JP7378121B2 - シリカ含有物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、経口摂取用として利用できる、非晶質シリカを含むシリカ含有物の製造方法に関する。
シリカは、古くから工業的に大量生産されており、建築資材原料、電子材料、食品添加物など、幅広い用途に使用されている。現在、食品および医薬品に使用されているケイ素化合物であるシリカのほとんどは、基剤、安定化剤、分散剤などの目的で使用され、消化吸収されないことを前提としている(特許文献1を参照)。上記シリカは、種々の合成法で製造することができるが、その中でも、製造コストが安いため、ケイ酸塩水溶液と鉱酸とを反応させる湿式法により製造されるシリカが多くの用途に用いられている。
湿式シリカの製造方法は、中性あるいはアルカリ性下で反応を行い、ろ過しやすい沈降シリカを得る沈降法と、ケイ酸アルカリ水溶液と鉱酸との反応を酸性下で行い、シリカゾルをゲル化させゲル状のシリカを得るゲル法とに分類することができる。それぞれの方法で得られるシリカは、沈降法シリカ、ゲル法シリカ(シリカゲル)と呼ばれ、異なる特性を有することが知られている。
原料となるケイ酸ナトリウムは、カレットと呼ばれるケイ砂とソーダ灰(炭酸ナトリウム)から合成された合成物が原料として供給され、水中に溶解した状態で強いアルカリ性水溶液となる。硫酸を加えるなどpHを下げることにより、水中でケイ素と酸素との構成分子が不規則につながり非晶質のシリカが析出する。
沈降法シリカは、比較的高温、アルカリ性のpH領域で反応を行うことで得られる。上記反応において、シリカ一次粒子の成長が速やかに進行し、一次粒子がフロック状に凝集して二次粒子を形成し沈降することから沈降法シリカと呼ばれる。反応温度やpH、塩濃度を制御し一次粒子の成長をコントロールすることにより、種々の凝集構造をもつシリカが得られる。ゲル法シリカと比較すると、緩やかな凝集粒子で一次粒子の大きさが大きく、二次粒子は柔らかく力が加わるとほぐれやすい。
また、シリカを合成後に濾過、水洗、乾燥することで十μm前後の粉体のシリカを得ることができ、さらに粉砕、造粒、焼成、分級などの処理が行われる場合もある。この合成法により得られたシリカはメソポアの多孔体となり、吸油量、増粘性の高い白色の粉体となり、その外観からホワイトカーボンと呼ばれる場合もある。沈降法では、ゲル化物を作らず、比較的ろ過しやすい沈殿物として湿式シリカを製造するため、操作性がよく、安定した品質の製品を得ることができる。また、沈降法はアルカリ性条件下で反応を行うが、反応後に中和処理などを行わない場合は生成物がアルカリ性のままであるため、水溶液中でのシリカ化合物は不安定で分子量が増大し、変化しやすい。
ゲル法シリカは、ー般的にシリカゲルとも表現される。ケイ酸ナトリウムと鉱酸(無機酸、通常は硫酸や塩酸が選択される)の中和反応を酸性のpH領域で進行させることにより、一次粒子の成長を抑えた状態で凝集を起こす。この時、凝集体が形成する3次元網目構造により、反応液全体は一魂のゲルとなることからゲル法シリカと呼ばれる。
このような一塊のゲルは、高濃度(SiO濃度20~29wt%)のケイ酸ナトリウム水溶液中で生成し、比較的短時間で形成される。この合成法においては、反応液に強いせん断力を掛けることができる混合ノズルを用いて反応させることが一般的である。
ゲル法シリカは、反応液を急激に酸性にすることによって合成し、水洗、乾燥の工程を経て数μm~数十μm程度の粉体として得られる。このシリカは表面にナノサイズの細孔を有することを特徴とし、細孔のサイズや孔径を制御することによって吸着特性を調整することができる。また、沈降法シリカと比較して緻密な構造となりやすいため、硬い粒子を生成することもできる。
国際公開第2008-081539号
ケイ素は酸素に次いで地殻上に二番目に多く存在する元素であり、主にシリカ(SiO)の形態で鉱物の主原料として存在している。珪藻や一部の植物はケイ酸イオンを積極的に取り込み、骨格や殻などに利用している。ケイ素は人の体内に約1.8g存在しているとされており、微量ではあるが体内で生成することはできないため、食品などから摂取する必要がある。
上述のとおり、現在、食品や医薬品に使用されているシリカのほとんどは、基剤や安定化剤の目的で使用され、消化吸収されないことを前提としている。和食のような従来の日本の一般的な食事においては、ケイ素を豊富に含有する穀物や野菜が多用されていた。このため、従来は十分なケイ素が摂取できていたと考えられ、摂取量の目安などは規定されていない。しかし、近年における食生活の変化により、必要なケイ素量を摂取または吸収しにくくなってきている可能性がある。
ケイ素の摂取を補う目的で市販されているケイ素およびシリカのサプリメントの形態には錠剤、ジェル、濃縮液があり、摂取する際に注意を要する物もある。
錠剤は取り扱いが容易である。しかし、シリカ源としてスギナ(ホーステール)を使用している場合は、スギナの成分にチアミン(ビタミンB1)を破壊するチアミナーゼが含まれているため、大量・長期に経口摂取するとチアミン欠乏を引き起こす可能性がある。煎じ薬やお茶とは異なり粉末や錠剤・カプセルなどのサプリメントの形態である場合、大量の摂取をしがちなので注意が必要である。また、もみ殻を原料にしている場合は、原料の残留農薬などについての懸念があり、また、嵩高いもみ殻から有機物などを除きシリカを製造するために数段階の工程が必要となり、製造コストが高くなりやすい問題がある。
ジェル状または濃縮液については、水や飲み物に加え希釈して用いるため携帯性および使用の容易さの観点から難がある。ジェル状のシリカは中性に調整されているため特別なリスクは指摘されていないが、濃縮液についてはpH12前後の強アルカリ性である場合、取扱いに十分な注意が必要である。万一原液が目に入った場合は、失明の危険があり、飲み物に加えた量が多くアルカリ性が強い場合は、口腔内および食道などに薬傷を生じるおそれがある。
また、ケイ素またはシリカの含有を謳ったミネラルウォーターでは携帯性が悪く、ミネラルウォーターを飲む習慣のない人には使いにくいなどの問題もある。
ケイ素サプリメントの原料としては、スギナなどの植物由来の製品とケイ酸塩などの鉱物由来の製品があり、植物由来の製品の方が健康に良いと主張されることがある。しかし、シリカ自体は無機物であり、鉱物由来の原料を用いて工業的に製造された物であっても何ら問題はない。また、植物由来の場合、植物が含有しているシリカ以外の成分も製品に混入するケースがあることから、鉱物由来であるほうが、製品中の天然物由来成分の含有量管理、すなわち品質管理が容易となる。
一般的に人が食物を経口摂取し、消化器官において栄養素を吸収する場合、低分子量であるほうが吸収されやすいといわれている。そのため、シリカとしてのケイ素の人体への吸収についても、低分子量である方が吸収効率が高くなると考えられる。しかし、ケイ酸塩と酸の反応を適切に制御しなければ加水分解および重縮合が速やかに進行し、分子量の大きい非晶質シリカになってしまうことから、安定して分子量の小さい非晶質シリカを得ることは容易ではない。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、取り扱いが容易で人体への吸収性もよいシリカ含有物を容易に製造するための方法を提供することを目的とする。
本発明のシリカ含有物の製造方法は、非晶質シリカを含むシリカ含有物の製造方法であって、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、およびアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸と、ケイ酸塩とを、反応温度において、上記有機酸と上記ケイ酸塩のそれぞれが溶解するのに必要な水の量の和以下の水の存在下で中和反応させ、非晶質シリカを含むシリカ含有物を生成させることを特徴とする。
上記中和反応は、上記ケイ酸塩と上記有機酸のいずれか一方が溶解するのに必要な水の量以下の水の存在下で行われることを特徴とする。
上記有機酸の量は、上記ケイ酸塩を中和するのに要する量よりも多い量であることを特徴とする。
上記水には、反応前の上記ケイ酸塩または上記有機酸が水和物の場合に、その水和水が含まれることを特徴とする。また、上記水は、反応前の上記ケイ酸塩または上記有機酸に含まれる水和水のみからなることを特徴とする。
上記中和反応後において、生成物に対して不要物を取り除く工程が不要であることを特徴とする。また、上記中和反応後の生成物を、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、粉末状、または顆粒状に加工する工程を有することを特徴とする。
本発明のシリカ含有物の製造方法は、クエン酸などの所定の有機酸と、ケイ酸塩とを、反応温度において、有機酸とケイ酸塩のそれぞれが溶解するのに必要な水の量の和以下の水の存在下で中和反応させるので、希釈条件で反応させる場合よりもケイ酸塩の量に対する水の量の比率が少なく、加水分解が比較的起こりにくい。また、酸としては弱酸であるクエン酸などの有機酸を用いることにより、強酸である硫酸などの鉱酸を重合触媒として用いる場合に比べて、重合がゆっくりと進行し、生成物の分子量を低分子量に抑えることができ、摂取した際の人体への吸収効果の向上が期待できる。
また、クエン酸などの有機酸は弱酸であることから、製造時の添加量のブレによる生成物のpHの変化が小さく、製造時の品質ばらつきが抑制される利点がある。また、クエン酸などは食品添加物としても使用されているため、重合触媒として用いても反応後の精製工程が不要となり、プロセス負荷が軽減し、コストメリットも大きい。
中和反応において、ケイ酸塩または所定の有機酸のいずれかが過飽和となる量の水の存在下で中和反応させることで、いずれか一方が不溶物として混合物中に存在し、不溶分は反応性が大幅に低下する。また、水分量が少ないため混合物が高粘度となることで、反応進行がさらに抑制される。この結果、低分子量シリカが生成されやすくなり、人体への吸収性の向上が期待される。
また、中和反応において、クエン酸などの有機酸の量を、ケイ酸塩を中和するのに要する量よりも多い量とすることで、生成物の酸性度が弱酸性となる。シリカ化合物は、一般に弱酸性水溶液中で最も安定であることから、製造時の品質ばらつきの低減や製品としての安定性が良好となる。また、経口摂取した際の胃などの消化器官への影響が小さくできるとともに、人体の皮膚の酸性度とも近いため、取り扱い時の安全性に優れる。
本発明の製造方法では、クエン酸などの所定の有機酸と、ケイ酸塩と、水のみを原料としており、中和反応後において、生成物に対して不要物を取り除く工程が不要である。このため、少ない工程で製造が可能であり、低コスト化に寄与する。また、先行する健康食品などに用いられる物と比較して容易にシリカ含有の生成物を得ることができる。
シリカ含有物の製造工程の一例を示すフロー図である。 ケイ酸塩に対するクエン酸添加量とpH値の関係図である。
ケイ素の摂取を目的に、取扱いが容易で、摂取しても安全なケイ酸または非晶質で分子量の小さいシリカを工業的に簡易に製造することで、食品、サプリメント、薬品など(以下「サプリメントなど」という。)としてケイ素の不足を補うことができる。消化吸収を目的にするのであればケイ酸の過度の重合は望ましくなく、シリカの分子量は小さいほどよい。湿式シリカは、一般的に原料のケイ酸塩および酸を共に水溶液の状態で反応させることにより製造する。ケイ酸イオンが重合する際は加水分解工程における水の量や酸の種類が反応進行に大きく影響を与える因子である。
本発明者は、従来技術(既存製品)における課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、クエン酸などの所定の有機酸と、ケイ酸塩とを、少ない水の量で中和反応させることで、人体へのケイ素吸収性に優れ、安全性、製造時の安定性および製品としての安定性が良好な、非晶質シリカを含むシリカ含有物を製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明のシリカ含有物の製造方法は、クエン酸などの所定の有機酸とケイ酸塩を、反応温度において、それぞれ溶解するのに必要な水の量の和以下の水の存在下で中和反応させることを主な特徴とする。各工程について順に説明する。
本発明に係るシリカ含有物は、例えば図1に示す以下の工程から製造される。図1は、本発明のシリカ含有物の製造工程の一例を示すフロー図である。
(1)ケイ酸塩と水の混合工程(以下、単に工程(1)という場合がある)
(2)工程(1)により得られるケイ酸塩と水の混合物への有機酸配合および撹拌工程(以下、単に工程(2)という場合がある)
工程(1)は、ケイ酸塩と、クエン酸などの有機酸を、それぞれを溶解させるのに必要な水の量の和以下の水にケイ酸塩を混合する工程である。この工程で使用する水の量が、ケイ酸塩を完全に溶解する量以上である場合は水溶液となるが、ケイ酸塩を完全に溶解する量よりも少ない場合は混合・撹拌後も水溶液とならず、スラリーやスラッジ状となる。
原料に使用するケイ酸塩は、オルトケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸カルシウム、水ガラス、およびそれらの水和物または水溶液などから選択することができる。ケイ酸カルシウムを用いた場合は、難溶性のケイ酸カルシウムがクエン酸との反応により難溶性のクエン酸カルシウムとなり、ケイ酸を水中に放出する。また、ケイ素原料として植物由来でなく、鉱物由来のケイ酸塩を用いることで、意図せず混入する天然由来成分がないため、安全性の面で優れる。
ケイ酸塩として2種以上のケイ酸塩を組み合わせて使用してもよい。この場合、反応性、構造、分子量、生成物の酸性度などの制御をより精密に行うことができる。例えば、人体が吸収しやすく、取り扱いも安全にできるように、低分子量化や弱酸性化の調整が可能になる。
工程(1)における水の量は、反応温度において、ケイ酸塩と有機酸をそれぞれ溶解するのに必要な水の量の和以下とする。本発明での「反応温度」は、各原料を混合した中和反応の初期段階(初期混合状態)における反応温度を意味し、通常、室温(20℃)程度である。反応熱による若干の温度上昇があるため、反応終期段階においては上記溶解するのに必要な水の量は、少なくなると考えるが、本発明では上記のとおり初期段階を基準とする。このような水の量とすることで、原料を含む混合水溶液は高粘度の飽和水溶液となり、各分子の動きやすさが制限されることで、重合反応の進行が抑制され分子量増大が抑えられる。この結果、人体への吸収性に優れる低分子量のシリカを製造することができる。
より好ましくは、水の量を、反応温度において、ケイ酸塩と有機酸のいずれか一方が溶解するのに必要な水の量以下とする。この場合、ケイ酸塩または有機酸のいずれかが過飽和となる量の水の存在下で中和反応させることとなり、いずれか一方が不溶物として混合物中に存在し、不溶分は反応性が大幅に低下する。また、水分量が少ないため、上記飽和水溶液の場合よりも混合物がより高粘度となり、重合反応の進行がさらに抑制され、低分子量シリカが生成されやすくなる。
工程(2)は、工程(1)で調製された水溶液やスラリーに対し、有機酸を加え、混合する工程である。この工程で配合する有機酸の量は、工程(1)でケイ酸塩と水を混合したものの中和に必要な量、またはそれ以上の量とする。用いるケイ酸塩の種類、水の量または混合の仕方によって生成物は粘稠液体、白色スラリーまたは白色スラッジ状態となる。
原料に使用する有機酸は、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、およびアスコルビン酸から選択することができる。また、これらは2種以上を併用してもよい。これらはいずれも食品添加物として使用される酸である。水への溶解度は、クエン酸が73g/100mL(20℃)であり、リンゴ酸が558g/1L(20℃)であり、乳酸が876g/1L(20℃)であり、アスコルビン酸は33g/100mL(20℃)である。いずれも常温において固体である。有機酸の中でも、クエン酸を用いることが好ましい。クエン酸は、有機酸の中で比較的価数が多い3価の有機酸であり、ヒドロキシ酸でもあるため、キレート剤としての効果も期待でき、かつ安価である。
工程(2)における有機酸の量は、摂取した際の胃などの消化器官への影響を考慮し、摂取時の濃度として中性から弱酸性程度の酸性度になるよう、上記のとおり、ケイ酸塩を中和可能な量もしくはそれ以上であることが好ましい。また、シリカ含有物の安定性の観点からは、生成物のpHが4~6程度の弱酸性であることが好ましい。このため、有機酸の量を過剰とし、上記pH範囲に調整することが好ましい。有機酸を過剰量とするため、例えばクエン酸を用いる場合には、本発明のシリカ含有物は、非晶質シリカ、クエン酸、およびクエン酸塩の混合物となる。
ケイ酸塩と鉱酸(無機酸)を用いる湿式シリカの製造においては、製造過程の後半で水洗いを行い不要な成分を除去する工程が必要である。生成するシリカの粒径が小さいほど水洗いには手間とコストを必要とする。本発明のシリカ含有物の製造方法においては、反応に用いる酸を鉱酸ではなく、食品添加物として使用可能なクエン酸などの有機酸を選択することにより、生成物をそのままサプリメントなどに利用でき、水洗いなどの精製プロセスの負荷とコストを削減することができる。
工程(2)において撹拌した後に、さらに新たな成分を添加してもよい。新たな成分としては、例えば、亜鉛、鉄、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、コバルト、モリブデン、ヨウ素、リンなどのミネラル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンH、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、コバラミンなどのビタミン類、αリノレン酸、EPA、DHA、アラキドン酸、γ-リノレン酸などの必須脂肪酸など、一般的なサプリメントに用いられている各種成分が挙げられる。
生成したシリカ含有物の乾燥前、できれば流動性を失う前に賦形剤とし用いられるデンプン、セルロース、乳糖などを加えて混合してもよく、それによりその後の乾燥、粉砕が容易となる。
以上、図1に示す工程を例に説明したが、本発明の製造方法はこの工程に限定されるものではない。例えば、(1)ケイ酸塩と有機酸の配合順を逆にし、有機酸に水を加えて混合した後にケイ酸塩を配合して反応させる、(2)ケイ酸塩と有機酸とを混合した後に水を加えて反応させる、などの手順であってもよい。
また、溶媒となる水には、反応前のケイ酸塩または有機酸が水和物の場合に、その水和水が含まれてもよい。水和水が含まれる場合には、上記した必要な水の量は、この水和水の量を添加水の量に合算したものとする。また、溶媒となる水は、反応前のケイ酸塩または有機酸に含まれる水和水のみからなる構成とし、別途には水を添加しない製法としてもよい。この場合、添加水の調整が不要であり、工程の簡略化が図れる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
上述のとおり、シリカ含有物を摂取した際に胃などの消化器官への影響を抑えるために、シリカ含有物摂取時のpHを4~6程度とすることが望ましい。そのため、初期検討として、ケイ酸塩に対するクエン酸の配合比率を変更した際のpHの変化を確認し、摂取時の想定濃度とした際の目的pHが4~6程度となるケイ酸塩およびクエン酸の量の比率を検討した。
水100mLに各ケイ酸塩(オルトケイ酸ナトリウム1g、メタケイ酸ナトリウム9水和物2g、ケイ酸カリウム50%水溶液(比重1.5g/ml)2mL、ケイ酸カルシウム1g、水ガラス3g)を加えて調製した各水溶液に、クエン酸を少しずつ添加していった際のpHの変化を確認した。結果を図2に示す。図2において、縦軸は加えたクエン酸の量(g)、横軸はpHをそれぞれ示す。この図2により、各ケイ酸塩に対して、pHを4から6程度とするために必要なクエン酸量を見積もった。
見積もったクエン酸量をもとに、各ケイ酸塩とクエン酸を用いて、下記の手順で非晶質シリカを含むシリカ含有物を製造した。表1に配合を纏めて示す(表1の配合量単位はg)。
[実施例1]
乳鉢中で、ケイ酸塩としてオルトケイ酸ナトリウム10gおよび水10mL(10g)を室温下にて撹拌混合した後、さらにクエン酸18gを加えて撹拌した。撹拌は混合物の発熱が終了するまで続け、最終的に透明な粘稠液体または白色のスラッジを得た。
[実施例2]
水は添加せず、ケイ酸塩としてメタケイ酸ナトリウム・9水和物10gを選択し、クエン酸の添加量を8gとし、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、透明な粘稠液体を得た。
[実施例3]
水は添加せず、ケイ酸塩として水ガラス10gを選択し、クエン酸の添加量を6.5gとし、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、透明な粘稠液体を得た。
[実施例4]
水は添加せず、ケイ酸塩としてケイ酸カリウム50%水溶液10mL(15g)を選択し、クエン酸の添加量を8gとし、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、透明な粘稠液体を得た。
[実施例5]
水は添加せず、ケイ酸塩としてケイ酸カリウム50%水溶液10mL(15g)とオルトケイ酸ナトリウム3gを混合した物と、クエン酸14gを混合し、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、透明な粘稠液体を得た。
[実施例6]
ケイ酸塩としてオルトケイ酸ナトリウム8gおよびケイ酸カルシウム2gを選択し、水10mLを混合した物と、クエン酸18gを混合し、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、白色のスラッジを得た。
[実施例7]
ケイ酸塩としてケイ酸カルシウム10gを選択し、水20mLと混合した物に、クエン酸の添加量を14gとし、それ以外の操作は実施例1と同様に行った結果、透白色のセメント状に固化した。
実施例1~6で生成した粘稠液体およびスラッジは時間経過にともなって流動性を失い白色に固化した。ただし、カリウムを含む実施例4、5については吸湿性が強く、流動性は失っても透明で水分量が多かった。実施例2については、生成した粘稠液体が流動性を失う前にデンプン10gを加えて混合した。
Figure 0007378121000001
<製造したシリカ含有物の摂取想定濃度でのpH>
次に、製造したシリカ含有物の摂取想定濃度でのpHとして、実施例1から7において製造した各種シリカ含有物1gを水100mLに加え撹拌した水溶液のpHを表2に示す。なお、上記溶液を静置しておくと実施例1~5では沈降シリカの沈殿を、実施例6、7では沈降シリカとクエン酸カルシウムの沈殿を、それぞれ生じた。
Figure 0007378121000002
<シリカ含有物の体内への吸収の確認>
食品または飲料として摂取したシリカはほとんど体内に吸収されず、わずかに吸収されたものはオルトケイ酸として存在し、その大部分は尿中に排出される。吸収されやすさは分子量に依存し、ポリマー状の物は吸収されず、低分子量の物は吸収されやすい。排出されずに体内に留まった分については体のどの部位に影響を与えているか明確には解っていないが、肺疾患、慢性病、特に子供の成長遅延などの種々の疾病はケイ素の欠乏症と関連しているとの説もある。健康な人の尿中へ***されるケイ素の量は15~40mgSi/日(シリカ換算32~85mgSiO2/日)であると言われている。
尿中のシリカ濃度をモリブデン青比色法で簡易測定したところ、測定前、測定中の飲食物の影響が大きかった。それらの影響を少なくするために測定に際してできるだけ同じ飲食物を摂るようにした。ただし、モリブデン青比色法はリン酸イオンなどにより正の誤差を生じるため、シリカサプリメントなどの摂取により尿中シリカが増えるか否かの確認程度となる。
摂取する量は、当該発明によるものではシリカ含有量が約50mgとし、各サプリメントは記載された1日摂取量とした。摂取したシリカはおおむね2時間後をピークに5時間程度で排出されるといわれていることから、5時間を目安に排出されたシリカの量を尿中シリカ濃度から測定・算出した。結果を表3に示す。
Figure 0007378121000003
表3に示す結果より、本発明の製造方法で得られたシリカ含有物は、他のサプリメントと同等またはそれ以上に体内に吸収されることが確認できた。
本発明のシリカ含有物の製造方法は、取り扱いが容易で人体への吸収性もよいシリカ含有物を容易に製造できるので、ケイ素の摂取を目的とするサプリメントなどの製造に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. 非晶質シリカを含むシリカ含有物の製造方法であって、
    クエン酸、リンゴ酸、乳酸、およびアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種の有機酸と、ケイ酸塩とを、反応温度において、前記有機酸と前記ケイ酸塩のそれぞれが溶解するのに必要な水の量の和以下の水の存在下で中和反応させ、非晶質シリカを含むシリカ含有物を生成させることを特徴とするシリカ含有物の製造方法。
  2. 前記中和反応は、前記ケイ酸塩と前記有機酸のいずれか一方が溶解するのに必要な水の量以下の水の存在下で行われることを特徴とする請求項1記載のシリカ含有物の製造方法。
  3. 前記有機酸の量は、前記ケイ酸塩を中和するのに要する量よりも多い量であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のシリカ含有物の製造方法。
  4. 前記水には、反応前の前記ケイ酸塩または前記有機酸が水和物の場合に、その水和水が含まれることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のシリカ含有物の製造方法。
  5. 前記水は、反応前の前記ケイ酸塩または前記有機酸に含まれる水和水のみからなることを特徴とする請求項4記載のシリカ含有物の製造方法。
  6. 前記中和反応後の生成物を、錠剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、粉末状、または顆粒状に加工する工程を有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項記載のシリカ含有物の製造方法。
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