JP7435909B1 - 電縫管およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

外管に電縫管を用いたとき、内管と外管の嵌合性を高めるために、1回の内面側の溶接ビード切削のみで外管内面側の切削痕の凸部高さを小さくし、かつ、優れた溶接部靭性を有する電縫管を提供する。電縫管は、その管の長手方向に沿って溶接部を有し、溶接部の肉厚分布の最大値が電縫管の平均肉厚の1.05倍以下であり、溶接部における溶接金属の、周方向における幅が、電縫管の全厚に亘って1μm以上800μm以下であり、溶接金属の幅の最小値に対する最大値の比(=最大値/最小値)が、1.0以上、2.5以下である。

Description

本開示は、電縫管およびその製造方法に関するものであって、特に、異なる金属材を内面と外面に重ねた二重管の外管に用いて好適な電縫管およびその製造方法に関する。
一般的に金属管は1種の金属材からなる単管が用いられているが、その用途に応じては、金属管の内面あるいは外面に機能性を持たせるために、異なる2種の金属材からなる二重管を用いることがある。
特に、鋼管内部に石油や天然ガスのような腐食性が高い生産流体を搬送し、かつ、金属管に高い強度や優れた靭性が求められる場合には、内管にNi基合金などの高耐食性合金を使用し、外管の素管に低炭素低合金鋼管を使用した二重管が用いられることが多い。
かような二重管については、種々の製造方法が知られているが、内管と外管を拡管などで機械的に嵌合させる方法が一例として挙げられる。かかる方法により得られる機械的嵌合管は、金属管の種類の組合せが多種多様に選択できると共に、長尺管の製造が容易であるため、現在、広く用いられている。
ところが、かかる機械的嵌合管は、内管と外管の嵌合が不十分であると、外管から内管が離脱して二重管として機能しなくなるという問題があった。
そのため、かかる機械的嵌合管は、内管と外管の高い嵌合性を確保するために、たとえば内管の拡管率あるいは外管の縮径率の管理を厳密に行う必要があった。
かかる問題に対し、機械的嵌合管の製造方法として種々の技術が開示されており、いずれも内管と外管の嵌合性を高める手法が提案されている。
例えば、特開昭58―41611号公報(特許文献1)では、テーパーダイスを用いる冷間引抜きを行い、外管の内側に内管を挿入した後、外管と内管の間隙が0.02mm以下になるよう縮径加工を行い、さらに、中拡げプラグによる拡径加工によって、内管の内径を拡大して外管と内管を嵌合させる手法が提案されている。
特開昭58―41611号公報
ここで、前記二重管の外管として電縫管を使用する場合においては、電縫溶接部に不可避的に生じる溶接ビードを切削する必要があるが、かかる切削に際し、特に内面側の切削痕の幅両端が肉厚方向へ凸状に***したいわゆる切削残存部という箇所ができる。
かかる切削残存部の凸高さが大きい場合、例え、前記特許文献1において提案された手法を用いたとしても、かかる凸状に***した切削残存部の周辺において、外管と内管とが密着しないという問題があった。
また、かかる問題は、仮に、電縫管の内面側における溶接ビードの切削を行う周方向の領域を拡大するようにビード切削刃の形状を変更して、前記切削残存部の凸高さを小さくしたとしても、かかるビード切削刃の形状では、溶接ビードの切削時の抵抗が増加するので、かかる切削時のびびり振動が大きくなってしまい、ビード切削部の切削痕の形状が安定しないので、やはり解決しない。
さらに、かかる凸状に***した切削残存部を、再度切削刃で切除することを試みたとしても、かかる残存部にあわせた切削刃の位置調整などの作業負荷が大き過ぎて、生産性が悪化してしまうという問題が残る。
本開示はかかる事情に鑑みてなされたものであり、外管に電縫管を用いたとき、内管と外管の嵌合性を高めるために、特に1回の内面側の溶接ビード切削のみで外管内面側の切削痕の凸部高さを小さくし、かつ、優れた溶接部靭性を有する電縫管をその有利な製造方法と共に提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するために、1回の外管内面側のビード切削のみで外管内面側の切削痕の凸部高さを小さくできる電縫溶接方法について鋭意研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。
まず、内面側の溶接ビード切削後に前記肉厚方向へ凸状に***した切削残存部は、溶接スタンドのスクイズロールによる圧接(アップセット)によって肉厚方向へ高温変形した接合部周辺の溶接金属部および溶接熱影響部(本開示ではこれら両者を併せて溶接部ともいう)である。
そこで、スクイズロールのアップセットを小さくすると、高温変形が小さくなるため、電縫溶接後の溶接ビードが小さくなって、一回の管内面側のビード切削でも、溶接ビードおよび高温変形した接合部周辺の熱影響部を、二重管の製造において悪影響が生じない状態にまで十分切除することができる。
ところが、かようにアップセットを小さくすると、溶接直前に接合面に存在していた酸化物を含んだ溶鋼を外部へ排出し切れないため、溶接部中の欠陥として存在し、結果として溶接部の品質、特に靭性を著しく悪化させる。
そこで、本発明者らが更に検討を重ねた結果、溶接前の接合端面の加熱をより局所的にすることで、接合部周辺の熱影響部を周方向で狭め、高温変形が起こる領域をより小さくすることによって、アップセットを前述のように小さくせずとも、溶接ビードを小さくできることを見出した。
本開示は、かかる知見に基づいて、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本開示の要旨は次のとおりである。
1.管の長手方向に沿って溶接部を有する電縫管であって、前記溶接部の肉厚分布の最大値が前記電縫管の平均肉厚の1.05倍以下であり、前記溶接部における溶接金属の、周方向における幅が、前記電縫管の全厚に亘って1μm以上800μm以下であり、前記溶接金属の幅の最小値に対する最大値の比(=最大値/最小値)が、1.0以上、2.5以下である電縫管。
2.前記溶接部の靭性値が、0℃で90J以上である前記1に記載の電縫管。
3.前記1または2に記載の電縫管を、オープン管の周方向の端面を接合面とし、かかる接合面に電縫溶接を施したのち、切削加工を施して製造する方法であって、前記接合面の管内表面および菅外表面のいずれの面も、ベベル角度を10°以上30°以下、肉厚方向におけるルート面を平均肉厚の50%以上80%以下のX形開先とし、さらに、前記電縫溶接に用いる溶接電流の周波数を500kHz以上5000kHz以下とする電縫管の製造方法。
4.電縫溶接を施したのち、1回の切削加工によって、かかる電縫溶接により形成した溶接部の管内表面における肉厚分布の最大値を電縫管の平均肉厚の1.05倍以下とする前記3に記載の電縫管の製造方法。
本開示によれば、電縫管の内面側の溶接ビードが小さく、かつ、溶接ビード切削後に切削残存部の凸高さが小さな、特に二重管の外管に用いて好適な電縫管及びその製造方法を提供することができる。
電縫管製造ラインの一例を示す模式図である。 従来の電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 従来の電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 従来の電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 本開示における電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 本開示における電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 本開示における電縫溶接前の鋼帯の端面の加熱状態を表す模式図である。 電縫管の溶接直後の溶接部周辺の切断面の模式図である。 電縫管の溶接ビード切削後の切断面の模式図である。
以下、図面を参照して、本開示に係る実施形態を説明する。
図1は、電縫管製造の溶接工程の一例を示す模式図である。具体的には、素材である鋼帯1を、例えばレベラー2により入側矯正した後、複数のロールからなるケージロール群3で中間成形してオープン管とし、次いで複数のロールからなるフィンパスロール群4で管形状に仕上げ成形する。その後、スクイズロール5で圧接しながら、鋼帯1の幅端面(オープン管の周方向の端面)に対し溶接機6を用いて電気抵抗溶接(以降、電縫溶接と記す)を施して、電縫管7とする。ここで、鋼帯1としては、炭素鋼の熱延鋼板を例とすることができる。
溶接機6による電縫溶接では、管形状に仕上げられた鋼帯1をインピーダーが備えられたワークコイルの中へ通板させながら、鋼帯1の幅端部を加熱する誘導加熱法、あるいは、鋼帯1の幅端部に直接コンタクトチップを接触させて鋼帯1の幅端部を加熱する直接通電法、の二つの方法が広く用いられている。
なお、前記いずれの方式においても、電縫溶接の際に用いられる高周波電流は、400kHz以下が主であり、各溶接機ではその製品管の用途に応じて周波数が選定されている。
従来の電縫溶接における鋼帯1の幅端面(オープン管の周方向の端面、以下、単に端面と記載する場合がある)の加熱過程は、図2Aから図2Cに示すように、最初、端面の角部に加熱が集中する表皮効果(表皮効果による加熱部61)が発現する(図2A参照)。その後、成形が進行して、幅両端面が互いに近づいてくると近接効果(近接効果による加熱部62)が発生し(図2B参照)、さらに近接効果が端面全体に加わる(電縫溶接直前の熱影響部63)という高周波加熱特有の加熱現象が発生する(図2C参照)。
一般的に、高周波加熱による発熱は、被加熱体のヒステリシス損および渦電流損によって発生するが、特に渦電流損の原因になる渦電流は、電流の周波数が増加すると被加熱体の表面に集中して流れる。この渦電流損による加熱が及ぶ被加熱体の表面からの深さを浸透深さといい、電流の周波数の平方根と反比例の関係にある。そのため、電縫溶接では高周波電流の周波数が増加すると、より接合部の端面に加熱が集中し、熱影響部がより狭幅になることが知られている。
そのため、電縫溶接では周波数が増加すると、加熱過程の下流にあるスクイズロール5(図1参照)のアップセットにおいて、端部の熱影響部の高温変形を局所的にできるため、溶接ビードが小さくできる。さらに端部の熱影響部の高温変形が局所的に集中することは、アップセットの圧接力を増加させて、酸化物を含む溶融金属の排出を促進させるため、溶接部品質が向上する。
一方、電流の周波数が増加すると加熱過程初期における表皮効果による角部の発熱がより局所的になるため、発熱した角部から端部の肉厚中央部への熱移動距離が増加する。そのため、近接効果が発現するまで肉厚中央部は十分加熱されず、端面の内外面側と肉厚中央部とでは温度差が顕著になる。そして、この大きくなった温度差は近接効果が発現しても解消されない。その結果、スクイズロール5(図1参照)入側における端面の溶融分布が不均一になって、アップセットによる酸化物の排出を阻害し、製品の溶接部の品質を悪化させる原因になる。
そこで、本発明者らは、加熱過程初期における表皮効果による角部の加熱集中を抑制するために、端面の角部を従来の矩形形状から、開先形状に変更することにより、角部の表皮効果による加熱集中を回避させて、端面の広い範囲へ発熱を発生させる加工を素材の鋼帯へ施すことを想起した。
図3Aから図3Cに、本開示における電縫溶接前の鋼帯1の端面10(端部)の加熱状態を表す一例を模式的に示す。なお、図3Aから図3Cでは、電縫管に加工されるオープン管の径方向における外側方向を方向R1で示し、内側方向を方向R2で示している。
上記の開先形状では、角部に渦電流が集中せずに表皮効果による発熱が端面10の肉厚中央部近傍まで拡大することが判明した。
端面10の角部を従来の矩形形状から開先形状に変更した場合においても、電縫溶接における端面10の加熱過程は従来の矩形形状の場合と同様である。すなわち、電縫溶接における端面10の加熱過程は、図3Aから図3Cに示すように、最初、端面10の角部に加熱が集中する表皮効果(表皮効果による加熱部61)が発現する(図3A参照)。その後、成形が進行して、幅両端面10,10が互いに近づいてくると近接効果(近接効果による加熱部62)が発生し(図3B参照)、さらに近接効果が端面10全体に加わる(電縫溶接直前の熱影響部63)という高周波加熱特有の加熱現象が発生する(図3C参照)。
しかし、端面10が開先形状である場合、上記加熱過程(図3Aから図3C参照)における初期の表皮効果による角部の発熱が(図3A参照)、端面10の角部の周囲へ分散されるようになる。換言すると、図3Aに示す鋼帯1のように端面10の角部を除去し、端面10を鈍角な角部の形成された開先形状になすと、かかる角部の発熱がより広い範囲に分散するようになる。
この作用によって鋼帯1の端面10の肉厚中央部(ルート面52の中央部)まで発熱範囲(表皮効果による加熱部61)が広がり、端面10の内外面(外側を向く面及び内側を向く面)である面50,50側と肉厚中央部(ルート面52の中央部)との温度差が縮小される。そして、近接効果が発現した場合(図3B参照)、端面10がほぼ均一な温度分布となる。
具体的には、前記開先形状のルート面52における鋼帯1の肉厚方向の幅の長さが鋼帯1の平均肉厚の50%以上80%以下のX形開先である。以下では、ルート面52における鋼帯1の肉厚方向の幅の長さのことを、単にルート面52の幅と称する。また、以下では、鋼帯1の肉厚方向と、鋼帯1が電縫管に形成された後の管壁の厚み方向とを包括して肉厚方向と称する。
ルート面52の幅が平均肉厚の50%未満の場合、電縫溶接における溶融する鋼帯1の端部の体積が過度に小さくなるため、アップセットにより酸化物を外部へ排出するために十分な溶融金属が得られない。一方、ルート面52の幅が平均肉厚の80%超の場合、開先形状である端面10の内外面である面50,50側の角部における表皮効果による加熱部61から、肉厚中央部までの熱移動距離が長いため、これらの表皮効果による加熱部61からの熱移動による加熱が肉厚中央部で十分になされない。前記開先形状のルート面52の幅は、好ましくは60%以上であり、好ましくは70%以下である。
なお、本開示における、電縫管の平均肉厚は溶接した後の電縫管の溶接部60(図4参照)の、電縫管の周方向(以下、単に周方向と記載する)における中央を基準に周方向へ±90°および180°の3点の管の肉厚の平均値を指す。
端面10並びに端面10に接続する管内表面および菅外表面に加工する開先の内外面である各面50ベベル角度は、いずれの面も10°以上30°以下である。
開先の内外面である面50のベベル角度が10°未満であると、接合面(端面10)の管内表面および菅外表面(内外面側)のエッジ部が直角、すなわち矩形形状とほぼ同じように、表皮効果による発熱がエッジ部に集中するため、端面10の管内外表面側と肉厚中央部との温度差が顕著になり、溶接部60(図4参照)の品質が悪化する。一方、開先のベベル角度が30°超の場合、ルート面52の幅の最小値を確保しても、開先加工により減肉された部位が、溶接後も残存するため、所望の溶接部60の形状が得られない。かかるベベル角度は、好ましくは15°以上であり、好ましくは25°以下である。
前記したX形開先(端面10)の形状は、管の内外面で対称形状である必要はなく、内面および外面のいずれにおいても、ルート面52の幅およびベベル角度を満たす開先形状あれば良い。
かかる開先(端面10)の加工は、オープン管にする前の鋼帯、あるいは、溶接前のオープン管のいずれかに、機械的に研削する方法や、テーパーロールにより成形する方法などがあるが、いずれの方法でも良い。
前記スクイズロール5によるアップセット量は、鋼帯1の板厚(公称厚)の20%以上60%以下が好ましい。かかるアップセット量は、管の外周長で管理を行う。
この工程では、加熱過程でオープン管の両幅端面上に生じた酸化物を含む溶融金属を管外部へと排出させる作用がある。そのため、アップセット量が平均肉厚の20%未満であると、溶接金属の排出が不十分であって、溶接部60(図4参照)の品質が悪化してしまうおそれがある。一方、アップセット量が平均肉厚の60%超であると、溶接部の近傍にある偏析部を含んだメタルフローは過度に急峻になって外部に露出する。かかる急峻な偏析部は割れの起点になるため、結果として、溶接部60に割れが発生しやすくなるおそれがある。
なお、上記アップセット量は、より好ましくは上記板厚の25%以上であり、より好ましくは55%以下である。また、さらに好ましくは35%以上であり、さらに好ましくは50%以下である。
図4に示すように、電縫溶接に電縫管の長手方向に沿って形成される溶接部60の断面は、溶接部60の周方向の中心から、溶接金属部64、溶接熱影響部65であって、さらに母材部66の順になる。
ここで、上記「溶接金属」とは、電縫溶接において、溶接時に溶融しその後凝固した金属を意味する。溶接金属は、例えば、鋼帯1が炭素鋼あるいは低合金鋼であれば、ナイタール腐食によって組織形態を視認できるようにすると、光学顕微鏡で白く観察される領域として特定できる。また、溶接部60において、溶接金属部64や溶接熱影響部65を含めて内外面へ***した部位を溶接ビード67という。
本開示において、溶接金属部64の周方向における幅(図4の幅W参照)は、電縫管の全厚に亘って(肉厚方向における全範囲にわたって)1μm以上800μm以下である。溶接金属部64の幅が1μm未満の場合、オープン管の両端面を接合するために十分な溶接金属が存在していないため、溶接部60に割れの問題が発生する。一方、溶接金属部64の幅が800μm超の場合、アップセットによる溶融金属の排出が不十分であるために溶接部60の品質が悪化する問題がある。好ましくは1.5μm以上であり、好ましくは500μm以下である。
電縫管の全厚に亘る溶接金属部64の幅は、一般に、内外面側が大きく肉厚中央の近傍が小さくなりやすい。このことはスクイズロール(図1参照)直前におけるオープン管の周方向の両端面の溶融状態が肉厚方向に不均一であることを示しており、不均一な分布が顕著であると、アップセットによって溶接金属部64が外部へ排出される際に、未融解の部位に溶接金属の流れが阻害されるため、溶接部60の品質が悪化する問題がある。
ここで、電縫管の全厚に亘る溶接金属部64の幅の最大値と最小値の比(=最大値/最小値)が1.0以上2.5以下であれば、アップセットにおいて、溶接金属は支障なく外部へ排出される。一方、かかる比が2.5超の場合、溶接部60の品質の悪化が顕著になる。
溶接ビード67を小さくするために、本開示では、溶接機6で使用する高周波電流の周波数を500kHz以上5000kHz以下とする。
かかる周波数が増加すると溶接熱影響部65の幅が狭くなり、溶接中の高温変形が局所的になる。よって、周波数が500kHz未満では既存の電縫管と同等の溶接ビード形状となるため、内面側のビード切削後の肉厚方向へ凸状に***した切削残存部68(図5参照)の凸高さに問題が残る。一方、周波数が5000kHz超であると、溶接の加熱過程における表皮効果がさらに局所的になるため、溶接効率が悪化し、加熱が不十分になるため、溶接部60の品質に問題が残る。
かかる高周波電流の周波数は、より安定したビードの切削残存部68(図5参照)の形状を得るために、好ましくは、800kHz以上、より好ましくは1000kHz以上である。一方、かかる高周波電流の周波数は、より優れた溶接部品質を確保するために加熱された端部の温度分布が均一性を保つために、好ましくは、3000kHz以下であり、より好ましくは2000kHz以下である。
なお、本開示では、電縫溶接前のオープン管の端面10(図3Aなど参照)をX形開先とし、さらに、溶接機6で使用する高周波電流の周波数を500kHz以上5000kHz以下とすることに特徴があるが、かかる条件で溶接を行うことで、初めて、上記の溶接金属部64の幅の最大値と最小値の比(=最大値/最小値)が1.0以上2.5以下を満足する。
溶接機6(図1参照)の下流側には、溶接ビード67を切削するためのビードカッターが備えられている。かかるビードカッターは、電縫管の内外面の溶接ビード67を切削するためのものである。ビードカッターのうち、電縫管の内面側のビードカッターの刃先の曲率半径は、管の内半径未満で設計されている。内面側のビードカッターの刃先の曲率半径は、以下に記載する凸状に***した切削残存部を小さくするため、極力、管の内半径に近づけることが好ましいが、切削時のびびり振動を考慮すると、管の内半径の5%以上60%以下の範囲とすることが好ましい。より好ましくは管の内半径の10%以上であり、より好ましくは管の内半径の30%以下である。
前記のようにビード切削を行った電縫管において、溶接部60の焼入れ組織に組織制御を行うために、溶接部60に対して焼入れ、焼き戻しの熱処理、あるいは、焼きならしの熱処理を行う場合があるが、いずれの手法にも捕らわれず、公知公用の方法を用いることができる。
かくして得られた電縫管の長手方向に直交する溶接金属部64の周辺の断面では、図5に示されるように、特に管の内面側では、切削前の溶接金属部64(図4参照)の周方向における両端近傍であった部分の肉厚方向に凸状に***した切削残存部68が見られる。この切削残存部68の***は溶接金属部64の中央から周方向に管の平均肉厚だけ離れた位置までの領域に亘って顕著になる傾向にある。なお、図5では、図3Aから図3Cと同様に、電縫管の径方向における外側方向を方向R1で示し、内側方向を方向R2で示している。電縫管の径方向は、肉厚方向と同じである。電縫管の内面側とは、方向R2の側のことである。
前記電縫管を二重管の外管として使用する場合、かかる切削残存部68の***が大きい、すなわち、該当する部位の肉厚が大きいと、この切削残存部68周辺において内管と密着せずに嵌合性が悪化する。
図5に示したように、1回の切削加工による切削残存部68の***部の、肉厚方向における最大高さになる部位の厚さが、溶接部60の肉厚分布の最大値となるが、かかる最大値は管の平均肉厚の1.05倍以下とする。かかる最大値が管の平均肉厚の1.05倍を超えると、嵌合性が悪く、二重管として機能しない。好ましくは、かかる最大値は管の平均肉厚の1.03倍以下である。一方、かかる最大値は管の平均肉厚と同じになることが好ましいが、工業的には1.02倍以上が好ましい。
なお、本開示において、1回の切削加工とは、1回の管内面側のビード切削のことであり、切削対象である溶接ビード67(図4参照)に対し、ビードカッターの刃先が、電縫管の長手方向に沿って繰り返すことなく1回だけなぞることを意味する。
以下、本開示の電縫管の成分組成について説明するが、電縫管に用いることのできるものであればこの限りではない。なお、成分組成の含有量を表す「%」は「質量%」を意味するものとする。
本開示において、鋼帯1(図1参照)の化学成分は、質量%で、C:0.02~0.10%、Si:0.05~0.30%、Mn:0.80~2.00%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Nb:0.010~0.100%、Ti:0.001~0.025%、Al:0.01~0.08%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有することが好ましい。
(C:0.02~0.10%)
Cは、電縫管の強度増加に大きく寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.02%以上のCを含有することが好ましい。一方、Cが0.10%を超える含有は、パーライト、マルテンサイト等の硬質相の生成を促進するため、靭性の低下を招くおそれがある。また、Cは0.10%を超えて多量に含有すると、ベイナイト相の強度(硬さ)を過剰に上昇させ、靭性を低下させるおそれがある。したがって、C含有量は0.02~0.10%の範囲とすることが好ましい。なお、C含有量は、より好ましくは0.03%以上とし、より好ましくは0.08%以下とする。また、さらに好ましくは0.04%以上とし、さらに好ましくは0.07%以下とする。
(Si:0.05~0.30%)
Siは、鋼中に固溶して鋼管の強度上昇に寄与するとともに、熱間圧延時のスケールオフ量の低下に寄与する元素である。このような効果を確保するためには、0.05%以上のSiを含有することが好ましい。なお、Siは、Mn酸化物とともに粘度の高い共晶酸化物を形成する。しかし、Si含有量が0.05%未満では、共晶酸化物中のMn濃度が相対的に高くなる。これにより共晶酸化物の融点が溶鋼温度を超え、酸化物が溶接部60(図4参照)に残存しやすくなり、溶接部60の靭性を低下させる。一方、Siは0.30%を超えて含有すると、赤スケールの形成が著しくなり鋼帯1(図1参照)の外観性状を悪化させるとともに、熱間圧延時の冷却ムラを生じさせ、鋼帯1の材質の均一性を低下させるおそれがある。また、Siは0.30%を超えて含有すると、共晶酸化物中のSi濃度が相対的に高くなる。これにより共晶酸化物の融点が溶鋼温度を超えるとともに、酸化物量が増加し、酸化物が溶接部60に残存しやすくなり、溶接部60の靭性を低下させるおそれがある。したがって、Siの含有量は0.05~0.30%の範囲とすることが好ましい。なお、Si含有量は、より好ましくは0.10%以上とし、より好ましくは0.25%以下とする。また、さらに好ましくは0.12%以上とし、さらに好ましくは0.24%以下とする。
(Mn:0.80~2.00%)
Mnは、鋼中に固溶し固溶強化により鋼管の強度増加に寄与する。これとともに、焼入れ性向上を介して変態強化により鋼管の強度増加、さらには靭性向上に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.80%以上のMnを含有することが好ましい。Mnは、Si酸化物とともに粘度の高い共晶酸化物を形成する。しかし、Mn含有量が0.80%未満では、共晶酸化物中のSi濃度が相対的に高くなる。これにより、酸化物の融点が溶鋼温度を超えるため酸化物が溶接部60(図4参照)に残存しやすくなり、溶接部60の靭性低下を招くおそれがある。一方、Mnが2.00%を超えて多量に含有されると、共晶酸化物中のMn濃度が相対的に高くなり共晶酸化物の融点が溶鋼温度を超える。これとともに、酸化物量が増加し、酸化物が溶接部60に残存しやすくなり、溶接部60の靭性を低下させるおそれがある。また、Mnが2.00%を超えて多量に含有されると、過度に焼入れ性が向上し、マルテンサイト相が形成されやすくなり、靭性が低下するおそれがある。したがって、Mn含有量は0.80~2.00%の範囲とすることが好ましい。なお、Mn含有量は、より好ましくは0.90%以上とし、より好ましくは1.80%以下とする。また、さらに好ましくは0.92%以上とし、さらに好ましくは1.78%以下とする。さらに一層好ましくは0.95%以上とする。
(P:0.030%以下)
Pは、粒界に偏析する傾向が強く、これにより靭性を低下させる。このため、できるだけ低減することが好ましいが、0.030%までは許容できる。したがって、P含有量は0.030%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.025%以下とし、さらに好ましくは0.015%以下とする。なお、Pの過剰な低減は精錬時間の長時間化を招き、製造コストの上昇を招くため、0.002%以上とすることが好ましい。
(S:0.0050%以下)
Sは、鋼中ではMnSを形成し、靭性を低下させる。このため、Sはできるだけ低減することが好ましいが、0.0050%までは許容できる。したがって、S含有量は0.0050%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.0040%以下とし、さらに好ましくは0.003%以下とする。なお、Sの過剰な低減は精錬時間の長時間化を招き、製造コストの上昇を招くため、0.002%以上とすることが望ましい。
(Nb:0.010~0.100%)
Nbは、鋼帯製造時の熱間圧延中にNb炭窒化物として微細に析出し、鋼帯1(図1参照)の強度増加に寄与する元素である。また、電縫管の溶接部60(図4参照)の熱処理時にオーステナイト粒の粒成長を抑制し、溶接部60の組織微細化に寄与する。このような効果を確保するためには、0.010%以上のNbを含有することが好ましい。一方、Nbは0.100%を超えて多量に含有すると、Nb炭窒化物の析出量が増大し、鋼帯靭性、鋼管の母材部靭性、および鋼管の溶接部靭性を低下させるおそれがある。したがって、Nb含有量は0.010~0.100%の範囲とすることが好ましい。なお、Nb含有量は、より好ましくは0.020%以上とし、より好ましくは0.080%以下とする。また、さらに好ましくは0.022%以上とし、さらに好ましくは0.078%以下とする。さらに一層好ましくは0.030%以上とする。
(Ti:0.001~0.025%)
Tiは、Nと結合しTiNを形成して、Nの悪影響を防止する作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.001%以上のTiを含有することが好ましい。一方、Tiが0.025%を超える多量の含有は、鉄の劈開面に沿って析出するTi炭窒化物量が増加し、鋼帯靭性、鋼管の母材部靭性、および鋼管の溶接部靭性を低下させるおそれがある。したがって、Ti含有量は0.001~0.025%の範囲とすることが好ましい。なお、Ti含有量は、より好ましくは0.005%以上とし、より好ましくは0.015%以下とする。また、さらに好ましくは0.007%以上とし、さらに好ましくは0.012%以下とする。
(Al:0.01~0.08%)
Alは、脱酸剤として作用する元素である。このような効果を確保するためには、0.01%以上のAlを含有することが好ましい。一方、Alが0.08%を超える含有は、Al酸化物の生成が著しくなる。特に溶接部60(図4参照)でAl酸化物が残存しやすく、溶接部靭性を低下させるおそれがある。したがって、Al含有量は0.01~0.08%の範囲とすることが好ましい。なお、Al含有量は、より好ましくは0.02%以上とし、より好ましくは0.07%以下とする。また、さらに好ましくは0.03%以上とし、さらに好ましくは0.05%以下とする。
本開示の電縫管の成分組成の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、O(酸素):0.0030%以下、N:0.0050%以下が許容できる。
以上の成分が基本の成分組成である。上記した元素で、本開示の電縫管は目的とする特性を得ることができる。また、本開示では、強度や靭性の更なる向上を目的として、上記の基本成分に加えて、必要に応じて以下の選択元素を含有することができる。
すなわち、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ca:0.0050%以下のうちから選んだ1種または2種以上である。
なかでも、Cu、Ni、Cr、Moはいずれも、焼入れ性を向上させる作用を有する元素であり、必要に応じて1種または2種以上を選択して含有できる。
Cuは、焼入れ性向上を介して、強度を増加させ、靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上のCuを含有することが望ましい。より好ましくは0.10%以上とする。一方、Cuは0.50%を超えて含有しても、上記した効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。したがって、Cuを含有する場合には、0.50%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.35%以下とする。
Niは、Cuと同様に、焼入れ性の向上を介して、強度を増加させ、靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上のNiを含有することが望ましい。より好ましくは0.08%以上とする。一方、Niは0.50%を超えて含有すると、鋳片(スラブ)加熱時にFeの粒界酸化が激しくなり、表面欠陥の発生を助長する。したがって、Niを含有する場合には、Ni含有量は0.50%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.35%以下である。
Crは、Cu、Niと同様に、焼入れ性の向上を介して、強度を増加させ、靭性を向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上のCrを含有することが望ましい。より好ましくは0.10%以上とする。一方、Crは0.50%を超えて含有すると、溶接部60(図4参照)でCr酸化物を形成し、溶接部60の靭性を著しく低下させる。したがって、Crを含有する場合には、0.50%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.30%以下である。
Moは、Cu、Ni、Crと同様に、焼入れ性の向上を介して、強度、靭性を著しく向上させる作用を有する元素である。このような効果を得るためには、0.05%以上のMoを含有することが望ましい。より好ましくは0.10%以上とする。一方、Moは0.50%を超えて含有すると、溶接部60(図4参照)の熱処理時に溶接部60に上記の硬質第二相が生成されやすくなり、溶接部60の靭性を低下させる。したがって、Moを含有する場合には、0.50%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.25%以下である。
(V:0.10%以下)
Vは、鋼中に固溶し固溶強化の作用がある。また、炭化物として析出することで析出強化する作用を有し、鋼帯の強度増加に寄与する元素である。このような効果を確保するためには、0.005%以上のVを含有することが望ましい。より好ましくは0.010%以上とする。一方、Vは0.10%を超えて含有しても、効果が飽和し、経済的に不利となる。したがって、Vを含有する場合には、0.10%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.085%以下とする。
(Ca:0.0050%以下)
Caは、MnS等の硫化物の形態制御に有効に寄与する元素であり、好ましくは0.0010%以上とする。一方、Caは0.0050%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となる。これとともに、Ca酸化物量が多くなり、特に溶接部60(図4参照)の靭性を低下させる。したがって、Caを含有する場合には、0.0050%以下にすることが好ましい。より好ましくは0.0035%以下とする。さらに好ましくは0.0030%以下とする。
以上、本開示によれば、二重管の外管に電縫管を用いたとき、内管と外管の嵌合性を高めるために、1回の管内面側の溶接ビード切削のみで外管内面側の切削痕の凸部高さを小さくし、かつ、優れた溶接部靭性を有する電縫管が得られる。
上述されていない電縫管にかかる製造方法の条件に関しては、いずれも常法に依ることができる。また、本開示の電縫管を外管とした場合の内管には、二重管の内管に通常用いられるものであればいずれも用いることができ、かかる二重管の製造方法も公知の方法に依ることができる。
以下に、本開示の更なる理解のために実施例を用いて説明する。なお、実施例は本開示を限定するものではない。
表1に示す組成の熱延鋼板を素材として、ロール成形によりオープン管へと成形を行い、次いで直接通電法により電縫溶接をおこなった。その時の各溶接条件および電縫管の断面寸法を表2に示す。
溶接前のオープン管の端面には、ロール成形前の鋼帯にエッジミーリングによってX形の開先加工を施している。電縫溶接後の溶接ビード切削において用いた切削刃の刃先形状は、外面側はフラット形状とし、内面側は内径の10%の曲率半径を曲面形状としたビードカッターの刃先を用い、管の長手方向に沿ってその内面を1回なぞる切削加工としてビード切削後の溶接部中央の肉厚が製品厚になるように切込み量を設定した。その後、熱処理やサイジング工程を経て電縫管を得た。
かくして得られた電縫管に対して、溶接部周辺にレーザー変位計を用いて周方向のラインスキャンを行い、溶接部周辺の内外面のプロファイルを測定した。これら結果を二次元座標空間に変換し、全データ点を通る円を最小二乗法などのフィッティングによって同定することで、各電縫管の外径寸法から管中心の座標を設定し、かかる管中心を通る直線が前記管内外面のラインスキャン結果と交差した点の距離である交点間距離を溶接部周辺の肉厚として算出した。なお、半直線上にラインスキャンの座標データが無い場合はその近くにある座標データの内挿入値を用いた。
かかる肉厚の算出を、前記溶接ビード切削において残った切削残存部に対し、切削残存部の中央位置を基準に、左右に0.1mmピッチで行って溶接部の肉厚分布を取得し、その肉厚分布の中で、最大の肉厚の値を抽出した。なお、管の平均肉厚は溶接部中央を基準に周方向へ±90°および180°の3点の管の肉厚をマイクロメータで測定し、その平均値とした。
溶接部の溶接金属の観察は、観察対象の溶接部にナイタール腐食を行い、光学顕微鏡(倍率:1000倍)を用いて撮像することによって行った。得られた光学顕微鏡像から、溶接金属部に電縫管の全肉厚に亘って見られる白色部を溶接金属とした。これらの溶接金属の幅は、画像データ上の画素数を長さに変換し、溶接金属の幅とした。かかる幅のデータから、溶接部全厚に亘る溶接金属の幅の最大値と最小値を抽出し、その最大値を最小値で除した数値を金属幅比として算出した。
また、溶接部の靭性は、溶接部の肉厚中央部から10mm四方のフルサイズのVノッチ試験片を採取し、得られたVノッチ試験片を用いて、ASTM A370の規定に準拠してシャルピー衝撃試験を実施し、0℃の吸収エネルギー(J)を求めた。試験の本数は5本とし、その平均値とした。
これらの結果を併せて表2に示した。
Figure 0007435909000001
Figure 0007435909000002
表2に記載した結果から、本実施例では、溶接部の中心から周方向に平均肉厚分だけ離れた位置の領域における肉厚分布の最大値が平均肉厚の1.05倍以下であり、溶接部の溶接金属の幅が、全厚に亘って1μm以上800μm以下とし、その溶接金属幅の最大値と最小値の比が1.0以上、2.5以下電縫管を得ることができる。
また、本実施例の溶接部の靭性値は、90J以上になり、特に、溶接部肉厚中央部近傍(肉厚中央から内面外面方向へ±0.5mmの範囲)における溶接金属の1mm長さ内に存在する酸化物の、接合面上の投影長さが占める割合が10%以下の場合、溶接部の靭性は、140J以上になった。
また、上記実施例の電縫管を外管として、肉厚4mmのインコネル625管を内管として、インコネル625管の内側から内圧50MPaの拡管工程を経て二重管とした。
かかる外管の溶接部近傍の二重管の嵌合界面において目視にて0.1mm超の間隙の有無を目視で確認した。確認の結果、かかる間隙が0.1mm以下であれば合格とした。
いずれの発明例の電縫管を外管としても、かかる間隙が0.1mm以下であって、上記の条件では内管から外管が離脱することはないという良好な二重管となることが分かった。
以上のようにして、電縫管の内面側の溶接ビードが小さく、かつ、溶接ビード切削後に切削残存部の凸高さが小さな、特に二重管の外管に用いて好適な電縫管及びその製造方法を提供することができる。
1 鋼帯
10 端面
2 レベラー
3 ケージロール群
4 フィンパスロール群
5 スクイズロール
6 溶接機
7 電縫管
50 面
51 ベベル角
52 ルート面
60 溶接部
61 表皮効果による加熱部
62 近接効果による加熱部
63 電縫溶接直前の熱影響部
64 溶接金属部
65 溶接熱影響部
66 母材部
67 溶接ビード
68 切削残存部
69 ***部最大高さ
W 幅

Claims (5)

  1. 管の長手方向に沿って溶接部を有する電縫管であって、
    前記溶接部の肉厚分布の最大値が前記電縫管の平均肉厚の1.05倍以下であり、
    前記溶接部における溶接金属の、周方向における幅が、前記電縫管の全厚に亘って1μm以上800μm以下であり、
    前記溶接金属の幅の最小値に対する最大値の比(=最大値/最小値)が、1.0以上、2.5以下であり、
    質量%で、C:0.02~0.10%、Si:0.05~0.30%、Mn:0.80~2.00%、P:0.030%以下、S:0.0050%以下、Nb:0.010~0.100%、Ti:0.001~0.025%、Al:0.01~0.08%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる成分組成を有し、
    単管である、電縫管。
  2. 前記成分組成が、さらに、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、Cr:0.50%以下、Mo:0.50%以下、V:0.10%以下、Ca:0.0050%以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有する、請求項1に記載の電縫管。
  3. 前記溶接部の靭性値が、0℃で90J以上である請求項1または2に記載の電縫管。
  4. 請求項1または2に記載の電縫管を、オープン管の周方向の端面を接合面とし、かかる接合面に電縫溶接を施したのち、切削加工を施して製造する方法であって、
    前記接合面の管内表面および菅外表面のいずれの面も、ベベル角度を10°以上30°以下、肉厚方向におけるルート面の幅を平均肉厚の50%以上80%以下のX形開先とし、
    さらに、前記電縫溶接に用いる溶接電流の周波数を500kHz以上5000kHz以下とする電縫管の製造方法。
  5. 電縫溶接を施したのち、1回の切削加工によって、かかる電縫溶接により形成した溶接部の管内表面における肉厚分布の最大値を電縫管の平均肉厚の1.05倍以下とする請求項に記載の電縫管の製造方法。
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