JP7419143B2 - 燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法 - Google Patents

燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、エンジンの気筒内に燃料噴射を行うための燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法に関する。特に、エンジンの各気筒において、燃料噴射開始タイミングを一定とする燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法に関する。
従来、エンジンの気筒内に燃料を噴射する装置として、高圧ポンプによって加圧された燃料を一時的に蓄積するためのコモンレールを備えた蓄圧式燃料噴射制御装置が用いられている。コモンレールには燃料噴射弁が接続されており、高圧の燃料が燃料噴射弁に供給された状態で燃料噴射弁の通電制御が行われることによりエンジンの気筒内に燃料が噴射される。
エンジンにおいて、燃料噴射制御を如何に行うかは、エンジンの動作性能に大きく影響する重要な問題であり、従来から様々な制御方法が提案、実用化されている。例えば、ディーゼルエンジンにおいて、燃焼を穏やかにし、燃焼時のエンジン振動の低減や、排気の清浄化を図るため、パイロット噴射を行うことは良く知られている。
かかるパイロット噴射は、上述のような効果を十分、確実なものとするために、その微小噴射量が正確に制御される必要があるが、燃料噴射弁には、製造公差や経時劣化等による噴射特性のばらつきがあり、指示噴射量と実噴射量との間にずれが生ずることは避けられない。そのため、上述のような噴射量のずれを解消すべくパイロット噴射制御においては、その噴射量の補正制御が行われることが一般的である。
パイロット噴射量の補正技術としては、例えば、以下の様な手法が公知となっている。すなわち、アクセルペダルが開放されて燃料噴射量が零となり、車両が惰性で走行している間に、通電時間を変えながら複数回の微小噴射を行い、その際に生ずるクランクシャフトの角速度変動量に基づき、その時に実際に噴射されたであろう噴射量の推定値(推定噴射量)を算出し、当該推定噴射量と、予め設定された基準噴射量との差に基づき通電時間を補正する(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013-15076号
燃料を噴射する際の燃料噴射弁に対する通電開始タイミングは、ピストンの圧縮上死点を基準とする所定のクランク角として、エンジンの機種毎、また、運転条件毎に設定される。しかしながら、上述した様な燃料噴射弁のばらつきにより、通電開始タイミングが同一であっても、実際の燃料噴射開始タイミングが、エンジンの気筒毎に異なることがある。
燃料噴射開始タイミングが気筒により異なると、燃料噴射時のシリンダ内圧、ピストン位置等の条件が異なる状態で燃焼が起きるため、燃焼により発生するエネルギが気筒により異なることとなる。この様な状態で特許文献1に開示された技術による燃料噴射量の補正が行われると、微小噴射によるクランクシャフトの角速度変動量はエンジンの各気筒において均一となるものの、各気筒における噴射量がずれている場合がある。
気筒により燃料噴射開始タイミングがずれている状態でエンジンが運転されると、パイロット噴射以外の、例えばメイン噴射やポスト噴射などの噴射量も気筒によりずれる虞がある。
本発明はこの様な状況に鑑みなされたもので、微小噴射量の補正制御を利用して、気筒間における燃料噴射開始タイミングのばらつきを補正することにより、燃料噴射制御の精度を向上させることのできる、燃料噴射制御装置及び燃料噴射制御装置の制御方法を提供するものである。
上記課題を解決するために、
複数の気筒を有するエンジンの燃料噴射制御装置であって、
微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を通電時間を変えながら複数回実行した時のクランクシャフトの角速度変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたと推定される推定噴射量を求め、前記推定噴射量が目標噴射量となった時の通電時間と、予め定められた基準通電時間との差分を差分通電時間学習値として取得し、前記差分通電時間学習値によって前記微小噴射の通電時間の補正を行う微小噴射量補正部と、
前記微小噴射量補正部において取得された前記差分通電時間学習値により補正された微小噴射である補正後微小噴射により生ずる前記クランクシャフトの角速度変動量とエンジン回転数との関係を取得する第1角速度変動量取得部と、
料噴射弁に対する通電開始タイミングを変えながら前記補正後微小噴射を行い、その際の、前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係を取得する第2角速度変動量取得部と、
前記第1角速度変動量取得部が取得した前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係、及び、前記第2角速度変動量取得部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係に基づき、前記エンジン回転数が異なることにより生じる前記クランクシャフトの角速度変動量のずれ分を排除した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係を取得するエンジン回転数影響補正部と、
前記エンジン回転数影響補正部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係に基づき、前記クランクシャフトの角速度変動量の最大値、及び、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングを取得する角速度変動量最大値取得部と、
前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングに基づき、それぞれの前記気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるようにそれぞれの前記気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正することにより、それぞれの前記気筒毎の燃料噴射開始タイミングを一定とする通電開始タイミング補正部と、
を含む、燃料噴射制御装置が提供される。
また、上記課題を解決するために、
複数の気筒を有するエンジンの燃料噴射制御装置の制御方法であって、
微小噴射量補正部が、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を通電時間を変えながら複数回実行した時のクランクシャフトの角速度変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたと推定される推定噴射量を求め、前記推定噴射量が目標噴射量となった時の通電時間と、予め定められた基準通電時間との差分を差分通電時間学習値として取得し、前記差分通電時間学習値によって前記微小噴射の通電時間の補正を行うステップと、
第1角速度変動量取得部が、前記微小噴射量補正部において取得された前記差分通電時間学習値により補正された微小噴射である補正後微小噴射により生ずる前記クランクシャフトの角速度変動量とエンジン回転数との関係を取得するステップと、
第2角速度変動量取得部が、燃料噴射弁に対する通電開始タイミングを変えながら前記補正後微小噴射を行い、その際の、前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係を取得するステップと、
エンジン回転数影響補正部が、前記第1角速度変動量取得部が取得した前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係、及び、前記第2角速度変動量取得部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係に基づき、前記エンジン回転数が異なることにより生じる前記クランクシャフトの角速度変動量のずれ分を排除した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係を取得するステップと、
角速度変動量最大値取得部が、前記エンジン回転数影響補正部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係に基づき、前記クランクシャフトの角速度変動量の最大値、及び、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングを取得するステップと
通電開始タイミング補正部が、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングに基づき、それぞれの前記気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるようにそれぞれの前記気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正することにより、それぞれの前記気筒毎の燃料噴射開始タイミングを一定とするステップと、
を含む、燃料噴射制御装置の制御方法が提供される。
本発明によれば、エンジンの気筒間における燃料噴射開始タイミングを一定とすることにより、噴射量制御の精度を向上させることができる。
本発明の実施の形態における燃料噴射制御装置の構成例を示す図である。 燃料噴射制御装置を構成する電子制御ユニットのうち、本発明の実施に係る部分の構成を示すブロック図である。 エンジン回転数とクランクシャフトの角速度変動量との関係を示す図である。 燃料噴射弁に対する通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係を示す図である。 エンジン回転数の影響を排除した、通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係を示す図である。 気筒間における、クランクシャフトの角速度変動量の最大値の違いを示す図である。 各気筒における、通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係を示す図である。 本発明の実施の形態における、電子制御ユニットの動作例を示すサブルーチンフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。尚、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。また、それぞれの図中、同じ符号が付されているものは同一の要素を示しており、適宜説明が省略されている。
図1は、本実施形態に係る燃料噴射制御装置10の全体構成を示している。本実施形態に係る燃料噴射制御装置10は、蓄圧式燃料噴射制御装置である。燃料噴射制御装置10は、車両に搭載された図示されないエンジンの気筒内に燃料を噴射するための装置であって、燃料タンク1と、低圧ポンプ11と、燃料フィルタ12と、高圧ポンプ13と、流量制御弁19と、コモンレール15と、圧力制御弁23と、燃料噴射弁17と、電子制御ユニット50(ECU)等を主たる要素として備えている。
低圧ポンプ11と高圧ポンプ13とは低圧燃料通路31で接続され、高圧ポンプ13とコモンレール15、及びコモンレール15と燃料噴射弁17はそれぞれ高圧燃料通路33、35で接続されている。また、高圧ポンプ13、コモンレール15、燃料噴射弁17には、燃料噴射弁17から噴射されない余剰燃料を燃料タンク1に戻すためのリターン通路37、38、39がそれぞれ接続されている。
低圧ポンプ11は、燃料タンク1内の燃料を吸い上げて圧送し、低圧燃料通路31を介して高圧ポンプ13に燃料を供給する。この低圧ポンプ11は燃料タンク1内に備えられたインタンク式の電動ポンプであって、バッテリから供給される電流によって作動する。ただし、低圧ポンプ11は、燃料タンク1の外部に設けられるものであってもよく、また、高圧ポンプ13と一体に設けられるものであってもよい。
高圧ポンプ13における、低圧燃料の入り口部分には、高圧ポンプの吐出量を調節するための流量制御弁19が備えられている。流量制御弁19には、例えば供給電流値によって弁部材のストローク量が可変とされ、燃料通過路の面積が調節可能な電磁比例式の制御弁が用いられる。
高圧ポンプ13は、低圧ポンプ11によって、流量制御弁19を介して導入される燃料を加圧し、高圧燃料通路33を介してコモンレール15に圧送する。
コモンレール15は、高圧ポンプ13によって加圧された高圧状態の燃料を蓄積し、高圧燃料通路35を介して接続された各燃料噴射弁17に燃料を供給する。このコモンレール15には、レール圧センサ25、及び圧力制御弁23が取り付けられている。
レール圧センサ25は、コモンレール15内の圧力(レール圧)を検出する。レール圧センサ25のセンサ信号は電子制御ユニット50へ送られる。
圧力制御弁23は、コモンレール15から燃料タンク1へと戻す高圧の燃料の流量を調節することにより、レール圧を調節するために用いられる。圧力制御弁23には、例えば供給電量値によって燃料の通路を開閉するための弁部材のストローク量が可変とされ、燃料通過路の面積が調節可能な電磁比例式の制御弁が用いられる。また、圧力制御弁23の
代わりに、所定の圧力に達すると開弁する、機械式の安全弁を用いてもよい。
燃料噴射弁17は、噴射孔が設けられたノズルボディと、進退移動により噴射孔を開閉するノズルニードルとを備えている。燃料噴射弁17は、ノズルニードルの後端側に背圧を負荷することで噴射孔が閉じられる一方、負荷された背圧が逃されることで噴射孔が開かれる。燃料噴射弁17の背圧制御手段としては、ピエゾ素子が備えられた電歪型のアクチュエータや、電磁ソレノイド式のアクチュエータが用いられる。
電子制御ユニット50は、公知の構成のマイクロコンピュータを中心に、RAMやROM等の記憶素子を有し、燃料噴射弁17を駆動するための駆動回路や、流量制御弁19や圧力制御弁23への通電を行うための通電回路を備える。また、電子制御ユニット50には、レール圧センサ25の検出信号が入力される他、エンジンの回転数やアクセル開度、燃料温度などの各種の検出信号が、エンジンの動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。また、電子制御ユニット50は、図2に示す、本発明の実施に係る各種制御部を備える。
次に、本発明を実施するための、電子制御ユニット50の構成例について、図2を参照しつつ説明する。図2は、電子制御ユニット50のうち、本発明の実施に係る部分の構成を概略的に示すブロック図である。
電子制御ユニット50は、微小噴射量補正部500と、学習条件設定部510と、補正通電時間変更部520と、第1角速度変動量取得部530と、第2角速度変動量取得部540と、エンジン回転数影響補正部550と、角速度変動量最大値取得部560と、微小噴射量再補正部570と、通電開始タイミング補正部580と、を備える。
微小噴射量補正部500は、アクセル開度が零である、車両の惰性走行時において、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を、通電時間を変えながら複数回実行し、微小噴射の実行により生ずるクランクシャフトの角速度変動量に基づきパイロット噴射の噴射量を補正する。本噴射量補正は、従来から行われているものである。
具体的には、微小噴射量補正部500は、微小噴射により生ずるクランクシャフトの角速度変動量に基づき、その際噴射されたであろう噴射量の推定値である推定噴射量を算出する。そして、微小噴射量補正部500は、初回に算出された推定噴射量が、予め定められた目標噴射量を上回る場合には、推定噴射量が目標噴射量に近づくように、微小噴射における微小噴射量を減じつつ推定噴射量の取得を繰り返す。一方、微小噴射量補正部500は、初回に算出された推定噴射量が、予め定められた目標噴射量を下回る場合には、推定噴射量が目標噴射量に近づくように、微小噴射における微小噴射量を増加させつつ推定噴射量の取得を繰り返す。そして、推定噴射量が目標噴射量となった際の、通電時間ETと基準通電時間との差分ΔETが、差分通電時間学習値となる。尚、上記目標噴射量に対して所定の公差幅を設定し、当該公差幅内を、本処理における目標噴射量として扱ってもよい。
本実施形態においては、微小噴射量補正部500は、推定噴射量が当該目標噴射量となった際の通電時間ETから基準通電時間を減じた値を差分通電時間学習値ΔETとして算出する。ここで、基準通電時間は、予め電子制御ユニット50の適宜の領域に予め保存されているものである。
差分通電時間学習値ΔETは、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存され、以後、主にパイロット噴射の通電時間の補正に使用される。差分通電時間学習値ΔETは、正負双方の値を取り得る。微小噴射量補正部500は、差分通電時間学習値ΔETが正の値の時は、パイロット噴射の通電時間を、基準通電時間に対しΔETだけ増加させる。一方、差分通電時間学習値ΔETが負の値の時は、パイロット噴射の通電時間を、基準通電時間に対しΔETだけ減少させる。
微小噴射量補正部500における差分通電時間学習値ΔETの算出は、レール圧及びエンジン回転数を変えながら、様々な運転条件において行われる。また、微小噴射量補正部500において実行される微小噴射の目標噴射量は、運転条件毎に予め定めておくこともできるし、各運転条件において実際にエンジンが運転される時のパイロット噴射量とすることもできる。
図2に示す処理の内、微小噴射量補正部500における処理以外の処理は、本発明独自の処理である。すなわち本発明は、微小噴射量補正部500の処理において得られたデータを利用して、燃料噴射開始タイミングの補正を行うものである。尚、微小噴射量補正部500における処理以外の処理においても、微小噴射は全て、アクセル開度が零である、車両の惰性走行時に行われる。
学習条件設定部510は、本発明における燃料噴射開始タイミング補正における学習条件を設定する。具体的には、学習条件設定部510は、後述する、クランクシャフトの角速度変動量の最大値を取得する気筒及びレール圧を設定する。一例として、本実施形態においては、学習条件設定部510において最初に設定される学習条件を、第1気筒、レール圧60[MPa]として説明する。
補正通電時間変更部520は、微小噴射量補正部500により得られた差分通電時間学習値ΔETを、各運転条件における微小噴射の通電時間の終了タイミングに反映させる。具体的には、補正通電時間変更部520は、差分通電時間学習値ΔETが正の値の場合、当該運転条件おける微小噴射の通電終了のタイミングをΔETだけ遅延させる。一方、差分通電時間学習値ΔETが負の値の場合、当該運転条件における微小噴射の通電終了のタイミングをΔETだけ早める。
従来行われている、パイロット噴射に対する通電時間の補正方法としては、パイロット噴射の通電開始タイミングを差分通電時間学習値ΔETにより補正することが一般的である。しかしながら、本発明においては、各気筒における燃料噴射弁17の燃料噴射開始タイミングを均一とすることが目的である。よって、補正通電時間変更部520においては、微小噴射量補正部500において得られた補正量を、通電終了のタイミングに反映させる。換言すれば、微小噴射量補正部500において得られた補正量は、各運転条件における微小噴射量を略均一とするために使用され、各気筒における燃料噴射開始タイミングのばらつきは、燃料噴射弁17のばらつきに起因する状態が維持される。
第1角速度変動量取得部530は、所定のレール圧において、エンジン回転数を変えながら微小噴射を実行し、図3に示す関係を取得する。図3は、横軸にエンジン回転数、縦軸にクランクシャフトの角速度変動量を示す。尚、クランクシャフトの角速度変動量は、微小噴射前の角速度ω1[rad/s]と微小噴射後の角速度ω2[rad/s]との差分であるΔω=(ω2-ω1)[rad/s]とすることができる。また、クランクシャフトの角速度変動量として、上記ω1及びω2に対し、あるいはΔωに対し、電子制御ユニット50において所定の信号処理を行った値を使用することもできる。
第1角速度変動量取得部530において、図3を取得するために実行される微小噴射は、補正通電時間変更部520における通電終了タイミングの補正がなされた通電時間において行われる。また、後述する、第2角速度変動量取得部540における微小噴射も同様である。
図3は、レール圧60[MPa]において、予め定められた、所定の通電開始タイミングにおいて微小噴射を行い取得されたデータである。図3から分かるように、レール圧及び通電開始タイミングが同じであっても、エンジン回転数が異なると、クランクシャフトの角速度変動量が異なる。これは同じ運転条件での微小噴射であっても、エンジンの回転数が異なると、燃焼時のシリンダ内圧、ピストン位置等が異なることに起因すると考えられる。
本発明の実施において、図3に示す関係は、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存される。また、これらの情報は、後述のエンジン回転数影響補正部550において利用される。
第2角速度変動量取得部540は、車両の惰性走行中に、燃料噴射弁17に対する通電開始タイミングを変えながら微小噴射を実行し、その際のエンジン回転数及びクランクシャフトの角速度変動量を取得する。
ここで、微小噴射における、燃料噴射弁17に対する通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係について、図4を例として説明する。図4(a)及び図4(b)は、横軸に通電開始タイミング、縦軸にクランクシャフトの角速度変動量を示す。尚、横軸は圧縮上死点からの遅角側を表しており、0[deg]が圧縮上死点に相当する。図4は、一例として、図4(a)に、レール圧60[MPa]、エンジン回転数1400[rpm]における、通電開始タイミングと角速度変動量の関係、図4(b)は、レール圧60[MPa]、エンジン回転数2200[rpm]における、通電開始タイミングと角速度変動量の関係を示す。
図4(a)では、レール圧60[MPa]、エンジン回転数1400[rpm]において、通電開始タイミングが圧縮上死点後10[deg]付近において角速度変動量がピークとなっている。また、図4(b)では、レール圧60[MPa]、エンジン回転数2200[rpm]において、通電開始タイミングが圧縮上死点後13[deg]付近において角速度変動量がピークとなっている。すわなち、図4は、同じレール圧であっても、エンジン回転数が異なると、微小噴射による角速度変動量がピークとなる通電開始タイミングが異なることを示している。
エンジン回転数影響補正部550は、第2角速度変動量取得部540の処理において得られた、クランクシャフトの角速度変動量におけるエンジン回転数の影響分を、図3を利用して補正する。
具体的には、エンジン回転数影響補正部550は以下の様な処理を行う。まず、エンジン回転数影響補正部550は、基準とするエンジン回転数を、電子制御ユニット50から読み込む。これは、開発段階において、予め設定しておくことができる。本実施形態においては、一例として、1400[rpm]を基準として説明する。
図3において、エンジン回転数1400[rpm]におけるクランクシャフトの角速度変動量をA1400、エンジン回転数1600[rpm]におけるクランクシャフトの角速度変動量をA1600とし、A1600をA1400で除した値をA1600_corとする。すなわち、
A1600/A1400=A1600_cor
よって、エンジン回転数1600[rpm]における角速度変動量A1600をA1600_corで除することにより、エンジン回転数1600[rpm]における角速度変動量の、エンジン回転数による変動を補正することができる。すなわちA1600/A1600_corがA1400に等しくなる。
同様の手法により、エンジン回転数影響補正部550における処理により、第2角速度変動量取得部540の処理において得られた、他のエンジン回転数におけるクランクシャフトの角速度変動量に対しても、エンジン回転数による変動を補正することができる。換言すれば、エンジン回転数影響補正部550は、基準となるエンジン回転数1400[rpm]における角速度変動量に対し、エンジン回転数が異なることにより生ずる角速度変動量のずれ分を排除する。
尚、エンジン回転数影響補正部550は、本処理を実行するに先立ち、第2角速度変動量取得部540の処理において得られた、クランクシャフトの角速度変動量にフィルタリング処理を行い、ノイズ等の異常値を除去する。
本処理により、エンジン回転数影響補正部550は、レール圧60[MPa]における、エンジン回転数によらない、通電開始タイミングと角速度変動量の関係を示すデータを取得する。
角速度変動量最大値取得部560は、エンジン回転数影響補正部550において得られたデータから、レール圧60[MPa]における、クランクシャフトの角速度変動量の最大値、及び、クランクシャフトの角速度変動量が最大となる時の通電開始タイミングを取得する。具体的には、角速度変動量最大値取得部560は、エンジン回転数影響補正部550において取得された、通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係を示すデータを曲線で近似することにより、図5に示す線図を作成し、図5から角速度変動量の最大値D60、及びその時の通電開始タイミングT60_1を取得する。
微小噴射量再補正部570は、角速度変動量最大値取得部560が取得したクランクシャフトの角速度変動量の最大値D60が予め定められた目標範囲内にあるか否かを判定し、当該角速度変動量の最大値D60が目標範囲内にない場合、補正通電時間変更部520において補正された通電時間ETの通電終了タイミングをさらに補正する。
具体的には、微小噴射量再補正部570は、角速度変動量最大値取得部560が取得した角速度変動量の最大値D60が目標範囲の上限を上回る場合、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ早める。また、微小噴射量再補正部570は、角速度変動量最大値取得部560が取得した角速度変動量の最大値D60が目標範囲の下限を下回る場合、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ遅延させる。
図6は、微小噴射量再補正部570による処理を説明するための図である。図6において、ある2つの気筒における通電開始タイミングと角速度変動量との関係を示す例として、2種類のケースex_1及びex_2が描かれている。尚、微小噴射量再補正部570における処理は、実際には全ての気筒に対し行われるが、理解を容易とするため、図6においては、2つの気筒のみ例示されている。T0は、微小噴射量補正部500の処理が実行される通電開始タイミングである。ω0は、微小噴射量補正部500の処理における目標噴射量を、対応する角速度変動量として表したものである。微小噴射量補正部500における処理により、ex_1及びex_2共、通電開始タイミングT0における角速度変動量がω0となっている。
また、ex_1は、通電開始タイミングが、T0とは異なるタイミングT1において、角速度変動量の最大値D60_1を示し、ex_2は、通電開始タイミングがT0あるいはT1とは異なるタイミングT2において、角速度変動量の最大値D60_2を示している。
すなわち、ex_1、ex_2共、通電開始タイミングT0においては、角速度変動量がω0であるものの、T0とは異なる通電開始タイミングにおいて、角速度変動量が最大値となっている。
ex_2のケースにおいては、角速度変動量の最大値D60_2が、微小噴射量再補正部570の定める目標範囲D60_trgの上限値を上回っている。よって、微小噴射量再補正部570は、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ早める様、再補正を行う。
一方、ex_1のケースにおいては、角速度変動量の最大値D60_2が、微小噴射量再補正部570の定める目標範囲D60_trgの範囲内にある。よって、微小噴射量再補正部570による再補正は行われない。
また、劣化等の影響により、例えばex_1のケースにおいて、角速度変動量の最大値D60_1が、目標範囲D60_trgの下限を下回る場合には、微小噴射量再補正部570は、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ遅延させる様、再補正を行う。
これは以下の様な観点に基づくものである。すなわち、微小噴射量補正部500における補正は、所定の通電開始タイミングT0において行われる。しかし、各気筒において、通電開始タイミングT0における角速度変動量に基づき噴射量補正を行っても、他の通電開始タイミングにおいては角速度変動量の最大値、すなわち噴射量がずれている場合がある。あるいは、微小噴射量補正部500における補正が実行された後、上述した補正通電時間変更部520における処理が実行されることにより、角速度変動量の最大値がずれる場合がある。さらに、微小噴射量補正部500における補正が実行された後、燃料噴射弁の劣化により、角速度変動量の最大値がずれる場合も考えられる。
微小噴射量再補正部570においては、これらのずれ分が補正される。すなわち、微小噴射量再補正部570において、角速度変動量の最大値が目標範囲D60_trg内となる様補正が行われ。その後、後述する通電開始タイミングの補正を実行することにより、各気筒による噴射量のばらつきを、より精度よく補正することができる。
尚、微小噴射量再補正部570による処理における、角速度変動量の最大値対する目標範囲、及び、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETをさらに補正する際の上記所定量は、試験やシミュレーションにより予め決定され、微小噴射量再補正部570に保存されている。
また、角速度変動量最大値取得部560による角速度変動量の最大値の取得は、全ての気筒において、所定の数のレール圧に対し実行される。所定の数のレール圧をいかなるものとするかは、予め設定され、学習条件設定部510に保存されている。
通電開始タイミング補正部580は、各気筒、各レール圧における、クランクシャフトの角速度変動量の最大値及びその時の通電開始タイミングが取得された後、各燃料噴射弁17の通電開始タイミングを補正する。
通電開始タイミング補正部580は、レール圧毎に、各気筒におけるクランクシャフトの角速度変動量と通電開始タイミングとの関係を示す線図を作成する。図7は、一例として、各気筒における、レール圧60[MPa]での通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係を示す。図7において、実線は第1気筒、破線は第2気筒、一点鎖線は第4気筒、二点鎖線は第3気筒を示す。
図7においては、第1気筒、第2気筒、第3気筒、第4気筒における、微小噴射時の角速度変動量がピークとなる通電開始タイミングが、それぞれT60_1、T60_2、T60_3、T60_4として描かれている。T60_1が一番進角側であり、そこから遅角側へT60_2、T60_4、T60_3の順となっている。ここで、各気筒における、角速度変動量のピークが略一致しているのは、微小噴射量再補正部570による処理が行われたためである。
本実施形態において、通電開始タイミング補正部580は第1気筒を基準として、他の気筒の通電開始タイミングを補正する。第1気筒と第2気筒とで比較すると、角速度変動量がピークとなる通電開始タイミングは、第2気筒の方が第1気筒よりも(T60_2)-(T60_1)=ΔT2[deg]だけ遅角側にずれている。よって、通電開始タイミング補正部580は、燃料噴射時の第2気筒の通電開始タイミングをΔT2だけ進角側へずらす補正を行う。
同様に、通電開始タイミング補正部580は、第3気筒及び第4気筒に対しても、燃料噴射時の通電開始タイミングを、それぞれΔT3及びΔT4だけ進角側へずらす補正を行う。
本補正を行うことにより、各気筒の燃料噴射開始タイミングを一致させることができる。これは、微小噴射によるクランクシャフトの角速度変動量がピークとなる時の通電開始タイミングのずれが、燃料噴射開始タイミングのずれに一致するという発明者の知見に基づくものである。
尚、上述の実施形態においては、第1気筒を基準として、他の気筒の通電開始タイミングの補正を行ったが、他の気筒を基準として補正を行ってもよい。また、予め基準となる通電開始タイミングを決めておき、その基準値からのずれに応じて各気筒の通電開始タイミングを補正してもよい。
次に、本発明の実施の手順について、図8に示されるサブルーチンフローチャートを参照しつつ説明する。本サブルーチンフローチャートは、車両の運転中、所定の周期毎に繰り返される。
まず、ステップS102において、電子制御ユニット50は、微小噴射量学習条件を満たし、かつ、差分通電時間学習値ΔETを保存しているか否かを判定する。微小噴射量学習条件とは、微小噴射量補正部500において実行される微小噴射量補正が実行可能となる車両の運転条件である。具体的には、電子制御ユニット50は、アクセル開度が零で、車両が惰性で走行している状態であるか否かを判定する。尚、微小噴射量学習条件として、上記に加え、さらに別の条件を適宜付加することもできる。別の条件とは、例えば、車両のギヤ段が3速以上、冷却水温が所定値以上、車両速度が所定値以上、とすることができる。
差分通電時間学習値ΔETを保存しているか否か、については、具体的には、微小噴射量補正部500により算出された差分通電時間学習値ΔETが、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存されているか否かが判定される。換言すれば、過去の運転において、微小噴射量補正部500による補正が実行されている否かが判定される。
ステップS102においてYESと判定された場合、ステップS104の処理へ進む。一方、ステップS102においてNOと判定された場合、車両の運転条件が、本発明を実行する状態にないとして、図示されないメインルーチンへ一旦戻る。
ステップS104においては、学習条件設定部510が、本発明の実施における条件を設定する。具体的には、本発明の通電開始タイミング補正を行う対象とする気筒及びレール圧を設定する。学習条件設定部510において設定される気筒及びレール圧は、ステップS102において確認された、過去に微小噴射量学習が行われた学習条件の中から選択される。本実施の形態においては、一例として、学習条件設定部510において設定される条件を、第1気筒、レール圧60[MPa]とする。
続くステップS106においては、補正通電時間変更部520が、微小噴射量補正部500により算出された差分通電時間学習値ΔETを、微小噴射の通電終了タイミングへ反映させる処理を行う。これは、上述した様に、微小噴射量補正部500により算出された差分通電時間学習値ΔETは、本発明の実施前においては、微小噴射時の通電開始タイミングの補正に使用されている。本ステップにおいては、微小噴射の通電終了タイミングを、当該差分通電時間学習値ΔETだけ遅延させる、あるいは、早める。
続くステップS108において、第1角速度変動量取得部530による、微小噴射時における、クランクシャフトの角速度変動量とエンジン回転数Neとの関係が取得されているか否かが判定される。具体的には、第1気筒において、レール圧60[MPa]の条件下で所定数のエンジン回転数において微小噴射を行い、その際のクランクシャフトの角速度変動量が取得されているか否かが判定される。
ステップS108においてYESと判定された場合、ステップS110の処理へ進む一方、ステップS108においてNOと判定された場合、ステップS130の処理へ進む。
ステップS130においては、第1角速度変動量取得部530が、第1気筒において、レール圧60[MPa]の条件下で所定数のエンジン回転数において微小噴射を行い、その際の各エンジン回転数におけるクランクシャフトの角速度変動量を取得し、図3に示す線図を作成する。図3の線図が作成された後、処理は図示されないメインルーチンへ一旦戻る。
ステップS110においては、第2角速度変動量取得部540が、第1気筒において、レール圧60[MPa]の条件下で、燃料噴射弁17に対する通電開始タイミングを変えながら微小噴射を実行し、その際のクランクシャフトの角速度変動量を取得する。第2角速度変動量取得部540は、惰性走行中に微小噴射を実行するため、各微小噴射時におけるエンジン回転数が異なる。よって、第2角速度変動量取得部540は、各微小噴射における、通電開始タイミング、クランクシャフトの角速度変動量、及びエンジン回転数を記録し、当該データは、後述のエンジン回転数影響補正部550において利用される。
ステップS112においては、エンジン回転数影響補正部550が、第2角速度変動量取得部540において得られた、各微小噴射における、通電開始タイミングとクランクシャフトの角速度変動量との関係におけるエンジン回転数の影響分を、第1角速度変動量取得部530の処理において得られた図3を利用して補正する。尚、エンジン回転数影響補正部550は、本処理を実行するに先立ち、第2角速度変動量取得部540の処理において得られた、クランクシャフトの角速度変動量にフィルタリング処理を行い、ノイズ等の異常値を除去する。エンジン回転数影響補正部550において実行される具体的な補正内容は既に説明済であるため、ここでの再度の説明は省略する。
続くステップS114においては、角速度変動量最大値取得部560が、エンジン回転数影響補正部550の処理において取得されたデータから図5の線図を作成し、第1気筒、レール圧60[MPa]における、クランクシャフトの角速度変動量の最大値D60(ピーク値)を取得する。また、角速度変動量最大値取得部560は、クランクシャフトの角速度変動量が最大値D60となった際の通電開始タイミング(T60_1)も取得する。
続くステップS116においては、微小噴射量再補正部570が、角速度変動量最大値取得部560が取得した角速度変動量の最大値D60が予め定められた目標範囲内にあるか否かを判定する。具体的には、ステップS116において微小噴射量再補正部570は、ステップS114において取得された、クランクシャフトの角速度変動量の最大値D60が、所定の上限閾値を超えているか否かを判定する。ステップS116においてYESと判定された場合、ステップS118の処理へ進む一方、ステップS116においてNOと判定された場合、ステップS120の処理へ進む。
ステップS118においては、微小噴射量再補正部570が、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ早める様、再補正を行い、ステップS106の処理へ戻る。
ステップS120においては、微小噴射量再補正部570が、ステップS114において取得された、クランクシャフトの角速度変動量の最大値D60が、所定の下限閾値を下回っているか否かを判定する。ステップS120においてYESと判定された場合、ステップS122の処理へ進む一方、ステップS120においてNOと判定された場合、ステップS124の処理へ進む。
ステップS122においては、微小噴射量再補正部570が、補正通電時間変更部520による補正後の通電時間ETの通電終了タイミングを所定量だけ遅延させる様、再補正を行う。
ステップS124においては、角速度変動量最大値取得部560が、ステップS114において取得した、クランクシャフトの角速度変動量が最大値となった際の通電開始タイミング(T60_1)を、電子制御ユニット50の適宜の領域に保存する。
続くステップ126においては、角速度変動量最大値取得部560が、ステップS124において取得される、クランクシャフトの角速度変動量が最大値となった際の通電開始タイミングが、全ての気筒、及び、予め設定されたすべてのレール圧に対し取得されたか否かを判定する。ステップS126においてYESと判定された場合、ステップ128の処理へ進む。一方、ステップS126においてNOと判定された場合、図示されないメインルーチンへ一旦戻り、その後、S126の判定がYESとなるまで、上述の処理が繰り返される
ステップS128においては、通電開始タイミング補正部580が、各気筒、各レール圧における、通電開始タイミングを補正する。具体的な補正の手順については、通電開始タイミング補正部580に関する記述において既に説明済であるため、ここでの再度の説明は省略する。
以上、説明した様に、本発明によれば、従来行われている微小噴射量の補正制御を利用して、気筒間における燃料噴射開始タイミングのばらつきを補正することにより、燃料噴射制御の精度を向上させることができる。
10:燃料噴射制御装置、17:燃料噴射弁、50:電子制御ユニット、500:微小噴射量補正部、510:学習条件設定部、520:補正通電時間変更部、530:第1角速度変動量取得部と、540:第2角速度変動量取得部、550:エンジン回転数影響補正部、560:角速度変動量最大値取得部、570:微小噴射量再補正部、580:通電開始タイミング補正部

Claims (6)

  1. 複数の気筒を有するエンジンの燃料噴射制御装置であって、
    微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を通電時間を変えながら複数回実行した時のクランクシャフトの角速度変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたと推定される推定噴射量を求め、前記推定噴射量が目標噴射量となった時の通電時間と、予め定められた基準通電時間との差分を差分通電時間学習値として取得し、前記差分通電時間学習値によって前記微小噴射の通電時間の補正を行う微小噴射量補正部と、
    前記微小噴射量補正部において取得された前記差分通電時間学習値により補正された微小噴射である補正後微小噴射により生ずる前記クランクシャフトの角速度変動量とエンジン回転数との関係を取得する第1角速度変動量取得部と、
    料噴射弁に対する通電開始タイミングを変えながら前記補正後微小噴射を行い、その際の、前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係を取得する第2角速度変動量取得部と、
    前記第1角速度変動量取得部が取得した前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係、及び、前記第2角速度変動量取得部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係に基づき、前記エンジン回転数が異なることにより生じる前記クランクシャフトの角速度変動量のずれ分を排除した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係を取得するエンジン回転数影響補正部と、
    前記エンジン回転数影響補正部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係に基づき、前記クランクシャフトの角速度変動量の最大値、及び、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングを取得する角速度変動量最大値取得部と、
    前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングに基づき、それぞれの前記気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるようにそれぞれの前記気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正することにより、それぞれの前記気筒毎の燃料噴射開始タイミングを一定とする通電開始タイミング補正部と、
    を含む、燃料噴射制御装置。
  2. 前記通電開始タイミング補正部は、予め電子制御ユニットに記憶されている基準通電開始タイミングと、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングと、のずれ量に基づき、それぞれの前記気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるようにそれぞれの前記気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正する、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  3. 前記通電開始タイミング補正部は、予め定められた基準気筒における、前記クランクシャフトの角速度変量が前記最大値となるように前記基準気筒の前記通電開始タイミングを補正するとともに、
    前記基準気筒における、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる前記通電開始タイミングと、前記基準気筒以外の他の気筒における、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングと、のずれ量に基づき、それぞれの前記他の気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるように前記他の気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正する、請求項1に記載の燃料噴射制御装置。
  4. 前記角速度変動最大値取得部が取得した、前記クランクシャフトの角速度変動量の前記最大値が目標範囲内にない場合、前記クランクシャフトの角速度変動量の前記最大値が目標範囲内となるように、前記微小噴射量補正部により算出された前記差分通電時間学習値をさらに補正する微小噴射量再補正部を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
  5. 前記微小噴射の補正前における通電終了タイミングを前記差分通電時間学習値により補正することにより、前記補正後微小噴射における通電終了タイミングを設定する補正通電時間変更部を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の燃料噴射制御装置。
  6. 複数の気筒を有するエンジンの燃料噴射制御装置の制御方法であって、
    微小噴射量補正部が、微小噴射量の燃料噴射である微小噴射を通電時間を変えながら複数回実行した時のクランクシャフトの角速度変動量に基づいて前記微小噴射の際に噴射されたと推定される推定噴射量を求め、前記推定噴射量が目標噴射量となった時の通電時間と、予め定められた基準通電時間との差分を差分通電時間学習値として取得し、前記差分通電時間学習値によって前記微小噴射の通電時間の補正を行うステップと、
    第1角速度変動量取得部が、前記微小噴射量補正部において取得された前記差分通電時間学習値により補正された微小噴射である補正後微小噴射により生ずる前記クランクシャフトの角速度変動量とエンジン回転数との関係を取得するステップと、
    第2角速度変動量取得部が、燃料噴射弁に対する通電開始タイミングを変えながら前記補正後微小噴射を行い、その際の、前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係を取得するステップと、
    エンジン回転数影響補正部が、前記第1角速度変動量取得部が取得した前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係、及び、前記第2角速度変動量取得部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量と前記エンジン回転数との関係に基づき、前記エンジン回転数が異なることにより生じる前記クランクシャフトの角速度変動量のずれ分を排除した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係を取得するステップと、
    角速度変動量最大値取得部が、前記エンジン回転数影響補正部が取得した前記通電開始タイミングと前記クランクシャフトの角速度変動量との関係に基づき、前記クランクシャフトの角速度変動量の最大値、及び、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングを取得するステップと
    通電開始タイミング補正部が、前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となる通電開始タイミングに基づき、それぞれの前記気筒における燃料噴射による前記クランクシャフトの角速度変動量が前記最大値となるようにそれぞれの前記気筒毎の前記燃料噴射弁に対する前記通電開始タイミングを補正することにより、それぞれの前記気筒毎の燃料噴射開始タイミングを一定とするステップと、
    を含む、燃料噴射制御装置の制御方法。
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