JP7493214B2 - 可塑性油脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、可塑性油脂組成物に関する。
製菓用マーガリンおよびファットスプレッドでは、広い温度範囲における良好な可塑性、また、これに由来する好ましい硬さやクリーミング性を得るために、固体脂と液状油を適度にバランスよく調合した油脂が使用される。従来、固体脂には天然の動植物油脂に水素添加した硬化油が使用され、一般に、完全水素添加を行った硬化油を極度硬化油、部分的に水素添加を行った硬化油を部分硬化油と呼ぶ。これらは、融点を調整するために水素添加の度合いを制御して製造されるが、部分硬化油を製造する際、トランス脂肪酸が生成する。これらは、血液中のLDLコレステロールや中性脂肪の増加を促し、心筋梗塞や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こすことが示唆されている。そのため、トランス脂肪酸を含まない、または低減したマーガリンおよびファットスプレッドが求められている。
このことから、トランス脂肪酸を含有する部分硬化油の代替として、天然由来固体脂であるパーム油の利用が提案されている(特許文献1)。しかし、パーム油を可塑性油脂の原料油脂として使用した場合、パーム油は結晶化が遅く、保管中に結晶化が進んでしまうことから伸展性が悪く作業性が大きく損なわれるという問題があった。その問題に対してパーム油やパームステアリンと、ラウリン酸を含む油脂を特定量の脂肪酸比率に混合し、エステル交換することで、経時的な品質変化を抑制できる油脂組成物が開示されている(特許文献2)。しかし、この方法はパーム油中のトリグリセリドPOPを他成分に変えるものであり、経日変化の抑制について一定の効果はあるが十分ではなく、口溶けの悪化などの欠点もあった。また、近年、健康への配慮からマーガリンやファットスプレッドに用いる油脂として、液状油をより多く利用できることが望まれている。しかし、液状油はマーガリンやファットスプレッドとして良好な可塑性を付与する効果が低いため、マーガリンやファットスプレッドに必要な好ましい硬さやクリーミング性が失われる。油脂固化剤を添加することで、好ましい可塑性を付与した液状油を多く含有するマーガリンおよびショートニングが提案されている(特許文献3、4)。しかし、この方法では、液状油を多く含有する油脂に対して可塑性を付与するために、油脂固化剤の添加量が多くなり、実用性に欠ける問題がある。
特開平09-176680号公報 特開2000-212590号公報 特開2000-116322号公報 特開2000-116323号公報
本発明は、上記事情に鑑み、パーム油高配合でありながら、適度な可塑性を有しクリーミング性に優れる可塑性油脂組成物を提供することである。
本発明者が鋭意研究を重ねた結果、精製パーム油60~90重量%、20℃で液状である油10~40重量%を含有する油脂、乳化剤、水からなり、20℃での最大応力および溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度が特定の範囲である可塑性油脂組成物を用いることで、上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の可塑性油脂組成物はクリーミング性に優れ、長期保存した場合でも物性変化なく安定なクリーミング性、気泡安定性を示すものを提供することができる。さらに、本発明の可塑性油脂組成物を用いることで、ボリューム感があるケーキを製造することができる。
以下に本発明を実施するために最適な形態について詳細に説明する。なお、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更等が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す「~」は上限と下限を含むものである。
本発明は、以下の通りである。
下記成分(A)、成分(B)、および、成分(C)からなる可塑性油脂組成物において、20℃での最大応力が600~1,200gであり、溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度が2,000~40,000mPa・sであり、成分(B)として可塑性油脂組成物全量に対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.01~5重量%含有することを特徴とする可塑性油脂組成物。
(A)精製パーム油60~90重量%、20℃で液状である油10~40重量%を含有する油脂
(B)乳化剤
(C)水
本発明に係る成分(A)は、精製パーム油60~90重量%、20℃で液状である油10~40重量%を含有する油脂である。
20℃で液状の油は、特に限定されるものではないが、例えば大豆油、ナタネ油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、綿実油、ぶどう種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、かぼちゃ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、オリーブ油、カラシ油、パームオレイン、米油、米糠油、小麦麦芽油、サフラワー油、ひまわり油およびこれらの分別油脂が例示される。更に、ジグリセライドおよび/またはモノグリセライドが含有または調合されているものであっても良い。
本発明に係る成分(A)は、精製パーム油や20℃で液状の油以外の油脂も使用することができるが、トランス脂肪酸を含んだ部分硬化油を実質的に含有しない油脂で構成されることが好ましい。例えば、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂等の植物油脂や、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油等の動物油脂、およびこれらの分別油脂や混合油が例示される。また、対象となる油脂が、エステル交換した油脂や完全水素添加した極度硬化油であっても良い。更に、ジグリセライドおよび/またはモノグリセライドが含有または調合されているものであっても良い。
本発明に係る成分(B)は乳化剤であり、乳化剤のうちポリグリセリン脂肪酸エステルを可塑性油脂組成物全量に対して0.01~5重量%含有するものであり、0.1重量%以上含有することが好ましい。
本発明に係るポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリン同士を脱水縮合したポリグリセリンと脂肪酸のエステル化反応によって得られ、ポリグリセリンの種類(重合度)、脂肪酸の種類(炭素数、二重結合の数)、エステル組成などにより、多数存在する。そして、その種類毎に異なる性質を示すことが知られている。
ポリグリセリン脂肪酸エステルはその平均重合度が限定されるものではないが、2~10であることが好ましく、4~10であることが更に好ましい。ここで、平均重合度は、末端基分析法による水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、下記式(1)及び下記式(2)から算出される。
分子量=74n+18 ・・・(1)
水酸基価=56110(n+2)/分子量 ・・・(2)
上記式(2)中の水酸基価とは、ポリグリセリンに含まれる水酸基数の大小の指標となる数値であり、1gのポリグリセリンに含まれる遊離ヒドロキシル基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2003年度版」に準じて算出される。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、通常炭素数8~24の飽和または不飽和の脂肪酸が用いられる。前記脂肪酸は混合物であってもよく、前記脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、ベヘン酸、及びその縮合物等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、従来公知のエステル化反応により製造することができる。例えば、脂肪酸とポリグリセリンとを水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒の存在下でエステル化反応させることにより製造することができる。エステル化は、ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化率が所望の値になるまで行われる。
ここで、エステル化率とは、水酸基価から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)、このポリグリセリンが有する水酸基数(n+2)、ポリグリセリンに付加する脂肪酸のモル数(M)としたとき、下記式(3)で算出される値である。水酸基価とは、上記式(2)により算出される値である。
エステル化率(%)=(M/(n+2))×100 ・・・(3)
本発明に係るポリグリセリン脂肪酸エステルは、良好なクリーミング性と適度な可塑性を両立する点から、構成脂肪酸が炭素数16~22の飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル(1)から選ばれる1種以上と、構成脂肪酸が炭素数18~22の不飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル(2)から選ばれる1種以上であることが特に好ましい。これらの中でも特にクリーミング性を向上できる点からポリグリセリン脂肪酸エステル(1)はパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸で構成されることが最も好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル(2)は製菓用可塑性油脂組成物の硬さを調節する点からオレイン酸で構成されることが最も好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上併用する場合、ポリグリセリン脂肪酸エステル(1)のエステル化率は60~100%が好ましく、75~100%がより好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル(2)のエステル化率は5~30%が好ましく10~25%がより好ましい。
本発明に係るポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは1~18であることが好ましく、より好ましくは2~13である。HLBはアトラス法を用い、エステルのけん化価および脂肪酸の中和価から算出したものであり、以下の式(4)により算出する。また、式(4)中のけん化価および中和価は社団法人日本油化学会編纂「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2003年度版」に準じて測定する。
HLB=20×(1-けん化価/中和価) ・・・(4)
また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上併用する場合は、ポリグリセリン脂肪酸エステル(1)のHLBは2~5が好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステル(2)のHLBは8~13が好ましい。
本発明に係る成分(B)には、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外を併用しても良く、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、リン脂質等を1種以上併用することができる。可塑性油脂組成物全量に対して乳化剤含量は0.01~5重量%が好ましく、より好ましくは0.1~3重量%である。
本実施形態における可塑性油脂組成物を用いてなる食品には必要に応じ、一般的にマーガリン、ファットスプレッドに使用されている他の原料、例えば、トコフェロール、L-アスコルビン酸パルミチン酸エステル、茶抽出物等の酸化防止剤、カロチン等の着色料、脱脂粉乳、クリーム等の乳成分、蔗糖、液糖、はちみつ、ブドウ糖、果糖、黒糖、麦芽糖、乳糖、水飴、ソルビトール、エリスリトール、異性化液糖、ショ糖結合飴、オリゴ糖、トレハロース、ヘミセルロース等の糖類、食塩、酸味料、調味料、香料、重合リン酸塩等の乳化安定剤、ローカストビーンガム、カラギーナン、アルギン酸類、ペクチン、キサンタンガム、寒天、グルコマンナン、ゼラチン、化工澱粉、澱粉等の増粘安定剤等を、適宜使用することができる。
本実施形態の可塑性油脂組成物は、経日的な油脂の粗大結晶化や固液分離が抑えられるため、可塑性、展延性、ショートニング性、クリーミング性等の物理的性質が好適に付与されてなり、食品に使用することが可能である。
本発明に係る可塑性油脂組成物は、20℃での最大応力が600~1,200gである。20℃での最大応力が600~1,200gである可塑性油脂組成物は、柔らかすぎたり、硬すぎたりすることなくハンドリング性が良好であり、クリーミング性に優れるものである。
20℃での最大応力とは、レオメーターおよび圧縮弾性用アダプター(φ10mm平丸)を用い、20℃にて1時間静置した可塑性油脂組成物の最大応力を測定した値であり、テーブルスピードを6cm/minとして、アダプターが試料を10mm圧縮した時の最大応力を測定した。
本発明に係る可塑性油脂組成物は、溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度が2,000~40,000mPa・sであり、3,000~20,000mPa・sが好ましい。溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度が2,000~40,000mPa・sである可塑性油脂組成物は温度変化による液油の染み出しが抑制され、口どけが良いものである。また、クリーミング性が良く、ケーキ高さが向上するといった点で最大応力と粘度の両性能を満たすことが特に好ましい。
溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度とは、70℃に加熱し均一に溶解させた可塑性油脂組成物を、70℃に調温した動的粘弾性装置(TAインスツルメント社製)の加熱、冷却ステージと、測定治具(40mm平板プレート)の間に約1mL注入し、周波数1Hz、歪0.001~100%の条件でせん断を付与しながら2℃/minで5℃まで冷却し、5℃に到達するまでの粘度を測定した値である。
本実施形態の可塑性油脂組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量が少量であるので、食品の風味の悪化が抑えられる。本発明の可塑性油脂組成物を用いてなる食品としては、通常のマーガリン、ファットスプレッドを用いる食品であれば、特に限定はないが、具体的には、食パン、菓子パン、デニッシュ・ペストリー、パイ等のベーカリー製品、シュー、ドーナツ、パウンドケーキ、スポンジケーキ、クッキー、ワッフル、マフィン、ハードビスケット、スコーン等の菓子製品に使用することができる。また、これらの用途における本発明の可塑性油脂組成物の使用量は、使用用途により異なるものであり、特に限定されるものではない。
以下に実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において特に記述がない限り、配合割合等は質量基準とする。
<可塑性油脂組成物Aの調製>
精製パーム油と大豆白絞油を重量比で83/17の割合で混合した油脂を83.2重量%と表1に示すポリグリセリン脂肪酸エステル(PGFE)1、4およびグリセリン脂肪酸エステル(MG)、ソルビタン脂肪酸エステル(SoE)0.8重量%を70℃で混合した。この混合物に、0.6%食塩水を16重量%添加し、手撹拌にて10回振とうさせたものを5℃で10分間固化させた後、20℃で1時間静置した。
<可塑性油脂組成物Bの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE1、5を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Bを調製した。
<可塑性油脂組成物Cの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE1、6を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Cを調製した。
<可塑性油脂組成物Dの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE2、6を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Dを調製した。
<可塑性油脂組成物Eの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE3、5を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Eを調製した。
<可塑性油脂組成物Fの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE1、4を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Fを調製した。
<可塑性油脂組成物Gの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE1、7を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Gを調製した。
<可塑性油脂組成物Hの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE1を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Hを調製した。
<可塑性油脂組成物Iの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE4を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Iを調製した。
<可塑性油脂組成物Jの調製>
PGFEとして、表1に示すPGFE8を用いたこと以外は、可塑性油脂組成物Aと同様にして可塑性油脂組成物Jを調製した。
<硬さの測定方法>
レオメーターおよび圧縮弾性用アダプター(φ10mm平丸)を用い、可塑性油脂組成物A~Jを10gスクリュー管に分注し20℃にて1時間静置した後の硬さを測定した。テーブルスピードを6cm/minとして、アダプターが試料を10mm圧縮した時の最大応力を硬さとした。
<粘度の測定方法>
70℃に加熱し均一に溶解させた可塑性油脂組成物A~Jを、70℃に調温した動的粘弾性装置(TAインスツルメント社製)の加熱、冷却ステージと、測定治具の間に約1mL注入し、周波数1Hz、歪0.001~100%の条件でせん断を付与しながら2℃/minで5℃まで冷却し、5℃に到達するまでの粘度を測定した。治具には40mm平板プレートを使用した。
表1に示す乳化剤の詳細は以下の通りである。
PGFE1:デカグリセリンステアリン酸エステル(エステル化率:78%、HLB:3.8)
PGFE2:ペンタグリセリンステアリン酸エステル(エステル化率:64%、HLB:4.5)
PGFE3:デカグリセリンベヘン酸エステル(エステル化率:96%、HLB:2.5)
PGFE4:テトラグリセリンオレイン酸エステル(エステル化率:23%、HLB:8.8)
PGFE5:ペンタグリセリンオレイン酸エステル(エステル化率:16%、HLB:11.6)
PGFE6:デカグリセリンオレイン酸エステル(エステル化率:12%、HLB:12.9)
PGFE7:デカグリセリンオレイン酸エステル(エステル化率:84%、HLB:3.3)
PGFE8:デカグリセリンカプリル酸エステル(エステル化率:12%、HLB:16.1)
MG:グリセリンステアリン酸モノエステル(商品名:ポエムS-100、理研ビタミン株式会社製)
SoE:ソルビタンステアリン酸エステル(商品名:ポエムS-60V、理研ビタミン株式会社製)
上記により得られた可塑性油脂組成物について、硬さと粘度を測定した結果を表1に示した。
Figure 0007493214000001
<実施例1>
可塑性油脂組成物Aと同様の重量比で調製した可塑性油脂組成物3,000gを70℃で溶解し、T.K.ホモミキサー(プライミクス社製)を用いて温度を70℃に保持しつつ、回転数8,000rpmで10分間乳化した。その後、マーガリンプロセッサー(パワーポイントインターナショナル社製)により急冷、混錬した。これを、20℃で1日保存することによりマーガリンを得た。
<実施例2>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Bと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<実施例3>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Cと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<実施例4>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Dと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<実施例5>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Eと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<実施例6>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Fと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<比較例1>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Gと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<比較例2>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Hと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<比較例3>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Iと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<比較例4>
可塑性油脂組成物として、可塑性油脂組成物Jと同様の重量比で調製したこと以外は、実施例1と同様にしてマーガリンを調製した。
<クリーミング性試験>
実施例1~6及び比較例1~4のそれぞれのマーガリン200gと、上白糖200gを卓上スタンドミキサー(商品名:KSM5: キッチンエイド社製)のボウルに秤量し、低速(70rpm)で30秒間混合した。その後、中速(130rpm)で比重が0.85になるまでミキシングをおこない、バタークリームを調製した。アタッチメントには平面ビーターを使用した。バタークリームの比重は容積100mlのカップを用いて以下の式(5)により算出した。ミキシング時間が短いほど作業性が良好であるとした。
比重=バタークリームをすり切り充填したカップの重量(g)-カップの空重量(g)/カップの容積(ml) ・・・(5)
[クリーミング性の評価基準]
◎:ミキシング時間が0.75分未満。
〇:ミキシング時間が0.75分以上、1分未満。
△:ミキシング時間が1分以上、1.5分未満。
×:ミキシング時間が1.5分以上。
※ミキシング時間は中速でミキシングした時間を計測した。
<パウンドケーキの調製>
バタークリームを調製後、全卵を50gずつ計200gをバタークリームに加え、それぞれ中速(130rpm)で30秒間撹拌した。次いで予め篩っておいた薄力粉200gとベーキングパウダー4gを3回に分けて生地に加え、それぞれ低速(70rpm)で30秒間ずつ撹拌しケーキ生地を調製した。オーブン(商品名:ミックベーカーWGT-11T:ワールド精機製)の上火を170℃、下火を160℃に設定し、庫内を180℃にした後、ステンレス製パウンド型(幅85mm×長さ180mm×高さ60mm)に生地を300g流しこんだ。型の中心部がへこむように充填し、オーブンで45分間焼成した。その後、室温にて2時間静置冷却しパウンドケーキを得た。
<気泡安定性試験>
パウンドケーキの高さをノギスにて測定した。底面からケーキ頂点までの最大値をケーキ高さとして評価した。ケーキ高さが高いほど気泡安定性が良好であるとした。
[気泡安定性の評価基準]
◎:7.0cm以上。
〇:6.6cm以上、7.0cm未満。
×:6.6cm未満。
<経時安定性試験>
20℃で3か月間保管したマーガリンを用いて上記の評価と同様に試験した。
[経時安定性の評価基準]
〇:1日目に比べてクリーミング性、ケーキ高さともに変化なし。
△:1日目に比べてクリーミング性、ケーキ高さのいずれかが低下。
×:1日目に比べてクリーミング性、ケーキ高さともに低下。
上記により得られたマーガリンについて、クリーミング性と気泡安定性、経時安定性を評価した結果を表2に示した。
Figure 0007493214000002
本発明の可塑性油脂組成物を用いた実施例1~6のマーガリンは、最大応力もしくは粘度の条件を満たさない可塑性油脂組成物を用いた比較例1~4に比べて、クリーミング性に優れ、ケーキを焼成した際のケーキ高さが高く、経時安定性も良好であった。

Claims (2)

  1. 下記成分(A)、成分(B)、および、成分(C)からなる可塑性油脂組成物であり、成分(B)として構成脂肪酸が炭素数16~22の飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル(1)から選ばれる1種以上と、構成脂肪酸が炭素数18~22の不飽和脂肪酸であるポリグリセリン脂肪酸エステル(2)から選ばれる1種以上を含有し、可塑性油脂組成物全量に対してポリグリセリン脂肪酸エステル(1)およびポリグリセリン脂肪酸エステル(2)を合計で0.01~0.7重量%含有し、20℃での最大応力が600~1,200gであり、溶融状態から5℃まで毎分2℃で冷却した際の5℃における粘度が2,000~40,000mPa・sであることを特徴とする可塑性油脂組成物。
    (A)精製パーム油60~90重量%、20℃で液状である油10~40重量%を含有する油脂
    (B)乳化剤
    (C)水
  2. 請求項1に記載の可塑性油脂組成物を用いてなる食品。
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