JP7363389B2 - 樹脂組成物成形体および電力ケーブル - Google Patents
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Description
プロピレンおよびスチレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、55J/g以上100J/g以下である、
樹脂組成物。
樹脂組成物から形成され、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンおよびスチレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
樹脂組成物成形体。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンおよびスチレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
電力ケーブル。
<発明者等の得た知見>
まず、発明者等の得た知見について概略を説明する。
次に、本開示の実施態様を列記して説明する。
プロピレンおよびスチレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、55J/g以上100J/g以下である。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
樹脂組成物から形成され、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンおよびスチレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
架橋剤の残渣は、300ppm未満である。
この構成によれば、樹脂組成物成形体のリサイクル性を向上させることができる。
常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である。
この構成によれば、樹脂組成物成形体を電力ケーブルの絶縁層として好適に使用することができる。
前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、前記示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する。
この構成によれば、樹脂成分の結晶量を容易に制御することができる。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンおよびスチレンを含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が2.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
電力ケーブル。
この構成によれば、ケーブル諸特性を確保することができる。
次に、本開示の一実施形態を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
(1)樹脂組成物成形体
本実施形態の樹脂組成物成形体(以下、単に成形体ともいう)は、例えば、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆されたものである。具体的には、樹脂組成物成形体は、例えば、後述する電力ケーブル10の絶縁層130を構成している。樹脂組成物成形体の対象物は、例えば、長尺な線状の導体110である。樹脂組成物成形体は、例えば、導体110の外周を覆うように押出成形されている。すなわち、樹脂組成物成形体は、例えば、対象物の長手方向に同一の形状を有している。また、対象物の長手方向の樹脂組成物成形体の長さは、例えば、30cm以上、好ましくは50cm以上である。
本実施形態の樹脂成分を構成するプロピレン系樹脂は、上述のように、プロピレンのみを含んでいる。すなわち、プロピレン系樹脂は、例えば、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)からなっている。
低結晶性樹脂は、プロピレン系樹脂の結晶成長(結晶量)を制御して樹脂組成物の成形体に柔軟性を付与する成分である。また低結晶性樹脂は、相溶化剤として、スチレン系樹脂のプロピレン系樹脂への分散性を向上させる。ここで、低結晶性樹脂とは、結晶量が低い、もしくは非晶性であって、融点を持たない、融点を持つとしても融点が100℃以下である成分を示す。その融解熱量は、例えば、50J/g以下、好ましくは30J/g以下である。
スチレン系樹脂は、ハードセグメントとしてスチレンを、ソフトセグメントとして、エチレン、プロピレン、ブチレンおよびイソプレンなどの少なくとも1つを含むスチレン系熱可塑性エラストマである。スチレン系樹脂は、低結晶性樹脂と同様、樹脂組成物に分散してプロピレン系樹脂の結晶成長を制御し、絶縁層の厚さ方向での結晶量のばらつきを抑制する成分である。また、スチレン系樹脂は、芳香環により電子をトラップして安定的な共鳴構造を形成したり、エラストマとして成形体における機械的なストレスクラックの発生を抑制したりすることで、成形体の水トリー耐性の向上にも寄与する。
本実施形態の成形体を構成する樹脂組成物は、上述したプロピレン系樹脂、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂を含む。この樹脂組成物は、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)装置により分析したときに、少なくとも、プロピレン系樹脂に由来するプロピレン単位と、スチレン系樹脂に由来するスチレン単位とを化学構造中に有する。低結晶性樹脂がEPRなどのエチレン単位を含むポリマである場合は、さらにエチレン単位を有することになる。
本実施形態の成形体は、例えば、溶融させた樹脂組成物を対象物に対して3mm以上の厚さで押出被覆し、冷却させることにより形成することができる。上述した樹脂組成物は、プロピレン系樹脂に低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂を混合しているので、溶融させた状態から冷却して固化させる際に、プロピレン系樹脂の過度な結晶成長を抑制することができる。しかも、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂の比率を調整することで、その結晶成長を適度に制御することができる。そのため、厚さが3mm以上の成形体を作製する場合であっても、その表面側と内側との間で、冷却速度の違いによる結晶成長の違いを抑制し、厚さ方向での結晶量のばらつきを抑制することができる。具体的には、成形体の表面側と内側とで、結晶量(結晶化度)の指標となる樹脂組成物の融解熱量や融点の差を小さくすることができる。
成形体を構成する樹脂組成物に含まれる各成分の比率は、上述した外側試料の融解熱量が55J/g以上100J/g以下となるよう、プロピレン系樹脂、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂のそれぞれの結晶量に応じて、適宜調整するとよい。
成形体を構成する樹脂組成物は、上述の樹脂成分のほかに、例えば、酸化防止剤、銅害防止剤、滑剤および着色剤を含んでいてもよい。
次に、図1を用い、本実施形態の電力ケーブルについて説明する。図1は、本実施形態に係る電力ケーブルの軸方向に直交する断面図である。
導体110は、例えば、純銅、銅合金、アルミニウム、またはアルミニウム合金等を含む複数の導体芯線(導電芯線)を撚り合わせることにより構成されている。
内部半導電層120は、導体110の外周を覆うように設けられている。また、内部半導電層120は、半導電性を有し、導体110の表面側における電界集中を抑制するよう構成されている。内部半導電層120は、例えば、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-ブチルアクリレート共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体等のエチレン系共重合体、オレフィン系エラストマ、上述の低結晶性樹脂などのうち少なくともいずれかと、導電性のカーボンブラックと、を含んでいる。
絶縁層130は、内部半導電層120の外周を覆うように設けられ、上述した樹脂組成物成形体として構成されている。絶縁層130は、例えば、上述のように、樹脂組成物により押出成形されている。
外部半導電層140は、絶縁層130の外周を覆うように設けられている。また、外部半導電層140は、半導電性を有し、絶縁層130と遮蔽層150との間における電界集中を抑制するよう構成されている。外部半導電層140は、例えば、内部半導電層120と同様の材料により構成されている。
遮蔽層150は、外部半導電層140の外周を覆うように設けられている。遮蔽層150は、例えば、銅テープを巻回することにより構成されるか、或いは、複数の軟銅線等を巻回したワイヤシールドとして構成されている。なお、遮蔽層150の内側や外側に、ゴム引き布等を素材としたテープが巻回されていてもよい。
シース160は、遮蔽層150の外周を覆うように設けられている。シース160は、例えば、ポリ塩化ビニルまたはポリエチレンにより構成されている。
電力ケーブル10における具体的な各寸法としては、特に限定されるものではないが、例えば、導体110の直径は5mm以上60mm以下であり、内部半導電層120の厚さは0.5mm以上3mm以下であり、絶縁層130の厚さは3mm以上35mm以下であり、外部半導電層140の厚さは0.5mm以上3mm以下であり、遮蔽層150の厚さは0.1mm以上5mm以下であり、シース160の厚さは1mm以上である。本実施形態の電力ケーブル10に適用される交流電圧は、例えば20kV以上である。
本実施形態では、絶縁層130(樹脂組成物成形体)の融点および融解熱量をそれぞれ所定の範囲内としつつ、絶縁層130の厚さ方向に対する融点および融解熱量のそれぞれのばらつきを小さくすることで、以下のケーブル諸特性が確保されている。
本実施形態では、常温(例えば27℃)における絶縁層130の交流破壊電界強度は、例えば、60kV/mm以上である。より具体的には、常温において、0.2mm厚の内側試料に対して商用周波数(例えば60Hz)の交流電圧を10kVで10分課電した後、1kVごとに昇圧し10分課電することを繰り返す条件下で印加したときの、交流破壊電界は、60kV/mm以上である。
本実施形態では、例えば、JISK7216に準拠して、内側試料を-25℃で衝撃具により衝撃を与えた(殴打した)ときに割れを生じない。
本実施形態では、内側試料の引張弾性率は、例えば、1200MPa以下である。なお、「引張弾性率」とは、IT計測制御社製のDVA-200を用い、引張モードにて10℃/分の昇温速度で昇温する測定を、-50℃から200℃まで実施し、30℃で記録した貯蔵弾性率のことを意味する。
本実施形態では、絶縁層130としての樹脂組成物成形体を、常温(27℃)の1規定NaCl水溶液中に浸漬した状態で、樹脂組成物成形体に対して商用周波数(例えば60Hz)4kV/mmの交流電界を1000時間印加したときに、樹脂組成物成形体中に発生する水トリーの最大長さは、例えば、150μm未満である。これにより、水トリーに起因した絶縁層130の絶縁破壊を安定的に抑制することができる。
次に、本実施形態の電力ケーブルの製造方法について説明する。以下、ステップを「S」と略す。
まず、成形体を形成するための樹脂組成物を準備する。
一方で、複数の導体芯線を撚り合わせることにより形成された導体110を準備する。
樹脂組成物準備工程S100および導体準備工程S200が完了したら、上述の樹脂組成物を、導体110の外周を3mm以上の厚さで被覆するように押出し、冷却させることにより、絶縁層130を形成する。
ケーブルコアを形成したら、外部半導電層140の外側に、例えば銅テープを巻回することにより遮蔽層150を形成する。
遮蔽層150を形成したら、押出機に塩化ビニルを投入して押出すことにより、遮蔽層150の外周に、シース160を形成する。
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果を奏する。
以上、本開示の実施形態について具体的に説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
本実施例では、以下の手順により電力ケーブルを作製した。
絶縁層を形成するための樹脂組成物の材料として、以下の成分を準備した。
ホモポリプロピレン(アイソタクチック):メルトフローレート:0.5g/10min、密度:0.9g/ml
(b1)エチレンプロピレンゴム(EPR):エチレン含有量:52質量%、ムーニー粘度ML(1+4)100℃:40
(b2)超低密度ポリエチレン(エチレンおよび1-ブテンの共重合体、VLDPE1):1-ブテン含有量:40質量%、融点:95℃、密度:0.88g/ml、ショアA硬度:66
(b3)超低密度ポリエチレン(エチレンおよび1-オクテンの共重合体、VLDPE2):1-オクテン含有量:10質量%、融点:55℃、密度:0.87g/ml、ショアA硬度:70
(c1)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS1):スチレン含有量:35質量%、硬度:A35、メルトフローレート:0g/10min(230℃、2.16kg)
(c2)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS2):スチレン含有量:30質量%、硬度:A84、メルトフローレート:5g/10min(230℃、2.16kg)
(c3)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS3):スチレン含有量:20質量%、硬度:A67、メルトフローレート:13g/10min(230℃、2.16kg)
(c4)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS4):スチレン含有量:12質量%、硬度:A42、メルトフローレート:4.5g/10min(230℃、2.16kg)
(c5)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS5):スチレン含有量:42質量%、硬度:A96、メルトフローレート:0.8g/10min(190℃、2.16kg)
(c6)水添スチレン系熱可塑性エラストマ(SEBS6):スチレン含有量:47質量%、硬度:A93、メルトフローレート:3g/10min(190℃、2.16kg)
上述した材料を下記表1に示す配合でバンバリーミキサによって混合し、押出機によりペレット状に造粒した。
サンプル1では、ホモポリマであるプロピレン系樹脂(A)を70質量部、低結晶性樹脂(B)として(b1)EPRを10質量部、スチレン系樹脂(C)としてスチレン含有量が20質量%である(c3)SEBS3を20質量部混合し、スチレン総量が4.0質量%となるように樹脂組成物を調製した。また、サンプル2、3では、低結晶性樹脂(B)の種類を(b1)から(b2)および(b3)に変更した以外はサンプル1と同様に樹脂組成物を調製した。
サンプル4~6では、スチレン系樹脂(C)の種類を、(c3)から(c1)、(c2)または(c4)のいずれかに変更した以外はサンプル2と同様に樹脂組成物を調製した。
サンプル7、8では、プロピレン系樹脂(A)、低結晶性樹脂(B)およびスチレン系樹脂(C)の比率を変更した以外はサンプル1と同様に樹脂組成物を調製した。
サンプル9では、スチレン系樹脂(C)を添加せずに、プロピレン系樹脂(A)を75質量部、低結晶性樹脂(B)を25質量部とした以外はサンプル1と同様に樹脂組成物を調製した。
サンプル10、11では、スチレン系樹脂(C)の種類を(c3)から(c5)または(c6)に変更した以外はサンプル1と同様に樹脂組成物を調製した。
サンプル12、13では、プロピレン系樹脂(A)、低結晶性樹脂(B)およびスチレン系樹脂(C)の比率を、成形体の融点や融解熱量が上述した範囲から外れるように設定した以外はサンプル1と同様に樹脂組成物を調製した。
次に、断面積が100mm2の導体を準備した。導体を準備したら、エチレン-エチルアクリレート共重合体を含む内部半導電層用樹脂組成物と、上述の(1-2)で準備した絶縁層用の樹脂組成物と、内部半導電層用樹脂組成物と同様の材料からなる外部半導電層樹脂組成物と、をそれぞれ押出機A~Cに投入した。押出機A~Cからのそれぞれの押出物をコモンヘッドに導き、導体の外周に、内側から外側に向けて、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層を同時に押出した。このとき、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層の厚さを、それぞれ、0.5mm、3.5mm、0.5mmとした。その結果、中心から外周に向けて、導体、内部半導電層、絶縁層および外部半導電層を有する電力ケーブルを製造した。
本実施例では、作製した電力ケーブルの絶縁層について、以下の項目を評価した。
まず、サンプル1~13の電力ケーブルの絶縁層を桂剥きし、絶縁層の表面から導体に向かって深さ0.5mmの箇所での試料片を外側試料として採取した。また、導体から表面に向かって0.5mmの箇所、つまり、表面から導体に向かって深さ2.5mmの箇所での試料片を内側試料として採取した。外側試料および内側試料のそれぞれの厚さは0.5mmとした。
JISK7216に準拠して、内側試料を-25℃で衝撃具により衝撃を与えた(殴打した)。このときに割れの有無を目視で確認した。その結果、割れが無かった場合を「A(良好)」とし、割れが有った場合を「B(不良)」とした。
IT計測制御社製のDVA-200を用い、引張モードにて10℃/分の昇温速度で昇温する測定を、-50℃から200℃まで実施し、30℃で貯蔵弾性率を記録した。その結果、引張弾性率が1000MPa以下である場合を、良好として評価した。
AC破壊強度は、交流破壊試験により求めた。具体的には、まず、0.5mm厚の内側試料を0.2mm厚に切り出した。その後、常温(27℃)において、0.2mm厚の内側試料に対して商用周波数(例えば60Hz)の交流電圧を10kVで10分課電した後、1kVごとに昇圧し10分課電することを繰り返す条件下で印加した。内側試料が絶縁破壊したときの電界強度を測定した。その結果、交流破壊強度が60kV/mm以上である場合を、良好として評価した。
内側試料を500mmの直径で折り曲げ、内側試料の白化を目視で確認した。その結果、白化していなかった場合を「A(良好)」とし、白化していた場合を「B(不良)」とした。
水トリー耐性は、以下の試験により評価した。
評価結果を表1にまとめる。
以下、本開示の好ましい態様を付記する。
プロピレンおよびスチレンを含み、
融点は、158℃以上168℃以下であり、
融解熱量は、55J/g以上100J/g以下である、
樹脂組成物。
樹脂組成物から形成され、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
プロピレンおよびスチレンを含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記表面に向けた位置が2.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
樹脂組成物成形体。
付記2において、
架橋剤の残渣は、300ppm未満である。
付記2又は3において、
常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である。
付記2~4のいずれかにおいて、
前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、前記示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する。
付記2~5のいずれかにおいて、
前記樹脂組成物は、プロピレン系樹脂、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂を含み、
前記プロピレン系樹脂は、融解熱量が100J/g以上120J/g以下であり、融点が160℃以上175℃以下であり、
前記低結晶性樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセンおよびオクテンのうちの少なくとも2つを含む共重合体である。
付記6において、
前記樹脂組成物は、前記プロピレン系樹脂を55質量%以上85質量%以下、前記低結晶性樹脂を5質量%以上15質量%以下、前記スチレン系樹脂を5質量%以上35質量%以下、含む。
付記6または7において、
前記スチレン系樹脂は、スチレン含有量が5質量%以上35質量%以下である。
付記6~8のいずれかにおいて、
前記樹脂組成物におけるスチレン総量が0.5質量%以上8質量%以下である。
付記6~9のいずれかにおいて、
前記プロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体である。
導体と、
前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記絶縁層は、プロピレンおよびスチレンを含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
電力ケーブル。
110 導体
120 内部半導電層
130 絶縁層
140 外部半導電層
150 遮蔽層
160 シース
Claims (7)
- 樹脂組成物から形成され、対象物に対して3mm以上の厚さで被覆される成形体であって、
前記樹脂組成物は、プロピレン系樹脂、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂を含み、
前記プロピレン系樹脂は、融点が160℃以上175℃以下、かつ融解熱量が100J/g以上120J/g以下であり、
前記低結晶性樹脂は、融点を持たない、もしくは融点が100℃以下、かつ融解熱量が50J/g以下であるエチレンプロピレンゴムまたは超低密度ポリエチレンであり、
前記プロピレン系樹脂を55質量%以上85質量%以下、前記低結晶性樹脂を5質量%以上15質量%以下、前記スチレン系樹脂を5質量%以上35質量%以下、含み、
前記成形体の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記成形体の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
前記対象物とは反対の前記成形体の表面から前記対象物に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記対象物から前記対象物とは反対の前記成形体の表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
樹脂組成物成形体。 - 常温における交流破壊電界は、60kV/mm以上である、
請求項1に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記外側試料および前記内側試料のそれぞれは、示差走査熱量測定を行ったDSC曲線において、100℃以上に単一の融解ピークのみを有する、
請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記スチレン系樹脂は、スチレン含有量が5質量%以上35質量%以下である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記樹脂組成物におけるスチレン総量が0.5質量%以上8質量%以下である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 前記プロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体である、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の樹脂組成物成形体。 - 導体と、
樹脂組成物から形成され、前記導体の外周に3mm以上の厚さで被覆された絶縁層と、
を備え、
前記樹脂組成物は、
プロピレン系樹脂、低結晶性樹脂およびスチレン系樹脂を含み、
前記プロピレン系樹脂は、融点が160℃以上175℃以下、かつ融解熱量が100J/g以上120J/g以下であり、
前記低結晶性樹脂は、融点を持たない、もしくは融点が100℃以下、かつ融解熱量が50J/g以下であるエチレンプロピレンゴムまたは超低密度ポリエチレンであり、
前記プロピレン系樹脂を55質量%以上85質量%以下、前記低結晶性樹脂を5質量%以上15質量%以下、前記スチレン系樹脂を5質量%以上35質量%以下、含み、
前記絶縁層の融点は、158℃以上168℃以下であり、
前記絶縁層の融解熱量は、55J/g以上100J/g以下であり、
前記絶縁層の表面から前記導体に向けた位置が0.5mmである外側試料と、前記導体から前記表面に向けた位置が0.5mmである内側試料と、を採取したときに、
前記内側試料の融点から前記外側試料の融点を引いた差の絶対値は、8℃以下であり、
前記内側試料の融解熱量から前記外側試料の融解熱量を引いた差の絶対値は、10J/g以下である、
電力ケーブル。
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