以下、本発明の実施形態に係る緩衝器を、車両用の油圧緩衝器に適用した場合を例に挙げて、添付図面に従って詳細に説明する。
ここで、図1ないし図4は第1の実施形態を示している。図1において、油圧緩衝器1は、外筒2、内筒6、ピストンロッド7、ピストン9、ボトムバルブ15、ストッパ機構20等を有している。
油圧緩衝器1の外筒2は、第2シリンダを構成している。外筒2は、油圧緩衝器1の外殻をなし、筒状に形成されている。外筒2の一端側としての基端側(図1中の下端)は、ボトムキャップ3によって閉塞された閉塞端となっている。外筒2の他端側としての先端側(図1中の上端)は、開口端となっている。外筒2の開口端(先端)側には、外筒2の開口端側を閉塞する蓋体4が抜止め状態で取り付けられている。
環状円板からなる蓋体4は、外筒2の開口端(先端)側を閉塞するためロッドガイド8に当接した状態で、その外周側が外筒2に固定されている。蓋体4の内周側には、弾性材料からなるロッドシール5が設けられている。ロッドシール5は、ピストンロッド7と蓋体4との間をシールしている。
内筒6は、第1シリンダを構成している。内筒6は、外筒2と同軸な状態で外筒2の内部に設けられている。内筒6の一端(基端)側は、ボトムキャップ3側にボトムバルブ15を介して嵌合、固定されている。内筒6の他端(先端)側である開口端側内周には、ロッドガイド8が嵌合して取付けられている。内筒6内には、油液を含んだ作動流体が封入されている。作動流体には、油液(オイル)に限らず、例えば添加剤を混在させた水等を用いることができる。
内筒6と外筒2との間には、環状のリザーバ室Aが形成されている。リザーバ室A内には、油液と共にガスが封入されている。このガスは、大気圧状態の空気であってもよく、また圧縮された窒素ガス等の気体を用いてもよい。リザーバ室A内のガスは、ピストンロッド7の縮小時(縮み行程)にピストンロッド7の進入体積分を補償すべく圧縮される。
ピストンロッド7の基端側は、内筒6内に挿入されている。ピストンロッド7の先端側は、ロッドガイド8、蓋体4等を介して内筒6外へと伸縮可能に突出している。ピストンロッド7の基端側には、他の部分に比べて径方向寸法が小さい小径ロッド部7Aと、小径ロッド部7Aの端部に形成された雄ねじ部7Bとが設けられている。小径ロッド部7Aには、ピストン9、伸び側のディスクバルブ12および縮み側のディスクバルブ13が取付けられている。雄ねじ部7Bには、ナット14が螺着されている。
ロッドガイド8は、外筒2の開口端側に嵌合されている。ロッドガイド8は、内筒6の開口端側に固定して設けられている。図1および図2に示すように、ロッドガイド8は、上側に位置して外筒2の内周側に挿嵌される大径部8Aと、大径部8Aの下側に位置して内筒6の内周側に挿嵌される小径部8Bとにより段付円筒状に形成されている。
また、ロッドガイド8の大径部8Aには、蓋体4と対向する大径部8Aの径方向内側に位置して、環状の油溜め室8Cが設けられている。油溜め室8Cは、ロッドシール5およびピストンロッド7を径方向外側から取囲む環状の空間部である。
さらに、ロッドガイド8の大径部8Aには、外筒2側のリザーバ室Aに常時連通した連通路8Dが設けられている。連通路8Dは、油溜め室8Cに溜められた油液(ガスを含む)を外筒2側のリザーバ室Aへと導く。
ピストン9は、第1ピストンを構成している。ピストン9は、ピストンロッド7の小径ロッド部7Aに設けられている。ピストン9は、内筒6内に摺動可能に嵌装されている。ピストン9は、ピストン本体10とシール部材11とにより構成されている。ピストン9は、内筒6内を下側のボトム側室B(下室)と上側のロッド側室C(上室)との2室に画成している。また、ボトムバルブ15とピストン9の間には、中間バルブ21が設けられている。このため、ボトム側室Bの下側には、ボトムバルブ15と中間バルブ21との間に位置して中間室Dが形成されている。
ピストン本体10は、小径ロッド部7Aの外周側に設けられている。ピストン本体10は、例えば、焼結金属により略円筒状に形成されている。ピストン本体10の内周側には、ピストンロッド7の小径ロッド部7Aが挿通されるロッド取付穴10Aが形成されている。また、ピストン本体10には、ロッド取付穴10Aの径方向外側に位置して、ピストン本体10の軸方向に穿設された複数の伸び側連通路10Bが設けられている。さらに、ピストン本体10には、各伸び側連通路10Bと異なる部位に位置して、ピストン本体10の軸方向に穿設された複数の縮み側連通路10Cが設けられている。
各伸び側連通路10Bは、ボトム側室Bとロッド側室Cとを連通させている。各伸び側連通路10Bは、各伸び側連通路10B内を油液が流通する際に、伸び側のディスクバルブ12により、伸長側の減衰力が発生するものである。また、各縮み側連通路10Cは、ボトム側室Bとロッド側室Cとを連通させている。各縮み側連通路10Cは、各縮み側連通路10C内を油液が流通する際に、縮み側のディスクバルブ13により、縮小側の減衰力が発生するものである。
シール部材11は、ピストン本体10の外周面に嵌着されて設けられている。シール部材11は、例えばフッ素系樹脂材料を用いて円筒状に形成されている。シール部材11は、ロッド側室Cとボトム側室Bとの間を液密にシールしている。また、シール部材11は、ピストン本体10が内筒6内を摺動するときの摩擦抵抗を抑制する。
伸び側のディスクバルブ12は、ピストン本体10の一側端面(ボトム側室B側)に配置されている。伸び側のディスクバルブ12は、例えば軸方向に複数枚積み重ねられた状態で、ピストン本体10のボトム側室B側に設けられている。ディスクバルブ12は、ピストンロッド7が伸長方向に摺動変位するときに、伸び側連通路10Bを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させる。
縮み側のディスクバルブ13は、ピストン本体10の他側端面(ロッド側室C側)に配置されている。縮み側のディスクバルブ13は、例えば軸方向に複数枚積み重ねられた状態で、ピストン本体10のロッド側室C側に設けられている。ディスクバルブ13は、ピストンロッド7が縮小方向に摺動変位するときに、縮み側連通路10Cを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させる。
ナット14は、ピストンロッド7の雄ねじ部7Bに螺着されている。ナット14は、ピストンロッド7の小径ロッド部7Aに、ピストン本体10、ディスクバルブ12,13を抜止め状態で固定している。このとき、ナット14は、ピストン9の軸方向の両端面側に、伸び側のディスクバルブ12および縮み側のディスクバルブ13を着脱可能に固定している。
ボトムバルブ15は、内筒6の下端側に位置してボトムキャップ3と内筒6との間に設けられている。ボトムバルブ15は、ボトムキャップ3と内筒6との間でリザーバ室Aと中間室Dとを画成(区画)するバルブボディ16と、バルブボディ16の下面側に設けられた縮み側のディスクバルブ17と、バルブボディ16の上面側に設けられた伸び側の逆止弁18とにより構成されている。バルブボディ16には、リザーバ室Aと中間室Dとを連通可能とする連通路16A,16Bがそれぞれ周方向に間隔をあけて形成されている。
縮み側のディスクバルブ17は、ピストンロッド7の縮み行程でピストン9が下向きに摺動変位するときに、中間室D内の圧力がリリーフ設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各連通路16Aを介してリザーバ室A側にリリーフする。
伸び側の逆止弁18は、ピストンロッド7の伸び行程でピストン9が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。逆止弁18は、リザーバ室A内の油液が中間室Dに向けて各連通路16B内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。
段付ボルト19は、中間バルブ21とボトムバルブ15との間に軸方向の隙間を形成する隙間形成部材である。段付ボルト19の下側(ボトムバルブ15側)は、バルブボディ16の中央(径方向の中心部分)に取付けられている。段付ボルト19は、軸方向の中間部分に位置して径方向寸法が大きい大径部19Aと、軸方向の上側部分に位置して径方向寸法が小さい小径部19Bと、小径部19Bの端部(大径部19Aとは反対側部分)に位置してナット25が螺着される雄ねじ部19Cと、を有している。
ストッパ機構20は、ピストン9が内筒6内のボトムバルブ15側に向けて移動するピストンロッド7の縮み行程のときに作動する。図1ないし図3に示すように、ストッパ機構20は、中間バルブ21と、中間室Dと、遮蔽部材26と、貫通孔30と、ディスクバルブ23と、中間筒27とを有している。
中間バルブ21は、第2バルブ部材を構成している。中間バルブ21は、ピストン9とバルブボディ16との間に設けられている。図3に示すように、中間バルブ21は、段付ボルト19の上側(ピストン9側)に位置して、小径部19Bに取付けられている。中間バルブ21は、ナット25によって抜止め状態で段付ボルト19に固定されている。ボトムバルブ15と中間バルブ21との間には、段付ボルト19の大径部19Aによって、軸方向の隙間が形成されている。この隙間は、大径部19Aと内筒6との間に位置して大径部19Aを取囲む環状の空間を形成している。この空間は、ボトムバルブ15と中間バルブ21との間に形成された中間室Dとなっている。
中間バルブ21は、ピストン9とボトムバルブ15との間にボトム側室Bと中間室Dとを画成(区画)するバルブボディ22と、バルブボディ22の下面側に設けられた縮み側のディスクバルブ23と、バルブボディ22の上面側に設けられた伸び側の逆止弁24とにより構成されている。バルブボディ22には、ボトム側室Bと中間室Dとを連通可能とする連通路22A,22Bがそれぞれ周方向に間隔をあけて形成されている。
縮み側のディスクバルブ23は、ピストンロッド7の縮み行程でピストン9が下向きに摺動変位するときに、ボトム側室B内の圧力が所定の設定圧を越えると開弁し、このときの圧力を、各連通路22Aを介して中間室D側に供給する。このとき、ディスクバルブ23が開弁する設定圧は、ボトムバルブ15のリリーフ設定圧よりも高い圧力に設定されている。縮み側のディスクバルブ23は、中間バルブ21に設けられ、縮み行程時に減衰力を発生させる第2バルブを構成している。
伸び側の逆止弁24は、ピストンロッド7の伸び行程でピストン9が上向きに摺動変位するときに開弁し、これ以外のときには閉弁する。逆止弁24は、中間室D内の油液がボトム側室Bに向けて各連通路22B内を流通するのを許し、これとは逆向きに油液が流れるのを阻止する。
遮蔽部材26は、ピストン9の下側(中間バルブ21側)に取付けられている。遮蔽部材26は、円筒形状となった筒部26Aと、筒部26Aの上端部分であって、複数の連通路26Cを有する底部26Bとを備えている。これにより、遮蔽部材26は、下端側が開口したコップ型の形状に形成されている。筒部26Aの外径寸法は、内筒6の内径寸法よりも小さく形成されている。底部26Bは、ピストン9とナット14との間に挟持された状態で、ピストンロッド7の小径ロッド部7Aに取付けられている。遮蔽部材26は、ピストン9と共に内筒6に対して移動する。
中間筒27は、外筒2、内筒6とは別個のセパレートチューブであり、外筒2と内筒6との間に配設されている。中間筒27は、例えば円筒状の筒体によって形成されている。中間筒27は、内筒6の下側(ボトムバルブ15側)に位置して、内筒6の外周側に取付けられている。中間筒27は、内筒6の外周側を全周にわたって取囲み、軸方向に延びている。中間筒27の軸方向の両端部分は、内筒6の外周面に固着されている。このとき、中間筒27の軸方向寸法は、例えば遮蔽部材26の軸方向寸法よりも長くなっている。ピストン9が最もボトムバルブ15に接近した縮み切り状態では、遮蔽部材26全体が、中間筒27の内部に挿入された状態になる。なお、中間筒27の軸方向寸法は、遮蔽部材26の軸方向寸法よりも短くてもよい。
中間筒27と内筒6との間には、円筒状の空間が形成されている。この空間は、中間筒27と内筒6との間に形成されたバイパス流路28となっている。バイパス流路28は、ボトム側室Bと中間室Dとを連通させる。このとき、内筒6には、中間筒27内に位置して中間室Dに開口する一側の貫通孔29が形成されている。貫通孔29は、軸方向でボトムバルブ15と中間バルブ21との間に配置されている。内筒6には、中間筒27内に位置してボトム側室Bに開口する他側の貫通孔30が形成されている。貫通孔29,30は、いずれも円形状に形成されている。貫通孔29,30は、例えば四角形、多角形、楕円形等のように他の形状に形成されていてもよい。
内筒6には、中間筒27に取囲まれた部分であって、中間バルブ21よりも上側に位置して、他側(ボトム側室B側)の貫通孔30が形成されている。貫通孔30は、第2調整部材を構成している。貫通孔30の開口面積は、例えば貫通孔29の開口面積よりも小さくなっている。貫通孔30は、内筒6に複数(例えば3個)形成されている。複数の貫通孔30は、軸方向に対して互いに異なる位置に配置されている。
これらの貫通孔30と遮蔽部材26との相対位置に応じて、ボトム側室Bと中間室Dとを繋ぐバイパス流路28が開閉される。即ち、貫通孔30および遮蔽部材26は、バイパス流路28を連通または遮断する2ポート2位置の方向制御弁として機能する(図4参照)。
例えば、ピストン9がボトムバルブ15から離れた状態では、遮蔽部材26は、全ての貫通孔30よりも上側に位置する。このとき、貫通孔30は、ボトム側室Bとバイパス流路28とを連通させる。このため、貫通孔30が解放された第1ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主としてバイパス流路28を通じて中間室Dに供給される。
一方、ピストン9がボトムバルブ15に接近した状態では、遮蔽部材26の一部または全部が、中間筒27の内部に挿入され、貫通孔30は、遮蔽部材26によって塞がれる。このとき、バイパス流路28は、ボトム側室Bと遮断させる。このため、少なくともいずれかの貫通孔30が部分的に閉塞された第2ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液の一部は、中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。そして、遮蔽部材26によって全ての貫通孔30が閉塞された状態では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主として中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。
本実施形態による油圧緩衝器1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
油圧緩衝器1は、ピストンロッド7の先端側を自動車の車体側に取付け、外筒2の基端側を車軸(いずれも図示せず)側に取付ける。これにより、自動車の走行時に振動が発生した場合には、ピストンロッド7が外筒2、内筒6から軸方向に伸長または縮小するときに、伸び側のディスクバルブ12および縮み側のディスクバルブ13によって伸長側,縮小側の減衰力が発生され、車両の上,下方向の振動を減衰するように緩衝することができる。
即ち、ピストンロッド7が伸び行程にある場合には、ロッド側室C内が高圧状態となるから、ロッド側室C内の油液が、ピストン本体10の伸び側連通路10B、伸び側のディスクバルブ12を介してボトム側室B内へと流通し、伸長側の減衰力が発生する(図1参照)。これにより、ピストンロッド7の伸長動作を抑えるように緩衝することができる。また、ピストンロッド7の伸び行程では、内筒6から進出したピストンロッド7の進出体積分に相当する分量の油液が、リザーバ室A内からボトムバルブ15を介してボトム側室B内に流入する。
一方、ピストンロッド7の縮み行程では、ピストン9の下側に位置するボトム側室B内がロッド側室Cよりも高圧になるから、ボトム側室B内の油液がピストン本体10の縮み側連通路10C、縮み側のディスクバルブ13を介してロッド側室C内へと流通し、縮小側の減衰力が発生する(図2、図3参照)。そして、内筒6内へのピストンロッド7の進入体積分に相当する分量の油液が、ボトム側室Bからボトムバルブ15を介してリザーバ室A内に流入し、リザーバ室Aは内部のガスが圧縮されることにより、ピストンロッド7の進入体積分を吸収する。
また、ピストンロッド7の縮み行程であって、ピストン9がボトムバルブ15から離れた状態では、遮蔽部材26は、全ての貫通孔30よりも上側に位置する。このとき、貫通孔30は、ボトム側室Bとバイパス流路28とを連通させる。このように貫通孔30が解放された第1ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主としてバイパス流路28を通じて中間室Dに供給される。このため、第1ストローク範囲では、ボトム側室Bの圧力に応じて中間室Dの圧力が上昇し、中間室D内の油液がボトムバルブ15の連通路16A、ディスクバルブ17を介してリザーバ室A内へと流通し、縮小側の第1減衰力が発生する。
一方、ピストン9がボトムバルブ15に接近した状態では、遮蔽部材26の一部または全部が、中間筒27の内部に挿入し、貫通孔30は、遮蔽部材26によって塞がれる。このとき、バイパス流路28は、ボトム側室Bと遮断させる。このため、少なくともいずれかの貫通孔30が部分的に閉塞された第2ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液の一部は、中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。そして、遮蔽部材26によって全ての貫通孔30が閉塞された状態では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主として中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。
このため、第2ストローク範囲では、ボトム側室Bの圧力が上昇して中間室Dよりも高圧になると、ボトム側室B内の油液が中間バルブ21の連通路22A、ディスクバルブ23を介して中間室D内へと流通し、縮小側の第2減衰力が発生する。このとき、ディスクバルブ23が開弁する設定圧は、ボトムバルブ15のリリーフ設定圧よりも高い圧力に設定されている。このため、中間バルブ21の第2減衰力は、ボトムバルブ15の第1減衰力よりも高く(大きく)なる。これにより、ピストンロッド7の縮み行程では、ピストン9がボトムバルブ15に最も接近する最縮小状態となる前に、中間バルブ21によって高い第2減衰力を発生させることができる。
かくして、第1の実施形態によれば、油圧緩衝器1は、作動流体が封入された内筒6(第1シリンダ)と、内筒6内に摺動可能に嵌装され、内筒6内をロッド側室Cとボトム側室Bに区画するピストン9(第1ピストン)と、ピストン9に連結されるピストンロッド7と、ボトム側室Bに設けられ、縮み行程時に減衰力を発生させるディスクバルブ17(第1バルブ)を有するボトムバルブ15(第1バルブ部材)と、内筒6の外周側に設けられる外筒2(第2シリンダ)と、内筒6と外筒2との間に形成されるリザーバ室Aと、ピストン9が内筒6内のボトムバルブ15側に向けて移動するピストンロッド7の縮み行程のときに作動するストッパ機構20と、を有している。
また、ストッパ機構20は、ピストン9とボトムバルブ15との間に設けられる中間バルブ21(第2バルブ部材)と、ボトムバルブ15と中間バルブ21の間に形成される中間室Dと、ピストン9と共に内筒6に対し移動する遮蔽部材26(第1調整部材)と、遮蔽部材26との相対位置により、ボトム側室Bと中間室Dとを繋ぐバイパス流路28が開閉されるボトム側室B側の貫通孔30(第2調整部材)と、中間バルブ21に設けられ縮み行程時に減衰力を発生するディスクバルブ23(第2バルブ)と、を有している。
このとき、油圧緩衝器1は、ピストン9が第1ストローク範囲にある間は、ボトムバルブ15(ディスクバルブ17)により第1減衰力を発生させる。一方、油圧緩衝器1は、ピストン9が第1ストローク範囲を超えて中間バルブ21側に位置する第2ストローク範囲の間は、ディスクバルブ23により第1減衰力よりも高い第2減衰力を発生させる。
このように、第1の実施形態では、内筒6と外筒2を備えた通常の複筒式ダンパに対して、ピストン9とボトムバルブ15の間に中間バルブ21を設けて、ピストン9の下側の空間を、ボトム側室Bと中間室Dに分断している。これに加え、内筒6の外側には中間筒27を配置し、内筒6に貫通孔29,30を設けることで、ボトム側室Bと中間室Dとの間をバイパスするバイパス流路28を形成している。
そして、ピストン9の下部にはコップ型の遮蔽部材26を配し、ダンパの縮み行程(圧縮行程)において遮蔽部材26が複数の貫通孔30を順次閉塞する。これにより、ボトム側室Bと中間室Dとの間を流動する油液の流路をバイパス流路28から中間バルブ21に設けた減衰力発生機構に移行させる。この結果、油圧緩衝器1は、ピストン9が第1ストローク範囲にある間に比べて、第2ストローク範囲にある間は、より高い減衰力(第2減衰力)を発生させる。
第1の実施形態では、ピストン9とボトムバルブ15の間に中間バルブ21を設けた。これにより、ボトム側室Bと中間室Dとに区画され、かつボトム側室Bと中間室Dとの間をバイパスする貫通孔30を開閉することにより、減衰力を変化させることが可能である。また、中間バルブ21で第2減衰力を発生させるバルブ(ディスクバルブ23)を標準的なピストン構造とすることで、減衰力設定自由度が高まり、コストも安価に抑えることができる。
また、ボトムバルブ15と中間バルブ21は直列に接続されている。これに加え、油圧緩衝器1は、中間バルブ21をバイパスするバイパス流路28と、バイパス流路28を開閉する遮蔽部材26および貫通孔30を備えている。ピストン9と一緒に変位する遮蔽部材26の位置に応じて、バイパス流路28は開閉する。バイパス流路28が連通した状態では、ボトムバルブ15によって第1減衰力を発生させることができる。バイパス流路28が遮断した状態では、中間バルブ21によって第2減衰力を発生させることができる。これに加えて、ボトムバルブ15と中間バルブ21は直列に接続されているから、これらを並列に接続した場合に比べて、構造を簡略化することができる。
さらに、第2調整部材は、内筒6に形成される貫通孔30によって構成されている。これに加え、貫通孔30は、軸方向にずらして複数設けられている。このように、バイパス流路28に連通する貫通孔30を複数設け、遮蔽部材26によって順次閉塞することで、減衰力の繋がりを滑らかにすることができる。また、貫通孔30の配置、個数、大きさに応じて、減衰力の変化を調整することができる。このため、貫通孔30が単一の場合に比べて、減衰力の調整の自由度を高めることができる。ピストンロッド7が縮小するときに、仕様に応じて急激または滑らかな減衰力の変化が可能になる。貫通孔30は軸方向にずらして複数設けられるため、ピストン9のストローク範囲に余裕があるときに有効となる。
なお、第1の実施形態では、貫通孔30は内筒6に3個設けた場合を例示した。本発明はこれに限らず、貫通孔30は、内筒6に1個または2個設けてもよく、4個以上設けてもよい。
次に、図5は本発明の第2の実施形態を示している。第2の実施形態の特徴は、ストッパ機構が、軸方向に変位可能なサブピストンと、サブピストンに設けられてバイパス流路を開閉する遮蔽部材とを備えたことにある。なお、第2の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2の実施形態では、ボトムバルブ15にボルト31が取付けられている。ボルト31は、バルブボディ16の中央(径方向の中心部分)に取付けられている。ボルト31は、バルブボディ16にディスクバルブ17と逆止弁18を固定している。ボルト31の上端には、スプリング50を保持するための有底筒状の保持具32が取付けられている。
第2の実施形態によるストッパ機構41は、ピストン9が内筒6内のボトムバルブ15側に向けて移動するピストンロッド7の縮み行程のときに作動する。ストッパ機構41は、サブピストン42と、中間室Dと、遮蔽部材51と、貫通孔54と、ディスクバルブ46と、中間筒52とを有している。
サブピストン42は、第2バルブ部材を構成している。サブピストン42は、ピストン9とバルブボディ16との間に設けられている。サブピストン42は、内筒6の下端に延長して設けられたサブシリンダ43に収容されている。サブシリンダ43は、内筒6と略同じ外径寸法を有する本体部43Aと、上端側に位置して内筒6の内部に挿入された小径の連結部43Bとを有している。サブシリンダ43は、内筒6と共に第1シリンダを構成している。
サブピストン42は、サブシリンダ43内に摺動可能に嵌装されている。サブピストン42は、ピストン本体44とシール部材45とにより構成されている。サブシリンダ43内には、サブピストン42とボトムバルブ15との間に位置して、例えばコイルバネからなるスプリング50が設けられている。スプリング50の下端部分は、保持具32の外周面に嵌合した状態で、保持具32に連結されている。スプリング50の上端部分は、遮蔽部材51の筒部51A内に挿入され、遮蔽部材51の底部51Bに当接している。スプリング50は、サブピストン42をピストン9に向けて付勢している。サブピストン42は、サブシリンダ43の連結部43Bによって軸方向上側への変位が規制され、サブシリンダ43内に保持されている。スプリング50は、サブピストン42とボトムバルブ15との間に軸方向の隙間を形成する隙間形成部材である。
ボトムバルブ15とサブピストン42との間には、スプリング50によって、軸方向の空間が形成されている。この空間は、ボトムバルブ15とサブピストン42との間に形成された中間室Dとなっている。
ピストン本体44は、例えば、焼結金属により略円筒状に形成されている。ピストン本体44の内周側には、ボルト48が挿通されるボルト取付穴44Aが形成されている。また、ピストン本体44には、ボルト取付穴44Aの径方向外側に位置して、ピストン本体44の軸方向に穿設された複数の縮み側連通路44Bが設けられている。さらに、ピストン本体44には、各縮み側連通路44Bと異なる部位に位置して、ピストン本体44の軸方向に穿設された複数の伸び側連通路44Cが設けられている。
各縮み側連通路44Bは、ボトム側室Bと中間室Dとを連通させている。各縮み側連通路44Bは、各縮み側連通路44B内を油液が流通する際に、縮み側のディスクバルブ46により、縮小側の減衰力が発生するものである。また、各伸び側連通路44Cは、ボトム側室Bと中間室Dとを連通させている。各伸び側連通路44Cは、各伸び側連通路44C内を油液が流通する際に、伸び側のディスクバルブ47により、伸長側の減衰力が発生するものである。
シール部材45は、ピストン本体44の外周面に嵌着されて設けられている。シール部材45は、例えばフッ素系樹脂材料を用いて円筒状に形成されている。シール部材45は、ボトム側室Bと中間室Dとの間を液密にシールしている。また、シール部材45は、ピストン本体44がサブシリンダ43内を摺動するときの摩擦抵抗を抑制する。
縮み側のディスクバルブ46は、ピストン本体44の上面側に配置されている。縮み側のディスクバルブ46は、例えばピストン本体44のボトム側室B側に設けられている。ディスクバルブ46は、ピストンロッド7の縮み行程でピストン9が下向きに摺動変位するときに、縮み側連通路44Bを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させる。ディスクバルブ46は、サブピストン42に設けられ、縮み行程時に減衰力を発生させる第2バルブを構成している。
伸び側のディスクバルブ47は、ピストン本体44の下面側に配置されている。伸び側のディスクバルブ47は、例えば軸方向に複数枚積み重ねられた状態で、ピストン本体44の中間室D側に設けられている。ディスクバルブ47は、ピストンロッド7の伸び行程でピストン9と共にサブピストン42が上向きに摺動変位するときに、伸び側連通路44Cを流通する油液に抵抗力を与えて所定の減衰力を発生させる。
ボルト48は、ピストン本体44のボルト取付穴44Aに挿入されている。ボルト48の先端(上端)には、ナット49が螺着される雄ねじ部48Aが形成されている。ボルト48の基端(下端)には、外径寸法の大きな鍔部48Bが形成されている。ナット49は、ピストン本体44、ディスクバルブ46,47を連結している。ボルト48の先端面は、ピストンロッド7(雄ねじ部7B)の先端面に接触可能となっている。ピストンロッド7が縮小方向に移動すると、ピストンロッド7の先端面がボルト48の先端面に接触する。これにより、ボルト48と一緒にサブピストン42がボトムバルブ15に向けて移動する。
遮蔽部材51は、サブピストン42の下側(ボトムバルブ15側)に取付けられている。遮蔽部材51は、円筒形状となった筒部51Aと、筒部51Aの上端部分の底部51Bとを備えている。底部51Bは、複数の連通路51Cを有している。これにより、遮蔽部材51は、下端側が開口したコップ型の形状に形成されている。筒部51Aの外径寸法は、サブシリンダ43の内径寸法よりも小さく形成されている。底部51Bは、ボルト48の鍔部48Bとピストン本体44との間に挟持された状態で、サブピストン42に取付けられている。遮蔽部材51は、サブピストン42と共にサブシリンダ43に対して移動する。また、ピストンロッド7の縮み行程で、ピストンロッド7の先端部分がサブピストン42のボルト48に接触すると、サブピストン42は、ピストン9と一緒にボトムバルブ15に向けて移動する。このとき、遮蔽部材51は、ピストン9と共に内筒6およびサブシリンダ43に対して移動する。
中間筒52は、外筒2、内筒6、サブシリンダ43とは別個のセパレートチューブであり、外筒2と内筒6との間に配設されている。中間筒52は、例えば円筒状の筒体によって形成されている。中間筒52は、内筒6の下側(ボトムバルブ15側)であって、サブシリンダ43を取り囲む部位に配置され、内筒6およびサブシリンダ43の外周側に取付けられている。中間筒52は、内筒6およびサブシリンダ43の外周側を全周にわたって取囲み、内筒6の軸方向途中部分からサブシリンダ43の下端部まで軸方向に延びている。中間筒52の軸方向の上端部分は、内筒6の外周面に固着されている。中間筒52の軸方向の下端部分は、サブシリンダ43の外周面に固着されている。
中間筒52と内筒6、サブシリンダ43の間には、円筒状の空間が形成されている。この空間は、中間筒52と内筒6、サブシリンダ43との間に形成されたバイパス流路53となっている。バイパス流路53は、ボトム側室Bと中間室Dとを連通させる。このとき、サブシリンダ43には、軸方向でボトムバルブ15とサブピストン42との間に位置して、一側(中間室D側)の貫通孔54が形成されている。貫通孔54は、第2調整部材を構成している。貫通孔54は、中間筒52内に位置して中間室Dに開口する。内筒6には、中間筒52内に位置してボトム側室Bに開口する他側の貫通孔55が形成されている。貫通孔54,55は、いずれも円形状に形成されている。貫通孔54,55は、例えば四角形、多角形、楕円形等のように他の形状に形成されていてもよい。
貫通孔54と遮蔽部材51との相対位置に応じて、ボトム側室Bと中間室Dとを繋ぐバイパス流路53が開閉される。即ち、貫通孔54および遮蔽部材51は、バイパス流路53を連通または遮断する2ポート2位置の方向制御弁として機能する。
例えば、ピストン9がサブピストン42から離れた状態では、遮蔽部材51は、貫通孔54よりも上側に位置する。このとき、貫通孔54は、中間室Dとバイパス流路53とを連通させる。このため、貫通孔54が解放された第1ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主としてバイパス流路53を通じて中間室Dに供給される。このため、第1ストローク範囲では、ボトム側室Bの圧力に応じて中間室Dの圧力が上昇すると、中間室D内の油液がボトムバルブ15の連通路16A、ディスクバルブ17を介してリザーバ室A内へと流通し、縮小側の第1減衰力が発生する。
一方、ピストン9がサブピストン42に接近すると、ピストンロッド7がボルト48に接触し、サブピストン42と一緒に遮蔽部材51が下側に変位する。これにより、遮蔽部材51は、貫通孔54の一部または全部を塞ぐ。このとき、ボトム側室Bの容積は、ほぼ一定に保持される。一方、バイパス流路53は、中間室Dと遮断させる。このため、貫通孔54が少なくとも部分的に閉塞された第2ストローク範囲では、サブピストン42がボトムバルブ15に近付くに従って、中間室Dの圧力が上昇する。これにより、圧力が上昇した中間室Dの油液の一部は、サブピストン42を介してボトム側室Bに供給される。即ち、第2ストローク範囲では、ピストン9の縮み行程で中間室Dの圧力が上昇すると、中間室Dからボトム側室Bを通って、ロッド側室Cに油液が供給される。このとき、中間室Dの圧力上昇によって、縮小側の減衰力が上昇する。そして、遮蔽部材51が貫通孔54を全て閉塞すると、ピストン9の縮み行程で中間室Dの圧力が上昇すると、中間室D内の油液は、主としてサブピストン42を介してボトム側室Bに供給される。
このため、第2ストローク範囲では、中間室Dの圧力が上昇してボトム側室Bよりも高圧になると、中間室D内の油液がサブピストン42の縮み側連通路44B、ディスクバルブ46を介してボトム側室B内へと流通し、縮小側の第2減衰力が発生する。このとき、ディスクバルブ46が開弁する設定圧は、ボトムバルブ15のリリーフ設定圧よりも高い圧力に設定されている。このため、サブピストン42の第2減衰力は、ボトムバルブ15の第1減衰力よりも高く(大きく)なる。これにより、ピストンロッド7の縮み行程では、ピストン9がボトムバルブ15に最も接近する最縮小状態となる前に、サブピストン42によって高い第2減衰力を発生させることができる。
かくして、第2の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第2の実施形態では、ピストン9とボトムバルブ15との間に軸方向に変位可能なサブピストン42を設ける共に、サブピストン42にはバイパス流路53を開閉する遮蔽部材51を設けた。このため、ピストンロッド7の縮み行程でピストン9がボトムバルブ15に接近すると、ピストンロッド7よって、サブピストン42と遮蔽部材51がボトムバルブ15に向けて変位し、バイパス流路53と中間室Dとの間を遮断する。これにより、ピストン9がボトムバルブ15に最接近するときに、減衰力を高めることができる。
次に、図6は本発明の第3の実施形態を示している。第3の実施形態の特徴は、バイパス流路と連通する貫通孔を軸方向に複数設けると共に、ボトムバルブから離れた貫通孔の開口面積に比べて、ボトムバルブに近い貫通孔の開口面積を小さくしたことにある。なお、第3の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
第3の実施形態によるストッパ機構61は、ピストン9が内筒6内のボトムバルブ15側に向けて移動するピストンロッド7の縮み行程のときに作動する。ストッパ機構61は、第1の実施形態によるストッパ機構20と同様に構成されている。ストッパ機構61は、中間バルブ21と、中間室Dと、遮蔽部材26と、貫通孔62A~62Eと、ディスクバルブ23と、中間筒27とを有している。
内筒6には、中間筒27内に位置して中間室Dに開口する一側の貫通孔29が形成されている。貫通孔29は、ボトムバルブ15と中間バルブ21との間に配置されている。内筒6には、中間筒27内に位置してボトム側室Bに開口する他側の貫通孔62A~62Eが形成されている。
貫通孔62A~62Eは、第2調整部材を構成している。貫通孔62A~62Eは、中間筒27に取囲まれた部分であって、内筒6の中間バルブ21よりも上側に配置されている。貫通孔62A~62Eは、軸方向に対して互いに異なる位置に配置されている。貫通孔62A~62Eは、軸方向に1列に並んで配置されている。
貫通孔62Aは、最も上側(ピストン9側)に配置されている。貫通孔62Bは、貫通孔62Aよりも下側(ボトムバルブ15側)に配置されている。貫通孔62Cは、貫通孔62Bよりも下側に配置されている。貫通孔62Dは、貫通孔62Cよりも下側に配置されている。貫通孔62Eは、貫通孔62Dよりも下側に配置されている。このため、貫通孔62Eは、最も下側に配置されている。
貫通孔62A~62Eの開口面積は、ボトムバルブ15に近付くに従って小さくなっている。このため、貫通孔62Bの開口面積は、貫通孔62Aの開口面積よりも小さい。貫通孔62Cの開口面積は、貫通孔62Bの開口面積よりも小さい。貫通孔62Dの開口面積は、貫通孔62Cの開口面積よりも小さい。貫通孔62Eの開口面積は、貫通孔62Dの開口面積よりも小さい。このとき、貫通孔62Aの開口面積は、最も大きい。貫通孔62Eの開口面積は、最も小さい。
貫通孔62A~62Eは、内筒6の周方向の異なる位置に複数(例えば4個)設けられている。複数の貫通孔62Aは、例えば周方向に等間隔に配置されている。同様に、複数の貫通孔62B~62Eは、例えば周方向に等間隔に配置されている。貫通孔62A~62Eと遮蔽部材26との相対位置に応じて、ボトム側室Bと中間室Dとを繋ぐバイパス流路28が開閉される。
かくして、第3の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第3の実施形態では、軸方向の異なる位置に複数の貫通孔62A~62Eを設けると共に、これらの貫通孔62A~62Eの開口面積をボトムバルブ15に近付くに従って小さくした。このため、ピストン9の縮み行程でピストン9がボトムバルブ15に接近すると、遮蔽部材26によって貫通孔62A~62Eが順次閉塞される。このとき、貫通孔62A~62Eの少なくとも一部が閉塞されて第2ストローク範囲となるから、ピストン9がボトムバルブ15に近付くに従って、ボトム側室Bからバイパス流路28に流入するときの油液の流路面積を徐々に減少させることができる。この結果、ボトムバルブ15による第1減衰力から中間バルブ21による第2減衰力に切り換わるときに、減衰力を滑らかに変化させることができる。
第3の実施形態は、第1の実施形態に適用した場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、第3の実施形態は、第2の実施形態に適用してもよい。また、第3の実施形態によるストッパ機構61は、軸方向に1列に並んで配置された貫通孔62A~62Eを備える構成とした。本発明はこれに限らず、図7に示す第1の変形例によるストッパ機構63のように、第2調整部材として、軸方向から傾斜して配置された複数の貫通孔64を備えてもよい。この場合、複数の貫通孔64は、互いに同じ開口面積を有していてもよく、異なる開口面積を有してもよい。また、貫通孔64は、軸方向の同じ位置に1個のみ設けてもよく、軸方向の同じ位置であって周方向の異なる位置に複数設けてもよい。
第3の実施形態によるストッパ機構61は、円形の貫通孔62A~62Eを備える構成とした。本発明はこれに限らず、図8に示す第2の変形例によるストッパ機構65のように、第2調整部材として、軸方向が長軸となった細長い楕円形の貫通孔66を備えてもよい。この場合、貫通孔66は、1個のみでもよく、周方向の異なる位置に複数設けてもよい。
第3の実施形態によるストッパ機構61は、軸方向に1列に並んで配置された貫通孔62A~62Eを備える構成とした。本発明はこれに限らず、図9に示す第3の変形例によるストッパ機構67のように、軸方向で隣り合う位置に設けられた第2調整部材としての貫通孔68A,68B,68Cは、周方向の異なる位置に配置されてもよい。
次に、図10は本発明の第4の実施形態を示している。第4の実施形態の特徴は、第1調整部材を軸方向に伸縮可能な蛇腹状の筒体によって形成すると共に、筒体に貫通孔を形成したことにある。なお、第4の実施形態では、前述した第1の実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明は省略する。
第4の実施形態によるストッパ機構71は、ピストン9が内筒6内のボトムバルブ15側に向けて移動するピストンロッド7の縮み行程のときに作動する。ストッパ機構71は、第1の実施形態によるストッパ機構20と同様に構成されている。ストッパ機構71は、中間バルブ21と、中間室Dと、遮蔽部材72と、貫通孔73と、ディスクバルブ23と、中間筒27とを有している。
バイパス流路28は、ボトム側室Bと中間室Dとを連通させる。このとき、内筒6には、中間筒27内に位置して中間室Dに開口する一側の貫通孔29が形成されている。内筒6には、中間筒27内に位置してボトム側室Bに開口する他側の貫通孔74が形成されている。貫通孔74は、中間バルブ21よりも上側に配置されている。貫通孔74は、内筒6に複数(例えば2個)形成されている。複数の貫通孔74は、周方向の異なる位置に配置されている。貫通孔74は、円形状に形成されている。貫通孔74は、例えば四角形、多角形、楕円形等のように他の形状に形成されていてもよい。
遮蔽部材72は、ピストン9の下側(中間バルブ21側)に取付けられている。遮蔽部材72は、第1調整部材を構成し、軸方向に伸縮可能な蛇腹状の筒体によって形成されている。遮蔽部材72には、第2調整部材としての複数の貫通孔73が形成されている。貫通孔73は、遮蔽部材72のくびれ部72Aに配置されている。遮蔽部材72の下端は、円形の開口となって中間バルブ21に接触可能となっている。遮蔽部材72の上端部分は、複数の連通路72Cを有する底部72Bになっている。ピストン9がボトムバルブ15側に向けて移動すると、遮蔽部材72の下端が中間バルブ21に接触し、遮蔽部材72は軸方向に縮小する。このとき、遮蔽部材72の内部には、ボトム側室Bの一部が形成される。また、遮蔽部材72の縮小に伴って、貫通孔73の開口面積も縮小する。これにより、ピストン9は第2ストローク範囲に位置するから、遮蔽部材72内(ボトム側室B内)の油液の一部は、中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。そして、遮蔽部材72が縮小して貫通孔73が完全に閉塞されると、ピストン9の縮み行程でボトム側室Bの圧力が上昇すると、ボトム側室Bの油液は、主として中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。
かくして、第4の実施形態でも、第1の実施形態とほぼ同様な作用効果を得ることができる。また、第4の実施形態では、ピストン9の縮み行程で遮蔽部材72が中間バルブ21に接触した後は、第1調整部材としての遮蔽部材72は、軸方向に縮小し、第2調整部材としての貫通孔73の相対位置が変化する。このとき、遮蔽部材72の縮小に伴って、貫通孔73の開口面積が減少するから、遮蔽部材72内の油液は、中間バルブ21を介して中間室Dに供給される。これにより、ピストンロッド7の縮み行程で発生する減衰力を、ボトムバルブ15による第1減衰力から中間バルブ21による第2減衰力に切り換えることができる。
第4の実施形態は、第1の実施形態に適用した場合を例に挙げて説明した。本発明はこれに限らず、第4の実施形態は、第2の実施形態に適用してもよい。また、第4の実施形態によるストッパ機構71は、第1調整部材としての蛇腹状の筒体からなる遮蔽部材72と、遮蔽部材72に形成された第2調整部材としての貫通孔73とを備える構成とした。本発明はこれに限らず、図11に示す第4の変形例によるストッパ機構75のように、第1調整部材としての遮蔽部材76と、内筒6に形成された第2調整部材としての複数の貫通孔77とを備える構成としてもよい。この場合、遮蔽部材76の下端は、軸方向との直交面から傾斜した開口面を有している。遮蔽部材76の上端部分は、複数の連通路76Bを有する底部76Aになっている。複数の貫通孔77は、軸方向の同じ位置であって周方向の異なる位置に配置されている。これにより、遮蔽部材76は、ピストン9がボトムバルブ15に近付くに従って、複数の貫通孔77を順次閉塞することができる。第4の変形例は、例えば第3の実施形態に比べて、ピストン9のストローク範囲に余裕がないときでも適用可能になる。なお、周方向の異なる位置に配置された複数の貫通孔77は、互いに異なる開口面積を有していてもよい。
また、図12に示す第5の変形例によるストッパ機構78のように、第1調整部材としての遮蔽部材79と、内筒6に形成された第2調整部材としての複数の貫通孔77とを備える構成としてもよい。この場合、遮蔽部材79は、上端から下端に向けて外径寸法が小さくなっている。遮蔽部材79の上端部分は、複数の連通路79Bを有する底部79Aになっている。これにより、遮蔽部材79の下端側が複数の貫通孔77と対面したときよりも、遮蔽部材79の上端側が複数の貫通孔77と対面したときの方が、バイパス流路28に流入する油液の量が減少する。これにより、ピストンロッド7の縮み行程で発生する減衰力を、ボトムバルブ15による第1減衰力から中間バルブ21による第2減衰力に切り換えることができる。
なお、前記各実施形態では、車両用の油圧緩衝器1を緩衝器の代表例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば車両以外の種々の機械、建築物等に用いる油圧緩衝器に用いてもよい。
さらに、前記各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組合せが可能であることは言うまでもない。
以上説明した実施形態に基づく緩衝器として、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
緩衝器の第1の態様としては、作動流体が封入された第1シリンダと、前記第1シリンダ内に摺動可能に嵌装され、該第1シリンダ内をロッド側室とボトム側室に区画する第1ピストンと、前記第1ピストンに連結されるピストンロッドと、前記ボトム側室に設けられ、縮み行程時に減衰力を発生させる第1バルブを有する第1バルブ部材と、前記第1シリンダの外周側に設けられる第2シリンダと、前記第1シリンダと前記第2シリンダとの間に形成されるリザーバ室と、前記第1ピストンが前記第1シリンダ内の前記第1バルブ部材側に向けて移動する前記ピストンロッドの縮み行程のときに作動するストッパ機構と、を有し、前記ストッパ機構は、前記第1ピストンと前記第1バルブ部材との間に設けられる第2バルブ部材と、前記第1バルブ部材と前記第2バルブ部材の間に形成される中間室と、前記第1ピストンと共に前記第1シリンダに対し移動する第1調整部材と、前記第1調整部材との相対位置により、前記ボトム側室と前記中間室とを繋ぐバイパス流路が開閉される第2調整部材と、前記第2バルブ部材に設けられ縮み行程時に減衰力を発生する第2バルブと、を有し、前記第1ピストンが第1ストローク範囲にある間は、前記第1バルブにより第1減衰力を発生させ、前記第1ピストンが前記第1ストローク範囲を超えて前記第2バルブ部材側に位置する第2ストローク範囲の間は、前記第2バルブにより前記第1減衰力よりも高い第2減衰力を発生させる。
第2の態様としては、第1の態様において、前記第1バルブと前記第2バルブは直列に接続されている。
第3の態様としては、第1または第2の態様において、前記第2調整部材は、前記第1シリンダに形成される貫通孔であって、該貫通孔は軸方向にずらして複数設けられている。
第4の態様としては、第1または第2の態様において、前記第2調整部材は、前記第1シリンダに形成される貫通孔であって、該貫通孔は周方向に複数設けられている。