JP7491735B2 - エネルギ振動型伝送システム - Google Patents

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Description

本発明は、無接触電力伝送システム(ワイヤレス電力伝送システム)に関し、特に電磁エネルギのパケット(塊)の移動が振動する際の共振現象を利用して、ウェイブレット状の減衰振動を周期的に励起するエネルギ振動型伝送システムに関する。
2005年にマサチューセッツ工科大学(MIT)が提案して以来、正弦波の電磁波によるワイヤレス電力伝送の研究が盛んになってきた(特許文献1及び2参照)。例えば、特許文献2に記載のように、従来のワイヤレス電力伝送方式では、給電側共振回路(LC回路)の共振周波数2π√LCと受電側共振回路(LC回路)の共振周波数2π√LCを一致させる交流理論が基礎になっている。従来のワイヤレス電力伝送方式では、給電側共振回路と受電側共振回路が相互に作用して生じる新たな共振に関しては、給電側共振回路と受電側共振回路の共振(重共振)はしない方がよいという技術的常識があった。
又、特許文献1及び2に記載された10kHz~50GHzの周波数帯の電源回路(0次回路)は、商用電源をスイッチング電源で直流にした後、PWM等の多数の電力用半導体素子でスイッチングして等価的に交流にする無駄な構成がされていた。無駄な構成により、電力用半導体素子に生じる抵抗損失や、周波数の増加によって急激に増えるスイッチング損失等の電力損失が発生する。また、コイルに生じる誘導逆起電力によるスイッチング素子の破壊や、共振による過度な電圧上昇によるスイッチング素子の破壊が生じやすく、周波数が高いほど、電力が大きいほど回路設計に困難を極める。
特許文献1及び2に記載されたような従来技術の問題点を鑑み、本発明者らは、重共振を考慮し、過渡応答に着目した非交流理論による無接触伝送装置を提案した(特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3に記載された発明では送電側コイルと受電側コイルとの間隔(伝送距離)が40mm以上離れると有効に電力伝送ができないという問題があった(図17参照。)。更に受電側コイルの位置が動いた場合には、等価結合係数kが分からないため、等価結合係数kに応じた重共振の設定ができないという問題があった。これらの理由により従来の技術では、今後必要とされる電力を効率よく遠くまで伝送するワイヤレス電力伝送を実現することができない問題があった。
米国特許出願公開第2008/0278264号明細書 特許第5549745号公報 世界知的所有権機関国際事務局国際公開2020/039594号パンフレット
上記問題点を鑑み、本発明は、パケット状の電磁エネルギが移動する際の重共振を考慮し、送電側コイルと受電側コイルとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができ、等価結合係数kが分からない状況においても、回路駆動のタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子の破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供することを目的とする。
本発明の態様は、(a)送電側コンデンサ、この送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル、及び送電側コンデンサの端子間電圧を検知する検知器を有する1次側回路と、(b)送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間に断続的な直流電圧をステップ入力する回路を構成する駆動素子と、(c)送電側コイルに対向した受電側コイル、及びこの受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサを有する2次側回路と、(d)受電側コンデンサの端子間を接続する回路において受電側コンデンサから静電エネルギを受け取る負荷と、(e)駆動素子の制御端子に制御信号を送る1次側スイッチング素子駆動回路と、(f)検知器の出力電圧の変化から、送電側コイルから送電側コンデンサに還流する電磁エネルギによる送電側コンデンサの充放電が少なくとも1回完了したタイミングを検知し、このタイミングを駆動時刻とする駆動周期で、1次側スイッチング素子駆動回路から制御端子に制御信号を周期的に出力させる算術論理回路を備えるエネルギ振動型伝送システムであることを要旨とする。
本発明によれば、パケット状の電磁エネルギが重共振して振動するように、送電側の駆動周期を選んでシステムを励起できるので、送電側コイルと受電側コイルとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができ、等価結合係数kが分からない状況においても、回路駆動のタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子の破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供できる。
本発明の第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの一例の概略構造を示す模式図である。 図1に示した駆動制御回路を中心に説明するブロック図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの一例を構成する駆動制御回路と受電回路の概略を示す回路図である。 図3Aに示した回路の負荷の例を説明する等価回路である。 図3Aに示した検出器の一例を示す回路図である。 図3Aに示した駆動制御回路に含まれる1次側回路と、受電回路に含まれる2次側回路を説明する回路図である。 図3Aに示した回路の送電側コンデンサの端子間電圧の波形図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムに用いるMOSFETの概略の構造を説明する断面図である。 図5Aに示したMOSFETの大信号等価回路を説明する図である。 図6Aは第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの送電側コンデンサ及び受電側コンデンサのそれぞれの端子間電圧の変化を示す波形図である。 図6Bは図6Aに対応する駆動電圧、負荷の端子間電圧及び負荷への充電電流等の変化を説明する波形図である。 伝送距離d=2.0cm、等価結合係数k=0.6の場合の検出器出力電圧の変化を説明する図である。 伝送距離d=9.0cm、等価結合係数k=0.3の場合の検出器出力電圧の変化を説明する図である。 伝送距離d=20cm、等価結合係数k=0.1の場合の検出器出力電圧の変化を説明する図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける1次側回路と2次側回路の間の電磁エネルギの移動を説明する模式図である。 図8に続くタイミングにおける第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける1次側回路と2次側回路の間の電磁エネルギの移動を説明する模式図である。 図9に続くタイミングにおける第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける1次側回路と2次側回路の間の電磁エネルギの移動を説明する模式図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおけるコイル間の距離(伝送距離)と駆動周期の関係を図7Cに示したゼロクロス時刻をパラメータに説明する図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける結合係数kと駆動周期の関係を図7Cに示したゼロクロス時刻の一部をパラメータとして説明する図である。 図7Cに示した波形に対応する、送電側コイル及び受電側コイルを流れる電流の変化を説明する図である。 図7Cに示した波形に対応する、受電側コンデンサの端子間電圧、負荷に流れる電流の変化を説明する図である。 図13に示した波形において、ゼロクロス時刻T7において、駆動素子をオン状態として新たな駆動電圧を1次側回路にステップ入力した場合の、検出器出力電圧の変化、送電側コイル及び受電側コイルを流れる電流の変化を説明する図である。 図15のゼロクロス時刻T7の近傍における検出器出力電圧の変化、送電側コイル及び受電側コイルを流れる電流の変化を拡大して説明する図である。 第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける伝送距離と伝送電力との関係を従来技術と比較して説明する図である。 電気自動車(EV)の電池の充電に第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システム適用した場合において、コイル間の面間隔(伝送間隔)を調整する間隔制御機構の他の例を模式的に説明する鳥瞰図である。 本発明の第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの一例を構成する駆動制御回路と受電回路の概略を示す回路図である。 本発明の第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの一例を構成する駆動制御回路と受電回路の概略を示す回路図である。 図20に示す駆動制御回路と受電回路を、電気自動車の電池の充電に適用する具体例を模式的に説明する図である。 本発明の第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの一例を構成する駆動制御回路と受電回路の概略を示す回路図である。
次に、図面を参照して、本発明の第1~第4実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各部材の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1~第4実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。更に、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」に、「右」が「左」になることは勿論である。図18に示したような、渦巻きの螺旋の向きも同様に説明の便宜上における単なる選択に過ぎず、実際の設計事情に応じて右巻きを左巻きに、左巻きを右巻きに選択することも可能である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、図1に示すように、受電回路27aを有する車輌31aに無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを給電装置29aから給電する伝送システムである。「ウェイブレット状の電磁エネルギ」とは、時間的に局在した減衰振動の特性を示す電磁エネルギのパケットを意味する。受電回路27aは負荷(蓄電池)6を含む。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、受電回路27aにウェイブレット状の電磁エネルギを無接触で給電する給電装置29aと、給電装置29aに接続され、給電装置29aに命令を送る1次側操作部33を有している。
1次側操作部33には種々の構造や機構が採用可能で、例えば1次側操作部33が撮像装置を備えるようにしてもよい。撮像装置を備える態様においては、撮像装置が撮像した車輌31aの画像から、AI機能により車輌31aの車高が自動的に紐付けられるような機構を設けることができる。図1では、給電装置29a側の送電側コイルLと車輌31a側の受電側コイルLとが対向し、送電側コイルLから受電側コイルLへ無接触でウェイブレット状の電磁エネルギが受電側コイルLに無接触で伝送されることを示す模式図を例示している。
給電装置29aは、図1に示すように送電側コイルLを円盤状の誘電体に収納した給電盤11と、給電盤11を搭載し、送電側コイルLと受電側コイルLの間隔を制御する間隔制御機構32と、送電側コイルLに流れる給電電流及び間隔制御機構32を制御する駆動制御回路34aと、この駆動制御回路34aに接続された伝送データ記憶装置342a及びプログラム記憶装置342b、駆動制御回路34aに伝送電流が制御される給電盤11から主に構成されている。駆動制御回路34aと受電回路27aとは、送電側コイルLと受電側コイルLを介して、ウェイブレット状の電磁エネルギを、互いに送受し、重共振させる。図1に示す態様では、間隔制御機構32は上下移動機構であり、例えば油圧の上下機構、電磁石による上下機構、ボール螺旋をステップモータで回転させるような移動機構等、周知の種々の機構を採用することが可能である。一方、図18に示す態様では、間隔制御機構32は水平移動機構になるが、同様に油圧の水平移動機構、電磁石による水平移動機構、ボール螺旋水平移動機構等種々の機構を採用することが可能である。
図1は例示であり、送電側コイルLを収納する給電盤11を省略して、送電側コイルLを裸の状態で使用することも可能である。受電側コイルLは円盤状の誘電体からなる受電盤12に収納されている。ただし、受電側コイルLを収納する受電盤12を省略して、受電側コイルLを裸の状態で使用することも可能である。送電側コイルLからのウェイブレット状の電磁エネルギが、給電側共振回路と受電側共振回路のそれぞれの電磁エネルギの移動が重共振するようにして受電側コイルLに電磁誘導で給電される。
給電盤11の上面は受電盤12の下面に平行に配置されるように、給電盤11は地面上に設置もしくは埋設される。給電作業前の状態においては、給電盤11の上面が地上の平坦面30に平行に配置され、車輌31aが一様な平坦面上を走行して侵入可能に設定される。給電装置29aは、例えば駐車スペースに設けられ、車輌31aの駐車中に、受電盤12に対向することにより車輌31aに搭載された受電盤12に対してウェイブレット状の電磁エネルギを給電する。図17に示すような、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの伝送距離dのデータが取得されている場合において、特殊な事情により伝送可能な限界距離が存在するケースが発生する場合は、車輌31aの車高の関係で伝送距離dが限界距離内に入らない場合もある。このような場合は、給電盤11の上面を地面上から突出するように設置してもよく、給電盤11の上面が地面上から突出している場合は、給電場に侵入する車輌31aの両輪が、給電盤11の上面を跨ぐように車輌31aの侵入を誘導すればよい。
負荷6は、図3Bに示すような等価回路で表現される蓄電池であり、給電装置29aから受電盤12を介して供給されるウェイブレット状の電磁エネルギを蓄える。車輌31aは、例えば、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグイン電気自動車(PEV)または電気自動車(EV)等であり、負荷6としての蓄電池に蓄えられた電磁エネルギで走行する。1次側操作部33は、外部からの操作により、給電の開始を示す給電開始信号または給電の停止を示す給電停止信号を給電装置29aに出力する。1次側操作部33がAI機能により車輌31aの車高を決定した場合は、車輌31aの車高のデータも給電装置29aの駆動制御回路34aに送信する。
駆動制御回路34aは、図2に示すように、給電盤11を制御して、給電側共振回路と受電側共振回路のそれぞれの電磁エネルギの移動を重共振させる様々な駆動制御を行う。例えば、駆動制御回路34aは、1次側操作部33から給電開始信号が入力された際に、設定された駆動周期でウェイブレット状の電磁エネルギを給電するように給電盤11の電流を制御する。また、駆動制御回路34aは、受電回路27aから還流した電磁エネルギの振動特性を取得して、給電盤11と受電盤12との間の重共振による伝送効率が最大となる最適駆動周期を算出する処理を行う算術論理回路(ALU)341を備える。図1に示した伝送データ記憶装置342a及びプログラム記憶装置342bは図2に示すように算術論理回路341に接続されている。
駆動制御回路34aは、受電回路27aから還流した電磁エネルギの振動特性から、重共振による伝送効率が最大となり、且つ図3A等に示した駆動素子Qが破損しない駆動タイミングを選択し、選択した駆動タイミングで1次側スイッチング素子駆動回路340aを動作させるように制御する。1次側スイッチング素子駆動回路340aは、図3A等に示した駆動素子Qの制御端子に制御信号を送り、駆動素子Qをオン/オフ制御する。「駆動素子Qの制御端子」には、駆動素子Qが、電界効果トランジスタ(FET)、静電誘導トランジスタ(SIT)、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)、静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)等のサイリスタであれば、これらの電力用半導体素子のゲート電極が対応する。駆動素子Qがバイポーラトランジスタ(BJT)であれば、BJTのベース電極が駆動素子Qの制御端子になる。
本発明では、給電側共振回路と受電側共振回路のそれぞれにおけるパケット状の電磁エネルギの移動を伴う重共振状態を切る周期を「駆動周期T」と定義する。駆動周期Tで決まる駆動タイミングにおいて、駆動電圧Eが給電側共振回路にステップ入力されて、重共振の自由振動が切られる。ここで「駆動電圧E」は、図3A及び図4Aに示す直流電源5の端子間電圧Eである。ウェイブレット状の減衰振動が、駆動周期Tで周期的に励起される。駆動周期Tの中にパケット状の電磁エネルギの移動に伴う振動(以下において「エネルギ・パケット振動」という。)による複数の振動ピークが含まれるようにして、駆動制御回路34aを動作させるために、算術論理回路341は還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348を備える。即ち、算術論理回路341は、駆動制御回路34aと受電回路27aとが、送電側コイルLと受電側コイルLを介してエネルギ・パケット振動の重共振をすることができるように、駆動制御回路34aを制御する。
還流電圧測定制御回路345は、図3Aに示す検出器28を用いて受電回路27aから駆動制御回路34aに重共振で還流した電磁エネルギによる還流電圧の測定を制御する論理回路である。エネルギピーク計数回路346は、還流電圧測定制御回路345が測定した還流電圧から、受電回路27aから還流した電磁エネルギによるエネルギピークの数を計数し、電磁エネルギの移動を伴う重共振の自由振動を切る駆動周期Tを決定する論理回路である。エネルギピーク計数回路346は、検出器28の出力電圧の変化が0Vを切るゼロクロス時刻から駆動周期Tを決定することができる。結合係数算出回路347は伝送データ記憶装置342aに格納されている駆動周期Tと等価結合係数kの関係から、エネルギピーク計数回路346が決定した駆動周期Tに対応する等価結合係数kを算出する論理回路である。
伝送データ記憶装置342aには、還流電圧測定制御回路345が検出器28を用いて測定したゼロクロス時刻が格納されている。エネルギピーク計数回路346は、伝送データ記憶装置342aから伝送データ記憶装置342aに格納されたゼロクロス時刻を読み出して、駆動周期Tを決定することができる。更に伝送データ記憶装置342aには、図11に示すようなコイル間の距離(伝送距離)dと駆動周期Tの関係を示すデータや、図12に示すような、等価結合係数kと駆動周期の関係を示すデータが格納されている。伝送条件設定回路348は、伝送データ記憶装置342aから伝送距離dと駆動周期Tの関係を示すデータ及び等価結合係数kと駆動周期の関係を示すデータを読み出し、結合係数算出回路347が算出した等価結合係数kから最適な伝送距離dを決定する論理回路である。ここで「伝送距離d」は、図3Aに例示したような送電側コイルL1と受電側コイルL2の物理的な間隔を意味し、伝送距離dの具体例は図18に模式的に示されている。
一般には、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの伝送距離dは当初未知である場合がありうる。図17に示すような、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの伝送距離dの限界のデータが取得されている場合は、伝送条件設定回路348は、給電目的となる車輌31aの車高を考慮して、伝送距離dが限界のデータ以内の範囲に入るように伝送間隔制御回路340bに命令を送信する。1次側操作部33がAI機能により車輌31aの車高を決定している場合は、車輌31aの車高のデータも考慮して、間隔制御機構32に必要な移動距離を命令する。
特許文献3に記載された従来技術では、伝送距離dを最適な等価結合係数k=0.6に適合させるように伝送距離dの微調整が必要であった。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図17等を用いて以下に説明するように、最適な等価結合係数k=0.6に設定する必要はない。特に、図11及び図12に示すように、最適な等価結合係数k=0.6から離れた領域でのエネルギ振動型伝送では、駆動周期Tの伝送距離dに対する依存性が小さくなっている。よって、長距離伝送の場合は、k=0.6から離れた領域での動作になるので、伝送距離dの微調整は必要にならない。しかしながら、伝送条件設定回路348は、伝送データ記憶装置342aに格納された伝送距離dと駆動周期Tの関係を示すデータ及び等価結合係数kと駆動周期の関係を示すデータを読み出し、最適な伝送距離dを決定したり、駆動周期Tの微調整をしたりするようにもできる。
算術論理回路341は更に、還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348の演算処理のシークエンスを制御する演算シークエンス制御回路344を備える。算術論理回路341は更に、還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348及び演算シークエンス制御回路344のそれぞれに情報及び命令を伝達するAバス349a及びBバス349bを備える。また、駆動制御回路34aは、1次側操作部33より給電停止信号が入力された場合、給電を開始させないかまたは給電を停止するように1次側スイッチング素子駆動回路340aを制御する。駆動制御回路34aは、算術論理回路341が算出した駆動周期Tで決まる駆動タイミングにおいて駆動電圧Eが給電側共振回路にステップ入力させるように、1次側スイッチング素子駆動回路340aを動作させ、ウェイブレット状の電磁エネルギを給電装置29aから受電回路27aに給電する。
算術論理回路341には、マイクロチップとして実装されたマイクロプロセッサ(MPU)等を使用してコンピュータシステムを構成することが可能である。又、コンピュータシステムを構成する算術論理回路341として、算術演算機能を強化し信号処理に特化したデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、メモリや周辺回路を搭載し組込み機器制御を目的としたマイクロコントローラ(マイコン)等を用いてもよい。或いは、現在の汎用コンピュータのメインCPUを算術論理回路341に用いてもよい。更に、算術論理回路341の一部の構成又はすべての構成をフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)で構成してもよい。
図2に示す算術論理回路341を含む駆動制御回路34aのコンピュータシステムにおいて、伝送データ記憶装置342aは、複数のレジスタ、複数のキャッシュメモリ、主記憶装置、補助記憶装置を含む一群の内から適宜選択された任意の組み合わせとすることも可能である。又、キャッシュメモリは1次キャッシュメモリと2次キャッシュメモリの組み合わせとしてもよく、更に3次キャッシュメモリを備えるヒエラルキーを有しても構わない。PLDによって、算術論理回路341の一部又はすべてを構成した場合は、伝送データ記憶装置342aは、PLDを構成する論理ブロックの一部に含まれるメモリブロック等のメモリ要素として構成することができる。更に、算術論理回路341は、CPUコア風のアレイとPLD風のプログラム可能なコアを同じチップに搭載した構造でもよい。このCPUコア風のアレイは、あらかじめPLD内部に搭載されたハードマクロCPUと、PLDの論理ブロックを用いて構成したソフトマクロCPUを含む。つまりPLDの内部においてソフトウェア処理とハードウェア処理を混在させた構成でもよい。
還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348及び演算シークエンス制御回路344はAバス349a及びBバス349bを介して互いに接続されている。演算シークエンス制御回路344は、還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348のそれぞれの処理手順をコンピュータ・ソフトウェア・プログラムに従って、制御する。図2では、Aバス349aに、1次側スイッチング素子駆動回路340a及び伝送間隔制御回路340bが接続されている構成が例示されている。一方、Bバス349bには、伝送データ記憶装置342a及びプログラム記憶装置342b及び出力装置343が接続されている構成が例示されているが、図2に示す構成に限定されるものではない。
図2に示す算術論理回路341を構成するハードウェア資源としての還流電圧測定制御回路345,エネルギピーク計数回路346,結合係数算出回路347,伝送条件設定回路348等は、論理的な機能に着目したハードウェア資源を形式的に表現しているのであって、必ずしも、半導体チップ上に物理的な領域としてそれぞれ独立して存在する機能ブロックを意味するものではないが、PLDの「論理ブロック」のような半導体チップ上に実装されたプログラム可能な論理コンポーネント等の現実に存在する構成を否定するものでもない。算術論理回路341の一部の構成又はすべての構成をFPGAのようなPLDで構成した場合は、図2に示した演算シークエンス制御回路344のプログラムカウンタやAバス349a及びBバス349b等のデータバスは省略可能である。
本発明の第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、図3Aに示すように、1次側回路2aと2次側回路3aとを備える。1次側回路2aは、静電エネルギを蓄積する送電側コンデンサC、送電側コンデンサCに並列接続され送電側コンデンサCから送られた静電エネルギを磁気エネルギとして蓄積し、この磁気エネルギを送電側コンデンサCに還流すると同時に、2次側回路3aの受電側コイルL2に磁気的に結合し、磁気エネルギを送受する送電側コイルL1を有するLC共振回路である。互いに直列に接続された直流電源5と駆動素子Qとが、送電側コンデンサCに並列接続されている。直流電源5は送電側コンデンサCに直流電圧を供給する。
後述するように「駆動素子Q」は1次側回路2aの自由減衰振動を駆動周期Tにより特定の回数で制限してウェイブレット状の電磁エネルギを発生させ、重共振をさせる回路素子である。自由減衰振動を駆動周期Tにより特定の回数で制限することにより、駆動素子Qは1次側回路2aにおける過渡的な電流-電圧の変化によるウェイブレット状の電磁エネルギの振動が実現する。直流電源5は、擬似的な定電圧源でよく、単に整流したのみの簡単な構造の直流電源で大きなリップル成分を含む電源でもよいので制御回路や周辺回路が単純で壊れにくく回路設計が容易でしかも安価な直流電源5が採用できる。2次側回路3aは、送電側コイルL1に対向して離間し、送電側コイルL1から磁気エネルギを受け取る受電側コイルL2、受電側コイルL2に並列接続され受電側コイルL2に蓄積された磁気エネルギを静電エネルギとして蓄積する受電側コンデンサCを有するLC共振回路である。
互いに直列に接続された負荷側ダイオードDと負荷6とが受信側コンデンサCに並列接続されている。負荷6は、例えば車輌31aの車載用のリチウム(Li)イオン電池等の充電式電池が採用可能である。図3Bでは、例示的にリチウムイオン電池の等価回路を抵抗とコンデンサの直並列回路で模式的に示している。リチウムイオン電池には集電体や電界液の抵抗、電池内の界面にできる電気的2重層のコンデンサや抵抗が含まれる。図3A及び図4Aに示すように、負荷側ダイオードDは、アノードが受信側共振器2側、カソードが負荷6側を向くように接続され、充電電流ICSの流れる方向を一方向に限定している。図3A及び図4Aでは、負荷6のオン抵抗を含む浮遊抵抗をrで示している。
図3Aにおける直流電源5と等価内部抵抗rの端子間電圧をE、送電側コンデンサCの端子間電圧をVC1、受電側コンデンサCの端子間電圧をVC2、負荷6の端子間で測られる充電電圧をVCS、負荷側等価浮遊抵抗r=r+rs1+rs2+rs3を流れる電流を充電電流ICSとして図4B,6A,6B等で示す。等価内部抵抗rは、直流電源5の内部インピーダンスを近似的に抵抗値で示している。そして、駆動素子Qをオン・オフ駆動した場合の実測によって得られた端子間電圧VC1の過渡応答波形を図4Bに示す。
第1実施形態では、負荷6の充電電圧VCSの初期状態における値は、充電完了電圧に近い(満充電に近い)、高い値であるものと仮定する。時間t=0の時点で、送電側コンデンサCは充電されておらず端子間電圧VC1=0である。t=0で駆動素子Qをオン状態にすると、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力される。t=0のステップ入力により、最初はコンデンサCへの充電電流が流れ、その値はE/rである。この時に送電側コイルL1は流入する電流を阻止するよう逆起電力を発生するので、送電側コイルL1への電流はゼロである。図4Bに示すように、等価内部抵抗r、送電側コンデンサCの容量C、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、送電側コイルのインダクタンスL1、動的相互インダクタンスM=M(t)で決まる立ち上がり時定数τ1で送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1は増加する。立ち上がり時定数τ1は、主に送電側コンデンサCの容量Cと等価浮遊抵抗rstray=r+ron1+rp1の積C・rstrayに関係したパラメータに依存する値となる。
次第にCの電圧が上昇し、電流が小さくなるにしたがって送電側コイルL1の逆起電力は小さくなり送電側コイルL1への電流が流れ始める。それによって送電側コンデンサCの両端の電圧は少し下がる。この時点で 駆動素子Qをオフにする(t=t)。この駆動素子Qをオフにする時間tは、コイルに電流が流れ始めた時点で、かつそれを切ることによって生じる逆起電力によって生じる駆動素子Qに加えられる電圧によって駆動素子Qが破壊しないような時間とする。t=t1で駆動素子Qをオフにすると、送電側コンデンサCから送電側コイルL1に電流が流れるようになり本格的な放電を開始する。送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に移動しようとする。
この時に送電側コイルLに流れる電流によって送電側コイルL1の周囲に発生した磁界により、動的相互インダクタンスM=M(t)で結合した受電側コイルL2に起電力が生じ電流が流れる。この時に1次側回路2aと2次側回路3aの特性が調和していれば、この伝送された電力によって最も効率よく受電側コンデンサCが充電される。すなわち1次側回路2aから2次側回路3aへ電力が最も効率よく伝送される。この受電側コイルLに流れる電流によって受電側コイルLの周囲に生じた磁界によって送電側コイルL1に起電力が生じる。もともとの電圧とこの起電力によって、送電側コイルLの電圧は通常の交流の波形ではない正弦波から逸脱した鋸波のようになる。この鋸波の電圧の最も電圧の低い部分を少し過ぎたあたりで瘤のように盛り上がりつつ上昇する瘤付き鋸波特性となる。
この瘤のように盛り上がりが発生するまでの立ち下がり時定数τ2は、主に送電側コンデンサCの容量C、送電側コイルL1のインダクタンスL1及び送電側コイルL1の寄生抵抗をRstr(L1)に、後述する式(4)に類似な関係で示されるパラメータに依存する値となる。ただし、送電側コイルL1のインダクタンスは、時間tに依存する値である受電側コイルL2との動的相互インダクタンスM=M(t)を考慮する必要がある。
t=t2で一次側コンデンサの電圧は再び極大ピークとなり、この時に二次側のコンデンサの電圧は極小に近い値となる。特許文献3に記載の発明では、このすべてのピークに合わせて駆動素子Qを毎回オン状態にし、毎回、駆動電圧をステップ入力している。しかしながら、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すような自由減衰振動による複数の振動ピークを発生させた後、駆動周期Tで決まる所定のタイミングで駆動素子Qをオン状態にし、間欠的且つ周期的に駆動電圧をステップ入力する。
図7Aの横軸は時間軸であり、縦軸は図3Aに示した検出器28の出力である。送電側コイルL1と受電側コイルL2の物理的な間隔(伝送距離)d=2.0cm、等価結合係数k=0.6の場合の減衰振動の波形を示す。周期的に駆動電圧がステップ入力されない、自由減衰振動の波形を示している。交流理論が成立する定常状態では、周知のように、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間が結合係数KAC、相互インダクタンスMで磁気的に結合された回路で近似することが可能である。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、非交流理論に依拠するものであり、交流理論から導かれる結合係数KACと等価な、過渡応答時に定義される非定常状態における擬結合係数を「等価結合係数k」と定義している。等価結合係数kは、厳密には時間に依存するパラメータである。非交流理論においても、1次側回路2aの回路特性に内在する時定数と2次側回路3aの回路特性に内在する時定数との1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡現象(過渡応答相互誘導)に対し、交流理論の結合係数KACと同様な「磁気的結合度」である等価結合係数kで評価することができる。
図7Aに示すように、伝送距離d=2.0cm、等価結合係数k=0.6の場合では検出器28の出力はゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8で0Vを切るウェイブレット状の自由減衰振動の波形になっているが、ゼロクロス時刻T1とT2の間の負電圧の領域にW型の副振動を挟んでいる。同様に、ゼロクロス時刻T3とT4の間、ゼロクロス時刻T5とT6の間、ゼロクロス時刻T7とT8の間の負電圧の領域にもW型の副振動を挟んでいる。検出器28はほぼ送電側コンデンサCの端子間電圧VC1を測っているが、図3Aに示す回路においては、1次側回路2aと2次側回路3aの間で重共振をして電磁エネルギが往復するに従い、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、図示を省略した送電側コイルL1の寄生抵抗Rstr(L1)、受電側コンデンサC2の寄生抵抗rp2及び図示を省略した受電側コイルL2の寄生抵抗Rstr(L2)におけるジュール熱として消費されるので、電磁エネルギが次第に小さな値に減衰していることが分かる。
図7Aのゼロクロス時刻T1,T2,T3は、図8~図10に下付文字で表記したタイミングT,T,Tの時刻に、それぞれ対応する。図8に下付文字で表記したタイミングT,Tは、図7Aのゼロクロス時刻T1とT2の間のW型の中央の山の立ち上がり部分と立ち下がり部分に対応する。図9~図10に下付文字で表記したタイミングT,Tは、図7Aのゼロクロス時刻T3とT4の間のW型の中央の山の立ち上がり部分と立ち下がり部分に対応する。図7Aに示す等価結合係数k=0.6の場合は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率が高く、図8のタイミングT,Tにおいては、送電側コンデンサCに対し十分な還流電流が送電側コイルL1から戻ってきていないので、検出器28の出力が負の値でありゼロクロスできないものと考えられる。図9~図10のタイミングT,Tについても同様であり、等価結合係数k=0.6の場合は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率が高く、送電側コンデンサCに対し十分な還流電流が送電側コイルL1から戻って来ないため、ゼロクロス時刻T3とT4の間の負電圧の領域のW型の小さな山を構成しているものと考えられる。
図7Bの横軸は図7Aと同様に時間軸であり、縦軸は図7Aと同様に検出器28の出力であるが、伝送距離d=9.0cm、等価結合係数k=0.3の場合の減衰振動の波形を示す。図7Aと同様に、ゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8で0Vを切る減衰振動の波形になっているが、ゼロクロス時刻T3とT4の間のみに、負電圧の領域にW型の副振動を挟み、他の時間帯にはW型の副振動がない点が、図7Aの減衰振動とは異なる。図7Bのゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5は図8~図10に下付文字で表記したタイミングT,T,T,T,Tの時刻に、それぞれ対応する。図9~図10において下付文字で表記したタイミングT,Tはゼロクロス時刻T3とT4の間に出現しているW型の副振動に対応すると考えられる。等価結合係数k=0.3の場合はk=0.6の場合に比して磁気的結合度が低く、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率が低いので、図9~図10のタイミングT,Tにおいて、送電側コンデンサCに対し十分な還流電流が送電側コイルL1から戻って来ず、ゼロクロス時刻T3とT4の間の負電圧の小さな山を構成しているものと考えられる。
図7Cの横軸も、図7A及び図7Bと同様に時間軸である。又、図7A及び図7Bと同様に、図7Cの縦軸は検出器28の出力であり、伝送距離d=20cm、等価結合係数k=0.1の場合の減衰振動の波形を示す。図7A及び図7Bと同様に、ゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8で0Vを切るウェイブレット状の自由減衰振動の波形を図7Cは示しているが、W型の副振動がない点が、図7A及び図7Bの減衰振動とは異なる。図7Cのゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7は、図8~図10に下付文字で表記したタイミングT,T,T,T,T,T,Tの時刻に、それぞれ対応する。図7Cのゼロクロス時刻T2とT3の間の山は、送電側コンデンサCの正の値まで1回目の充放電されたことを示す波形である。
図7Cのゼロクロス時刻T4とT5の間の山及びゼロクロス時刻T6とT7の間の山は、それぞれ、送電側コンデンサCの正の値までに2回目及び3回目の充放電されたことを示す波形である。等価結合係数k=0.1の場合はk=0.3の場合に比して磁気的結合度が低く、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率が更に低いので、すべてのタイミングT~Tにおいて、送電側コンデンサCが正の値まで充電できる十分な還流電流が送電側コイルL1から戻って来ているので、毎回の送電側コンデンサCの充放電がゼロクロスできることを示している。
図7Cのゼロクロス時刻T2とT3の間の山は、最初に駆動電圧Eを給電側共振回路にステップ入力して送電側コンデンサCを充放電した現象に対応する。これに対し、ゼロクロス時刻T4とT5の間の山及びゼロクロス時刻T6とT7の間の山は、重共振において還流された電磁エネルギにより送電側コンデンサCが充放電された現象を示す。重共振による還流エネルギが送電側コンデンサCを正の値までに充放電する現象に着目すれば、ゼロクロス時刻T4とT5の間の山及びゼロクロス時刻T6とT7の間の山は、それぞれ1回目と2回目の還流エネルギによる充放電の山になる。
図7A及び図7Bに示す減衰振動も、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、図示を省略した送電側コイルL1の寄生抵抗Rstr(L1)、受電側コンデンサC2の寄生抵抗rp2及び図示を省略した受電側コイルL2の寄生抵抗Rstr(L2)におけるジュール熱として電磁エネルギが消費されていることを示している。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すような正弦波が変調された減衰振動になる。本明細書においては、以下において、図7A,7B及び7Cに示すような正弦波が変調された波を「擬正弦波」と呼ぶ。図7AはW型の擬正弦波の振動を示しており、図7Bも一部にW型を含む擬正弦波の振動になっている。
特許文献3に記載の発明と、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合のいずれにおいても、駆動素子Qをオン状態にすると、最初は、送電側コンデンサCへの充電電流が流れ、その値は駆動電圧Eから図4B,6A,6B等に示したt=tおける、送電側コンデンサCの電圧VC1を引いたものをr1で除した値(E-VC1)/r1である。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいて、駆動周期Tの満了のタイミングTで駆動素子Qをオン状態にしたときの過渡変化は図15及び図16に示している。特許文献3に記載の発明と、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの相違点は、特許文献3に記載の発明では送電側コンデンサCへの充放電を示す各振動に対し、毎回駆動電圧Eをステップ入力するのに対し、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システム図7A,7B及び7Cに示すような自由減衰振動をして、送電側コンデンサCへの還流電流による充放電がされた後、駆動周期Tで決まる所定のタイミングで端子間電圧Eをステップ入力して自由減衰振動を切る動作である点である。
駆動素子Qを再度オンにすると、送電側コイルL1は流入する電流を阻止するよう逆起電力を発生するので、送電側コイルL1への電流はゼロである。次第に送電側コンデンサCの電圧が上昇し、電流が小さくなるにしたがって送電側コイルLの逆起電力は小さくなり送電側コイルLへの電流が流れ始める。それによって送電側コンデンサCの両端の電圧は少し下がる。この時点で 駆動素子Qをオフにする(図4Bのt=t3)。この駆動素子Qをオフにする時間t3は、コイルに電流が流れ始めた時点で、かつそれを切ることによって送電側コイルL1に生じる逆起電力によって駆動素子Qに加えられる電圧によって駆動素子Qが破壊しないような時間とする。t=t3で駆動素子Qをオフした後は送電側コンデンサCから送電側コイルL1に電流が流れるようになり本格的な放電を開始する。送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に移動しようとする。
この時に送電側コイルLに流れる電流によって送電側コイルL1の周囲に発生した磁界により、動的相互インダクタンスMで結合した受電側コイルL2に起電力が生じ電流が流れる。後に述べるように、この時に1次側回路2aと2次側回路3aの過渡応答に関与する時定数等が調和すれば、最も効率よく受電側コンデンサCが充電される。その後1次側回路2aと2次側回路3aとの間のエネルギ・パケット振動が重共振することにより、1次側回路2aから2次側回路3aへ電力が最も効率よく伝送される。この受電側コイルLに流れる電流によって受電側コイルLの周囲に生じた磁界によって送電側コイルL1に起電力が生じる。図4B、図6A及び図6Bから分かるように、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいても、送電側コイルLの起電力による電圧は通常の交流の波形ではない正弦波から逸脱した鋸波のようになる。この鋸波の電圧の最も電圧の低い部分を少し過ぎたあたりで瘤のように盛り上がりつつ上昇する瘤付き鋸波特性となる。
この結果、t=t3以降は、図4Bの右側に示すように、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は減少し、再度負の値になる。送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が負の値になると、送電側コイルL1に蓄えられた電磁エネルギは送電側コンデンサCに還流し始め、図4Bの右端に示すように、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始し、正の値になり、更に増大しその後減少する。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、これが、図7Cのゼロクロス時刻T2とT3の間の山、ゼロクロス時刻T4とT5の間の山及びT6とT7の間の山として示されている。留意すべきは、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおけるエネルギ・パケット振動の周期は、送電側コンデンサの容量C、送電側コイルのインダクタンスL1、動的相互インダクタンスM、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、図示を省略した送電側コイルL1の寄生抵抗をRstr(L1)等で決まる立ち下がり時定数τ2に依存することである。図4Bに示すように、駆動素子Qによる駆動電圧のステップ入力と遮断により、端子間電圧VC1の変化は通常の交流理論における正弦波の波形ではなく、瘤付鋸波が鈍った立ち上がり・立ち下がり特性を有する振動の過渡応答の波形を示す。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すように、エネルギ・パケットの移動による複数の振動ピークが減衰しながら繰り返されるウェイブレット状のパケットが形成される。
1次側回路2aの回路特性に内在する時定数と2次側回路3aの回路特性に内在する時定数とが調和したとき「過渡応答相互誘導」が生じるが、更に、エネルギ・パケット振動を重共振させることにより、1次側回路2aの電磁エネルギが2次側回路3aに最も効率よく伝送される。特許文献3に記載の発明における、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導が生じる際の1次側回路2aの端子間電圧VC1と、2次側回路3aの端子間電圧VC2の過渡応答波形を図6Aに示す。図6Aでは、図4Bと同様に、駆動素子Qによる駆動電圧のステップ入力と遮断により、端子間電圧VC1は、瘤付鋸波が鈍った立ち上がり・立ち下がり特性の繰り返し過渡応答波形を示している。図6Aに実線で示した過渡応答波形は、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が、負の値から増大を開始し、正の値になり、更に増大して、t=tiで駆動素子Qがオン状態に至る様子である。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すように、エネルギ・パケットの移動による減衰振動を有するウェイブレット状の振動波形になる。
駆動電圧のステップ入力により、図6Aの左側に破線で示したように、1次側回路2aと2次側回路3aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡現象(過渡応答相互誘導)によって、2次側回路3aの受電側コンデンサCが充電され、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2がピーク値に到達した後、受電側コンデンサCが放電を開始し、端子間電圧VC2が減少を開始している。図6Aでは任意のi番目の時刻t=tiで駆動素子Qをオン状態にすると、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力される場合を示している。2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2はt=tiでは負の値にまで減少している。
特許文献3に記載の発明においては、t=tiで駆動電圧Eをステップ入力することにより、図6Aの中央左側付近に示すように、等価内部抵抗r、送電側コンデンサの容量C、送電側コイルのインダクタンスL1、動的相互インダクタンスM、受電側コンデンサC2の寄生抵抗rp2、負荷側等価浮遊抵抗r、図示を省略した受電側コイルL2の寄生抵抗をRstr(L2)等で決まる立ち上がり時定数τ1で1次側回路2aの送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1は増加する。図6Aに示すように、1次側回路2aの端子間電圧VC1はピーク値に到達した後、減少を開始する。t=ti+1で駆動素子Qをオフ状態にすると、1次側回路2aの送電側コンデンサCは本格的な放電を開始し、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に移動する。2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は破線で示したようにt=tiからt=ti+1での間では負の値である。
特許文献3に記載の発明においては、t=ti+1以降は、図6Aの中央付近に実線で示すように、送電側コンデンサの容量C、送電側コイルのインダクタンスL1、動的相互インダクタンスMで決まる立ち下がり時定数τ2で送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は減少し負の値になり、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイルL1に移る。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでも、図7A,7B及び7Cに示すように、送電側コンデンサの容量C、送電側コイルのインダクタンスL1、動的相互インダクタンスMで決まる立ち下がり時定数τ2で決まる複数の振動ピークを有する減衰振動が形成される。送電側コイルL1に蓄積された電磁エネルギは、1次側回路2aと2次側回路3aとの間の過渡現象(過渡応答相互誘導)によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送された電磁エネルギは、2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。
この結果、t=ti+1以降において、図6Aの中央付近に破線で示すように、2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は増大を開始する。2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2はピーク値に到達した後、減少を開始し、図6Aの右側に破線で示すように負の値となる。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、負荷6の充電電圧VCSの初期状態における値は、充電完了電圧に近い(満充電に近い)、高い値を想定しており、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2がピーク値になった付近で負荷6の充電電圧VCSを超えるため、負荷6に電流が流れ、受電側コンデンサC2に蓄積された電磁エネルギは負荷6に移動し、負荷6である充電式電池が充電される。
特許文献3に記載の発明において、t=ti+1以降は、図6Aの中央の実線に示すように送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が負の値の最小値に到達したのちに0Vをクロスすると、送電側コイルL1に蓄えられた電磁エネルギは送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により更に増大する。図6Aの右側に破線で示すように、端子間電圧VC1が正の値になると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値になる。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図3Aに示す検出器28を用いて、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の還流電流による振動を図7A,7B及び7Cに示すように測定する。
特許文献3に記載の発明においては、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が正の値で増大し、t=ti+2で駆動素子Qを再度オン状態にすると、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力される。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すようなウェイブレット状の減衰振動をさせた後、駆動周期Tで決まる所定のタイミングで駆動素子Qをオン状態にし、駆動電圧Eをステップ入力する。t=ti+2のステップ入力により、図6Aの右側の実線に示すように送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1は増加する。図6Aの実線に示すように、端子間電圧VC1はピーク値E0に到達した後、再度減少を開始する。t=ti+3で駆動素子Qをオフ状態にすると、送電側コンデンサCは再度放電を開始し、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に移動する。2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は破線で示したようにt=ti+2からt=ti+3での間では負の値である。
送電側コイルL1に蓄積された電磁エネルギは、1次側回路2aと2次側回路3aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡現象(過渡応答相互誘導)によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送された電磁エネルギは、2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。図6Aに示すように、駆動素子Qによる駆動電圧Eのステップ入力と遮断により、1次側回路2aの端子間電圧VC1の変化は通常の交流理論における正弦波の波形ではなく、瘤付鋸波が鈍った立ち上がり・立ち下がり特性の繰り返し波形の過渡応答を示す。一方、2次側回路3aの端子間電圧VC2の変化は、間引かれた三角波のような繰り返し波形の過渡応答を示すが、通常の交流理論における正弦波の波形ではない。図6Aから分かるように「間引かれた三角波」とは、台形波の極性を逆にした波形とも解釈できる。いずれにせよ、1次側回路2aの振動波形と2次側回路3aの振動波形とは互いに対称性のある振動波形ではない。
図6Bは、特許文献3に記載の発明において図6Aに示した端子間電圧VC1及び端子間電圧VC2の過渡応答波形に更に駆動電圧、負荷6の端子間電圧VCS及び負荷6である充電式電池への充電電流ICSを加えた過渡応答の実測波形である。t=tで駆動素子Qをオン状態にして送電側コンデンサCに電荷を蓄えた後、t=ti+1で駆動素子Qをオフ状態にすると、1次側回路2aから2次側回路3aへの1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導が生じる。駆動素子Qをオン状態にすると、直流電源5の等価内部抵抗rが小さいので、図6Bにおいて太い実線で示した駆動電圧が1次側回路2aの端子間電圧VC1に重畳する変化を示している。
図6Bのt=ti+1以降の過渡応答に着目して説明する。図6Bの中央付近に実線で示すように、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、t=ti+1以降において減少し負の値になる。送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。送電側コイルL1に蓄積された電磁エネルギは、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積されるため、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、図6Bの中央付近に破線で示すように、t=ti+1以降において負の値から増大を始める。
2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、中央の左側よりの破線で示したようにt=tiからt=ti+1での間では負の値である。受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、t=ti+1の負の値から増大し、正の値になり更に増大し、ピーク値に到達した後、図6Bの右側に破線で示すように、減少を開始する。端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図6Bの右側に一点鎖線で示した充電電流ICSとして負荷6に流れ、負荷6が充電される。一点鎖線で示した充電電流ICSの増大とほぼ同期して、図6Bの右側に点線で示した負荷6の端子間電圧VCSも僅かに増大し、ピーク値を経た後に、充電電流ICSの減少に同期して減少する過渡応答を示す。充電電流ICSが減少してゼロになると、負荷6の端子間電圧VCSの減少は停止し、増大に転じ、負荷6の端子間電圧が定常値になる。充電電流ICSに応じた端子間電圧VCSの変化は図3Aに例示的に等価回路を示したような抵抗とコンデンサの直並列回路が存在するために生じる。
特許文献3に記載の発明において、t=ti+1以降において、図6Bの中央の実線に示すように送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が負の値の最小値に到達すると、送電側コイルL1に蓄えられた電磁エネルギは送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始し、正の値になり、更に増大する。図6Bの右側に破線で示すように、端子間電圧VC1が正の値になると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値になる。
特許文献3に記載の発明において、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が正の値で増大し、t=ti+2で駆動素子Qを再度オン状態にすると、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力される。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すようなウェイブレット状の減衰振動をさせた後、駆動周期Tで決まる所定のタイミングで駆動素子Qをオン状態にして、駆動電圧Eをステップ入力する。駆動電圧Eを周期的にステップ入力することにより、ウェイブレット状の減衰振動が、駆動周期Tで周期的に励起される。t=ti+2のステップ入力により、図6Bの右側の実線に示すように送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1は増加する。前述したように、直流電源5の等価内部抵抗rが小さいので、駆動素子Qをオン状態にすると、図6Bの太い実線で示した駆動電圧Eは端子間電圧VC1に重畳する変化をする。図6Bの右端の端子間電圧Eに重畳された実線に示されるように、端子間電圧VC1はピーク値に到達した後、再度減少を開始する。t=ti+3で駆動素子Qをオフ状態にすると、送電側コンデンサCは再度放電を開始し、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に移動する。2次側回路3aの受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は破線で示したようにt=ti+2からt=ti+3での間では負の値である。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、駆動素子Qをオフ状態にすると図7A,7B及び7Cに示すようなウェイブレット状の減衰振動になる。
任意の時刻t=ti以前の振る舞いも同様であり、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、図6Bの左側に破線で示すように、ピーク値に到達した後、減少を開始する。端子間電圧VC2が増加していき端子間電圧VCSを上回ると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図6Bの左側に一点鎖線で示した充電電流ICSとして負荷6に流れ、負荷6が充電される。一点鎖線で示した充電電流ICSの増大とほぼ同期して、図6Bの左側に点線で示した負荷6の端子間電圧VCSも僅かに増大し、ピーク値を経た後に、充電電流ICSの減少に同期して減少する過渡応答を示す。充電電流ICSが減少してゼロになると、負荷6の端子間電圧VCSの減少は停止し、増大に転じ、負荷6の端子間電圧が定常値になる。充電電流ICSに応じた端子間電圧VCSの変化は図3Aに例示的に等価回路を示したような抵抗とコンデンサの直並列回路が存在するために生じる。
そして、既に説明したt=ti+1で駆動素子Qをオフ状態にすると、図6Bの中央の実線に示すように送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が負の値に向かって減少を開始する。このようにして、送電側コイルL1に蓄積された電磁エネルギは、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送された電磁エネルギは、2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。図6Bに示すように、駆動素子Qによる駆動電圧Eのステップ入力と遮断により、1次側回路2aの端子間電圧VC1の変化は通常の交流理論における正弦波の波形ではなく、瘤付鋸波が鈍った立ち上がり・立ち下がり特性の繰り返し過渡応答波形を示し、2次側回路3aの端子間電圧VC2は間引かれた三角波のような繰り返し波形の過渡応答を示す。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに示すような擬正弦波の減衰振動になり、振幅が一定の交流理論が適用可能な正弦波ではない。
図3Aに示した駆動素子Qとして、電磁接触器等の機械的なスイッチング素子の他、より好ましい態様として、より高速スイッチングが可能な電力用半導体素子が用いられる。電力用半導体素子としては、FET、SIT、BJTの他、GTO、SIサイリスタ等のサイリスタが好適である。特に、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(MISFET)、絶縁ゲート型静電誘導トランジスタ(MISSIT)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、MOS制御SIサイリスタ等の電圧駆動型のスイッチング素子は、消費電力が小さくなり好適である。市場での入手可能性と電力用半導体素子の内部抵抗の評価からは、現状においては、MISFETの類型であるMOS型電界効果トランジスタ(MOSFET)を図3Aに示す回路のように採用することが可能である。
車輌31aの車載用の充電式電池を負荷6とするようなエネルギ振動型伝送システムにおいては大電流が流れることによるジュール熱の発生が大きく、数百ワット以上の発熱が伴うことになり、エネルギ振動型伝送システムが暖房装置(ヒーター)になってしまう。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは駆動素子Qとして用いる電力用半導体素子は1個のみで良いので、銅のブロック等のヒートシンクで覆い熱伝導性を上げ、発熱による素子の破壊を防ぐ構造が簡単に設計でき、しかも浮遊抵抗、浮遊容量、浮遊インダクタンスの発生も最小化できる。送電側コイルL1及び受電側コイルL2の浮遊抵抗(寄生抵抗)による発熱も大きいので、送電側コイルL1及び受電側コイルL2を空冷、水冷する等の対策が好ましい。
車輌31aの車載用等の大電力用エネルギ振動型伝送システムにおけるジュール熱の発生を押さえる一つの方法は、1次側回路2aの電圧を高め、送電側コイルL1と受電側コイルL2の巻線比で2次側回路3aの電圧を負荷6の最適電圧に設定することである。駆動素子Qとして電力用半導体素子を採用する場合には、電力用半導体素子をオン/オフ制御する単純な制御だけでよいので、1次側回路2aの電圧を高める回路設計は容易である。
このように、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動素子Qが1個のみの単純設計であるので、1次側回路2aの電圧を高めて1次側回路2a側のジュール熱の発生による電力損失を最小限に抑制する設計が容易である。ジュール熱発生によるエネルギ損失も少なくできるので第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、車輌31aの車載用等の大電力用電力伝送の場合における電源回路(0次回路)の損失を含めた総合的な電力伝送効率が高くなり、人類のエネルギ問題の解消に寄与できる。
図3Aに示す実装回路においては、送電側コイルL1からの還流電流を考慮し第1の還流ダイオード(フリーホイルダイオード)FWD1が、駆動素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、保護素子として並列接続されている。又、送電側コイルL1からの還流電流が直流電源5に還流するのを防ぐため、電源側ダイオードDが直流電源5と駆動素子Qの間に直列接続されている。図3Aに示す実装回路では負荷6の等価インピーダンスXLeqを充電容量Csで近似して表現している。
通常の定常状態の正弦波に依拠した交流理論では、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の相互インダクタンスMは、結合係数KACを用いて:

M=KAC(L1・L21/2 ……(1)

と示すことができる。
そして送電側コンデンサCと送電側コイルL1との直列回路と、受電側コンデンサCと受電側コイルL2の直列回路との相互誘導は、相互インダクタンスMを用いると、以下の結合方程式

1di/dt+(1/C)∫idt+Mdi/dt=0 …(2)
2di2/dt+(1/C)∫idt+Mdi/dt=0 …(3)

によって表される。式(2)及び(3)において、∫は積分記号である。即ち、図3Aに示す実装回路は、通常の定常状態の正弦波に依拠した交流理論によれば、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の相互インダクタンスMのコイルを用いてT型の等価回路で表現できる。T型の等価回路としては、上の水平棒にインダクタンスL1-MとインダクタンスL2-Mが直列接続され、直列接続のノードに接続される縦の中棒にインダクタンスMが接続される。
しかし、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、正弦波の交流理論に依拠しない過渡応答の伝送技術であるので、交流理論で用いられる等価回路の表現は近似的な物理モデルを考える上での模式図に過ぎない。時間変化のある場合のマックスウェルの方程式は、時間変化が正弦波に依拠する場合は解析的に解くことが可能である。しかし、図4B、図6A及び図6Bに示したように鋸波状の時間変化がある場合は、マックスウェルの方程式を解析的に解くことは極めて難しい。よって、交流理論で用いられる相互インダクタンスMは、本発明においては、tを時間とする関数M(t)で表現される時間依存性のあるパラメータとなり、注意が必要である。
図5Aは、図3Aに示す実装回路に駆動素子Qの一例として用いているnMOSFETの大信号用等価回路を示す。図5Aに示すように、一般的なnMOSFETはp型基板71にn型のソース領域72とn型のドレイン領域73をチャネル領域となるp型基板71の表面を挟んで対向させている。ソース領域72とドレイン領域73のチャネル領域の上には厚さTOXのゲート酸化膜81を介して制御端子(ゲート電極)84が設けられている。ソース領域72の上にはソース電極82が、ドレイン領域73の上にはドレイン電極83がそれぞれオーミック接触している。
図5Aに示すように、一般的なnMOSFETでは制御端子(ゲート電極)84とソース領域72の間にはゲート・ソース間容量CGSが、ゲート電極84とドレイン領域73の間にはゲート・ドレイン間容量CGDが、ゲート電極84と基板71の間にはゲート・基板間容量CGBが存在する。更に、ソース領域72と基板71の間にはソース・基板間容量CBSが、ドレイン領域73と基板71の間にはドレイン・基板間容量CBDが存在する。図5Bに示す等価回路では、ドレイン電極とチャネル領域の間に直列接続されるドレイン抵抗RDと、ソース電極とチャネル領域の間に直列接続されるソース抵抗RSとが、チャネル領域に設けられた電流IDSの定電流源に直列接続された構成が示されている。
図3Aに示した第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいては、駆動素子Qのオン抵抗となる図5に示したMOSFETのドレイン抵抗RDとソース抵抗RSが重要な意味を持ち、駆動素子Qにはオン抵抗の小さな素子を選ぶ必要がある。したがって、図3Aに示す実装回路において、直流電源5の等価内部抵抗rに駆動素子Qのオン抵抗を含ませて、1次側回路2aの回路特性に内在する時定数を決定する必要がある。
図4Bのt=t1で駆動素子Qをオフ状態にした場合、1次側回路2aはRLC直列回路になる。交流理論によれば、送電側コイルL1の寄生抵抗をRstr(L1)とすると、RLC直列回路の減衰係数ζ1は、

ζ1=(Rstr(L1)/2)(C/L11/2 ……(4)

と表される。しかし、送電側コイルL1のインダクタンスは、実際には受電側コイルLとの動的相互インダクタンスM=M(t)を考慮する必要があるが、動的相互インダクタンスM=M(t)を解析的に説明するのは困難である。
このときの2次側回路3aの負荷側ダイオードDと負荷6等からなる並列回路を無視すれば、RLC直列回路と見なすことができる。負荷側ダイオードDと負荷6等を無視して交流理論を採用すれば、受電側コイルL2の寄生抵抗をRstr(L2)として、2次側回路3aの減衰係数ζ2は、

ζ2=(Rstr(L2)/2)(C/L21/2 ……(5)

と表される。(5)式においても、受電側コイルL2のインダクタンスは、動的相互インダクタンスM=M(t)の時間変化を考慮する必要がある。
図4Bのt=t1で駆動素子Qをオフ状態で構成されるRLC直列回路の共振周波数は、交流理論によれば、

o1=(1/2π)(C・L1)-1/2 ……(6)

と近似できる。上述したとおり、(6)式において、実際には、受電側コイルL1のインダクタンスとして、時間に依存する動的相互インダクタンスM=M(t)の過渡変化を考慮する必要があることに留意が必要である。同様に、2次側回路3aの負荷側ダイオードDと負荷6等を無視した場合のRLC直列回路の共振周波数は、交流理論によれば、

o2=(1/2π)(C・L2)-1/2 ……(7)

と近似できる。非交流理論では(7)式においても、受電側コイルL2のインダクタンスは、動的相互インダクタンスM=M(t)を考慮する必要がある。
第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの送電側コイルL1と受電側コイルL2は、例えば図18に示したような、渦巻き状平面コイルとすることができる。図18は、図3Aの送電側コイルL1と受電側コイルL2の物理的な構造を具体化して示した模式図である。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、例えば、導体断面積16mm2の配線用ケーブルをそれぞれ9巻して直径約30cm程度の渦巻き状平面コイルとしている。この直径約30cm程度の2つの渦巻き状平面コイルを、間隔dのギャップを設けて、非接触で互いに平行に対抗させて配置する。1次側回路2aから2次側回路3aへの1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率は、交流理論で定義される結合係数KACと同様な磁気的結合度の値に依存する。磁気的結合度は、2つの渦巻き状平面コイルの間隔dによって異なり、2つの渦巻き状平面コイの間隔dを制御する必要がある。
磁気的結合度は、2つの渦巻き状平面コイルの位置関係を機械的に調整する、2つの渦巻き状平面コイルの間に磁性体を挿入する、若しくは2つの渦巻き状平面コイルの周辺に磁性体を配置する、2つの渦巻き状平面コイルの間に働く吸引力若しくは反発力を利用してあらかじめ形作られたカップリングにアタッチする等によって調整することができる。
交流理論における結合係数KAC=0.6にほぼ近似できる等価結合係数kとなる送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互関係のときが、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導には好適である。導体断面積16mm2の配線用ケーブルをそれぞれ9巻した渦巻き状平面コイルの場合、等価結合係数k=0.6を実現するためには、間隔dは、0cm~2.0cm程度が必要になる。一方、交流理論の結合係数KAC=0.1にほぼ近似できる等価結合係数kとなる条件の送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互関係を実現するためには、間隔dは10cm程度である。図14に送電側コイルL1と受電側コイルL2を誇張(拡大)して模式的に示すように、車輌31bの車載用の充電式電池である負荷6を第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムを用いて充電するためには、後輪の車止め33を間隔制御機構32として用いて送電側コイルL1と受電側コイルL2の間隔dを10cm程度に制御し、効率のよい無接触給電をすることができる。
送電側コイルL1と受電側コイルL2の間隔dを制御する間隔制御機構32として、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間に厚さd0のスペーサを挟めば、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間隔d=d0に制御できる。なお、1次側回路2aから2次側回路3aへの1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導による伝送効率に重要な磁気的結合度の値に対応する送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互関係は、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間隔d以外のパラメータによっても間隔制御機構32を構成することが可能である。
例えば、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間に透磁率μrのフェライト等の磁性体板を挿入して結合度調整制御機構としてもよい。磁性体板の上下方向における挿入位置、若しくは磁性体板の挿入面積によって、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の磁気的結合度の値は制御できる。磁性体板は、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間ではなく、磁性体板を送電側コイルL1の裏側に挿入しても構わない。磁性体板の上下方向における挿入位置、若しくは送電側コイルL1の面積に対する磁性体板の挿入面積の比によって、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の磁気的結合度の値は制御できる。図示を省略しているが、磁性体板を受電側コイルL2の裏側に挿入しても同様に、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の磁気的結合度の値を制御できることは、勿論である。
具体的には、光学的な測距ユニットを、送電側コイルL1が設けられている給電装置側に設けてもよい。測距ユニットは発光部と受光部を備えた間隔制御機構32を用意すればよい。受光部が光飛行時間型(TOF型)の測距素子dであれば、発光部から、パルス発光がなされる。パルス発光は、例えば、近赤外LD(レーザダイオード)や近赤外LEDが用いられる。受電側コイルL2や車輌31aの底部から反射したパルス光が、レンズやBPF(バンドパスフィルタ)などを通して受光部に照射される。測距ユニットはレーザ干渉計等の構成でも構わない。
測距ユニットの受光部は、図2に示した駆動制御回路34aの伝送間隔制御回路340bに接続されている。伝送間隔制御回路340bは、算術論理回路341の伝送条件設定回路348が接続されている。受光部の出力は、図示を省略した出力バッファやインターフェイスを介して、間隔制御機構32に制御条件を送信する伝送条件設定回路348に入力され、伝送条件設定回路348において、送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の距離測定に必要な演算処理が実施される。算術論理回路341には算術論理回路341における磁気的結合度の値の計算等の論理演算に必要なデータや所望の等価結合係数(擬結合係数)を実現するために必要な磁性体板の上下方向における挿入位置のデータが格納された伝送データ記憶装置342aが接続されている。なお、図示を省略しているが、算術論理回路341には算術論理回路341の動作を命令するプログラムを記憶したプログラム記憶装置等が接続されていてもよい。
磁性体板を用いて磁気的結合度の値を制御する場合は、伝送条件設定回路348が計算した送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の伝送距離dのデータは、算術論理回路341の結合係数算出回路347に送信される。結合係数算出回路347は、伝送条件設定回路348が計算した送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の伝送距離dのデータから、現在の送電側コイルL1と受電側コイルL2の間の磁気的結合度の値を求める。結合係数算出回路347は更に、伝送データ記憶装置342aに格納された、所望の等価結合係数を実現するために必要な磁性体板の上下方向における挿入位置のデータから、磁性体板の移動距離を算出し、伝送間隔制御回路340bに出力する。図2に示した間隔制御機構32の伝送間隔制御回路340bは結合係数算出回路347から送られた磁性体板の移動距離のデータから、磁性体板の上下方向における挿入位置や磁性体板の上下方向における挿入位置を所望の位置になるように駆動制御する。間隔制御機構32にはステップモータ等、周知の位置制御機構を採用可能である。このようにして、測距ユニットの出力から、磁性体板の上下方向における挿入位置を所望の位置になるようにフィードバック制御することができる。
図8~図10は、図3Aに示した実装回路の動作を、8つのタイミングT0~T7毎に分けて時系列で示す図である。図8~図10では、送電側コイルL1と受電側コイルL2のそれぞれの磁束が互いに打ち消し合う「差動接続」であるとして説明する。交流理論に従えば、交流理論における相互インダクタンスMとすると、差動接続の合成インダクタンスはL=L1+L2-Mで表現できるが、本発明の過渡応答相互誘導においては、必ずしも交流理論に従わないことに留意すべきである。
図8(a)に示すように、駆動素子Qをオン状態にしたタイミングT0では、先ず送電側コンデンサCに電荷が入力電磁エネルギEIN1として蓄えられる。図8(a)に示すように、このときの駆動素子Qの内部抵抗ron1である。図8(a)のタイミングにおいて、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が増大し始めると、送電側コンデンサCに蓄積された入力電磁エネルギEIN1=(1/2)C2=Q2/(2C)の一部は送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。送電側コイルL1の電磁エネルギは、僅かであるが、2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電側コイル電流IL2として2次側回路3aの受電側コンデンサCの充電に費やされる。しかし、図8(a)のタイミングでは受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値である。
次に、図8(b)に示すタイミングT1で、駆動素子Qを遮断状態(オフ状態)にすると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された転送電磁エネルギEは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。転送電磁エネルギEは、直流電源5の等価内部抵抗r、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、図示を省略した送電側コイルL1の寄生抵抗Rstr(L1)におけるジュール熱として消費されて入力電磁エネルギEIN1よりも小さな値に減衰している。図8(a)及び図8(b)のタイミングT0~T1で送電側コンデンサCの第1回目の充放電がなされる。送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE=(1/2)L12は、1次側回路2aと2次側回路3aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。
差動接続を仮定しているので、通常の交流理論に従い、図8(b)に示す方向に電流が流れて、転送電磁エネルギE3も流れる。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された転送電磁エネルギE3=(1/2)L22は、受電側コイル電流IL2として2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。転送電磁エネルギE3は、受電側コンデンサC2の寄生抵抗rp2及び図示を省略した受電側コイルL2の寄生抵抗Rstr(L2)におけるジュール熱として消費されて転送電磁エネルギE2N1よりも小さな値に減衰している。図8(b)のタイミングT1~T2では受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は正の値になる。受電側コンデンサCの端子間電圧VC2はピーク値に到達した後、減少を開始する。
端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された転送電磁エネルギE4=(1/2)C2=Q2/(2C)は、図8(c)に示すように、タイミングT2において、充電電流ICSとして負荷6に流れ、負荷6が充電される。しかしながら、端子間電圧VC2の減少に伴い、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギの一部は、図8(c)に示すように、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2として還流し、受電側コイルL2にも電気的エネルギが蓄積される。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは、図8(c)に示すように、2次側回路3aと1次側回路2aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって1次側回路2aの送電側コイルL1に還流される。差動接続を仮定しているので、通常の交流理論に従い、図8(c)に示す方向に電流が流れて、電磁エネルギも流れる。
図8(c)に示すように、送電側コイルL1に還流された送電側コイル電流IL1によって、送電側コイルL1に蓄えられた転送電磁エネルギEは送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始する。したがって、図8(c)に示すように、送電側コイルL1に還流された送電側コイル電流IL1を測定する検出器を、1次側回路2aに設けておけば、2次側回路3aから還流した還流電圧の大きさを測定できる。即ち、1次側回路2aに設けた検出器によって、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって、1次側回路2aから2次側回路3aに伝送されるワイヤレス伝送の効率を測定できる。
駆動素子Qがオフ状態において、図9(d)に示すタイミングT3になると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。図8(c)及び図9(d)のタイミングT2~T3で送電側コンデンサCの第2回目の充放電がなされる。送電側コイルL1に蓄積された電磁エネルギは、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電側コイル電流IL2として2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。このとき負荷6を充電する予定だった電磁エネルギの残余成分が、転送電磁エネルギE5として還流し、受電側コンデンサCに蓄積される。図9(d)のタイミングT3~T4では受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は正の値になる。受電側コンデンサCの端子間電圧VC2はピーク値に到達した後、減少を開始する。
端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された転送電磁エネルギE6は、図9(e)に示すように、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2として還流し、受電側コイルL2にも電気的エネルギが蓄積される。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは、図9(e)に示すように、2次側回路3aと1次側回路2aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって1次側回路2aの送電側コイルL1に転送電磁エネルギE7として還流される。
駆動素子Qがオフ状態におけるタイミングT4~T5では、図9(e)に示すように、送電側コイルL1に還流された送電側コイル電流IL1によって、送電側コイルL1に蓄えられた転送電磁エネルギE7は送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始する。
図9(f)に示すタイミングT5になると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された転送電磁エネルギE8は送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。図9(e)及び図9(f)のタイミングT4~T5で送電側コンデンサCの第3回目の充放電がなされる。送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE8は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された転送電磁エネルギE9は、受電側コイル電流IL2として2次側回路3aの受電側コンデンサCに蓄積される。図9(f)のタイミングT5~T6では受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は正の値になる。受電側コンデンサCの端子間電圧VC2はピーク値に到達した後、減少を開始する。
端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図10(g)に示すように、タイミングT6~T7-ΔTにおいて、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2として還流し、受電側コイルL2にも転送電磁エネルギE11が蓄積される。受電側コイルL2に蓄積された転送電磁エネルギE11は、図10(g)に示すように、2次側回路3aと1次側回路2aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって1次側回路2aの送電側コイルL1に転送電磁エネルギE12として還流される。図10(g)に示すように、タイミングT6~T7-ΔTにおいて、送電側コイルL1に還流された送電側コイル電流IL1によって、送電側コイルL1に蓄えられた転送電磁エネルギE12は送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始する。
駆動素子Qがオフ状態において、図10(h)に示すタイミングT7-ΔTになると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された転送電磁エネルギE13は送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に転送電磁エネルギE13が蓄積される。差動接続の場合は、通常の交流理論に従えば、送電側コイルL1と反対向きに受電側コイルL2に電流が流れるはずである。しかし、図10(h)に示すように、受電側コイルL2に電流が流れる向きは、通常の交流理論の予測と反対向きである。本発明の過渡応答相互誘導では時間依存性があり、送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互の磁束の結合が疎になっている。このため、受電側コイルL2に電流を構成する電子の移動に遅れが生じており、タイミングT6において、受電側コイルL2に流れていた転送電磁エネルギE11の残余の成分が、タイミングT7-ΔTにおいても転送電磁エネルギE14として流れ続けている。
即ち、図10(g)及び図10(h)のタイミングT6~T7-ΔTで送電側コンデンサCの第4回目の充放電がなされるが、この時点では、送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE13は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導を生じさせることができず、2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送されない。送電側コイルL1に蓄積される転送電磁エネルギE13は、4回の充放電を繰り返すことによって、当初のタイミングT0で入力した入力電磁エネルギEIN1に比し、送電側コンデンサCの寄生抵抗rp1、駆動素子Qのオン抵抗ron1、図示を省略した送電側コイルL1の寄生抵抗Rstr(L1)、受電側コンデンサC2の寄生抵抗rp2及び図示を省略した受電側コイルL2の寄生抵抗Rstr(L2)におけるジュール熱として消費されて、次第に小さな値に減衰している。図7A,7B及び7Cに減衰振動を示したように、4回の充放電によるジュール熱によるエネルギ損失が、転送電磁エネルギE13を小さな値にしたことが、送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互の磁束の結合を疎にする原因と考えることもできる。
第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、図7A,7B及び7Cに検出器28の出力電圧を示したように、第4回目の充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択される。最初(第1回目)の充放電は直流電源5による充放電であるので、2次側回路3aからの還流電流による充放電の回数を数えると、第3回目の還流電流による充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングの例になる。駆動周期Tが満了して送電側コンデンサCが空になると、図10(i)に示すように駆動素子Qを再度オン状態にする。駆動素子Qを再度オン状態にしたタイミングT7では、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力され、送電側コンデンサCに電荷が入力電磁エネルギEIN2として蓄えられる。
新たな駆動電圧Eが1次側回路2aにステップ入力されることにより、1次側回路2aにおける共振回路と2次側回路3aにおける共振回路の重共振状態が一時的に切られ、新たな入力電磁エネルギEIN2によって新たな励起駆動によって重共振が直ちに再開する。新たな駆動電圧Eが1次側回路2aにステップ入力されるとき、送電側コンデンサCが空なので、入力電磁エネルギEIN2を構成する電流は主に送電側コンデンサCに入る。図10(i)のタイミングT7~T7+ΔTにおいて、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が増大し始めると、送電側コンデンサCに蓄積された入力電磁エネルギEIN2=(1/2)C2=Q2/(2C)の一部は、少しずつ送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。
図11は、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける伝送距離dと駆動周期Tの関係を図7Cに示したゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7をパラメータとして説明する図である。又、図12は、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける等価結合係数kと駆動周期Tの関係を図7Cに示したゼロクロス時刻の一部であるT1,T4,T7をパラメータとして説明する図である。図11の伝送距離d=2.0cmの場合が、図12に示した等価結合係数k=0.6の場合に対応する。図11及び図12から分かるように、伝送距離d=2.0cm、等価結合係数k=0.6のデータに近づくに従い、駆動周期Tを示す曲線にディップが生じており、伝送距離d=2.0cm、等価結合係数k=0.6の場合において、最も駆動周期Tが短くなることが分かる。又、当然ながら、ゼロクロス時刻T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7と図7C等の横軸に沿って時間が経過するに従い、図11及び図12の縦軸に示した駆動周期Tが長くなっている。
図2に示した伝送データ記憶装置342aに、図11に示した伝送距離dと駆動周期Tの関係を示すデータ及び図12に示した等価結合係数kと駆動周期の関係を示すデータを事前に測定し、それらをそれぞれ格納しておけば、算術論理回路341の結合係数算出回路347は、駆動周期Tから等価結合係数kを算出することができる。又、伝送条件設定回路348は、結合係数算出回路347が算出した等価結合係数kから最適な伝送距離dを決定することができる。
図13は、図7Cに示した自由減衰振動の波形の場合に対応する、送電側コイルL1を流れる電流IL1の変化及び受電側コイルL2を流れる電流IL2の変化を、検出器28が測定した送電側コンデンサCの端子間電圧(検出器出力電圧)VC1と共に示す図である。一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の脈動に対し、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1の脈動が遅れていることが分かる。又、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1の脈動に対し、実線で示した受電側コイルL2を流れる電流IL2の脈動が逆位相になっていることが分かる。ゼロクロス時刻T7まで測った駆動周期T=1.5ミリ秒である。
図14は、図7Cに示した自由減衰振動の波形の場合に対応する、受電側コイルL2を流れる電流IL2の変化、受電側コンデンサC2の端子間電圧VC2、負荷側ダイオードDを流れる負荷電流ID2の変化を、検出器28が測定した送電側コンデンサCの端子間電圧(検出器出力電圧)VC1と共に示す図である。一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の減衰する脈動に対し、細い実線で示した受電側コイルL2を流れる電流IL2の脈動が逆位相で増加をしている。又、細い実線で示した受電側コイルL2を流れる電流IL2の脈動に遅れた位相で、破線で示した受電側コンデンサC2の端子間電圧VC2の脈動が振幅を次第に大きくして示されており、1次側回路2aから2次側回路3aへ電磁エネルギが時間と共に大きな量で伝送されていることが分かる。負荷側ダイオードDを流れる負荷電流ID2は、図7Cに示した自由減衰振動の波形のゼロクロス時刻T6の直前の山及びゼロクロス時刻T7の直前の山として間欠的に示されている。細い実線で示した送電側コイルL2を流れる電流IL2の脈動がゼロクロス時刻T6の直前付近で最大値に近づいている現象に対応しているものと思われる。図14もゼロクロス時刻T7まで測った駆動周期T=1.5ミリ秒である。
図13及び図14は重共振をしている自由振動の場合の波形であるが、図15は、重共振の自由振動を一時的に切り、新たな重共振を発生するように駆動素子Qをオンにして、駆動電圧Eのステップ入力した場合の過渡応答を示す。駆動素子Qは、送電側コンデンサCがいっぱいになった時点で駆動素子Qをオフにし、Δ関数的に1次側回路2aに入力される。一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の脈動に対し、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1の脈動が遅れていることが分かる。又、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1の脈動に対し、細い実線で示した受電側コイルL2を流れる電流IL2の脈動が逆位相になっていることが分かる。図7Cに示した自由減衰振動の波形のゼロクロス時刻T7において、太い実線で示した駆動素子Qを流れる駆動電流IQ1がΔ関数的に入力されている。
ゼロクロス時刻T7において、駆動電流IQ1がΔ関数的に入力されると、一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、ゼロクロス時刻T7の直前まで減少傾向であったが、急激に増大し、最大値に到達した後減少している。端子間電圧VC1の立ち上がりに遅れて、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1が、端子間電圧VC1の立ち上がりよりもゆっくり立ち上がり、最大値に到達した後減少している。細い実線で示した送電側コイルL2を流れる電流IL2は、ゼロクロス時刻T7の直前までに負の領域の最大値まで振り込まれていたが、Δ関数的に駆動電流IQ1が入力されると、駆動電流IQ1とほぼ同じ傾向で急激に増大してピーク値に到達した後減少をしている。受電側コイルL2を流れる電流IL2は、ピーク値に到達した後の減少では、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1のゼロクロス時刻T7からの立ち上がりと逆位相で、大きく負の値に振り込まれている。その後、受電側コイルL2を流れる電流IL2は、送電側コイルL1を流れる電流IL1と共に、電流IL1とは逆位相で自由減衰振動をしている。
図16は、重共振の自由振動を一時的に切るように駆動素子Qをオンにして、駆動電圧Eのステップ入力した場合の過渡応答を、図15の場合よりも時間スケールを拡大して示す。駆動素子Qは、一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が最大値に到達した後にオフになっている。即ち、太い実線で示した駆動素子Qを流れる駆動電流IQ1は、一点鎖線で示した端子間電圧VC1が最大値に到達した後にオフになるような変化を示している。一点鎖線で示した端子間電圧VC1の脈動に対し、破線で示した送電側コイルL1を流れる電流IL1の立ち上がりやピークに到達する変化が遅れていることが分かる。ゼロクロス時刻T7において、駆動電流IQ1がΔ関数的に入力されると、一点鎖線で示した送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、ゼロクロス時刻T7の直前まで減少傾向であったが、急激に増大し、最大値に到達した後減少している。細い実線で示した送電側コンデンサCの充放電電流IC1は、駆動素子Qがオン状態では一点鎖線で示した端子間電圧VC1の変化と同様な立ち上がりを示しているが、駆動素子Qがオフ状態になった後では、端子間電圧VC1の変化よりも進んだ位相で変化している。
端子間電圧VC1の立ち上がりに遅れて、破線で示した電流IL1が、端子間電圧VC1の立ち上がりよりもゆっくり立ち上がり、駆動素子Qがオフ状態になった後最大値に到達した後減少している。送電側コイルL1に流れる電流IL1が、トータルの電磁エネルギをプラスに持って行っている。送電側コンデンサCがいっぱいになった時点では、駆動素子Qを流れる電流IQ1がゼロになった状態で駆動素子Qを切る「ゼロカレントスイッチング」になっている。送電側コイルL1の電磁エネルギは、2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送される。2次側回路3aの受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電側コイル電流IL2として2次側回路3aの受電側コンデンサCの充電に費やされるというように、新たな重共振のモードが進むが、駆動周期Tの満了のゼロクロス時刻T7以降における振る舞い、即ち駆動素子Qがオフ状態になった後の説明は既に説明した事項と重複するので省略する。本発明の第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動周期Tを設定し、駆動電圧Eを周期的にステップ入力することにより、ウェイブレット状の減衰振動を周期的に励起できる。即ち、本発明の第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動周期Tを予め設定し、駆動制御回路34aによって、周期的なエネルギの重共振状態の繰り返しを実現することができるので、図17に示すように伝送距離dを長くしても、高効率の無接触電力伝送をすることができる。
図17は、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける伝送距離dと伝送電力との関係を示す図である。太い一点鎖線で示した特許文献3に記載の従来技術の場合は、伝送距離d=40mmが限界であった。太い実線で示した駆動周期Tの満了のタイミングをゼロクロス時刻T7に選んだ場合は、伝送距離d=40mmを超えて、伝送距離d=160mmまでの長距離伝送が可能であることが分かる。なお、図17では伝送距離d=160mmを超えるデータは記載していないが、便宜上データの図示を省略しているに過ぎず、図7A~7Cに示したとおり、伝送距離d=200mmを超える場合であっても、無接触伝送が可能である。太い破線で示した駆動周期Tの満了のタイミングをゼロクロス時刻T5に選んだ場合は、伝送距離d=40mmを超えて、伝送距離d=120mmまでの長距離伝送が可能であることが分かる。駆動周期Tの満了のタイミングをゼロクロス時刻T5に選んだ場合は、伝送距離d=60~100mmの間では、太い実線で示したゼロクロス時刻T7の場合よりも、電力伝送効率が高い。
なお、図17の細い実線、細い破線、細い一点鎖線、細い二点鎖線は、図7Cのようにゼロクロスしない短い駆動周期Tを設定した比較例の場合のデータを示す。駆動周期T=1.5ミリ秒であった。比較例では、ゼロクロスしない条件となるように、駆動周期Tをそれぞれ490μ秒、500μ秒、510μ秒、515μ秒と短くし、このタイミングで駆動電圧Eをステップ入力している。細い実線で示した駆動周期T=490μ秒の場合は、伝送距離d=30~40mmの範囲での従来技術の場合よりも高い伝送効率であるが、伝送距離d=50mmが無接触伝送できる限界である。細い破線で示した駆動周期T=500μ秒の場合は、伝送距離d=30~50mmの範囲での従来技術の場合よりも高い伝送効率であるが、伝送距離d=50mmが無接触伝送できる限界である。細い一点鎖線及び細い二点鎖線で示した駆動周期T=510μ秒、515μ秒の場合は、それぞれ伝送距離d=30~60mmの範囲での従来技術の場合よりも高い伝送効率であるが、伝送距離d=60mmが無接触伝送できる限界である。よって、ゼロクロスする条件で駆動周期Tを予め設定し、駆動制御回路34aによって、周期的なエネルギの重共振状態の繰り返しを実現することが好ましいことが分かる。このように、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、パケット状の電磁エネルギが重共振して振動するように、送電側の駆動周期を選んでシステムを励起できるので、送電側コイルL1と受電側コイルLとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができる。又、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、等価結合係数kが分からない状況においても、駆動素子Qのターンオンのタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子である駆動素子Qの破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供できる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは図19に示すように、過渡応答相互誘導を用い、駆動制御回路34bから無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを受電回路27aに給電して、駆動制御回路34bと受電回路27aとの間でエネルギ・パケットの重共振をさせる伝送システムである。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、図1に示した第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの回路構成に、送電制御素子Qを追加した構成となっている。送電制御素子Qは、駆動素子Qが1次側回路2aの自由減衰振動を駆動周期Tにより特定の回数で制限して1次側回路2aにおけるウェイブレット状の電磁エネルギの減衰振動を実現させる際の補助をする回路素子である。
図19に示した駆動素子Q及び送電制御素子Qとして、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様なFET、SIT、BJTの他、GTOサイリスタ、SIサイリスタ等のサイリスタを含む電力用半導体素子が用いられる。特に、MISFET、MISSIT、IGBT、MOS制御SIサイリスタ等の電圧駆動型のスイッチング素子を用いれば消費電力が小さくなるので、駆動素子Q及び送電制御素子Qに好適である。市場での入手可能性と電力用半導体素子の内部抵抗の評価からは、現状においては、MOSFETを図10(b)に示す回路の駆動素子Q及び送電制御素子Qとして採用することが可能である。
既に第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで説明したとおり、EV用の充電式電池を負荷6とするような大電力用エネルギ振動型伝送システムにおいてはジュール熱の発生が大きい。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは駆動素子Q及び送電制御素子Qとして用いるとして用いる電力用半導体素子は2個のみで良いので、発熱による素子の破壊を防ぐ冷却構造が簡単に設計でき、しかも浮遊抵抗、浮遊容量、浮遊インダクタンスの発生も最小化できる。又、駆動素子Q及び送電制御素子Qをオン/オフ制御する単純な制御だけでよいので、1次側回路2aの電圧を高めて、ジュール熱の発生を押さえる設計も簡単にできる。
図19に示す実装回路においては、送電側コイルL1からの還流電流を考慮し第1の還流ダイオードFWD1が駆動素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第2の還流ダイオードFWD2が送電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、それぞれ保護素子として並列接続されている。図3Aに示した回路と同様に、送電側コイルL1からの還流電流が直流電源5に還流するのを防ぐため、電源側ダイオードDが直流電源5と駆動素子Qの間に直列接続されている。図19に示す実装回路でも負荷6の等価インピーダンスXLeqを充電容量Csで近似して表現している。
第1実施形態と同様、交流理論から導かれる結合係数KAC=0.6に等価な結合係数Kの場合を前提として、第2実施形態に係るワイヤレス電力伝送方法を説明する。充電電圧VCSの初期状態における値は満充電に近い十分高い電圧であるとする。先ず、図8(a)に示したのと同様なタイミングTにおいて、送電制御素子Qをオフ状態、駆動素子Qをオン状態にして、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力する。直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力されると、送電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。図8(a)では駆動素子Qのオン抵抗ron1で駆動素子Qのオン状態が示されたが、送電制御素子Qをオフ状態では1次側回路2bは閉回路として未だ形成されず、駆動素子Qのオン状態によって、直流電源5、等価内部抵抗r1、駆動素子Qと第1の還流ダイオード(還流ダイオード)FWD1の並列回路及び送電側コンデンサCからなる直列回路によって給電側回路が構成されている。
送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、リンギングをしながら一定電圧に充電される。図3Aに示した第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合は、タイミングT0において、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力された場合は、ごく僅かに送電側コイルL1側に電流が流れるが、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは送電制御素子Qがオフ状態なので送電側コイルL1側に電流が流れない。よって、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、より有効に送電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力されたときの電磁エネルギとして流れる電荷量をq0とすると、VC1=q0/Cであるので、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合よりも、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の値は大きくなる。このタイミングでは受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値である。
次に、図8(b)に示したのと同様なタイミングTにおいて、駆動素子Qをオフ状態にして、一定時間をおいて、送電制御素子Qをオン状態にすると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイル電流IL1を介して、送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導が生じる。図8(b)と同様なタイミングTでは送電制御素子Qのオン抵抗ron2で送電制御素子Qのオン状態を考慮する必要がある。送電制御素子Qをオン状態にすることにより1次側回路2bが形成され、直流電源5、等価内部抵抗r1、駆動素子Qと第1の還流ダイオード(還流ダイオード)FWD1の並列回路及び送電側コンデンサCからなる給電側回路が消滅する。
送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギが送電側コイルL1に移動すると、端子間電圧VC1は、負の極大値をとった後、0Vになる。タイミングT0~T1で送電側コンデンサCの第1回目の充放電がなされる。1次側回路2bから2次側回路3aへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電側コイル電流IL2によって受電側コンデンサCを充電する。受電側コンデンサCの充電が開始されると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、負の極大値をとった後、正の値になる。端子間電圧VC1が0Vになった時点で最大値をとる。端子間電圧VC2は、負の極大値をとった後、正の値になる。端子間電圧VC1が0Vになった時点で端子間電圧VC2は最大値をとる。
図8(b)に示したのと同様なタイミングT1~T2において、端子間電圧VC2の増加に伴って、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギの一部によって充電電流ICSが発生し、負荷6としての充電式電池に電荷が蓄えられる。次に、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギの一部は、図8(c)に示すように、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2として還流し、受電側コイルL2にも電気的エネルギが蓄積される。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは、図8(c)に示すように、2次側回路3aと1次側回路2aとの間の1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導によって1次側回路2aの送電側コイルL1に還流される。図9(d)に示したのと同様なタイミングT3になると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。タイミングT2~T3で送電側コンデンサCの第2回目の充放電がなされる。図9(d)に示したのと同様なタイミングにおいて、充電式電池の充電に過剰となった電荷は、受電側コンデンサCに還流する。
受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギの他の一部は、図9(e)に示したのと同様なタイミングT4において受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2として還流する。タイミングT4~T5において、充電電流ICSが0になった時点で、端子間電圧VC2は、充電電圧VCSと同じ値となる。タイミングT4~T5においては、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギが受電側コイルL2に還流した結果、1次側回路2bと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導が生じ、1次側回路2bに2次側回路3aの電磁エネルギの一部が戻る。図9(f)に示したのと同様なタイミングT5になると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。タイミングT4~T5で送電側コンデンサCの第3回目の充放電がなされる。受電側コンデンサC2に蓄積された電磁エネルギが負荷6及び受電側コイルL2に移動すると、受電側コンデンサCは放電される。受電側コンデンサCが放電すると、端子間電圧VC2は、負の極大値をとった後、0Vになる。タイミングT3~T5においては、端子間電圧VC1は、負の極大値をとった後、正の値となり増大し、極大値をとった0Vになる。
2次側回路3aの端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図10(g)に示したのと同様なタイミングT6~T7-ΔTにおいて、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2が還流する。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは1次側回路2aの送電側コイルL1に還流する。図10(g)に示したのと同様に、タイミングT6~T7-ΔTにおいて、送電側コイルL1に還流された送電側コイル電流IL1によって、電磁エネルギが送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は還流電流により増大を開始する。駆動素子Qがオフ状態において、図10(h)に示すタイミングT7-ΔTになると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移り、送電側コイルL1に蓄積される。
第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで図10(h)を用いて説明したとおり、タイミングT6~T7-ΔTで受電側コイルL2に電流が流れる向きは、通常の交流理論の差動接続の場合の予測と反対向きである。受電側コイルL2に電流を構成する電子の移動に遅れが生じており、タイミングT6において、受電側コイルL2に流れていた転送電磁エネルギE11の残余の成分が、タイミングT7-ΔTにおいても転送電磁エネルギE14として流れ続けており、送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互の磁束の結合が疎になっている。タイミングT6~T7-ΔTで送電側コンデンサCの第4回目の充放電がなされるが、この時点では、送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE13は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導を生じさせることができず、2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送されない。
第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、第4回目の充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択され、送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態で送電制御素子Qをオフにする。図10(i)に示したのと同様に、タイミングT7で駆動素子Qを再度オン状態にする。2次側回路3aからの還流電流による充放電の回数を数えると、第3回目の還流電流による充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいて定義される駆動周期Tの満了のタイミングの例になる。タイミングT7で直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力され、送電側コンデンサCに電荷が電磁エネルギとして蓄えられる。
新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されることにより、1次側回路2bにおける共振回路と2次側回路3aにおける共振回路の重共振状態が一時的に切られ、新たな励起駆動によって重共振が直ちに再開する。新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されるとき、送電側コンデンサCが空なので、電磁エネルギは効率よく送電側コンデンサCに入る。新たな重共振では、次に駆動素子Qをオフ状態にして、一定時間をおいて、送電制御素子Qをオン状態にすると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイル電流IL1を介して、送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bから2次側回路3aへ過渡応答相互誘導がされるというように、新たな重共振のモードが進むが、以降の説明は重複するので省略する。本発明の第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動電圧Eを周期的にステップ入力することにより、ウェイブレット状の減衰振動を、駆動周期Tで周期的に励起して、周期的なエネルギの重共振状態の繰り返しを実現し、高効率の無接触電力伝送をすることができる。
「共振」とは、自由振動している系に適用される概念である。これに対し、本発明の第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいては、1次側回路2bの自由減衰振動を駆動周期Tにより特定の回数で制限し、重共振を一時的に切っている。重共振を切るために、送電制御素子Q及び駆動素子Qを備えている。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいては、エネルギ・パケット振動の重共振を切った状態で、過渡応答相互誘導をさせることによって、2次側回路3aに伝達することが可能である。制御回路の構成が単純で安価な直流電源5を用いて減衰する擬正弦波を発生させ、擬正弦波の過渡応答特性を用いることができるので、従来のように1次側回路2bに対し商用周波数よりも高い正弦波振動を生成させる高価な交流電源回路が不要となり、壊れにくく回路設計が容易になる。
以上のように、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様に、制御回路や周辺回路が単純で安価な直流電源5を使用することができるので高価なスイッチング電源が不要である。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの回路構成は単純化され、制御回路側における電力損失も最小化され壊れにくくなる上に、回路設計も容易になる。この結果、エネルギ振動型伝送システムの全体の構成が簡略化され軽量・小型化及び高効率化が可能になり、電源回路(0次回路)の損失を含めた総合的な電力伝送効率を高めたワイヤレスエネルギ振動型伝送システムを安価に製造することができる。第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで述べたのと同様に、電力伝送の限界電力を従来の交流理論における限界電力を凌駕する値にまで押し上げ、原理的には無限大に押し上げ、電力伝送の限界距離も原理的には無限大に伸ばすことができる。更に電力伝送効率を原理的には100%に近い値まで高めることが可能である。即ち、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、パケット状の電磁エネルギが重共振して振動するように、送電側の駆動周期を選んでシステムを励起できるので、送電側コイルL1と受電側コイルLとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができる。又、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、等価結合係数kが分からない状況においても、駆動素子Qのターンオンのタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子である駆動素子Qの破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供できる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、図20に示すように、過渡応答相互誘導を用い、駆動制御回路34bから無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを受電回路27bに給電して、駆動制御回路34bと受電回路27bとの間でエネルギ・パケットの重共振をさせる伝送システムである。第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの受電回路27bは、第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムに受電制御素子Qを追加した構成となっている。図20に示した駆動素子Q、送電制御素子Q及び受電制御素子Qとして、第1及び第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様なFET、SIT、BJTの他、GTOサイリスタ、SIサイリスタ等のサイリスタを含む電力用半導体素子が用いられる。低い内部抵抗の要求と市場での入手可能性から、MOSFETを、図20に示す実装回路の駆動素子Q、送電制御素子Q及び受電制御素子Qとしてそれぞれ採用することが、工業的には優位と考えられる。
第1及び第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで説明したとおり、大電力用エネルギ振動型伝送システムにおいてはジュール熱の発生が大きい。第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは駆動素子Q、送電制御素子Q及び受電制御素子Qとして用いるとして用いる電力用半導体素子は3個のみで良いので、発熱による素子の破壊を防ぐ冷却構造が簡単に設計でき、しかも浮遊抵抗、浮遊容量、浮遊インダクタンスの発生も最小化できる。又、駆動素子Q及び送電制御素子Qをオン/オフ制御する単純な制御だけでよいので、1次側回路2bの電圧を高めて、ジュール熱の発生を押さえる設計も簡単にできる。
図20に示す実装回路においては、第1の還流ダイオードFWD1が駆動素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第2の還流ダイオードFWD2が送電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第3の還流ダイオードFWD3が受電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、それぞれ保護素子として並列接続されている。図20に示すように、第3の還流ダイオードFWD3は、受電側コイルL2にからの還流電流を流す方向に設けられるので、第2の還流ダイオードFWD2がとは反対向きに設けられている。図3A及び図19に示した回路と同様に、送電側コイルL1からの還流電流が直流電源5に還流するのを防ぐため、電源側ダイオードDが直流電源5と駆動素子Qの間に直列接続されている。図20に示す実装回路でも負荷6の等価インピーダンスXLeqを充電容量Csで近似して表現している。
第1及び第2実施形態と同様、交流理論による結合係数KAC=0.6に相当する条件での過渡応答相互誘導を仮定し、充電電圧VCSの初期状態における値は満充電に近い十分高い電圧であるとして、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムを説明する。
先ず、図8(a)に示したのと同様なタイミングT0において、送電制御素子Q及び受電制御素子Qをオフ状態にし、駆動素子Qのみをオン状態にする。送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、リンギングをしながら一定電圧に充電される。タイミングT0では受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値である。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで説明したとおり、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合は、タイミングT0において、直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力された場合は、ごく僅かに送電側コイルL1側に電流が流れるが、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは送電制御素子Qがオフ状態なので、より有効に送電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。直流電源5による駆動電圧Eがステップ入力されたときの電磁エネルギとして流れる電荷量をqとすると、VC1=q/Cであるので、第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合よりも、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1の値は大きくなる。送電側コンデンサCに初期電圧を印加して電荷を蓄えた後、駆動素子Qをオフ状態にする。前述したように、この時点での充電電圧VCSは高いものと仮定している。
図8(b)に示したのと同様なタイミングT1において、駆動素子Qをオフ状態にした後、一定時間をおいて、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時にオン状態にする。送電制御素子Qがオン状態になると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導が生じる。送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギが送電側コイルL1に移動すると端子間電圧VC1は、負の極大値をとった後、0Vになる。タイミングT0~T1で送電側コンデンサCの第1回目の充放電がなされる。1次側回路2bから2次側回路3bへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電制御素子Qがオン状態なので、受電側コンデンサCを充電する。受電側コンデンサCの充電が開始されると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、負の極大値から増大し始め、正の値になる。端子間電圧VC2が負の値をとっている間に充電電流ICSは流れないが、図8(c)に示したのと同様なタイミングT2において、端子間電圧VC2が正の値になると、充電電流ICSが立ち上がり始める。
充電電流ICSが立ち上がり始めたタイミングT2で、送電制御素子Q及び受電制御素子Qをオフ状態にする。送電制御素子Q及び受電制御素子Qのオフ状態は、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導によって、端子間電圧VC2が最大になり、端子間電圧VC1が0Vになる時点である。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合は、タイミングT2において、端子間電圧VC2が最大になった段階で、ごく僅かに受電側コイルL2に電流が流れるが、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは受電制御素子Qがオフ状態なので、より有効に充電電流ICSが負荷6に移動する。充電電流ICSは、送電制御素子Q及び受電制御素子Qがオフ状態になった後も増大しピーク値に到達した後、減少しゼロになる。
受電側コンデンサCの端子間電圧VC2の最大値は、充電電流ICSが減少を開始すると、若干低い値の一定値になり段差(肩)状の波形になる。充電電流ICSがゼロになった後も、端子間電圧VC2の値は、送電制御素子Qのオフ時の最大値よりも低い値を維持している。送電制御素子Qのオフ後、一定時間を経過すると、端子間電圧VC2の最大値は減少するが、充電電圧VCSが高い場合、充電電流ICSによる端子間電圧VC2の最大値の減少量は小さく、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導に与える影響は少ない。
充電電流ICSが0Aとなった後に、図9(d)に示したのと同様なタイミングT3において、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時に、再度オン状態にすると、受電側コンデンサCの充電が開始される。1次側回路2bと2次側回路3bの電磁結合により送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が0Vから負に減少し始める。更に、図9(e)に示したのと同様なタイミングTにおいて、受電側コンデンサCの放電が開始され、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導による還流が生じる。送電側コイルL1を流れる還流電流により、送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1が、負の極大値をから正の値となり増大し始める。タイミングTにおいては、端子間電圧VC2は減少を開始し、負の極大値をとった後、0Vになる。
図9(f)に示したのと同様なタイミングTにおいて、端子間電圧VC1が減少を開始し0Vになる。タイミングT4~T5で送電側コンデンサCの第2回目の充放電がなされるが、このとき受電側コンデンサC2には電磁エネルギが蓄積される。タイミングT5~T6で受電側コンデンサC2に蓄積された電磁エネルギが負荷6及び受電側コイルL2に移動すると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、減少する。
2次側回路3aの端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図10(g)に示したのと同様なタイミングT6~T7-ΔTにおいて、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2が還流する。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは1次側回路2aの送電側コイルL1に還流する。タイミングT6~T7-ΔTにおいて、1次側回路2aに還流された送電側コイル電流IL1によって、電磁エネルギが送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は増大を開始する。駆動素子Qがオフ状態において、図10(h)に示したタイミングT7-ΔTになると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移る。
第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで図10(h)を用いて説明したとおり、タイミングT6~T7-ΔTにおいて受電側コイルL2に電流が流れる向きは、通常の交流理論の差動接続の場合の予測と反対向きである。第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、受電側コイルL2に電流を構成する電子の移動に遅れが生じており、送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互の磁束の結合が疎になっている。タイミングT6~T7-ΔTで送電側コンデンサCの第3回目の充放電がなされるが、この時点では、送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE13は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導が生じさせることができず、2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送されない。送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態で送電制御素子Qをオフにする。
第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、第3回目の充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択されている。2次側回路3bからの還流電流による充放電の回数を数えると、第2回目の還流電流による充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでの駆動周期Tの満了の適切なタイミングになる。タイミングT7で駆動素子Qを再度オン状態にし、新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力され、送電側コンデンサCに電荷が電磁エネルギとして蓄えられる。
新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されることにより、1次側回路2bにおける共振回路と2次側回路3bにおける共振回路の重共振状態が一時的に切られ、新たな励起駆動によって重共振が直ちに再開する。新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されるとき、送電側コンデンサCが空なので、電磁エネルギは直流電源5から効率よく送電側コンデンサCに入る。新たな重共振では、次に駆動素子Qをオフ状態にした後、一定時間をおいて、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時にオン状態にする。送電制御素子Qがオン状態になると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導が生じる。
1次側回路2bから2次側回路3bへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電制御素子Qがオン状態なので、受電側コンデンサCを充電する。受電側コンデンサCの充電が開始されると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、負の極大値から増大し始め、正の値になる。端子間電圧VC2が正の値になると、充電電流ICSが立ち上がり始めるというように、新たな重共振のモードが進むが、以降の説明は重複するので省略する。本発明の第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動電圧Eを周期的にステップ入力することにより、ウェイブレット状の減衰振動を、駆動周期Tで周期的に励起して、周期的なエネルギの重共振状態の繰り返しを実現し、高効率の無接触電力伝送をすることができる。
このように、受電制御素子Qが1個増えても、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導における端子間電圧VC1や端子間電圧VC2等の時間的変化(過渡応答)を示す波形や重共振の態様は、第1及び第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと殆ど同じである。しかし、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、受電制御素子Qをオフにするタイミングがあるので、2次側回路3bから1次側回路2bへの還流の機会が1回少なくなり、第3回目の充放電のタイミングで、送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択される。
「共振」は自由振動をしている交流回路で用いられる概念であるが、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいては、1次側回路2bと2次側回路3bの擬正弦波の減衰振動を特定の回数で制限し、重共振を一時的に切っている。重共振を一時的に切るために、駆動素子Q及び送電制御素子Qを備えている。このため、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおいては、エネルギ・パケット振動の重共振を切った状態で、過渡応答相互誘導をさせることによって、1次側回路2bの電磁エネルギを2次側回路3bに高効率で伝達することが可能である。制御回路の構成が単純で安価な直流電源5を用いて減衰する擬正弦波を発生させ、擬正弦波の過渡応答特性を用いて電磁エネルギの伝達をすることができるので、1次側回路2bに対し、商用周波数よりも高い正弦波振動を生成させる高価な交流電源回路が不要となる。
第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、負荷(蓄電池)6を内蔵した受電回路27bを有する車輌31cに無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを給電する伝送システムである。即ち、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは受電回路27bに給電する給電装置29bと、給電装置29bに接続され、給電装置29bに命令を送る1次側操作部33を有している。図21は、給電装置29b側の1次側コイルLと車輌31c側の2次側コイルLとが対向し、1次側コイルLから2次側コイルLへ無接触でウェイブレット状の電磁エネルギが2次側コイルLに無接触で伝送されることを示す模式図を例示している。
給電装置29bは、1次側コイルLを円盤状の誘電体に収納した給電盤11と、給電盤11を搭載し、1次側コイルLと2次側コイルLの間隔を制御する間隔制御機構(図示省略。)と、1次側コイルLに流れる給電電流及び間隔制御機構を制御する駆動制御回路34bと、この駆動制御回路34bに接続された伝送データ記憶装置(図示省略)及びプログラム記憶装置(図示省略)と、駆動制御回路34bに伝送電流が制御される給電盤11と、1次側通信部21等を含む。2次側コイルLは円盤状の誘電体からなる受電盤12に収納されている。図21は例示であり、1次側コイルLを収納する給電盤11及び2次側コイルLを収納する受電盤12を省略して、1次側コイルL及び2次側コイルLを裸の状態で使用することも可能である。2次側コイルLは、給電盤11の1次側コイルLから電磁誘導によりウェイブレット状の電磁エネルギを受けて給電される。
給電盤11の上面は受電盤12の下面に平行に配置されるように、給電盤11は地面上に設置もしくは埋設される。給電装置29bは、例えば駐車スペースに設けられ、車輌31cの駐車中に、受電盤12に給電盤11を対向させることにより車輌31cに搭載された受電回路27bに受電盤12を介して、ウェイブレット状の電磁エネルギを給電する。
車輌31cは、例えば、HEV、PEVまたはEV等の負荷6としての蓄電池に蓄えられた電磁エネルギで走行する自動車である。負荷6は蓄電池であり、給電装置29bから受電盤12を介して供給されるウェイブレット状の電磁エネルギが蓄えられる。1次側操作部33は、外部からの操作により、給電の開始を示す給電開始信号または給電の停止を示す給電停止信号を給電装置29bに出力する。
図21に示すように、車輌31cは、2次側操作部23と、受電回路27bと、受電盤12と、2次側通信部22等を含む。2次側操作部23は、ドライバーによる各種操作を受け付け、受け付けた操作に応じた信号を受電回路27bに出力する。受電回路27bは、2次側操作部23から入力された各種信号に基づいて、受電盤12及び2次側通信部22に対して、給電に伴う各種処理または給電停止に伴う各種処理を行うように制御する。受電盤12は、受電回路27bの制御に従って、2次側コイルLで受電した電力を負荷(蓄電池)6に供給する。
2次側通信部22は、給電に必要な様々な情報を、1次側通信部21との間でやり取りする。例えば、1次側通信部21は駆動周期Tのタイミングに関する同期情報を2次側通信部22に送信する。逆に、2次側通信部22は、給電時に、受電回路27bから出力された受電電力情報を1次側通信部21に対して送信する。また、2次側通信部22は、受電回路27bの制御に従って、充電を許可する受電可信号または充電を許可しない受電不可信号を生成し、生成した受電可信号または受電不可信号を1次側通信部21に対して送信する。ここで、受電不可信号は、負荷(蓄電池)6が満充電の状態である場合等に送信される。
図21に示す1次側通信部21は、2次側通信部22との間で給電に必要な様々な情報をやりとりする。例えば、1次側通信部21は、2次側通信部22からの受電可信号または受電不可信号を受信する。1次側通信部21は、受信した受電可信号または受電不可信号を駆動制御回路34bに出力する。
駆動制御回路34bは、給電盤11を制御して、給電に関する様々な制御を行う。例えば、駆動制御回路34bは、1次側操作部33から給電開始信号が入力された際に、設定された駆動周期Tで給電を行うように給電盤11を制御する。また、駆動制御回路34bは、受電回路27bから還流するエネルギの振動特性を取得して、給電盤11と受電盤12との間の電力の伝送効率が最大となる最適駆動周期Tを算出する処理を行う。駆動制御回路34bは、取得した最適駆動周期Tから、伝送効率が最大となる駆動タイミングを選択し、選択した駆動タイミングで1次側回路2bを動作させるように駆動素子Qを制御する。また、駆動制御回路34bは、1次側操作部33より給電停止信号が入力された場合、または1次側通信部21より受電不可信号が入力された場合に、給電を開始させないかまたは給電を停止するように駆動素子Qを制御する。駆動制御回路34bの駆動タイミングにより1次側回路2bの動作を駆動制御して、ウェイブレット状の電磁エネルギを給電盤11から受電盤12に供給する。
よって、本発明の第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、第1及び第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様に、制御回路や周辺回路が単純で安価な直流電源5を使用することができるので高価なスイッチング電源が不要であり、回路構成が単純化され、制御回路側における電力損失も最小化される。この結果、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、エネルギ振動型伝送システムの全体の構成が簡略化され軽量・小型化及び高効率化が可能になり、電源回路(0次回路)の損失を含めた総合的な電力伝送効率を高めたワイヤレスエネルギ振動型伝送システムを安価に製造することができる。第1及び第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで述べたのと同様に第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、回路構成が単純化されるので壊れにくく回路設計が容易になる。又、電力伝送の限界電力を原理的には無限大に押し上げ、電力伝送の限界距離を原理的には無限大に伸ばし、電力伝送効率を原理的には100%に近い値まで高めることが可能である。即ち、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、パケット状の電磁エネルギが重共振して振動するように、送電側の駆動周期を選んでシステムを励起できるので、送電側コイルL1と受電側コイルLとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができる。又、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、等価結合係数kが分からない状況においても、駆動素子Qのターンオンのタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子である駆動素子Qの破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供できる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、図22に示すように、過渡応答相互誘導を用い、駆動制御回路34bから無接触でウェイブレット状の電磁エネルギを受電回路27cに給電して、駆動制御回路34bと受電回路27cとの間でエネルギ・パケットの重共振をさせる伝送システムである。第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの受電回路27cは、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの受電回路27bに、負荷転送制御素子Qを追加した構成となっている。図22に示した駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとして、第1~第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様に、FET、SIT、BJTの他、GTOサイリスタ、SIサイリスタ等のサイリスタを含む電力用半導体素子を用いることが可能である。低い内部抵抗の要求を考慮すると、現状での市場での入手可能性により、MOSFETが図22に示した実装回路の駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとしてそれぞれ採用することが好ましい。
第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qとして用いるとして用いる電力用半導体素子は4個のみで良いので、ジュール熱の発生を防ぐ冷却構造が簡単に設計でき、しかも浮遊抵抗、浮遊容量、浮遊インダクタンスの発生も最小化できる。又、駆動素子Q及び送電制御素子Qをオン/オフ制御する単純な制御だけでよいので、1次側回路2bの電圧を高めてジュール熱の発生を押さえる設計も簡単にできる。
図22に示す実装回路においては、第1の還流ダイオードFWD1が駆動素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第2の還流ダイオードFWD2が送電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第3の還流ダイオードFWD3が受電制御素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、第4の還流ダイオードFWD4が第4の半導体素子QとしてのMOSFETのソース・ドレイン間に、それぞれ保護素子として並列接続されている。図22に示すように、第3の還流ダイオードFWD3は、受電側コイルL2にからの還流電流を流す方向に設けられるので、第2の還流ダイオードFWD2がとは反対向きに設けられているのは図20と同様である。図3A、図19及び図20に示した回路と同様に、送電側コイルL1からの還流電流が直流電源5に還流するのを防ぐため、電源側ダイオードDが直流電源5と駆動素子Qの間に直列接続されている。図22に示す実装回路でも負荷6の等価インピーダンスXLeqを充電容量Csで近似して表現している。
図22に示すように、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムに、負荷転送制御素子Qを追加した構成となっても、過渡応答相互誘導の本質は変わらず、その基本的動作や、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導における端子間電圧VC1や端子間電圧VC2等の時間的変化(過渡応答)を示す波形や重共振の態様は、殆ど同じである。即ち、図8(a)に示したのと同様なタイミングT0において、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qをオフ状態にし、駆動素子Qのみをオン状態にする。送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は、リンギングをしながら一定電圧に充電される。タイミングT0では受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は負の値である。第2実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで説明したとおり、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは送電制御素子Qがオフ状態なので、送電側コイルL1側に電流が流れることがなく、より有効に送電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。送電側コンデンサCに初期電圧を印加して電荷を蓄えた後、駆動素子Qをオフ状態にする。
図8(b)に示したのと同様なタイミングT1において、駆動素子Qをオフ状態にした後、一定時間をおいて、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時にオン状態にする。負荷転送制御素子Qはオフ状態である。送電制御素子Qがオン状態になると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導が生じる。送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギが送電側コイルL1に移動すると端子間電圧VC1は、負の極大値をとった後、0Vになる。タイミングT0~T1で送電側コンデンサCの第1回目の充放電がなされる。1次側回路2bから2次側回路3bへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電制御素子Qがオン状態なので、受電側コンデンサCを充電する。
第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの場合は、タイミングT1において、受電側コンデンサCを充電すると同時に、ごく僅かに負荷6側に電流が流れていた。しかし、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは負荷転送制御素子Qがオフ状態なので、負荷6に側に電流が流れることがなく、より有効に受電側コンデンサCに電荷が蓄えられる。受電側コンデンサCの充電が開始されると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、負の極大値から増大し始め、正の値になる。端子間電圧VC2が正の値になったとき、負荷転送制御素子Qをオンにすると、充電電流ICSが負荷6に流れ始まる。
負荷転送制御素子QをオンにしたタイミングT2で、送電制御素子Q及び受電制御素子Qをオフ状態にする。送電制御素子Q及び受電制御素子Qのオフ状態は、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導によって、端子間電圧VC2が最大になり、端子間電圧VC1が0Vになる時点である。第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様に、受電制御素子Qがオフ状態なので、より有効に充電電流ICSが負荷6に移動する。充電電流ICSは、送電制御素子Q及び受電制御素子Qがオフ状態になった後も増大しピーク値に到達した後、減少しゼロになる。
端子間電圧VC2の最大値は、充電電流ICSが減少を開始すると、若干低い値の一定値になり段差(肩)状の波形になる。充電電流ICSがゼロになった後も、端子間電圧VC2の値は、送電制御素子Qのオフ時の最大値よりも低い値を維持している。送電制御素子Qのオフ後、一定時間を経過すると、端子間電圧VC2の最大値は減少するが、充電電圧VCSが高い場合、充電電流ICSによる端子間電圧VC2の最大値の減少量は小さく、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導に与える影響は少ない。
充電電流ICSが0Aとなった後に、図9(d)に示したのと同様なタイミングT3において、負荷転送制御素子Qのオン状態を維持したまま、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時に、再度オン状態にすると、受電側コンデンサCの充電が開始される。1次側回路2bと2次側回路3bの電磁結合により送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が0Vから負に減少し始める。更に、図9(e)に示したのと同様なタイミングTにおいて、負荷転送制御素子Qをオフ状態とし、受電側コンデンサCの放電を開始すると、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導による還流が生じる。第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは負荷転送制御素子Qがオフ状態なので、負荷6に側に電流が流れることがなく、より有効に受電側コイルL2に電流が流れる。受電側コイルL2と送電側コイルL1との相互誘導による送電側コイルL1を流れる還流電流により、送電側コンデンサCが充電され、端子間電圧VC1が、負の極大値をから正の値となり増大し始める。タイミングTにおいては、端子間電圧VC2は減少を開始し、負の極大値をとった後、0Vになる。
図9(f)に示したのと同様なタイミングTにおいて、端子間電圧VC1が減少を開始し0Vになる。タイミングT4~T5で送電側コンデンサCの第2回目の充放電がなされるが、このとき受電側コンデンサC2には電磁エネルギが蓄積される。負荷転送制御素子Qがオフ状態なので、負荷6に側に電流が流れることがなく、より有効に受電側コンデンサC2に電荷が蓄積される。タイミングT5~T6で受電側コンデンサC2に蓄積された電磁エネルギが受電側コイルL2に移動すると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、減少する。
2次側回路3aの端子間電圧VC2が減少すると、受電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは、図10(g)に示したのと同様なタイミングT6~T7-ΔTにおいて、受電側コイルL2に受電側コイル電流IL2が還流する。受電側コイルL2に蓄積された電磁エネルギは1次側回路2bの送電側コイルL1に還流する。タイミングT6~T7-ΔTにおいて、1次側回路2bに還流された送電側コイル電流IL1によって、電磁エネルギが送電側コンデンサCに還流し始め、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1は増大を開始する。駆動素子Qがオフ状態において、図10(h)に示したタイミングT7-ΔTになると、送電側コンデンサCの端子間電圧VC1が減少し始め、送電側コンデンサCに蓄積された電磁エネルギは送電側コイル電流IL1として送電側コイルL1に移る。
第1実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムで図10(h)を用いて説明したとおり、タイミングT6~T7-ΔTにおいて受電側コイルL2に電流が流れる向きは、通常の交流理論の差動接続の場合の予測と反対向きである。受電側コイルL2に電流を構成する電子の移動に遅れが生じており、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、送電側コイルL1と受電側コイルL2の相互の磁束の結合が疎になっている。タイミングT6~T7-ΔTで送電側コンデンサCの第3回目の充放電がなされるが、この時点では、送電側コイルL1に蓄積された転送電磁エネルギE13は、1次側回路2aと2次側回路3aの間の過渡応答相互誘導を生じさせることができず、2次側回路3aの受電側コイルL2にワイヤレス伝送されない。送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態で送電制御素子Qをオフにする。第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムでは、第3回目の充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択されている。2次側回路3cからの還流電流による充放電の回数を数えると、第2回目の還流電流による充放電で送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムにおける駆動周期Tの満了の適切なタイミングになる。
タイミングT7で駆動素子Qを再度オン状態にし、直流電源5から新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力され、送電側コンデンサCに電荷が電磁エネルギとして蓄えられる。新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されることにより、1次側回路2bにおける共振回路と2次側回路3cにおける共振回路の重共振状態が一時的に切られ、新たな励起駆動によって重共振が直ちに再開する。新たな駆動電圧Eが1次側回路2bにステップ入力されるとき、送電側コンデンサCが空なので、電磁エネルギは直流電源5から効率よく送電側コンデンサCに入る。次に駆動素子Qをオフ状態にした後、一定時間をおいて、送電制御素子Q及び受電制御素子Qを同時にオン状態にする。このとき負荷転送制御素子Qがオフ状態である。
新たな重共振では、送電制御素子Qがオン状態になると、送電側コンデンサCに蓄えられた電磁エネルギは送電側コイルL1に蓄積され、更に、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導が生じる。1次側回路2bから2次側回路3bへの過渡応答相互誘導によって、受電側コイルL2に伝送された電磁エネルギは、受電制御素子Qがオン状態なので、受電側コンデンサCを充電する。受電側コンデンサCの充電が開始されると、受電側コンデンサCの端子間電圧VC2は、負の極大値から増大し始め、正の値になる。端子間電圧VC2が正の値になると、充電電流ICSが立ち上がり始めると、負荷転送制御素子Qをオン状態にし、負荷6に充電電流ICSを供給するというように、新たな重共振のモードが進むが、以降の説明は重複するので省略する。本発明の第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、駆動電圧Eを周期的にステップ入力することにより、ウェイブレット状の減衰振動を、駆動周期Tで周期的に励起して、周期的なエネルギの重共振状態の繰り返しを実現し、高効率の無接触電力伝送をすることができる。
このように、負荷転送制御素子Qが1個増えても、1次側回路2bと2次側回路3bの間の過渡応答相互誘導における端子間電圧VC1や端子間電圧VC2等の時間的変化(過渡応答)を示す波形や重共振の態様は、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと殆ど同じである。しかし、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムは、第3実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムと同様に、受電制御素子Qをオフにするタイミングがあるので、2次側回路3bから1次側回路2bへの還流の機会が1回少なくなり、第3回目の充放電のタイミングで、送電側コンデンサCに蓄積された電荷が空になった状態が、駆動周期Tの満了のタイミングとして選択される。
図22に示すように、駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qの4つのスイッチング素子Q,Q,Q,Qを有する構成においては、駆動素子Qと負荷転送制御素子Qを遮断状態、送電制御素子Qと受電制御素子Qを導通状態としたタイミングにおいて、直流電源5側の回路と負荷6側の回路が、それぞれ1次側回路2b及び2次側回路3bから分離されるので、1次側回路2bと2次側回路3bが自由振動することが可能となる。即ち1次側回路2bのLC共振回路と2次側回路3bのLC共振回路が相互インダクタンスMで結合した回路として扱えるので、交流理論における重共振の考え方が採用可能となる。即ち、駆動素子Qと負荷転送制御素子Qを遮断状態、送電制御素子Qと受電制御素子Qを導通状態としたタイミングにおいては、既に述べた式(2)及び(3)の結合方程式で、過渡応答相互誘導による伝送効率を検討することができる。
ただし、実装回路においては、駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qの4つのスイッチに、それぞれ用いる電力用半導体素子のオン抵抗を考慮しなくてはならないので、式(2)及び(3)の結合方程式では記述できない。よって、駆動素子Qと負荷転送制御素子Qを遮断状態、送電制御素子Qと受電制御素子Qを導通状態としたタイミングの動作では、1次側回路2bのLCR共振回路と2次側回路3bのLCR共振回路が動的相互インダクタンスMで結合した回路としての検討が必要になる。
又、駆動素子Qや負荷転送制御素子Qを導通状態としたときのステップ応答等の過渡応答におけるエネルギ伝送を考慮する必要があるので、本発明の第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムのすべてを従来の交流理論で解釈できるわけではない。即ち自由振動の領域では従来の正弦波の交流理論を用いることができるが、駆動素子Q、送電制御素子Q、受電制御素子Q及び負荷転送制御素子Qの4つのスイッチング素子Q,Q,Q,Qを用いて回路の境界条件を時々刻々変化させている第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムの動作環境では、鋸波状の立ち上がり特性等の過渡応答を含めて解析する必要がある。第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、パケット状の電磁エネルギが重共振して振動するように、送電側の駆動周期を選んでシステムを励起できるので、送電側コイルL1と受電側コイルLとの間隔が40mm以上離れた場合であっても有効に電力伝送ができる。又、第4実施形態に係るエネルギ振動型伝送システムによれば、等価結合係数kが分からない状況においても、駆動素子Qのターンオンのタイミングを選ぶことにより、最適な電力伝送が可能で、しかも回路構成が単純化され、回路素子である駆動素子Qの破壊が防止できるエネルギ振動型伝送システムを提供できる。
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1~第4実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。以上のとおり本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
2a,2b…1次側回路、3a,3b,3c…2次側回路、5…直流電源、6…負荷、21…1次側通信部、22…2次側通信部、23…2次側操作部、27a,27b,27c…受電回路、28…検出器、29a,29b…給電装置、30…平坦面、31a,31b、31c…車輌、32…間隔制御機構、33…1次側操作部、34a,34b…駆動制御回路、71…p型基板、72…ソース領域、73…ドレイン領域、81…ゲート酸化膜、82…ソース電極、83…ドレイン電極、84…ゲート電極(制御端子)、340a…1次側スイッチング素子駆動回路、340b…伝送間隔制御回路、341…算術論理回路、342a…伝送データ記憶装置、342b…プログラム記憶装置、343…出力装置、344…演算シークエンス制御回路、345…還流電圧測定制御回路、346…エネルギピーク計数回路、347…結合係数算出回路、348…伝送条件設定回路、349a…Aバス、349b…Bバス

Claims (4)

  1. 1次側回路と2次側回路の重共振を用いたエネルギ振動型伝送システムであって、
    前記重共振により前記2次側回路から前記1次側回路に還流した電磁エネルギを蓄積する送電側コンデンサ、該送電側コンデンサに並列接続された送電側コイル、及び前記送電側コンデンサの端子間電圧を検知する検知器を有する前記1次側回路と、
    前記送電側コンデンサの一方の端子と他方の端子の間に断続的な直流電圧をステップ入力する回路を構成する駆動素子と、
    前記送電側コイルに対向した受電側コイル、及び該受電側コイルに並列接続された受電側コンデンサを有する前記2次側回路と、
    前記受電側コンデンサの端子間を接続する回路において前記受電側コンデンサから静電エネルギを受け取る負荷と、
    前記駆動素子の制御端子に制御信号を送る1次側スイッチング素子駆動回路と、
    前記検知器の出力電圧の変化から、前記2次側回路から前記送電側コイルを介して前記送電側コンデンサに前記還流した前記電磁エネルギによる前記送電側コンデンサの充放電が少なくとも1回完了したタイミングを検知し、該タイミングを駆動時刻とする駆動周期で、前記1次側スイッチング素子駆動回路から前記制御端子に前記制御信号を周期的に出力させる算術論理回路と、
    を備えることを特徴とするエネルギ振動型伝送システム。
  2. 前記算術論理回路は、前記検知器の出力電圧の変化が0Vを切るゼロクロス時刻から前記駆動周期を決定するエネルギピーク計数回路を有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギ振動型伝送システム。
  3. 前記算術論理回路が測定して求めて前記ゼロクロス時刻を格納する伝送データ記憶装置が、前記算術論理回路に接続されていることを特徴とする請求項2に記載のエネルギ振動型伝送システム。
  4. 前記伝送データ記憶装置には、更に前記送電側コイルと前記受電側コイルの間で定義される伝送距離と前記駆動周期Tの関係を示すデータ、及び前記送電側コイルと前記受電側コイルの間の等価結合係数kと前記駆動周期の関係を示すデータが格納されることを特徴とする請求項3に記載のエネルギ振動型伝送システム。
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