以下、添付図面を参照して、X線CTシステム及び医用処理装置の実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係るX線CTシステム及び医用処理装置は、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照しながら、第1の実施形態に係るX線CTシステム10の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係るX線CTシステム10の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、X線CTシステム10は、架台装置110と、寝台装置130と、コンソール装置140とを有する。なお、X線CTシステム10は、X線CT装置又はX線CTスキャナとも呼ばれる。
図1においては、非チルト状態での回転フレーム113の回転軸又は寝台装置130の天板133の長手方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向とする。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とする。なお、図1は、説明のために架台装置110を複数方向から描画したものであり、X線CTシステム10が架台装置110を1つ有する場合を示す。
架台装置110は、X線管111と、X線検出器112と、回転フレーム113と、X線高電圧装置114と、制御装置115と、ウェッジ116と、コリメータ117と、DAS118とを有する。
X線管111は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。X線管111は、X線高電圧装置114からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することで、被検体P1に対し照射するX線を発生する。
X線検出器112は、X線管111から照射されて被検体P1を通過したX線を検出し、検出したX線量に対応した信号をDAS118へと出力する。X線検出器112は、例えば、X線管111の焦点を中心とした1つの円弧に沿ってチャンネル方向(チャネル方向)に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。X線検出器112は、例えば、チャネル方向に複数の検出素子が配列された検出素子列が列方向(スライス方向、row方向)に複数配列された構造を有する。
例えば、X線検出器112は、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。なお、グリッドはコリメータ(1次元コリメータ又は2次元コリメータ)と呼ばれる場合もある。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、フォトダイオード等の光センサを有する。なお、X線検出器112は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
回転フレーム113は、X線管111とX線検出器112とを対向支持し、制御装置115によってX線管111とX線検出器112とを回転させる円環状のフレームである。例えば、回転フレーム113は、アルミニウムを材料とした鋳物である。なお、回転フレーム113は、X線管111及びX線検出器112に加えて、X線高電圧装置114やウェッジ116、コリメータ117、DAS118等を更に支持することもできる。更に、回転フレーム113は、図1において図示しない種々の構成を更に支持することもできる。以下では、架台装置110において、回転フレーム113、及び、回転フレーム113と共に回転移動する部分を、回転部とも記載する。
X線高電圧装置114は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管111に印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、X線管111が発生するX線に応じた出力電圧の制御を行なうX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置114は、回転フレーム113に設けられてもよいし、図示しない固定フレームに設けられても構わない。
制御装置115は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置115は、入力インターフェース143からの入力信号を受けて、架台装置110及び寝台装置130の動作制御を行なう。例えば、制御装置115は、回転フレーム113の回転や架台装置110のチルト、寝台装置130の動作等について制御を行なう。一例を挙げると、制御装置115は、架台装置110をチルトさせる制御として、入力された傾斜角度(チルト角度)情報により、X軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム113を回転させる。なお、制御装置115は架台装置110に設けられてもよいし、コンソール装置140に設けられてもよい。
ウェッジ116は、X線管111から照射されたX線量を調節するためのX線フィルタである。具体的には、ウェッジ116は、X線管111から被検体P1へ照射されるX線が予め定められた分布になるように、X線管111から照射されたX線を減衰させるX線フィルタである。例えば、ウェッジ116は、ウェッジフィルタ(wedge filter)やボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウム等を加工して作製される。
コリメータ117は、ウェッジ116を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。なお、コリメータ117は、X線絞りと呼ばれる場合もある。また、図1においては、X線管111とコリメータ117との間にウェッジ116が配置される場合を示すが、X線管111とウェッジ116との間にコリメータ117が配置される場合であってもよい。この場合、ウェッジ116は、X線管111から照射され、コリメータ117により照射範囲が制限されたX線を透過して減衰させる。
DAS118は、X線検出器112が有する各検出素子によって検出されるX線の信号を収集する。例えば、DAS118は、各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行なう増幅器と、電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、検出データを生成する。DAS118は、例えば、プロセッサにより実現される。
DAS118が生成したデータは、回転フレーム113に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する送信機から、光通信によって、架台装置110の非回転部分(例えば、固定フレーム等。図1での図示は省略している)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置140へと転送される。ここで、非回転部分とは、例えば、回転フレーム113を回転可能に支持する固定フレーム等である。なお、回転フレーム113から架台装置110の非回転部分へのデータの送信方法は、光通信に限らず、非接触型の如何なるデータ伝送方式を採用してもよいし、接触型のデータ伝送方式を採用しても構わない。
寝台装置130は、スキャン対象の被検体P1を載置、移動させる装置であり、基台131と、寝台駆動装置132と、天板133と、支持フレーム134とを有する。基台131は、支持フレーム134を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置132は、被検体P1が載置された天板133を、天板133の長軸方向に移動する駆動機構であり、モータ及びアクチュエータ等を含む。支持フレーム134の上面に設けられた天板133は、被検体P1が載置される板である。なお、寝台駆動装置132は、天板133に加え、支持フレーム134を天板133の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置140は、メモリ141と、ディスプレイ142と、入力インターフェース143と、処理回路144とを有する。なお、コンソール装置140は架台装置110とは別体として説明するが、架台装置110にコンソール装置140又はコンソール装置140の各構成要素の一部が含まれてもよい。
メモリ141は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ141は、被検体P1に対するスキャンを実行することで収集される各種のデータを記憶する。また、例えば、メモリ141は、X線CTシステム10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ141は、X線CTシステム10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ142は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ142は、処理回路144により生成された表示用のCT画像を表示したり、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示したりする。例えば、ディスプレイ142は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ142は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置140本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース143は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路144に出力する。例えば、入力インターフェース143は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから表示用のCT画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。例えば、入力インターフェース143は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース143は、架台装置110に設けられてもよい。また、入力インターフェース143は、コンソール装置140本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース143は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置140とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路144へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース143の例に含まれる。
処理回路144は、スキャン機能144a、処理機能144b、及び制御機能144cを実行することで、X線CTシステム10全体の動作を制御する。なお、スキャン機能144aは、スキャン部の一例である。また、処理機能144bは、処理部の一例である。
例えば、処理回路144は、スキャン機能144aに相当するプログラムをメモリ141から読み出して実行することにより、被検体P1に対するスキャンを実行する。例えば、スキャン機能144aは、被検体P1に対して、位置決め撮影や本スキャンといった各種のスキャンを実行する。
ここで、位置決め撮影については、2次元で実行されてもよいし、3次元で実行されてもよい。本実施形態では一例として、2次元の位置決め撮影を実行する場合について説明する。この場合、スキャン機能144aは、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させないで、X線管111の位置及び被検体P1の少なくともいずれかを被検体P1の体軸方向(図1に示すZ軸方向)に沿って移動させながら、位置決め撮影を実行する。
例えば、スキャン機能144aは、X線管111の位置を所定の回転角度に固定し、天板133をZ軸方向に移動させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射させる。また、スキャン機能144aによって位置決め撮影が実行される間、DAS118は、X線検出器112における各検出素子からX線の信号を収集し、検出データを生成する。また、スキャン機能144aは、DAS118から出力された検出データに対して前処理を施す。例えば、スキャン機能144aは、DAS118から出力された検出データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。なお、前処理を施した後のデータについては生データとも記載する。また、前処理を施す前の検出データ及び前処理を施した後の生データを総称して、投影データとも記載する。
即ち、スキャン機能144aは、X線管111の位置を所定の回転角度に固定し、天板133をZ軸方向に移動させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射させることで、被検体P1の体軸方向における複数の位置それぞれについて投影データを収集する。以下では、複数の投影データをまとめて、投影データセットとも記載する。即ち、スキャン機能144aは、位置決め撮影を実行することにより、投影データセットを収集する。
また、処理回路144は、処理機能144bに相当するプログラムをメモリ141から読み出して実行することにより、スキャン結果に基づいて画像データを生成する。例えば、処理機能144bは、位置決め撮影により収集された投影データセットに基づいて位置決め画像データを生成する。なお、位置決め画像データは、スキャノ画像データやスカウト画像データと呼ばれる場合もある。
また、本スキャンについては、例えば、コンベンショナルスキャンの方式で実行されてもよいし、ヘリカルスキャンの方式で実行されてもよいし、ステップアンドシュート方式で実行されてもよい。
コンベンショナルスキャンの方式で本スキャンを実行する場合、スキャン機能144aは、X線管111の位置及び被検体P1を体軸方向に沿って移動させないで、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させながら、本スキャンを実行する。例えば、スキャン機能144aは、天板133を停止させた状態で、X線管111を被検体P1の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射させる。
また、ヘリカルスキャンの方式で本スキャンを実行する場合、スキャン機能144aは、X線管111の位置及び被検体P1を体軸方向に沿って移動させるとともに、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させながら、本スキャンを実行する。例えば、スキャン機能144aは、天板133をZ軸方向に移動させるとともに、X線管111を被検体P1の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射させる。
ステップアンドシュート方式で本スキャンを実行する場合、スキャン機能144aは、まず、X線管111の位置及び被検体P1を体軸方向に沿って移動させないで、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させながら、本スキャンを実行する。例えば、スキャン機能144aは、天板133を停止させた状態で、X線管111を被検体P1の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射させる。次に、スキャン機能144aは、X線管111からのX線の照射を停止させた状態で、天板133をZ軸方向に移動させる。そして、スキャン機能144aは、天板133を停止させた状態で、X線管111を被検体P1の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を再度照射させる。
スキャン機能144aによって本スキャンが実行される間、DAS118は、X線検出器112における各検出素子からX線の信号を収集し、検出データを生成する。また、スキャン機能144aは、DAS118から出力された検出データに対して、対数変換処理やオフセット補正処理、チャンネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施す。
即ち、スキャン機能144aは、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させながらX線を被検体P1に照射することで、複数の照射方向(ビュー)のそれぞれについて投影データを収集する。即ち、スキャン機能144aは、本スキャンを実行することにより、投影データセットを収集する。
また、処理機能144bは、本スキャンにより収集された投影データセットに基づいて、CT画像データ(ボリュームデータ)を生成する。例えば、処理機能144bは、投影データセットに基づいて、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法等を用いた再構成処理を行なうことにより、CT画像データを生成する。また、処理機能144bは、AIによる再構成処理を行なってCT画像データを生成することもできる。例えば、処理機能144bは、DLR(Deep Learning Reconstruction)法により、CT画像データを生成する。
ここで、処理機能144bは、CT画像データについての補正を行なう。具体的には、処理機能144bは、学習済みモデルM1に対して、位置決め撮影により収集された位置決め画像データ及び本スキャンにより収集されたCT画像データを入力することにより、CT画像データについて補正を行なう。なお、学習済みモデルM1を用いた補正については後述する。
また、処理回路144は、制御機能144cに対応するプログラムをメモリ141から読み出して実行することにより、ディスプレイ142における表示の制御を行なう。例えば、制御機能144cは、処理機能144bにより生成された位置決め画像データやCT画像データを、公知の方法により表示用画像に変換する。一例を挙げると、制御機能144cは、入力インターフェース143を介してユーザから受け付けた入力操作等に基づいて、CT画像データを任意断面の断層像データや3次元画像データ等に変換する。そして、制御機能144cは、変換した表示用画像をディスプレイ142に表示させる。また、制御機能144cは、ネットワークを介して各種のデータを送信する。一例を挙げると、制御機能144cは、処理機能144bにより生成された位置決め画像データやCT画像データを、図示しない画像保管装置に送信して保管させる。
図1に示すX線CTシステム10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ141へ記憶されている。処理回路144は、メモリ141からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路144は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図1においては単一の処理回路144にて、スキャン機能144a、処理機能144b、及び制御機能144cが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路144を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路144が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、処理回路144は、ネットワークを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路144は、メモリ141から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線CTシステム10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図1に示す各機能を実現する。
以上、X線CTシステム10の構成例について説明した。かかる構成の下、X線CTシステム10における処理回路144は、以下詳細に説明する処理によって、CT画像データの質を向上させる。
まず、処理機能144bは、学習済みモデルM1を生成してメモリ141に格納する。即ち、処理機能144bは、被検体P1に対する位置決め撮影及び本スキャンに先立って、学習済みモデルM1の生成処理を行なう。以下、処理機能144bによる学習済みモデルM1の生成処理について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る学習済みモデルM1の生成処理について説明するための図である。
図2に示す画像データC11、画像データC12及び画像データC13は、被検体P1や、被検体P1と異なる被検体P2、人体を模したファントム等をスキャンすることで収集された画像データである。画像データC11、画像データC12及び画像データC13は、X線CTシステム10において収集された画像データであってもよいし、他のシステムにおいて収集された画像データであってもよい。なお、以下では一例として、X線CTシステム10において被検体P2をスキャンすることにより、画像データC11、画像データC12及び画像データC13を収集するものとして説明する。
例えば、X線CTシステム10は、被検体P2についてスキャンA11を実行することで、画像データC11を収集する。一例を挙げると、まず、スキャン機能144aは、X線管111の位置を所定の回転角度に固定し、天板133をZ軸方向に移動させながら、X線管111から被検体P2に対してX線を照射させることで、被検体P2の体軸方向における複数の位置それぞれについて投影データを収集する。以下、スキャンA11により収集された複数の投影データを、投影データセットB11と記載する。そして、処理機能144bは、収集された投影データセットB11に基づいて、図2に示す画像データC11を生成する。即ち、画像データC11は、2次元のスキャンにより収集された2次元画像データである。一例を挙げると、画像データC11は、被検体P2に対する検査において、位置決め撮影により収集された位置決め画像データである。
また、例えば、X線CTシステム10は、被検体P2についてスキャンA12を実行することで、画像データC12を収集する。一例を挙げると、まず、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1のX線を被検体P2に照射することで、複数のビューのそれぞれについて投影データを収集する。以下、スキャンA12により収集された複数の投影データを、投影データセットB12と記載する。そして、処理機能144bは、収集された投影データセットB12に基づく再構成処理を実行することにより、図2に示す画像データC12を生成する。即ち、画像データC12は、3次元のスキャンにより収集された3次元画像データである。一例を挙げると、画像データC12は、被検体P2に対する検査において、本スキャンにより収集されたCT画像データである。
また、例えば、X線CTシステム10は、被検体P2についてスキャンA13を実行することで、画像データC13を収集する。一例を挙げると、まず、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X2のX線を被検体P2に照射することで、複数のビューのそれぞれについて投影データを収集する。ここで、線量X2は、線量X1よりも高い線量である。以下、スキャンA13により収集された複数の投影データを、投影データセットB13と記載する。そして、処理機能144bは、収集された投影データセットB13に基づく再構成処理を実行することにより、図2に示す画像データC13を生成する。即ち、画像データC13は、3次元のスキャンにより収集された3次元画像データである。一例を挙げると、画像データC13は、被検体P2に対する検査において、本スキャンにより収集されたCT画像データである。
また、画像データC13は、画像データC12と比較して、高線量のX線を用いて収集された画像データである。即ち、画像データC13は、高線量のX線を用いて収集された質の高い画像データである。例えば、画像データC13においては、画像データC12と比較して、アーチファクトやノイズが低減されている。
処理機能144bは、図2に示す画像データC11及び画像データC12を入力側データ、画像データC13を出力側データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM1を生成する。ここで、学習済みモデルM1は、例えば、ニューラルネットワーク(Neural Network)により構成することができる。
ニューラルネットワークとは、層状に並べた隣接層間が結合した構造を有し、情報が入力層側から出力層側に伝播するネットワークである。例えば、処理機能144bは、画像データC11、画像データC12及び画像データC13を用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習(ディープラーニング)を実行することで、学習済みモデルM1を生成する。なお、多層のニューラルネットワークは、例えば、入力層と、複数の中間層(隠れ層)と、出力層とにより構成される。
一例を挙げると、処理機能144bは、画像データC11及び画像データC12を入力側データとして、ニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、画像データC13を推定した画像データが出力される。即ち、ニューラルネットワークにおいては、画像データC12の質を向上させる処理が行われ、出力層からは、画像データC12より質の高い画像データC13を推定した画像データが出力される。なお、入力層側から出力層側に向かって一方向に情報が伝播するニューラルネットワークについては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convlutional Neural Network)とも呼ばれる。
処理機能144bは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM1を生成する。例えば、処理機能144bは、画像データ間の近さを表す関数(誤差関数)を用いて、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。
一例を挙げると、処理機能144bは、画像データC13と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の近さを示す誤差関数E1を算出する。また、処理機能144bは、画像データC11と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の整合性を示す誤差関数E2を算出する。例えば、処理機能144bは、ニューラルネットワークが推定した画像データを、画像データC11を収集した際のX線照射方向に応じて順投影することで、2次元の画像データC14を生成する。また、処理機能144bは、生成した画像データC14と画像データC11とについて、画像データ間の近さを示す誤差関数E2を算出する。
更に、処理機能144bは、算出した誤差関数が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。例えば、処理機能144bは、誤差関数E1と誤差関数E2との和が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。これにより、処理機能144bは、2次元の画像データ及び3次元の画像データの入力を受け付けて、入力された3次元の画像データの質を向上させるように機能付けられた学習済みモデルM1を生成する。また、処理機能144bは、生成した学習済みモデルM1を、メモリ141に記憶させる。
そして、被検体P1に対するスキャンが実行された際、処理機能144bは、メモリ141から学習済みモデルM1を読み出し、読み出した学習済みモデルM1を用いて、被検体P1から収集されたCT画像データの質を向上させる。以下、被検体P1に対して実行されるスキャン、及び、学習済みモデルM1を用いたCT画像データの補正処理について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る学習済みモデルM1の使用例を示す図である。
まず、スキャン機能144aは、スキャンA21を実行する。具体的には、スキャン機能144aは、図3に示すように、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させないで、X線管111の位置を被検体P1に対して相対的に移動させながら、被検体P1に対してX線を照射させる。これにより、スキャン機能144aは、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R1にX線を照射して、投影データセットB21を収集する。例えば、スキャン機能144aは、X線管111の位置を所定の回転角度に固定し、天板133をZ軸方向に移動させて、投影データセットB21を収集する。また、処理機能144bは、スキャンA21により収集された投影データセットB21に基づいて、2次元の画像データC21を生成する。
なお、スキャンA21は、第1スキャンの一例である。また、範囲R1は、第1の範囲の一例である。また、投影データセットB21は、第1投影データセットの一例である。また、画像データC21は、第1画像データの一例である。処理機能144bは、投影データセットB21の全部を用いて画像データC21を生成してもよいし、投影データセットB21の一部を用いて画像データC21を生成してもよい。
次に、制御機能144cは、画像データC21に基づく参照画像をディスプレイ142に表示させる。また、制御機能144cは、参照画像を参照したユーザからの入力操作を受け付けることで、スキャンA22のスキャン範囲である範囲R2を設定する。なお、スキャンA22は、第2スキャンの一例である。また、範囲R2は、第2の範囲の一例である。
上述したように、範囲R2は、投影データセットB21の少なくとも一部に基づいて生成され、ディスプレイ142に表示された位置決め画像データに対する操作により設定される。即ち、スキャンA21は、範囲R2を設定するための位置決め撮影である。従って、スキャンA21の範囲R1は、診断対象の臓器等を含むように、比較的広域に設定されることが好ましい。範囲R2は、範囲R1において設定されるものであるため、通常は図3に示すように、範囲R1より狭い範囲となる。
次に、スキャン機能144aは、参照画像に設定された範囲R2に対して、スキャンA22を実行する。具体的には、スキャン機能144aは、図3に示すように、X線管111の位置を被検体P1の周囲で回転させながら、被検体P1に対してX線を照射させる。これにより、スキャン機能144aは、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R2にX線を照射して、投影データセットB22を収集する。例えば、スキャン機能144aは、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、ステップアンドシュートといった方式のスキャンを実行することで、投影データセットB22を収集する。なお、投影データセットB22は、第2投影データセットの一例である。
また、処理機能144bは、スキャンA22により収集された投影データセットB22に基づいて、3次元の画像データC22を生成する。なお、画像データC22は、第2画像データの一例である。例えば、処理機能144bは、投影データセットB22に基づいて、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法、DLR法といった再構成処理を実行することにより、3次元の画像データC22を再構成する。即ち、スキャンA22は、CT画像データ(ボリュームデータ)を収集するための本スキャンである。
なお、スキャン機能144aは、被検体P1の心拍又は呼吸の周期に応じて、スキャンA21とスキャンA22とを同期させて実行することとしてもよい。即ち、スキャン機能144aは、心拍又は呼吸による周期的な動きによってスキャンA21とスキャンA22との間の位置ずれが生じないように、スキャンA21とスキャンA22とを同期させて実行することとしてもよい。
例えば、スキャン機能144aは、スキャンA21及びスキャンA22と並行して、被検体P1の心電波形を取得する。例えば、スキャン機能144aは、被検体P1に装着した心電計により、被検体P1の心電波形を取得する。そして、スキャン機能144aは、スキャンA21における心電波形に対して、スキャンA22における心電波形の位相が一致するように、スキャンA22を実行する。
また、例えば、スキャン機能144aは、スキャンA21及びスキャンA22と並行して、被検体P1の呼吸波形を取得する。例えば、スキャン機能144aは、呼吸センサにより被検体P1の呼吸波形を取得する。一例を挙げると、スキャン機能144aは、呼吸センサとして、レーザ発生器と受光器を用いて呼吸波形を取得する。具体的には、スキャン機能144aは、被検体P1の腹部表面からの反射光の信号を処理し、レーザ照射から反射光受光までの時間又は反射光信号の位相変化に基づいて、レーザ発生器と被検体の腹部表面との間の距離をリアルタイムに繰り返し演算することで、呼吸波形を取得する。なお、呼吸センサの例はこれに限定されるものではなく、スキャン機能144aは、例えば、被検体P1の腹部に装着された圧力センサや、被検体P1を撮影する光学カメラ等により、呼吸波形を取得することとしても構わない。そして、スキャン機能144aは、スキャンA21における呼吸波形に対して、スキャンA22における呼吸波形の位相が一致するように、スキャンA22を実行する。
また、処理機能144bは、スキャンA21により収集された投影データセットB21と、スキャンA22により収集された投影データセットB22との位置合わせを行なうこととしてもよい。或いは、処理機能144bは、スキャンA21により収集された画像データC21と、スキャンA22により収集された画像データC22との位置合わせを行なうこととしてもよい。これにより、処理機能144bは、スキャンA21とスキャンA22との間に生じる被検体P1の体動等の影響を低減することができる。
次に、処理機能144bは、画像データC22の質を評価する。例えば、処理機能144bは、画像データC22について信号雑音比(signal-noise ratio)を算出し、信号雑音比を閾値と比較することで、画像データC22の質を評価する。また、例えば、制御機能144cは、画像データC22に基づいて表示用画像を生成し、ディスプレイ142に表示させる。そして、処理機能144bは、表示用画像を参照したユーザから、画像データC22の質について評価の入力を受け付ける。
次に、処理機能144bは、画像データC22の質の評価結果に応じて、画像データC22の補正処理を行なうか否かを判定する。即ち、画像データC22の質が十分に高い場合には、処理機能144bは、後述する補正処理を省略して、処理を終了することとしても構わない。なお、以下では、画像データC22の補正処理を行なう場合について説明する。
画像データC22の補正処理を行なう場合、処理機能144bは、メモリ141から読み出した学習済みモデルM1に対して、画像データC21と画像データC22とを入力する。これによって、学習済みモデルM1は、図3に示すように、画像データC22より質が高い画像データC23を出力する。即ち、学習済みモデルM1は、画像データC21との整合性を維持しつつ画像データC22を補正することで、図3に示す画像データC23を生成する。なお、画像データC23は、第3画像データの一例である。
なお、処理機能144bは、学習済みモデルM1に対して、画像データC21の全部を入力してもよいし、一部のみを入力してもよい。例えば、処理機能144bは、画像データC21のうち、範囲R2に含まれる部分のみを学習済みモデルM1に入力してもよい。換言すると、処理機能144bは、範囲R1から収集された投影データセットB21の少なくとも一部に基づく画像データC21を学習済みモデルM1に入力する。
そして、制御機能144cは、画像データC23に基づく表示用画像をディスプレイ142に表示させる。例えば、制御機能144cは、まず、画像データC23に対するレンダリング処理を実行する。ここで、レンダリング処理の例としては、断面再構成法(MPR:Multi Planar Reconstruction)により、画像データC23から任意断面の2次元画像を生成する処理が挙げられる。また、レンダリング処理の他の例としては、ボリュームレンダリング(Volume Rendering)処理や、最大値投影法(MIP:Maximum Intensity Projection)により、画像データC23から、3次元の情報を反映した2次元画像を生成する処理が挙げられる。そして、制御機能144cは、レンダリング処理により生成した表示用画像をディスプレイ142に表示させる。
次に、X線CTシステム10による処理の手順の一例を、図4を用いて説明する。図4は、第1の実施形態に係るX線CTシステム10の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
ステップS101及びステップS106は、スキャン機能144aに対応する。ステップS102、ステップS107、ステップS108、ステップS109、ステップS110及びステップS111は、処理機能144bに対応する。ステップS103、ステップS104、ステップS105及びステップS112は、制御機能144cに対応する。
まず、処理回路144は、被検体P1に対してスキャンA21を実行し、投影データセットB21を収集する(ステップS101)。次に、処理回路144は、投影データセットB21に基づいて画像データC21を生成する(ステップS102)。次に、処理回路144は、画像データC21に対するレンダリング処理を行なうことで参照画像を生成し(ステップS103)、生成した参照画像をディスプレイ142に表示させる(ステップS104)。
ここで、処理回路144は、参照画像を参照したユーザによりスキャン範囲が設定されたか否かを判定し(ステップS105)、スキャン範囲が設定されていない場合には待機状態となる(ステップS105否定)。一方で、スキャン範囲が設定された場合(ステップS105肯定)、処理回路144は、参照画像に設定されたスキャン範囲に対してスキャンA22を実行し、投影データセットB22を収集する(ステップS106)。次に、処理回路144は、投影データセットB22に基づいて画像データC22を生成する(ステップS107)。
次に、処理回路144は、画像データC22の質を評価し(ステップS108)、評価結果に応じて、画像データC22について補正処理を行なうか否かを判定する(ステップS109)。補正処理を行なう場合(ステップS109肯定)、処理回路144は、学習済みモデルM1に対して画像データC21及び画像データC22を入力し(ステップS110)、画像データC23を生成する(ステップS111)。
そして、処理回路144は、表示用画像を生成してディスプレイ142に表示させ(ステップS112)、処理を終了する。なお、画像データC23を生成していた場合、処理回路144は、ステップS112において、画像データC23に基づく表示用画像をディスプレイ142に表示させる。一方で、補正処理を行なわなかった場合(ステップS109否定)、処理回路144は、ステップS112において、画像データC22に基づく表示用画像をディスプレイ142に表示させる。
なお、上述したステップS108及びステップS109については省略してもよい。即ち、処理回路144は、画像データC22の質に関わらず、学習済みモデルM1に対して画像データC21及び画像データC22を入力し、画像データC23を生成することとしても構わない。
上述したように、第1の実施形態によれば、スキャン機能144aは、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R1にX線を照射することで投影データセットB21を収集するスキャンA21を実行する。また、スキャン機能144aは、スキャンA21の後で、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R2にX線を照射することで投影データセットB22を収集するスキャンA22を実行する。また、処理機能144bは学習済みモデルM1に対して、投影データセットB21の少なくとも一部に基づく画像データC21と、投影データセットB22に基づく画像データC22とを入力することにより、画像データC22より質が高い画像データC23を生成する。即ち、第1の実施形態に係るX線CTシステム10は、画像データC22より質の高いCT画像データである、画像データC23を生成することができる。
特に、X線CTシステム10は、画像データC22のみならず、画像データC21に基づいて、画像データC23を生成する。即ち、X線CTシステム10においては、画像データC21から解剖学的な追加の情報を得ることができるため、画像データC22のみを使用する場合と比較してより適切な補正処理を行ない、画像データC23の質を更に向上させることができる。
また、X線CTシステム10は、スキャンA21の結果に基づいて、スキャンA22における範囲R2を設定するとともに、CT画像データの質を向上させる。即ち、X線CTシステム10は、スキャンA21による被検体P1の被ばくをより有意義なものとすることができる。なお、スキャンA21は、スキャンA22における範囲R2を設定するための位置決め撮影である。即ち、スキャンA21は、通常の処理フローにおいてスキャンA22の前に実行されるものであり、処理フローを複雑化させるものではない。
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、学習済みモデルM1に対して画像データC21及び画像データC22を入力することで、質の高いCT画像データを生成する場合について説明した。これに対し、第2の実施形態では、後述する学習済みモデルM2に対して投影データセットB21及び投影データセットB22を入力することで、質の高いCT画像データを生成する場合について説明する。
第2の実施形態に係るX線CTシステム10は、図1に示した第1の実施形態に係るX線CTシステム10と同様の構成を有する。以下、第1の実施形態において説明した点については図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
まず、処理機能144bは、学習済みモデルM2を生成してメモリ141に格納する。例えば、処理機能144bは、学習済みモデルM2の生成に用いる学習データとして、投影データセットB11、投影データセットB12及び投影データセットB13を取得する。
例えば、スキャン機能144aは、X線管111の位置を所定の回転角度に固定し、天板133をZ軸方向に移動させながらX線管111からのX線を被検体P2に照射することで、投影データセットB11を収集する。また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1のX線を被検体P2に照射することで、投影データセットB12を収集する。また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1よりも高い線量X2のX線を被検体P2に照射することで、投影データセットB13を収集する。即ち、投影データセットB13は、投影データセットB12より質の高い投影データセットである。
そして、処理機能144bは、投影データセットB11及び投影データセットB12を入力側データ、投影データセットB13を出力側データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM2を生成する。ここで、学習済みモデルM2は、例えば、ニューラルネットワークにより構成することができる。例えば、処理機能144bは、投影データセットB11、投影データセットB12及び投影データセットB13を用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習を実行することで、学習済みモデルM2を生成する。
一例を挙げると、処理機能144bは、投影データセットB11及び投影データセットB12を入力側データとして、ニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、投影データセットB13を推定した投影データセットが出力される。即ち、ニューラルネットワークにおいては、投影データセットB12の質を向上させる処理が行われ、出力層からは、投影データセットB12より質の高い投影データセットB13を推定した投影データセットが出力される。
処理機能144bは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM2を生成する。例えば、処理機能144bは、投影データセット間の近さを表す誤差関数を用いて、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。
一例を挙げると、処理機能144bは、投影データセットB13と、ニューラルネットワークが推定した投影データセットとの間の近さを示す誤差関数E3を算出する。また、処理機能144bは、投影データセットB11と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の整合性を示す誤差関数E4を算出する。そして、処理機能144bは、算出した誤差関数が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。例えば、処理機能144bは、誤差関数E3と誤差関数E4との和が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。これにより、処理機能144bは、2次元の投影データセット及び3次元の投影データセットの入力を受け付けて、入力された3次元の投影データセットの質を向上させるように機能付けられた学習済みモデルM2を生成する。また、処理機能144bは、生成した学習済みモデルM2を、メモリ141に記憶させる。
そして、被検体P1に対するスキャンが実行された際、処理機能144bは、メモリ141から学習済みモデルM2を読み出し、読み出した学習済みモデルM2を用いて、被検体P1から収集された投影データセットの質を向上させ、ひいては投影データセットに基づくCT画像データの質を向上させる。
例えば、スキャン機能144aは、まず、図3に示したスキャンA21を実行し、投影データセットB21を収集する。また、処理機能144bは、スキャンA21により収集された投影データセットB21に基づいて、画像データC21を生成する。次に、制御機能144cは、画像データC21に基づく参照画像を参照したユーザからの入力操作を受け付けることで、スキャンA22のスキャン範囲である範囲R2を設定する。次に、スキャン機能144aは、参照画像に設定された範囲R2に対してスキャンA22を実行し、投影データセットB22を収集する。
次に、処理機能144bは、投影データセットB22の質を評価する。例えば、処理機能144bは、投影データセットB22について信号雑音比を算出し、信号雑音比を閾値と比較することで、投影データセットB22の質を評価する。また、例えば、制御機能144cは、投影データセットB22に基づく画像(例えば、サイノグラム等)をディスプレイ142に表示させる。そして、処理機能144bは、投影データセットB22に基づく画像を参照したユーザから、投影データセットB22の質について評価の入力を受け付ける。
次に、処理機能144bは、投影データセットB22の質の評価結果に応じて、投影データセットB22の補正処理を行なうか否かを判定する。即ち、投影データセットB22の質が十分に高い場合には、処理機能144bは、後述する補正処理を省略しても構わない。この場合、処理機能144bは、投影データセットB22に基づいて、質の高い画像データC22を再構成することができる。なお、投影データセットB22の補正処理を行なうか否かを判定する処理については、適宜省略することとして構わない。
投影データセットB22の補正処理を行なう場合、処理機能144bは、メモリ141から読み出した学習済みモデルM2に対して、投影データセットB21と投影データセットB22とを入力する。これによって、学習済みモデルM2は、投影データセットB22より質が高い投影データセットB23を出力する。即ち、学習済みモデルM2は、投影データセットB21との整合性を維持しつつ投影データセットB22を補正することで、投影データセットB23を生成する。なお、投影データセットB23は、第3投影データセットの一例である。
なお、処理機能144bは、学習済みモデルM2に対して、投影データセットB21の全部を入力してもよいし、一部のみを入力してもよい。例えば、処理機能144bは、投影データセットB21のうち、範囲R2に含まれる部分のみを学習済みモデルM2に入力してもよい。換言すると、処理機能144bは、範囲R1から収集された投影データセットB21の少なくとも一部を学習済みモデルM2に入力する。
また、処理機能144bは、学習済みモデルM2を用いて生成された投影データセットB23に基づいて、3次元の画像データC24を生成する。例えば、処理機能144bは、投影データセットB23に基づいて、フィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法、逐次近似応用再構成法、DLR法といった再構成処理を実行することにより、3次元の画像データC24を再構成する。ここで、画像データC24は、質の高い投影データセットB23に基づいて生成されるものであり、投影データセットB22に基づいて生成される画像データC22等と比較して質の高いCT画像データである。また、制御機能144cは、画像データC24に基づいて表示用画像を生成し、ディスプレイ142に表示させる。
上述したように、第2の実施形態によれば、スキャン機能144aは、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R1にX線を照射することで投影データセットB21を収集するスキャンA21を実行する。また、スキャン機能144aは、スキャンA21の後で、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R2にX線を照射することで投影データセットB22を収集するスキャンA22を実行する。また、処理機能144bは学習済みモデルM1に対して、投影データセットB21の少なくとも一部と、投影データセットB22とを入力することにより、投影データセットB22より質が高い投影データセットB23を生成する。そして、第2の実施形態に係るX線CTシステム10は、投影データセットB23に基づいて、質の高いCT画像データである、画像データC24を生成することができる。
特に、X線CTシステム10は、投影データセットB22のみならず、投影データセットB21に基づいて、投影データセットB23を生成する。即ち、X線CTシステム10においては、投影データセットB21から解剖学的な追加の情報を得ることができるため、投影データセットB22のみを使用する場合と比較してより適切な補正処理を行ない、投影データセットB23の質を更に向上させることができる。ひいては、X線CTシステム10は、投影データセットB23に基づく画像データC24の質を更に向上させることができる。
(第3の実施形態)
さて、これまで第1~第2の実施形態について説明したが、上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
例えば、これまで、スキャンA22のスキャン範囲である範囲R2をユーザが設定するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、制御機能144cは、画像データC21、又は画像データC21に基づいて生成した参照画像を解析し、診断対象の臓器等を抽出することで、範囲R2を自動設定してもよい。
また、上述した実施形態では、位置決め撮影を2次元で実行する場合について説明した。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、X線CTシステム10は、位置決め撮影を3次元で実行する場合であっても構わない。
位置決め撮影を3次元で実行する場合、処理機能144bは、まず、2次元の位置決め画像データに代えて3次元の位置決め画像データを使用した機械学習を実行し、学習済みモデルを生成する。例えば、処理機能144bは、被検体P2について3次元の位置決め撮影を実行することにより収集された画像データC15と、図2に示した画像データC12及び画像データC13とを学習データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM3を生成する。
例えば、X線CTシステム10は、被検体P2についてスキャンA15を実行することで、画像データC15を収集する。一例を挙げると、まず、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P2に対してX線を照射することで、複数のビューのそれぞれについて投影データを収集する。以下、スキャンA15により収集された複数の投影データを、投影データセットB15と記載する。そして、処理機能144bは、収集された投影データセットB15に基づく再構成処理を実行することにより、画像データC15を生成する。即ち、画像データC15は、3次元のスキャンにより収集された3次元画像データである。例えば、画像データC15は、スキャンA12やスキャンA13のスキャン範囲を設定するための位置決め画像データである。
また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1のX線を被検体P2に照射することでスキャンA12を実行し、投影データセットB12を収集する。また、処理機能144bは、投影データセットB12に基づく再構成処理を実行することにより、画像データC12を生成する。また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1よりも高い線量X2のX線を被検体P2に照射することでスキャンA13を実行し、投影データセットB13を収集する。また、処理機能144bは、投影データセットB13に基づく再構成処理を実行することにより、画像データC13を生成する。即ち、画像データC13は、画像データC12より質の高い画像データである。
そして、処理機能144bは、画像データC15及び画像データC12を入力側データ、画像データC13を出力側データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM3を生成する。ここで、学習済みモデルM3は、例えば、ニューラルネットワークにより構成することができる。例えば、処理機能144bは、画像データC15、画像データC12及び画像データC13を用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習を実行することで、学習済みモデルM3を生成する。
一例を挙げると、処理機能144bは、画像データC15及び画像データC12を入力側データとして、ニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、画像データC13を推定した画像データが出力される。即ち、ニューラルネットワークにおいては、画像データC12の質を向上させる処理が行われ、出力層からは、画像データC12より質の高い画像データC13を推定した画像データが出力される。
処理機能144bは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM3を生成する。例えば、処理機能144bは、画像データ間の近さを表す誤差関数を用いて、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。
一例を挙げると、処理機能144bは、画像データC13と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の近さを示す誤差関数E5を算出する。また、処理機能144bは、画像データC15と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の近さを示す誤差関数E6を算出する。そして、処理機能144bは、算出した誤差関数が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。例えば、処理機能144bは、誤差関数E5と誤差関数E6との和が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。これにより、処理機能144bは、3次元の位置決め撮影で収集された第1画像データ及び3次元の本スキャンで収集された第2画像データの入力を受け付けて、入力された第2画像データの質を向上させるように機能付けられた学習済みモデルM3を生成する。また、処理機能144bは、生成した学習済みモデルM3を、メモリ141に記憶させる。
そして、被検体P1に対するスキャンが実行された際、処理機能144bは、メモリ141から学習済みモデルM3を読み出し、読み出した学習済みモデルM3を用いて、被検体P1から収集されたCT画像データの質を向上させる。
例えば、スキャン機能144aは、まず、被検体P1についてスキャンA25を実行することで、画像データC25を収集する。一例を挙げると、まず、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P1の周囲で回転させながら、X線管111から被検体P1に対してX線を照射することで、複数のビューのそれぞれについて投影データを収集する。以下、スキャンA25により収集された複数の投影データを、投影データセットB25と記載する。例えば、スキャン機能144aは、図3に示した範囲R1にX線を照射することで、投影データセットB25を収集する。そして、処理機能144bは、収集された投影データセットB25に基づく再構成処理を実行することにより、画像データC25を生成する。即ち、画像データC25は、3次元のスキャンにより収集された3次元画像データである。
なお、スキャンA25は、第1スキャンの一例である。また、投影データセットB25は、第1投影データセットの一例である。また、画像データC25は、第1画像データの一例である。
次に、制御機能144cは、画像データC25に基づく参照画像を参照したユーザからの入力操作を受け付けることで、スキャンA22のスキャン範囲である範囲R2を設定する。即ち、画像データC25は、スキャンA22のスキャン範囲を設定するための位置決め画像データである。次に、スキャン機能144aは、参照画像に設定された範囲R2に対してスキャンA22を実行し、投影データセットB22を収集する。また、処理機能144bは、投影データセットB22に基づいて画像データC22を生成する。
次に、処理機能144bは、画像データC22の質を評価する。次に、処理機能144bは、画像データC22の質の評価結果に応じて、画像データC22の補正処理を行なうか否かを判定する。即ち、画像データC22の質が十分に高い場合には、処理機能144bは、後述する補正処理を省略しても構わない。なお、画像データC22の補正処理を行なうか否かを判定する処理については、適宜省略することとして構わない。
画像データC22の補正処理を行なう場合、処理機能144bは、メモリ141から読み出した学習済みモデルM3に対して、画像データC25と画像データC22とを入力する。これによって、学習済みモデルM3は、画像データC22より質が高い画像データC26を出力する。即ち、学習済みモデルM3は、画像データC25との整合性を維持しつつ画像データC22を補正することで、画像データC26を生成する。なお、画像データC26は、第3画像データの一例である。
なお、処理機能144bは、学習済みモデルM3に対して、画像データC25の全部を入力してもよいし、一部のみを入力してもよい。例えば、処理機能144bは、画像データC25のうち、範囲R2に含まれる部分のみを学習済みモデルM3に入力してもよい。換言すると、処理機能144bは、範囲R1から収集された投影データセットB25の少なくとも一部に基づく画像データC25を学習済みモデルM3に入力する。
別の例を挙げると、処理機能144bは、被検体P2について3次元の位置決め撮影を実行することにより収集された投影データセットB15と、投影データセットB12及び投影データセットB13とを学習データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM4を生成する。
例えば、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、X線を被検体P2に照射することでスキャンA15を実行し、投影データセットB15を収集する。また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1のX線を被検体P2に照射することでスキャンA12を実行し、投影データセットB12を収集する。また、スキャン機能144aは、X線管111を被検体P2の周囲で回転させながら、線量X1よりも高い線量X2のX線を被検体P2に照射することでスキャンA13を実行し、投影データセットB13を収集する。即ち、投影データセットB13は、投影データセットB12より質の高い投影データセットである。
そして、処理機能144bは、投影データセットB15及び投影データセットB12を入力側データ、投影データセットB13を出力側データとした機械学習を実行することにより、学習済みモデルM4を生成する。ここで、学習済みモデルM4は、例えば、ニューラルネットワークにより構成することができる。例えば、処理機能144bは、投影データセットB15、投影データセットB12及び投影データセットB13を用いて多層のニューラルネットワークについて深層学習を実行することで、学習済みモデルM4を生成する。
一例を挙げると、処理機能144bは、投影データセットB15及び投影データセットB12を入力側データとして、ニューラルネットワークに入力する。ここで、ニューラルネットワークにおいては、入力層側から出力層側に向かって一方向に隣接層間でのみ結合しながら情報が伝播し、出力層からは、投影データセットB13を推定した投影データセットが出力される。即ち、ニューラルネットワークにおいては、投影データセットB12の質を向上させる処理が行われ、出力層からは、投影データセットB12より質の高い投影データセットB13を推定した投影データセットが出力される。
処理機能144bは、入力側データを入力した際にニューラルネットワークが好ましい結果を出力することができるよう、ニューラルネットワークのパラメータを調整することで、学習済みモデルM4を生成する。例えば、処理機能144bは、投影データセット間の近さを表す誤差関数を用いて、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。
一例を挙げると、処理機能144bは、投影データセットB13と、ニューラルネットワークが推定した投影データセットとの間の近さを示す誤差関数E7を算出する。また、処理機能144bは、投影データセットB15と、ニューラルネットワークが推定した画像データとの間の近さを示す誤差関数E8を算出する。そして、処理機能144bは、算出した誤差関数が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。例えば、処理機能144bは、誤差関数E7と誤差関数E8との和が極小となるように、ニューラルネットワークのパラメータを調整する。これにより、処理機能144bは、3次元の位置決め撮影で収集された第1投影データセット及び3次元の本スキャンで収集された第2投影データセットの入力を受け付けて、入力された第2投影データセットの質を向上させるように機能付けられた学習済みモデルM4を生成する。また、処理機能144bは、生成した学習済みモデルM4を、メモリ141に記憶させる。
そして、被検体P1に対するスキャンが実行された際、処理機能144bは、メモリ141から学習済みモデルM4を読み出し、読み出した学習済みモデルM4を用いて、被検体P1から収集された投影データセットの質を向上させ、ひいては投影データセットに基づくCT画像データの質を向上させる。
例えば、スキャン機能144aは、まず、被検体P1についてスキャンA25を実行することで、投影データセットB25を収集する。例えば、スキャン機能144aは、図3に示した範囲R1にX線を照射することで、投影データセットB25を収集する。また、処理機能144bは、収集された投影データセットB25に基づく再構成処理を実行することにより、画像データC25を生成する。
次に、制御機能144cは、画像データC25に基づく参照画像を参照したユーザからの入力操作を受け付けることで、スキャンA22のスキャン範囲である範囲R2を設定する。次に、スキャン機能144aは、参照画像に設定された範囲R2に対してスキャンA22を実行し、投影データセットB22を収集する。
次に、処理機能144bは、投影データセットB22の質を評価する。また、処理機能144bは、投影データセットB22の質の評価結果に応じて、投影データセットB22の補正処理を行なうか否かを判定する。即ち、投影データセットB22の質が十分に高い場合には、処理機能144bは、後述する補正処理を省略しても構わない。この場合、処理機能144bは、投影データセットB22に基づいて、質の高い画像データC22を再構成することができる。なお、投影データセットB22の補正処理を行なうか否かを判定する処理については、適宜省略することとして構わない。
投影データセットB22の補正処理を行なう場合、処理機能144bは、メモリ141から読み出した学習済みモデルM4に対して、投影データセットB25と投影データセットB22とを入力する。これによって、学習済みモデルM4は、投影データセットB22より質が高い投影データセットB26を出力する。即ち、学習済みモデルM4は、投影データセットB25との整合性を維持しつつ投影データセットB22を補正することで、投影データセットB26を生成する。なお、投影データセットB26は、第3投影データセットの一例である。また、処理機能144bは、学習済みモデルM4を用いて生成された投影データセットB26に基づいて、質の高いCT画像データである画像データC27を再構成する。
なお、処理機能144bは、学習済みモデルM4に対して、投影データセットB25の全部を入力してもよいし、一部のみを入力してもよい。例えば、処理機能144bは、投影データセットB25のうち、範囲R2に含まれる部分のみを学習済みモデルM4に入力してもよい。換言すると、処理機能144bは、範囲R1から収集された投影データセットB25の少なくとも一部を学習済みモデルM4に入力する。
また、学習済みモデルM1~M4がニューラルネットワークにより構成されるものとして説明したが、処理機能144bは、ニューラルネットワーク以外の機械学習手法により、学習済みモデルM1~M4を生成してもよい。また、処理機能144bが学習済みモデルM1~M4を生成するものとして説明したが、学習済みモデルM1~M4は、他の装置において生成されるものであっても構わない。
また、投影データセット又はCT画像データの補正処理をX線CTシステム10が実行するものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、補正処理は、X線CTシステム10と異なる他の装置において実行されても構わない。以下、この点について、図5に示す医用情報処理システム1を例として説明する。図5は、第5の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。医用情報処理システム1には、X線CTシステム10、及び、補正処理を実行する医用処理装置20が含まれる。
図5に示すように、X線CTシステム10と医用処理装置20とは、ネットワークNWを介して相互に接続される。ここで、ネットワークNWを介して接続可能であれば、X線CTシステム10及び医用処理装置20が設置される場所は任意である。例えば、医用処理装置20は、X線CTシステム10と異なる病院に設置されてもよい。即ち、ネットワークNWは、院内で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。また、図5においてはX線CTシステム10を1つ示すが、医用情報処理システム1は複数のX線CTシステム10を含んでもよい。
医用処理装置20は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、医用処理装置20は、図5に示すように、メモリ21と、ディスプレイ22と、入力インターフェース23と、処理回路24とを有する。
メモリ21は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ21は、X線CTシステム10から送信された各種のデータを記憶する。また、例えば、メモリ21は、医用処理装置20に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ21は、医用処理装置20とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
ディスプレイ22は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ22は、処理回路24により生成された表示用のCT画像を表示したり、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI等を表示したりする。例えば、ディスプレイ22は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。ディスプレイ22は、デスクトップ型でもよいし、医用処理装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
入力インターフェース23は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路24に出力する。例えば、入力インターフェース23は、CT画像データを再構成する際の再構成条件や、CT画像データから表示用のCT画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。例えば、入力インターフェース23は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行なうタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース23は、医用処理装置20本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース23は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用処理装置20とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路24へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース23の例に含まれる。
処理回路24は、処理機能24a及び制御機能24bを実行することで、医用処理装置20全体の動作を制御する。なお、処理機能24aは、処理部の一例である。処理回路24による処理については後述する。
図5に示す医用処理装置20においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ21へ記憶されている。処理回路24は、メモリ21からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、プログラムを読み出した状態の処理回路24は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。
なお、図5においては単一の処理回路24にて、処理機能24a及び制御機能24bが実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路24を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路24が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
また、処理回路24は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路24は、メモリ21から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、医用処理装置20とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図5に示す各機能を実現する。
例えば、まず、X線CTシステム10におけるスキャン機能144aは、被検体P1の体軸方向に沿った範囲R1にX線を照射することで、第1投影データセットを収集する第1スキャンを実行する。また、スキャン機能144aは、第1スキャンの後で、被検体P1の体軸方向に沿った、範囲R1より狭い範囲R2にX線を照射することで、第2投影データセットを収集する第2スキャンを実行する。
また、処理機能144bは、第1投影データセットの少なくとも一部に基づく第1画像データと、第2投影データセットに基づく第2画像データとを生成する。次に、制御機能144cは、ネットワークNWを介して、第1画像データ及び第2画像データを医用処理装置20に送信する。或いは、制御機能144cは、第1投影データセット及び第2投影データセットを医用処理装置20に送信する。次に、処理機能24aは、第1投影データセットの少なくとも一部に基づく第1画像データと、第2投影データセットに基づく第2画像データとを生成する。
そして、処理機能24aは、第2画像データについての補正処理を実行する。例えば、処理機能24aは、第1画像データと第2画像データとを、上述した学習済みモデルM1又は学習済みモデルM3に入力することにより、第2画像データより質が高い第3画像データを生成する。なお、処理機能24aは、補正処理に先立って第2画像データの質を評価し、評価結果に応じて第3画像データの生成を行なうか否かを判定することとしても構わない。
別の例を挙げると、制御機能144cは、第1投影データセット及び第2投影データセットを医用処理装置20に送信する。そして、処理機能24aは、第2投影データセットについての補正処理を実行する。例えば、処理機能24aは、第1投影データセットの少なくとも一部と第2投影データセットとを、上述した学習済みモデルM2又は学習済みモデルM4に入力することにより、第2投影データセットより質が高い第3投影データセットを生成する。なお、処理機能24aは、補正処理に先立って第2投影データセットの質を評価し、評価結果に応じて第3投影データセットの生成を行なうか否かを判定することとしても構わない。
そして、処理機能24aは、第3投影データセットに基づいて、第2投影データセットに基づくCT画像データよりも質の高い、第3画像データを再構成する。或いは、制御機能24bは、ネットワークNWを介して、第3投影データセットをX線CTシステム10に送信する。この場合、処理機能144bは、第3投影データセットに基づいて第3画像データを再構成する。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ141又はメモリ21に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、図1においては、単一のメモリ141が処理回路144の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。また、図5においては、単一のメモリ21が処理回路24の各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、複数のメモリ141を分散して配置し、処理回路144は、個別のメモリ141から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数のメモリ21を分散して配置し、処理回路24は、個別のメモリ21から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ141又はメモリ21にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。即ち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
また、上述した実施形態で説明した処理方法は、予め用意された処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、質の高いCT画像データを生成することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。