JP7367221B2 - グラファイトシートの製造方法及びグラファイトシート用のポリイミドフィルム - Google Patents
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Description
前記無機粒子の含有量が0.05重量%以上、0.30重量%以下であり、
前記無機粒子と前記リンを含む非金属添加剤の合計リン含有量が0.055重量%以上0.097重量%以下である、グラファイトシート用のポリイミドフィルム。
特許文献1に記載のような、従来のグラファイトシート製造方法により得られるグラファイトシートは、微粘着フィルムを剥がす際に、グラファイトの層間から剥離が起こる(すなわち、一部の炭素が剥がれ落ちる)など、微粘着フィルムからの引き剥がし性に課題があった。
本発明の一態様のグラファイトシートの製造方法は、無機粒子の含有量が0.05重量%以上0.30重量%以下、かつ合計リン含有量が0.055重量%以上0.097重量%以下であるポリイミドフィルムを2400℃以上に熱処理する工程を含むものであればよい。本明細書において、「本発明の一態様のグラファイトシートの製造方法」を、「本製造方法」と称する場合がある。
炭化工程は、ポリイミドフィルムを1000℃程度の温度まで熱処理し、ポリイミドフィルムを炭素化(炭化)する工程である。炭化工程におけるポリイミドフィルムの炭化方法は特に限定されず、例えば、では、長方形状のポリイミドフィルムを積層した状態で炭化してもよく、ロール状のポリイミドフィルムをロール状のまま炭化してもよく、ロール状ポリイミドフィルムからフィルムを繰り出して連続的に炭化してもよい。中でも、ロール状ポリイミドフィルムからフィルムを繰り出して連続的に炭化する、連続炭化方式は、生産性に優れるため、好ましい。なお、炭化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしては窒素が好適に用いられる。なお、本明細書において、炭化工程により得られる炭素化したポリイミドフィルムを、炭素質フィルムと称する場合がある。
黒鉛化工程は、炭化工程で得た炭素質フィルムを2400℃以上の温度まで熱処理し、炭素質フィルムを黒鉛化する工程である。黒鉛化工程は、炭素質フィルムを熱処理し、グラファイトシートを得る工程であるとも言える。黒鉛化工程において、炭化工程で得た炭素質フィルムを熱処理する際の温度(最高温度)としては、例えば、2400℃以上、2600℃以上、2800℃以上、2900℃以上、又は3000℃以上を好ましく例示できる。上限は特に限定されないが、3300℃以下であることが好ましく、3200℃以下であることがより好ましい。黒鉛化工程において、炭化工程で得た炭素質フィルムを熱処理する際の温度(最高温度)が2400℃以上であれば、得られるグラファイトシートの熱拡散率が良好となるという利点があり、3300℃以下であれば、黒鉛化炉中の黒鉛部材の昇華を抑制できるという利点がある。なお、黒鉛化工程は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、又はヘリウムが適当である。
黒鉛化後の発泡したグラファイトシートに圧縮工程を施してもよい。圧縮工程を施すことによって、グラファイトシートに柔軟性を付与することができる。圧縮工程は、面状に圧縮する方法や、金属ロールなどを用いて圧延する方法などを用いることができる。圧縮工程は室温でおこなっても、黒鉛化工程中におこなってもかまわない。圧縮工程は、柔軟化工程とも言える。
本製造方法で得られるグラファイトシートの熱拡散率は、8.0cm2/s以上であることが好ましく、8.4cm2/s以上であることがより好ましく、8.7cm2/s以上であることがさらに好ましい。熱拡散率が8.0cm2/s以上であるグラファイトシートは、放熱性に優れるものであり、電子機器の等の優れた放熱性を要求される分野において、放熱部品として好適に利用できる。換言すると、熱拡散率が8.0cm2/s未満であるグラファイトシートは、放熱性が十分でなく、放熱部品としての使用には適さない。それゆえ、本発明の一実施形態に係るグラファイトシートとはみなさない。
以下、本発明の一実施形態に使用し得るポリイミドフィルムについて詳説する。本製造方法に用いられるグラファイトシート用のポリイミドフィルムは、酸二無水物成分と、ジアミン成分とを原料とするポリイミドフィルムであり、所定量の無機粒子とリンを含有するものである。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムの、無機粒子の含有量の下限は、0.05重量%であることが好ましく、0.08重量%であることがより好ましく、0.12重量%であることがさらに好ましい。無機粒子含有量の上限は、0.30重量%であることが好ましく、0.20重量%であることがより好ましく、0.18重量%であることがさらに好ましい。かかる範囲内であれば、最終的に得られるグラファイトシートの層間強度と熱拡散率の両方の物性が優れる。また、ポリイミドフィルムにおける無機粒子の含有量が、0.05重量%以上であれば、当該ポリイミドフィルムは搬送性に優れる。それゆえ、製造過程(例えば、炭化工程)において、当該ポリイミドフィルムに破断が生じる虞がなく、得られるグラファイトシートの収率が向上し、生産性に優れるグラファイトシートとなる。また、ポリイミドフィルムにおける無機粒子の含有量が0.30重量%未満であれば、最終的に得られるグラファイトシートの熱拡散率が優れる。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムは、後述する無機粒子とリンを含む非金属添加剤との合計リン含有量が好ましい範囲になるように、リンを含む非金属添加剤を含むことが好ましい。本発明の一実施形態において使用可能なリンを含む非金属添加剤としては、リン酸エステル類、ホスフィンオキシド類、亜リン酸エステル類、ホスフィン類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、ピロリン酸、メタリン酸、赤リン、などを挙げることができる。なかでも、リン酸エステル類、ホスフィンオキシド類、亜リン酸エステル類、ホスフィン類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、などの有機リン化合物は、ポリアミド酸やポリイミドに対して安定であるため、好ましく使用し得る。また、安定性の観点から、有機リン化合物は5価のリンを主成分とすることが好ましい。本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムがリンを含む非金属添加剤を含む場合、当該ポリイミドフィルムは、微粘着フィルムからの引き剥がし性に優れるグラファイトシートを提供できすることができ、さらに、熱拡散率に優れ、かつ、黒鉛化工程における炭素質フィルムの融着を防ぐことができるため、グラファイトシートを高い生産性で提供できる。
リンを含む非金属添加剤は、ポリイミド樹脂に対する相溶性に優れるものが、好適に用いられる。かかる添加剤であれば、ポリイミドフィルム中に良好に分散し、面内の発泡度のばらつきの少ないグラファイトシートを得ることができる。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムにおける、無機粒子とリンを含む非金属添加剤との合計リン含有量の下限は、0.055重量%であることが好ましく、0.061重量%であることがより好ましく、0.068重量%であることがさらに好ましい。無機粒子とリンを含む非金属添加剤との合計リン含有量の上限は、0.097重量%であることが好ましく、0.091重量%であることがより好ましく、0.085重量%であることがさらに好ましい。ポリイミドフィルムにおける、無機粒子とリンを含む非金属添加剤との合計リン含有量が、0.055重量%~0.097重量%であれば、最終的に得られるグラファイトシートの微粘着フィルムからの引き剥がし性が優れ、さらに、熱拡散率と層間強度にも優れる。また、特に、ポリイミドフィルムにおける、無機粒子とリンを含む非金属添加剤との合計リン含有量が、0.061重量%~0.091重量%であれば、熱拡散率と層間強度の両方の物性がより優れるという利点を有する。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムの原料として使用し得る酸二無水物成分としては、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7,-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,1-(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)及びそれらの類似物を挙げることができる。これらを任意の割合で混合することができる。酸二無水物成分としては、これら酸二無水物を単独で使用してもよく、これら酸二無水物の複数種類を任意の割合で混合することもできる。これら酸二無水物のなかでも、ピロメリット酸二無水物、または、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。かかる酸二無水物成分を使用することにより、最終的に得られるグラファイトシートの熱拡散率が良好なものとなる。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムの原料として使用し得るジアミン成分としては、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’-ジクロロベンジジン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,5-ジアミノナフタレン、4,4’-ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’-ジアミノジフェニルシラン、4,4’-ジミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’-ジアミノジフェニルN-メチルアミン、4,4’-ジアミノジフェニルN-フェニルアミン、1,3-ジアミノベンゼン、1,2-ジアミノベンゼン及びそれらの類似物を挙げることができる。これらを任意の割合で混合することができる。なかでも、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルやp-フェニレンジアミンを使用することが好ましい。かかるジアミン成分を使用することにより、最終的に得られるグラファイトシートの熱拡散率が良好なものとなる。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムの厚みは、37μm~160μmであることが好ましく、37μm~150μmであることがより好ましく、50μm~125μmであることがさらに好ましく、62μm~100μmであることがよりさらに好ましい。ポリイミドフィルムの厚みが前記範囲内であれば、熱拡散率と層間強度の両立したグラファイトシートが得られる。
本発明の一実施形態に係るポリイミドフィルムは、前駆体であるポリアミド酸をイミド化(イミド転化)することにより作製することができる。ポリイミドフィルムの作製方法において、前駆体であるポリアミド酸をイミド化方法する方法としては、例えば、前駆体であるポリアミド酸を加熱してイミド転化する熱キュア法、または、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類に代表されるイミド化促進剤を用いて前駆体であるポリアミド酸をイミド転化するケミカルキュア法、のいずれを用いてもよい。ケミカルキュア法を用いる場合のイミド化促進剤としては、上で挙げた第3級アミン類が好ましい。
ポリアミド酸の製造方法としては特に制限されないが、例えば、芳香族酸二無水物とジアミンとを実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解し、この有機溶液を酸二無水物とジアミンとの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌することによってポリアミド酸が製造され得る。重合方法としては特に制限されないが、例えば次のような重合方法(1)-(5)のいずれかが好ましい。なお、本明細書において、実質的に等モル量とは、それぞれ異なる2種類以上の物質のモル量の比率が、100:98~100:102の範囲内であることを意図する。
ポリイミドフィルム中のリンの含有量を、波長分散型蛍光X線分析装置(株式会社リガク社製 ZSX PrimusII)を用いて、リン濃度既知のポリイミドフィルムとの比率で求めた。
ポリイミドフィルムの搬送性は、後述の実施例で記述する連続炭化工程において、ポリイミドフィルムに異常が見られるかどうかに基づいて、評価をおこなった。
A:ハンドリング性・外観などに問題が見られない
B:静電気によってフィルム同士が貼り付くが、外観に問題なくハンドリング可能
C:搬送中に細かいキズやシワができ、外観収率が低下する
<連続炭化炉の汚染>
連続炭化炉の汚染は、後述の実施例で記述する連続炭化工程において、連続炭化炉の汚染の程度について評価をおこなった。
A:簡単に拭き取ることができる汚れが付着
B:有機溶剤を用いて拭き取ることができる汚れが付着
C:連続炭化中の汚れにより、フィルムに細かなキズをつける
D:連続炭化中に汚れがたまり、フィルムにキズをつけて外観収率低下
E:連続炭化中に大量に汚れがたまり、フィルムが破断する
<グラファイトシートの面方向の熱拡散率>
グラファイトシートの面方向の熱拡散率は、(株)ベテル社の「サーモウェーブアナライザTA3」を用い、30mm×30mmの形状に切り取られたグラファイトシートのサンプルについて、25℃の雰囲気下で周波数100Hzの条件下で測定することにより求めた。なおサンプルは、シートの中央部を打ち抜き、作製した。ここで、「中央部」とは、得られたグラファイトシートにおいて、幅方向において中央であって、かつ、長手方向においても中央である部分を示す。
グラファイトシートの層間強度は、以下のようにして求めた。得られたグラファイトシートの両面に、両面テープを貼り合わせ、中央部を25mm×80mmに打ち抜き、サンプルを得た。このサンプルの片面をSUS製の板に固定し、反対面の両面テープを、90°の角度を保つように剥離した。その際、グラファイトシート内部で剥離が起きた時の力を、デジタルフォースゲージ((株)イマダ社製ZTS-5N)で測定し、グラファイトシートの層間強度とした。
得られたグラファイトシートの中央部を50mm角に打ち抜き、サンプルを得た。その後、上記サンプルの重量、面積、および厚みを測定した。その重量の測定値に基づき、グラファイトシートの密度=サンプルの重量/(サンプルの面積×サンプルの厚み)の式を用いて、グラファイトシートの密度を算出した。
得られたグラファイトシートにおいて、その角の4箇所および中央の1箇所の厚みを(株)ミツトヨ製マイクロメーターを用いて測定した。ここで、「中央の1箇所」とは、得られたグラファイトシートにおいて、それぞれの角における4点の測定箇所から対角に位置する測定箇所に対角線を引いた際のその交点の位置を示す。そして、得られた厚みの測定値の平均値をグラファイトシートの厚さとした。
グラファイトシートの微粘着フィルムからの引き剥がし性の評価方法を、図1に基づいて詳説する。図1は、グラファイトシート11に張り付けた微粘着フィルム12を引張速度300mm/minで引き剥がした直後を示す図であり、微粘着フィルム12上には、剥離したグラファイト13が観察できる。まず、25mm角に打ち抜いたグラファイトシート11と、25mm角にカットした微粘着フィルム12(株式会社スミロン社製、E-203)を、ラミネーターを用いて貼り合わせた。このグラファイトシート11に張り付けた微粘着フィルム12を、剥離角度:180°で、引張速度1000mm/min、または、引張速度300mm/minの条件で引き剥がした際に、グラファイトフィルム11の層間からグラファイトの剥離が起き、剥離したグラファイト13が、引き剥がした微粘着フィルム12上に観察されるかどうかに基づいて、グラファイトシートの微粘着フィルムからの引き剥がし性を評価した。
A:引張速度1000mm/minで剥がしても、剥離したグラファイトが観察されない。
B:引張速度1000mm/minで剥がすと剥離したグラファイトが観察されるが、300mm/minで剥がしても剥離したグラファイトが観察されない。
C:引張速度300mm/minで剥がしても剥離したグラファイトが観察される。
<ポリイミドフィルムの作製方法>
4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(ODA)75モル%を溶解したジメチルホルムアミド溶液に、ピロメリット酸二無水物(PMDA)を100モル%溶解した後、p-フェニレンジアミン(PDA)25モル%を溶解して、ポリアミド酸を18.5重量%含むポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸溶液に、リン酸水素カルシウムを濃度がポリアミド酸の固形分に対して0.16重量%となるように添加した。この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、ジメチルホルムアミド、およびレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)をポリアミド酸の固形分に対して0.84重量%となるように含むイミド化触媒を添加し脱泡し、混合溶液を得た。なお、この際に用いたレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)は、リン含有率が10.5重量%、TG-DTAにおける5%重量減少温度は261℃であった。
厚み62μm、幅250mm、長さ300mのポリイミドフィルム(A-1)の巻き物を、フィルムを搬送する装置の巻き出し側にセットし、加熱処理装置に連続的に移動させながら連続炭化工程を実施した。
リン酸水素カルシウムとレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の添加量を表1に記載の量とした以外は、実施例1と同様にして、ポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
リン酸水素カルシウムに代えて、炭酸カルシウムを用い、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の添加量を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、レゾルシノール ビス(ジフェニルホスフェート)の含有量0.53重量%、合計リン含有量が0.056重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
リン酸水素カルシウムに代えて、シリカを用い、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の添加量を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、レゾルシノール ビス(ジフェニルホスフェート)の含有量0.53重量%、合計リン含有量が0.056重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
リン酸水素カルシウムに代えて、リン酸カルシウムを用い、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)の添加量を表1のとおりに変更した以外は、実施例1と同様にして、レゾルシノール ビス(ジフェニルホスフェート)の含有量0.36重量%、合計リン含有量が0.070重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)に代えて、トリフェニルホスフェート(リン含有率が9.5重量%、TG-DTAにおける5%重量減少温度は220℃)を1.30重量%添加した以外は、実施例1と同様にして、トリフェニルホスフェートの含有量0.34重量%、合計リン含有量が0.070重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)に代えて、トリフェニルホスフィンオキシド(リン含有率が11.1重量%、TG-DTAにおける5%重量減少温度は243℃)を0.80重量%添加した以外は、実施例1と同様にして、トリフェニルホスフィンオキシドの含有量0.29重量%、合計リン含有量が0.070重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)に代えて、ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)(リン含有率が9.5重量%、TG-DTAにおける5%重量減少温度は395℃)を0.40重量%添加した以外は、実施例1と同様にして、ビフェノールビス(ジフェニルホスフェート)の含有量0.34重量%、合計リン含有量が0.070重量%、厚さ62μmのポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。
ポリイミドフィルムの厚みを表1に記載の厚みとした以外は、実施例4と同様にして、ポリイミドフィルムを作製し、これを用いてグラファイトシートを作製した。なお、ポリイミドフィルムの製膜時間および、黒鉛化工程の昇温時間については、厚みに比例して焼成時間を調整した。例えば厚さ50μmのフィルムの場合には、100μmの場合よりも焼成時間を1/2に短く設定した。
Claims (18)
- 無機粒子とリンを含む非金属添加剤とを含有し、
前記無機粒子の含有量が0.05重量%以上、0.30重量%以下であり、前記無機粒子と前記リンを含む非金属添加剤の合計リン含有量が0.055重量%以上0.097重量%以下であるポリイミドフィルムを2400℃以上に熱処理する工程を含む、熱拡散率が8.0cm2/s以上であり、層間強度が100gf/inch以上であるグラファイトシートの製造方法。 - 前記無機粒子が、リン酸水素カルシウムまたはリン酸カルシウムである、請求項1に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記リンを含む非金属添加剤が、有機リン化合物である、請求項1または2に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記有機リン化合物のリンの価数が5価である、請求項3に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記リンを含む非金属添加剤が、TG-DTAの測定において、重量減少率が5%となる温度が200℃以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記グラファイトシートが、ロール状で黒鉛化されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムの厚みは、37μm~160μmである、請求項1~6のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記ポリイミドフィルムは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記グラファイトシートの厚みが、16μm~85μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 前記無機粒子と前記リンを含む非金属添加剤の合計リン含有量が0.061重量%以上0.091重量%以下である請求項1~9のいずれか一項に記載のグラファイトシートの製造方法。
- 無機粒子とリンを含む非金属添加剤とを含有し、
前記無機粒子の含有量が0.05重量%以上、0.30重量%以下であり、
前記無機粒子と前記リンを含む非金属添加剤の合計リン含有量が0.055重量%以上0.097重量%以下である、グラファイトシート用のポリイミドフィルム。 - 前記無機粒子が、リン酸水素カルシウムまたはリン酸カルシウムである、請求項11に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 前記リンを含む非金属添加剤が、有機リン化合物である、請求項11または12に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 前記有機リン化合物のリンの価数が5価である、請求項13に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 前記リンを含む非金属添加剤が、TG-DTAの測定において、重量減少率が5%となる温度が200℃以上である、請求項11~14のいずれか一項に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 厚みが37μm~160μmである、請求項11~15のいずれか一項に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを含む、請求項11~16のいずれか一項に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
- 前記無機粒子と前記リンを含む非金属添加剤の合計リン含有量が0.061重量%以上0.091重量%以下である請求項11~17のいずれか一項に記載のグラファイトシート用のポリイミドフィルム。
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