JP7379786B2 - ブラシ付き直流モータ、およびその製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2にも、モータケースの平板部に対応する一対の平坦部を備えたブラシホルダを具備する、ブラシ付き直流モータが開示されている。
その半面、アース用の配線の端部を弾性的に接触させる方式や挟持する方式は、ブラシホルダの取り付け状態によって、アースターミナルとモータケース等との電気的な接続が不完全となる場合もある。また、エンジン等、車両の駆動源の振動が長期間加わることにより、アース用の配線の先端部が変形し、モータケースとの電気的な接続が不安定になる場合もある。このような不完全な接触状態が生ずると、電気ノイズを抑制する手段が正常に機能しなくなる。
本発明の他の課題は、十分な機械的な強度を有し、長期間の使用に耐える信頼性の高いアースターミナルを具備した、ブラシ付き直流モータの製造方法を提供することにある。
一端が開口した筒状のモータケースと、前記モータケースに保持された対をなす永久磁石と、前記モータケース内に回転軸を介して回転自在に支持されるロータと、前記モータケースの前記一端を閉塞するエンドキャップアセンブリと、前記モータケース内において前記回転軸と共に一体に回転する整流子と、前記整流子の外周面に接触するブラシと、ノイズを抑制するノイズ防止回路とを備え、
前記モータケースは、前記永久磁石の外周に沿った曲面部と、前記永久磁石間の平面部とを有し、前記ノイズ防止回路は、少なくとも一対のコンデンサと1個のアースターミナルとを含む直流モータにおいて、
前記エンドキャップアセンブリは、前記モータケースの前記曲面部に対応する曲面状外周部と、前記モータケースの前記平面部に対応する平面状外周部とを有しており、
前記平面状外周部の1つは、平板状壁部を有しており、
前記平板状壁部の内側に、前記一対のコンデンサを収容する一対のコンデンサ取付穴を有し、
前記アースターミナルは、ベース部と、前記ベース部の一端に形成された複数の分岐片とを有しており、
前記アースターミナルは、前記ベース部が前記平板状壁部の内側の面に接し、前記分岐片が前記平板状壁部の外面と前記モータケースの内面とに挟まれて前記モータケースに弾性的に接触するようにして前記平板状壁部に保持され、
前記少なくとも一対のコンデンサを、前記アースターミナルの前記ベース部及び前記分岐片を介して、前記モータケースに接地するように構成されていることを特徴とする。
最初に、本実施例の直流モータの、全体的な構成について、図1~図3を参照しながら説明する。
図1は、本実施例に係る、ブラシ付き直流モータの分解斜視図である。図2は、図1の直流モータの横断面図、図3は、図1の直流モータの縦断面図である。
ブラシ付き直流モータ100は、導電性の材料、例えば、鉄等の磁性体材料で形成される有底筒状のモータケース110と、このモータケース110内に固定される正面視C字型の2極の永久磁石112,112と、永久磁石抑え113と、モータケース110内に回転軸121を介して回転自在に支持されるロータ120と、モータケース110の開口部1103に固定される合成樹脂製のエンドキャップアセンブリ130とを備えている。
モータケース110の一対の平面部1102は、回転軸121の軸線O-Oに平行に伸びている。回転軸121は、モータケース110に設けられたスリーブベアリング114と、シールドキャップ144設けられたボールベアリング115により、回転自在に枢支されている。
エンドキャップアセンブリ130の一対の平面状外周部132には、軸線O-O方向に伸びる一対の平板状壁部134(A,B)が設けられ、さらに、いずれか一方の平板状壁部134(A)の内側に、アース取付け用斜面1381及びアース取付け用溝1382が設けられている。アースターミナル160は、U字形に折り曲げられており、前記一方の平板状壁部134に保持され、U字形の内側の部分は、アース取付け用斜面1381及びアース取付け用溝1382に接している。また、アースターミナル160のU字形の外側の面部分は、モータケース110の開口部1103にエンドキャップアセンブリの延長部139が差し込まれて固定される際に、モータケースの開口部1103の内面と平板状壁部134Aとに挟まれ、アースターミナル160がモータケース110に電気的に接続されている。
回転軸121の一端には、直流モータの出力側の減速機構の一部を構成するギヤ142が固定されている。
138はエンドキャップ本体であり、その外周面を構成する一対の平面状外周部132には、各々平板状壁部134(A,B)が設けられており、これらの平板状壁部134(A,B)は、各々、回転軸121の軸線O-O方向に平行に伸びる、平板状壁部の外面135と平板状壁部の内面136とを有している。
エンドキャップ本体138には、さらに、一対のブラシ126(A,B)、一対のコンデンサ取付穴137(A,B)、一対のブラシスプリン127(A,B)、一対のピッグテール128(A,B)、及び、一対の電源ターミナル140(A,B)が設けられている。
エンドキャップ本体138上で、かつ1つの平板状壁部134Aの半径方向の内側、すなわち、平板状壁部134Aの内面136と回転軸孔133との間に、平板状壁部134Aの内面136に沿って、一対のコンデンサ取付穴137が設けられている。これらのコンデンサ取付穴137には、一対のコンデンサ150(A,B)が固定されており、また、その中間には、軸線O-O方向に伸びるテーパ状のアース取付け用斜面1381が設けられている。また、平板状壁部134Aの内面136の下部とその半径方向内側の一対のコンデンサ取付穴137との間には、この平板状壁部134Aの内面に平行なアース取付け用溝1382が設けられている(図10、図11参照)。
1つの平板状壁部134Aにはさらに、アースターミナル160が保持されており、このアースターミナル160には、一対のコンデンサ150及び一対の電源ターミナル140が接続されている。
アースターミナル160は、図5の(A)に示すように、平坦な矩形状のアースターミナルベース部1604と、このベース部1604の一端から伸びる一対の分岐片、すなわち、矩形状のアースターミナル第1分岐片1601及びアースターミナル第2分岐片1602と、これらの分岐片の間に形成されたアースターミナル保持爪1603とを有している。
図5の(B)に示すように、アースターミナル160は、一対の分岐片(1601、1602)と保持爪1603が、ベース部1604に対してU字形に折れ曲げられて形成されている。
また、アースターミナル160のベース部1604の中央には、補強リブ1605と、取付け保持用突起1606とが設けられている。補強リブ1605は、その頂部が矩形の平坦である。この補強リブは、ベース部の断面係数を大きくするためのものであり、その形状は任意に設定できる。取付け保持用突起1606は、ベース部1604を平板状壁部134Aの内面136に押し付けるように機能するものであり、その頂点の高さは、補強リブ1605の高さよりも大きい。また、アースターミナル160の板厚を含む取付け保持用突起1606の頂点の高さは、アース取付け用溝1382の幅よりも大きくなっている。なお、取付け保持用突起1606は、ベース部1604の下部に、左右対称に複数個設けても良い。
このアースターミナル160は、図4、図6に示すように、ベース部1604が平板状壁部134Aの内面136の側に位置し、一対の分岐片1601,1602及び1つの保持爪1603が平板状壁部134Aの外面135の側に位置するようにして、平板状壁部134Aに保持される。
図5の(A)において、ベース部1604の幅をW0、長さをL1、一対のアースターミナル分岐片1601、1602の長さをL2とすると、これらは、次のような関係にある。
ベース部1604の幅W0は、一対のコンデンサ取付穴137、137の中心間の距離よりも長く、平板状壁部134Aの軸線O-O方向の長さよりも短い。ベース部1604の長さL1は、幅W0よりも長い。アースターミナル分岐片1601、1602の長さL2は、幅W0よりも長く、ベース部1604の長さをL1よりも短い。
さらに、アースターミナル分岐片1601、1602の幅をW1、保持爪1603の幅をW2とすると、アースターミナル160の具体的なサイズの一例は、次の通りである。
真鍮板の厚さは、0.3mm、ベース部の幅W0は、7.3mm、長さL1は、10.2mmである。さらに、アースターミナル分岐片1601、1602の幅W1は、1.2mm、保持爪1603の幅W2は1.6mmである。
また、各分岐片は、サイズが大きいので、振動等の外力が加わった場合でも容易に変形しにくい十分な機械的な強度を有しする。そのため、長期間の使用に耐える信頼性の高いアースターミナルを具備した、ブラシ付き直流モータを提供することができる。
図9は、アースターミナル160とコンデンサ150(A、B)、及び、電源ターミナル140の接続の工程を示す図である。
まず、一対のコンデンサ150(A、B)の一対の足1501、1502を、各々、フォーミングし、カットする(S801)。
次に、アースターミナル160のベース部1604に、一対のコンデンサ150(A、B)一方の足1501を、各々、スポット溶接で固定する(S802)。
次に、エンドキャップ本体138のコンデンサ取付穴137(A、B)に、エポキシ樹脂を塗布する(S803)。
次に、一対のコンデンサ150(A、B)を、各々、一対のコンデンサ取付穴137(A、B)に差し込むと共に、アースターミナル160のベース部1604を、平板状壁部134Aの内面136側の、アース取付け用溝1382内に差し込む(S804)。
次に、アースターミナル160を、その保持爪1603や一対の分岐片(1601、1602)で、エンドキャップの平板状壁部134Aに保持する(S805)。このようにして、アースターミナル160は、エンドキャップ本体138の平板状壁部134Aに保持される。
次に、一対の電源ターミナル140(A、B)の電源ターミナル延長部1402(図9参照)に、一対のブラシ126(A、B)のピッグテール128(A、B)の端を、各々、スポット溶接で固定する(S807)。
さらに、エンドキャップ本体138に、一対の電源ターミナル140(A、B)を挿入し、各々、固定する(S808)。
図9は、一対のコンデンサ150(A、B)の他方の足1502の固定状況を示している。また、図12にハッチングを施した部分は、エンドキャップアセンブリの製造工程(S807)~(S809)に関係した部分を示す斜視図である。
そして、このエンドキャップアセンブリ130を、ロータ120の回転軸121に取り付け(S812)、ロータ120とエンドキャップアセンブリ130をモータケース110内に組み込むことにより、アースターミナル160の一対の分岐片1601、1602が、平板状壁部134Aの外面135とモータケース110の内面とに挟まれ、一対の分岐片1601、1602がモータケース110の内面に弾性的に接触する状態となる。これにより、アースターミナル160とモータケース110とが電気的に接続される(S813)。
本実施例によれば、アースターミナルは、モータケースに弾性的に接触させる方式であり、かつ、振動等の外力が加わった場合でも容易に変形しにくい十分な機械的な強度を有する構造となっている。そのため、長期間の使用でも電気的な接続状態を維持できる、信頼性の高いアースターミナルを具備した、ブラシ付き直流モータを提供することができる。
また、アースターミナルは薄いので、エンドキャップの平板状壁部にアースターミナルを設けても、モータケースの平坦部の幅を筒部の直径よりも小さくすることによりモータを小型化できるという利点は、損なわれない。
例えば、アースターミナル160に、2対の分岐片を設けても良い。この場合、中央に1つの保持爪を設けても良く、各分岐片の間に保持爪を設けても良い。
逆に、2対の分岐片に各々、保持爪の機能も持たせることで、保持爪を省略しても良い。
あるいはまた、1対の分岐片の間にある1つの保持爪の長さを若干長くして、この保持爪に分岐片の機能すなわちアース端子としての機能を持たせるようにしても良い。
これらの変形例に示した、分岐片や保持爪の数や形状等の構成は、機械的強度が大きく、電気ノイズを抑制する機能を長期間維持できるアースターミナルを提供できるという、本発明の作用・効果を損なわない範囲で、適宜、設定すればよい。
なお、4極よりも極数の多い小型のブラシ付き直流モータでは、エンドキャップの平面部の長さが短くなるので、アースターミナル160のサイズが小さくなり、その機械的強度を確保するのが難しくなる。そのため、このようなモータに、本発明のアースターミナルを設けるのは実用的ではない。
110 モータケース
1101 モータケースの曲面外周部
1102 モータケースの平面部
1103 モータケースの開口部
112 永久磁石
113 永久磁石抑え
114 スリーブベアリング
115 ボールベアリング
120 ロータ
121 回転軸
122 コイル
124 整流子
126 ブラシ
127 ブラシスプリング
128 ピッグテール
130 エンドキャップアセンブリ
131 エンドキャップの曲面外周部
132 エンドキャップの平面状外周部
133 回転軸孔
134 平板状壁部
135 平板状壁部の外面
136 平板状壁部の内面
137 コンデンサ取付穴
138 エンドキャップ本体
1381 アース取付け用斜面
1382 アース取付け用溝
139 延長部
140 電源ターミナル
1401 電源ターミナル頭部
1402 電源ターミナル延長部
142 ギヤ
144 シールドキャップ
150 コンデンサ
1501 コンデンサの一方の足
1502 コンデンサの他方の足
160 アースターミナル
1601 アースターミナル第1分岐片
1602 アースターミナル第2分岐片
1603 アースターミナル保持爪
1604 アースターミナルベース部
1605 補強リブ
1606 取付け保持用突起
170 電源端子
Claims (6)
- 一端が開口した筒状のモータケースと、前記モータケースに保持された対をなす永久磁石と、前記モータケース内に回転軸を介して回転自在に支持されるロータと、前記モータケースの前記一端を閉塞するエンドキャップアセンブリと、前記モータケース内において前記回転軸と共に一体に回転する整流子と、前記整流子の外周面に接触するブラシと、ノイズを抑制するノイズ防止回路とを備え、
前記モータケースは、前記永久磁石の外周に沿った曲面部と、前記永久磁石間の平面部とを有し、前記ノイズ防止回路は、少なくとも一対のコンデンサと1個のアースターミナルとを含む直流モータにおいて、
前記エンドキャップアセンブリは、前記モータケースの前記曲面部に対応する曲面状外周部と、前記モータケースの前記平面部に対応する平面状外周部とを有しており、
前記平面状外周部の1つは、前記回転軸の軸線O-O方向に伸びる平板状壁部を有しており、
前記平板状壁部の内側に、前記一対のコンデンサを収容する一対のコンデンサ取付穴を有し、
前記アースターミナルは、平坦な矩形状のベース部と、前記ベース部の一端から伸びる複数の分岐片を有しており、前記分岐片は前記ベース部に対してU字形に折れ曲げられて形成されており、
前記アースターミナルの前記矩形状のベース部の幅及び長さは、前記一対のコンデンサ取付穴の中心間の距離よりも長く、
前記アースターミナルは、前記矩形状のベース部が前記平板状壁部の内側の面に接し、前記分岐片が前記平板状壁部の外面と前記モータケースの内面とに挟まれて前記モータケースに弾性的に接触するようにして前記平板状壁部に保持され、
前記少なくとも一対のコンデンサを、前記アースターミナルの前記ベース部及び前記分岐片を介して、前記モータケースに接地するように構成されていることを特徴とするブラシ付き直流モータ。 - 請求項1に記載の直流モータにおいて、
前記平板状壁部の内側の面の下部と前記一対のコンデンサ取付穴との間には、前記平板状壁部の内側の面に平行なアース取付け用溝が設けられていることを特徴とするブラシ付き直流モータ。 - 請求項2に記載の直流モータにおいて、
前記アースターミナルの前記ベース部には、取付け保持用突起が設けられており、
前記取付け保持用突起は、前記アースターミナルの板厚を含むその頂点の高さが、前記アース取付け用溝の幅よりも大きいことを特徴とするブラシ付き直流モータ。 - 請求項1に記載の直流モータにおいて、
前記分岐片の間に形成され、前記ベース部の一端から伸び、前記平板状壁部の外面に保持されるアースターミナル保持爪を有することを特徴とするブラシ付き直流モータ。 - 請求項1に記載の直流モータは、車載のモータ駆動式弁装置の駆動源であることを特徴とするブラシ付き直流モータ。
- 請求項2に記載の直流モータの製造方法であって、
前記各コンデンサの一方の足を、前記アースターミナルの前記ベース部に固定し、
前記各コンデンサを、前記コンデンサ取付穴に挿入するとともに、前記アースターミナルの前記ベース部を、前記平板状壁部の前記アース取付け用溝内に差し込んで、前記アースターミナルを前記エンドキャップアセンブリの前記平板状壁部に保持し、
前記各コンデンサを、エポキシ樹脂で前記コンデンサ取付穴に固定し、
前記各コンデンサの他方の足を、電源ターミナルに固定し、
前記ロータと前記エンドキャップアセンブリを前記モータケース内に組み込み、前記アースターミナルの前記複数の分岐片を前記モータケースと接触させることを特徴とするブラシ付き直流モータの製造方法。
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