JP7456268B2 - 半導体装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
従来、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置には、例えば、バイポーラトランジスタやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート(MOSゲート)を備えたMOS型電界効果トランジスタ)など複数種類あり、これらは用途に合わせて使い分けられている。
例えば、バイポーラトランジスタやIGBTは、MOSFETと比べて電流密度が高く大電流化が可能であるが、高速にスイッチングさせることができない。具体的には、バイポーラトランジスタは数kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界であり、IGBTは数十kHz程度のスイッチング周波数での使用が限界である。一方、MOSFETは、バイポーラトランジスタやIGBTに比べて電流密度が低く大電流化が難しいが、数MHz程度までの高速スイッチング動作が可能である。
また、MOSFETは、IGBTと異なり、半導体基板(半導体チップ)の内部にp型ベース領域とn-型ドリフト領域とのpn接合で形成される寄生ダイオードを内蔵しており、自身を保護するための還流ダイオードとしてこの寄生ダイオードを使用可能である。このため、MOSFETをインバータ用デバイスとして用いた場合に、MOSFETに外付けの還流ダイオードを追加して接続することなく使用することができ、経済性の面でも注目されている。
パワー半導体装置の構成材料として、シリコン(Si)が用いられている。市場では大電流と高速性とを兼ね備えたパワー半導体装置への要求が強く、IGBTやMOSFETはその改良に力が注がれ、現在ではほぼ材料限界に近いところまで開発が進んでいる。このため、パワー半導体装置の観点からシリコンに代わる半導体材料が検討されており、低オン電圧、高速特性、高温特性に優れた次世代のパワー半導体装置を作製(製造)可能な半導体材料として炭化珪素(SiC)が注目を集めている。
炭化珪素は、化学的に非常に安定した半導体材料であり、バンドギャップが3eVと広く、高温でも半導体として極めて安定的に使用することができる。また、炭化珪素は、最大電界強度もシリコンより1桁以上大きいため、オン抵抗を十分に小さくすることができる半導体材料として期待される。このような炭化珪素の特長は、炭化珪素だけでなく、シリコンよりもバンドギャップの広いすべての半導体(以下、ワイドバンドギャップ半導体とする)も同様に有する。
また、MOSFETでは、大電流化に伴い、半導体チップのおもて面に沿ってチャネル(反転層)が形成されるプレーナゲート構造とする場合と比べて、ゲートトレンチの側壁に沿って半導体チップのおもて面と直交する方向にチャネルが形成されるトレンチゲート構造とすることはコスト面で有利である。その理由は、トレンチゲート構造が単位面積当たりの単位セル(素子の構成単位)密度を増やすことができるため、単位面積当たりの電流密度を増やすことができるからである。
単位面積当たりの電流密度を増加させた分、単位セルの占有体積に応じた温度上昇率が高くなるため、放電効率の向上と信頼性の安定化とを図るために両面冷却構造が必要になる。さらに、パワー半導体装置の主動作を行うメイン半導体素子と同一の半導体基板に、当該メイン半導体素子を保護・制御するための回路部として電流センス部、温度センス部および過電圧保護部等の高機能部を配置した高機能構造とすることで信頼性を向上させたパワー半導体装置が提案されている。
従来の半導体装置の構造について説明する。図21は、従来の半導体装置の構造を示す断面図である。図21に示す従来の半導体装置220は、炭化珪素からなる同一の半導体基板(半導体チップ)210に、メイン半導体素子211と、当該メイン半導体素子211を保護・制御するための1つ以上の回路部を有する。メイン半導体素子211を保護・制御するための回路部としては、例えば、電流センス部212、温度センス部213、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部が挙げられる。
メイン半導体素子211および電流センス部212は、半導体基板210のおもて面側に一般的なトレンチゲート構造を備えた縦型MOSFETである。温度センス部213は、p型アノード領域であるp型ポリシリコン層221と、n型カソード領域であるn型ポリシリコン層222と、のpn接合で形成されたポリシリコンダイオードである。p型ポリシリコン層221およびn型ポリシリコン層222は、半導体基板210のおもて面の層間絶縁膜240上に設けられている。
温度センス部213のアノードパッド223aおよびカソードパッド223b上には、めっき膜241a,241b、端子ピン242a,242bおよび保護膜243,244による配線構造が設けられている。この配線構造と、半導体基板210の裏面側の冷却フィン(不図示)と、で両面冷却構造が構成される。符号230は温度センス部213を覆う層間絶縁膜であり、符号230a,230bはそれぞれp型ポリシリコン層221およびn型ポリシリコン層222を露出するコンタクトホールである。
従来の半導体装置として、ポリシリコン層の上層部を再結晶化させて、当該ポリシリコン層の上層部と、上層部を除いた残りの部分(下層部)と、で形成される抵抗値の異なる2つのダイオードを並列接続させた構造の温度センス部が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、温度センス部を複数のポリシリコンダイオードを並列接続させた構成とすることで、ポリシリコン層の仕上がり寸法のばらつきによる特性への悪影響を抑制している。
また、ポリシリコン層を電極として用いる場合のポリシリコンの結晶粒の粒径について、例えばゲート電極では通常0.1μm~0.2μm程度であることが開示されている(例えば、下記特許文献2参照。)。下記特許文献2では、ゲート電極として非結晶シリコン層を用いた場合、非結晶シリコン層にイオン注入されたp型不純物を活性化させるための熱処理により、非結晶シリコン層は結晶粒の成長によりポリシリコン(多結晶シリコン層)となり、その結晶粒の粒径が通常0.6程度となることが開示されている。
国際公開第2015/004774号 特開2004-071653号公報
しかしながら、炭化珪素を半導体材料とする半導体素子は、高周波用デバイスや大電流動作用デバイスとして用いられ、動作時に瞬間的に温度上昇するため、内部温度分布がばらつきやすい。特に、ポリシリコン層で構成された温度センス部213については、現状のポリシリコンダイオードの順方向電圧特性のばらつきが大きいこともあり、瞬間的な温度上昇によるp型ポリシリコン層221およびn型ポリシリコン層222の内部温度分布のばらつきを順方向電圧特性に反映することができていない。
また、従来の半導体装置220では、複数の半導体素子の集積化に伴い、半導体基板210のおもて面のステップカバレッジ(表面被覆性)が悪く、半導体基板210のおもて面上のポリシリコン層の薄膜化が要求されるが、p型ポリシリコン層221およびn型ポリシリコン層222を薄膜化すると、温度センス部213の順方向電圧特性のばらつきが大きくなる。このため、温度センス部213によってメイン半導体素子211の温度異常を検出する温度範囲が設計値よりも広くなり、半導体装置220の信頼性が低くなる。
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、信頼性の高い半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、メイン半導体素子および温度センス部を備え、次の特徴を有する。前記メイン半導体素子は、シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の第1主面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れる。前記温度センス部は、前記メイン半導体素子の温度を検出する。前記温度センス部は、前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して積層され、深さ方向に同導電型の領域が隣接する、ポリシリコンからなる複数の横型のポリシリコンダイオードを有する多層構造であり、上層の前記ポリシリコンダイオードほど、ポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きく、前記ポリシリコンダイオードは、ポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度が一様である
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、上層の前記ポリシリコンダイオードほど不純物濃度が高いことを特徴とする。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、メイン半導体素子および温度センス部を備え、次の特徴を有する。前記メイン半導体素子は、シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の第1主面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れる。前記温度センス部は、前記メイン半導体素子の温度を検出する。前記温度センス部は、前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して積層され、深さ方向に同導電型の領域が隣接する、ポリシリコンからなる複数の横型のポリシリコンダイオードを有する多層構造であり、上層の前記ポリシリコンダイオードほど、ポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きく、不純物濃度が高い。
また、上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、メイン半導体素子および温度センス部を備えた半導体装置の製造方法であって、次の特徴を有する。前記メイン半導体素子は、シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板の第1面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れる。前記温度センス部は、前記メイン半導体素子の温度を検出する。
積層工程および注入工程を行うことで前記温度センス部を形成する。前記積層工程では、前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して複数のポリシリコン層を積層する。前記積層工程では、上層の前記ポリシリコン層ほど高い温度環境下で堆積する。前記注入工程では、前記積層工程において前記ポリシリコン層が積層されるごとに、前記ポリシリコン層にp型不純物および/またはn型不純物をイオン注入して、深さ方向に同導電型の領域が隣接する横型のポリシリコンダイオードを形成する。
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記積層工程では、下層の前記ポリシリコン層の堆積時の温度よりも100℃以上高い温度環境下で、深さ方向に下層の当該ポリシリコン層に隣接する前記ポリシリコン層を堆積することを特徴とする。
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記注入工程では、上層の前記ポリシリコン層ほど前記イオン注入のドーズ量を多くすることを特徴とする。
上述した発明によれば、上層のポリシリコンダイオードほど、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界を少なくすることができるため、ホモ接合によるバンドの曲がりによってポリシリコン結晶粒の結晶粒界に生じエネルギー障壁となる空乏層が少なく、低抵抗で順方向電流が流れやすい。温度センス部には主にエネルギー障壁の少ない上層のポリシリコンダイオードに順方向電流が流れ、順方向電圧特性のばらつきを抑制することができる。これにより、温度センス部の温度検出精度を向上させることができる。
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
実施の形態にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。 図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒を半導体基板のおもて面側から見た状態を模式的に示す平面図である。 図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒を半導体基板の側面側から見た状態を模式的に示す断面図である。 図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位を示すバンド図である。 図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位を示すバンド図である。 図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位を示すバンド図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。 実施例の順方向電圧特性の度数分布図である。 従来例の順方向電圧特性の度数分布図である。 従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置は、シリコン(Si)よりもバンドギャップが広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を半導体材料として用いて構成される。ここでは、実施の形態にかかる半導体装置を構成するワイドバンドギャップ半導体材料として炭化珪素(SiC)を用いた場合を例に、実施の形態にかかる半導体装置の構造について説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置を半導体基板のおもて面側から見たレイアウトを示す平面図である。
図1に示す実施の形態にかかる半導体装置20は、炭化珪素からなる同一の半導体基板(半導体チップ)10の活性領域1に、メイン半導体素子11と、当該メイン半導体素子11を保護・制御するための1つ以上の回路部と、を有する。活性領域1は、半導体基板10の略中央(チップ中央)に設けられている。メイン半導体素子11は、半導体装置20の主動作を行う縦型MOSFETであり、後述するソースパッド21aにより互いに並列接続された複数の単位セル(素子の機能単位)で構成される。
メイン半導体素子11は、活性領域1の有効領域(以下、メイン有効領域とする)1aに配置されている。メイン有効領域1aは、メイン半導体素子11のオン時に、半導体基板10の裏面からおもて面に向かう方向(深さ方向Zに対して反対方向)にメイン半導体素子11の主電流(ドリフト電流)が流れる領域である。メイン有効領域1aは、例えば略矩形状の平面形状を有し、活性領域1の大半の表面積を占める。略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの3辺が後述するエッジ終端領域2に隣接する。
メイン半導体素子11を保護・制御するための回路部は、例えば、電流センス部12、温度センス部13、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部であり、活性領域1のメイン無効領域1bに配置される。メイン無効領域1bは、メイン半導体素子11の単位セルが配置されていない領域であり、メイン半導体素子11として機能しない。メイン無効領域1bは例えば略矩形状の平面形状を有し、略矩形状の平面形状のメイン有効領域1aの残りの1辺とエッジ終端領域2との間に配置される。
エッジ終端領域2は、活性領域1と半導体基板10の端部(チップ端部)との間の領域であり、活性領域1に隣接して、活性領域1の周囲を囲み、半導体基板10のおもて面側の電界を緩和して耐圧を保持する機能を有する。エッジ終端領域2には、例えばフィールドリミッティングリング(FLR:Field Limiting Ring)や接合終端(JTE:Junction Termination Extension)構造等の一般的な耐圧構造(不図示)が配置される。耐圧とは、半導体装置が誤動作や破壊を起こさない限界の電圧である。
メイン半導体素子11のソースパッド(電極パッド)21aは、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面上に配置される。メイン半導体素子11のソースパッド21aは、当該ソースパッド21a以外の電極パッドと離れて配置されている。メイン半導体素子11は、他の回路部に比べて電流能力が大きい。このため、メイン半導体素子11のソースパッド21aは、メイン有効領域1aと略同じ平面形状を有し、メイン有効領域1aのほぼ全面を覆う。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面上に互いに離れて配置される。ソースパッド21a以外の電極パッドとは、メイン半導体素子11のゲートパッド21b、電流センス部12の電極パッド(OCパッド)22、温度センス部13の電極パッド(アノードパッドおよびカソードパッド)23a,23b、過電圧保護部の電極パッド(以下、OVパッドとする:不図示)、および演算回路部の電極パッド(不図示)等である。
ソースパッド21a以外の電極パッドは、例えば略矩形状の平面形状を有し、後述する端子ピン48b~48d(図3,4参照)やワイヤー(不図示)の接合に必要な表面積を有する。図1には、ソースパッド21a以外の電極パッドがメイン無効領域1bとエッジ終端領域2との境界に沿って一方向Xに1列に配置された場合を示す。図1には、ソースパッド21a、ゲートパッド21b、OCパッド22、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bを、それぞれS、G、OC、AおよびKと付した矩形状に図示する。
電流センス部12は、メイン半導体素子11に並列接続され、メイン半導体素子11と同じ条件で動作して、メイン半導体素子11に流れる過電流(OC:Over Current)を検出する機能を有する。電流センス部12は、メイン半導体素子11と離れて配置されている。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同一構成の単位セルを、メイン半導体素子11の単位セルの個数(例えば1千個以上程度)よりも少ない個数(例えば10個程度)で備えた縦型MOSFETであり、メイン半導体素子11よりも表面積が小さい。
電流センス部12の単位セルは、半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域の一部の領域(以下、センス有効領域とする)12aに配置されている。電流センス部12の単位セルは、半導体基板10のおもて面に平行な方向に互いに隣接して配置される。電流センス部12の単位セルが互いに隣接する方向は、例えば、メイン半導体素子11の単位セルが互いに隣接する方向と同じである。電流センス部12の単位セルは、OCパッド22により互いに並列接続されている。
また、半導体基板10の、OCパッド22で覆われた領域のうち、センス有効領域12aを除く領域は、電流センス部12として機能しないセンス無効領域12bである。センス無効領域12bには、電流センス部12の単位セルが配置されていない。メイン無効領域1bの、センス有効領域12aを除く領域のほぼ全域において、半導体基板10のおもて面の表面領域に、センス有効領域12aから後述するp型ベース領域34b(図2,3参照)が延在している。
温度センス部13は、ダイオードの温度特性を利用してメイン半導体素子11(半導体基板10)の温度を検出する機能を有する。温度センス部13は、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bの直下に配置されている。温度センス部13は、ポリシリコン(poly-Si)層で構成された横型のポリシリコンダイオードを複数積層した多層構造であり(図3参照)、上層のポリシリコンダイオードほどポリシリコン結晶粒(シリコン結晶の集合体の粒)の結晶粒径が大きい(図4,5参照)。
過電圧保護部(不図示)は、例えばサージ等の過電圧(OV:Over Voltage)からメイン半導体素子11を保護するダイオードである。電流センス部12、温度センス部13および過電圧保護部は、演算回路部により制御される。演算回路部は、電流センス部12、温度センス部13および過電圧保護部の出力信号に基づいてメイン半導体素子11を制御する。演算回路部は、CMOS(Complementary MOS:相補型MOS)回路など複数の半導体素子で構成される。
次に、実施の形態にかかる半導体装置20の断面構造について説明する。図2,3は、図1の活性領域の断面構造を示す断面図である。図4は、図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒を半導体基板のおもて面側から見た状態を模式的に示す平面図である。図5は、図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒を半導体基板の側面(チップ端部)側から見た状態を模式的に示す断面図である。図6~8は、図3の温度センス部のポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位を示すバンド図である。
図2には、メイン有効領域1aおよび電流センス部12の断面構造(図1の切断線X1-X2-X3-X4における断面構造)を示す。図3には、メイン有効領域1a、センス有効領域12aおよび温度センス部13の断面構造(図1の切断線X1-X2、切断線X3-X4および切断線Y1-Y2における断面構造)を示す。図2,3のメイン有効領域1aおよびセンス有効領域12aにはそれぞれ一部の単位セルを示す。図4,5では、ポリシリコンダイオード80a,80bのpn接合界面を図示省略する。
図4には、ポリシリコンダイオード80a,80bのポリシリコン結晶粒の平面粒径を比較しやすいように、上層のポリシリコンダイオード80bの平面と下層のp型ポリシリコン層81aの平面とを上下に並べて示す。図6,7には、下層のポリシリコンダイオード80aのポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位(図4の切断線A-A’におけるエネルギー準位)を示す。図8には、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界のエネルギー準位(図4の切断線B-B’におけるエネルギー準位)を示す。
メイン半導体素子11は、メイン有効領域1aにおいて半導体基板10のおもて面側に、p型ベース領域34a、n+型ソース領域35a、p++型コンタクト領域36a、トレンチ37a、ゲート絶縁膜38aおよびゲート電極39aで構成されたトレンチゲート構造のMOSゲート(金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲート)を有する。半導体基板10は、炭化珪素からなるn+型出発基板71のおもて面上にn-型ドリフト領域32およびp型ベース領域34aとなる各炭化珪素層72,73を順にエピタキシャル成長させてなる。
+型出発基板71は、メイン半導体素子11および電流センス部12のn+型ドレイン領域31となる。半導体基板10の、p型炭化珪素層73側の主面をおもて面とし、n+型出発基板71側の主面(n+型出発基板71の裏面)を裏面とする。ここでは、メイン半導体素子11、および、メイン半導体素子11を保護・制御する回路部がピン状の配線部材(後述する端子ピン48a~48d)を用いた同一構成の配線構造を有する場合を例に説明するが、ピン状の配線部材に代えて、ワイヤーを用いた配線構造としてもよい。
トレンチ37aは、半導体基板10のおもて面(p型炭化珪素層73の表面)から深さ方向Zにp型炭化珪素層73を貫通してn-型炭化珪素層72に達する。トレンチ37aの内部には、ゲート絶縁膜38aを介してゲート電極39aが設けられている。互いに隣り合うトレンチ37a間において、半導体基板10のおもて面の表面領域に、p型ベース領域34a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aがそれぞれ選択的に設けられている。
+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aは、半導体基板10のおもて面とp型ベース領域34aとの間に、p型ベース領域34aに接してそれぞれ選択的に設けられている。n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aは、半導体基板10のおもて面に露出されている。この半導体基板10のおもて面に露出とは、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aが後述する層間絶縁膜40の第1コンタクトホール40aの内部で後述するNiSi膜41aに接することである。
+型ソース領域35aは、トレンチ37aの側壁においてゲート絶縁膜38aに接する。p++型コンタクト領域36aは、n+型ソース領域35aよりもトレンチ37aから離れた位置に、n+型ソース領域35aに接して設けられている。p++型コンタクト領域36aは設けられていなくてもよい。この場合、p++型コンタクト領域36aに代えて、p型ベース領域34aが半導体基板10のおもて面まで達し、半導体基板10のおもて面に露出される。
半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aとn+型ドレイン領域31(n+型出発基板71)との間に、p型ベース領域34aおよびn+型ドレイン領域31に接して、n-型ドリフト領域32が設けられている。p型ベース領域34aとn-型ドリフト領域32との間に、これらの領域に接して、n型電流拡散領域33aが設けられていてもよい。n型電流拡散領域33aは、キャリアの広がり抵抗を低減させる、いわゆる電流拡散層(Current Spreading Layer:CSL)である。
また、半導体基板10の内部において、p型ベース領域34aよりもn+型ドレイン領域31に近い位置に、トレンチ37aの底面にかかる電界を緩和させる第1,2p+型領域61a,62aが設けられていてもよい。第1p+型領域61aは、p型ベース領域34aと離れて設けられ、深さ方向Zにトレンチ37aの底面に対向する。第2p+型領域62aは、互いに隣り合うトレンチ37a間に、第1p+型領域61aおよびトレンチ37aと離れて設けられ、かつp型ベース領域34aに接する。
層間絶縁膜40は、半導体基板10のおもて面のほぼ全面に設けられ、メイン有効領域1aにおいてゲート電極39aを覆う。すべての単位セルのゲート電極39aがゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。メイン有効領域1aにおいて深さ方向Zに層間絶縁膜40を貫通する第1コンタクトホール40aが設けられている。第1コンタクトホール40aには、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aが露出されている。
ニッケルシリサイド(NiSi、Ni2Siまたは熱的に安定なNiSi2:以下、まとめてNiSiとする)膜41aは、第1コンタクトホール40aの内部において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続されている。p++型コンタクト領域36aが設けられていない場合、p++型コンタクト領域36aに代えて、p型ベース領域34aが第1コンタクトホール40aに露出され、NiSi膜41aに電気的に接続される。
メイン有効領域1aにおける層間絶縁膜40およびNiSi膜41aの表面全体に、層間絶縁膜40およびNiSi膜41aの表面に沿ってバリアメタル46aが設けられている。バリアメタル46aは、バリアメタル46aの各金属膜間またはバリアメタル46aを挟んで対向する領域間での相互反応を防止する機能を有する。バリアメタル46aは、例えば、第1窒化チタン(TiN)膜42a、第1チタン(Ti)膜43a、第2TiN膜44aおよび第2Ti膜45aを順に積層した積層構造を有していてもよい。
第1TiN膜42aは、層間絶縁膜40の表面全体を覆う。第1TiN膜42aは、NiSi膜41aが形成された部分における半導体基板10のおもて面上には設けられていない。第1Ti膜43aは、第1TiN膜42aおよびNiSi膜41aの表面に設けられている。第2TiN膜44aは、第1Ti膜43aの表面に設けられている。第2Ti膜45aは、第2TiN膜44aの表面に設けられている。第2Ti膜45aの表面全面にソースパッド21aが設けられている。
ソースパッド21aは、バリアメタル46aおよびNiSi膜41aを介してn+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aに電気的に接続されている。ソースパッド21aは、例えば、5μm程度の厚さのアルミニウム(Al)膜、アルミニウム-シリコン(Al-Si)膜またはアルミニウム-シリコン-銅(Al-Si-Cu)膜であってもよい。ソースパッド21a、バリアメタル46aおよびNiSi膜41aはメイン半導体素子11のソース電極として機能する。
ソースパッド21aの上には、めっき膜47aおよびはんだ層(不図示)を介して、端子ピン48aの一方の端部が接合されている。端子ピン48aの他方の端部は、半導体基板10のおもて面に対向するように配置された金属バー(不図示)に接合されている。また、端子ピン48aの他方の端部は、半導体基板10を実装したケース(不図示)の外側に露出し、外部装置(不図示)と電気的に接続される。端子ピン48aは、半導体基板10のおもて面に対して略垂直に立てた状態でめっき膜47aにはんだ接合されている。
端子ピン48aは、所定直径を有する丸棒状(円柱状)の配線部材であり、外部の接地電位(最低電位)に接続される。端子ピン48aは、ソースパッド21aの電位を外部に取り出す外部接続用端子である。第1,2保護膜49a,50aは例えばポリイミド(polyimide)膜である。第1保護膜49aは、ソースパッド21aの表面のめっき膜47a以外の部分を覆う。第2保護膜50aは、めっき膜47aと第1保護膜49aとの境界を覆う。
ドレイン電極51は、半導体基板10の裏面(n+型出発基板71の裏面)全面にオーミック接触している。ドレイン電極51上には、例えば、Ti膜、ニッケル(Ni)膜および金(Au)膜を順に積層した積層構造でドレインパッド(電極パッド:不図示)が設けられている。ドレインパッドは、絶縁基板の例えば銅(Cu)箔等で形成された金属ベース板(不図示)にはんだ接合され、当該金属ベース板を介して冷却フィン(不図示)のベース部に少なくとも一部が接触している。
このように半導体基板10のおもて面のソースパッド21aに端子ピン48aを接合し、かつ裏面のドレインパッドを絶縁基板の金属ベース板に接合することで、半導体基板10は両主面それぞれに冷却構造を備えた両面冷却構造となっている。半導体基板10で発生した熱は、半導体基板10の裏面のドレインパッドに接合された金属ベース板を介して冷却フィンのフィン部から放熱され、かつ半導体基板10のおもて面の端子ピン48aを接合した金属バーから放熱される。
電流センス部12は、メイン半導体素子11の対応する各部と同じ構成のp型ベース領域34b、n+型ソース領域35b、p++型コンタクト領域36b、トレンチ37b、ゲート絶縁膜38b、ゲート電極39bおよび層間絶縁膜40を備える。電流センス部12のMOSゲートの各部は、メイン無効領域1bのセンス有効領域12aに設けられている。p型ベース領域34bは、半導体基板10のおもて面の表面領域のn-型領域32aにより、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aと分離されている。
p型ベース領域34bは、例えばセンス有効領域12aからメイン無効領域1bのほぼ全域に延在している。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同様に、n型電流拡散領域33bおよび第1,2p+型領域61b,62bを有していてもよい。p++型コンタクト領域36bは、メイン半導体素子11と同様に、設けられていなくてもよい。すべての単位セルのゲート電極39bは、ゲートパッド21b(図1参照)に電気的に接続されている。ゲート電極39bは、層間絶縁膜40に覆われている。
センス有効領域12aにおいて層間絶縁膜40には、深さ方向Zに貫通して半導体基板10に達する第2コンタクトホール40bが設けられ、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bが露出されている。センス有効領域12aにおいて半導体基板10のおもて面には、メイン半導体素子11と同様に、NiSi膜41bおよびバリアメタル46bが設けられている。符号42b~45bは、それぞれバリアメタル46bを構成する第1TiN膜、第1Ti膜、第2TiN膜および第2Ti膜である。
NiSi膜41bは、第2コンタクトホール40bの内部において半導体基板10にオーミック接触し、n+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bに電気的に接続されている。p++型コンタクト領域36bが設けられていない場合、p++型コンタクト領域36bに代えて、p型ベース領域34bが第2コンタクトホール40bに露出され、NiSi膜41bに電気的に接続される。バリアメタル46bは、センス無効領域12bにおける層間絶縁膜40上に延在している。
バリアメタル46bの表面全面に、ソースパッド21aと離れて、OCパッド22が設けられている。OCパッド22は、バリアメタル46bおよびNiSi膜41bを介してn+型ソース領域35bおよびp型ベース領域34bに電気的に接続されている。OCパッド22は、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。OCパッド22、バリアメタル46bおよびNiSi膜41bは、電流センス部12のソース電極として機能する。
OCパッド22上に、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン48bが接合される。端子ピン48bは、端子ピン48aよりも小さい直径を有する丸棒状(円柱状)の配線部材である。端子ピン48bは、例えばOCパッド22の電位を外部に取り出す外部接続用端子であり、外部の抵抗体(不図示)を介してOCパッド22を接地電位に接続する。符号47b,49b,50bは、それぞれOCパッド22上の配線構造を構成するめっき膜および第1,2保護膜である。
メイン有効領域1aのp型ベース領域34aおよびセンス有効領域12aのp型ベース領域34bは、半導体基板10の表面領域の図示省略するn-型領域により、素子分離のためのp型領域(不図示)と分離されている。素子分離のためのp型領域とは、エッジ終端領域2に活性領域1の周囲を囲む略矩形状に設けられ、活性領域1とエッジ終端領域2とを電気的に分離する寄生ダイオードをn-型ドリフト領域32とのpn接合で形成するフローティングのp型領域である。
温度センス部13は、メイン無効領域1bにおいて半導体基板10のおもて面の層間絶縁膜40上に順に積層された2つ以上の横型のポリシリコンダイオードで構成される。温度センス部13を構成するすべてのポリシリコンダイオードは、深さ方向Zにアノード領域同士が隣接し、かつ深さ方向Zにカソード領域同士が隣接するように積層されることで並列接続されている。ここでは、温度センス部13が2つの横型のポリシリコンダイオード80a,80bを積層した2層構造である場合を例に説明する(図3)。
下層のポリシリコンダイオード80aは、アノード領域であるp型ポリシリコン層81aとカソード領域であるn型ポリシリコン層82aとのpn接合で形成される。p型ポリシリコン層81aおよびn型ポリシリコン層82aは、半導体基板10のおもて面の層間絶縁膜40上に設けられている。上層のポリシリコンダイオード80bは、下層のポリシリコンダイオード80aと同じ不純物濃度であるか、好ましくは下層のポリシリコンダイオード80aよりも高不純物濃度であることがよい。
ここでは、上層のポリシリコンダイオード80bが下層のポリシリコンダイオード80aよりも高不純物濃度である場合を例に説明する。上層のポリシリコンダイオード80bは、アノード領域であるp+型ポリシリコン層81bとカソード領域であるn+型ポリシリコン層82bとのpn接合で形成される。p+型ポリシリコン層81bはp型ポリシリコン層81a上に積層され、p型ポリシリコン層81aに電気的に接続されている。
上層のp+型ポリシリコン層81bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径は、半導体基板10のおもて面側から見た結晶粒径(結晶粒の最大幅:以下、平面粒径とする。図4)、および半導体基板10のおもて面に平行な方向(半導体基板10の側面側)から見た結晶粒径(結晶粒の最大高さ:以下、断面粒径とする。図5)ともに、下層のp型ポリシリコン層81aのポリシリコン結晶粒の結晶粒径よりも大きい。
+型ポリシリコン層82bはn型ポリシリコン層82aの上に積層され、n型ポリシリコン層82aに電気的に接続されている。上層のn+型ポリシリコン層82bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径は、平面粒径および断面粒径ともに、下層のn型ポリシリコン層82aのポリシリコン結晶粒の結晶粒径よりも大きい。ポリシリコンダイオード80bの上にさらにポリシリコンダイオードを積層する場合、上層のポリシリコンダイオードほどポリシリコン結晶粒の平面粒径および断面粒径を大きくすればよい。
このように温度センス部13を構成するポリシリコン層のポリシリコン結晶粒の平面粒径および断面粒径を設定することで、上層のポリシリコンダイオード80bは、下層のポリシリコンダイオード80aよりも結晶粒1粒あたりのポリシリコン結晶粒の表面積が広くなり、低抵抗となるため、下層のポリシリコンダイオード80aよりも順方向電圧特性のばらつきが小さくなる。したがって、温度センス部13の順方向電圧印加時、温度センス部13を流れる電流は主に上層のポリシリコンダイオード80bを流れる。
上層のポリシリコンダイオードほど低抵抗となる。その理由は、次のとおりである。ポリシリコン層は、異なる結晶方位に配向した複数のポリシリコン結晶粒を有する。図4,5には、1つの矩形で1つのポリシリコン結晶粒を示している。ポリシリコン結晶粒の結晶粒界(互いに隣接するポリシリコン結晶粒の境界)84a,84bに、ポリシリコン層を所定の導電型(p型またはn型)にするためにイオン注入されたイオン種が導入されることで、同導電型同士の同じ材料(ポリシリコン)間の接合(ホモ接合)が形成される。
具体的には、p型ポリシリコン層81aおよびp+型ポリシリコン層81bには、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界に、それぞれpp型およびp++型のホモ接合が形成される。n型ポリシリコン層82aおよびn+型ポリシリコン層82bには、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界に、それぞれnn型およびn++型のホモ接合が形成される。このホモ接合が形成されることで、互いに隣り合うポリシリコン結晶粒間にわたって当該ポリシリコン結晶粒の結晶粒界を含む領域が所定幅で空乏化し、バンドの曲がりが発生する。
p型ポリシリコン層81aおよびp+型ポリシリコン層81bにおいて、バンドの曲がりとは、価電子帯頂上のエネルギー準位Evが所定勾配で減少し、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界で最小値を示している状態である。n型ポリシリコン層82aおよびn+型ポリシリコン層82bにおいて、バンドの曲がり85a,85bとは、伝導帯底のエネルギー準位Ecが所定勾配で増加し、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界で最大値を示している状態である。
図6,7および図8には、それぞれn型ポリシリコン層82aおよびn+型ポリシリコン層82bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界84a,84bでのバンド図を示す。図示省略するが、p型ポリシリコン層81aおよびp+型ポリシリコン層81bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界でのバンド図は、図6~8それぞれにおいて価電子帯頂上のエネルギー準位Evを、伝導帯底のエネルギー準位Ecを上下反転させた形状にしたものである。符号Efはフェルミエネルギーである。
このバンドの曲がりは、すべてのポリシリコン結晶粒において、半導体基板10のおもて面に平行な方向に隣り合うポリシリコン結晶粒との結晶粒界にも、深さ方向Zに隣り合うポリシリコン結晶粒との結晶粒界にも生じる。バンドの曲がりによってポリシリコン結晶粒の結晶粒界に形成される空乏層は、ポリシリコン層内を移動するキャリア(正孔、電子)のエネルギー障壁となる。このため、ポリシリコン層内のポリシリコン結晶粒の結晶粒界が少ないほど、ポリシリコンダイオードの低抵抗化が可能である。
また、ポリシリコン層のキャリア濃度を高くするほど、バンドの曲がりが急峻になりポリシリコン結晶粒の結晶粒界に形成される空乏層の幅が狭くなる(図6~8の符号wa,wb)。これにより、比較的小さいエネルギーで当該空乏層が突き抜けるトンネル電流の経路が形成され、互いに隣り合うポリシリコン結晶粒間をキャリアが移動可能であり、エネルギー障壁の影響を受けにくい。これにより、ポリシリコンダイオードをさらに低抵抗化可能であるため、上層のポリシリコンダイオードほどキャリア濃度が高いことがよい。
具体的には、上層のポリシリコンダイオード80bのp+型ポリシリコン層81bおよびn+型ポリシリコン層82bは、それぞれ、下層のポリシリコンダイオード80aのp型ポリシリコン層81aおよびn型ポリシリコン層82aよりもポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きい。このため、上層のポリシリコンダイオード80bは、下層のポリシリコンダイオード80aと比べて、ポリシリコン結晶粒の個数が少なく、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界84bが少ない。
それに加えて、上層のp+型ポリシリコン層81bは、下層のp型ポリシリコン層81aと比べて、p型不純物濃度が高いことで、バンドの曲がりによってポリシリコン結晶粒の結晶粒界84bに形成される空乏層の幅が狭くなっていることがよい。上層のn+型ポリシリコン層82bは、下層のn型ポリシリコン層82aと比べて、n型不純物濃度が高いことで、バンドの曲がりによってポリシリコン結晶粒の結晶粒界84bに形成される空乏層の幅wbが狭くなっていることがよい(wa>wb)。
このように、上層のポリシリコンダイオード80bは、バンドの曲がりの発生個所が少ないため、下層のポリシリコンダイオード80aよりも低抵抗となる。また、上層のポリシリコンダイオード80bは、キャリア濃度(不純物濃度)が高いことで、エネルギー障壁の影響を受けにくく、下層のポリシリコンダイオード80aよりも低抵抗となる。上層のポリシリコンダイオード80bの、順方向電流の流れない部分に、バンドの曲がりによって生じる空乏層の幅が広くなっている部分が存在してもよい。
また、ポリシリコン結晶粒との結晶粒界ごとにバンドの曲がりでのエネルギー準位の大きさが異なることが、ポリシリコンダイオードの順方向電圧特性をばらつかせる要因の一つとなっている。したがって、上述したように上層のポリシリコンダイオード80bは、下層のポリシリコンダイオード80aと比べてバンドの曲がりの発生個所が少なくなっていることで、下層のポリシリコンダイオード80aと比べて順方向電圧特性のばらつきを抑制することができる。
また、ポリシリコンダイオードを構成する各ポリシリコン層はそれぞれ不純物濃度が一様である。この各ポリシリコン層とは、p型ポリシリコン層81a、n型ポリシリコン層82a、p+型ポリシリコン層81bおよびn+型ポリシリコン層82bである。不純物濃度が一様とは、プロセスのばらつきの許容誤差を含む範囲でポリシリコン層全体(順方向電流の流れない部分を除いてもよい)にわたって同じ不純物濃度であることを意味する。次の理由により各ポリシリコン層の不純物濃度をそれぞれ一様にすることができる。
ポリシリコンダイオードを構成する各ポリシリコン層には、後述するように所定の導電型(p型またはn型)で所定の不純物濃度を満たすように所定のイオン種がイオン注入される。イオン注入されたイオン種はポリシリコン結晶粒の面内(結晶粒界以外の部分)に導入されるが、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界に発生するバンドの曲がりによって、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界にポテンシャルの勾配(電位変化)が発生し、このポテンシャルの勾配によりポリシリコン結晶粒の結晶粒界にイオン種が吸い込まれる。
ポリシリコン結晶粒の結晶粒界にイオン種が吸い込まれることで、ポリシリコン結晶粒の面内のイオン種が減少し、ポリシリコン結晶粒の面内と結晶粒界とで不純物濃度差が生じる。また、ポリシリコン結晶粒の面内の不純物濃度を本来必要な所定の不純物濃度にすることができない。これによって、ポリシリコン結晶粒の面内の不純物濃度に依存する温度センス部13の順方向電圧特性のばらつきが大きくなる。ポリシリコン結晶粒の結晶粒界が大きいほど、ポリシリコン層の厚さが薄いほど、この問題が生じやすい。
例えば、上層のポリシリコンダイオード80bは、ポリシリコン結晶粒の平面粒径が大きく、イオン注入されたイオン種をポリシリコン結晶粒の面内に安定して留めやすいが、ポリシリコン結晶粒の断面粒径も深さ方向Zに大きくなる。例えば1つのポリシリコン結晶粒の断面粒径の大きさがポリシリコン層の厚さ程度になる場合もあり(図5参照)、イオン注入されたイオン種がポリシリコン結晶粒の結晶粒界に沿ってポリシリコン層を突き抜けてしまい、すべてのイオン種をポリシリコン層内に留めておけない。
そこで、本実施の形態においては、上層のポリシリコンダイオード80bよりもポリシリコン結晶粒の結晶粒径の小さい下層のポリシリコンダイオード80aの上に上層のポリシリコンダイオード80bが形成される。このため、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界にイオン注入されたイオン種は、上層のポリシリコンダイオード80bと下層のポリシリコンダイオード80aとの間で止まるため、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界に留まりやすい。
このように、イオン注入されたイオン種がポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界に沿ってポリシリコンダイオード80bを突き抜けない。このため、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒界でイオン種を留めて所定の不純物濃度を安定して維持することができる。それに加えて、高ドーズ量のイオン注入とすることで、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の面内においても所定の不純物濃度が安定して維持される。
また、上層のポリシリコンダイオード80bの形成時、下層のポリシリコンダイオード80aから導電型不純物が一部外方拡散されるが、この導電型不純物は上層のポリシリコンダイオード80bへ拡散され、ポリシリコンダイオード80a,80bの外方へは拡散されにくい。そして、上層のポリシリコンダイオード80bには高ドーズ量でイオン種をイオン注入することで、下層のポリシリコンダイオード80aから上層のポリシリコンダイオード80bへの導電型不純物の外方拡散は少なくすることができる。
したがって、下層のポリシリコンダイオード80aの所定の不純物濃度も安定して確保される。下層のポリシリコンダイオード80aの所定の不純物濃度が確保されることで、上層のポリシリコンダイオード80bの形成時、上層のポリシリコンダイオード80bは、下層のポリシリコンダイオード80aからも導電型不純物を確保することができる。これによって、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度を一様にすることができる。
このように、ポリシリコンダイオードを構成する各ポリシリコン層は、それぞれの不純物濃度を安定して一様にすることができることで、ポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度が一様になる。このため、ホモ接合によるバンドの曲がりが小さくなり、順方向電流の大きさに依らずエネルギー障壁が小さくなるため、順方向電圧特性のばらつきがさらに抑制される。したがって、温度センス部13全体の順方向電圧特性のばらつきも抑制される。
この温度センス部13の順方向電圧特性のばらつきを抑制する効果は、例えばポリシリコンダイオード80a,80bの総厚さが0.5μm以下程度のときに顕著にあらわれることが発明者により確認されている。下層のポリシリコンダイオード80aは、上層のポリシリコンダイオード80bの形成時に、上層のポリシリコンダイオード80bにイオン注入されたイオン種を上述したように上層のポリシリコンダイオード80b内に留めておくことができる程度の厚さがあればよく、可能な限り薄いことが好ましい。
上層のポリシリコンダイオード80bの厚さは、下層のポリシリコンダイオード80aの厚さ以上である。下層のポリシリコンダイオード80aのポリシリコン結晶粒の結晶粒径は、例えば0.01μm以上程度で、かつ上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径未満である。上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径は、例えば0.2μm以上0.5μm未満程度であり、好ましくは0.3μm以下程度である。
下層のポリシリコンダイオード80aのポリシリコン結晶粒の結晶粒径が上記下限値未満である場合、ポリシリコンダイオード80aの断面抵抗が高くなり、その結果、ポリシリコンダイオード80aのp型ポリシリコン層81a(アノード領域)からのキャリア注入量とn型ポリシリコン層82a(カソード領域)からのキャリア注入量とにばらつきが発生し、順方向電圧のばらつきが大きくなる。下層のポリシリコンダイオード80aのポリシリコン結晶粒の結晶粒径を上記上限値未満とすることで、上述したように上層のポリシリコンダイオード80bへの所定の導電型不純物のイオン注入時に、上層のポリシリコンダイオード80bを突き抜けたイオン種を止めることができる。
上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径を上記下限値以上とすることで、温度センス部13の順方向電圧特性のばらつきを抑制する効果が得られる。また、複数の半導体素子の集積化に伴い、半導体基板10のおもて面のステップカバレッジが悪くなっていることから、上層のポリシリコンダイオード80bの厚さは可能な限り薄いことがよい。このため、上層のポリシリコンダイオード80bのポリシリコン結晶粒の結晶粒径は小さいほどよい。
層間絶縁膜83は、層間絶縁膜40上に積層され、ポリシリコンダイオード80a,80bを覆う。層間絶縁膜40,83により、ポリシリコンダイオード80a,80bと、半導体基板10、メイン半導体素子11および電流センス部12と、が電気的に絶縁されている。アノードパッド23aは、層間絶縁膜83の第3コンタクトホール83aにおいてp+型ポリシリコン層81bに接し、p+型ポリシリコン層81bおよびp型ポリシリコン層81aに電気的に接続されている。
カソードパッド23bは、層間絶縁膜83の第4コンタクトホール83bにおいてn+型ポリシリコン層82bに接し、n+型ポリシリコン層82bおよびn型ポリシリコン層82aに電気的に接続されている。アノードパッド23aおよびカソードパッド23bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。アノードパッド23a上およびカソードパッド23b上には、それぞれ、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で端子ピン48c,48dが接合されている。
端子ピン48c,48dは、それぞれアノードパッド23aおよびカソードパッド23bの電位を外部に取り出す外部接続用端子であり、温度センス部13の電流能力に応じた所定の直径を有する丸棒状の配線部材である。符号47c,47dは、それぞれアノードパッド23a上の配線構造およびカソードパッド23b上の配線構造を構成するめっき膜である。符号49c,50cは、それぞれ温度センス部13上の配線構造を構成する第1,2保護膜である。温度センス部13にバリアメタルは設けられていない。
また、メイン無効領域1bには、メイン半導体素子11のゲートパッド21bを配置したゲートパッド部14が設けられている(図1参照)。ゲートパッド21bは、メイン無効領域1bにおける層間絶縁膜40上に、他の電極パッドと離れて設けられている。ゲートパッド21bは、例えば、ソースパッド21aと同じ材料で、ソースパッド21aと同時に形成される。ゲートパッド21b上には、ソースパッド21a上の配線構造と同じ配線構造で、端子ピン(不図示)が接合されている。
実施の形態にかかる半導体装置20の動作について説明する。メイン半導体素子11のソース電極(ソースパッド21a)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極51に印加された状態で、メイン半導体素子11のゲート電極39aにゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、メイン半導体素子11のp型ベース領域34aのトレンチ37aに沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、メイン半導体素子11のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35aへ向かって電流が流れ、メイン半導体素子11がオンする。
メイン半導体素子11と同じ条件で、電流センス部12のソース電極(OCパッド22)に対して正の電圧(順方向電圧)がドレイン電極51に印加された状態で、電流センス部12のゲート電極39bにゲート閾値電圧以上の電圧が印加されると、電流センス部12のp型ベース領域34bのトレンチ37bに沿った部分にチャネル(n型の反転層)が形成される。それによって、電流センス部12のn+型ドレイン領域31からn+型ソース領域35bへ向かって電流(以下、センス電流とする)が流れ、電流センス部12がオンする。
メイン半導体素子11のオン時に、電流センス部12をオンさせた状態とする。電流センス部12にセンス電流が流れることで、電流センス部12のn+型ソース領域35bと接地点との間に接続された抵抗体(不図示)で電圧降下が生じる。メイン半導体素子11に流れる電流の大きさに応じて電流センス部12のセンス電流が大きくなるため、当該抵抗体での電圧降下も大きくなる。したがって、この抵抗体での電圧降下の大きさを監視することで、メイン半導体素子11での過電流を検知可能である。
一方、メイン半導体素子11は、ゲート電極39aにゲート閾値電圧未満の電圧が印加されたときに、第1,2p+型領域61a,62aとn型電流拡散領域33aおよびn-型ドリフト領域32とのpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。電流センス部12のゲート電極39bにもゲート閾値電圧未満の電圧が印加され、電流センス部12は、第1,2p+型領域61b,62bとn型電流拡散領域33bおよびn-型ドリフト領域32とのpn接合が逆バイアスされることで、オフ状態を維持する。
また、実施の形態にかかる半導体装置20の動作時、温度センス部13には、常時、アノードパッド23aから、アノード領域(p型ポリシリコン層81aおよびp+型ポリシリコン層81b)とカソード領域(n型ポリシリコン層82aおよびn+型ポリシリコン層82b)とのpn接合を経てカソードパッド23bへ向かって順方向電流を流し続ける。温度センス部13の順方向電流Ifと順方向電圧Vfとの関係を示す曲線(順方向電圧特性)は温度に依存し、高温度になるほど順方向電圧Vfが小さくなる。
そこで、温度センス部13の順方向電圧特性を予め取得して例えば記憶部(不図示)に保存しておく。実施の形態にかかる半導体装置20の動作時、例えば、演算回路部によって、常温(例えば25℃程度)での温度センス部13のアノードパッド23aとカソードパッド23bとの間で生じる順方向電圧Vf(温度センス部13での電圧降下)を監視し続ける。温度センス部13の順方向電圧Vfの変化により、メイン半導体素子11の温度(半導体基板10の温度)変化を検出することができる。
メイン半導体素子11の温度は、予め取得した温度センス部13の順方向電圧特性と、温度センス部13に常時流し続けている順方向電流If(例えば200μA程度)と、に基づいて確認することができる。温度センス部13の順方向電圧Vfの電圧値が常温時(例えば1V程度)から低下して例えば0.5V程度となったときに、半導体基板10に高温度(例えば160℃程度)の部分が生じているため、演算回路部によってメイン半導体素子11へのゲート電圧の供給を停止して、メイン半導体素子11の動作を停止する。
次に、実施の形態にかかる半導体装置20の製造方法について説明する。図9~18は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図9~14には、メイン半導体素子11の製造途中の状態のみを示すが、同一の半導体基板10に作製される半導体素子(図1~3を参照)の各部はメイン半導体素子11の各部と同じ不純物濃度および深さの各部と同時に形成される。図15~18には、温度センス部13の製造途中の状態を示す。
まず、図9に示すように、炭化珪素からなるn+型出発基板(半導体ウエハ)71として、例えば窒素(N)ドープの炭化珪素単結晶基板を用意する。次に、n+型出発基板71のおもて面に、n+型出発基板71よりも低濃度に窒素がドープされたn-型炭化珪素層72をエピタキシャル成長させる。メイン半導体素子11が耐圧3300Vクラスである場合、n-型炭化珪素層72の厚さt1は、例えば30μm程度であってもよい。
次に、図10に示すように、フォトリソグラフィおよび例えばAl等のp型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aにおいてn-型炭化珪素層72の表面領域に、第1p+型領域61aおよびp+型領域91をそれぞれ選択的に形成する。第1p+型領域61aおよびp+型領域91は、例えば、半導体基板10に平行な一方向Y(横方向:図2,3参照)に交互に繰り返し配置される。
次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素等のn型不純物のイオン注入により、メイン有効領域1aの全域にわたってn-型炭化珪素層72の表面領域にn型領域92を形成する。n型領域92は、第1p+型領域61aとp+型領域91との間に、これらp+型領域61a,91に接して形成される。n型領域92と、p+型領域61a,91と、の形成順序を入れ替えてもよい。
互いに隣り合うp+型領域61a,91間の距離d2は例えば1.5μm程度である。p+型領域61a,91は、例えば深さd1および不純物濃度がそれぞれ0.5μm程度および5.0×1018/cm3程度である。n型領域92の深さd3および不純物濃度は、例えば、それぞれ0.4μm程度および1.0×1017/cm3程度である。n-型炭化珪素層72の、イオン注入されていない部分がn-型ドリフト領域32となる。
次に、図11に示すように、n-型炭化珪素層72上にさらに例えば窒素等のn型不純物をドープしたn-型炭化珪素層を例えば0.5μm程度の厚さt2でエピタキシャル成長させて、n-型炭化珪素層72の厚さを厚くする。これによって、n-型炭化珪素層72の厚さが所定厚さになる。n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aの不純物濃度は、例えば3×1015/cm3であってもよい。
次に、フォトリソグラフィおよびAl等のp型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、p+型領域91に達するp+型領域93を選択的に形成する。次に、フォトリソグラフィおよび例えば窒素などのn型不純物のイオン注入により、n-型炭化珪素層72の厚さを増した部分72aに、n型領域92に達するn型領域94を選択的に形成する。
これによって、深さ方向Zに隣接するp+型領域91,93同士が連結されて第2p+型領域62aが形成される。深さ方向Zに隣接するn型領域92,94同士が連結されてn型電流拡散領域33aが形成される。p+型領域93およびn型領域94の不純物濃度等の条件は、例えばそれぞれp+型領域91およびn型領域92と同様である。p+型領域93とn型領域94との形成順序を入れ替えてもよい。
次に、図12に示すように、n-型炭化珪素層72上に、例えばAl等のp型不純物をドープしたp型炭化珪素層73をエピタキシャル成長させる。p型炭化珪素層73の厚さt3および不純物濃度は、例えば、それぞれ1.3μm程度および4.0×1017/cm3程度である。ここまでの工程により、n+型出発基板71上にn-型炭化珪素層72およびp型炭化珪素層73を順に積層した半導体基板10(半導体ウエハ)が作製される。
次に、フォトリソグラフィおよびイオン注入を1組とする工程を異なる条件で繰り返し行い、メイン有効領域1aにおいてp型炭化珪素層73の表面領域に、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aをそれぞれ選択的に形成する。メイン有効領域1aのp型炭化珪素層73の、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aと、n-型炭化珪素層72と、の間の部分がp型ベース領域34aとなる。
次に、イオン注入で形成した拡散領域(第1,2p+型領域61a,62a、n型電流拡散領域33a、n+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36a)について、例えば1700℃程度の温度で2分間程度の熱処理(活性化アニール)により不純物活性化を行う。活性化アニールは、すべての拡散領域の形成後にまとめて1回行ってもよいし、イオン注入により拡散領域を形成するごとに行ってもよい。
次に、図13に示すように、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、半導体基板10のおもて面からn+型ソース領域35aおよびp型ベース領域34aを貫通してn型電流拡散領域33aに達し、深さ方向Z(縦方向:図3,4参照)に第1p+型領域61aに対向するトレンチ37aを形成する。トレンチ37aは、例えば、第1p+型領域61aに達して、第1p+型領域61aの内部で終端してもよい。
次に、図14に示すように、半導体基板10のおもて面およびトレンチ37aの内壁に沿ってゲート絶縁膜38aを形成する。ゲート絶縁膜38aは、例えば、酸素(O2)雰囲気中において1000℃程度の温度で半導体表面を熱酸化することで形成した熱酸化膜であってもよいし、高温酸化(HTO:High Temperature Oxide)による堆積膜であってもよい。
次に、トレンチ37aの内部に埋め込むように、半導体基板10のおもて面に例えばリン(P)ドープのポリシリコン層を堆積(形成)する。次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、当該ポリシリコン層を選択的に除去して、当該ポリシリコン層の、ゲート電極39aとなる部分のみをトレンチ37aの内部に残す。
また、上述したようにメイン半導体素子11のMOSゲートの各部を形成する際に、同一の半導体基板10に作製される半導体素子(電流センス部12、過電圧保護部(不図示)および演算回路部(不図示)等の高機能部:図3,4参照)の各部について、メイン半導体素子11の各部と同じ不純物濃度や深さの各部と同時に形成すればよい。
メイン半導体素子11は、半導体基板10のおもて面の表面領域に形成された島状のp型ベース領域34a内に配置することで、p型ベース領域34aとn-型ドリフト領域32とのpn接合分離により、同一の半導体基板10に作製される他の半導体素子と分離される。電流センス部12は、メイン半導体素子11と同じ構造で、半導体基板10のおもて面の表面領域に形成された島状のp型ベース領域34b内に配置すればよい。
次に、ゲート電極39aを覆うように、半導体基板10のおもて面全面に、例えばBPSG(Boro Phospho Silicate Glass)等やPSG(Phospho Silicate Glass)等の層間絶縁膜40を例えば1μmの厚さで形成する。
次に、図15に示すように、メイン無効領域1bにおいて層間絶縁膜40上に、例えば500℃以上630℃以下程度の温度環境下でポリシリコン層101を堆積(形成)する。ポリシリコン層101は、後の工程で形成されるn型ポリシリコン層82aの不純物濃度以下でn型不純物がドープされていてもよいし、ノンドープであってもよい。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、ポリシリコン層101を選択的に除去して、ポリシリコン層101の、ポリシリコンダイオード80aとなる部分を残す。次に、ポリシリコン層101の上に、ポリシリコンダイオード80aのアノード領域となるp型ポリシリコン層81aの形成領域に対応する部分を開口したイオン注入用マスク102を形成する。
次に、イオン注入用マスク102を用いて例えばボロン(B)等のp型不純物(イオン種)をイオン注入103して、ポリシリコン層101の内部にp型ポリシリコン層81aを選択的に形成する。イオン注入103のドーズ量は例えば1×1015/cm2程度であってもよい。そして、イオン注入用マスク102を除去する。
次に、図16に示すように、ポリシリコン層101の上に、ポリシリコンダイオード80aのカソード領域となるn型ポリシリコン層82aの形成領域に対応する部分を開口したイオン注入用マスク104を形成する。次に、イオン注入用マスク104を用いて例えばヒ素(As)等のn型不純物(イオン種)をイオン注入105して、ポリシリコン層101の内部に、n型ポリシリコン層82aを選択的に形成する。
ここまでの工程により、ポリシリコン層101に、p型ポリシリコン層81aとn型ポリシリコン層82aとのpn接合によるポリシリコンダイオード80aが形成される。イオン注入105のドーズ量は、例えば5×1015/cm2程度であってもよい。ポリシリコン層101がn型ポリシリコン層82aと同じ不純物濃度である場合、イオン注入用マスク104の形成およびイオン注入105は省略する。そして、イオン注入用マスク104を除去する。
次に、図17に示すように、ポリシリコン層101(すなわちポリシリコンダイオード80a)の上にポリシリコン層106を堆積(形成)して積層する。ポリシリコン層106は、後の工程で形成されるn+型ポリシリコン層82bの不純物濃度以下でn型不純物がドープされていてもよいし、ノンドープであってもよい。
ポリシリコン層106は、下層のポリシリコン層101の堆積時の温度よりも高く、かつ例えば520℃以上650℃以下程度の温度環境下で堆積する。具体的には、ポリシリコン層106の堆積時の温度は、ポリシリコン層101の堆積時の温度よりも例えば100℃程度高いことがよい。
ポリシリコン層106の堆積時の温度を、ポリシリコン層101の堆積時の温度よりも高くすることで、ポリシリコン層106のポリシリコン結晶粒の結晶粒径を、平面粒径および断面粒径ともにポリシリコン層101のポリシリコン結晶粒の結晶粒径よりも大きくすることができる。
また、ポリシリコン層106は、可能な限り時間を空けずにポリシリコン層101上に堆積することがよい。その理由は、ポリシリコン層106の堆積前に、ポリシリコン層101の表面が自然酸化され、この自然酸化膜によって、ポリシリコン層101とポリシリコン層106とが電気的に絶縁されてしまう虞があるからである。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、ポリシリコン層106を選択的に除去して、ポリシリコン層106の、ポリシリコンダイオード80bとなる部分を残す。次に、ポリシリコン層106の上に、ポリシリコンダイオード80bのアノード領域となるp+型ポリシリコン層81bの形成領域に対応する部分を開口したイオン注入用マスク107を形成する。
次に、イオン注入用マスク107を用いて例えばボロン等のp型不純物(イオン種)をイオン注入108して、深さ方向にポリシリコン層106を貫通してp型ポリシリコン層81aに達するp+型ポリシリコン層81bを形成する。イオン注入108のドーズ量は、p型ポリシリコン層81aを形成するためのイオン注入103のドーズ量と同じか、好ましくはイオン注入103のドーズ量よりも多いことがよい。そして、イオン注入用マスク107を除去する。
次に、図18に示すように、ポリシリコン層106の上に、ポリシリコンダイオード80bのカソード領域となるn+型ポリシリコン層82bの形成領域に対応する部分を開口したイオン注入用マスク109を形成する。次に、イオン注入用マスク109を用いて例えばヒ素等のn型不純物(イオン種)をイオン注入110して、深さ方向にポリシリコン層106を貫通してn型ポリシリコン層82aに達するn+型ポリシリコン層82bを選択的に形成する。ポリシリコン層106がn+型ポリシリコン層82bと同じ不純物濃度である場合、イオン注入用マスク109の形成およびイオン注入110は省略してもよい。
ここまでの工程により、ポリシリコン層106に、p+型ポリシリコン層81bとn+型ポリシリコン層82bとのpn接合によるポリシリコンダイオード80bが形成される。イオン注入110のドーズ量は、n型ポリシリコン層82aを形成するためのイオン注入105のドーズ量と同じか、好ましくはイオン注入105のドーズ量よりも多いことがよい。
ポリシリコン層106がn+型ポリシリコン層82bと同じ不純物濃度である場合、イオン注入用マスク109の形成およびイオン注入110は省略する。そして、イオン注入用マスク109を除去する。これによって、ポリシリコンダイオード80a,80bによる温度センス部13が形成される。次に、温度センス部13を覆う層間絶縁膜83を形成する。
次に、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、深さ方向Zに層間絶縁膜40およびゲート絶縁膜38aを貫通する第1,2コンタクトホール40a,40bを形成する。深さ方向Zに層間絶縁膜83を貫通する第3,4コンタクトホール83a,83bを形成する。第1コンタクトホール40aには、メイン半導体素子11のn+型ソース領域35aおよびp++型コンタクト領域36aを露出させる。
第2コンタクトホール40bには、電流センス部12のn+型ソース領域35bおよびp++型コンタクト領域36bを露出させる。第3,4コンタクトホール83a,83bには、それぞれ温度センス部13のp+型ポリシリコン層81bおよびn+型ポリシリコン層82bを露出させる。次に、熱処理により層間絶縁膜40,83を平坦化(リフロー)する。
次に、層間絶縁膜40のみを覆う第1TiN膜42aを形成する。次に、半導体基板10のおもて面の、第1コンタクトホール40aに露出される部分にNiSi膜41aを形成する。次に、NiSi膜41aおよび第1TiN膜42aを覆うように、第1Ti膜43a、第2TiN膜44aおよび第2Ti膜45aを順に積層してバリアメタル46aを形成する。次に、第2Ti膜45a上にソースパッド21aを堆積する。
また、第2コンタクトホール40b内にも、NiSi膜41aおよびバリアメタル46aと同時に、これらの金属膜と同じ構成で、それぞれNiSi膜41bおよびバリアメタル46bを形成する。第2~4コンタクトホール40b,83a,83b内にも、ソースパッド21aと同時に、ソースパッド21aと同じ構成で、それぞれ、OCパッド22、アノードパッド23aおよびカソードパッド23bを形成する。
また、半導体基板10の裏面にオーミック接触するドレイン電極51を形成し、ドレイン電極51の表面に例えばTi膜、Ni膜および金(Au)膜を順に積層してドレインパッド(不図示)を形成する。
次に、半導体基板10のおもて面にポリイミドからなる第1保護膜49a~49cを選択的に形成し、これら第1保護膜49a~49cの開口部にそれぞれ異なる各電極パッド21a,22,23a,23bを露出させる。次に、一般的なめっき前処理の後、一般的なめっき処理により、電極パッド21a,22,23a,23bの、第1保護膜49a~49cの開口部に露出する部分にめっき膜47a~47dを形成する。
次に、熱処理(ベーク)によりめっき膜47a~47dを乾燥させる。次に、ポリイミドからなる第2保護膜50a~50cを形成し、めっき膜47a~47dと第1保護膜49a~49cとの各境界を覆う。次に、熱処理(キュア)によりポリイミド膜(第1保護膜49a~49cおよび第2保護膜50a~50c)の強度を向上させる。次に、めっき膜47a~47d上に、それぞれはんだ層により端子ピン48a~48dを接合する。
図示省略するが、ゲートパッド21bの上にも、電極パッド21a,22,23a,23b上の配線構造と同時に、第1保護膜、めっき膜および第2保護膜を順に形成し、はんだ層により端子ピンを接合した配線構造を形成する。その後、半導体基板10(半導体ウエハ)をダイシング(切断)して個々のチップ状に個片化することで、図1~8に示す半導体装置20が完成する。
以上、説明したように、実施の形態によれば、温度センス部を、横型のポリシリコンダイオードを複数積層した多層構造とし、上層のポリシリコンダイオードほどポリシリコン結晶粒の結晶粒径を大きくする。上層のポリシリコンダイオードは、下層のポリシリコンダイオードと比べて、ポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きいことで、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界が少ない。このため、上層のポリシリコンダイオードは、下層のポリシリコンダイオードと比べて、ホモ接合によるバンドの曲がりによってポリシリコン結晶粒の結晶粒界に生じエネルギー障壁となる空乏層が少なく、低抵抗で順方向電流が流れやすい。
温度センス部において主に上層のポリシリコンダイオードに順方向電流が流れるため、単層構造のポリシリコンダイオードを温度センス部とする従来構造(図21参照)と比べて、順方向電圧特性のばらつきが抑制される。これにより、温度センス部による温度検出精度を向上させることができるため、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、上層のポリシリコンダイオードは、高不純物濃度とするほど、ホモ接合によるバンドの曲がりによりポリシリコン結晶粒の結晶粒界に形成される空乏層の幅が狭くなり、キャリアが空乏層によるエネルギー障壁の影響を受けにくくすることができる。
また、実施の形態によれば、温度センスを、上層ほどポリシリコン結晶粒の結晶粒径を大きくしたポリシリコンダイオードの多層構造とすることで、上層のポリシリコンダイオードにイオン注入されたイオン種を、上層のポリシリコンダイオードと下層のポリシリコンダイオードとの間で止めて上層のポリシリコンダイオードに留めることができる。また、上層のポリシリコンダイオードの形成時、下層のポリシリコンダイオードから外方拡散した導電型不純物は、上層のポリシリコンダイオード側へ拡散され、温度センス部の外方へ拡散しにくい。
これによって、温度センス部を構成するポリシリコンダイオードの各ポリシリコン層の不純物濃度をそれぞれ一様にすることができる。これにより、温度センス部を構成する各ポリシリコンダイオードは、ポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度が一様になり、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界にホモ接合によって形成されるバンドの曲がりが小さくなる。温度センス部を構成する各ポリシリコンダイオードは、ポリシリコン結晶粒の結晶粒界にホモ接合によって形成されるバンドの曲がりが小さいことで、順方向電流の大きさに依らずキャリアのエネルギー障壁の影響を受けにくくなる。
また、従来構造では、半導体基板の半導体材料がシリコンである場合、半導体基板に180℃程度の温度の部分が生じていると、メイン半導体素子に大きなリーク電流(数百mA程度)が流れてしまう。このため、温度センス部をポリシリコンダイオードとした場合、メイン半導体素子を使用上限温度に近い温度(例えば170℃程度)以上の高温度で使用すると、ポリシリコンダイオードの順方向電圧特性のばらつきにより温度センス部による検出温度が数℃ずれただけで、メイン半導体素子に大きなリーク電流が流れ、メイン半導体素子がリーク電流だけで壊れてしまう。
半導体基板の半導体材料を高温特性に優れた炭化珪素とすることで、大きなリーク電流が流れたとしてもメイン半導体素子が壊れることはないが、高周波用デバイスや大電流動作用デバイスとして用いられると、メイン半導体素子の動作時に半導体基板の温度が瞬間的に温度上昇し、半導体基板に例えば300℃以上の温度になる部分が生じる。このため、半導体基板の内部温度分布のばらつきにより、ポリシリコンダイオードの順方向電圧特性のばらつきがさらに大きくなり、半導体基板内部の拡散領域で形成される拡散ダイオードと比べて温度検出精度がさらに低くなる。
一方、実施の形態によれば、半導体基板の半導体材料を炭化珪素として、かつ温度センス部をポリシリコンダイオードとしたとしても、温度センス部を構成する上層のポリシリコンダイオードがポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度が一様であることで、半導体基板の内部温度分布がばらついたとしても、上層のポリシリコンダイオードに常時一定量の順方向電流を流し続けることができる。このため、温度センス部の順方向電圧特性がばらつきにくく、従来構造と比べて温度検出精度を向上させることができる。
また、温度センス部を拡散ダイオードとした場合、温度センス部が半導体基板の内部の寄生動作の悪影響を受けて誤動作するため、半導体基板の内部の寄生動作による誤動作を回避するために、温度センス部を大きい面積(表面積)の領域に形成する必要がある。一方、実施の形態によれば、温度センス部をポリシリコンダイオードとすることで、温度センス部と半導体基板とが厚い酸化膜(層間絶縁膜)で電気的に絶縁されるため、半導体基板の内部の寄生動作による誤動作が生じない。したがって、温度センス部を縮小化することができる。
(実施例)
上述した実施の形態にかかる半導体装置20の温度センス部13(図3~8参照)の順方向電圧特性について検証した。図19は、実施例の順方向電圧特性を示す度数分布図である。図20は、従来例の順方向電圧特性を示す度数分布図である。上述した実施の形態にかかる半導体装置20の温度センス部13(以下、実施例とする)に所定の順方向電流Ifを流し続けた状態での、温度センス部13の順方向電圧Vfの度数分布を図19に示す。
比較として、従来の半導体装置220の温度センス部213(以下、従来例とする:図21参照)に実施例と同じ所定の順方向電流Ifを流し続けた状態での、温度センス部213の順方向電圧Vfの度数分布を図20に示す。従来例が実施例と異なる点は、上層のポリシリコンダイオード80bを備えない点である。従来例の温度センス部213の厚さは、実施例のポリシリコンダイオード80a,80bの総厚さと同じである。
図19,20に示す結果から、実施例は、従来例と比べて、測定される順方向電圧Vfの範囲が狭く限定され、順方向電圧特性のばらつきを抑制することができることが確認された。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、p型ポリシリコン層を堆積した後、n型不純物をイオン注入することでポリシリコンダイオードを形成してもよいし、n型ポリシリコン層を堆積した後、p型不純物をイオン注入することでポリシリコンダイオードを形成してもよい。また、炭化珪素を半導体材料にすることに代えて、炭化珪素以外のワイドバンドギャップ半導体やシリコンとした場合においても本発明を適用可能である。また、本発明は、導電型(n型、p型)を反転させても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、高電圧や大電流を制御するパワー半導体装置に有用である。
1 活性領域
1a メイン有効領域
1b メイン無効領域
2 エッジ終端領域
10 半導体基板
11 メイン半導体素子
12 電流センス部
12a センス有効領域
12b センス無効領域
13 温度センス部
14 ゲートパッド部
20 半導体装置
21a ソースパッド(電極パッド)
21b ゲートパッド(電極パッド)
22 OCパッド(電極パッド)
23a アノードパッド(電極パッド)
23b カソードパッド(電極パッド)
31 n+型ドレイン領域
32 n-型ドリフト領域
32a n-型領域
33a,33b n型電流拡散領域
34a,34b p型ベース領域
35a,35b n+型ソース領域
36a,36b p++型コンタクト領域
37a,37b トレンチ
38a,38b ゲート絶縁膜
39a,39b ゲート電極
40,83 層間絶縁膜
40a,40b,83a,83b コンタクトホール
41a,41b NiSi膜
42a,42b 第1TiN膜
43a,43b 第1Ti膜
44a,44b 第2TiN膜
45a,45b 第2Ti膜
46a,46b バリアメタル
47a~47d めっき膜
48a~48d 端子ピン
49a~49c 第1保護膜
50a~50c 第2保護膜
51 ドレイン電極
61a,61b,62a,62b,91,93 p+型領域
71 n+型出発基板
72 n-型炭化珪素層
72a n-型炭化珪素層の厚さを増した部分
73 p型炭化珪素層
80a,80b ポリシリコンダイオード
81a p型ポリシリコン層
81b p+型ポリシリコン層
82a n型ポリシリコン層
82b n+型ポリシリコン層
92,94 n型領域
d1 p+型領域の深さ
d2 互いに隣り合うp+型領域間の距離
d3 n型領域の深さ
t1 n-型炭化珪素層の、n+型出発基板上に最初に積層する厚さ
t2 n-型炭化珪素層の、厚さを増した部分の厚さ
t3 p型炭化珪素層の厚さ
X,Y 半導体基板のおもて面に平行な一方向
Z 深さ方向

Claims (6)

  1. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板と、
    前記半導体基板の第1主面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れるメイン半導体素子と、
    前記メイン半導体素子の温度を検出する温度センス部と、
    を備え、
    前記温度センス部は、
    前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して積層され、深さ方向に同導電型の領域が隣接する、ポリシリコンからなる複数の横型のポリシリコンダイオードを有する多層構造であり、
    上層の前記ポリシリコンダイオードほど、ポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きく、
    前記ポリシリコンダイオードは、ポリシリコン結晶粒の面内および結晶粒界にわたって不純物濃度が一様である、ことを特徴とする半導体装置。
  2. 上層の前記ポリシリコンダイオードほど不純物濃度が高いことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板と、
    前記半導体基板の第1主面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れるメイン半導体素子と、
    前記メイン半導体素子の温度を検出する温度センス部と、
    を備え、
    前記温度センス部は、
    前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して積層され、深さ方向に同導電型の領域が隣接する、ポリシリコンからなる複数の横型のポリシリコンダイオードを有する多層構造であり、
    上層の前記ポリシリコンダイオードほど、ポリシリコン結晶粒の結晶粒径が大きく、不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
  4. シリコンよりもバンドギャップの広い半導体からなる半導体基板と、前記半導体基板の第1面側にpn接合を有し、前記pn接合を通過する電流が流れるメイン半導体素子と、前記メイン半導体素子の温度を検出する温度センス部と、を備えた半導体装置の製造方法であって、
    前記半導体基板の第1主面に絶縁膜を介して複数のポリシリコン層を積層する積層工程と、
    前記積層工程において前記ポリシリコン層が積層されるごとに、前記ポリシリコン層にp型不純物および/またはn型不純物をイオン注入して、深さ方向に同導電型の領域が隣接する横型のポリシリコンダイオードを形成する注入工程と、
    を行うことで前記温度センス部を形成し、
    前記積層工程では、上層の前記ポリシリコン層ほど高い温度環境下で堆積することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  5. 前記積層工程では、下層の前記ポリシリコン層の堆積時の温度よりも100℃以上高い温度環境下で、深さ方向に下層の当該ポリシリコン層に隣接する前記ポリシリコン層を堆積することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記注入工程では、上層の前記ポリシリコン層ほど前記イオン注入のドーズ量を多くすることを特徴とする請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
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