JP7478038B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、吸収性物品に関する。
吸収性物品は、一般に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に配置された吸収体と、を備え、トップシートを透過した尿等の体液を、吸収体で吸収及び保持する。吸収性物品には、成人用又は幼児用を問わず、テープタイプの紙おむつ、パンツタイプの紙おむつ、尿取りパッド、軽失禁パッド等、用途に応じて様々な種類が存在する。
従来から、吸収体としては、フラッフパルプと高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう)とを併用することが一般的である。しかしながら、吸収性物品の着用感、外観、肌触り等の一層の向上や、尿等の体液の逆戻りのさらなる低減を目的として、2枚の不織布と、これらの間にホットメルト接着剤により固定されたSAP粒子と、を含む高吸収性シート(以下「SAPシート」ともいう)を吸収体として用いた吸収性物品が種々提案されている。
特許文献1には、それぞれ一方の面が接着剤塗布面である第1、第2不織布と、第1、第2不織布の各接着剤塗布面の間に長手方向に延びるストライプ状に配置された複数のSAP層と、を備え、第2不織布の接着剤塗布面におけるSAP層との対面領域では接着剤が間欠的に塗布され、かつSAP層の幅方向両側でSAP層を介さずに直接対向する第1、第2不織布の各接着剤塗布面には接着剤が長手方向に連続的に塗布されたSAPシートが開示されている。
特許文献2には、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収体は、2枚の不織布と、その間に配置されたSAP粒子とをそれぞれ含む第1、第2吸収体を備え、幅方向の一方及び他方に配置された第1、第2吸収体はそれぞれ長手方向に延びる第1、第2の折り目を有し、第1、第2の折り目が対向する、SAPシートが開示されている。さらに、特許文献2には、2枚の不織布とその間に配置されたSAP粒子とを含む第3吸収体を更に備え、第3吸収体が第1、第2吸収体の上側に配置された吸収性物品が開示されている。
特開2006-158676号公報 特開2013-42882号公報(請求項1、請求項5)
特許文献1、2やその他多くの吸収性物品で用いられるSAPシートは、厚み方向の圧縮性に乏しいことから、着用者がSAP粒子やホットメルト接着剤の硬化体のゴツゴツした硬い感触を肌で感じ易く、着用感、フィット感が大きく低下し、着用時の違和感が大きくなる。また、多くのSAPシートは、不織布にホットメルト接着剤でSAP粒子を固定することにより、その表面にSAP粒子が高密度で存在し、結果としてSAP粒子が体液を吸収して膨張するための空間が少なくなる。このため、従来のSAPシートは、体液の拡散性や吸収速度(特に繰り返し吸収した後の吸収速度)ひいては吸収性の点で、十分満足できるものではない。
また、従来のSAPシートは、厚みを低減するためにSAPと不織布とから作製され、フラッフパルプを含まないことから、吸水直後のウェットバックが悪いという問題を有している。また、不織布の代わりに紙製シートを使用すると、湿潤時の引張強度が低いため、吸水後に体圧によりSAPシートが破れ、SAPが吸収性物品の外部に漏出する原因になる可能性があるという問題を有している。
本発明の目的は、高吸収性シートを備え、着用感やフィット感が良好で、体液の拡散性、及び吸収速度に優れた吸収性物品を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、起毛面を有し、該起毛面の起毛繊維間に高吸収性ポリマーを担持した基体不織布と、所定の曲げこわさ及びウェット強度を有する親水性シートとしてのパルプ含有不織布と、を所定の構造で組み合わせて高吸収性シートを構成し、この高吸収性シートを吸収体として用いることにより、目的に叶う吸収性物品が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、下記の吸収性物品に係る。
(1)液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
前記吸収体は、
起毛面及び非起毛面を有し、前記非起毛面が前記トップシートを臨むように配置される基体不織布と、
前記基体不織布の前記起毛面の起毛繊維間に固着担持された高吸収性ポリマーと、
前記基体不織布の前記起毛面を覆う親水性シートと、を含む高吸収性シートを、備え、
前記親水性シートは、曲げこわさが0.02gf・cm/cm以上であり、かつウェット強度が10N/50mm以上のパルプ含有不織布を含み、
前記吸収体は、前記高吸収性シートの前記非起毛面を内側にして、前記基体不織布の幅方向両端面が、前記トップシートの非肌側で対向するように内三つ折りした立体形状を有し、
前記基体不織布の幅方向両端面間の距離寸法が、前記吸収体の幅方向寸法の10%以上90%以下である、吸収性物品。
(2)前記吸収体は、前記基体不織布の前記幅方向両端面間をスリット空間部とし、前記非起毛面を底面部とする溝部を有し、前記親水性シートは、幅方向両端部が前記溝部の前記スリット空間部を覆って重なり合うように、それぞれ幅方向に延伸され、前記重なり合う幅方向寸法が、前記吸収体の幅方向寸法の5%以上50%以下である、上記(1)の吸収性物品。
(3)前記パルプ含有不織布は、坪量が30g/m以上80g/m以下である、上記(1)又は(2)の吸収性物品。
(4)前記基体不織布がエアスルー不織布であり、前記エアスルー不織布の坪量が20g/m以上80g/m以下であり、前記エアスルー不織布を構成する繊維の太さが1.6dtex以上14dtex以下である、上記(1)~(3)のいずれかの吸収性物品。
(5)前記高吸収性シートにおける前記高吸収性ポリマーの坪量が150g/m以上800g/m以下である、上記(1)~(4)のいずれかの吸収性物品。
本発明によれば、高吸収性シートを備え、着用感やフィット感が良好で、体液の拡散性、及び吸収速度に優れた吸収性物品を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る吸収性物品の構成を模式的に示す平面図である。 図1に示す吸収性物品中の基体不織布の構成を模式的に示す斜視図である。 図1に示す吸収性物品中の基体不織布に高吸収性ポリマーを固着担持させた構成を模式的に示す側面図である。 図1に示す吸収性物品中の吸収体の構成を示す模式断面図である。 吸収体の第2実施形態の構成を示す模式断面図である。
本明細書において、吸収性物品の着用とは、体液の吸収前後を問わず、吸収性物品を身体に装着した状態をいう。吸収性物品において、長手方向とは吸収性物品を身体に着用したときに着用者の股間部を介して身体の前後に亘る、図中Yで示す方向であり、幅方向とは長手方向に対して直交する、図中Xで示す方向であり、厚み方向とは各構成部材を積層する、図中Zで示す方向である。肌側面とは、吸収性物品を着用したときに、着用者の肌に当接する表面及び肌を臨む表面であり、非肌側面とは、着用者の衣服に接触する表面又は衣服を臨む表面である。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。
<吸収性物品(第1実施形態)>
以下、図面を参照しつつ、本実施形態の吸収性物品について説明する。図1は、第1実施形態に係る吸収性物品50を示す。図2は基体不織布11を示す。図3は高吸収性ポリマー12を固着担持させた基体不織布11を示す。図4及び図5は、それぞれ、吸収体1、2を示す。これらの図面は吸収性物品50中の各構成部材の形状や寸法、大小関係等を規定するものではない。
本実施形態の吸収性物品50は、ベビー用又は成人用を問わず種々の吸収性物品として使用できるが、代表的には、軽失禁パッド、尿吸収パッド、パンツ型紙おむつ、テープ止め紙おむつ等が挙げられる。アウターとしての各種紙おむつと、インナーとしての吸収性物品50とを組み合わせてもよい。吸収性物品50の、長手方向の寸法、及び幅方向の寸法はいずれも特に限定されないが、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、及び50mm以上500mm以下の範囲である。吸収性物品50の寸法を前記の範囲に調整することで、種々の用途の吸収性物品を容易に得ることができる。
吸収性物品50は、図1に示すように、これを着用したときに相対的に肌側に位置する、液透過性のトップシート25と、トップシート25に対向して配置され、吸収性物品50を着用したときに相対的に非肌側に位置する液不透過性のバックシート30と、トップシート25とバックシート30との間に配置された吸収体1と、トップシート25の肌側表面に設けられた一対の立体ギャザー40と、を備える。吸収体1はトップシート25とバックシート30との間に挟まれた構造となり、尿等の体液はトップシート25を通して吸収体1に吸収及び保持される。吸収性物品50の用途やタイプに応じて、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。
吸収性物品50は、吸収体1としての高吸収性シート10がフラッフパルプを含有せず、かつ吸収性能が良好で繰り返しの体液吸収でも高吸収性ポリマー12のゲルブロッキング等による吸収速度の低下が起こりにくいものであることから、さらさらとした心地よい肌触りを維持し、着用感、フィット感が良好で、着用中の違和感がない上に、体液を素早く吸収し、体液拡散性に優れ、高い吸収速度を有するものとなる。さらに、吸収性物品50は、起毛面11aを有し、起毛面11aに高吸収性ポリマーを固着担持した基体不織布11と、親水性シート20としての所定の特性を有するパルプ含有不織布とを含む高吸収性シート10を所定の内三つ折り構造で組み合わせた吸収体1を備えることで、体液を保持した状態での液戻りだけでなく、着用者が体液を排出した直後で体液保持が十分になされていない状態でも液戻りが顕著に抑制されるという利点を有している。
以下、シート状又は板状の各構成部材について、トップシート25、吸収体1、バックシート30及び立体ギャザー40の順でさらに詳しく説明する。なお、これらの構成部材は、シート状及び板状以外の立体構造を有していてもよい。
(トップシート)
トップシート25は、吸収体1に向けて体液を速やかに通過させる液透過性のシート状部材であり、吸収体1を挟んで、バックシート30に対向して配置される。トップシート25は、着用者の肌に当接する場合があることから、柔らかな感触で、肌に刺激を与えないような性質を有する基材が好ましい。該基材としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートは、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて、エアスルー法、サーマルボンド法、スパンレース法、スパンボンド法等の公知の方法で加工することにより得られる。
トップシート25には、液透過性を向上させる観点から、公知の方法に従ってエンボス加工や穿孔加工を表面に施してもよい。また、肌への刺激を低減させる観点から、トップシート25には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等の1種又は2種以上を含有させてもよい。
強度、加工性及び液戻り量の観点から、トップシート25の坪量は、例えば、15g/m以上40g/m以下の範囲である。トップシート25の形状は特に制限されず、漏れがないように体液を吸収体1へと誘導するために必要とされる、吸収体1の一部又は全部を覆う形状であればよい。
<吸収体の第1実施形態>
図4は、吸収体1を示す模式断面図である。吸収体1は、高吸収性ポリマー12を起毛面11aに固着担持した基体不織布11と、親水性シート20とを含む高吸収性シート(以下「SAPシート」ともいう)10を内三つ折りした立体構造を有する。基体不織布11は、一方の表面が起毛面11a及び他方の表面が非起毛面11bであり、基体不織布11の起毛面11aの起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12が固着担持されている。高吸収性シート10は、基体不織布11の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を分散して固着担持させることで、高吸収性ポリマー12周辺に尿等の体液が適度に拡散し、速やかに保持され、吸収性能が向上し、フラッフパルプを含有しなくても十分な吸収性能を確保することができる。
本実施形態の吸収体1は、基体不織布11の起毛面11a全体が親水性シート20に覆われた高吸収性シート10を、基体不織布11の非起毛面11bを内側にして、内三つ折り(以下「C折り」ともいう)され、幅方向の断面視が略Cの字を左側に90度回転させた立体形状を有する。吸収体1において、基体不織布11の非起毛面11aの一部はトップシート25を臨み、基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと他の端面1B、及び親水性シート20の幅方向の一の端面20aと他の端面20bとは、それぞれ、トップシート25の非肌側で、幅方向に対向している。ここで、基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと他の端面1Bは、親水性シート20の幅方向の一の端面20aと他の端面20bにより覆われ、トップシート25に対して露出しないように構成されている。
また、本実施形態の吸収体1は、親水性シート20の幅方向の一の端面20aと、他の端面20bとが対向し、さらに基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと、他の端面1Bとがそれぞれ対向した空間を開口部とし、トップシート25を臨む基体不織布11の非起毛面11bを底面部とする、溝部21を有している。溝部21は、例えば、スリットのように機能し、トップシート25や親水性シート20と協働して拡散層を形成し、体液を吸収体1の長手方向両端部付近まで均一に行き渡らせることができる。その結果、吸収体1内での体液拡散性、吸収速度をより一層高め、かつ体液のトップシート25側への戻りを低減化することができる。基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと他の端面1B間(又は親水性シート20の幅方向の一端面20aと他の端面20b間)の長さ寸法C(図4、溝部21の開口部の幅寸法でもある)は、例えば、吸収体1の幅寸法Dの10%以上90%以下の範囲又は15%以上35%以下の範囲である。これにより、吸収体1の吸収速度がさらに向上する。
本実施形態では、基体不織布11の起毛面11aの起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を固着担持すると、高収性ポリマー12が起毛面11aと起毛繊維11xとで支持され、高吸収性ポリマー12の分散も容易であることから、ホットメルト接着剤の使用量を低減化できるとともに、高吸収性ポリマー12の高密度化が抑制され、高吸収性ポリマー12の周囲に高吸収性ポリマー12が体液を吸収して膨張可能な空間を形成することができる。また、体液を吸収して膨潤した高吸収性ポリマー12同士が結着したゲルブロッキングも非常に発生しにくい。その結果、吸収体1全体としての体液拡散性、及び体液吸収速度が高くなり、ホットメルト接着剤に由来するゴワゴワ感が生じにくい。また、吸収体1の構成部材である基体不織布11の起毛面11aが親水性シート20としてのパルプ含有不織布で覆われていることから、吸収体1全体に体液が均一に行き渡り、吸収体1全体に分布する高吸収性ポリマー12を満遍なく用いて体液を効率よく吸収できる。したがって、吸収体1を備える吸収性物品50は、体液の拡散性や吸収速度が高く、体液吸収性に優れ、着用感の良好なものとなる。
また、本実施形態では、基体不織布11及び親水性シート20がC折りされていることにより、クッション性、フィット性がさらに向上し、良好な着用感が得られるとともに、起毛面11aに固着担持された高吸収性ポリマー12の吸収層が上下2層になり、上層吸収層はスリットである溝部21を有して体液拡散性及び体液吸収性に優れ、下層吸収層及びC折り状態での幅方向両端部は繰り返し吸収性に優れた高吸収性ポリマー12の固着担持層となる。このような構成によれば、フィット感、着用感と、繰返し吸収時の吸収速度とを高水準で両立し、体液排出直後のウェットバックを十分に防止することができる。
本実施形態の吸収体1は、その長手方向の寸法が、例えば、100mm以上800mm以下の範囲、又は150mm以上500mm以下の範囲である。また、吸収体1の幅方向の寸法Dは、例えば、50mm以上500mm以下の範囲、又は60mm以上400mm以下の範囲である。吸収体1の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。
吸収体1の高吸収性シート10を構成する基体不織布11、高吸収性ポリマー12、及び親水性シート20は詳しくは次のとおりである。
(基体不織布)
図2に示すように、基体不織布11の片側表面11aは、基体不織布11を構成する繊維が起毛した起毛繊維11xである。そのため、不織布本来の嵩高さに加えて、高吸収性シート10に適度な厚みとやわらかさが付与されることにより、適度なクッション性が発生し、着用時のフィット感を向上させることができる。また、基体不織布11を上記のように起毛させると、基体不織布11の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持させることができる。基体不織布11の片側表面11aを起毛させる方法としては、回転ノコ刃、ニードルパンチ等を用いる方法が挙げられ、インラインでの生産性やコストの観点から回転ノコ刃を用いる方法が好ましい。
本実施形態における起毛の状態は特に限定されず、目視で起毛状態が確認できればそれでよいが、より具体的には、基体不織布11の起毛率は5%以上90%以下が好ましく、8%以上80%以下であることがより好ましい。なお、起毛率とは、起毛加工による基体不織布11の厚さの増加率を意味する。例えば、起毛前の基体不織布11の厚さをT1、起毛後の基体不織布11の厚さをT2としたとき、起毛率(%)は、[(T2―T1)/T1]×100で表すことができる。上記厚さは、ハイトゲージ((株)ミツトヨ製)を用いて無荷重下の厚さを測定することで求められる。なお、基体不織布11のもう一方の面は本実施形態では非起毛面11bであるが、これに限定されず、繊維を起毛させてもよい。
基体不織布11としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布積層体、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体等の複合不織布等が挙げられる。これらの不織布の中でも、嵩を高くする観点等から、エアスルー不織布が好ましい。
基体不織布11の厚さは特に限定されないが、着用感及び吸収性能のバランスの観点から、0.3mm以上11.0mm以下の範囲、0.5mm以上5.0mm以下の範囲又は0.5mm以上2.0mm以下の範囲である。また、基体不織布11の坪量は特に限定されないが、例えば、20g/m以上200g/m以下の範囲、20g/m以上160g/m以下の範囲、又は20g/m以上80g/m以下の範囲である。
基体不織布11としてエアスルー不織布を用いる場合、エアスルー不織布の坪量が20g/m以上80g/m以下の範囲であり、エアスルー不織布を構成する繊維の太さが1.6dtex以上14dtex以下の範囲、1.8dtex以上9.0dtex以下の範囲又は2.0dtex以上6.0dtex以下の範囲である。エアスルー不織布を構成する繊維の太さを上述の範囲に調整することにより、エアスルー不織布の起毛繊維11x間に高吸収性ポリマー12を分散させて固着担持させやすくなり、起毛面11aにおける高吸収性ポリマー12の均一分散性が向上する。
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー12としては、尿を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン・アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸・ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン・無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。高吸収性シート10(又は基体不織布11)の起毛面11aにおける高吸収性ポリマー12の坪量は、例えば、150g/m以上800g/m以下の範囲である。
また、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマー12の使用を避けることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、高吸収性シート10が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減する観点から、高吸収性ポリマー12としては中位粒子径を有する粒子状の高吸収性ポリマー12を用いることが好ましい。該中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲又は100μm以上500μm以下の範囲である。
高吸収性ポリマー12は、ホットメルト接着剤により、基体不織布11の起毛面11aの起毛繊維11x間に固着担持されていることが好ましく、基体不織布11の坪量が比較的低い場合に、高吸収性ポリマー12の固着担持を補強するために、ホットメルト接着剤は特に有効に機能する。なお、高吸収性ポリマー12の吸収性を阻害せず、かつ、着用時の肌触りを損なわないという観点から、ホットメルト接着剤の含有量は例えば10g/m以下の範囲である。ホットメルト接着剤としては融点が100℃以上180℃以下のものを特に限定なく使用でき、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン系共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン系共重合体等の合成ゴム系ホットメルト接着剤、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系ホットメルト接着剤等が挙げられる。ホットメルト接着剤の塗布方法としては、ノズルから溶融状態のホットメルト接着剤を非接触式で塗布するカーテンコート法やスパイラル法、接触式で塗布するスロット法等、公知の方法が利用できる。
(親水性シート)
前述のように、基体不織布11の高吸収性ポリマー12が固着担持された起毛面11aをC折り構造で覆う親水性シート20は、曲げこわさが(曲げ剛性)0.02gf・cm/cm以上の範囲又は0.02gf・cm/cm以上0.6gf・cm/cm以下の範囲であり、かつウェット強度(湿潤時の引張強度)が10N/50mm以上の範囲又は10N/50mm以上70N/50mm以下の範囲であるパルプ含有不織布を含む。ここで、曲げこわさ及びウェット強度は後述の方法で測定される値である。
親水性シート20の曲げこわさが0.02gf・cm/cm未満及び/又はウェット強度が10N/50mm未満では、吸収体1の剛性が低下し、体液を繰り返し吸収するときや、体液吸収後に身体から取り外すときに、吸収体1に破れ等を生じやすくなる傾向がある。親水性シート20の曲げこわさが0.6gf・cm/cmを超えるか及び/又はウェット強度が70N/50mmを超えると、吸収体1が硬くなりすぎて、吸収性物品50の着用性やフィット感が低下し、着用時の違和感が大きくなる傾向がある。
親水性シート20としての、上述の範囲の曲げこわさ及びウェット強度を有するパルプ含有不織布を用いることにより、吸収体1が薄さを維持しつつ、柔らか過ぎず、適度な柔軟性と剛性とを持ち、着用感、フィット性が向上するだけでなく、吸収体1の体液吸収後の強度が増し、着用時又は体液吸収後に吸収性物品50を身体から取り外すときに、吸収体1の破れ、破損等が生じず、清潔に取り外し得る。また、上述のように、吸収体1が適度な剛性を有し、生産時に操業スピードを高めても、破れ等が非常に発生し難いことから、生産効率や歩留まりを向上させることができる。なお、基体不織布11の起毛面11aと親水性シート20との接着には、例えば、ホットメルト接着剤や熱エンボス加工等を利用できる。基体不織布11の起毛面11aに親水性シート20を接着することで、高吸収性ポリマー12の高吸収性シート10外への漏出を防止することができ、着用時の肌触りをも向上させ得る。
(パルプ含有不織布)
親水性シート20として用いられるパルプ含有不織布は、不織布と、不織布の少なくとも一方の表面に積層されたパルプ繊維ウェブと、を含む(パルプ含有不織布の第1実施形態)。本実施形態では、例えば吸収体1中の体液拡散性等に寄与するパルプ繊維ウェブが基体不織布11の起毛面11aに対面し、例えば吸収体1への強度付与等に寄与する不織布が外方を臨むように、パルプ含有不織布が配置されることが好ましい。
好ましいパルプ含有不織布は、不織布と、不織布の少なくとも一方の表面に一体化したパルプ繊維ウェブと、を含む(パルプ含有不織布の第2実施形態)。ここで、「一体化」とは、少なくとも吸収性物品の使用前後に不織布とパルプ繊維ウェブとが部分的でも剥離してその機能が大きく低減することがない状態にあることを意味する。不織布の坪量は例えば7g/m以上30g/m以下の範囲であり、パルプ繊維ウェブの坪量は例えば30g/m以上50g/m以下の範囲である。不織布及びパルプ繊維ウェブの各坪量を前記範囲とすることにより、パルプ含有不織布の坪量を後述する適切な範囲に調整することが容易になる。
パルプ含有不織布の中でも、水流交絡による一体化物が好ましい(パルプ含有不織布の第3実施形態)。該一体化物は、例えば、不織布の表面に、バインダーを用いることなく、パルプ繊維をウォータージェットで交絡し、一体化してパルプ繊維ウェブを設けたパルプ含有不織布である。このようなパルプ含有不織布では、不織布の一方の表面において不織布を構成する繊維とパルプ繊維とが絡み合ってパルプ繊維ウェブが一体化されると共に、パルプ繊維の一部が不織布を厚み方向に突き抜けて他方の面に露出した状態になっており、不織布とパルプ繊維ウェブとが極めて強固に結合している(パルプ含有不織布の第4実施形態)。
ここで使用されるパルプ繊維としては特に限定されないが、例えば、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、ロッジポールパイン、スプルースおよびダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(以下「NBKP」ともいう)が挙げられる。NBKPは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。パルプ繊維ウェブに積層される不織布としては特に限定されないが、パルプ含有不織布全体の強度や通液性等の観点から、合成樹脂製繊維から構成されたスパンボンド不織布が好ましく、合成樹脂製繊維としてポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布がより好ましく、ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布がさらに好ましい。
パルプ含有不織布において、不織布とパルプ繊維ウェブとの重量割合(不織布/パルプ繊維ウェブ)は、例えば40/60重量%以上10/90重量%以下の範囲である。パルプ繊維ウェブの含有量が60質量%未満であると、パルプ含有不織布が風合いや汗の吸収に乏しく蒸れやすくなる傾向があり、90質量%を超えるとパルプ含有不織布が硬くなる傾向がある。なお、パルプ繊維ウェブと一体化される不織布としては、特に限定されないが、パルプ繊維ウェブに対する支持性、パルプ含有不織布全体の強度や柔らかさ、風合い等の観点から、スパンボンド不織布が好ましく、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布がより好ましく、ポリプロピレン繊維からなるスパンボンド不織布が更に好ましい。
パルプ含有不織布の坪量は、製品の厚みや強度等の観点から、例えば、30g/m以上80g/m以下の範囲又は40g/m以上60g/mの範囲である。30g/m未満では,パルプ含有不織布が柔らかくなり過ぎて製造歩留まりが低下するとともに、体液吸収後に破れ易くなる傾向があり、80g/mを超えるとパルプ含有不織布が硬さや厚みを増すことで、吸収体1が硬くなり装着時の快適性を損なう傾向がある。
パルプ含有不織布の曲げこわさ及びウェット強度は、例えば、パルプ繊維ウェブや不織布の材質、厚み、坪量やこれらの重量割合等を適宜選択することにより、所望の値に調整することができる。
<吸収体の製造方法>
吸収体1の製造方法としては、特に制限はないが、以下の方法が一例として挙げられる。基体不織布11の片側表面を回転ノコ刃又はニードルパンチを用いて、起毛させる。その後、高吸収性ポリマー12をホットメルト接着剤等により、基体不織布11の起毛面11aの起毛繊維11x間に固着担持させる。その後、基体不織布11の起毛面11aと親水性シート20とをホットメルト接着剤等で接着し、非起毛面11bを内側にしてC折りし、親水性シート20の幅方向の一の端面20a及び他の端面20b、並びに基体不織布11の幅方向の一の端面1A及び他の端面1Bをトップシート25の非肌側で幅方向にそれぞれ対向させて、吸収体1を得る。C折りの折り目は、滑らかな弧を描くように構成してもよく、角張るように構成してもよい。
<吸収体の第2実施形態>
図5は、吸収体2を示す模式断面図である。吸収体2は、吸収体1の変形例である。吸収体2としての高吸収性シート15は、吸収体1と同じ基体不織布11、高吸収性ポリマー12、及び親水性シート(パルプ含有不織布)20を使用し、高吸収性シート10と同様に、基体不織布11の起毛面11aに親水性シート20を接合した上で、基体不織布11の非起毛面11bを内側にしてC折りし、基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと他の端面1Bとをトップシート25の非肌側で対向させ、親水性シート20の幅方向の一の端面20aと、他の端面20bとを幅方向に延伸して重なり領域を形成したものである。重なり領域は接着剤層16により固着されているが、本実施形態に限定されず、固着されていなくてもよい。接着剤層16の形成には、例えば、上述のホットメルト接着剤を用いることができる。
さらに、吸収体2は、開口部が親水性シート20の重なり領域により塞がれているものの、基体不織布11の幅方向の一の端面1Aと、他の端面1Bとの幅方向の対向空間をスリット空間部とし、基体不織布11の非起毛面11bを底面部とする溝部(又は中空部)21を有する。溝部21は、開口部を塞ぐ親水性シート20が体液透過性及び体液拡散性に優れたものであることから、親水性シート20及びその重なり領域と協働して、体液の均一拡散性を高め、繰返し吸収速度を一層向上させる。また、吸収体2は、吸収体1と同様に、クッション性やフィット性を向上させる基体不織布11が部分的でも2層になっていることから、溝部21の空間とも相まって、着用感、フィット感の非常に良好なものとなる。
上述した吸収体2は、吸収体1と同様の長手方向寸法及び幅方向寸法を有し、吸収体1と同様にして作製できる。また、吸収体1、2において、図4~図5に示すように、C折りの折り目は滑らかな弧を描くように曲線状に構成しているが、これに限定されず、折り目が角張るように構成してもよい。本実施形態の吸収性物品50では、吸収体1に代えて吸収体2を使用することができる。
(バックシート)
バックシート30は、吸収体1が保持している体液が衣類を濡らさないような液不透過性を備えた基材を用いて形成されればよく、該基材としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体である複合シート等が挙げられる。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布の積層体である複合不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布、これらの2種以上の積層体である複合材料等が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。
バックシート30の坪量は、例えば強度及び加工性の点から、15g/m以上40g/m以下の範囲である。また、装着時の蒸れを防止する観点から、通気性を有するバックシート30が好ましい。バックシート30に通気性を付与するには、例えば、樹脂フィルムにフィラーを配合する方法、バックシート30に穿孔のためにエンボス加工を施す方法等を利用できる。ここで、フィラーとしては炭酸カルシウムが挙げられ、フィラーを公知の方法に従って配合できる。
(立体ギャザー)
吸収性物品50は、図1に示すように、例えば、使用者の***した体液の横漏れを防止するため、吸収性物品50の長手方向に沿って、トップシート25の肌側面の両側端部付近に、一対の立体ギャザー40を備えている。本実施形態の立体ギャザー40は、幅方向一端がバックシート30の肌側面の両側端部付近に固定され、幅方向途中部がトップシート25の肌側面の両側端部付近に固定され、その幅方向他端40aはトップシート25に固定されない自由端40aとなっている。自由端40a付近には弾性伸縮部材(不図示)が長手方向に沿って配設され、自由端40aに起立性を付与し、着用者の体型に合わせて変形可能なものとなる。
立体ギャザー40の幅方向一端の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート30の非肌側面の幅方向両端付近、トップシート25とバックシート30との各縁辺を部分的又は全体的に接合し、内部に吸収体1を収納した袋体の幅方向両端付近、トップシート25の肌側面の幅方向両端付近等が挙げられる。なお、本実施形態の吸収性物品は、立体ギャザーを含まない実施形態をも包含する。
立体ギャザー40を構成するシート部材としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は液不透過性の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布等が挙げられる。弾性伸縮部材としては、この分野での常用品を特に限定なく使用でき、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状又は帯状の天然ゴム等が挙げられる。
(トランスファシート)
本実施形態では、トランスファシート(不図示)を備えていてもよい。トランスファシーは、例えば、トップシート25と吸収体1との間に配置される。トランスファシートとしては透液性を有する基材であれば特に限定されないが、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、サーマルボンド不織布/スパンボンド不織布積層体等の同種又は異種の不織布を積層した複合不織布、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム等からなる発泡フィルム、これらの2種以上の積層体である複合シート等が挙げられる。これらの中でも、体液の立体ギャザー40への移行を防止する観点から、エアスルー不織布が好ましい。トランスファシートの坪量は例えば20g/m以上の範囲又は20g/m以上60g/m以下の範囲である。
<吸収性物品の製造方法>
吸収性物品50は、公知の製造方法により製造できるが、例えば、吸収体1又は吸収体2をトップシート25とバックシート30との間に配置する工程と、トップシート25とバックシート30とを一部又は全周に亘ってホットメルト接着剤やヒートエンボス、超音波エンボス、高周波エンボス等を用いて固定する工程と、バックシート30及びトップシート25の所定位置に立体ギャザー40を設置する工程と、を含む製造方法が挙げられる。そして、吸収性物品50が尿取りパッドや軽失禁パッドである場合は、これを包装体に個別包装した後、長手方向に3つ折りにして折りたためばよい。また、レッグギャザー、ウエストギャザー、サイドフラップ等を必要に応じて設けることができる。
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
以下、本実施形態について、実施例及び比較例を挙げて詳細に説明する。なお、本実施形態は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
まず、基体不織布としてエアスルー不織布(坪量30g/m、曲げこわさ0.018gf・cm/cm、幅方向寸法90mm、長手方向寸法300mm)を用意し、基体不織布の片側表面を回転ノコ刃で物理的に起毛させた(起毛後厚さ1.2mm、起毛率25%)。基体不織布の起毛した部分の繊維間に高吸収性ポリマーを分散させ(坪量300g/m)、ホットメルト接着剤により固着担持した。さらに、親水性シートとして表1記載のパルプ含有不織布(幅方向寸法140mm、長手方向寸法300mm)を用意し、基体不織布の高吸収性ポリマーを固着担持した起毛面側と、ホットメルト接着剤を塗布した親水性シートとを接着した。次に、親水性シートを内三つ折りして、親水性シートの両端部を基体不織布の非起毛面の上方で重なり合わせ、重なり領域をホットメルト接着剤で固定し、親水性シートにより、基体不織布の起毛面全体、幅方向両端面、及び非起毛面全体を覆い、図5に示す構造を有する、実施例1の吸収体を得た。
次に、トップシートとしてエアスルー不織布(坪量25g/m)を用い、トランスファシートとしてエアスルー不織布(坪量30g/m)を用い、吸収体を起毛面がバックシート側を向くように用い、液不透過性のバックシートとして、通気性ポリエチレンシート(坪量30g/m)を用い、立体ギャザーとして、スパンボンド不織布/メルトブローン不織布/スパンボンド不織布の積層体である複合不織布(坪量15g/m)を用いて、実施例1の吸収性物品を作製した。
(実施例2~4)
親水性シートとして表1記載のパルプ含有不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2~4の吸収体及び吸収性物品を作製した。
(実施例5)
親水性シートとして表1記載のパルプ含有不織布(幅方向の寸法100mm)を使用し、中央部60mmを残し左右20mmずつを中央に向け折りたたむように親水性シートを内三つ折りし、ホットメルト接着剤で固定する以外は、実施例1と同様にして、図4に示す構造を有する実施例5の吸収体及び吸収性物品を作製した。この吸収体は、基体不織布の幅方向中央部において、20mmの幅で長手方向に延びるように基体不織布の非起毛面が露出していた。
(比較例1)
親水性シートとして表1記載のパルプ含有不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして吸収体及び吸収性物品を作製した。
(比較例2)
親水性シートとして表1記載のスパンボンド不織布を使用した以外は、実施例1と同様にして比較例2の吸収体及び吸収性物品を作製した。
(比較例3)
親水性シートとして表1記載のクレープ紙を使用した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の吸収体および吸収性物品を作製した。
(比較例4)
親水性シートとして表1記載のパルプ含有不織布(幅方向の寸法60mm)を使用し、内三つ折りしないで、平面状に配した以外は、実施例1と同様にして、比較例4の吸収体及び吸収性物品を作製した。
(比較例5)
エアスルー不織布(坪量25g/m)/高吸収性ポリマー(坪量140g/m)/エアスルー不織布(坪量30g/m)/高吸収性ポリマー(坪量140g/m)/スパンレース不織布(坪量20g/m)を積層した5層積層シート(幅方向の寸法はすべて60mm)を比較例5の吸収体として用い、これを実施例1と同様のトップシートとバックシートとの間に介在させて、比較例5の吸収性物品を作製した。なお、比較例5で用いた不織布については、実施例1で用いた基体不織布のような起毛処理は行わなかった。
[測定項目]
実施例1~5及び比較例1~5で得られた各吸収体及び各吸収性物品を用いて、厚み、吸収速度、逆戻り量を測定し、その結果を表1に示した。
(厚み)
無荷重条件下、及び35gf/cmの荷重条件下における吸収体中央の厚みを測定した。
(吸収速度)
実施例1~5及び比較例1~5の各吸収性物品に、46g/cmの加圧下で、内径30mmの筒から0.9質量%の生理食塩水(37℃)40mlを注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度1回目として計測する。3分経過後、0.9質量%の生理食塩水(37℃)40mlを再度注水し、生理食塩水が吸収体表面へ吸収されるまでの時間(秒)を吸収速度2回目として計測する。数値が小さいほど、吸収性に優れることを意味する。
(逆戻り量)
実施例1~5及び比較例1~5の各吸収性物品に、生理食塩水100mlを注水し、注水してから90秒後に35gf/cmの荷重でろ紙を吸収体表面に圧着させ、1分間でろ紙に逆戻りした水分量(ウエットバック量)を測定する。逆戻り量が少ないほど、吸収体がドライな状態であることを示す。
さらに、実施例1~5及び比較例1~5の各吸収性物品について、吸収体破れ評価、操業性評価、及び官能評価を実施し、以下の評価基準で評価した。結果を表1に示した。
(吸収体破れ評価)
実施例1~5及び比較例1~5の各吸収性物品を実験台に載置し、生理食塩水100mlを注水し、注水してから10分後に12kgのローラーを用いて、30mm/秒の速度で2往復させたのち、吸収性物品内の吸収体を確認した。
〇:吸収体に破れがなかった
×:吸収体が破れてSAPが飛び出していた
(操業性)
〇:操業のスピードを低下させることなく、通常の生産が可能であった。
△:操業のスピードは通常に比べて、1%以上10%以下低下した。
×:操業スピードは通常に比べて、10%を超えて低下した。
(官能評価)
8人のパネラーに実施例1~5及び比較例1~5の各吸収性物品を着用してもらい、着用感(フィット感、やわらかさ)と吸収性(吸収性物品外への漏れの有無)について、「良い」又は「悪い」の2択で官能評価を行った。着用者は8時間使用し、日常動作における評価を行い、その結果を表1に示した。
〇:「良い」を選んだ着用者が6人以上8人以下のとき
△:「良い」を選んだ着用者が3人以上5人以下のとき
×:「良い」を選んだ着用者が1人若しくは2人のとき、又は「良い」を選んだ着用者が1人もいないとき
なお、各親水性シートの曲げこわさ(曲げ剛性)及びウェット強度は、以下の方法で測定したものである。
(曲げこわさ)
曲げこわさ(曲げ剛性)は、曲げ試験機(商品名:KES-FB2、カトーテック(株)製)の固定チャックと移動チャックに試料(100mm×100mm)を差し込んでセットして測定した。移動チャックが正側の最大曲率+2.5cm-1まで移動し反転して曲率0を通過し、その後、負の最大曲率-2.5cm-1まで移動し反転して曲率0で測定が終了し、このようにして1サイクルの曲率に対する曲げモーメントの往復曲線が得られる。曲げモーメントの往復曲線において、曲率0.5cm-1と1.5cm-1の間の傾きと曲率-0.5cm-1と-1.5cm-1の間の傾きの平均値を曲げこわさとした。
(ウェット強度湿潤引張強度)
ウェット強度(湿潤時の引張強度)は、JIS8135の引張試験方法に基づいて各各親水性シートのCD方向を測定した。
1、2 吸収体
10、15 高吸収性シート
11 基体不織布
11a 起毛面
11b 非起毛面
11x 起毛繊維
1A、1B 端面(基体不織布の幅方向両端面)
12 高吸収性ポリマー
16 接着剤層
20 親水性シート
20a、20b 端面(親水性シートの幅方向両端面)
25 トップシート
30 バックシート
40 立体ギャザー
40a 立体ギャザーの自由端
50 吸収性物品

Claims (5)

  1. 液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体と、を備える吸収性物品であって、
    前記吸収体は、
    起毛面及び非起毛面を有し、前記非起毛面が前記トップシートを臨むように配置される基体不織布と、
    前記基体不織布の前記起毛面の起毛繊維間に固着担持された高吸収性ポリマーと、
    前記基体不織布の前記起毛面を覆う親水性シートと、を含む高吸収性シートを、備え、
    前記親水性シートは、
    曲げこわさが0.02gf・cm/cm以上0.60gf・cm/cm以下であり、かつウェット強度が10N/50mm以上70N/50mm以下のパルプ含有不織布を含み、
    前記パルプ含有不織布は、ポリプロピレン繊維を含むスパンボンド不織布と、前記スパンボンド不織布の少なくとも一方の表面に一体化したパルプ繊維ウェブとを含み、前記スパンボンド不織布を構成する繊維と前記パルプ繊維ウェブを構成するパルプ繊維とが絡み合った一体化物であり、
    前記吸収体は、前記高吸収性シートの前記非起毛面を内側にして、前記基体不織布の幅方向両端面が、前記トップシートの非肌側で対向するように内三つ折りした立体形状を有し、
    前記基体不織布の幅方向両端面間の距離寸法が、前記吸収体の幅方向寸法の10%以上90%以下である、吸収性物品。
  2. 前記吸収体は、前記基体不織布の前記幅方向両端面間をスリット空間部とし、前記非起毛面を底面部とする溝部を有し、前記親水性シートは、幅方向両端部が前記溝部の前記スリット空間部を覆って重なり合うように、それぞれ幅方向に延伸され、前記重なり合う幅方向寸法が、前記吸収体の幅方向寸法の5%以上50%以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記パルプ含有不織布は、坪量が30g/m以上80g/m以下である、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記基体不織布がエアスルー不織布であり、前記のエアスルー不織布の坪量が20g/m以上80g/m以下であり、前記のエアスルー不織布を構成する繊維の太さが1.6dtex以上14dtex以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記高吸収性シートにおける前記高吸収性ポリマーの坪量が150g/m以上800g/m以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の吸収性物品。

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