JP7439884B1 - 包装材、その製造方法、及び再生ポリオレフィンの製造方法 - Google Patents

包装材、その製造方法、及び再生ポリオレフィンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、ラミネート強度、酸素バリア性、分離性、リサイクル性に優れた包装材を提供することを目的とする。【解決手段】基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有する包装材であって、前記包装材は、包装材の全質量中にポリオレフィン樹脂を80質量%以上含んでなり、前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、前記印刷層が、ポリビニルアセタール系樹脂を含む、包装材。再生ポリオレフィン用である、上記包装材。【選択図】なし

Description

本発明は、包装材、その製造方法、及び再生ポリオレフィンの製造方法に関する。
近年、ポリオレフィンなどのプラスチックフィルムからなるパッケージ、プラスチックボトル、及びその他のプラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題が生じている。プラスチック製品は海水中で粉砕されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取され、その体内中で濃縮される。そのため、海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間等の健康への影響が懸念されている。上記環境汚染問題の解決に向けて、プラスチック製品の持続可能な使用や、その廃棄量の削減に関する技術開発が望まれている。
多層構成の食品包装パッケージでは、フィルム基材として、ポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、及びポリエチレン基材(PE)など、種々のプラスチック基材が使用されている。多層構成の食品包装パッケージは、例えば、第1のフィルム基材に対して印刷インキにより印刷を施し、印刷層上に、必要に応じて接着剤層を介して、第2のフィルム基材を貼り合わせた後に、カットし、熱融着して、当該パッケージとなる。しかしながら、相溶性、その他の問題があるため、複数の異種材料を含む多層構成の食品包装パッケージは、マテリアルリサイクルが難しい。そこで、同種材料で構成された包装材の開発が進められている。
特許文献1には、ポリエチレン基材/接着剤/ポリエチレン基材の構成を有する包装材が記載されているが、ポリエチレンは酸素バリア性が低いため、酸素バリア性が良好な包装材が求められている。また、特許文献2には、ポリプロピレン基材/印刷層の構成を有し、印刷層のバインダー樹脂がポリビニルブチラール樹脂である包装材が記載されており、塩素フリー包装材の開発が進められている。
特開2019-189334号公報 特開2022-96163号公報
本発明は、ラミネート強度、酸素バリア性、リサイクル性に優れた包装材を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の包装材を用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有する包装材であって、
前記包装材は、包装材の全質量中にポリオレフィン樹脂を80質量%以上含んでなり、
前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、
前記印刷層が、ポリビニルアセタール系樹脂を含む、包装材に関する。
また、本発明は、再生ポリオレフィン用である、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂である、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリビニルブチラール樹脂の重量平均分子量が、25000~200000である、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリビニルアルコール系樹脂が、エチレン由来の構造単位を含み、かつ、前記エチレン由来の構造単位の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂全体の1~40モル%である、上記包装材に関する。
また、本発明は、バリア層が、無機層状フィラーを含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、無機層状フィラーが、モンモリロナイト、マイカ、及びカオリンからなる群より選ばれる少なくとも一種である、上記包装材に関する。
また、本発明は、バリア層全質量中の無機層状フィラー含有量が、1~40質量%である、上記包装材に関する。
また、本発明は、印刷層が、更に、ウレタン樹脂を含む、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリビニルブチラール樹脂とウレタン樹脂との比率が、1:99~85:15である、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレンである、上記包装材に関する。
また、本発明は、ポリオレフィン樹脂が、ポリエチレンである、上記包装材に関する。
また、本発明は、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有し、かつ、ポリオレフィン樹脂を80質量%以上含む包装材の製造方法であって、
ポリビニルアルコール樹脂を含むバリアコート剤を印刷して、塗工量0.5~3g/mのバリア層を形成する工程と、
ポリビニルブチラール樹脂を含む印刷インキを印刷して印刷層を形成する工程と、を含む、包装材の製造方法に関する。
また、本発明は、第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、包装材から再生ポリオレフィン樹脂を得る、再生ポリオレフィンの製造方法であって、
前記包装材が、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有し、かつ、ポリオレフィン樹脂を80質量%以上含み、
前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、
前記印刷層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、
前記第一のスクリューにより、前記包装材を加熱溶融及び混練して樹脂組成物を得る加熱溶融混練工程と、前記樹脂組成物を前記吐出部より押出す押出工程と、を含む、再生ポリオレフィンの製造方法に関する。
本発明により、ラミネート強度、酸素バリア性、リサイクル性に優れた包装材を提供することが可能となった。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
[包装材]
本発明の包装材は、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有する包装材であって、前記包装材は、包装材の全質量中にポリオレフィン樹脂を80質量%以上含んでなり、前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂を含み、前記印刷層が、ポリビニルアセタール系樹脂を含む、包装材に関する。包装材は、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2がこの順に積層されたものであっても、基材1、印刷層、バリア層、及び基材2がこの順に積層されたものであってもよい。また、積層体を製造する工程は、基材1に順次、層形成されたものでもよいし、印刷層、バリア層などの層を有する基材1と、印刷層、バリア層などの層を有する基材2と張り合わせたものでもよい。
本発明の包装材は、バリア性を有するポリオレフィン包装材のマテリアルリサイクルするために好適なものである。包装材として要求される性能を保持し、再生するときは、そのまま、例えば溶融しペレット化できる。溶融工程の前に、内容物や汚れの洗浄や、ポリオレフィン樹脂以外の層の分離などを行うことを必須とするものでないが、排除するものでもない。
バリア層がポリビニルアルコール系樹脂を含むことで、酸素バリア性が良好となる。加えて、ポリビニルアルコール系樹脂が水への溶解性が高いため、水への浸漬時にバリア層が溶解することで、基材1及び基材2の分離性が良好となる。さらに、印刷層にポリビニルアセタール系樹脂を含み、なおかつ、バリア層にポリビニルアルコール系樹脂を含むことで、印刷層とバリア層の密着性が向上するため、ラミネート強度が良好となる。さらにまた、包装材の全質量中にポリオレフィン樹脂を80質量%以上含むことで、マテリアルリサイクル後の再生ポリオレフィンの異物や焼けが少なく、リサイクル性が良好となる。
本発明において、印刷層などの各層は、それぞれ1番目の印刷層、2番目の印刷層のように実際は複数層が接して積層されている場合には、合わせて単に印刷層と表記している。基材1及び基材2の形態として、フィルム状又はシート状の基材及びシーラント、並びに溶融塗工で形成された樹脂膜等が挙げられる。なかでも、フィルム状又はシート状の基材及びシーラントが好ましい。包装材の実施形態としてラミネート積層体が好ましい。
ラミネート積層体は、各樹脂層を貼り合わせ(ラミネート)によって製造した積層体を指し、基材1、バリア層、印刷層、基材2を含んでもよい。一実施形態において、ラミネート積層体は、基材1と、印刷層と、バリア層と、基材2とを貼り合わせた構造を有してよい。
[再生ポリオレフィン]
本発明の包装材は、いわゆる、マテリアルリサイクル用途である、再生ポリオレフィンに用いられることが好ましい。再生ポリオレフィンとは、包装材を原料とする、成型用材料などになるプラスチック素材である。したがって、再生ポリオレフィンは、多くの場合、ポリオレフィン樹脂100質量%からなることはないが、プラスチック素材としての機能(以下、リサイクル性ともいう)を発揮するためには、包装材が、ポリオレフィン樹脂を、包装材の全質量中80質量%以上含有する。前記含有量は85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。上記範囲である場合、再生ポリオレフィンの均一性が向上するため、リサイクル性が良好となる。
さらに、バリア層、印刷層などの、包装材を構成するポリフィン樹脂以外の成分を極力、前記ポリフィン樹脂から脱離(以下、分離ともいう)させる工程を含むと、さらに、リサイクル性は、良好となる。
上記ポリオレフィンはポリプロピレン及び/又はポリエチレンであることが好ましい。当該ポリプロピレンは、エチレン及び/又はブテンとの共重合体であることがより好ましい。
包装材の構成は、具体的には、以下の構成を例示することができるが、これらに限定されない。なお以下(1)から(9)の構成表示においては、「/」は各層の境界を意味する。接着剤層は従来公知の方法であるドライラミネート及びノンソルラミネートで使用される接着剤で構成されるものに限らず、押し出しラミネートにおける、ポリオレフィン樹脂やその他の熱可塑性樹脂層である場合も含まれる。また、各層の名称は、使用形態上の機能的なもので、基材、シーラント、熱可塑性樹脂層、ヒートシール剤層、中間基材は、直接接している場合を除き、素材の視点では区別できないときがある。
(1)基材/印刷層/バリア層/接着剤層/シーラント
(2)基材/印刷層/バリア層/接着剤層/中間基材/接着剤層/シーラント
(3)基材/印刷層/バリア層/接着剤層/第1の中間基材/接着剤層/第2の中間基材/接着剤層/シーラント
(4)基材/印刷層/バリア層/熱可塑性樹脂層
(5)基材/印刷層/バリア層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(6)基材/印刷層/バリア層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(7)基材/印刷層/バリア層/接着剤層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(8)基材/印刷層/バリア層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/接着剤層/シーラント
(9)基材/バリア層/印刷/接着剤層/シーラント
(10)基材/バリア層/印刷/接着剤層/中間基材/接着剤層/シーラント
(11)基材/バリア層/印刷/接着剤層/第1の中間基材/接着剤層/第2の中間基材/接着剤層/シーラント
(12)基材/バリア層/印刷/熱可塑性樹脂層
(13)基材/バリア層/印刷/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(14)基材/バリア層/印刷/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(15)基材/バリア層/印刷/接着剤層/中間基材/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/シーラント
(16)基材/バリア層/印刷層/(AC剤層)/熱可塑性樹脂層/中間基材/接着剤層/シーラント
ただし、本発明の形態はこれらに限定されない。
上記構成においてAC剤層とは、アンカーコート剤層を表し、基材または印刷層と、熱可塑性樹脂層との接着性の向上のために用いられる。尚、上記(AC剤層)は有ってもよいし、無くてもよい。また、(AC剤層)は接着剤層の一実施形態である。
<包装材の態様>
包装材の態様としては、構成として、基材、シーラントを有する場合、以下の形態であることがより好ましい。
(1)基材、シーラントともにポリプロピレンを含む
この場合、包装材の加熱溶融温度は150~250℃が好ましく、180~230℃がなお好ましく、190~220℃が更に好ましい。上記範囲である場合、フィルム異物が良好となる。
(2)基材がポリプロピレンを含み、シーラントがポリエチレンを含む
この場合、包装材の加熱溶融温度は140~240℃が好ましく、170~220℃がなお好ましく、180~210℃が更に好ましい。上記範囲である場合、フィルム異物が良好となる。
(3)基材、シーラントともにポリエチレンを含む
この場合、包装材の加熱溶融温度は130~230℃が好ましく、160~210℃がなお好ましく、170~200℃が更に好ましい。上記範囲である場合、フィルム異物が良好となる。
[基材1]
包装材における基材1は、原料としてポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材であることが好ましい。包装材に用いるために、フィルム又はシート状の形態が好ましい。ポリオレフィン樹脂を主として含む基材は、エステル系基材と比較して、アルカリ性水溶液や、成形過程時の熱に対する耐性が高く、熱分解や加水分解などが起きにくいため、分子量を高く維持することができる。
更に、当該ポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材として例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、及びこれらを積層したフィルム等が好適に挙げられる。基材の厚みは特に限定されず、包装容器への加工性を考慮すると、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上70μm以下である。また、ヒートシール性を有するフィルムは好適に用いられ、CPPやヒートシール性OPPなどがそれに該当する。
ポリオレフィン樹脂を主として含む基材としては、単純にプラスチック基材同士が積層されていてもよいし、接着等を介してプラスチック基材とは異なる基材が積層されていてもよい。「プラスチック基材とは異なる基材」は、異なる性質を有するフィルムが挙げられ、種類を問わない。また、積層された基材である場合は接着層を含む形態であってもよい。積層させる方法は特に限定されず、共押出製法、熱融着、接着層を介した圧着など、従来公知の方法が挙げられる。
基材は、帯電防止剤、防曇剤、紫外線防止剤などの添加剤を含む(塗工あるいは混練)形態や、易接着性コート層(例えばポリビニルアルコール及びその誘導体を含む層)を有する形態、基材の表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理した形態などが好ましい。上記の添加や加工は、印刷インキや、その他コーティング剤の濡れ性を向上させる目的や、フィルムに特定の機能性を持たせる目的でも施され、例えば、湿気による包材の曇りを防止することで内容物の視認性に優れた包材を提供するのにも好適に用いられる。
[印刷層]
包装材における印刷層は、ポリビニルアセタール樹脂を含み、装飾又は美感の付与;内容物、賞味期限、及び、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の絵柄、パターン、文字、及び記号等を表示する層であることができる。
印刷層は、絵柄、パターン、文字、及び記号等を有さないベタ印刷層であってもよい。印刷層の形成方法は特に制限されず、印刷インキを用いて形成することができる。また、印刷層は、単層構成でも複層構成でもよく、表層に印刷してもよい。印刷層の厚みは、0.1~12g/mであることが好ましく、0.5~6g/mであることがより好ましく、1~3g/mであることが更に好ましい。
(ポリビニルアセタール系樹脂)
本発明において、ポリビニルアセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールをブチルアルデヒド等のアルデヒドと反応させてアセタール化したものであり、ビニルアルコール単位、及び酢酸ビニル単位及びアセタール環単位を含むことが好ましい。ポリビニルアセタール樹脂は、バインダー樹脂としての役割を持つ。アセタール化反応には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等の公知のアルデヒドを用いることができ、2種以上のアルデヒドを用いることもできる。
ポリビニルアセタール系樹脂は、例えば、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等が挙げられ、ポリビニルブチラールであることが好ましい。
ポリビニルアセタール系樹脂のアセタール環含有量は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、60~90質量%であることが好ましい。上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度が良好となる。
ポリビニルアセタール系樹脂のビニルアルコール単位含有量は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、5~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度及び分離性が良好となる。
ポリビニルアセタール系樹脂の酢酸ビニル単位含有量は、ポリビニルアセタール系樹脂100質量%中、0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。上記範囲である場合、密着性が向上し、ラミネート強度が良好となる。
ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は25000~200000であることが好ましく、40000~150000であることがより好ましく、70000~120000であることがより好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度と分離性が良好となる。
ポリビニルアセタール樹脂のガラス転移点は、50~80℃であることが好ましく、60~75℃であることがより好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
ポリビニルアセタール系樹脂は、モビタールシリーズ(クラレ社製、ポリビニルブチラール樹脂)、エスレックKXシリーズ(積水化学工業社製、ポリビニルアセタール樹脂)、ビニレックシリーズ(JNC社製、ポリビニルホルマール)等の市販製品を使用することができる。
印刷層は、ポリビニルアセタール樹脂以外にも樹脂を含むことができ、具体例として、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、ポリエステル樹脂等挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。なかでも、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂以外の樹脂からなる群より選択される1種以上を含有することが好ましく、少なくともウレタン樹脂を含有することがより好ましい。
(ウレタン樹脂)
本発明で用いられるウレタン樹脂はウレタン結合を有する樹脂であればよく、公知の樹脂から適宜選択して用いることができる。ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン樹脂;ポリオールとポリイソシアネートとからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンのような鎖伸長剤とを反応させることにより得られるウレタンウレア樹脂;が挙げられ、好適に用いられる。このようなウレタン樹脂の製造方法としては例えば、特開2013-256551号公報、特開2018-127545号公報、特開2013-213109号公報に記載の方法が挙げられる。
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましく、20000~85000であることがより好ましく、30000~70000であることが更に好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
ウレタン樹脂のガラス転移点は、-80~20℃であることが好ましく、―60~0℃であることがより好ましく、-40~―5℃であることが更に好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
ウレタン樹脂のアミン価は、0.5~20mgKOH/gであることが好ましく、1~15mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
ウレタン樹脂の水酸基価は、0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、1~20mgKOH/gであることがより好ましい。上記範囲である場合、分離性が良好となる。
印刷層が、ウレタン樹脂を含む場合の、ポリビニルアセタール系樹脂とポリウレタン樹脂との質量比率は、1:99~85:15であることが好ましく、5:95~70:30であることがより好ましく、12:88~40:60であることが更に好ましく、15:85~25:75であることが特に好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度が良好となる。
(ポリオール)
上記ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールが挙げられる。ポリオールは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールであることが好ましい。
ポリオールの数平均分子量は、500~5000であることが好ましく、1000~3000であることがより好ましい。
ポリエステルポリオールを構成するジオール中の分岐状ジオール及び直鎖状ジオールの質量比(分岐状ジオールの質量:直鎖状ジオールの質量)は、10:90~90:10であることが好ましく、20:80~80:20であることがより好ましく、30:70~70:30であることが更に好ましい。
ウレタン樹脂は、上述のとおり、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオールに由来する構成単位を含むものが好ましい。
ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも一種のポリオールに由来する構成単位の含有率は、ウレタン樹脂の固形分質量を基準として、5~95質量%であることが好ましく、20~90質量%であることがより好ましく、30~85質量%であることが更に好ましい。
ポリエステルポリオールに由来する構成単位の含有率は、ウレタン樹脂の固形分質量を基準として、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることが好ましく、65~100質量%であることが特に好ましい。上記含有率であると、ラミネート強度が良好となる。
<印刷層に含まれる樹脂の塩素含有率>
印刷層に含まれる樹脂の塩素含有率は、印刷層に含まれる樹脂の質量を基準とした場合の塩素原子の含有率(質量%)である。印刷層に含まれる樹脂は、塩素含有率が0~5質量%であることが好ましく、0~3質量%であることがより好ましく、0~2質量%であることが更に好ましい。上記範囲である場合、後述する[再生ポリオレフィンの製造方法]における、加熱溶融混練工程での塩素発生が抑制できる。印刷層に含まれる樹脂が含有する塩素の由来は、用いたエチレン性不飽和単量体自体が塩素原子を含む場合と、製造過程で塩素原子を含む化合物が混入した場合などがある。
塩素含有率は、イオンクロマトグラフィー(IC)や、ICP質量分析装置(ICP-MS)等公知の方法を用いて測定することができる。測定機器としては、例えば、ICでは島津製作所製LC-20ADsp、ICP-MSではAgilent Technologies製Agilent 7700xが挙げられる。また、印刷層の塩素含有率は、印刷層を構成する各原料の塩素含有率から、以下の式により簡易的に算出することができる。その他各層においても同様である。
式:印刷層に含まれる樹脂の固形分総質量中の塩素含有率(%)=印刷層に含まれる樹脂の固形分総質量中の塩素の質量/印刷層に含まれる樹脂の固形分総質量(%)
式:印刷層固形分総質量中の塩素含有率(%)=印刷層固形分総質量中の塩素の質量/印刷層の固形分総質量(%)
本発明において塩素含有率は、JISK0127(2013)に準拠して測定されることが好ましい。この測定方法では、燃焼法にて前処理を行ったサンプルをイオンクロマトグラフ法で定量する。
《着色剤》
本発明で印刷層形成に使用される印刷インキは、着色剤を含むことができる。
着色剤は顔料であることが好ましく、当該顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれでも使用は可能であるが、顔料等の着色剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。再生ポリオレフィンの着色による品質劣化を考慮し、印刷層全質量中の着色剤の含有率が、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがなお好ましく、23質量%以下であることが更に好ましい。
(有機顔料)
上記有機顔料としては、以下の例には限定されないが、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。
(無機顔料)
無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛酸化クロム、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、硫酸バリウム、カオリンクレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられ、アルミニウムはリーフィングタイプ又はノンリーフィングタイプがあるが、ノンリーフィングタイプが好ましい。
《添加剤》
本発明で印刷層形成に使用される印刷インキは、必要に応じて消泡剤、芳香剤、難燃剤、炭化水素ワックス、増粘剤、レベリング剤、分散剤、硬化剤、シランカップリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、及び紫外線吸収剤等の公知の添加剤を含むことができ、炭化水素ワックス、及び分散剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
<印刷インキの製造方法>
印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば、顔料を樹脂等により分散機を用いて有機溶剤中に分散させ、得られた顔料分散体に樹脂、各種添加剤や有機溶剤等を混合して製造できる。分散機としては一般に使用される、例えばローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルを用いることができる。
<印刷層の形成>
印刷層は、例えば、基材上に、印刷インキを用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法としてはグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることで印刷層を得ることができる。
[バリア層]
本願におけるバリア層は、包装材に酸素バリア性を付与することを目的に存在しており、バリア層は、ポリビニルアルコール系樹脂を含む。バリア層の形態として、公知の形態を使用することができるが、バリアコート層であることが好ましい。包装材がバリア層としてバリアコート層を有する場合、バリアコート層は、バリアコート剤により形成される。
バリア層の塗工量は、0.5~5g/mであることが好ましく、0.7~2.8であることがより好ましく、1.3~2であることが更に好ましい。上記範囲である場合、酸素バリア性及びリサイクル性が良好となる。
(ポリビニルアルコール系樹脂)
本発明で用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、ビニルアルコール単位を有する樹脂であればよく、さらに、エチレン由来の構造単位を含んでいてもよい。
例えば、ポリビニルアルコール樹脂やエチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂等挙げられ、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂のエチレン由来の構造単位含有量は、1~40モル%であることが好ましく、3~20モル%であることがより好ましく、5~15モル%であることが更に好ましい。上記範囲である場合、ラミネート強度及び酸素バリア性が良好となる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、変性基を有することができ、カルボニル変性、ケイ素変性等の公知の変性基が挙げられ、これらに限定されない。
ポリビニルアルコール系樹脂は架橋剤で架橋されたものを使用することができ、使用される架橋剤としては、イソシアネート系、エポキシ系、メラミン系、オキサゾリン系、シランカップリング系等の公知の架橋が挙げられ、オキサゾリン系、シランカップリング系が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂のけん化度は、以下式で表され、80モル%以上であることが好ましく、90モル%であることがより好ましく、95モル%であることが好ましい。上記範囲である場合、酸素バリア性が良好となる。

式:けん化度:(水酸基数)/{(水酸基数)+(酢酸基数)}×100 [モル%]
ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、100~3000であることが好ましく、500~2400であることがより好ましい。上記範囲である場合、水への溶解性が向上するため、分離性が良好となる。
ポリビニルアルコール系樹脂は、クラレポバールRシリーズ(クラレ社製、ポリビニルアルコール樹脂)、クラレエバールL104B、F104B(クラレ社製、エチレン‐ビニルアルコール共重合樹脂)等を使用することができる。
バリア層は、ポリビニルアルコール樹脂以外の樹脂を含むことができ、具体例として、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
(無機層状フィラー)
バリア層は、無機層状フィラーを含むことが好ましい。ここでいう無機層状フィラーとは、単位結晶層が重なって層状構造を形成する無機フィラーであり、特に溶媒中で膨潤、劈開するものが好ましい。
無機層状フィラーの好ましい例としては、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、バーミキュライト、マイカ、パラゴナイト、レピドライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイト、緑泥石、ドンバサイト、スドーアイト、クッケアイト、クリノクロア、シャモサイト、ニマイト、テトラシリリックマイカ、タルク、パイロフィライト、ナクライト、カオリナイト、ハロイサイト、クリソタイル、ナトリウムテニオライト、ザンソフィライト、アンチゴライト、ディッカイト、ハイドロタルサイトなどがあり、カオリン、モンモリロナイト、マイカであることが好ましく、モンモリロナイトであることがより好ましい。
これらの無機層状化合物は、天然に産するものであっても、人工的に合成あるいは変性されたものであってもよく、またそれらをオニウム塩などの有機物で処理したものであってもよい。
バリア層中の無機層状フィラーの含有量は、バリア層100質量%中、1~40質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましく、20~30質量%であることが更に好ましい。
(モンモリロナイト)
本発明で用いられるモンモリロナイトは、次式で示されるもので、天然に産出するものを精製することにより得ることができる。
Si(Al2-aMg)O10(OH)・nH
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25~0.60である。また、層間のイオン交換性カチオンと結合している水分子の数は、カチオン種や湿度等の条件に応じて変わりうるので、式中ではnHOで表す。)
またモンモリロナイトには次式群で表される、マグネシアンモンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、鉄マグネシアンモンモリロナイトの同型イオン置換体も存在し、これらを用いてもよい。
Si(Al1.67-aMg0.5+a)O10(OH)・nH
Si(Fe2-a3+Mg)O10(OH)・nH
Si(Fe1.67-a3+Mg0.5+a)O10(OH)・nH
(式中、Mはナトリウムのカチオンを表し、aは0.25~0.60である。)
通常、モンモリロナイトはその層間にカチオンを有するが、その含有比率は産地によって異なる。上記イオンとして、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン等の無機カチオンや、第4級アンモニウムイオン等の有機カチオンが挙げられ、水への親和性の観点から、無機カチオンであることが好ましく、ナトリウムイオン及びカルシウムイオンであることがより好ましい。また、水処理により精製したモンモリロナイトを用いることが好ましい。
モンモリロナイトの体積平均での粒子厚さとしては、0.05~30nmであることが好ましく、0.1~10nmであることがより好ましく、0.5~3nmであることが更に好ましい。また、モンモリロナイトの体積平均での粒子長径としては、0.01~5μmであることが好ましく、0.05~3μmであることがより好ましく、0.1~1μmであることが更に好ましい。加えて、モンモリロナイトの体積平均での粒子アスペクト比は、10~2000であることが好ましく、100~1000であることがより好ましく、300~700であることが更に好ましい。
なお、本発明において、モンモリロナイトの粒子厚さ、粒子長径、及び粒子アスペクト比は、原子間力顕微鏡(AFM)で測定できる。
モンモリロナイトは、クニピア-F、クニピア-G(クニミネ工業社製)等の市販品を使用することができる。
(カオリン)
本発明で用いられるカオリンは、カオリナイト(Al・2SiO・HO)またはハロイサイトAl・2SiO・2HOが主成分であり、天然品であっても、合成品であってもよい。また、製造方法の違いにより、乾式カオリン、湿式カオリン、焼成カオリン等があるが、これらに限定されない。
カオリンの体積平均での粒子径は、酸素バリア性の観点から、1~100μmであることが好ましく、3~50μmであることがより好ましく、5~20であることが更に好ましい。また、カオリンの体積平均でのアスペクト比は、10~1000であることが好ましく、30~500であることがより好ましく、50~200であることが更に好ましい。
なお、本発明において、カオリンの粒子径は、レーザー解析・散乱法によって測定することができ、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
バリサーフHX(イメリス社製)、NNカオリンクレー、STカオリンクレー(竹原化学工業社製)等の市販品を使用することができる。
(マイカ)
本発明で用いられるマイカは、天然マイカ、合成マイカいずれも使用できる。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、機械粉砕やか焼による劈開などにより粒径やアスペクト比をコントロールできる。合成マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものなどがあり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSiO10F)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSiO10F)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSiO10F)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。分散性の観点から、インターカレーションで劈開しやすい合成マイカであることが好ましい。
マイカの体積平均での粒子径は、印刷適性や酸素バリア性の観点から、30μm以下であることが好ましく、1~25μmであることがより好ましく、5~15μmであることが更に好ましい。またマイカの体積平均でのアスペクト比は、30~200であることが好ましく、70~170であることがより好ましく、100~150であることが更に好ましい。
なお、本発明において、マイカの粒子径は、レーザー解析・散乱法によって測定することができ、アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で測定することができる。
マイカとして、マイカパウダーTMシリーズ、マイカパウダーNCFシリーズ(ヤマグチマイカ社製)、L60M、L100M(セイシン企業社製)等の市販品を使用することができる。
バリアコート剤は、上述した各成分を単独またはいくつかを組み合わせてコート剤に加えることができ、さらにコート剤のバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
<バリア層の形成>
バリア層は、例えば、基材上に、バリアコート剤を用いて印刷した後、揮発成分を除去することによって形成することができる。印刷方法として、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法等従来公知の手段が挙げられるが、グラビア印刷方式が好適であり、例えば、グラビア印刷に適した粘度及び濃度にまで希釈溶剤で希釈され、単独で又は混合されて各印刷ユニットに供給され、塗布される。その後、オーブン等による乾燥によって被膜を定着させることで印刷層を得ることができる。
本願における包装材は、包装材中のポリオレフィン含有率が80%質量以上となる範囲において、更に、接着剤層、中間基材層を含んでも良い。
[基材1、印刷層、バリア層、基材2以外の層]
<接着剤層>
本発明に用いられる包装材は、各層を接着する目的で接着剤層を含んでいてもよい。接着剤層は、特に限定されることはなく、オレフィン系接着剤、アクリル系接着剤、エチレン―酢酸ビニル共重合系接着剤、反応性ウレタン接着剤等のドライラミネート接着剤及びノンソルラミネート接着剤、イミン系アンカーコート剤、ブタジエン系アンカーコート剤、イソシアネート系アンカーコート剤、押出ラミネートで用いられる熱可塑性樹脂などが好適に挙げられる。なお、接着剤層が、ポリイソシアネートとポリオールからなる反応性ウレタン接着剤の反応物であることが好ましい。
各層を接着(ラミネートともいう)させる方法は特に限定されず、押出ラミネート法、ドライラミネート法、ノンソルラミネート法など、従来公知の方法が挙げられる。
<中間基材層>
本願において、中間基材層は、包装材の剛直性を向上させること等を目的に存在している。中間基材層の具体例としては、基材層同様、原料としてポリオレフィン樹脂を主として含むプラスチック基材であることが好ましい。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、共押出製法による複合基材であってもよい。更に、中間基材は、基材、シーラントと同種(同一)の素材であることがより好ましい。同種(同一)の素材とは、ポリプロピレン同士、ポリエチレン同士などの組み合わせが挙げられる。
[基材2]
基材2は、基材1と同一でも異なっていてもよく、例えば、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、無延伸ポリプロピレン(CPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンが好適に挙げられる。
基材2の厚みは、特に限定されないが、包装容器製造時の加工性の観点から、5~150μmであることが好ましく、10~70μmであることがより好ましい。一実施形態において、ポリオレフィン樹脂の中でもヒートシール性を有するものを好適に使用できる。これに該当する例として、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム、リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム、溶融塗工で形成されたPE樹脂膜などが挙げられる。
<包装材の塩素含有率>
包装材において、塩素含有率が、包装材の全質量中、0.4質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることが更に好ましい。
<包装材のメルトマスフローレイト(MFR)>
本発明における包装材のメルトマスフローレイト(MFR)は、辺の長さを5mm~10mmに破砕し、最も含有率の高い試料の条件で実施される。本発明におけるメルトマスフローレイトは、JISK7210に準拠して測定される値である。包装材のMFRとして好ましくは0.5~15g/10分であり、より好ましくは1.0~14g/10分であり、更に好ましくは3~13g/10分である。上記範囲である場合、加熱溶融混練工程での流動性が向上するため、フィルム焼けが良好となる。
<包装材における顔料及び無機層状フィラーの含有量>
包装材中の顔料及び無機層状フィラーの含有量は、包装材100質量%中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることが更に好ましい。上記範囲である場合、フィルム異物が良好となる。
[再生ポリオレフィンの製造方法]
本発明の一実施形態として、第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、包装材から再生ポリオレフィンを得ることができる。
具体的に再生ポリオレフィンを得る工程としては、包装材及び酸化防止剤を加熱溶融混練して樹脂組成物とする加熱溶融混練工程と、得られた樹脂組成物を押出す押出工程とがある。さらに、押出された再生ポリオレフィンを冷却する冷却工程を含むことが好ましい。再生ポリオレフィンの形状は特に限定されず、棒状、粒子状、立方体、直方体、不定形等が挙げられる。
本願において、包装材のハンドリング性の観点から、加熱溶融混練工程前に、包装材を破砕する破砕工程を含むことが好ましい。また、ゴミや汚れなどの異物除去の観点から、加熱溶融混練工程前に、包装材を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。更にまた、水分除去の観点から、加熱溶融混練工程前に、包装材を脱水、乾燥する脱水乾燥工程を含むことが好ましい。加えて、加熱溶融混練工程で、添加剤を添加する手段を具備することが好ましい。また、異物除去の観点から、押出装置の吐出部に異物分離装置を具備すること好ましい。更にまた、再生ポリオレフィンのハンドリング性の観点から、冷却工程の後又は同時に、押出された再生ポリオレフィンを細断するペレタイズ工程を含むことが好ましい。
<加熱溶融混練工程>
加熱溶融混練工程は、第一のスクリューを具備した押出装置を用いて、包装材を加熱溶融混練する工程であり、この工程により、包装材は加熱溶融され、さらに第一のスクリューで混練されることで、個別の包装材及び酸化防止剤から、連続相の樹脂組成物へ変化する。樹脂組成物の均一性が高いほど、再生ポリオレフィンの直後フィルム異物、経時フィルム異物が良好となる。
加熱溶融温度は160℃~260℃であることが好ましく、170℃~250℃であることがより好ましく、180℃~240℃であることが更に好ましい。上記範囲である場合、再生ポリオレフィンの均一性及び低熱履歴が両立できるため、フィルム異物及びフィルム焼けが良好となる。
第一のスクリューの回転数は、50~900rpmであり、80rpm~850rpmであることが好ましく、100rpm~600rpmであることがより好ましい。上記範囲内では、再生ポリオレフィンの均一性、及び押出装置内での短滞留時間が両立可能となるため、フィルム異物及びフィルム焼けが良好となる。なお、スクリューの回転数50~900rpmは、せん断速度に換算すると222~4004sec-1に相当する。せん断速度は、後述の実施例の条件にて、以下式を用いて算出した。
式:(円周率)×(スクリュー径)×(スクリュー回転数)/{(60×(シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離)}
・スクリュー径:34mm
・シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離:0.4mm
押出装置内での樹脂組成物の滞留時間は、10~120秒であることが好ましく、15~80秒であることがより好ましく、20~40秒であることが特に好ましい。上記範囲である場合、加熱時間及び混練効率が良好となるため、フィルム異物及びフィルム焼け優れた再生ポリオレフィンを得ることができる。
《第一のスクリューを具備した押出装置》
本発明に用いる押出装置は、第一のスクリューを具備している。押出装置は一般的に用いられる熱可塑性樹脂等を溶融して成形可能な装置であって、例えば、特開2017-148997号公報に記載された公知の押出装置などを使用することができる。
具体的には、材料を供給する第一の供給口と、前記第一の供給口から供給された熱可塑性樹脂等の材料を加熱溶融混練する加熱溶融混練部と、前記加熱溶融混練部で加熱溶融混練された熱可塑性樹脂を吐出する吐出部を有している。
第一のスクリューの回転による、せん断熱や電熱ヒーターなどの加熱により材料が溶融され、第一のスクリュー回転により、溶融した材料が混練される。前記押出装置は、例えば二軸押出機、単軸押出機、及びローター型二軸混練機が挙げられるが、混練効率の観点から、二軸押出機、及びローター型二軸混練機が好ましい。
<添加剤を添加する方法>
本発明は、酸化防止剤や相溶化剤等の公知の添加剤を添加することができる。添加剤を添加する方法として、加熱溶融混練工程で、上記第一の供給口から添加剤を添加した包装材を供給する、又は下記第二の供給口、及び第二のスクリューを具備する押出装置を用いて添加剤を添加することが、好ましい例である。押出装置は、バレルを連結して作成できるため、前記バレルの1つ以上が、第二の供給口及び第二のスクリューを具備することができ、第二の供給口及び第二のスクリューの位置は、押出装置のどこにあってもよい。第二の供給口から添加された添加剤は、第二のスクリューにより混練されながら、第一の供給口から投入・加熱溶融混練された樹脂組成物に混合される。
《添加剤》
酸化防止剤以外の公知の添加剤として、例えば、酸化防止剤、相溶化剤、滑剤、耐候安定剤、可塑剤、帯電防止剤が挙げられ、フィルム異物良化の観点から、相溶化剤を含むことが好ましく、フィルム焼け良化の観点から、酸化防止剤を含むことが好ましい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤としては、フェノール系、リン酸系、硫黄系、アミン系等の公知の酸化防止剤を使用できるが、フェノール系、リン酸系であることが好ましい。上記酸化防止剤と包装材との添加質量比率は、0.01:99.99~3:97であることが好ましく、0.05:99.95~1:99であることが好ましく、0.1:99.9~0.5:99.5であることが更に好ましい。上記範囲である場合、フィルム焼けが良好となる。
(フェノール系酸化防止剤)
本発明に使用される酸化防止剤としては、モノフェノール系、ビスフェノール系、トリスフェノール系、テトラフェノール系、ポリフェノール系、チオビスフェノール系などが挙げられ、焼け防止効果の大きい、ビスフェノール系、トリスフェノール系、テトラフェノール系であることが好ましく、テトラフェノール系であることがより好ましい。
フェノール系酸化防止剤として、Irganox1010、Irganox1076、Irganox245(BASF社製)等を使用することができる。
(リン酸系酸化防止剤)
本発明に使用される酸化防止剤としては、モノノニル系、ジノニル系、トリノニル系、アリル系、アルキルアリル系、モノアルキル系、ジアルキル系、トリアルキル系、ジオキサ系が挙げられ、焼け防止効果の大きい、トリノニル系、アリル系、アルキルアリル系、トリアルキル系、ジオキサ系であることが好ましく、ジオキサ系であることがより好ましい。
リン酸系酸化防止剤として、Irgafos168(BASF社製)、ADK STAB PEP-36(ADEKA社製)等を使用することができる。
(相溶化剤)
相溶化剤は、プラスチックに対し、印刷層由来の顔料、樹脂が混ざりやすくする役割を持つ。相溶化剤はポリオレフィン共重合体を含むことが好ましく、ポリオレフィン共重合体としてはポリオレフィン-スチレン共重合体、ポリオレフィン-アクリル共重合体、ポリオレフィン-アクリロニトリル共重合体、(無水)マレイン酸変性ポリオレフィンなどが好適に挙げられる。ただし、これらに限定されない。「共重合体」とはブロック共重合体でもよいし、ランダム共重合体でもよく、グラフト共重合体であってもよい。(以下、グラフト共重合体の場合は、主鎖=g=側鎖と表記する。)
相溶化剤として好ましい形態は、ポリエチレン=g=ポリスチレン、ポリエチレン=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、ポリプロピレン=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体=g=スチレン-アクリロニトリル共重合体、オキサゾリン基含有ポリスチレン、ポリカーボネート=g=メタクリル酸グリシジル-スチレン-アクリロニトリル共重合体、無水マレイン酸変性ポリオレフィン等が挙げられ、無水マレイン酸変性ポリオレフィンが好ましい。
上記無水マレイン酸変性ポリオレフィンとして、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性エチレン-ブテン共重合体、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体、無水マレイン酸変性スチレン-ブタジエン共重合体等が挙げられ、無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
上記相溶化剤と包装材との添加質量比率は、0.01:99.9~1:99であることが好ましく、0.05:99.95~0.5:99.5であることがより好ましく、0.1:99.9~0.2:99.8であることが更に好ましい。上記範囲である場合、印刷層由来の樹脂と、ポリオレフィン樹脂の相溶性が向上するため、フィルム異物が良好となる。
相溶化剤は、市販品を使用することができ、例えば、アドマーQシリーズ(三井化学社製)、ユーメックスシリーズ(三洋化成社製)が挙げられる。
<押出工程>
押出工程において、前記樹脂組成物は前記吐出部から吐出される。一実施形態として、吐出部が異物分離装置を具備し、樹脂組成物が分離装置を通過し吐出されることが好ましい。
加熱溶融混練した樹脂組成物の吐出おいて、押出装置の押出圧力は、押出装置の耐久性の観点から、18MPa以下であることが好ましく、0.1~18MPaであることがより好ましく、1~12MPaであることが更に好ましく、3~7MPaであることが特に好ましい。なお、押出装置の押出圧力は、常に一定である必要はないが、ここでいう押出圧力は、押出工程中の最大押出圧力である。
上記範囲である場合、異物分離装置による異物分離効率が良好となるため、フィルム異物が良好となる。吐出圧は、加工温度、スクリュー回転数、吐出量、樹脂粘度、再生ポリオレフィンへの異物を取り除くために使用される異物分離装置(スクリーンメッシュ等)の影響を受ける。また、不溶物、異物などのメッシュの詰まりや、水分、塩素含有物などに起因した発泡なども圧力の変化の要因となる。
<冷却工程>
本発明では、押出工程で、押出された再生ポリオレフィンは、冷却工程で冷却されることが好ましい。
冷却方法としては、例えば空冷、風冷、水冷が挙げられる。本発明においては、水冷工程を含むことが好ましい。20℃~80℃に冷却することが好ましく、30℃~60℃に冷却することがより好ましい。後述のペレタイズ工程を同時に実施してもよい。
[再生ポリオレフィン]
上述した再生ポリオレフィンの製造方法を用いて、包装材から再生ポリオレフィンを得ることができる。再生ポリオレフィンは、印刷層由来の顔料、樹脂、並びにバリア層由来の無機層状フィラー、及び樹脂を含む。また、加熱溶融混練工程で添加した添加剤を含んでも良い。
<再生ポリオレフィン中の酸化防止剤含有量>
再生ポリオレフィン中の酸化防止剤含有量は、再生ポリオレフィン100質量%中、0.01~5質量%であることが好ましく、0.01~3質量%であることがより好ましく、0.05~1質量%であることが更に好ましく、0.1~0.5質量%であることが特に好ましい。上記範囲である場合、フィルム焼けが良好となる。
<再生ポリオレフィン中の相溶化剤含有量>
再生ポリオレフィン中の相溶化剤含有量は、再生ポリオレフィン100質量%中、0.01~3質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましい。上記範囲である場合、フィルム異物が良好となる。
<再生ポリオレフィンのメルトマスフローレイト(MFR)>
再生ポリオレフィンのメルトマスフローレイト(MFR)は、成形時の温度、冷却スピードなどの、熱履歴に大きな影響を受ける。軟包装体の構成及びリサイクル方法等によるが、0.5~20g/10分であることが好ましく、3~15g/10分であることがより好ましい。上記範囲である場合、フィルム焼けが良好となり、更に様々な成形に適する。本発明においては、熱履歴を変更することにより、再生ポリオレフィンのメルトマスフローレイト(MFR)を調整する工程を含むことも好ましい。
<成形品>
本発明により得られた再生ポリオレフィンを成形することで、成形品を得ることができる。成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、及び圧縮成形が挙げられる。成形品は、家電製品、文房具、自動車部品、おもちゃ、スポーツ用品、医療用品、及び建築・建設資材等、様々な用途に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
(水酸基価)
水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に記載された方法で測定した。
(酸価)
酸価は、試料1g中に含有する遊離脂肪酸、樹脂酸等を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に記載された方法で測定した。
(アミン価)
アミン価は、試料1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準拠して測定した。試料を0.5~2g精秤し(試料固形分:Sg)、精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記式によりアミン価を求めた。
(式)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S[mgKOH/g]
(重量平均分子量)
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(東ソー株式会社製HLC-8220)を用いて分子量分布を測定し、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。下記に測定条件を示す。
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW2500
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW3000
東ソー株式会社製TSKgelSuperAW4000
東ソー株式会社製TSKgelguardcolumnSuperAWH
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1.0mL/分
(ガラス転移点(Tg))
ガラス転移点は、示差走査熱量測定測定(DSC)により求めた。測定は、株式会社リガク製DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分の
条件で行った。DSC曲線におけるガラス転移に基づくベースラインシフトの中点(変曲点)をガラス転移点とした。
(塩素含有率)
塩素含有率は、JIS K0127(2013)に準拠して測定した。透明基板上に、印刷インキをそれぞれ2.0μmになるように塗布し塗膜を形成し、80℃で乾燥させ、0.5g削り取った。削り取った塗膜を燃焼法にて前処理を行い、得られたサンプルの塩素含有量を、イオンクロマトグラフィーで定量し、塩素含有率を求めた。
(メルトマスフローレイト(MFR)の測定)
MFRは、JIS K 7210-1:2014に記載された方法で測定した。包装材の測定については、辺の長さが5mm~10mmに破砕し、実施した。温度等の測定条件については、最も含有率の高い試料の条件で実施した。
(水分量測定方法)
水分量測定方法は、JIS K 0068(2001)に準拠して測定した。下記に測定機器及び試薬を示す。
測定機器:カールフィッシャー水分測定計MKC-710D(京都電子工業社製)
:水分気化装置ADP-611(京都電子工業社製)
カールフィッシャー試薬:ケムアクア水標準 1(京都電子工業社製)
(ポリオレフィン含有率の算出)
包装材中のポリオレフィン含有率について、以下式を用いて算出した。
式(1):(包装材中のポリオレフィン樹脂質量)/(包装材の質量)×100
より具体的には、下式(I)~(III)を適用した。
式(I):包装材の1mあたりの質量[g]=(基材1厚み)×(基材1密度)+(印刷層塗工量)+(バリア層塗工量)+(接着剤塗工量)+(基材2厚み)×(基材2密度)

式:(II)包装材中のポリオレフィン質量[g]=(基材1厚み)×(基材1密度)+(基材2厚み)×(基材2密度)

式(III):包装材中のポリオレフィン含有率[%]=(包装材中のポリオレフィン質量)/(包装材の1mあたりの質量)×100

なお、包装材が、上記に記載のない層を有する場合は、該当する層の厚みと密度とを、計算式に追加して算出することができる。
なお、包装材を構成するために使用した基材、及びシーラントの密度は以下の通りである。
・コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm) 密度:0.91g/cm
・高密度ポリエチレンフィルム(HDPE)フィルム(厚み20μm) 密度:0.94g/cm
・リニア低密度ポリエチレンフィルム(厚み40μ) 密度:0.91g/cm
・ナイロン(NY)フィルム(厚み15μm) 密度:1.15g/cm
・無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み20μm) 密度:0.90g/cm
・無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み30μm) 密度:0.90g/cm
・無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み60μm) 密度:0.90g/cm
・リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚み150μm) 密度:0.91g/cm
・リニア低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(厚み40μm) 密度:0.91g/cm
(樹脂合成)
(合成例1)ウレタン樹脂PU1
3-メチル1,5ペンタンジオール(MPD)とセバシン酸(SA)の縮合物である、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール(以下「MPD/SA」)100部、1,4-ブタンジオール(以下「1,4-BD」)1部、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」)28.5部及び酢酸エチル32.1部を混合して、窒素雰囲気下で90℃、5時間反応させて、末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを得た。
次いで、イソホロンジアミン(以下「IPDA」)11.0部、N-(2-アミノエチル)エタノールアミン(以下「AEA」)1.0部、ジブチルアミン(以下「DBA」)1.0部及び混合溶剤1(酢酸エチル/イソプロパノール=70/30(質量比))298.1部を攪拌混合し、得られた末端イソシアネートのウレタンプレポリマーを40℃で徐々に添加した。80℃で1時間反応させ、固形分30質量%、アミン価6.5mgKOH/g、水酸基価3.8mgKOH/g、重量平均分子量50,000のウレタン樹脂PU1の溶液を得た。ウレタン樹脂PU1の塩素含有率は0質量%であった。
(合成例2)アクリル樹脂AC1
攪拌器、温度計、2つの滴下ロート、還流器を備えた反応容器に窒素ガスを導入しながら、メチルイソブチルケトン400部を仕込み、温度100℃まで昇温した。次に、2つの滴下ロートにおいて、一方からは、スチレン45.6部、ベンジルメタクリレート 91.2部、アクリル酸136.8部、n-ブチルアクリレート 91.2を3時間かけて滴下した。もう一方からは、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート27.4部をメチルイソブチルケトン87.8部に溶解させ、4時間かけてそれを滴下した。滴下完了後、更に10時間反応させて反応を完了した。冷却後、得られた水溶性樹脂溶液に28%アンモニア水106.2部を加えて水溶化した。更に脱イオン水 500部を加えて、共沸下でメチルイソブチルケトンの全量を留去した後、カルボキシル基を有する水性アクリル樹脂(水溶型)AC1溶液を得た。最後に脱イオン水を加えて、アクリル樹脂AC1溶液の固形分を30%に調整した。アクリル樹脂AC1の酸価は120mgKOH/g、重量平均分子量は15000であった。
(インキの調製)
<調製例1>グラビアインキX1
ポリビニルブチラール樹脂PVB1(重量平均分子量:89000、水酸基含有量:20質量%、酢酸基含有量:2.5質量%) 10部、ウレタン樹脂PU1溶液40部、C.I.ピグメントブルー15:3(トーヨーカラー社製、製品名:LIONOL BLUE FG-7330、塩素含有率0質量%)5部、混合溶剤(酢酸ノルマルプロピル(NPAC)/イソプロピルアルコール(IPA)=8/2) 38.4部、プロピレングリコールモノメチルエーテル 3.5部、水1.5部、塩素化ポリプロピレン 0.8部を混合し、ビーズミルで20分間分散して顔料分散体を得た。得られた顔料分散体に、水20部を攪拌混合し、グラビアインキX1を得た。
<調製例2~11、比較調整例1>グラビアインキX2~12
表1に記載した原料及び配合比を使用した以外は、調製例1と同様の方法で、グラビアインキX2~12を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・ポリビニルブチラール樹脂(PVB2):(重量平均分子量:20000、水酸基含有量:20質量%、酢酸基含有量:2.5質量%)
・ポリビニルブチラール樹脂(PVB3):(重量平均分子量:55000、水酸基含有量:20質量%、酢酸基含有量:2.5質量%)
・ポリビニルブチラール樹脂(PVB4):(重量平均分子量:100000、水酸基含有量:20質量%、酢酸基含有量:2.5質量%)
・ポリビニルブチラール樹脂(PVB5):(重量平均分子量:160000、水酸基含有量:20質量%、酢酸基含有量:2.5質量%)
・ポリビニルアセタール樹脂(PVAc1):エスレックKX-5(積水化学工業社製)

・ポリビニルホルマール樹脂(PVF1):ビニレックL(JNC社製、重量平均分子量:60000)
Figure 0007439884000001
(バリアコート剤の調整)
<調整例12>バリアコート剤V1
ポリビニルアルコール系樹脂PVA1(エチレン含有率:8モル%) 6部、混合溶剤(水/IPA=8/2) 92部を攪拌しながら加熱し、95℃で1時間、加熱攪拌を継続し、その後、加熱を停止して、常温に戻るまで攪拌を継続し、ポリビニルアルコール系樹脂PVA1水溶液を得た。前記ポリビニルアルコール樹脂PVA1水溶液にモンモリロナイト(膨潤性、粒子アスペクト比:500、粒子厚み:1μm、粒子広がり:500nm) 2部を加え、混合攪拌することで、バリアコート剤V1を得た。
<調整例13~24、比較製造例2>バリアコート剤V2~V14
表2に記載した原料及び配合比を使用した以外は、調製例12と同様の方法で、バリアコート剤V2~14を得た。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA2: クラレポバール3-98(クラレ社製、エチレン含有量0モル%)
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA3:クラレエバールL171B(クラレ社製、エチレン含有量27モル%)
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA4:クラレエバールF104B(クラレ社製、エチレン含有量32モル%)
・ポリビニルアルコール系樹脂PVA5:クラレエバールE105B(クラレ社製、エチレン含有量44モル%)
・マイカ:(非膨潤性、アスペクト比130、平均粒子径:11μm、吸油量:42g/100g)
・カオリン:バリサーフHX(イメリス社製、平均粒子径:9.0μm、アスペクト比:90)
・シリカ:ミズカシルP-526(水澤化学工業社製、平均粒子径:7μm、吸油量:240g/100g)
Figure 0007439884000002
(積層体の製造例)
<実施例1>積層体A1
グラビアインキX1を、混合溶剤(イソプロピルアルコール/酢酸エチル)でザーンカップ#3(離合社製)15秒(25℃)になるように希釈した。また、バリアコート剤V1を、混合溶剤(イソプロピルアルコール/水)でザーンカップ#3(離合社製)16秒(25℃)になるように希釈した。その後、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(厚み20μm)のコロナ処理された面上に対し、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、希釈したグラビアインキX1を印刷して印刷層を形成し、印刷層上に対し、版深60μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、希釈したバリアコート剤V1を3度印刷してバリア層を形成した。次いで、ドライラミネート機を用いて、印刷層上に、ポリエーテル系反応性ウレタン接着剤(東洋モートン社製「TM-340V/CAT-29B」)を塗工し、オーブンにて溶剤を乾燥し接着剤層を形成した後、接着剤層上に、ライン速度40m/分にて、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚み30μm)を貼り合わせ、40℃で1日間保温し、OPP(基材1)/印刷層/バリア層/接着剤層/CPP(基材2)構成である積層体A1を得た。積層体A1の印刷層の乾燥後の塗工量は2g/m、バリア層の乾燥後の塗工量は1.6g/m、接着剤層の乾燥後の塗工量は2.5g/mであり、MFR値は7g/10minであった。
<実施例2~35、比較例1~3>積層体A2~35、S1~3
表3又は4に記載した原料及び塗工量を使用した以外は、実施例1と同様の方法で、積層体A2~35、S1~3を得た。
<ラミネート強度>
上記実施例及び比較例において得られた積層体について長さ150mm、幅15mmに切り出し、引っ張り試験機を用いて90°方向のラミネート強度を測定し、以下基準にて評価した。評価結果を表3及び4に示す。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A(優):1.5N/15mm以上
B(良):1.0N/15mm以上1.5N/15mm未満
C(可):0.8N/15mm以上1.0N/15mm未満
D(不可):0.5N/15mm以上0.8N/15mm未満
<酸素バリア性評価>
得られた積層体について、JIS K 7126-2:2006に準拠した方法で酸素透過度測定を行い、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A(優):酸素透過度が100g/m・24h未満である。
B(良):酸素透過度が100g/m・24h以上、1000g/m・24h未満である。
C(可):酸素透過度が1000g/m・24h以上、10000g/m・24h未満である。
D(不可):酸素透過度が10000g/m・24h以上である。
<分離性評価>
(分離液の調整)
界面活性剤としてPOEステアリルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル、POE付加数;12、HLB;13.9) 500部、消泡剤としてBYK-1650(ビックケミー・ジャパン製、シリコーン系エマルジョン型消泡剤、固形分濃度27.5%) 50部、水酸化ナトリウム 1000部、水 48450部を配合し、ディスパーで撹拌して、分離液A1を得た。
(分離性試験)
50Lの釜に、分離液A1を40L、得られた積層体をそれぞれ3cm×3cmの大きさに切り出したサンプル1.6kgを入れ、70℃、2000rpmの条件で撹拌した。60分撹拌をした後、サンプリングし、水洗・脱水を行った。得られたサンプルを、基材1と基材2とが分離したサンプルと、基材1と基材2とが分離していないサンプルとを目視で確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表3及び4に示す。
《評価基準》
A(優):全サンプル量に対し、基材1と基材2とが分離したサンプルの質量が、95質量%以上である。
B(良):全サンプル量に対し、基材1と基材2とが分離したサンプルの質量が、90質量%以上、95質量%未満である。
C(可):全サンプル量に対し、基材1と基材2とが分離したサンプルの質量が、85質量%以上、90質量%未満である。
D(不可):全サンプル量に対し、基材1と基材2とが分離したサンプルの質量が、85%未満である。
<リサイクル性の評価>
(再生ポリオレフィンの製造)
積層体 100000部を2cm×2cmのサイズに裁断し、水洗及び脱水を行い、更に水分量が0.5%になるまで、温風乾燥した。上記で得られた積層体、Irganox1010(BASF社製、フェノール系酸化防止剤)、及びユーメックス1010(三洋化成工業社製、無水マレイン酸変性ポリプロピレン系相溶化剤)を二軸押出機(日本製鋼所製、スクリュー径:34mm、シリンダー内壁とスクリューとの最小間隙距離:0.4mm)に投入し、スクリュー回転数200rpm、230℃、押出流量20Kg/hで30秒にわたって溶融、混練した。
なお、積層体とIrganox1010の供給質量比は、積層体:Irganox1010=99.8:0.2となるように調整した。また、積層体とユーメックス1010の供給質量比は、積層体:ユーメックス1010=99.85:0.15となるように調整した。
その後、120メッシュのフィルターを使用し、押出装置の吐出部から押出した。押出直後における吐出部の圧力は2MPaであった。押出した樹脂組成物を直ぐにペレタイザーでカットし、冷水に浸水させて冷却した。このようにして、積層体からリサイクルされた再生ポリオレフィンであるペレットを得た。
なお、回転数1100RPMは、せん断速度に換算すると、4900sec-1である。
(フィルム異物評価)
上記再生ポリオレフィンの製造で得られた再生ポリオレフィンのペレットを、それぞれTダイ押出機を用いて、230℃で押出成形し、厚み50μmのフィルム状の成形体を作製した。得られたフィルム状の成形体について、0.5mあたりの目視(およそ100μm以上)で判別可能な異物の個数をカウントし、以下の基準で評価した。評価結果を表3及び4に示す。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A(優):異物の数が50個未満、
B(良):異物の数が50個以上100個未満、
C(可):異物の数が100個以上200個未満、
D(不良):異物の数が200個以上。
(フィルム焼け評価)
フィルム異物評価で得られたフィルム状の成形体について、目視で判別可能な焼けについて、以下の基準で評価した。評価結果を表3及び4に示す。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
A(優):焼け物なし(色の変化なし)
B(良):やや、焼け物がみられる(一部薄茶色に変色箇所がみられる)
C(可):焼け物がみられる(複数個所又は全体的に薄茶色に変色箇所がみられる)
D(不良):焼け物が多くみられる(黒色や茶色の異物や変色箇所がみられる)
<リサイクル性の総合評価>
上記フィルム異物評価、及びフィルム焼け評価について、評価の低い方を総合評価とした。評価結果を表3及び4に示す。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
酸化防止剤を使用しない以外は、上記(再生ポリオレフィンの製造)と同様の方法で、積層体A1を使用して、再生ポリオレフィンを製造した。得られた再生ポリオレフィンのフィルム異物評価はA、フィルム焼け評価はCであり、リサイクル性の総合評価はCであった。
相溶化剤を使用しない以外は、上記(再生ポリオレフィンの製造)と同様の方法で、積層体A1を使用して、再生ポリオレフィンを製造した。得られた再生ポリオレフィンのフィルム異物評価はC、フィルム焼け評価はAであり、リサイクル性の総合評価はCであった。
Figure 0007439884000003
Figure 0007439884000004
上記結果から、比較例1は、基材1がナイロンフィルムであり包装材のオレフィン含有量を満たさないため、フィルム異物、フィルム焼けが不良であった。比較例2は、印刷層がポリビニルアセタール系樹脂を含まないため、ラミネート強度が不良であった。比較例3は、バリア層がポリビニルアルコール系樹脂を含まないため、ラミネート強度、酸素バリア性、及び分離性が不良であった。なお、比較例2、及び3のラミネート強度については、インキ層とバリア層との密着性が低いため、インキ層とバリア層との層間剥離となり、ラミネート強度も低かった。
一方実施例は、バリア層がポリビニルアルコール系樹脂を含み、印刷層がポリビニルアセタール系樹脂を含み、包装材のオレフィン含有率が80質量%以上であったため、ラミネート強度、酸素バリア性、分離性、フィルム異物、フィルム焼けが良好であった。
特に実施例1、33,34及び35において、印刷層に含まれるポリビニルアセタール系樹脂が、重量平均分子量60000のポリビニルブチラール樹脂であり、また、ポリビニルアセタール系樹脂とウレタン樹脂との比率が20:80であり、バリア層に含まれるポリビニルアルコール系樹脂のエチレン含有率が10モル%であり、また無機フィラーがモンモリロナイトであり、バリア層100質量%中、無機フィラー含有量が25質量%であり、包装材中のオレフィン含有率が80質量%以上であるため、ラミネート強度、酸素バリア性、分離性、フィルム異物、フィルム焼けが特に優れていた。

Claims (14)

  1. 基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有する包装材であって、
    前記バリア層と前記印刷層とが接しており、
    前記包装材は、包装材の全質量中にポリオレフィン樹脂を80質量%以上含んでなり、
    前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂、及び無機層状フィラーを含み、
    前記無機層状フィラーが、モンモリロナイトであり、
    前記印刷層が、ポリビニルアセタール系樹脂を含む、包装材。
  2. 再生ポリオレフィン用である、請求項1に記載の包装材。
  3. ポリビニルアセタール系樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂である、請求項1又は2に記載の包装材。
  4. ポリビニルブチラール樹脂の重量平均分子量が、25000~200000である、請求項3に記載の包装材。
  5. ポリビニルアルコール系樹脂が、エチレン由来の構造単位を含み、かつ、前記エチレン由来の構造単位の含有量が、ポリビニルアルコール系樹脂全体の1~40モル%である、請求項1又は2に記載の包装材。
  6. 印刷層の塗工量が、0.1~12g/m である、請求項1又は2に記載の包装材。
  7. バリア層の塗工量が、0.4~5g/m である、請求項1又は2に記載の包装材。
  8. バリア層全質量中の無機層状フィラー含有量が、1~40質量%である、請求項1又は2に記載の包装材。
  9. 印刷層が、更に、ウレタン樹脂を含む、請求項1又は2に記載の包装材。
  10. ポリビニルブチラール樹脂とウレタン樹脂との比率が、1:99~85:15である、請求項9に記載の包装材。
  11. 無機層状フィラーのアスペクト比が、300~2000である、請求項1又は2に記載の包装材。
  12. ポリオレフィン樹脂が、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンである、請求項1又は2に記載の包装材。
  13. 基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有し、前記バリア層と前記印刷層とが接しており、かつ、ポリオレフィン樹脂を80質量%以上含む包装材の製造方法であって、
    ポリビニルアルコール樹脂、及びモンモリロナイトを含むバリアコート剤を印刷して、塗工量0.5~3g/mのバリア層を形成する工程と、
    ポリビニルブチラール樹脂を含む印刷インキを印刷して印刷層を形成する工程と、を含む、包装材の製造方法。
  14. 第一のスクリュー及び吐出部を具備した押出装置を用いて、包装材から再生ポリオレフィン樹脂を得る、再生ポリオレフィンの製造方法であって、
    前記包装材が、基材1、バリア層、印刷層、及び基材2を有し、かつ、ポリオレフィン樹脂を80質量%以上含み、
    前記バリア層が、ポリビニルアルコール系樹脂、及びモンモリロナイトを含み、
    前記印刷層が、ポリビニルアセタール樹脂を含み、
    前記第一のスクリューにより、前記包装材を加熱溶融及び混練して樹脂組成物を得る加熱溶融混練工程と、前記樹脂組成物を前記吐出部より押出す押出工程と、を含む、再生ポリオレフィンの製造方法。
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