JP7103872B2 - 多層管及び多層管接続体 - Google Patents

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Description

本発明は、内層と外層とを備える多層管に関する。また、本発明は、上記多層管を用いた多層管接続体に関する。
マンション、アパート、戸建住宅等の建築物には、給水及び排水をするためにプラスチック配管が多く使用されている。また、配管を屋外で使用する場合や、配管における酸素の透過を防止する必要がある場合には、内層と機能性の高い樹脂組成物により形成された外層とが一体化された配管が用いられている。例えば、積水化学工業社製「カラーパイプ」においては、内層が塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)であり、外層が耐候性に優れた樹脂であることにより、屋外での使用が可能となっている。
また、配管構造の必要な長さが1つの配管の長さよりも長い場合や、配管構造に曲り等がある場合には、複数の配管が直接又は継手を介して接続される。この際には、配管の端部に接着層を形成し、配管が接着層により接続されることがある。
下記の特許文献1には、パイプ本体の外周が外層で被覆された塩化ビニル樹脂パイプが開示されている。上記パイプ本体は、塩素化塩化ビニル樹脂と塩化ビニル樹脂との混合樹脂組成物により形成されている。上記外層は、アクリル系共重合体に塩化ビニルモノマーをグラフト重合させたアクリル-塩化ビニル系共重合体樹脂組成物により形成されている。
特開2002-254576号公報
特許文献1に記載のような従来の配管は、屋外で使用されると、熱、紫外線及び風雨の影響を受ける。特に熱や紫外線の影響によって、配管の劣化が進行し、配管が変色したり、クリープ性能及び偏平強度等の機械的特性が低下したりすることがある。
本発明の目的は、耐候性に優れており、従って長期間に渡って、変色を抑えることができ、かつ機械的特性を維持することができる多層管を提供することである。
本発明の広い局面によれば、管状の内層と、前記内層の外表面上に配置された外層とを備える多層管であって、前記内層の材料が、第1の熱可塑性樹脂100重量部と、第1の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含み、前記外層の材料が、第2の熱可塑性樹脂100重量部と、第2の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含み、前記外層の材料が、前記第2の熱可塑性樹脂として、前記第2の熱可塑性樹脂100重量%中、耐候性熱可塑性樹脂を30重量%以上100重量%以下で含み、前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である、多層管が提供される。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、耐候性試験実施後の衝撃強度の、耐候性試験実施前の衝撃強度に対する衝撃強度保持率が、50%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記耐候性熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル、又はゴム含有アクリル樹脂である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第2の顔料が、無機顔料を含み、前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、前記第2の顔料が、酸化チタンを含み、前記第2の顔料100重量%中、前記酸化チタンの含有量が、20重量%以上80重量%以下である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である。
本発明に係る多層管のある特定の局面では、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張伸び率が10%以上である。
本発明の広い局面によれば、上述した多層管と、前記多層管に接続された接続対象部材とを備える、多層管接続体が提供される。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、接着層を備え、前記接着層が前記多層管と前記接続対象部材との間に配置されている。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管接続体のある特定の局面では、60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である。
本発明に係る多層管は、管状の内層と、上記内層の外表面上に配置された外層とを備える。本発明に係る多層管では、上記内層の材料が、第1の熱可塑性樹脂100重量部と、第1の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含む。本発明に係る多層管では、上記外層の材料が、第2の熱可塑性樹脂100重量部と、第2の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含む。本発明に係る多層管では、上記外層の材料が、上記第2の熱可塑性樹脂100重量%中、耐候性熱可塑性樹脂を30重量%以上100重量%以下で含む。本発明に係る多層管では、上記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である。本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、耐候性に優れており、従って長期間に渡って、変色を抑えることができ、かつ機械的特性を維持することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(多層管)
本発明に係る多層管は、内層と、外層とを備える。上記内層は、管状であり、上記外層は、上記内層の外表面上に配置されている。なお、本発明に係る多層管は、2層の構造を有していてもよく、3層の構造を有していてもよく、3層以上の構造を備えていてもよい。上記外層は、多層管の最も外側の層(最外層)であることが好ましい。なお、上記外層が、多層管の最外層でない場合には、該外層の外表面上に、厚み3mm以下の層が配置されていてもよい。
本発明に係る多層管では、上記内層の材料が、第1の熱可塑性樹脂と、第1の顔料とを含み、上記第1の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第1の顔料の含有量が、0.1重量部以上30重量部以下である。
本発明に係る多層管では、上記外層の材料が、第2の熱可塑性樹脂と、第2の顔料とを含み、上記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第2の顔料の含有量が、0.1重量部以上30重量部以下である。
本発明に係る多層管では、上記第2の熱可塑性樹脂が、耐候性熱可塑性樹脂を含む。
本発明に係る多層管では、上記第2の熱可塑性樹脂100重量%中、上記耐候性熱可塑性樹脂の含有量が30重量%以上100重量%以下である。本発明に係る多層管では、外層が上記耐候性熱可塑性樹脂を含むため、外層は、耐候性を有する層である。
本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、耐候性に優れており、従って長期間に渡って、変色を抑えることができ、かつ機械的特性を維持することができる。
多層管の変色を抑えるために、多層管の材料に顔料を添加した場合、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性が低下することがある。本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、顔料を含む多層管のクリープ性能及び偏平強度等の機械的特性を良好に維持することができる。
また、本発明に係る多層管では、上記の構成が備えられているので、該多層管と接続対象部材とを備える多層管接続体を得たときに、該多層管接続体の接着強度を高めることができ、また、高い接着強度を長期に渡って維持することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。なお、以下の図面において、大きさ、厚み及び形状等は、図示の便宜上、実際の大きさ、厚み及び形状等と異なる場合がある。
図1は、本発明の一実施形態に係る多層管を示す断面図である。
多層管11は、内層1と、外層2とを備える。内層1は、管状である。内層1は、多層管11の両側の末端に至っている。
外層2は、内層1の外表面上に配置されている。外層2は、内層1の外表面の全体に配置されている。外層は、多層管の両側の末端に至っていることが好ましい。外層は、管状に配置されていることが好ましい。外層2は、多層管11の最外層である。
本発明に係る多層管では、上記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である。上記外層の厚み方向における全光線透過率が50%を超え、かつ、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%を超えると、内層が劣化しやすく、多層管のクリープ性能及び偏平強度等の機械的特性が低下することがある。
上記外層の厚み方向における全光線透過率、及び上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、外層の全光線透過率を測定することで求めることができる。なお、上記全光線透過率を測定するための外層は、多層管から外層部分を切り出して得てもよく、外層の材料を成形して多層管における外層の厚みと同じ厚みの層を作製することにより得てもよい。
内層の劣化を抑え、多層管のクリープ性能及び偏平強度等の機械的特性をより一層良好にする観点からは、上記外層の厚み方向における全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。
内層の劣化を抑え、多層管のクリープ性能及び偏平強度等の機械的特性をより一層良好にする観点からは、上記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率は、好ましくは50%未満、より好ましくは40%以下である。
上記全光線透過率は、JIS K7361-1に準拠して測定される。
下記に示す耐候性試験を実施したときに、耐候性試験実施後の衝撃強度の、耐候性試験実施前の衝撃強度に対する衝撃強度保持率は、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、更に好ましくは80%以上である。上記衝撃強度保持率が上記下限以上であると、より一層長期間に渡って、多層管の機械的特性を維持することができる。
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。なお、上記耐候性試験実施後の多層管は、屋外に10年程度放置した後の多層管に相当する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記衝撃強度は、JIS K6741の附属書A又はJIS K6742の附属書Aに準拠した耐衝撃試験を行い、JIS K7211に記載の方法にて50%割れ高さを算出することにより求めることができる。ただし、試験片の長さは3cmとしてよい。
上記衝撃強度保持率は、下記式により求めることができる。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験後の衝撃強度/耐候性試験前の衝撃強度)×100
上記多層管では、内層と外層との間に、内層及び外層とは異なる層が配置されていてもよい。内層及び外層とは異なる層としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂層、繊維強化樹脂層、ガスバリア層、金属層、及び接着剤層等が挙げられ、これらの層を目的とする機能に応じて適宜選定して組み合わせることができる。
上記熱可塑性樹脂層の材料としては、オレフィン系樹脂、及び塩化ビニル樹脂等が挙げられる。上記オレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、及びエチレン-α-オレフィン共重合体等が挙げられる。
上記繊維強化樹脂層としては、熱可塑性樹脂と強化用繊維とを組み合わせた層等が挙げられる。上記強化用繊維は無機繊維であってもよく、有機繊維であってもよい。上記無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン-チタン-炭素繊維、ボロン繊維及び微細な金属繊維等が挙げられる。上記有機繊維としては、アラミド繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、及びポリアミド繊維等が挙げられる。これら強化用繊維は、連続繊維が長手方向に配される場合、長手方向に配された連続繊維とこの連続繊維と直交又は交差する連続繊維とが配される場合、並びに有限長さの繊維が配される場合等に用いられる。
実使用上の観点、並びに水理特性及び施工性を良好にする観点からは、上記多層管の外径は、好ましくは10mm以上、より好ましくは15mm以上であり、好ましくは600mm以下、より好ましくは400mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記多層管の厚みは、好ましくは2.2mm以上、より好ましくは2.5mm以上であり、好ましくは19mm以下、より好ましくは15mm以下である。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記外層の厚みは、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上である。上記外層の厚みの上限は特に限定されない。
実使用上の観点、及び耐候性を良好にする観点からは、上記内層の厚みは、好ましくは1.7mm以上、より好ましくは2.0mm以上であり、好ましくは19mm以下、より好ましくは15mm以下である。
以下、多層管の他の詳細を説明する。
(内層)
本発明に係る多層管では、上記内層の材料が、熱可塑性樹脂(第1の熱可塑性樹脂)と、顔料(第1の顔料)とを含む。
上記第1の熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。上記第1の熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリ塩化ビニル(PVC)としては特に限定されず、従来公知の任意の塩化ビニル系樹脂を用いてもよい。上記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルモノマーの単独重合体、塩化ビニルモノマーと塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体、並びに、塩化ビニル以外の重合体及び共重合体に塩化ビニルがグラフト重合されたグラフト重合体等が挙げられる。上記塩化ビニル系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては特に限定されず、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα-オレフィン化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等のN-置換マレイミド化合物等が挙げられる。上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体としては特に限定されず、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル-一酸化炭素共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート-一酸化炭素共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、及び塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。塩化ビニルをグラフト共重合する重合体及び共重合体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記塩化ビニル系樹脂100重量%中、塩化ビニルに由来する構造単位の含有率は、好ましくは40重量%以上である。
上記塩化ビニル系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の有機材料と併用してもよい。例えば、機械的強度をより一層向上させるために、アクリル樹脂等を上記塩化ビニル系樹脂と併用してもよい。
また、上記塩化ビニル系樹脂は、後塩素化塩化ビニル系樹脂であってもよい。
上記ポリメタクリル酸メチル(PMMA)としては、アクリル単量体の単独重合体等が挙げられる。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリル単量体としては特に限定されず、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記アクリル単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、上記アクリル単量体を変性させたアクリルポリマーであってもよい。
上記ポリカーボネート(PC)としては、ジヒドロキシ化合物とホスゲンと炭酸ジエステル又はハロホルメートとの反応生成物等が挙げられる。上記ポリカーボネート(PC)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ジヒドロキシ化合物としては、ビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-p-ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール等の芳香族ジヒドロキシ化合物等が挙げられる。上記ジヒドロキシ化合物は、ビスフェノールAであることが好ましい。上記ジヒドロキシ化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1の熱可塑性樹脂の重合度は、好ましくは500以上、より好ましくは600以上、好ましくは2000以下、より好ましくは1800以下である。上記第1の熱可塑性樹脂の重合度が上記下限以上であると、クリープ性能を良好にすることができる。上記第1の熱可塑性樹脂の重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記内層の材料100重量%中、上記第1の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは50重量%以上、好ましくは100重量%以下である。上記第1の熱可塑性樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記第1の顔料としては、無機顔料、及び有機顔料が挙げられる。上記第1の顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記第1の顔料は、上記第2の顔料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
本発明の効果が効果的に発揮されることから、上記内層の材料は、無機顔料を含むことが好ましい。
上記無機顔料としては、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化クロム、クロムバーミリオン、炭酸カルシウム、及び硫化亜鉛等が挙げられる。
上記有機顔料としては、アルカリブルー、リゾールレッド、カーミン6B、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、及びイソインドリノンイエロー等が挙げられる。
上記第1の顔料が無機顔料を含む場合、上記無機顔料の平均粒径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上、好ましくは800nm以下、より好ましくは750nm以下である。上記無機顔料の平均粒径が上記下限以上であると、耐候性をより一層良好にすることができ、長期間に渡り、機械的特性を良好に維持することができる。上記無機顔料の平均粒径が上記上限以下であると、内層の引張伸び率を良好にすることができる。
上記無機顔料の平均粒径は、数平均粒子径を示す。上記無機顔料の平均粒径は、例えば、無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。また、上記多層管の内層を切り出した後、内層を溶剤等で溶解して無機顔料を分離し、分離した無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記第1の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第1の顔料の含有量は、0.1重量部以上30重量部以下である。上記第1の顔料の含有量が0.1重量部未満であると、耐候性が劣ることがある。上記第1の顔料の含有量が30重量部を超えると、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性が低下することがある。
上記第1の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第1の顔料の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。上記第1の顔料の含有量が上記下限以上であると、耐候性をより一層良好にすることができる。上記第1の顔料の含有量が上記上限以下であると、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性がより一層良好にすることができる。
上記内層の材料100重量%中、上記第1の顔料の含有量は、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.9重量%以上、好ましくは19重量%以下、より好ましくは9重量%以下である。上記第1の顔料の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記内層の23℃での引張強さは、好ましくは25MPa以上、より好ましくは30MPa以上、好ましくは67MPa以下、より好ましくは65MPa以下である。上記内層の23℃での引張強さが上記下限以上であると、多層管が変形しやすく、多層管と接続対象部材との接着性が低くなることがある。上記内層の23℃での引張強さが上記上限以下であると、偏平強度を良好にすることができる。
上記内層の23℃での引張伸び率は、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。上記内層の23℃での引張伸び率が上記下限以上及び上記上限以下であると、偏平強度を良好にすることができる。
上記内層の23℃での引張強さ、及び引張伸び率は、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定される。なお、上記引張強さ及び上記引張伸び率の測定では、試験片の形状に応じて、JIS K6815-2とJIS K7161-2とを選択することができる。
(外層)
本発明に係る多層管では、上記外層の材料が、熱可塑性樹脂(第2の熱可塑性樹脂)と、顔料(第2の顔料)とを含む。
上記第2の熱可塑性樹脂は、耐候性を有する熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
樹脂が耐候性を有するか否かに関しては、以下の耐候性試験を実施した場合に、該耐候性試験前後での色差が10以下である場合に、樹脂が耐候性を有すると判断する。なお、上記耐候性試験実施後の樹脂は、屋外に10年程度放置した後の樹脂に相当する。
耐候性試験は、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
上記色差とは、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、耐候性試験前後の樹脂のL,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定し、以下の式を用いて計算されたΔEである。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
本発明に係る多層管では、上記第2の熱可塑性樹脂が、耐候性熱可塑性樹脂を含む。外層の材料として耐候性熱可塑性樹脂を含まない場合、多層管の耐候性が劣り、機械的特性が低下することがある。上記耐候性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐候性熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)ゴム含有アクリル樹脂、及びアクリロニトリル-塩素化ポリエチレン-スチレン樹脂(ACS樹脂)等が挙げられる。
多層管の耐候性をより一層良好にし、機械的特性をより一層良好にする観点からは、上記耐候性熱可塑性樹脂は、AS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂、PMMA、及びゴム含有アクリル樹脂の内の少なくとも1種の成分(本明細書において、成分Aと記載することがある)であることが好ましい。
上記アクリロニトリル-スチレン樹脂(AS樹脂)としては、アクリロニトリルとスチレンとの共重合体、アクリロニトリルとスチレンとアクリロニトリル又はスチレンと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体が挙げられる。上記AS樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリロニトリル又はスチレンと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;シメタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸nーブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸nーブチル、アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;マレイミド、Nーメチルマレイミド、Nーエチルマレイミド、Nーフェニルマレイミド、Nーシクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体、ジエン化合物、マレイン酸ジアルキルエステル、アリルアルキルエーテル、不飽和アミノ化合物、及びビニルアルキルエーテル等が挙げられる。上記アクリロニトリル又はスチレンと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂(ASA樹脂)としては、アクリロニトリルとスチレンとアクリレートとの共重合体等が挙げられる。上記ASA樹脂は、一般的にゴム性質及び熱可塑性質を有する。上記ASA樹脂の市販品としては、UMGABS社製「S411A」、及びグッドイヤー・ケミカル・ヨーロッパ社製「サニガムエラストマー」等が挙げられる。上記ASA樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES樹脂)の市販としては、住友ノーガタック社製「ユニブライトシリーズ」、及び日本合成ゴム社製「JSRAESシリーズ」等が挙げられる。上記AES樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリメタクリル酸メチル(PMMA)としては、アクリル単量体の単独重合体等が挙げられる。ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記アクリル単量体としては特に限定されず、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記アクリル単量体は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリメタクリル酸メチル(PMMA)は、上記アクリル単量体を変性させたアクリルポリマーであってもよい。
上記ACS樹脂の市販としては、昭和電工社製「ACS樹脂NFシリーズ」等が挙げられる。上記ACS樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ゴム含有アクリル樹脂としては、第1弾性重合体(RA)と第2弾性重合体(RB)と中間重合体(RD)と硬質重合体(RC)との重合体等が挙げられる。上記第1弾性重合体(RA)と上記第2弾性重合体(RB)と上記中間重合体(RD)と上記硬質重合体(RC)とは、この順序で共重合していることが好ましい。上記ゴム含有アクリル樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第1弾性重合体(RA)としては、重合体の構成成分として、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含むか、炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含むか、又は炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルと炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含む重合体が挙げられる。
上記第2弾性重合体(RB)としては、重合体の構成成分として、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含む重合体が挙げられる。
上記中間重合体(RD)としては、重合体の構成成分として、炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含むか、炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含むか、又は炭素数1~8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルと炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルとグラフト交叉剤とを含む重合体が挙げられる。
上記硬質重合体(RC)としては、重合体の構成成分として、炭素数1~4のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルを含む重合体が挙げられる。
上記第2の熱可塑性樹脂100重量%中、上記成分Aの含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、好ましくは100重量%以下である。上記成分Aの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記第2の熱可塑性樹脂及び成分Aの重合度は、好ましくは400以上、より好ましくは500以上、好ましくは2000以下、より好ましくは1800以下である。上記第2の熱可塑性樹脂及び成分Aの重合度が上記下限以上であると、クリープ性能を良好にすることができる。上記第2の熱可塑性樹脂及び成分Aの重合度が上記上限以下であると、成形時に高温下にする必要がなくなり、加工性がより一層良好になる。
上記外層の材料100重量%中、上記第2の熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、好ましくは100重量%以下である。上記第2の熱可塑性樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記第2の顔料としては、無機顔料、及び有機顔料が挙げられる。上記第2の顔料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記第2の顔料は、上記第1の顔料と同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記無機顔料としては、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化クロム、クロムバーミリオン、炭酸カルシウム、及び硫化亜鉛等が挙げられる。
上記有機顔料としては、アルカリブルー、リゾールレッド、カーミン6B、ジスアゾイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、及びイソインドリノンイエロー等が挙げられる。
光を吸収することによる顔料の発熱を抑え、かつ樹脂の劣化を抑える観点からは、上記第2の顔料は酸化チタンを含むことが好ましい。
上記第2の顔料が酸化チタンを含む場合、上記第2の顔料100重量%中の上記酸化チタンの含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下である。上記酸化チタンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、樹脂の劣化をより一層抑えることができる。
上記第2の顔料が無機顔料を含む場合、上記無機顔料の平均粒径は、好ましくは100nm以上、より好ましくは120nm以上、好ましくは800nm以下、より好ましくは750nm以下である。上記無機顔料の平均粒径が上記下限以上であると、耐候性をより一層良好にすることができ、長期間に渡り、機械的特性を良好に維持することができる。上記無機顔料の平均粒径が上記上限以下であると、外層の引張伸び率を良好にすることができる。
上記無機顔料の平均粒径は、数平均粒子径を示す。上記無機顔料の平均粒径は、例えば、上記無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。また、上記多層管の外層を切り出した後、外層を溶剤等で溶解して無機顔料を分離し、分離した無機顔料について、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第2の顔料の含有量は、0.1重量部以上30重量部以下である。上記第2の顔料の含有量が0.1重量部未満であると、耐候性が劣ることがある。上記第2の顔料の含有量が30重量部を超えると、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性が低下することがある。
上記第2の熱可塑性樹脂100重量部に対して、上記第2の顔料の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1.0重量部以上、好ましくは20重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。上記第2の顔料の含有量が上記下限以上であると、耐候性をより一層良好にすることができる。上記第2の顔料の含有量が上記上限以下であると、クリープ性能や偏平強度等の機械的特性がより一層良好にすることができる。
上記外層の材料100重量%中、上記第2の顔料の含有量は、好ましくは0.4重量%以上、より好ましくは0.9重量%以上、好ましくは19重量%以下、より好ましくは9重量%以下である。上記第2の顔料の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、耐候性をより一層良好にすることができる。
上記外層の23℃での引張強さは、好ましくは25MPa以上、より好ましくは30MPa以上、好ましくは67MPa以下、より好ましくは65MPa以下である。上記外層の23℃での引張強さが上記下限以上であると、多層管が変形しやすく、多層管と接続対象部材との接着性が低くなることがある。上記外層の23℃での引張強さが上記上限以下であると、偏平強度を良好にすることができる。
上記外層の23℃での引張伸び率は、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上である。上記外層の23℃での引張伸び率が上記下限以上であると、偏平強度を良好にすることができる。
上記外層の23℃での引張強さ、及び引張伸び率は、JIS K6815-2又はJIS K7161-2に準拠して測定される。なお、上記引張強さ及び上記引張伸び率の測定では、試験片の形状に応じて、JIS K6815-2とJIS K7161-2とを選択することができる。
上記外層は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の材料と併用してもよい。
(多層管の他の詳細)
上記多層管には、必要に応じて、各種の添加剤を用いてもよい。上記添加剤としては、安定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、顔料、及び可塑剤等が挙げられる。上記添加剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記安定剤としては特に限定されず、熱安定剤、及び熱安定化助剤等が挙げられる。上記熱安定剤としては特に限定されず、有機錫系安定剤、鉛系安定剤、カルシウム-亜鉛系安定剤、バリウム-亜鉛系安定剤、及びバリウム-カドミウム系安定剤等が挙げられる。上記有機錫系安定剤としては、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプト、ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマー、ジブチル錫ラウレート、及びジブチル錫ラウレートポリマー等が挙げられる。上記熱安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱安定化助剤としては特に限定されず、例えば、エポキシ化大豆油、りん酸エステル、ポリオール、ハイドロタルサイト、及びゼオライト等が挙げられる。上記熱安定化助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記滑剤としては、内部滑剤、及び外部滑剤が挙げられる。上記内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、及びビスアミド等が挙げられる。上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。上記外部滑剤としては特に限定されず、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、及びモンタン酸ワックス等が挙げられる。上記滑剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記加工助剤としては特に限定されず、アクリル系加工助剤等が挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては、重量平均分子量が10万~200万であるアルキルアクリレート-アルキルメタクリレート共重合体等が挙げられ、具体的には、n-ブチルアクリレート-メチルメタクリレート共重合体、及び2-エチルヘキシルアクリレート-メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。上記加工助剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、メタクリル酸メチル-ブタジエン-スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、及びアクリルゴム等が挙げられる。上記衝撃改質剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、α-メチルスチレン系、及びN-フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。上記耐熱向上剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記酸化防止剤としては特に限定されず、フェノール系酸化防止剤等が挙げられる。上記酸化防止剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、及びシアノアクリレート系紫外線吸収剤等が挙げられる。上記紫外線吸収剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光安定剤としては特に限定されず、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。上記光安定剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記充填剤としては特に限定されず、炭酸カルシウム、及びタルク等が挙げられる。上記充填剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記可塑剤は、成形時の加工性を高める目的で添加されていてもよい。上記可塑剤としては特に限定されず、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、及びジ-2-エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。上記可塑剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多層管の製造方法は、従来公知の多層管の製造方法にて製造することができる。上記多層管の製造方法としては、ブロー成形、熱成形、インフレーション成形、押出成形、射出成形、プレス成形、カレンダー成形、及び真空成形等が挙げられる。
上記多層管の製造方法において、樹脂組成物を成形する際の温度は特に限定されず、用いる樹脂(第1の熱可塑性樹脂及び第2の熱可塑性樹脂)の種類により適宜変更できる。上記温度は、好ましくは130℃以上、好ましくは230℃以下である。
(多層管接続体)
本発明に係る多層管接続体は、上述した多層管と、上記多層管に接続された接続対象部材とを備える。上記接続対象部材としては、上記多層管に接続されて用いられる部材であれば特に限定されず、単管、多層管、及び管継手等が挙げられる。
本発明に係る多層管接続体は、上記の構成が備えられているので、接着強度を高めることができ、また、高い接着強度を長期に渡って維持することができる。
上記接続対象部材の材料は特に限定されない。上記接続対象部材の材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。上記接続対象部材の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記多層管が呼び径50Aのサイズを有する場合に、上記接続対象部材に該多層管を荷重100Nで挿入したときに、多層管の挿入長さの、接続対象部材により規定される挿入可能長さに対する比(多層管の挿入長さ/接続対象部材により規定される挿入可能長さ)は、1/3以上であることが好ましく、2/3以下であることが好ましい。上記比が上記下限以上であると、多層管接続体の接着強度をより一層高めることができる。上記比が上記上限以下であると、接続対象部材に過度の応力が加わることによる、接続対象部材の長期強度が損なわれることを防ぐことができる。
上記多層管接続体は、接着層を備えることが好ましい。上記接着層は、上記多層管と上記接続対象部材との間に配置される。上記接着層は、上記多層管の上記外層の外表面上に配置される。上記接着層は、上記接続対象部材の内面上に配置される。上記多層管と上記接続対象部材とが、上記接着層を介して接着している。
上記接着層の材料としては特に限定されず、積水化学工業社製「エスロン接着剤 No.73S」、「エスロン接着剤 No.100S」等が挙げられる。また、上記接着層の材料は、THF、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、及びエタノール等の溶剤を含んでいてもよい。
接着強度を高める観点から、接着層の材料100重量%中、THF、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及び酢酸エチルの合計の含有量は、30重量%以上であることが好ましい。
接着強度をより一層高める観点からは、上記多層管と上記接続対象部材との40℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
接着強度をより一層高める観点からは、上記多層管と上記接続対象部材との60℃での接着強度は、好ましくは10MPa以上、より好ましくは15MPa以上である。
上記多層管と上記接続対象部材との40℃及び60℃での接着強度は、短期的な接着信頼性の指標となる。
上記多層管と上記接続対象部材との40℃及び60℃での接着強度は、以下のようにして測定することができる。
上記多層管の上記外層の材料が成形された第1の試験片と、上記接続対象部材の内面の材料が成形された第2の試験片とを得る。第1の試験片の表面と第2の試験片の表面との少なくとも一方に上記接着層の材料を塗布する。第1の試験片と第2の試験片とを重ね合わせて接着し、積層体を得る。得られた積層体では、上記第1の試験片と上記第2の試験片との間に、上記接着層の材料により接着された層が配置されている。なお、上記積層体は、多層管接続体を切り出すことにより得てもよい。
得られた積層体について、40℃又は60℃及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行う。積層体が破断したときの破断荷重と、第1の試験片及び第2の試験片の接着面積とから、下記式により接着強度を求めることができる。なお、引張試験機としては、例えば、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いることができる。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
長期に渡って、多層管接続体の機械的強度及び接続強度を高める観点からは、上記多層管接続体について、60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、上記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上であることが好ましい。
接続強度をより一層高める観点からは、上記多層管における上記外層のSP値と、上記接続対象部材の内面のSP値との差の絶対値は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.0以下である。上記SP値は、物質間の親和性の尺度を表し、溶解度パラメータとも呼ばれる。上記SP値の差の絶対値が小さいほど、親和性が高くなることが知られている。
上記SP値は、文献情報から得ることができるほか、HansenやHoyの計算方法、Fedorsの推算法等により得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
多層管の材料として、以下の材料を用意した。
内層:
ポリ塩化ビニル(PVC)(徳山積水工業社製「TS-1000R」、重合度1000)
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「VH」)
顔料1(酸化チタン70重量%、分散剤15重量%、チタン、アンチモン、及びクロムの複合酸化物10重量%、亜鉛、鉄、及びクロムの複合酸化物5重量%を含む混合物)
外層:
アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂とポリイミド樹脂の混合物(AES樹脂+ポリイミド樹脂)(日本エイアンドエル社製「UB-860」)
アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂(AES)(日本エイアンドエル社製「UB-700」)
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)(三菱レイヨン社製「VH」)
ポリメタクリル酸メチルとアクリルゴムの混合物(PMMA+アクリルゴム)(三菱レイヨン社製「IRH50」)
ポリ塩化ビニル(PVC)(徳山積水工業社製「TS-1000R」)
顔料2(酸化チタン70重量%、分散剤15重量%、チタン、アンチモン、及びクロムの複合酸化物10重量%、亜鉛、鉄、及びクロムの複合酸化物5重量%を含む混合物) 顔料3(酸化チタン70重量%、分散剤15重量%、チタン、アンチモン、及びクロムの複合酸化物10重量%、亜鉛、鉄、及びクロムの複合酸化物5重量%を含む混合物) 顔料4(酸化チタン70重量%、分散剤15重量%、チタン、アンチモン、及びクロムの複合酸化物10重量及び亜鉛、鉄、及びクロムの複合酸化物5重量%を含む混合物)
なお、上記顔料1~4は、後述するように平均粒径が異なるように振り分けられたものである。
接着層の材料として、以下の材料を用意した。
エスロン接着剤(積水化学工業社製「No.100S」)
接続対象部材として、以下の材料を用意した。
TSソケット(積水化学工業社製「TS50」、受け口長さ63mm、ポリ塩化ビニル(PVC)の含有量:90重量%以上、PVC以外の成分の含有量:10重量%以下)
(実施例1)
(1)多層管の作製
下記の表1に示す構成において、下記の押出条件で多層管の成形を行った。内層の外表面が外層により被覆された多層管を得た。なお、内層の材料として、PVCと顔料1を用いた。また、外層の材料としては、AES樹脂+ポリイミド樹脂と顔料2との混合材料を用いた。得られた多層管の外径は60mm、内層の厚みは4.1mm、外層の厚みは0.1mmであった。
[押出条件]
押出機:長田製作所社製「SLM60」(2軸異方向パラレル押出機)
副押出機:長田製作所社製「OPEH-35」(単軸押し出し機)
金型:パイプ用金型、呼び径50A用多層パイプ作製用
全体押出量:20kg/h
樹脂温度:多層管本体(内層)190℃(金型入口部での温度)、被覆層(外層)230℃(金型入口部での温度)
(2)配管(多層管接続体)の作製
接続対象部材に多層管を荷重100Nで挿入したときの挿入長さが、21mm以上42mm以下であることを確認してから、配管(多層管接続体)を作製した。
得られた多層管を40cmの長さに切断した。次いで、外層の外表面上に、多層管の一端から多層管の軸方向63mmの位置まで接着層の材料(エスロン接着剤)を4g塗布して接着層を形成した。このようにして、接着層付き多層管を合計2個作製した。次いで、上記接続対象部材(TSソケット)の両端の内面上に、接着層の材料(エスロン接着剤)をそれぞれ4g塗布した。接着層付き多層管を接続対象部材(TSソケット)の両端部に挿入し、30秒間抜け戻りがないよう固定した。このようにして、多層管と接続対象部材と多層管とがこの順に備えられた配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例2)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例3)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例4)
外層の顔料2の配合量を表1のように変更したこと、外層の厚みを0.15mmとしたこと以外は実施例3と同様にして多層管と配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例5)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムとPVCと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例6)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料3との混合材料を用いたこと、配合量を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例7)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料4との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例8)
外層の材料として、PMMAと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
参考例9)
内層の材料としてPMMAと顔料1とを用いたこと、外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(実施例10)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(比較例1)
外層の材料として、PMMA+アクリルゴムと顔料2との混合材料を用いたこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(比較例2)
外層の材料として、AES樹脂を用いたこと、顔料2を用いなかったこと、配合量を表2のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして多層管及び配管(多層管接続体)を作製した。
(評価)
(1)外層強度
得られた多層管から、外層のみを切り出して、下記のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K6815-2における試験片の形状とした。得られたサンプルを用いて、JIS K6815-2に準拠して、23℃及び引張速度5mm/minの条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、引張強さ及び引張伸び率を算出し、外層強度(外層の引張強さ(引張強度)及び引張伸び率)とした。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。
[ロールプレス条件]
加熱温度:195℃
加熱時間:3分間
余熱温度:195℃
余熱時間:3分間
プレス圧力:20MPa
プレス時間:3分間
(2)内層強度
得られた多層管から、内層のみを切り出して、上記(1)と同様のロールプレス条件でロールプレス加工を行い、ダンベル形状のサンプルを得た。サンプルのダンベル形状は、具体的には、JIS K6815-2における試験片の形状とした。得られたサンプルを用いて、JIS K6815-2に準拠して、23℃及び引張速度5mm/minの条件で、引張試験を実施した。得られた試験結果から、引張強さ及び引張伸び率を算出し、内層強度(内層の引張強さ(引張強度)及び引張伸び率)とした。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。
(3)顔料の平均粒径
得られた多層管から、内層を切り出して、0.1mol/Lのテトロヒドロフランで溶解し、第1の顔料を分離して乾燥させた。得られた多層管から、外層を切り出して、0.1mol/Lのテトロヒドロフランで溶解し、第2の顔料を分離して乾燥させた。得られた第1の顔料及び第2の顔料について、レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社製「SALD-2200」)を用いて、レーザー回折式粒度分布測定を行い、数平均粒子径を求めた。
(4)全光線透過率(外層)
得られた多層管の外層のみを切り出して、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、厚み0.2mm、0.25mm、0.35mm、0.40mm、0.50mmのサンプルを作製した。得られた各サンプルの厚みは±0.02mmのばらつきが生じたため、マイクロメーターで正確な厚みを測定した。得られたサンプルの全光線透過率を日本電色工業社製「NDH2000」を用いて、JIS K7361-1に準拠して測定した。片対数グラフ上に、サンプルの厚みを横軸、全光線透過率を縦軸にプロットし、得られた近似直線の傾きを定数Aとした。下記の式に従い、外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率、及び外層(得られた多層管における外層と同じ厚みを有する外層)の厚み方向の全光線透過率を算出した。全光線透過率は以下の基準で判定した。
外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率(%)=100×exp(-A×0.1)
外層の厚み方向の全光線透過率(%)=100×exp(-A×T)
T:外層の厚み(mm)
(5)接着強度(40℃及び60℃)(短期の接続信頼性)
得られた多層管から、外層のみを切り出して、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第1の試験片を得た。接続対象部材を切り出して、上記(1)外層強度の評価で行ったロールプレス条件でロールプレス加工を行い、2.5cm×7.5cm×3.00mmの第2の試験片を得た。得られた第1の試験片の表面にエスロン接着剤を0.1g塗布し、該塗布部分に上記第2の試験片を重ね合わせて、0.2Nの荷重をかけて接着し、23℃で24時間乾燥して、積層体を得た。なお、第1の試験片と第2の試験片との接着面積は、300mmとした。得られた積層体について、40℃又は60℃及び引張速度5mm/分の条件で引張試験を行った。引張試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGX-X」を用いた。下記式により、40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を求めた。40℃での接着強度、及び60℃での接着強度を以下の基準で判定した。
接着強度(MPa)=破断荷重(N)/接着面積(mm
[接着強度(40℃及び60℃)の判定基準]
○:接着強度が10MPa以上
×:接着強度が10MPa未満
(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)(長期の接続信頼性)
得られた配管(多層管接続体)を60℃で168時間静置した。静置後、40℃又は60℃で圧力1.0MPa(フープ応力6.4MPa)の水圧を配管内に負荷し、上記配管から水漏れが発生するまでの時間を測定した。40℃での熱間内圧クリープ試験、及び60℃での熱間内圧クリープ試験を以下の基準で判定した。
[熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)の判定基準]
○:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が100時間以上
×:熱間内圧クリープ試験開始から配管が破壊され、水漏れが発生するまでの時間が100時間未満
(7)耐候性試験
得られた多層管を下記の条件で800時間の耐候性試験を実施した。耐候性試験機として、ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いた。
[耐候性試験条件]
運転モード:L+D
L:照射強度75mW/cm、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
シャワー:Dの前後に各30秒
(8)偏平強度
得られた多層管について、JIS K6741に準拠して、偏平試験を行った。試験機としては、島津製作所社製「卓上形精密万能試験機 AGS-X」を用いた。偏平強度を下記の基準で判定した。また、上記(7)耐候性試験を行った多層管についても、同様に偏平試験を行った。偏平強度を下記の基準で判定した。
[偏平強度の判定基準]
○:偏平率50%であっても、多層管の破損や、外層にひび又は割れが生じない
△:偏平率50%未満で、外層にひび又は割れが生じる
×:偏平率50%未満で、多層管に破損が生じる
(9)衝撃強度保持率
得られた多層管について、JIS K6741の附属書A又はJIS K6742の附属書Aに準拠して耐衝撃試験を行い、衝撃強度を求めた。具体的には、3kgの錘を用いて、0℃で落錘試験を実施した。ただし、試験片の長さは3cmとし、50%割れ高さは、JIS K7211に記載の方法で算出した。落錘試験機として、安田精機製作所社製「FALLING DART IMPACT TESTER」を用いた。また、上記(7)耐候性試験を行った多層管についても、同様に耐衝撃試験を行った。衝撃強度保持率を、以下の式により求めた。衝撃強度保持率を下記の基準で判定した。
衝撃強度保持率(%)=(耐候性試験後の衝撃強度/耐候性試験前の衝撃強度)×100
[衝撃強度保持率の判定基準]
○:衝撃強度保持率が、80%以上
△:衝撃強度保持率が、50%以上、80%未満
×:衝撃強度保持率が、50%未満
(10)色差
得られた多層管について、日本電色工業社製の色差計「NR-300」を用いて、L,a,b値をJIS-Z8730に基づき測定した。また、上記(7)耐候性試験を行った多層管についても、同様にしてL,a,bを測定した。下記式により耐候性試験前後の色差を求めた。色差を下記の基準で判定した。
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
[色差の判定基準]
○:ΔEが10以下
×:ΔEが10を超える
(11)総合判定
上記(5)接着強度(40℃及び60℃)、上記(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)、上記(8)偏平強度、上記(9)衝撃強度保持率、上記(10)色差の判定結果から各実施例、参考例及び各比較例で点数を算出した。
上記(5)接着強度(40℃及び60℃)の判定が○:3点、×:0点
上記(6)熱間内圧クリープ試験(40℃及び60℃)の判定が○:3点、×:0点 上記(8)偏平強度の判定が○:3点、△:1点、×:0点
上記(9)衝撃強度保持率の判定が○:5点、△:3点、×:0点
上記(10)色差の判定が○:10点、×:0点
合計点から、総合判定を以下の基準で判定した。
[総合判定の判定基準]
○:合計点が30以上
△:合計点が21以上、29点以下
×:合計点が20点以下
多層管の構成及び結果を下記の表1、2に示す。
Figure 0007103872000001
Figure 0007103872000002
1…内層
2…外層
11…多層管

Claims (12)

  1. 管状の内層と、前記内層の外表面上に配置された外層とを備える多層管であって、
    前記内層の材料が、第1の熱可塑性樹脂100重量部と、第1の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含み、
    前記外層の材料が、第2の熱可塑性樹脂100重量部と、第2の顔料0.1重量部以上30重量部以下とを含み、
    前記内層の材料が、前記第1の熱可塑性樹脂として、塩化ビニル系樹脂を含み、
    前記外層の材料が、前記第2の熱可塑性樹脂として、前記第2の熱可塑性樹脂100重量%中、耐候性熱可塑性樹脂を30重量%以上100重量%以下で含み、
    前記耐候性熱可塑性樹脂が、アクリロニトリル-スチレン樹脂、アクリロニトリル-エチレン-プロピレン-スチレン樹脂、アクリロニトリル-スチレン-アクリレート樹脂、ポリメタクリル酸メチル、又はゴム含有アクリル樹脂であり、
    前記外層の厚み方向における全光線透過率が50%以下であるか、又は、前記外層の厚み0.1mmあたりの全光線透過率が50%以下である、多層管。
  2. 以下の耐候性試験実施後の衝撃強度の、耐候性試験実施前の衝撃強度に対する衝撃強度保持率が、50%以上である、請求項1に記載の多層管。
    耐候性試験:
    ダイプラウインテス社製「METALWEATHER」を用いて、以下の条件で800時間実施する。
    運転モード:L+D
    L:照射強度75mW/cm 、ブラックパネル温度50℃、湿度50%、4時間
    D:照射なし、ブラックパネル温度30℃、湿度98%、4時間
    シャワー:Dの前後に各30秒
  3. 前記第2の顔料が、無機顔料を含み、
    前記無機顔料の平均粒径が100nm以上800nm以下である、請求項1又は2に記載の多層管。
  4. 前記第2の顔料が、酸化チタンを含み、
    前記第2の顔料100重量%中、前記酸化チタンの含有量が、20重量%以上80重量%以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の多層管。
  5. JIS K6815-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2に準拠して測定された前記外層の23℃での引張伸び率が10%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の多層管。
  6. JIS K6815-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張強さが25MPa以上67MPa以下であり、かつJIS K6815-2に準拠して測定された前記内層の23℃での引張伸び率が10%以上である、請求項1~のいずれか1項に記載の多層管。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載の多層管と、
    前記多層管に接続された接続対象部材とを備える、多層管接続体。
  8. 接着層を備え、
    前記接着層が前記多層管と前記接続対象部材との間に配置されている、請求項に記載の多層管接続体。
  9. 前記多層管と前記接続対象部材との40℃での接着強度が10MPa以上である、請求項又はに記載の多層管接続体。
  10. 前記多層管と前記接続対象部材との60℃での接着強度が10MPa以上である、請求項のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  11. 40℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項10のいずれか1項に記載の多層管接続体。
  12. 60℃及びフープ応力6.4MPaでの熱間内圧クリープ試験を実施したときに、水漏れが発生するまでの時間が、前記熱間内圧クリープ試験開始から100時間以上である、請求項11のいずれか1項に記載の多層管接続体。
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