JP7440932B2 - 歯科切削加工用ブランク及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料を用いた歯科切削加工用ブランク、及びその製造方法に関する。詳しくは、構造色を発現すると共に適度なコントラスト比を有することによって、顔料物質又は染料物質を特に用いなくても、その色調を様々な色調の天然歯牙と良好に適合性させることができる歯科用補綴物を作製することができる歯科切削加工用ブランク、及びその製造方法に関する。
歯科治療において、インレー、アンレー、クラウン、ブリッジ、インプラント上部構造体等の歯科用補綴物の作製にデジタル化技術の利用が進んでいる。例えば、特許文献1に開示されているように、口腔内の撮影画像から、コンピュータ支援設計(CAD;Computer Aided Design)及びコンピュータ支援製造(CAM;Comuter Aided Manufacturing)技術によるCAD/CAM装置を用いて、非金属材料からなる歯科切削加工用ブランクに切削加工を施して歯科用補綴物を成形するCAD/CAMシステムが多用されるようになってきている。ここで、歯科切削加工用ブランクとは、CAD/CAMシステムにおける切削加工機に取り付け可能にされた被切削体(ミルブランクとも称される)を意味し、直方体、円柱等の形状に成形された(ソリッド)ブロック;板状又は盤状に形成された(ソリッド)ディスク;などが一般的に知られている。なお、歯科切削加工用ブランクには、これを切削加工機に固定するための保持ピンが接合されることも多く、このような形態においては保持ピンと一体化したものを歯科切削加工用ブランクと称することもある。本明細書では、このような保持ピンと一体化した形態を含めて歯科切削加工用ブランクと称する。そして、被切削体本体(歯科切削加工用ブランク本体)を被切削加工部と称することもある。
歯科切削加工用ブランクの被切削加工部となる材料としては、ガラスセラミックス、ジルコニア、チタン、レジン等の様々な材料が用いられる。これらの中でも、シリカ等の無機充填材、メタクリレート樹脂等の重合性単量体、及び重合開始剤を含有する硬化性組成物の硬化体からなるレジン系材料は、その作業性(切削加工性)の高さ、高審美性、強度等の点から注目を集めている。
ところで、歯科治療では、天然歯牙の色調に可能な限り近い外観を付与することが要求される。このような審美的要求を満たすために、顔料物質又は染料物質をその種類及び配合量を変えて添加することにより色調が調整された単一成分からなる単層構造の歯科切削加工用ブランクや、異なる色調の成分を積層して構成される多層構造の歯科切削加工用ブランクが提案されている。
例えば、特許文献2には、汎用性及び生産性に優れ、且つ、天然歯の美観の再現性が高い歯科切削加工用ブランクとして、象牙質修復用レジン層とエナメル質修復用レジン層とが積層された歯科CAD/CAM用レジン系ブロックであって、少なくとも象牙質修復用レジン層が光拡散性粒子を含有し、特定の拡散比を有する歯科CAD/CAM用レジンブロックが提案されている。
特表2016-535610号公報 特開2017-213394号公報 特許第5274164号公報 国際公開第2017/069274号
ところが、顔料物質又は染料物質を用いて色調調整を行った歯科切削加工用ブランクは、これを用いて作製した歯科用補綴物中におけるこれら顔料物質等が経年劣化によって退色又は変色することにより、修復後から時間が経過するに従って変色し、修復部位の外観が天然歯と適合しなくなってしまうことがある。
そこで、本発明は、このような問題が起こり難い、レジン系材料を含む歯科切削加工用ブランク及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第1の態様は、レジン系材料からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用ブランクであって、
上記レジン系材料は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料を含み、
上記無機粒子は、
100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が上記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)と、
平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる超微細粒子群(G-SFP)と、を含んでなり、
上記無機粒子に含まれる上記同一粒径球状粒子群の数が1又は複数であり、
上記無機粒子に含まれる上記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aの自然数である。)で表したときに、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっており、
上記超微細粒子群の平均一次粒子径は、G-PIDの平均一次粒子径よりも25nm以上小さく、
上記樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(MX)とし、各G-PIDを構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(G-PIDm)としたときに、いずれのn(G-PIDm)に対しても、
(MX)<n(G-PIDm)
の関係が成り立ち、
上記樹脂マトリックス中における全ての上記同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が下記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有している歯科切削加工用ブランクである。
[条件1] 上記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離rを、上記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、上記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数g(r)をy軸として、r/rとそのときのrに対応するg(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離rが、上記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rの1倍~2倍の値である。
[条件2] 上記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離rとしたときに、上記最近接粒子間距離rと上記次近接粒子間距離rとの間における上記動径分布関数g(r)の極小値が0.56~1.10の値である。
本発明の歯科切削加工用ブランクにおいて、上記動径分布関数g(r)は、上記複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定される、当該観察平面内の上記無機球状粒子の平均粒子密度<ρ>、当該観察平面内の任意の無機球状粒子からの距離rの円と距離r+drの円との間の領域中に存在する無機球状粒子の数dn、及び上記領域の面積da(但し、da=2πr・drである。)に基づいて、下記式(1):
g(r)={1/<ρ>}×{dn/da}・・・(1)
により計算されるものであることが好ましい。
また、本発明の歯科切削加工用ブランクにおいては、ブロックの色調及びコントラスト比の観点から、上記樹脂マトリックス中に分散する上記同一粒径球状粒子群の総量が、上記樹脂マトリックス100質量部に対して10質量部~1500質量部であり、上記樹脂マトリックス中に分散する上記超微細粒子群の量が、樹脂マトリックス100質量部に対して0.1質量部~50質量部であることが好ましく、上記無機粒子に含まれる全ての上記同一粒径球状粒子群の平均一次粒子径が230nm~1000nmの範囲内にあり、上記超微細粒子群の平均一次粒子径が3nm~75nmの範囲内にあることがより好ましい。さらに、n(MX)とn(G-PIDm)との差(n(G-PIDm)-n(MX))で定義されるΔnが、いずれのn(G-PIDm)に対しても0.001~0.1であることが好ましい。
本発明の歯科切削加工用ブランクは、上記被切削加工部が、それぞれ組成の異なる複数の上記複合材料の接合体からなるものであってもよい。
本発明の第2の態様は、所定の形状の被切削加工部を有する本発明の歯科切削加工用ブランクを製造する製造方法であって、
25℃における波長589nmの光に対する屈折率が1.40~1.57となる硬化体を与える重合性単量体成分(A)、25℃における波長589nmの光に対する屈折率が上記重合性単量体成分(A)の硬化体の25℃における波長589nmの光に対する屈折率よりも大きい屈折率を有する材料で構成される上記同一粒径球状粒子群と、上記超微細粒子群と、を含んでなる無機粒子(B)、及び重合開始剤(C)を混合して重合硬化性組成物を得る混合工程と、
上記重合硬化性組成物を注型重合することにより上記被切削加工部の全部又は一部を構成する複合材料のバルク体を得る注型重合工程と、を含み、
上記混合工程では、当該工程で得られる重合硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中における全ての上記同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が上記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有するように混合を行う製造方法である。
本発明の製造方法においては、上記短距離秩序構造を確実に得ることができるという理由から、1又は複数の上記同一粒径球状粒子群の少なくとも一部は、1種の同一粒径球状粒子群と、25℃における波長589nmの光に対する屈折率が当該1種の同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率よりも小さい樹脂とを含んでなり、上記1種の同一粒径球状粒子群以外の同一粒径球状粒子群を含まない有機-無機複合フィラーとして含まれることが好ましい。
また、均一に重合硬化させる観点から、上記重合開始剤(C)として熱重合開始剤を用い、上記注型重合工程では60℃~200℃で注型重合を行うことが好ましい。
本発明の歯科切削加工用ブランクは、(a)染料物質又は顔料物質を用いなくてもよいため経時変色の問題が起こり難く、(b)染料物質及び顔料物質を用いることなく、青色系の透明感のある色調から象牙色質と同様の色である黄色~赤色の色調といった幅広い色調範囲内で所望する色調に着色することができ、しかも(c)超微細粒子群(G-SFP)が配合されていることにより適度な透明性を有するため、厚みが厚い歯科用補綴物とした場合でも、被修復歯牙の色と調和し易く、広範な色の被修復歯牙に対して天然歯に近い外観の修復を行うことができる、という優れた効果を得ることができる。さらに、複数の同一粒径球状粒子群(G-PID)を含む態様においては、各G-PIDがその平均一次粒子径に応じた色調の構造色を発色するため、配合するG-PIDの組み合わせにより、全体の発色色調をコントロールすることも可能である。
また、本発明の歯科切削加工用ブランクにおいては、その被切削加工部の全部又は一部に用いられる複合材料を構成する樹脂マトリックス中に分散する球状フィラーの分散状態を電子顕微鏡観察によって確認できるため、例えば、原料となる重合硬化性組成物の混錬条件等の製造条件と分散状態との相関を調べることにより、確実に上記効果を発現できるような製造条件を決定することができる。そして、そのような条件を採用する本発明の製造方法により、本発明の歯科切削加工用ブランクを高い歩留まりで製造することが可能となる。
実施例1の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における観察平面の走査型電子顕微鏡画像の一例を示す図である。 図1Aの走査型電子顕微鏡画像から得られた座標データの一例を示す図である。 図1Bの座標データから決定されるパラメータに基づいて計算されたg(r)に関する動径分布関数グラフを示す図である。 実施例2の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。 実施例3の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。 実施例4の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。 実施例5の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。 実施例6の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。 比較例2の歯科切削加工用ブランクから切り出された硬化体における動径分布関数グラフを示す図である。
本開示の歯科切削加工用ブランクは、レジン系材料からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用ブランクであり、上記レジン系材料は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる特定の複合材料を含む。換言すれば、上記被切削加工部は、その全部が上記特定の複合材料で構成されるか、又は一部が上記特定の複合材料で構成され残部が他のレジン系材料で構成される。このとき、上記特定の複合材料からなる部分は、それぞれ組成の異なる複数の上記特定の複合材料の接合体からなるものであってもよい。
ここで、上記特定の複合材料とは、樹脂マトリックス中に特定の無機粒子が特定の分散条件を満足するように分散したものである。当該特定の複合材料は、いわゆる「構造色」と称される発色メカニズムを利用することにより、顔料物質又は染料物質を特に添加することなく発色(着色)することができるものである。構造色とは、媒質中の微粒子による光の反射、干渉、散乱、透過等により発色する色を意味し、樹脂等の媒体中に無機粒子が分散した複合材料を所期の色に発色させる技術も知られている(特許文献3及び4参照)。
例えば、特許文献3には、「平均粒子径が50nm~1μmの範囲にあり且つ粒子径のCv値が10%以下である第一微粒子が媒質中に分散してなる微粒子分散体であって、上記分散体中における上記第一微粒子の配列構造がアモルファス構造であり、且つ、平面内の動径分布関数g(r)で規定される特定の条件を満足するような短距離秩序構造を有する微粒子分散体」は、微粒子の配列構造が安定的に維持され、特定の波長の光を反射することができ、光の入射角の変化によって反射光のピーク波長が変化する反射光の角度依存性を十分に低減することが可能な微粒子分散体であることが開示されている。
また、特許文献4には、「重合性単量体成分(A)、平均粒子径が230nm~1000nmの範囲内にある球状フィラー(B)、及び重合開始剤(C)を含み、上記球状フィラー(B)を構成する個々の粒子のうち90%以上が平均粒子径の前後の5%の範囲内に存在し、上記球状フィラー(B)の25℃における屈折率nが上記重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率nよりも大きいという条件を満足する硬化性組成物」からなり、「厚さ1mmの硬化体を形成した状態で、各々色差計を用いて測定した、黒背景下での着色光のマンセル表色系による測色値の明度(V)が5未満であり、彩度(C)が0.05以上であり、且つ、白背景下での着色光のマンセル表色系による測色値の明度(V)が6以上であり、彩度(C)が2未満となる硬化性組成物」が開示されている。
そして、特許文献4には、当該硬化性組成物からなる歯科用コンポジットレジン(CR)は、(1)染料物質及び顔料物質を用いていないため経時変色の問題が起こり難く、(2)その硬化体は象牙色質と同様の色である黄色~赤色に着色することができ、しかも(3)該硬化体が適度な透明性を有するため、被修復歯牙の色と調和し易く、煩雑なシェードテイキングやコンポジットレジンのシェード選択を行うことなく、1種類のコンポジットレジンで広範な色の被修復歯牙に対して天然歯に近い外観の修復を行うことができる、という優れた特徴を有することが記載されている。
特許文献3によれば、均質な粒径を有する微粒子が特定の短距離秩序構造を有しつつ全体的にはアモルファス構造となるように分散することによって、光の入射角の変化に左右されない一定の色調の構造色を発色することができることが分かる。また、特許文献4では、硬化性組成物(或いは当該硬化性組成物からなるCR)の硬化体における干渉による着色光は、構成する粒子が比較的規則的に集積された部分で生じ、散乱による着色光は、構成する粒子が無秩序に分散された部分で生じると説明されており、当該系においても球状フィラーの分散状態における長距離的な不規則性と短距離的な規則性とのバランスが、上記(1)~(3)の効果を得る上で重要であることが推察できる。
しかし、特許文献4に開示される硬化性組成物において、上記効果が得られる上記バランスの定量的な評価はされておらず、例えば、硬化性組成物の粘度を調整する目的や硬化体のコントラスト比を調製する目的で微細フィラーを添加したときに、上記効果がどのような影響を受けるのかは不明であった。また、特許文献4では、球状フィラー(B)として、「230nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が上記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する集合体」を1種類しか用いておらず、平均一次粒子径の異なるこのような集合体を複数用いた場合に、上記効果がどのような影響を受けるのかは不明であった。また、特許文献4では、いわゆる浅い窩洞に対するCR修復を主に想定していたため、厚みの厚い歯科用補綴物としたときに同様の効果が得られるかどうかは不明であった。さらに、頻度は少ないものの各成分を混錬して硬化性組成物を調製する際の条件によっては、所期の効果を奏するものが得られないことがあることが判明した。
このような各種不確定性や、硬化性組成物の調製条件による応用物性のバラツキは、硬化性組成物そのものをCRとする場合は勿論、その硬化体を歯科用補綴物として用いる場合においても問題となると考えられる。
本発明では、球状粒子の分散状態の定量化の手法として特許文献3に開示されている「平面内の動径分布関数g(r)」を用いた短距離秩序構造の規定方法を活用し、樹脂マトリックス中に同一粒径球状粒子群(G-PID)及び超微細粒子群(G-SFP)を含む無機粒子が分散した、特許文献4に開示されている系と類似した系において、上記効果が得られる無機粒子の分散状態を特定し、当該分散状態を有する複合材料を用いることにより、歯科切削加工用ブランクとしたときの上記各種不確定性や応用物性のバラツキを排除したものである。
なお、上記複合材料は、本発明者らによって既に提案されたものであり(特願2018-165680号。以下、当該提案に係る複合材料を「本開示の複合材料」ともいう。)、特許文献4に開示されるような系において上記効果が得られる短距離秩序構造を特定することに成功する(換言すれば、上記条件1及び条件2を満足すれば上記効果が得られることを見出す)と共に、極微細な無機フィラーを添加しても構造色発現効果にほとんど影響を与えないこと、さらに特定の条件を満足する場合には、複数の球状フィラー集合体を用いても各球状フィラー集合体で構造色を発色する短距離秩序構造型が保たれて、それぞれの集合体に起因する構造色が発色し、全体としてそれらが合成された色調で発色すること、を見出したことに基づき成されたものである。そして、特許文献4に開示される硬化体が、平均粒子径が230nm~1000nmの範囲内の1種類の同一粒径球状粒子群(G-PID)のみを含み、超微細粒子群(G-SFP)を特に含まないのに対し、本開示の複合材料は、G-PIDの平均粒子径が100nm~1000nmの範囲で、且つ、1又は複数のG-PIDを含み、さらに硬化体のコントラスト比を調製する目的でG-SFPが添加されている点で異なっている。
そして、本発明は、本開示の複合材料に関する知見に加え、本開示の複合材料における上記効果が、その厚みを例えば10mm程度と厚くした場合でも得られることを確認し、本開示の複合材料は歯科切削加工用ブランクとして好適に使用できるという新たな知見に基づきなされたものである。
以下、本開示の複合材料を含めて本発明について詳しく説明する。
本開示の歯科切削加工用ブランクを構成する本開示の複合材料は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料であって、次の特徴を有する。
第一に、無機粒子は、100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が上記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)と、平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる超微細粒子群(G-SFP)とを含んでなり、無機粒子に含まれる同一粒径球状粒子群の数が1又は複数である。
第二に、無機粒子に含まれる同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aまでの自然数である。)で表したときに、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっており、且つ、超微細粒子群の平均一次粒子径は、最も平均一次粒子径が小さいG-PIDの平均一次粒子径よりも25nm以上小さくなっている。
第三に、樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(MX)とし、各G-PIDを構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(G-PIDm)としたときに、いずれのn(G-PIDm)に対しても、n(MX)<n(G-PIDm)の関係が成り立つ。
そして第四に、樹脂マトリックス中における全ての同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が下記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有している。
[条件1] 本開示の複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離rを、本開示の複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、上記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数g(r)をy軸として、r/rとそのときのrに対応するg(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離rが、本開示の複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rの1倍~2倍の値である。
[条件2] 上記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離rとしたときに、上記最近接粒子間距離rと上記次近接粒子間距離rとの間における上記動径分布関数g(r)の極小値が0.56~1.10の値である。
本開示の複合材料は、これら4つの特徴を全て具備することにより、複合材料に入射した光がブラッグ条件に則って回折干渉することにより、光の入射角による影響を受けることなく、特定波長の光が強調されて、平均一次粒子径に応じた構造色を発現し、その結果、特定の色調に発色することができるようになる。
上述したように、本開示の複合材料は、基本的には特許文献4に開示されている硬化性組成物の硬化体の範疇に入るものであるが、上記効果を確実に得られるような無機球状粒子の分散状態が特定されている点、特許文献4の硬化性組成物では任意成分とされていた「その他添加剤」の1つである無機フィラーについて上記効果に悪影響を与えない粒径のものを含む点、及び同一粒径球状粒子群を複数種含み得ることが確認されている点が新たな特徴となっている。したがって、樹脂マトリックスの原料となる重合性単量体成分、各々の同一粒径球状粒子群、より具体的には、その平均一次粒子径や当該G-PIDにおける個数基準粒度分布、当該G-PIDを構成する無機球状粒子の形状、材質、屈折率等、硬化体を得るために使用する重合開始剤等については、特許文献4の硬化性組成物と同様であってもよい。
そこで、まず、無機球状粒子の分散状態の特定に関する上記第四の特徴点について説明した後に、本開示の複合材料で使用する各種原材料や製造方法等について説明する。
本開示の複合材料では、無機球状粒子の分散状態の定量化の手法として、特許文献3に開示されている「平面内の動径分布関数g(r)」を用いて短距離秩序構造を規定している。ここで、動径分布関数g(r)とは、特許文献3において使用されていることからも分かるように、任意のある粒子から距離rだけ離れた地点における他の粒子の存在確率を求めるための関数としてよく知られたものであり、下記式(1)で定義されるものである。
g(r)={1/<ρ>}×{dn/da}・・・(1)
なお、上記式(1)において、<ρ>は、平面内の粒子の平均粒子密度を表し、dnは、平面内の任意の粒子の中心とし、半径がそれぞれr及びr+drである2つの円の間の領域の中に存在する粒子の数を表し、daは、上記領域の面積である2πr・drを表す。
動径分布関数g(r)は、一般的には、x軸(距離軸)に距離rをとり、y軸(縦軸)にそのrにおけるg(r)の値{上記式(1)による計算結果}をとった動径分布関数グラフ、或いは距離軸にrを粒子の平均粒子径で除して規格化した無次元数をとり、y軸(縦軸)にx軸の値に対応するrにおけるg(r)の値(上記式の計算結果)をとった動径分布関数グラフ(図2~図8参照)によって表されるものである。
本開示の複合材料においては、<ρ>及びdnの確認が容易で、確実であるという理由から、本開示の複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定した<ρ>、dn、及び上記dnを決定する際に採用したdrの値に応じたda(=2πr・dr)に基づいて、上記式(1)により計算したg(r)を採用することが好ましい。
<ρ>、dn、及びdaの決定は、次のようにして行うことができる。まず、本開示の複合材料の原料となる重合硬化性組成物(以下、「本開示の重合硬化性組成物」ともいう。)を硬化させる等して複合材料を作製し、得られた複合材料の表面を研磨する等の手段により、複合材料内部における無機球状粒子の分散状態が観察可能な平面(観察平面)を表面に露出させる。次いで、当該観察平面を走査型電子顕微鏡により観測し、少なくとも平面内に500個以上の無機球状粒子を含有している領域の顕微鏡画像を取得する。その後、得られた走査型電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(例えば、「Simple Digitizer ver3.2」フリーソフト)により解析して、領域内の無機球状粒子の座標を求める。得られた座標データから任意の無機球状粒子の座標を1つ選択し、選択した無機球状粒子を中心に少なくとも200個以上の無機球状粒子が含まれる距離rを半径とする円を描き、当該円内に含まれる無機球状粒子の個数をカウントすることにより、平均粒子密度<ρ>(単位:個/cm)を決定することができる。
また、dnについては、無機球状粒子の平均粒子径をrで表したときに、その長さがr/100~r/10程度の値となるdrを設定し、任意に選択した1つの無機球状粒子を中心粒子とし、その中心からの距離rを半径とする円と、当該円と同一の中心を有する半径r+drの円との間の領域内に含まれる無機球状粒子数をカウントすることにより、dnを決定することができる。さらに、2つの円の間の領域の面積であるdaは、実際に設定したdrの長さに基づき、2πr・drとして決定される。
本開示の複合材料では、複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離rを、複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、上記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数g(r)をy軸として、r/rとそのときのrに対応するg(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離rが、複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rの1倍~2倍の値である必要がある(条件1)。rがrの1倍未満(r/r<1)である場合には、平面内の粒子同士の重なりが多くなり、また、rがrの2倍を超える(r/r>2)場合には、選択した中心の無機粒子近傍に粒子が存在しなくなることによって、短距離の秩序性がなくなり、構造色を発現しなくなる。すなわち、短距離の秩序性を維持し、構造色を発現し易くなるという観点から、r/rは1.0~2.0の値であり、1.0~1.5の値であることが好ましい。
また、本開示の複合材料では、動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離rとしたときに、最近接粒子間距離rと次近接粒子間距離rとの間における動径分布関数g(r)の極小値が0.56~1.10の値である必要もある(条件2)。上記極小値が0.56未満となる場合には、無機球状粒子の配列構造の長距離秩序性が高くなり、発現する構造色の光の入射角度依存性が高まるばかりでなく、複合材料の彩度が高くなってしまい、歯科充填材料として用いた場合における色調適合性が得られ難くなる。他方、上記極小値が1.10を超える場合には、無機球状粒子の配列構造がランダム構造となってしまい、目的とする反射性能が得られ難くなり、所期の構造色が発現し難くなる。すなわち、構造色を発現させ、歯科充填材料としての色調適合性を得易くするという観点から、上記極小値は0.56~1.10の値であり、0.56~1.00の値であることが好ましい。
本発明者らの検討では、特許文献4に開示される硬化性組成物(CR)においては、頻度は極めて少ないものの、各成分を混錬して組成物(CR)を調製する際の条件によっては、所期の効果を奏するものが得られないことがあること、及びこのような効果が得られない系について動径分布関数g(r)の評価を行うと、条件1及び/又は条件2を満足しないことが確認されている。このことは、本開示の複合材料における同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造は、原料の混錬条件等の製造条件と相関していることを意味している。すなわち、手動混錬のように混錬条件にバラツキが生じ易い場合には、一定の確率で混練条件が十分でない場合が発生し、条件1又は条件2を満足せずに、目的の色調適合性が得られなくなり、製造時の歩留まりが低下してしまう。これに対し、混練機を用いて制御された条件で混練を行うと共に、脱泡処理を加えるなどして、複合材料中に気泡が含まれることを防止すること等により、条件1及び条件2を確実に満足さることができるようになる。
次に、本開示の複合材料で使用する各種原材料や製造方法等について説明する。
<重合性単量体成分(A)>
樹脂マトリックスを得るために好適に使用できる重合性単量体成分(A)は、特に限定されず、(メタ)アクリル化合物等のラジカル重合性単量体;エポキシ類、オキセタン類等のカチオン重合性単量体;などの中から適宜選択して用いることができる。歯科用重合硬化性組成物を得るためには、(メタ)アクリル化合物を使用することが好ましい。(メタ)アクリル化合物としては、特許文献4にも記載されているように、単官能重合性単量体及び多官能重合性単量体のいずれであってもよく、また、分子内に酸性基、水酸基等を有するものであってもよく、芳香族系のものであっても脂肪族系のものであってもよい。歯科用重合硬化性組成物に好適に使用できる(メタ)アクリル化合物を例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、N-(メタ)アクリロイルグリシン、p-ビニル安息香酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸無水物、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデカン-1,1-ジカルボン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、2,2-ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[(3-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ビス((メタ)アクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
これらの(メタ)アクリレート系重合性単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用してもよい。
重合性単量体成分としては、樹脂マトリックスとなる硬化体の物性(機械的特性、及び歯科用途では歯質に対する接着性)を調整するため、一般に、複数種の重合性単量体が使用される。この際、重合性単量体成分(混合物)の屈折率が1.38~1.55の範囲となるように、重合性単量体の種類及び量を設定することが、上記屈折率に関する条件を満足し易いという観点から望ましい。すなわち、無機球状粒子として屈折率の調整が容易なシリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物を用いる場合、その屈折率はシリカ分の含有量に応じて1.45~1.58程度の範囲となるが、重合性単量体成分の屈折率を1.38~1.55の範囲に設定することにより、得られる硬化体の屈折率を、おおよそ1.40~1.57の範囲に調整でき、上記条件を満足するようにすることが容易となる。なお、重合性単量体成分や重合性単量体成分の硬化体の屈折率は、25℃にてアッベ屈折率計を用いてナトリウムD線(波長589nm)に対する屈折率を測定することにより求めることができる。以下、本明細書において「屈折率」と記載する場合は、25℃における波長589nmの光に対する屈折率を意味するものとする。
<無機粒子(B)>
本開示の複合材料において樹脂マトリックス中に分散する無機粒子(B)は、1又は複数の同一粒径球状粒子群(G-PID)と、超微細粒子群(G-SFP)と、を含んでなる。
[同一粒径球状粒子群(G-PID)]
同一粒径球状粒子群(G-PID)とは、100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が上記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する、上記集合体を意味する。当該集合体を構成する個々の無機球状粒子は、実質的に同一の物質からなる。
ここで、無機球状粒子の平均一次粒子径とは、走査型電子顕微鏡によりG-PIDの写真を撮影し、その写真の単位視野内に観察される粒子の30個以上を選択し、それぞれの一次粒子径(最大径)を求めた平均値を意味する。また、球状とは、略球状であればよく、必ずしも完全な真球である必要はない。走査型電子顕微鏡でG-PIDの写真を撮り、その単位視野内にあるそれぞれの粒子(30個以上)について最大径を測定し、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上、好ましくは0.8以上のものであればよい。
本開示の複合材料では、球状であり且つ粒子径分布(個数基準粒度分布)が狭い無機粒子の集合体であるG-PIDの各構成粒子が特定の短距離秩序構造を有して樹脂マトリックス中に分散することにより、ブラッグ条件に則って回折干渉が起こり、特定波長の光が強調されて、平均一次粒子径に応じた色調の着色光が生じる(構造色が発現する)。すなわち、構造色が発現するためには、G-PIDを構成する無機球状粒子の90%(個数基準)以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する必要がある。また、青色~黄色~赤色系の広い範囲内の特定の色調を有する構造色を発現するために、G-PIDを構成する無機球状粒子の平均一次粒子径は、100nm~1000nmの範囲内にある必要がある。平均一次粒子径が100nm未満である球状粒子を用いた場合には、可視光の干渉現象が生じ難く、構造色も発現し難い。一方、平均一次粒子径が1000nmよりも大きい球状粒子を用いた場合には、光の干渉現象の発現は期待できるが、本開示の複合材料を製造する際に球状粒子の沈降が生じたり、研磨性が低下したりするため、好ましくない。
平均一次粒子径が230nm~800nmである場合には、黄色~赤色系の構造色(着色光)が発現し易く、平均一次粒子径が150nm以上230nm未満である場合には、青色系の構造色(着色光)が発現し易い。
天然歯牙の修復治療として好ましい黄色~赤色系の構造色(着色光)を発現するという理由から、G-PIDの平均一次粒子径は、230nm~800nmが好ましく、240nm~500nmがより好ましく、260nm~350nmがさらに好ましい。平均一次粒子径が230nm~260nmの範囲のG-PIDを用いた場合、得られる着色光は黄色系であり、シェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるB系(赤黄色)の範疇にある歯牙の修復に有用である。また、平均一次粒子径が260nm~350nmの範囲のG-PIDを用いた場合、得られる着色光は赤色系であり、シェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるA系(赤茶色)の範疇にある歯牙の修復に有用である。象牙質の色相はこうした赤色系のものが多いため、平均一次粒子径260nm~350nmの範囲のG-PIDのみを用いる態様において、多様な色調の修復歯牙に対して、幅広く適合性が良くなり最も好ましい。一方、平均一次粒子径が150nm以上230nm未満の範囲のG-PIDのみを用いた場合、得られる着色光は青色系であり、エナメル質から象牙質に亘って形成された窩洞に対しては歯質との色調適合性が不良となり易いが、エナメル質の修復に有用で、特に切端部の修復に有用である。
本開示の複合材料において樹脂マトリックス中に分散する無機粒子に含まれるG-PIDは、1種であっても複数種であってもよい。含まれるG-PIDの数aは、1~5であることが好ましく、1~3であることがより好ましく、1又は2であることがさらに好ましい。無機粒子にG-PIDが複数種含まれる場合、各G-PIDを構成する無機球状粒子は、互いに同一の物質からなるものであっても異なる物質からなるものであってもよい。
但し、無機粒子にG-PIDが複数種含まれる場合には、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっている必要がある。すなわち、無機粒子に含まれるG-PIDの数をa(例えば、a=3)としたときの各G-PIDを、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aまでの自然数である。)で表したときに、各G-PIDの平均一次粒子径をそれぞれdとすると、各dは、それぞれ互いに25nm以上異なっている必要がある。例えば、a=3のとき、|d-d|≧25nm、|d-d|≧25nmである必要がある(当然のことながら、|d-d|≧25nmを満たす。)。この条件を満足することにより、例えば、各G-PIDごとに(平均一次粒子径に応じた)特有の構造色を発現することが可能となる。これは、各G-PIDが、20個程度を超えないような少数の無機球状粒子が非常にゆるい結合力で凝集した凝集体のような形で分散すること等によって、G-PIDごとに構造色を発現できる短距離秩序構造をもって分散できるようになったことによるものと推察される。これに対し、この条件を満足しない場合には、構造色を発現し難くなってしまう。これは、無機球状粒子全体の粒子径分布がブロードとなり、各G-PIDを構成する無機球状粒子が相互置換して分散してしまい、個数基準粒度分布の条件を満足しない単一の無機球状粒子の集合体を用いた場合と同様の現象が起こることによるものと推察される。
本開示の複合材料において複数のG-PIDを用いる場合、各G-PIDの平均一次粒子径dは、それぞれ互いに30nm以上異なっていることが好ましく、40nm以上異なっていることがより好ましい。すなわち、dとdm-1との差は、30nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがより好ましい。また、dとdm-1との差は、100nm以下であることが好ましく、60nm以下であることがより好ましい。
なお、本開示の複合材料に複数種のG-PIDが含まれる場合、各G-PIDは、極めてシャープな粒度分布を有し、且つ、平均一次粒子径には上述したような差があるため、各G-PIDの粒度分布は重なり難く、一部重なった場合でも各G-PIDの粒度分布を確認することは可能である。すなわち、本開示の複合材料に含まれる無機粒子の粒度分布は、100nm~1000nmの範囲では、複合材料に含まれるG-PIDの数と同数の独立したピークを有するものとなり、各ピークの一部が重なった場合でも、波形処理を行うことにより、各G-PIDの平均一次粒子径及び個数基準粒度分布を確認することができる。また、無機粒子の粒度分布は、例えば、本開示の複合材料の内部表面の電子顕微鏡写真を画像処理すること等によっても確認することができる。
(無機球状粒子)
G-PIDを構成する無機球状粒子としては、G-PIDを構成するための上記条件を満足するものであれば、その材質は特に限定されない。好適に使用できる材質を例示すれば、非晶質シリカ、シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子(シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア等)、石英、アルミナ、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ランタンガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、フッ化イッテルビウム、ジルコニア、チタニア、コロイダルシリカ等からなるものを挙げることができる。これらの中でも、屈折率の調整が容易であることから、シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物からなる粒子を使用することが好ましい。
ここで、シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子とは、シリカとチタン族元素(周期律表第4族元素)酸化物との複合酸化物を意味し、シリカ分の含有量に応じてその屈折率を1.45~1.58程度の範囲で変化させることができる。シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子の具体例としては、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア・ジルコニア等が挙げられる。これらの中でも、高いX線不透過性を付与できるという理由から、シリカ・ジルコニアが好ましい。シリカ・ジルコニアにおける複合比は特に制限されないが、十分なX線不透過性を付与すること、及び屈折率を後述する好適な範囲にする観点から、シリカの含有量が70モル%~95モル%であり、チタン族元素酸化物の含有量が5モル%~30モル%であるものが好ましい。
なお、これらシリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子には、少量であれば、シリカ及びチタン族元素酸化物以外の金属酸化物の複合も許容される。具体的には、酸化ナトリウム、酸化リチウム等のアルカリ金属酸化物を10モル%以内で含有させてもよい。
シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物粒子の製造方法は特に限定されないが、球状フィラーを得るためには、例えば、加水分解可能な有機ケイ素化合物と加水分解可能な有機チタン族金属化合物とを含んだ混合溶液を、アルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、いわゆるゾルゲル法が好適に採用される。
これらのシリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物からなる無機球状粒子は、シランカップリング剤により表面処理されていてもよい。シランカップリング剤による表面処理により、後述するような有機-無機複合フィラーとしたときに、当該有機-無機複合フィラーの有機樹脂マトリックスとの界面強度に優れたものになる。代表的なシランカップリング剤としては、γ-メタクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらシランカップリング剤の表面処理量に特に制限はなく、得られる重合硬化性組成物の硬化体の機械的物性等を予め実験で確認した上で最適値を決定すればよいが、好適な範囲を例示すれば、無機球状粒子100質量部に対して0.1質量部~15質量部の範囲である。
(樹脂マトリックスの屈折率と無機球状粒子の屈折率との関係)
本開示の複合材料においては、樹脂マトリックスの屈折率をn(MX)とし、各G-PIDを構成する無機球状粒子の屈折率をn(G-PIDm)としたときに、いずれのn(G-PIDm)に対しても下記式:
(MX)<n(G-PIDm)
の関係が成り立つ必要がある。上記関係を満足しない場合には、構造色が発現しても、樹脂マトリックス中で短波長の光が散乱され易くなり、発現した構造色が確認し難くなる。発現した構造色の視認性及び鮮明さ、並びに歯科切削加工用ブランクとして使用したときの色調適合性の観点から、n(G-PIDm)とn(MX)との差であるΔn(=n(G-PIDm)-n(MX))は、いずれのn(G-PIDm)に対しても、0.001~0.1であることが好ましく、0.002~0.1であることがより好ましく、0.005~0.05であることがさらに好ましい。
上述したように、重合性単量体成分(重合性単量体の混合物であってもよい)の屈折率を1.38~1.55の範囲に設定することにより、樹脂マトリックスとなる硬化体の屈折率(n(MX))を1.40~1.57の範囲とすることができる。また、上述したように、シリカ・チタン族元素酸化物系複合酸化物は、シリカの含有量を変化させることにより、その屈折率(n(G-PIDm))を1.45~1.58程度の範囲で変化させることができる。したがって、これらの関係を利用することにより、容易にΔnを好適な範囲とすることができる。
[超微細粒子群(G-SFP)]
超微細粒子群(G-SFP)は、平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる粒子集合体であり、本開示の複合材料の前駆体となる重合硬化性組成物の粘度を調整する目的、或いは本開示の歯科切削加工用ブランクのコントラスト比を調整する目的等で配合される。但し、G-SFPの平均一次粒子径は、無機粒子に配合されるG-PIDの中で最も平均一次粒子径が小さいG-PIDの平均一次粒子径(d)よりも25nm以上小さい必要がある。このような条件を満足しない場合には、無機球状粒子の分散状態に悪影響を与え、構造色が発現し難くなる。なお、G-SFPを構成する無機粒子の形状は特に限定されず、不定形であっても球状であってもよい。また、平均一次粒子径の下限は、通常2nmである。
構造色発現に対する影響が少ないという理由から、G-SFPの平均一次粒子径は、3nm~75nmであることが好ましく、5nm~50nmであることがより好ましい。また、同様の理由から、G-SFPの平均一次粒子径は、G-PIDの平均一次粒子径(d)よりも30nm以上小さいことが好ましく、40nm以上小さいことがより好ましい。
G-SFPを構成する無機粒子の材質としては、無機球状粒子と同様のものが特に制限なく使用できる。また、無機球状粒子と同様に、シランカップリング剤による表面処理を行うこともできる。好適な態様も、平均一次粒子径及び形状を除いて、基本的には、無機球状粒子と同様である。
<本開示の複合材料と本開示の重合硬化性組成物との関係>
本開示の複合材料は、その原料となる本開示の重合硬化性組成物を重合硬化させることによって好適に製造することができる。また、本開示の複合材料における各成分の配合割合は、本開示の重合硬化性組成物の組成によってほぼ一義的に決定される。さらに、本開示の複合材料における無機球状粒子の分散状態(分散構造)も、硬化直前の本開示の重合硬化性組成物における無機球状粒子の分散状態(分散構造)が実質的にそのまま維持されるものと思われる。すなわち、硬化時に重合収縮等の影響を受ける可能性はあるものの、その影響は微小であり、上述した条件1及び条件2を満足するか否かが異なるほどの影響は与えない。
<本開示の重合硬化性組成物>
本開示の重合硬化性組成物は、重合性単量体成分(A)、特に屈折率が1.40~1.57となる硬化体を与える重合性単量体成分、重合性単量体成分(A)の硬化体の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料で構成される上記同一粒径球状粒子群(G-PID)と、上記超微細粒子群(G-SFP)と、を含んでなる無機粒子(B)、及び重合開始剤(C)を含有する。本開示の重合硬化性組成物を重合硬化させることによって、光の入射角に依存しない所定の色調の構造色を発色する硬化体、すなわち本開示の複合材料が得られる。
<重合性単量体成分(A)及び無機粒子(B)>
本開示の重合硬化性組成物における重合性単量体成分(A)は、本開示の複合材料の樹脂マトリックスの原料として説明した重合性単量体成分(A)と同じものである。また、G-PID及びそれを構成する無機球状粒子、並びにG-SFP及びそれを構成する無機粒子も、本開示の複合材料の構成成分として説明したものと同じである。
上述したとおり、G-PIDを構成する無機球状粒子の平均一次粒子径は、100nm~1000nmの範囲内にある。本開示の複合材料が上述した短距離秩序構造を得易くなるという理由から、G-PIDは、無機球状粒子が凝集して凝集粒子を形成したものであることが好ましい。例えば、G-PIDの平均凝集粒子径は、5μm~200μmの範囲内であることが好ましく、10μm~100μmの範囲内であることがより好ましい。なお、G-PIDの平均凝集粒子径は、後述する実施例に記載の方法により算出することができる。
重合硬化性組成物中のG-PIDの総含有量は、通常、重合性単量体成分(A)100質量部に対して10質量部~1500質量部である。得られる複合材料が適度な透明性を有し、構造色の発現効果も高いという理由から、重合硬化性組成物中のG-PIDの総含有量は、重合性単量体成分(A)100質量部に対して50質量部~1500質量部であることが好ましく、100質量部~1500質量部であることがより好ましい。なお、重合硬化性組成物中に複数種のG-PIDが含まれる場合、各G-PIDの含有量は、各G-PIDによる構造色の色調と、歯科切削加工用ブランクにおいて所望する色調とを勘案して、総含有量が上記範囲内となる量で適宜設定すればよい。
重合硬化性組成物中のG-SFPの含有量は、本開示の重合硬化性組成物の粘度、本開示の歯科切削加工用ブランクのコントラスト比等を勘案して適宜決定すればよい。重合硬化性組成物中のG-SFPの含有量は、通常、重合性単量体成分(A)100質量部に対して0.1質量部~50質量部であり、0.2質量部~30質量部であることが好ましい。
<重合開始剤(C)>
本開示の重合硬化性組成物における重合開始剤は、重合性単量体成分を重合硬化させる機能を有するものであれば特に限定されない。重合硬化性組成物の重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、「光重合」という。)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、熱エネルギーによるもの(以下、「熱重合」という。)等があり、いずれの方法であってもよい。光、熱等の外部から与えるエネルギーで重合のタイミングを任意に選択でき、操作が簡便であるという点から光重合及び熱重合が好ましく、重合ムラ等が生じ難く、均一に重合反応を行うことができるという点から熱重合がより好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類;ベンゾフェノン、4,4'-ジメチルベンゾフェノン、4-メタクリロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ジアセチル、2,3-ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10-フェナントラキノン、9,10-アントラキノン等のα-ジケトン類;2,4-ジエトキシチオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド類等が使用できる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、N-メチルジエタノールアミン等の第3級アミン類;ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド類;2-メルカプトベンゾオキサゾール、1-デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸等の含硫黄化合物;などが挙げられる。
さらに、光重合開始剤及び還元剤に加えて光酸発生剤を加えて用いる例がしばしば見られる。このような光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、ハロメチル置換-S-トリアジン誘導体、ピリジニウム塩系化合物等が挙げられる。
また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p-フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物;5-ブチルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p-トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類;などが挙げられる。
これら重合開始剤は単独で用いることもあるが、2種以上を混合して使用してもよい。また、重合方法の異なる複数の開始剤を組み合わせることも可能である。
重合開始剤の配合量は目的に応じて有効量を選択すればよいが、重合性単量体成分100質量部に対して、通常0.01質量部~10質量部の割合であり、より好ましくは0.1質量部~5質量部の割合で使用される。
熱重合開始剤を用いる場合の重合温度については、60℃~200℃が好ましく、70℃~150℃がより好ましく、80℃~130℃がさらに好ましい。60℃未満の温度で重合を行った場合、重合反応が不十分となり、歯科切削加工用ブランクの強度が弱くなり、クラックの発生が生じる虞がある。一方、200℃を超える温度で重合を行った場合、本開示の複合材料が製造時に高温にさらされることにより樹脂成分の変色が生じ、天然歯牙との色調適合性が得難くなる虞がある。
<本開示の重合硬化性組成物における好ましい態様>
本開示の重合硬化性組成物においては、上述した短距離秩序構造を確実に得ることができるという理由から、1又は複数の同一粒径球状粒子群の少なくとも一部が、1種の同一粒径球状粒子群と、当該1種の同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する樹脂とを含んでなり、上記1種の同一粒径球状粒子群以外の同一粒径球状粒子群を含まない有機-無機複合フィラー(すなわち、単一のG-PIDしか含まない有機-無機複合フィラー)として配合されることが好ましい。
ここで、有機-無機複合フィラーとは、(有機)樹脂マトリックス中に無機フィラーが分散した複合体からなる粉体、又は無機フィラーの一次粒子同士が(有機)樹脂で結着された凝集体からなるフィラーを意味する。
上記の好ましい態様は、例えば、平均一次粒子径が異なる3種類のG-IDP、すなわちG-PID、G-PID、及びG-PIDを含む場合、そのうちの少なくとも1種の全部又は一部は、「単一のG-PIDしか含まない有機-無機複合フィラー」として配合するというものである。仮にG-PIDの全部をG-PIDのみを含む有機-無機複合フィラー(複合フィラー1)として本開示の重合硬化性組成物に配合した場合には、複合フィラー1内においては、G-PIDのみしか含まれておらず、G-PIDの構造色を発現するような短距離秩序構造が実現されているため、本開示の重合硬化性組成物を硬化させた本開示の複合材料においても、確実にG-PIDの構造色が発現する。G-PIDを複合フィラー化せずに配合した場合には、同時に(複合化されずに)配合されたG-PID及びG-PIDと混錬されるため、ある程度の割合でG-PIDの構成粒子とG-PIDの構成粒子とが相互置換して、G-PIDを構成するある無機球状粒子の最近接粒子がG-PIDを構成する無機状粒子となり、当該ある無機球状粒子を中心とする領域においては、短距離秩序構造が破壊されることになると思われる。これに対し、G-PIDを全て複合フィラー1として配合した場合には、上記のような粒子の相互置換は起こらず、短距離秩序構造が破壊されることはないため、構造色発現に関与しない無機球状粒子の割合を極力小さくすることができ、硬化後の複合材料においても確実にG-PIDの構造色を発現することができる。同様に、G-PID及び/又はG-PIDをG-PIDのみを含む有機-無機複合フィラー(複合フィラー2)及び/又はG-PIDのみを含む有機-無機複合フィラー(複合フィラー3)として配合することにより、これらの構造色も確実に発現させることが可能となる。
このような効果が期待でき、さらに本開示の重合硬化性組成物の粘度を調整し易いという点から、各G-PIDの10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%は、「単一のG-PIDしか含まない有機-無機複合フィラー」として配合することが好ましい。
なお、G-PIDを「単一のG-PIDしか含まない有機-無機複合フィラー」以外の形態で配合する場合には、粉体(無機球状粒子集合体としてのG-PIDそのもの)の形態で配合するのが一般的であるが、複数種のG-PIDを含む有機-無機複合フィラーとして配合することも可能である。以下にこの場合も含めて有機-無機複合フィラーについて詳しく説明する。
(有機-無機複合フィラー)
上述したように、有機-無機複合フィラーとは、(有機)樹脂マトリックス中に無機フィラーが分散した複合体からなる粉体、又は無機フィラーの一次粒子同士が(有機)樹脂で結着された凝集体からなるフィラーを意味する。
本開示の重合硬化性組成物における有機-無機複合フィラーでは、無機フィラーとして無機球状粒子が使用され、(有機)樹脂マトリックスを構成する樹脂として、上記無機球状粒子の屈折率よりも小さい屈折率を有する樹脂が使用される。当該樹脂は、このような条件を満足するものであれば特に限定されないが、本開示の複合材料の樹脂マトリックスを製造する際に用いられる重合性単量体成分の硬化体であることが好ましい。このとき、本開示の重合硬化性組成物の重合性単量体成分と全く同じ組成のものである必要はないが、屈折率が当該重合性単量体成分の屈折率と同等となるものを使用することが好ましい。また、上記樹脂の屈折率をn(R)とし、上記無機球状粒子の屈折率をn(F)としたときに、いずれの有機-無機複合フィラーにおいても、下記式:
(R)<n(F)
の関係が成り立つ必要がある。そして、この関係は、有機-無機複合フィラーが屈折率の異なる複数種の無機球状粒子を含む場合には、全ての無機球状粒子に対して成り立つ必要がある。n(F)とn(R)との差であるΔn(=n(F)-n(R))は、0.001~0.01であることが好ましく、0.001~0.005であることがより好ましい。
無機球状粒子の有機-無機複合フィラーへの含有量は、30質量%~95質量%が好ましい。有機-無機複合フィラーへの含有量が30質量%以上であると、本開示の重合硬化性組成物の硬化体の着色光が良好に発現するようになり、機械的強度も十分に高めることができる。また、95質量%を超えて有機無機複合フィラー中に無機球状粒子を含有させることは操作上困難であり、均質なものが得難くなる。無機球状粒子の有機-無機複合フィラーへのより好適な含有量は、40質量%~90質量%である。
有機-無機複合フィラーは、無機球状粒子、重合性単量体成分、及び重合開始剤の各成分の所定量を混合し、加熱、光照射等の方法で重合させた後、粉砕するという、一般的な製造方法に従って製造することができる。このような製法によれば、樹脂マトリックスに無機球状粒子が分散した複合体からなる不定形の有機-無機複合フィラーを得ることができる。
また、国際公開第2011/115007号や国際公開第2013/039169号に記載されている方法、すなわち、無機球状粒子の凝集体からなる凝集粒子を、重合性単量体成分、重合開始剤、及び有機溶媒を含む液状組成物に浸漬した後、有機溶媒を除去し、重合性単量体成分を加熱、光照射等の方法で重合硬化させる方法によって製造することもできる。このような方法により、無機球状粒子の一次粒子が凝集した状態を実質的に保ったまま、樹脂が各一次粒子の表面少なくとも一部を覆うと共に、各一次粒子を相互に結合させ、外部に連通する微細な孔を多数有する多孔質性の有機-無機複合フィラーを得ることができる。
有機無機複合フィラーの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、本開示の複合材料の機械的強度や本開示の重合硬化性組成物の操作性を良好にする観点から、2μm~100μmであることが好ましく、5μm~50μmであることがより好ましく、5μm~30μmであることがさらに好ましい。
有機-無機複合フィラーには、その効果を阻害しない範囲(通常、有機-無機複合フィラー100質量部に対して0.0001質量部~5質量部となる範囲)で、顔料、重合禁止剤、蛍光増白剤等を添加することができる。また、有機-無機複合フィラーは、洗浄や、シランカップリング剤等による表面処理がなされていてもよい。
本開示の重合硬化性組成物における有機-無機複合フィラーの配合量は、重合硬化性組成物中に含まれる有機-無機複合フィラー化されていない同一粒径球状粒子群の配合量を勘案し、含まれるG-PIDの総量(すなわち、無機球状粒子の総量)が上述した範囲となるように、有機-無機複合フィラー中に含まれる無機球状粒子の量から換算して決定すればよい。
<その他の添加剤>
本開示の重合硬化性組成物には、その効果を阻害しない範囲で、重合禁止剤、紫外線吸収剤等の他の添加剤を配合することができる。
本開示の重合硬化性組成物から得られる本開示の複合材料は、上述したとおり、顔料等の着色物質を用いなくても構造色を発現する。したがって、本開示の重合硬化性組成物に、時間経過により変色する虞のある顔料を配合する必要はない。但し、顔料の配合自体を否定するものではなく、球状フィラーの干渉による着色光の妨げにならない程度の顔料は配合しても構わない。具体的には、重合性単量体成分100質量部に対して0.0005質量部~0.5質量部程度、好ましくは0.001質量部~0.3質量部程度の顔料であれば配合しても構わない。
<本開示の複合材料及び本開示の歯科切削加工用ブランクの製造方法>
次に、本開示の複合材料及び本開示の歯科切削加工用ブランクの製造方法について説明する。
本開示の複合材料の製造方法は、本開示の歯科切削加工用ブランクを製造する方法の一工程でもある。すなわち、所定の形状の被切削加工部を有する本開示の歯科切削加工用ブランクの製造方法は、屈折率が1.40~1.57となる硬化体を与える重合性単量体成分(A)、重合性単量体成分(A)の硬化体の屈折率よりも大きい屈折率を有する材料で構成される同一粒径球状粒子群と、超微細粒子群と、を含んでなる無機粒子(B)、及び重合開始剤(C)を混合して重合硬化性組成物を得る混合工程と、重合硬化性組成物を注型重合することにより被切削加工部の全部又は一部を構成する複合材料のバルク体を得る注型重合工程と、を含み、混合工程では、当該工程で得られる重合硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中における全ての同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が上記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有するように混合を行うものである。
混合工程で準備される重合硬化性組成物の組成は、本開示の重合硬化性組成物と実質的に同じである。そして、混錬及び脱泡処理を行うことにより、その硬化体における無機球状粒子の配列構造が上記条件1及び条件2を満たす短距離秩序構造を有するように、無機粒子(B)が重合性単量体成分(A)中に分散されている。混錬方法については、短時間で上記分散条件を満たすようにすることができ、且つ、スケールアップ製造が容易であるという理由から、遊星運動型撹拌機等の混練装置を用いて混練することが好ましい。また、脱泡処理は、粘度の高い組成物中からも短時間で気泡を除去可能であるという理由から、減圧下で脱泡する方法を採用することが好ましい。
当該方法では、混錬及び脱泡処理は、該工程で準備される重合硬化性組成物(本開示の重合硬化性組成物)について、当該組成物を硬化させて得られる硬化体における無機粒子(B)の分散状態が、上記条件1及び条件2を満足することが確認された混練及び脱泡処理条件を採用して行う必要がある。
混練及び脱泡処理条件を決定する方法としては、下記(1)又は(2)の方法が好ましい。
(1)予め、実際に製造する重合硬化性組成物と同一又は実質的に同一の組成を有する重合硬化性組成物について混錬条件や脱泡処理条件を複数変化させて混合を行い、各条件で調製された重合硬化性組成物の硬化体における動径分布関数g(r)を調べることにより、上記条件1及び条件2を満足する条件を決定し、決定された当該条件と同一の条件を採用する方法。
(2)混練及び脱泡処理の途中及び/又は終了後に得られた組成物の一部をサンプリングし、サンプリングされた組成物の硬化体中における無機粒子(B)の分散状態が上記条件1及び条件2を満足するか否かを確認し、これら条件を満足するまで混錬及び/又は脱泡処理を継続する方法。
上記(1)の方法を採用する場合、例えば、以下のようにして混練及び脱泡処理条件を決定することができる。まず、遊星運動型撹拌機(プラネタリーミキサー)を用いた混錬法を採用し、実際に使用する装置を用い、実際に製造する重合硬化性組成物と同一組成となるように各原料物質を仕込んで、回転速度、混錬時間、混錬後の脱法条件等の各種条件をそれぞれ変えた模擬混錬を複数回行う。そして、各模擬混錬で得られた重合性硬化性組成物の硬化体について動径分布関数g(r)調べ、上記条件1及び条件2を満足する硬化体を与える条件を決定する。このような(1)の方法によれば、所定の混錬条件を設定するだけで、確実に目的の重合硬化性組成物を製造することができるため、同じ(同一組成且つ同一量の)重合硬化性組成物を製造する際に、毎回条件を変える必要がなく、過剰混錬(不必要に長時間の混錬)を防止できるという点で、作業の効率化を図ることができる。
また、上記(2)の方法は、組成や量が毎回異なる重合硬化性組成物を製造する際に特に好ましい方法であるといえる。
本開示の重合硬化性組成物は、注型重合することにより被切削加工部の全部又は一部を構成する複合材料のバルク体とされる。ここで、注型重合とは、所定形状の成形型に本開示の重合硬化性組成物を充填した後に重合硬化を行うことを意味する。成形型の容積は目的とする形状に応じて適宜選択すればよい。成形型の形状についても同様に、角柱状、円柱状、角板状、円板状、その他の不規則形状であってもよく、特に制限はない。重合の際は、必要に応じて、窒素等の不活性ガスによる加圧を行ってもよい。被切削加工部と同一又は実質的に同一の形状を有した成形型を準備し、この内部に本開示の重合硬化性組成物を充填し、重合硬化して、得られたバルク体をそのまま被切削加工部としてもよいし、これより大きいサイズを有する型に充填してバルク体を製造し、これを抜き打ち加工や切削加工することにより被切削加工部としてもよい。充填の方法は公知の技術を用いることができ特に制限されないが、例えば、射出、押し出し、プレス等によって成形型に充填を行うことができる。なお、充填に際しては、単一の重合硬化性組成物を充填してもよいし、互いに組成の異なる複数種の重合硬化性組成物の積層体を構成するように充填してもよい。さらに、本開示の重合硬化性組成物と、それ以外のレジン系材料の原料となる重合硬化性組成物とが積層されるようにして充填してもよい。
成形型の材質としては、金属、セラミックス、樹脂等を目的に応じて使用することができ、実施する重合温度よりも耐熱性が高い材質を用いることが好ましい。成形型の材質としては、例えば、SUS、高速度工具鋼、アルミニウム合金、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
また、得られたバルク体に対して、必要に応じて、熱処理、研磨、切削、保持具の取り付け、印字等の後工程を行うことができる。さらに、必要に応じて、歯科切削加工用ブランクを切削加工機に固定するための保持ピンを接合してもよい。保持ピンの形状は、切削加工機に歯科切削加工用ブランクを固定できるような形状のものであれば特に制限はなく、歯科切削加工用ブランクの形状と加工機の要求によっては具備されなくともよい。保持ピンの材質としては、ステンレス、真鍮、アルミニウム等が挙げられる。保持ピンの被切削加工部(歯科切削加工用ブランク本体)への固定方法は、接着に限定されず、はめ込み、ネジ止め等の方法であってもよい。接着方法についても特に制限はなく、イソシアネート系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、アクリル系等の各種市販の接着材を使用することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクはいずれも、重合性単量体成分、無機粒子、及び重合開始剤を含有する重合硬化性組成物を硬化させることによって得た。まず、実施例及び比較例の重合硬化性組成物で使用した各成分について説明する。
1.重合性単量体成分
重合性単量体成分としては、表1に示す組成の重合性単量体混合物であるM1及びM2を使用した。なお、表の重合単量体欄の略号はそれぞれ以下の化合物を表し、括弧内の数字は使用した質量部を表す。
・UDMA:1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・bis-GMA:2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
M1及びM2の粘度は、E型粘度計(東京計器(株)製、「VISCONIC ELD」)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
硬化前(M1又はM2)の屈折率及び硬化後(硬化体)の屈折率は、アッベ屈折率計((株)アタゴ製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。硬化体試料は、それぞれ100質量部のM1又はM2に対して、光重合開始剤として、カンファーキノン(CQ)0.2質量%、p-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMBE)0.3質量%、及びヒドロキノンモノメチルエーテル(HQME)0.15質量%を添加して均一に混合したものを、7mmφ×0.5mmの貫通した孔を有する型に入れ、両面にポリエステルフィルムを圧接した後に、光量500mW/cmのハロゲン型歯科用光照射器(サイブロン社製、「Demetron LC」)を用いて30秒間光照射し硬化させた後、型から取り出すことにより作製した。なお、硬化体試料をアッベ屈折率計にセットする際に、硬化体試料と測定面とを密着させる目的で、試料を溶解せず、且つ、試料よりも屈折率の高い溶媒(ブロモナフタレン)を試料に滴下した。
Figure 0007440932000001
2.無機粒子
2-1.同一粒径球状粒子群(G-PID)
G-PIDとしては、表2に示すG-PID1~G-PID11を使用した。なお、これら同一粒径球状粒子群は、特開昭58-110414号公報、特開昭58-156524号公報等に記載された方法(いわゆるゾルゲル法)に従って調製した。具体的には、まず、加水分解可能な有機ケイ素化合物(テトラエチルシリケート等)と加水分解可能な有機チタン族金属化合物(テトラブチルジルコネート、テトラブチルチタネート等)とを、表2の組成欄に示すような組成となるように含んだ混合溶液を、アンモニア水を導入したアンモニア性アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等)溶液中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させた。次いで、析出物を分離した後、乾燥し、必要に応じて粉砕してから焼成し、焼成物を得た。次いで、得られた焼成物100質量部に対し、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン4質量部及びn-プロピルアミン3質量部を、塩化メチレン500質量部中で撹拌混合し、エバポレーターで塩化メチレンを除去した後、90℃で加熱乾燥を行い、同一粒径球状粒子群の表面処理物とした。
表2における平均一次粒子径、平均凝集粒子径、平均粒径粒子の存在割合、平均均斉度、及び屈折率は、次のようにして測定した。
(1)平均一次粒子径
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)で粉体の写真を5000倍~100000倍の倍率で撮り、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング(株)製、「IP-1000PC」)を用いて、撮影した画像の処理を行い、その写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)及び一次粒子径(最大径)を測定し、測定値に基づき下記式により数平均一次粒子径を算出した。
Figure 0007440932000002
(2)平均凝集粒子径
0.1gのG-PIDをエタノール10mLに分散させ、手を用いて十分に振盪した。レーザー回折-散乱法による粒度分布計(ベックマンコールター社製、「LS230」)を用い、光学モデル「Fraunhofer」にて体積統計のメディアン径を求め、これをG-PIDの平均凝集粒子径とした。
(3)平均粒径粒子の存在割合〔個数基準粒度分布において平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する粒子数の全粒子数に占める割合(%)〕
上記写真の単位視野内における全粒子(30個以上)のうち、上記で求めた平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲外の一次粒子径(最大径)を有する粒子の数を計測し、その値を上記全粒子の数から減じて、上記写真の単位視野内における平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲内の粒子数を求め、下記式:
平均粒径粒子の存在割合(%)=[(走査型電子顕微鏡写真の単位視野内における平均一次粒子径の前後5%の粒子径範囲内の粒子数)/(走査型電子顕微鏡写真の単位視野内における全粒子数)]×100
に従って算出した。
(4)平均均斉度
走査型電子顕微鏡で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される同一粒径球状粒子群(G-PID)の粒子について、その数(n:30以上)、粒子の最大径である長径(Li)、該長径に直交する方向の径である短径(Bi)を求め、下記式により算出した。
Figure 0007440932000003
(5)屈折率
アッベ屈折率計((株)アタゴ製)を用いて液浸法によって測定した。すなわち、25℃の恒温室において、100mLのサンプル瓶中、同一粒径球状粒子群(G-PID)を無水トルエン50mL中に分散させた。この分散液をスターラーで撹拌しながら1-ブロモトルエンを少しずつ滴下し、分散液が最も透明になった時点の分散液の屈折率を測定し、得られた値を同一粒径球状粒子群(G-PID)の屈折率とした。
Figure 0007440932000004
2-2.有機-無機複合フィラー(CF1)
表2に示す同一粒径球状粒子群(G-PID5)100gを200gの水に加え、循環型粉砕機SCミル(日本コークス工業(株)製)を用いてこれらの水分散液を得た。
一方、4g(0.016mol)のγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと0.003gの酢酸とを80gの水に加え、1時間30分撹拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記の水分散液に添加し、均一になるまで混合した。その後、分散液を軽く混合しながら、高速で回転するディスク上に供給して噴霧乾燥法により造粒した。噴霧乾燥は、回転するディスクを備え、遠心力で噴霧化する噴霧乾燥機TSR-2W((株)坂本技研製)を用いて行った。ディスクの回転速度は10000rpm、乾燥雰囲気空気の温度は200℃であった。その後、噴霧乾燥により造粒されて得られた粉体を60℃で18時間真空乾燥し、略球形状の凝集体を73g得た。
次いで、重合性単量体成分M1を10g、熱重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を0.025g、さらに有機溶媒としてメタノールを5.0g混合した重合性単量体溶液(有機溶媒100質量部に対して重合性単量体成分36質量部を含有)に、上記凝集体50gを浸漬させた。十分撹拌し、この混合物がスラリー状になったことを確認した後、1時間静置した。
上記の混合物をロータリーエバポレーターに移した。撹拌状態で、減圧度10hPa、加熱条件40℃(温水バスを使用)の条件下で、混合物を1時間乾燥し、有機溶媒を除去した。有機溶媒を除去すると、流動性の高い粉体が得られた。得られた粉体を、ロータリーエバポレーターで撹拌しながら、減圧度10hPa、加熱条件100℃(オイルバスを使用)の条件下で1時間加熱することにより、粉体中の重合性単量体成分を重合硬化させた。この操作により、球状の凝集体の表面が有機重合体で被覆された、略球状の有機-無機複合フィラー(CF1)を45g得た。この有機-無機複合フィラーの平均粒子径は33μmであった。
2-3.超微細粒子(G-SFP)
G-SFPとしては、レオロシールQS-102(平均一次粒子径12nm、株式会社トクヤマ製)を使用した。
2-4.不定形無機粒子
表2に示す不定形無機粒子F1を使用した。不定形無機粒子F1は、特開平2-132102号公報、特開平3-197311号公報等に記載の方法に従い、アルコキシシラン化合物を有機溶剤に溶解し、これに水を添加して部分加水分解した後、さらに複合化する他の金属のアルコキサイド及びアルカリ金属化合物を添加して加水分解してゲル状物を生成させ、次いで該ゲル状物を乾燥後、必要に応じて粉砕し、焼成することにより調製した。なお、平均一次粒子径(不定形無機粒子については破砕粒子の平均粒子径を意味する。)、平均粒径粒子の存在割合、及び屈折率は、G-PIDと同様にして測定した。
3.重合開始剤
重合開始剤としては、カンファーキノン(CQ)及びp-N,N-ジメチルアミノ安息香酸エチル(DMBE)の組み合わせからなる光重合開始剤、又はベンゾイルパーオキサイド(BPO)からなる熱重合開始剤を用いた。
<実施例1>
重合性単量体成分M1:100質量部に対して、CQ:0.3質量部、DMBE:1.0質量部を加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、G-PID4:500質量部及び超微細粒子群(G-SFP):1.0質量部を計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、混練機プラネタリーミキサー((株)井上製作所製)を用いて十分に混練し、均一な硬化性ペーストとした。さらに、このペーストを減圧下で脱泡して気泡を除去し、重合硬化性組成物を調製した。得られた重合硬化性組成物を角柱状のポリプロピレン製の成形型(14mm×18mm×150mm)へ気泡を巻き込まないように填入し、上面を平滑化した後、歯科技工用LED重合器((株)モリタ製、「αライトV」)にて1分間光照射を行い、重合を行った。成形型から硬化体を取り出し、歯科切削加工用ブランクを得た。
得られた歯科切削加工用ブランクについて、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。歯科切削加工用ブランクの組成(マトリックス欄についてはマトリックスとなる樹脂を与える重合性単量体成分を記載している。)及び評価結果を表3~表5に示す。また、実施例1の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における観察平面の走査型電子顕微鏡画像の一例を図1Aに示し、その走査型電子顕微鏡画像から得られた座標データの一例を図1Bに示し、その座標データから決定されるパラメータに基づいて計算されたg(r)に関する動径分布関数グラフを図2に示す。実施例1では、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
なお、上記各評価及び測定は、以下に示す方法で行った。
(1)目視による着色光の評価
各実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクから一辺の長さが7mm以上、厚さが1mmになるよう、硬化体を切り出し、評価試料とした。得られた評価試料を10mm角程度の黒いテープ(カーボンテープ)の粘着面に対して垂直になるように載せ、目視にて着色光の色調を確認した。
(2)着色光の波長
(1)と同様にして作製した評価試料について、色差計((有)東京電色製、「TC-1800MKII」)を用いて、背景色黒、背景色白で分光反射率を測定し、背景色黒における反射率の極大点を着色光の波長とした。
(3)色彩計による色調適合性の評価
右下6番にII級窩洞(直径5mm、深さ3mm)を再現した硬質レジン歯を用いて、各実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクから欠損部に適合するよう切削加工して歯科用補綴物(修復物)を作製した後、エステセムII(接着性レジンセメント、(株)トクヤマデンタル製)を用いて接着し、研磨し、模擬修復を行った。模擬修復後の色調適合性を二次元色彩計((株)パパラボ製、「RC-500」)にて評価した。なお、硬質レジン歯としては、シェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるA系(赤茶色)の範疇の中にあって、高彩度の硬質レジン歯(A4相当)及び低彩度の硬質レジン歯(A1相当)、並びにシェードガイド(「VITAClassical」、VITA社製)におけるB系(赤黄色)の範疇の中にあって、高彩度の硬質レジン歯(B4相当)及び低彩度の硬質レジン歯(B1相当)を用いた。
硬質レジン歯を二次元色彩計にセットし、硬質レジン歯を撮影した後、画像解析ソフト((株)パパラボ製、「RC Series Image Viewer」)を用いて撮影した画像の解析を行い、硬質レジン歯の修復部及び非修復部の測色値の色差(CIELabにおけるΔE)を求め、色調適合性の評価を行った。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ΔL=L1-L2
Δa=a1-a2
Δb=b1-b2
なお、L1:硬質レジン歯の修復部の明度指数、a1,b1:硬質レジン歯の修復部の色質指数、L2:硬質レジン歯の非修復部の明度指数、a2,b2:硬質レジン歯の非修復部の色質指数、ΔE:色調変化量である。
(4)目視による色調適合性の評価
(3)と同様にして模擬修復を行い、修復後の色調適合性を目視にて確認した。評価基準を以下に示す。
-評価基準-
5:修復物の色調が硬質レジン歯と見分けがつかない。
4:修復物の色調が硬質レジン歯と良く適合している。
3:修復物の色調が硬質レジン歯と類似している。
2:修復物の色調が硬質レジン歯と類似しているが適合性は良好でない。
1:修復物の色調が硬質レジン歯と適合していない。
(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価
各実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクから5mmφ×10mmの硬化体を切り出し、当該硬化体中の球状粒子の分散状態を走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)により観察することにより動径分布関数を求め、評価を行った。具体的には、イオンミリング装置((株)日立製作所製、「IM4000」)を用いて硬化体の断面ミリングを2kV、20分間の条件にて行い、観察平面とした。当該観察面について走査型電子顕微鏡により平面内に1000個の球状粒子を含有している領域の顕微鏡画像を取得し、得られた走査型電子顕微鏡画像を画像解析ソフト(「Simple Digitizer ver3.2」フリーソフト)により解析し、上記領域内の球状粒子の座標を求めた。得られた座標データから任意の球状粒子の座標を1つ選択し、選択した球状粒子を中心に少なくとも200個以上の球状粒子が含まれる距離rを半径とする円を描き、円内に含まれる球状粒子の個数を求め、平均粒子密度<ρ>(単位:個/cm)を算出した。drは、r/100~r/10(rは球状粒子の平均粒子径を示す。)程度の値であり、中心の球状粒子から距離rの円と距離r+drの円との間の領域内に含まれる粒子の数dn、及び上記領域の面積daを求めた。このようにして求めた<ρ>、dn、daの値を用いて、下記式(1):
g(r)={1/<ρ>}×{dn/da}・・・(1)
を計算し、動径分布関数g(r)を求めた。そして、動径分布関数とr/r(rは円の中心からの任意の距離を示し、rは球状粒子の平均粒子径を示す。)との関係を示すグラフを作成し、動径分布関数の条件1及び条件2について、条件を満足するものを「S」、満足しないものを「N」として評価した。
(6)目視による外観の評価
各実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクの外観を目視にて観察し、ブロックの外観に亀裂(クラック)等が無いものを「S」、クラックが見られるものを「N」として評価した。
(7)曲げ強度の評価
各実施例及び比較例の歯科切削加工用ブランクから幅2mm、長さ25mmの試験片を切り出し、耐水研磨紙1500番を用いて試験片の長さ方向に研磨を行い、厚さ2±0.1mmの試験片とした。得られた試験片を、万能引張試験機オートグラフ((株)島津製作所製)を用いて、室温大気中、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分の条件にて3点曲げ試験を行った。試験片5個について曲げ強度を評価し、その平均値を曲げ強度とした。
Figure 0007440932000005
Figure 0007440932000006
Figure 0007440932000007
<実施例2>
歯科切削加工用ブランクの組成を表3に示すように変更するほかは実施例1と同様にして、歯科切削加工用ブランクを得た。得られた哉歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。また、実施例2の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における動径分布関数グラフを図3に示す。実施例2においても、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
<実施例3>
重合性単量体成分M1:200質量部に対して、CQ:0.6質量部、DMBE:2.0質量部を加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、上記重合性単量体組成物:100質量部に対して、G-PID4:200質量部、G-PID7:200質量部、G-PID10:200質量部、及び超微細粒子群(G-SFP):1.0質量部を計りとり、赤色光下にて混合し、混練機プラネタリーミキサー((株)井上製作所製)を用いて十分に混練し、均一な硬化性ペースト1とした。さらに、上記重合性単量体組成物:100質量部に対して、G-PID4:200質量部、G-PID9:200質量部、G-PID11:200質量部、及び超微細粒子群(G-SFP):1.0質量部を計りとり、赤色光下にて混合し、混練機プラネタリーミキサー((株)井上製作所製)を用いて十分に混練し、均一な硬化性ペースト2とした。得られた硬化性ペースト1及び2をそれぞれ減圧下で脱泡して気泡を除去し、重合硬化性組成物1及び2を製造した。得られた重合硬化性組成物1及び2をそれぞれ角柱状のポリプロピレン製の成形型(14mm×18mm×10mm)へ気泡を巻き込まないように填入し、上面を平滑化した後、硬化性組成物1及び2が填入された成形型を平滑化した面同士を密着させて重ね合わせ(14mm×18mm×20mm)、歯科技工用LED重合器((株)モリタ製、「αライトV」)にて1分間光照射を行い、重合を行った。成形型から硬化体を取り出し、歯科切削加工用ブランクを得た。
得られた歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。また、実施例3の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における動径分布関数グラフを図4に示す。実施例3においても、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
<実施例4>
歯科切削加工用ブランクの組成を表3に示すように変更するほかは実施例1と同様にして、歯科切削加工用ブランクを得た。得られた哉歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。また、実施例4の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における動径分布関数グラフを図5に示す。実施例4においても、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
<実施例5>
重合性単量体成分M1:100質量部に対して、BPO:0.5質量部を加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、G-PID4:500質量部及び超微細粒子群(G-SFP):1.0質量部を計りとり、上記重合性単量体組成物を徐々に加えていき、混練機プラネタリーミキサー((株)井上製作所製)を用いて十分に混練し、均一な硬化性ペーストとした。さらに、このペーストを減圧下で脱泡して気泡を除去し、重合硬化性組成物を調製した。得られた重合硬化性組成物を角柱状のポリプロピレン製の成形型(14mm×18mm×150mm)へ気泡を巻き込まないように填入し、上面を平滑化した後、加熱加圧重合器を用いて、窒素加圧下にて圧力0.4MPa、100℃、12時間の条件で加熱加圧重合を行った。成形型から硬化体を取り出し、歯科切削加工用ブランクを得た。
得られた歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。また、実施例5の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における動径分布関数グラフを図6に示す。実施例5においても、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
<実施例6>
歯科切削加工用ブランクの組成を表3に示すように変更するほかは実施例5と同様にして、歯科切削加工用ブランクを得た。得られた哉歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。また、実施例6の歯科切削加工用ブランクから切り出した硬化体における動径分布関数グラフを図7に示す。実施例6においても、10回中10回の割合で再現性よく、動径分布関数の条件1及び条件2を満足し、且つ、外観評価においてクラックが生じていない均一な歯科切削加工用ブランクを得ることができた。
<比較例1、3~5>
歯科切削加工用ブランクの組成を表3に示すように変更するほかは実施例1と同様にして、歯科切削加工用ブランクを得た。得られた哉歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(6)目視による外観評価、及び(7)曲げ強度の評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。
<比較例2>
重合性単量体成分M1:100質量部に対して、CQ:0.3質量部、DMBE:1.0質量部を加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、G-PID2:400質量部及び超微細粒子群(G-SFP):1.0質量部を計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、乳鉢を用いて混練し、硬化性ペーストとした。さらに、このペーストを減圧下で脱泡して気泡を除去し、重合硬化性組成物を調製した。得られた重合硬化性組成物を角柱状のポリプロピレン製の成形型(14mm×18mm×150mm)へ気泡を巻き込まないように填入し、上面を平滑化した後、歯科技工用LED重合器((株)モリタ製、「αライトV」)にて1分間光照射を行い、重合を行った。成形型から硬化体を取り出し、歯科切削加工用ブランクを得た。
得られた歯科切削加工用ブランクについて、実施例1と同様にして、(1)目視による着色光の評価、(2)着色光の波長測定、(3)色彩計による色調適合性の評価、(4)目視による色調適合性の評価、(5)無機球状粒子の動径分布関数の評価、及び(6)目視による外観評価を行った。評価結果を表3~表5に示す。比較例2では、5回中1回の割合で良好な評価を得ることができなかった。表に示す評価結果は、この系についてのものである。なお、比較例2では、外観試験の目視評価においてクラックの発生が見られたため、曲げ強度の評価を行うことができなかった。
実施例1~6の結果から理解されるように、本発明で規定する条件を満足していると、硬化体は黒背景化で着色光を示し、色調適合性が良好であることが分かる。
図1A、図1B、及び図2に示す結果から理解されるように、実施例1で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.03倍となる位置(r/rが1.03)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.60となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
図3に示す結果から理解されるように、実施例2で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.24倍となる位置(r/rが1.24)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.62となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
図4に示す結果から理解されるように、実施例3で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.41倍となる位置(r/rが1.41)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.88となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
図5に示す結果から理解されるように、実施例4で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.04倍となる位置(r/rが1.04)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.80となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
図6に示す結果から理解されるように、実施例5で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.24倍となる位置(r/rが1.24)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が1.00となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
図7に示す結果から理解されるように、実施例6で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.68倍となる位置(r/rが1.68)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.86となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していることが確認された。
比較例1、3~5の結果から理解されるように、本発明で規定する条件を満足していないと、硬化体から所望の色調が得られず(比較例1:n(MX)<n(G-PIDm)を満たしていない。)、硬化体は黒背景化で着色光を示さず(比較例3:G-PIDの平均粒子径が80nm、比較例4:フィラーの形状が不定形、比較例5:G-PIDの個々の粒子の平均一次粒子径の差が25nm未満である。)、色調適合性に劣っていることが分かる。
比較例2の結果から理解されるように、組成物の混練状態が不均一となった場合、本発明で規定する無機球状粒子の配列構造の条件を満足せず、歯質との色調適合性に劣っていることが分かる。
図8に示す結果から理解されるように、比較例2で得られた歯科切削加工用ブランクは、最近接粒子間距離rが粒子径rの1.58倍となる位置(r/rが1.58)において動径分布関数g(r)の第1の極大ピークが観測され、次近接粒子間距離rとの間の動径分布関数g(r)の極小値が0.18となっていることが確認され、本発明における短距離秩序構造を有していないことが確認された。

Claims (9)

  1. レジン系材料からなる被切削加工部を有する歯科切削加工用ブランクであって、
    前記レジン系材料は、樹脂マトリックス中に無機粒子が分散してなる複合材料を含み、
    前記無機粒子は、
    100nm~1000nmの範囲内にある所定の平均一次粒子径を有する無機球状粒子の集合体からなり、当該集合体の個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記所定の平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する同一粒径球状粒子群(G-PID)と、
    平均一次粒子径が100nm未満の無機粒子からなる超微細粒子群(G-SFP)と、を含んでなり、
    前記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数が1又は複数であり、
    前記無機粒子に含まれる前記同一粒径球状粒子群の数をaとし、各同一粒径球状粒子群を、その平均一次粒子径の小さい順にそれぞれG-PID(但し、mは、aが1のときは1であり、aが2以上のときは1~aの自然数である。)で表したときに、各G-PIDの平均一次粒子径は、それぞれ互いに25nm以上異なっており、
    前記超微細粒子群の平均一次粒子径は、G-PIDの平均一次粒子径よりも25nm以上小さく、
    前記樹脂マトリックスの25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(MX)とし、各G-PIDを構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率をn(G-PIDm)としたときに、いずれのn(G-PIDm)に対しても、
    (MX)<n(G-PIDm)
    の関係が成り立ち、
    前記樹脂マトリックス中における全ての前記同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が下記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有している、歯科切削加工用ブランク。
    [条件1] 前記複合材料中に分散する任意の無機球状粒子の中心からの距離rを、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rで除して規格化した無次元数(r/r)をx軸とし、前記任意の無機球状粒子の中心から距離r離れた地点において他の無機球状粒子が存在する確率を表す動径分布関数g(r)をy軸として、r/rとそのときのrに対応するg(r)との関係を表した動径分布関数グラフにおいて、当該動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から最も近いピークのピークトップに対応するrとして定義される最近接粒子間距離rが、前記複合材料中に分散する無機球状粒子全体の平均粒子径rの1倍~2倍の値である。
    [条件2] 前記動径分布関数グラフに現れるピークのうち、原点から2番目に近いピークのピークトップに対応するrを次近接粒子間距離rとしたときに、前記最近接粒子間距離rと前記次近接粒子間距離rとの間における前記動径分布関数g(r)の極小値が0.56~1.10の値である。
  2. 前記動径分布関数g(r)は、前記複合材料の内部の面を観察平面とする走査型電子顕微鏡画像に基づいて決定される、当該観察平面内の前記無機球状粒子の平均粒子密度<ρ>、当該観察平面内の任意の無機球状粒子からの距離rの円と距離r+drの円との間の領域中に存在する無機球状粒子の数dn、及び前記領域の面積da(但し、da=2πr・drである。)に基づいて、下記式(1):
    g(r)={1/<ρ>}×{dn/da}・・・(1)
    により計算される、請求項1に記載の歯科切削加工用ブランク。
  3. 前記樹脂マトリックス中に分散する前記同一粒径球状粒子群の総量が、前記樹脂マトリックス100質量部に対して10質量部~1500質量部であり、前記樹脂マトリックス中に分散する前記超微細粒子群の量が、樹脂マトリックス100質量部に対して0.1質量部~50質量部である、請求項1又は2に記載の歯科切削加工用ブランク。
  4. 前記無機粒子に含まれる全ての前記同一粒径球状粒子群の平均一次粒子径が230nm~1000nmの範囲内にあり、前記超微細粒子群の平均一次粒子径が3nm~75nmの範囲内にある、請求項1~3のいずれか1項に記載の歯科切削加工用ブランク。
  5. (MX)とn(G-PIDm)との差(n(G-PIDm)-n(MX))で定義されるΔnが、いずれのn(G-PIDm)に対しても0.001~0.1である、請求項1~4のいずれか1項に記載の歯科切削加工用ブランク。
  6. 前記被切削加工部が、それぞれ組成の異なる複数の前記複合材料の接合体からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の歯科切削加工用ブランク。
  7. 所定の形状の被切削加工部を有する請求項1~6のいずれか1項に記載の歯科切削加工用ブランクを製造する製造方法であって、
    25℃における波長589nmの光に対する屈折率が1.40~1.57となる硬化体を与える重合性単量体成分(A)、25℃における波長589nmの光に対する屈折率が前記重合性単量体成分(A)の硬化体の25℃における波長589nmの光に対する屈折率よりも大きい材料で構成される前記同一粒径球状粒子群と、前記超微細粒子群と、を含んでなる無機粒子(B)、及び重合開始剤(C)を混合して重合硬化性組成物を得る混合工程と、
    前記重合硬化性組成物を注型重合することにより前記被切削加工部の全部又は一部を構成する複合材料のバルク体を得る注型重合工程と、を含み、
    前記混合工程では、当該工程で得られる重合硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中における全ての前記同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の配列構造が前記条件1及び条件2を満足する短距離秩序構造を有するように混合を行う、製造方法。
  8. 1又は複数の前記同一粒径球状粒子群の少なくとも一部は、1種の同一粒径球状粒子群と、25℃における波長589nmの光に対する屈折率が当該1種の同一粒径球状粒子群を構成する無機球状粒子の25℃における波長589nmの光に対する屈折率よりも小さい樹脂とを含んでなり、前記1種の同一粒径球状粒子群以外の同一粒径球状粒子群を含まない有機-無機複合フィラーとして含まれる、請求項7に記載の製造方法。
  9. 前記重合開始剤(C)が熱重合開始剤であり、
    前記注型重合工程では60℃~200℃で注型重合を行う、請求項7又は8に記載の製造方法。

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