JP7497699B2 - トレイ状容器 - Google Patents

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Description

本発明は、トレイ状容器に関する。
従来、プラスチック製のトレイ状容器が用いられている。斯かるプラスチック製のトレイ状容器は、内面に特別な加工をすることなく、食品の収容が可能となる。
近年、脱プラスチックや減プラスチックの流れを受け、プラスチック製のトレイ状容器から紙製のトレイ状容器への切り替えが行われている。
紙製のトレイ状容器に食品を収容すると、紙に食品からドリップされた油が染み込んでしまうため、予め紙にポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂をラミネートしたり、トレイ状容器の内面に樹脂フィルム層を積層接着させたりすることが提案されているが(たとえば、特許文献1~3参照)、上述したような紙製のトレイ状容器には、食品が収容されたものを電子レンジにかけた際、外面が熱くなり過ぎて、手で持つことができなくなるという問題があった。
斯かる問題を解決するために、紙層の基材として断ボールを使用して、トレイ状容器内面の熱を遮断することが検討されている(たとえば、特許文献4参照)。
特開平10-114327号公報 特表2013-545675号公報 特表2015-528762号公報 特開2000-153830号公報
しかしながら、紙層の基材として断ボールを使用すると、トレイ状容器の形状が歪んでしまい、トップシールをした際の気密性が低くなってしまうという問題がある。
そこで、本発明は、断熱性および気密性を両立可能なトレイ状容器を提供するトレイ状容器を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、上面が開口し、表裏ライナおよび中芯を有する段ボールを基材とする紙層と、紙層の開口側の内面に積層接着された樹脂フィルム層とを有するトレイ状容器であって、底面と、底面から立設された側面と、開口周縁に配設され、同一平面上にあるフランジ面とを有するトレイ状容器において、段ボールの厚さ、段ボールの300mm当たりの段山数、表裏ライナの坪量、および、中芯の坪量を特定の範囲とすることで、前記課題が解決されることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の<1>~<8>に関する。
<1> 上面が開口し、段ボールを基材とする紙層と、該紙層の開口側の内面に積層接着された樹脂フィルム層とを有するトレイ状容器であって、前記トレイ状容器は、底面と、該底面から立設された側面と、開口周縁に配設されたフランジ面とを有し、前記フランジ面が同一平面上にあり、前記段ボールは、表裏ライナと、該表裏ライナ間に配設された中芯とを有し、前記段ボールの厚さが0.3mm以上0.7mm以下であり、前記段ボールの300mm当たりの段山数が100以上190以下であり、前記表裏ライナの坪量が40g/m以上190g/m以下であり、前記中芯の坪量が40g/m以上190g/m以下である、トレイ状容器。
<2> 前記表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上2.00mm以下であり、前記表裏ライナを構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上25%以下である、<1>に記載のトレイ状容器。
<3> 前記中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上2.00mm以下であり、前記中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上25%以下である、<1>または<2>に記載のトレイ状容器。
<4> 前記側面が、前記底面から立設されると共に前記フランジ面に直接連設された主側面を含み、該主側面のテーパー角度が3.5°以上18°以下である、<1>~<3>のいずれかに記載のトレイ状容器。
<5> 前記トレイ状容器の深さが16mm以上90mm以下である、<1>~<4>のいずれかに記載のトレイ状容器。
<6> 前記紙層が前記樹脂フィルム層により接合されている、<1>~<5>のいずれかに記載のトレイ状容器。
<7> 前記フランジ面の4隅の紙層が分離されており、前記4隅の紙層が前記樹脂フィルム層により接合されている、<1>~<6>のいずれかに記載のトレイ状容器。
<8> 前記側面が、前記底面から立設されると共に前記開口周縁に直接連設しない副側面をさらに含む、<1>~<7>のいずれかに記載のトレイ状容器。
本発明によれば、断熱性および気密性を両立可能なトレイ状容器を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係るトレイ状容器の斜視図である。 図2は、図1のトレイ状容器を示す平面図である。 図3は、図2のA-A断面を示す断面図である。 図4は、図1の容器本体用のブランクシートの平面図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係るトレイ状容器の斜視図である。 図6は、図5のトレイ状容器を示す平面図である。 図7は、図5の容器本体用のブランクシートの平面図である。 図8Aは、トレイ状容器の変形例の説明図である。 図8Bは、トレイ状容器の変形例の説明図である。 図8Cは、トレイ状容器の変形例の説明図である。 図8Dは、トレイ状容器の変形例の説明図である。 図9Aは、図1のトレイ状容器における紙層の基材としての段ボールを示す説明図である。 図9Bは、図9Aの段ボールの変形例である複両面段ボールを示す説明図である。 図9Cは、図9Aの段ボールの変形例である複々両面段ボールを示す説明図である。 図10は、図1のトレイ状容器を製造するための金型(成形型)の斜視図である。 図11は、図1のトレイ状容器の製造方法の説明図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用でき、好ましいものどうしの組み合わせはより好ましいと言える。
また、本明細書において、好ましい数値範囲(たとえば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値および上限値は、それぞれ独立して組み合わせ得る。たとえば、「好ましくは10以上90以下、より好ましくは30以上60以下」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10以上60以下」とすることもできる。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値または下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における「段ボールの厚さ」とは、「表ライナの表面から裏ライナの表面までの距離」を意味する。即ち、段ボールの厚さには、表裏ライナの厚さも含まれる。 なお、段ボールが複層(多層構成)の段ボールである場合、「段ボールの厚さ」は、「複層(多層構成)における最表面の表ライナの表面から最裏面の裏ライナの表面までの距離」を意味する。即ち、段ボールの複層(多層構成)の全体の厚さが所定範囲内である必要がある。
また、本明細書における「段ボールの300mm当たりの段山数」とは「段ボールシートの中芯の波進行方向300mm当たりに存在する山の数」を意味する。
なお、段ボールが複層(多層構成)の段ボールである場合、「段ボールの300mm当たりの段山数」は、「複層(多層構成)における少なくとも1つの層の段ボールシートの中芯の波進行方向300mm当たりに存在する山の数」を意味する。即ち、段ボールの複層(多層構成)における少なくとも1つの層における300mm当たりの段山数が所定範囲内であればよい。
また、段ボールが複層(多層構成)の段ボールである場合、「表裏ライナの坪量」は、「複層(多層構成)における、少なくとも、最表層の表ライナの坪量と最裏層の裏ライナの坪量」を意味する。即ち、段ボールの複層(多層構成)における、少なくとも、最表層の表ライナの坪量と最裏層の裏ライナの坪量とが所定範囲内であればよい。
また、段ボールが複層の段ボールである場合、「中芯の坪量」は、「複層(多層構成)における少なくとも1つの層の中芯の坪量」を意味する。即ち、段ボールの複層(多層構成)における少なくとも1つの層における中芯の坪量が所定範囲内であればよい。
また、本明細書における「テーパー角度」とは法線に対する主側面の傾斜角度を意味する(図3における「テーパー角度A」参照)。ここで、主側面が複数存在する場合、1個のトレイ状容器に対してテーパー角度が複数存在することとなるが、これら複数のテーパー角度の平均値をテーパー角度とする。
さらに、本明細書における「トレイ状容器の深さ」とは、開口周縁(部)から底面までの距離の最小値を意味する(図3における「深さB」参照)。
[トレイ状容器]
本発明のトレイ状容器は、上面が開口し、段ボールを基材とする紙層と、該紙層の開口側の内面に積層接着された樹脂フィルム層とを有するトレイ状容器であって、前記トレイ状容器は、底面と、該底面から立設された側面と、開口周縁に配設されたフランジ面とを有し、前記フランジ面が同一平面上にあり、前記段ボールは、表裏ライナと、該表裏ライナ間に配設された中芯とを有し、前記段ボールの厚さが0.3mm以上0.7mm以下であり、前記段ボールの300mm当たりの段山数が100以上190以下であり、前記表裏ライナの坪量が40g/m以上190g/m以下であり、前記中芯の坪量が40g/m以上190g/m以下である。当該トレイ状容器は、断熱性および気密性を両立可能である。
本発明のトレイ状容器は、開口周縁に配設されたフランジ面をさらに有することにより、トレイ状容器に食品を収容した後、トレイ状容器の開口部にトップシールを行うことができる。
本発明のトレイ状容器は、フランジ面が同一平面上にあること、すなわち、フランジ面が重ね合わせ部を有していないことにより、トレイ状容器に食品を収容した後、トレイ状容器の開口部にトップシールを行った場合、トレイ状容器の気密性(密封性)を担保することができ、もってトレイ状容器内に収容された食品の鮮度を維持することができる。
より詳細には、通常、フランジ面の4隅の紙層は分離されているが、フランジ面の4隅に重ね合わせ部を有すると、トップシールを行っても、重ね合わせ部から空気が出入りしてしまう。フランジ面の4隅に重ね合わせ部を有していないことにより、トレイ状容器に食品を収容した後、トレイ状容器の開口部にトップシールを行って、トレイ状容器の気密性(密封性)をより担保することができる。
本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの厚さは、0.3mm以上0.7mm以下である限り、特に限定されないが、0.35mm以上であることが好ましく、0.4mm以上であることがより好ましく、0.45mm以上であることがさらに好ましく、そして、0.65mm以下であることが好ましく、0.6mm以下であることがより好ましく、0.55mm以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの厚さが0.3mm以上であることにより、断熱性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの厚さが0.7mm以下であることにより、気密性を向上させることができる。
本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの300mm当たりの段山数は、100以上190以下である限り、特に限定されないが、110以上であることが好ましく、120以上であることがより好ましく、130以上であることがさらに好ましく、そして、180以下であることが好ましく、175以下であることがより好ましく、1170以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの300mm当たりの段山数が100以上であることにより、気密性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における紙層の基材である段ボールの300mm当たりの段山数が190以下であることにより、断熱性を向上させることができる。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナの坪量は、40g/m以上190g/m以下である限り、特に限定されないが、50g/m以上であることが好ましく、60g/m以上であることがより好ましく、70g/m以上であることがさらに好ましく、そして、180g/m以下であることが好ましく、170g/m以下であることがより好ましく、160g/m以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナの坪量が40g/m以上であることにより、断熱性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における表裏ライナの坪量が190g/m以下であることにより、気密性を向上させることができる。
なお、表裏ライナの坪量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における中芯の坪量は、40g/m以上190g/m以下である限り、特に限定されないが、50g/m以上であることが好ましく、60g/m以上であることがより好ましく、70g/m以上であることがさらに好ましく、そして、180g/m以下であることが好ましく、170g/m以下であることがより好ましく、160g/m以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における中芯の坪量が40g/m以上であることにより、断熱性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における中芯の坪量が190g/m以下であることにより、気密性を向上させることができる。
なお、中芯の坪量は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、特に限定されないが、0.60mm以上であることが好ましく、0.70mm以上であることがより好ましく、0.80mm以上であることがさらに好ましく、そして、2.00mm以下であることが好ましく、1.90mm以下であることがより好ましく、1.80mm以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上であると、繊維同士の絡み合いを多くし、紙としての強度を向上させ、トレイ状容器に成形した際の歪みの発生を防止して、気密性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が2.00mm以下であると、短い繊維を多くし、繊維間の隙間の数を少なくし、繊維間の隙間の距離を短くし、熱を通過しにくくして、断熱性を向上させることができる。
また、本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上2.00mm以下であると、紙として適正な強度を確保することができ、折込がしやすくなりことで、トレイシートからトレイ状容器に成形する際のトレイの歪みを防止することができる。
なお、表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、特に限定されないが、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましく、10%以上であることが特に好ましく、13%以上であることが最も好ましく、そして、25%以下であることが好ましく、23.5%以下であることがより好ましく、22%以下であることがさらに好ましく、19%以下であることが特に好ましく、17%以下であることが最も好ましい。
本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上であると、短い繊維を多くし、繊維間の隙間の数を少なくし、繊維間の隙間の距離を短くし、熱を通過しにくくして、断熱性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における表裏ライナを構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が25%以下であると、繊維同士の絡み合いを多くし(繊維間結合が増加し)、紙としての強度を向上させ、トレイ状容器に成形した際の歪みの発生を防止して、気密性を向上させることができる。
なお、表裏ライナを構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、特に限定されないが、0.60mm以上であることが好ましく、0.70mm以上であることがより好ましく、0.80mm以上であることがさらに好ましく、そして、2.00mm以下であることが好ましく、1.90mm以下であることがより好ましく、1.80mm以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上であると、繊維同士の絡み合いを多くし、紙としての強度を向上させ、トレイ状容器に成形した際の歪みの発生を防止して、気密性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が2.00mm以下であると、短い繊維を多くし、繊維間の隙間の数を少なくし、繊維間の隙間の距離を短くし、熱を通過しにくくして、断熱性を向上させることができる。
なお、中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、特に限定されないが、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましく、そして、25%以下であることが好ましく、23.5%以下であることがより好ましく、22%以下であることがさらに好ましい。
本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上であると、短い繊維を多くし、繊維間の隙間の数を少なくし、繊維間の隙間の距離を短くし、熱を通過しにくくして、断熱性を向上させることができる。また、本発明のトレイ状容器における中芯を構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が25%以下であると、繊維同士の絡み合いを多くし(繊維間結合が増加し)、紙としての強度を向上させ、トレイ状容器に成形した際の歪みの発生を防止して、気密性を向上させることができる。
なお、中芯を構成するパルプにおける繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
本発明のトレイ状容器における主側面のテーパー角度は、特に限定されないが、3.5°以上であることが好ましく、4°以上であることがより好ましく、4.5°以上であることがさらに好ましく、5°以上であることがさらにより好ましく、そして、18°以下であることが好ましく、17°以下であることがより好ましく、16°以下であることがさらに好ましく、15°以下であることがさらにより好ましい。
本発明のトレイ状容器における主側面のテーパー角度が3.5°以上であると、紙層の開口側の内面に樹脂フィルム層を積層接着しやすくなり、また、樹脂フィルム層が破断するのを防止することができる。また、本発明のトレイ状容器における主側面のテーパー角度が18°以下であると、衝撃が加えられた場合であっても樹脂フィルム層の破断を防止することができる。
本発明のトレイ状容器の深さは、特に限定されないが、16mm以上であることが好ましく、17mm以上であることがより好ましく、18mm以上であることがさらに好ましく、20mm以上であることがさらにより好ましく、そして、90mm以下であることが好ましく、87mm以下であることがより好ましく、84mm以下であることがさらに好ましく、80mm以下であることがさらにより好ましい。
本発明のトレイ状容器の深さが16mm以上であると、容器の強度が向上し、トレイ状容器に衝撃を与えた際に歪みが生じるのを防止することができ、食品の充填容量が増加する等、容器としての有用性を向上させることができる。本発明のトレイ状容器の深さが90mm以下であると、紙層の開口側の内面に樹脂フィルム層を積層接着させる際に樹脂フィルム層が破断するのを防止することができ、また、トレイ状容器としての安定性を向上させることができる。
また、本発明のトレイ状容器は、紙層が樹脂フィルム層により接合されていることが好ましい。紙層が樹脂フィルム層により接合されていると、接着剤を用いずにトレイ状容器を作製することができる。
また、通常、本発明のトレイ状容器は、フランジ面の4隅の紙層は分離されているが、4隅の紙層が樹脂フィルム層により接合されていることが好ましい。
また、本発明のトレイ状容器は、側面が底面から立設されると共に開口周縁に直接連設しない副側面をさらに含むことが好ましい。側面が底面から立設されると共に開口周縁に直接連設しない副側面をさらに含むと、樹脂フィルム層が歪んで孔が開き易い角部をなくすことにより、樹脂フィルム層を紙層の開口側の内面にむらなく確実に積層接着することができると共に、トレイ状容器を弁当容器(どんぶり)として用いた場合におけるトレイ状容器に収容された食品の食べ易さを向上させることができる。
さらに、本発明のトレイ状容器は、フランジ面が重ね合わせ部を有していない限り、フランジ面以外において、重ね合わせ部があってもよく、重ね合わせ部がなくてもよい。フランジ面以外において重ね合わせ部があると、トレイ状容器の強度が向上する。一方、フランジ面以外において重ね合わせ部が無いと、紙層と樹脂フィルム層とのより確実な接着を実現することができる。
以下、図1~図4を参照して第1実施形態に係るトレイ状容器100を説明する。
第1実施形態では、トレイ状容器が水平面に載置された姿勢を例示する。第1実施形態に係るトレイ状容器100は、前後左右(図中には「FBLR」で示す)に対称をなす。
鉛直方向のうち重力の作用方向を下方(図中には「D」で示す)とし、下方の反対方向を上方(図中には「U」で示す)とする。さらに、容器本体の収容空間で物品が収容される空間側を内側とし、内側の反対側を外側とする。
図1は、本発明の第1実施形態に係るトレイ状容器の斜視図であり、図2は、図1のトレイ状容器を示す平面図であり、図3は、図2のA-A断面を示す断面図であり、図4は、図1の容器本体用のブランクシートの平面図である。
図1に示すように、トレイ状容器100は、ボール型または丼ぶり型をなす紙製のトレイ型容器である。トレイ状容器100として、食品を収容する食品用包装容器を例に挙げることができる。但し、トレイ状容器100には、食品に限らずさまざまなものが収容されうる。
トレイ状容器100は、容器本体を形成する紙層100Aと、紙層100Aの開口110A側の内面に積層接着された樹脂フィルム層12とを備えている。
トレイ状容器100は、上面(天面)が8角形状の開口110Aをなし、内側に収容空間を有する包装体である。
トレイ状容器100は、8角形状(多角形状)の底面20と、底面20から立設された側面30と、開口周縁13に配設されたフランジ面40とを備えている。側面30は、底面20から立設されると共に開口周縁13に直接連設された主側面31と、底面20から立設されると共に開口周縁13に直接連設しない第1副側面32Aと、開口周縁13に直接連設すると共に底面20から立設されない第2副側面32Bとを有する。底面20の各辺と側面30との間には折目14が延在している。
フランジ面40に重ね合わせ部(重合片)はなく、フランジ面が同一平面上にある。紙層100Aは樹脂フィルム層12により接合されており、紙層100Aどうしの接合に接着剤等を使用していない。
トレイ状容器100は、折目14で8個の側面30が折り立てられて角錐台状の形状に成形されている。
図1~図3に示すように、側面30が折り立てられて角錐台状に成形された状態で、隣接する側面30で底面20から開口110Aへ向かって延びる側縁34,35どうしが突き合わされて角錐台状の角部をなす。トレイ状容器100は、8個の側面30の側縁34,35どうしが突き合わされた角部を8個有する8角錐台形状に成形されている。なお、ここでいう「角部」は、角錐台において上底および下底を結ぶ側面30において角をなす部位であり、側面30と底面20との角をなす部位を含まない。
側縁34,35どうしが突き合わされた角部には、隙間部36が設けられている。
隙間部36は、側縁34,35どうしが離間して形成されており、底面20と開口110Aとの間に線状に延在している。
隙間部36は、角部で紙層100Aが形成する容器本体の内面側(収容空間の内側)と外面側(収容空間の外側)とを連通している部位であり、後述するトレイ状容器100の製造過程における真空吸引の際に紙層(容器本体)100Aの内面側から外面側へ空気が通過するための通路(流通路)となる。
隙間部36で側縁34,35どうしが離間する寸法は、吸引時の通気性と容器本体の成形性との双方を考慮して設定されている。
本第1実施形態の隙間部36は、底面20と開口110Aとを直線で結ぶ寸法よりも長い寸法に設定されている。ここでいう「直線」は、底面20の角から側面30における側縁34,35の上端(開口周縁13と側縁34,35との交差箇所)までを結ぶまっすぐな一直線を意味する。
この隙間部36は、底面20と開口110Aとの間の中間位置100Mで隙間部36を屈曲させた屈曲部37を備えている。本第1実施形態では、隙間部36が屈曲部37よりくの字型に屈曲されている場合を例に挙げる。隙間部36に関する詳細な構成は後述する。
そのほか、トレイ状容器100は、各側面30で上側(開口110A側)の開口周縁13から開口110Aとは反対側へ延出されたフランジ面40を有している。フランジ面40は、開口110Aの外周に沿って設けられたつば状の部位である。隣接する側面30から延出されたフランジ面40の側縁どうしも突き合わされ、離間して隙間部36を形成している。言い換えれば、隙間部36はフランジ面40まで延びて設けられている。
第1実施形態に係るトレイ状容器100の詳細な構成を説明する。
副側面32は、折目38を介して互いに接続された第1副側面32Aおよび第2副側面32Bにより形成されている。折目38は中間位置100Mで副側面32の面に沿って底面20の辺と平行に延在する折れ線である。副側面32で、第1副側面32Aは第2副側面32Bに対して折目38を介してトレイ状容器100の内側へ向かって折り曲げられている。
第1副側面32Aは、底面20から中間位置100Mに向かって幅が狭くなる台形形状をなす。第2副側面32Bは、第1副側面32Aの上底に対応する折目38から開口110Aに向かって幅が広くなる台形形状をなす。
すなわち、副側面32は、側面から視て中間位置100Mで括れた砂時計型の面部であり、その両側縁34は中間位置100Mでくの字型に屈曲されている。
主側面31は、副側面32の側縁34に適合する形状に屈曲された側縁35を有し、底面20から中間位置100Mに向かって幅が広くなる部分を有する6角形状の側面30である。
具体的には、主側面31の側縁35は、隣接する副側面32の側縁34に沿って屈曲されたくの字型形状をなす。このため、副側面32の側縁34と主側面31の側縁35との間にくの字型の隙間部36が形成され、この隙間部36は中間位置100Mの屈曲部37でくの字型に屈曲されている。
また、本第1実施形態のトレイ状容器100では、底面20の各辺と側面30(主側面31および副側面32)との間に延在する折目14に沿って複数の切り込みが断続的に形成されている。
さらに、副側面32で、第1副側面32Aと第2副側面32Bとの間に延在する折目38に沿って複数の切り込みが断続的に形成されている。
折目14,38に沿って形成された複数の切り込みは、折目14,38で線状に断続的に延在する隙間(容器本体を厚み方向に貫通するスリット)をなし、後述する吸引の際に容器本体の内面側から外面側へ空気が通過するための流通路となる。
折目14,38の延在方向に沿う切り込みの寸法や、切り込みの数は、吸引時の通気性と容器本体の成形性との双方を考慮して設定されている。
そのほか、図1~図3に示すトレイ状容器100は、4個の副側面32を「4角錐台の角をなす角面部」と見做せば、トレイ状容器100は、4個の主な側面(主側面31)とこれらの側面どうしの間に設けられた4個の角面部(副側面32)とを有する4角錐台形状の容器と概観することも可能である。
このようにトレイ状容器100を4角錐台形状と捉えた場合には、4角錐台形状の角をなす角面部(副側面32)の両側縁に沿って「くの字型」に屈曲された隙間部36を有すると言える。副側面32の第1副側面32Aは、4角錐台形状の角をなす角面部の底面20側で面取りされた面部をなすとも言える。
図4に示すように、紙層(容器本体)100Aの形成に用いるブランクシート100A′は、8角形状の底面シート片20′と、底面シート片20′の各辺から延出された側面シート片30′とを備えている。図4の説明では、底面シート片20′の各辺から側面シート片30′が延出された方向を「延出方向」と称し、側面シート片30′で延出方向に沿って底面シート片20′の側を延出方向の「内側」と称し、その反対側を延出方向の「外側」と称する。
底面シート片20′と側面シート片30′との間には、底面シート片20′の辺に沿って折目線14′が設けられている。
各側面シート片30′において、延出方向の外側の端縁には、底面シート片20′の辺に沿って平行な折目線13′が設けられており、折目線13′から延出方向の外側へ向かってフランジ面シート片40′が延出されている。
各側面シート片30′のうち、副側面シート片32′は、底面シート片20′の辺から延出方向の外側に向かって幅が狭くなる台形形状をなす第1副側面シート片32A′と、第1副側面シート片32A′に接続されており開口110Aに向かって延出方向の外側に向かって幅が広くなる台形形状をなす第2副側面シート片32B′とを備えている。
副側面シート片32′の側縁34′は、くの字型に屈曲された形状をなす。
各側面シート片30′のうち、主側面シート片31′は、底面シート片20′の辺から延出方向の外側に向かって幅が広くなる部分を有する6角形状をなす。主側面シート片31′の側縁35′は、隣接した副側面シート片32′の側縁34′に適合するくの字型に屈曲された形状をなす。
第1実施形態に係るトレイ状容器100は、上述のような構成を備えるため、下記(1)~(6)のような作用および効果を得ることができる。
(1)隙間部36が底面20と開口110Aとを一直線で結ぶ寸法よりも長い寸法に設定されているため、角部の隙間で空気の流通路の断面積(隙間部36の正面視では寸法)を確保できる。そのため、紙層(容器本体)100Aと樹脂フィルム層12との間の空気が確実に吸引され、紙層(容器本体)100Aの内面に樹脂フィルム層12を確実に積層接着させることができる。
また、線状の隙間部36を介して空気が均一に吸引されやすくなるので、吸引の負荷が分散され樹脂フィルム層12が破損しにくくなる。この点からも、紙層(容器本体)100Aの内面に樹脂フィルム層12を確実に積層接着させることができる。
よって、紙層(容器本体)100Aの内面に樹脂フィルム層12が適切に積層接着されたトレイ状容器100を提供することができる。
(2)隙間部36が屈曲部37で屈曲されていることで、一直線の隙間部に比べて通気可能な隙間の寸法を簡素な構成で長くすることができる。
(3)主側面31,副側面32のそれぞれで側縁35,34がくの字型に屈曲された形状に沿って隙間部36がくの字型に屈曲されており、これら一対の隙間部36の寸法を長く確保するための構造が簡素である。
さらに、副側面32が台形形状の第1副側面32Aおよび第2副側面32Bで形成されており、容器本体100Aの角部で面状部が増えるため、容器本体100Aが撓みにくくなり、容器本体100Aの強度を確保しやすくなる。容器本体100Aの角部で面状部が増えることで、容器本体100Aの収容空間の内面の形状が球面形状に近づき、トレイ状容器100に電子レンジによる加熱調理を施した際の熱循環効率が向上する。
(4)底面20の各辺と側面30との間の折目14に沿って複数の切り込みが形成されていることで線状の隙間が隙間部36に加えて設けられるため、底面20側に後述の樹脂フィルムシートを引き込みやすくなり樹脂フィルム層12をより確実に形成できる。
(5)副側面32で第1副側面32Aと第2副側面32Bとの間に折目38に沿って複数の切り込みが形成されていることで、隙間部36に加えて線状の隙間をさらに増やすことができる。そのため、副側面32側に後述の樹脂フィルムシートを引き込みやすくなり樹脂フィルム層12をより確実に形成できる。
(6)各側面30からフランジ面40が延出されており、隣接するフランジ面40の側縁どうしが突き合わされており、フランジ面40どうしの部分的な重複やこれによる段差が生じにくくなるため、フランジ面40の上面を平面状に成形しやすい、よって、フランジ面40の上面にも樹脂フィルム層12を確実に形成できる。
次に、図5~図7を参照して第2実施形態に係るトレイ状容器200を説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るトレイ状容器の斜視図であり、図6は、図5のトレイ状容器を示す平面図であり、図7は、図5の容器本体用のブランクシートの平面図である。図5~図7のトレイ状容器200では、図1~図4のトレイ状容器100とは、大きくは容器の角をなす角部で隣接する側面50(41、42、43)と、角部に設けられた隙間部46,屈曲部47が異なっており、ほかの構成は同一である。以下の説明では、図1~図4と重複する説明は省略する。トレイ状容器200は、トレイ状容器100よりも強度が小さい。
図5,6に示すように、トレイ状容器200は4角形状の開口110Bと8角形状の底面21とを有しており、底面21の各辺から延出された8個の側面50が折り立てられて角錐台状に成形されている。
このトレイ状容器200で側面50には、第1主側面41,第2主側面42および副側面43の3種類がある。
第1主側面41と第2主側面42とは、開口110Bから中間位置200Mまでの領域でそれぞれの側縁44,45どうしが突き合されている。第1主側面41と第2主側面42とのそれぞれは、底面21から開口110Bに向かって幅が広くなる6角形状に形成されており、開口周縁13は開口110Bの1辺をなす。
副側面43は、第1主側面41と第2主側面42とに挟まれて配置されており、底面21から中間位置200Mまで延びる3角形状に形成されている。
トレイ状容器200の隙間部46は、第1主側面41の側縁45と第2主側面42の側縁44と、副側面43の側縁48とで形成されている。
具体的には、隙間部46は、開口110Bから中間位置200Mまでは側縁44,45に沿う直線状をなし、中間位置200Mの屈曲部47から底面21に向かって、第2主側面42の側縁44と副側面43の一側縁48に沿う隙間と、第1主側面41の側縁45と副側面43の他側縁48に沿う隙間との2本に分岐されている。
そのほか、図5,6に示すトレイ状容器200で副側面43は、4角錐台状の4個の角部の底面21側で面取りされた面部をなす、と言える。また、隙間部46は、4角錐台状の4個の角部の底面21側で面取りされた面部に沿って分岐した「Y字型の隙間」と言える。
図7に示すように、紙層(容器本体)200Bの形成に用いるブランクシート200B′で、8角形状の底面シート片21′との各辺から延出された側面シート片50′には、第1主側面シート片41′,第2主側面シート片42′,副側面シート片43′がある。
第1主側面シート片41′と第2主側面シート片42′とのそれぞれは、底面シート片21′の1辺から延出方向の外側に向かって幅が広くなる6角形状をなす。第1主側面シート片41′と第2主側面シート片42′とのそれぞれの側縁45′,44′は、くの字型に屈曲された形状をなす。
副側面シート片43′は底面シート片21′の1辺から延出方向の外側に向かって延びる3角形状をなす。詳しくは、副側面シート片43′は両側縁48′の長さが等しい2等辺3角形状をなす。
副側面シート片43′の延出方向に沿う寸法(3角形の高さ)は、第1主側面シート片41′,第2主側面シート片42′の延出方向に沿う寸法よりも小さく設定されており、ブランクシート200B′を用いて成形された紙層(容器本体)200Bで隙間部46が中間位置200Mで2本に分岐するようになっている。
第2実施形態に係るトレイ状容器200は、上述のような構成を備えるため、下記のような作用および効果を得ることができる。
隙間部46が2本に分岐していることで、一直線の隙間部に比べて通気可能な隙間の寸法を長く確保できる。そのため、後述の樹脂フィルムシートの吸引性が確保されやすくなり樹脂フィルム層12を確実に形成できる。また、吸引の負荷が分散されやすく、後述の樹脂フィルムシートが破れにくくなり樹脂フィルム層12が確実に形成される。
よって、トレイ状容器200を適切に製造できるようになる。
さらに、容器本体200Bの角部で底面21側に3角形状の副側面43が形成されており、容器本体200Bの角部で面状部が増えるため、容器本体200Bが撓みにくくなり、容器本体200Bの強度を確保しやすくなる。容器本体200Bの角部で面状部が増えることで容器本体200Bの収容空間内面の形状が球面形状に近くなるため、トレイ状容器200に電子レンジによる加熱調理を施した際の熱循環効率が向上される。
そのほか、第1実施形態と同一の構成からは第1実施形態と同様の効果が得られる。
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、これらの実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
たとえば、隙間部は、屈曲部で屈曲した形態に限らず、湾曲した曲線状の隙間であってもよい。
トレイ状容器の形状は、上述したボール型またはどんぶり型(深皿型)に限らず、また、上述した8角錐台状(図1)、4角錐台状(図5)に限らず任意の多角錐台状であってよい。また、各錐に限らず任意の形状であってもよい。
トレイ状容器で折目の箇所に設けられた切り込みは、省略してもよい。
そのほか、図8A~Dに示すように側面の一側縁に抑え片180,185,190,195が延設されていてもよい。
図8Aは、トレイ状容器100で主側面31の側縁35から副側面32に向かって延出されたM字型の抑え片180を示す。
図8Bは、トレイ状容器200で副側面43の両側縁48のそれぞれから第1主側面41,第2主側面42に向かって延出された3角形型の抑え片185を示す。
図8Cは、トレイ状容器200で図8Bの抑え片185に加えて、第1主側面41の側縁45から第2主側面42に向かって延出された台形型の抑え片190を示す。
図8Dは、トレイ状容器200で副側面43の両側縁48のそれぞれから第1主側面41,第2主側面42に向かって延出された3角形型の抑え片195を示す。
抑え片180,185,190,195により、隣接する側面部どうしの連結強度を向上させることができる。
<紙層>
紙層を構成する段ボールは、図9Aに示すように、表ライナ92Aと、裏ライナ92Bと、表ライナ92Aと裏ライナ92Bとの間に配設された中芯93と、を有する段ボール91Aである。表ライナ92A、裏ライナ92Bおよび中芯93は、公知の接着剤等を用いて接着されて、例えば、図9Aに示すような単層(1層)構成の段ボールを構成する。
紙層を構成する段ボールは、通常、図9Aに示すような単層(1層)構成の段ボールであるが、多層構成(複両面段ボール91B(図9B)、複々両面段ボール91C(図9C))の段ボールであってもよい。紙層を構成する段ボールは、折り込みやすさの観点で、図9Aに示すような単層(1層)構成の段ボールであることが好ましい。
単層(1層)構成の段ボールを使用することにより、複層構成(多層構成)の段ボールを使用する場合よりも、トレイ状容器とするために段ボールを折り込んだ際に、各層の段山が邪魔をして所望の箇所で折り込みづらくなるのを抑制することができる。
ここで、紙層を構成する段ボールが、複両面段ボール(図9B)、複々両面段ボール(図9C)等の複層(多層構成)の段ボールである場合、複層(多層構成)における各層が表裏ライナと該表裏ライナ間に配設された中芯とを有し、各層の厚さの合計が0.3mm以上0.7mm以下であり、各層の300mm当たりの段山数が100以上190以下であり、各層における表裏ライナの坪量が40g/m以上190g/m以下であり、各層における中芯の坪量が40g/m以上190g/m以下である。
また、図9Bの複両面段ボール91Bおよび図9Cの複々両面段ボール91Cは、いずれも、複層(多層構成)における層の境目のライナ92A,92Bが表ライナ92Aと裏ライナ92Bを兼用した1つのライナであるが、これに限定されるものではなく、表ライナ92Aと裏ライナ92Bとが別個に設けられ、表ライナ92Aと裏ライナ92Bとが接着剤等により接着されていてもよい。
表裏ライナの厚み(各ライナの厚み)は、特に限定されないが、それぞれ、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、そして、400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。
中芯の厚みは、特に限定されないが、50μm以上であることが好ましく、80μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましく、そして、400μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。
表裏ライナおよび中芯は、原紙を基材とする。表裏ライナおよび中芯を構成する原紙は、一般的に用いられている紙であれば特に限定されず、植物由来のパルプを主成分とする紙であることが好ましく、木材パルプを主成分とする紙であることがより好ましい。
具体的には、クラフト紙、上質紙、(白)板紙、紙器用原紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、塗工紙、片艶紙等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
クラフト紙としては、晒クラフト紙、未晒クラフト紙、片艶晒クラフト紙が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、表裏ライナは、C5、C6、K5、K6およびK7のいずれの種類のライナであってもよい。
なお、トレイ状容器に成形する際の、原紙の坪量等の物性変化はほとんどない。そのため、トレイ状容器に成形する前の表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の坪量は、トレイ状容器に成形した後の表裏ライナおよび中芯の坪量と略同じであり、好適な範囲はそれぞれ同じである。
表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の密度は、特に限定されないが、成形加工性の観点から、0.60g/cm以上であることが好ましく、0.65g/cm以上であることがより好ましく、0.70g/cm以上であることがさらに好ましく、そして、0.90g/cm以下であることが好ましく、0.85g/cm以下であることがより好ましく、0.80g/cm以下であることがさらに好ましい。
表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の原料パルプは、前述の通り、木材パルプが好ましく、クラフトパルプがより好ましい。
クラフトパルプは、原料の違いから、広葉樹クラフトパルプ(LKP)および針葉樹クラフトパルプ(NKP)が挙げられる。
また、処理状態の違いから、晒クラフトパルプ(BKP)、未晒クラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)が挙げられ、強度の観点から、晒クラフトパルプ(BKP)が好ましい。
これらの中でも、原料パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)が好ましく、広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用することがより好ましい。広葉樹クラフトパルプ(LKP)と針葉樹クラフトパルプ(NKP)とを併用した場合の質量比(LKP/NKP)は、一般的な紙に用いられる比率であれば、特に制限なく、1/99~99/1であることが好ましく、20/80~99/1であることがより好ましく、30/70~99/1であることがさらに好ましく、50/50~99/1であることがさらにより好ましく、70/30~95/5であることが特に好ましい。
また、広葉樹クラフトパルプ(LKP)としては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)が好ましい。
表裏ライナおよび中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、特に限定されないが、原紙としての紙力を得る観点から、0.60mm以上であることが好ましく、0.70mm以上であることがより好ましく、0.80mm以上であることがさらに好ましく、そして、2.00mm以下であることが好ましく、1.90mm以下であることがより好ましく、1.80mm以下であることがさらに好ましい。
表裏ライナおよび中芯を構成する繊維の長さ加重平均繊維長は、原紙を実施例に記載の方法にて離解し、得られたパルプスラリーの繊維長を繊維長測定器(バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)にて測定して、算出する。
なお、長さ加重平均繊維長は、長さ0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して測定した繊維長に対して、長さ加重平均繊維長を算出する。
表裏ライナおよび中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、特に限定されないが、5%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、9%以上であることがさらに好ましく、そして、25%以下であることが好ましく、23.5%以下であることがより好ましく、22%以下であることがさらに好ましい。
紙基材を構成する繊維のパルプ中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数は、原紙を実施例に記載の方法にて離解し、得られたパルプスラリーの繊維長を繊維長測定器(バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)にて測定して、算出する。繊維長が0.2mm以下であり、かつ、繊維幅が75μm以下の繊維を微細繊維とし、測定したパルプの本数に対する、微細繊維の本数割合を算出する。
表裏ライナおよび中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長および微細繊維の本数割合を上記の範囲内とするためには、原料パルプの選択、パルプの化学的処理や機械的処理における濾過の有無、叩解処理の濃度および叩解負荷などを選択することで適宜調整すればよい。
また、微細繊維の本数割合を増やすことを目的として、パルプ繊維を機械粉砕した粉末パルプを添加してもよい。
さらに、表裏ライナおよび中芯の原紙を製造する際に、抄紙工程においてカチオン性ポリマーである歩留向上剤を添加することにより、微細繊維が抄紙の際に原紙に留まる割合が高くなるため、抄紙工程でのカチオン性ポリマーの添加により微細繊維の本数割合を増加させてもよい。
表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の原料パルプのJIS P8121-2:2012に準じて測定した離解フリーネス(濾水度)は、750mL以下とすることが好ましく、700mL以下とすることがより好ましく、650mL以下とすることがさらに好ましい。下限としては300mL以上とすることが好ましく、400mL以上とすることがより好ましく、500mL以上とすることがさらに好ましい。ここで、離解フリーネスとは、抄紙後の紙をJIS P8220-1:2012に準拠して離解したパルプを、JIS P8121-2:2012に準拠して測定したカナダ標準濾水度(Canadian standard freeness:CSF)のことである。離解フリーネスを調整するためにパルプを叩解する方法は、公知の方法を使用することができる。
内添サイズ剤としては、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
内添サイズ剤の含有量は、表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の原料パルプ100質量部に対して3質量部以下が好ましい。
表裏ライナおよび中芯を構成する原紙には、内添サイズ剤以外に、公知のその他の内添剤を添加してもよい。内添剤としては、硫酸バンド、紙力増強剤、高分子凝集剤、填料、歩留り向上剤、pH調整剤、濾水性向上剤、耐水化剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、スライムコントロール剤、染料・顔料等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
填料としては、二酸化チタン、カオリン、タルク、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
表裏ライナおよび中芯を構成する原紙の抄紙においては、公知の湿式抄紙機を適宜選択して使用することができる。
抄紙機としては、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
抄紙機によって形成された表裏ライナおよび中芯は、たとえば、フェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させることが好ましい。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
<樹脂フィルム層>
本発明のトレイ状容器における樹脂フィルム層は、紙層(容器本体)の内面側を樹脂フィルムシートで被覆(内装)した層である。樹脂フィルム層は、紙層(容器本体)で各側面が折り立てられた状態を維持する機能をはじめ、紙層(容器本体)の内面に耐水性や耐熱性といった機能を付与する機能層である。
樹脂フィルム層に用いる樹脂フィルムシートには、付与する機能に応じた性質を有するシート材が用いられる。たとえば、紙層(容器本体)に樹脂フィルムシートを吸着させる際に樹脂フィルムシートが伸長することを加味した延伸性や、耐水性、耐熱性、熱融着性などの機能をもつプラスチックシートが樹脂フィルムシートに採用される。
本発明のトレイ状容器における樹脂フィルム層は、紙層(容器本体)の表面を食品等の収容物品から保護する役割を有する観点から、延伸性やバリア性を有する樹脂積層体であることが好ましい。樹脂積層体は、中間層にバリア層を含み、紙層(容器本体)の内面に接する層は、紙層(容器本体)にヒートシールされる必要があるため、熱可塑性樹脂からなる層を有する樹脂積層体であることがより好ましい。
バリア層は、樹脂に限られず、金属箔等でもよいが、紙層の印刷面を視認できるようにし、意匠性を高める観点から、樹脂から構成されることが好ましく、透明の樹脂から構成されることがより好ましい。
バリア層を構成する樹脂としては、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびポリ塩化ビニリデン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコールおよびエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましい。
バリア層を構成するポリアミド系樹脂としては、芳香族ポリアミドが好ましく、ポリアミドMXD6がより好ましい。
樹脂積層体の紙層(容器本体)の内面に接する層を構成する樹脂としては、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン6等の脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
収容空間の内側を向いた層は、たとえば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン(PP)樹脂、具体的には、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン共重合体、ブロックポリプロピレン共重合体が例示され、特に、ランダムポリプロピレン共重合体を用いるのが好ましい。
樹脂積層体の紙層(容器本体)の内面に接する層を構成するポリアミド系樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12等の脂肪族ポリアミド重合体;ナイロン6-66(ナイロン6とナイロン66の共重合体を表す。以下同様に表記する)、ナイロン6-10、ナイロン6-12、ナイロン6-69、ナイロン6-610、ナイロン66-69等の脂肪族ポリアミド共重合体;などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、脂肪族ポリアミド共重合体が好ましく、ナイロン6-66、ナイロン6-10、またはナイロン6-12がより好ましい。
樹脂積層体の紙層(容器本体)の内面に接する層を構成するポリエステル系樹脂としては、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート/イソフタレート)、ポリ(エチレングリコール/シクロへキサンジメタノール/テレフタレート)などが挙げられる。さらに、これらの重合体に共重合成分として、エチレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール等のジオール類またはイソフタール類;ベンゾフェノンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルメタンジカルボン酸、プロピレンビス(フェニルカルボン酸)、ジフェニルオキサイドジカルボン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ジエチルコハク酸等のジカルボン酸;を含有せしめたものが使用できる。
樹脂積層体の紙層(容器本体)の内面に接する層を構成するポリオレフィン系樹脂としては、たとえば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン等のポリプロピレン系樹脂;プロピレン-エチレン共重合体;エチレン-酢酸ビニル共重合体;アイオノマー樹脂;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体;エチレン-(メタ)アクリル酸-不飽和カルボン酸エステル共重合体;等の各種共重合体が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ポリエチレン系樹脂が好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンがより好ましい。
樹脂フィルム層に用いる樹脂フィルムシートは、上記の構成の他、種々を組み合わせた多層構成としてもよい。
また、樹脂フィルム層に用いる樹脂フィルムシートは、環境負荷低減の観点から、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等の生分解性樹脂を用いることも好ましい。
また、樹脂フィルム層に用いる樹脂フィルムシートは、それぞれドライラミネート法により積層してもよいが、同時に溶融押出しする、共押出し法により形成したフィルムが好ましい。なお、後述する実施例で使用している樹脂フィルムシートA~Cは、共押出し法により形成したフィルムである。
樹脂フィルム層のフィルム厚は、20μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることがさらに好ましく、そして、300μm以下であることが好ましく、250μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。
樹脂フィルム層のフィルム厚は、300μm以下であることにより、紙層の質量を樹脂フィルム層の質量よりも大きくすることができ、トレイ状容器を紙マークの付与対象とすることができる。
樹脂フィルム層に好適に用いられる樹脂積層体(積層フィルム)の市販品としては、エンシュー化成株式会社製のPE(ポリエチレン)/PE(ポリエチレン)/EVA(エチレン酢酸ビニル)の3層フィルム(商品名:スキンパック、膜厚150μm)、三菱ケミカル株式会社製のPP(ポリプロピレン)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/特殊接着層(非開示)の3層フィルム(商品名:ダイアミロンF680、膜厚200μm)、三菱ケミカル株式会社製のPP(ポリプロピレン)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/PP(ポリプロピレン)の3層フィルム(商品名:ダイアミロンF001、膜厚40μm)、フタムラ化学工業株式会社製のPP(ポリプロピレン)/PVOH(ポリビニルアルコール)/PPの3層フィルム(商品名:ECO-B、膜厚20μm)、グンゼ株式会社製のNY6(ナイロン6)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/NY6の3層フィルム(商品名:ヘプタックスHP、膜厚17μm)、ユニチカ株式会社製のNY6/MXD6(ポリアミドMXD6)/NY6の3層フィルム(商品名:エンブロンM、膜厚15μm)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
<トレイ状容器の製造方法>
まず、図10,図11を参照して、図4のブランクシート100A′を用いたトレイ状容器100の製造に用いる成形型160の構成を説明する。
図10は、ブランクシート100A′を用いてトレイ状容器100を製造するために用いる成形型160の斜視図である。
成形型160は、ブランクシート100A′を角錐台状の紙層(容器本体)100Aに成形すると共に、真空吸引により紙層(容器本体)100Aの内面に樹脂フィルム層12を積層接着(圧着)するための金型(キャビティ、雌型)である。
成形型160は、ベース部161の上面側に凹設された凹部72を備えている。ベース部161は凹部72を支持する基部である。凹部72は、成形対象の紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)に対応する形状に形成され、ブランクシート100A′が押し込まれる凹みをなす。
凹部72の内面には、吸引加工を実施するために、凹部72の内側と外側とを連通した複数の空気孔(後述の図11で符号78)が設けられている。これらの空気孔は、互いに離間して点在している。
凹部72は、紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が載置された状態で紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)の面形状に対応する複数の面部65を内面に有する。
複数の面部65には、具体的には、紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が凹部72に載置された状態で、紙層(容器本体)100Aの底面20(図1~図3を参照)に対応する一つの第1面部60と、紙層(容器本体)100Aの側面30(図1~図3を参照)に対応する8個の第2面部71とがある。
成形型160は、凹部72の上縁から凹部72の外側へ向かって延在したフランジ面部53を有している。フランジ面部53は、凹部72の外周に沿って8個の第2面部71のそれぞれに対応する8個の部分に細別することができる。
さらに、各フランジ面部53の外周に沿って凸設された段差部90が設けられている。段差部90は各フランジ面部53の面部に対して外側で立ち上がった段差をなす。
凹部72の内面には、凹部72に紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が載置された状態で紙層(容器本体)100Aにおいて線状に延在する隙間に対応する線状領域に沿って溝部70が延設されている。
溝部70は、点在する空気孔の少なくとも2個と連通して設けられ、吸引加工に際して凹部72の内面で線状に延在する空気の流通路をなす。
本実施形態の溝部70は、凹部72の内面で複数の面部65どうしの境界に沿って線状に延設されている。複数の面部65どうしの境界は、紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)で底面20の各辺と側面30との接する箇所や、隣接する側面30どうしを突き合わせた箇所に対面して凹設されている。
ここで例示する溝部70には、複数の面部65どうしの境界のうち、第2面部71どうしの境界に沿って延設された側溝部75と、第1面部60と第2面部71との境界に沿って延設された底溝部76,フランジ面部53どうしの境界に沿って延設された上溝部73,折目38に対応する線状領域に沿って延設された中溝部77がある。
側溝部75は、凹部72に紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が載置された状態で側面30(図1~図3を参照)に対応する第2面部71の側縁どうしの間に設けられている。底溝部76は、凹部72に容器本体100A(図1~図3を参照)が載置された状態で容器本体100Aの底面20と側面30との間に対面する。
上溝部73は、凹部72に紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が載置された状態で紙層(容器本体)100Aのフランジ面40の側縁どうしの隙間に対面する。
中溝部77は、凹部72に紙層(容器本体)100A(図1~図3を参照)が載置された状態で副側面32の第1副側面32Aと第2副側面32Bとの間に対面する。
図7のブランクシート200B′を用いたトレイ状容器200の製造に用いる成形型は、成形対象の紙層(容器本体)200B(図5,図6を参照)に対応する形状に形成された凹部を備えており、容器本体に対応する溝部が設けられていることが図10の成形型160とは異なっており、そのほかの構成は同一である。
トレイ状容器200の製造に用いる成形型凹部の内面には、溝部として、紙層(容器本体)200Bが載置された状態で、第1主側面41,第2主側面42および副側面43を突き合わせた箇所に対面する側溝部,底面21と側面50との間に対面する底溝部,フランジ面40の側縁どうしの隙間に対面する上溝部が設けられている。
次に図11を参照して、成形型160を用いてトレイ状容器100を製造するための製造装置150を説明する。
製造装置150は、成形型160の凹部72に沿って紙層(容器本体)100Aのブランクシート100A′を折り立てて配置する第1準備部201と、第1準備部201で折り立てられたブランクシート100A′の上方に樹脂フィルムシート12A′を配置する第2準備部202と、第1準備部201で配置されたブランクシート100A′へ向けて第2準備部202で配置された樹脂フィルムシート12A′を加熱しつつ押し込むプレス部203と、プレス部203で押し込まれている樹脂フィルムシート12A′を真空吸引によりブランクシート100A′へ圧着させる吸引部204と、を備えている。
吸引部204は、空気孔78を介して空気を吸引する吸引装置(図示せず)を備えている。
プレス部203は、樹脂フィルムシート12A′を加熱軟化させる加熱装置(図示せず)と、樹脂フィルムシート12A′を押し込むための凸部80とを備えている。凸部80は凹部72に対応する凸形状の金型(プラグ,雄型)で、図示しない付勢装置で下方へ付勢される。凸部80の凸形状は、凹部72よりも小さい寸法に設定されている。
上記の製造装置150でトレイ状容器100を製造する方法は、下記の工程S1~S4を備えている。
工程S1:成形型160の凹部72に沿って紙層(容器本体)100Aのブランクシート100A′を折り立てて配置する第1準備工程
工程S2:第1準備工程で折り立てられたブランクシート100A′の上方に樹脂フィルムシート12A′を配置する第2準備工程
工程S3:第1準備工程で配置されたブランクシート100A′へ向けて第2準備工程で配置された樹脂フィルムシート12A′を加熱しつつ押し込むプレス工程
工程S4:プレス工程で押し込まれている樹脂フィルムシート12A′を真空吸引によりブランクシート100A′へ圧着させる吸引工程
上記の製造装置150では、第1準備部201で配置されたブランクシート100A′へ向けて第2準備部202で配置された樹脂フィルムシート12A′を加熱しつつ押し込まれると、凹部72に押し込まれたブランクシート100A′は、底面20に対して側面30が折り立てられて紙層(容器本体)100Aに成形される。
この状態で、吸引部204で空気孔78を通じて空気が吸引されると、紙層(容器本体)100Aの隙間部36や、折目14,38の切り込みを通じて、紙層(容器本体)100Aと樹脂フィルムシート12A′との間の空気が外側へ吸い出される。これにより、紙層(容器本体)100Aと樹脂フィルムシート12A′との間が真空状態になり、樹脂フィルムシート12A′が底面20,側面30,フランジ面40に密着されて、紙層(容器本体)100Aの内面に樹脂フィルム層12が積層接着されたトレイ状容器100が成形(真空成形)される。
上記のように成形されたトレイ状容器100では、トレイ状容器100の収容空間内に食品などの収容対象が収容された状態で、紙層(容器本体)100Aの収容空間内をガス置換して、フランジ面40に貼合されたシール材(フィルムシート)で開口110Aが閉塞される。
成形型160は、複数の面部の全ての境界に沿って溝部が延設された構造に限らず、複数の面部の一部の境界に沿って溝部が延設された構造であってもよい。たとえば、フランジ面部53の上溝部73を省略してもよい。
製造装置150は、上記の吸引工程(吸引手段204)で真空成形のみを実施するのに限らず、真空吸引および圧空を併用する真空圧空成形を実施するものであってもよい。
また、成形型160は、上述のような構成を備えるため、下記(1)~(6)のような作用および効果を得ることができる。
(1)成形型160の凹部72に、少なくとも2個の空気孔78と連通して設けられ紙層(容器本体)100Aで線状に延在する隙間部36に対応する線状領域に沿って延設されている溝部70により、線状で均一に紙層(容器本体)100Aの上面側の樹脂フィルムシートを吸引できる。よって、吸引の負荷が分散されて樹脂フィルムシートの均一な吸着性を確保できる。
(2)成形型160は、上面(天面)が開口110Aをなし、多角形状の底面20の各辺に沿う折目14で複数の側面30が折り立てられ、隣接する側面30で側縁34,35どうしが突き合わされて角部をなす角錐台状に成形された紙層(容器本体)100Aと、紙層(容器本体)100Aの内面に積層された樹脂フィルムシートを圧着した樹脂フィルム層12とを備えるトレイ状容器100の製造に用いられるものである。成形型160では、紙層(容器本体)100Aで線状に延在する隙間部36に対応する線状領域に沿って線状で均一に樹脂フィルムシートを吸引できるため、上記のように構成された角錐台状のトレイ状容器100に好適である。
(3)溝部70が、紙層(容器本体)100Aの面形状に対応する複数の面部65どうしの境界に沿って線状に延設されているため、紙層(容器本体)100Aで底面20の各辺と側面30との接する箇所や、隣接する側面30どうしを突き合わせた箇所に沿う線状で均一に吸引できる。よって、吸引の負荷が分散されて樹脂フィルムシートの均一な吸着性を確保できる。
(4)側溝部75によれば、側面30どうしの突き合わせ箇所の隙間部36に沿って均一に紙層(容器本体)100Aの上面側の樹脂フィルムシートを吸引できる。よって、樹脂フィルムシートの吸着性がより確実になる。
そのうえ、側溝部75が側面30どうしの突き合わせ箇所で側縁34,35の逃げ代として機能するため、突き合わせ箇所で側面30の側縁34,35どうしの隙間を確実に確保できる。また、側面30どうしが重複して配置されにくくなり紙層(容器本体)100Aの成形性が確保される。
(5)底溝部76によれば、紙層(容器本体)100Aの底面20と側面30との境界に沿って吸引することができるので、樹脂フィルムシートを凹部72の底面側へ確実に引き込むことができる。
(6)上溝部73により、フランジ面40の突き合わせ箇所に逃げ代が確保されるため、フランジ面40どうしが重複して配置されにくくなり紙層(容器本体)100Aの成形性が確保される。
また、フランジ面部53の外周に沿って凸設された段差部90により、トレイ状容器100の成形後に成形型160から樹脂フィルムシートを剥離しやすくなっている。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[紙層の基材である段ボールの準備]
<製造例1>
漂白した針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部に対して粉末パルプ広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)のドライシートを、カッターミル(株式会社ホーライ製、HA8 2542 30E、スクリーン0.24mm)で機械粉砕して作製したもの30質量部を添加して、低濃度叩解(叩解時のスラリー濃度2質量%)にて、カナダ標準濾水度(CSF)が600mLとなるまで叩解を行い、パルプ1を調製した。
調製したパルプ1(固形分換算)100質量部に対し、合成サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、SPS400)0.2質量部、硫酸バンド(硫酸アルミニウム)1.0質量部(固形分換算)、紙力増強剤としてのポリアクリルアミド(商品名:ポリストロン1222、荒川化学工業株式会社製)0.2質量部、および高分子凝集剤としての非イオン性アクリルアミド(アライドコロイド製、パーコール47)0.025質量部を添加し、原紙の紙料を調製した。
さらに、紙全体の坪量が80g/m、厚み110μm、密度0.73g/cmとなるように、調製した紙料をツインワイヤー式抄紙機で抄紙して原紙A-1を調製した。
<製造例2>
製造例1において、紙全体の坪量が80g/m、厚み110μm、密度0.73g/cmとなるように抄紙する代わりに、紙全体の坪量が160g/m、厚み210μm、密度0.76g/cmとなるように抄紙したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙A-2を作製した。
<製造例3>
製造例1において、紙全体の坪量が80g/m、厚み110μm、密度0.73g/cmとなるように抄紙する代わりに、紙全体の坪量が200g/m、厚み270μm、密度0.74g/cmとなるように抄紙したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙A-3を作製した。
<製造例4>
製造例1において、紙全体の坪量が80g/m、厚み110μm、密度0.73g/cmとなるように抄紙する代わりに、紙全体の坪量が300g/m、厚み380μm、密度0.79g/cmとなるように抄紙したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙A-4を作製した。
<製造例5>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部に対して粉末パルプ30質量部を添加する代わりに、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)75質量部に対して粉末パルプ25質量部を添加したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙Bを作製した。
<製造例6>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部に対して粉末パルプ30質量部を添加する代わりに、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)80質量部に対して粉末パルプ20質量部を添加したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙Cを作製した。
<製造例7>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部に対して粉末パルプ30質量部を添加する代わりに、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)85質量部に対して粉末パルプ15質量部を添加したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙Dを作製した。
<製造例8>
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70質量部に対して粉末パルプ30質量部を添加する代わりに、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)95質量部に対して粉末パルプ5質量部を添加したこと以外は、原紙A-1と同様の手順で原紙Eを作製した。
[樹脂フィルム層を構成する樹脂フィルムシートの準備]
下記3種類の樹脂フィルムシートを用意した。
(1)樹脂フィルムシートα:社名:エンシュー化成株式会社製、品番:スキンパック、層構成:PE(ポリエチレン)/PE(ポリエチレン)/EVA(エチレン酢酸ビニル)(/紙層)、厚み:150μm
(2)樹脂フィルムシートβ:社名:三菱ケミカル株式会社製、品番:ダイアミロンF680、層構成:PP(ポリプロピレン)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/特殊接着層(非開示)(/紙層)、厚み:200μm
(3)樹脂フィルムシートγ:社名:三菱ケミカル株式会社製、品番:ダイアミロンF001、層構成:PP(ポリプロピレン)/EVOH(エチレン-ビニルアルコール共重合体)/PP(ポリプロピレン)(/紙層)、厚み:40μm
[トレイ状容器の製造]
<実施例1>
製造例1で調製した原紙A-1から、コルゲータを用いて表裏ライナおよび中芯(段山数150)を作製した。作製した表裏ライナおよび中芯を、接着剤(王子コーンスターチ株式会社製段ボール糊剤用コーンスターチ)を用いて接着し、図9に示すような単層構造であり、表ライナの坪量と裏ライナの坪量と中芯の坪量との比が1:1:1(表ライナ:裏ライナ:中芯)である(表ライナの坪量、裏ライナの坪量、および中芯の坪量がいずれも80g/mである)段ボールを作製した。
作製した段ボールを用いて作製したブランクシートを上からバキュームで吸引し、吸引したブランクシートを、成形型内に挿入し、空気孔を介して空気を吸引することによって成形型に押し込み、図5に示す箱形状(フランジ面40の1辺の長さ:約16.5cm)に折り畳むことで紙層(容器本体)を得た。次に、フィルム貼合機(社名:株式会社脇坂エンジニアリング製、品番:FVT-400)を用いて、上ヒーターおよび下ヒーター共にヒーター設定温度を450℃にし、樹脂フィルムシートαを用いて、10秒間加熱した後、紙層(容器本体)の開口側の内面に真空および圧空吸着させて樹脂フィルム層として積層接着し、トレイ状容器1を得た。なお、トレイ状容器1は、主側面のテーパー角度が10°であり、トレイ状容器の深さが55mmであった。
[物性測定・評価]
<表裏ライナ及び中芯の坪量の測定>
表裏ライナ及び中芯の坪量をJIS P8124:2011に準拠して測定した。但し、紙層(容器本体)の開口側の内面に樹脂フィルム層が積層接着されている場合は、紙が樹脂フィルム層に付着しないよう注意しながら、樹脂フィルム層から紙層を剥離した後、剥離した紙層における表裏ライナ及び中芯の坪量の測定を行った。測定結果を表1に示す。
<表裏ライナ及び中芯の厚みの測定>
表裏ライナ及び中芯の厚みをJIS P 8118:2014に準拠して測定した。但し、紙層(容器本体)の開口側の内面に樹脂フィルム層が積層接着されている場合は、紙が樹脂フィルム層に付着しないよう注意しながら、樹脂フィルム層から紙層を剥離した後、剥離した紙層における表裏ライナ及び中芯の厚みの測定を行った。測定結果を表1に示す。
<表裏ライナ及び中芯の密度の測定>
表裏ライナ及び中芯の密度をJIS P 8118:2014に準拠して測定した。但し、紙層(容器本体)の開口側の内面に樹脂フィルム層が積層接着されている場合は、紙が樹脂フィルム層に付着しないよう注意しながら、樹脂フィルム層から紙層を剥離した後、剥離した紙層における表裏ライナ及び中芯の密度の測定を行った。測定結果を表1に示す。
<段ボールの厚み測定>
段ボールの厚みをJIS P 8118:2014に準拠して測定した。但し、紙層(容器本体)の開口側の内面に樹脂フィルム層が積層接着されている場合は、紙が樹脂フィルム層に付着しないよう注意しながら、樹脂フィルム層から紙層を剥離した後、剥離した紙層における段ボールの厚みの測定を行った。測定結果を表1に示す。
<表裏ライナ及び中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長の測定>
表裏ライナ及び中芯から40cm角のサンプルに切り出し、それをイオン交換水に浸し、濃度2%に調整した上で、24時間浸した。
24時間浸した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、未離解繊維がなくなるまで処理して、パルプを繊維状に離解した。樹脂フィルム層を有する場合には、樹脂フィルム層を除いた離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を分取し、繊維長測定器(バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)を使用して、「長さ荷重平均繊維長」を測定した。
なお、「長さ荷重平均繊維長」は0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して計算した長さ加重平均繊維長である。
測定結果を表1に示す。
<表裏ライナ及び中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合の測定>
表裏ライナ及び中芯から40cm角のサンプルに切り出し、それをイオン交換水に浸し、濃度2%に調整した上で、24時間浸した。
24時間浸した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、未離解繊維がなくなるまで処理して、パルプを繊維状に離解した。樹脂フィルム層を有する場合には、樹脂フィルム層を除いた離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を分取し、繊維長測定器(バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)を使用して、「微細繊維量」を測定した。
なお、「微細繊維量」は、離解されたパルプ繊維中の、繊維幅75μm以下、かつ、長さ0.2mm以下の微細繊維の本数割合である。
測定結果を表1に示す。
<断熱性>
作製したトレイ状容器1に水300mLを投入し、電子レンジ(社名:SHARP株式会社、品番:RE-T2)を用いて500Wで300秒間加熱した。
トレイ状容器1を電子レンジから取り出した直後に、非接触式温度計(製造会社名:BOSCH Professional、品番:GIS500)にてトレイ状容器1の外側の底面中央部(中央部から1cm以内の距離)の温度を測定し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
<<評価基準>>
5:測定温度が40℃以下であった。
4:測定温度が40℃超50℃以下であった。
3:測定温度が50℃超60℃以下であった。
2:測定温度が60℃超70℃以下であった。
1:測定温度が70℃超であった。
<気密性>
作製したトレイ状容器1に水300mLを投入した。次に、ヒートシール性をもつフィルムをトレイ状容器1に150℃×10秒間の条件でトップシールした。次に、トップシールしたトレイ状容器1について、リークテスター(製造会社名:高千穂精機株式会社、品番:PLT-3000)を用いて、検査圧力を-7500mmHOとして、トレイ内部の気体漏れが生じているか確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示す。
<<評価基準>>
5:リークテスター試験にて20MPa以上30MPa未満で、気体漏れが無かった。
4:リークテスター試験にて15MPa超20MPa未満で、気体漏れが発生した。
3:リークテスター試験にて10MPa超15MPa以下で、気体漏れが発生した。
2:リークテスター試験にて5MPa超10MPa以下で、気体漏れが発生した。
1:リークテスター試験にて5MPa以下で、気体漏れが発生した。
<実施例2~16および比較例1~6>
表1に記載の製造条件(トレイ形状、段ボールの厚さ、表裏ライナの原紙種類、表裏ライナの坪量、表裏ライナの厚み、表裏ライナの密度、表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長、表裏ライナを構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合(表1における「微細繊維量」)、中芯の原紙種類、中芯の坪量、中芯の厚み、中芯の密度、段ボールの300mm当たりの段山数、中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長、中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合(表1における「微細繊維量」)、樹脂フィルム種類)に変更した以外は実施例1と同様にしてトレイ状容器を得て、評価も実施例1と同様に行った。評価結果は表1に示す。
但し、比較例6では、表ライナと裏ライナと中芯とを有する段ボールとはせずに、抄紙した原紙A-4(紙全体の坪量が300g/m、厚みが380μm、密度が0.79g/cm)をそのまま用いた。
表1の結果から、実施例1~16のトレイ状容器は、断熱性および気密性を両立可能であることがわかる。
また、実施例6~9のトレイ状容器では、表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が1.00mm以上1.70mm以下であり、表裏ライナを構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が10%以上19%以下であることによって、断熱性および気密性を向上させていることがわかる。
また、実施例7及び8のトレイ状容器では、表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が1.10mm以上1.50mm以下であり、表裏ライナを構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が13%以上17%以下であることによって、断熱性および気密性をさらに向上させていることがわかる。
また、実施例10~13のトレイ状容器では、中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が1.00mm以上1.70mm以下であり、中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が10%以上19%以下であることによって、断熱性および気密性を向上させていることがわかる。
また、実施例11および12のトレイ状容器では、中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が1.10mm以上1.50mm以下であり、中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が13%以上17%以下であることによって、断熱性および気密性をさらに向上させていることがわかる。
また、比較例1~3のトレイ状容器では、表裏ライナおよび中芯の坪量が所定範囲外であるので、気密性が良好でないことがわかる。
また、比較例4および5のトレイ状容器では、中芯の段山数が所定範囲外であるので、断熱性が良好でないことがわかる。
さらに、比較例6のトレイ状容器では、表ライナと裏ライナと中芯とを有する段ボールとはせずに、抄紙した原紙A-4をそのまま用いたので、断熱性および気密性が良好でないことがわかる。
本発明によれば、断熱性および気密性を両立可能なトレイ状容器が得られる。
本発明のトレイ状容器は、食品、医薬品、医療品、電子部品、日用品等の容器として用いることができるが、好ましくは、収容物品を密封して収容することができるため、野菜、精肉、鮮魚等の生鮮食品、およびそれらの加工食品等の食品を収容することに適している。
本発明のトレイ状容器を食品の容器として用いる場合、トレイ状容器に食品を収容し、トレイ状容器内を不活性ガス置換しフィルムで天面を密封した状態で、コンビニやスーパーマーケット等で陳列され得る。
さらに、本発明のトレイ状容器は、食品を長期間保存し、輸送し、展示することにも適する。
12 樹脂フィルム層
12A′ 樹脂フィルムシート
13 開口周縁
13′ 折目線
14 折目
14′ 折目線
20 底面
20′ 底面シート片
21 底面
21′ 底面シート片
30 側面
30′ 側面シート片
31 主側面
31′ 主側面シート片
32 副側面
32′ 副側面シート片
32A 第1副側面
32A′ 第1副側面シート片
32B 第2副側面
32B′ 第2副側面シート片
34 側縁
34′ 側縁
35 側縁
35′ 側縁
36 隙間部
37 屈曲部
38 折目
38′ 折目線
40 フランジ面
40′ フランジ面シート片
41 第1主側面
41′ 第1主側面シート片
42 第2主側面
42′ 第2主側面シート片
43 副側面
43′ 副側面シート片
44 側縁
44′ 側縁
45 側縁
45′ 側縁
46 隙間部
47 屈曲部
48 側縁
48′ 側縁
50 側面
50′ 側面シート片
53 フランジ面部
60 第1面部
65 面部
70 溝部
71 第2面部
72 凹部
73 上溝部
75 側溝部
76 底溝部
77 中溝部
78 空気孔
80 凸部
90 段差部
91A 段ボール
91B 複両面段ボール
91C 複々両面段ボール
92A 表ライナ
92B 裏ライナ
93 中芯
100 トレイ状容器
100A 紙層(容器本体)
100A′ ブランクシート
100M 中間位置
110A 開口
110B 開口
150 製造装置
160 成形型
161 ベース部
180 抑え片
185 抑え片
190 抑え片
195 抑え片
200 トレイ状容器
200B 紙層(容器本体)
200B′ ブランクシート
200M 中間位置
201 第1準備部
202 第2準備部
203 プレス部
204 吸引部(吸引手段)
A テーパー角度
B 深さ
D 下方
U 上方

Claims (7)

  1. 上面が開口し、段ボールを基材とする紙層と、該紙層の開口側の内面に積層接着された樹脂フィルム層とを有するトレイ状容器であって、
    前記トレイ状容器は、底面と、該底面から立設された側面と、開口周縁に配設されたフランジ面とを有し、
    前記フランジ面が同一平面上にあり、
    前記段ボールは、表裏ライナと、該表裏ライナ間に配設された中芯とを有し、
    前記段ボールの厚さが0.3mm以上0.7mm以下であり、
    前記段ボールの300mm当たりの段山数が100以上190以下であり、
    前記表裏ライナの坪量が40g/m以上190g/m以下であり、
    前記中芯の坪量が40g/m以上190g/m以下であり、
    前記表裏ライナを構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上2.00mm以下であり、
    前記表裏ライナを構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上25%以下である、トレイ状容器。
  2. 上面が開口し、段ボールを基材とする紙層と、該紙層の開口側の内面に積層接着された樹脂フィルム層とを有するトレイ状容器であって、
    前記トレイ状容器は、底面と、該底面から立設された側面と、開口周縁に配設されたフランジ面とを有し、
    前記フランジ面が同一平面上にあり、
    前記段ボールは、表裏ライナと、該表裏ライナ間に配設された中芯とを有し、
    前記段ボールの厚さが0.3mm以上0.7mm以下であり、
    前記段ボールの300mm当たりの段山数が100以上190以下であり、
    前記表裏ライナの坪量が40g/m 以上190g/m 以下であり、
    前記中芯の坪量が40g/m 以上190g/m 以下であり、
    前記中芯を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.60mm以上2.00mm以下であり、
    前記中芯を構成するパルプ中における繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が5%以上25%以下である、トレイ状容器。
  3. 前記側面が、前記底面から立設されると共に前記フランジ面に直接連設された主側面を含み、該主側面のテーパー角度が3.5°以上18°以下である、請求項1または2に記載のトレイ状容器。
  4. 前記トレイ状容器の深さが16mm以上90mm以下である、請求項1~のいずれかに記載のトレイ状容器。
  5. 前記紙層が前記樹脂フィルム層により接合されている、請求項1~のいずれかに記載のトレイ状容器。
  6. 前記フランジ面の4隅の紙層が分離されており、前記4隅の紙層が前記樹脂フィルム層により接合されている、請求項1~のいずれかに記載のトレイ状容器。
  7. 前記側面が、前記底面から立設されると共に前記開口周縁に直接連設しない副側面をさらに含む、請求項1~のいずれかに記載のトレイ状容器。
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