×Vout(k))/(H+△H(k))×Vin(k))
式7;△hc2(k)=e2(k)×(Vin(k)/Vout(k))×(H+△H(k))-h)
式8;△S(k)=((M+m)/M)×△hc2(k)
なお、前記入側厚み計(第1厚み計5または第2厚み計7)は、入側板厚を測定する入側板厚測定部の一例に相当し、前記出側厚み計(第2厚み計7または第1厚み計5)は、出側板厚を測定する出側板厚測定部の一例に相当し、前記入側速度計(第1速度計4または第2速度計6)は、前記圧延材の入側速度を測定する入側速度測定部の一例に相当し、前記出側速度計(第2速度計6または第1速度計4)は、前記圧延材の出側速度を測定する出側速度測定部の一例に相当し、前記入側厚み計(第1厚み計5または第2厚み計7)、前記出側厚み計(第2厚み計7または第1厚み計5)、前記入側速度計(第1速度計4または第2速度計6)、前記出側速度計(第2速度計6または第1速度計4)および板厚制御部2は、圧延機によって圧延される圧延材の厚みが圧延終了後の目標値となるように前記圧延機を制御する圧延機の板厚制御装置の一例に相当する。
次に、本実施形態の動作について説明する。図2は、前記圧延システムの板厚制御装置における板厚制御の動作を示すフローチャートである。図3は、前記圧延システムの板厚制御装置における板厚制御の動作を説明するためのタイムチャートである。図3において、圧延材WKには、トラッキング長ごとに区切る仮想的な区切り線(|)が図示され、ミル中心より上流側の圧延材WKの上部には、各区間ごとに、トラッキングレジスタTrに格納される入側板厚偏差(その予測値△Hpおよび実測値△Hを含む)が図示され、ミル中心より下流側の圧延材WKの上部には、各区間ごとに、出側板厚偏差の予測値△hpが図示され、ミル中心より下流側の圧延材WKの下部には、各区間ごとに、出側板厚偏差の実測値△hが図示されている。図3には、上から下へ順に、1回目(初回、k=1)の制御タイミングCT(1)での状況、2回目(k=2)の制御タイミングCT(2)での状況、3回目(k=3)の制御タイミングCT(3)での状況、7回目(k=7)の制御タイミングCT(7)での状況、10回目(k=10)の制御タイミングCT(10)での状況、および、13回目(k=13)の制御タイミングCT(13)での状況が図示されている。時点T1は、前記第1時点T1であり、時点T2は、前記第2時点T2であり、時点T3は、前記第3時点T3である。
このような構成の圧延システムSは、その図略の電源スイッチの操作によって電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。
図2において、板厚制御部2は、圧延開始か否かを判定する(S1)。この判定の結果、圧延開始である場合(Yes)には、板厚制御部2は、次に、処理S2を実行し、一方、前記判定の結果、圧延開始ではない場合(No)には、板厚制御部2は、処理を処理S1に戻す。したがって、圧延開始となるまで、処理S1が繰り返される。例えば、オペレータ(ユーザ)による図略の操作スイッチの入力操作によって圧延開始が指示されると、板厚制御部2は、圧延開始と判定し、圧延開始の第1時点T1から、処理S2を実行する。
この処理S2では、板厚制御部2は、圧延開始の第1時点T1から、第1制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。本実施形態では、板厚制御部2は、式1によって求めた予測出側板厚偏差△hp(k)を用いた第1制御方法の第1フィードバック板厚制御で圧延機1のロールギャップ長を制御する。
より具体的には、図3に示すように、初回(1回目、k=1)の制御タイミングCT(1)において、入側厚み計、入側速度計、出側厚み計および出側速度計それぞれによって、入側板厚H(1)、入側速度Vin(1)、出側板厚h(1)および出側速度Vout(1)が測定され、入側板厚偏差△H(1)(=H-H(1))および出側板厚偏差△h(1)(=h-h(1))が求められる。図3に示す例では、圧延材WKは、矢符(→)で示すように正方向に移動し、第1厚み計5、第1速度計4、第2厚み計7および第2速度計6それぞれは、前記入側厚み計、前記入側速度計、前記出側厚み計および前記出側速度計それぞれとして機能する。制御周期(前回の制御タイミングから今回の制御タイミングまでの時間)および入側速度から、ミル中心から上流側のトラッキング長(=(入側速度)×(制御周期)が求められ、この求めたトラッキング長および前記入側厚み計5からミル中心までの距離によってミル中心から上流側のトラッキングレジスタTrの個数は、6個とされる。一方、図3に示す例では、ミル中心から前記出側厚み計までの距離から、ミル中心から前記出側厚み計までのトラッキングと同様な区間の個数は、6個となっている。これら6個の第1ないし第6トラッキングレジスタTr1~Tr6のうち、第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6には、前記入側厚み計5の実測値がないので、この初回の制御タイミングCT(1)で前記入側厚み計5で測定した入側板厚H(1)に基づく入側板厚偏差△H(1)が予測入側板厚偏差△Hp(1)として格納され、第1トラッキングレジスタTr1には、実測の入側板厚偏差△H(1)(=△H6実測値)が格納される。板厚制御部2は、式1により、予測出側板厚偏差△hp(1)(=(Vin(1)/Vout(1))×(H+△Hp(1))-h、△Hp(1)=△H(1))を求め、式2により、第1フィードバック板厚制御の指令値△S(1)(=((M+m)/M)×△hp(1))を求めて圧下装置13へ出力し、圧延機1のロールギャップ長を制御する。
前記処理S2に続いて、板厚制御部2は、第1期間の終了か否かを判定する(S3)。圧延開始の第1時点T1から、圧延機1で圧延された圧延材WKが前記出側厚み計7によって前記第1時点後初めて測定される直前の第2時点T2に達したか否かは、例えば、トラッキングによって、あるいは、例えば、出側速度およびミル中心から前記出側厚み計7までの距離に基づいて、圧延開始の第1時点T1から、圧延機1で圧延された圧延材WKが前記出側厚み計7によって前記第1時点後初めて測定される直前の第2時点T2までの時間(=第1期間)を求めて前記第1時点T1から前記時間(=第1期間)が経過したか否かによって、判定できる。この判定の結果、前記第1期間の終了である場合(Yes)には、板厚制御部2は、次に、処理S4を実行し、一方、前記判定の結果、前記第1期間の終了ではない場合(No)には、板厚制御部2は、処理を処理S2に戻す。したがって、板厚制御部2は、第1期間が終了するまで、処理S2を各制御タイミングCT(k)で繰り返し実行する。
ここで、処理S2において、2回目以降(k≧2)の制御タイミングCT(k)(k≧2)では、前記予測入側予測偏差△Hp(k)には、前回(k-1)の制御タイミングCT(k-1)で求めた予測出側予測偏差△hp(k-1)が用いられる(△Hp(k)=△hp(k-1))。
例えば、2回目の制御タイミングCT(2)において、入側厚み計、入側速度計、出側厚み計および出側速度計それぞれによって、入側板厚H(2)、入側速度Vin(2)、出側板厚h(2)および出側速度Vout(2)が測定され、入側板厚偏差△H(2)(=H-H(2))および出側板厚偏差△h(2)(=h-h(2))が求められる。第1ないし第6トラッキングレジスタTr1~Tr6それぞれに格納されている各データが第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6それぞれにシフトし、第2トラッキングレジスタTr2には、前記シフトにより△H(1)(=△H6実測値)が格納され、第3ないし第6トラッキングレジスタTr3~Tr6には、前記入側厚み計5の実測値がないので、前回、すなわち、初回の制御タイミングCT(1)で求めた予測出側板厚偏差△hp(1)が予測入側板厚偏差△Hp(2)として格納され、第1トラッキングレジスタTr1には、実測の入側板厚偏差△H(2)(=△H7実測値)が格納される。下流側では、前回、すなわち、初回の制御タイミングCT(1)で圧延機1によって圧延された圧延材WKは、1個のトラッキング長に対応する長さだけ移動する。k回目の制御タイミングで圧延機1によって圧延された圧延材WKを、以下、適宜、「第k区間の圧延材WK(k)」と呼称する。この第1区間の圧延材WK(1)には、前回、すなわち、初回の制御タイミングCT(1)で求めた予測出側板厚偏差△hp(1)が出側板厚偏差△h(2)(=△h1予測値)として対応付けられる。板厚制御部2は、式1により、予測出側板厚偏差△hp(2)(=(Vin(2)/Vout(2))×(H+△Hp(2))-h、△Hp(2)=△hp(1))を求め、式2により、第1フィードバック板厚制御の指令値△S(2)((=((M+m)/M)×△hp(2))を求めて圧下装置13へ出力し、圧延機1のロールギャップ長を制御する。
例えば、3回目の制御タイミングCT(3)において、入側厚み計、入側速度計、出側厚み計および出側速度計それぞれによって、入側板厚H(3)、入側速度Vin(3)、出側板厚h(3)および出側速度Vout(3)が測定され、入側板厚偏差△H(3)(=H-H(3))および出側板厚偏差△h(3)(=h-h(3))が求められる。第1ないし第6トラッキングレジスタTr1~Tr6それぞれに格納されている各データが第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6それぞれにシフトし、第3トラッキングレジスタTr3には、前記シフトにより△H(1)(=△H6実測値)が格納され、第2トラッキングレジスタTr2には、前記シフトにより△H(2)(=△H7実測値)が格納され、第4ないし第6トラッキングレジスタTr4~Tr6には、前記入側厚み計5の実測値がないので、前回、すなわち、2回目の制御タイミングCT(2)で求めた予測出側板厚偏差△hp(2)が予測入側板厚偏差△Hp(3)として格納され、第1トラッキングレジスタTr1には、実測の入側板厚偏差△H(3)(=△H8実測値)が格納される。下流側では、前回、すなわち、2回目の制御タイミングCT(2)で圧延機1によって圧延された第2区間の圧延材WK(2)は、1個のトラッキング長に対応する長さだけ移動し、したがって、第1区間の圧延材WK(1)は、2個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになる。この第2区間の圧延材WK(2)には、2回目の制御タイミングCT(2)で求めた予測出側板厚偏差△hp(2)が出側板厚偏差△h(3)(=△h2予測値)として対応付けられる。板厚制御部2は、式1により、予測出側板厚偏差△hp(3)(=(Vin(3)/Vout(3))×(H+△Hp(3))-h、△Hp(3)=△hp(2))を求め、式2により、第1フィードバック板厚制御の指令値△S(3)((=((M+m)/M)×△hp(3))を求めて圧下装置13へ出力し、圧延機1のロールギャップ長を制御する。
4回目ないし6回目の各制御タイミングCT(4)~CT(6)でも同様に板厚制御が実行され、6回目の制御タイミングCT(6)での板厚制御が実行されると、処理S3で第1期間の終了と判定され、処理S4が実行される。
この処理S4では、板厚制御部2は、第2時点T2から、第2制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。本実施形態では、板厚制御部2は、式3によって誤差e1(k)を求め、この求めた誤差e1(k)で式4によって補正した補正出側板厚偏差△hc1(k)を用いた第2制御方法の第2フィードバック板厚制御で圧延機1のロールギャップ長を制御する。
より具体的には、図3に示すように、7回目の制御タイミングCT(7)において、入側厚み計、入側速度計、出側厚み計および出側速度計それぞれによって、入側板厚H(7)、入側速度Vin(7)、出側板厚h(7)および出側速度Vout(7)が測定され、入側板厚偏差△H(7)(=H-H(7))および出側板厚偏差△h(7)(=h-h(7))が求められる。第1ないし第6トラッキングレジスタTr1~Tr6それぞれに格納されている各データが第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6それぞれにシフトし、第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6には、前記シフトにより△H(6)(=△H11実測値)~△H(2)(=△H7実測値)が格納され、第1トラッキングレジスタTr1には、実測の入側板厚偏差△H(7)(=△H12実測値)が格納される。下流側では、前回、すなわち、6回目の制御タイミングCT(6)で圧延機1によって圧延された第6区間の圧延材WK(6)は、1個のトラッキング長に対応する長さだけ移動し、したがって、第5区間の圧延材WK(5)は、2個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第4区間の圧延材WK(4)は、3個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第3区間の圧延材WK(3)は、4個のトラッキング長に対応する長さだけ移動し、第2区間の圧延材WK(2)は、5個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第1区間の圧延材WK(1)は、6個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになる。このため、図3に示すように、この7回目の制御タイミングCT(7)は、初回の制御タイミングCT(1)で圧延機1によって圧延された第1区間の圧延材WK(1)が前記出側厚み計7によって前記第1時点後初めて測定される制御タイミングCTであり、出側板厚偏差△h(7)(=△h1実測値)は、実測値として用いることができる。なお、この第1区間の圧延材WK(1)は、前記出側板厚測定部によって前記第1時点後初めて測定される、前記圧延機で圧延された圧延材の一例に相当する。この第7区間の圧延材WK(7)には、6回目の制御タイミングCT(6)で求めた予測出側板厚偏差△hp(6)が出側板厚偏差△h(7)(=△h6予測値)として対応付けられる。板厚制御部2は、式3によって第1誤差e1(7)を求め、この求めた第1誤差e1(7)で式4によって補正した補正出側板厚偏差△hc1(7)を求め、式5により、第2フィードバック板厚制御の指令値△S(7)((=((M+m)/M)×△hc1(7))を求めて圧下装置13へ出力し、圧延機1のロールギャップ長を制御する。
前記処理S4に続いて、板厚制御部2は、第2期間の終了か否かを判定する(S5)。前記第2時点T2から、前記第1時点T1で前記入側厚み計5によって測定された圧延材WKの入側板厚測定開始箇所が前記出側厚み計7によって測定される直前の第3時点T3に達したか否かは、例えば、トラッキングによって、あるいは、例えば、出側速度およびミル中心から前記出側厚み計7までの距離に基づいて、前記第2時点T2から、前記第1時点T1で前記入側厚み計5によって測定された圧延材WKの入側板厚測定開始箇所が前記出側厚み計7によって測定される直前の第3時点T3までの時間(=第2期間)を求めて前記第2時点T2から前記時間(=第2期間)が経過したか否かによって、判定できる。この判定の結果、前記第2期間の終了である場合(Yes)には、板厚制御部2は、次に、処理S6を実行し、一方、前記判定の結果、前記第2期間の終了ではない場合(No)には、板厚制御部2は、処理を処理S4に戻す。したがって、板厚制御部2は、第2期間が終了するまで、処理S4を各制御タイミングCT(k)で繰り返し実行する。
図3に示す例では、7回目の各制御タイミングCT(7)と同様に、8回目ないし12回目の各制御タイミングCT(8)~CT(12)の板厚制御が実行され、12回目の制御タイミングCT(12)での板厚制御が実行されると、処理S5で第2期間の終了と判定され、処理S6が実行される。なお、図3には、10回目の制御タイミングCT(10)での状況が図示されている。
この処理S6では、板厚制御部2は、前記第3時点以降の第3期間、第3制御方法で圧延機1のロールギャップ長を制御する。本実施形態では、板厚制御部2は、式6によって第2誤差e2(k)を求め、この求めた第2誤差e2(k)で式7によって補正した第2補正出側板厚偏差△hc2(k)を用いた第3制御方法の第3フィードバック板厚制御で圧延機1のロールギャップ長を制御する。
より具体的には、図3に示すように、13回目の制御タイミングCT(13)において、入側厚み計、入側速度計、出側厚み計および出側速度計それぞれによって、入側板厚H(13)、入側速度Vin(13)、出側板厚h(13)および出側速度Vout(13)が測定され、入側板厚偏差△H(13)(=H-H(13))および出側板厚偏差△h(13)(=h-h(13))が求められる。第1ないし第6トラッキングレジスタTr1~Tr6それぞれに格納されている各データが第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6それぞれにシフトし、第2ないし第6トラッキングレジスタTr2~Tr6には、前記シフトにより△H(12)(=△H16実測値)~△H(8)(=△H12実測値)が格納され、第1トラッキングレジスタTr1には、実測の入側板厚偏差△H(13)(=△H17実測値)が格納される。下流側では、前回、すなわち、12回目の制御タイミングCT(12)で圧延機1によって圧延された第12区間の圧延材WK(12)は、1個のトラッキング長に対応する長さだけ移動し、したがって、第11区間の圧延材WK(11)は、2個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第10区間の圧延材WK(10)は、3個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第9区間の圧延材WK(9)は、4個のトラッキング長に対応する長さだけ移動し、第8区間の圧延材WK(8)は、5個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになり、第7区間の圧延材WK(7)は、6個のトラッキング長に対応する長さだけ移動することになる。このため、図3に示すように、この13回目の制御タイミングCT(13)は、初回の制御タイミングCT(1)で前記入側厚み計5によって測定された圧延材WKの入側板厚測定開始箇所(図3に示す例では第7区間の圧延材WK(7)がその一例に相当する)が前記出側厚み計7によって測定される制御タイミングCTであり、出側板厚偏差△h(13)(=△h6実測値)は、実測値として用いることができ、入側板厚偏差△H(13)も実測値として用いることができる。この第13区間の圧延材WK(13)には、12回目の制御タイミングCT(12)で求めた予測出側板厚偏差△hp(12)が出側板厚偏差△h(13)(=△h11予測値)として対応付けられる。板厚制御部2は、式6によって第2誤差e2(13)を求め、この求めた第2誤差e2(13)で式7によって補正した第2補正出側板厚偏差△hc2(13)を求め、式8により、第3フィードバック板厚制御の指令値△S(13)((=((M+m)/M)×△hc2(13))を求めて圧下装置13へ出力し、圧延機1のロールギャップ長を制御する。
前記処理S6に続いて、板厚制御部2は、圧延の終了か否かを判定する(S7)。この判定の結果、圧延の終了である場合(Yes)には、板厚制御部2は、本処理を終了し、一方、前記判定の結果、圧延の終了ではない場合(No)には、板厚制御部2は、処理を処理S6に戻す。したがって、板厚制御部2は、圧延が終了するまで、処理S6を各制御タイミングCT(k)で繰り返し実行する。例えば、オペレータ(ユーザ)による図略の操作スイッチの入力操作によって圧延終了が指示されると、板厚制御部2は、圧延の終了と判定する。
以上説明したように、本実施形態における前記板厚制御装置およびこれに実装された板厚制御方法は、3個の第1ないし第3期間に分けて制御方法を変更するので、板厚精度をより向上できる。すなわち、上記圧延機の板厚制御装置および板厚制御方法は、入側板厚偏差および出側板厚偏差それぞれの実測状況に応じて3個の第1ないし第3期間に分け、入側板厚偏差および出側板厚偏差それぞれを実測できない第1期間では、第1制御方法を用い、出側板厚偏差を実測できる第2期間では、第2制御方法を用い、入側板厚偏差および出側板厚偏差それぞれを実測できる第3期間では、第3制御方法を用いるので、第2制御方法には実測の出側板厚偏差を利用可能であるから、第1制御方法より板厚精度を向上可能となり、第3制御方法には実測の出側板厚偏差および入側板厚偏差を利用可能であるから、第2制御方法より板厚精度を向上可能となる。上記圧延機の板厚制御装置および板厚制御方法は、第2期間を設けたことにより、前記特許文献1に開示された圧延機の板厚制御装置より、板厚精度を向上できる。
上記圧延機の板厚制御装置および板厚制御方法は、第1制御方法で予測した予測出側板厚偏差△hpを、前記出側厚み計で測定した出側板厚に基づき補正するので、第1制御方法より板厚精度を向上できる。
上記圧延機の板厚制御装置および板厚制御方法は、第1制御方法で予測した予測出側板厚偏差△hpを、前記出側厚み計で測定した出側板厚および前記入側厚み計で測定した入側板厚に基づき補正するので、第2制御方法より板厚精度を向上できる。
前記特許文献1に開示された圧延機の板厚制御装置は、出側板厚偏差の積分値を求める積分部を用いたフィードバック板厚制御であるので、いわゆる無駄時間があるから、積分ゲインを十分に大きくできないが、上記圧延機の板厚制御装置および板厚制御方法は、比例制御であるので、制御ゲインを十分に大きくできる。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。