JP7388156B2 - 画像処理装置、画像処理方法及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関し、特にハーフトーン処理を行う場合の技術に関する。
従来、インクジェットプリンタなどの画像形成装置において、誤差拡散処理で肌色などの箇所を印字する際の粒状性を改善することが行われている。すなわち、カラー画像を印字する画像形成装置に用意されるインクは、通常、シアンとマゼンタとイエローであり、これらのインクを組み合わせて肌色部を再現する。このため、肌色部については、ハーフトーン処理が適切に行われないと、粒状性の悪いザラついた画像になってしまう。
図9は、シアン(C)を横軸、マゼンタ(M)を縦軸として、この2色で再現される色空間を示す。それぞれの色は、1ドットごとのインクの滴下量を、0,1,2の3段階に調整が可能であり、シアン(C)の滴下量の3段階の調整と、マゼンタ(M)の滴下量の3段階の調整とを合わせて、合計で9段階に調整して、図9に示す色空間上の色を再現する。例えば、図10で(C0,M0)と記載された点は、シアンの滴下量0、マゼンタの滴下量0であり、(C2,M1)と記載された点は、シアンの滴下量2、マゼンタの滴下量1である。
ここで、図10に示す色空間上の特定の色の階調データα10を再現する場合を考える。この色α10は、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量0の点(C0,M0)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量0の点(C1,M0)と、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量1の点(C0,M1)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量1の点(C1,M1)のほぼ中央に位置している。
したがって、階調データα10による色を再現するためには、この4つの点(C0,M0)、(C1,M0)、(C0,M1)、(C1,M1)の内のいずれかの点の印字を切り替えて、適切に組み合わせる必要がある。この印字を組み合わせる処理の1つの手法である誤差拡散処理は、あるドットを特定の滴下量で印字したとき、そのドットの印字色と本来の色との差(誤差)を、後述するように、次のドットの量子化時に考慮して、誤差を印字領域で拡散する手法である。
特許文献1には、ベクトル量子化を用いて誤差拡散を実行する手法の一例について記載されている。ベクトル量子化を行う場合には、印字で再現する色の座標位置と、その周囲の印字可能な色の座標位置を結ぶベクトルを利用して、最も近いベクトルを量子化された色に決定する。
例えば、図10の例では、特定の色の階調データα10を量子化するとき、階調データα10と、周囲の4点(C0,M0)、(C1,M0)、(C0,M1)、(C1,M1)とのベクトルV1,V2,V3,V4を利用する。そして、最も距離が短いベクトル(ここではベクトルV2)を量子化値に決定する。そして、次のドットの量子化を行う際には、誤差であるベクトルV2を考慮する。このようにして、ベクトル量子化を用いて誤差拡散を実行することができる。
特開2002-44450号公報
このように、誤差拡散処理を行って各ドットの色を決定することで、肌色部全体としては、目的の色に近い色になる。しかしながら、単純に誤差拡散処理を行うと、各ドット間で色の濃淡の変化が大きい箇所が生じ、粒状性の悪化につながってしまう。
印字のための誤差拡散処理は、通常、印字用のデータを生成する画像処理装置で印字直前に実行されるため、高速処理が要求される。また、誤差拡散処理は、低コストの回路で実現できることが好ましいが、従来提案されている誤差拡散の手法では、十分な高速処理や回路の低コスト化が不十分であった。
本発明は、誤差拡散による量子化を行う際に、粒状性を改善できると共に高速処理や低コスト化が実現できる画像処理装置、画像処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
本発明の画像処理装置は、ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理装置であって、階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定部と、座標設定部で設定された第1座標成分と第2座標成分とによる色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化部と、を備える。
また、本発明の画像処理方法は、ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理方法であって、階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定処理と、座標設定処理により設定された第1座標成分と第2座標成分による色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化処理と、を含む。
また、本発明のプログラムは、上記画像処理方法の座標設定処理と量子化処理とを実行する手順を有するものである。
本発明によると、比較的簡単かつ低コスト化が可能な演算処理で、肌色部等に適した粒状性を極力抑制した良好なハーフトーン処理が可能になる。
本発明の一実施の形態例による画像処理装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の一実施の形態例による誤差拡散処理の例を示す構成図である。 本発明の一実施の形態例による画像処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の一実施の形態例による色空間の例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による2値量子化と3値量子化の入出力関係を示す図である。 本発明の一実施の形態例による2値量子化と3値量子化の切替え例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による2値量子化と3値量子化の組み合わせによる色空間の例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による係数kの値による色空間の例を示す図である。 本発明の一実施の形態例による量子化の例(a)と、CMを独立して量子化した例(b)を示す図である。 従来の色空間の例を示す図である。
以下、本発明の一実施の形態例(以下、「本例」と称する)を、図1~図5を参照して説明する。
[画像処理装置の構成]
図1は、本例の画像処理装置の構成を示すブロック図である。
本例の画像処理装置は、例えば画像形成装置(例えばインクジェットプリンタ)の内部で、画像形成を行うための階調データを、印字用に量子化する処理を行う。本例においては、シアン(C)の階調データと、マゼンタ(M)の階調データの量子化を行っている。
図1に示すように、画像処理装置は、画像形成を行うためのシアン(C)とマゼンタ(M)の階調データが入力される座標設定部1と、その座標設定部1の出力を量子化する量子化部2と、p・q設定部3と、用紙設定部4とを備える。
座標設定部1に供給されるシアン(C)とマゼンタ(M)の階調データは、それぞれ例えば0~255の256段階のデータである。
座標設定部1は、シアン(C)の階調データと、マゼンタ(M)の階調データとを使って、量子化のための2つの座標データを作成する。この座標設定部1における座標データを作成する処理が座標設定処理である。
すなわち、座標設定部1は、シアン(C)に重み係数pを設定すると共に、マゼンタ(M)に重み係数qを設定し、第1座標成分の値k×(p×C+q×M)と第2座標成分の値(p×C-q×M)を得る。ここでの第1座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分であり、シアン(C)とマゼンタ(M)を加算した成分である。また、第2座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化を表す成分であり、シアン(C)とマゼンタ(M)の差の成分である。
各座標成分に乗算される重み係数p及びqは、p・q設定部3からの指示で設定される。p・q設定部3は、シアン(C)とマゼンタ(M)のコントラストによって重み係数p及びqを設定(調整)する。
また、画像形成装置は、画像形成を行う用紙の色などを設定する用紙設定部4を備える。そして、用紙設定部4における用紙の色等の設定によって、p・q設定部3が設定する重み係数p及びqを複数段階に切替える処理が行われる。
なお、重み係数p及びqは、それぞれ値を1としてもよい。以下の説明では、重み係数p及びqを1とした例を説明する。
量子化部2は、座標設定部1で得られた第1座標成分の値k×(p×C+q×M)と、第2座標成分の値(p×C-q×M)とに基づいて、シアン(C)の量子化値とマゼンタ(M)の量子化値を得る。この量子化部2での量子化時には、誤差拡散処理が行われる。
[量子化部の構成]
図2は、量子化部2で誤差拡散処理を行う構成を示す。
図2では、第1色成分(シアン)がX、第2色成分(マゼンタ)がYとして示されている。
入力端子11に得られる値IXYは、減算器12に供給される。減算器12では、後述する誤差拡散フィルタ16の出力Xが入力値から減算され、減算値PXYが得られる。減算値PXYは、加算器13に供給され、後述する係数乗算器18の出力Xを乗算した出力PXY′が得られる。
加算器13で得られた出力PXY′は、比較器14に供給され、閾値Thとの比較で、量子化値QXYが得られる。但し、閾値Thは、第1色成分Xと第2色成分Yとで、それぞれ個別に設定される。
加算器13が出力する量子化値QXYは、出力端子19から出力される。出力端子19から出力される量子化値QXYにより、画像形成用のヘッド(インクジェットヘッドなど)の駆動が行われる。
また、比較器14の量子化値QXYは、減算器15に供給され、加算器12が出力する減算値PXYとの差が得られる。減算器15で得られた差の値が、量子化の誤差に相当する。そして、減算器15で得られた量子化誤差が、誤差拡散フィルタ16に供給され、誤差のフィードバック値Xが得られる。そして、誤差拡散フィルタ16で得られた誤差のフィードバック値Xが、減算器12に戻される。
また、比較器14の量子化値QXYは、グリーンノイズフィルタ17を介して係数乗算器18に供給され、フィードバック値Xが得られる。係数乗算器18が出力するフィードバック値Xは、加算器13に供給される。
[座標設定と量子化の流れ]
図3は、本例の画像処理装置で実行される座標設定と量子化の流れを示すフローチャートである。
まず、座標設定部1に1ドットのシアン(C)とマゼンタ(M)の階調データが供給される(ステップS11)。座標設定部1は、供給された階調データから、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分である第1座標成分(C+M)と、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化の成分である第2座標成分(C-M)を得る(ステップS12)。但し、この時点では、第1座標成分(C+M)に係数kは乗算されていない。また、第1座標成分(C+M)の係数p及び第2座標成分(C-M)の係数qは、ここではそれぞれ1としている。係数p,qが1であるため、以下の説明の各座標成分では係数p及びqを省略する。
そして、第1座標成分(C+M)の階調データに、係数kを乗算する(ステップS13)。係数kの具体的な例については後述するが、例えば1.2から10程度までの範囲内で選定された固定値である。
このようにして得られた第1座標成分の階調データk(C+M)と、第2座標成分の階調データ(C-M)を、座標設定部1から量子化部2に送る。
量子化部2は、第1座標成分と第2座標成分のそれぞれに誤差の加算処理を行う(ステップS14)。そして、量子化部2は、誤差が加算された第1座標成分の階調データk(C+M)と、第2座標成分の階調データ(C-M)から求まる2次元座標により、シアン(C)とマゼンタ(M)の量子化値を決定する(ステップS15)。量子化値としては、0と1の2値の量子化を行う場合と、0と1と2の3値の量子化を行う場合がある。また、シアン(C)とマゼンタ(M)の2色で、2値の量子化と3値の量子化を組み合わせる場合もある。これらの2値の量子化と3値の量子化の具体例については、図7で後述する。
さらに、量子化部2は、算出した量子化値と、階調データとの差である誤差を算出する(ステップS16)。ここで算出した誤差は、次以降のドットの量子化時にステップS14で加算される。但し、誤差を加算する際には、図2に示す誤差拡散フィルタ16で誤差が一定の領域で拡散する処理が施される。
ここまでの1ドットの量子化処理が終了すると、次のドットについて、ステップS11からステップS16の処理が繰り返される。
[第1座標成分と第2座標成分による座標の例]
図4は、座標設定部1が設定する第1座標成分の階調データk(C+M)と、第2座標成分の階調データ(C-M)の例を示す。図4では、縦軸が第1座標成分であり、横軸は第2座標成分である。なお、第1座標成分に乗算される係数kの値によって、縦軸と横軸の比は変動する。
先に説明したように、第1座標成分の階調データk(C+M)は、シアン(C)とマゼンタ(M)の濃淡変化を表す成分であり、第2座標成分は、シアン(C)とマゼンタ(M)の色味の変化の成分である。
図4の例では、シアン(C)とマゼンタ(M)のそれぞれについて、0,1,2の3値で量子化する場合を示す。すなわち、図4にプロットした9個の位置は、それぞれ、シアン(C)とマゼンタ(M)の量子化値が、0,1,2の3段階とした場合を示している。なお、9個の位置は以下のように構成される。
・シアンが0、マゼンタが0の点α0:(C0,M0)
・シアンが0、マゼンタが1の点α1:(C0,M1)
・シアンが0、マゼンタが2の点α2:(C0,M2)
・シアンが1、マゼンタが0の点α3:(C1,M0)
・シアンが1、マゼンタが1の点α4:(C1,M1)
・シアンが1、マゼンタが2の点α5:(C1,M2)
・シアンが2、マゼンタが0の点α6:(C2,M0)
・シアンが2、マゼンタが1の点α7:(C2,M1)
・シアンが2、マゼンタが3の点α8:(C2,M2)
シアン(C)とマゼンタ(M)の2色の量子化値の組み合わせは、これら9個の点のいずれかになる。
ここで、入力した階調データが、図4に示す値α11であるとする。
この値α11は、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量0の点α0:(C0,M0)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量0の点α1:(C1,M0)と、シアンの滴下量0及びマゼンタの滴下量1の点α3:(C0,M1)と、シアンの滴下量1及びマゼンタの滴下量1の点α4:(C1,M1)の4つの点で囲まれる範囲に存在する。
本例の量子化部2では、値α11と、4つの点α0,α1,α3,α4との間で、距離が最も短くなる点が、量子化値として選定される。
ここで、先に説明したように、第1座標成分の階調データk(C+M)には、係数kが乗算されているため、値α11と4点との距離を求めたとき、色味変化成分である第2座標成分側(横軸側)に隣接した点が選ばれる可能性が高くなる。
すなわち、図4に示す値α11について、隣接点との距離ベクトルを考えたとき、第2座標成分側(横軸側)に隣接した点α1,α3とのベクトルV11,V12が短く、第1座標成分側(縦軸側)に隣接した点α0,α4とのベクトル(不図示)は、ベクトルV11,V12よりも長くなる可能性が高い。
例えば、係数kを10としたときには、値α11が、点α0又は点α4に非常に近い座標位置のときだけ、第2座標成分側(横軸側)に隣接した点α1,α3とのベクトルV11,V12よりも短くなる。このため、本例の場合には、係数kの値に応じて、色味変化を使った誤差拡散が、濃淡変化を使った誤差拡散に優先して行われることになる。
よって、本例の画像処理装置での処理を肌色部のハーフトーン処理に適用したとき、色味変化が優先した誤差拡散が行われる。これにより、肌色部の領域で、濃淡の変化が大きなドットが存在する可能性が低くなり、粒状性を極力抑制した画像が得られる。
この場合、濃淡変化を示す第1座標成分と色味変化を示す第2座標成分に変換すると共に、第1座標成分に係数kを乗算するだけで、色空間が設定され、その色空間から簡単に各色の量子化が行え、高速処理が可能であると低コスト化に適した回路で実現できる。
なお、シアンとマゼンタをそれぞれ3値で量子化したときの、図4に示す色空間(xy平面:xは図4の横軸、yは図4の縦軸)上の9個の量子化点α0~α8は、次のように定義される。
すなわち、3値量子化において量子化点α0~α8は、(C,M)=(0,0),(0,1),(0,2),(1,0),(1,1),(1,2),(2,0),(2,1),(2,2)に対応するx=C-Mとy=k(C+M)とするxy平面上の(0,0),(-1,k),(-2,2k),(1,k),(0,2k),(-1,3k),(2,2k),(1,3k),(0,4k)の9点と定義できる。ここで、k>1の場合、各量子化の境界線は近接量子化点間の垂直二等分線16本を定めることができる。一般に(x1,y1)と(x2,y2)の垂直二等分線は(x2-x1)x+(y2-y1)y=(x2^2-x1^2+y2^2-y1^2)/2となるので、入力値に対して、次の[真偽判定0]~[真偽判定15]の16回の真偽判定で、量子化を行う。
[真偽判定0]:-x+ky<(1+k^2)/2
[真偽判定1]:x+ky<(1+k^2)/2
[真偽判定2]:x<0
[真偽判定3]:-x+ky<(3+3k^2)/2
[真偽判定4]:x+ky<(-1+3k^2)/2
[真偽判定5]:-x+ky<(-1+3k^2)/2
[真偽判定6]:x+ky<(3+3k^2)/2
[真偽判定7]:x<-1
[真偽判定8]:x<1
[真偽判定9]:x+ky<(-3+5k^2)/2
[真偽判定10]:-x+ky<(1+5k^2)/2
[真偽判定11]:x+ky<(1+5k^2)/2
[真偽判定12]:-x+ky<(-3+5k^2)/2
[真偽判定13]:x<0
[真偽判定14]:x+ky<(-1+7k^2)/2
[真偽判定15]:-x+ky<(-1+7k^2)/2
この16回の真偽判定を行った結果において、[真偽判定0]が真、かつ[真偽判定1]が真のとき、量子化点α0の(C,M)=(0,0)に量子化する。
また、[真偽判定0]が偽、かつ[真偽判定2]が真、かつ[真偽判定3]が真、かつ[真偽判定4]が真のとき、量子化点α1の(C,M)=(0,1)に量子化する。
また、[真偽判定3]が偽、かつ[真偽判定7]が真、かつ[真偽判定9]が真のとき、量子化点α2の(C,M)=(0,2)に量子化する。
また、[真偽判定1]が偽、かつ[真偽判定2]が偽、かつ[真偽判定5]が真かつ[真偽判定6]が真のとき、量子化点α3の(C,M)=(1,0)に量子化する。
また、[真偽判定4]が偽、かつ[真偽判定5]が偽、かつ[真偽判定7]が偽、かつ[真偽判定8]が真、かつ[真偽判定10]が真、かつ[真偽判定11]が真であるとき、量子化点α4の(C,M)=(1,1)に量子化する。
また、[真偽判定9]が偽、かつ[真偽判定10]が偽、かつ[真偽判定13]が真、かつ[真偽判定14]が真であるとき、量子化点α5の(C,M)=(1,2)に量子化する。
また、[真偽判定6]が偽、かつ[真偽判定8]が偽、かつ[真偽判定12]が真であるとき、量子化点α6の(C,M)=(2,0)に量子化する。
また、[真偽判定11]が偽、かつ[真偽判定12]が偽、かつ[真偽判定13]が偽、かつ[真偽判定15]が真であるとき、量子化点α7の(C,M)=(2,1)に量子化する。
さらに、その他([真偽判定14]が偽、かつ[真偽判定15]が偽)のとき、量子化点α8の(C,M)=(2,2)に量子化する。
[2値量子化と3値量子化の例]
図5~図7は、シアン(C)とマゼンタ(M)について、2値量子化を行う場合と、3値量子化を行う場合について説明した図である。
2値量子化を行う場合には、図5の左側に示すように、0~255の階調データの内のほぼ中央値の127以下か、128以上かによって、量子化値が0か1かのいずれかに決まる。例えば、量子化値0の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が0、量子化値1の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が2dpdに設定される。
一方、3値量子化を行う場合には、図5の右側に示すように、0~255の階調データによって、量子化値が0か1か2の3段階に決まる。例えば、量子化値0の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が0、量子化値1の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が1dpd、量子化値2の場合には、インクジェットヘッドからの吐出量が2dpdに設定される。
図6は、入力階調データの値(横軸)と、インクジェットヘッドの吐出量(縦軸)から見た特性図である。
2値量子化による特性S1では、吐出量が0の場合と2dpdの場合の2段階の設定である。
3値量子化による特性S2では、吐出量が0の場合と1dpdの場合と2dpdの場合の3段階の設定である。
図7は、シアン(C)とマゼンタ(M)の2色について、2値量子化と3値量子化を組みあせた場合の、色空間の設定例を示す。
図7(a)は、シアン(C)とマゼンタ(M)のそれぞれについて、3値で量子化した場合を示す。この図7(a)の例は、図4で説明した例と同じである。この図7(a)では、各点α0~α8が選ばれる範囲の境界を示す。図7(b)~(d)についても、同様に各点α0~α8が選ばれる範囲の境界を示す。
図7(b)は、シアン(C)を3値で量子化し、マゼンタ(M)を2値で量子化した場合を示す。
マゼンタ(M)を2値で量子化した場合、マゼンタの値は0か1のみとなる。つまり、3値で量子化した場合の1となる点は存在しない。したがって、図7(b)に示すように、点α0,α2,α3,α5,α6,α8の6点で量子化が行われることになる。
図7(c)は、シアン(C)を2値で量子化し、マゼンタ(M)を3値で量子化した場合を示す。
シアン(C)を2値で量子化した場合、シアンの値は0か1のみとなる。つまり、3値で量子化した場合の1となる点は存在しない。したがって、図7(c)に示すように、点α0,α1,α2,α6,α7,α8の6点で量子化が行われることになる。
図7(d)は、シアン(C)とマゼンタ(M)を2値で量子化した場合を示す。
シアン(C)とマゼンタ(M)の双方を2値で量子化した場合には、それぞれの値は0か1のみである。つまり、3値で量子化した場合の1となる点が存在しない。したがって、図7(d)に示すように、点α0,α2,α6,α8の4点で量子化が行われることになる。
[係数kの設定例]
図8は、濃淡の成分である第1座標成分(C+M)に乗算する係数kの設定例を示す。
図8(a)はk=1とした比較例であり、図8(b)はk=1.2、図8(c)はk=1.5、図8(d)はk=2、図8(e)はk=3、図8(f)はk=4、図8(g)はk=10、図8(h)はk=30、図8(i)はk=100をそれぞれ示す。この図8(a)~(i)において、各点で量子化される範囲を、それぞれ別の背景で示す。なお、図8の例は、シアン(C)とマゼンタ(M)の双方について、3値量子化した場合である。また、図8の縦軸は、本来はkの値に応じて伸びるが、図8ではいずれのkの値の場合も同じ長さで示す。
比較例として示す図8(a)のk=1の場合、つまり本例の処理を行わない場合には、各量子化値となる範囲がひし形の領域であり、色味変化である横軸側の隣接点となる場合と、濃淡変化である縦軸側の隣接点となる場合とが、同じ比率で存在する。
一方、図8(b)のk=1.2の場合、各量子化値となる範囲が、濃淡変化である縦軸側で狭くなっており、色味変化である横軸側の隣接点が量子化値として優先的に選ばれるようになっている。
そして、k=1.5、k=2、k=3、k=4、k=10、k=30、k=100と軽数値が大きくなるに従って、色味変化である横軸側の隣接点が量子化値として優先的に選ばれる範囲が拡大して行くことが分かる。
但し、図8の各図を比較すると分かるように、k=1.2からk=10程度までが、それぞれの範囲(領域)の選定が適切であり、k=30やk=100の場合には、一部に各範囲の境界が不自然な箇所が存在する。より好ましくは、k=1.5からk=2が最も適切である。したがって、濃淡の成分である第1座標成分(C+M)に乗算する係数kは、k=1.2からk=10程度までの間で選ぶことが好ましく、より厳密には、k=1.5からk=2の範囲で選ぶことが好適である。
[具体的な量子化の例]
図9は、肌色の領域を、本例の画像処理装置で量子化した場合の例を示す。図9(a)は、本例の量子化を行って場合の画像を示し、図9(b)は、シアン(C)とマゼンタ(M)を独立して量子化した従来例を示す。なお、図9の元になる画像はカラー画像であり、図9では、カラー画像の濃淡を白黒の画像で示す。
図9(a)の本例の量子化を行った画像と、図9(b)の従来例の画像とを比較すると分かるように、図9(a)に示す本例の画像の場合には、図9(b)の画像よりも濃淡の変化が少なくなっている。したがって、図9(a)に示す本例の画像の場合には、図9(b)に示す従来例の画像よりも粒状性がよく、ザラつきが少ない良好なハーフトーン処理が行われた画像である。
[係数p,qの設定処理]
ここまでの説明では、第1座標成分(C+M)の係数p及び第2座標成分(C-M)の係数qは1とした。これに対して、入力した階調データに応じて、係数p及びqを1以外の値としてもよい。すなわち、図1に示すp・q設定部3は、入力したシアン(C)とマゼンタ(M)のコントラストによって適宜調整してもよい。
例えば、p・q設定部3は、第1色成分(シアン)と第2色成分(マゼンタ)の0%出力時と100%出力時の明度差を測定し、0%出力時の明度差が有意に大きい場合、p>qとなるように、pとqの値を異なる値に設定する。具体的には、qを1とし、pを1よりも大きな値とする。
また、p・q設定部3は、第1色成分(シアン)と第2色成分(マゼンタ)の100%出力時の明度差が有意に大きい場合、q>pと設定となるように、pとqの値を異なる値に設定する。具体的には、pを1とし、qを1よりも大きな値とする。
このように係数p及びqを可変設定することで、各色のコントラストに応じた適切な係数の設定が可能になる。
さらに、p・q設定部3は、用紙設定部4による画像形成を行う用紙の地色に応じて、切替えるようにしてもよい。なお、用紙設定部4は、例えば本例の画像処理装置を内蔵した画像形成装置で印字を行う際に、印字作業の設定を行うユーザの操作に基づいて、用紙の色や種類(用紙の白さの程度など)が選択されたとき、該当する用紙の設定をp・q設定部3に伝える。あるいは、用紙の色を検出するセンサを画像形成装置が内蔵して、そのセンサが検出した用紙の色に応じて、用紙設定部4が自動的にp・q設定部3に適切な係数p及びqの設定(切替え)を指示してもよい。
[変形例]
なお、ここまでの説明では、画像処理装置は、シアンとマゼンタの2色の階調データの量子化を行う場合について説明した。これに対して、シアンとマゼンタの組み合わせ以外の2色の階調データの量子化を、同様にして行ってもよい。
例えば、シアン(C)とイエロー(Y)の混色領域である緑色の領域の粒状性を抑制したい場合に、上述した実施の形態例と同様の処理で、シアン(C)とイエロー(Y)を組み合わせた量子化を行ってもよい。但し、シアン(C)とイエロー(Y)の場合には、明度方向のコントラストの差が大きいため、係数値p,qを対応して設定するのが好ましい。
具体的には、シアン(C)を第1色成分、イエロー(Y)を第2色成分としたとき、第1色成分の係数pを3、第2色成分の係数qを1とし、第1座標成分に乗算する係数kを1.5とする。これにより、第1座標成分は、[1.5(3C)+(Y)]となり、第2座標成分は、[(3C)-(Y)]となる。このような各座標成分の設定で量子化を行うことで、緑色の領域についても、粒状性を極力抑制した誤差拡散処理が可能になる。
また、2色の階調データについて量子化を行う例について説明したが、3色(又はそれ以上)の階調データを入力して、三次元(又はそれ以上の次元数)で同様に色空間を設定して、量子化を行うようにしてもよい。
さらに、図4に示す回路構成についても一例を示すものであり、本発明は、この図4に示す構成に限定されるものではない。図4に示すように負帰還回路32を設けた点についても、好適な一例を示したものであり、負帰還回路32がない構成としてもよい。
また、図1や図2に示す構成は、一例を示すものであり、その他の構成で同様の処理を行うようにしてもよい。図3に示すフローチャートについても、本例の処理を説明する手順の一例を示したものであり、処理結果に影響を及ばさない範囲で、処理順序の変更や複数の処理の同時実行を行うようにしてもよい。
また、上述した実施の形態例では、インクジェットプリンタとして構成された画像形成装置が備える画像処理装置としたが、本発明は、その他の画像処理用に階調データを量子化する場合にも適用が可能である。
また、本例の処理は、図1などに示したハードウェア構成で実行する他に、コンピュータ装置で実行可能なプログラムとして構成してもよい。この場合には、例えば図3のフローチャートに示す各処理を順に実行する手順を有するプログラムとし、そのプログラムをコンピュータ装置に実行させる。
1…座標設定部、2…量子化部、3…p・q設定部、4…用紙設定部、11…入力端子、12,15…減算器、13…加算器、14…比較器、16…誤差拡散フィルタ、17…グリーンノイズフィルタ、18…係数乗算器、19…出力端子

Claims (9)

  1. ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理装置であって、
    前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定部と、
    前記座標設定部で設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分とによる色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化部と、を備える
    画像処理装置。
  2. 前記全色成分は、少なくともシアンとマゼンタとイエローを含み、前記第1色成分と前記第2色成分は、シアンとマゼンタである
    請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記明るさ重み係数kは、1.2以上である
    請求項1に記載の画像処理装置。
  4. 前記色成分の重み係数p,qは、それぞれの色成分のコントラストによって調整される
    請求項1に記載の画像処理装置。
  5. 前記色成分の重み係数p,qは、量子化した階調データで印字される用紙の色又は種類によって設定される
    請求項1に記載の画像処理装置。
  6. 前記色成分の重み係数p,qは、前記第1色成分と前記第2色成分の0%出力時と100%出力時の明度差として、前記第1色成分が大きい場合にp≧qに設定し、前記第2色成分が大きい場合にp≦qに設定する
    請求項1に記載の画像処理装置。
  7. 前記第1色成分は3値で量子化を行い、前記第2色成分は2値で量子化を行う
    請求項1に記載の画像処理装置。
  8. ハーフトーン処理のために階調データを量子化する画像処理方法であって、
    前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定処理と、
    前記座標設定処理により設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分による色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化処理と、を含む
    画像処理方法。
  9. ハーフトーン処理のために階調データを量子化する演算をコンピュータに実行させるプログラムであって、
    前記階調データの全色成分の内の少なくとも第1色成分と第2色成分について、それぞれの色成分の重み係数p,qを設定した上で、(p×[第1色成分])+(q×[第2色成分])に明るさ重み係数kを乗算した第1座標成分と、(p×[第1色成分])-(q×[第2色成分])の第2座標成分を得る座標設定手順と、
    前記座標設定手順により設定された前記第1座標成分と前記第2座標成分による色空間で、最近接点への誤差拡散による量子化を行う量子化手順と、をコンピュータに実行させる
    プログラム。
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