JP7476902B2 - ホットスタンピング箔および光学可変デバイス付印刷体 - Google Patents

ホットスタンピング箔および光学可変デバイス付印刷体 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、ホットスタンピング箔、より詳しくは、回折等の光学効果を発現するレリーフ構造を有し、商品券、紙幣、カード、パスポート等の偽造防止効果が必要とされる有価証券や個人認証媒体の各種印刷体の表面に熱圧でホットスタンピングされるホットスタンピング箔、およびこのホットスタンピング箔の光学可変デバイスがホットスタンピングされた光学可変デバイス付印刷体に関する。
本願は、2019年8月29日に日本に出願された特願2019-156968号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本発明の実施形態は、偽造、改ざん、秘密にされるべき情報の盗み読み等の不正防止対策や、万一そのような不正が懸念されても不正の有無の判別を容易とする対策(以下、「偽造防止対策」と称する。)、および偽造防止対策が必要とされる技術分野に関係する。
例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策や、ブランド品や高級品等の一般的に高価な物品への適用希望が多い真正品であることを証明するための偽造防止対策として、偽造防止ホットスタンピング箔が知られている。偽造防止ホットスタンピング箔は、これらの要求に効果的に応えることができ、美観的にも優れた視覚効果を得られる技術である。
近年、偽造防止ホットスタンピング箔において光学効果を発現させる技術の一つとして、光の干渉を用いて立体画像、特殊な装飾画像、特殊な色の変化等を表現し得るホログラムや回折格子、また、光学特性の異なる薄膜を多層に重ねることによって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等々の技術を利用した、いわゆる光学可変デバイス(Optical(ly) Variable Device)が利用されている。
光学可変デバイスは、高度な製造技術を要すること、独特な視覚効果を有し、一瞥で真偽が判定できることから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、有価証券、証明書類等の一部あるいは全面に形成されて使用されている。最近では、有価証券以外にもスポーツ用品やコンピュータ部品をはじめとする電気製品ソフトウェア等に貼り付けられ、その製品の真正さを証明する認証シールや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印シールとしても広く使われるようになってきた。
一般に光学可変デバイスは、精巧な偽造が難しく確認が容易な偽造防止手段である。商品券や紙幣、パスポート、若しくは株券等の紙媒体に光学可変デバイスを貼付する場合には、貼り替えを困難とする観点から、多くの場合熱転写方式が採用されている。光学可変デバイスは需要の拡大に伴い、高速での熱転写適性が求められており、より少ない熱圧で対象物へのホットスタンピングを実現する必要がある。そのため、タックが強く接着性の良い粘着剤や、少ない熱量でも接着可能な融点の低いホットメルト接着剤が使用されることが多い。
しかし、タックの強い粘着剤や、融点の低いホットメルト接着剤を用いた場合には、保管時にブロッキングが生じて、製品の一部がホットスタンピング前に使用不能となる場合があった。これに対し、ブロッキング防止効果を持った接着剤が提案されている(たとえば特許文献1および2参照。)。特許文献1や2に記載の技術では、接着剤にフィラーを添加することにより接着層とキャリアとの接触面積を小さくすることでブロッキングを防止している。
日本国特開2001-71698号公報 日本国特開2009-291996号公報
特許文献1に記載の技術は、ブロッキング防止には効果があるものの、ホットスタンピング箔に適用した場合は、添加したフィラーにより接着層全体としての溶融温度が高くなり、接着性が低下し、転写性が悪化するという問題がある。
このように、相反するブロッキング防止と良好な接着性の双方を、一つのホットスタンピング箔として実現することは、ホットスタンピング箔の本質的な課題であり、その実現が強く求められている。
上記事情を踏まえ、本発明は、良好な接着性と、保管時のブロッキング防止の双方を実現させたホットスタンピング箔を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係るホットスタンピング箔は、熱圧を加えることにより対象物にホットスタンピングされるホットスタンピング箔であって、シート状のキャリアと、キャリア上に形成された光学可変デバイスと、光学可変デバイス上に形成されたアンカー層と、アンカー層上に形成された接着層と、接着層上に形成されたブロッキング防止層とを備える。
接着層は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、ブロッキング防止層は、ポリエチレンまたはポリエチレンの共重合体を主成分とする粒子状の可塑性スペーサーを含有する。
本発明のホットスタンピング箔によれば、対象物への良好な接着性と、保管時のブロッキング防止との双方を実現できる。
本発明の第一実施形態に係るホットスタンピング箔の構造を概念的に説明する図である。 同ホットスタンピング箔がホットスタンピングされた光学可変デバイス付印刷体の一例を示す図である。 同2の概念的に説明された部分断面図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 図7Aに示すブロッキング防止層のホットスタンプ時の働きを概念的に説明する図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 図8Aに示すブロッキング防止層のホットスタンプ時の働きを概念的に説明する図である。 ブロッキング防止層の働きを概念的に説明する図である。 図9Aに示すブロッキング防止層のホットスタンプ時の働きを概念的に説明する図である。
本発明の一実施形態について、図1から図9を参照して説明する。
本発明の実施形態は、背景からの独自の単一の発明を元とする一群の実施形態である。また、本発明の各側面は、単一の発明を元とした一群の実施形態の側面である。本発明の各構成は、本発明の各側面を有しうる。本発明の各特徴(feature)は組合せ可能であり、各構成をなせる。したがって、本発明の各特徴(feature)、本発明の各構成、本発明の各側面、本発明の各実施形態は、組合せることが可能であり、その組合せは相乗的機能を有し、相乗的な効果を発揮しうる。
図1は、本実施形態のホットスタンピング箔1を概念的に説明する断面図である。ホットスタンピング箔1は、シート状のキャリア10と、キャリア10上に形成された光学可変デバイス20と、光学可変デバイス20上に形成されたアンカー層30と、アンカー層30上に形成された接着層40と、接着層40上に形成されたブロッキング防止層50とを備えている。
キャリア10は、ホットスタンピング箔1が対象物にホットスタンピングされるまで光学可変デバイス20を保護する。ホットスタンピング箔1が印刷体等の対象物にホットスタンピングされた後に、キャリア10は、光学可変デバイス20との境界で剥離される。
キャリア10は、ベースフィルムまたは、コートされたベースフィルムである。ベースフィルムは単層または多層のプラスチックフィルムであってもよい。
プラスチックフィルムは、押出法、溶液流延法、カレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法、Tダイ法を適用できる。また、プラスチックフィルムは、延伸、無延伸のフィルム等である。
プラスチックフィルムの材料は、熱可塑樹脂、溶解性樹脂であってもよい。熱可塑樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)などを用いることができる。ベースフィルムは、耐熱フィルム、耐圧フィルムであってもよい。耐熱材料、耐圧材料は、ホットスタンピング時にかかる熱や圧力等による変形や変質を少なくできる。用途や目的に応じて、ベースフィルムは、紙や合成紙、プラスチック複層紙や樹脂含浸紙等としてもよい。
ベースフィルムの片面または両面に、樹脂や粉体を含有した樹脂等がコートされている。すなわち、ベースフィルムのコートは、樹脂単体、粉体を含有した樹脂をコーティングした層である。このコーティングは、マイクログラビアコート、グラビアコート、ダイコート、スクリーンコート等を適用できる。コートする樹脂は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂としてもよい。樹脂が含有する粉体は、シリカ粉体、シリコーン粉体、フッ素系粉体、カーボン粉体であってもよい。
コーティングをキャリア10の光学可変デバイス20側にした場合、光学可変デバイス20の保持、剥離を調整できる。コーティングをキャリア10の光学可変デバイス20の反対側にした場合、キャリア10に重ねられる他の光学可変デバイス20の接着層40とのブロッキングを防止すること、またはホットスタンピング箔1の搬送をスムーズにすること、またはこれら両方を実現することができる。
キャリア10の厚さは、4μm以上が好ましい。厚さが4μm未満であると、キャリアとしての物理的強度が不十分となりホットスタンピング箔の取り扱いが困難となる。キャリア10の厚さは12μm以上、50μm以下としてもよい。
光学可変デバイス20は、キャリア10側から剥離層21、レリーフ層22、堆積層23、および被覆層24を有する。光学可変デバイス20の基本構成は公知であるが、本発明の実施形態として適用できる各層について以下に説明する。
剥離層21は、キャリア10に対し光学可変デバイス20を剥離可能な程度に支持させる。ホットスタンピング箔1のホットスタンピング後、剥離層21は最表面に露出し、外的損傷から光学可変デバイス20を保護する。
剥離層21は、熱可塑樹脂と表面改質剤とを含有する層を含む。剥離層21の熱可塑樹脂は、ガラス転移温度が90℃以上、130℃以下の樹脂であってもよい。熱可塑樹脂は、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。表面改質剤は、パウダー、ワックス、オイルであってもよい。パウダーは、耐熱パウダーであってもよい。耐熱パウダーは、シリカパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー、シリコーン系パウダーであってもよい。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーン、カルナバロウであってもよい。オイルは、シリコーンオイルであってもよい。
剥離層21は、着色されてもよい。剥離層21の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料、または無機顔料と有機顔料の混合であってもよい。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料の単体、同種のブレンド、異種の混合、異種の同種のブレンドの混合とすることもできる。染料は、天然染料、合成染料、または天然染料と合成染料との混合であってもよい。または、染料は、蛍光性染料とすることもできる。剥離層21は、キャリア10上に印刷、塗布によって形成することができる。
キャリア10上への塗布は、グラビアコートやマイクログラビアコート、ダイコートであってもよい。キャリア10上への印刷は、グラビア印刷、スクリーン印刷であってもよい。剥離層21の厚みは、0.5μm以上5μm以下であってもよい。剥離層21は、印刷を受容できる。アクリル樹脂は、印刷を受容しやすい。印刷を受容可能な剥離層を有する光学可変デバイス付印刷体は、一体として印刷可能となる。
レリーフ層22は、表面の少なくとも一方にレリーフ構造を有する。レリーフ層22は、紫外線硬化樹脂、熱可塑樹脂、熱硬化樹脂により形成されている。紫外線硬化樹脂は、硬化樹脂である、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマーであってもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマーは、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートであってもよい。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つオリゴマーは、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートのオリゴマーまたはコオリゴマーであってもよい。当該ポリマーは、ウレタン変性アクリル、エポキシ変性アクリルのポリマーまたはコポリマーであってもよい。紫外線硬化樹脂は、アクリル樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エチレンメタクリレート樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。
レリーフ層22は、着色されてもよい。レリーフ層22の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料とすることができる。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料とすることもできる。染料は、天然染料、合成顔料とすることができる。または、染料は、蛍光性染料とすることもできる。
レリーフ層22の材料として熱可塑樹脂を用いる場合は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とすることができる。レリーフ層22の熱硬化樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とすることができる。
レリーフ層22のレリーフ構造は、凹凸形状によって構成され、光学回折効果、無反射効果、等方性または異方性散乱効果、レンズ効果、偏光選択性反射効果などの光学効果を有する。これらの効果は、目視や機械検知等によって、改ざんの防止や美観を発現する。
1つ若しくは複数の光学効果を有するレリーフを組み合わせる事で、目的の光学効果を得てもよい。それぞれの光学効果を有する領域を、接して、隣接して、近づけて、一定間隔で、交互に、囲って配置してもよい。
レリーフ層22の表面のレリーフ構造は、凹部または凸部、もしくは凹部および凸部を有し、回折、光反射抑制、等方性または異方性の光散乱、屈折、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制などの光学的性質を光学可変デバイス20に備えることができる。
レリーフ層22に、0.5μm以上2μm以下のピッチ、0.05μm以上0.5μm以下の深さで、回折格子構造の領域を設けてもよい。これにより、レリーフ構造は光を回折させる性質を光学可変デバイス20に付与できる。
レリーフ層22に、0.1μm以上0.5μm以下のピッチ、0.25μm以上0.75μm以下の深さで、モスアイ構造や深い格子構造を設けてもよい。これにより、レリーフ構造は光反射抑制の性質や、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制を光学可変デバイス20に付与できる。
レリーフ構造に、例えば0.5μm以上3μm以下の平均ピッチ、0.05μm以上0.5μm以下の深さで、非周期的な線状またはドット状の繰り返し構造の領域を設けてもよい。これにより、レリーフ構造は等方的なあるいは異方的な散乱光を射出する性質を光学可変デバイス20に付与できる。
レリーフ層22に、3μmより大きい平均ピッチ、0.5μmより深い構造の領域を設けてもよい。これにより、隣接する層と異なる屈折率とすることが可能となり、レリーフ構造は屈折の性質を光学可変デバイス20に付与できる。
光学可変デバイス20の光学的性質は、目視や機械検知によって、知覚、検知することができる。これにより偽造改ざん防止性能や美観を向上することができる。レリーフ層22の表面のレリーフ構造は、複数のレリーフ構造領域を有してもよい。レリーフ構造領域は、単体として、または複数の統合として画像を表示できる。
画像は、肖像、ランドマーク、マークのモチーフ、アート、自然のモチーフ、幾何学模様、しるし(sign)、シンボル、エンブレム、紋章、テキストまたはコードの単体またはそれらの組合せでもよい。シンボルとエンブレムは、旗、盾、剣、槍、王冠、星、月、ハート、ロゴ、リボン、ライン、花、葉、穀物、果物、鳥、翼、魚、節足動物、哺乳類、伝説上の生物、爬虫類、両生類のモチーフであってもよい。ランドマークは、ヘリテージ、遺跡、歴史的建造物、山、谷、岩、モニュメントであってもよい。自然は、生物、星、月、空、山、谷、岩であってもよい。生物は、花、葉、穀物、果物、鳥、翼、魚、節足動物、哺乳類、伝説上の生物、爬虫類、両生類であってもよい。コードは、一次元コード、二次元コードであってもよい。一次元コードはバーコード、シリアルナンバーまたは双方の組合せであってもよい。二次元コードはQRコード(登録商標)であってもよい。これらのモチーフは、象徴を表せる。象徴は、国、地域、ステート、グループ、議会(cuncil)、条約、アライアンス、ユニオン、枢軸、を表する(represent)ものである。
堆積層23は、レリーフ層22上の一部または全面に形成される。堆積層23がレリーフ層22上の一部に形成された場合、光学可変デバイス20の製造により高度な加工技術が要求され、より精緻なモチーフとなる為、ホットスタンピング箔1はより高い偽造防止効果を有することができる。
堆積層23は、レリーフ層22で生じる光学的性質を容易に観察可能とする。堆積層23は、構造色を表示してもよい。構造色は、変化色、虹色等である。
堆積層23の材料としては、金属またはケイ素の単体、合金、またはこれらの化合物を用いることができる。単体、合金、またはこれらの化合物を構成する金属またはケイ素の実例は、シリカ、アルミニウム、スズ、クロム、ニッケル、銅、金のいずれか又はいずれかの組合せである。これらの金属の純度は、99%以上であってもよい。また、99.99%(4N)以上の純度としてもよい。4N以上の純度とすることで、堆積層23の欠陥を低減しやすい。
金属またはケイ素の化合物は、酸化物であってもよい。金属の化合物は、硫化物、フッ化物、チッ化物としてもよい。堆積層23の厚みは、10nm以上、500nm以下の範囲でもよい。堆積層23は、減圧下で無機材料を堆積することで形成できる。堆積層23は、物理蒸着(PVD)や化学気相成長(CVD)により形成できる。物理蒸着は、真空蒸着、スパッタであってもよい。
堆積層23は単層または多層である。多層の堆積層23は、金属の単体と金属の化合物を交互に積層した積層体、異種の金属の単体を交互に積層した積層体、異種の金属の化合物を交互に積層した積層体とすることができる。金属の単体と金属の化合物を交互に積層した積層体として、アルミニウムの層に二酸化ケイ素堆積層を積層し多層とした積層体を挙げることができる。多層の堆積層23は、物理蒸着のみ、化学気相成長のみ、または、その双方により形成できる。物理蒸着は、真空蒸着のみ、スパッタのみ、または、その双方であってもよい。
被覆層24は、堆積層23上の全面または一部を被覆する。被覆層24は、堆積層23上の一部にレジストとして設け、被覆層がない部分の堆積層23を選択的に除去することで、堆積層23をレリーフ層22上の一部に設けることができる。
エッチングにより、堆積層23を選択的に除去できる。エッチングは、化学エッチング、物理エッチングであってもよい。化学エッチングは、アルカリで堆積層23を腐食、溶解することで、堆積層23を選択的に除去できる。物理エッチングは、分子や粉体を堆積層23に衝突させることで、堆積層23を選択的に除去できる。堆積層23がレリーフ層22上の一部に設けられている場合は、被覆層24は、一部に設けられた堆積層23に対応させて設けてもよい。
被覆層24を堆積層23上に印刷、塗布、堆積することで堆積層23を被覆層24で被覆できる。被覆層24を堆積層23上の一部に設ける方法として、(1)被覆層24を印刷で部分的に設ける方法、(2)エッチング液の透過性の異なる被覆層24を堆積層23上に堆積させ、被覆層24と堆積層23とをエッチング液の透過性の差により選択的にエッチングする方法、(3)紫外線露光によって溶解する或いは溶解し難くなる樹脂材料を塗布し、パターン状に紫外線を露光した後、被覆層24を現像し、エッチング液で堆積層23を選択的にエッチングする方法、(4)堆積層23上に溶解性の樹脂を部分的に形成した後に被覆層24を形成し、溶解性樹脂および溶解性樹脂上の被覆層24を溶剤で部分的に除去する方法、を採用できる。被覆層24を部分的に設ける方法であれば、他の周知の各種加工技術を適用してもよい。
被覆層24の材料は、樹脂、無機材料、または樹脂と無機材料とのコンポジットであってもよい。被覆層24の樹脂はエッチング耐性を有していてもよい。被覆層24の樹脂は硬化樹脂であってもよい。硬化樹脂は、エッチング耐性を得やすい。
被覆層24の樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂であってもよい。ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールであってもよい。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体であってもよい。アクリル系樹脂は、ポリメチルメタクリレートであってもよい。また、これらのうち少なくとも2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。
さらには、上記樹脂の分子には、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合などを含んでいてもよい。これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。
硬化系樹脂は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂、またはアクリレート系樹脂などの紫外線硬化樹脂などであってもよい。被覆層24の樹脂は、その他電子線硬化樹脂、湿気硬化樹脂とすることもできる。
アンカー層30は、被覆層24と接着層40との接着を高めることができる。アンカー層30を構成する樹脂材料は被覆層24、接着層40の内容に応じて適宜選択できる。
アンカー層30の材質としては、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンおよびポリビニルアルコール等のビニル系樹脂、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレンおよびエチレン酢酸ビニル共重合体などのポリスチレン系、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系およびポリイミド系等の各種熱可塑性樹脂を用いることができる。これらのうち1つを単独で用いてもよく、2種以上が共重合した樹脂を用いてもよい。また、上述した各種樹脂は、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合およびシラノール結合などを含んでいてもよく、これらの結合に関わる官能基を有する2種以上の樹脂を使用して、分子構造の一部を架橋させた樹脂を用いてもよい。
上記は適用できるアンカー層30の例示であり、アンカー層30に使用できる樹脂は上記に限られない。
アンカー層30は、無機フィラーや有機フィラーを含んでもよい。フィラーの材料は、無機材料、耐熱樹脂、無機材料と耐熱樹脂のコンポジット、天然素材等であってもよい。
無機材料は、無機化合物、純物質であってもよい。無機化合物は、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、ゼオライト、雲母等であってもよい。純物質は、カーボンブラックであってもよい。
耐熱樹脂は、合成樹脂等である。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等であってもよい。天然素材は、木粉、琥珀等であってもよい。
無機材料と耐熱樹脂のコンポジットは、上述した無機材料および耐熱樹脂からそれぞれ選択して構成できる。無機材料は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。合成樹脂は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。天然素材は環境負荷が小さい。
接着層40は、対象物に対して接着性を発揮する樹脂成分を主成分とする層である。
樹脂成分としては、公知の各種接着剤や粘着剤等を使用できる。樹脂成分は、アクリル樹脂であってもよい。アクリル樹脂はポリメチルメタクリレート等であってもよい。ホットスタンピング箔1が有価証券等に適用される場合、対象物の材質が紙、ポリプロピレン、ポリエチレン等となる場合が多い。樹脂成分をアクリル樹脂とした場合、少ない熱量でホットスタンピングできる。そのため、短時間のホットスタンピングで転写できる。これにより転写のスループットが向上する。
ここで、本発明に係る転写プロセスにおいて「短時間のホットスタンピング」とは、一般的に90℃以上、130℃以下のダイヘッドのプレス面の温度での1秒未満のホットスタンピングを意味する。短時間のホットスタンピング時の圧力は、0.2t/cm以上、5t/cm以下である。短時間でないホットスタンピング時の圧力も、0.2t/cm以上、5t/cm以下としてもよい。ホットスタンピング時のダイヘッドのプレス面の温度は、例えば、90℃以上、130℃以下である。
ホットスタンピングプロセスにおいて短時間のホットスタンピングで対象物に接着させるには、接着層40の樹脂成分が融解しやすく、ホットスタンピングにより容易に対象物に接着することが好ましい。しかし、転写時のホットスタンピングの時間は短いため、接着層40の樹脂が得られる熱量は少ない。
本実施形態では、接着層40の樹脂成分を、ガラス転移点が常温(室温(25℃))以下の樹脂とする。これにより、短時間の熱加圧で樹脂成分が流動化しやすくできる。その結果、接着層40が熱加圧により迅速に変形する。このため、短時間のホットスタンピングで対象物に接着しやすくなる。
タック性を有する粘着剤を接着層40の樹脂成分とすることで、紙への接着性を高めることができる。粘着剤は、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等であってもよい。アクリル系粘着剤は、アクリル樹脂成分を主成分としてもよい。シリコーン系粘着剤は、シリコーン樹脂成分を主成分としてもよい。ウレタン系粘着剤は、ウレタン樹脂成分を主成分としてもよい。この中でも、アクリル粘着剤は、ポリエチレンやポリエチレン共重合体とのタック性が得やすい。
アクリル樹脂以外の熱可塑樹脂として、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂等を接着層40の樹脂成分としてもよい。ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール等であってもよい。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体等であってもよい。樹脂成分は、これらのうち2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。
上述した各樹脂は、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合等を含んでいてもよく、これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。これらの結合によって分子量を調整することができ、ガラス転移温度、軟化温度や粘弾性、耐溶剤性等を調整することができる。熱可塑樹脂は共重合体でもよい。熱可塑樹脂は、変性していてもよい。
接着層40は、蛍光性を有してもよい。蛍光性は、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有するか、樹脂に蛍光剤が添加されるか、樹脂やポリマーが蛍光分子構造を有し樹脂に蛍光剤が添加されることで実現できる。接着層40が蛍光性を有している場合、含有するフィラーの分散状態を観察しやすい。
接着層40は、フィラーまたは粉体フィラーを含有してもよい。フィラーの材料は、無機材料、耐熱樹脂、無機材料と耐熱樹脂のコンポジット、天然素材等であってもよい。
無機材料は、無機化合物、純物質であってもよい。無機化合物は、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、ゼオライト、雲母等とできる。純物質は、カーボンブラックであってもよい。
耐熱樹脂は、合成樹脂等である。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等であってもよい。
天然素材は、木粉、琥珀等である。
無機材料と耐熱樹脂とのコンポジットは、上述した無機材料および耐熱樹脂からそれぞれ選択して構成できる。無機材料は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。合成樹脂は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。天然素材は環境負荷が小さい。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径は、10~15ナノメートル(nm)であってもよい。無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径は、接着層40の膜厚よりも小さくてよい。本開示におけるナノレベルのフィラーの平均粒子径は、塗布前であれば動的光散乱式の粒子径分布測定装置(ナノトラックNanotrac Wave マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定でき、体積平均粒子径を意味する。塗布後であれば、電子顕微鏡の観察画像からの面積平均粒子径により求められる。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーは、不定形粒子であってもよい。無機粉体フィラーの粒子径の分散状態は、粒子径が揃っていない多分散であってもよい。多分散の無機粉体フィラーは、安価に(inexpencively)入手しやすい。本発明における多分散とは、CV値=(標準偏差/平均値)が10%以上であることを意味する。
接着層40において、フィラー、粉体フィラーは必須ではない。
接着層40の厚さは、2μm以上、10μm以下の範囲が好ましい。
接着層40の厚みは、走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡により計測した複数の計測値の平均値としてもよい。計測点の数は、実用的には5点、精密には30点としてもよい。
ホットスタンピング箔1の他の層の厚みも、走査型電子顕微鏡または光学顕微鏡により同様に計測できる。
接着層40は、破断促進粒子を含有してもよい。破断促進粒子は、光学可変デバイス20、アンカー層30、接着層40を含む転写体を、ホットスタンピング箔1から対象物にホットスタンピングする際に、転写領域とそれ以外の領域との境界で転写体を破断させやすくする。破断が不十分な場合、転写体が転写領域外まで延伸し、延伸部分より樹脂クズが発生してしまう。破断促進粒子は、このような樹脂クズの発生を抑制する。
破断促進粒子としては、上述したフィラー、粉体フィラーと同じ材質、同じ形状、同じCV値の粒子で、接着層40とアンカー層30とを合せた層厚より小さい粒子径の粒子を使用できる。接着層40の塗液は、ケトン類、酢酸類、トルエンの混合であってもよい。ケトン類の実例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンである。また、接着層40の主成分は、水に不溶であってもよい。
ブロッキング防止層50は、接着層40を被覆し、ブロッキングを防止する。ブロッキング防止層50は、粒子状の樹脂を可塑性スペーサー51として含有する。可塑性スペーサー51は、一部が接着層40に埋没してもよい。
また、可塑性スペーサー51と接着層40は、ホットスタンピング時に相乗的に働くことができる。さらに、可塑性スペーサー51と接着層40は、相乗的な機能を有することができる。加えて、可塑性スペーサー51と接着層40は、相乗的な効果を発現することができる。
また、可塑性スペーサー51により、ホットスタンピング時に光学可変デバイス20のレリーフ構造や、堆積層23へ応力が集中することを防止できる。ホットスタンピング時に、光学可変デバイス20のレリーフ構造や堆積層23へ応力が集中すると、レリーフ構造や堆積層23が変形、破壊され、外観上の欠陥が発生しやすい。この外観の欠陥は、通常のレリーフ構造による制御された光以外の散乱光等により発生し、光学可変デバイス20の美観を損なう場合がある。そのため、可塑性スペーサー51は、光学可変デバイス20に好適である。
ブロッキング防止層50に含まれる可塑性スペーサー51の融点は、90℃以上120℃以下が好ましい。可塑性スペーサー51の融点が90℃以上であれば、可塑性スペーサー51はホットスタンピング箔1の保管時には融解せず、粒子の形状を保持する。その結果、接着層40の樹脂成分を、ガラス転移点が室温(25℃)以下の樹脂としても、可塑性スペーサー51が、接着層40と巻かれて隣接するキャリア10との間でスペーサーとして機能し、ブロッキングを防止する。また、可塑性スペーサー51の融点が120℃以下であれば、可塑性スペーサー51はホットスタンピング箔1の転写時に容易に融解し、ホットスタンピング箔1は良好な転写性を実現できる。
例えば、接着層40の中に可塑性スペーサー51を含有する場合、粒子は接着層塗工時の接着材の溶剤の乾燥時に融解する可能性がある。これは、ブロッキング防止層50に含まれる可塑性スペーサー51の融点が接着層塗工時の乾燥の温度より低い場合に顕著であり、ブロッキング防止効果が不十分または不確実となる可能性がある。これに対して、本実施形態では、可塑性スペーサー51を接着層40とは別にブロッキング防止層50として設けているため、接着層塗工時の乾燥の加熱の影響を受けにくい。
可塑性スペーサー51の融点は120℃以下であるため、ホットスタンピング箔1をホットスタンピングする際に溶融し、対象物に接着するため、対象物へのホットスタンピングの妨げとはならない。
可塑性スペーサー51は、定形粒子または不定形粒子であってもよい。定形粒子は、楕円状粒子、球状粒子であってもよい。定型粒子を用いた場合、ホットスタンピング箔1を巻取り時にホットスタンピング箔1同士の間のスペースを安定して維持しやすい。楕円状粒子は、圧力に対して変形しにくい(ロバストとしやすい)。球状粒子では、圧力に対して一定の反応が得やすい。不定形粒子は、コストを低減しやすい。
可塑性スペーサー51において、粒子径の分散状態は、粒子径が揃っている単分散であると、巻取り時の転写箔間のスペースを一定としやすい。本発明における単分散とは、一般的にCV値=(標準偏差/平均値)が10%以下であることを意味する。
可塑性スペーサーのメディアン径は、1μm以上、20μm以下の範囲としてもよい。さらには、15μm以下でもよく、11μm以下でもよい。メディアン径が20μm以下であることによって対象物の凹凸に粒子が入り込みやすくでき、光学可変デバイス20と対象物との間のアンカー効果を高められる。言い換えれば、光学可変デバイス20と対象物とを接着できる。
本発明の実施形態において、粒子のメディアン径は、塗布前であれば、レーザ回折・散乱式 粒子径分布測定装置(マイクロトラックBlueRaytrac マイクロトラック・ベル株式会社製など)を用いて測定できる。塗布後であれば、電子顕微鏡や光学顕微鏡の観察画像における粒子の面積に基づいて求めることができる。
可塑性スペーサー51は、複数のメディアン径の粒子を含有してもよい。このときの可塑性スペーサー51のメディアン径は径の異なるそれぞれの粒子のメディアン径の加重平均としてもよい。可塑性スペーサー51の含有量は、一辺が100μmの正方形領域内に5個以上、300個以下の範囲であってもよい。さらには、一辺が100μmの正方形領域内に10個以上、150個以下の範囲としてもよい。5個以上であれば、ブロッキングを防止しやすく、300個以下であれば、接着層40上での粒子の密集も起きづらい。
また、可塑性スペーサー51同士の間の距離(粒子同士の間の距離)を換算スペーサー間距離Lとする。換算スペーサー間距離Lは、可塑性スペーサー51のメディアン径の2倍以上、10倍以下の範囲であってもよい。
可塑性スペーサー51の粒子径は、メディアン径としてもよい。この範囲であれば、可塑性スペーサーの粒子径は、1μm以上、20μm以下としてもよい。いずれの粒子径においても、可塑性スペーサー51の粒子径が密集しすぎず、ブロッキングも防止しやすい。
すなわち、可塑性スペーサー51のメディアン径や換算スペーサー間距離Lを上述のような範囲にすることで、ブロッキングを防止するために適切な密度で可塑性スペーサー51を配置することが可能になり、かつ、可塑性スペーサー51が過度に密集することを防ぐことができる。
上述の換算スペーサー間距離Lは、以下の数式(1)のように一辺が100μmの正方形内の粒子数から換算できる。ここで、Nは、粒子が配置された一辺が100μmの正方形を含む平面において、粒子が六方最密充填されていると仮定したときの100μm平方の中の粒子数である。
Figure 0007476902000001
上記の数式(1)を変形して数式(2)を得る。
Figure 0007476902000002
数式(2)をさらに変形し、数式(3)から換算スペーサー間距離Lを求めることができる。
Figure 0007476902000003
つまり、平面に粒子が六方最密充填されていると仮定したときのスペーサー間の距離を換算スペーサー間距離Lとして算出することができる。
可塑性スペーサー51を構成する樹脂材料の実例は、ポリエチレンである。ポリエチレンは、低密度ポリエチレンであってもよい。低密度ポリエチレンは、一般に融点が90℃以上、120℃以下とでき、短時間の熱加圧で融けやすい。低密度ポリエチレンの定義は、旧JIS k6748:1995のように、0.010以上、0.930未満の密度のポリエチレンである。低密度ポリエチレンの結晶化度は、50%未満であってもよい。結晶化度は、実用的には、示差走査熱量測定による熱量から計測できる。結晶化度は、厳密には、X線回折により計測できる。
可塑性スペーサー51はポリエチレンとその他の樹脂との共重合体でもよい。共重合体は、エチレンと2種類以上のポリマーとが重合されていてもよい。共重合体は、一部が変性されていてもよい。共重合体の実例は、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐酢酸ビニル‐塩化ビニル共重合体、エチレン‐酢酸ビニル‐アクリル共重合体、エチレン‐酢酸ビニル‐アクリル共重合体、エチレン‐塩化ビニル共重合体、エチレン‐アクリル酸共重合体、エチレン‐メタクリル酸共重合体、エチレン‐アクリレート共重合体である。
ポリエチレン粒子やポリエチレン共重合体粒子は、滑り性があり、ブロッキング防止効果が高めやすい。ポリエチレン粒子やポリエチレン共重合体粒子は、塗液中での分散性も高くできる。
ブロッキング防止層50には、2種類以上の可塑性スペーサー51が含まれてもよい。2種類以上の可塑性スペーサー51は、互いに異なる種類のポリエチレンまたはポリエチレンのコポリマーを主成分とする粒子であってもよい。
また、可塑性スペーサー51を構成する樹脂材料は、ポリエステル、またはポリエステル共重合体であってもよい。ポリエステルは、耐磨耗を有し、かつ、加熱により接着性を発現させることができる。可塑性スペーサー51のポリマーは水酸基を有するよう変性させてもよい。ポリエステルは、ポリカーボネートとの接着性に優れている。
したがって、可塑性スペーサー51を含むホットスタンピング箔1は、ポリカーボネートのカードやページで用いられる転写箔とすることができる。
可塑性スペーサー51のポリエステルは結晶性ポリマーとできる。この結晶化度は、30以上、90以下とできる。また、ポリエステルは非晶性ポリエステルとしてもよい。この場合の結晶化度、5以上、30未満とできる。
また、この時、接着層40の材質はアクリルが好ましい。このアクリルのガラス転移温度はスペーサーのポリエステルのガラス転移温度より低いことが好ましい。
またアクリルの室温での弾性は可塑性スペーサー51のポリエステルの弾性より高いことが好ましい。
尚、可塑性スペーサー51の材質をポリエステルとした場合でも、形状、配置、粒径等のパラメーターはポリエチレンの場合と同じ範囲とできる。
また、可塑性スペーサー51は、ポリエステルまたはポリエステル共重合体と、ポリエチレンまたはポリエチレン共重合体との混合粒子としてもよい。混合粒子とすることで、幅広い転写装置に適用でき、また、多様な被転写体に転写できるロバストなホットスタンピング箔とできる。
ブロッキング防止層50は、可塑性スペーサー51以外の補助粒子を含んでもよい。補助粒子は融点が90℃以上、120℃以下でなくてもよく、ガラス点移転(tg)の温度が高い樹脂を含むフィラーや無機フィラーなどでもよい。
ブロッキング防止層50がこれらの粒子(補助粒子)を含む場合、含有量は可塑性スペーサー51に対して20%の範囲であってもよい。この範囲であれば、接着性の低下が起きにくい。
また、補助粒子の融点は、90℃以上、120℃以下であってもよい。ガラス転移点の低い樹脂で補助粒子が形成されてもよい。補助粒子の樹脂の融点が90℃以上、120℃以下の場合や、補助粒子のガラス転移点が低い場合、ブロッキングの発生を防止するため、補助粒子のメディアン径を可塑性スペーサー51よりも小さくしてもよい。これにより、補助粒子が保管時にキャリアに接触しにくくなり、補助粒子によるブロッキングを防止しやすい。
可塑性スペーサー51および補助粒子を含む2種類以上の粒子を混合する場合、一方の粒子は溶剤に分散されたディスパージョンの状態でもよい。また、粒子を任意の溶剤に分散させたディスパージョンの状態でもよい。
2種類の粒子を混合する際の粒子のメディアン径は異なっていてもよい。
径が異なる粒子を混合する場合は、可塑性スペーサー51のメディアン径を最も大きくすることで、接着性を確保しやすくなる。2種類以上の粒子を混合する場合でも、各粒子の大きさは20μm以下としてもよい。さらには、15μm以下また、11μm以下でもよい。
ブロッキング防止層50を形成するための塗液は、ポリエチレン粒子やポリエチレン共重合体粒子等の可塑性スペーサー51を溶剤に分散させた塗液であってもよい。この塗液の溶剤は、水、アルコール、酢酸の混合であってもよい。アルコールの実例は、イソプロピルアルコール、エタノールである。これらの溶剤の比重は、ポリエチレンに類似する。そのため、塗液中のポリエチレンの沈降や浮きを防止しやすい。これら溶剤中でポリエチレン粒子、ポリエチレン共重合体の粒子は分散しやすい。ポリエチレン粒子やポリエチレン共重合体粒子は、保管時のケーキングの発生も少ない。
塗液は、溶剤に替えて、バインダーを含有してもよい。つまり、粒子をバインダーに分散させてもよい。この場合、塗膜を形成するバインダー部分の乾燥膜厚よりも、可塑性スペーサー51の径が大きくなる様に塗液を調製する。塗膜よりも可塑性スペーサー51が突出していれば、ブロッキングの防止効果が発揮される。ブロッキング防止層50は、接着層40の上部に粒子の膜を設けるため、粒子が脱落しやすい。そこで、バインダーを添加することによってブロッキング防止層50から粒子が脱落することを防げる。
バインダーは、熱可塑性樹脂であってもよい。熱可塑性樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂であってもよい。ビニル系樹脂の実例は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールである。ポリスチレン系樹脂の実例は、ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体である。バインダーは、これらのうち2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。
上述した各樹脂は、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合等を含んでいてもよく、これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。これらの結合によって分子量を調整することができ、融点、軟化温度、粘弾性、耐溶剤性等を調整できる。熱可塑性樹脂は共重合体でもよい。熱可塑樹脂は、変性していてもよい。
バインダーは、エチレン共重合体であってもよい。エチレン共重合体はポリエチレン粒子との相溶性が得やすい。エチレン共重合体の実例は、ビニル系として酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸系、エステル系である。これらのエチレン共重合体は2種類以上のモノマーやポリマーの共重合体でもよい。
ブロッキング防止層50におけるバインダーの厚みは接着層40の10分の1から5分の1の範囲とできる。この範囲であれば、転写時の接着層40の接着を阻害しにくい。
接着層40は、接着剤を含有する塗液を塗布することにより形成できる。接着剤を含有する塗液には、溶剤が含まれてもよい。溶剤により、塗布がより容易になる。溶剤は、揮発性を有している。接着剤(固形分)は溶剤に完全に溶解していてもよいし、ディスパージョンやエマルジョンのように、接着剤が分散していてもよい。
ブロッキング防止層50の塗布方法の実例は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコートである。印刷を塗布に適用してもよい。印刷の実例は、グラビア印刷、スクリーン印刷である。塗液の乾燥温度は、バインダーの融点以下であってもよい。
ブロッキング防止層50は、可塑性スペーサー51を含有する塗液を塗布することにより形成できる。可塑性スペーサー51を含有する塗液には、溶剤が含まれてもよい。溶剤により、塗布がより容易になる。溶剤は、揮発性を有していてもよい。また、塗液中の可塑性スペーサー51の沈降を防止するため、沈降防止剤が含まれてもよい。塗液は、バインダーを含んでもよい。バインダーは溶剤に完全に溶解してもよいし、ディスパージョンやエマルジョンのように、分散してもよい。
ブロッキング防止層50の塗布方法の実例は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコートである。また、塗布に適用してもよい。印刷の実例は、グラビア、スクリーン印刷である。塗液の乾燥温度は、バインダーの融点以下とできる。
光学可変デバイス20は、対象物である印刷体上にホットスタンプにより添付される。印刷体の実例は、全面または一部に印刷されたフィルム、紙、フィルム、または印刷用紙である。印刷体の厚みは、0.05mm以上、4mm以下の範囲であってもよい。印刷されたフィルムは、ベースフィルムに印刷がされている。また、印刷されたフィルムは、アンカー層を有してもよい。ベースフィルムは、その表面の全面または一部にアンカー層がコートされ、コートされたアンカー層に印刷がされていてもよい。
印刷された紙の実例は、印刷がされた上質紙、中質紙、コート紙、非コート紙、フィルムをラミネートした紙、樹脂含浸紙等である。印刷するフィルムは、ベースフィルム上に印刷を受容するようアンカー層がコートされたプラスチックフィルムであってもよい。印刷されたフィルム、印刷するフィルムのベースフィルムには、プラスチックフィルムを適用できる。プラスチックフィルムは、延伸フィルムまたは無延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムまたは無延伸フィルムの実例は、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムである。ポリマーフィルムは、単層又は同一材料または異種材料を交互に積層した多層であってもよい。
印刷の実例は、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷である。印刷では、インキにより印刷されてもよい。インキは、顔料インキ、染料インキ等である。インキは、可視インキ、不可視インキであってもよい。可視インキは、一般インキ、光学可変インキであってもよい。光学可変インキの実例は、磁性インキ、パールインキである。不可視インキは蛍光インキ、赤外線吸収インキであってもよい。
対象物の印刷体は、セキュリティ印刷とすることができる。セキュリティ印刷は、紙幣、チケット、タグ、シール、ゲームカード、認証カード、認証ページ、ギフト券、証明書、ポスター、グリーティングカード、ビジネスカード等とすることができる。セキュリティ印刷は、偽造、改ざん、秘密にされるべき情報の盗み読み等の不正防止対策や、万一そのような不正が懸念されても不正の有無の判別を容易とする対策、および偽造防止対策が必要とされる印刷である。
前記印刷可能なポリマーフィルムまたは印刷されたポリマーフィルムに用いる印刷体のアンカー層は、熱可塑樹脂、熱硬化可能樹脂、または熱可塑熱硬化可能樹脂とできる。アンカー層の樹脂は、重合体、共重合体であってもよい。アンカー層の重合体、共重合体は、ポリエチレン、エチレンメタクリル酸、ポリエチレンイミン、ポリウレタンであってもよい。ポリエチレンイミンの+の極性基や-極性基は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の+の極性基や-極性基との結合により、光学可変デバイスと高い接着性をもたらす。
また、ホットスタンピング対象の表面(印刷体の表面)は、公知の表面改質処理により、表面を改質することができる。ホットスタンピング対象の表面改質処理は、ホットスタンピング箔1との高い接着性をもたらす。表面改質処理は、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理およびグラフト化処理であってもよい。これにより、上記のホットスタンピング対象とホットスタンピング箔1との接着性を高めることができる。
ホットスタンピング箔1は、接着層40がホットスタンピング対象と接するようにホットスタンピングされ、ホットスタンピング後、キャリア10は剥離される。
光学可変デバイス20、または対象物の印刷体は印刷可能な構成とすることができる。光学可変デバイス20と対象物の印刷体との双方が印刷可能な構成となっていてもよい。対象物にホットスタンピング箔1から光学可変デバイス20をホットスタンピングした後に、光学可変デバイス20に、または対象物の印刷体に、印刷することができる。ホットスタンピングした後に、光学可変デバイス20と対象物の印刷体との双方に印刷をしてもよい。
ホットスタンピング箔1を用い光学可変デバイス20を印刷体にホットスタンピングし、光学可変デバイス付印刷体を作製することができる。チケットや紙幣やカードや冊子、ポスター等での偽造防止や、ブランド品や高級品等の一般的に高価な物品へ光学可変デバイス20をホットスタンピングすることで、真正であることを検証可能な光学可変デバイス付印刷体とすることができる。ホットスタンピング箔1は、偽造防止対策への要求に応えることができ、美観に優れている。
図2および図3に、光学可変デバイス付印刷体100の例を示す。図2および図3で説明されている光学可変デバイス付印刷体100は、紙幣である。紙幣は、光学可変デバイス付印刷体100の実例である。図2に平面図で示す光学可変デバイス付印刷体100は、印刷101aが施された対象物の紙幣(印刷体)101と、紙幣101に転写されたホットスタンピング箔(転写箔)1の光学可変デバイス20とを備える。紙幣101には、パッチ形状の光学可変デバイス20Aと、ストライプ形状の光学可変デバイス20Bとの2種類の光学可変デバイスが転写されているが、これは一例であり、いずれか一方であってよい。
図3は、図2の部分断面図を概念的に説明している。光学可変デバイス20Aは、接着層40と、溶融した可塑性スペーサー51とによって紙幣101に固定(anchor)されている。ブロッキング防止層50の可塑性スペーサー51は、紙幣101表面の凹凸に対応した形状に変形している。光学可変デバイス20Aには、接着層40の下面および光学可変デバイス20Aの上面に印刷102が形成されている。このように光学可変デバイス20Aには、いずれの側にも印刷を施すことができる。
上記のように構成された、本実施形態のホットスタンピング箔1の作用及び効果について説明する。
ホットスタンピング箔1が工業的に量産される場合、長尺のキャリア10上に光学可変デバイス20、接着層40の組が多数形成されることにより、帯状のキャリア10に連続的にホットスタンピング箔1が製造される。このように製造されたホットスタンピング箔1は、通常対象物にホットスタンピングされるまでロール状に巻かれて保管される。
上述の構成のホットスタンピング箔1(転写箔)の保管時には、「ブロッキング」等の欠陥が生じうる。ブロッキングとは、ホットスタンピング箔1をロール状に保管している時にホットスタンピング箔1同士が貼りつく欠陥である。ブロッキングが生じると、ロール状に巻かれたホットスタンピング箔1が繰り出される際に、剥離層21がキャリアからはがれて光学可変デバイス20の一部または全部が下側(より内側に巻かれた部位)に位置するキャリア10上に残留してしまう。その結果、ブロッキングが生じたホットスタンピング箔1は、不良品となる。
接着層40にブロッキング防止のためにフィラー、粉体フィラーを添加することは、上述した通り一般的である。しかし、接着層にフィラー、粉体フィラーを添加した場合、接着層の表面凹凸が大きくなるため、光学可変デバイスの対象物に対する接着性が下がる。また、ブロッキングを防止する為に、接着層内にガラス転移温度の高い樹脂を分散させた場合、接着層のガラス転移温度の高い樹脂に熱を奪われてしまい、短時間のホットスタンピングでは接着層内の接着成分に十分な熱が伝わらない為、ガラス転移温度の高い樹脂を添加した場合には接着性が低下しやすい。
これらの点を考慮すると、ガラス転移温度の低い樹脂を主材として使用し、フィラーの添加量を減らせば、対象物への接着性を確保できる。しかし、この場合、ブロッキングが生じる可能性が高まる。
本実施形態のホットスタンピング箔1では、接着層40のキャリア10とは反対側の面にブロッキング防止層50を設けることにより、対象物への接着性を低下させずにブロッキングを抑制できる。以下、ホットスタンピング箔1の構成、働き、機能、効果を詳細に説明する。
図4に示すように、ブロッキング防止層50が設けられていない場合は、ホットスタンピング箔1をロール状に巻いた場合に、接着層40とキャリア10とが直接接触するため、ブロッキングが生じやすい。
図5に示すように、接着層40上に可塑性スペーサー51を有するブロッキング防止層50を設ける。ここで、図5における可塑性スペーサー51は90℃以上120℃以下の融点を有する。この場合、可塑性スペーサー51は、ホットスタンピング箔1の保管中溶融せずに粒子の状態を保持して接着層40とキャリア10との接触を抑制する。その結果、ブロッキングを防止しやすい。
これに対して、融点が90℃未満の粒子151によりブロッキング防止層を設けても、スタンピング箔の保管時に高温になった場合、図6に示すように、粒子151が変形してしまい、ブロッキングが発生する可能性がある。
本実施形態のブロッキング防止層50は、以下の3つの態様のいずれかとできる。図7Aから図9Bに3つの態様を示す。いずれの態様も保管時のブロッキングをブロッキング防止層50により防止しやすい。
図7Aおよび図7Bに示すブロッキング防止層50Aは、可塑性スペーサー51のみから形成されている。
図7Bに示すように、可塑性スペーサー51は、対象物110へのホットスタンピング時に溶融して対象物110の表面凹凸の間に入り込み、対象物110に付着する。その結果、接着層40が対象物110と接触可能になり、対象物110に接着する。
図8Aおよび図8Bに示すブロッキング防止層50Bは、可塑性スペーサー51と補助粒子52とを含有している。
補助粒子52の直径は可塑性スペーサー51よりも小さくできる。補助粒子52の直径が可塑性スペーサー51よりも小さいことで、可塑性スペーサー51によるブロッキング防止を阻害しにくくなる。対象物110への加熱圧転写時に可塑性スペーサー51は溶融するため、図7Aおよび図7Bの場合と同様に接着層40が対象物110と接触可能になり、対象物110に接着する。補助粒子52の径は可塑性スペーサー51よりも小さいため、接着層40と対象物110との接着を阻害しない。
図9Aおよび図9Bに示すブロッキング防止層50Cは、可塑性スペーサー51と、可塑性スペーサー51を支持するバインダー樹脂層53とを有している。
バインダー樹脂層53の厚さは可塑性スペーサー51の径よりも小さいため、可塑性スペーサー51のブロッキング効果を阻害しない。対象物110へのホットスタンピング時に可塑性スペーサー51は溶融する。接着層40は、溶融したバインダー樹脂層53を押しのけて対象物110と接触可能になり、対象物110に接着する。
以上説明したように、本実施形態のホットスタンピング箔1は、接着層40およびブロッキング防止層50の構成により、従来困難であった、良好な接着性と保管時のブロッキング防止との両方を実現することに成功している。
本実施形態のホットスタンピング箔1について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例の具体的内容により何ら限定されない。
(実施例1)
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
(キャリア)
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
(剥離層形成用インキ)
ポリアミドイミド樹脂 19.2部
ポリエチレンパウダー 0.8部
ジメチルアセトアミド 45.0部
トルエン 35.0部
(レリーフ層形成用インキ)
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
(被覆層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
(アンカー層形成用インキ)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 (日信化学ソルバインA) 15部
シリカフィラー 5部
トルエン 24部
メチルエチルケトン(MEK) 56部
(接着層形成用インキA)
MEK 12.9部
トルエン 2.0部
アクリル粘着剤(樹脂成分、Tg -46℃~-37℃) 50.5部
ポリエステル樹脂 1.3部
消泡剤 0.3部
ナノシリカフィラー 33.0部
(ブロッキング防止層形成用インキA)
水 40部
イソプロピルアルコール(IPA) 40部
可塑性スペーサー:フロービーズCL2080(メディアン径11μm、融点105℃、低密度ポリエチレン、住友精化(株)製) 20部
キャリア10の一方の面に、剥離層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が1μmとなるよう塗布乾燥し、剥離層21を形成した。
次に、剥離層21上にレリーフ層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成する微小凹凸レリーフパターンをレリーフ層22の表面に形成した。
続いて、レリーフ層22上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、堆積層23を形成した。
続いて、堆積層23上に、被覆層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、被覆層24を形成した。
以上により、キャリア10上に光学可変デバイス20を形成した。
その後、光学可変デバイス20上に、アンカー層形成用インキをドライ膜厚が1~2μmとなるように塗布乾燥し、アンカー層30を形成した。
アンカー層30上に、接着層用インキAをドライ膜厚が3~6μmとなる様に塗布乾燥し、接着層40を形成した。
さらに、接着層40上に、ブロッキング防止層形成用インキAを塗布乾燥し、ブロッキング防止層50を形成した。ブロッキング防止層50の可塑性スペーサー51は、一辺が100μmの正方形領域あたり50個程度であった。
以上により、実施例1のホットスタンピング箔1を作製した。
(実施例2)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキBを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例2のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキB)
水 34部
IPA 34部
可塑性スペーサー:フロービーズCL2080 32部
(実施例3)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキCを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例3のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキC)
水 40部
IPA 40部
可塑性スペーサー:フロービーズEA209(メディアン径10μm、融点101℃、エチレン・アクリル酸共重合体、住友精化(株)製) 20部
(実施例4)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキEを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例4のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキE)
水 40部
IPA 40部
可塑性スペーサー(1):フロービーズEA209 10部
可塑性スペーサー(2):フロービーズCL2080 10部
(実施例5)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキFを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例5のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキF)
水 38部
IPA 38部
可塑性スペーサー(1):フロービーズCL2080 19部
補助粒子:アクアテックス AC3100(平均粒径1μm、融点95℃、エチレンメタクリル酸共重合体の分散体、ジャパンコーティングレジン(株)製) 5部
(実施例6)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキGを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例6のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキG)
水 37部
IPA 37部
可塑性スペーサー:フロービーズCL2080 18部
バインダー:リカボンドET8(融点77℃、オレフィン-アクリル共重合体の分散体、ジャパンコーティングレジン(株)製) 8部
(実施例7)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキHを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で実施例7のホットスタンピング箔1を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキH)
水 40部
IPA 40部
可塑性スペーサー:フロービーズHE3040(メディアン径11μm、融点130℃、高密度ポリエチレン、住友精化(株)製) 20部
(比較例1)
ブロッキング防止層を設けなかった点を除き、実施例1と同様の方法で比較例1のホットスタンピング箔を作製した。
(比較例2)
ブロッキング防止層形成用インキAに代えて、下記ブロッキング防止層形成用インキIを用いた点を除き、実施例1と同様の方法で比較例2のホットスタンピング箔を作製した。
(ブロッキング防止層形成用インキI)
水 40部
IPA 40部
可塑性スペーサー:UM1380(融点125℃ メディアン径40μm、ポリエチレン、宇部丸善ポリエチレン(株)製) 20部
実施例および比較例のホットスタンピング箔について、以下の評価を行った。
(保存条件下におけるブロッキングの評価)
100mのテープ状のPETフィルム(キャリア10)の表面上に、長さ100mm、幅24mmに切った各例のホットスタンピング箔を長さ方向に1000枚並べた。さらに複数のホットスタンピング箔を配置したテープ状のPETフィルムをロール状に巻き、計100mのホットスタンピング箔をキャリア10とともに巻いた状態にした。この時、ホットスタンピング箔がロールの内側、PETフィルムがロールの外側になるように巻いた。または、ホットスタンピング箔がロールの外側、PETフィルムがロールの内側になるように巻いてもよい。
このロールを60℃で24時間保管し、さらに室温下に12時間保管後、ホットスタンピング箔を取り出した。厚さ方向に重ねられたホットスタンピング箔を順次分離し、以下の2段階でブロッキング抑制の度合いを評価した。
OK(good):下側のホットスタンピング箔のキャリアに貼り付いた光学可変デバイスが認められない。
NG(bad):下側のホットスタンピング箔のキャリアに貼り付いた少なくとも一部の光学可変デバイスが認められる。
(低温低圧ホットスタンピングの接着性評価)
厚み約200μmの上質紙を対象物とし、各例のホットスタンピング箔を版面温度100℃、圧力0.4t/cm、加圧時間0.3秒の条件にて転写した。すなわち、上述した「短時間のホットスタンピング」の転写条件である。転写箇所にセロハンテープ(ニチバンLP-24)を貼り付け圧着した後、1cm/2.5秒の速度にて、転写面に対し垂直方向に剥離した。剥離後のセロハンテープを黒色のPETフィルム(東レ ルミラー 188×30)に貼り付け、目視にて接着性を評価した。
剥離した点状の光学可変デバイスが密集して付着している場合は、NG(接着性に問題あり)、散在している場合または存在しない場合は、OK(接着性に問題なし)とした。この基準は、散在した剥離では転写されたモチーフの見た目に与える影響は小さいが、密集して剥離すると転写されたモチーフの見た目に与える影響が大きいことに基づく。
つまり、光学可変デバイスの小片が密集してセロハンテープに付着している場合、光学可変デバイスの剥離部分が、一目で、認知できる。光学可変デバイスの小片が散在してセロハンテープに付着している場合、一見しただけでは光学可変デバイスの剥離部分は認知されない。このような剥離部分は、凝視すれば認知できることもあるが、通常の使用では大きな問題とならない。一方で、一見して認知できる欠陥は問題になりやすい。言いかえれば、光学可変デバイスの小片が密集して付着していることは、光学可変デバイスの接着性が低いことの指標である。逆に、光学可変デバイスの小片が密集して付着していることは、光学可変デバイスの接着性が低いことの指標である。
結果を表1に示す。
Figure 0007476902000004
例えば、上述した長さ100mm、幅24mmの矩形形状は、ホットスタンピング箔1の中でも「ストライプ箔」などと呼ばれることがある態様である。
ストライプ箔は、光学可変デバイス20の長辺が100mm以上と長く形成されたり、複数の光学可変デバイス20を幅方向に並べた状態で転写されたりすることが多く、転写面積が大きくなりやすい。その結果、転写時の熱圧がかかりにくく、低温低圧条件でも十分な接着性を確保して転写されることが要求される。
対象物に対する接着性を高める方法は、接着層40のタック性を高める方法や、接着層40の融点を下げる方法等が考えられるが、これらの方法を採用すると、ブロッキングが生じやすくなる。そのため、対象物に対する接着性を高めることとブロッキングの抑制との両方を実現することは容易ではない。
各実施例のホットスタンピング箔1は、いずれも低温低圧転写における高い接着性と保管条件下におけるブロッキング抑制との両方が実現されていた。これは、以下の様なメカニズムによると考えられる。
実施例の構成では、融点が90℃以上、120℃以下の可塑性スペーサー51を含むブロッキング防止層50を設けることによって、可塑性スペーサー51が保管中に粒子形状を保持し、保管時のブロッキングを防ぐ。さらに、ホットスタンピング箔1を転写する際のホットスタンピングで、可塑性スペーサー51は融解して対象物に接着する。転写時のダイヘッドのプレス面の温度は、例えば90℃以上130℃以下である。ホットスタンピング箔1をホットスタンピングする際には、ダイヘッドのプレス面でホットスタンピング箔1に熱圧をかけ転写する。このため、ホットスタンピング箔1には、プレス面の熱が伝わり、ダイヘッドにより加圧される。ホットスタンピング時の圧力は、例えば0.2t/cm以上、5t/cm以下である。
転写時のダイヘッドのプレス面から伝わる熱エネルギーとプレス面での加圧の運動エネルギーが熱量に変換されホットスタンピング箔1は加熱される。この変換された熱量により可塑性スペーサー51の樹脂や接着層40の樹脂が融解する。融解した樹脂が対象物に付着することでホットスタンピング箔1の光学可変デバイス20が対象物に転写される。
融点130℃の可塑性スペーサーを含む実施例7では、転写時に可塑性スペーサーが十分に融解しないため、接着性が若干劣る結果となったものの、一定の接着性とブロッキング抑制との両方が実現されていた。
一方、比較例1のホットスタンピング箔は、ブロッキング防止層を備えないために接着層がキャリアに接触してブロッキングが生じた。
比較例2のホットスタンピング箔は、ブロッキング抑制効果が認められたものの、可塑性スペーサーが版面温度100℃より高い融点を有するため、短時間のホットスタンピングによって粒子が十分に融解しなかった。さらに可塑性スペーサーのメディアン径が40μmと大きいために対象物表面の凹凸に入り込むことができず、対象物への接着が十分でなかった。
以上、本発明の各実施形態、および実施例について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られず、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
本開示で用いられる「部分」、「要素」、「画素」、「セル」、「セグメント」「単位」「表示体」、「物品」という用語は、物理的存在である。物理的存在は、物質的形態または、物質に囲まれた空間的形態を指すことができる。物理的存在は、構造体とできる。構造体は、特定の機能を有するものとできる。特定の機能を有した構造体の組合せは、各構造体の各機能の組合せにより相乗的効果を発現できる。
本開示および特許請求の範囲内で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)は、一般的に、「オープンな」用語として意図される(例えば、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈すべきであり、「含む」という用語は「含むがそれに限定されない」などと解釈されるべきである。
本発明の様々な実施形態が、関連する図面を参照して本明細書で説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、代替実施形態を考案することができる。様々な接続および位置関係(例えば、上、下、隣接など)が、以下の説明および図面の要素間に示されているが、これらの接続および/または位置関係は、他に特定されない限り、直接的または間接的であり得、本発明は、この点で限定することを意図しない。したがって、エンティティの結合は、直接結合または間接結合のいずれかを指す。エンティティ間の位置関係は、直接または間接の位置関係にすることができる。間接的な位置関係の例として、本明細書における層「A」を層「B」の上に形成することへの言及は、1つ以上の中間層(例えば、層「C」)が層「A」と層「B」の間にある状況を含む。層「A」および層「B」の関連する特性および機能が中間層によって実質的に変更されない限り、層「A」、層「B」の構成と実質的に同一である。層、領域などの要素が別の要素の「上」または「上に配置」と記載される場合、それは他の要素上に直接存在し得るか、または介在要素も存在し得ることも理解できる。対照的に、要素が別の要素の「直接上」にあると記載された場合、介在する要素は存在しない。「接する」という用語は、間接的な「接する」と直接的な「接する」を含むことができる。
説明の目的のために、「上部」、「下部」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「上部」、「下部」、およびそれらの派生語は、記載された構造や方法、図示された構造や方法に関係するものとする。「上に」または「上に配置」という用語は、第1の構造などの第1の要素が第2の構造などの第2の要素上に存在することを意味する。界面構造などの介在要素は、第1の要素と第2の要素との間に存在することができる。
本請求項、本明細書で使用される、「備える」、「有する」、または「含有する」という用語、またはそれらの他の変形は、例えば、組成物、混合物、プロセス、方法、製品、または装置の要素が、必ずしもそれらの要素だけに限定されず、組成物、混合物、プロセス、方法、製品、または装置に固有でない要素か、明示的にリストされていない要素を含むことができる。さらに、「例示的」、「例えば」、「例示」という用語は、本明細書では、実用上の例として機能することを意味するために使用される。本明細書で「例示的」、「例えば」として説明される任意の実施形態または設計は、他の実施形態または設計よりも好ましい、または有利であると必ずしも解釈されるべきではない。
「少なくとも1つ」および「1つ以上」という用語は、1以上の任意の整数、すなわち、1、2、3、4などを含むと理解される。「複数」という用語は、任意の整数を含むと理解される。
さらに、特定の数の導入された請求項の記載が意図される場合、そのような意図は、請求項に明示的に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図は存在しない。例えば、理解を助けるために、本願の特許請求の範囲は、「少なくとも1つ」および「1つ以上」の前置詞の使用を含もことができる。不定冠詞「a」または「an」による請求項の記載を、直ちに、そのような記載を1つだけ含む実施形態に限定する意味に解釈されるべきではない。「a」または「an」などの不定冠詞は、「少なくとも」や「1つ以上」を意味すると解釈されるべきである。請求項の記述に使用される冠詞の使用についても同様である。
発明の実施形態のパラメーターは、材料と加工によるばらつき、また、測定機器の誤差を含みうる。発明の実施形態の材料は不純物を含有する。
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含み得ることを示すが、すべての実施形態は特定のことを含んでも含まなくてもよい。機能、構造、または特性、さらに、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性が実施形態に関連して説明される場合、他の実施形態に関連してそのような特徴、構造、または特性に影響を与えるかどうかは、当業者の知識の範囲内である場合、明示的に説明されていないことがある。本発明の様々な実施形態の説明は、例示の目的で提示されたが、網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。説明された実施形態の記載の範囲および思想から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、市場で見られる技術に対する実際の適用または技術的改善を最もよく説明するか、または当業者が本明細書に記載の実施形態を理解できるようにするために選択された。
また、用語、構成、特徴(feature)、側面、実施形態を解釈する場合、必要に応じて図面を参照すべきである。図面により、直接的かつ一義的に導き出せる事項は、テキストと同等に、補正の根拠となるべきである。
1 ホットスタンピング箔
10 キャリア
20、20A、20B 光学可変デバイス
30 アンカー層
40 接着層
50、50A、50B、50C ブロッキング防止層
51 可塑性スペーサー
100 光学可変デバイス付印刷体

Claims (6)

  1. 熱圧を加えることにより対象物にホットスタンピングされるホットスタンピング箔であって、
    シート状のキャリアと、
    前記キャリア上に形成された光学可変デバイスと、
    前記光学可変デバイス上に形成されたアンカー層と、
    前記アンカー層上に形成された接着層と、
    前記接着層上に形成されたブロッキング防止層と、
    を備え、
    前記接着層は、常温より低いガラス転移温度の熱可塑樹脂を含有し、
    前記ブロッキング防止層は、ポリエチレンまたはポリエチレンの共重合体を主成分とする粒子状の可塑性スペーサーを含有
    前記可塑性スペーサーの融点が90℃以上120℃以下であり、
    前記可塑性スペーサーの含有量は、一辺が100μmの正方形領域内に5個以上300個以下である、
    ホットスタンピング箔。
  2. 前記可塑性スペーサーの換算スペーサー間距離が、前記可塑性スペーサーの粒子径の2倍以上10倍以下である、
    請求項に記載のホットスタンピング箔。
  3. 前記可塑性スペーサーが、互いに異なる種類のポリエチレンまたはポリエチレンのコポリマーを主成分とする2種類以上の粒子を含む、
    請求項1に記載のホットスタンピング箔。
  4. 前記ブロッキング防止層は、バインダーと、前記バインダーに分散された補助粒子とを含む、
    請求項1からのいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  5. 前記熱可塑樹脂がアクリル粘着剤である、
    請求項1からのいずれか一項に記載のホットスタンピング箔。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載のホットスタンピング箔を用い印刷体に前記光学可変デバイスがホットスタンピングされた光学可変デバイス付印刷体。
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