JP7397751B2 - 内容物入り容器 - Google Patents

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Description

本発明は、内容物を収容する内容物入り容器に関し、特に、粘度の高い内容物、固形成分を含むペースト状或いはゲル状の内容物の収容に好適な内容物入り容器に関する。
近年、鮮度保持、食品ロス削減、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の推進等の種々の観点から、包装容器の多機能化が進められている。
例えば、特許文献1には、基材表面にフッ素系樹脂粒子を含む撥液性表面層を有する撥液性物品が開示されている。この特許文献1に開示の撥液性表面層では、ソース、醤油等の種々の液体に対する滑落角が30°以内であり、高い液体除去性能を有している。当該撥液性物品を容器本体として用いることにより、残量が少なくなったときも、例えば容器本体を傾けること等により、内容物を容器本体から容易に吐出させることができる。また、当該撥液性物品を吐出口やキャップなどとして用いることにより、吐出口やキャップの裏面に内容物が付着したまま固化することなどを抑制することができる。そのため、食品ロス削減を図ると共に、使用後の容器を軽く水洗いすれば容器内表面に付着した内容物を簡易に除去できるためリサイクルを推進しやすいという利点がある。
特開2019-189773号公報
しかしながら、上記撥液性表面層は内容物によって撥液性表面層の成分や表面形状等を変更しなければならないという課題があった。また、上記撥液性表面層はソースやしょうゆ等の流動性が比較的良好な液体の物品に対しては有効であるが、例えば、しょうがやわさびなどの香味野菜等を細かく刻んだ固形成分を含むチューブ入り調味料等のチューブ入り食品や、歯磨き粉、洗顔フォーム等のペースト状或いはクリーム状等の流動性の低い物品については、十分な除去性能を維持することが困難であった。そのため、これらの粘度のより高い物品或いは固形成分の含有量の多い物品を内容物として収納する容器として、上記撥液性物品を用いた場合、残量が少なくなったときに内容物の吐出が困難になったり、容器の内表面に対する内容物の付着を十分に抑制することが困難であった。
そこで、本発明の課題は、流動性の低い物品を内容物として収納する場合も、内容物をその接触面から容易に除去可能な内容物入り容器を提供することにある。
本発明は、内容物入り容器であって、
前記容器の構成材としての基材と、
前記基材の内容物との接触面に、水との接触角が10°以下となる親水層と
を備え、
前記親水層は、複数の高分子鎖がブラシ状に前記接触面に設けられてなるポリマーブラシ層であり、
前記基材は前記接触面にプライマー層を介して前記親水層を備え、
前記基材はプラスチック製基材であり、前記プライマー層はシリカ蒸着層であり、前記親水層は有機ケイ素化合物層であり、
前記内容物は、水分含有率が33%以上の物品である、内容物入り容器である
本発明に係る内容物入り容器によれば、その構成材となる基材の内容物との接触面に親水層を備えている。当該親水層は水に対する接触角が10°以下であり、水に対する濡れ性が極めて高い。そのため、当該容器に水分を含有する内容物を収容すると、内容物中の水分が親水層に濡れ広がり、親水層に水が保持されて当該接触面に水の層(保水層)を形成することができると推察される。この水の層により内容物が基材に直接接触せず、内容物を水の層に浮かせたような状態とすることができる。その結果、内容物の粘度が高く内容物自体の流動性が低い場合でも、基材を傾ける等により内容物が滑落し、基材の接触面から内容物を容易に除去することが可能になる。従って、当該容器に水分を含有する内容物を収容すれば、内容物が容器の内表面への付着を抑制することができる。また、残量が少なくなったときも内容物を容器から容易に吐出させることができ、内容物を最後まで使い切ることが容易になる。
さらに当該容器によれば、内容物を使用した後に軽く水洗いすることにより、上記水の層を形成することができると推察される。そのため、仮に内容物が容器の内側に付着して固化しているような場合でも、当該水の層により内容物を基材の表面から浮き上がらせて、それを容易に除去することができる。当該作用は内容物の水分含有率の大小によらず得ることができる。例えば、粘度の高い物品や固形成分の多い物品を内容物として収容する場合、使用済み容器の内表面にはこれらの内容物が付着し、使用済み容器のリサイクルを図ることが困難になる。しかしながら、そのような物品であっても、当該容器に収容すれば、使用後に軽く水洗いをすれば内表面に付着した内容物を除去することができるため、使用済み容器のリサイクルを推進することも容易になる。
このように本発明によれば、流動性の低い物品を内容物として収納する場合も、内容物をその接触面から容易に除去可能な容器を提供することができる。
本発明の実施の形態の容器の層構成を説明するための図であり、(a)はその模式図であり、(b)は親水層の一例としてのポリマーブラシ層の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態の容器の具体的構成例を示す図であり、(a)は当該容器の一例としてのスクイズ容器(チューブ容器)を示す模式図であり、(b)は基材の材質等に応じてプライマー層を設けたときの層構成を説明するための模式図である。 図1(b)に示すポリマーブラシ層による作用を説明するための模式図である。
以下、本発明に係る容器の実施の形態を図面を参照しながら説明する。本実施の形態の容器は各種内容物を収容することができ、図1(a)に示すように、当該容器の構成材としての基材10と、基材10の内容物との接触面に、水との接触角θが10°以下となる親水層20(超親水層)を備えることを特徴としている。なお、図1(a)は層構成を示す模式図であり、各層の厚みを表すものではない。また、各層の厚みは適宜適切な厚みとすることができる(図2(b)においても同じである。)。以下では、まず、容器及び内容物について説明した後に、基材10、親水層20について説明する。
(1)容器
上述のとおり基材10は容器の構成材として用いられる。本発明において容器は各種包装容器を意味する。包装容器とは、食品、医薬品、化粧品、日用品等の種々の物品を包装収容するものをいい、内容物と接触し得る面(これを本発明では接触面と称する。)を有するものであれば、どのような形態(形状、材質等)であってもよい。
当該容器は、例えば、図2(a)に示すスクイズ容器100(チューブ容器)の他、ボトル容器、カップ容器、ジャー容器等の種々の形態の容器であってよく、当該容器は蓋の有無を問わない。また、ポンプ機構やスプレー機構等の内容物を吐出するための機構を備えた容器や、内容物を計量するための計量カップ等の計量手段を備えた容器、或いは、内容物を所定の位置に塗布するための各種塗布具を備えた容器であってもよい。さらに、パウチ容器等の袋状の軟包装でもよく、上記親水層20を備えた基材10が容器の少なくとも一部の構成材として用いられている限り、容器の具体的な形態は特に限定されるものでもない。
(2)内容物
当該容器に収容される内容物も特に限定されるものではなく、上記食品、医薬品、化粧品、日用品等の種々の物品を挙げることができる。これらの物品の状態(液体、固体等)や成分等も特に限定されるものではないが、水分を含有する物品であることが好ましい。水分を含有する内容物を当該容器に収容すれば、後述する親水層20の作用により、基材10の接触面に付着した内容物を基材10を傾ける等の内容物を使用する際に行う動作により内容物を滑落させることができる。
特に、内容物の水分含有率が33%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。水分含有率が高い内容物の方が基材10に対する滑落性が良好になるためである。
但し、ここでいう水分含有率はカールフィッシャー法により測定した値をいい、特に電量滴定法により測定した値をいうものとする。
また、後述するとおり、当該容器によれば、内容物の粘度が100,000mPa・s以上である場合も、基材10に対する滑落性を維持することができる。
但し、ここでいう粘度は、JIS Z 8803:2011に準拠して、回転式粘度計を用いて室温(20℃)で測定したときの値をいうものとする。
例えば、水分含有率が33%以上であり、粘度が100,000mPa・sの物品は、ジェル状、ペースト状或いはクリーム状を呈することが多い。そのような物品として、例えば、しょうがやわさびなどの香味野菜等を細かく刻んだ固形成分を含むチューブ入り調味料等のチューブ入り食品や、歯磨き粉、洗顔フォーム等のペースト状或いはクリーム状等が挙げられる。これらの物品は流動性を有するものの、その流動性は低い。しかしながら、本発明によれば、このような物品を内容物とした場合であっても、基材10に対する滑落性を維持することができ、基材10の接触面から内容物を除去することが可能である。
(3)基材10
次に、基材10について説明する。基材10は容器を構成する構成材であり、各種包装容器材として用いられているプラスチック、硝子、紙、金属、セラミックス等の各種材質からなるものとすることができる。また、図1(a)には基材10が単層構造である場合を示しているが、当該基材10は多層構造であってもよく、異質の材料からなる層を組み合わせた複合材であってもよい。但し、基材10は内容物との接触面に直接又は後述するプライマー層30(図2(b)参照)を介して親水層20を設けることができることが求められる。なお、プライマー層30については後述する。
また、基材10は、当該容器に要求される各種機能等(スクイズ性(可撓性)、自立性(剛性)、内容視認性(透明性)、品質保持性能(酸素バリアー性、防湿性、耐熱性等))や形状に応じて、適宜適切な材質とすることができる。例えば、当該基材10がプラスチック製基材である場合、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)、PP(ポリプロピレン(PPホモポリマー、ランダム共重合体、ブロック共重合体))、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PS(ポリスチレン)、アクリル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、AS樹脂(アクリロニトリル-スチレン)等とすることができ、容器はこれらの材質のシート成形容器、ブロー成形容器、射出成形容器、押出ラミネート製品、発泡製品等とすることができる。
さらに、本発明において、容器の少なくとも一部がこの基材10により構成されていればよい。例えば、図2(a)に示すスクイズ容器100は、内容物を収容する容器本体50と、容器本体50の口部50aに着脱可能に設けられるキャップ体60とを備えている。当該基材10は、容器本体50の構成材であってもよいし、キャップ体60の構成材であってもよく、その双方が当該基材10により構成されていてもよい。但し、容器本体50とキャップ体60とは異なる材質からなる基材10とすることができる。
また、容器によっては、例えば、容器本体又はキャップ体の他、上述したポンプ機構、スプレー機構、塗布具等の各種部材が当該基材10により構成されていてもよい。また、基材10は容器本体、キャップ体、その他部材の全体ではなく、一部のみを構成していてもよい。
(4)親水層20
次に、親水層20について説明する。親水層20は、水に対する接触角θが10°以下であるものとし、基材10の内容物との接触面に設けられる。ここで、親水層20は基材10の接触面において最表面に設けられるものとする。また、水に対する接触角θは、精製水(イオン交換水)よりなる水滴Wを当該親水層20の表面に接触させて着滴したとき、当該親水層20の水滴Wの接する部位から水滴Wの曲面に接線を引いたとき、この接線と親水層20の表面とがなす角度をいう。当該接触角θは、協和界面科学株式会社製の接触角計CA-Dを用いて、θ/2法(A half-angle Method)により測定することができる。
このように当該親水層20は水に対する接触角θが小さく、表面の水に対する濡れ性が極めて高い。そのため、当該容器に水分を含有する内容物を収容すると、内容物中の水分が親水層20に濡れ広がり、当該親水層20に水が保持されて、当該接触面に水の層(保水層)を形成することができるものと推察される。
親水層20は水に対する接触角θが10°以下の層であればよく、当該接触角θの値が小さくなるほど水に対する濡れ性がより高くなる。当該観点から接触角θは10°未満であることがより好ましく、9.5°以下であることがさらに好ましい。
親水層20は、ヒドロキシル基(-OH)等の親水基を備えた化合物を含む薄膜であることが好ましく、特に親水基を含む有機ケイ素化合物を含む薄膜であることが好ましい。このような親水層20として、例えば、親水基を含む有機ケイ素化合物からなる自己組織化膜、或いは、複数の高分子鎖21(図1(b))がブラシ状に前記接触面に設けられてなるポリマーブラシ層であることが好ましい。なお、ポリマーブラシ層は広義には自己組織化膜の一種である。
親水層20がポリマーブラシ層よりなる場合、当該親水層20は、例えば、図1(b)に示すように、片末端に基材10の接触面(又はプライマー層30)に化学的に強固に結合される末端基21aに高分子鎖21を構成するモノマー単位21bが複数結合されてなる高分子鎖21がブラシの毛のように接触面上に設けられた特殊な構造を有する。なお、図1(b)はポリマーブラシ層の構成を分かりやすく示すために、末端基21a、モノマー単位21bをそれぞれ模式的に丸く示したが、高分子鎖21が図示するような形状を有するものではなく、図示したモノマー単位21bの数が重合度や親水基の数を示すものでもない。
親水層20は、水との接触角θが10°以下の親水性を示すものであれば、種々の親水コート剤を用いることができる。例えば、有機ケイ素化合物の一種であるアルコキシシリル基含有ポリマー等を含み基材10の表面とシラノール基により結合することでポリマーブラシを構成する親水コート剤(ポリマーブラシ形成剤)等を用いることができる。また、基材10で有機シラン化合物等を重縮合させることによりポリマーブラシ層を成膜してもよい。
(5)プライマー層30
次に、図2(b)に示すプライマー層30について説明する。基材10の接触面には、基材10と親水層20との密着性を得るため、或いは、基材10と親水層20との密着性を向上させるためにプライマー層30を設けてもよい。このようにプライマー層30は基材10と親水層20との間に設けられる層である。
例えば、親水層20として有機ケイ素化合物層(ポリマーブラシ層含む)を基材10の表面に設ける際、有機ケイ素化合物層は主としてシラノール基により基材10の表面に化学的に結合する。基材10の表面にヒドロキシ基が存在していれば、基材10にポリマーブラシ層は強固に密着固定される。例えば、基材10が硝子製基材であればプライマー層30を設けずとも、その表面に強固に密着したポリマーブラシ層を得ることができる。しかしながら、基材10がプラスチックや金属のように表面に十分なヒドロキシ基が存在しない場合、基材10の表面にプライマー層30を設け、基材10の表面にヒドロキシ基を導入する必要がある。
このようなプライマー層30として、例えば、シリカ蒸着層を挙げることができる。シリカ蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法(PVD)や化学蒸着法(CVD)により基材10の表面に成膜することができる。但し、シリカ蒸着層の成膜方法は、基材10の材質等に応じて、適宜、適切な方法を採用することができる。
シリカ蒸着層は、プラスチック製の基材10等に、親水層20として上記ポリマーブラシ層を含む有機ケイ素化合物層を設ける場合に、基材10と親水層20とを強固に密着させることができる。
次に、図3を参照しながら、上記説明した本実施の形態の容器において親水層20に水分が接触したときの作用について説明する。図3に示す親水層20はポリマーブラシ層である。図3において、向かって右側は親水層20と水分とが非接触状態にあるときを示し、向かって左側は親水層20に水滴Wが接触した状態を示している。
図3向かって右側に示すように、親水層20と水分とが非接触状態にある場合、ポリマーブラシ層を構成する各高分子鎖21は乾燥状態(21dry)にある。一方、図3向かって左側に示すように、親水層20に水滴Wが接触した場合、水滴Wは直ちに親水層20内に濡れ広がる。このとき、高分子鎖21の親水基と水とが水素結合し、各高分子鎖21は水分を含んで膨潤状態(21wet)となり、上述したように基材10上に膨潤した高分子鎖21wetに水分が保持されてなる水の層が形成される。
ここで、ポリマーブラシ層内には水以外の成分、例えば、内容物に含まれる固形成分や油分(疎水性の成分)等の基材10に付着しやすい成分は侵入することができない。そのため、固形成分等Sはこの水の層上に浮かんだような状態となる。図1(b)、図3に示すポリマーブラシ層に限らず、基材10の内容物との接触面に水との接触角θが10°以下の親水層20を設けることにより、当該接触面に水分を接触させることで上述したような水の層を形成することができる。
従って、当該容器(例えば、スクイズ容器100)に水分含有率の高い内容物を収容すれば、内容物に含まれる水分により当該水の層を形成することができ、内容物(特に固形成分や油分)を水の層に浮かせたような状態とすることができる。その結果、内容物の粘度が高く内容物自体の流動性が低い場合でも、基材10(容器等)を傾ける等により内容物が基材10から滑落し、基材10の接触面から内容物を容易に除去することが可能になる。そのため容器内表面への内容物の付着を抑制することができる。また、残量が少なくなったときも内容物を容器から容易に吐出させることができ、内容物を最後まで使い切ることが容易になる。
さらに当該容器によれば、内容物を使用した後に軽く水洗いすることなどによっても上記水の層を形成することができる。そのため、内容物が水分を含まず、或いは水分含有率が低く、容器の内側に付着して固化しているような場合でも、当該付着部位に親水層20が設けられていれば、使用後に水洗いすることにより内容物を基材10の表面から浮き上がらせて、それを容易に除去することができる。例えば、粘度の高い物品や固形成分の多い物品を内容物として収容する場合、使用済み容器の内表面にはこれらの内容物が付着し、使用済み容器のリサイクルを図ることが困難になる。しかしながら、そのような物品であっても、当該容器に収容すれば、使用後に軽く水洗いをすれば内表面に付着した内容物を除去することができるため、使用済み容器のリサイクルを推進することも容易になる。
なお、本発明は上記説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であるのは勿論である。
次に、実施例と比較例を挙げて本発明に係る容器についてより詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではないことは勿論である。
[実施例]
実施例として、基材10として水に対する接触角θが77°のPET製プレートを用い、その表面にプライマー層30としてシリカ蒸着層を設け、プライマー層30上に水に対する接触角θが9°の親水層20を設けた。
シリカ蒸着層(プライマー層30)は、基材10を真空容器内に入れ、テトラメトキシシラン(アルコキシシラン)、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルジシロキサン等のシリカ膜を形成し得るガスを当該真空容器内に導入し、一般的なプラズマCVD法により基材10の表面にシリカ蒸着層を製膜した。
親水層20は、上記シリカ蒸着層上にディップコート法により親水コート剤(ポリマーブラシ形成剤)を塗布して、65℃で1時間乾燥させることにより成膜した。親水コート剤として、大阪有機化学工業社製の超親水性コート材(LAMBIC-771W)をイオン交換水で5倍に希釈したものを用いた。このように成膜した親水層20は、片末端にシラノール基を有し、親水性モノマーが重合してなる高分子鎖21が基材10の表面(詳細にはプライマー層30の表面)にブラシ状に設けられたポリマーブラシ層となる。
[比較例]
比較例1として、実施例で用いた基材10と同じく、水に対する接触角θが77°のPET製プレートを用意した。また、比較例2として、水に対する接触角θが96°のPP製プレートを用意した。比較例1及び2については、基材10のみで構成した。
[評価]
1.評価方法
上記実施例と、比較例1及び比較例2で用意した各プレートを試料プレートとして用いて、内容物のサンプルとして粘度が100,000mPa・s以上であり、水分含有率の異なる8種類のサンプル(サンプル1~サンプル8)について滑落角を評価した。当該評価に際して、まず試料プレートを水平に載置し、試料プレート上に内容物サンプルを0.2g載置した。そして、試料プレートを水平状態から徐々に傾斜させ、サンプルが試料プレート上から滑落したときの傾斜角を比較して、評価を行った。
(1)サンプル
サンプルとして以下のものを用意した。
[水分含有率70%以上](1種類)
サンプル1:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(もみじおろし)
[水分含有率60%以上70%未満](2種類)
サンプル2:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(しょうが)
サンプル3:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(柚子こしょう)
[水分含有率33%以上60%未満]
サンプル4:キューピー株式会社製マヨネーズ
サンプル5:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(おろし生にんにく)
サンプル6:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(おろし生わさび)
サンプル7:花王株式会社製洗顔料(ビオレスキンケア洗顔料モイスチャーb)
[水分含有率33%未満]
サンプル8:ハウス食品株式会社製チューブ入り調味料(ねり和からし)
(2)水分含有率測定方法
各サンプルの水分含有率を京都電子工業株式会社製のカールフィッシャー水分計(MKC-610)を用いて、電量滴定法により測定した。各サンプルの水分含有率の測定値を表1~表3に示す。
(3)粘度
各サンプルの粘度をブルックフィールドエンジニアリング社製ブルックフィールド回転式粘度計(DV1M)を用いて、JIS Z 8803:2011に準拠して室温(20℃)で測定した。各サンプルの粘度の測定値を表1~表3に示す。
(4)滑落性評価
上記方法により、実施例及び比較例1及び比較例2の試料プレート上の上記サンプル1~サンプル8の滑落試験を行い、試料プレートの傾斜角を15°、30°、45°、90°としたとき、それぞれ以下の判定基準に基づき評価した。
〇:試料プレート上のサンプルが滑落した(大きく移動した)。
△:試料プレート上のサンプルが初期位置から1~2mm移動した。
×:試料プレート上のサンプルは移動しなかった。
2.評価結果
実施例1、比較例1及び比較例2の評価結果をそれぞれ表1、表2及び表3に示す。
表1から、実施例1のように水に対する接触角θが77°のPET製プレートに、水に対する接触角θが9°の親水層20を設けることで、粘度が100,000mPa・s以上と高く流動性が低くとも、水分含有率が33%以上のサンプル1~サンプル7については基材10を45°まで傾斜させることにより完全にサンプルを滑落させることはできずとも、基材10上を滑らせることができることが確認された。
特に、サンプル1~サンプル3は水分含有率が60%以上であり、サンプルに含まれる水分により、上記水の層(図3参照)を形成することが容易であるものと推察され、試料プレートを水平状態から30°まで傾斜させることによって、基材10上のサンプルが傾斜方向下方に移動し始め、或いは、滑落することが確認された。また、水分含有率が33%以上のサンプル4~サンプル7は試料プレートを水平状態から45°まで傾斜させることによって、基材10上のサンプル傾斜方向下方に移動し始め、或いは滑落し、水分含有率が40%以上のサンプル4~サンプル6は試料プレートを90°にすれば試料プレートから滑落することが確認された。
一方、サンプル8の水分含有率は32.7%と他のサンプルと比較すると低く、サンプル8に含まれる水分のみでは、十分な滑落性を得ることはできなかった。しかしながら、実施例ではいずれのサンプルについても、試料プレートを傾斜させた状態で軽く流水ですすぐことにより、試料プレート上のサンプルを簡単に除去することができた。
以上より、水に対する接触角θが9°の親水層20を内容物との接触面に備える基材10により容器を構成し、その容器に水分含有率が33%以上の内容物を収容すれば、内容物中の水分によって、親水層20にその水分が濡れ広がり、当該接触面に水の層を形成することができると推察される。この水の層により内容物が基材に直接接触せず、内容物を水の層に浮かせたような状態とすることができる。その結果、上記サンプル1~サンプル7のように粘度が100,000mPa・s以上と高く、流動性が低い場合でも、容器を傾ける等により内容物を滑り落とすことができ、容器の内表面への付着を抑制することができ、残量が少なくなったときも内容物を容器から容易に吐出させることが可能になる。特に、サンプル2、サンプル5、サンプル6は粘度が400,000mPa・s以上と極めて高いが、これらについても滑落性を有することが確認された。
一方、表2を参照すると、比較例1の基材10は実施例1の基材と同じPET製プレートを使用しているが、表1に示す実施例1の結果と比較するとその差は歴然としている。実施例1では、上述したとおり、水分含有率が60%以上のサンプル1~サンプル3については、試料プレートを水平状態から30°まで傾けることで基材10上のサンプルが傾斜方向下方に移動し始め、或いは、滑落したが、比較例1ではサンプル2については試料プレートを90°にしてもサンプルは一切移動せず、サンプル1及びサンプル3は試料プレートを90°にすることで、ようやく傾斜方向下方に移動し始め、或いは滑落した。しかしながら、サンプル2は試料プレートを90°にしても粘度が541,800mPa・sと高いためか、一切移動しなかった。
次に表3を参照すると、比較例2の基材10は実施例1及び比較例1よりも水に対する接触角θの大きいPP製プレートを使用している。比較例2についても、表1に示す実施例1の結果と比較するとその差は歴然としている。一方、比較例1と対比すると、比較例2の方がサンプル1、サンプル3については滑落角が小さくなっていることが確認される。しかしながら、比較例1及び比較例2ではいずれも基材10の表面に水分を保持して上記水の層を形成することはできないため、基材10の表面とサンプルとの間に作用する摩擦力等の差により、比較例2の方がサンプル1及びサンプル3については滑落角が小さくなったものと推察される。
Figure 0007397751000001
Figure 0007397751000002
Figure 0007397751000003
10 :基材
20 :親水層
30 :プライマー層
50 :容器本体
50a :口部
60 :キャップ体
100 :容器(スクイズ容器)

Claims (1)

  1. 内容物入り容器であって、
    前記容器の構成材としての基材と、
    前記基材の内容物との接触面に、水との接触角が10°以下となる親水層と、
    を備え
    前記親水層は、複数の高分子鎖がブラシ状に前記接触面に設けられてなるポリマーブラシ層であり、
    前記基材は前記接触面にプライマー層を介して前記親水層を備え、
    前記基材はプラスチック製基材であり、前記プライマー層はシリカ蒸着層であり、前記親水層は有機ケイ素化合物層であり、
    前記内容物は、水分含有率が33%以上の物品である、内容物入り容器。
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