JP7367686B2 - 赤外線吸収材料微粒子分散液とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線吸収材料微粒子と溶媒とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液に関し、より具体的には、前記赤外線吸収材料微粒子は複合タングステン酸化物微粒子を含み、前記溶媒は水を含む赤外線吸収材料微粒子分散液とその製造方法に関する。
近年、赤外線吸収体の需要が急増しており、赤外線吸収体に関し多くの提案が為されている。
これらの赤外線吸収体に係る提案を、機能的観点から俯瞰してみる。
すると、例えば、各種建築物や車両の窓材等の分野において、可視光線を十分に取り入れながら近赤外領域の光を遮蔽することにより、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制することを目的としたものがある。
次に、これらの赤外線吸収体に係る提案を、遮光部材の観点から俯瞰してみる。
すると、例えば窓材等に使用される遮光部材として、可視光領域から近赤外線領域に吸収特性があるカーボンブラック、チタンブラック等の無機顔料を用いた遮光部材、可視光領域のみに強い吸収特性のあるアニリンブラック等の有機顔料等を含む黒色系顔料を用いた遮光部材、さらに、アルミ等の金属を蒸着したハーフミラータイプの遮光部材、といった各種の遮光部材が提案されている。
先行技術文献として、例えば特許文献1では、透明なガラス基板上に、基板側より第1層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族およびVIIb族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、当該第1層上に第2層として透明誘電体膜を設け、当該第2層上に第3層として周期律表のIIIa族、IVa族、Vb族、VIb族およびVIIb族から成る群から選ばれた少なくとも1種の金属イオンを含有する複合酸化タングステン膜を設け、且つ、前記第2層の透明誘電体膜の屈折率を前記第1層および前記第3層の複合酸化タングステン膜の屈折率よりも低くすることにより、高い可視光透過率および良好な赤外線遮断性能が要求される部位に好適に使用することが出来る赤外線遮断ガラスが提案されている。
また特許文献2では、特許文献1と同様の方法で、透明なガラス基板上へ、基板側より第1層として第1の誘電体膜を設け、当該第1層上に第2層として酸化タングステン膜を設け、当該第2層上に第3層として第2の誘電体膜を設けた赤外線遮断ガラスが提案されている。
また特許文献3では、特許文献1と同様な方法で、透明なガラス基板上へ、基板側より第1層として特許文献1と同様の金属元素を含有する複合酸化タングステン膜を設け、当該第1層上に第2層として透明誘電体膜を設けた熱線遮断ガラスが提案されている。
また特許文献4では、水素、リチウム、ナトリウムまたはカリウム等の添加元素を含有する、三酸化タングステン(WO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化ニオブ(Nb)、五酸化タンタル(Ta)、五酸化バナジウム(V)および二酸化バナジウム(VO)の1種以上から選択される金属酸化物膜が、CVD法またはスプレー法で被覆された後、250℃程度で熱分解されることにより形成された、太陽光遮蔽特性を有する太陽光制御ガラスシートが提案されている。
また特許文献5には、タングステン酸を加水分解して得られた酸化タングステンを用い、当該酸化タングステンに、ポリビニルピロリドンという特定の構造の有機ポリマーを添加した太陽光可変調光断熱材料が提案されている。
当該太陽光可変調光断熱材料は太陽光が照射されると、光線中の紫外線が酸化タングステンに吸収されて励起電子とホールとが発生し、少量の紫外線量により5価タングステンの出現量が著しく増加して着色反応が速くなり、これに伴って着色濃度が高くなるものである。他方、光が遮断されることによって、前記5価タングステンが極めて速やかに6価に酸化されて消色反応が高くなるものである。当該着色/消色特性を用い、太陽光に対する着色および消色反応が速く、着色時に近赤外域の波長1250nmに吸収ピークが現れ、太陽光の近赤外線を遮断することが出来る太陽光可変調光断熱材料が得られることが提案されている。
一方、本発明者等は特許文献6において、六塩化タングステンをアルコールに溶解し、そのまま媒質を蒸発させるか、または加熱還流した後、媒質を蒸発させ、その後100℃~500℃で加熱することにより、三酸化タングステンまたはその水和物または両者の混合物からなる酸化タングステン微粒子粉末を得ることを開示した。そして、当該酸化タングステン微粒子を用いてエレクトロクロミック素子が得られること、多層の積層体を構成し膜中にプロトンを導入したときに当該膜の光学特性を変化させることが出来ること、等を開示した。
また特許文献7には、メタ型タングステン酸アンモニウムと水溶性の各種金属塩とを原料とし、その混合水溶液の乾固物を約300~700℃の加熱温度で加熱し、この加熱の際に不活性ガス(添加量;約50vol%以上)または水蒸気(添加量;約15vol%以下)を添加した水素ガスを供給することにより、一般式MxWO(但し、Mはアルカリ、アルカリ土類、希土類などの金属元素、0<x<1)で表される種々のタングステンブロンズを作製する方法が提案されている。そして、当該操作を支持体上で実施して種々のタングステンブロンズ被覆複合体を製造し、燃料電池等の電極触媒材料として用いることが提案されている。
そして、本発明者等は特許文献8において、赤外線遮蔽材料微粒子が樹脂などの媒質中に分散してなる赤外線遮蔽材料微粒子分散体、当該赤外線遮蔽材料微粒子分散体の光学特性、導電性、製造方法について開示した。
尚、前記赤外線遮蔽材料微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、または/および、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物の微粒子であって、当該赤外線遮蔽材料微粒子の粒子直径は1nm以上800nm以下である。
特開平8-59300号公報 特開平8-12378号公報 特開平8-283044号公報 特開2000-119045号公報 特開平9-127559号公報 特開2003-121884号公報 特開平8-73223号公報 国際公開第2005/37932号
赤外線吸収材料微粒子を樹脂などの媒質中に分散させた赤外線吸収材料微粒子分散体を得るには、当該赤外線吸収材料微粒子を溶媒に分散した赤外線吸収材料微粒子分散液を調製する。そして当該赤外線吸収材料微粒子分散液へ樹脂などを溶解して塗工液とし、当該塗工液を例えば基材へ塗布した後これを乾燥する、等の方法を採ればよい。
ここで、近年、各種の工業材料において環境負荷を低減することが求められており、上述した塗工液においても、溶媒が水を含むことを求められている。
しかしながら、上述した先行技術文献に記載されているのは、複合タングステン酸化物微粒子等をトルエンなどの水への溶解度が低い有機溶媒へ分散した赤外線吸収材料微粒子分散液の技術である。そして、当該溶媒が水を含む場合、または、溶媒を水で構成した場合の赤外線吸収材料微粒子分散液についての開示はない。
本発明は上述の状況の下で為されたものであり、その課題とするところは、溶媒が水を含む場合、または、溶媒が全て水である場合であっても、長期保存性に優れる赤外線吸収材料微粒子分散液とその製造方法を提供することである。
上述の課題を解決する為、本発明者らが研究を行った結果、赤外線吸収材料微粒子分散液が所定のゼータ電位の値を有するとき長期保存性に優れるものとなる、という画期的な知見を得て本発明を完成した。
即ち、上述の課題を解決するための第1の発明は、
赤外線吸収材料微粒子と溶媒とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液であって、
前記赤外線吸収材料微粒子は、一般式MxWOy(ただし、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含み、
前記溶媒は水を含み、
前記赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位の絶対値が、5mV以上100mV以下であることを特徴とする赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第2の発明は、
前記ゼータ電位の値が、-100mV以上-5mV以下であることを特徴とする第1の発明に記載の赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第3の発明は、
pH値が4以上であることを特徴とする第1または第2の発明に記載の赤外線吸収微粒子分散液である。
第4の発明は、
前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が、800nm以下であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第5の発明は、
さらに、1種以上の分散剤を含むことを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載の赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第6の発明は、
前記分散剤が、アミノ基、オキソ酸のいずれか1種以上を含むことを特徴とする第5の発明に記載の赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第7の発明は、
前記赤外線吸収材料微粒子分散液中に含有されている赤外線吸収材料微粒子の含有量が、0.01質量%以上80質量%以下であることを特徴とする第1から第6の発明のいずれかに記載の赤外線吸収材料微粒子分散液である。
第8の発明は、
赤外線吸収材料微粒子と溶媒とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法であって、
水を含む前記溶媒へ、一般式MxWOy(ただし、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含む前記赤外線吸収材料微粒子を分散させて、赤外線吸収材料微粒子分散液とし、
前記赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位の絶対値を、5mV以上100mV以下とすることを特徴とする赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法である。
第9の発明は、
前記赤外線吸収材料微粒子分散液のpH値を、4以上とすることを特徴とする第8の発明に記載の赤外線吸収微粒子分散液の製造方法である。
本発明によれば、水を含む溶媒を用いながら、長期保存性に優れる赤外線吸収材料微粒子分散液を得ることができる。また、当該赤外線吸収材料微粒子分散液とバインダーとを混合し、製膜した時にブリードアウトの発生を抑えることができる。
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、赤外線吸収材料微粒子と溶媒とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液であって、前記赤外線吸収材料微粒子は、一般式MxWOy(ただし、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含み、前記溶媒は水を含み、前記赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位の絶対値が、510mV以上100mV以下である赤外線吸収材料微粒子分散液である。
以下、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液を、[1]赤外線吸収材料微粒子、[2]赤外線吸収材料微粒子分散液に用いられる溶媒、[3]赤外線吸収材料微粒子分散液、[4]赤外線吸収材料微粒子分散液へ添加される分散剤、[5]赤外線吸収材料微粒子の製造方法、[6]赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法、[7]赤外線吸収材料微粒子分散液の使用方法、の順に説明する。
[1]赤外線吸収材料微粒子
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、赤外線吸収材料微粒子として、少なくとも一般式MxWyOz(但し、M元素はCs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子を含んでいる。
以下、複合タングステン酸化物微粒子を例として、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子について説明する。
一般に、自由電子を含む材料は、プラズマ振動によって波長200nmから2600nmの太陽光線の領域周辺の電磁波に反射吸収応答を示すことが知られている。このような物質の粉末の粒子を、光の波長より小さい粒径を有する微粒子にすると、可視光領域(波長380nmから780nm)の幾何学散乱が低減されて、可視光領域の透明性が得られることが知られている。
尚、本発明において「透明性」とは、「可視光領域の光に対して散乱が少なく透過性が高い。」という意味で用いている。
ここで、タングステン酸化物(WO)中には有効な自由電子が存在しない為、赤外線領域の吸収反射特性が少なく、赤外線吸収材料微粒子としては有効ではない。しかしながら、酸素欠損を持つWOの構成、または、WOへCs等の元素を添加した複合タングステン酸化物の構成をとることで、タングステン酸化物や複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、赤外線領域に自由電子由来の吸収特性が発現することが知られている。そして、これらの自由電子を持つ材料の単結晶等の分析により、赤外線領域の光に対する自由電子の応答が示唆された。
そして当該WOに対し、酸素量の制御と、自由電子を生成する元素を添加する構成とを併用することで、より効率の良い赤外線吸収材料微粒子を得ることが出来た。当該構成をとることで、複合タングステン酸化物中に自由電子が生成され、特に近赤外線領域に自由電子由来の強い吸収特性が発現し、波長1000nm付近の近赤外線吸収材料微粒子として有効となる。
この酸素量の制御と、自由電子を生成するM元素の添加とを併用した赤外線吸収材料微粒子は、一般式をMxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素であることが好ましい、Wはタングステン、Oは酸素である。)と記載したとき、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3の関係を満たす赤外線吸収材料微粒子である。
M元素の添加量を示すx/yの値については、x/yの値が0.001より大きければ、複合タングステン酸化物において十分な量の自由電子が生成され、目的とする赤外線吸収効果を得ることが出来る。そして、M元素の添加量が多いほど、自由電子の供給量が増加し赤外線吸収効率も上昇するが、x/yの値が1程度で当該効果も飽和する。また、x/yの値が1より小さければ、当該赤外線吸収材料微粒子中に不純物相が生成されるのを回避できるので好ましい。
また、酸素量の制御を示すz/yの値については、MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物においても、上述したWOで表記されるタングステン酸化物と同様の機構が働くことに加え、z/y=3.0や2.0≦z/y≦2.2においても、上述したM元素の添加量による自由電子の供給がある。好ましくは2.45≦z/y≦3.0である。
さらに、当該複合タングステン酸化物微粒子が六方晶の結晶構造を有する場合、当該微粒子の可視光領域の透過が向上し、赤外領域の吸収が向上する。
そして、六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、M元素の添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述したM元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
この六角形の空隙にM元素の陽イオンが添加されて存在するとき、可視光領域における光の透過が向上し、赤外領域における光の吸収が向上する。ここで一般的には、イオン半径の大きなM元素を添加したとき当該六方晶が形成され易い。具体的には、M元素を、Cs、Rb、K、Tl、Baの中から選択される1種類以上の元素としたとき六方晶が形成され易い。典型的な例としてはCs0.33WO、Cs0.03Rb0.30WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WO(2.0≦z≦3.0)などを、好ましく挙げることができる。勿論これら以外の元素でも、WO単位で形成される六角形の空隙に上述したM元素が存在すれば良く、上述の元素に限定される訳ではない。
六方晶の結晶構造を有する複合タングステン酸化物微粒子が均一な結晶構造を有するとき、M元素の添加量は、x/yの値で0.2以上0.5以下が好ましく、さらに好ましくは0.33である。x/yの値が0.33となることで、上述したM元素が六角形の空隙の全てに配置されると考えられる。
また、六方晶以外であって、正方晶、立方晶の複合タングステン酸化物も赤外線吸収材料微粒子として有効である。但し、結晶構造によって、赤外線領域の吸収位置が変化する傾向があり、立方晶<正方晶<六方晶の順に、吸収位置が長波長側に移動する傾向がある。また、それに付随して可視光線領域の吸収が少ないのは、六方晶、正方晶、立方晶の順である。
従って、可視光領域の光をより透過し、赤外線領域の光をより吸収する用途には、六方晶の複合タングステン酸化物を用いることが好ましい。ただし、ここで述べた光学特性の傾向は、あくまで大まかな傾向であり、添加元素の種類や、添加量、酸素量によって変化するものであり、本発明がこれに限定されるわけではない。
上述した複合タングステン酸化物微粒子は、赤外線領域、特に波長1000nm付近の光を大きく吸収するため、その透過色調は青色系から緑色系となる物が多い。
そして、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子は、その粒子径が1nm以上800nm以下であることが好ましいが、100nm以下のものであることがさらに好ましい。そして、より優れた可視光透過特性、赤外線吸収特性を発揮させる観点から、当該微粒子の粒子径は1nm以上40nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上30nm以下、最も好ましくは1nm以上25nm以下である。このような粒径が好ましいのは微粒子のミー散乱およびレイリー散乱による散乱が十分に抑制され、可視光波長域の視認性を保持し、効率よく透明性を保持することができる為である。
ここで粒子径とは、凝集していない個々の赤外線吸収材料微粒子がもつ径の平均値であり、後述する赤外線吸収材料微粒子分散液に含まれる、凝集していない個々の赤外線吸収材料微粒子の平均粒子径である。尚、赤外線吸収材料微粒子の平均粒子径は、当該赤外線吸収材料微粒子の電子顕微鏡像から測定され、算出される。
[2]赤外線吸収材料微粒子分散液に用いられる溶媒
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液に用いられる溶媒は、その構成に水を含むものである。本発明において「構成に水を含む」とは、当該溶媒中に水を1質量%以上含むもののことであり、水と相溶する有機溶媒、例えば、アルコール類やグリコール類等と、水との混合溶媒を包括する概念である。さらに、水のみで構成される溶媒も包括する概念である。
尚、本発明において水とは、塩素などの陰イオンをイオン交換樹脂で除去したイオン交換水、超純水等を含む概念である。
[3]赤外線吸収材料微粒子分散液
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、上述した赤外線吸収材料微粒子を溶媒に分散させた分散液である。
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、ゼータ電位の絶対値が5mV以上100mV以下の範囲にある分散液である。即ち、ゼータ電位の値が、5mV以上100mV以下、または、-100mV以上-5mV以下の範囲にある分散液である。
これは、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位の絶対値が5mV以上100mV以下での範囲、好ましくは、ゼータ電位の絶対値が10mV以上100mV以下の範囲であれば当該分散液において、温度25℃の下で6ヶ月以上、ゲル化や粒子の沈降が発生を回避できるとの知見による。尚、当該観点から、ゼータ電位は-100mV以上-5mV以下であることが、さらに好ましくは、ゼータ電位は-100mV以上-10mV以下であることである。
一方、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液中における、赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径はその使用目的によって各々選定することが出来る。
本発明において、赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径とは、上述した赤外線吸収材料微粒子の粒子径とは異なり、赤外線吸収材料微粒子の凝集体の粒径も含む概念である。
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液を、透明性を保持したい用途に使用する場合は、当該分散液中において赤外線吸収材料微粒子が800nm以下の分散粒子径を有していることが好ましい。これは、分散粒子径が800nmよりも小さい粒子は、散乱により光を完全に遮蔽することが無く、可視光線領域の視認性を保持し、同時に効率良く透明性を保持することができるからである。
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液において、特に可視光領域の透明性を重視する場合は、さらに粒子による散乱を考慮することが好ましい。
この粒子による散乱の低減を重視するとき、当該分散液中における赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下が良い。この理由は、赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長400nm~780nmの可視光線領域の光の散乱が低減される結果、赤外線吸収膜が曇りガラスのようになり、鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できるからである。即ち、当該分散液中における赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径が200nm以下になると、上記幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になる。レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に比例しているため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し透明性が向上するからである。
さらに分散粒子径が100nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましく、分散粒子径が1nm以上あれば工業的な製造は容易である。
上記分散粒子径を800nm以下とすることにより、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子を媒質中に分散させた赤外線吸収材料微粒子分散体のヘイズ値は、可視光透過率85%以下でヘイズ30%以下とすることができる。一方、ヘイズ値が30%より小さい値であれば、当該赤外線吸収材料微粒子分散体の外観が曇りガラスのようにならず、鮮明な透明性を得ることが出来る。
尚、赤外線吸収材料微粒子の分散粒子径は、動的光散乱法を原理とした大塚電子株式会社製ELS-8000等を用いて測定することができる。
[4]赤外線吸収材料微粒子分散液へ添加される分散剤
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位は、当該分散液のpH調整、当該分散液への分散剤の添加により制御出来る。
具体的には、赤外線吸収材料微粒子分散液のpH値を3以上10以下とすることが好ましく、pH値を4以上7以下とすることがより好ましい。当該pH調整には、当該分散液への弱酸等の添加も有効である。
一方、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ分散剤を添加する場合は、アミノ基を備える水溶性の分散剤を添加することが好ましい。例えば市販の分散剤として、Disperbyk183、Disperbyk185、Disperbyk184、Disperbyk190、Disperbyk191、Disperbyk2010(ビックケミー社製)等を好ましく挙げることが出来る。
また、セリン、フェニルアラニン等のアミノ酸を、分散剤として添加してもよい。
また、好ましい分散剤として、オキソ酸を備える水溶性の分散剤を挙げることも出来る。ここで、オキソ酸としてはカルボキシル基を好ましく挙げることができる。例えば市販の分散剤として、ソルスパース41090、ソルスパース43000、ソルスパース44000、ソルスパース46000、ソルスパース47000、ソルスパース53095(ルーブリゾール社製)等を好ましく挙げることが出来る。
ここで、赤外線吸収材料微粒子分散液へ添加する分散剤が高分子分散剤の場合、添加量が多量であるとゼータ電位の絶対値の低下を招くが、高分子分散剤の効果として長期安定性を保てる場合がある。しかし、この場合、さらにバインダーと混合して製膜した際にブリードアウトを生じる。一方、赤外線吸収材料微粒子分散液へ高分子分散剤を添加しても、ゼータ電位の絶対値の低下を招かない程度の添加量である場合は、著しいブリードアウトを生じることはない。
これに対し、赤外線吸収材料微粒子分散液へ添加する分散剤が低分子分散剤の場合、著しいブリードアウトを生じることはない。
尚、ブリードアウトとは、赤外線吸収材料微粒子分散液へ樹脂などのバインダーを添加した混合液を調製し、この混合液を基板に塗布して塗布膜を得、さらに加熱乾燥などで乾燥膜を得た際、当該乾燥膜に発生する当該混合液に起因するシミ出しをいう。著しいブリードアウトは目視で確認することができる。
上述した観点から、赤外線吸収材料微粒子分散液へ高分子分散剤を添加する場合の好適な添加量は、赤外線吸収材料微粒子1質量部あたり、高分子分散剤の添加量が2質量部未満である。より好適には、赤外線吸収材料微粒子1質量部あたり0.2質量部以上1.5質量部以下であり、さらに好適には、赤外線吸収材料微粒子1質量部あたり0.3質量部以上1.2質量部以下である。
[5]赤外線吸収材料微粒子の製造方法
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液に含まれる赤外線吸収材料微粒子の製造方法について、例として、固相反応による複合タングステン酸化物微粒子の製造例を用いて説明する。
原料として、タングステン化合物およびM元素化合物を用いる。
タングステン化合物としては、タングステン酸(HWO)、タングステン酸アンモニウム、六塩化タングステン、アルコールに溶解した六塩化タングステンに水を添加して加水分解した後、溶媒を蒸発させたタングステンの水和物、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
一方、好ましい実施形態である一般式MxWyOz(但し、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0)で示される複合タングステン酸化物微粒子の原料の製造に用いるM元素化合物には、M元素の酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、炭酸塩、から選ばれる1種以上であることが好ましい。
タングステン化合物とM元素化合物とを湿式混合等により混合粉体を製造することができる。製造された混合粉体を、不活性ガス単独または不活性ガスと還元性ガスとの混合ガス雰囲気下、1段階で焼成する。このとき、焼成温度は複合タングステン酸化物微粒子が結晶化し始める温度に近いことが好ましい。具体的には、焼成温度が1000℃以下であることが好ましく、800℃以下であることがより好ましく、800℃以下500℃以上であることがさらに好ましい。
[6]赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子と溶媒とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法は、上述した溶媒へ、一般式MxWOyで表される複合タングステン酸化物微粒子を含む前記赤外線吸収材料微粒子を分散させて赤外線吸収材料微粒子分散液を製造し、当該分散液のゼータ電位の絶対値を所定の値の範囲内とするものである。
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液を得るには、粉砕、分散処理工程中において赤外線吸収材料微粒子の分散状態を担保し、当該微粒子同士を凝集させないことが肝要である。即ち、溶媒中に赤外線吸収材料粒子を加え、上述した粒径となるまで粉砕・分散処理を行う。このとき、適宜、上述した分散剤の添加、pH値の調整を行うことが好ましい。
そして、当該粉砕・分散処理後における赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位の絶対値を5mV以上100mV以下に維持できればよい。
粉砕・分散処理の具体的方法としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザーなどの装置を用いた粉砕・分散処理方法が挙げられる。その中でも、ビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いた、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで粉砕、分散処理を行うことは、所望の分散粒子径に到達することに要する時間が短いことから好ましい。
また、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液に含まれる赤外線吸収材料微粒子の含有量は、当該分散液の使用のし易さ、および、安定性の観点から、0.01質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
[7]赤外線吸収材料微粒子分散液の使用方法
本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ、バインダーとして水溶性のポリスチレン、水溶性のスチレン‐ブタジエン共重合物、水溶性のアクリル酸エステル共重合物のエマルジョン等を加え混合することで、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子を含む水溶性の塗工液を製造することが出来る。
製造された塗工液を、ガラス等の基材に塗布し、乾燥させれば、塗工液の塗布した膜が硬化し、赤外線吸収材料微粒子分散体を得ることが出来る。例えば、基材がガラスならば、赤外線吸収材料微粒子分散体を備えたガラスを得ることが出来るので、これを窓等に用いると赤外線遮蔽窓を得ることが出来る。
もちろん、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液や塗工液は、赤外線遮蔽窓用途に限定されるものではなく、赤外線吸収材料が必要な部位に広く用いることができる。
また、本発明に係る赤外線吸収材料微粒子分散液や塗工液は、インクジェットやスプレー塗装など公知の塗布方法に適用出来る。
実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は当該実施例に限定される訳ではない。
(実施例1)
水0.330kgへCsCO0.216kgを加えて溶解し、得られた溶液をHWO1.000kgへ添加して十分攪拌した後、乾燥して乾燥物を得た。Nガスをキャリアーとした5%Hガスを供給しながら当該乾燥物を加熱し、800℃の温度で1時間焼成した。その後、さらにNガス雰囲気下800℃で2時間焼成する固相法によって、複合タングステン酸化物(Cs0.33WO3)を得た。
得られた複合タングステン酸化物40g(20質量%)と、溶媒であるイオン交換水160g(80質量%)と、φ0.3ジルコニアビーズ750gとをペイントシェーカーに装填し粉砕・分散処理を行って、実施例1に係る赤外線吸収材料微粒子分散液を得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液のゼータ電位をゼータ電位計日本ルフト社製:DT-200)を用いて測定したところ-62mVであった。また、pH値をpH計(堀場製作所製:ポータブルpHメーターD-71)を用いて測定したところ4.1であった、当該測定結果を表1に示す。
また、得られた赤外線吸収材料微粒子分散液100mlをサンプル瓶に入れ、25℃にて6ヶ月保管したのち、サンプル瓶底の様子を目視で確認したところ沈殿発生はなかった。当該確認結果を表1に示す。
さらに、得られた赤外線吸収材料微粒子分散液へ、固形分25%のシリカバインダーを前記赤外線吸収材料微粒子1質量部あたり3質量部となるように混合して混合液を得た。当該混合液をガラス板上に塗膜し、180℃で30分乾燥させて実施例1に係る乾燥膜を得た。そして電子顕微鏡像を用いて、実施例1に係る乾燥膜における赤外線吸収材料微粒子の平均粒子径(D50粒子径)を測定した。当該測定結果を表1に示す。また、実施例1に係る乾燥膜を目視で確認したところ、ブリードアウトは確認されなかった。
(実施例2)
実施例1にて製造した複合タングステン酸化物40g(20質量%)と、市販の高分子分散剤A(有機オキソ酸を含む化合物)16g(8質量%)と、水144g(72質量%)と、φ0.3ジルコニアビーズ750gとをペイントシェーカーに装填し、実施例1と同様に粉砕・分散処理を行って、実施例2に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた実施例2に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は-40mV、pH値は6.9であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1にて製造した複合タングステン酸化物40g(20質量%)と、低分子分散剤Bとしてフェニルアラニン40g(20質量%)と、水120g(60質量%)と、φ0.3ジルコニアビーズ750gとをペイントシェーカーに装填し、実施例1と同様に粉砕・分散処理を行って、実施例3に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた実施例3に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は-70mV、pH値は5.3であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1にて製造した複合タングステン酸化物40g(20質量%)と、市販の高分子分散剤C(アミノ基を持つブロック共重合体)16g(8質量%)、水144g(72質量%)と、φ0.3ジルコニアビーズ750gとをペイントシェーカーに装填し、実施例1と同様に粉砕・分散処理を行って、実施例4に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた実施例4に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は-23mV、pH値は6.5であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ、酸剤である試薬の塩酸を添加してゼータ電位値、pH値を調整した以外は実施例1と同様に操作して、比較例1に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は2mV、pH値は2.4であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例2に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ、酸剤である試薬の塩酸を添加してゼータ電位値、pH値を調整した以外は実施例1と同様に操作して、比較例2に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液をと乾燥膜と、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は-1mV、pH値は2.5であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例3に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ、酸剤である試薬の塩酸を添加してゼータ電位値、pH値を調整した以外は実施例1と同様に操作して、比較例3に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は1mV、pH値は4.1であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例4に係る赤外線吸収材料微粒子分散液へ、酸剤である試薬の塩酸を添加してゼータ電位値、pH値を調整した以外は実施例1と同様に操作して、比較例4に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は1mV、pH値は4.5であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(比較例5)
実施例1にて製造した複合タングステン酸化物40g(20質量%)と、市販の高分子分散剤C(アミノ基を持つブロック共重合体)80g(40質量%)、水80g(40質量%)と、φ0.3ジルコニアビーズ750gとをペイントシェーカーに装填し粉砕・分散処理を行って、比較例5に係る赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを得た。
得られた赤外線吸収材料微粒子分散液と乾燥膜とを、実施例1と同様の方法で評価、確認した。ゼータ電位は-0.5mV、pH値は7.2であった。当該評価、確認結果を表1に示す。
(まとめ)
構成に水を含む溶媒中に、赤外線吸収材料微粒子として、一般式CsWOyで表される複合タングステン酸化物微粒子を分散し、そのゼータ電位の絶対値が5mV以上100mV以下である実施例1~3に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、いずれも25℃にて6ヶ月保管した後、サンプル瓶底の様子を目視で確認したところ沈殿発生はなく、安定性は良好であった。
一方、ゼータ電位の絶対値が5mV以上100mV以下の範囲外であった比較例1~4に係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、いずれも25℃にて6ヶ月保管した後、サンプル瓶底の様子を目視で確認したところ沈殿の発生があり、安定性に劣るものであった。
比較例5にかかる係る赤外線吸収材料微粒子分散液は、25℃にて6ヶ月保管した後、サンプル瓶底の様子を目視で確認したところ沈殿発生はなく、安定性は良好であったが、比較例5に係る乾燥膜には著しいブリードアウトを生じた。

Claims (5)

  1. 赤外線吸収材料微粒子と溶媒と分散剤とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液であって、
    前記赤外線吸収材料微粒子は、一般式MxWOy(ただし、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含み、
    前記溶媒は水を含み、
    前記分散剤は、アミノ基、カルボキシル基のいずれか1種以上を含む水溶性の分散剤であり、
    前記赤外線吸収材料微粒子分散液の、ゼータ電位の絶対値が5mV以上100mV以下であり、pH値が4以上7以下であることを特徴とする赤外線吸収材料微粒子分散液。
  2. 前記ゼータ電位の値が、-100mV以上-5mV以下であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線吸収材料微粒子分散液。
  3. 前記複合タングステン酸化物微粒子の粒子径が、800nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外線吸収材料微粒子分散液。
  4. 前記赤外線吸収材料微粒子分散液中に含有されている赤外線吸収材料微粒子の含有量が、0.01質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の赤外線吸収材料微粒子分散液。
  5. 赤外線吸収材料微粒子と溶媒と分散剤とを含む赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法であって、
    水を含む前記溶媒へ、一般式MxWOy(ただし、Mは、Cs、Rb、K、Tl、Baから選択される1種類以上の元素、0.1≦x≦0.5、2.2≦y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子を含む前記赤外線吸収材料微粒子を分散させて、赤外線吸収材料微粒子分散液とし、
    前記分散剤は、アミノ基、カルボキシル基のいずれか1種以上を含む水溶性の分散剤であり、
    前記赤外線吸収材料微粒子分散液の、ゼータ電位の絶対値を5mV以上100mV以下、pH値を4以上7以下とすることを特徴とする赤外線吸収材料微粒子分散液の製造方法。
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