JP7449208B2 - 多層管 - Google Patents

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Description

本発明は、多層管に関する。
給水管及び排水管等の内部に液体が流れる配管として、樹脂製の多層管が広く用いられている。
例えば、下記の特許文献1には、第1の層と、上記第1の層の外表面に積層された第2の層とを備える多層管が開示されている。上記第1の層は、親水性基を有する非イオン性成分を含有する。上記第2の層は、上記第1の層側の内表面に、最大深さが3μm以上である凹部を有する。上記第1の層は、上記第2の層の上記凹部内に凸部を有する。
下記の特許文献2には、軸心から外周への方向に、第1層と、上記第1層に接触するように積層された第2層と、上記第2層に接触するように積層された第3層とを備える多層管が開示されている。上記第1層と上記第2層との界面及び上記第2層と上記第3層との界面の少なくとも一方の十点平均粗さRzは、30μm以上である。
特開2018-003859号公報 特開2016-055561号公報
多層管の内部においては、一般に、低温の液体から高温の液体まで通液される。上記特許文献1,2に記載の多層管では、特定の層間の界面が凹凸を有するので、層間の剥離をある程度抑えることができる。しかしながら、特許文献1,2に記載の多層管では、高温の液体が通液された場合に、層間の剥離が生じることがある。
本発明の目的は、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる多層管を提供することである。
本発明の広い局面によれば、内層と、接着層と、外層とを備え、前記接着層が、前記内層の外表面と前記外層の内表面との間に配置されており、前記内層が、ポリプロピレン系樹脂を含み、前記外層が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、前記内層が、前記外表面に複数の凸部を有し、前記外層が、前記内表面に複数の凸部を有し、前記内層の複数の前記凸部の平均高さが、0.2mm以上であり、前記外層の複数の前記凸部の平均高さが、0.2mm以上である、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記内層の前記外表面において、前記内層の複数の前記凸部が、周期的に配置されており、前記外層の前記内表面において、前記外層の複数の前記凸部が、周期的に配置されている。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記多層管は、排水管である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記内層の複数の前記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比が、0.8以下であり、前記外層の複数の前記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比が、0.8以下である。
本発明に係る多層管は、内層と、接着層と、外層とを備え、上記接着層が、上記内層の外表面と上記外層の内表面との間に配置されている。本発明に係る多層管では、上記内層が、ポリプロピレン系樹脂を含み、上記外層が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。本発明に係る多層管では、上記内層が、上記外表面に複数の凸部を有し、上記外層が、上記内表面に複数の凸部を有する。本発明に係る多層管では、上記内層の複数の上記凸部の平均高さが、0.2mm以上であり、上記外層の複数の上記凸部の平均高さが、0.2mm以上である。本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明の第2の実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。 図3は、内層の凸部の高さ及び外層の凸部の高さを説明するための図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る多層管は、内層と、接着層と、外層とを備え、上記接着層が、上記内層の外表面と上記外層の内表面との間に配置されている。本発明に係る多層管では、上記内層が、ポリプロピレン系樹脂を含み、上記外層が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。本発明に係る多層管では、上記内層が、上記外表面に複数の凸部を有し、上記外層が、上記内表面に複数の凸部を有する。本発明に係る多層管では、上記内層の複数の上記凸部の平均高さが、0.2mm以上であり、上記外層の複数の上記凸部の平均高さが、0.2mm以上である。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる。本発明に係る多層管では、例えば、60℃以上の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる。
一般に、ポリプロピレン系樹脂を含む層と、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む層とは、接着剤等により接着したとしても、その界面において剥離が生じやすく、高温環境下ではより一層剥離が生じやすい。このため、高温の液体が通液され得る多層管として、ポリプロピレン系樹脂を含む層と、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む層とを備える多層管は、一般に用いられていない。
これに対して、本発明に係る多層管では、内層と、接着層と、外層とが、特定の構成を有しているので、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる。本発明では、上記内層が、上記内層の外表面に複数の凸部を有することによって、上記接着層と上記内層との接着面積が増加し、上記接着層と上記内層との接着性が高められる。また、本発明では、上記外層が、上記外層の内表面に複数の凸部を有することによって、上記接着層と上記外層との接着面積が増加し、上記接着層と上記外層との接着性が高められる。また、本発明では、上記内層の複数の上記凸部及び上記外層の複数の上記凸部の高さが、特定の範囲を満足する。その結果、上記内層と上記外層とが上記接着層を介して良好に接着され、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができる。
上記多層管は、中心から外側に向かって、内層と接着層と外層とをこの順で備える。上記多層管は、内層と接着層と外層との3層構造を有していてもよく、4層以上の構造を有していてもよい。上記内層は、最内層であってもよく、最内層でなくてもよい。上記内層の内側には、他の層が配置されていてもよい。ただし、上記内層は、最内層であることが好ましい。上記外層は、最外層であってもよく、最外層でなくてもよい。上記外層の外側には、他の層が配置されていてもよい。ただし、上記外層は、最外層であることが好ましい。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。例えば、図1,2では、図示の便宜上、多層管の厚みは、実際の厚みより厚く示されている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。図1では、多層管の径方向に沿う断面図が示されている。
図1に示す多層管10は、内層1と、接着層3と、外層2とを備える。多層管10は、3層構造を有する。接着層3は、内層1の外表面と外層2の内表面との間に配置されている。接着層3の内側に内層1が配置されている。接着層3の外側に外層2が配置されている。接着層3は、内層1と外層2とを接着している。内層1と外層2とが、接着層3を介して接着している。内層1は、最内層であり、表面層である。外層2は、最外層であり、表面層である。接着層3は、中間層である。内層1と、外層2と、接着層3とはそれぞれ管状である。
内層1は、ポリプロピレン系樹脂を含む。外層2は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。
内層1は、上記外表面に複数の凸部1aを有する。外層2は、上記内表面に複数の凸部2aを有する。内層1の複数の凸部1aの平均高さは、0.2mm以上である。外層2の複数の凸部2aの平均高さは、0.2mm以上である。
多層管10では、複数の凸部1a及び複数の凸部2aは、連続的にかつ周期的に配置されている。内層1の上記外表面は、凸部1aと凹部と繰り返された構造であり、凸部1aと凹部とが同じ周期で配置されている。外層2の上記内表面は、凸部2aと凹部とが繰り返された構造であり、凸部2aと凹部とが同じ周期で配置されている。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る多層管を模式的に示す断面図である。図2では、多層管の径方向に沿う断面図が示されている。
図2に示す多層管10Aは、内層1Aと、接着層3Aと、外層2Aとを備える。多層管10Aは、3層構造を有する。接着層3Aは、内層1Aの外表面と外層2Aの内表面との間に配置されている。接着層3Aの内側に内層1Aが配置されている。接着層3Aの外側に外層2Aが配置されている。接着層3Aは、内層1Aと外層2Aとを接着している。内層1Aと外層2Aとが、接着層3Aを介して接着している。内層1Aは、最内層であり、表面層である。外層2Aは、最外層であり、表面層である。接着層3Aは、中間層である。内層1Aと、外層2Aと、接着層3Aとはそれぞれ管状である。
内層1Aは、ポリプロピレン系樹脂を含む。外層2Aは、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。
内層1Aは、上記外表面に複数の凸部1Aaを有する。外層2Aは、上記内表面に複数の凸部2Aaを有する。内層1Aの複数の凸部1Aaの平均高さは、0.2mm以上である。外層2Aの複数の凸部2Aaの平均高さは、0.2mm以上である。
多層管10Aでは、複数の凸部1Aa及び複数の凸部2Aaは、一定の間隔を隔てて、周期的に配置されている。内層1Aの上記外表面は、主面から凸部1Aaが突出した構造である。外層2Aの上記内表面は、主面から凸部2Aaが突出した構造である。
多層管10及び多層管10Aのように、内層の外表面の凸部の形状、及び外層の内表面の凸部の形状はそれぞれ、適宜変更することができる。
以下、多層管の他の詳細を具体的に説明する。
(内層)
上記内層は、ポリプロピレン系樹脂を含む。上記内層は、ポリプロピレン系樹脂を含む内層の材料を成形することにより得られる。上記ポリプロピレン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリプロピレン系樹脂として、従来公知のポリプロピレン系樹脂を用いることができる。上記ポリプロピレン系樹脂としては、(1)プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、及び(2)プロピレンと、プロピレンと共重合可能なモノマーとの共重合体等が挙げられる。
上記プロピレンと共重合可能なモノマーとしては、α-オレフィン化合物が挙げられる。したがって、上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンとα-オレフィン化合物との共重合体等が挙げられる。上記α-オレフィン化合物としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン及び1-オクテン等が挙げられる。上記プロピレンと共重合可能なモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記プロピレンとα-オレフィン化合物との共重合体において、該共重合体の構造単位100モル%中、α-オレフィン化合物に由来する構造単位の含有率は、好ましくは10モル%未満、より好ましくは9モル%以下である。
上記ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレンであってもよく、ブロックポリプロピレンであってもよく、ランダムポリプロピレンであってもよい。
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点からは、上記ポリプロピレン系樹脂は、ホモポリプロピレン又はランダムポリプロピレンであることが好ましい。
上記内層100重量%中、上記ポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上であり、好ましくは100重量%以下である。上記ポリプロピレン系樹脂の含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記内層の23℃における弾性率は、好ましくは1900MPa以下、より好ましくは1400MPa以下、さらに好ましくは1000MPa以下である。上記弾性率が上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記内層の23℃における弾性率は、400MPa以上であってもよい。
上記弾性率は、JIS K7161に準拠して、23℃の条件下で測定される。
上記内層の線膨張係数は、好ましくは10×10-5/℃以上であり、好ましくは15×10-5/℃以下、より好ましくは14×10-5/℃以下、さらに好ましくは13×10-5/℃以下、特に好ましくは12×10-5/℃以下である。上記線膨張係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、上記内層の線膨張係数は、5×10-5/℃以上であってもよく、7×10-5/℃以下であってもよい。
上記線膨張係数は、ASTM D696に準拠して、30℃以上60℃以下の温度範囲で測定される。
(外層)
上記外層は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む。上記外層は、ポリ塩化ビニル系樹脂を含む外層の材料を成形することにより得られる。上記外層がポリ塩化ビニル系樹脂を含むことにより、多層管の施工性を高めることができる。例えば、電気融着を行うことなく、多層管と継手等の接続対象部材とを良好に接続することができる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂として、従来公知のポリ塩化ビニル系樹脂を用いることができる。上記ポリ塩化ビニル系樹脂としては、(1)塩化ビニルモノマーの単独重合体、(2)塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、及び(3)塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;塩化アリル、アクリロニトリル等のビニル基を有する化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;無水マレイン酸等のジカルボン酸化合物;及びN-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルモノマーと、塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体において、上記共重合体100重量%中、上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーの含有率は、好ましくは40重量%以下である。
上記共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であっても、グラフト共重合体であってもよい。
上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
グラフト重合体において、上記グラフト重合体100重量%中、上記塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体の含有率は、好ましくは40重量%以下である。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上であり、好ましくは98重量%以下、より好ましくは95重量%以下である。上記塩化ビニルに由来する構造単位の含有率が上記下限以上であると、難燃性をより一層高めることができる。上記塩化ビニルに由来する構造単位の含有率が上記上限以下であると、成形性を高めることができ、成形時に塩化ビニルの熱分解を抑えることができる。なお、上記ポリ塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、100重量%(全量)であってもよい。
多層管の耐久性をより一層高める観点からは、上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、硬質ポリ塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂を後塩素化した硬質塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。この場合には、塩素含有量を多くすることができるので、難燃性及び耐熱性をより一層高めることができる。このため、80℃以上(好ましくは90℃以上)の液体が通液される多層管として本発明の多層管を好適に用いることができる。
塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂の塩素含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは64重量%以上、さらに好ましくは66重量%以上、特に好ましくは67重量%以上であり、好ましくは71重量%以下である。上記塩素含有量が上記下限以上であると、難燃性及び耐熱性をより一層高めることができる。上記塩素含有量が上記上限以下であると、成形性を高めることができる。
上記塩素含有量は、JIS K7229に準拠して、酸素フラスコ燃焼法による中和滴定により測定される塩素含有量を意味する。
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、好ましくは600以上、より好ましくは800以上であり、好ましくは1400以下である。上記平均重合度が上記下限以上であると、多層管の機械的強度を高めることができる。上記平均重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記平均重合度は、以下のようにして測定される。ポリ塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、ろ過により不溶成分を除去する。得られたろ液中のTHFを乾燥除去し、樹脂を得る。得られた樹脂を試料として、JIS K-6721の塩化ビニル樹脂試験法に準拠して平均重合度を測定する。
上記外層100重量%中、上記ポリ塩化ビニル系樹脂の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは85重量%以上であり、好ましくは100重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下である。上記ポリ塩化ビニル系樹脂の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記外層の線膨張係数は、好ましくは5×10-5/℃以上、より好ましくは6×10-5/℃以上、さらに好ましくは6.5×10-5/℃以上であり、好ましくは7.5×10-5/℃以下である。上記線膨張係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。なお、一般に、外層の線膨張係数が小さい(内層の線膨張係数との差が大きい)ほうが層間の剥離が生じやすいものの、本発明では、外層の線膨張係数が比較的大きかったり、内層の線膨張係数が比較的小さかったりする場合でも、層間の剥離を生じ難くすることができる。なお、上記外層の線膨張係数は、8×10-5/℃以下であってもよい。
上記線膨張係数は、ASTM D696に準拠して、30℃以上60℃以下の温度範囲で測定される。
(接着層)
上記接着層は、上記内層の外表面と上記外層の内表面との間に配置されている。上記接着層は、上記内層と上記外層とを接着する層である。
上記接着層の材料は、特に限定されない。上記接着層の材料は、樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル系樹脂、又は極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましく、極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂を含むことがより好ましい。上記接着層の材料が上記の好ましい樹脂を含む場合、上記内層の線膨張係数と上記外層の線膨張係数との差が大きくても、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。上記接着層の材料は、ポリエステル系樹脂及び極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂を含むことが特に好ましい。上記接着層の材料が、ポリエステル系樹脂及び極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂を含む場合、上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂の主鎖部分によって、上記接着層と上記内層との接着性がより一層高められ、また、該極性基構造によって、上記接着層と上記外層との接着性がより一層高められる。その結果、上記内層と上記外層とが上記接着層を介して良好に接着され、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離をより一層効果的に生じ難くすることができる。上記ポリエステル系樹脂及び上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂は、それぞれ1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂におけるポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブテンが挙げられる。本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点から、上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂におけるポリオレフィン系樹脂は、ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、上記内層と同一のポリプロピレン系樹脂を含むことがより好ましい。
上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂における極性基としては、水酸基、カルボキシル基、及びアミノ基等が挙げられる。上記極性基は、ポリオレフィン系樹脂の主鎖に導入されていることが好ましい。
上記接着層100重量%中、上記ポリエステル系樹脂と上記極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂との合計の含有量は、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。上記合計の含有量が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記接着層の融解温度は、好ましくは95℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは130℃以上、特に好ましくは150℃以上、最も好ましくは160℃以上である。上記融解温度が上記下限以上であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができ、高温の液体を通液するための用途として本発明の多層管を好適に用いることができる。上記接着層の融解温度は、200℃以下であってもよく、180℃以下であってもよい。
上記融解温度は、JIS K6824のC法に準拠して、DSC(示差走査熱量分析)により、10℃/分で温度を上昇させる条件で測定される。
(凸部及び各層の厚み)
本発明に係る多層管では、上記内層は、上記内層の外表面に複数の凸部を有し、上記外層は、上記外層の内表面に複数の凸部を有する。
上記内層の複数の上記凸部の平均高さは、0.2mm以上である。上記外層の複数の上記凸部の平均高さは、0.2mm以上である。層間剥離をより一層抑制する観点から、上記内層の複数の上記凸部の平均高さ及び上記外層の複数の上記凸部の平均高さはそれぞれ、好ましくは0.3mm以上である。
上記内層の複数の上記凸部の平均高さ及び上記外層の複数の上記凸部の平均高さの上限は特に限定されない。上記内層の複数の上記凸部の平均高さ及び上記外層の複数の上記凸部の平均高さはそれぞれ、多層管の平均厚みよりも小さい。上記内層の複数の上記凸部の平均高さ及び上記外層の複数の上記凸部の平均高さはそれぞれ、1mm以下であってもよく、0.6mm以下であってもよい。
内層の凸部の高さ及び外層の凸部の高さは、凸部の先端から、凸部が無いと仮定した場合の基準線までの最短距離である(図3参照、1X:内層の凸部の高さ、2X:外層の凸部の高さ)。複数の上記内層の上記凸部の高さをそれぞれ求め、得られた値の平均値を求めることで、上記内層の複数の上記凸部の平均高さが求められる。複数の上記外層の上記凸部の高さをそれぞれ求め、得られた値の平均値を求めることで、上記外層の複数の上記凸部の平均高さが求められる。
上記内層の複数の上記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比を、比(内層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)とする。層間剥離をより一層抑制する観点から、上記比(内層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。層間剥離をより一層抑制する観点から、上記比(内層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。上記外層の複数の上記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比を、比(外層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)とする。層間剥離をより一層抑制する観点から、上記比(外層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)は、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上である。層間剥離をより一層抑制する観点から、上記比(外層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)は、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。
残留ひずみを均一化し、本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点から、上記内層の上記外表面において、上記内層の複数の上記凸部は、周期的に配置されていることが好ましい。上記内層の上記外表面における隣り合う上記凸部の間隔は、一定であることが好ましい。上記内層の上記外表面における隣り合う上記凸部の間隔は、上記内層の上記凸部の平均高さ以上であることが好ましく、多層管の平均厚み以下であることが好ましい。
上記内層の上記外表面における隣り合う上記凸部の間隔は、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下、特に好ましくは1mm以下である。上記内層の上記外表面における隣り合う上記凸部の間隔は、0.1mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよい。上記凸部の間隔は、隣り合う2つの上記凸部の先端間の距離である。なお、上記凸部の先端が面である場合に、上記凸部の間隔は、隣り合う2つの上記凸部の先端の中央間の距離である。
残留ひずみを均一化し、本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点から、上記外層の上記内表面において、上記外層の複数の上記凸部は、周期的に配置されていることが好ましい。上記外層の上記内表面における隣り合う上記凸部の間隔は、一定であることが好ましい。上記外層の上記内表面における隣り合う上記凸部の間隔は、上記外層の上記凸部の平均高さ以上であることが好ましく、多層管の平均厚み以下であることが好ましい。上記外層の上記内表面における隣り合う上記凸部の間隔は、好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下、特に好ましくは1mm以下である。上記外層の上記内表面における隣り合う上記凸部の間隔は、0.1mm以上であってもよく、0.5mm以上であってもよい。上記凸部の間隔は、隣り合う2つの上記凸部の先端間の距離である。なお、上記凸部の先端が面である場合に、上記凸部の間隔は、隣り合う2つの上記凸部の先端の中央間の距離である。
上記内層の平均厚みの、上記多層管の平均厚みに対する比(内層の平均厚み/多層管の平均厚み)は、好ましくは0.06以上、好ましくは0.45以下、より好ましくは0.3以下、さらに好ましくは0.2以下である。上記比(内層の平均厚み/多層管の平均厚み)が上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記外層の平均厚みの、上記内層の平均厚みに対する比(外層の平均厚み/内層の平均厚み)は、好ましくは1を超え、より好ましくは2以上、さらに好ましくは2.5以上、特に好ましくは3以上、最も好ましくは3.5以上であり、好ましくは7以下である。上記比(外層の平均厚み/内層の平均厚み)が上記下限を満足すると、多層管の剛性を高めることができ、その結果、勾配管理、施工部材数及び工数等の観点で、ポリ塩化ビニル系樹脂管により近い施工性が得られる。上記比(外層の平均厚み/内層の平均厚み)が上記上限以下であると、内層をある程度厚くしつつ、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記内層の平均厚みは、目的とする多層管の呼び径によって適宜変更可能である。上記内層の平均厚みは、好ましくは0.3mm以上であり、好ましくは2.2mm以下、より好ましくは2mm以下、さらに好ましくは1mm以下である。上記内層の平均厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
上記外層の平均厚みは、目的とする多層管の呼び径及び内層の平均厚み等によって適宜変更可能である。上記外層の平均厚みは、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは3mm以上であり、好ましくは4mm以下である。上記外層の平均厚みが上記下限以上であると、ポリ塩化ビニル系樹脂管により近い施工性が得られる。上記外層の平均厚みが上記上限以下であると、多層管を軽量にすることができる。
上記接着層の平均厚みは、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上、特に好ましくは0.4mm以上であり、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下である。上記接着層の平均厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
多層管の剛性を高める観点から、上記多層管の平均厚みは、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは3.0mm以上であり、好ましくは10mm以下、より好ましくは7.0mm以下である。
上記多層管の呼び径(内径)は、好ましくは20mm以上、より好ましくは40mm以上であり、好ましくは200mm以下、より好ましくは150mm以下、さらに好ましくは100mm以下、特に好ましくは50mm以下である。
層間剥離をより一層抑制する観点からは、上記内層の上記凸部は、上記外層の隣り合う凸部の間の位置に存在することが好ましい。層間剥離をより一層抑制する観点からは、上記外層の上記凸部は、上記内層の隣り合う凸部の間の位置に存在することが好ましい。層間剥離をより一層抑制する観点からは、上記内層の上記凸部は、上記外層の隣り合う凸部の間の凹部に至っていることが好ましい。層間剥離をより一層抑制する観点からは、上記外層の上記凸部は、上記内層の隣り合う凸部の間の凹部に至っていることが好ましい。層間剥離をより一層抑制する観点からは、多層管の周方向にて、上記内層の凸部と上記外層の凸部とが交互に並んで配置されていることが好ましい。
(他の成分)
上記内層、上記外層及び上記接着層は、必要に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、リン酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記顔料としては特に限定されず、有機顔料及び無機顔料が挙げられる。上記有機顔料としては、アゾ系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、及び染料レーキ系有機顔料等が挙げられる。上記無機顔料としては、酸化物系無機顔料、クロム酸モリブデン系無機顔料、硫化物・セレン化物系無機顔料、及びフェロシアニン化物系無機顔料等が挙げられる。上記顔料は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
多層管の機械的強度を高める観点から、上記内層、上記外層及び上記接着層に含まれる可塑剤の含有量はそれぞれ少ないことが好ましい。上記内層、上記外層及び上記接着層に含まれる樹脂100重量部に対して、上記内層、上記外層及び上記接着層に含まれる上記可塑剤の含有量はそれぞれ、好ましくは10重量部未満、より好ましくは5重量部以下、さらに好ましくは2重量部以下、最も好ましくは0重量部(未配合)である。
(多層管の他の詳細)
上記多層管は、従来公知の多層管の製造方法により製造することができる。上記多層管は、例えば、以下に示すような多層押出成形により製造することができる。層数に応じた押出成形機と、層数に応じた樹脂流入口を有する多層管用の金型とを用意する。各層の材料を押出成形機で混錬し、各層の材料を、樹脂流入口から金型内に注入する。金型内で各層の材料を合流させて、積層し、その後、冷却した管状物を引取機で引き取り、多層管を得る。
上記内層の外表面及び上記外層の内表面に、複数の凸部を形成する方法としては、多層押出成形時に、凸部を形成可能な金型を用いる方法、多層押出成形時に、押し出された層の表面に凸部を形成するように押出物を賦形する方法、及び単層成形で内層外表面に凸部を形成可能な金型を用いて成形し、その後接着層、外層を順次被覆形成する方法等が挙げられる。
上記多層管は、排水管として好適に用いられる。上記多層管は、排水管であることが好ましい。上記多層管は、高温排水用排水管として好適に用いられる。上記多層管に通液される液体の最大温度(高温の液体の最大温度)は、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは85℃以上、特に好ましくは87℃以上、最も好ましくは90℃以上、好ましくは100℃以下、より好ましくは95℃以下、さらに好ましくは93℃以下である。なお、上記多層管に通液される液体の最大温度は90℃以下であってもよい。
なお、上記多層管には、高温の液体だけでなく、低温の液体が通液されてもよい。低温の液体とは、加温していない液体を意味し、例えば、1℃以上30℃以下の液体である。上記多層管は、高温の液体と、低温の液体とを通液するための多層管であることが好ましく、高温の液体と、低温の液体とを繰り返し交互に通液するための多層管であることがより好ましい。
上記多層管は、建物配管用排水管(建築用排管)としてより好適に用いられる。上記多層管は、建物配管用排水管(建築用排管)であることがより好ましい。建物配管用排水管は、屋内排水設備を構成する配管である。建物配管用排水管は、排水源に近い場所に設置されるため、高温の液体により晒されやすく、また、排水される液体の温度差が大きい。建物配管用排水管のうち、厨房用排水管には、より高温の液体(例えば80℃以上)が排水される。本発明に係る多層管は、高温の液体が通液された場合であっても、層間の剥離を生じ難くすることができるので、本発明の多層管を、建物配管用排水管として好適に用いることができ、また、厨房用排水管として好適に用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
以下の材料を用意した。
内層の材料:
ランダムポリプロピレン(SCG社製、23℃での弾性率880MPa)
上記弾性率は、JIS K7161に準拠して測定して得られた値である。
外層の材料:
硬質塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂(徳山積水工業社製)
接着層の材料:
ポリエステル系樹脂と極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂とを含む材料(三菱ケミカル社製「Modic」)
(実施例1)
内層の材料として、ランダムポリプロピレンと、外層の材料として、硬質塩素化ポリ塩化ビニル系樹脂と、接着層の材料として、ポリエステル系樹脂と極性基が導入されたポリオレフィン系樹脂とを含む材料とを用いて、多層押出成形により、表1に示す多層管を得た。多層押出成形時に、凸部を形成可能な金型を用いた。実施例1では、図1に類似する形状の多層管を得た。
得られた多層管を径方向に沿って切断した。切断面から、ノギスにより多層管の平均厚みを測定した。また、切断面から、マイクロスコープにより各層の平均厚み、凸部の平均高さ、凸部の間隔を測定した。また、比(内層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)及び比(外層の複数の凸部の平均高さ/多層管の平均厚み)を計算した。
(実施例2)
多層押出成形時に用いる金型を変更したこと以外は実施例1と同様にして、表1に示す多層管を得た。多層押出成形時に、凸部を形成可能な金型を用いた。実施例2では、図1に類似する形状の多層管を得た。
(比較例1)
多層押出成形時に用いる金型を変更したこと以外は実施例1と同様にして、表1に示す多層管を得た。多層押出成形時に、凸部を形成可能ではない金型を用いた。比較例1では、内層の内表面に凸部を形成せず、外層の外表面に凸部を形成しなかった。
(評価)
(1)層間剥離
得られた多層管から、幅10mm×長さ100mmの試験用サンプルAを10個切り出した。試験用サンプルAを、23℃及び60℃の恒温槽に各5個ずつ1時間静置した。その後、該試験用サンプルAの内層の端部を剥がし、万能試験機(TSE社製)を用いて、試験治具で内層の端部と外層の端部とを掴み、180°方向、引張速度を10mm±1mm/分として、接着力のピーク値を測定した。得られた接着力のピーク値の平均値を求めた。なお、接着力の値が大きいほど、層間の剥離は生じ難い。
多層管の構成及び結果を表1に示す。
Figure 0007449208000001
1,1A…内層
1a,1Aa…凸部
1X…内層の凸部の高さ
2,2A…外層
2a,2Aa…凸部
2X…外層の凸部の高さ
3,3A…接着層
10,10A…多層管

Claims (4)

  1. 内層と、接着層と、外層とを備え、
    前記接着層が、前記内層の外表面と前記外層の内表面との間に配置されており、
    前記内層が、ポリプロピレン系樹脂を含み、
    前記外層が、ポリ塩化ビニル系樹脂を含み、
    前記内層が、前記外表面に複数の凸部を有し、
    前記外層が、前記内表面に複数の凸部を有し、
    前記内層の複数の前記凸部の平均高さが、0.2mm以上であり、
    前記外層の複数の前記凸部の平均高さが、0.2mm以上である、多層管。
  2. 前記内層の前記外表面において、前記内層の複数の前記凸部が、周期的に配置されており、
    前記外層の前記内表面において、前記外層の複数の前記凸部が、周期的に配置されている、請求項1に記載の多層管。
  3. 排水管である、請求項1又は2に記載の多層管。
  4. 前記内層の複数の前記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比が、0.8以下であり、
    前記外層の複数の前記凸部の平均高さの、多層管の平均厚みに対する比が、0.8以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層管。
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