以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10の構造物1に対する組み込み態様について説明する。図1は、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10の構造物1に対する組み込み態様を示す側面図である。
図1に示すように、柱2及び梁3により構成される構造物1(柱2及び梁3で構成される建物)には、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の空間において対向する位置の角部に一対のガセットプレート4が配設される。エネルギー吸収装置10は、それら一対のガセットプレート4の間(構造物1の2点間)に組み込まれる。
地震等により柱2及び梁3が変位される場合には、その変位により生じる力をエネルギー吸収装置10の軸力方向(図2における左右方向(矢印L-R方向))に作用させる。これにより、柱2及び梁3が許容量を超えて変位することを抑制できる。よって、構造物1が崩壊することを抑制できる。
なお、エネルギー吸収装置10は、後述する第1の基材11及び第2の基材21の一端ずつが一対のガセットプレート4のそれぞれにボルト(図示せず)により締結される。
次いで、図2及び図3を参照して、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10について説明する。図2(a)は、拘束材13の一部を断面視して示したエネルギー吸収装置10の斜視側面図であり、図2(b)は、エネルギー吸収装置10の側面図であり、図3(a)は、図2(b)のIIIa-IIIa線におけるエネルギー吸収装置10の断面図であり、図3(b)は、図2(b)のIIIb-IIIb線におけるエネルギー吸収装置10の断面図である。
なお、図3(a)及び図3(b)では、後述する第1の基材11、第2の基材21、第1の中間材12、第2の中間材22、及び、拘束材13を溶接した溶接痕がYの符号を付して図示される。
また、以下の説明では、図2(b)に示す状態のエネルギー吸収装置10に対して、紙面奥側を後方側(矢印B方向側)として、紙面手前側を前方側(矢印F方向側)として、紙面上側を上方側(矢印U方向側)として、紙面下側を下方側(矢印D方向側)として、紙面右側を右方側(矢印R方向側)として、紙面左側を左方側(矢印L方向側)してそれぞれ説明する。なお、構造物1(図1参照)に対しては、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の平面に対して、前後方向(矢印F-B方向)を直交させた向きでエネルギー吸収装置10が配置される。
図2及び図3に示すように、エネルギー吸収装置10は、左右方向(矢印L-R方向)に長い矩形の板状に形成される第1の基材11と、その第1の基材11と左右方向に所定の距離を離して配設されると共に左右方向に長い矩形の板状に形成される第2の基材21と、第1の基材11の上下方向(矢印U-D方向)両側のそれぞれに複数枚(第1実施形態では3枚)重なって配設される第1の中間材12と、第2の基材21の上下方向両側のそれぞれに第1の中間材12と同一の枚数重なって配設される第2の中間材22と、それら第1の基材11、第2の基材21、第1の中間材12、及び、第2の中間材22を取り囲んで配設される角筒状の拘束材13と、を主に備えて形成される。
なお、第1の基材11及び第1の中間材12と、第2の基材21及び第2の中間材22とは、左右方向(矢印L-R方向)に対し直交し、エネルギー吸収装置10の左右方向略中間に位置する平面に対して、左右で対称な形状に形成される。そのため、以下の説明では、左側(矢印L方向側)に配設される第1の基材11及び第1の中間材12を主として説明し、右側(矢印R方向側)に配設される第2の基材21及び第2の中間材22についての詳細な説明は省略する。
第1の基材11は、鉄板から形成され、板厚方向(厚み方向)を前後方向(矢印F-B方向)に向けると共に、幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。また
、第1の基材11は、前後方向においてエネルギー吸収装置10の略中間位置に配設される。
なお、第1の基材11は、構造物1(図1参照)に一対配置されるうちの一方のガセットプレート4に左側(矢印L方向側)が連結可能に構成され、そのガセットプレート4との連結部分が幅方向に大きくされる。これにより、柱2及び梁3が地震等により変位される場合に、その変位により生じる際の力をエネルギー吸収装置10の軸力方向(矢印L-R方向)に伝えやすくできる。
第1の中間材12は、第1の基材11と同様の材料の鉄板から形成され、板厚方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けると共に幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。また、第1の中間材12は、ガセットプレート4との連結部分を除いた部分における第1の基材11と前後方向に重なる位置に配設される。
なお、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10では、第1の基材11の板厚方向(厚み方向)における両側のそれぞれに3枚ずつ第1の中間材12が配設される。以下の説明では、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材12から順に12a~12c(第2の中間材22では、第2の基材21に近い側に配設される第2の中間材22から順に22a~22c)の符号を付して説明する。
拘束材13は、第1の基材11及び第1の中間材12a~12cの幅方向における両側に一対配置される板状の第1の拘束材13aと、前後方向(矢印F-B方向)において一対の第1の中間材12cの外側に一対配置される板状の第2の拘束材13bとを備え、それら一対の第1の拘束材13aと一対の第2の拘束材13bとを角筒状に組み合わせて形成される。
第1の拘束材13aと第2の拘束材13bとは、それぞれ第1の基材11と同様の材料の鉄板から形成される。また、第1の拘束材13aは、板厚方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けると共に、幅方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けた状態で配設される。一方、第2の拘束材13bは、板厚方向を前後方向に向けると共に、幅方向を上下方向に向けた状態で配設される。
また、第2の拘束材13bは、幅方向の両端が一対の第1の拘束材13aよりも外側に突出する寸法に形成され、第1の拘束材13aは、一対の第2の拘束材13bの対向間に配設される。
これにより、エネルギー吸収装置10を構造物1(図1参照)に配設した際に、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の平面に対して直交する方向に第1の拘束材13aの幅方向の両端が突出することを抑制できる。
なお、第1の基材11と、第1の中間材12と、第1の拘束材13aおよび第2の拘束材13bとは、同一の材料の鉄板で形成される。例えば、SS材、SN材、又は、低降伏点鋼材の鉄板から形成される。なお、第1の基材11と、第1の中間材と、第1の拘束材13aおよび第2の拘束材13bは、SS材、SN材、又は、低降伏点鋼材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
次いで、エネルギー吸収装置10の製造方法について説明する。エネルギー吸収装置10の製造方法は、初めに、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)両側に第1の中間材12a~12cを重ねて溶接し、第1の基材11と第1の中間材12a~12cとを一体の構造体とする。
なお、第1の基材11と第1の中間材12aとは、エネルギー吸収装置10の左右方向(矢印L-R方向)における中央側が幅方向の両端に亘って溶接され、第1の中間材12aと第1の中間材12bとは、エネルギー吸収装置10の左側(矢印L方向側)が幅方向の両端に亘って溶接され、第1の中間材12bと第1の中間材12cとは、エネルギー吸収装置10の左右方向における中央側が幅方向の両端に亘って溶接される。
次に、第2の基材21の前後方向(矢印F-B方向)両側に第2の中間材22a~22cを重ねて溶接し、第2の基材21と第2の中間材22a~22cとを一体の構造体とする。なお、上記したように、第1の基材11及び第1の中間材12a~12と、第2の基材21及び第2の中間材22a~22cとは、左右で対称な形状に形成される。従って、一体となった第1の基材11と第1の中間材12a~12cとの構造体を二組用意することで、第1の基材11及び第1の中間材12a~12cの構造体と、第2の基材21及び第2の中間材22a~22cの構造体とを形成できる。
次いで、第1の基材11及び第1の中間材12a~12cの構造体と、第2の基材21及び第2の中間材22a~22cの構造体とを、左右方向(矢印L-R方向)に所定の距離を離した状態で配置すると共に、その周囲に一対の第1の拘束材13a及び一対の第2の拘束材13bを配置する。
そして、第2の拘束材13bと第1の中間材12c及び第2の中間材22cとを溶接すると共に、第1の拘束材13aと第2の拘束材13bとを溶接することで、エネルギー吸収装置10を製造できる。
なお、第1の中間材12cと第2の拘束材13bとは、エネルギー吸収装置10の左側(矢印L方向側)が幅方向の両端に亘って溶接される。また、一対の第1の拘束材13aと一対の第2の拘束材13bとは、第1の拘束材13aの幅方向両端と一対の第2の拘束材13bの対向面との当接部分が、左右方向(矢印L-R方向)の両端に亘って一対の第1の拘束材13aの対向間の外側から溶接される。
上記説明したエネルギー吸収装置10の製造方法は、一例であり、上記とは異なる順に製造するものであっても良い。例えば、上記の説明では、第1の基材11に第1の中間材12a~12cを配置した後、それら第1の基材11及び第1の中間材12a~12cを溶接する場合について説明したが、第1の中間材12a~12cを一枚ずつ重ねて溶接することで、第1の基材11と第1の中間材12a~12cを一体の構造体としても良い。
以上のように製造されるエネルギー吸収装置10によれば、第1の基材11と第1の中間材12a~12cと拘束材13(第2の拘束材13b)とが、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に連結され、左右方向に離間して配設される第1の基材11と第2の基材21とが、第1の中間材12a~12cと、拘束材13と、第2の中間材22a~22cとを介して接続される。よって、エネルギー吸収装置10の一端から他端までの実質の部材長さを、第1の中間材12a~12cと、拘束材13と、第2の中間材22a~22cとの分、エネルギー吸収装置10の一端から他端までの見た目の長さよりも長くできる。
従って、エネルギー吸収装置10の一端から他端までを1本の鋼材で形成するものに比べて、第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cの分、エネルギー吸収装置10の弾性変形可能な長さを長くできる。よって、エネルギー吸収装置10の弾性変形量を確保でき、エネルギー吸収装置10の耐力を向上できる。
また、エネルギー吸収装置10によれば、第1の基材11及び拘束材13が、2枚の第1の中間材12a~12cと同一の材料から形成され、横断面の断面積が同一に形成されるので、エネルギー吸収装置10に軸力が作用した際には、第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cだけでなく、第1の基材11及び拘束材13を第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cと同様に弾性変形させることができる。従って、エネルギー吸収装置10の弾性変形量を確保でき、エネルギー吸収装置10の耐力を向上できる。
さらに、エネルギー吸収装置10は、第1の基材11及び第2の基材21と、第1の中間材12a~12及び第2の中間材22a~22cと、拘束材13とが前後方向(矢印F-B方向)に隣り合わされた状態で配設される。よって、第1の基材11及び第2の基材21と、第1の中間材12a~12及び第2の中間材22a~22cと、拘束材13とのそれぞれを溶接して接合する際には、それぞれの間に隙間がない状態で溶接できるので、各部材の位置を計測しながら溶接したり、治具(スペーサー等)を間に挟む必要がない。そのため、エネルギー吸収装置10の製造を簡易にできる。
なお、エネルギー吸収装置10は、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと拘束材13(第2の拘束材13b)とのそれぞれが上下方向(矢印U-D方向)に重なる領域の左右方向(矢印L-R方向)の長さを変更することで、エネルギー吸収装置10の耐力を調整できる。
さらに、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13(第2の拘束材13b)とが、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に連結されるので、エネルギー吸収装置10に軸力が作用する場合に、折り返した部分を境にして隣り合う部材に圧縮力と引っ張り力とを交互に作用させられる。この場合、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13(第2の拘束材13b)とのそれぞれが隣り合わされた状態(即ち、間に隙間がない状態)で配設されるため、引っ張り力が作用する第1の基材11、第1の中間材12a~12c、又は、拘束材13で、圧縮力が作用する第1の基材11、第1の中間材12a~12c、又は、拘束材13が座屈することを規制できる。
なお、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13(第1の拘束材13a及び第2の拘束材13b)とを溶接する際の溶接材料は、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13(第1の拘束材13a及び第2の拘束材13b)の鋼材と同質の金属材料に設定される。これにより、エネルギー吸収装置10に軸力が作用する場合に、その溶接部分における伸縮が不均一となることを抑制できる。
また、第1の中間材12a~12cには、第1の基材11から前後方向(矢印F-B方向)に離れる側に配置される第1の中間材12a~12cに溶接時の開先が形成される。これにより、第1の中間材12a~12cのそれぞれに形成される開先を1箇所とできる。従って、複数の開先を形成する必要がないので、第1の中間材12a~12cの開先の形成を簡易にできる。
さらに、開先を含めた第1の中間材12a~12cのそれぞれの形状を同一にできる。従って、エネルギー吸収装置10を製造する際に第1の中間材12a~12cのそれぞれをどの位置にでも使用できる。その結果、エネルギー吸収装置10の製造作業を簡易にできる。
次いで、エネルギー吸収装置10における第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13との配置について図3を参照して詳しく説明する。
図3に示すように、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cとは、幅方向における寸法が同一に設定されると共に、幅方向におけるそれぞれの両端が一対の第1の拘束材13aのそれぞれに当接した状態で配設される。なお、第1実施形態では、一対の第1の拘束材13aの対向間の距離が、一対の第2の拘束材13bの対向間の距離よりも大きく形成される。
これにより、エネルギー吸収装置10に軸力が作用してエネルギー吸収装置10が伸縮する場合に、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cとが、第1の拘束材13aに対して幅方向に位置がずれることを抑制できる。即ち、第1の基材11と第1の中間材12a~12cとの幅方向の変位を第1の拘束材13aにより拘束できる。
ここで、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cとが幅方向に位置ずれするものである場合には、軸力方向(矢印L-R方向)に対して第1の基材11及び第1の中間材12a~12cの長手方向が異なる方向に向いて配置されることとなる。そのため、第1の基材11及び第1の中間材12a~12cに軸力を分散しにくくなる。従って、エネルギー吸収装置10が座屈しやすくなる。
これに対し、本実施形態では、第1の基材11と第1の中間材12a~12cとの幅方向の変位を第1の拘束材13aにより拘束するので、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13とに均一に軸力を分散しやすくできる。よって、エネルギー吸収装置10を均一に伸縮させやすくできる。その結果、エネルギー吸収装置10が座屈することを抑制でき、構造物1(図1参照)の耐震性を向上できる。
また、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第2の拘束材13bとは、前後方向(矢印F-B方向)において隣り合う位置に配置される部材同士が当接した状態で配置される。
ここで、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第2の拘束材13bとが隙間を空けて配設される場合には、それらを接合する接合部(蛇腹状に折り返す部分)を前後方向(矢印F-B方向)に大きくする必要がある。
例えば、大きい鋼管の内側に小さい鋼管を配置し連結してエネルギー吸収装置10を形成するものでは、鋼管が既製品であるため既製の板厚および寸法に規定される。そのため、内側に配設される鋼管と、外側に配設される鋼管との間に隙間が形成される。よって、接合部を接合するための部材が別途必要となる。
また、内側に配設される鋼管と、外側に配設される鋼管との間に隙間があるので、エネルギー吸収装置10に軸力が作用してそれぞれの鋼管に圧縮力と引っ張り力とが作用する際に、接合部に作用する曲げモーメントが大きくなる。そのため、接合部の板を大型化し、鋼管を補強する必要がある。
さらに、内側に配設される鋼管と、外側に配設される鋼管との間に隙間があるので、各鋼管が伸縮した際には、隣り合う鋼管に衝突して衝突音が発生したり、隙間の分、圧縮される鋼管が座屈しやすいという問題もある。
これに対し、本実施形態では、上述したように、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第2の拘束材13bとが、前後方向(矢印F-B方向)方向に当接した状態で配設されるので、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)に作用する曲げモーメントを小さくでき、接合部に別の部材を設ける必要がなく(即ち、溶接材のみで接合でき)、接合部を小型化できる。
さらに、各接合部に作用する曲げモーメントを小さくできるので、その曲げモーメントにより各接合部が引っ張られ、前後方向(矢印F-B方向)に広がろうとする場合には、第2の拘束材13bよりも薄い板厚で形成される第2の拘束材13bにより、第1の中間材12a~12cの各接合部が前後方向に広がることを抑制できる。即ち、第2の拘束材13bの剛性を高めることなく、第1の中間材12a~12cの各接合部の前後方向における変位を第2の拘束材13bにより拘束できる。
また、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第2の拘束材13bとが、前後方向(矢印F-B方向)方向に当接した状態で配設されるので、エネルギー吸収装置10に軸力が作用した際に衝突音が発生することを抑制できる。
さらに、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第2の拘束材13bとが、前後方向(矢印F-B方向)方向に当接した状態で配設され、隙間がないので、第1の基材11、第1の中間材12a~12c、又は、第2の拘束材13bが圧縮変形される際に座屈することを抑制できる。
次に、エネルギー吸収装置10の横断面(上下方向(矢印U-D)および前後方向(矢印F-B方向)と平行な平面で切断した断面)における第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13との各断面積について説明する。
第1の基材11の板厚は、第1の中間材12a~12cの板厚の2倍に設定され、第1の基材11の断面積は、第1の中間材12a~12cの2倍に設定される。即ち、第1の基材11の断面積は、2枚の第1の中間材12a~12cの断面積と略同一に設定される。
ここで、上記したように、エネルギー吸収装置10に軸力が作用すると、第1の中間材12a~12cには、第1の基材11を基点に圧縮力と引っ張り力とが交互に作用される。即ち、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)の両側に配設される一対の第1の中間材12aと、一対の第1の中間材12bと、一対の第1の中間材12cとに、軸力が分散される。
この場合、上記したように、第1の基材11の断面積と、2枚の第1の中間材12a~12cの断面積とが略同一に設定されるので、第1の基材11と、一対の第1の中間材12aと、一対の第1の中間材12bと、一対の第1の中間材12cとのそれぞれに軸力を均等に分散させることができる。
また、拘束材13は、一対の第1の拘束材13aと一対の第2の拘束材13bとを合わせた断面積が第1の基材11の断面積と略同一に設定される。これにより、エネルギー吸収装置10に軸力が作用した場合には、拘束材13と、第1の基材11と、一対の第1の中間材12aと、一対の第1の中間材12bと、一対の第1の中間材12cとに均等に軸力を分散させることができる。その結果、本実施形態では、軸力に対するエネルギー吸収装置10の伸縮量の計算を簡易にできる。
さらに、第1の中間材12a~12cの各断面積は、それぞれ略同一に設定されるので、それぞれの第1の中間材12a~12cに均等に軸力を作用させることができる。そのため、第1の中間材12a~12cの枚数を変更した場合における軸力に対するエネルギー吸収装置10の伸縮量の計算を簡易にできる。
なお、第1の基材11と、2枚(一対)の第1の中間材12a~12cと、拘束材13との各断面積が「略同一」とは、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、第1の拘束材13aと、第2の拘束材13bとのそれぞれの母材となる鋼材が形成された際の寸法公差を考慮した±1%の範囲内で同一にされることである。その範囲内であれば、拘束材13と、第1の基材11と、一対の第1の中間材12aと、一対の第1の中間材12bと、一対の第1の中間材12cとに均等に軸力を分散させることができ、軸力に対するエネルギー吸収装置10の伸縮量の計算値において安全率の範囲内にエネルギー吸収装置10の実際の伸縮量を収めることができる。
また、第1の基材11と第2の基材21とは、左右方向に所定の距離を離して配設される。これにより、第1の基材11及び第1の中間材12a~12cの右側(矢印R方向側)及び第2の基材21及び第2の中間材22a~22cの左側(矢印L方向側)に所定の空間が形成される。
よって、エネルギー吸収装置10に軸力が作用して第1の基材11と第2の基材21とが互いに近づく場合に、第1の基材11と第2の基材21とが衝突することを抑制できる。従って、エネルギー吸収装置10の軸力が一部に集中して作用することを抑制できる。その結果、エネルギー吸収装置10の伸縮が不均一となることを抑制できる。
なお、本実施形態では、上記したように、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13(第1の拘束材13a及び第2の拘束材13b)とのそれぞれが、板状の部材からエネルギー吸収装置10が形成される。そのため、エネルギー吸収装置10が鋼管から形成される場合に比べて、板厚の変更を容易にできる。
即ち、一般鋼材の鉄板と鋼管とでは、鉄板の既製品の方が鋼管の既製品に比べて、板厚の選択肢が多く用意される上に、板厚の選択幅も広く用意される。従って、鉄板では、鋼管に比べて選択肢が絞られにくいので、板厚の変更を容易にできる。その結果、エネルギー吸収装置10の設計を簡易にできる。
また、既製品の鋼管では、板厚および外径が規定される。そのため、鋼管から形成されるエネルギー吸収装置では、想定されるエネルギーに対し必要なエネルギー吸収量とするために鋼管の板厚を変更した場合に、鋼管の外径まで変更されてしまう。よって、鋼管の板厚を変更した場合における鋼管の横断面の断面積の変化量が大きく、エネルギー吸収装置10の耐力や、弾性変形量等の変更の度合いが大きくなる。従って、設計時の強度計算が複雑になりやすい。
これに対し、本実施形態では、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13とのそれぞれが、板状の部材からエネルギー吸収装置10が形成されるので、第1の基材11と、第1の中間材12a~12cと、拘束材13とのそれぞれの板厚を変更して横断面の断面積を変更できるので、板厚を変更した際のエネルギー吸収装置10の耐力や、弾性変形量等の変更の度合いが大きくなることを抑制できる。従って、エネルギー吸収装置10の設計時の強度計算を簡易にできる。
また、本実施形態では、拘束材13も4枚の鉄板から形成されるので、第1の中間材12a~12cの板厚を変更した際に、拘束材13の板厚および幅を変更して、第1の中間材12a~12cと拘束材13とを隙間なく配置しやすくできると共に、2枚の第1の中間材12a~12cの横断面の断面積と拘束材13の横断面の断面積とを同一にしやすくできる。その結果、エネルギー吸収装置10の設計を簡易にできる。
次いで、図4を参照して、第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210について説明する。なお、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10と第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210とは、基本的には第1の中間材12及び第2の中間材22の枚数が異なるだけであるので、以下の説明では、第1実施形態と同様の符号を付して説明する。
図4(a)は、拘束材13の一部を断面視して示した第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210の斜視側面図であり、図4(b)は、エネルギー吸収装置210の断面図であり、図2(b)のIIIb-IIIb線におけるエネルギー吸収装置10の断面に対応する。
図4に示すように、第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210は、第1の中間材12及び第2の中間材22が第1の基材11及び第2の基材21の両側にそれぞれ1枚ずつ配設され、左右方向(矢印L-R方向)に所定の距離を離した位置に配置される第1の基材11と第2の基材21とが、第1の中間材12、拘束材13(第2の拘束材13b)、第2の中間材22を介して接続される。
これにより、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10と同様に、第1の基材11と第1の中間材12と拘束材13(第2の拘束材13b)とを、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に連結できる。よって、エネルギー吸収装置10の一端から他端までの実質の部材長さを、第1の中間材12と、拘束材13と、第2の中間材22との分、エネルギー吸収装置210の一端から他端までの見た目の長さよりも長くできる。よって、エネルギー吸収装置210の弾性変形量を確保できる。また、それぞれを隣り合わせた状態(即ち、間に隙間がない状態)とされるので、引っ張り力が作用する第1の基材11、第1の中間材12、又は、拘束材13で、圧縮力が作用する第1の基材11、第1の中間材12、又は、拘束材13が座屈することを規制できる。その結果、軸力に対するエネルギー吸収装置10の耐力を向上でき、構造物1(図1参照)の耐震性を向上できる。
即ち、エネルギー吸収装置10,210の第1の中間材12及び第2の中間材22の枚数は、第1の基材11及び第2の基材21と、第1の中間材12及び第2の中間材22と、第2の拘束材13bとを蛇腹状に連結可能となる奇数枚であれば他の枚数(例えば、5枚や7枚)に設定できる。従って、エネルギー吸収装置10,210の耐力の必要量に応じて、第1の中間材12及び第2の中間材22の枚数を変更するだけで、エネルギー吸収装置10,210の耐力を変更できる。
また、第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210では、左右方向(矢印L-R方向)における拘束材13の両端に、SS材やSN材の鉄板から形成される第1抑制部材215が配設される。第1抑制部材215は、エネルギー吸収装置210に軸力が作用した際に第1の中間材12から拘束材13に伝わる力で拘束材13(第2の拘束材13b)が撓むことを抑制する部材であり、拘束材13の外形よりも大きい外形の鉄板から形成され、拘束材13および補強板218の左側(矢印L方向側)端部が溶接される。なお、第1抑制部材215は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
さらに、第1抑制部材215は、第1の基材11を挿通可能な挿通孔215aを有し、その挿通孔215aに第1の基材11を挿通した状態で配設される。従って、エネルギー吸収装置210に軸力が作用する場合には、第1の基材11から第1抑制部材215に軸力が直接伝わることを抑制できる。
拘束材13の一方側(矢印L方向側)の前後方向(矢印F-B方向)両側の側面には、SS材やSN材の鉄板から形成される補強板218が配設される。補強板218は、エネルギー吸収装置210に軸力が作用した際に第1の中間材12から拘束材13に伝わる力で拘束材13(第2の拘束材13b)が撓まないように、拘束材13の一部の横断面の断面積を大きくして拘束材13(第2の拘束材13b)を補強する部材であり、前後方向において第1の中間材12の一方側と重なる位置に配設され、拘束材13及び第1抑制部材215に溶接される。
第2実施形態におけるエネルギー吸収装置210では、補強板218が拘束材13と同一の材料から形成されると共に、第2の拘束材13bの一方側が第1の中間材12と同様の厚みを有するように補強板218の厚みが設定される。これにより、第1の中間材12から第2の拘束材13bに力を伝達した際に、第2の拘束材13bが撓むことを抑制しやすくできる。なお、補強板218は、SS材やSN材に限られるものではなく、拘束材13を補強できれば、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
次いで、図5~7を参照して、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310について説明する。上記第1実施形態では、エネルギー吸収装置10の左右方向(矢印L-R方向)の両側に第1の中間材12、及び、第2の中間材22が蛇腹状に連結される場合について説明したが、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、左右方向(矢印L-R方向)の片側のみに第1の中間材312が蛇腹状に連結される場合について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図5は、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310の斜視側面図であり、図6(a)は、エネルギー吸収装置310の側面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb-VIb線におけるエネルギー吸収装置310の断面図であり、図7は、図6(a)のVII-VII線におけるエネルギー吸収装置310の断面図である。
なお、図5では、拘束材313の一部が断面視して図示されると共に、エネルギー吸収装置310の左右方向(矢印L-R方向)における中央部分が省略して図示される。また、図6(a)及び図7では、エネルギー吸収装置310の左側(矢印L方向側)のみが図示される。さらに、図7では、後述する第1の基材311、第1の中間材312、及び、拘束材313を溶接した溶接痕がYの符号を付して図示される。
図5~図7に示すように、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310は、左右方向(矢印L-R方向)に沿って延設されると共に左右方向における一方側(矢印L方向側)に配設される第1の基材311と、その第1の基材311の前後方向(矢印F-B方向)両側のそれぞれに複数枚(第3実施形態では3枚)重なって配設される第1の中間材312と、第1の基材311及び第1の中間材312を取り囲んで配設される角筒状の拘束材313と、左右方向に沿って延設されると共に第1の基材311の他方側(矢印R方向側)に配設される角筒状の延設部材323と、拘束材313及び延設部材323との間に配設され拘束材313及び延設部材323を連結する連結部材330とを主に備えて形成される。
なお、第1の基材311の一方側(矢印L方向側)の端部には、エネルギー吸収装置310を構造物1(図1参照)のガセットプレート4に連結するためのボルト(図示せず)を挿通可能な複数の貫通孔が形成される。また、延設部材323の右側(矢印R方向側)の端部には、エネルギー吸収装置310を構造物1(図1参照)のガセットプレート4に連結するためのボルト(図示せず)を挿通可能な複数の貫通孔を有する十字状のプレートが配設される。第1の基材311の貫通孔および延設部材323の貫通孔により、エネルギー吸収装置310を構造物1に締結できる。
また、第1の基材311、第1の中間材312、拘束材313、及び、連結部材330から構成される構造体を2組形成し、それら構造体を延設部材323の軸方向(左右方向、矢印L-R方向)両側に1組ずつ対称に配置しても良い。この場合には、構造物1に締結するためのプレートを延設部材323に設けず(省略し)、エネルギー吸収装置310の軸方向(左右方向、矢印L-R方向)において、両端に配設される第1の基材311が構造物1の2点(一対のガセットプレート4(図1参照))に連結される。
第1の基材311は、SS材やSN材の3枚の鉄板をH形に溶接した鋼材(溶接H形鋼)から形成される。なお、第1の基材311は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。第1の基材311は、H形に形成されるうちの対向する位置に配設される一対の第1の鉄板311aと、それら一対の第1の鉄板311aの間に配設され一対の第1の鉄板311aを連結する第2の鉄板311bと、を備える。
また、第1の基材311は、一対の第1の鉄板311aが対向する厚み方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けた状態で配設されると共に、一対の第1の鉄板311aの幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。なお、第1の基材311は、前後方向においてエネルギー吸収装置310の略中間位置に配設される。また、図5~7では、理解を容易とするために第1の基材311(一対の第1の鉄板311aと、第2の鉄板311bと)を一体の部材として図示している。
第1の基材311には、第1の鉄板311aの幅方向(矢印U-D方向)の両端部において、一対の第1の鉄板311aの対向間を繋ぐように抑制板317が配設される。また、第1の基材311には、一対の第1の鉄板311a、第2の鉄板311b、及び、抑制板317により形成される空間に複数枚のリブ316が配設される。
抑制板317は、一対の第1の鉄板311aがその対向間の内側に向かって撓むことを抑制する部材であり、SS材やSN材の鉄板から形成され、厚み方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設されると共に、幅方向(矢印F-B方向)の両端が一対の第1の鉄板311aに溶接により接合される。
また、抑制板317は、左右方向(矢印L-R方向)において、右側(矢印R方向側)の端部が第1の鉄板311aの右側端部と同一となる位置に配設され、左側(矢印L方向側)の端部が後述する第1抑制部材315を左側に超える長さに設定される。これにより、一対の第1の鉄板311aの対向間の外側に配設される部材(第1の中間材312a、第1抑制部材315)から一対の第1の鉄板311aが外力を受けた際に、一対の第1の鉄板311aがその対向間の内側に向かって撓むことを抑制できる。
なお、抑制板317の左側(矢印L方向側)端部は、第1の鉄板311aの左側端部と同一となる位置まで延設されても良いし、第1の鉄板311aの左側端部よりも手前(右側)となる位置まで延設されるものであっても良い。また、抑制板317は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
リブ316は、抑制板317と同様に、一対の第1の鉄板311aがその対向間の内側に向かって撓むことを抑制する部材であり、SS材やSN材の鉄板から形成され、厚み方向を左右方向(矢印L-R方向)に向けた状態で配設されると共に、第1の基材311に溶接により接合される。
また、リブ316は、左右方向(矢印L-R方向)において、後述する第1の中間材312aの両端部と対応する位置、及び、第1の中間材312aの中央位置と対応する(前後方向(矢印F-B方向)に重なる)位置に配設される(図7参照)。これにより、一対の第1の鉄板311aの対向間の外側に配設される部材(第1の中間材312a)から一対の第1の鉄板311aが外力を受けた際に、一対の第1の鉄板311aがその対向間の内側に向かって撓むことを抑制できる。
なお、リブ316は、左右方向(矢印L-R方向)において、後述する第1の中間材312aの両端部と対応する位置、及び、第1の中間材312aの中央位置と対応する(前後方向(矢印F-B方向)に重なる)位置だけでなく、それら3枚のリブ316の間や第1抑制部材315と対応する位置にも追加して配設しても良い。また、リブ316及び抑制板317は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
第1の中間材312は、低降伏点鋼材の鉄板から形成され、板厚方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けると共に幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。また、第1の中間材312は、ガセットプレート4との連結部分を除いた部分における第1の基材311と前後方向(矢印F-B方向)に重なる位置に配設される。なお、第1の中間材312は、低降伏点鋼材に限れられるものではなく、第1の基材311及び拘束材313よりも低い降伏点の材料から形成されるものであれば、他の一般鋼材から形成することも可能である。
また、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、第1の基材311の前後方向(矢印F-B方向)における両側にそれぞれ3枚ずつ第1の中間材312が配設される。以下の説明では、第1の基材311に近い側に配設される第1の中間材312から順に312a~312cの符号を付して説明する。
第1の中間材312aは、第1の基材311の右側(矢印R方向側)端部から左側(矢印L方向側)に所定の距離を離した位置に配置され、右側端部が第1の基材311に溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材312aと、第1の基材311とを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材312aの右側端部から第1の中間材311の右側端部にかけて溶接される。
第1の中間材312bは、第1の中間材312aの左側(矢印L方向側)端部から右側(矢印R方向側)に所定の距離を離した位置に配置され、左側端部が第1の中間材312aに溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材312bと、第1の中間材312aとを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材312bの左側端部から第1の中間材312aの左側端部にかけて溶接される。
第1の中間材312cは、第1の中間材312bの右側(矢印R方向側)端部から左側(矢印L方向側)に所定の距離を離した位置に配置され、右側端部が第1の中間材312bに溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材312cと、第1の中間材312bとを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材312cの右側端部から第1の中間材312bの右側端部にかけて溶接される。
また、第1の中間材312cは、左側(矢印L方向側)端部が後述する拘束材13の左側端部と略同一となる長さに設定され、左側端部が拘束材313に溶接(溶接痕Y)により連結される。なお、第1の中間材312cと拘束材313とは、左側端部に開先が形成され、それら第1の中間材312cと拘束材313との左側端部に配設される第1抑制部材315と共に溶接(溶接痕Y)により連結される。即ち、第1の中間材312cと拘束材313と第1抑制部材315とが同じ溶接(溶接痕Y)により連結される。
これらの連結により、第1の基材311、第1の中間材312a~312c、及び、拘束材313が蛇腹状に連結される。なお、第1の基材311、第1の中間材312a~312cのそれぞれを連結する溶接(溶接痕Y)の左右方向(矢印L-R方向)における溶接距離は、溶接される第1の中間材312a~312cの前後方向(矢印F-B方向)における板厚寸法の2倍以上に設定され、第3実施形態では、板厚寸法の3倍に設定される。
拘束材313は、SS材やSN材の4枚の鉄板を溶接して角筒状とした鋼材(溶接四面ボックス)から形成され、第1の中間材312a~312cの幅方向(矢印U-D方向)における両側に一対配設される第1の拘束材313aと、前後方向(矢印F-B方向)において一対の第1の中間材312cの外側に一対配置される第2の拘束材313bとを備える。なお、図5~7では、理解を容易とするために拘束材313(一対の第1の拘束材313aと、一対の第2の拘束材313bと)を一体の部材として図示している。
拘束材313の周囲には、SS材やSN材の鉄板から形成され、一対の第1の拘束材313aと一対の第2の拘束材313bとを取り囲む第2抑制部材314が配設される。第2抑制部材314は、一対の第2の拘束材313bが、前後方向(矢印F-B方向)に撓むことを抑制する部材であり、第1の基材311及び第1の中間材312aの接合部(第1の中間材312b及び第1の中間材312cの接合部)と、第1の中間材312a及び第1の中間材312bの接合部と、のそれぞれと前後方向(矢印F-B方向)に重なる位置に配設される。なお、第2抑制部材314は、複数の鉄板を溶接により接合して形成しても良く、又、一枚の鉄板の内側に拘束材313が挿入される空間を切削(切断)して形成しても良い。
また、拘束材313は、左右方向(矢印L-R方向)において、第1の中間材312a,312bよりも長く設定される。即ち、拘束材313は、第1の中間材312a,312bの左側(矢印L方向側)端部から左側に所定の距離を離した位置に左側端部が配置され、第1の中間材312a,312bの右側(矢印R方向側)端部から右側に所定の距離を離した位置に右側端部が配置される。これにより、拘束材313の左側端部の内側に所定の空間K1(図7参照)が形成され、拘束材313の右側端部の内側に所定の空間K2(図7参照)が形成される。
第1の中間材312a,312bの左側(矢印L方向側)端部は、空間K1により後述する第1抑制部材315と左右方向(矢印L-R方向)に所定の距離を離して配設され、第1の基材311及び第1の中間材312a~312cの右側(矢印R方向側)端部は、空間K2により後述する連結部材330と左右方向に所定の距離を離して配設される。
左右方向(矢印L-R方向)における拘束材313の両端には、SS材やSN材の鉄板から形成される第1抑制部材315が左側(矢印L方向側)の端部に配設され、連結部材330が右側(矢印R方向側)の端部に配設される。なお、第1抑制部材315は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
第1抑制部材315は、第2の拘束材313bが撓むことを抑制するための部材であり、拘束材313の外形よりも大きい外形の鉄板から形成され、第2の拘束材313b及び第1の中間材312cの左側(矢印L方向側)端部が溶接される。
また、第1抑制部材315は、内側に第1の基材311を挿通可能な挿通孔315aを有し、その挿通孔315aに第1の基材311を挿通した状態で配設される。従って、エネルギー吸収装置310に軸力が作用する場合には、第1の基材311から第1抑制部材315に軸力が直接伝わることを抑制できる。
延設部材323は、既製品の角型鋼管から形成されると共に、左右方向(矢印L-R方向)におけるエネルギー吸収装置310の右側(矢印R方向側)に配設される。なお、延設部材323は、横断面が拘束材313の外形と略同一の外形の角型鋼管に設定される。これにより、エネルギー吸収装置310に軸力が作用する場合に、拘束材313と延設部材323とに挟持される連結部材330が撓むことを抑制できる。また、延設部材323は、第1の基材311及び第1の中間材312を内部に備えておらず、内部が中空状とされる。
連結部材330は、溶接四面ボックスから形成される拘束材313と既製品の角型鋼材から形成される延設部材323とを溶接により接合する部材であり、拘束材313及び延設部材323を接合可能なSS材やSN材の鉄板から形成される。なお、連結部材330は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
拘束材313は溶接四面ボックスから形成され、延設部材323は既製品の角型鋼材から形成されるため、板厚や角部の形状が異なるところ、拘束材313と延設部材323とが連結部材330を介して溶接接合されるので、それら拘束材313と延設部材323との溶接領域および溶接幅を確保できる。その結果、エネルギー吸収装置310の溶接作業性を向上できる。
次いで、エネルギー吸収装置310の製造方法について説明する。エネルギー吸収装置310の製造方法は、初めに、第1の基材311の前後方向(矢印F-B方向)両側に第1の中間材312a~312cを重ねて溶接し、第1の基材311と第1の中間材312a~312cとを一体の構造体とする。
なお、第1の基材311と第1の中間材312aとは、エネルギー吸収装置310の左右方向(矢印L-R方向)における右側(矢印R方向側)が幅方向(矢印F-B方向)の両端に亘って溶接され、第1の中間材312aと第1の中間材312bとは、エネルギー吸収装置310の左側(矢印L方向側)が幅方向の両端に亘って溶接され、第1の中間材312bと第1の中間材312cとは、エネルギー吸収装置310の左右方向における右側が幅方向の両端に亘って溶接される。
次に、第1の基材311、第1の中間材312a~312cの構造体を拘束材313の内側に挿入すると共に、一対の第2の拘束材313bの対向面に第1の中間材312cの左側(矢印L方向側)端部が溶接される。なお、この場合に、第1抑制部材315が拘束材313および第1の中間材312cの左側端部に溶接される。これにより、第1の基材311、第1の中間材312a~312c、拘束材313、及び、第1抑制部材315が接合される。
最後に、拘束材313の周囲に第2抑制部材314を溶接すると共に、拘束材313の右側(矢印R方向側)端部を連結部材330に溶接して、エネルギー吸収装置310を製造できる。なお、連結部材330への延設部材323の溶接は、拘束材313を連結部材330に溶接するよりも前の工程で行っても良く、又、拘束材313を連結部材330に溶接した後の工程で行っても良い。
以上のように製造されるエネルギー吸収装置310によれば、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313とのそれぞれを溶接して接合する際に、それぞれを隣り合わせた状態(即ち、間に隙間がない状態)で溶接できる。よって、各部材の位置を計測しながら溶接したり、治具(スペーサー等)を間に挟んで溶接する必要がない。そのため、エネルギー吸収装置310の製造を簡易にできる。
また、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313(第2の拘束材13b)とのそれぞれが隣り合わされた状態(即ち、間に隙間がない状態)で配設されるため、引っ張り力が作用する第1の基材311、第1の中間材312a~312c、又は、拘束材313で、圧縮力が作用する第1の基材311、第1の中間材312a~312c、又は、拘束材313が座屈することを規制できる。その結果、第1の中間材312a~312cに軸力を均等に作用させることができ、第1の中間材312a~312cを塑性変形させた際に、エネルギー吸収装置310に作用する軸力のエネルギーを吸収しやすくできる。
さらに、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313とが第1の基材311の厚み方向(矢印F-B方向)に離れる距離を最短にできる。よって、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した場合に、第1の基材311、第1の中間材312a~312cと、拘束材313とを蛇腹状に折り返したそれぞれの折り返し部分を中心に発生する曲げモーメントを小さくできる。その結果、拘束材313に配設される第2抑制部材314及び第1抑制部材315を小さくできる。
また、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、第1の基材311(第1の鉄板311a及び第2の鉄板311b)と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313(第1の拘束材313a及び第2の拘束材313b)とが、それぞれ板状の鉄板から形成される。そのため、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した場合に第1の基材311(第1の鉄板311a及び第2の鉄板311b)と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313(第1の拘束材313a及び第2の拘束材313b)とを均一に伸縮させやすくでき、エネルギー吸収装置310が座屈することを抑制できる。
さらに、第1の基材311と第1の中間材312a~312cと拘束材313(第2の拘束材313b)とが、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に連結される。よって、エネルギー吸収装置310の一端から他端までの実質の部材長さを、第1の中間材312a~312c及び拘束材313の分、エネルギー吸収装置310の一端から他端までの見た目の長さよりも長くできる。
従って、エネルギー吸収装置310の一端から他端までを1本の鋼材で形成するものに比べて、エネルギー吸収装置310が弾性変形可能な長さを長くできる。よって、エネルギー吸収装置310の弾性変形量を確保できる。
なお、上記したように第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に配設される第1の中間材312a~312cがエネルギー吸収装置310の一方側にのみ形成される。従って、上記した第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10のように、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に配設される第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cをエネルギー吸収装置10の両側に設ける場合に比べて、(他方側に第2の中間材22a~22cを設けない分)部品点数を少なくできるので、製造コストを抑えることができる。
しかしながら、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状がエネルギー吸収装置310の一方側にのみ形成される場合には、他方側に蛇腹状が形成されない分、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した場合に、エネルギー吸収装置310の他方側に配設される延設部材323に作用する応力が一方側に比べて大きくなりやすい。そのため、延設部材323が圧縮座屈する恐れがあった。
これに対し、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、複数の鉄板を溶接して形成される溶接H形鋼から第1の基材311が形成されるので、第2の鉄板311bにより一対の第1の鉄板311aの間隔を変更して厚み方向(矢印F-B方向)における第1の基材311の寸法を変更できると共に、一対の第1の鉄板311aの幅を変更して幅方向(矢印U-D方向)における第1の基材311の寸法を変更できる。また、一対の第1の鉄板311a及び第2の鉄板311bの厚みを変更することで、横断面における第1の基材311の断面積を変更できる。よって、横断面における第1の基材311の断面積を変更することなく第1の基材311の厚み及び幅を変更できる(即ち、横断面における第1の基材311の外形の自由度を向上できる)。
そのため、横断面における第1の基材311の外形を変更することで、横断面における拘束材313の外形を変更できる。よって、横断面における拘束材313の外形と略同一の外形に形成される延設部材323の外形を大きくできる。その結果、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した場合に、延設部材323に作用する応力を小さくでき、延設部材323が圧縮座屈することを抑制できる。
なお、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、複数の鉄板を溶接して形成される溶接四面ボックスから拘束材313が形成されるので、横断面における第1の基材311の外形を変更したとしても、第1の基材311の外形の変更に合わせて拘束材313の外形を変更できる。そのため、横断面における第1の基材311の外形を変更した場合に、第1の中間材312cと第1の基材311との間に隙間が形成されることを抑制できる。
また、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cとは、幅方向における寸法が同一に設定されると共に、幅方向におけるそれぞれの両端が一対の第1の拘束材313aのそれぞれに当接した状態で配設される。これにより、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cとが、幅方向(矢印U-D方向)に位置ずれすることを抑制できる。
また、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、拘束材313の第2の拘束材313b及び第1の基材311の第1の鉄板311aの板厚が、第1の中間材312a~312cの板厚と同一に設定される。これにより、エネルギー吸収装置310に軸力が作用する場合に、拘束材313及び第1の基材311に作用する軸力よりも第1の中間材312a~312cに作用する軸力が大きくなることを抑制できる。
ここで、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、応力-ひずみの関係において、第1の基材311及び拘束材313よりも低い降伏点の材料(第3実施形態では、低降伏点鋼材)から第1の中間材312a~312cが形成される。従って、エネルギー吸収装置310に過大な軸力が作用する場合には、拘束材313及び第1の基材311よりも先に第1の中間材312a~312cを塑性変形(降伏点に到達)させることができる。そのため、エネルギー吸収装置310に過大な軸力が作用する場合には、第1の中間材312a~312cを塑性変形させることにより、エネルギー吸収装置310に作用する軸力のエネルギーを吸収して、構造物1(図1参照)の制振性を向上できる。
この場合、第1の中間材312a~312cは、低降伏点鋼材から形成されるので、SS材やSN材に比べて、塑性変形可能な変形量を確保できる。
なお、第1の中間材312a~312cの前後方向(矢印F-B方向)には、第2の拘束材313bと第1の基材311とが配設される。従って、第1の中間材312a~312cを塑性変形させた場合には、第2の拘束材313bと第1の基材311とで、第1の中間材312a~312cが前後方向に座屈することを抑制できる。これにより、第1の中間材312a~312cを左右方向(矢印L-R方向)に均一に塑性変形させることができる。よって、エネルギー吸収装置310に作用する軸力のエネルギーを第1の中間材312a~312cの塑性変形により吸収しやすくできる。その結果、構造物1(図1参照)の制振性を向上できる。
また、第1の基材311には、第1の鉄板311aの対向間に抑制板317が配設される。これにより、エネルギー吸収装置310に軸力が作用して、第1の中間材312a~312cが第1の基材311側に向かって座屈しようと第1の鉄板311aを押圧する場合に、第1の鉄板311aが撓むことを抑制できる。従って、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した際に、第1の中間材312a~312cが第1の鉄板311aと共に前後方向(矢印F-B方向)に座屈することを抑制できる。
さらに、第1の基材311及び第1の中間材312aの接合部(第1の中間材312b及び第1の中間材312cの接合部)と、第1の中間材312a及び第1の中間材312bの接合部と、のそれぞれと前後方向(矢印F-B方向)に重なる位置に第2抑制部材314及びリブ316が配設される。よって、エネルギー吸収装置310に作用する軸力で各接合部に曲げモーメントが働いた(前後方向(矢印F-B方向)の力が各接合部に作用した)としても、第1の基材311の第1の鉄板311aと、拘束材313の第2の拘束材313bとが前後方向(矢印F-B方向)に撓むことを第2抑制部材314及びリブ316により抑制できる。そのため、第1の中間材312a~312cを均一に塑性変形させることができる。よって、エネルギー吸収装置310に作用する軸力のエネルギーを第1の中間材312a~312cの塑性変形により吸収しやすくできる。その結果、構造物1(図1参照)の制振性を向上できる。
また、第1の基材311、及び、第1の中間材312a~312cを蛇腹状に連結する各接合部の溶接(溶接痕Y)は、左右方向(矢印L-R方向)に長くされるので、第1の基材311、及び、第1の中間材312a~312cの各接合部(折り返し部分)の剛性を高めることができる。
そのため、エネルギー吸収装置310に作用する軸力で各接合部に曲げモーメントが働く(前後方向(矢印F-B方向)の力が各接合部に作用する)場合に、各接合部が前後方向に曲がることを抑制できる。よって、各接合部が前後方向(矢印F-B方向)に曲がり、各接合部の前後方向に隣り合う部材と各接合部との接触抵抗が増加することを抑制できる。従って、エネルギー吸収装置310に作用する軸力で第1の中間材312a~312cが左右方向(矢印L-R方向)に伸縮する際に、第1の中間材312a~312cの左右方向への摺動性が悪くなることを抑制できる。その結果、エネルギー吸収装置310に設計上のエネルギー吸収効果を発揮させることができる。
なお、第1の基材311、及び、第1の中間材312a~312cを蛇腹状に連結する各接合部の左右方向(矢印L-R方向)における溶接距離は、溶接される第1の中間材312a~312cの前後方向(矢印F-B方向)における板厚寸法の2倍以上に設定されるので、上下方向(矢印U-D方向)と面直方向にエネルギー吸収装置310を切断した断面(図7に示す断面)における各接合部の断面形状を前後方向よりも左右方向に長くすることができる。その結果、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した際に、各接合部に働くせん断力で各接合部が左右方向に撓むことを抑制しやすくできると共に、各接合部の溶接が破断することを抑制できる。
また、エネルギー吸収装置310は、空間K1,K2(図7参照)を備えるので、エネルギー吸収装置310に作用する軸力で第1の中間材312a~312cを塑性変形させた場合に、第1の中間材312a~312cが第1抑制部材315や連結部材330に衝突することを抑制できる。そのため、第1の中間材312a~312cを均一に塑性変形させることができる。よって、エネルギー吸収装置310に作用する軸力のエネルギーを第1の中間材312a~312cの塑性変形により吸収しやすくできる。その結果、構造物1(図1参照)の制振性を向上できる。
なお、ここで、空間K1を設けた場合には、第1の中間材312cと第2の拘束材313bとの接合部が第1の基材311側に座屈しやすくなるという問題が新たに生じる。これに対し、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310では、拘束材313が第1抑制部材315に接合される。よって、第1の中間材312cと第2の拘束材313bとの接合部が第1の基材311側に座屈することを第1抑制部材315により抑制できる。
即ち、第1抑制部材315は、第1の中間材312cと第2の拘束材313bとの接合部が、前後方向(矢印F-B方向)におけるエネルギー吸収装置310の外側に座屈することを抑制するだけでなく、エネルギー吸収装置310の前後方向における内側に座屈することを抑制できる。そのため、第1の中間材312cと第2の拘束材313bとの接合部が、エネルギー吸収装置310の内側に座屈することを抑制するための部材を新たに設ける必要がない。従って、エネルギー吸収装置310の製造を簡易にできる。
次いで、図8を参照して、第4実施形態におけるエネルギー吸収装置410について説明する。上記第1実施形態では、前後方向(矢印F-B方向)において全体が重なる位置に第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cが配置される場合について説明したが、第4実施形態におけるエネルギー吸収装置410では、第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cが左右方向(矢印L-R方向)にずれて配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図8(a)及び図8(b)は、第4実施形態におけるエネルギー吸収装置410の断面図であり、図2(b)のIIIb-IIIb線におけるエネルギー吸収装置10の断面に対応する。また、図8(a)では、エネルギー吸収装置410に軸力が作用する前の状態が図示され、図8(b)では、エネルギー吸収装置410に軸力が作用した後の状態が図示される。さらに、図8(a)及び(b)では、それぞれの溶接痕がYの符号を付して図示される。
図8(a)に示すように、第4実施形態におけるエネルギー吸収装置410は、第1の基材11及び第2の基材21の前後方向(矢印F-B方向)両側のそれぞれに複数枚(第4実施形態では3枚)重なって配設される第1の中間材412a~412c及び第2の中間材422a~422cが、隣り合う部材と左右方向(矢印L-R方向)にずれて配設される。
なお、第1の中間材412a~412cと第2の中間材422a~422cとは、エネルギー吸収装置410の左右方向(矢印L-R方向)略中間に位置する平面に対して、左右で対称な形状に形成される。そのため、以下の説明は、左側(矢印L方向側)に配設される第1の中間材412a~412cを主として説明し、右側(矢印R方向側)に配設される第2の中間材422a~422cについての詳細な説明は省略する。
第1の中間材412aは、第1の基材11の右側(矢印R方向側)端部から所定の距離を離した位置に配置され、右側端部が第1の基材11に溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材412aと第1の基材11とを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材412aの右側端部から第1の基材11の右側端部にかけて溶接される。
第1の中間材412bは、第1の中間材412aの左側(矢印L方向側)端部から所定の距離を離した位置に配置され、左側端部が第1の中間材412aに溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材412bと第1の中間材412aとを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材412bの左側端部から第1の中間材412aの左側端部にかけて溶接される。
また、第1の中間材412cは、第1の中間材412bの右側(矢印R方向側)端部から所定の距離を離した位置に配置され、右側端部が第1の中間材412bに溶接(溶接痕Y)により連結される。この場合、第1の中間材412cと第1の中間材412bとを連結する溶接(溶接痕Y)は、第1の中間材412cの右側端部から第1の中間材412bの右側端部にかけて溶接される。
なお、第1の中間材412bの右側(矢印R方向側)の端部は、第1の基材11の右側端部と前後方向(矢印F-B方向)において略同一の位置に設定され、第1の中間材412cの左側(矢印L方向側)の端部は、第1の基材11の左側端部と前後方向(矢印F-B方向)において略同一の位置に設定される。よって、第1の中間材412aと第1の基材11との溶接(溶接痕Y)と、第1の中間材412bと第1の中間材412aとの溶接(溶接痕Y)と、第1の中間材412cと第1の中間材412bと溶接(溶接痕Y)との左右方向(矢印L-R方向)における溶接距離をそれぞれ同一にした場合に、第1の中間材412a~412cの左右方向における寸法を同一にできる。
また、第4実施形態では、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとの折り返し部分の溶接距離が左右方向に大きくされるので、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとの各接合部(折り返し部分)の剛性を高めることができる。
次に、図8(b)を参照して、第4実施形態のエネルギー吸収装置410に軸力が作用した場合について説明する。なお、図8(b)では、左右方向(矢印L-R方向)の外側に第1の基材11及び第2の基材21が引っ張られる軸力が作用した場合が図示される。
図8(b)に示すように、エネルギー吸収装置410に軸力が作用すると、折り返した部分を境にして前後方向(矢印F-B方向)に隣り合う部材に圧縮力と引っ張り力とが交互に作用するため、第1の中間材412cと拘束材13(第2の拘束材13b)との接合部(折り返し部)よりも、第1の中間材412aと第1の中間材412bとの接合部(折り返し部)が一方側(矢印L方向側)に突出する。
そのため、第1の中間材412aと第1の中間材412bとの接合部(折り返し部)の前後方向(矢印F-B方向)外側に重なる部材がなくなる。よって、第1の中間材412aと第1の中間材412bとの接合部(折り返し部)に作用する曲げモーメントにより、第1の中間材412aと第1の中間材412bとの接合部(折り返し部)が前後方向(矢印F-B方向)外側に曲がる可能性があった。また、第1の中間材412bと第1の中間材412cとの接合部(折り返し部)は、第1の基材11側に重なる部材がなくなるため、内側に曲がる可能性があった。
なお、図8(b)に示す状態とは反対に、左右方向(矢印L-R方向)の内側に第1の基材11及び第2の基材21が押圧される場合には、第1の基材11と第1の中間材412aとの接合部が左右方向内側に突出する。この場合、第1の基材11には、前後方向(矢印F-B方向)両側に第1の中間材412aが連結されるため、それらの接合部にかかる曲げモーメントの大きい側に第1の基材11と第1の中間材412aとの接合部(折り返し部)が曲がる可能性があった。
これら第1の基材11と第1の中間材412a~412cとのそれぞれの折り返し部分に前後方向(矢印F-B方向)の曲がりが発生すると、第1の基材11と第1の中間材412a~412cと拘束材13との伸縮によるエネルギー吸収力の計算が複雑になる。また、第1の基材11と第1の中間材412a~412cと拘束材13とのそれぞれの部材が左右方向(矢印L-R方向)に伸縮する際に、前後方向(矢印F-B方向)に隣り合う部材に接触し伸縮時の抵抗となることで、計算上のエネルギー吸収力を発揮できなくなる恐れがある。
これに対し、第4実施形態では、上記したように、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとの折り返し部分の溶接(溶接痕Y)が左右方向(矢印L-R方向)に所定の距離形成されるので、エネルギー吸収装置410に軸力が作用して、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとのそれぞれの折り返し部分が左右方向(矢印L-R方向)に突出した際に、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとのそれぞれの折り返し部分が前後方向(矢印F-B方向)に曲がることを抑制できる。その結果、エネルギー吸収装置410のエネルギー吸収力の計算を簡易にできると共に、その計算上のエネルギー吸収力を発揮させることができる。
なお、第4実施形態では、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとのそれぞれの折り返し部分の溶接痕Yの左右方向(矢印L-R方向)における長さは、エネルギー吸収装置410により吸収可能な軸力が作用する範囲内において、前後方向(矢印F-B方向)に隣り合う部材(第1の中間材412b,412c)の左右方向における端部よりも、溶接(溶接痕Y)が左右方向外側に突出しない長さに設定される。これにより、第1の基材11と第1の中間材412a~412cとのそれぞれの折り返し部分が前後方向(矢印F-B方向)に曲がることを抑制できる。
次いで、図9,10を参照して、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510について説明する。上記第2実施形態では、第1の基材11および拘束材13(第2の拘束材13b)の側面に対し第1の中間材12の側面が平行な状態で第1の中間材12が配設される場合について説明したが、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510では、第1の基材511の側面に対して第1の中間材512の側面が非平行とされる状態で第1の中間材512が配置される場合について説明する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図9(a)は、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510の側面図であり、図9(b)は、図9(a)における矢印IXb方向視におけるエネルギー吸収装置510の側面図であり、図10(a)は、図9(a)のXa-Xa線におけるエネルギー吸収装置510の断面図であり、図10(b)は、図9(a)のXb―Xb線におけるエネルギー吸収装置510の断面図である。
なお、図10(a)及び図10(b)では、後述する第1の基材511、第1の中間材512、及び、拘束材513を溶接した溶接痕がYの符号を付して図示される。
図9、10に示すように、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510は、左右方向(矢印L-R方向)に沿って延設されると共に左右方向における一方側(矢印L方向側)に配設される第1の基材511と、その第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)両側のそれぞれに複数枚又は1枚(第3実施形態では1枚)重なって配設される第1の中間材512と、第1の基材511及び第1の中間材512を取り囲んで配設される角筒状の拘束材513とを主に備えて形成される。
第1の基材511は、SN材や低降伏点鋼材から形成され、板厚方向(厚み方向)を前後方向(矢印F-B方向)に向けると共に、幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。
なお、第1の基材511は、SN材や低降伏点鋼材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SS材、SM材、又はSUS材)から形成しても良い。また、第1の基材511は、1枚の鉄板から形成されるものでなく、上記第3実施形態における第1の基材311のように、一対の鉄板とそれら一対の鉄板を連結する連結部材とから形成されるものであっても良い。
また、第1の基材511の他方側(矢印R方向側)の端部には、SS材やSN材の鉄板から形成され、エネルギー吸収装置510の左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向に沿って平行に平面を配置した状態で配設される規制板518が配設される。なお、規制板518は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
規制板518は、角筒状に形成される拘束材513の内側に配設されており、拘束材513の内側よりも若干小さい外形に形成される。また、規制板518は、拘束材513の内面と所定の隙間を空けた状態で、第1の基材511の他方側(矢印R方向側)の端部に連結される。これにより、エネルギー吸収装置510に軸力が作用して第1の基材511が左右方向(矢印L-R方向)に移動する場合に、拘束材513と規制板518とが当接して第1の基材511の左右方向における移動が規制されることを抑制できると共に、第1の基材511の他方側の端部が前後方向(矢印F-B方向)に曲がろうとする場合に、拘束材513の内面に規制板518を当接させて第1の基材511の他方側(矢印R方向側)の曲がりを規制できる。
また、拘束材513の内側に配設される第1の基材511には、SS材やSN材の鉄板から形成される第2規制板519が、エネルギー吸収装置510の左右方向(矢印L-R方向)と直交する方向に沿って平行に平面を配置した状態で配設されると共に、左右方向に所定の間隔で複数枚配設される。
第2規制板519は、規制板518と同様に第1の基材511が前後方向に曲がることを抑制する部材であり、第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)の両側側面に配設され、角筒状に形成される拘束材513の内面と所定の隙間を空ける大きさに形成される。
さらに、第2規制板519は、第1の中間材512が上下方向(矢印U-D方向)に変形することも規制可能に構成されており、第1の中間材512の上下方向外側を挟む態様で一対配設される。また、第2規制板519は、第1の中間材512と上下方向に所定の隙間を空ける位置に配設される。これにより、第1の中間材512が前後方向(矢印F-B方向)に曲がる際には、その第1の中間材512の曲がりが第2規制板519により規制されることを抑制できると共に、第1の中間材512が上下方向に変形する際には、その第1の中間材512の上下方向の変形を規制できる。
また、第1の基材511の一方側(矢印L方向側)には、前後方向(矢印F-B方向)両側に補強板511cが配設される。よって、エネルギー吸収装置510に軸力が作用する場合に、拘束材513の外側に位置する第1の基材511の一方側(矢印L方向側)が、前後方向に曲がることを補強板511cにより抑制できる。
第1の中間材512は、第1の基材511と同様の材料から板状に形成され、エネルギー吸収装置510の左右方向(矢印L-R方向)に対して、中央側から外側に向かうにつれて前後方向(矢印F-B方向)の外側に離れる方向に傾斜する態様で配設される。
また、第1の中間材512の他方側(矢印R方向側)の端部は、第1の基材511の板厚方向(矢印F-B方向)における側面に当接する位置に配設され、第1の基材511と溶接により連結される。なお、第1の基材511と第1の中間材512とは、第1の基材511の他方側の端部に配設される規制板518と一緒に溶接により連結される。
さらに、第1の中間材512の一方側(矢印L方向側)の端部は、拘束材513の内面に当接する位置に配設され、拘束材513と溶接により連結される。なお、拘束材513と第1の中間材512とは、拘束材513の一方側の端部に配設される第1抑制部材315と一緒に溶接により連結される。また、図10(a)では、第1の中間材512の一方側の全域に開先を形成して溶接しているが、第1の中間材512の一方側の一部に開先を形成するものであっても、開先を形成しないものであっても良い。
拘束材513は、第1の基材511及び第1の中間材512よりも降伏点が高い材料の角型鋼管(本実施形態では、BCR295)から形成される。拘束材513の一方側(矢印L方向側)の端部には、第1抑制部材315が配設される。また、拘束材513の他方側(矢印R方向側)の端部には、上記第3実施形態において延設部材323の他方側に配設される十字状のプレートが配設される。これにより、拘束材513の他方側を構造物1(図1参照)のガセットプレート4に接続して、エネルギー吸収装置510を構造物1に配設できる。
なお、拘束材513は、他方側(矢印R方向側)が構造物1のガセットプレート4に連結されるものでなくても良い。例えば、上記第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10と同様に、拘束材513の一方側(矢印L方向側)に配設される第1の基材511と第1の中間材512とを拘束材513の他方側にも配設して、他方側に配設される第1の基材511をガセットプレート4に連結するようにしても良い。
拘束材513の一方側(矢印L方向側)の前後方向(矢印F-B方向)両側の側面には、SS材やSN材の鉄板から形成される第2補強板513cが配設される。第2補強板513cは、エネルギー吸収装置510に軸力が作用した際に第1の中間材512から拘束材513に伝わる力で拘束材513が撓まないように、拘束材513を補強する部材であり、前後方向において第1の中間材512の一方側と重なる位置に配設される。なお、第2補強板513cは、SS材やSN材に限られるものではなく、拘束材513を補強できれば、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
また、第5実施形態では、第1の基材511の横断面における断面積と、2枚の第1の中間材512の横断面における断面積と、拘束材513の横断面における断面積とが、同一に形成される。これにより、エネルギー吸収装置510に軸力が作用した際には、拘束材513よりも低降伏点の材料から形成される第1の基材511及び第1の中間材512を先に変形させることができる。その結果、第1の基材511及び第1の中間材512を変形させて、エネルギー吸収装置510に作用する軸力を吸収できる。
さらに、拘束材513よりも低降伏点の材料から形成される第1の基材511及び第1の中間材512を先に変形させることができるので、拘束材513を、角型鋼管から形成できる。そのため、拘束材513を上記第3実施形態における拘束材313のように溶接四面ボックスから形成する必要がなくなるので、拘束材513の製造コストを抑えることができる。
また、第5実施形態では、上記したように第1の基材511に対して第1の中間材512が斜めに配置され、第1の中間材512の板厚方向両側に隣り合う第1の基材511と拘束材513との間に所定の隙間が形成される。そのため、左右方向(矢印L-R方向)内側に向かって押圧する軸力がエネルギー吸収装置510に作用して第1の中間材512が変形される場合には、第1の基材511と拘束材513との間に形成される隙間を利用して、第1の中間材512を左右方向の複数位置で前後方向(矢印F-B方向)に折り曲げて変形させることができる。この第1の中間材512が前後方向に折り曲げられる変形により、第5実施形態では、左右方向外側に向かって作用する軸力を吸収しやすくできる。
一方、第1の基材511は、上記したようにエネルギー吸収装置510に軸力が作用した際に、前後方向(矢印F-B方向)に曲がることが規制板518及び第2規制板519により規制される。そのため、第5実施形態では、第1の基材511が変形することで、第1の基材511の前後方向両側に一対配設されるそれぞれの第1の中間材512に第1の基材511から伝達される力が不均一になることを抑制できる。その結果、エネルギー吸収装置510のエネルギー吸収力が低下することを抑制できる。
さらに、第5実施形態では、第1の基材511に対して第1の中間材512が斜めに配置され、第1の基材511と拘束材513と第1の中間材512の両端部とが連結されるので、左右方向(矢印L-R方向)に往復する(折り返した)蛇腹状に連結される第1の基材511と第1の中間材512と拘束材13(第2の拘束材13b)とのそれぞれの部材の連結部分(接合部)が前後方向(矢印F-B方向)に離れる距離を最短にできる。これにより、蛇腹状に折り返したそれぞれの接合部(折り返し部分)を中心に発生する曲げモーメントを小さくできる。その結果、蛇腹状に折り返したそれぞれの接合部(折り返し部分)の曲がりを抑制するための補強材を不要、又は、補強材を小さくできる。
なお、第5実施形態では、左右方向(矢印L-R方向)と直交する平面で拘束材513を切断した際の拘束材513の内側の空間の面積に対して、第1の基材511及び第1の中間材512の横断面の断面積が十分に小さくされる。よって、第1の基材511と、第1の中間材512との横断面の縦横比を変更することで、第1の基材511と、第1の中間材512との横断面の断面積は維持したまま、第1の基材511と、第1の中間材512と、第1の基材511との前後方向(矢印F-B方向)における隙間の間隔を変更できる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11と、第1の中間材12と、第2の拘束材13bとの各接合部(蛇腹状に折り返した部分)を補強材により補強する構造については省略したが、各接合部に補強材を配置しても良い。
例えば、図11(a)に示す第1の変形例のエネルギー吸収装置610のように、第1の中間材12cと第2の拘束材13bとの対向間に補強材616を配置しても良い。なお、図11(a)は、第1の変形例におけるエネルギー吸収装置610の断面図であり、図3(b)のVa-Va線におけるエネルギー吸収装置10の断面に対応する。
図11(a)に示すエネルギー吸収装置610では、第1の中間材12cと第2の拘束材13bとの対向間に所定の隙間が形成される。また、第1の中間材12cに対向する側の第2の拘束材13bの側面に補強材616が配設される。
補強材616は、鉄板から形成され、板厚方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けると共に、幅方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けた状態で配置される。また、補強材616は、第1の基材11と、第1の中間材12と、第2の拘束材13bとの各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向において少なくとも一部が重なる位置に配設される。
なお、補強材616は、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向において少なくとも一部が重なる位置に配設されるものであれば、長手方向(矢印L-R方向)における寸法が、第1の中間材12a~12cの長手方向における寸法よりも小さく形成されても良く、第2の拘束材13bの長手方向における寸法と同一の寸法に形成されても良い。
また、補強材616は、一対の第2の拘束材13bのそれぞれに上下方向(矢印U-D方向)に所定の間隔を空けて3個ずつ配設され、前後方向(矢印F-B方向)における一方が第2の拘束材13bの側面に溶接され、前後方向における他方が第1の中間材12cに当接される。
以上のように構成されるエネルギー吸収装置610では、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)に作用する曲げモーメントにより各接合部が前後方向(矢印B-F方向)に変形しようとする場合に、その前後方向の変形を補強材616で規制できる。その結果、エネルギー吸収装置610が座屈することを抑制できる。
また、図11(a)に示す第1の変形例のエネルギー吸収装置610だけでなく、図11(b)に示す第2の変形例におけるエネルギー吸収装置710のように、一対の第2の拘束材13bの対向間の両側に一対の補強材716を配置しても良い。なお、図11(b)は、第2の変形例におけるエネルギー吸収装置710の断面図であり、図3(b)のVa-Va線におけるエネルギー吸収装置10の断面に対応する。
図11(b)に示すエネルギー吸収装置710では、一対の第1の拘束材13aの幅方向の両端が一対の第2の拘束材13bよりも外側に突出する寸法に形成され、第2の拘束材13bが、一対の第1の拘束材13aの対向間に配設される。一対の第2の拘束材13bよりも外側に突出された領域における一対の第1の拘束材13aの対向間には、補強材716が配設される。
補強材716は、鉄板から形成され、板厚方向を左右方向(矢印L-R方向)に向けると共に、幅方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けた状態で配置される。また、補強材716は、第1の基材11と、第1の中間材12と、第2の拘束材13bとの各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向に重なる位置に配設される。
さらに、補強材716は、長手方向(矢印U-D方向)における両端が一対の第1の拘束材13aのそれぞれに溶接されると共に、幅方向(矢印F-B方向)における第2の拘束材13b側の端部が第2の拘束材13bに溶接される。
以上のように構成されるエネルギー吸収装置710では、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)に作用する曲げモーメントにより各接合部が前後方向(矢印B-F方向)に変形しようとする場合に、その前後方向の変形を補強材716で規制できる。その結果、エネルギー吸収装置710が座屈することを抑制できる。
なお、第2の変形例におけるエネルギー吸収装置710では、第2の基材21と、第2の中間材22と、第2の拘束材13bとの各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向に重なる位置にも補強材716が配設され、エネルギー吸収装置710の前後方向における両側に4枚ずつ配設される。
また、第2の変形例におけるエネルギー吸収装置710は、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向に重なる位置に補強材716が配設されるものに限られず、その他の位置に補強材716が配設されるものであっても良い。例えば、第1の基材11と、第1の中間材12と、第2の拘束材13bとの各接合部の左右方向(矢印L-R方向)における間の位置に補強材716が1枚以上配設されるものであっても良い。
さらに、第2の変形例におけるエネルギー吸収装置710は、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)の全部と重なる位置に補強材716が配設されるものに限られず、各接合部のうち一部の接合部と重なる位置に補強材716が配設されるものであっても良い。例えば、エネルギー吸収装置710の左右方向(矢印L-R方向)中央側に形成される各接合部(蛇腹状に折り返した部分)と前後方向に重なる位置にのみ補強材716が配設され、エネルギー吸収装置710の前後方向における両側に2枚ずつ配設されるものであっても良い。
また、図11(b)に示す第2の変形例のエネルギー吸収装置710だけでなく、図12(a)に示す第3の変形例におけるエネルギー吸収装置810のように、補強材716の外側にさらに第2の補強材817を配置しても良い。なお、図12(a)は、第3の変形例におけるエネルギー吸収装置810の断面図であり、図3(b)のVa-Va線におけるエネルギー吸収装置10の断面に対応する。
図12(a)に示すエネルギー吸収装置810では、一対の第1の拘束材13aの幅方向の両端が一対の第2の拘束材13bよりも外側に突出する寸法に形成され、第2の拘束材13bが、一対の第1の拘束材13aの対向間に配設される。また、一対の第2の拘束材13bよりも外側に突出された領域における一対の第1の拘束材13aの対向間に補強材716が配設される。さらに、一対の第2の拘束材13bよりも外側に突出された一対の第1の拘束材13aの端部には、第2の補強材817が配設される。
第2の補強材817は、鉄板から形成され板厚方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けた状態で配置される。また、第2の補強材817は、左右方向(矢印L-R方向)において第2の拘束材13bと同様の長さに形成されると共に、一対の第1の拘束材13aの対向間の外側に幅方向の両端が突出する長さに設定される。これにより、第2の拘束材13bと第2の補強材817との対向間に補強材716が挟持される。なお、第2の補強材817は、一対の第1の拘束材13aの対向間の外側に突出する部分が、第1の拘束材13aに溶接される。
以上のように構成されるエネルギー吸収装置810では、第2の変形例と同様に、各接合部(蛇腹状に折り返した部分)に作用する曲げモーメントにより各接合部が前後方向(矢印B-F方向)に変形しようとする場合に、その前後方向の変形を補強材716で規制できる。
この場合、エネルギー吸収装置810では、補強材716の外側に第2の補強材817が配設されるので、各接合部が前後方向(矢印B-F方向)に変形しようとする力で、第2の拘束材13bと共に補強材716が前後方向に撓むことを第2の補強材817により抑制できる。これにより、第2の拘束材13bの板厚が、第1の中間材12a~12cの板厚に比べて小さく設定される場合においても、第2の拘束材13bが前後方向に撓むことを抑制できる。
上記第3実施形態では、第1の基材311が3枚の鉄板をH形に溶接した鋼材(溶接H形鋼)から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図12(b)に示す第4の変形例のエネルギー吸収装置910のように、第1の基材911を4枚の鉄板を角筒状に溶接した鋼材から形成しても良い。なお、図12(b)は、第4の変形例におけるエネルギー吸収装置910の断面図であり、図6(a)のVIb-VIb線にエネルギー吸収装置310の断面に対応する。
図12(b)に示すエネルギー吸収装置910では、第1の基材911が4枚の鉄板を溶接して角筒状とした鋼材(溶接四面ボックス)から形成され、一対の第1の鉄板311aが一対(2枚)の第2の鉄板911bにより連結される。
従って、第4の変形例では、一対の第1の鉄板311aを2箇所(2枚の第2の鉄板911b)で支持できる分、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310に比べて、第1の鉄板311aが前後方向(矢印F-B方向)に撓むことを抑制しやすくできる。そのため、第4の変形例における第1の基材911では、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310の第1の基材311に配設したリブ316(図7参照)を省略できる。
なお、第1の基材911にリブ316を配設しても良い。この場合、第1の基材911の第1の鉄板311aと第2の鉄板911bとを溶接して角筒状にする際に、第1の基材911の内側にリブ316を溶接することで、リブ316を第1の基材911の内側に配設できる。
上記第3実施形態では、左右方向(矢印L-R方向)において、第1の中間材312cの左側(矢印L方向側)のみが第1の中間材312a,312bよりも左側に配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図13(a)に示すように、左右方向(矢印L-R方向)における複数の第1の中間材312の両側を階段状にずらして配置しても良い。なお、図13(a)は、第5の変形例におけるエネルギー吸収装置1010の断面図であり、図6(a)のVII―VII線におけるエネルギー吸収装置310の断面に対応する。
図13(a)に示すように、第5の変形例におけるエネルギー吸収装置1010では、第1の基材311の前後方向(矢印F-B方向)における両側にそれぞれ5枚ずつ第1の中間材312が配設される。以下の説明では、第1の基材311に近い側に配設される第1の中間材312から順に312a~312eの符号を付して説明する。
なお、第5の変形例では、前後方向(矢印F-B方向)において第1の基材311から偶数枚目の位置に配設される第1の中間材312b,312dに比べて、第1の基材311から奇数枚目の位置に配設される第1の中間材312a,312c,312eが、左右方向(矢印L-R方向)において、長く形成される。また、偶数枚目の位置に配設される第1の中間材312b,312dが同一長さに設定されると共に、奇数枚目の位置に配設される第1の中間材312a,312c,312eが同一長さに設定される。これにより、複数の第1の中間材312a~312eを積み重ねる際に、第1の中間材312a~312dの左右方向(矢印L-R方向)における両端の位置を溶接位置に合わせて配置すれば、第1の中間材312a~312dを階段状に配置できる。
なお、第5の変形例では、第1の中間材312a~312dが階段状に配置されるので、第1の中間材312a~312dを積み重ねて配置した場合に、左右方向(矢印L-R方向)のどちらか一方側の端部(第5の変形例では、右側(矢印R方向側)端部)を前後方向の外側に露出させることができる。即ち、第1の基材311及び第1の中間材312aの接合部と、第1の中間材312b及び第1の中間材312cの接合部と、第1の中間材312d及び第1の中間材312eの接合部と、の前後方向における外側に、他の第1の中間材312a~312dが重ならない状態とできる。
よって、第5の変形例では、第1の中間材312a~312dを積み重ねた状態であっても、一方側の端部(第1の基材311及び第1の中間材312aの接合部と、第1の中間材312b及び第1の中間材312cの接合部と、第1の中間材312d及び第1の中間材312eの接合部)を溶接できる。
従って、第5の変形例では、1枚目(奇数枚目)に配設される第1の中間材312aと、2枚目(偶数枚目)に配設される第1の中間材312bとを溶接した状態の構造体を先に(第1の基材311に配設する前に)複数個作成しておき、それら複数の構造体を第1の基材311に積み重ね、一方側(右側)からそれらの構造体同士を溶接することで、エネルギー吸収装置910を製造できる。この場合には、第1の中間材312a~312eを一枚ずつ左右で互い違いに溶接する(左右に行き来する)必要がなくなるので、エネルギー吸収装置910の製造を簡易にできる。
なお、第5の変形例では、拘束材313の周囲を取り囲んで配設される第2抑制部材314が、第1の基材311から一番離れた位置に配設される第1の中間材312eの両端部と前後方向に重なる位置に配設される。これにより、第1の中間材312a~312dの各接合部が前後方向の外側に変形しようとした場合に、力が集中する位置で拘束材313の撓みを抑制できる。そのため、第1の中間材312a~312eの階段状の配置に合わせて、第2抑制部材314の配置数を多くしたり、第2抑制部材の左右方向における外形を大きくしたりする必要がなくなり、製造コストが増加することを抑制できる。
また、第5の変形例では、第2の拘束材313bの左側(矢印L方向側)端部が、第1の中間材312eに接合され、第1抑制部材315(図7参照)が省略される。これにより、第1の中間材312e側に溶接時の開先を形成する必要がなくなるので、奇数枚目に配設される第1の中間材312a,312c,312eの形状を同一にできる。その結果、エネルギー吸収装置910の製造時における第1の中間材312eの組み付け間違いを抑制できる。
上記第1~第3実施形態では、エネルギー吸収装置10,210,310が柱2及び梁3により構成される構造物1(図1参照)の一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の空間に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図13(b)に示すように、橋1150とその橋1150の橋脚1160との間に配設して、橋1150から橋脚1160に伝わる力のエネルギーを吸収するようにしても良い。なお、図13(b)は、第6の変形例におけるエネルギー吸収装置1110の断面図であり、図6(a)のVII―VII線におけるエネルギー吸収装置310の断面に対応する。また、図13(b)では、エネルギー吸収装置1110の長手方向(左右方向(矢印L-R方向))を重力方向に向けた状態で橋1150及び橋脚1160の間にエネルギー吸収装置1110が配置される。
図13(b)に示すように、第6の変形例におけるエネルギー吸収装置1110は、橋1150の橋脚1160にエネルギー吸収装置1110の拘束材1113が埋め込まれた状態で配設され、第1の基材311の一方側(矢印L方向側)端部に橋1150が載置される。
第6の変形例におけるエネルギー吸収装置1110は、第1の基材311と、その第1の基材311の前後方向(矢印F-B方向)両側のそれぞれに複数枚(第6の変形例では2枚)重なって配設される第1の中間材312と、第1の基材311及び第1の中間材312を取り囲んで配設される角筒状の拘束材1113と、を主に備えて形成される。以下の説明では、第1の基材311に近い側に配設される第1の中間材312から順に312a,312bの符号を付して説明する。
また、拘束材1113は、第3実施形態における拘束材313と同様に、SS材やSN材の4枚の鉄板を溶接して角筒状とした鋼材(溶接四面ボックス)から形成され、第1の中間材312a,312bの幅方向(矢印U-D方向)における両側に一対配設される第1の拘束材313aと、前後方向(矢印F-B方向)において一対の第1の中間材312bの外側に一対配置される第2の拘束材313bとを備える。なお、拘束材1113は、SS材やSN材に限られるものではなく、他の一般鋼材(例えば、SM材やSUS材)から形成しても良い。
拘束材1113は、第1の基材311から最も離れた位置に配設される第1の中間材312bと、第2の拘束材313bの他方側(矢印R方向側)が溶接により接合される。従って、第6の変形例では、拘束材1113の橋脚1160(構造物)への連結側端部と、第1の基材311の橋1150(構造物)への連結側端部とが一方側(矢印L方向側)に設定される。これにより、橋脚1160の重力方向下方側(矢印R方向側)で第2の拘束材313bの他方側を橋脚1160に連結する必要がなくなるので、橋1150及び橋脚1160の間にエネルギー吸収装置1110を配設しやすくできる。
なお、第6の変形例におけるエネルギー吸収装置1110では、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310と同様に、橋1150に過大な力が作用する場合には、第1の中間材312a,312bを塑性変形させることにより、エネルギー吸収装置1110に作用する軸力のエネルギーを吸収できる。その結果、橋1150の制振性を向上できる。
上記第3実施形態では、エネルギー吸収装置310の一方側(矢印L方向側)に配設される拘束材313と、エネルギー吸収装置310の他方側(矢印R方向側)に配設される延設部材323とのそれぞれが連結部材330に溶接により連結される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図14に示すように、エネルギー吸収装置1210の一方側(矢印L方向側)に配設される拘束材313と、エネルギー吸収装置1210の他方側(矢印R方向側)に配設される延設部材323とをボルトB及びナットNにより接続するものであっても良い。なお、図14は、第7の変形例におけるエネルギー吸収装置1210の分解斜視側面図である。
図14に示すように、第7の変形例におけるエネルギー吸収装置1210は、エネルギー吸収装置1210の一方側(矢印L方向側)に配設される拘束材313に連結部材1230が溶接され、エネルギー吸収装置1210の他方側(矢印R方向側)に配設される延設部材323に連結部材1230と同一形状の第2連結部材1231が溶接される。
連結部材1230及び第2連結部材1231は、拘束材313と延設部材323とをボルトT及びナットNで連結するための鉄板であり、左右方向において拘束材313及び延設部材323に重ならない位置にボルトTを挿通するための貫通孔が所定の間隔で複数個所に形成される。
第7の変形例では、連結部材1230及び第2連結部材1231により拘束材313と延設部材323とをボルトT及びナットNで連結できるので、構造物1(図1参照)にエネルギー吸収装置1210を配設した後からでも、エネルギー吸収装置1210の一方側(矢印L方向側)のみを構造物1から取り外すことができる。
そのため、エネルギー吸収装置1210に作用する軸力により第1の中間材312が塑性変形した後、エネルギー吸収装置1210の全体を構造物1から取り外すことなく、エネルギー吸収装置1210の一方側(矢印L方向側)を交換できる。その結果、エネルギー吸収装置1210の交換作業を簡易にできる。
また、第7の変形例では、左右方向(矢印L-R方向)において拘束材313と延設部材323とが略同一の外形に形成されるので、拘束材313から延設部材323に力が伝達される、又は、延設部材323から拘束材313に力が伝達される際に、連結部材1230及び第2連結部材1231にかかる曲げモーメントを小さくできる。その結果、連結部材1230及び第2連結部材1231の製造コストを抑えることができる。
上記第5実施形態では、第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)の両側のそれぞれに第1の中間材512が1枚ずつ配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図15に示すように、第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)の両側のそれぞれに第1の中間材512を複数枚(本変形例では3枚ずつ)配設するものであっても良い。なお、図15(a)は、第8の変形例におけるエネルギー吸収装置1310の断面図であり、図9(a)のXa-Xa線におけるエネルギー吸収装置510の断面に対応し、図15(b)は、エネルギー吸収装置1310の断面図であり、図9(a)のXb-Xb線におけるエネルギー吸収装置510の断面に対応する。
図15に示すように、第8の変形例におけるエネルギー吸収装置1310は、第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)の両側のそれぞれに第1の中間材512が3枚ずつ配設される。
なお、第8の変形例は、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510と第1の中間材512の枚数が異なるだけであるので、以下の説明では、第5実施形態と同様の符号を付して説明する。
また、第1の基材511の前後方向(矢印F-B方向)に3枚ずつ配設される第1の中間材512は、第1実施形態における第1の中間材12a~12cと同様に、蛇腹状に折り返して連結され、第1の基材511側に配設される第1の中間材512が第1の基材511と連結され、拘束材513側に配設される第1の中間材512が拘束材513と連結される。
第1の中間材512は、第5実施形態における第1の中間材512と同様に、第1の基材511の板厚方向における側面に対して、板厚方向の側面が非平行となる状態で配設される。また、第1の基材511に対する第1の中間材512の傾きは、第1の基材511に近い側に配設される第1の中間材512から交互に反対の向きで傾いた状態とされる。
詳しく説明すると、前後方向(矢印F-B方向)において第1の基材511と隣り合う位置に配設される第1の中間材512は、エネルギー吸収装置510の左右方向(矢印L-R方向)の中央側から外側に向かうにつれて前後方向(矢印F-B方向)の外側に離れる方向に傾斜して配設される。
一方、前後方向(矢印―B方向)において第1の基材511と2番目に近い位置に配設される第1の中間材512は、エネルギー吸収装置510の左右方向(矢印L-R方向)の外側から中央側に向かうにつれて前後方向(矢印F-B方向)の外側に離れる方向に傾斜して配設される。
これら第1の中間材512の傾斜により、第8の変形例では、前後方向において隣り合う第1の基材511と、第1の中間材512と、拘束材513とのそれぞれの間に前後方向の所定の隙間を形成できる。
従って、左右方向(矢印L-R方向)外側に向かって押圧する軸力がエネルギー吸収装置1310に作用して第1の中間材512が変形される場合には、第1の基材511と、第1の中間材512と、拘束材513とのそれぞれの間に形成される隙間を利用して、2枚(前後方向(矢印F-B方向)に積み重なる1枚目および3枚目)の第1の中間材512を左右方向の複数位置で前後方向(矢印F-B方向)に折り曲げて変形させることができる。これら2枚の第1の中間材512が前後方向に折り曲げられる変形により、第8の変形例におけるエネルギー吸収装置1310では、左右方向外側に向かって作用する軸力を吸収しやすくできる。
さらに、第8の変形例では、左右方向(矢印L-R方向)内側に向かって押圧する軸力がエネルギー吸収装置1310に作用して第1の中間材512が変形される場合に、第1の中間材512どうしの間に形成される隙間を利用して、1枚(前後方向(矢印F-B方向)に積み重なる2枚目)の第1の中間材512を左右方向の複数位置で前後方向(矢印F-B方向)に折り曲げて変形させることができる。この1枚の第1の中間材512が前後方向に折り曲げられる変形により、第8の変形例におけるエネルギー吸収装置1310では、左右方向内側に向かって作用する軸力を吸収しやすくできる。
なお、第8の変形例では、第5実施形態におけるエネルギー吸収装置510に比べて、第1の中間材512の配設枚数が多くされるので、エネルギー吸収装置1310に作用する軸力が第1の基材511から第1の中間材512を介して拘束材513に伝達される際に、第1の中間材512の実質の長さを長くできる。その結果、第1の中間材512の変形によるエネルギー吸収量を増加させることができる。
また、第8の変形例では、上下方向(矢印U-D)方向において、第1の基材511及び第1の中間材512と拘束材513との間に所定の空間が形成され、その空間に第2規制板519が配設される。そのため、第8の変形例では、第2規制板519が第1の基材511の上下方向両側の側面に配設される。これにより、第8の変形例では、上記第5実施形態のように第2規制板519を第1の基材511の前後方向で2枚に分ける必要がない。その結果、第8の変形例では、エネルギー吸収装置1310の製造のコストを低減できる。
上記第1~第6実施形態では、第1の基材11,311,511の前後方向(矢印F-B方向)における両側に配設される第1の中間材12,312,412,512のそれぞれの横断面の断面積が同一に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図16(a)に示すように、複数の第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの幅方向(矢印U-D方向)における寸法を変更して、複数の第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの横断面の断面積を変更するものであっても良い。なお、図16(a)は、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410の断面図であり、図2(b)のIIIa-IIIa線におけるエネルギー吸収装置10の断面図に対応する。
以下、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410について説明する。なお、上述した各実施形態および各変形例と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図16(a)に示すように、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410は、第1の基材11と、第1の基材11の上下方向(矢印U-D方向)両側のそれぞれに複数枚(第9の変形例では3枚)重なって配設される第1の中間材1412と、それら第1の基材11、及び、第1の中間材1412を取り囲んで配設される角筒状の拘束材13と、を主に備えて形成される。
なお、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410では、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10と同様に左右で対称な形状に形成されるため、以下の説明では、左側(矢印L方向側)に配設される第1の中間材1412を主として説明し、右側(矢印R方向側)に配設される第2の中間材についての詳細な説明は省略する。
第1の中間材1412は、低降伏点鋼材の鉄板から形成され、板厚方向を前後方向(矢印F-B方向)に向けると共に幅方向を上下方向(矢印U-D方向)に向けた状態で配設される。また、第1の中間材1412は、ガセットプレート4(図1参照)との連結部分を除いた部分における第1の基材11と前後方向(矢印F-B方向)に重なる位置に配設される。なお、以下の説明では、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)における両側にそれぞれ3枚ずつ第1の中間材1412を、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1412から順に1412a~1412cの符号を付して説明する。
ここで、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410では、第1の中間材1412a~1412cの板厚がそれぞれ同一とされる一方、上下方向(矢印U-D方向)の幅寸法が第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1412aから順に所定の寸法分、第1の中間材1412a~1412cの幅寸法が小さくされる。即ち、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1412aから順に第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積が所定の大きさで小さくされる(第1の中間材1412a>第1の中間材1412b>第1の中間材1412c)。
第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410によれば、上記第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310と同様に、応力-ひずみの関係において、第1の基材11及び拘束材13よりも低い降伏点の材料(低降伏点鋼)から第1の中間材1412a~1412cが形成される。従って、エネルギー吸収装置1410に過大な軸力が作用する場合には、第1の基材11及び拘束材13よりも先に第1の中間材1412a~1412cを塑性変形(降伏点に到達)させることができる。そのため、エネルギー吸収装置1410に過大な軸力が作用する場合には、第1の中間材1412a~1412cを塑性変形させることにより、エネルギー吸収装置1410に作用する軸力を吸収して、構造物1(図1参照)の制振性を向上できる。
ここで、第1の中間材1412a~1412cに作用する応力は、「力(軸力)/断面積」で表される。上記したように第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410では、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1412aから順に第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積が所定の大きさで小さくされる。従って、エネルギー吸収装置1410に軸力が作用する場合には、第1の中間材1412a~1412cに作用する応力を、横断面の断面積が小さい第1の中間材1412cほど高めやすくできる。従って、第9の変形例では、第1の中間材1412c,1412b,1412aの順で第1の中間材1412a~1412cを降伏点に到達させて塑性変形させることができる。
なお、第1の中間材1412a~1412cの塑性変形は、最初に、第1の中間材1412cが塑性変形されてひずみ硬化することにより、第1の中間材1412cの次に横断面の断面積が小さい第1の中間材1412bに作用する応力が降伏点に達することで第1の中間材1412bが塑性変形される。次に、第1の中間材1412bが塑性変形されてひずみ硬化することにより、第1の中間材1412b,1412cよりも横断面の断面積が大きい第1の中間材1412aに作用する応力が降伏点に達することで第1の中間材1412aが塑性変形される。
このように、第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cのうち第1の中間材1412cの横断面の断面積が他の第1の中間材1412a,1412bに比べて小さくされる(即ち、蛇腹状に連結された一部に横断面の断面積が小さくされる第1の中間材1412cを備える)ので、エネルギー吸収装置1410に比較的小さい軸力が作用しているタイミングで、第1の中間材1412a,1412bに比べて横断面の断面積が小さい第1の中間材1412cを塑性変形させることができる。
そのため、第1の中間材1412a~1412cの全てが、第1の中間材1412a又は第1の中間材1412bの横断面の断面積で形成される(即ち、第3実施形態における第1の中間材312a~312c(図6参照)が、第1の中間材1412a又は第1の中間材1412bの横断面の断面積で形成される)場合に比べて、エネルギー吸収装置1410に軸力が作用し始めてからエネルギーを吸収し始める(第1の中間材1412cが塑性変形を開始する)までのタイミングを早めることができる。その結果、エネルギー吸収装置1410の制振性を向上できる。
また、第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積が所定の大きさで段階的に変更されるので、エネルギー吸収装置1410のエネルギー吸収効果が低下することを抑制できる。
例えば、第1の中間材1412bの横断面の断面積が第1の中間材1412aの横断面の断面積と同じ大きさに形成される場合には、第1の中間材1412cの横断面の断面積と、第1の中間材1412a,1412bの横断面の断面積との差が大きくなる。そのため、第1の中間材1412cが塑性変形を開始可能な軸力と、第1の中間材1412a,1412bが塑性変形を開始可能な軸力との差が大きくなる。
ここで、第1の中間材1412a~1412cは、塑性変形されることでひずみ硬化するため、作用する軸力が大きくなりひずみ硬化が進むと塑性変形量が少なくなる。そのため、第1の中間材1412a~1412cのそれぞれは、ひずみ硬化が進むとエネルギー吸収効果が低下する。
従って、上記したように、第1の中間材1412cが塑性変形を開始可能な軸力と、第1の中間材1412a,1412bが塑性変形を開始可能な軸力との差が大きくなると、第1の中間材1412cが塑性変形した後、ひずみ硬化して塑性変形量が少なくなるタイミングで第1の中間材1412a,1412bを塑性変形させることが困難となる。そのため、第1の中間材1412cがひずみ硬化した後、エネルギー吸収装置1410のエネルギー吸収効果が低下する恐れがある。
詳しく説明すると、エネルギー吸収装置1410に小さい軸力Aから軸力Bを介して大きい軸力Cまで(軸力A<B<C)作用すると仮定して、第1の中間材1412cの横断面の断面積が軸力Aを吸収可能な大きさに形成され、第1の中間材1412a,1412bの横断面の断面積が軸力Cを吸収可能な大きさに形成される場合には、エネルギー吸収装置1410に作用する軸力が軸力Bまで大きくなると、第1の中間材1412cがひずみ硬化して軸力Bをエネルギー吸収装置1410で吸収することが困難になる。
また、軸力Bを吸収するために、第1の中間材1412a,1412bの横断面の断面積が軸力Bを吸収可能な大きさに形成される場合には、エネルギー吸収装置1410に作用する軸力が軸力Cまで大きくなると、第1の中間材1412a,1412bがひずみ硬して軸力Cをエネルギー吸収装置1410で吸収することが困難になる。
これに対し、第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積が所定の大きさで段階的に変更される(即ち、第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの横断面の断面積が異なる大きさに形成される)ので、第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの横断面の断面積の大きさを軸力A,B,Cを吸収可能な大きさに設定できる。その結果、第9の変形例では、エネルギー吸収装置1410に過大な軸力が作用する場合に、第1の中間材1412a~1412cのうちの少なくともいずれかを塑性変形させてエネルギー吸収装置1410に作用する軸力を吸収可能な状態を形成できる。その結果、エネルギー吸収装置1410のエネルギー吸収効果が低下することを抑制できる。
また、第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの上下方向(矢印U-D方向)の幅寸法が異なって形成される(即ち、第1の中間材1412a~1412cの板の外形寸法が異なる大きさに形成される)ことで、蛇腹状に連結される一部に横断面の断面積が小さくされる部分を形成できるので、その横断面の断面積が小さくされる部分を形成する際に、1枚の第1の中間材1412における途中位置で第1の中間材1412の横断面の断面積を変更する必要がなくなる。即ち、所定の板厚寸法および幅寸法で形成された(切り出された)第1の中間材1412に対し、横断面の断面積を異ならせる為の切削加工を不要にできる。そのため、エネルギー吸収装置1410の製造を簡易にできる。
さらに、第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cのそれぞれの前後方向(矢印F-B方向)の板厚寸法が同一とされ、上下方向(矢印U-D方向)の幅寸法が異なって形成されるので、第1の中間材1412a~1412cを形成する際に、同一の板部材をそれぞれ第1の中間材1412a~1412cに対応する幅で切断するだけで、第1の中間材1412a~1412cを形成できる。その結果、第1の中間材1412a~1412cの製造を簡易にできる。
なお、上記第9の変形例では、第1の中間材1412a~1412cの幅寸法を異なるものとして第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積を異ならせる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、図16(b)に示すように、複数の第1の中間材1512a~1512cのそれぞれの厚み方向(矢印F-B方向)における寸法を変更して、複数の第1の中間材1512a~1512cのそれぞれの横断面の断面積を変更するものであっても良い。なお、図16(b)は、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510の断面図であり、図2(b)のIIIb―IIIb線におけるエネルギー吸収装置10の断面図に対応する。
以下、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510について説明する。なお、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510は、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410の第1の中間材1412が第1の中間材1512(左右方向において右側(矢印R方向側)に配設される第2の中間材は第2の中間材1522)に変わるだけであるので、以下の説明では、第1の中間材1512及び第2の中間材1522以外の説明は省略する。
図16(b)に示すように、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510では、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)における両側にそれぞれ3枚ずつ第1の中間材1512が配設される。なお、以下の説明では、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1512から順に1512a~1512cの符号を付して説明する。
ここで、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510では、第1の中間材1512a~1512cの上下方向(矢印U-D方向)における幅寸法がそれぞれ同一とされる一方、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1512aから順に所定の寸法分、第1の中間材1512a~1512cの板厚が小さくされる。即ち、第1の基材11に近い側に配設される第1の中間材1412aから順に第1の中間材1412a~1412cの横断面の断面積が所定の大きさで小さくされる(第1の中間材1412a>第1の中間材1412b>第1の中間材1412c)。
これにより、第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1510では、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410と同様に、エネルギー吸収装置1510に軸力が作用する場合に、第1の中間材1512a~1512cに作用する応力を、横断面の断面積が小さい第1の中間材1512cから順に高めやすくできる。
なお、第1の中間材1512a~1512cの横断面の断面積を所定の大きさで段階的に変更することによる効果は、第9の変形例におけるエネルギー吸収装置1410と同様であるので、その詳しい説明は省略する。
また、第10の変形例では、第1の中間材1512a~1512cの上下方向(矢印U-D方向)における幅寸法がそれぞれ同一に設定されるので、第1の基材11、第1の中間材1512a~1512c、及び、拘束材13を連結する溶接(溶接痕Y)のそれぞれの溶接距離を確保することができる。その結果、エネルギー吸収装置1510に軸力が作用した場合に各溶接(溶接痕Y)による接合部(折り返し部分)が破断することを抑制できる。
さらに、第10の変形例では、第1の中間材1512a~1512cの上下方向(矢印U-D方向)における幅寸法がそれぞれ同一に設定されることで、上下方向において、第1の中間材1512a~1512cと拘束材13との間に空間が形成されることを抑制できる。その結果、第1の中間材1512a~1512cが幅方向に座屈したり、溶接(溶接痕Y)による第1の中間材1512a~1512cの接合部(折り返し部分)が幅方向に曲がり第1の中間材1512a~1512cの配置が幅方向にずれることを抑制できる。
従って、第1の中間材1512a~1512cが幅方向に座屈したり、溶接(溶接痕Y)による第1の中間材1512a~1512cの接合部(折り返し部分)が幅方向に曲がり第1の中間材1512a~1512cの配置が幅方向にずれることを抑制するための部材を、拘束材13や第1の中間材1512a~1512cに別途設ける必要がなくなる。その結果、エネルギー吸収装置1510の製造コストが高まることを抑制できる。
また、第10の変形例では、上記したように上下方向(矢印U-D方向)において、第1の中間材1512a~1512cと拘束材13との間に空間が形成されることを抑制できるので、拘束材13の内側に不要な空間が形成されることを抑制できる。その結果、エネルギー吸収装置1510を小型化できる。
なお、上記第9の変形例および第10の変形例では、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10の第1の中間材12及び第2の中間材22を第1の中間材1412,1512及び第2の中間材1522に置き換えた場合について説明したが、他の実施形態および変形例における第1の中間材312,412,512及び第2の中間材422を、第9の変形例および第10の変形例におけるエネルギー吸収装置1410,1510のように、横断面の断面積が異なる第1の中間材1412,1512及び第2の中間材1522に置き換えても良い。
また、上記第9の変形例および第10の変形例では、第1の中間材1412,1512が低降伏点鋼から形成される場合について説明したが、第1の基材11及び第2の基材21よりも低い降伏点の材料から形成される(先に降伏点に達する)ものであれば、他の一般鋼材から形成することも可能である。更には、第1の中間材1412,1512の材料が、第1の基材11及び拘束材13の材料と同じであっても良い。
なお、第1の中間材1412,1512が、第1の基材11及び拘束材13と同じ材料から形成される場合には、第1の中間材1412,1512の横断面の断面積が第1の基材11及び拘束材13の横断面よりも小さく形成され、エネルギー吸収装置1410,1510に軸力が作用する際に、第1の中間材1412,1512が第1の基材11及び拘束材13よりも先に塑性変形するように構成される。
上記第9の変形例および第10の変形例では、横断面の断面積が大きい第1の中間材1412a,1512aが最も第1の基材11に近い位置に配置され、第1の基材11から離れるほど横断面の断面積が小さい第1の中間材1412b,1412c,1512b,1512cが配設される場合について説明したが、その配設の順番は、逆であっても順不同であっても良い。
上記第9の変形例または第10の変形例では、第1の中間材1412a~1412cの上下方向(矢印U-D方向)における幅寸法、又は、第1の中間材1512a~1512cの前後方向(矢印F-B方向)における板厚寸法をそれぞれ異ならせる場合について、それぞれ説明したが、幅寸法および板厚寸法の両方を異ならせて第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cのそれぞれの横断面の断面積を異ならせるものであっても良い。
上記第9の変形例または第10の変形例では、第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cのそれぞれの横断面の断面積が所定の大きさで変更される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cのうちの少なくとも1枚の第1の中間材1412,1512の横断面の断面積が他の第1の中間材1412,1512の横断面の断面積に比べて小さく形成されるものであっても良い。
なお、少なくとも1枚の横断面の断面積が小さく形成される場合であっても、上記第9の変形例または第10の変形例と同様に、第1の中間材1412,1512のうち断面積が小さく形成される第1の中間材1412,1512を断面積が大きく形成される第1の中間材に1412,1512比べて早いタイミングで塑性変形させることができるので、エネルギー吸収装置1410,1510の制振性を向上できる。
上記第9の変形例および第10の変形例では、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)の両側に積み重なる第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cをそれぞれ異なる横断面の断面積で形成する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、蛇腹状に連結される第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cのうち、蛇腹状に連結される途中位置(例えば、第1の中間材1412a~1412c,1512a~1512cの左右方向(矢印L-R方向)中間位置)で横断面の断面積が変更されるものであっても良い。また、所定の枚数毎(例えば、2枚毎)に第1の中間材1412,1512の横断面の断面積が変更されるものであっても良い。
上記第9の変形例および第10の変形例では、第1の中間材1412,1512が、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)における両側に3枚ずつ配設される場合について説明したが、必ずしも3枚に限られるものではなく、その枚数は1枚であっても3枚以外の複数枚であっても良い。なお、第1の中間材1412,1512が、第1の基材11の前後方向(矢印F-B方向)の両側に1枚ずつ配設される場合には、その1枚の第1の中間材1412,1512の延設方向(左右方向(矢印L-R方向))における途中位置で、その横断面の断面積が変更されように形成すれば良い。
上記第1実施形態では、エネルギー吸収装置10が、第1の基材11(第2の基材21)と、第1の中間材12(第2の中間材22)と、拘束材13とから形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2実施形態におけるエネルギー吸収装置10のように、拘束材13の両端に補強板218及び第1抑制部材215が配設されるものであっても良い。
上記第1~第5実施形態では、第1の基材11,311,511及び第1の中間材12,312,412,512が重なる前後方向(矢印F-B方向)が、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の平面に対し直交する向きで配置される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の基材11,311,511及び第1の中間材12,312,412,512が重なる前後方向を、一対の柱2及び一対の梁3で囲まれる矩形の平面と平行な向きでエネルギー吸収装置10,210,310,410,510を配置しても良い。
上記第1~第5実施形態では、エネルギー吸収装置10,210,310,410,510が、建物の構造物1に配置される場合について説明したが、エネルギー吸収装置10,210,310,410,510を建物以外に使用しても良い。例えば、橋や船体を製造する際の構造物1にエネルギー吸収装置10,210,310,410,510を用いても良い。
上記第1~第4実施形態では、前後方向(矢印F-B方向)において隣り合う位置に配置される第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとが当接した状態で配置される場合について説明したが、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとのそれぞれが前後方向に所定の隙間を空けた状態で配置され、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bのそれぞれが非当接とされるものであっても良い。また、第1の中間材12,312,412が前後方向に斜めに配置され、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとのそれぞれの一部が非当接とされるものであっても良い。
なお、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとのそれぞれが前後方向に所定の隙間を空けた状態で配置される場合には、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとの溶接部に隙間が形成されるので、第1の基材11,311と、第1の中間材12,312,412と、第2の拘束材13b,313bとを連結するための連結部材を別途配設して溶接しても良い。
上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11と第1の中間材12との幅が同一に設定される場合について説明したが、第1の基材11と第1の中間材12との幅を異なる寸法に設定するものであっても良い。
なお、この場合であっても、第1の基材11と2枚の第1の中間材12との横断面の断面積が同一とされることが好ましい。エネルギー吸収装置10,210に軸力が作用した場合に、第1の基材11、2枚の第1の中間材12、及び、拘束材13のそれぞれに均等に軸力を分散させることができ、軸力に対するエネルギー吸収装置10,210の伸縮量の計算を簡易にできるからである。
上記第1および第2実施形態では、左右方向(矢印L-R方向)に対し直交し、エネルギー吸収装置10,210の左右方向略中間に位置する平面に対して、第1の基材11及び第1の中間材12と、第2の基材21及び第2の中間材22とが、左右で対称な形状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものない。
例えば、エネルギー吸収装置10,210の横断面において、第1の基材11と、第2の基材21と、2枚の第1の中間材12と、2枚の第2の中間材22と、拘束材13とのそれぞれの断面積が同一であれば、第1の基材11及び第1の中間材12の左右方向(矢印L-R方向)における寸法が、第2の基材21及び第2の中間材22の左右方向における寸法よりも短く、又は、長く(即ち、左右で非対称に)形成されても良い。
上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11と、2枚(一対)の第1の中間材12a~12cと、拘束材13との各断面積が略同一に設定される場合について説明したが、第1の基材11と、2枚(一対)の第1の中間材12a~12cと、拘束材13とが異なる断面積で形成されても良い。
特に、上記第1及び第2実施形態では、既製品の鉄板を使用してエネルギー吸収装置10,210を製造する。そのため、例えば、第1の基材11の断面積(板厚)を目的の値に設定した場合に、その第1の基材11の断面積(板厚)に対して正確に1/2の断面積(板厚)となる既製品がない場合がある。
この場合、断面積が正確に1/2となる鉄板よりも厚い板厚の鉄板を削り、第1の基材11の断面積(板厚)に対して正確に1/2の断面積(板厚)となる第1の中間材12を形成することも可能であるが、この場合には、鉄板を削る加工が必要となるため、その加工の分、製造コストが嵩む。
従って、この場合には、第1の基材11の断面積(板厚)に対して1/2の断面積(板厚)に近い断面積(板厚)の既製品の鉄板を使用して、エネルギー吸収装置10,210を形成しても良い。
上記第1及び第2実施形態では、一対の第1の拘束材13aの対向間の距離が、一対の第2の拘束材13bの対向間の距離よりも大きく形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。
例えば、一対の第1の拘束材13aの対向間の距離が、一対の第2の拘束材13bの対向間の距離よりも小さく形成されても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、一対の第1の拘束材13aの対向間の距離よりも、第2の拘束材13bの幅寸法が大きく設定される場合について説明したが、一対の第2の拘束材13bの対向間の距離よりも、第1の拘束材13aの幅寸法が大きく設定されても、一対の第1の拘束材13aの対向間の距離と、第2の拘束材13bの幅寸法が同一に設定されても良い。
さらに、上記第1および第2実施形態では、一対の第1の拘束材13a及び一対の第2の拘束材13bの4枚の板を角型に溶接した拘束材13を用いる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、1枚の板を角型に折り曲げ両端を溶接で繋ぎ合わせて形成される拘束材13(例えば、既製品の角型鋼管)を用いても良い。
上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11及び第2の基材21と、第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cと、拘束材13のそれぞれの横断面の断面積が同一とされる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310のように、第1の基材311の第1の鉄板311aと、第1の中間材312a~312cと、拘束材313の第2の拘束材313bとのそれぞれの横断面の断面積が同一となるように構成しても良い。
なお、この場合、第2の拘束材313bの板厚を確保できるので、第1の中間材12c及び第2の中間材22cを第2の拘束材313bに溶接する際に溶接領域を確保しやすくできる。その結果、第1の中間材12c及び第2の中間材22cと、第2の拘束材13bとの接合部が破断することを抑制できる。
上記第3実施形態では、延設部材323が角型鋼材から形成され、内部が中空状のまま連結部材330を介して拘束材313に連結される場合について説明したが、延設部材323の内部にコンクリートやモルタルといった素材を注入しても良い。延設部材323にコンクリートやモルタルを注入して固めることで、延設部材323が座屈することを抑制できる。よって、延設部材323の横断面の断面積を小さくできる。
上記第3実施形態では、第1の中間材312a~312cが低降伏点鋼材から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の中間材312a~312cを第1の基材311及び拘束材313よりも先に塑性変形(降伏点に到達)させるものであれば良い。
例えば、第1の基材311と、第1の中間材312a~312cと、拘束材313とを同じ材料(例えば、SS材、SN材、SM材、降伏点鋼材などの一般鋼材のいずれか)から形成すると共に、第1の中間材312a~312cの断面積を第1の基材311及び拘束材313よりも小さく形成して、エネルギー吸収装置310に軸力が作用する場合に、第1の中間材312a~312cにかかる応力が第1の基材311及び拘束材313にかかる応力よりも高くなるようにすることで、第1の中間材312a~312cを第1の基材311及び拘束材313よりも先に塑性変形(降伏点に到達)させるようにしても良い。
上記第1及び第2実施形態では、エネルギー吸収装置10,210の左右方向(矢印L-R方向)の両側に第1の中間材12、及び、第2の中間材22が蛇腹状に連結される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310のように、左右方向(矢印L-R方向)の片側のみに第1の中間材12が蛇腹状に連結されるものであっても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11及び第2の基材21と、第1の中間材12及び第2の中間材22と、拘束材13とが同一の材料から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の中間材12及び第2の中間材22を低降伏点鋼材から形成すると共に、第1の基材11及び第2の基材と、拘束材13とを低降伏点鋼材よりも降伏点の高い一般鋼材(例えば、SS材、SN材、SM材)から形成し、上記第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310のように、第1の中間材12及び第2の中間材22を塑性変形させて、構造物1の制振性を向上しても良い。
上記第3実施形態では、左右方向(矢印L-R方向)の片側のみに第1の中間材312が蛇腹状に連結される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1及び第2実施形態におけるエネルギー吸収装置10,210のように左右方向(矢印L-R方向)の両側に第1の中間材12、及び、第2の中間材22が蛇腹状に連結されるように構成しても良い。
また、上記第3実施形態では、第1の基材311と、拘束材313とをSS材またはSN材から形成すると共に、第1の中間材312を低降伏点鋼材から形成する場合について説明したが、第1の基材311と、第1の中間材312と、拘束材313とを同一の材料から形成して、上記第1及び第2実施形態におけるエネルギー吸収装置10,210のように、エネルギー吸収装置310の耐力を向上して構造物1の耐震性を向上しても良い。
上記第3実施形態では、拘束材313の周囲を取り囲む第2抑制部材314と、拘束材313の左側端部に配設される第1抑制部材315とを備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エネルギー吸収装置310に作用する軸力で、各接合部が前後方向に広がる力に対し、第2の拘束材313bが撓まない強度を有する場合には、第2抑制部材314と第1抑制部材315とを省略しても良い。
上記第1及び第2実施形態では、第1の基材11及び第2の基材21が1枚の鉄板から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記第3実施形態におけるエネルギー吸収装置310や、第4の変形例におけるエネルギー吸収装置910のように、複数枚の鉄板を溶接した鋼材(溶接H形鋼や溶接四面ボックス)から形成しても良い。
上記第1~第3実施形態では、一種類の材料から形成される第1の中間材12a~12c,312a~312c及び第2の中間材22a~22cを、第1の基材11,311又は第2の基材21に配設する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、複数枚配設される中間材のうちの一部の中間材の材料を変更して、エネルギー吸収装置10,210,310に軸力が作用した場合に、変形しやすい中間材(領域)と変形しにくい中間材(領域)とを有するように形成しても良い。
上記第1~第3実施形態では、拘束材13,313の第1の拘束材13a,313aと第2の拘束材13b,313bとが、同様の材料から形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1の拘束材13a,313aと第2の拘束材13b,313bとを異なる材料から形成しても良い。
例えば、エネルギー吸収装置10,210,310に作用する軸力で、第1の中間材12,312及び第2の中間材22,322から撓む力が作用しやすい第2の拘束材13b,313bを第1の拘束材13a,313aよりも変形しにくい(高強度の)金属材料から形成しても良い。
上記第1及び第2の実施形態では、第1の中間材12a~12c及び第2の中間材22a~22cを、左右方向(矢印L-R方向)における同じ位置で積み重ねる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上記第5の変形例のように、左右方向に階段状にずらして配置するものであっても良い。
上記第3実施形態では、第1の中間材312a~312cを蛇腹状に連結するための溶接(溶接痕Y)が左右方向(矢印L-R方向)に長く形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限れられるものではなく、第1実施形態におけるエネルギー吸収装置10のように、第1の中間材312a~312c(第1実施形態では、第1の中間材12a~12c)に形成する開先分の溶接距離とするものであっても良い。
上記第3実施形態では、第1の基材311に抑制板317とリブ316とを配設する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エネルギー吸収装置310に軸力が作用した際に、第1の鉄板311aが前後方向(矢印F-B方向)に撓まない板厚に設定されるのであれば、抑制板317又はリブ316のどちらか一方または両方を第1の基材311に配設せず、エネルギー吸収装置310を構成しても良い。
上記第5実施形態では、第1の基材511と同じ材料で第1の中間材512が形成される場合について説明したが必ずしもこれに限られるものではなく、第1の基材511と異なる材料で第1の中間材512が形成されるものであっても良い。
上記第5実施形態では、第1の基材511の横断面における断面積と、2枚の第1の中間材512の横断面における断面積と、拘束材513の横断面における断面積とが、同一に形成される場合について説明したが、第1の基材511の横断面における断面積と、2枚の第1の中間材512の横断面における断面積とが同一に形成され、拘束材513の横断面における断面積が、第1の基材511及び2枚の第1の中間材の横断面における断面積よりも大きく設定されるものであっても良い。
上記第5実施形態では、第1の基材511に、補強板511cおよび第2規制板519が配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エネルギー吸収装置510に作用する軸力が小さく、補強板511cおよび第2規制板519を配設しなくても第1の基材511が曲がらない場合には、補強板511c及び第2規制板519を第1の基材511に配設しないものであっても良い。
また、エネルギー吸収装置510に作用する軸力の大きさに関わらず、補強板511c及び第2規制板519を第1の基材511に配設しないものであっても良い。
なお、補強板511cを配設しない場合には、第1抑制部材315の挿通孔315aと第1の基材511との間の隙間をなるべく小さくすることが好ましい。これにより、第1の基材511が座屈する方向に曲がろうとする場合に、第1の基材511を第1抑制部材315に当接させて、第1の基材511が座屈することを抑制できる。
第2規制板519を配設しない場合には、上下方向(矢印U-D方向)における第1の中間材512と拘束材513との間の隙間をなるべく小さくすることが好ましい。例えば、上記第5実施形態(図10参照)においては、第1の中間材512の上下方向における幅を、第1の基材511の上下方向における幅と同一に設定する。これにより、第1の中間材512が上下方向に曲がろうとする場合に、第1の中間材512を拘束材513の内面に当接させて、第1の中間材512が上下方向に曲がることを抑制できる。
上記第5実施形態では、拘束材513の一方側(矢印L方向側)に第2補強板513cが配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、エネルギー吸収装置510に作用する軸力が小さく、第2補強板513cを配設しなくても拘束材513が撓まない場合には、第2補強板513cを拘束材513に配設しないものであっても良い。
上記第5実施形態では、第2補強板513cが、拘束材513の外面に沿う板状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2補強板513cの一部を前後方向に変形させて、第2補強板513cを前後方向に曲がりにくくしても良い。この場合には、第2補強板513cの厚みを厚くしなくても、第1の中間材512から拘束材513に伝わる力で拘束材513が撓まないようにできる。