JP2024013894A - 転写箔 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブロッキング耐性と密着性とを両立させることができる。【解決手段】転写箔1は、支持体10と一方の面に剥離層21、レリーフ層22、無機蒸着層23、マスク層24、クッション層30、接着層40で形成される多層構造を有し、クッション層30は、ポリエステルであり、接着層40は、ポリアミドであり、クッション層30のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有し、接着層40のポリアミド樹脂は、2種類の混合体であり、一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、他方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である転写箔を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、偽造、改ざん、秘密にされるべき情報の盗み読み等の不正防止対策や、万一そのような不正が懸念されても不正の有無の判別を容易とする対策(以下、「偽造防止対策」と称する。)、および偽造防止対策が必要とされる転写箔に関する。
従来、例えば、商品券やクレジットカード等の有価証券類の偽造防止対策や、ブランド品や高級品等の一般的に高価なものへの適用希望が多い真正品であることを証明するための偽造防止対策として、偽造防止転写箔が知られている。偽造防止転写箔は、これらの要求に効果的に応えることができ、意匠的にも優れた視覚効果を得られる技術である。
このような偽造防止転写箔において光学効果を発現させる技術の一つとして、光の干渉を用いて立体画像、特殊な装飾画像、特殊な色の変化等を表現し得るホログラムや回折格子、また、光学特性の異なる薄膜を多層に重ねることによって見る角度により色の変化(カラーシフト)を生じる多層薄膜、等々の技術を利用した、いわゆるOVD(Optical Variable Device)が利用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
OVDは、高度な製造技術を要すること、独特な視覚効果を有し、一瞥で真偽が判定できることから有効な偽造防止手段としてクレジットカード、有価証券、証明書類等の一部あるいは全面に形成されて使用されている。最近では、有価証券以外にもスポーツ用品やコンピュータ部品をはじめとする電気製品ソフトウェア等に貼り付けられ、その製品の真正さを証明する認証シールや、それら商品のパッケージに貼りつけられる封印シールとしても広く使われるようになっている。
特許第5783442号公報 特許第5082654号公報
従来のような一般的なOVDは、精巧な偽造が難しく確認が容易な偽造防止手段である。商品券や紙幣、パスポート、若しくは株券等の紙媒体にOVDを貼付する場合には、貼り替えを困難とする観点から、多くの場合熱転写方式が採用されている。OVDは需要の拡大に伴い、高速での熱転写適性が求められており、より少ない熱圧で被転写体への転写を実現する必要がある。そのため、タックが強く密着性の良い粘着剤や、少ない熱量でも接着可能な融点の低いホットメルト接着剤が使用されることが多くなっている。
そのため、粘着剤の場合には、密着性が良いが、タックが強いためブロッキングしやすいという問題があった。また、ホットメルト接着剤を使用する場合には、ブロッキングしにくいが、密着性が悪いという問題があった。そして、上記の特許文献1、2では、ホットメルト接着剤としてポリアミドを採用しているが、耐ブロッキング性と紙媒体に対する密着性とを両立できる材料が求められており、その点で改善の余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ブロッキング耐性と密着性とを両立させることができる転写箔を提供することを目的とする。
(1)本発明に係る転写箔の態様1は、基材と一方の面に表面保護層、光学形成層、反射層、下層保護層、クッション層、接着層で形成される多層構造を有する転写箔であって、前記クッション層はポリエステルであり、前記接着層はポリアミドであり、前記クッション層のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有し、前記接着層のポリアミド樹脂は、2種類の混合体であり、一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、他方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上であることを特徴としている。
(2)本発明の態様2は、態様1の転写箔において、前記2種類のポリアミド樹脂のうち一方の軟化点が90~120℃の範囲であることを特徴としてもよい。
(3)本発明の態様3は、態様1又は態様2の転写箔において、前記2種類のポリアミド樹脂の比率は、75:25~25:75の範囲であることを特徴としてもよい。
(4)本発明に係る転写箔の態様4は、基材と一方の面に表面保護層、光学形成層、反射層、下層保護層、クッション層、接着層で形成される多層構造を有する転写箔であって、前記クッション層はポリエステルであり、前記接着層はポリアミドであり、前記クッション層のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有し、前記接着層は、90℃~120℃の温度による貯蔵弾性率が1MPa以下であり、60℃の温度による弾性率が2.5MPa以上であることを特徴としている。
(5)本発明の態様5は、態様1から態様4のいずれか一つの転写箔において、前記接着層の膜厚は、2μmより厚く、10μmより薄いことが好ましい。
(6)本発明の態様6は、態様1から態様5のいずれか一つの転写箔において、前記接着層は、ポリアミド樹脂の他に、無機フィラーおよび樹脂フィラーを含むことを特徴としてもよい。
本発明の転写箔によれば、ブロッキング耐性と密着性の両立を図ることができる。
本発明の実施形態による転写箔を模式的に示す断面図である。 実施例によるブロッキング評価の定性的写真であって、(a)はブロッキング有りの図、(b)はブロッキング無しの図である。 実施例による密着性評価の定性的写真であって、(a)は密着性不良の図、(b)は密着性良好の図である。
本発明の一実施形態による転写箔について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の転写箔1を模式的に示す断面図である。転写箔1は、転写熱圧を加えることにより被転写体に転写される。転写箔1は、シート状の支持体10と、支持体10上に形成されたOVD部20と、OVD部20上に形成されたクッション層30と、クッション層30上に形成された接着層40と、を備えている。
<転写箔全体の構成>
転写箔1は、支持体10(基材)、剥離層21(表面保護層)、レリーフ層22(光学形成層)、無機蒸着層23(反射層)、マスク層24(下層保護層)、クッション層30、接着層40が積層された多層構造をなしている。OVD部20は、剥離層21、レリーフ層22、無機蒸着層23、マスク層24からなる。
支持体10と剥離層21との間にワックス層(図示省略)があってもよい。
<支持体>
支持体10は、転写箔1が被着体に転写されるまでOVD部20を保護する。転写箔1が印刷体等の被転写体に熱転写された後は、OVD部20との境界で剥離される。支持体10は、ベースフィルムまたは、コートされたベースフィルムである。ベースフィルムは単層または多層のプラスチックフィルムとすることができる。プラスチックフィルムは、押出法、溶液流延法、カレンダー法により製造できる。押出法としては、インフレーション法、Tダイ法を適用できる。また、プラスチックフィルムは、延伸、無延伸のフィルムとできる。プラスチックフィルムの材料は、熱可塑樹脂、溶解性樹脂とすることができる。熱可塑樹脂としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)などを用いることができる。ベースフィルムは、耐熱フィルム、耐圧フィルムとすることができる。耐熱材料、耐圧材料は、転写時にかかる熱や圧力等による変形や変質を少なくできる。用途や目的に応じて、ベースフィルムは、紙や合成紙、プラスチック複層紙や樹脂含浸紙等とすることができる。コートされたベースフィルムは、ベースフィルムの片面または両面がコートされている。このコートは、樹脂単体、粉体を含有した樹脂をコーティングしたものとできる。このコーティングは、マイクログラビアコート、グラビアコート、ダイコート、スクリーンコート等を適用できる。コートする樹脂は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂とすることができる。樹脂が含有する粉体は、シリカ粉体、シリコーン粉体、フッ素系粉体、カーボン粉体とできる。コーティングをOVD部側にした場合、OVD部の保持、剥離を調整できる。コーティングをOVD部の反対側にした場合、OVD部の接着層とのブロッキングを防止すること、または転写箔の搬送をスムーズにすること、またはこれら両方を実現することができる。支持体10の厚さは、例えば4μm以上であることが好ましい。厚さが4μm未満であると、支持体としての物理的強度が不十分となり転写箔の取り扱いが困難となる。支持体10のより好ましい厚さは12~50μmである。
<ワックス層>
不図示のワックス層は、剥離層21が支持体10から剥がれ易くするために設けられる。ワックス層のワックスの種類は、例えばパラフィン、ポチエチレン等の炭化水素系、カルナバ系、アマイド系シリコーン系とすることができる。
<剥離層(表面保護層)>
剥離層21は、支持体10に対しOVD部20を剥離可能な程度に支持させる。転写箔1の転写後、剥離層21は最表面に露出し、外的損傷からOVD部20を保護する。剥離層21は、2層構造であってもよい。
剥離層21は、熱可塑樹脂と表面改質剤を含有する層とできる。剥離層21の熱可塑樹脂は、ガラス転移温度が90℃以上、130℃の樹脂とできる。熱可塑樹脂は、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ノルボルネン樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とできる。表面改質剤は、パウダー、ワックス、オイルとできる。パウダーは、耐熱パウダーとできる。耐熱パウダーは、シリカパウダー、ポリエチレンパウダー、フッ素系パウダー、シリコーン系パウダーとすることができる。ワックスは、パラフィンワックス、シリコーンワックス、カルナバロウとすることできる。オイルは、シリコーンオイルとできる。剥離層21は、着色されてもよい。剥離層21の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料、無機顔料と有機顔料の混合とすることができる。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料の単体、同種のブレンド、異種の混合、異種の同種のブレンドの混合とすることもできる。染料は、天然染料、合成染料、天然染料と合成染料の混合とすることができる。または、染料は、蛍光性染料とすることもできる。剥離層21は、支持体10上に印刷、塗布によって形成することができる。塗布は、グラビアコートやマイクログラビアコート、ダイコートとすることができる。印刷は、グラビア印刷、スクリーン印刷とすることができる。剥離層21の厚みは、例えば、0.5μm以上5μm以下である。剥離層21は、印刷を受容できる。アクリル樹脂は、印刷を受容しやすい。
印刷を受容可能なトップ層を有するOVD部付印刷体は、一体として印刷可能となる。
<レリーフ層(光学形成層)>
レリーフ層22は、表面の少なくとも一方にレリーフ構造を有する。レリーフ層22は、紫外線硬化樹脂、熱可塑樹脂、熱硬化樹脂とすることができる。紫外線硬化樹脂は、硬化樹脂である、エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマー、オリゴマー、ポリマーとすることができる。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つモノマーとしては、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとできる。エチレン性不飽和結合、又はエチレン性不飽和基を持つオリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートのオリゴマーまたはコオリゴマーとできる。ポリマーとしては、ウレタン変性アクリル、エポキシ変性アクリルのポリマーまたはコポリマーとできる。紫外線硬化樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルアクリレート樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、エチレンメタクリレート樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とできる。レリーフ層22は、着色されてもよい。レリーフ層22の樹脂に顔料、染料を添加することにより着色できる。顔料は、無機顔料、有機顔料とすることができる。または、顔料は、蛍光性顔料、パール顔料、磁性顔料とすることもできる。染料は、天然染料、合成顔料とすることができる。または、染料は、蛍光性染料とすることもできる。
レリーフ層22の材料として熱可塑樹脂を用いる場合は、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とすることができる。レリーフ層22の熱硬化樹脂は、ウレタン樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とすることができる。
レリーフ層22のレリーフ構造は、微細な凹凸形状によって構成され、光学回折効果、無反射効果、等方性または異方性散乱効果、レンズ効果、偏光選択性反射効果などの光学効果を有し、目視や機械検知等によって、偽造改ざん防防止や意匠性向上の効果を発現する。光学効果は、1つ若しくは複数の光学効果を有するレリーフを組み合わせて選択する事ができる。
レリーフ層22の表面のレリーフ構造は、凹部または凸部、もしくは凹部および凸部を有し、回折、光反射抑制、等方性または異方性の光散乱、屈折、偏光・波長選択性の反射透過、光反射抑制などの光学的性質をOVD部20に備える。レリーフ層22に、例えば0.5μm以上2μm以下のピッチ、0.05μm以上0.5μm以下の深さで、回折格子構造の領域を設けることで、レリーフ構造は光を回折させる性質を積層光学構造体に付与する。レリーフ層22に、例えば0.1μm以上0.5μm以下のピッチ、0.25μm以上0.75μm以下の深さで、モスアイ構造や深い格子構造を設けることでレリーフ構造は光反射抑制の性質や、偏光・波長選択性の反射、透過、光反射抑制をOVD部20に付与する。レリーフ構造に、例えば0.5μm以上3μm以下の平均ピッチ、0.05μm以上0.5μm以下の深さで、非周期的な線状またはドット状の繰り返し構造の領域を設けることで、レリーフ構造は等方的なあるいは異方的な散乱光を射出する性質をOVD部20に付与する。レリーフ層22に、3μmより大きい平均ピッチ、0.5μmより深い構造の領域を設け、隣接する層と異なる屈折率とすることで、レリーフ構造は屈折の性質をOVD部20に付与する。OVD部20の光学的性質は、目視や機械検知によって、知覚、検知することができる。これにより偽造改ざん防止性能や意匠性を向上することができる。レリーフ層22の表面のレリーフ構造は、複数のレリーフ構造領域を有してもよい。レリーフ構造領域は、単体として、または複数の統合として画像を表示できる。画像は、絵、写真、肖像、ランドマーク、マーク、ロゴの単体またはそれらの組合せとできる。
<無機蒸着層(反射層)>
無機蒸着層23は、レリーフ層22上の一部または全面に形成される。無機蒸着層23がレリーフ層22上の一部に形成された場合、OVD部20の製造により高度な加工技術が要求され、より精緻な意匠となる為、転写箔1はより高い偽造防止効果を有することができる。
無機蒸着層23は、レリーフ層22で生じる光学的性質を容易に観察可能とする。無機蒸着層23は、構造色を表示してもよい。構造色は、変化色、虹色等である。無機蒸着層23の材料としては、金属またはケイ素の単体、合金、またはこれらの化合物を用いることができる。単体、合金、またはこれらの化合物を構成する金属またはケイ素は、Si、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Agのいずれか又はいずれかの組合せとすることができる。無機蒸着層23の厚みは、10~500nmの範囲とすることができる。無機蒸着層23は、減圧下で無機材料を堆積することで形成できる。無機蒸着層23は、真空蒸着やスパッタ、CVDにより形成できる。
無機蒸着層23は単層または多層である。多層の無機蒸着層23は、金属の単体と金属の化合物を交互に積層したもの、異種の金属の単体を交互に積層したもの、異種の金属の化合物を交互に積層したものとすることができる。金属の単体と金属の化合物を交互に積層したものとして、アルミニウムの層に二酸化ケイ素堆積層を積層し多層としたものを挙げることができる。
<マスク層(下層保護層)>
マスク層24は、無機蒸着層23上の全面または一部を被覆する。マスク層24は、無機蒸着層23上の一部にレジストとして設け、マスク層がない部分の無機蒸着層23を選択的に除去することで、無機蒸着層23をレリーフ層22上の一部に設けることができる。無機蒸着層23がレリーフ層22上の一部に設けられている場合は、マスク層24は、一部に設けられた無機蒸着層に対応させて設けてもよい。
マスク層24を無機蒸着層23上に印刷、塗布、堆積することで無機蒸着層23をマスク層24で被覆できる。マスク層24を無機蒸着層23上の一部に設ける方法として、マスク層24を印刷で部分的に設ける方法、エッチング液の透過性の異なるマスク層24を無機蒸着層23上に堆積させマスク層24と無機蒸着層23をエッチング液の透過性の差により選択的にエッチングする方法、紫外線露光によって溶解する或いは溶解し難くなる樹脂材料を塗布し、パターン状に紫外線を露光した後、マスク層24を現像し、エッチング液で無機蒸着層23を選択的にエッチングする方法、無機蒸着層23上に溶解性の樹脂を部分的に形成した後にマスク層24を形成し、溶解性樹脂および溶解性樹脂上のマスク層を溶剤で部分的に除去する方法を採用できる。マスク層24を部分的に設ける方法であれば、他の周知の各種加工技術を適用してもよい。
マスク層24の材料は、樹脂または無機材料または樹脂と無機材料のコンポジットとすることができる。マスク層24の樹脂はエッチング耐性を有する樹脂とすることができる。マスク層24の樹脂は硬化樹脂とできる。硬化樹脂は、エッチング耐性を得やすい。マスク層24の樹脂は、ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂のいずれか、いずれかの共重合樹脂、いずれかの複合樹脂、いずれかの共重合樹脂のいずれかの複合樹脂とできる。ビニル系樹脂は、塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコールとすることができる。ポリスチレン系樹脂は、ポリスチレン系ポリスチレン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体とすることができる。アクリル系樹脂は、ポリメチルメタクリレートとすることができる。また、これらのうち少なくとも2種類以上を共重合した樹脂であってもよい。さらには、上記樹脂の分子には、エステル結合、ウレタン結合、エーテル結合、アミン結合、シラノール結合などを含んでいてもよい。これらの結合に関わる官能基を有する2種類以上の樹脂の化学構造の一部を架橋させてもよい。硬化系樹脂は、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化樹脂、アクリレート系樹脂などの紫外線硬化樹脂などとすることができる。マスク層24の樹脂は、その他電子線硬化樹脂、湿気硬化樹脂とすることもできる。
<クッション層>
クッション層30は、結晶性を持ち、融点が80~120℃のポリエステル樹脂である。クッション層30は、マスク層24上に積層され、マスク層24側と反対側の面が接着層40に接触している。クッション層30は、積層する層との密着性の観点からポリエステルが最適であり、さらに熱特性(融点を持つ)、溶剤耐性の面から結晶性ポリエステルが好ましい。結晶性ポリエステルは融点を持つため、溶解時と非溶解時の樹脂の状態に差をい有する。ここで、結晶性ポリエステルの融点は、結晶構造や分子構造に影響する。例えば、同じ分子量(Mn25000)であっても融点が198℃のものもあれば125℃のものも存在する。
転写箔1の保管時においてクッション層30のポリエステル樹脂の融点が60℃以下の場合には、ブロッキング保管温度60℃で溶融し、ブロッキングが発生する。
なお、クッション層30の融点は、転写箔1の状態において、転写箔1の断面を露出させることで、例えばナノインデンタにより測定することが可能である。
クッション層30には、切れ性向上のため、クッション層30の厚みよりも小さい粒径の無機フィラーが含有されていてもよい。具体的には無機、耐熱樹脂、無機と耐熱樹脂のコンポジット、または天然素材とすることができる。無機は、無機化合物、純物質とすることができる。無機化合物は、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリンクレー、ゼオライト、雲母等とすることができる。純物質は、カーボンブラックとすることができる。
結晶性ポリエステルは、溶解したインキ状態でも、溶剤に分散したディスパージョン状態でも塗工可能である。クッション層30は、塗布又は印刷することにより形成できる。塗布は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコート等とすることができる。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷は、グラビア、スクリーン印刷とすることができる。塗液の乾燥は、固形分の融点以下の温度で行うことが好ましい。
このようなクッション層30は、温度によるポリエステル樹脂の融点の特性によって接着層40の弾性変形量を調整することでブロッキング耐性と密着性を両立できる。すなわち、転写箔1の保管時においてロール状に巻かれた際には、保管温度60℃のため、クッション層30が溶解することなく流動性がないうえ、接着層40もまた60℃では貯蔵弾性率が高く硬い状態である。そのため、接着層40と重なり合う支持体10との間にギャップを保持する。一方、転写温度が90~120℃となる熱転写時には、クッション層30が溶解して流動性を持つと共に、接着層40の弾性変形率が大きくなるので、クッション層30が接着層40と接触し、接着層40が変形し易くなるので、被転写体に対して密着し易くなる。
<接着層>
接着層40には、ポリアミド樹脂が採用される。接着層40のポリアミド樹脂は、弾性率の異なる2種類の混合体であって一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、もう一方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である。すなわち、転写温度が90~120℃の場合には、貯蔵弾性率1MPa以下のポリアミドは柔らかく変形しやすいため、密着性を保持する機能を有する密着性を持つ。また、ブロッキングが発生する保管温度が60℃の場合には、貯蔵弾性率が2.5MPa以上のポリアミドは硬く変形しにくいため、ブロッキングを防止する機能を有するブロッキング耐性を持つ。
接着層40は、貯蔵弾性率を60℃以下で高い値(硬く)にすることで、転写箔1の積層接触面の凹凸の追従性を抑制しブロッキングを防止する機能をもたせている。そのため、発明者らは、貯蔵弾性率と損失弾性率とを含む動的弾性率のうち粘弾性体の硬さを表す貯蔵弾性率に着目した。貯蔵弾性率は、荷重に対して戻ろうとする固体的な動き(粘弾性体としての動き)を表している。一方、損失弾性率は、荷重に除いても戻らない液体的な動きを表す。そのため、接着層40の貯蔵弾性率を60℃以下で高い値にすることで、転写箔1の積層接触面の凹凸の追従性を抑制し、ブロッキングを防ぐことができる。そして、接着層40は、転写温度90~120℃で柔らかくなることで被転写体の表面に追従し密着することになる。
接着層40は、1種類のポリアミドでは密着性とブロッキング耐性の両立が難しいが、少なくとも2種類のポリアミドを混合することによってブロッキング保管温度、転写温度での弾性率をコントロールし、密着とブロッキングを両立できる。
接着層40の膜厚は、2μmより厚く、10μmより薄い範囲とされる。
ここで、本明細書において、接着層40の厚みは、接着層40のうち、樹脂成分の厚みで規定される。接着層40の厚みは、走査型電子顕微鏡により計測できる。計測点の数は、実用的には、5点とすることができるが、精密には、30点とすることができ、計測した実測値の平均値を厚みとできる。または、光学顕微鏡で同様に測定してもよい。転写箔1の他の層の厚みも、走査型電子顕微鏡により計測できる。この際の計測点の数は、実用的には、5 点とすることができるが、精密には、30点とすることができ、計測した実測値の平均値を厚みとできる。また、同様に光学顕微鏡で測定してもよい。
接着層40は、2種類のポリアミド樹脂のうち一方の軟化点が90~120℃の範囲とされる。密着性を保つための低弾性率のポリアミドは密着性を保持するため、転写温度以下(120℃)の範囲となるポリアミドが採用される。高弾性率のポリアミドは、60℃でブロッキングを防止するため、軟化点が80℃以上の範囲であることが好ましい。
また、接着層40は、ポリアミドの比率が75:25~25:75の範囲とされる。2種類のポリアミドのうち一方のポリアミドが少なすぎると、密着性向上およびブロッキング防止の役割を発揮することができない。
接着層40は、ポリアミド樹脂の他に、無機フィラーおよび樹脂フィラーを含んでも良い。無機フィラーとして、例えば粉体フィラーを適用できる。粉体フィラーは、平均粒子径がナノレベルの粉体である。無機粉体フィラーの材質としては、シリカや、各種金属およびその酸化物等を用いることができる。無機粉体フィラーは、溶剤で劣化しない。また、無機粉体フィラーは、低コストである。また、樹脂フィラーとして、例えば耐熱樹脂粉体フィラーを採用できる。耐熱樹脂粉体フィラーは、平均粒子径がナノレベルの粉体である。耐熱樹脂粉体フィラーの材質としての耐熱樹脂は、合成樹脂である。合成樹脂は、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等とすることができる。天然素材はセルロース、琥珀、ゼオライト、雲母等とすることができる。合成樹脂は、耐熱性、耐薬品性を得やすい。天然素材は環境負荷が小さい。
無機粉体フィラーおよび耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径としては、10~15ナノメートル(nm)とすることができる。無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーの平均粒径は、接着層40の膜厚よりも小さくてよい。本開示におけるナノレベルのフィラーの平均粒子径は、塗布前であれば動的光散乱式の粒子径分布測定装置(ナノトラックNanotrac Wave マイクロトラック・ベル株式会社製など) を用いて測定でき、体積平均粒子径を意味する。塗布後であれば、電子顕微鏡の観察画像からの面積平均粒子径により求めることができる。
無機粉体フィラー、耐熱樹脂粉体フィラーは、不定形粒子とすることができる。また、無機粉体フィラーの粒子径の分散状態は、粒子径が揃っていない多分散のものを用いるのが好ましい。本発明における多分散とは、CV値=(標準偏差/平均値) が10%以上であることを意味する。
接着層40は、塗布又は印刷することにより形成できる。塗布は、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、バーコート、ロッドコート、リップコート、ダイコート等とすることができる。また、印刷を塗布に適用してもよい。印刷は、グラビア、スクリーン印刷とすることができる。塗液の乾燥は、固形分の融点以下の温度で行うことが好ましい。
<接着層の弾性率測定方法>
接着層40の弾性率の測定方法として、レオメーターを使用する方法やナノインデンターを使用する方法を採用できる。
レオメーターを使用する弾性率測定方法では、転写箔1の接着層部分を削り取り、プレス機で1mm厚に固める。例えばアントンパール製レオメーターMCR-102を使用し、角周波数を10rad/sec、せん断ひずみを0.10%、ノーマルフォースを10N、測定温度を30~200℃(10℃間隔)の測定条件で測定する。
ナノインデンターを使用する弾性率測定方法では、ナノインデンターで加熱ステージを使用することで、高温時の動的弾性率(貯蔵弾性率)の測定が可能となる。接着層40であればフィルム表面に露出しているのでそのまま測定することが可能である。具体的には、マスク層24、クッション層30、接着層40をシートで単離することにより、何枚か重ねて貯蔵弾性率を測定することが可能である。
次に、上述した転写箔の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態では、図1に示すように、転写箔1は、支持体10と一方の面に剥離層21、レリーフ層22、無機蒸着層23、マスク層24、クッション層30、接着層40で形成される多層構造を有する。クッション層30は、ポリエステルである。接着層40は、ポリアミドである。クッション層30のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有する。接着層40のポリアミド樹脂は、2種類の混合体であり、一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、他方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である。
本実施形態による転写箔1では、転写時の密着温度と保管温度とのクッション層30および接着層40の硬さを制御することにより密着性、ブロッキング耐性をコントロールすることができる。つまり、ブロッキングが発生する保管温度60℃では、クッション層30の結晶性を有するポリエステル樹脂が融点(80~120℃)以下になるため、ポリエステル樹脂は溶解することなく流動性がない。また、接着層40も弾性率が高く2.5MPa以上と硬く変形しにくい状態となる。そのため、転写箔1同士が積層される保管時において、例えばPET等の支持体10(すなわちバックコート層)の凹凸に対して接着層40が追従することが抑えられ、接着層40が支持体10に貼り付かないため、ブロッキングを防止できる。
また、転写時の転写温度となる90~120℃の場合には、クッション層30の結晶性を有するポリエステル樹脂が融点(80~120℃)以上となって溶解して流動する。また、接着層40も転写温度では弾性率が1MPa以下と低くなり変形しやすい。そのため、クッション層30と接着層40とが柔軟性を有して変形しやすい状態になり、クッション層30と接着層40とが被転写体の凹凸に追従させて密着性が保たれる。
このように、本実施形態では、クッション層30のポリエステル樹脂と接着層40のポリアミド樹脂との組み合わせによって、ブロッキング耐性と密着性を両立することができる。また、本実施形態では、接着層40は、弾性率が異なる2種類のポリアミド樹脂を混合したものを採用することによって、上述したように、ブロッキング保管温度、転写温度での弾性率をコントロールし、密着性とブロッキング耐性とを両立することができる。
さらに、本実施形態の転写箔1では、クッション層30のポリエステル樹脂が結晶性を有することから、溶剤耐性を保持することができる。
また、本実施形態では、接着層40の膜厚は、2μmより厚く、10μmより薄くなっているので、被転写体に転写する際に密着性を保ちつつ、バリの発生を防止することができる。なお、接着層40の膜厚が2μm以下で薄い場合には、接着層40が転写時の紙の凹凸に沿わずに密着しない。接着層40は転写箔1において最も厚い層になる。接着層40の膜厚が10μm以上で大きくなる場合には、塗膜が切れにくいことから、転写領域の境目で箔が切れずにバリが発生してしまう。
また、本実施形態では、接着層40の2種類のポリアミド樹脂のうち一方の軟化点が90~120℃の範囲である。これにより、密着性を保つための低弾性率のポリアミド樹脂は密着性を保持するため、転写温度以下(120℃)が必要であり、かつ高弾性率のポリアミドは、60℃ブロッキングを防止するため、軟化点が80℃以上であることが望ましい。
また、本実施形態では、接着層40の2種類のポリアミド樹脂の比率は75:25~25:75の範囲である。この範囲とすることにより、密着性向上およびブロッキング防止の機能を十分に発揮できる。一方のポリアミド樹脂の比率が小さい場合には、密着性向上およびブロッキング防止の役割を発揮することができない。
また、本実施形態では、接着層40はポリアミド樹脂の他に、無機フィラーおよび樹脂フィラーを含むようにしてもよい。このように無機フィラーを含有することによって、ブロッキング耐性、バリ等の転写性を向上することができる。
このように、本実施形態による転写箔1では、ブロッキング耐性と密着性の両立を図ることができる。
(実施例)
次に、本実施形態の転写箔1について、実施例および比較例を用いてさらに説明する。ただし、本発明の技術的範囲は、これら実施例の具体的内容により何ら限定されるものではない。
<サンプル作成方法>
本実施形態による転写箔の作成方法は以下の通りである。
図1に示すように、支持体10の一方の面に、ワックス層形成用インキを乾燥後の膜厚が0.2-0.7μmとなるように塗布乾燥し、ワックス層を形成した。
さらに、離層形成用インキを乾燥後の膜厚(ドライ膜厚)が1μmとなるよう塗布乾燥し、剥離層21を形成した。
次に、剥離層21上に上記レリーフ層形成用インキをドライ膜厚が1μmとなるように塗布乾燥した後、ロールエンボス法にて回折格子を構成する微小凹凸レリーフパターンをレリーフ層22の表面に形成した。
続いて、レリーフ層22上に、アルミニウムを50nmの膜厚となるよう真空蒸着して、無機蒸着層23を形成した。
続いて、無機蒸着層23上に、上記マスク層形成用インキを、ドライ膜厚が1μmとなるよう塗布乾燥し、マスク層24を形成した。
以上により、支持体10上にOVD部20を形成した。
その後、OVD部20上に、上記クッション層形成用インキAをドライ膜厚が1~2μmとなるよう塗布乾燥し、クッション層30を形成した。
さらに、クッション層30上に、上記接着層形成用インキAを、樹脂成分のドライ膜厚が4~5μmとなるよう塗布乾燥し、接着層40を形成した。
以上により、実施例1の転写箔を作製した。
以下に、試験を行った実施例1~16、比較例1、2の転写箔の物性値、及び、評価方法について、表1を使用して具体的に説明する。なお、各試験で使用した転写箔で、支持体、剥離層、レリーフ層、無機蒸着層、マスク層の構成は、実施例1~16、および比較例1、1で共通である。実施例2~16、比較例1、2は、実施例1と異なる物性値のみ記載している。
表1は、実施例1~16、比較例1、2の転写箔におけるクッション層、接着層の物性値と、試験による評価結果を示している。
Figure 2024013894000002
[実施例1]
まず、各層の材料について示す。以降の記載において、「部」は、特にことわりのない限り、質量部を意味する。
・支持体
PETフィルム(厚さ38μm)(商品名 ルミラー、東レ株式会社製)
・ワックス層インキ
マイクロクリスタリンワックスエマルジョン(興洋化学 HM-84) 59.0部
パラフィンワックスエマルジョン(BYK AQUACER 539 41.0部
・剥離層インキ
トルエン 43.0部
メチルエチルケトン 43.0部
アクリル樹脂(三菱レイヨン バイロンBR80) 6.0部
アクリル樹脂(三菱レイヨン バイロンBR83) 6.0部
ポリエチレンワックス(興洋化学 CE155 NV15) 1.0部
ポリエステル樹脂(エリーテ UE3320) 1.0部
・ホロ層インキ
ウレタン樹脂 20.0部
メチルエチルケトン 50.0部
酢酸エチル 30.0部
・マスク層インキ
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体 65.6部
ポリエチレン樹脂 2.9部
ポリウレタン樹脂 8.2部
ジメチルアセトアミド(DMAC) 23.3部
・クッション層インキ
トルエン 70.3部
酢酸ブチル 12.1部
結晶性ポリエステル(東洋紡 バイロンGA-6400 mp96℃) 14.6部
シリカフィラー(サイロホービック 100) 3.0部
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 5.5部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 2.0部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例2]
以下、実施例2~10、比較例1~4の転写箔は、実施例1と異なる物性値のみ記載している。
実施例2は、実施例1の転写箔においてポリアミド比率が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 3.75部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 3.75部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例3]
実施例3は、実施例1の転写箔においてポリアミド比率(A:B)が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 2.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 5.5部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例4]
実施例4は、実施例1の転写箔においてポリアミド種類が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 5.5部
ポリアミド樹脂(トーマイド1310) 2.0部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例5]
実施例5は、実施例1の転写箔においてポリアミド種類が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 5.5部
ポリアミド樹脂(PA201) 2.0部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例6]
実施例6は、実施例1の転写箔においてポリアミド種類が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 5.5部
ポリアミド樹脂(PA100) 2.0部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例7]
実施例7は、実施例1の転写箔においてポリアミド種類が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(PA200) 5.5部
ポリアミド樹脂(PA100) 2.0部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例8]
実施例8は、実施例1の転写箔においてポリアミド種類と比率が異なる転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 3.75部
ポリアミド樹脂(PA100) 3.75部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例9]
実施例9は、実施例1の転写箔において接着層インキのシリカフィラーを省略した転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 46.2部
IPA 46.2部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 5.6部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 2.1部
[実施例10]
実施例10は、実施例1の転写箔においてクッション層インキのシリカフィラーを省略した転写箔を作製したものである。
・クッション層インキ
トルエン 72.5部
酢酸ブチル 12.5部
結晶性ポリエステル(東洋紡 バイロンGA-6400 mp96℃) 15.0部
[実施例11]
実施例11は、実施例1のうち1種類の接着層のみとした場合の転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 7.5部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例12]
実施例12は、比較例3と異なる1種類の接着層のみとした場合の転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 7.5部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例13]
実施例13は、ポリアミド比率(A:B)が75:25~25:75の範囲から外れた場合の転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 6.75部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 0.75部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例14]
実施例14は、ポリアミド比率(A:B)が75:25~25:75の範囲から外れた場合の転写箔を作製したものである。
・接着層インキ
トルエン 45.0部
IPA 45.0部
ポリアミド樹脂(トーマイド1320) 0.75部
ポリアミド樹脂(トーマイド1315) 6.75部
シリカフィラー(サイロホービック200) 2.5部
[実施例15]
実施例15は、接着層の膜厚が2μm以下の場合の転写箔を作製したものである。
実施例15は、実施例1と同じ接着層インキを用い、乾燥後に膜厚2μmで塗布した。
[実施例16]
実施例16は、接着層の膜厚が10μm以上の場合の転写箔を作製したものである。
実施例16は、実施例1と同じ接着層インキを用い、乾燥後に膜厚10μmで塗布した。
[比較例1]
比較例1は、実施例1の転写箔においてクッション層の融点が高い場合の転写箔を作製したものである。
・クッション層インキ
トルエン 70.3部
酢酸ブチル 12.1部
結晶性ポリエステル(東洋紡 バイロンGA-915 mp139℃) 14.6部
シリカフィラー(サイロホービック 100) 3.0部
[比較例2]
比較例2は、実施例1の転写箔においてクッション層の材料が異なる転写箔を作製したものである。
・クッション層インキ
トルエン 42.5部
メチルエチルケトン 42.5部
塩化ビニル酢酸ビニル高重合体(日信化学 ソルバインA Tg76℃) 15.0部
<評価方法>
実施例1~16および比較例1、2について、保存条件下におけるブロッキングの評価および低温低圧条件における転写の密着性を評価した。これらブロッキングおよび密着性は、以下の要領で評価した。
[低温低圧転写の密着性評価]
厚み約200μmの上質紙を被転写体とし、各例の転写箔を版面温度100℃、圧力0.4t/cm、加圧時間0.3秒の条件にて転写した。転写箇所にセロハンテープ(ニチバンLP-24)を貼り付け圧着した後、1cm/2.5秒の速度にて、転写面に対し垂直方向に剥離した。
剥離後のセロハンテープを黒PETフィルム(東レ ルミラー 188×30)に貼り付け、目視にて密着評価した。剥離した点状のOVD部が、密集して付着している場合を×(no good:密着性に問題あり)、密集して付着しているものが極めて少ない場合を△(good:密着性が良)、散在している場合または存在しない場合は、○(very good:密着性に問題なし)とした。この基準は、散在した剥離では転写された絵柄の見た目に与える影響は小さいが、密集して剥離すると転写された絵柄の見た目に与える影響が大きいことに基づくものである。
[保存条件下におけるブロッキング評価]
先ず、試験片を作成する。試験片は、210mm×250mmに切ったPETフィルム(東レ 38S10)に、150mm×12mmに切った試作箔を、4mmずつ重なるように20~30枚を並べて箔の上部を10mm幅のカプトンテープによって固定する。
次に、巻き込みPETを準備する。リワインダー機の巻き出しにPETフィルム(東レ 19F60、520mm巾)を取り付け、50m巻き取る。このときの巻き取りは、紙管が3インチのものを使用し、ブレーキ60N、巻取り速度20m/minを条件とした。
次に、PETフィルムの巻取り部に、試作箔を2枚並べた状態の試験片を巻き込む。その後、リワインダー機の同条件において、更に50m巻取り、試作箔をPETロール中に巻き込む。そして、一時停止し、両面テープ(20mm、SLION-TAPE)を3本貼り付ける。その後、リワインダー機の同条件において、更に3mほど巻取り、巻外を両面テープで接着固定する。このときの仕上がりロールは、100m巻PETの中間部分に試作箔が重ねられた状態で巻き込まれている。仕上がりロールは、オーブンで温度60℃、横置きで24時間の条件にて保管した。このとき、仕上がりロールは直接、地面に接地しないようにする。続いて、オーブンのエージングルームから仕上がりロールを取り出し、3時間以上、常温にて放置することで冷却し、室温に戻した後に、試作箔を取り出す。そして、試作箔のブロッキングの有無を確認する。
評価基準は、ブロッキングしている箔の長さを測り、ブロッキング率を算出する。評価としては、以下の2段階で評価した。
○ (very good):ブロッキング率が20%未満であり、ブロッキングしている箔がほぼ認められない。
△(good):ブロッキング率が20%以上30%以下であり、ブロッキングしている箔が少ないと判断される。
× (no good):ブロッキング率が30%より大きく、ブロッキングしている箔が認められる。
図2は、ブロッキング評価の定性的写真を示し、ブロッキング評価後のサンプルである。図2(a)は、ブロッキング有りの写真であり、線状の抜け(符号K1の部分)が生じている。これに対して、図2(b)は、ブロッキング無しの写真であり、図2(a)で表れているような線状の抜けK1は確認できない。
図3は、密着性評価の定性的写真を示し、密着評価後のセロハンテープの写真である。図3(a)は、密着が不良な状態を示す写真であり、剥離箇所(符号K2の部分)が生じている。これに対して、図3(b)は、密着が良好な状態を示す写真であり、図3(a)で表れているような剥離箇所K2は確認できない。
[評価結果]
表1に示すように、実施例1~16および比較例1、2について、保存条件下におけるブロッキングの評価および熱転写時における転写の密着性を評価した。
実施例1~10、16の転写箔は、いずれもブロッキング耐性および密着性が両方共に「〇」で良好であり、ブロッキング耐性と密着性とが両立されていることが確認できた。
実施例11の転写箔は、密着性は確保できるが、ブロッキング率が「△」で20~30%となりブロッキング耐性は不十分な結果になった。
実施例12の転写箔は、ブロッキング耐性は得られるが、密着性に関しては「△」で問題はないものの、密集して付着しているものが一部認められた。
実施例13の転写箔は、密着性は確保できるが、ブロッキング率が「△」で20~30%となりブロッキング耐性は不十分な結果になった。
実施例14の転写箔は、ブロッキング耐性は得られるが、密着性に関しては「△」で問題はないものの、密集して付着しているものが一部認められた。
実施例15の転写箔は、ブロッキング耐性は得られるが、密着性に関しては「△」で問題はないものの、密集して付着しているものが一部認められた。
一方、比較例1、2の転写箔は、ブロッキング率が0~20%となりブロッキング耐性は確保できるが、セロハンテープと黒PETフィルムとが剥離後に密集して付着している箇所があり、目視による密着性が「×」であり不良であった。また、このように、比較例1~3は、ブロッキング耐性および密着性のうちいずれか一方のみが確保できるが、両立できないことがわかった。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせなども含まれる。
例えば、本実施形態では、基材である支持体にPETを採用しているが、PETに限定されることはない。基材として、PETの他に、例えばPEN(ポリエチレンナフタレート)、PP(ポリプロピレン)等を採用することも可能である。
さらに、本実施形態では、接着層40のポリアミド樹脂が2種類の混合体であり、一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、他方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である転写箔1としているが、ポリアミド毎の弾性率であることに限定されることはない。例えば。接着層のポリアミド全体で貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である転写箔を採用することも可能である。
また、本実施形態では、接着層40のポリアミド樹脂が2種類の混合体としているが、1種類のポリアミドからなる接着層であってもよい。この場合、接着層のポリアミド全体で貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である転写箔とすることができる。
また、転写箔の接着層における2種類のポリアミド樹脂の比率が75:25~25:75の範囲であることに限定されることはなく、この範囲外の比率の接着層を採用することも可能である。
また、接着層の膜厚が2μmより厚く、10μmより薄い構成であることに限定されることはなく、この範囲外の膜厚の接着層を採用することも可能である。
さらに、接着層は、ポリアミド樹脂の他に、無機フィラーおよび樹脂フィラーを含む構成であってもよいし、これらフィラーを含まない構成であってもよい。
1 転写箔
10 支持体(基材)
20 OVD部
21 剥離層(表面保護層)
22 レリーフ層(光学形成層)
23 無機蒸着層(反射層)
24 マスク層(下層保護層)
30 クッション層
40 接着層

Claims (6)

  1. 基材と一方の面に表面保護層、光学形成層、反射層、下層保護層、クッション層、接着層で形成される多層構造を有する転写箔であって、
    前記クッション層はポリエステルであり、
    前記接着層はポリアミドであり、
    前記クッション層のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有し、
    前記接着層のポリアミド樹脂は、2種類の混合体であり、
    一方のポリアミド樹脂の貯蔵弾性率が90℃~120℃の温度で1MPa以下であり、他方のポリアミド樹脂の弾性率が60℃の温度で2.5MPa以上である、転写箔。
  2. 前記2種類のポリアミド樹脂のうち一方の軟化点が90~120℃の範囲である、
    請求項1に記載の転写箔。
  3. 前記2種類のポリアミド樹脂の比率は、75:25~25:75の範囲である、
    請求項1に記載の転写箔。
  4. 基材と一方の面に表面保護層、光学形成層、反射層、下層保護層、クッション層、接着層で形成される多層構造を有する転写箔であって、
    前記クッション層はポリエステルであり、
    前記接着層はポリアミドであり、
    前記クッション層のポリエステル樹脂は、結晶性を持ち、かつ融点が80~120℃の特性を有し、
    前記接着層は、90℃~120℃の温度による貯蔵弾性率が1MPa以下であり、60℃の温度による弾性率が2.5MPa以上である、転写箔。
  5. 前記接着層の膜厚は、2μmより厚く、10μmより薄い、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の転写箔。
  6. 前記接着層は、ポリアミド樹脂の他に、無機フィラーおよび樹脂フィラーを含む、
    請求項1乃至4のいずれか1項に記載の転写箔。
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