JP7370587B2 - 有機化合物の製造方法およびコリネ型細菌 - Google Patents
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Description
微生物を用いた化成品の生産は、その生産対象として微生物代謝物に限定されることが一般的である。また、微生物代謝物であっても、微生物代謝系中のエネルギー不足や酸化還元バランスの不均衡によって、生産が困難な微生物代謝物も多く存在する。このような課題を解決するための一つの有効なアプローチとして、形質転換体を作成することが挙げられる。しかし、本発明者らは、この手法のみによって課題解決しようとすると、対象化合物を生産できる菌体の開発に多くの時間がかかる場合があると考えている。一方、今後、微生物代謝物以外の多様な化合物も生物由来原料から生産することが求められてくると考えている。そこで本発明者らは、有用な物質の生産については微生物の形質転換体作成のみに依存しない、新規なプロセス開発を検討した。
ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む、α-ケト酸の製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(b)α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする第2遺伝子、および
(c)アルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする第3遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(3):
R103C(O)R104
(ここでR103およびR104は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。ただし、R103が水素であるとき、R104は水素ではない。)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(4):
R103C(R104)(OH)CH2CH2OH
(上記一般式(4)におけるR103およびR104は、それぞれ上記一般式(3)におけるR103およびR104と同じ基である)
により表される1,3-ジオールを生産する工程を含む、1,3-ジオールの製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(b)α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする第2遺伝子、および
(c)アルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする第3遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物の存在下で培養して、1,3-ブタンジオールを生産する工程を含む、1,3-ブタンジオールの製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(d)α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素をコードする第4遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(5):
R101C(R102)(OH)CH2CH(OH)COOH
(上記一般式(5)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2,4-ジヒドロキシカルボン酸の製造方法が提供される。
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるα-ケト酸と窒素源と還元剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(2)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法が提供される。
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸と酸化剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(6)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む、α-ケト酸の製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物とホルムアルデヒドとの存在下で培養して、ホモセリン、スレオニンおよび2-アミノ酪酸のうち少なくとも1つを生産する工程を含む、ホモセリン、スレオニンおよび2-アミノ酪酸のうち少なくとも1つの製造方法が提供される。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子、および
(f)2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素をコードする第6遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、メチルメルカプタンと、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(7):
R101C(R102)(SCH3)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(7)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の製造方法が提供される。
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
を含むコリネ型細菌が提供される。
(1.)α-ケト酸の製造方法
α-ケト酸の製造方法は、
ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む。
(1.1.1)宿主
宿主としては、任意の微生物を使用することができる。宿主としては、例えば、酵母、細菌、より具体的には、好気性細菌、より具体的には、コリネ型細菌、大腸菌、またはビブリオ ナトリエゲンス(Vibrio natriegens)を使用することができる。好ましくは、宿主はコリネ型細菌である。
第1遺伝子は、「ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素」をコードする。「ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質、ピルビン酸(初期基質濃度 1mM)およびカルボニル化合物(初期基質濃度 1mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、10mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。「ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素」におけるカルボニル化合物は、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、バレルアルデヒドまたはアセトンである。ブチルアルデヒドは、具体的には、ノルマルブチルアルデヒドまたはイソブチルアルデヒドである。バレルアルデヒドは、具体的には、ノルマルバレルアルデヒドである。「ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素」は、例えば、アルドラーゼである。
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase、EC番号4.1.2.55)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase、EC番号:4.1.3.16)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase、EC番号4.1.3.42)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase、EC番号4.1.2.28)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase、EC番号4.1.2.51)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase、EC番号4.1.2.23)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase、EC番号4.1.3.39)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase、EC番号4.1.2.34)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase、EC番号4.1.2.52)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase、EC番号4.1.2.20)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase、EC番号4.1.2.53)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase、EC番号4.1.3.17)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase、EC番号4.1.3.43)。
(a2)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、dgoAタンパク質が挙げられる。好ましくは、dgoAタンパク質は、大腸菌由来である。
(a5)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、yjhHタンパク質が挙げられる。好ましくは、yjhHタンパク質は、大腸菌由来である。
(a6)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、yagEタンパク質が挙げられる。好ましくは、yagEタンパク質は、大腸菌由来である。
(a7)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、nanAタンパク質が挙げられる。好ましくは、nanAタンパク質は、大腸菌由来である。
(a8)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、mhpEタンパク質が挙げられる。好ましくは、mhpEタンパク質は、大腸菌由来である。なお、第1遺伝子がmhpE遺伝子である場合、mhpE遺伝子は、mhpF遺伝子と連結した状態で宿主に導入されてもよい。
(a8)および(a10)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、hpaIタンパク質が挙げられる。好ましくは、hpaIタンパク質は大腸菌由来である。
(a8)および(a14)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、bphIタンパク質が挙げられる。好ましくは、bphIタンパク質は、バークホルデリア ゼノボランス(Burkholderia xenovorans)由来である。なお、第1遺伝子がbphI遺伝子である場合、bphI遺伝子は、bphJ遺伝子と連結した状態で宿主に導入されてもよい。
(a9)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、phdJタンパク質が挙げられる。好ましくは、phdJタンパク質は、ノカルディオイデス属菌(Nocardioides sp.)由来である。
(a11)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、garLタンパク質が挙げられる。好ましくは、garLタンパク質は、大腸菌由来である。
(a12)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、rhmAタンパク質が挙げられる。好ましくは、rhmAタンパク質は、大腸菌由来である。
(a13)に含まれるアルドラーゼとしては、例えば、galCタンパク質が挙げられる。好ましくは、galCタンパク質は、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来である。
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のhpaIタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のrhmAタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のnanAタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のedaタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のyjhHタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のdgoAタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のmhpEタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、大腸菌由来のgarLタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質)であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
配列番号1に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のhpaI遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のrhmA遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のnanA遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のeda遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のyjhH遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のdgoA遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のmhpE遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる、大腸菌由来のgarL遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる、シュードモナス プチダ由来由来のgalC遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる、ノカルディオイデス属菌由来のphdJ遺伝子、または
配列番号21に記載の塩基配列からなる、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphI遺伝子である。
第1遺伝子は、形質転換のために適切なプラスミドベクターに組み込むことができる。
得られた組換えベクターを用いて形質転換体を作製することができる。
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法として、例えば塩化カルシウム/塩化ルビジウム法、リン酸カルシウム法、DEAE-デキストラン介在トランスフェクション、電気パルス法などが挙げられる。
培養温度は、形質転換体の増殖に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。培地のpHは、形質転換体の増殖に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。培地のpHの調整は、公知の方法によって行うことができる。培養時間は、形質転換体が増殖するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。
宿主は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。宿主がコリネ型細菌である場合、宿主は、野生株のコリネ型細菌が本来有する下記遺伝子の少なくとも一つを破壊または欠失させることにより得られた遺伝子破壊株または遺伝子欠失株であってもよい:ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase、例えばldhA)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase、例えばppc)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase、例えばpyc)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase、 例えばpoxB)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase、例えばalaA)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase、例えばilvB)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase、例えばcg0931)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase、例えばadhE)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase、例えばald)遺伝子。このような遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を宿主として用いることにより、α-ケト酸の生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
具体的には、α-ケト酸生産微生物としては、
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
を含むコリネ型細菌を使用することができる。
α-ケト酸生産微生物(例えば、上述した形質転換体)を、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養して、α-ケト酸を生産することができる。「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で培養することにより行うことができる。好ましくは、「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液中で培養することにより行うことができる。
増殖用培養液は、形質転換体の培養に通常使用される培地、例えば、炭素源、窒素源および無機塩類等を含有する公知の培地を用いることができる。
増殖培養における培養温度は、形質転換体の増殖に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。増殖用培養液のpHは、形質転換体の増殖に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。増殖用培養液のpHの調整は、公知の方法によって行うことができる。増殖培養における培養時間は、形質転換体が増殖するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。
生産用培養液としては、ピルビン酸供給化合物、カルボニル化合物、及びその他必要な成分を含有する培養液を用いることができる。その他必要な成分として、例えば、無機塩類、糖類以外の炭素源、又は窒素源を用いることができる。本明細書に記載される、培養液中の各成分の濃度は、各成分が添加された時点における培養液中の最終濃度を指す。
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物を使用することができる。
一例によれば、カルボニル化合物としては、上記一般式(1)において、R101は水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、R102は水素であるカルボニル化合物を使用することができる。
別の例によると、カルボニル化合物は、上記一般式(1)において、R101はメチル基であり、かつ、R102は1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるカルボニル化合物を使用することができる。
R101が水素であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ホルムアルデヒド);
R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、アセトアルデヒド);
R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、プロピオンアルデヒド);
R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ブチルアルデヒド)、具体的には、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ノルマルブチルアルデヒド)、または、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、イソブチルアルデヒド);または
R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、バレルアルデヒド)、具体的には、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ノルマルバレルアルデヒド);
を使用することができる。
また、カルボニル化合物としては、上記一般式(1)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるカルボニル化合物(すなわち、アセトン)を使用することもできる。
カルボニル化合物は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
生産培養における培養温度は、α-ケト酸の生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。生産培養における培養温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良くα-ケト酸を製造できる。生産用培養液のpHは、α-ケト酸の生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。生産用培養液のpHは、約6~8の範囲内に維持することが好ましい。生産用培養液のpHの調整は、無機あるいは有機の酸;水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;尿素;炭酸カルシウム;アンモニア;4-モルホリノプロパンスルホン酸等を含むpH緩衝液等を用いて行うことができる。生産培養中も必要に応じて生産用培養液のpHは、適宜調整することができる。生産培養における培養時間は、形質転換体がα-ケト酸を生産するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。生産培養における培養時間は、約3時間~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。
生産培養は、好気的条件の下で行われてもよく、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われてもよい。これは、上述した形質転換体が、好気的条件の下でも嫌気的条件または微好気的条件の下でも働く、α-ケト酸を生産する経路を有しているためである。α-ケト酸を生産する経路は、後述の「(1.3)作用および効果」の欄で述べる。
生産培養は、好ましくは、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる。
生産培養は、好ましくは、形質転換体を生産用培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる。このような状態で形質転換体を培養すると、一層効率的にα-ケト酸を生産することができる。
上述のとおり、第1遺伝子を含む形質転換体を生産用培養液中で培養すると、生産用培養液中にα-ケト酸が生産される。
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物を使用した場合、下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(1)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルカプリル酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(2)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるα-ケト酸(すなわち、4-メチル-4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸)を生産することができる。
α-ケト酸生産微生物がα-ケト酸を生産するプロセスを模式的に図1に示す。図1に示すプロセスにおいては、ピルビン酸供給化合物がグルコースであり、カルボニル化合物がホルムアルデヒドであり、α-ケト酸が4-ヒドロキシ-2-オキソ酪酸である場合を例として説明する。
1,3-ジオールの製造方法は、
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(b)α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする第2遺伝子、および
(c)アルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする第3遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(3):
R103C(O)R104
(ここでR103およびR104は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。ただし、R103が水素であるとき、R104は水素ではない。)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(4):
R103C(R104)(OH)CH2CH2OH
(上記一般式(4)におけるR103およびR104は、それぞれ上記一般式(3)におけるR103およびR104と同じ基である)
により表される1,3-ジオールを生産する工程を含む。
(2.1.1)宿主
宿主としては、「(1.1.1)宿主」の欄に記載した宿主と同様の宿主を使用することができる。
次に、宿主に導入される第1、第2および第3遺伝子について説明する。
第1遺伝子としては、「(1.1.2)第1遺伝子」の欄に記載した第1遺伝子と同様の遺伝子を使用することができる。。
第2遺伝子は、「α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素」をコードする。「α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質およびα-ケト酸(初期基質濃度 1mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、1mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。第2遺伝子は、例えば、第1遺伝子がコードするタンパク質が触媒するアルドール反応により得られたα-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする。「α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素」におけるα-ケト酸は、例えば、「(1.)α-ケト酸の製造方法」の欄に記載した、一般式(2)により表されるα-ケト酸である。「α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素」は、例えば、脱炭酸酵素である。
(b2)ベンゾイルフォルメートデカルボキシラーゼ(benzoylformate decarboxylase、EC番号4.1.1.7)、および
(b3)インドールピルベートデカルボキシラーゼ(indolepyruvate decarboxylase、EC番号4.1.1.74)。
(b2)に含まれる脱炭酸酵素としては、例えば、mdlCタンパク質が挙げられる。好ましくは、mdlCタンパク質は、シュードモナス プチダ(Pseudomonas putida)由来である。
(b3)に含まれる脱炭酸酵素としては、例えば、kivDタンパク質が挙げられる。好ましくは、kivDタンパク質は、ラクトコッカス ラクティス(Lactococcus lactis)由来である。
(2-1)配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、シュードモナス プチダ由来のmdlCタンパク質)であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(2-2)配列番号24において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
第3遺伝子は、「アルデヒドの還元反応を触媒する酵素」をコードする。「アルデヒドの還元反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質およびアルデヒド(初期基質濃度 1mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、10mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。第3遺伝子は、例えば、第2遺伝子がコードするタンパク質が触媒する脱炭酸反応により得られたアルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする。「アルデヒドの還元反応を触媒する酵素」におけるアルデヒドは、例えば、3-ヒドロキシブチルアルデヒド、3-ヒドロキシバレルアルデヒド、3-ヒドロキシヘキシルアルデヒド、3-ヒドロキシイソヘキシルアルデヒド、3-ヒドロキシヘプチルアルデヒドまたは3-メチル-3-ヒドロキシブチルアルデヒドである。「アルデヒドの還元反応を触媒する酵素」は、例えば、アルコールデヒドロゲナーゼである。
(3-1)配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、クレブシエラ ニューモニエ由来のdhaTタンパク質)であって、アルデヒドの還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(3-2)配列番号26において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
第1、第2、および第3遺伝子は、形質転換のために適切なプラスミドベクターに組み込むことができる。
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法としては、「(1.1.4)形質転換」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
宿主は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。宿主がコリネ型細菌である場合、宿主は、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した遺伝子破壊株または遺伝子欠失株と同様の遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を使用することができる。また、遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を作製する方法としては、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。このような遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を宿主として用いることにより、1,3-ジオールの生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
具体的には、1,3-ジオール生産微生物としては、
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
以下からなる群より選択される第2遺伝子:
(2-1)配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(2-2)配列番号24において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第3遺伝子:
(3-1)配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(3-2)配列番号26において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を含むコリネ型細菌を使用することができる。
1,3-ジオール生産微生物(例えば、上述した形質転換体)を、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養して、1,3-ジオールを生産することができる。「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で培養することにより行うことができる。好ましくは、「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液中で培養することにより行うことができる。
増殖用培養液としては、「(1.2.1)増殖用培養液」の欄に記載した増殖用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産用培養液としては、ピルビン酸供給化合物、カルボニル化合物、及びその他必要な成分を含有する培養液を用いることができる。その他必要な成分として、例えば、無機塩類、糖類以外の炭素源又は窒素源を用いることができる。
R103C(O)R104
(ここでR103およびR104は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。ただし、R103が水素であるとき、R104は水素ではない。)
により表されるカルボニル化合物を使用することができる。
一例によれば、カルボニル化合物としては、上記一般式(3)において、R103は水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、R104は水素であるカルボニル化合物を使用することができる。
別の例によると、カルボニル化合物は、上記一般式(3)において、R103はメチル基であり、かつ、R104は1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるカルボニル化合物を使用することができる。
R103がメチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、アセトアルデヒド);
R103がエチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、プロピオンアルデヒド);
R103がプロピル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ブチルアルデヒド)、具体的には、R103がノルマルプロピル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ノルマルブチルアルデヒド)、または、R103がイソプロピル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、イソブチルアルデヒド);または
R103がペンチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、バレルアルデヒド)、具体的には、R103がノルマルペンチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物(すなわち、ノルマルバレルアルデヒド);
を使用することができる。
また、カルボニル化合物としては、上記一般式(3)中、R103およびR104がいずれもメチル基であるケトン(すなわち、アセトン)を使用することができる。
カルボニル化合物は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
また、生産用培養液としては、増殖培養で用いた増殖用培養液と同じ組成のベース培養液に、ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とを添加して得られる培養液を用いることもできる。なお、上述のベース培養液中に十分な量でピルビン酸供給化合物が存在する場合、ピルビン酸供給化合物を添加しなくてもよい。
生産培養における培養温度は、1,3-ジオールの生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。生産培養における培養温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く1,3-ジオールを製造できる。生産用培養液のpHは、1,3-ジオールの生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。生産用培養液のpHは、約6~8の範囲内に維持することが好ましい。生産用培養液のpHの調整は、無機あるいは有機の酸;水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;尿素;炭酸カルシウム;アンモニア;4-モルホリノプロパンスルホン酸等を含むpH緩衝液等を用いて行うことができる。生産培養中も必要に応じて生産用培養液のpHは、適宜調整することができる。生産培養における培養時間は、形質転換体が1,3-ジオールを生産するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。生産培養における培養時間は、約3時間~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。
生産培養は、好気的条件の下で行われてもよく、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われてもよい。これは、上述した形質転換体が、好気的条件の下でも嫌気的条件または微好気的条件の下でも働く、1,3-ジオールを生産する経路を有しているためである。1,3-ジオールを生産する経路は、後述の「(2.3)作用および効果」の欄で述べる。
生産培養は、好ましくは、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる。
生産培養は、好ましくは、形質転換体を生産用培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる。このような状態で形質転換体を培養すると、一層効率的に1,3-ジオールを生産することができる。
上述のとおり、第1、第2および第3遺伝子を含む形質転換体を生産用培養液中で培養すると、生産用培養液中に1,3-ジオールが生産される。
下記一般式(3):
R103C(O)R104
(ここでR103およびR104は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。ただし、R103およびR104は、何れも水素ではない。)
により表されるカルボニル化合物を使用した場合、下記一般式(4):
R103C(R104)(OH) CH2CH2OH
(上記一般式(4)におけるR103およびR104は、それぞれ上記一般式(3)におけるR103およびR104と同じ基である)
により表される1,3-ジオールを生産することができる。
上記一般式(3)中、R103がエチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がエチル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、1,3-ペンタンジオール)を生産することができる。
上記一般式(3)中、R103がプロピル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がプロピル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、1,3-ヘキサンジオール)を生産することができる。具体的には、上記一般式(3)中、R103がノルマルプロピル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がノルマルプロピル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、1,3-ノルマルヘキサンジオール)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(3)中、R103がイソプロピル基であり、かつ、R103が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がイソプロピル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、4-メチル-1,3-ペンタンジオール)を生産することができる。
上記一般式(3)中、R103がペンチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がペンチル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、1,3-ヘプタンジオール)を生産することができる。具体的には、上記一般式(3)中、R103がノルマルペンチル基であり、かつ、R104が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103がノルマルペンチル基であり、かつ、R104が水素である1,3-ジオール(すなわち、1,3-ノルマルヘプタンジオール)を生産することができる。
上記一般式(3)中、R103およびR104がいずれもメチル基であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(4)中、R103およびR104がいずれもメチル基である1,3-ジオール(すなわち、3-メチル-1,3-ブタンジオール)を生産することができる。
なお、生産用培養液からは、第1遺伝子がコードする酵素が触媒するアルドール反応によって生じたα-ケト酸等の物質を回収することもできる。
1,3-ジオール生産微生物が1,3-ジオールを生産するプロセスを模式的に図2に示す。図2に示すプロセスにおいては、ピルビン酸供給化合物がグルコースであり、カルボニル化合物がアセトアルデヒドであり、1,3-ジオールが1,3-ブタンジオールである場合を例として説明する。
すなわち、この実施形態に係る1,3-ブタンジオールの製造方法は、1,3-ジオール生産微生物を、ピルビン酸供給化合物の存在下で培養して、1,3-ブタンジオールを生産する工程を含む。
この実施形態は、アセトアルデヒドを生産用培養液に添加しないことを除いて、上述の「1,3-ジオールの製造方法」と同様の手順に従って実施することができる。
2,4-ジヒドロキシカルボン酸の製造方法は、
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(d)α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素をコードする第4遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(5):
R101C(R102)(OH)CH2CH(OH)COOH
(上記一般式(5)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む。
(3.1.1)宿主
宿主としては、「(1.1.1)宿主」の欄に記載した宿主と同様の宿主を使用することができる。
次に、宿主に導入される第1および第4遺伝子について説明する。
第1遺伝子としては、「(1.1.2)第1遺伝子」の欄に記載した第1遺伝子と同様の遺伝子を使用することができる。
第4遺伝子は、「α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素」をコードする。「α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質およびα-ケト酸(初期基質濃度 1mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、10mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。第4遺伝子は、例えば、第1遺伝子がコードするタンパク質が触媒するアルドール反応により得られたα-ケト酸の還元反応を触媒する酵素をコードする。「α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素」におけるα-ケト酸は、例えば、「(1.)α-ケト酸の製造方法」の欄に記載した、一般式(2)により表されるα-ケト酸である。「α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素」は、例えば、デヒドロゲナーゼである。
(4-1)配列番号28に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、ラクトコッカス ラクティスNBRC100676株由来のldhAタンパク質であって、N末端から85番目のグルタミン残基がシステイン残基に置換されているタンパク質)であって、α-ケト酸の還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(4-2)配列番号28において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
第1および第4遺伝子は、形質転換のために適切なプラスミドベクターに組み込むことができる。
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法としては、「(1.1.4)形質転換」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
宿主は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。宿主がコリネ型細菌である場合、宿主は、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した遺伝子破壊株または遺伝子欠失株と同様の遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を使用することができる。また、遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を作製する方法としては、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。このような遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を宿主として用いることにより2,4-ジヒドロキシカルボン酸の生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
具体的には、2,4-ジヒドロキシカルボン酸生産微生物としては、
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第4遺伝子:
(4-1)配列番号28に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(4-2)配列番号28において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を含むコリネ型細菌を使用することができる。
2,4-ジヒドロキシカルボン酸生産微生物(例えば、上述した形質転換体)を、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養して、2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産することができる。「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で培養することにより行うことができる。好ましくは、「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液中で培養することにより行うことができる。
増殖用培養液としては、「(1.2.1)増殖用培養液」の欄に記載した増殖用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産用培養液としては、「(1.2.2)生産用培養液」の欄に記載した生産用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産培養における培養温度は、2,4-ジヒドロキシカルボン酸の生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。生産培養における培養温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く2,4-ジヒドロキシカルボン酸を製造できる。生産用培養液のpHは、2,4-ジヒドロキシカルボン酸の生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。生産用培養液のpHは、約6~8の範囲内に維持することが好ましい。生産用培養液のpHの調整は、無機あるいは有機の酸;水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;尿素;炭酸カルシウム;アンモニア;4-モルホリノプロパンスルホン酸等を含むpH緩衝液等を用いて行うことができる。生産培養中も必要に応じて生産用培養液のpHは、適宜調整することができる。生産培養における培養時間は、形質転換体が2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。生産培養における培養時間は、約3時間~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。
生産培養は、好気的条件の下で行われてもよく、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われてもよい。これは、上述した形質転換体が、好気的条件の下でも嫌気的条件または微好気的条件の下でも働く、2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産する経路を有しているためである。2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産する経路は、後述の「(3.3)作用および効果」の欄で述べる。
生産培養は、好ましくは、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる。
生産培養は、好ましくは、形質転換体を生産用培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる。このような状態で形質転換体を培養すると、一層効率的に2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産することができる。
上述のとおり、第1および第4遺伝子を含む形質転換体を生産用培養液中で培養すると、生産用培養液中に2,4-ジヒドロキシカルボン酸が生産される。
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物を使用した場合、下記一般式(5):
R101C(R102)(OH)CH2CH(OH)COOH
(上記一般式(5)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(1)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がノイソプロピル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、2,4-ジヒドロキシノルマルカプリル酸)を生産することができる。
より具体的には、上記一般式(1)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(5)中、R101およびR102がいずれもメチル基である2,4-ジヒドロキシカルボン酸(すなわち、4-メチル-2,4-ジヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
2,4-ジヒドロキシカルボン酸生産微生物が2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産するプロセスを模式的に図3に示す。図3に示すプロセスにおいては、ピルビン酸供給化合物がグルコースであり、カルボニル化合物がホルムアルデヒドであり、2,4-ジヒドロキシカルボン酸が2,4-ジヒドロキシ酪酸である場合を例として説明する。
2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法は、
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む。
(4.1.1)宿主
宿主としては、「(1.1.1)宿主」の欄に記載した宿主と同様の宿主を使用することができる。
次に、宿主に導入される第1および第5遺伝子について説明する。
第1遺伝子としては、「(1.1.2)第1遺伝子」の欄に記載した第1遺伝子と同様の遺伝子を使用することができる。
第5遺伝子は、「α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素」をコードする。「α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質およびα-ケト酸(初期基質濃度 1mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、10mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。第5遺伝子は、例えば、第1遺伝子がコードするタンパク質が触媒するアルドール反応により得られたα-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする。「α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素」におけるα-ケト酸は、例えば、「(1.)α-ケト酸の製造方法」の欄に記載した、一般式(2)により表されるα-ケト酸である。「α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素」は、例えば、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼ[Glutamate/phenylalanine/leucine/valine dehydrogenase, (IPR006095)]である。「グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼ」は、当該技術分野において、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼを包含するデヒドロゲナーゼファミリーを意味する用語として使用されている。一例によると、「グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼ」は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼである。
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase、EC番号1.4.1.20)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase、EC番号1.4.1.8および1.4.1.23)。
(d2)に含まれるデヒドロゲナーゼとしては、例えば、phedhタンパク質が挙げられる。好ましくは、phedhタンパク質は、バシラス バディウス(Bacillus badius)由来である。
(d3)に含まれるデヒドロゲナーゼとしては、例えば、valdhタンパク質が挙げられる。好ましくは、valdhタンパク質は、ストレプトミセス フラジエ(streptomyces fradiae)由来である。
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDHタンパク質)であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、バシラス バディウス由来のphedhタンパク質)であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldhタンパク質)であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
配列番号30に記載の塩基配列からなる、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDH遺伝子、
配列番号32に記載の塩基配列からなる、バシラス バディウス由来のphedh遺伝子、または
配列番号34に記載の塩基配列からなる、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldh遺伝子である。
第1および第5遺伝子は、形質転換のために適切なプラスミドベクターに組み込むことができる。
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法としては、「(1.1.4)形質転換」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
宿主は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。宿主がコリネ型細菌である場合、宿主は、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した遺伝子破壊株または遺伝子欠失株と同様の遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を使用することができる。また、遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を作製する方法としては、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。このような遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を宿主として用いることにより2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
具体的には、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸生産微生物としては、
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第5遺伝子:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を含むコリネ型細菌を使用することができる。
2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸生産微生物(例えば、上述した形質転換体)を、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養して、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産することができる。「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で培養することにより行うことができる。好ましくは、「ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物の存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液中で培養することにより行うことができる。
増殖用培養液としては、「(1.2.1)増殖用培養液」の欄に記載した増殖用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産用培養液としては、「(1.2.2)生産用培養液」の欄に記載した生産用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産培養における培養温度は、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。生産培養における培養温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を製造できる。生産用培養液のpHは、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。生産用培養液のpHは、約6~8の範囲内に維持することが好ましい。生産用培養液のpHの調整は、無機あるいは有機の酸;水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;尿素;炭酸カルシウム;アンモニア;4-モルホリノプロパンスルホン酸等を含むpH緩衝液等を用いて行うことができる。生産培養中も必要に応じて生産用培養液のpHは、適宜調整することができる。生産培養における培養時間は、形質転換体が2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。生産培養における培養時間は、約3時間~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。
生産培養は、好気的条件の下で行われてもよく、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われてもよい。これは、上述した形質転換体が、好気的条件の下でも嫌気的条件または微好気的条件の下でも働く、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する経路を有しているためである。2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する経路は、後述の「(4.3)作用および効果」の欄で述べる。
生産培養は、好ましくは、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる。
生産培養は、好ましくは、形質転換体を生産用培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる。このような状態で形質転換体を培養すると、一層効率的に2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産することができる。
上述のとおり、第1および第5遺伝子を含む形質転換体を生産用培養液中で培養すると、生産用培養液中に2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸が生産される。
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物を使用した場合、下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(1)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシノルマルカプリル酸)を生産することができる。
より具体的には、上記一般式(1)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(6)中、R101およびR102がいずれもメチル基である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、4-メチル-2-アミノ-4-ヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
また、複数種類のカルボニル化合物を使用した場合、培養液中に複数種類の2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸が生産される。複数種類の2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸は、晶析やクロマトグラフィーによって、互いに分離することができる。
2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸生産微生物が2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産するプロセスを模式的に図4に示す。図4に示すプロセスにおいては、ピルビン酸供給化合物がグルコースであり、カルボニル化合物がホルムアルデヒドであり、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸がホモセリンである場合を例として説明する。
「(4.)2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法」の欄では、微生物を使用した生物学的方法により2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を製造する方法について説明したが、この方法は微生物を使用することなく、化学的方法により実施することもできる。
すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法は、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるα-ケト酸と窒素源と還元剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(2)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む。
反応液に含まれる各成分について以下で説明する。本明細書に記載される、反応液中の各成分の濃度は、各成分が添加された時点における反応液中の最終濃度を指す。
(5.1.1)α-ケト酸
α-ケト酸は、下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表される。
一例によれば、α-ケト酸は、上記一般式(2)において、R101は水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基であり、かつ、R102は水素であるα-ケト酸を使用することができる。
別の例によると、α-ケト酸は、上記一般式(2)において、R101はメチル基であり、かつ、R102は1~5個の炭素原子を有するアルキル基であるα-ケト酸を使用することができる。
R101が水素であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソ酪酸);
R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸);
R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプロン酸);
R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソエナント酸)、具体的には、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルヘプタン酸)、または、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソイソエナント酸);または
R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプリル酸)、具体的には、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルカプリル酸);
を使用することができる。
また、上記一般式(2)により表されるα-ケト酸としては、上記一般式(2)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるα-ケト酸(すなわち、4-メチル-4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸)を使用することもできる。
α-ケト酸は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
窒素源としては、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼが触媒する還元的アミノ化反応においてアミノ基を供給する任意の化合物を使用することができる。窒素源としては、具体的には、反応液中で解離してアンモニウムイオンを生じるアンモニウム塩、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムを使用することができる。
還元剤としては、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼが利用できる任意の電子供与体を使用することができる。例えば、NADH、NADPHを使用することができる。
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼとしては、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼに包含される任意の酵素を使用することができる。一例によると、「グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼ」は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼである。
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase、EC番号1.4.1.20)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase、EC番号1.4.1.8および1.4.1.23)。
(d2)に含まれるデヒドロゲナーゼとしては、例えば、phedhタンパク質が挙げられる。好ましくは、phedhタンパク質は、バシラス バディウス(Bacillus badius)由来である。
(d3)に含まれるデヒドロゲナーゼとしては、例えば、valdhタンパク質が挙げられる。好ましくは、valdhタンパク質は、ストレプトミセス フラジエ(streptomyces fradiae)由来である。
(5’-1) 配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-2) 配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-3) 配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-4) 配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-5) 配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、および
(5’-6) 配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質。
バッファーは、例えば、緩衝剤およびその他必要な成分を含有する。
反応温度は、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。反応温度は、約4~80℃が好ましく、約20~60℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を製造できる。反応液のpHは、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。反応液のpHは、約5~11の範囲内に維持することが好ましい。反応液のpHの調整は、塩酸や水酸化カリウム水溶液等を用いて行うことができる。反応中も必要に応じて反応液のpHは、適宜調整することができる。反応時間は、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸が生産されるのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。反応時間は、約1分~10日間時間が好ましく、約1時間~3日間がより好ましい。
上述したとおり、α-ケト酸と窒素源と還元剤とをグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させると、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸が生産される。
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるα-ケト酸を使用した場合、下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(2)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産することができる。
上記一般式(2)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(2)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(2)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(2)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(2)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(2)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がイソペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(2)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-ヒドロキシノルマルカプリル酸)を生産することができる。
上記一般式(2)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるα-ケト酸を使用した場合、上記一般式(6)中、R101およびR102がいずれもメチル基である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸(すなわち、4-メチル-2-アミノ-4-ヒドロキシ吉草酸)を生産することができる。
上述の2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法は、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの還元的アミノ化反応を利用する。
一般的に、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼ等のアミノ酸デヒドロゲナーゼは、還元的アミノ化反応およびその逆反応、すなわち、酸化的脱アミノ化反応のいずれの反応も触媒し、また、これらデヒドロゲナーゼの活性強度には相関がある(例えば、Biochim. Biophys. Acta 96, 248-262 (1965)、J. Biol. Chem. 253, 5719-5725 (1978)、Eur. J. Biochem. 100, 29-39 (1979))。したがって、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの酸化的脱アミノ化を利用して、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸からα-ケト酸を生産することができる。
よって、別の実施形態によれば、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの酸化的脱アミノ化反応を利用したα-ケト酸の製造方法が提供される。すなわち、この実施形態にかかるα-ケト酸の製造方法は、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸から選ばれる2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸と酸化剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(6)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む。
2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸は、1種を使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
なお、1種類の2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を反応液中に使用した場合、後述する、α-ケト酸の分離精製を容易に行うことが可能である。
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(6)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産することができる。
上記一般式(6)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(6)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(6)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(6)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(6)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(6)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(6)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるα-ケト酸(すなわち、4-ヒドロキシ-2-オキソノルマルカプリル酸)を生産することができる。
上記一般式(6)中、R101およびR102がいずれもメチル基である2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を使用した場合、上記一般式(2)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるα-ケト酸(すなわち、4-メチル-4-ヒドロキシ-2-オキソ吉草酸)を生産することができる。
2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の製造方法は、
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子、および
(f)2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素をコードする第6遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、メチルメルカプタンと、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(7):
R101C(R102)(SCH3)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(7)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産する工程を含む。
(6.1.1)宿主
宿主としては、「(1.1.1)宿主」の欄に記載した宿主と同様の宿主を使用することができる。
次に、宿主に導入される第1、第5および第6遺伝子について説明する。
第1遺伝子としては、「(1.1.2)第1遺伝子」の欄に記載した第1遺伝子と同様の遺伝子を使用することができる。
第5遺伝子としては、「(4.1.3)第5遺伝子」の欄に記載した第1遺伝子と同様の遺伝子を使用することができる。
第6遺伝子は、「2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素」をコードする。「2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素」とは、後述の測定方法に従って、酵素反応液として、精製タンパク質、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸(初期基質濃度 1mM)およびメチルメルカプタン(初期基質濃度 5mM)を含む酵素反応液を使用して測定した場合に、0.1mU/mg protein以上の活性を有する酵素をいう。第6遺伝子は、例えば、第5遺伝子がコードするタンパク質が触媒する還元的アミノ化反応を経由して得られる2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素をコードする。「2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素」は、例えば、トランススルフレーション酵素である。
(6-1)配列番号36に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質(すなわち、シロイヌナズナ由来のCGS1成熟タンパク質)であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(6-2)配列番号36において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
第1、第5および第6遺伝子は、形質転換のために適切なプラスミドベクターに組み込むことができる。
形質転換方法は、公知の方法を制限無く使用できる。このような公知の方法としては、「(1.1.4)形質転換」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。
宿主は、野生株の他に、その変異株や人為的な遺伝子組換え体であってもよい。宿主がコリネ型細菌である場合、宿主は、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した遺伝子破壊株または遺伝子欠失株と同様の遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を使用することができる。また、遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を作製する方法としては、「(1.1.5)宿主染色体遺伝子の破壊または欠失」の欄に記載した方法と同様の方法を使用することができる。このような遺伝子破壊株または遺伝子欠失株を宿主として用いることにより2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の生産性を向上させたり、副生成物の生成を抑制したりすることができる。
具体的には、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸生産微生物としては、
以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
以下からなる群より選択される第5遺伝子:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第6遺伝子:
(6-1)配列番号36に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(6-2)配列番号36において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を含むコリネ型細菌を使用することができる。
2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸生産微生物(例えば、上述した形質転換体)を、ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とメチルメルカプタンとの存在下で培養して、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産することができる。「ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とメチルメルカプタンとの存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とメチルメルカプタンとを含む培養液中で培養することにより行うことができる。好ましくは、「ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とメチルメルカプタンとの存在下で培養すること」は、ピルビン酸供給化合物とカルボニル化合物とメチルメルカプタンとを添加した培養液中で培養することにより行うことができる。
増殖用培養液としては、「(1.2.1)増殖用培養液」の欄に記載した増殖用培養液と同様の培養液を使用することができる。
生産用培養液としては、ピルビン酸供給化合物、カルボニル化合物、メチルメルカプタン及びその他必要な成分を含有する培養液を用いることができる。その他必要な成分として、例えば、無機塩類、糖類以外の炭素源又は窒素源を用いることができる。
生産培養における培養温度は、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の生産に適した温度であれば、任意の温度であってもよい。生産培養における培養温度は、約20~50℃が好ましく、約25~47℃がより好ましい。上記温度範囲であれば、効率良く2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を製造できる。生産用培養液のpHは、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の生産に適したpHであれば、任意のpHであってもよい。生産用培養液のpHは、約6~8の範囲内に維持することが好ましい。生産用培養液のpHの調整は、無機あるいは有機の酸;水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液;尿素;炭酸カルシウム;アンモニア;4-モルホリノプロパンスルホン酸等を含むpH緩衝液等を用いて行うことができる。生産培養中も必要に応じて生産用培養液のpHは、適宜調整することができる。生産培養における培養時間は、形質転換体が2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産するのに十分な時間であれば、任意の時間であってもよい。生産培養における培養時間は、約3時間~7日間が好ましく、約1~3日間がより好ましい。
生産培養は、好気的条件の下で行われてもよく、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われてもよい。これは、上述した形質転換体が、好気的条件の下でも嫌気的条件または微好気的条件の下でも働く、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産する経路を有しているためである。2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産する経路は、後述の「(6.3)作用および効果」の欄で述べる。
生産培養は、好ましくは、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる。
生産培養は、好ましくは、形質転換体を生産用培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる。このような状態で形質転換体を培養すると、一層効率的に2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産することができる。
上述のとおり、第1、第5および第6遺伝子を含む形質転換体を生産用培養液中で培養すると、生産用培養液中に2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸が生産される。
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物を使用した場合、下記一般式(7):
R101C(R102)(SCH3)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(7)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がメチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオ吉草酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がエチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオカプロン酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオエナント酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がノルマルプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオノルマルヘプタン酸)を生産することができる。また、具体的には、上記一般式(1)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がイソプロピル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオイソエナント酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオカプリル酸)を生産することができる。具体的には、上記一般式(1)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101がノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、2-アミノ-4-メチルチオノルマルカプリル酸)を生産することができる。
上記一般式(1)中、R101およびR102がいずれもメチル基であるカルボニル化合物を使用した場合、上記一般式(7)中、R101およびR102がいずれもメチル基である2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸(すなわち、4-メチル-2-アミノ-4-メチルチオ吉草酸)を生産することができる。
なお、2-アミノ-4-メチルチオ酪酸はメチオニンとも呼ばれる。メチオニンは、例えば、L-メチオニンである。
2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸生産微生物が2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産するプロセスを模式的に図5に示す。図5に示すプロセスにおいては、ピルビン酸供給化合物がグルコースであり、カルボニル化合物がホルムアルデヒドであり、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸がメチオニンである場合を例として説明する。
以下に、本発明の好ましい実施形態をまとめて示す。
[A1] ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む、α-ケト酸の製造方法。
[A2] 前記一般式(1)及び(2)中、R102が水素である[A1]に記載の方法。
[A3] 前記一般式(1)及び(2)中、R101が、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはペンチル基であり、かつ、R102が水素である[A1]または[A2]に記載の方法。
[A4] 前記一般式(1)及び(2)中、R101が、水素、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基またはノルマルペンチル基であり、かつ、R102が水素である[A1]~[A3]の何れか1に記載の方法。
[A5] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[A1]~[A4]の何れか1に記載の方法。
[A6] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液である[A5]に記載の方法。
[A7] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[A6]に記載の方法。
[A8] カルボニル化合物は、前記培養液中で0.001~10(w/v)%、好ましくは、0.01~1(w/v)%の濃度になるように添加される[A6]または[A7]に記載の方法。
[A9] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[A1]~[A8]の何れか1に記載の方法。
[A10] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[A1]~[A9]の何れか1に記載の方法。
[A11] 前記糖類は、グルコースである[A1]~[A10]の何れか1に記載の方法。
[A12] 前記ピルビン酸供給化合物は、ピルビン酸である[A1]~[A8]の何れか1に記載の方法。
[A13] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[A1]~[A12]の何れか1に記載の方法。
[A14] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[A13]に記載の方法。
[A15] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[A14]に記載の方法。
[A16] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[A1]~[A15]の何れか1に記載の方法。
[A17] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[A16]に記載の方法。
[A18] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[A17]に記載の方法。
[A19] 前記遺伝子は、アルドラーゼをコードする[A1]~[A18]の何れか1に記載の方法。
[A20] 前記遺伝子は、タイプIのアルドラーゼをコードする[A1]~[A19]の何れか1に記載の方法。
[A21] 前記遺伝子は、タイプIIのアルドラーゼをコードする[A1]~[A19]の何れか1に記載の方法。
[A22] 前記遺伝子は、以下からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする:
(a1)2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-phosphogluconate aldolase)、
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase);
[A1]~[A21]の何れか1に記載の方法。
[A23] 前記遺伝子は、edaタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のedaタンパク質;dgoAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のdgoAタンパク質;yjhHタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyjhHタンパク質;yagEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyagEタンパク質;nanAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のnanAタンパク質;mhpEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のmhpEタンパク質;hpaIタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のhpaIタンパク質;bphIタンパク質、好ましくは、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質;phdJタンパク質、好ましくは、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質;garLタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のgarLタンパク質;rhmAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のrhmAタンパク質;およびgalCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[A1]~[A22]の何れか1に記載の方法。
[A24] 前記遺伝子は以下からなる群より選択される:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[A1]~[A23]の何れか1に記載の方法。
[A25] 前記遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[A1]~[A24]の何れか1に記載の方法。
[A26] 前記微生物は、好気性細菌、好ましくは、コリネ型細菌、より好ましくは、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、より好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である[A1]~[A25]の何れか1に記載の方法。
[A27] 前記微生物は、前記遺伝子によって形質転換された微生物である[A1]~[A26]の何れか1に記載の方法。
[A28] 前記微生物は、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase)遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の欠損株である[A1]~[A27]の何れか1に記載の方法。
[A29] 前記培養の前に、前記微生物を好気的条件下で培養することを更に含む[A1]~[A28]の何れか1に記載の方法。
[A30] 生産されたα-ケト酸を回収することを更に含む[A1]~[A29]の何れか1に記載の方法。
以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(b)α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする第2遺伝子、および
(c)アルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする第3遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(3):
R103C(O)R104
(ここでR103およびR104は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である。ただし、R103が水素であるとき、R104は水素ではない。)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(4):
R103C(R104)(OH)CH2CH2OH
(上記一般式(4)におけるR103およびR104は、それぞれ上記一般式(3)におけるR103およびR104と同じ基である)
により表される1,3-ジオールを生産する工程を含む、1,3-ジオールの製造方法。
[B2] 前記一般式(3)及び(4)中、R104が水素である[B1]に記載の方法。
[B3] 前記一般式(3)及び(4)中、R103が、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはペンチル基であり、かつ、R104が水素である[B1]または[B2]に記載の方法。
[B4] 前記一般式(3)及び(4)中、R103が、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基またはノルマルペンチル基であり、かつ、R104が水素である[B1]~[B3]の何れか1に記載の方法。
[B5] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B1]~[B4]の何れか1に記載の方法。
[B6] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液である[B5]に記載の方法。
[B7] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[B6]に記載の方法。
[B8] カルボニル化合物は、前記培養液中で0.001~10(w/v)%、好ましくは、0.01~1(w/v)%の濃度になるように添加される[B6]または[B7]に記載の方法。
[B9] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[B1]~[B8]の何れか1に記載の方法。
[B10] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[B1]~[B9]の何れか1に記載の方法。
[B11] 前記糖類は、グルコースである[B1]~[B10]の何れか1に記載の方法。
[B12] 前記ピルビン酸供給化合物は、ピルビン酸である[B1]~[B8]の何れか1に記載の方法。
[B13] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[B1]~[B12]の何れか1に記載の方法。
[B14] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B13]に記載の方法。
[B15] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[B14]に記載の方法。
[B16] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[B1]~[B15]の何れか1に記載の方法。
[B17] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B16]に記載の方法。
[B18] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[B17]に記載の方法。
[B19] 生産された1,3-ジオールを回収することを更に含む[B1]~[B18]の何れか1に記載の方法。
[B20] 以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(b)α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する酵素をコードする第2遺伝子、および
(c)アルデヒドの還元反応を触媒する酵素をコードする第3遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物の存在下で培養して、1,3-ブタンジオールを生産する工程を含む、1,3-ブタンジオールの製造方法。
[B21] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B20]に記載の方法。
[B22] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物を添加した培養液である[B21]に記載の方法。
[B23] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[B22]に記載の方法。
[B24] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[B20]~[B23]の何れか1に記載の方法。
[B25] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[B20]~[B24]の何れか1に記載の方法。
[B26] 前記糖類は、グルコースである[B20]~[B25]の何れか1に記載の方法。
[B27] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[B20]~[B26]の何れか1に記載の方法。
[B28] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B27]に記載の方法。
[B29] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[B28]に記載の方法。
[B30] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[B20]~[B29]の何れか1に記載の方法。
[B31] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[B30]に記載の方法。
[B32] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[B31]に記載の方法。
[B33] 生産された1,3-ブタンジオールを回収することを更に含む[B20]~[B32]の何れか1に記載の方法。
[B34] 前記第1遺伝子は、アルドラーゼをコードする[B1]~[B33]の何れか1に記載の方法。
[B35] 前記第1遺伝子は、タイプIのアルドラーゼをコードする[B1]~[B34]の何れか1に記載の方法。
[B36] 前記第1遺伝子は、タイプIIのアルドラーゼをコードする[B1]~[B34]の何れか1に記載の方法。
[B37] 前記第1遺伝子は、以下からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする:
(a1)2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-phosphogluconate aldolase)、
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase);
[B1]~[B36]の何れか1に記載の方法。
[B38] 前記第1遺伝子は、edaタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のedaタンパク質;dgoAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のdgoAタンパク質;yjhHタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyjhHタンパク質;yagEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyagEタンパク質;nanAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のnanAタンパク質;mhpEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のmhpEタンパク質;hpaIタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のhpaIタンパク質;bphIタンパク質、好ましくは、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質;phdJタンパク質、好ましくは、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質;garLタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のgarLタンパク質;rhmAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のrhmAタンパク質;およびgalCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[B1]~[B37]の何れか1に記載の方法。
[B39] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[B1]~[B38]の何れか1に記載の方法。
[B40] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[B1]~[B39]の何れか1に記載の方法。
[B41] 前記第2遺伝子は、前記アルドール反応により得られたα-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する前記酵素をコードする[B1]~[B40]の何れか1に記載の方法。
[B42] 前記第2遺伝子は、脱炭酸酵素をコードする[B1]~[B41]の何れか1に記載の方法。
[B43] 前記第2遺伝子は、以下からなる群より選択される脱炭酸酵素をコードする:
(b1)ピルベートデカルボキシラーゼ(pyruvate decarboxylase)、
(b2)ベンゾイルフォルメートデカルボキシラーゼ(benzoylformate decarboxylase)、および
(b3)インドールピルベートデカルボキシラーゼ(indolepyruvate decarboxylase);
[B1]~[B42]の何れか1に記載の方法。
[B44] 前記第2遺伝子は、pdcタンパク質、好ましくは、ザイモモナス モビリス由来のpdcタンパク質;mdlCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のmdlCタンパク質;kivDタンパク質、好ましくは、ラクトコッカス ラクティス由来のkivDタンパク質;からなる群より選択される脱炭酸酵素をコードする[B1]~[B43]の何れか1に記載の方法。
[B45] 前記第2遺伝子は、mdlCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のmdlCタンパク質をコードする[B1]~[B44]の何れか1に記載の方法。
[B46] 前記第2遺伝子は以下からなる群より選択される:
(2-1)配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(2-2)配列番号24において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[B1]~[B45]の何れか1に記載の方法。
[B47] 前記第2遺伝子は、配列番号23に記載の塩基配列からなる遺伝子である[B1]~[B46]の何れか1に記載の方法。
[B48] 前記第3遺伝子は、前記第1遺伝子がコードする前記酵素が触媒する前記アルドール反応の基質であるアルデヒドとは種類が異なるアルデヒドの還元反応を触媒する前記酵素をコードする[B1]~[B47]の何れか1に記載の方法。
[B49] 前記第3遺伝子は、前記脱炭酸反応により得られたアルデヒドの還元反応を触媒する前記酵素をコードする[B1]~[B48]の何れか1に記載の方法。
[B50] 前記第3遺伝子は、アルコールデヒドロゲナーゼをコードする[B1]~[B49]の何れか1に記載の方法。
[B51] 前記第3遺伝子は、1,3-プロパンジオールデヒドロゲナーゼ(1,3-propanediol dehydrogenase)をコードする[B1]~[B50]の何れか1に記載の方法。
[B52] 前記第3遺伝子は、dhaTタンパク質、好ましくは、クレブシエラ ニューモニエ由来のdhaTタンパク質;およびlpoタンパク質、好ましくは、ラクトバチルス ロイテリ由来のlpoタンパク質;からなる群より選択される1,3-プロパンジオールデヒドロゲナーゼをコードする[B1]~[B51]の何れか1に記載の方法。
[B53] 前記第3遺伝子は以下からなる群より選択される:
(3-1)配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(3-2)配列番号26において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[B1]~[B52]の何れか1に記載の方法。
[B54] 前記第3遺伝子は、配列番号25に記載の塩基配列からなる遺伝子である[B1]~[B53]の何れか1に記載の方法。
[B55] 前記微生物は、好気性細菌、好ましくは、コリネ型細菌、より好ましくは、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、より好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である[B1]~[B54]の何れか1に記載の方法。
[B56] 前記微生物は、前記第1、前記第2および前記第3遺伝子によって形質転換された微生物である[B1]~[B55]の何れか1に記載の方法。
[B57] 前記微生物は、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase)遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の欠損株である[B1]~[B56]の何れか1に記載の方法。
[B58] 前記培養の前に、前記微生物を好気的条件下で培養することを更に含む[B1]~[B57]の何れか1に記載の方法。
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(d)α-ケト酸の還元反応を触媒する酵素をコードする第4遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(5):
R101C(R102)(OH)CH2CH(OH)COOH
(上記一般式(5)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2,4-ジヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2,4-ジヒドロキシカルボン酸の製造方法。
[C2] 前記一般式(1)及び(5)中、R102が水素である[C1]に記載の方法。
[C3] 前記一般式(1)及び(5)中、R101が、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはペンチル基であり、かつ、R102が水素である[C1]または[C2]の何れか1に記載の方法。
[C4] 前記一般式(1)及び(5)中、R101およびR102が、水素である[C1]~[C3]の何れか1に記載の方法。
[C5] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[C1]~[C4]の何れか1に記載の方法。
[C6] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液である[C5]に記載の方法。
[C7] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[C6]に記載の方法。
[C8] カルボニル化合物は、前記培養液中で0.001~10(w/v)%、好ましくは、0.01~1(w/v)%の濃度になるように添加される[C6]または[C7]に記載の方法。
[C9] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[C1]~[C8]の何れか1に記載の方法。
[C10] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[C1]~[C9]の何れか1に記載の方法。
[C11] 前記糖類は、グルコースである[C1]~[C10]の何れか1に記載の方法。
[C12] 前記ピルビン酸供給化合物は、ピルビン酸である[C1]~[C11]の何れか1に記載の方法。
[C13] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[C1]~[C12]の何れか1に記載の方法。
[C14] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[C13]に記載の方法。
[C15] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[C14]に記載の方法。
[C16] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[C1]~[C15]の何れか1に記載の方法。
[C17] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[C16]に記載の方法。
[C18] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[C17]に記載の方法。
[C19] 前記第1遺伝子は、アルドラーゼをコードする[C1]~[C18]の何れか1に記載の方法。
[C20] 前記第1遺伝子は、タイプIのアルドラーゼをコードする[C1]~[C19]の何れか1に記載の方法。
[C21] 前記第1遺伝子は、タイプIIのアルドラーゼをコードする[C1]~[C29]の何れか1に記載の方法。
[C22] 前記第1遺伝子は、以下からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする:
(a1)2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-phosphogluconate aldolase)、
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase);
[C1]~[C21]の何れか1に記載の方法。
[C23] 前記第1遺伝子は、edaタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のedaタンパク質;dgoAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のdgoAタンパク質;yjhHタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyjhHタンパク質;yagEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyagEタンパク質;nanAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のnanAタンパク質;mhpEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のmhpEタンパク質;hpaIタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のhpaIタンパク質;bphIタンパク質、好ましくは、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質;phdJタンパク質、好ましくは、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質;garLタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のgarLタンパク質;rhmAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のrhmAタンパク質;およびgalCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[C1]~[C22]の何れか1に記載の方法。
[C24] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[C1]~[C23]の何れか1に記載の方法。
[C25] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[C1]~[C24]の何れか1に記載の方法。
[C26] 前記第4遺伝子は、前記アルドール反応により得られたα-ケト酸のα-ケト酸の還元反応を触媒する前記酵素をコードする[C1]~[C23]の何れか1に記載の方法。
[C27] 前記第4遺伝子は、デヒドロゲナーゼをコードする[C1]~[C26]の何れか1に記載の方法。
[C28] 前記第4遺伝子は、乳酸デヒドロゲナーゼをコードする[C1]~[C27]の何れか1に記載の方法。
[C29] 前記第4遺伝子は、ldhAタンパク質、好ましくは、ラクトコッカス ラクティス由来のldhAタンパク質、より好ましくは、ラクトコッカス ラクティスNBRC100676株由来のldhAタンパク質、さらに好ましくは、ラクトコッカス ラクティスNBRC100676株由来のldhAタンパク質であって、N末端から85番目のグルタミン残基がシステイン残基に置換されているタンパク質をコードする[C1]~[C28]の何れか1に記載の方法。
[C30] 前記第4遺伝子は以下からなる群より選択される:
(4-1)配列番号28に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(4-2)配列番号28において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[C1]~[C29]の何れか1に記載の方法。
[C31] 配列番号28において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する活性を有する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、N末端から85番目の残基にシステイン残基を維持しているタンパク質をコードしている[C1]~[C30]の何れか1に記載の方法。
[C32] 前記第4遺伝子は、配列番号27に記載の塩基配列からなる遺伝子である[C1]~[C31]の何れか1に記載の方法。
[C33] 前記微生物は、好気性細菌、好ましくは、コリネ型細菌、より好ましくは、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、より好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である[C1]~[C32]の何れか1に記載の方法。
[C34] 前記微生物は、前記第1および前記第4遺伝子によって形質転換された微生物である[C1]~[C33]の何れか1に記載の方法。
[C35] 前記微生物は、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase)遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の欠損株である[C1]~[C34]の何れか1に記載の方法。
[C36] 前記培養の前に、前記微生物を好気的条件下で培養することを更に含む[C1]~[C35]の何れか1に記載の方法。
[C37] 生産された2,4-ジヒドロキシカルボン酸を回収することを更に含む[C1]~[C36]の何れか1に記載の方法。
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
[D2] 前記一般式(1)及び(6)中、R102が水素である[D1]に記載の方法。
[D3] 前記一般式(1)及び(6)中、R101が、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはペンチル基であり、かつ、R102が水素である[D1]または[D2]に記載の方法。
[D4] 前記一般式(1)及び(6)中、R101およびR102が、水素である[D1]~[D3]の何れか1に記載の方法。
[D5] 生産された2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を回収することを更に含む[D1]~[D4]の何れか1に記載の方法。
[D6] 以下の遺伝子:
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、および
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物とホルムアルデヒド(これは、カルボニル化合物である)との存在下で培養して、ホモセリン、スレオニンおよび2-アミノ酪酸のうち少なくとも1つを生産する工程を含む、ホモセリン、スレオニンおよび2-アミノ酪酸のうち少なくとも1つの製造方法。
[D7] 生産されたホモセリン、スレオニンおよび2-アミノ酪酸のうち少なくとも1つを回収することを更に含む[D6]に記載の方法。
[D8] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[D1]~[D7]の何れか1に記載の方法。
[D9] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を添加した培養液である[D8]に記載の方法。
[D10] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[D9]に記載の方法。
[D11] カルボニル化合物は、前記培養液中で0.001~10(w/v)%、好ましくは、0.01~1(w/v)%の濃度になるように添加される[D9]または[D10]に記載の方法。
[D12] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[D1]~[D11]の何れか1に記載の方法。
[D13] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[D1]~[D12]の何れか1に記載の方法。
[D14] 前記糖類は、グルコースである[D1]~[D13]の何れか1に記載の方法。
[D15] 前記ピルビン酸供給化合物は、ピルビン酸である[D1]~[D14]の何れか1に記載の方法。
[D16] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[D1]~[D15]の何れか1に記載の方法。
[D17] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[D16]に記載の方法。
[D18] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[D17]に記載の方法。
[D19] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[D1]~[D18]の何れか1に記載の方法。
[D20] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物およびカルボニル化合物を含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[D19]に記載の方法。
[D21] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[D20]に記載の方法。
[D22] 前記第1遺伝子は、アルドラーゼをコードする[D1]~[D21]の何れか1に記載の方法。
[D23] 前記第1遺伝子は、タイプIのアルドラーゼをコードする[D1]~[D22]の何れか1に記載の方法。
[D24] 前記第1遺伝子は、タイプIIのアルドラーゼをコードする[D1]~[D22]の何れか1に記載の方法。
[D25] 前記第1遺伝子は、以下からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする:
(a1)2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-phosphogluconate aldolase)、
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase);
[D1]~[D24]の何れか1に記載の方法。
[D26] 前記第1遺伝子は、edaタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のedaタンパク質;dgoAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のdgoAタンパク質;yjhHタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyjhHタンパク質;yagEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyagEタンパク質;nanAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のnanAタンパク質;mhpEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のmhpEタンパク質;hpaIタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のhpaIタンパク質;bphIタンパク質、好ましくは、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質;phdJタンパク質、好ましくは、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質;garLタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のgarLタンパク質;rhmAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のrhmAタンパク質;およびgalCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[D1]~[D25]の何れか1に記載の方法。
[D27] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[D1]~[D26]の何れか1に記載の方法。
[D28] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[D1]~[D27]の何れか1に記載の方法。
[D29] 前記第5遺伝子は、前記アルドール反応により得られたα-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記酵素をコードする[D1]~[D28]の何れか1に記載の方法。
[D30] 前記第5遺伝子は、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼをコードする[D1]~[D29]の何れか1に記載の方法。
[D31] 前記第5遺伝子は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼをコードする[D1]~[D30]の何れか1に記載の方法。
[D32] 前記第5遺伝子は、以下からなる群より選択されるグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼをコードする:
(d1)ロイシンデヒドロゲナーゼ(leucine dehydrogenase、EC番号1.4.1.9)、
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase、EC番号1.4.1.20)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase、EC番号1.4.1.8および1.4.1.23);
[D1]~[D31]の何れか1に記載の方法。
[D33] 前記第5遺伝子は、leuDHタンパク質、好ましくは、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDHタンパク質、バシラス セレウス由来のleuDHタンパク質、またはジオバシラス ステアロサーモフィラス由来のleuDHタンパク質;phedhタンパク質、好ましくは、バシラス バディウス由来のphedhタンパク質;およびvaldhタンパク質、好ましくは、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldhタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[D1]~[D32]の何れか1に記載の方法。
[D34] 前記第5遺伝子は以下からなる群より選択される:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[D1]~[D33]の何れか1に記載の方法。
[D35] 前記第5遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号29に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号31に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号33に記載の塩基配列からなるvaldh遺伝子;
[D1]~[D34]の何れか1に記載の方法。
[D36] 前記微生物は、好気性細菌、好ましくは、コリネ型細菌、より好ましくは、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、より好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である[D1]~[D35]の何れか1に記載の方法。
[D37] 前記微生物は、前記第1および前記第5遺伝子によって形質転換された微生物である[D1]~[D36]の何れか1に記載の方法。
[D38] 前記微生物は、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase)遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の欠損株である[D1]~[D37]の何れか1に記載の方法。
[D39] 前記培養の前に、前記微生物を好気的条件下で培養することを更に含む[D1]~[D38]の何れか1に記載の方法。
(a)ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する酵素をコードする第1遺伝子、
(e)α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する酵素をコードする第5遺伝子、および
(f)2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する酵素をコードする第6遺伝子
を含む微生物を、ピルビン酸および糖類から選ばれるピルビン酸供給化合物と、メチルメルカプタンと、
下記一般式(1):
R101C(O)R102
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるカルボニル化合物と
の存在下で培養して、
下記一般式(7):
R101C(R102)(SCH3)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(7)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(1)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸の製造方法。
[E2] 前記一般式(1)及び(7)中、R102が水素である[E1]に記載の方法。
[E3] 前記一般式(1)及び(7)中、R101が、水素、メチル基、エチル基、プロピル基またはペンチル基であり、かつ、R102が水素である[E1]または[E2]に記載の方法。
[E4] 前記一般式(1)及び(7)中、R101およびR102が、水素である[E1]~[E3]の何れか1に記載の方法。
[E5] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物と前記カルボニル化合物とメチルメルカプタンとを含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[E1]~[E4]の何れか1に記載の方法。
[E6] 前記培養液は、前記ピルビン酸供給化合物と前記カルボニル化合物とメチルメルカプタンとを添加した培養液である[E5]に記載の方法。
[E7] 前記ピルビン酸供給化合物は、前記培養液中で0.1~40(w/v)%、好ましくは、1~20(w/v)%の濃度になるように添加される[E6]に記載の方法。
[E8] カルボニル化合物は、前記培養液中で0.001~10(w/v)%、好ましくは、0.01~1(w/v)%の濃度になるように添加される[E6]または[E7]に記載の方法。
[E9] メチルメルカプタンは、前記培養液中で1mM~1M、好ましくは、10mM~300mMの濃度になるように添加される[E6]~[E8]の何れか1に記載の方法。
[E10] 前記ピルビン酸供給化合物は、糖類である[E1]~[E9]の何れか1に記載の方法。
[E11] 前記糖類は、単糖、例えばフルクトースもしくはグルコース;二糖、例えばスクロース;多糖、例えば構成単糖としてグルコースを含む多糖;または植物(例えば非可食農産廃棄物またはエネルギー作物)を糖化酵素で処理することにより得られた糖化液である[E1]~[E10]の何れか1に記載の方法。
[E12] 前記糖類は、グルコースである[E1]~[E11]の何れか1に記載の方法。
[E13] 前記ピルビン酸供給化合物は、ピルビン酸である[E1]~[E9]の何れか1に記載の方法。
[E14] 前記培養が、嫌気的条件または微好気的条件の下で行われる[E1]~[E13]の何れか1に記載の方法。
[E15] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物と前記カルボニル化合物とメチルメルカプタンとを含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[E17]に記載の方法。
[E16] 前記嫌気的条件または前記微好気的条件は、前記培養液中の溶存酸素濃度が0~2ppmの範囲内にあり、好ましくは0~1ppmの範囲内にあり、より好ましくは0~0.5ppmの範囲内にある条件である[E15]に記載の方法。
[E17] 前記培養が、前記微生物を培養液中に高密度に懸濁させた状態で行われる[E1]~[E16]の何れか1に記載の方法。
[E18] 前記培養が、前記ピルビン酸供給化合物と前記カルボニル化合物とメチルメルカプタンとを含む培養液中で前記微生物を培養することにより行われる[E17]に記載の方法。
[E19] 前記微生物を前記培養液中に高密度に懸濁させた前記状態は、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が1~50(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態、好ましくは、前記微生物を前記培養液中に、前記微生物の湿菌体重量%が3~30(w/v)%の範囲内になるように懸濁させた状態である[E18]に記載の方法。
[E20] 前記第1遺伝子は、アルドラーゼをコードする[E1]~[E19]の何れか1に記載の方法。
[E21] 前記第1遺伝子は、タイプIのアルドラーゼをコードする[E1]~[E20]の何れか1に記載の方法。
[E22] 前記第1遺伝子は、タイプIIのアルドラーゼをコードする[E1]~[E20]の何れか1に記載の方法。
[E23] 前記第1遺伝子は、以下からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする:
(a1)2-デヒドロ-3-デオキシ-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-phosphogluconate aldolase)、
(a2)2-デヒドロ-3-デオキシ-6-ホスホグルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-6-phosphogluconate aldolase)、
(a3)4-ヒドロキシ-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoglutarate aldolase)、
(a4)(4S)-4-ヒドロキシル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ((4S)-4-hydroxyl-2-oxoglutarate aldolase)、
(a5)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-ペントネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-pentonate aldolase)、
(a6)2-デヒドロ-3-デオキシ-D-グルコネートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxy-D-gluconate aldolase)、
(a7)3-デオキシ-D-マンノ-オクツロソネートアルドラーゼ(3-deoxy-D-manno-octulosonate aldolase)、
(a8)4-ヒドロキシル-2-オキソバレレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-2-oxovalerate aldolase)、
(a9)4-(2-カルボキシフェニル)-2-オキソブ-3-エノエートアルドラーゼ(4-(2-carboxyphenyl)-2-oxobut-3-enoate aldolase)、
(a10)4-ヒドロキシ-2-オキソヘプタンジオエートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxoheptanedioate aldolase)、
(a11)2-デヒドロ-3-デオキシグルカレートアルドラーゼ(2-dehydro-3-deoxyglucarate aldolase)、
(a12)2-ケト-3-デオキシ-L-ラムノネートアルドラーゼ(2-keto-3-deoxy-L-rhamnonate aldolase)、
(a13)4-ヒドロキシル-4-メチル-2-オキソグルタレートアルドラーゼ(4-hydroxyl-4-methyl-2-oxoglutarate aldolase)、および
(a14)4-ヒドロキシ-2-オキソヘキサノネートアルドラーゼ(4-hydroxy-2-oxohexanonate aldolase);
[E1]~[E22]の何れか1に記載の方法。
[E24] 前記第1遺伝子は、edaタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のedaタンパク質;dgoAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のdgoAタンパク質;yjhHタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyjhHタンパク質;yagEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のyagEタンパク質;nanAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のnanAタンパク質;mhpEタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のmhpEタンパク質;hpaIタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のhpaIタンパク質;bphIタンパク質、好ましくは、バークホルデリア ゼノボランス由来のbphIタンパク質;phdJタンパク質、好ましくは、ノカルディオイデス属菌由来のphdJタンパク質;garLタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のgarLタンパク質;rhmAタンパク質、好ましくは、大腸菌由来のrhmAタンパク質;およびgalCタンパク質、好ましくは、シュードモナス プチダ由来のgalCタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[E1]~[E23]の何れか1に記載の方法。
[E25] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[E1]~[E24]の何れか1に記載の方法。
[E26] 前記第1遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[E1]~[E25]の何れか1に記載の方法。
[E27] 前記第5遺伝子は、前記アルドール反応により得られたα-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記酵素をコードする[E1]~[E26]の何れか1に記載の方法。
[E28] 前記第5遺伝子は、グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼをコードする[E1]~[E27]の何れか1に記載の方法。
[E29] 前記第5遺伝子は、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼをコードする[E1]~[E28]の何れか1に記載の方法。
[E30] 前記第5遺伝子は、以下からなる群より選択されるグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼをコードする:
(d1)ロイシンデヒドロゲナーゼ(leucine dehydrogenase、EC番号1.4.1.9)、
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase、EC番号1.4.1.20)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase、EC番号1.4.1.8および1.4.1.23);
[E1]~[E29]の何れか1に記載の方法。
[E31] 前記第5遺伝子は、leuDHタンパク質、好ましくは、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDHタンパク質、バシラス セレウス由来のleuDHタンパク質、またはジオバシラス ステアロサーモフィラス由来のleuDHタンパク質;phedhタンパク質、好ましくは、バシラス バディウス由来のphedhタンパク質;およびvaldhタンパク質、好ましくは、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldhタンパク質;からなる群より選択されるアルドラーゼをコードする[E1]~[E30]の何れか1に記載の方法。
[E32] 前記第5遺伝子は以下からなる群より選択される:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[E1]~[E31]の何れか1に記載の方法。
[E33] 前記第5遺伝子は以下からなる群より選択される:
配列番号30に記載の塩基配列からなる遺伝子、
配列番号32に記載の塩基配列からなる遺伝子、および
配列番号34に記載の塩基配列からなる遺伝子;
[E1]~[E32]の何れか1に記載の方法。
[E34] 前記第6遺伝子は、トランススルフレーション酵素をコードする[B1]~[B33]の何れか1に記載の方法。
[E35] 前記第6遺伝子はシスタチオニンγ-シンターゼ(Cystathionine γ-synthase)をコードする[E1]~[E34]の何れか1に記載の方法。
[E36] 前記第6遺伝子は、CGS1タンパク質、好ましくは、シロイヌナズナ由来のCGS1タンパク質、より好ましくは、シロイヌナズナ由来のCGS1成熟タンパク質をコードする[E1]~[E35]の何れか1に記載の方法。
[E37] 前記第6遺伝子は以下からなる群より選択される:
(6-1)配列番号36に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(6-2)配列番号36において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
[E1]~[E36]の何れか1に記載の方法。
[E38] 第6遺伝子は、配列番号35に記載の塩基配列からなる遺伝子である[E1]~[E37]の何れか1に記載の方法。
[E39] 前記微生物は、好気性細菌、好ましくは、コリネ型細菌、より好ましくは、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、より好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)である[E1]~[E38]の何れか1に記載の方法。
[E40] 前記微生物は、前記第1、前記第5および前記第6遺伝子によって形質転換された微生物である[E1]~[E39]の何れか1に記載の方法。
[E41] 前記微生物は、ラクテート(乳酸)デヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenase)遺伝子、フォスフォエノールピルベートカルボキシラーゼ(phosphoenolpyrvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸カルボキシラーゼ(pyruvate carboxylase)遺伝子、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(pyruvate dehydrogenase)遺伝子、グルタミン酸-ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(glutamate-pyruvate aminotransferase)遺伝子、アセトラクテートシンターゼ(acetolactate synthase)遺伝子、N-スクシニルジアミノピメレート(N-succinyldiaminopimelate aminotransferase)遺伝子、S-(ヒドロキシメチル)ミコチオールデヒドロゲナーゼ(S-(hydroxymethyl)mycothiol dehydrogenase)遺伝子、およびアセトアルデヒドデヒドロゲナーゼ(acetaldehyde dehydrogenase)遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の欠損株である[E1]~[E43]の何れか1に記載の方法。
[E42] 前記培養の前に、前記微生物を好気的条件下で培養することを更に含む[E1]~[E41]の何れか1に記載の方法。
[E43] 生産された2-アミノ-4-メチルチオカルボン酸を回収することを更に含む[E1]~[E42]の何れか1に記載の方法。
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表されるα-ケト酸と窒素源と還元剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(6):
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(上記一般式(6)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(2)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸を生産する工程を含む、2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸の製造方法。
[F2] 前記一般式(2)及び(6)中、R102が水素である[F1]に記載の方法。
[F3] 前記一般式(2)及び(6)中、R101およびR102が水素である[F1]または[F2]に記載の方法。
[F4] 前記反応が、前記一般式(2)により表される前記α-ケト酸と前記窒素源と前記還元剤とグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼとを含む反応液中で行われる[F1]~[F3]の何れか1に記載の方法。
[F5] 前記反応液は、前記一般式(2)により表される前記α-ケト酸と前記窒素源と前記還元剤とグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼとを添加した反応液である[F4]に記載の方法。
[F6] 前記一般式(2)により表される前記α-ケト酸は、前記反応液中で0.1mM~1M、好ましくは、1mM~300mMの濃度になるように添加される[F5]に記載の方法。
[F7] 前記窒素源は、前記反応液中で0.1mM~1M、好ましくは、1mM~300mMの濃度になるように添加される[F5]または[F6]に記載の方法。
[F8] 前記還元剤は、前記反応液中で0.01mM~100mM、好ましくは、0.1mM~10mMの濃度になるように添加される[F5]~[F7]の何れか1に記載の方法。
[F9] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、前記反応液中で0.01ug/mL~1mg/mL、好ましくは、0.1~100ug/mLの濃度になるように添加される[F5]~[F8]の何れか1に記載の方法。
[F10] 前記窒素源は、アンモニウム塩である[F1]~[F19]の何れか1に記載の方法。
[F11] 前記窒素源は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1つのアンモニウム塩である[F1]~[F10]の何れか1に記載の方法。
[F12] 前記還元剤は、NADHおよびNADPHからなる群より選択される少なくとも1つである[F1]~[F11]の何れか1に記載の方法。
[F13] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼである[F1]~[F12]の何れか1に記載の方法。
[F14] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは以下からなる群より選択される:、
(d1)ロイシンデヒドロゲナーゼ(leucine dehydrogenase)、
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase);
[F1]~[F13]の何れか1に記載の方法。
[F15] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、leuDHタンパク質、好ましくは、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDHタンパク質、バシラス セレウス由来のleuDHタンパク質またはジオバシラス ステアロサーモフィラス由来のleuDHタンパク質;phedhタンパク質、好ましくは、バシラス バディウス由来のphedhタンパク質;およびvaldhタンパク質、好ましくは、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldhタンパク質;からなる群より選択されるデヒドロゲナーゼである[F1]~[F14]の何れか1に記載の方法。
[F16] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは以下からなる群より選択される:
(5’-1) 配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-2) 配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-3) 配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-4) 配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-5) 配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、および
(5’-6) 配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
[F1]~[F15]の何れか1に記載の方法。
R101C(R102)(OH)CH2CH(NH2)COOH
(ここでR101およびR102は、互いに独立に、水素、または1~5個の炭素原子を有するアルキル基である)
により表される2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸と酸化剤とを、
グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼの存在下で反応させて、
下記一般式(2):
R101C(R102)(OH)CH2COCOOH
(上記一般式(2)におけるR101およびR102は、それぞれ上記一般式(6)におけるR101およびR102と同じ基である)
により表されるα-ケト酸を生産する工程を含む、α-ケト酸の製造方法。
[G2] 前記一般式(6)及び(2)中、R102が水素である[G1]に記載の方法。
[G3] 前記一般式(6)及び(2)中、R101およびR102が水素である[G1]または[G2]に記載の方法。
[G4] 前記反応が、前記一般式(6)により表される前記2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸と前記酸化剤とグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼとを含む反応液中で行われる[G1]~[G3]の何れか1に記載の方法。
[G5] 前記反応液は、前記一般式(6)により表される前記2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸と前記酸化剤とグルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼとを添加した反応液である[G4]に記載の方法。
[G6] 前記一般式(6)により表される前記2-アミノ-4-ヒドロキシカルボン酸は、前記反応液中で0.1mM~1M、好ましくは、1mM~300mMの濃度になるように添加される[G5]に記載の方法。
[G7] 前記酸化剤は、前記反応液中で0.01mM~100mM、好ましくは、0.1mM~10mMの濃度になるように添加される[G5]または[G6]に記載の方法。
[G8] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、前記反応液中で0.01ug/mL~1mg/mL、好ましくは、0.1~100ug/mLの濃度になるように添加される[G5]~[G7]の何れか1に記載の方法。
[G9] 前記酸化剤は、NAD+およびNADP+からなる群より選択される少なくとも1つである[G1]~[G8]の何れか1に記載の方法。
[G10] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ、ロイシンデヒドロゲナーゼおよびバリンデヒドロゲナーゼからなる群より選択される少なくとも一つのデヒドロゲナーゼである[G1]~[G9]の何れか1に記載の方法。
[G11] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは以下からなる群より選択される:、
(d1)ロイシンデヒドロゲナーゼ(leucine dehydrogenase)、
(d2)フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(phenylalanine dehydrogenase)、および
(d3)バリンデヒドロゲナーゼ(valine dehydrogenase);
[G1]~[G10]の何れか1に記載の方法。
[G12] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは、leuDHタンパク質、好ましくは、リシニバシラス スフェリカス由来のleuDHタンパク質、バシラス セレウス由来のleuDHタンパク質またはジオバシラス ステアロサーモフィラス由来のleuDHタンパク質;phedhタンパク質、好ましくは、バシラス バディウス由来のphedhタンパク質;およびvaldhタンパク質、好ましくは、ストレプトミセス フラジエ由来のvaldhタンパク質;からなる群より選択されるデヒドロゲナーゼである[G1]~[G11]の何れか1に記載の方法。
[G13] グルタミン酸/フェニルアラニン/ロイシン/バリンデヒドロゲナーゼは以下からなる群より選択される:
(5’-1) 配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-2) 配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-3) 配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、
(5’-4) 配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質、
(5’-5) 配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質、および
(5’-6) 配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質;
[G1]~[G12]の何れか1に記載の方法。
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
を含むコリネ型細菌。
[H2] 以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-6)配列番号6において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
(1-7)配列番号8に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-8)配列番号8において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-9)配列番号10に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-10)配列番号10において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-11)配列番号12に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-12)配列番号12において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-13)配列番号14に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-14)配列番号14において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-15)配列番号16に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-16)配列番号16において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-17)配列番号18に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-18)配列番号18において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-19)配列番号20に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-20)配列番号20において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-21)配列番号22に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-22)配列番号22において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
を含むコリネ型細菌。
[H3] 配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号1に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]または[H2]に記載のコリネ型細菌。
[H4] 配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号3に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H3]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H5] 配列番号6に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号5に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H4]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H6] 配列番号8に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号7に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H5]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H7] 配列番号10に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号9に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H6]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H8] 配列番号12に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号11に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H7]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H9] 配列番号14に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号13に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H8]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H10] 配列番号16に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号15に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H9]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H11] 配列番号18に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号17に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H10]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H12] 配列番号20に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号19に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H11]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H13] 配列番号22に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号21に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H1]~[H12]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H14] 前記コリネ型細菌は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、より好ましくは、受託番号がNITE BP-02780、NITE BP-02781、NITE BP-02782、NITE BP-02783またはNITE BP-02784であるコリネ型細菌である[H1]~[H13]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H15] 前記コリネ型細菌は、前記第1遺伝子によって形質転換されたコリネ型細菌である[H1]~[H14]の何れか1に記載の方法。
[H16] 以下からなる群より選択される第2遺伝子:
(2-1)配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(2-2)配列番号24において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第3遺伝子:
(3-1)配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(3-2)配列番号26において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を更に含む[H1]~[H15]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H17] 配列番号24に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号23に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H16]に記載のコリネ型細菌。
[H18] 配列番号26に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号25に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H16]または[H17]に記載のコリネ型細菌。
[H19] 前記コリネ型細菌は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、より好ましくは、受託番号がNITE BP-02780またはNITE BP-02781であるコリネ型細菌である[H16]~[H18]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H20] 前記コリネ型細菌は、前記第1、前記第2および前記第3遺伝子によって形質転換されたコリネ型細菌である[H16]~[H19]の何れか1に記載の方法。
[H21] 以下からなる群より選択される第4遺伝子:
(4-1)配列番号28に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(4-2)配列番号28において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を更に含む[H1]~[H20]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H21] 配列番号28に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号27に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H20]に記載のコリネ型細菌。
[H22] 前記コリネ型細菌は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、より好ましくは、受託番号がNITE BP-02782であるコリネ型細菌である[H20]または[H21]に記載のコリネ型細菌。
[H23] 前記コリネ型細菌は、前記第1および前記第4遺伝子によって形質転換されたコリネ型細菌である[H20]~[H22]の何れか1に記載の方法。
[H24] 以下からなる群より選択される第5遺伝子:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を更に含む[H1]~[H23]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H25] 配列番号30に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号29に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H24]に記載のコリネ型細菌。
[H26] 配列番号32に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号31に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H24]または[H25]に記載のコリネ型細菌。
[H27] 配列番号34に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号33に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H24]~[H26]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H28] 前記コリネ型細菌は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、より好ましくは、受託番号がNITE BP-02783であるコリネ型細菌である[H24]~[H27]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H29] 前記コリネ型細菌は、前記第1および前記第5遺伝子によって形質転換されたコリネ型細菌である[H24]~[H28]の何れか1に記載の方法。
[H30] 以下からなる群より選択される第5遺伝子:
(5-1)配列番号30に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-2)配列番号30において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-3)配列番号32に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-4)配列番号32において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(5-5)配列番号34に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(5-6)配列番号34において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;および
以下からなる群より選択される第6遺伝子:
(6-1)配列番号36に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(6-2)配列番号36において1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を更に含む[H1]~[H29]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H31] 配列番号30に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号29に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H30]に記載のコリネ型細菌。
[H32] 配列番号32に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号31に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H30]または[H31]に記載のコリネ型細菌。
[H33] 配列番号34に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、α-ケト酸の還元的アミノ化反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号33に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H30]~[H32]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H34] 配列番号36に記載のアミノ酸配列からなる前記タンパク質であって、2-アミノ-4-ホスホノオキシカルボン酸が有するリン酸基をメチルメルカプタンが有するメチルメルカプト基で置換する反応を触媒する前記タンパク質をコードする前記遺伝子は、配列番号35に記載の塩基配列からなる遺伝子である[H30]~[H33]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H35] 前記コリネ型細菌は、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)菌、好ましくは、コリネバクテリウム グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、より好ましくは、受託番号がNITE BP-02784であるコリネ型細菌である[H30]~[H34]の何れか1に記載のコリネ型細菌。
[H36] 前記コリネ型細菌は、前記第1および前記第5遺伝子によって形質転換されたコリネ型細菌である[H30]~[H35]の何れか1に記載の方法。
(1-1)培地
試薬は特に指示がなければ富士フィルム和光純薬株式会社より購入した。
尿素2.0g、硫酸アンモニウム7.0g、リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、酵母エキス(ディフコ社製)2.0g、カサミノ酸 ビタミンアッセイ(ディフコ社製)7.0g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mg、D(+)-ビオチン0.20mg、塩酸チアミン0.20mgを0.92Lの水に溶解し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整した。これを121℃にて20分間オートクレーブ滅菌し、室温まで冷却した後に、オートクレーブ滅菌済みの50%(w/v)のグルコース水溶液80mLを加えることにより調製された液体培地。
尿素2.0g、硫酸アンモニウム7.0g、リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、酵母エキス(ディフコ社製)2.0g、カサミノ酸 ビタミンアッセイ(ディフコ社製)7.0g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mg、D(+)-ビオチン0.20mg、塩酸チアミン0.20mg、寒天15gを0.92Lの水に溶解、懸濁し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整調製した。これを121℃にて20分間オートクレーブ滅菌し、50℃まで冷却した後に、オートクレーブ滅菌済みの50%(w/v)のグルコース水溶液80mLを加え、ペトリ皿に分注後、冷却固化することで調製された固体培地。
尿素2.0g、硫酸アンモニウム7.0g、リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、酵母エキス(ディフコ社製)2.0g、カサミノ酸 ビタミンアッセイ(ディフコ社製)7.0g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mg、D(+)-ビオチン0.20mg、塩酸チアミン0.20mg、4-モルホリノプロパンスルホン酸21gを0.92Lの水に溶解し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整した。これを121℃にて20分間オートクレーブ滅菌し、室温まで冷却した後に、オートクレーブ滅菌済みの50%(w/v)のグルコース水溶液80mLを加えることにより調製された液体培地。
バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5.0g、塩化ナトリウム10gを1Lの水に溶解し、pHを5M水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.0に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調製された液体培地。
バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5.0g、塩化ナトリウム10g、寒天15gを1Lの水に溶解、懸濁し、pHを5M水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.0に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌し、50℃まで冷却した後に、ペトリ皿に分注し、冷却固化することで調製された固体培地。
バクトトリプトン(ディフコ社製)10g、酵母エキス(ディフコ社製)5.0g、塩化ナトリウム10g、寒天15gを0.5Lの水に溶解、懸濁し、pHを5M水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.0に調整した。これを121℃にて20分間オートクレーブ滅菌し、50℃まで冷却した後に、オートクレーブ滅菌済みの20%(w/v)のスクロース水溶液0.5Lを加え、ペトリ皿に分注後、冷却固化することで調製された固体培地。
ブレインハートインフュージョン(ディフコ社製)36g、ソルビトール91gを1Lの水に溶解し、pHを5M水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.0に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調製された液体培地。
ブレインハートインフュージョン(ディフコ社製)36g、グリシン8.0g、イソニアジド1.3g、Tween80 3mL、ソルビトール91gを1Lの水に溶解し、pHを5M水酸化ナトリウム水溶液を用いて7.0に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調製された液体培地。
(TEバッファー)
トリスヒドロキシメチルアミノメタン1.2g、エチレンジアミン-N,N,N’,N’-四酢酸二ナトリウム塩二水和物0.37gを1Lの水に溶解し、pHを6M塩酸を用いて8.0に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調製された緩衝液。
トリスヒドロキシメチルアミノメタン0.12g、グリセロール10gを1Lの水に溶解し、pHを6M塩酸を用いて7.5に調整した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調製された緩衝液。
グリセロール100gを1Lの水に溶解した後、121℃にて20分間オートクレーブ滅菌することで調整された水溶液。
リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mgを1.0Lの水に溶解し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整することでえられた緩衝液。
リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mg、4-モルホリノプロパンスルホン酸21gを1.0Lの水に溶解し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整することでえられた緩衝液。
硫酸アンモニウム7.0g、リン酸二水素カリウム0.50g、リン酸水素二カリウム0.50g、硫酸マグネシウム七水和物0.50g、硫酸鉄(II)七水和物6.0mg、硫酸マンガン(II)一水和物4.2mgを1.0Lの水に溶解し、pHを5M水酸化カリウム水溶液を用いて7.0に調整することでえられた緩衝液。
(アガロース・ゲル電気泳動後のDNA断片の抽出、精製)
NucleoSpin(登録商標) Gel and PCR Clean-up(マッハライ・ナーゲル社製)をその指示書通りに用いてDNA断片の抽出、精製を行った。
NucleoSpin(登録商標) Plasmid EasyPure(マッハライ・ナーゲル社製)をその指示書通りに用いてプラスミドの抽出、精製を行った。
以下のいずれかのDNAポリメラーゼおよびそれに付属する試薬を用いて、その指示書に従いPCRを行った:PrimeSTAR(登録商標) HS DNA Polymerase(タカラバイオ社製)、PrimeSTAR(登録商標) Max DNA Polymerase(タカラバイオ社製)、Tks GflexTM DNA Polymerase(タカラバイオ社製)。
島津製作所製の以下の機器より構成される有機酸分析システムを用いた。システムコントローラ:CBM-20A、送液ユニット:LC-20AB、オンライン脱気ユニット:DGU-20A3R、オートインジェクタ:SIL-20AC、カラムオーブン:CTO-20AC、フォトダイオードアレイ検出器:SPD-M20A。
ガードカラム:TSKgel OApak-P(東ソー社製)
分析カラム:TSKgel OApak-A(東ソー社製)
カラムオーブン温度:40℃
移動相:0.75mM硫酸
流速:1.0mL/min。
島津製作所製の以下の機器より構成される糖分析システムを用いた。システムコントローラ:CBM-20A、送液ユニット:LC-20AB、オンライン脱気ユニット:DGU-20A3R、オートインジェクタ:SIL-20AC、カラムオーブン:CTO-20AC、屈折率検出器:RID-10A。
前処理:脱塩カートリッジ(バイオラッド社製)
分析カラム:アミネックス HPX-87P(バイオラッド社製)
カラムオーブン温度:85℃
移動相:水
流速:0.6mL/min。
島津製作所製の以下の機器より構成されるアミノ酸分析システムを用いた。システムコントローラ:CBM-20A、送液ユニット:LC-20AB1台、LC-20AD2台、流路切り替えバルブ:FCV-11AL、オンライン脱気ユニット:DGU-20A3R、オートインジェクタ:SIL-20AC、カラムオーブン:CTO-20AC、蛍光検出器:RF-20AXs。
GCMSはガスクロマトグラム四重極型質量分析計(7890B GC/5977A MSD, アジレントテクノロジー社製)および多機能オートサンプラー(MPS2-xt, ゲステル社製)を用い、以下の条件で行った。
<加熱脱着サンプリング条件>
加熱条件:50 ℃(0.5min)→ 50 ℃ / min → 300 ℃(10 min)
トラップ温度:-100℃ → 12 ℃ / s → 300 ℃
<ガスクロマトグラフ条件>
分離カラム:DB-5ht[30 m × 0.25 mmID , 0.10μm, アジレントテクノロジー社製]
昇温条件度:40 ℃(5 min)→ 10 ℃ / min → 320 ℃(12 min)
<質量分析条件>
イオン化法:電子イオン化(EI) 測定質量範囲:m/z = 29-550
入手元の指示書通りに液体培養した微生物を遠心分離により回収し、-80℃で凍結した。菌体ペレットを室温で解凍し、10mg/mLリゾチーム水溶液537μLを加えて37℃で1時間振盪した。次に0.5M EDTA水溶液30μL、10%SDS水溶液30μL、20mg/mLプロテイナーゼK水溶液3μLを加えて、37℃で1時間振盪した。その後さらに5M塩化ナトリウム水溶液100μLと10%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水溶液(0.7M塩化ナトリウム中)80μLを加えて、65℃で10分間加熱した。室温まで冷却した後、クロロホルム-イソアミルアルコール(24:1)780μL加えて、穏やかに混和した。15000xg、4℃にて5分間遠心分離して、水層を600μL回収した。これにフェノール-クロロホルム-イソアミルアルコール(25:24:1)600μLを加えて、穏やかに混和した。15000xg、4℃にて5分間遠心分離して、水層を500μL回収した。これにイソプロパノール300μLを加えて、15000xg、4℃にて5分間遠心分離した後、上清を取り除いた。沈殿物として得られたゲノムDNAを70%エタノール500μLを加えて洗浄し、15000xg、4℃にて5分間遠心分離した。この洗浄を2度繰り返し、室温にて乾燥させた後、得られたゲノムDNAをTEバッファー100μLに溶解した。
形質転換を行うコリネバクテリウム グルタミカムATCC13032由来株のグリセロールストックをA寒天培地に無菌条件下で接種し、33℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体を10mLのA培地に接種し、33℃にて振盪培養を行い種培養液とした。この種培養液を濁度が0.2となるように500mLフラスコ中に用意された100mLのBHIS培地に接種した。33℃にて振盪を行い濁度が0.5-0.7になるまで培養した。この培養液を4℃、5500xgにて20分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。回収した菌体を10mLのTGバッファーで洗浄し、4℃、5500xgにて5分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。この洗浄を2度行った後、10mLの10%グリセロール水溶液で洗浄し、4℃、5500xgにて5分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。得られた菌体ペレットを1mLの10%グリセロール水溶液に懸濁させ、150μLずつ滅菌済みの1.5mLチューブに分注後、液体窒素を用いて凍結し、コンピテントセルとして-80℃で保存した。
目的のDNA配列を増幅できるプライマーの組み合わせを用いてTaKaRa Ex Taq(登録商標)(タカラバイオ社製)の指示書通りに鋳型DNA以外の試薬を混合した。これに寒天培地に生じた菌株のコロニーを少量懸濁させ、これに内在するDNAを鋳型とし、指示書通りにPCRを行った。PCR産物をアガロース・ゲル電気泳動により分析し、目的のプラスミドを保持しいていること、または、ゲノム上の該当するDNA配列が欠失または置換していることを確認した。
大腸菌およびコリネバクテリウム グルタミカムの培養液の濁度は、Ultrospec 8000(GEヘルスケア社製)を用いて610nmの波長で測定を行った。
プライマーDNA、菌体およびプラスミドの詳細は、以下の表37~表67に記載した。
(2-1)遺伝子欠失編
2-1-(1)遺伝子破壊用プラスミドの構築
pNIC28-Bsa4(Source BioScience社製)を鋳型とし、GEP007(配列番号37)とGEP008(配列番号38)で示される塩基配列のDNAを用いて、Bacillus subtilis由来sacB遺伝子を含むDNA断片〔Mol.Microbiol., 6, 1195(1992)〕をPCR法により増幅した。このPCR産物をBamHIおよびPstIで処理し、アガロース・ゲル電気泳動後に、DNA断片の抽出、精製を行った。また、カナマイシンに対する耐性を付与する遺伝子を有するプラスミドpHSG299(タカラバイオ社製)をBamHIおよびPstIで処理し、アガロース・ゲル電気泳動後に、DNA断片の抽出、精製を行った。これら2つのDNA断片をDNA Ligation Kit< Mighty Mix >(タカラバイオ社製)をその指示書通りに用いて連結し、プラスミドpGE015を得た。
コリネバクテリウム グルタミカムATCC13032株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターからNBRC12168株として入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。
pGE020を用い、電気穿孔法によりコリネバクテリウム グルタミカムATCC13032株を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンを含むA培地上でカナマイシン耐性株を選択した。次に、得られたカナマイシン耐性株をSuc寒天培地上に塗布し、33℃で培養した。生育したコロニーをさらにA培地で培養し、コロニーPCRによりppc遺伝子が欠失している株を選択した。これをGES007と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP169(配列番号45)とGEP170(配列番号46)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP215(配列番号47)とGEP216(配列番号48)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE033とした。
pGE033を用い、電気穿孔法によりGES007を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES048と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP615(配列番号49)とGEP616(配列番号50)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP617(配列番号51)とGEP618(配列番号52)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE177とした。
pGE177を用い、電気穿孔法によりGES048を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES385と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP406(配列番号53)とGEP407(配列番号54)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP698(配列番号55)とGEP409(配列番号56)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE191とした。
pGE191を用い、電気穿孔法によりGES385を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES388と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP810(配列番号57)とGEP811(配列番号58)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP812(配列番号59)とGEP813(配列番号60)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE210とした。
pGE210を用い、電気穿孔法によりGES388を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES393と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP956(配列番号61)とGEP957(配列番号62)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP958(配列番号63)とGEP959(配列番号64)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE228とした。
pGE228を用い、電気穿孔法によりGES393を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES405と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP1132(配列番号65)とGEP1133(配列番号66)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP1134(配列番号67)とGEP1135(配列番号68)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE015をEcoRIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE253とした。
pGE253を用い、電気穿孔法によりGES405を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES435と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2606(配列番号69)とGEP2607(配列番号70)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP2608(配列番号71)とGEP2609(配列番号72)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE209をKpnIとBamHIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE1171とした。
pGE1171を用い、電気穿孔法によりGES048を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES1041と命名した。
ATCC13032株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2610(配列番号75)とGEP2611(配列番号76)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP2612(配列番号77)とGEP2613(配列番号78)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法により2種類のPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE209をKpnIとBamHIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの3つのDNA断片を混和し、pGE020作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE1172とした。
pGE1172を用い、電気穿孔法によりGES1041を形質転換し、GES007作成時と同様な操作により選択した株をGES1070と命名した。
2-2-(1)pGE409の構築
pHSG298(タカラバイオ社製)を鋳型とし、GEP433(配列番号81)とGEP434(配列番号82)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP437(配列番号83)とGEP438(配列番号84)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらはそれぞれカナマイシン耐性遺伝子および大腸菌用複製起点pUCoriを含むDNA断片である。
ECOSTM Competent E. coli BL21(DE3)(ニッポンジーン社製)を購入し、これをLB寒天培地に無菌条件下で接種し、37℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体を10mLのLB培地に接種して生育した菌体を回収し、ゲノムDNA抽出を行った。BL21(DE3)株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2268(配列番号91)とGEP2269(配列番号92)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これは大腸菌BL21(DE3)株hpaI遺伝子(Ec_hpaI)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、In-Fusion(登録商標) HD Cloning Kitをその指示書通りに用いてDNA断片の結合反応を行った。反応産物を用い、E.coli DH5α Competent Cells(タカラバイオ社製)をその指示書通りに形質転換した。目的の形質転換株は、100μg/mlのアンピシリンを含むLB寒天培地上で培養することで選択した。この形質転換株を100μg/mlのアンピシリンを含むLB培地で培養し、得られた培養懸濁液を用いてプラスミド抽出を行った。こうしてEc_hpaIがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1031を得た。
pGE1143を鋳型とし、GEP2639(配列番号97)とGEP2640(配列番号98)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはPgapA-hpaI-TrrnBを含むDNA断片である。さらに、pGE1172をXhoIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1185作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE1186とした。
pGE1186を用い、電気穿孔法によりGES1041を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンを含むA培地上でカナマイシン耐性株を選択した。次に、得られたカナマイシン耐性株をSuc寒天培地上に塗布し、33℃で培養した。生育したコロニーをさらにA培地で培養し、コロニーPCRによりald遺伝子がPgapA-hpaI-TrrnBに置換している株を選択した。これをGES1052と命名した。さらに、pGE1185を用い、電気穿孔法によりGES1052を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりadhE遺伝子の位置にPgapA-hpaI-TrrnBが挿入した株を選択した。これをGES1063と命名した。
E. coli DH5α Competent Cells(タカラバイオ社製)を購入し、これをLB寒天培地に無菌条件下で接種し、37℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体を10mLのLB培地に接種して生育した菌体を回収し、ゲノムDNA抽出を行った。DH5α株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2765(配列番号99)とGEP2766(配列番号100)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これは大腸菌DH5α株rhmA遺伝子(Ec_rhmA)を含むDNA断片である。さらに、pGE409をNdeIとBamHIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、GE1143作成時と同様な操作によりEc_rhmAがpGE409へとクローニングされたプラスミドpGE1258を得た。
pGE1258を鋳型とし、GEP2639(配列番号97)とGEP2640(配列番号98)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE1221をXhoIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはPgapA-rhmA-TrrnBを含むDNA断片である。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1185作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE1302とした。
pGE1302を用い、電気穿孔法によりGES1041を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりald遺伝子がPgapA-rhmA-TrrnBに置換している株を選択した。これをGES1215と命名した。さらに、pGE1304を用い、電気穿孔法によりGES1215を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりadhE遺伝子の位置にPgapA-rhmA-TrrnBが挿入した株を選択した。これをGES1242と命名した。
E. coli DH5α Competent Cells(タカラバイオ社製)を購入し、これをLB寒天培地に無菌条件下で接種し、37℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体を10mLのLB培地に接種して生育した菌体を回収し、ゲノムDNA抽出を行った。DH5α株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2722(配列番号101)とGEP2723(配列番号102)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これは大腸菌DH5α株nanA遺伝子(Ec_nanA)を含むDNA断片である。さらに、pGE409をNdeIとBamHIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1143作成時と同様な操作によりEc_nanAがpGE409へとクローニングされたプラスミドpGE1226を得た。
pGE1226を鋳型とし、GEP2639(配列番号97)とGEP2640(配列番号98)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。さらに、pGE1221をXhoIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはPgapA-nanA-TrrnBを含むDNA断片である。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1185作成時と同様な操作により得られたプラスミドをpGE1273とした。
pGE1273を用い、電気穿孔法によりGES1041を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりald遺伝子がPgapA-nanA-TrrnBに置換している株を選択した。これをGES1188と命名した。さらに、pGE1272を用い、電気穿孔法によりGES1188を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりadhE遺伝子の位置にPgapA-nanA-TrrnBが挿入した株を選択した。これをGES1223と命名した。
pGE1273を用い、電気穿孔法によりGES1041を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりald遺伝子がPgapA-nanA-TrrnBに置換している株を選択した。これをGES1188と命名した。さらに、pGE1272を用い、電気穿孔法によりGES1188を形質転換し、GES1052作成時と同様な操作によりadhE遺伝子の位置にPgapA-nanA-TrrnBが挿入した株を選択した。これをGES1223と命名した。
2-3-(1)pGE411の構築
pHSG298(タカラバイオ社製)を鋳型とし、GEP433(配列番号81)とGEP434(配列番号82)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、およびGEP437(配列番号83)とGEP438(配列番号84)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらはそれぞれカナマイシン耐性遺伝子および大腸菌用複製起点pUCoriを含むDNA断片である。
pCR8/GW/TOPO(インビトロジェン社製)を鋳型とし、GEP435(配列番号107)とGEP436(配列番号108)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。また、pHSG298(タカラバイオ社製)を鋳型とし、GEP437(配列番号83)とGEP438(配列番号84)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらはそれぞれスペクチノマイシン耐性遺伝子および大腸菌用複製起点pUCoriを含むDNA断片である。
シュードモナス プチダNBRC14164株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターから入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。NBRC14164株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2550(配列番号110)とGEP2551(配列番号111)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはシュードモナス プチダNBRC14164株mdlC遺伝子(Pp_mdlC)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1031作成時と同様な操作によりPp_mdlCがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1161を得た。
クレブシエラ ニューモニエ由来の遺伝子(DDBJアクセッション番号:LC412902)を含むプラスミドpHA12-dhaBTを広島大学田島誉久博士より供与を頂いた。これを鋳型とし、GEP2529(配列番号114)とGEP2530(配列番号115)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはクレブシエラ ニューモニエdhaT遺伝子(Kp_dhaT)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1161作成時と同様な操作によりKp_dhaTがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1150を得た。
ラクトコッカス ラクティスNBRC100676株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターから入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。NBRC100676株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2799(配列番号116)とGEP2800(配列番号117)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはラクトコッカス ラクティスNBRC100676株ldhA遺伝子(Ll_ldhA)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1031作成時と同様な操作によりLl_ldhAがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1274を得た。
リシニバシラス スフェリカスNBRC3525株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターから入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。NBRC3525株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2525(配列番号122)とGEP2526(配列番号123)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはリシニバシラス スフェリカスNBRC3525株leudh遺伝子(Ls_leudh)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1031作成時と同様な操作によりLs_leudhがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1148を得た。
ストレプトミセス フラジエATCC19609株はAmerican Type Culture Collectionから入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。ATCC19609株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2600(配列番号126)とGEP2601(配列番号127)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはストレプトミセス フラジエATCC19609株valdh遺伝子(Sf_valdh)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1031作成時と同様な操作によりSf_valdhがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1175を得た。
バシラス バディウスNBRC15713株は独立行政法人製品評価技術基盤機構バイオテクノロジーセンターから入手し、添付の指示書通りに培養を行った後に、ゲノムDNA抽出を行った。NBRC15713株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2678(配列番号128)とGEP2679(配列番号129)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはバシラス バディウスNBRC15713株phedh遺伝子(Bb_phedh)を含むDNA断片である。さらに、pET-15b(ノバジェン社製)をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1031作成時と同様な操作によりBb_phedhがpET-15bへとクローニングされたプラスミドpGE1237を得た。
pMK-AtCGSはサーモ・フィッシャー社より購入した。pMK-AtCGSはシロイヌナズナのCGS1遺伝子(Biochem.J.331,639-648(1998)、DDBJアクセッション番号:U43709)がコードするアミノ酸配列のうち、69番目のアミノ酸以降の配列についてコリネバクテリウム グルタミカムでの発現が最適化された合成DNAを含むプラスミドである。これを鋳型とし、GEP1053(配列番号130)とGEP1054(配列番号131)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはコリネバクテリウム グルタミカムでの発現が最適化されたシロイヌナズナCGS1遺伝子(AtCGS1)を含むDNA断片である。さらに、pGE411をNdeIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これらの2つのDNA断片を混和し、pGE1185作成時と同様な操作によりAtCGS1がpGE411へとサブクローニングされたプラスミドpGE479を得た。
DH5α株のゲノムDNAを鋳型とし、GEP2712(配列番号132)とGEP2713(配列番号133)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、GEP2714(配列番号134)とGEP2715(配列番号135)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、GEP2720(配列番号136)とGEP2721(配列番号137)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、GEP2726(配列番号138)とGEP2727(配列番号139)で示される塩基配列のDNAの組み合わせ、GEP2767(配列番号140)とGEP2768(配列番号141)で示される塩基配列のDNAの組み合わせを用いて、PCR法によりPCR産物を得、これらをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。これはそれぞれ大腸菌DH5α株eda遺伝子(Ec_eda)、yjjJ遺伝子(Ec_yjhH)、dgoA遺伝子(Ec_dgoA)、mhpFE遺伝子(Ec_mhpFE)、garL遺伝子(Ec_garL)を含むDNA断片である。さらに、pGE409をNdeIとBamHIで処理し、これをアガロース・ゲル電気泳動の後、抽出、精製を行った。各種遺伝子を有するDNA断片、およびpGE409由来のDNA断片を混和し、pGE1185作成時と同様な操作によりEc_eda、Ec_yjhH、Ec_dgoA、Ec_mhpFE、Ec_garLがpGE409へとクローニングされたプラスミドpGE1223、pGE1224、pGE1225、pGE1227、pGE1259を得た。
(3-1)Pp_mdlCおよびKp_dhaT過剰発現プラスミド導入株の作成
pGE1197とpGE1190を用い、電気穿孔法によりGES1070を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンと100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でカナマイシン・スペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1206と命名した。
pGE1197とpGE1190を用い、電気穿孔法によりGES1223を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンと100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でカナマイシン・スペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1253と命名した。
pGE1197とpGE1190を用い、電気穿孔法によりGES1242を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンと100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でカナマイシン・スペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1282と命名した。
pGE1286を用い、電気穿孔法によりGES1064を形質転換し、33℃にて100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でスペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1232と命名した。
pGE1286を用い、電気穿孔法によりGES1211を形質転換し、33℃にて100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でスペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1294と命名した。
pGE1203を用い、電気穿孔法によりGES1064を形質転換し、33℃にて100μg/mlのスペクチノマイシを含むA培地上でスペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1073と命名した。
pGE1203を用い、電気穿孔法によりGES1211を形質転換し、33℃にて100μg/mlのスペクチノマイシを含むA培地上でスペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1295と命名した。
pGE1203とpGE513を用い、電気穿孔法によりGES1064を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンと100μg/mlのスペクチノマイシを含むA寒天培地上でカナマイシン・スペクチノマイシ耐性株を選択した。これをGES1097と命名した。
pGE1143、pGE1223、pGE1224、pGE1225、pGE1226、pGE1227、pGE1239、pGE1258、pGE1259、pGE1260、pGE1262をそれぞれ用い、電気穿孔法によりGES435を形質転換し、33℃にて25μg/mlのカナマイシンを含むA寒天培地上でカナマイシン耐性株を選択した。これをそれぞれGES1009、GES1119、GES1120、GES1121、GES1122、GES1123、GES1127、GES1154、GES1155、GES1156、GES1157と命名した。
(4-1)4-ヒドロキシ-2-オキソ酪酸(HOB)の生産
4-1-(1)GES1077の培養
GES1077のグリセロールストックをカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含むA寒天培地に無菌条件下で接種し、33℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体をカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含む10mLのBA培地に接種し、33℃にて振盪培養を行い種培養液とした。この種培養液を濁度が0.1となるように2Lフラスコ中に用意されたカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含む500mLのBA培地に接種した。33℃にて振盪を行い終夜培養した。この本培養液を4℃、5500xgにて15分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。このようにして得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および1.2Mのホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ50mM、40mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを6.0に維持しながら33℃にて培養を行った。当該湿菌体濃度においては、攪拌を水酸化カリウム水溶液が効率的に混和する程度に抑えておき、かつ、通気を行わなければ、自ずと嫌気的条件下または微好気的条件が達成される。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBが0.65mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液を50mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを6.0に維持しながら33℃にて反応を行った。3時間後、反応懸濁液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBは検出されなかった。
GES1206について、前記4-1-(1)、4-1-(2)と同様の実験を行った。反応3時間後、反応懸濁液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBは検出されなかった。
GES1282のグリセロールストックから4-1-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を4-1-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBが0.36mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を4-1-(3)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応懸濁液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBは検出されなかった。
GES1253のグリセロールストックから4-1-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を4-1-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBが0.34mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を4-1-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応懸濁液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBは検出されなかった。
GES1068およびGES1254のグリセロールストックから4-1-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を4-1-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBがGES1068を用いた反応では1.2mM、GES1254を用いた反応では0.42mM生成していた。
4-2-(1)GES1077、GES1068の培養
GES1077、GES1068のグリセロールストックをカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含むA寒天培地に無菌条件下で接種し、33℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体をカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含む10mLのBA培地に接種し、33℃にて振盪培養を行い種培養液とした。この種培養液を濁度が0.1となるように2Lフラスコ中に用意されたカナマイシン25μg/mLおよびスペクチノマイシン100μg/mLを含む500mLのBA培地に接種した。33℃にて振盪を行い終夜培養した。この本培養液を4℃、5500xgにて15分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。このようにして得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および1.2Mのホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ50mM、40mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを6.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を糖分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、PDOがGES1077を用いた反応では7.4mM、GES1068を用いた反応では11.4mM生成していた。
GES1282のグリセロールストックから4-2-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を4-2-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。6時間後、反応液の上清を糖分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、PDOが11.4mM生成していた。
GES1254のグリセロールストックから4-2-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を4-2-(2)と同様に培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。6時間後、反応液の上清を糖分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、PDOがGES1253を用いた反応では4.1mM、GES1254を用いた反応では5.8mM生成していた。
4-3-(1)GES1068の培養
GES1068のグリセロールストックから4-2-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および1.2Mのアセトアルデヒド水溶液をそれぞれ50mM、40mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを6.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を糖分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、BDOが8.2mM生成していた。
4-4-(1)GES1068の培養
GES1068のグリセロールストックから4-2-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液およびアルデヒド(プロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド)をそれぞれ50mM、40mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを6.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清をGCMSにより分析したところ、各反応でプロピオンアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒドに由来する1,3-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、4-メチル-1,3-ペンタンジオール、1,3-ヘプタンジオールがそれぞれ確認された。図6は、プロピオンアルデヒドを使用した場合におけるガスクロマトグラフ質量分析の結果を示す。図7は、ノルマルブチルアルデヒドを使用した場合におけるガスクロマトグラフ質量分析の結果を示す。図8は、イソブチルアルデヒドを使用した場合におけるガスクロマトグラフ質量分析の結果を示す。図8は、ノルマルバレルアルデヒドを使用した場合におけるガスクロマトグラフ質量分析の結果を示す。
4-5-(1)GES1232の培養
GES1232のグリセロールストックをスペクチノマイシン100μg/mLを含むA寒天培地に無菌条件下で接種し、33℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体をスペクチノマイシン100μg/mLを含む10mLのBA培地に接種し、33℃にて振盪培養を行い種培養液とした。この種培養液を濁度が0.1となるように2Lフラスコ中に用意されたスペクチノマイシン100μg/mLを含む500mLのBA培地に接種した。33℃にて振盪を行い終夜培養した。この本培養液を4℃、5500xgにて15分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。このようにして得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および1.2Mのホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ100mM、40mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、DHBが11mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBRバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液を100mMとなるように加え、1.0M水酸化カリウム水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて反応を行った。3時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、DHBは検出されなかった。
GES1294について、前記(1)(2)と同様の実験を行った。反応3時間後、反応懸濁液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、DHBは検出されなかった。
4-6-(1)ロイシンデヒドロゲナーゼの発現と酸化的脱アミノ化反応活性の測定
pGE1148を用いてECOSTM Competent E. coli BL21(DE3)(ニッポンジーン社製)をその指示書通りに形質転換し、得られた菌株をGES1007とした。GES1007をアンピシリン100μg/mLを含むLB寒天培地に無菌条件下で接種し、37℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体をアンピシリン100μg/mLを含む10mLのLB培地に接種し、37℃にて振盪培養を行い種培養液とした。この種培養液を濁度が0.1となるように500mLフラスコ中に用意されたアンピシリン100μg/mLを含む100mLのLB培地に接種した。37℃にて振盪を行い濁度が0.7になるまで培養した。IPTGを終濃度0.2mMになるように加え、16℃にて終夜振盪培養を行った。この本培養液を4℃、6000xgにて5分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。このようにして得られた湿菌体を-80℃にて一度凍結した後、室温で融解させた。4.5mLの50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)、500mM塩化ナトリウム、10%グリセロールに懸濁させ、これに2.0gのグラスビーズYGB01 Φ0.1mm(安井器械社製)を加え、マルチビーズショッカーMB1001C(S)(安井器械社製)を用いて2500rpm、4℃にて菌体の破砕を行った。18000xg、4℃にて3分間遠心分離を行い、上清を回収した。この破砕液のタンパク質濃度を測定したところ12mg/mLであった。
pGE1175を用いてECOSTM Competent E. coli BL21(DE3)(ニッポンジーン社製)をその指示書通りに形質転換し、得られた菌株をGES1057とした。GES1057について、GES1007と同様な操作によって得られた破砕液のタンパク質濃度を測定したところ4.2mg/mLであった。
pGE1237を用いてECOSTM Competent E. coli BL21(DE3)(ニッポンジーン社製)をその指示書通りに形質転換し、得られた菌株をGES1136とした。GES1136について、GES1007と同様な操作によって得られた破砕液のタンパク質濃度を測定したところ11mg/mLであった。
4-6-(1)で得られた菌体破砕液をシリンジフィルター ポアサイズ0.2μm(ザルトリウス社製)を用いて濾過処理を行った。これをHisTrapTM FF 1mLカラムを接続したAKTA purifierシステム(GEヘルスケア社製)を用い、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)、500mM塩化ナトリウム、10%グリセロールを吸着バッファーとして、50mMリン酸ナトリウムバッファー(pH8.0)、500mM塩化ナトリウム、10%グリセロール、500mMイミダゾールを溶出バッファーとして分画した。SDS-PAGEで確認したロイシンデヒドロゲナーゼを含有するフラクションを回収し、限外濾過を用いて濃縮し、その後PD-10カラム(GEヘルスケア社製)を用いて50mMリン酸カリウム(pH7.4)、100mM塩化ナトリウム、1mM EDTA、10%グリセロールへとバッファー置換を行い、限外濾過を用いて再度濃縮することで5.9mg/mLのロイシンデヒドロゲナーゼ水溶液を得た。
4-7-(1)GES1073の培養
GES1073のグリセロールストックから4-5-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBTバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および2.0Mのホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ2%(w/v)、100mMとなるように加え、5.0Mアンモニア水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。6時間後、反応液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-ホモセリンが15.7mM、L-スレオニンが1.3mM、2-アミノ酪酸が0.15mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBTバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液を2%(w/v)となるように加え、5.0Mアンモニア水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて反応を行った。6時間後、反応液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-ホモセリン、L-スレオニン、2-アミノ酪酸のいずれも定量限界以下であった。
GES1295について、前記4-7-(1)、4-7-(2)と同様の実験を行った。反応6時間後、反応懸濁液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-ホモセリン、L-スレオニン、2-アミノ酪酸のいずれも定量限界以下であった。
4-8-(1)GES1097の培養
GES1097のグリセロールストックから4-2-(1)と同様に培養し得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を20%(w/v)となるようにBTバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および2.0Mのホルムアルデヒド水溶液および0.2Mのメチルメルカプタン水溶液(15%メチルメルカプタンナトリウム水溶液(東京化成工業社製)をBTバッファーを用いて希釈し、濃塩酸を用いてpH8.0になるように調整)を加え、さらにBTバッファーで希釈することで、それぞれ2%(w/v)、100mM、50mMとなるように調整した。また、この時、最終的な湿菌体濃度は10%(w/v)となるようにした。5.0Mアンモニア水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。21時間後、反応液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-メチオニンが2.1mM生成していた。また、L-ホモセリンが8.6mM、L-スレオニンが3.0mM、2-アミノ酪酸が0.86mM生成していた。
前記の通り調製された湿菌体を20%(w/v)となるようにBTバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に50%(w/v)のグルコース水溶液および2.0Mのホルムアルデヒド水溶液を加え、さらにBTバッファーで希釈することで、それぞれ2%(w/v)、100mMとなるように調整した。また、この時、最終的な湿菌体濃度は10%(w/v)となるようにした。5Nアンモニア水溶液を用いてpHを7.0に維持しながら33℃にて反応を行った。21時間後、反応液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-メチオニンは定量限界以下であった。一方、L-ホモセリンが5.4mM、L-スレオニンが5.6mM、2-アミノ酪酸が0.98mM生成していた。
GES1073について、前記4-8-(1)、4-8-(2)と同様の実験を行った。反応21時間後、反応懸濁液の上清をアミノ酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、L-メチオニンの生成は定量限界以下であった。一方、L-ホモセリンが12.8mM、L-スレオニンが1.6mM、2-アミノ酪酸が0.40mM生成していた。
(5-1)GES1009、GES1119、GES1120、GES1121、GES1122、GES1123、GES1127、GES1154、GES1155、GES1156、GES1157の培養
GES1009、GES1119、GES1120、GES1121、GES1122、GES1123、GES1127、GES1154、GES1155、GES1156、GES1157のグリセロールストックをカナマイシン25μg/mLを含むA寒天培地に無菌条件下で接種し、33℃にて培養した。寒天培地上に生育した菌体をカナマイシン25μg/mLを含む10mLのBA培地に接種し、33℃にて振盪を行い終夜培養した。この培養液を4℃、5500xgにて15分間遠心分離を行い、上澄み液を除去した。このようにして得られた湿菌体を以下の反応に用いた。
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBSバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に1.0Mピルビン酸水溶液および1.2Mのホルムアルデヒド水溶液をともに40mMとなるように加え、33℃にて培養を行った。培養においては、水酸化カリウム水溶液を効率的に混和するように撹拌を行い、かつ、通気を行わなかった。なお、この操作によって、当該湿菌体濃度では、嫌気的条件または微好気的条件は達成されている。6時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、HOBがGES1009、GES1119、GES1120、GES1121、GES1122、GES1123、GES1127、GES1154、GES1155、GES1156、GES1157を用いた反応では、それぞれ3.6、4.1、2.1、3.4、30.5、1.9、18.3、19.5、6.5、4.5、2.0mM生成していた。
(5-3)比較例1
前記の通り調製された湿菌体を10%(w/v)となるようにBSバッファーに懸濁した。この菌体懸濁液に1.0Mピルビン酸水溶液を40mMとなるように加え、33℃にて反応を行った。6時間後、反応液の上清を有機酸分析用液体クロマトグラフィーにより分析したところ、いずれの場合もHOBは検出されなかった。
Claims (1)
- 以下からなる群より選択される第1遺伝子:
(1-1)配列番号2に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-2)配列番号2に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-3)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-4)配列番号4に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子、
(1-5)配列番号6に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(1-6)配列番号6に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、ピルビン酸とカルボニル化合物とのアルドール反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;
以下からなる群より選択される第2遺伝子:
(2-1)配列番号24に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(2-2)配列番号24に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、α-ケト酸の脱炭酸反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子;ならびに
以下からなる群より選択される第3遺伝子:
(3-1)配列番号26に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒するタンパク質をコードする遺伝子、および
(3-2)配列番号26に記載のアミノ酸配列に対して90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるタンパク質であって、アルデヒドの還元反応を触媒する活性を有するタンパク質をコードする遺伝子
を含むコリネ型細菌。
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