JP7402011B2 - イオン交換膜クロマトグラフィー - Google Patents

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Description

本発明は、広くタンパク質の精製に関する。特に、本発明は、上流のイオン交換膜クロマトグラフィーの使用による不純物を取り除くための、下流の精製工程の性能を向上させるための方法に関する。
ラージスケールの、経済的なタンパク質の精製は、バイオテクノロジー産業にとってますます重要な課題である。一般的に、タンパク質は、そのタンパク質の遺伝子を含む組換えプラスミドを挿入することにより、関心タンパク質を産生するために操作された真核生物細胞株または原核生物細胞株のいずれかを用いて細胞培養により産生される。これらの細胞には、通常、動物血清の調製物から供給される、糖、アミノ酸、および成長因子を含む、複合増殖培地を与えなければならない。ヒトへの治療として使用するために十分な純度に、細胞自身の副産物由来および細胞に対して与えられる化合物の混合物由来の所望のタンパク質を分離することは、手強い課題を提起する。
細胞片からのタンパク質の精製の手順は、最初のうちは、所与のタンパク質の発現のメカニズムに依存する。いくつかのタンパク質は、細胞から周りの増殖培地への直接の分泌が生じ得、他は細胞内でなされる。後者のタンパク質に関しては、精製プロセスの最初の工程は細胞の溶解を含み、それは機械的せん断、浸透圧ショック、または酵素処理を含む種々の方法により行われ得る。そのような破壊は、ホモジネート内に細胞の全内容物を放出させ、さらに、小さなサイズであるために取り除くのが難しい細胞下の断片を産出する。それらは、一般的に、分画遠心法または濾過により取り除かれる。細胞の自然死による直接的に分泌されたタンパク質、および、タンパク質産生実行の過程での細胞内の宿主細胞のタンパク質の放出により、より小さな規模であるが、同様の問題が生じる。
大きな細胞破片成分のない、関心タンパク質を含む清澄液がいったん得られると、細胞により産生された残りの他のタンパクからのその分離は、通常、異なるクロマトグラフィー技術の組み合わせを用いて試みられる。これらの技術は、電荷、疎水性の程度、またはサイズに基づいて、タンパク質と他の不純物の混合物を分離する。いくつかの異なるクロマトグラフィー樹脂は、これらの技術のそれぞれに関して使用可能であり、関与する特定のタンパク質に対する精製スキームの的確な仕立てを可能にする。これらの分離方法のそれぞれのエッセンスは、タンパク質が長いカラムの下へ異なる速度で移動し、それらがより遠くのカラムの下側へ通過するようにして増加させる物理的分離を達成するか、あるいは、分離媒体に選択的に接着し、その後、異なる溶剤または置換剤により差次的に溶出または置換することである。いくつかの場合には、不純物が特異的にカラムに接着し、関心タンパク質は接着しない場合に、所望のタンパク質は不純物から分離され、つまり、関心タンパク質は「フロースルー」内に存在する。タンパク質精製に関する文献は、非特許文献1を含む。
Fahrner et al.,Biotechnol Genet Eng Rev.2001;18:301-27
従来のラージスケールの抗体精製プロセスは、他のカラム操作と組み合わせて、一次捕獲および精製工程として、固定化したプロテインAが使用されている周りに構築されることが多い。プロテインAは、IgGのFc領域に親和性のある、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureas)由来の細胞壁タンパク質である。この理由から、IgG精製のために広く用いられている。プロテインAカラム操作は、概して、フロースルー分画でほとんどの処理不純物を洗い流し、98%を超える製品関連純度を実現する。しかしながら、プロテインAクロマトグラフィーの使用に対しては、多くの欠点がある。まず、結合は、通常、中性からやや塩基性のpHで行われ、溶出は、通常、酸性のpHでなされる。潜在的な課題の1つは、低いpHが、IgGを変性させ得、または、部分的に変性させ得るということである。このため、および、臨床応用のために要求される高い製品純度のため、追加的な濃縮および精製工程が、製品関連異性体の分離、並びに、宿主細胞のタンパク質/DNA、細胞培養不純物、浸出したプロテインA、およびウイルスの残量の除去のために必要である。複合的な課題は、これらの多くの不純物が、精製された抗体を分離するための下流のプロセスの操作ユニットの効率に干渉し得る、ということである。他の主な課題は価格であり、プロテインAカラムは、従来のイオン交換カラムよりも、さらにより高額である。最後に、例えば、ポリペプチド、抗体様分子、抗体フラグメント、および/または所定の細胞系から精製された完全抗体の精製で、プロテインAクロマトグラフィーが適切でない、または、コスト的に禁止されている、とする多くのシナリオがある。
本発明の本質は、上記の課題を解決することであって、抗体、抗体フラグメント、およびポリペプチド精製におけるプロテインA工程を用いる、現在当該技術分野で可能なものに対する代替的な精製方法を、その実施形態において示す。
本明細書では、本発明は、(a)関心ポリペプチドおよび種々の混入物を含む組成物を、イオン交換膜に通し、前記ポリペプチドのpIとは明らかに異なるpHを有するバッファを含む操作条件で、前記ポリペプチドおよび前記膜は反対電荷を有して、前記ポリペプチドの前記電荷およびバッファイオンによる電荷の遮蔽を防止するのに有効な低イオン強度を高め、前記ポリペプチドおよび少なくとも1つの前記混入物を前記膜に結合させ、(b)前記関心ポリペプチドを含む、前記イオン交換膜からの分画を採取し、(c)前記ポリペプチドを含む前記組成物について1つまたはそれ以上のさらなる精製工程を行い、(d)前記精製ポリペプチドを前記溶出液から回収することを含む、タンパク質の精製のための下流のクロマトグラフィー工程の効率を高める方法に関する。
代替的には、本発明は、(a)関心ポリペプチドおよび種々の混入物を含む組成物を、陽イオン交換膜に通し、前記ポリペプチドのpIを約1から約5pH単位下回るpHを有するバッファ、および、約40mS/cm以下の伝導率を含む操作条件で、前記ポリペプチドおよび前記膜は反対電荷を有して、前記ポリペプチドおよび少なくとも1つの前記混入物を前記膜に結合させ、(b)前記関心ポリペプチドを含む、前記イオン交換膜からの分画を採取し、(c)前記ポリペプチドを含む前記組成物について1つまたはそれ以上のさらなる精製工程を行い、(d)前記精製ポリペプチドを前記溶出液から回収することを含む、タンパク質の精製のための下流のクロマトグラフィー工程の効率を高める方法に関する。
さらに代替的には、本発明は、(a)関心ポリペプチドおよび種々の混入物を含む組成物を、陰イオン交換膜に通し、前記ポリペプチドのpIを約1から約5pH単位上回るpHを有するバッファ、および、約40mS/cm以下の伝導率を含む操作条件で、前記ポリペプチドおよび前記膜は反対電荷を有して、前記ポリペプチドおよび少なくとも1つの前記混入物を前記膜に結合させ、(b)前記関心ポリペプチドを含む、前記イオン交換膜からの分画を採取し、(c)前記ポリペプチドを含む前記組成物について1つまたはそれ以上のさらなる精製工程を行い、(d)前記精製ポリペプチドを前記溶出液から回収することを含む、タンパク質の精製のための下流のクロマトグラフィー工程の効率を高める方法に関する。
一態様では、前記混入物は、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP)である。一態様では、前記混入物は、大腸菌タンパク質(ECP)である。一態様では、前記混入物は、ゲンタマイシンである。さらに他の態様では、前記混入物は、ポリエチレンイミン(PEI)である。
別の態様では、前記ポリペプチドは、CH2/CH3領域を含む。他の態様では、前記ポリペプチドは、抗体である。さらに他の態様では、前記抗体は、モノクローナル抗体である。
他の態様では、本方法はさらに、前記ポリペプチドを含む組成物に対して、上記工程aからbの前、上記工程aからbの間、または上記工程aからbのあとのうちいずれかに、1つまたはそれ以上のさらなる精製工程を行うことを含み、上記精製工程は、代替的にはFc結合親和性クロマトグラフィー(例えば、プロテインAクロマトグラフィー)、さらに代替的には、結合/溶出、フロースルー、または置換モードで操作されるカラムまたは膜を用いるイオン交換クロマトグラフィーである。さらに他の態様では、前記イオン交換膜は、モノリスまたはデプスフィルターにより置き換えられる。
さらに、本発明は、前記精製ポリペプチドを薬学的に許容可能な担体と組み合わせることにより、薬学的組成物の調製物を提供する。
図1は、最初のプロテインAカラムありまたはなしで、CEXカラムを保護するために、CEX膜を用いることによる抗体精製の概要を示す。 図2は、最初のステップとしてCEXカラムを保護するために、CEX膜を用いる非抗体精製の概要を示す。 図3は、pH5.5で6.4mS/cm、およびpH8.0で5.0mS/cm、ムスタング(Mustang)(商標)S(スモールスケール、0.18mL MV、667MV/時)での、mAb1陰イオン交換プールの収率を示す。 図4は、pH8.0、ムスタング(商標)Q(スモールスケール、0.35mL MV、600MV/時)での、mAb2陽イオン交換プールの収率を示す。 図5は、pH5.5、3.2mS/cm、ムスタング(商標)S(スモールスケール、0.18mL MV、1333MV/時)での、mAb3プロテインAプールに関するCHOPクリアランスを示す。 図6は、CEX膜によるオーバーロード後の不純物のクリアランスを示す。 図7は、勾配溶出、および、各分画における最も高い種の濃度に対する正規化により測定される種々の種のムスタングSの結合力を示す。 図8は、全ての勾配溶出分画量の合計により算出され、異なる膜負荷密度(load density)で比較され、最大量に対して正規化された、種々の種のムスタングS総結合量を示す。 図9は、タンパク質をロードし、UV吸光度がベースラインに届くまで20mMアセテートバッファで洗浄したムスタングS膜を、その後、ゲンタマイシンにより抗体置換を行うために、20mMアセテート/ゲンタマイシンバッファで溶出したものを示す。 図10は、種々のゲンタマイシン濃度で、CEX膜を用いた、または、用いない、CEXカラム(フラクトゲル(Fractogel)SE Hicap)上の抗体動的結合容量(DBC)を測定するためのプロトコールの概要を示す。 図11は、フラクトゲルSE Hicap抗体DBC上のゲンタマイシン濃度の効果を示す。 図12は、2つのCEX膜(ムスタングSおよびナトリックス(Natrix)S)上のゲンタマイシンDBCの比較を示す。 図13は、30%のDBC向上を示す、オーバーロードされたナトリックスSプールによるフラクトゲルSE Hicap抗体DBCを示す。 図14は、より少ないPEIが用いられると、36から51g/Lの向上を示す、SPセファロースファストフロー(SPSFF)タンパクDBC上で抽出プロセスにて用いられたPEI%の効果を示す。 図15は、より多いPEIが用いられると、工程収率の減少とプール不純物の増加を示す、SPSFF上で抽出プロセスにて用いるPEI%の効果を示す。 図16は、123mg/mL膜でのタンパク質およびECP漏出と比較して、330mg/mL膜でのPEI漏出を示す、タンパク質のナトリックスS DBC、ECP、およびPEIを示す。
定義
本明細書では、用語「約」により前置きされた数値範囲および量は、明白に、ちょうどの範囲またはちょうどの数量を含む。
本明細書で精製される「組成物」は、関心ポリペプチドおよび1つまたはそれ以上の混入物を含む。組成物は、「部分的に精製されている」(つまり、プロテインAクロマトグラフィーのように、1つまたはそれ以上の精製工程が行われる)こととしてもよく、または、宿主細胞もしくはポリペプチドを産生する生物(例えば、組成物が収集された細胞培養液を含むこととしてもよい。)から直接得られることとしてもよい。
本明細書で用いられる場合には、「ポリペプチド」は、一般的には、約10のアミノ酸よりも多くを有するペプチドおよびタンパク質を指す。好ましくは、ポリペプチドは、哺乳類のタンパク質であって、その例は、レニン;ヒト成長ホルモンおよびウシ成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポプロテイン;アルファ1アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;卵胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば、因子VIIIC、因子IX、組織因子、およびフォン・ヴィルブランド因子;抗凝固因子、例えば、プロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;プラスミノゲン活性化因子、例えば、ウロキナーゼまたはヒト尿または組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血性成長因子;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(正常なT細胞の活性で調節され、発現され、かつ分泌される(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウス性腺刺激ホルモン関連ペプチド;微生物タンパク、例えば、ベータ-ラクタマーゼ;DNA分解酵素;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えば、CTLA-4;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモンまたは成長因子のレセプター;プロテインAまたはD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば、骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、または-6(NT-3、NT-4、NT-5、またはNT-6)、または神経成長因子、例えば、NGF-β;血小板由来増殖因子(PDGF);線維芽細胞増殖因子、例えば、aFGFおよびbFGF;上皮増殖因子(EGF);トランスフォーミング増殖因子(TGF)、例えば、TGF-アルファおよびTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5を含む、TGF-ベータ;インスリン様増殖因子-Iおよび-II(IGF-IおよびIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様増殖因子結合タンパク(IGFBP);CDタンパク質、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、およびCD20;エリスロポエチン;骨形成誘導因子;イムノトキシン;骨形成タンパク質(BMP);インターフェロン、例えば、インターフェロン-アルファ、-ベータ、および-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えば、M-CSF、GM-CSF、およびG-CSF;インターロイキン(IL)、例えば、IL-1からIL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞レセプター;表面膜タンパク;崩壊促進因子;ウイルス抗原、例えば、AIDSエンベロープの一部;輸送タンパク質;ホーミングレセプター;アドレシン;調節タンパク質;インテグリン、例えば、CD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4およびVCAM;腫瘍関連抗原、例えば、HER2、HER3またはHER4レセプター;およびフラグメントおよび/またはあらゆる上記ポリペプチドの変異体、並びに、あらゆる上記ポリペプチドに結合する抗体フラグメントを含む抗体を含む。
「混入物」は、所望のポリペプチド産生物とは異なる物質である。混入物は、宿主細胞物質、例えば、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP)または大腸菌タンパク質(ECP);浸出したプロテインA;核酸;所望のポリペプチドの変異体、フラグメント、凝集物、異性体、もしくは誘導体;他のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス混入物;アミノグリコシド系抗生物質成分(例えば、ゲンタマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、カナマイシン);または精製プロセスに添加されるイオンポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアルギニン、ポリビニルホスホン酸、ポリアクリル酸)、等を含むが、これらに限定されない。
本明細書で用いられる場合、用語「C2/C3領域」は、免疫グロブリン分子のFc領域におけるこれらのアミノ酸残基を指す。好ましい実施形態では、C2/C3領域は、インタクトなC2領域、その後に続くインタクトなC3領域を含み、最も好ましくは免疫グロブリンのFc領域である。C2/C3領域含有ポリペプチドの例は、抗体、イムノアドヘシン、およびC2/C3領域と融合するまたは結合する関心ポリペプチドを含む融合タンパク質を含む。
本発明の好ましい実施形態では、本明細書で精製される抗体は、組換抗体である。「組換抗体」は、抗体をコードする核酸により形質転換された、または、遺伝子導入された、宿主細胞で産生されたもの、または相同的組換えの結果として抗体を産生するものである。「形質転換」および「遺伝子導入」は、細胞内で核酸を導入するプロセスを指すために互換的に使用される。以下の形質転換または遺伝子導入で、核酸は、宿主細胞ゲノム内で統合することとしてもよく、または、染色体外因子として存在してもよい。「宿主細胞」は、in vitro細胞培養での細胞並びに宿主動物内の細胞を含む。ポリペプチドの組換え型の産生方法は、例えば、参照により本明細書に明確に組み込まれる米国特許第5,534,615号に記載されている。
用語「抗体」は、広義に用いられ、具体的には、本明細書で定義されるように、C2/C3領域を含むために維持され、または、変更される限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体フラグメントを包含する。
本明細書で抗体は、関心「抗原」に対して方向づけられる。好ましくは、抗原は、生物学的に重要なポリペプチドであり、疾病または疾患に苦しむ哺乳類に対する抗体の投与は、その哺乳類に治療効果をもたらし得る。しかしながら、非ポリペプチド抗原(例えば、腫瘍関連糖脂質抗原、米国特許第5,091,178号参照)に対する抗体も考えられる。抗原がポリペプチドである場合、それは、増殖因子としての膜貫通分子(例えば、レセプター)またはリガンドであることとしてもよい。例示的な抗原は、上記これらのポリペプチドを含む。本発明により包含される、抗体の好ましい分子標的は、CDポリペプチド、例えば、CD3、CD4、CD8、CD19、CD20、およびCD34;HERレセプターファミリーの膜、例えば、EGFレセプター(HER1)、HER2、HER3、またはHER4レセプター;細胞接着分子、例えば、LFA-1、Mac1、p150、95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、およびそのサブユニットaまたはbのいずれかを含むav/b3インテグリン(例えば、抗CD11a、抗CD18、または抗CD11b抗体);増殖因子、例えば、VEGF;IgE;血液型抗原;flk2/flt3レセプター;肥満(OB)レセプター;mplレセプター;CTLA-4;ポリペプチドC等を含む。可溶性の抗原またはそのフラグメントは、任意に他の分子と結合し、抗体を生成するための免疫原として用いられ得る。レセプターとしての膜貫通分子に関し、これらのフラグメント(例えば、レセプターの細胞外ドメイン)は、免疫原として用いられ得る。代替的には、膜貫通分子を発現する細胞は、免疫原として用いられ得る。そのような細胞は、天然源(例えば、癌細胞株)由来であり得、または膜貫通分子を発現するように組換え技術により形質転換された細胞であることとしてもよい。
本明細書で精製される抗体の例は、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))を含むHER2抗体(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285-4289 (1992)、米国特許第5,725,856号)およびペルツズマブ(OMNITARG(商標))(国際公開第01/00245号);CD20抗体(以下参照);IL-8抗体(St John et al., Chest, 103:932 (1993)、および国際公開第95/23865号);ヒト化VEGF抗体huA4.6.1ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標))およびラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))のような、ヒト化および/または親和性成熟VEGF抗体を含む、VEGFまたはVEGFレセプター抗体(Kim et al., Growth Factors, 7:53-64 (1992)、国際公開第96/30046号、および1998年10月15日公開の国際公開第98/45331号);PSCA抗体(国際公開第01/40309号);エファリズマブ(RAPTIVA(登録商標))を含むCD11a抗体(米国特許第5,622,700号、国際公開第98/23761号、Steppe et al., Transplant Intl. 4:3-7 (1991)、およびHourmant et al., Transplantation 58:377-380 (1994));オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))を含むIgEに結合する抗体(Presta et al., J. Immunol. 151:2623-2632 (1993)、および国際公開第95/19181号;1998年2月3日発行の米国特許第5,714,338号、または1992年2月25日発行の米国特許第5,091,313号、1993年3月4日公開の国際公開第93/04173号、または1998年6月30日出願の国際出願US98/13410号、米国特許第5,714,338号);CD18抗体(1997年4月22日に発行の米国特許第5,622,700号、または1997年7月31日公開の国際公開第97/26912号);Apo-2レセプター抗体(1998年11月19日公開の国際公開第98/51793号);組織因子(TF)抗体(1994年11月9日に付与の欧州特許第0420937B1号);α~αインテグリン抗体(1998年2月19日公開の国際公開第98/06248号);EGFR抗体(例えば、キメラ化またはヒト化225抗体、セツキシマブ、1996年12月19日公開の国際公開第96/40210号のERBUTIX(登録商標));CD3抗体、例えば、OKT3(1985年5月7日発行の米国特許第4,515,893号);CD25またはTac抗体、例えば、CHI-621(SIMULECT(登録商標))およびZENAPAX(登録商標)(1997年12月2日発行の米国特許第5,693,762号);CD4抗体、例えば、cM-7412抗体(Choy et al., Arthritis Rheum 39(1):52-56 (1996));CD52抗体、例えば、CAMPATH-1H(ILEX/Berlex)(Riechmann et al., Nature 332:323-337 (1988));Fcレセプター抗体、例えば、Fcに対するM22抗体(RI Graziano et al., J. Immunol. 155(10):4996-5002 (1995)に記載);癌胎児性抗原(CEA)抗体、例えば、hMN-14(Sharkey et al., Cancer Res. 55(23Suppl): 5935s-5945s (1995));huBrE-3、hu-Mc3およびCHL6を含む胸部上皮細胞に対する抗体(Ceriani et al., Cancer Res. 55(23): 5852s-5856s (1995);およびRichman et al., Cancer Res. 55(23 Supp): 5916s-5920s (1995));C242のような結腸癌細胞に結合する抗体(Litton et al., Eur J. Immunol. 26(1):1-9 (1996));CD38抗体、例えば、AT13/5(Ellis et al., J. Immunol. 155(2):925-937 (1995));CD33抗体、例えば、HuM195(Jurcic et al., Cancer Res 55(23 Suppl):5908s-5910s (1995))およびCMA-676またはCDP771;EpCAM抗体、例えば、17-1A(PANOREX(登録商標));GpIIb/IIIa抗体、例えば、アブシキシマブまたはc7E3 Fab(REOPRO(登録商標));RSV抗体、例えば、MEDI-493(SYNAGIS(登録商標));CMV抗体、例えば、PROTOVIR(登録商標);HIV抗体、例えば、PRO542;肝炎抗体、例えば、Hep B抗体OSTAVIR(登録商標);CA125抗体OvaRex;イディオタイプのGD3 エピトープ抗体BEC2;αvβ3抗体(例えば、VITAXIN(登録商標);Medimmune);ヒト腎細胞癌抗体、例えば、ch-G250;ING-1;抗ヒト17-1An抗体(3622W94);抗ヒト直腸結腸腫瘍抗体(A33);直接GD3ガングリオシドに対する抗ヒトメラノーマ抗体R24;抗ヒト扁平上皮癌(SF-25);ヒト白血球抗原(HLA)抗体、例えば、Smart ID10および抗-HLA DR抗体Oncolym(Lym-1);CD37抗体、例えば、TRU016(Trubion);IL-21抗体(Zymogenetics/Novo Nordisk);抗B細胞抗体(Impheron);MAbを標的とするB細胞(免疫原/Aventis);1D09C3(Morphosys/GPC);LymphoRad 131(HGS);Lym-1抗体、例えば、Lym-1Y-90(USC)または抗Lym-1 Oncolym(USC/Peregrine);LIF 226(Enhanced Lifesci.);BAFF抗体(例えば、国際公開第03/33658号);BAFFレセプター抗体(例えば、国際公開第02/24909号参照);BR3抗体;Blys抗体、例えば、ベリムマブ;LYMPHOSTAT-B(商標);ISF 154(UCSD/Roche/Tragen);ゴミリキシマ(gomilixima)(Idec 152;Biogen Idec);IL-6レセプター抗体、例えば、アトリズマブ(atlizumab)(ACTEMRA(商標);Chugai/Roche);IL-15抗体、例えば、HuMax-Il-15(Genmab/Amgen);ケモカインレセプター抗体、例えば、CCR2抗体(例えば、MLN1202;Millieneum);抗補体抗体、例えば、C5抗体(例えば、エクリズマブ,5G1.1;Alexion);ヒト免疫グロブリンの経口製剤(例えば、IgPO;Protein Therapeutics);IL-12抗体、例えば、ABT-874(CAT/Abbott);テネリキシマブ(Teneliximab)(BMS-224818;BMS);S2C6およびそのヒト化変異体を含むCD40抗体(国際公開第00/75348号)およびTNX100(Chiron/Tanox);cA2またはインフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、CDP571、MAK-195、アダリムマブ(HUMIRA(商標))、ペグ化TNF-α抗体フラグメントを含むTNF-α抗体、例えば、CDP-870(Celltech)、D2E7(Knoll)、抗TNF-αポリクローナル抗体(例えば、PassTNF;Verigen);エプラツズマブY-90およびエプラツズマブ(epratzumab)I-131、アビオゲン(Abiogen)のCD22抗体(Abiogen,Italy)、CMC544(Wyeth/Celltech)、コンボトックス(combotox)(UT Soutwestern)、BL22(NIH)、およびLympoScan Tc99(Immunomedics)を含む、例えば、LL2またはエプラツズマブ(LYMPHOCIDE(登録商標);Immunomedics)のようなCD22抗体、を含むが、これらに限定されない。
CD20抗体の例は、今は「リツキシマブ」(「RITUXAN(登録商標)」)と呼ばれる「C2B8」(米国特許第5,736,137号);IDEC Pharmaceuticals,Inc.より市販される「イブリツモマブ・チウキセタン(Ibritumomab Tiuxetan)」(ZEVALIN(登録商標))または「Y2B8」により設計されたイットリウム[90]標識2B8マウス抗体(米国特許第5,736,137号;受け入れ番号HB11388で1993年6月22日にATCCにより寄託された2B8);マウスIgG2a「B1」、「トシツモマブ」とも呼ばれ、任意に131Iで標識され、Corixaより市販される「ヨウ素I131トシツモマブ」抗体(BEXXAR(商標))または「131I-B1」を生成する(米国特許第5,595,721号も参照);マウスモノクローナル抗体「1F5」(Press et al., Blood 69(2):584-591 (1987))および「フレームワークパッチ(framework patched)」またはヒト化1F5を含むその変異体(国際公開第2003/002607号、Leung, S.;ATCC寄託HB-96450);マウス2H7およびキメラ2H7抗体(米国特許第5,677,180号);ヒト化2H7(国際公開第2004/056312号、Lowman et al.);2F2(HuMax-CD20)、B細胞の細胞膜のCD20分子を標的とする全長ヒト、高親和性抗体(Genmab,Denmark;例えば、Glennie and van de Winkel, Drug Discovery Today 8: 503-510 (2003)およびCragg et al., Blood 101: 1045-1052 (2003);国際公開第2004/035607号;米国特許出願公開第2004/0167319号参照);国際公開第2004/035607号および米国特許出願公開第2004/0167319号(Teeling et al.)に記載のヒトモノクローナル抗体;米国特許出願公開第2004/0093621号(Shitara et al.)に記載のFc領域に結合するN-グリコシド結合コンプレックス型糖鎖を有する抗体;モノクローナル抗体、および、HB20-3、HB20-4、HB20-25、およびMB20-11のようなCD20に結合する抗原結合フラグメント(国際公開第2005/000901号、Tedder et al.);AMEシリーズの抗体のような分子に結合するCD20、例えば、国際公開第2004/103404号および米国特許出願公開第2005/0025764号(Watkins et al.,Eli Lilly/Applied Molecular Evolution,AME)に記載されているAME33抗体;米国特許出願公開第2005/0025764号(Watkins et al.)に記載されているような分子に結合するCD20;A20抗体またはその変異体、例えば、キメラまたはヒト化A20抗体(それぞれ、cA20、hA20)またはIMMU-106(米国特許出願公開第2003/0219433号、Immunomedics);米国特許出願公開第2005/0069545A1号、および国際公開第2005/16969号(Carr et al.)に記載の、エピトープ枯渇Leu-16、1H4、または2B8を含み、任意にIL-2と結合するCD20結合抗体;CD22およびCD20と結合する二重特異性抗体、例えば、hLL2xhA20(国際公開第2005/14618号、Chang et al.,);International Leucocyte Typing Workshopから入手可能なモノクローナル抗体L27、G28-2、93-1B3、B-C1、またはNU-B2(Valentine et al.のLeukocyte Typing III(McMichael, Ed., p. 440, Oxford University Press (1987));1H4(Haisma et al., Blood 92:184 (1998));抗CD20オーリスタチン(auristatin)E結合(Seattle Genetics);抗CD20-IL2(EMD/Biovation/City of Hope);抗CD20 MAbセラピー(EpiCyte);抗CD20抗体TRU015(Trubion)を含む。
本明細書で用いる用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指し、つまり、集団を構成する個々の抗体が、少量存在する、自然に発生し得る突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対するものである。さらに、種々の決定因子(エピトープ)に対して通常、種々の抗体を含む、従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定因子に対するものである。修飾語句「モノクローナル」は、実質的に均質な抗体の集団から得られるとされる、抗体の性質を示し、いずれかの特定の方法によって抗体の産生を必要とするとは解釈されない。例えば、本発明に従って用いられるモノクローナル抗体は、Kohler et al., Nature 256:495 (1975)により最初に記載されたハイブリドーマ方法により作製されることとしてもよく、または、組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)により作製されることとしてもよい。さらなる実施形態では、「モノクローナル抗体」は、McCafferty et al., Nature, 348:552-554 (1990)に記載される技術を用いて生成される抗体ファージライブラリーから分離され得る。Clackson et al., Nature, 352:624-628 (1991)およびMarks et al., J. Mol. Biol., 222:581-597 (1991)は、ファージライブラリーを用いる、マウスおよびヒト抗体の分離についてそれぞれ記載する。後の文献は、鎖シャッフリング(chain shuffling)(Marks et al., Bio/Technology, 10:779-783 (1992))による、高い親和性(nMレンジ)のヒト抗体の産生について記載し、並びに、非常に大きなファージライブラリーを構築するためのストラテジーとして、組み合わせ感染およびin vivoでの組換え(Waterhouse et al., Nuc. Acids. Res., 21:2265-2266 (1993))について記載している。よって、これらの技術は、モノクローナル抗体を分離するための、従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術に対する代替として実行可能である。代替的には、内因性の免疫グロブリン産生なしに、ヒト抗体の全てのレパートリーの産生を免疫化時に可能とする、形質転換動物(例えば、マウス)をすぐに産み出すことができる。例えば、キメラおよび生殖細胞系遺伝子変異マウスにおける抗体重鎖連結領域(J)遺伝子のホモ接合型欠失は、内因性の抗体産生の完全な阻害をもたらすことが記載される。そのような生殖細胞系遺伝子変異マウスにおける、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの移行は、抗原へのチャレンジ時にヒト抗体の産生をもたらすであろう。例えば、Jakobovits et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:2551 (1993); Jakobovits et al., Nature, 362:255-258 (1993); Bruggermann et al., Year in Immuno., 7:33 (1993);およびDuchosal et al., Nature 355:258 (1992)参照。
本明細書で、モノクローナル抗体は、具体的には、重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来、または、特定の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する、抗体における対応する配列に対して同一または相同の「キメラ」抗体(免疫グロブリン)を含むが、鎖(複数を含む)の残りは、他の種由来の、または、他の抗体のクラスもしくはサブクラスに属する抗体、並びに、所望の生物活性を示す限りそのような抗体のフラグメントに対応する配列に対して同一または相同である(米国特許第4,816,567号およびMorrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。
本明細書で用いられる場合、用語「高頻度可変領域」とは、抗原結合の原因となる抗体のアミノ酸残基を指す。高頻度可変領域は、「相補性決定領域」、または「CDR」(つまり、軽鎖可変ドメインにおける残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)、並びに、重鎖可変ドメインにおける31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(H3);Kabat et al., Sequences of polypeptides of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991))由来のアミノ酸残基、および/または「高頻度可変性ループ(hypervariable loop)」由来のそれらの残基(つまり、軽鎖可変ドメインにおける残基26~32(L1)、50~52(L2)および91~96(L3)、並びに、重鎖可変ドメインにおける26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3);Chothia and Lesk J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))を含む。「フレームワーク(Framework)」または「FR」残基は、本明細書で定義される高頻度可変領域残基以外のこれらの可変ドメイン残基である。
非ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形成は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含むキメラ抗体である。大部分は、ヒト化抗体はヒト免疫グロブリン(受容体抗体(recipient antibody))であり、受容体の高頻度可変領域由来の残基は、所望の特異性、親和性、および性能を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類のような、非ヒト種(ドナー抗体(donor antibody))の高頻度可変領域由来の残基により置換される。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基により置換される。さらに、ヒト化抗体は、受容体抗体において、または、ドナー抗体においてみられない残基を含むこととしてもよい。これらの変更は、さらに抗体性能を精製するためになされる。一般的に、ヒト化抗体は少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインを実質的に全て含み、全てのまたは実質的に全ての高頻度可変性ループは非ヒト免疫グロブリンのそれらに対応し、全てのまたは実質的に全てのFR領域は、ヒト免疫グロブリン配列のそれらである。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれの少なくとも一部を含むであろう。
ヒト化抗体の作製に使用される、ヒト可変ドメイン、軽鎖および重鎖の両方の選択は、抗原性の低減に非常に重要である。いわゆる「最良適合(best-fit)」方法によれば、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列は、既知のヒト可変ドメイン配列のライブラリー全体に対してスクリーニングされる。げっ歯類の配列に最も近いヒトの配列は、その後、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れられている(Sims et al., J. Immunol., 151:2296 (1993); Chothia et al., J. Mol. Biol., 196:901 (1987))。
他の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列由来の特定のフレームワークを用いる。同じフレームワークを、いくつかの異なるヒト化抗体のために用いることとしてもよい(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immnol., 151:2623 (1993))。
抗体は、抗原に対する高い親和性の維持、および、他の好ましい生物学的特性を有してヒト化されることがさらに重要である。この課題を達成するために、好ましい方法によれば、ヒト化抗体は、親配列、並びに、親およびヒト化配列の三次元モデルを用いる種々の概念的ヒト化産生物の分析のプロセスにより調製される。三次元免疫グロブリンモデルは普及しており、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の、可能性のある三次元立体構造を示して表示する、コンピュータプログラムが使用可能である。これらの表示の調査は、候補免疫グロブリン配列の機能における、残基について見込まれる役割の分析、つまり、その抗原に結合する、候補免疫グロブリンの性能に影響を及ぼす残基の分析を可能にする。このように、所望の抗体特性、例えば、標的抗原(複数を含む)に関する親和性の増加を達成するように、FR残基は、受容体から選択されて、組み合わされ、そして配列を移入し得る。一般的には、CDR残基は、直接的にかつほぼ実質的に、抗原結合への影響に関与している。
「抗体フラグメント」は、抗体の全長の一部、一般的には、抗原結合領域またはその可変領域を含む。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント;二重特異性抗体;線状抗体(linear antibody);一本鎖抗体分子;および抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体、を含む。種々の技術は、抗体フラグメントの産生のために開発されてきた。慣例上、これらのフラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質消化を介して得られた(例えば、Morimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992)およびBrennan et al., Science, 229:81 (1985)参照)。しかしながら、現在、これらのフラグメントを組換え型の宿主細胞により直接産生することができる。例えば、抗体フラグメントを、上述した抗体ファージライブラリーから単離することができる。代替的には、Fab’-SHフラグメントは、大腸菌から直接回収され、化学的に結合されてF(ab’)フラグメントを形成することができる(Carter et al., Bio/Technology 10:163-167 (1992))。他の実施形態では、F(ab’)は、F(ab’)分子の集合を促進するために、ロイシンジッパーGCN4を用いて形成される。他のアプローチによれば、F(ab’)フラグメントを、組換え型の宿主細胞培養から直接単離することができる。抗体フラグメント産生のための他の技術は、当業者にとって明白であろう。
他の実施形態では、選択する抗体は、一本鎖Fvフラグメント(scFv)である。国際公開第93/16185号参照。「一本鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVおよびVドメインを含み、これらのドメインは、単鎖ポリペプチドに存在する。一般的には、Fvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VおよびVドメイン間のポリペプチドリンカーをさらに含む。sFvの概要に関しては、Pluckthun in The Pharmacology of monoclonal antibodies, vol. 113, Rosenburg and Moore eds. Springer-Verlag, New York, pp. 269-315 (1994)参照。
用語「二重特異性抗体」は、2つの抗原結合部位を有する、小さな抗体フラグメントを指し、そのフラグメントは、同じポリペプチド鎖(V-V)にて、軽鎖可変ドメイン(V)に結合される重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖上で2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを用いることにより、ドメインは、他の鎖の相補的ドメインと対になり、2つの抗原結合部位を形成することを強いられる。二重特異性抗体については、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448 (1993)により十分に記載されている。
本出願で用いられる場合、表現「線状抗体」は、Zapata et al., polypeptide Eng. 8(10):1057-1062 (1995)に記載されている抗体を指す。簡潔には、これらの抗体は、抗原結合領域のペアを形成するタンデム(tandem)Fdセグメント(V-C1-V-C1)のペアを含む。線状抗体は、二重特異性または単一特異性であり得る。
「多重特異性抗体」は、少なくとも2つの異なるエピトープに関する結合特異性を有し、それらエピトープは、通常、異なる抗原由来である。このような分子は、通常、2つの抗原のみに結合するが(つまり、二重特異性抗体、BsAb)、三重特異性抗体のように追加の特異性を有する抗体は、本明細書で用いられる場合、この表現により包含される。BsAbの例は、腫瘍細胞抗原に対する1つのアーム(arm)および細胞傷害性トリガー分子(trigger molecule)に対する他のアームを有するもの、例えば、抗FcγRI/抗CD15、抗p185HER2/FcγRIII(CD16)、抗CD3/抗悪性腫瘍B細胞(1D10)、抗CD3/抗p185HER2、抗CD3/抗p97、抗CD3/抗腎細胞癌、抗CD3/抗OVCAR-3、抗CD3/L-D1(抗結腸癌)、抗CD3/抗メラニン細胞刺激ホルモン類似体、抗EGFレセプター/抗CD3、抗CD3/抗CAMA1、抗CD3/抗CD19、抗CD3/MoV18、抗神経細胞粘着分子(neural cell ahesion molecule)(NCAM)/抗CD3、抗葉酸結合タンパク質(FBP)/抗CD3、抗汎腫瘍性(pan carcinoma)関連抗原(AMOC-31)/抗CD3;腫瘍抗原に特異的に結合する1つのアームおよび毒素に結合する1つのアームを有するBsAb、例えば、抗サポリン/抗Id-1、抗CD22/抗サポリン、抗CD7/抗サポリン、抗CD38/抗サポリン、抗CEA/抗リシンA鎖、抗インターフェロン-α(IFN-α)/抗ハイブリドーマイディオタイプ、抗CEA/抗ビンカアルカロイド;酵素活性プロドラッグを変換するためのBsAb、例えば、抗CD30/抗アルカリホスファターゼ(マイトマイシンリン酸塩(mitomycin phosphate)プロドラッグのマイトマイシンアルコールへの変換を触媒する);血栓溶解薬として用いられ得るBsAb、例えば、抗フィブリン/抗組織プラスミノゲン活性化因子(tPA)、抗フィブリン/抗ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA);細胞表面レセプターに対する免疫複合体を標的にするためのBsAb、例えば、抗低密度リポタンパク質(LDL)/抗Fcレセプター(例えば、FcγRIまたはFcγRIII);感染疾病の治療に用いるためのBsAb、例えば、抗CD3/抗単純ヘルペスウイルス(HSV)、抗T細胞レセプター:CD3複合体/抗インフルエンザ、抗FcγR/抗HIV;in vitroまたはin vivoでの腫瘍検出のためのBsAb、例えば、抗CEA/抗EOTUBE、抗CEA/抗DPTA、抗p185HER2/抗ハプテン;ワクチンアジュバントとしてのBsAb;および診断ツールとしてのBsAb、例えば、抗ウサギIgG/抗フェリチン、抗西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)/抗ホルモン、抗ソマトスタチン/抗サブスタンスP、抗HRP/抗FITC、抗CEA/抗βガラクトシダーゼ、を含む。三重特異性抗体の例は、抗CD3/抗CD4/抗CD37、抗CD3/抗CD5/抗CD37、および抗CD3/抗CD8/抗CD37を含む。二重特異性抗体は、全長の抗体または抗体フラグメント(例えば、F(ab’)二重特異性抗体)として調製され得る。
2よりも多い原子価を有する抗体が考えられる。例えば、三重特異性抗体が調製され得る。Tutt et al., J. Immunol. 147: 60 (1991)。
本明細書における目的に関する「裸の抗体(naked antibody)」は、細胞傷害性部分または放射標識に結合していない抗体である。
本明細書における「インタクトな抗体」とは、2つの抗原結合領域およびFc領域を有する。好ましくは、インタクトな抗体は、機能的なFc領域を有する。
「治療」は、治療処置および予防または防止手段の両方を指す。治療を必要とするのは、すでに疾患を有する者、並びに、疾患が防止されるべき者を含む。
「疾患」は、本明細書に記載されるように精製された抗体による治療から利益を得るであろう、あらゆる状態である。これは、慢性および急性疾患、並びに、これらの疾患へと哺乳類を病気に罹らせるそれらの病的状態の両方を含む。
語句「イオン交換クロマトグラフィー」は、化合物がそれらの正味の電荷に基づいて分離される、分離技術を指す。分子は、陰イオン(負の電荷を有する)または陽イオン(正の電荷を有する)のいずれかとして分類される。いくつかの分子(例えば、ポリペプチド)は、陰イオンおよび陽イオングループの両方を有することとしてもよい。
陰イオン交換樹脂またはイオン交換ポリマーは、有機ポリマー基材から製造された、通常、小さな(直径1~2mm)ビーズの形態の、不溶性マトリックス(または支持構造)である。Horie et al. Pure Appl. Chem. (2004) Vol. 76, No. 4, pp. 889-906。材料は、容易にイオンを捕捉して放出する部位である表面上に、高度に発達したポア構造を有する。イオンの捕捉は、他のイオンの放出と同時にのみ行われ、よって、そのプロセスはイオン交換とも呼ばれる。1つまたはいくつかの異なるタイプのイオンを選択的に選ぶように製造される、複合的な異なるタイプのイオン交換樹脂がある。
最も典型的なイオン交換樹脂は、架橋したポリスチレンに基づく。必要とされる活性基は、重合後に導入され得、置換された単量体が用いられ得る。例えば、架橋結合は、重合プロセス時に、スチレンに対して0.5~25%のジビニルベンゼンを加えることにより達成されることが多い。非架橋ポリマーは、安定性が低いので、まれにしか用いられない。架橋結合は、樹脂のイオン交換能を減少させ、イオン交換プロセスを達成するために必要とされる時間が延長される。粒子のサイズもまた、樹脂のパラメーターに影響を及ぼし、より小さな粒子はより大きな外表面を有するが、カラムプロセスにおけるより大きなヘッドロスを引き起こす。
官能基が異なる、4つの主なタイプのイオン交換樹脂:強酸性(典型的には、スルホン酸基、例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、または、ポリAMPS);強塩基性、(四級アミノ基(quaternary amino group)、例えば、ポリAPTACのようなトリメチルアンモニウム基);弱酸性(主に、カルボン酸基));弱塩基性(一級、二級、および/または三級アミノ基、例えば、ポリエチレンアミン)がある。特殊なタイプ:キレート樹脂(イミノ二酢酸、チオ尿素、および他多数)もある。
イオン交換クロマトグラフィー膜は、全部の正または負の電荷により化合物と結合するであろう。結合部位は、吸着材のポアに沿って位置する。化合物は、対流により結合部位へ輸送される。正に帯電した膜(陰イオン交換)は、全部の負の電荷により化合物と結合するであろう。逆に、負に帯電した膜(陽イオン交換)は、全部の正の電荷により化合物と結合するであろう。
イオン交換膜を強または弱のいずれかとしてさらに特徴づけることができる。強イオン交換膜は、pHレベルの広い範囲にわたって帯電(イオン化)されている。弱イオン交換膜は、狭いpH範囲内でイオン化されている。4つの最も一般的なイオン交換の化学的性質は以下である。
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一般的には、イオン交換膜は0.1から100μmのポアサイズを有する。参照としては、SartobindQ(SartoriusAG)は、3~5μmの公称のポアサイズを有し、単層または多層フォーマットで市販される、強陰イオン交換膜であり、ムスタングQ(Pall Corporation)は、0.8μmの公称のポアサイズを有し、同様に単層または多層フォーマットで市販される、強陰イオン交換膜である。他の参照としては、SartobindS(SartoriusAG)は、3~5μmの公称のポアサイズを有し、単層または多層フォーマットで市販される、強陽イオン交換膜であり、ムスタングS(Pall Corporation)は、0.8μmの公称のポアサイズを有し、同様に単層または多層フォーマットで市販される、強陽イオン交換膜である。他の参照としては、ナトリックスS(Natrix Separations,Inc.)は、高表面積マクロ多孔性ハイドロゲル内に包まれる不織性の高度な繊維耐久性ポリマー基質で構成される強陽イオン交換膜である。
「公称の」ポアサイズの定格は、60から98%の大部分の微粒子が定格のポアサイズを維持するための膜の性能を表す。
溶液の「pH」は、水試料のイオン化に対する酸性度またはアルカリ性度を計測する。水のpHは中性、つまり、7である。ほとんどのpHの読み取り値は0から14の範囲である。水より高い[H+](7より低いpH)を有する溶液は酸性であり、水より低い[H+](7より高いpH)を有する溶液はアルカリ性である。pHは、pHメーターを用いて測定され得る。バッファのpHは、HClまたはNaOHのような酸または塩基を用いて調節されることとしてもよい。
ポリペプチドのような分子の「pI」または「等電点」は、ポリペプチドが同じ数の正および負の電荷を含むpHを指す。pIは、ポリペプチドのアミノ酸残基の正味の電荷から算出され得、または、等電点分離法により測定され得る。陰イオンと陽イオングループの両方を有するポリペプチドの両性の性質は、操作されることとしてもよい。ポリペプチドのpHは、所望のポリペプチドが陽イオンとして作用する(正の電荷を有する)点にまで下げられることとしてもよい。代替的に、ポリペプチドのpHは、所望のポリペプチドが陰イオンとして作用する(負の電荷を有する)点にまで上げられることとしてもよい。
用語「伝導率」は、2つの電極間の電流を伝導する溶液の性能を指す。伝導率の基本単位は、ジーメンス(siemens)(S)であり、以前は、モー(mho)と呼ばれていた。伝導率は、通常、mS/cmの単位で表される。溶液中のイオンの電荷は、電流の伝導度を促進させるので、溶液の伝導率は、そのイオン濃度に比例する。これらの測定はともに、イオン強度と十分に関連付けることができる。イオン強度は、電解質の濃度と密接に関連し、特定のイオンの電荷が、どの程度効果的に、電解質における他のイオンによりシールドされ、または、安定化されるのかを示す。イオン強度と電解質濃度との主な違いは、いくつかのイオンがより高く帯電した場合に、前者のほうがより高くなることである。両者の他の違いは、イオン強度がフリーイオンの濃度を反映し、単にどのくらいの塩を溶液に添加したのかではないことである。伝導率は、オリオン(Orion)伝導率メーターの種々のモデルのような伝導率メーターを用いて測定され得る。溶液の伝導率は、その中のイオンの濃度を変化させることにより変更されることとしてもよい。例えば、溶液中の緩衝剤の濃度および/または塩の濃度(例えば、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、または塩化カリウム)は、所望の伝導率を達成するために変更されることとしてもよい。好ましくは、種々のバッファの塩の濃度は、所望の導電率を達成するために変更される。
膜クロマトグラフィーに関し、「流量」は、通常、1時間あたりの膜容量(membrane volume)(MV/時)として記載される。
膜クロマトグラフィーに関し、「負荷密度(load density)」は、膜で1リットルあたりに処理される組成物のグラム数として表現されることが多い。
「バッファ」は、酸-塩基結合成分の作用による、pHの変化に抵抗する溶液である。例えば、バッファの所望のpHに応じて準備され得る種々のバッファは、Buffers. A Guide for the Preparation and Use of Buffers in Biological Systems, Gueffroy, D., Ed. Calbiochem Corporation (1975)に記載されている。
ポリペプチドおよび1またはそれ以上の混入物を含む組成物からポリペプチドを「精製する」ことは、組成物から少なくとも1つの混入物を(完全にまたは部分的に)取り除くことにより、組成物におけるポリペプチドの純度を増加させることを意味する。「精製工程」とは、「均質」な組成物をもたらす全ての精製プロセスの一部であることとしてもよい。本明細書において「均質」は、組成物の総重量に基づき、少なくとも約70重量%、好ましくは少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、さらにより好ましくは少なくとも約95重量%の関心抗体を含む組成物を指すために用いられる。
イオン交換膜への分子の「結合」とは、分子がイオン交換膜内またはイオン交換膜上で可逆的に固定化されるように、適切な条件下(pHおよび/または伝導率)で、分子とイオン交換膜の帯電した基(複数を含む)との間の静電的相互作用によりイオン交換膜に分子を曝すことを意味する。
イオン交換膜の「洗浄」とは、イオン交換膜中またはイオン交換膜上に適切なバッファを通すことを意味する。
イオン交換膜からの分子(例えば、抗体または混入物)の「溶出」は、それらから分子を取り除くことを意味する。
膜クロマトグラフィーに関し、「フロースルー」は、化合物が保持されていない場合の膜への不純物の結合を指す。
膜クロマトグラフィーに関し、「競合吸着」は、所与の条件における、1より多い成分の膜への結合を指す。
膜クロマトグラフィーに関し、「オーバーロードクロマトグラフィー」は、関心化合物および不純物の両方の膜への競合吸着の促進を指す。膜は、化合物の結合容量を超えてロードされる。不純物がより強く結合するという、化合物と不純物との異なる結合力を利用することにより、化合物は、不純物により置換され、膜から脱離し、膜溶出液中に流れ出る。
「置換クロマトグラフィー」は、サンプルがカラムまたは膜上に配置され、その後、もとの混合物の成分よりもより強く吸収される溶質により置換される、クロマトグラフィー技術に関する。溶剤分離「ピーク」よりも、連続する「矩形」ゾーンの高度に濃縮された純物質に、成分が分離されることが結果となる。Tugcu (1994) Methods in Molecular Biology: Vol 421 Affinity Chromatography Methods and Protocols pp 71-89。より高い産生濃度、より高い純度、より増加したスループットが、クロマトグラフィーの他のモードと比較して得られるかもしれない。置換クロマトグラフィーは、種々のアプリケーションにおける高いカラム負荷での複合混合物からのタンパク質の精製に関して効率的な技術である。置換クロマトグラフィーは、ベンチスケールでの標準的な分析的クロマトグラフィーカラムを用いて、複合混合物から精製タンパク質のmg量を得ることに関し、十分に適している。また、特に、フィードにおける微量成分の濃縮に関し、十分に適している。置換クロマトグラフィーは、イオン交換、HIC、およびRPLCを含む種々の樹脂システムを用いて容易に行うことができる。 Freitag and Breier. (1995) J. Chromatogr. A 691, 101-112。
語句「混合モード」は、例えば、正味の電荷に基づく分離の上に積層されるポリペプチド間の親水性/疎水性の差に基づく分離のような、2つの異なるメカニズムに基づいて化合物を分離する性能を有する吸着剤を指す。これは、イオン性相互作用および水素結合または疎水性相互作用を含むいくつかの異なる方法で標的分子と相互に作用し得る多様式のリガンドの使用により達成されることが多い。GE Healthcare Capto(商標)MMCおよびCapto(商標)Adhereのような吸着剤は、「混合モード」クロマトグラフィー樹脂の例である。
「デプスフィルター」は、媒体により、むしろ単に媒体の表面上で、粒子を保持するために多孔質濾過媒体を用いる種々のフィルターである。これらのフィルターは、他のタイプのフィルターに対して相対的に、目詰まりする前に大量の粒子を保持できるので、濾過される液体が高負荷の粒子を含む場合に通常用いられる。
「モノリス」は、特定のアプリケーションに関して、化学的に変更されている多孔性基材で構成されるクロマトグラフィー媒体を指す。イオン交換モノリスは、クロマトグラフィー樹脂に対する代替として開発され、典型的には、より多量の輸送とより低い圧力をもたらす高い浸透性および短い拡散距離を示し、より高い流速および/またはより短い滞留時間での使用を可能にする。
本発明の実施に関する形態
本明細書において、本発明は、ポリペプチドおよび1つまたはそれ以上の混入物を含む組成物(例えば、水溶液)からポリペプチドを精製する方法を提供する。組成物は、一般的には、ポリペプチドの組換え型の産生物から得られるものであるが、ペプチド合成(または他の合成手段)によるポリペプチドの産生から得られることとしてもよく、または、ポリペプチドの天然源(native source)からポリペプチドを精製することとしてもよい。好ましくは、ポリペプチドはC2/C3領域を含むポリペプチドである。好ましい実施形態では、C2/C3領域を含むポリペプチドは抗体である。
抗体の組換え型の産生
ポリペプチドの組換え型の産生に関し、ポリペプチド配列をコードする核酸は、単離されて、さらなるクローニング(DNAの増幅)のために、または、発現のために、複製可能なベクターに挿入される。ポリペプチドをコードするDNAは、従来の手順(例えば、抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子への特異的な結合を可能とするオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)を用いて、容易に単離されて、配列決定される。多くのベクターが使用可能である。ベクター成分は、一般的に、1つまたはそれ以上の、下記シグナル配列、複製開始点、1つまたはそれ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,534,615号に具体的に記載されているように)を含むが、これらに限定されない。
本明細書において、ベクターにおけるDNAをクローニングまたは発現するための適切な宿主細胞は、原核生物、酵母、または高度な真核生物細胞である。本目的に関して適する原核生物は、グラム陰性またはグラム陽性生物のような真正細菌を含み、例えば、大腸菌のようなエシェリシア属、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ・チフィリウムのようなサルモネラ、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescans)のようなセラチア、および赤痢菌、のような腸内細菌、並びに、枯草菌およびリケニホルミス菌(例えば、1989年4月12日発行のDD266,710に記載されているバチルス・リケニフォルミス41P)のような桿菌、緑膿菌のようなシュードモナス、およびストレプトマイセスである。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31,446)であるが、大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC 31,537)、および大腸菌W3110(ATCC27,325)のような他の菌株も適する。これらの例は、限定するというよりもむしろ例示である。
原核生物に加えて、糸状菌類または酵母のような真核生物の微生物は、ベクターをコードする抗体に関するクローニングおよび発現宿主に適する。出芽酵母または一般のパン酵母は、下等な真核生物の宿主微生物の間で最も一般的に用いられる。しかしながら、シゾサッカロミセス・ポンベ;クリベロマイセス属宿主、例えば、クリベロマイセス・ラクチス、クリベロマイセス・フラジリス(K.fragilis)(ATCC12,424)、クリベロマイセス・ブルガリクス(K.bulgaricus)(ATCC16,045)、クリベロマイセス・ウィケラミイ(K.wickeramii)(ATCC24,178)、クリベロマイセス・ワルチイ(K.waltii)(ATCC56,500)、クリベロマイセス・ドロソフィラルム(K.drosophilarum)(ATCC36,906)、クリベロマイセス・テモトレランス(K.thermotolerans)、およびクリベロマイセス・マルキシアナス(K.marxianus);ヤロウイア属(EP402,226);ピキア・パストリス(EP183,070);カンジダ属;トリコデルマ・リーシア(Trichodrma reesia)(EP244,234);アカパンカビ;シュワニオマイセスオクシデンタリス(Schwanniomyces occidentalis)のようなシュワニオマイセス属(Schwanniomyces);並びに、例えば、ニューロスポーラ、ペニシリウム、トリポクラディウム(Tolypocladium)のような糸状菌類、および、アスペルギルス・ニデュランスやアスペルギルス・ニガーのようなアスペルギルス属宿主のような他の属、種、および菌株は、一般的に入手可能であり、本明細書において有用である。
グリコシル化ポリペプチドの発現に関して適する宿主細胞は、多細胞性生物由来である。脊椎動物細胞の例は、植物および昆虫細胞を含む。数多くのバキュロウイルス菌株および変異体、並びに、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(イモムシ)、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)(蚊)、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、およびカイコのような宿主由来の、対応する許容昆虫宿主細胞が同定されている。遺伝子導入のための種々のウイルス株、例えば、キンウワバ科NPVのL-1変異体およびカイコNPVのBm-5株が一般的に利用可能であり、本明細書においては、そのようなウイルスは、特に、スポドプテラ・フルギペルダの細胞の遺伝子導入に関し、本発明に係るウイルスとして用いられることとしてもよい。また、コットン、コーン、ポテト、ダイズ、ペチュニア、トマト、およびタバコの植物細胞培養は、宿主として利用され得る。
しかしながら、関心はこの上ない脊椎動物細胞にあり、培養(組織培養)における脊椎動物細胞の普及によりルーチン手順となっている。有用な哺乳類宿主細胞株の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1細胞(COS-7,ATCC CRL1651);ヒト胚性腎臓細胞(懸濁培養での増殖用にサブクローニングされた293または293細胞、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO,Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980));マウスセルトリ細胞(TM4,Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76,ATCC CRL-1587);ヒト子宮頚部癌細胞(HELA,ATCC CCL2);イヌ腎臓細胞(MDCK,ATCC CCL34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A,ATCC CRL1442);ヒト肺細胞(W138,ATCC CCL75);ヒト肝細胞(Hep G2,HB8065);マウス***腫瘍(MMT 060562,ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982));MRC5細胞;FS4細胞;およびヒト肝腫瘍細胞(Hep G2)を含むが、これらに限定されない。CHO細胞が抗体の発現に関して好ましいことが多く、本発明により精製される抗体を産生するのに有利に使用されるかもしれない。
宿主細胞は、ポリペプチド産生のために、上記発現またはクローニングベクターにより形質転換され、プロモーターを誘導し、形質転換を選択し、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるために適切であるとして改変された、慣用されている栄養培地で培養される。
本発明のポリペプチドを産生するために用いられる宿主細胞は、種々の培地で培養されることとしてもよい。Ham F10(Sigma)、最小必須培地(Minimal Essential Medium)((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)、およびダルベッコ変法イーグル培地((DMEM)、Sigma)のような市販の培地が、宿主細胞の培養に適している。さらに、Ham et al., Meth. Enz. 58:44 (1979)、Barnes et al., Anal. Biochem.102:255 (1980)、米国特許第4,767,704号;米国特許第4,657,866号;米国特許第4,927,762号;米国特許第4,560,655号;もしくは米国特許第5,122,469号;国際公開第90/03430号;国際公開第87/00195号;または米国再発行特許第30,985号に記載されるあらゆる培地が、宿主細胞用の培地として使用されることとしてもよい。これらのあらゆる培地は、必要に応じて、ホルモンおよび/または他の増殖因子(例えば、インスリン、トランスフェリン、または上皮増殖因子)、塩(例えば、塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩)、バッファ(例えば、HEPES)、ヌクレオチド(例えば、アデノシンおよびチミジン)、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、ゲンタマイシン)、微量元素(通常、マイクロモルレンジの最終濃度で存在する、無機化合物として定義される)、並びにグルコースまたは同等のエネルギー源を補うこととしてもよい。あらゆる他の必要な補足は、当業者によって知られる適切な濃度で含まれることとしてもよい。温度、pH等の培養条件は、発現のために選択された宿主細胞で前に使用されたものであり、それらは当業者にとって明らかであろう。
組換技術を用いる場合、ポリペプチドは、細胞内で細胞周辺腔にて産生され得、または、培地中に直接分泌される。ポリペプチドが細胞内に産生される場合には、最初のステップとして、微粒子状の破片、宿主細胞または溶解した細胞(例えば、ホモジナイゼーションからの結果として生じる)のいずれかが、例えば、遠心分離または限外濾過により取り除かれる。ポリペプチドが培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、市販のタンパク質濃縮フィルター、例えば、AmiconまたはMillipore Pellicon限外濾過ユニットを用いて濃縮されることとしてもよい。
本発明の一態様は、CEXカラムへのゲンタマイシンの影響が考えられる。ゲンタマイシン、および他のアミノグリコシド系抗生物質は、無抵抗コンタミネーションを防止するために、細胞培養アプリケーションにおける殺菌性の添加物として用いられ得る。細胞培養に添加される場合に、それはプロセス関連性不純物として取り除かれなければならない。典型的な除去は、アフィニティクロマトグラフィー工程を用いて達成されるが、いくつかのプロセスでは、親和工程が最初の精製工程ではないかもしれない。
陽イオン性アミノグリコシド系抗生物質として、ゲンタマイシンは、中性のpHで、または、中性より低いpHで正に帯電されている。中性のpHで、または、中性より低いpHで、関心ポリペプチドを結合させる意図により、CEXカラムが最初のクロマトグラフィー工程である場合、ゲンタマイシンはカラム上の結合部位に関して競合するであろう。以前の研究は、ゲンタマイシンが、CEX膜または樹脂に対して、抗体よりも強く結合し得るということを示している。CEXカラムにおける効果は、抗体結合能において減少することは明らかである。
本発明の他の態様は、ポリエチレンイミン(PEI)、または他の陽イオンポリマーのCEXカラムへの影響が考えられる。PEIは、大腸菌ポリペプチド精製プロセスにおける、前収集凝集剤として用いられ得る。PEIが、細胞ホモジナイゼーション工程後に添加される場合、それは不純物結合剤として作用し、遠心分離および濾過の両方をより強いプロセスにする。この工程を組み込むことによる懸念は、不純物を凝集するのに用いられないあらゆる余分なPEIの影響であり、その理由は、その後、最終的にCEXカラムに接触する精製プールにそれが残るからである。
直線または分岐ポリマーにわたり、PEIの多くの異なる形態があり、それらは、一級、二級、または三級アミンを含み得る。PEIの形状は、それが大多数のプロセス条件で正に荷電するという事実ほどの懸念ではない。よって、それは非常に強くCEXカラムに結合する。さらに、ほとんどの大腸菌タンパク質に関する最初のクロマトグラフィー工程は、相対的に高い結合容量を有することから、CEXカラムであることとしてもよい。さらに、PEIに対するCEXカラムの強い結合のため、PEIが各ランのあとにカラムから溶出され得るように、より弱いCEXカラムの使用を必要とする場合もある。
以前の研究は、異なるレベルのPEIが凝集に使用される場合、より低いPEIレベルが用いられると、CEXカラムの結合容量は増加することを示している。また、CEXクロマトグラフィー工程の収率が、ロード時におけるより低いレベルのPEIにより増加することが観察されている。
不純物を減少させるために、イオン交換カラムの前に、同様に帯電させたイオン交換膜を用いることは、結合容量、収率、不純物クリアランスの増加をもたらし得、それらの全てがより効果的なプロセスと操作コストの低減を可能にし得る。
本発明の膜イオン交換クロマトグラフィー方法
本発明の好ましい実施形態では、本明細書における精製方法が行われる組成物は、組換え型の産生ポリペプチド、好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)または大腸菌の組換え型の宿主細胞培養により発現される、インタクトな抗体である。任意に、組成物は、膜イオン交換クロマトグラフィー前に、少なくとも1つの精製工程が行われる。組成物は、関心ポリペプチドおよび1つまたはそれ以上の混入物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP);大腸菌タンパク質(ECP);浸出プロテインA;核酸;所望の抗体の変異体、フラグメント、凝集物、または誘導体;他のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス混入物;アミノグリコシド系抗生物質成分(例えば、ゲンタマイシン);または精製プロセスに添加されるイオンポリマー(例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアルギニン、ポリビニルスルホン酸、ポリアクリル酸)等を含む。
膜イオン交換クロマトグラフィー方法の前、最中、またはあとに行われる追加の精製手順の例は、疎水性相互作用クロマトグラフィー上の分取(例えば、PHENYL-SEPHAROSE(商標)上)、エタノール沈殿、熱沈着、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿、アイソエレクトリックフォーカシング、逆相HPLC、シリカ上のクロマトグラフィー、HEPARIN SEPHAROSE(商標)上のクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、混合モードイオン交換、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫酸アンモニウム沈殿法、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、親水性電荷誘導クロマトグラフィー、高性能接線流濾過(HPTFF)、およびアフィニティクロマトグラフィー(例えば、プロテインA、プロテインG、抗体、または特異性基質、リガンド、もしくは抗原を捕獲剤として用いる)を含む。
組換技術を用いる場合、ポリペプチドは、細胞内で細胞周辺腔にて産生され得、または、培地中に直接分泌される。ポリペプチドが細胞内に産生される場合には、最初のステップとして、微粒子状の破片、宿主細胞または溶解した細胞のいずれかが、例えば、遠心分離または限外濾過により取り除かれる。ポリペプチドが培地中に分泌される場合、組換え型の宿主細胞は、例えば、遠心分離または濾過により、細胞培養培地から分離されることとしてもよい。
抗体を分離する場合には、ほとんどの精製は、最初の工程として用いる場合、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーの最中に生じる。プロテインAは、抗体のFc領域と特異的に結合する、バクテリアの細胞壁タンパク質である。クロマトグラフィー媒体上に固定化された場合、プロテインAは、精製組換え型抗体に関する技術を提供し、その理由は、それが選択的に複合溶液中の抗体を結合でき、不純物をフロースルーさせることを可能にするからである。
プロテインAアフィニティカラムの基本的な手順は直接的であり、ほぼ中性のpHで結合し、酸性のpHで溶出する。固相上へ固定化されたプロテインAは、C2/C3領域含有ポリペプチドを精製するために用いられる。固相は、好ましくは、プロテインAを固定化するためのガラス、シリカ、アガロース、またはポリスチレンジビニルベンゼン表面を含むカラムである。好ましくは、固相は、コントロールされた細孔ガラスカラム、ケイ酸カラム、高度に架橋されたアガロースカラムである。GE Healthcareから市販されるMabselect SuRe(商標)カラムは、抗体の精製に有効な高度に架橋されたアガロースプロテインAカラムの例である。場合によっては、カラムへの非特異的な付着を防ぐために、カラムはグリセロールのような試薬でコートされている。Millipore Corporationから市販されるPROSEP A(商標)カラムは、グリセロールでコートされているプロテインAコントロール細孔ガラスカラムの一例である。プロテインAクロマトグラフィーの固相は、適切なバッファにより平衡化されている。
組換え型の宿主細胞由来の混入調製物は、平衡化バッファと同じであることとしてもよいローディングバッファを用いて、平衡化された固相上にロードされる。混入調製物は固相を通り、ポリペプチドが固定化したプロテインAに吸着され、他の混入物(例えば、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質、ポリペプチドがCHO細胞で産生されるCHOP、ゲンタマイシン、およびポリエチレンイミン(PEI))は、固相に非特異的に結合する。
続いて行われる次の工程は、中間洗浄工程における、塩、アミノ酸、および/または疎水性電解質溶剤を含む溶液での固相の洗浄により、固相に結合した混入物の除去を必要とする。好ましい実施形態では、この洗浄における塩はリン酸カリウムであり、アミノ酸はアルギニンであり、疎水性電解質はTEMACおよび/またはTEACである。洗浄時には単一の溶質が存在するが、特定の実施形態では、2つまたはそれ以上のこのような溶質が用いられることとしてもよい。溶質は、好ましくは、ほぼ中性のpHを有するpHバッファ溶液に添加される。
前項の中間洗浄工程に続いて、関心ポリペプチドをカラムから回収する。これは、通常、適切な溶出バッファを用いて達成される。ポリペプチドは、例えば、約2から約5の範囲、好ましくは約2.5から約3.5の範囲の低pHを有する溶出バッファを用いてカラムから溶出することとしてもよい。本目的に関する溶出バッファの例はクエン酸またはアセテートバッファを含む。
膜イオン交換クロマトグラフィーは、本明細書で主張されるように行われる。陰イオンまたは陽イオン交換膜のいずれで準備されるのかが、最初に決定される。いくつかの抗体の等電点(pI)は約6.7から9.4の範囲であるが、多くの抗体のpIは高い(>8が多く、時々>9)。一般的には、陽イオン交換膜は約8より大きいpIを有する抗体に使用され、陰イオン交換膜は約8より小さいpIを有する抗体に使用され得る。
オーバーロードモードにおける膜陽イオン交換クロマトグラフィーのランに関し、ロードする物質のpHは、抗体のpIを約1から約5pH単位下回って調製され、ロードする物質の伝導率は、pHに応じて約40mS/cm以下に調節され、抗体は、その後、膜を通って放出される。いくつかの実施形態では、ロードする物質のpHは、抗体のpIを約1から約4pH単位、約1から約3pH単位、約1から約2pH単位、または約1pH単位、下回って調製される。他の実施形態では、ロードする物質の伝導率は、pHに応じて、約20mS/cm以下または約10mS/cm以下に調節される。ロードのpHは抗体のpIよりも低いので、抗体は(正に帯電しており)最初には通過しないであろう。さらに、抗体は、陽イオン交換の負の官能基に静電気的に結合しているであろう。これは、抗体(正)および膜(負)が反対電荷を有しているからである。プロテインAアフィニティクロマトグラフィー中に抗体とともに溶出する、多くの混入物、例えば、CHOPまたはECPのような宿主細胞のタンパク質、ゲンタマイシンのようなアミノグリコシド系抗生物質、およびポリエチレンイミン(PEI)のようなイオンポリマー添加物、のpIは、抗体のpIとは少しだけ異なっている、つまり、それらのpIは約0.05から約0.2pI単位だけ異なり得るので、「塩基性」の抗体のようなこれらの混入物もまた、膜に結合するであろう。プロテインAクロマトグラフィーを使用しない精製スキームでは、ゲンタマイシンもしくはPEIまたは他の不純物は、膜が使用されない限り、IEXカラムの性能を妨害するのに十分に高い濃度で留まるであろう。理論に拘束されることなく、最小限のイオン遮蔽により電荷を誘発するpHおよび伝導率条件での、オーバーロードモードの膜陽イオン交換クロマトグラフィーのランに関し、競合吸着が発生し、混入物は優先的に膜に結合し、または、さもなければ、効果的に抗体を膜から「移動」させ(RR Drager , FE Regnier, J Chromatogr. 359:147-55 (1986))、結合後に、抗体をマトリックスまたはフロースルーから「溶出」させて、溶出液に回収することを可能にするようである。
オーバーロードモードにおける膜陰イオン交換クロマトグラフィーのランに関し、ロードする物質のpHは、抗体のpIを約1から約5pH単位上回って調製され、ロードする物質の伝導率は、pHに応じて約40mS/cm以下に調節され、抗体は、その後、膜を通って放出される。いくつかの実施形態では、ロードする物質のpHは、抗体のpIを約1から約4pH単位、約1から約3pH単位、約1から約2pH単位、または約1pH単位、上回って調製される。他の実施形態では、ロードする物質の伝導率は、pHに応じて、約20mS/cm以下または約10mS/cm以下に調節される。ロードのpHは抗体のpIよりも高いので、抗体は(負に帯電しており)最初には通過しないであろう。さらに、抗体は、陰イオン交換の正の官能基に静電気的に結合しているであろう。これは、抗体(負)および膜(正)が反対電荷を有しているからである。プロテインAアフィニティクロマトグラフィー中に抗体とともに溶出する、多くの混入物、例えば、CHOPのような宿主細胞のタンパク質のpIは、抗体のpIとは少しだけ異なっている、つまり、それらのpIは約0.05から約0.2pI単位だけ異なり得るので、「酸性」の抗体のようなこれらの混入物もまた、膜に結合するであろう。理論に拘束されることなく、最小限のイオン遮蔽により電荷を誘発するpHおよび伝導率条件での、オーバーロードモードの膜陰イオン交換クロマトグラフィーのランに関し、競合吸着が発生し、混入物は優先的に膜に結合し、または、さもなければ、効果的に抗体を膜から「移動」させ(RR Drager , FE Regnier, J Chromatogr. 359:147-55 (1986))、結合後に、抗体をマトリックスまたはフロースルーから「溶出」させて、溶出液に回収することを可能にするようである。
一例では、膜クロマトグラフィーは、圧力計、センサ、およびポンププラスポンプコントローラ(pump plus pump controller)を備えるAKTA(商標)Explorer(GE Healthcare)のような、カスタムクロマトグラフィーシステムまたはスタンダードクロマトグラフィーシステムのいずれかの上でのランである。この例では、膜デバイスは圧力計の下流に設置される。上記の例では、pHおよび伝導率検出器は、膜デバイスの下流に設置される。この例を続けると、システムは、十分に水で流し、その後、膜を設置する前に平衡化バッファを流す。この例をさらに続けると、溶液のpHおよび伝導率出力が平衡化バッファの仕様と一致(約5膜容量)し、かつ安定したベースラインが確認されるまで、膜を取り付けたシステムに平衡化バッファを流す。この例をよりさらに続けると、フィード物質を、333~2667MV/時、pH5.5(仮定上の「塩基性」抗体の精製用)またはpH8.0(仮定上の「酸性」抗体の精製用)、および約4mS/cmの伝導率でポンプによりロードする。この例をよりさらに続けると、作動背圧(operation backpressure)、並びに、作動中のpHおよび伝導率が記録される。最後に、この例では、280nmでの紫外線(UV)吸光度トレースがベースラインを超える0.2吸光度ユニットである場合に、膜溶出液中のポリペプチドが直ちに収集される。フィード物質をロードしたあと、膜は適切な洗浄バッファで洗浄され、プール採取は、280nmでのUVトレースが0.2吸光度をいったん下回ると停止され、膜溶出液分画におけるプールからのサンプルは、ポリペプチド濃度、二量体/凝集レベル、宿主細胞のタンパク質、DNA、および浸出プロテインAに関して分析される。工程収率は、典型的には、ロードされたポリペプチドおよび膜溶出液中のポリペプチドを用いて算出される。膜は、慣例上、1回のみの使用である。分析的アッセイに関し、ポリペプチド含有量(ポリペプチド濃度)は、Beckman分光光度計を用いて280nmでの吸光度により測定されることとしてもよい。ポリペプチド凝集は、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定されることとしてもよい。宿主細胞のタンパク質、例えば、CHOPまたはECPのレベルは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)により分析されることとしてもよい。宿主細胞DNAは、TaqMAN PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)の使用により定量化されることとしてもよい。浸出プロテインAは、プロテインA樹脂のベンダーにより推奨される、免疫化学的なELISAをベースとする方法を用いて行われることとしてもよい。ゲンタマイシンは、ELISAおよびポリエチレンイミン(PEI)により分析されることとしてもよく、レベルは、QセファロースFast Flowクロマトグラフィーまたは核磁気共鳴(NMR)により定量化されることとしてもよい。
以下のバッファは、仮定上で設計され、S膜で使用するために試験される:(1)89mM酢酸、127mM トリスベース、21mMクエン酸、pH5.5、6.0mS/cm、(2)28mM MES、95mM NaCl、pH6.0、11mS/cm、(3)200mM NaOAc、pH5.5、12mS/cm、(4)100mM NaOAc、pH5.5、6.4mS/cm、(5)96mM酢酸、65mM トリス、pH5.0、3.6mS/cm、(6)25mM MOPS、pH7.1、0.8mS/cm、(7)50mM HEPES、90mM NaCl、pH7.0、10mS/cm、(8)0.5xリン酸緩衝食塩水(PBS)、4.5mM 酢酸、pH5.0、8.0mS/cm、25mM NaOAc、pH5.0、6.0mS/cm。
以下のバッファは、仮定上で設計され、Q膜で使用するために試験される:(1)50mM トリス、15mM NaCl、pH8.0、4.3mS/cm、(2)25mM トリス、pH8.0、1.3mS/cm、(3)60mM トリス、118mM NaCl、pH8.0、15.7mS/cm、(4)50mM トリス、50mM NaOAc、pH8.0、7.0mS/cm、(5)25mM HEPES、85mM NaOAc、pH7.0、6.5mS/cm、および(6)91mM酢酸、130mM トリス、pH8.0、5.0mS/cm、(7)75mM グリシン、9mM リン酸、115mM トリス、pH8.9、0.8mS/cm(8)25mM トリス、5mM NaCl、pH8.9、1.0mS/cm、(9)25mM トリス、10mM NaCl、pH9.0、1.5mS/cm、(10)1xリン酸緩衝食塩水(PBS)、pH7.3、15.2mS/cm。
さらに、あらゆるバッファシステムは、適切なpHに到達させるために、酢酸、クエン酸、HEPES、塩酸、リン酸、水酸化ナトリウム、トリス、または他のこのような酸性および塩基性のバッファの添加によりpHを上または下に調製し得る。また、あらゆるバッファシステムは、適切な伝導率に到達させるために、精製水、注射用水(WFI)、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、リン酸カリウム、または他のこのような低度および高度の塩含有バッファの使用により伝導率を上または下に調節し得る。
競合吸着膜クロマトグラフィー工程の開発は、種々のレベルのpHおよび伝導率で膜を通過するロード物質のロードに関与する。関心ポリペプチドまたは混入物のいずれかのポリペプチドの保持は、分子が大きな静電的相互作用を有する場合に、高められ得る。静電的相互作用は、ポリペプチドが高度に帯電された条件下で操作される場合に、つまり、ポリペプチドの電荷を高める、ポリペプチドのpIとは十分に異なるpH、およびバッファイオンによる電荷の遮蔽を防止するための低イオン強度を有するバッファを用いる場合に、高められ得る。対照的に、静電的相互作用は、ポリペプチドが不十分に帯電された条件下で操作される場合に、つまり、ポリペプチドの電荷を低減させる、ポリペプチドのpIとは十分に近いpH、およびバッファイオンによる電荷の遮蔽を許容するための高イオン強度を有するバッファを用いる場合に、低減され得る。結果として、異なる物理化学特性を有するポリペプチドは、バッファ溶液を最適化することによる膜吸着により分離され得る。いくつかの分子は所与の膜上に保持され得、一方、他のものがバッファのpHおよびイオン強度の適切な選択に基づいて流出する。
本明細書の膜イオン交換クロマトグラフィー方法により得られるポリペプチド調製物は、必要に応じて追加の精製工程が行われることとしてもよい。さらなる精製工程の例は上記のとおりである。
図1を参照すると、抗体に関する成功的な精製スキームの一例は、プロテインAアフィニティクロマトグラフィー、その後の結合および溶出モードでのランにおける陽イオン交換カラム、その後の最後の研磨工程(複数を含む)による、最初の捕獲工程を伴う回収プロセスである。
図1を参照すると、向上された精製スキームの一例は、プロテインAアフィニティクロマトグラフィー、その後の結合および溶出モードでの陽イオン交換カラムのランを保護するオーバーロードモードでの陽イオン交換膜のラン、その後の最後の研磨工程(複数を含む)による、最初の捕獲工程を伴う回収プロセスである。
図1を参照すると、向上された精製スキームの他の例は、結合および溶出モードでの陽イオン交換カラムのランを保護するオーバーロードモードでの最初の陽イオン交換膜のラン、その後の研磨工程(複数を含む)を伴う回収プロセスである。
図2を参照すると、非抗体に関する成功的な精製スキームの一例は、陽イオン交換クロマトグラフィー、その後の最後の研磨工程(複数を含む)による、最初の捕獲工程を伴う回収プロセスである。
図2を参照すると、向上された精製スキームの一例は、結合および溶出モードでの陽イオン交換カラムのランを保護するオーバーロードモードでの最初の陽イオン交換膜のラン、その後の研磨工程(複数を含む)を伴う回収プロセスである。
単一の精製工程または最後の研磨工程として主にIEX膜を用いるアプリケーションとは異なり、本精製方法における膜は、同様に帯電させたイオン交換膜(例えば、陽イオン交換樹脂の前に直接配置される陽イオン交換膜)を保護するために用いられる。膜は、カラムに向かう不純物を低減しまたは排除するように、ポリペプチド/抗体よりも不純物に関してより選択的であるため、このことは有益である。不純物はまた、ポリペプチド/抗体を移動させ得、結果的にそれがカラム上へ移動する。膜は、上記カラムで連続的にまたは非連続的に使用され得る。
この精製方法において同様に帯電させたイオン交換カラムの前に膜を使用することは、ロードにおける不純物が陽イオン交換カラムの性能を低下させるときにはいつでも有効であるかもしれない。膜でこれらの不純物を除去することにより、陽イオン交換カラムについて、高い結合容量でロードすることが可能となり得、削減されたカラムのサイズまたは1回のランあたりのサイクル数の低減をもたらす。代替的には、膜でこれらの不純物を除去することにより、陽イオン交換カラムについて、高い工程収率を有すること、または廃棄までのより長い樹脂寿命を有すること、または陽イオン交換プールにおける低減された不純物レベルをもたらすこと、または、下流の研磨工程の回数を低減されることを可能とするかもしれない。また、プロテインAアフィニティ樹脂に代わるより安価なものが必要とされていた場合、または関心ポリペプチドがプロテインAアフィニティ樹脂に結合しない場合に有用であるとして、陽イオン交換カラムについて、プロテインAアフィニティカラムと置き換えることを可能とするかもしれない。連続操作で陽イオン交換膜および陽イオン交換カラムを用いることは、トータルの処理時間、バッファ、またはタンクもしくはクロマトグラフィースキッド(skid)のような装置を低減することにより有利となるかもしれない。
任意に、ポリペプチドは、必要に応じて、1つまたはそれ以上の異種性の分子と結合する。異種性の分子は、例えば、ポリペプチド(例えば、ポリエチレングリコール、PEG)の血清半減期を増加させるものであることとしてもよく、または、それは、標識(例えば、酵素、蛍光標識および/または放射性核種)、もしくは細胞傷害性分子(例えば、毒素、化学療法剤、または放射性同位体等)であることとしてもよい。
ポリペプチドを含み、任意に異種性の分子と結合する治療製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態での所望の純度の薬学的に許容可能な担体、賦形剤、または安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))を任意に有するポリペプチドの混合により調製されることとしてもよい。「薬学的に許容可能な」担体、賦形剤、または安定剤は、準備される容量および濃度でレシピエントに対して非毒性であり、バッファ、例えば、リン酸、クエン酸、および他の有機酸;アスコルビン酸およびメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;プロテイン、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;単糖類、二糖類、またはグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート剤、例えば、EDTA;糖、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、もしくはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質複合体);および/または非イオン界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含む。
また、有効成分は、例えば、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン-マイクロカプセルおよびポリ-(メタクリル酸メチル(methylmethacylate))マイクロカプセルのそれぞれのような界面の重合により、または、例えばコアセルベーション技術により調製されたマイクロカプセル内に、コロイド薬物送達システム内に(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョン内に、封入されることとしてもよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に開示されている。
in vivo投与で使用される製剤は無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通す濾過により容易に達成される。
徐放性調製物が準備されることとしてもよい。適切な徐放性調製物の例は、ポリペプチドを含む、固体疎水性ポリマーの半透性のマトリックスを含み、そのマトリックスは、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形状をした物である。徐放性マトリックスの例は、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号)、Lグルタミン酸およびγエチルLグルタミン酸塩のコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えば、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸リュープロリドからなる注射用マイクロスフェア)並びにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
本明細書に開示される精製されたポリペプチドまたはポリペプチドおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物は、その後、種々の診断、治療、または、このようなポリペプチドおよび組成物に関して知られる他の用途に用いられる。例えば、治療に有効な量のポリペプチドを哺乳類に投与することにより、ポリペプチドを哺乳類における疾患を治療するために使用することとしてもよい。
以下の実施例は、例示として提案され、限定するものではない。明細書中における全ての引用の開示は、参照により本明細書中に明確に組み込まれる。
実施例1
導入
本研究は、下流のカラムの効率を高めるために、競合吸着モードでイオン交換膜を用いるモノクローナル抗体の精製に焦点を合わせる。競合吸着モードでの膜操作は、モノクローナル抗体または他の関心ポリペプチドよりも強く多くの不純物と結合するので、膜は、同様に帯電させた下流のカラムで、効果的に有害な影響を有し得る不純物を除去する。
このアプローチは、重複した陽イオン交換または陰イオン交換精製工程を省こうと試みる多くの精製プロセスに対して反直感的である。本出願では、下流のカラムより前の重複した膜が、カラムの性能を高めて、全体的なプロセスがより効率的になり得る。
mAb由来の1つの組換え型DNA、1つのアームの抗体由来の1つの組換え型DNA、およびポリペプチド由来の1つの組換え型DNAは、それらの分子の種類に基づく分析のために選択された。mAbはCHO細胞培養で産生され、非クロマトグラフィー精製から3つのカラムクロマトグラフィー工程(プロテインA、陰イオン交換、および陽イオン交換)の範囲の精製の程度に変化させた。1つのアームの抗体は、大腸菌細胞培養で産生され、プロテインAクロマトグラフィー工程により精製された。ポリペプチドは、大腸菌細胞培養で産生され、事前のクロマトグラフィー精製は行わなかった。フィードストリーム(feedstream)は、クロマトグラフィーカラムに否定的な影響を及ぼし得る不純物の残量のレベルに基づいて選択された。
この研究は、イオン交換カラムに否定的な影響を及ぼすゲンタマイシンおよびポリエチレンイミン(PEI)のような不純物の性能、および、これらの不純物を取り除き、向上したカラム性能をもたらす、ムスタング(商標)SおよびナトリックスSのようなイオン交換膜の性能を調査する。
材料と方法
フィードストリーム
フィードストリームは、市販または調査目的のために最初に産生される工業的、試験的、またはスモールスケールの培養バッチ(Genentech Inc.,South San Francisco, California)から得た。フィードストリームは、異なる精製度を有し、細胞が分離され、清澄液が少なくとも1つのカラムクロマトグラフィー工程により精製されたこと、または、精製されなかったことを意味する。各フィードストリームは、標的治療ポリペプチドおよび定量化が可能なレベルの不純物を含んでいた。各フィードストリームの組成物は、個々のポリペプチドプロセスおよび精製レベルに基づいて変化した。一覧表1は、本研究で用いられた各抗体、ポリペプチド、または一価抗体に関するフィードストリーム性能を示す。
Figure 0007402011000002
全ての製品のフィードストックサンプルは、工業的、試験的、またはスモールスケールのプロセスから採取された。
プールpHおよび伝導率は、十分な製品安定性を確保するためにあらかじめ調製されている。
等電点(pI)は、各mAbのアミノ酸配列に基づいて算出された。
ポリペプチドの定量化
ポリペプチドの濃度は、3つの方法を用いて測定された。不純物レベルが、UV吸光度への明らかな影響を有するには低すぎた場合、280および320nmでUV分光光度スキャンが用いられた。不純物レベルまたは色がUV吸光度、分析的アフィニティカラム、またはイオン交換カラムへの明らかな影響を有しているかもしれない場合、抗体またはポリペプチド濃度をそれぞれ定量化するために使用された。
UV分光光度スキャンにより試験されたサンプルに関し、ポリペプチドを含むサンプルは、適切な非干渉希釈剤により、0.1から1.0AUの範囲に希釈された。サンプルの調製およびスペクトルスキャンリーディング(spec scan reading)が二重に行われ、平均値が記録された。試験されたポリペプチドの吸収係数は、1.45から1.70(mg/mL)-1cm-1であった。280および320nmでの吸光度、希釈係数、経路長(1cm)、および吸収消衰係数(absorption extinction coefficient)は、ランベルト・ベールの法則(Beer-Lambert Law)として知られる数式を用いて、mAb濃度を算出するために使用された。
Figure 0007402011000003
分析的アフィニティカラムにより試験されるサンプルに関し、抗体を含むサンプルは、必要に応じて、0.025~4.0mg/mLの範囲で、適切な非干渉希釈剤により希釈された。代替的には、注入量は、それぞれ、より低いまたはより高い濃度のサンプルの2倍または半分とすることができた。サンプル調製およびHPLC試験は二重に行われ、平均値が記録された。一般的な抗体のHPLC分析として、サンプル濃度の結果は、標準物質の抗体の吸収消衰係数に対して対応する吸収消衰係数を用いることにより、特異的抗体に関して補正される。
分析的イオン交換カラムにより試験されるサンプルに関し、ポリペプチドを含むサンプルは、必要に応じて、0.1~0.8mg/mLの範囲で、適切な非干渉希釈剤により希釈された。サンプル調製およびHPLC試験は二重に行われ、平均値が記録された。サンプル濃度の結果は、注入ピーク下の面積を総和することにより測定され、標準物質を用いるスタンダードカーブに対応付けた。
CHO宿主細胞のタンパク質(CHOP)の定量化
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が、CHOPのレベルを定量化するために用いられた。親和-精製ヤギ抗CHOP抗体は、マイクロタイタープレートのウェル上で固定化された。CHOPを含むサンプルの希釈、スタンダード、およびコントロールをウェル中でインキュベートし、その後、西洋ワサビペルオキシダーゼに結合するヤギ抗CHOP抗体を用いてインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼの酵素活性は、o-フェニレンジアミンジヒドロクロリドにより検出された。CHOPは、マイクロタイタープレートリーダーにて、492nmでの吸光度を読み取ることにより定量化された。コンピュータのカーブフィッティングプログラムが、スタンダードカーブを作成するために使用され、サンプル濃度が自動的に算出された。ELISAに関する分析範囲は、典型的には、5ng/mlから320ng/mlであった。各サンプルに関し、2~4倍の希釈液が分析され、値が平均化された。CHOP値は、タンパク質濃度により除算され、結果はppmの単位で報告された(ngCHOP/mgタンパク質)。
大腸菌タンパク質(ECP)の定量化
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が、CHOPの定量化と同様に、ECPのレベルを定量化するために用いられた。
ゲンタマイシンの定量化
酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)が、ゲンタマイシンのレベルを定量化するために用いられた。ゲンタマイシン-BSAに対するヤギポリクローナル抗体が、マイクロタイタープレートのウェル上に固定化される。抗体への結合に関し、ゲンタマイシンは、ビオチン-ゲンタマイシンと競合する。結合したビオチン-ゲンタマイシンの量は、酵素活性がテトラメチルベンジジン(TMB)により検出される、西洋ワサビペルオキシダーゼ-ストレプトアビジンにより測定される。サンプルの認定中に確立される許容可能な希釈に従って、ELISA分析希釈剤によりサンプルが希釈される。マイクロタイタープレートリーダーにて、450nmで吸光度を読み取ることにより、ゲンタマイシンは定量化される。最小4つのパラメーターのコンピュータのカーブフィッティングプログラムが、スタンダードカーブを作成するために使用され、サンプル濃度が自動的に算出される。典型的には、ゲンタマイシン分析におけるスタンダードカーブの報告範囲は、0.58ng/mLから90ng/mLである。各サンプルに関し、2~4倍希で分析され、値が平均化された。ゲンタマイシンの値は、タンパク質濃度により除算され、結果はppmの単位で報告された(ngゲンタマイシン/mgタンパク質)。
ポリエチレンイミンの定量化
全てのデータは、5mm勾配のTCIクライオプローブおよびオートサンプラーを備えるBruker600MHz分光計に記録された。データは、溶液中のタンパク質からの共鳴信号を最小化するために設計された、スピン-エコーパルスシーケンスを用いて取得された。励起彫刻(excitation sculpting)パルスシーケンスは、プレサチュレーション(presaturation)パルスシーケンスと相まって、溶液中の水からの共鳴信号を最小化するように設計された。NMR計測の前に、DOは、10%最終濃度(630mLのサンプル+70mLのDO)となるように、全てのサンプルに添加された。
定量NMR分析は一般的な分析方法であり、非常に大量の有機分子に適用することができる。一般的に、全ての分子は、特徴的な共振周波数、相対的なピーク強度、線幅、および結合パターンによる、特有のNMRシグナルのセットを有している。少ない(small)、陽子を含有する分子の濃度を測定するために適切であるとされる、NMR分析に関する唯一の判断基準は、NMRシグナルの分析物およびバッファ成分が重複しないことである。NMR分析は、広い範囲の分析物濃度にわたって正確かつ精密である(例えば、プロピレングリコールに関し、1ug/mLから154,500ug/mL)。
クロマトグラフィー膜
試験される膜は、ムスタング(商標)S(Pall Corporation,East Hills,New York)およびナトリックスS(Natrix Separations,Burlington,Canada)であった。ムスタング(商標)SおよびナトリックスSは、正に帯電したタンパク質およびウイルス性の粒子と効果的に結合する、強陽イオン交換膜である。ムスタング(商標)Sは、0.8μmのポアを有するポリエーテルスルホン(PES)から作られ、スルホン酸の形態により変更される。ナトリックスS膜は、フレキシブル多孔性支持マトリックス内に形成される高分子ハイドロゲルからなる。支持マトリックスは機械的強度を提供し、一方ハイドロゲルの性質は製品の分離化学作用を決定する。結合容量を高めるために、製造業者は、各デバイス内に多層の膜を組み合わせることができる。層および厚さの合計数は、製造される各デバイスのサイズおよび製造業者により異なる。膜容量(MV)は、膜の物理的な量であり(固形(solid)およびボイド)、mLの単位で測定される。多重スケールを表す種々の膜デバイスがこの研究に用いられた。一覧表2は、試験された各膜の適切な仕様を表にしたものである。
Figure 0007402011000004
クロマトグラフィー樹脂
試験される樹脂は、フラクトゲルSE Hicap(EMD Chemicals Inc.,Gibbstown,New Jersey)およびSPセファロースファストフロー(GE Healthcare Life Sciences,Piscataway,New Jersey)であった。フラクトゲルSE HicapおよびSPセファロースファストフロー樹脂は、強陽イオン交換樹脂である。フラクトゲルSE Hicap樹脂は、約800Åのポアサイズを有する、直径40から90μmの架橋されたポリメタクリレート粒子からなる。機能的なリガンドは、長い、直鎖ポリマーで粒子と共有結合している。SPセファロースファストフロー樹脂は、約4,000,000Daの排除限界を有する、直径45から165μmの高度に架橋されたアガロース粒子からなる。セファロースファストフローは、官能基としてのスルホプロピルリガンドを有する、セファロースの架橋された誘導体である。架橋結合方法は、製造業者が所有する。
膜および樹脂精製システム
スモールスケールの試験は、統合型の定量ポンプ、圧力センサ、並びにインラインpH、伝導率、UVセンサを備える、プログラム可能な処理精製システムである、AKTA Explorer(商標)100(GE Healthcare,Fairfield,Connecticut)により行われた。探査システムは、コンピュータで起動するUNICORN(商標)v5.10ソフトウェア(GE Healthcare,Fairfield,Connecticut)を通じてプログラムされ、制御された。また、スモールスケールの試験は、Masterflex(登録商標)L/S(登録商標)デジタルエコノミードライブペリスタルティックポンプ(digital economy drive peristaltic pump)(Cole Parmer,Vernon Hills,Illinois)、インラインDTX(商標)Plus TNF-R圧力センサ(Becton Dickinson,Franklin Lakes,New Jersey)、およびAND EK-1200i天秤(A&D Company,Ltd.,Tokyo,Japan)からなるマニュアルのシステムを用いて行われた。天秤は、沈積流量を測定することにより、ポンプの流量を物理的にモニターするために用いられた。量は、1.0g/mLのフィードストリーム密度が想定される量に変換された。インライントランスデューサからの圧力および天秤からの量は、圧力および量のそれぞれの採取のために、コンピュータで起動するTrendlink(商標)バージョン3.1.1(Canary Labs Inc.,Martinsburg,Pennsylvania)およびRsComバージョン2.40(A&D Company,Ltd.,Tokyo,Japan)ソフトウェアにリンクされたNetDAQ(商標)2640A/41Aネットワークデータ取得システム(Fluke,Everett,Washington)を用いて連続的にモニタリングされた。
膜フロースルーサンプルの採取技術
フロースルーサンプルは、3つの異なる方法で採取された。グラブサンプル(grab sample)および分画が最も一般的であった。グラブサンプルは、特定のスループットで得られる、フロースルーの瞬間的な少量の分取である。分画は、フロースルーサンプルよりも大きく、スループット範囲により定義される。また、フロースルーは、単一のラージプールとして採取された。プールの分析は効率的であるが、グラブサンプルおよび分画は、連続するサンプルを組み合わせて傾向を示すことができるので、一般的に、mAbおよび不純物レベルをモニタリングするにはより有用である。
動的結合容量(DBC)技術
膜の動的結合容量(DBC)および樹脂は、典型的なプロセス流量での媒体にフィードストリームをロードすることにより測定された。これは、静的結合容量を測定するために典型的になされていた、ロードしたフィードストリームに媒体を浸すことよりもむしろ好ましい。このアプリケーションに関し、DBCは、媒体性能のより適切な基準となった。DBCは、ロード段階中のフロースルーグラブサンプルまたは分画を採取することにより測定された。グラブサンプルまたは全ての分画の量に関する特定のスループット、および、全てのグラブサンプルまたは分画に関するポリペプチドまたは不純物の濃度を用いることは、DBCグラフを生成することを可能にした。さらに、ロード材料におけるポリペプチドまたは不純物の濃度が既知である場合、グラフは、ロードした濃度(C)を濾過した濃度(C)と比較して生成できた。この場合、0のC/C値は、濾過濃度がロードした濃度よりも非常に低いことを示し、一方、1のC/C値は、濾過濃度がロードした濃度と同様であることを示す。
実験
フィードストック(feedstock)低温貯蔵から取り出され(2~8℃または≦-70℃)、室温へと平衡化した。その後、適切な滴定剤(つまり、1.5Mトリス塩基または1Mクエン酸)または希釈剤(精製水または5M塩化ナトリウム)を用いて、任意に、一覧表1に示される条件から、pHおよび/または伝導率を調節した。その後、低温貯蔵または調整中に形成されたかもしれないあらゆる沈殿物を取り除くために、AcroPak(商標)20(Pall Corporation,East Hills,New York),AcroPak(商標)1000(Pall Corporation,East Hills,New York)、または1000mL真空フィルター(Thermo Fisher Scientific,Rochester,New York)を用いてオフライン(offline)で濾過した。
精製システムは、精製水または適切なバッファを用いてロードおよびフロースルーラインを洗浄することにより準備された。膜は、フィードポンプまたは圧力センサの下流のインラインに配置され、その後、50~500MVの精製水または平衡化バッファで洗浄した。洗浄後、フィードストリームが膜上にロードされ、種々の量が333~2667MV/時の一定流速でロードされた。ロード段階中に、必要に応じてフロースルーが採取された。その後、あらゆる残余生産物を収集するために、任意に、膜をバッファで追跡(chase)した。膜上の不純物の保持を維持するために、追跡(a.k.a洗浄バッファ)バッファは、一般的に、フィードに対して類似のpHおよび同等またはそれより低い伝導率であった。
得られた膜グラブサンプル、分画、またはプールは、その後、ポリペプチドおよび/または不純物濃度を測定するために分析された。
いくつかの場合には、得られた膜プールは、その後、樹脂上にロードされた。UV、pH、および伝導率がリアルタイムで傾向づけられ得るように、かつ、プーリングがインラインUVセンサにより容易になされ得るように、Akta Explorerを用いる樹脂クロマトグラフィーのみが行われた。ロード段階中に、必要に応じてフロースルーが採取された。
いくつかの場合には、膜が溶出された。膜溶出は、プーリングがインラインUVセンサにより容易になされ得るように、Akta Explorerを用いてのみ行われた。膜は、高塩バッファ(20mM酢酸ナトリウムおよび350mM塩化ナトリウム、pH5.5)を用いて溶出された。さらに、いくつかの場合には、20mL以上の、2つのバッファ(20mM酢酸ナトリウム、0mM塩化ナトリウム、pH5.5および20mM酢酸ナトリウム、2000mM塩化ナトリウム、pH5.5)の0から100%の勾配により、膜は溶出された。
いくつかの場合には、樹脂が溶出された。樹脂溶出は、プーリングがインラインUVセンサにより容易になされ得るように、Akta Explorerを用いてのみ行われた。200cm/時の一定流速で、高塩バッファ勾配(50から500mM酢酸ナトリウム、pH5.5)または高塩工程(50mM HEPES、200mM塩化ナトリウム、0.05%トリトン(Triton)、1mM DTT、pH7.5)を用いて、樹脂は溶出され、フラクトゲルSE HicapおよびSPセファロースファストフローに関し、それぞれ0.5~1.0ODまたは1.25~1.25ODからプールされた。
結果
スモールスケール陽イオン交換膜収率
pH8.0かつ5.0mS/cmでのMAb1陰イオン交換プール、および、1Mクエン酸を用いてpH5.5かつ6.4mS/cmに調製されたmAb1陰イオン交換プールは、667MV/時でムスタング(商標)S膜により処理された。ムスタング(商標)S膜が使用されたのは、0.18mL Acrodisc(登録商標)デバイスであった。pH5.5およびpH8.0でのmAb1フィードストリームはともに抗体のpIを下回り、よって、正に帯電した。フィードおよびフロースルーグラブサンプルは、抗体濃度に関して分析された。最初のサンプルは、膜に対するいくつかの抗体結合を示したが、図3は、収率が両方のpH条件で類似し、1000g/L負荷密度下で急速に増加し、約5000g/Lの負荷密度のあとに96%以上が達成可能であることを示す。
スモールスケール陰イオン交換膜収率
比較対象に関し、mAb2は、7.7の等電点を超えて陰イオン交換膜を使用する試験のために選択された。タンパク質は高いpHでは脱アミドおよび凝集する傾向があるので、類似の試験はmAb1では行わなかった。pH5.5および9mS/cmでの陽イオン交換プールは、1.5Mトリス塩基を用いて、pHを8.0に調節した。フィードストックは、その後、3つの分離プールに分けられ、精製水を用いて伝導率が調節された。最初のプールは10mS/cmであり、2番目および3番目のプールは7mS/cmおよび4mS/cmにそれぞれ調節された。全ての3つのプールは、pH8.0に維持された。各フィードストリームは、その後、スモールスケールの0.35mLムスタング(商標)Qで600MV/時の一定流速にて処理された。mAb3はpH8.0で、pIを0.3pH単位上回り、よって、抗体は負に帯電した。ロードおよびフロースループールは、抗体濃度に関して分析された。図4は、収率が全ての3つのpH濃度に類似し、最初に200g/Lの負荷密度下で急激に増加し、約1000g/Lの負荷密度のあとに96%以上であることを示す。
スモールスケール陽イオン交換膜の不純物クリアランス
陽イオン交換膜の不純物クリアランスを評価するために、pH5.5かつ3.2mS/cmでのmAb3プロテインAプールは、スモールスケールの0.18mLムスタング(商標)S膜で1333MV/時の一定流速にて処理された。mAb3のロードは、算出されたpIを3.4単位下回り、よって、抗体は正に帯電した。ロード、フロースルー分画、および溶出サンプルが分析され、CHOPに関する結果は図5に示される。データは、ムスタング(商標)Sが、最初に438から109ppmまでCHOPを低減することを示す。負荷密度が55,300g/Lに達した時、CHOPは318ppmに増加した。高い塩を含む溶液を用いて膜を溶出した。塩のイオンは、電荷を遮蔽するために使用され、よって、静電的相互作用を妨害し、タンパク質を膜表面から離脱させて、移動相中に自由に移動させる。溶出プールの分析は、静電力による膜へのCHOP結合を裏付ける、不純物の濃縮を示す。
吸着材性能をさらに評価するために、pH5.5かつ6.0mS/cmでのmAb3陰イオン交換プールは、スモールスケールの0.18mLムスタング(商標)S膜で667MV/時の一定流速にて処理された。mAb3のpHは、pIを3.4pH単位下回り、よって抗体は正に帯電した。フィードおよびフロースルーグラブサンプルは、mAb、CHOP、およびゲンタマイシン濃度について分析された。フィードおよびグラブサンプル濃度を比較するために、膜負荷密度の関数としての、C/Cのグラフ(グラブサンプル/ロード)が生成された。図6に示されるように、mAbのC/C値は、2~16kg/Lの負荷密度で1.0に近く、グラブサンプル濃度がロードした濃度とほぼ同一であり、改めて収率が高くなるであろうことが示唆される。逆に、CHOPおよびゲンタマイシンのC/C値は低く、0.2以下で2~16kg/Lの負荷密度であることから、グラブサンプル濃度がロードした濃度よりもかなり低く、mAbによるオーバーロードにも関わらず、ムスタング(商標)Sがこれらの不純物の大部分を取り除いていることが示唆される。
スモールスケール陽イオン交換膜結合選択性
陽イオン交換膜が、mAbに対比して特定の不純物の結合に関して選択的かどうかを評価するために、mAb3プロテインAプールを用いる一連の実験が設計され実施された。このプールは、より高いレベルの不純物を理由に選択され、高分子量種(HMWS)、二量体、低分子量種(LMWS)、ゲンタマイシン、およびCHOPを含んでいた。プロテインAプールは、pH5.5かつ4.4mS/cmに調節された。ロード前に、各ムスタング(商標)S膜は、20mM酢酸ナトリウム、pH5.5かつ1.3mS/cmバッファで平衡化された。4つの実験が行われ、各ローディングは、1000、5000、10000、または15000g/Lの負荷密度に対する0.18mLムスタング(商標)S膜での1333MV/時であった。ローディング後に、膜は20mM酢酸ナトリウム、pH5.5かつ1.3mS/cmバッファで洗浄された。洗浄後、洗浄バッファおよび20mM酢酸ナトリウム、2M塩化ナトリウムをpH5.1かつ約500mS/cmで用いる勾配溶出が膜を溶出するために使用された。勾配は、20mL以上で形成され、溶出分画は2mLごとに採取されて分析された。4つの実験に関し、溶出分画は、全ての不純物およびmAb濃度に関して分析された。あらゆる所与の負荷密度実験において、分画は、不純物またはmAbが膜からいつ溶出したのかを測定するために、先に溶出した種よりもより強固に結合する、後に溶出した種と比較され得る。図7は、5000g/Lでの負荷密度実験に関する、10分画溶出にわたって分析された種々の種の正規化濃度%を示す。各ピークの位置は、mAb単量体は、最も早く溶出するので、最も弱く膜に結合していることを示唆する。結合力の低い順に、単量体、その後にHMWS、二量体、CHOP、LMWS、およびゲンタマイシンが続く。多くの種が、勾配における類似の位置で溶出するが、このグラフは、ゲンタマイシンが、比較している種よりも、より強く結合することを明らかに示す。
さらに、各負荷密度に関し、カラムに結合する各不純物またはmAbの総量を算出し、種々の負荷密度実験にわたって比較することができた。図8は、増加する膜負荷密度の関数として、各種の正規化質量%を示す。線の方向は、種の量が増加または減少しているかどうかを示す。以前に最も弱く結合することを示したmAb単量体は、負荷密度増加としての減少レベル量を有する。逆に、二量体、HMWS、CHOP、ゲンタマイシン、およびLMWSは全て、負荷密度増加として量が増加する。このことは、以前の結合力の結果を裏付け、絶えず膜に結合する他の種が原因で、mAb単量体が減少することを示唆する。
スモールスケール陽イオン交換膜置換
結合選択性を説明するための仮説として、ゲンタマイシンのような強く結合する種がmAb単量体を溶出できるかどうかを測定するために、mAb3プロテインAプールを用いて実験が行われた。プロテインAプールは、pH5.5かつ4.2mS/cmに調節された。実験は、pH5.4の20mM酢酸ナトリウムにより0.18mLムスタング(商標)S膜を平衡化することにより行われた。mAb1プロテインAプールは、UVの傾向(trend)がmAb漏出を明確に示すまでロードされた。その後、平衡化バッファにより膜を洗浄したあとに、平衡化バッファおよび2g/Lゲンタマイシンを含有する溶出バッファを用いて膜を溶出した。なお、平衡化バッファおよび溶出バッファは、膜に結合するmAbへのあらゆる影響を防止するために同一のpHおよび伝導率であった。図9は、ロード、洗浄、および溶出段階中のUV、pH、および伝導率の傾向を含むクロマトグラムを示す。クロマトグラムは、洗浄段階は、溶出段階が開始される前に、ベースラインにUVの傾向を戻すのに十分であったことを示す。また、溶出段階中に、あらゆるpHまたは伝導率の傾向の有意な変化がなく、大きなUVのピークが観察されることを示す。このことは、ゲンタマイシンが、陽イオン交換膜から、結合したmAb単量体を効果的に置換し得ることを明示する。
CEX膜のゲンタマイシン結合の比較
ゲンタマイシンのCEX膜への結合容量を測定するために、0.18mLムスタング(商標)S膜および0.23mLナトリックスSを試験する実験が行われた。pH7.2のPBSバッファは、2.0M酢酸およびPWにより、最終的にpH5.00かつ伝導率8.10mS/cmに調節された。その後、調節されたバッファは、最終濃度が約1.0mg/mLかつ40,000ng/mLとなるようにmAb3UF/DFプールおよびゲンタマイシンが添加された。得られた添加液はロード用フィードストリームとして使用された。
実験を行うために、両方の膜がPWで洗浄され、調節されたバッファで平衡化され、添加溶液でロードされ、調節されたバッファで洗浄された。ロード段階中に、4mLフロースルーグラブサンプルが、20、40、60、および80mLのムスタング(商標)Sに関して収集された。ナトリックスSに関し、4mLフロースルーグラブサンプルが、10mLで、その後60mLごとに合計19サンプル収集された。全てのサンプルが、その後、mAbおよびゲンタマイシン濃度に関して分析し、ロード濃度を比較して、図10に示されるように、膜負荷密度に対するC/Cのグラフを作成した。
プロットされてはいないが、mAb濃度は、1.0のC/C値に達し、その工程がフロースルーにおける抗体に関して高い収率であることを示唆する。逆に、ゲンタマイシンのC/C値は、かなりあとになって1.0に達し、両方の膜が有意なレベルで結合していることを示唆する。ムスタング(商標)Sは、4.4から8.9g/Lの間のゲンタマイシンの結合容量を有するが、ナトリックスSは、より高いゲンタマイシンの結合容量を有し、より遅い漏出を示した。50g/Lでは、C/C値は0.3であり、漏出曲線は約125g/Lまでやや線形であり、C/C値は約0.8であった。125g/Lよりあとの漏出曲線は平らになり、おそらく小レベルのmAbは移動しているが、膜はまだゲンタマイシンと結合していることを示唆する。
これらの結果は、異なるCEX膜が異なるゲンタマイシン結合容量および漏出曲線を有することを示す。より高い結合容量および段階的な漏出を有するナトリックスSは、ゲンタマイシンを取り除くためのより効果的な膜となるであろう。さらに、より高レベルのゲンタマイシン結合により、より多くのmAbが置換され、より高い操作収率をもたらすことが期待されるであろう。
CEX樹脂および強く結合するアミノグリコシド系抗生物質の影響
ゲンタマイシンがCEX樹脂の充填カラム上に有し得るように、強く結合する不純物に、何が影響を与えるのかについて測定するために、カラムを保護するCEX膜ありまたはなしで、モデルフィードストリームおよび実際のフィードストリームの両方で試験を行うための、一連の実験が設計された。図11は、種々の実験、抗体および不純物の濃度、並びに、これらの実験を行うために必要とされる工程を示す。
最初に、mAb3UF/DFプールを添加したPBSのモデルフィードストリームを用いて、漏出曲線を生成することにより、抗体結合容量に関し、異なるレベルのゲンタマイシン、フラクトゲルSE Hicap樹脂が試験された。PBSは、まず1.0M酢酸でpH5.0に調節され、その後、PWにより伝導率8.0mS/cmに調節された。mAb濃度が約1.6mg/mLとなるように、UF/DFプールが調節されたバッファ内に添加された。
実施された各クロマトグラフィー実験に関し、所望のフィードストリームでロードする前に、フラクトゲルSE Hicapは、まずpH5の25mM酢酸ナトリウムにより平衡化された。ロード後、カラムをpH5.5の50mM酢酸ナトリウムにより洗浄し、pH7.7の25mM HEPESにより洗浄し、pH5.5の50mM酢酸ナトリウムにより洗浄し、pH5.5の350mM酢酸ナトリウムを用いて溶出し、1M NaClおよび0.5N NaOHを用いて再生し、その後、カラムの次の使用まで0.1N NaOHで保存した。
ゲンタマイシンを添加することなく、最初の実験を行い、108g/Lの抗体DBCを示した。次に、上記調節および添加を、24,100mg/mLの最終濃度となるようにゲンタマイシンの添加ありで行った。この実験は、減少した89g/Lの抗体DBCを示した。その条件が30,500のゲンタマイシン濃度で繰り返され、88g/Lの抗体DBCが算出された。このデータは、モデルシステムのPBS、精製された抗体、および異なるレベルのゲンタマイシンを使用する場合、ゲンタマイシンの存在が、フラクトゲルSE Hicap樹脂上の抗体DBCを、108mg/mLから約88g/Lに減少させることを示す。
次に、約0.9mg/mLのmAb3、24,100~30,000ng/mLのゲンタマイシン、および408,000ng/mLのCHOPを含む、収集された細胞培養液(HCCF)を用いて、2つの実験が行われた。用いるHCCFは、ゲンタマイシンレベルで、モデルフィードストリームの68および71g/Lの抗体DBCと一致する。88および89g/LモデルフィードストリームDBCと、HCCFを用いる68および71g/LのDBCとの間の差に関する可能な説明は、フィードストリームにおける高いレベルのCHOPの存在である。
図12は、上記実験からの全ての抗体の漏出曲線、並びに、フィードストリームの不純物レベルおよび近似のDBCを示す。また、ランからランにかけて、起こり得るカラムの劣化またはゲンタマイシンのキャリーオーバーを防ぐために、ランはランダム化した順序で行われた。実験の順序は図12に付随する表に列挙される。実験順序および抗体DBCの間に相関関係はなかったので、カラムが劣化していたということ、または、ゲンタマイシンのキャリーオーバーが後のランに影響を及ぼしていたということはありそうにない。
最後に、フィードストリーム中のゲンタマイシンの存在がカラムDBCにおける有意な減少を示すこと、および、CEX膜が有意なレベルの抗体と結合することなくゲンタマイシンと結合できることが分かり、CEX膜がCEX樹脂の性能を保護および向上できるのかどうかを試験するために、2つの実験が行われた。ナトリックスSは、ムスタング(商標)Sを上回って向上したゲンタマイシン結合容量を示したので、フラクトゲルSE Hicapを保護するために使用された。2LのHCCFが解凍され、2M酢酸でpH5に調節され、PWで8mS/cmに調節され、フィードストリームの凍結および解凍からのあらゆる影響を取り除くためにオフラインで無菌濾過された。こうして調節および濾過されたフィードストリームから、ロードは、カラム上にロードされる一部分に分けられ、一方、残りの他の部分は0.75mLナトリックスSで処理され、その後フラクトゲルSE Hicap上にロードされた。両方のカラムのロード段階中に関し、15mLの分画が約60サンプルずつ採取された。調節されたHCCF、ナトリックスフロースルー、およびフラクトゲルSE Hicap分画は、抗体およびゲンタマイシン濃度に関して分析された。得られたHCCFおよびナトリックスのフロースルーフィードストリーム抗体および不純物濃度、並びに、得られたフラクトゲルSE Hicap漏出曲線は、図13に示す。得られたデータは、ナトリックスが、調節されたHCCFで、ゲンタマイシンレベルを24,100ng/mLから870ng/mLへと十分に減少させたことを示す。CHOPレベルは、408,000ng/mLから328,000ng/mLへと緩やかに減少した。抗体濃度は、調節されたHCCFの濃度の0.88mg/mLと比較して、わずかに低い0.83mg/mLであり、約94%の収率を示した。最後に、得られたCEXカラム漏出曲線は、調節されたHCCFおよびナトリックスフロースルーを用いる94g/Lの抗体DBCを使用した場合、カラムが72g/Lの抗体DBCを有したことを示す。このことは、CEXカラムにロードする前に、CEX膜によりゲンタマイシン含有フィードストリームを通過することによる、約30%のDBCの増加を示す。
CEX膜のECPおよびPEI漏出
他の不純物、例えば、ECPまたはPEIによりCEX膜を使用する場合に、同様の性能が観察できるかどうかを試験するために、一価抗体1のプロテインAプールおよび0.23mLナトリックスS膜を使用する実験が行われた。使用されたプロテインAプールは、1.5Mトリス塩基を用いて、前もってpH6.7に調節され、PWを用いて2.5mS/cmの伝導率となるように希釈した。4.7g/Lhの抗体濃度、130ug/mLのPEI、および8,870ng/mLのECPを有するロードが、平衡化したナトリックスS上にロードされ、2mLのフロースルー分画が10サンプル、その後、5mL分画が12サンプル採取された。フロースルー分画は、その後、抗体、PEI、およびECP濃度について分析され、その後、膜の抗体負荷密度に対するC/C値を作成するために用いられた。図14は、抗体およびECPの両方が、約123mg/mLでCEX膜を漏出することを示す。定量化のPEIレベルは30ug/mLであるため、最初のいくつかのサンプルは、そのレベルであるか、または、そのレベルを下回っており、図14は、これらのサンプル中にいかなる濃度のPEIが存在するのかが不明であったため、0.23のC/C値を示す。0.23のPEIレベルを検出する場合、PEIは、330mg/mLで漏出するようであり、抗体およびECPよりも有意に遅い。これらの結果は、抗体収率に否定的な影響を与えることなく、CEX膜がイオンポリマーを取り除くのにも有効であることを示唆する。
CEX樹脂および強結合イオンポリマーの影響
CEX樹脂の充填カラム上にて、PEIのような強く結合する不純物に、何が影響を与えるのかについて測定するために、ポリペプチド1の抽出段階およびSPセファロースファストフローカラム上へのそれらの影響を用いて、PEIのレベルを評価する、一連の実験が行われた。フィードストリームは、この産生物に関してより純粋ではなく、カラム上に進むPEIレベルを定量化することができなかったため、代わりに、抽出中に使用されるPEIレベルに留意した。
これらの実験に関し、抽出された産生物は、0.75から1.05%の範囲の異なるレベルのPEIで調製され、PWにより希釈され、4つの遠心分離液サンプルを産生するために遠心分離された。各遠心分離液サンプルは、約pH7.0かつ8.0mS/cmで、その後SPセファロースファストフローカラムにロードされるとともに、フロースルーサンプルが採取され、ポリペプチド濃度が分析された。得られたデータは、樹脂ポリペプチドの負荷密度の関数としての、C/Cグラフを作成するために使用された。図15は、漏出曲線、および、試験された各遠心分離液に関するカラムの対応するDBCを示す。表に示されているように、PEI%は抽出プロセス中に増加し、カラムのDBCは減少する。
さらに、ポリペプチド1を用いる実験の第2のセット上で、異なるPEI%の遠心分離液をSPセファロースファストフローカラムにロードし、その後にカラムを洗浄し、各実験用に溶出した。各実験から得られたプールは、その後、ポリペプチド濃度、ECP、およびサイズ排除クロマトグラフによる産生物のサイズに関して分析された。図16は、工程収率の減少をもたらす、抽出中に増加したレベルのPEI%、および、ECP、産生凝集物、または二量体のような不純物のレベルが増加したプールを用いて生成されたことを示す。
このCEXカラムの前に、CEX膜を用いる実験は行わなかったが、以前の研究からナトリックスSによりPEIが結合され得ることが分かり、PEI%の関数としての減少したCEXカラムの性能が分かったので、このフィードストリーム上でCEX膜を使用することが、カラムの結合容量だけでなく、得られるプールをも向上させることを仮定し得た。
結論
イオン交換膜は、タンパク質結合を生じるpHおよび伝導率条件で、不純物の除去に効果的であることが示された。オーバーロードしたクロマトグラフィーを介する操作、および、不純物と関心タンパク質と間の競合吸着により、1000~5000g/Lの負荷密度が達成されたあとに、96%以上の収率が示された。陽イオン交換膜は、16,000g/Lの負荷密度に対する0.2未満のC/C値で、結合し、膜フロースルー分画におけるCHOPおよびゲンタマイシンのような不純物を有意に減少させることが示された。陽イオン交換膜はまた、高分子量種、二量体、低分子量種、ゲンタマイシン、およびCHOPを含む、より未精製のフィードストリームを用いる場合、抗体と比較して、特定の不純物の結合に関する選択性を呈することが示された。これらの研究では、これらの不純物が異なる強度で結合し、増加した膜負荷密度は継続した不純物の結合を示す一方、膜への抗体結合は減少し、小さな分子量の、高く帯電した種、例えばゲンタマイシンが、競合する種よりもかなり強く結合することが示された。さらに、競合吸着および置換クロマトグラフィーは、ゲンタマイシンを含有するバッファを用いる、陽イオン交換膜からの抗体の溶出により生じることが確認された。2つの陽イオン交換膜、ムスタング(商標)S、およびナトリックスSは、それぞれ4.4~8.9g/Lおよび50g/Lのゲンタマイシンに関し、動的結合容量を有することが示された。また、ナトリックスSに関する漏出曲線は、ムスタング(商標)Sよりも緩やかであることが示された。ナトリックスSは、従来の膜よりも高い結合容量を有するように設計されており、段階的な漏出とともに、この性能は、不純物を取り除くのに十分適している。
フィードストリームの増加におけるゲンタマイシン濃度としてのDBCの減少とともに、ゲンタマイシンの存在下で、陽イオン交換樹脂が動的結合容量の変動を呈することが示された。フラクトゲルSE Hicapカラムは、0~30,500ng/mgゲンタマイシンを含むモデルフィードストリームを用いて、108g/Lから88g/LへとDBCを減少させた。代表的なフィードストリームを用いたとき、フラクトゲルSE Hicapは、68~71g/LのDBCを示した。陽イオン交換膜有用性は、そのフィードストリームにおけるゲンタマイシン濃度を、収率94%で、24,100ng/mgから870ng/mgのゲンタマイシンに減少させることができた場合に実証された。減少したゲンタマイシン濃度のフィードストリームは、フラクトゲルSE Hicapが、直接比較した場合の72g/Lと比較して、94g/LのDBCを有することを可能にした。ゲンタマイシンに非常に似ており、陽イオン交換膜は、一価抗体およびECPの存在下で、高く帯電させた、PEIのようなイオンポリマーに結合することが示された。最終的に、陽イオン交換樹脂は、フィードストリームにおけるPEI濃度を変化させることにより、否定的な影響を受けることが示され、PEI濃度の増加としてのプール不純物の増加および動的結合容量の減少をもたらした。PEIが上流で0.75%から1.05%に増加したとき、SPセファロースファストフローカラムは、51g/Lから36g/Lに減少することが示された。別の研究では、上流で使用されたPEI濃度が0.6%から1.1%に増加したとき、工程収率は96%から70%に減少し、ECPは155ng/mgから904ng/mgに増加し、凝集物は2.5%から17.3%に増加し、二量体は3.7%から5.9%に増加した。SPセファロースファストフローカラムの前の陽イオン交換膜の使用は試験されなかったが、PEIによりカラムが否定的な影響を受けること、膜がPEIとの結合に有効であること、適切なサイズの膜はカラムへ向かうPEI%を減少させてより高い結合容量およびへ収率と導く一方、プールの不純物濃度をも減少させることが分かった。
より良い精製技術は、絶えず出現する。より高い結合容量のイオン交換樹脂が開発され、プロテインAアフィニティ樹脂の代替としてのそれらの使用は、操作コストが減少する理由となりそうである。しかしながら、増加した不純物レベルのフィードストリーム、または、下流のアプリケーションでは概して観察されないゲンタマイシンまたはPEIのような不純物に対して行われる場合、それらの真の有効性が減少されるかもしれない。このようなイオン交換樹脂前のイオン交換膜の使用は、カラム上にロードされる不純物を減少させることにより、カラムを保護することができる。このことは、より高い動的結合容量、工程収率の増加、またはプール不純物濃度の減少のような、カラムに関するいくつかの向上を導き得る。十分な不純物結合容量、量、および浸透性を有する適切な膜を選択することにより、2つの工程が連続的に操作され、さらなる操作時間および最終的な精製プロセスコストを低減するかもしれない。
上記明細書は、本発明を実施する当業者が十分に実施できると考えられる。堆積された実施形態は本発明の特定の態様を1つの具体例として表されたものであるため、本発明は堆積された構成の範囲に限定されず、機能的に同等のあらゆる構成は本発明の範囲内である。本明細書における材料の堆積は、本明細書おいて含まれる記載が、そのベストモードを含む、本発明のあらゆる態様の実施を可能とするには不十分であることの承認を構成するものではなく、それが代表する特定の実施例に特許請求の範囲を限定することを構成するものでもない。実際に、本明細書において示され、かつ説明されたこれらに加えて、本発明の種々の変更は、上記の記載から当業者にとって明らかであり、添付の特許請求の範囲内のものであるといえる。

Claims (19)

  1. 関心ポリペプチドおよび1以上の混入物を含む組成物から関心ポリペプチドを精製するための下流のクロマトグラフィー工程(B)の効率を高める方法であって、
    前記方法は、前記下流のクロマトグラフィー工程(B)の上流に、前記組成物をイオン交換膜で処理する工程(A)を含み、
    前記組成物をイオン交換膜で処理する工程(A)は、
    a.関心ポリペプチドおよび1以上の混入物を含む組成物をイオン交換膜に通す工程であって、前記1以上の混入物は、宿主細胞タンパク質、アミノグリコシド系抗生物質、核酸、関心ポリペプチドのバリアント、他のポリペプチド、エンドトキシン、又はウイルス混入物のうちの1以上であり、関心ポリペプチドと前記イオン交換膜とは、関心ポリペプチドおよび混入物を前記イオン交換膜に結合させる操作条件において反対の荷電を有し、前記操作条件は、関心ポリペプチドの荷電を促進するように関心ポリペプチドのpIとは十分に区別されるpHと、バッファイオンによる荷電の遮蔽を阻害するのに効果的な低イオン強度とを有するバッファを含む、工程
    b.前記イオン交換膜をオーバーロードさせる工程であって、少なくとも1つの前記混入物が前記イオン交換膜に結合したままで、前記関心ポリペプチドが主に溶出液中にあるようにする工程、ならびに、
    .関心ポリペプチドを含む前記イオン交換膜からの溶出液を採取する工程、
    を含み、
    前記下流のクロマトグラフィー工程(B)は、
    前記イオン交換膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムを用いるものであり、関心ポリペプチドを含む前記膜の溶出液を前記膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムにロードして、精製された関心ポリペプチドを前記膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムの溶出液から回収することを含む、方法。
  2. 関心ポリペプチドおよび1以上の混入物を含む組成物から関心ポリペプチドを精製するための下流のクロマトグラフィー工程(B)の効率を高める方法であって、
    前記下流のクロマトグラフィー工程(B)の上流に、前記組成物をイオン交換膜で処理する工程(A)を含み、
    前記組成物をイオン交換膜で処理する工程(A)は、
    a.関心ポリペプチドおよび1以上の混入物を含む組成物をイオン交換膜に通す工程であって、前記1以上の混入物は、宿主細胞タンパク質、アミノグリコシド系抗生物質、核酸、関心ポリペプチドのバリアント、他のポリペプチド、エンドトキシン、又はウイルス混入物のうちの1以上であり、関心ポリペプチドと前記イオン交換膜とは、関心ポリペプチドおよび混入物を前記イオン交換膜に結合させる操作条件において反対の荷電を有し、前記操作条件は、関心ポリペプチドの荷電を促進するように関心ポリペプチドのpIとは十分に区別されるpHと、バッファイオンによる荷電の遮蔽を阻害するのに効果的な低イオン強度とを有するバッファを含む、工程、
    b.前記イオン交換膜をオーバーロードさせる工程であって、少なくとも1つの前記混入物が前記イオン交換膜に結合したままで、前記関心ポリペプチドが主に溶出液中にあるようにする工程、
    c.関心ポリペプチドを含む前記イオン交換膜からの溶出液を採取する工程、
    ならびに 、
    d.上記a~cの工程に先立って、又は続いて、さらなる精製手順を含み、
    記さらなる精製手順が、疎水性相互作用クロマトグラフィー、エタノール沈殿、熱沈殿、ポリエチレングリコール(PEG)沈殿、等電点フォーカシング、逆相HPLC、クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、混合モードのイオン交換、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、硫安沈殿、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、親水性荷電誘導クロマトグラフィー、高性能タンジェンシャルフロー・フィルトレーション(HPTFF)、およびアフィニティークロマトグラフィーから選択され
    前記下流のクロマトグラフィー工程(B)は、
    前記イオン交換膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムを用いるものであり、関心ポリペプチドを含む前記膜の溶出液を前記膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムにロードし、精製された関心ポリペプチドを前記膜と類似の荷電のイオン交換クロマトグラフィーカラムの溶出液から回収することを含む、方法。
  3. 前記さらなる精製手順は、プロテインAクロマトグラフィー、プロテインGクロマトグラフィー、捕捉剤として抗体、抗原、基質、又はリガンドを用いるクロマトグラフィーから選択されるアフィニティークロマトグラフィーである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記1以上の混入物は、宿主細胞タンパク質である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記宿主細胞タンパク質は、チャイニーズハムスター卵巣タンパク質(CHOP)又はE.coliタンパク質(ECP)である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記混入物は、アミノグリコシド系抗生物質である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記イオン交換膜は、0.1から100μmのポアサイズを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記イオン交換膜は、モノリス又はデプスフィルターにより置き換えられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記イオン交換膜は、陽イオン交換膜である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記pHは、前記ポリペプチドの前記pIを約1から約4pH単位下回る、請求項9に記載の方法。
  11. 前記陽イオン交換膜は、陽イオン交換モノリス又はデプスフィルターである、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記イオン交換膜は、陰イオン交換膜である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記pHは、前記ポリペプチドの前記pIを約1から約4pH単位上回る、請求項12に記載の方法。
  14. 前記バッファの伝導率は約40mS/cm未満である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記膜は混合モードの吸着材である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記ポリペプチドはCH2/CH3領域を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記ポリペプチドは抗体である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記抗体はモノクローナル抗体である、請求項17に記載の方法。
  19. 精製した前記ポリペプチドを薬学的に許容可能な担体と組み合わせることにより、薬学的組成物を調製することをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
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