JP7358739B2 - 偏光板および偏光板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光板および偏光板の製造方法に関するものである。
液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置は、消費電力が低く、低電圧で動作し、軽量で薄型である等の特徴を生かして、各種の表示用デバイスに用いられている。液晶表示装置を構成する液晶パネルは、一対の直線偏光板が液晶セルの両面に積層された構成を有する。直線偏光板としては通常、偏光子と保護フィルムとを接着剤を介して積層した構成のものが用いられる。有機EL表示装置は、有機EL表示素子の視認側に配置される円偏光板を有する。円偏光板としては通常、偏光子と位相差フィルムとを接着剤層を介して積層した構成のものが用いられる。
直線偏光板および円偏光板(以下、総称して偏光板という。)のモバイル機器への展開に伴い、偏光板を構成する偏光子や保護フィルム等の薄膜化が益々求められている。偏光子や保護フィルム等の厚みが薄くなると、接着剤を硬化させるときや乾燥するときに、接着剤が収縮するので、保護フィルムの表面に波打ったような凹凸を生じることがあった。このような凹凸は、偏光板を画像表示素子、即ち液晶セルや有機EL表示素子に積層したとき、特に視認側表面の表面均一性に乏しく、高級感に欠けるといった外観上の不具合につながってしまう。
特許文献1には、偏光子の視認側表面に接着剤層を介して保護フィルムが積層された偏光板が開示されている。特許文献1に記載された偏光板は、偏光子および保護フィルムの合計厚みに対して、接着剤層の厚みを比較的薄くすることにより、接着剤の収縮力を小さくしている。そうすることで、保護フィルムの視認側表面に生じる凹凸は軽減することができるが、なお改善の余地は大きい。
また、偏光板が位相差フィルムを有する場合、物理的な表面凹凸以上に、凹凸を強調して視認させるため、外観の不良が認知されやすい。
特開2015-114538号公報
本発明は、偏光板が位相差フィルムを備える場合であっても、偏光板の視認側表面に生じる凹凸を視認しづらくして、偏光板の外観を良好なものとすることを目的とする。
[1]接着剤層を介して偏光子と位相差フィルムとが積層され、
表面凹凸の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトルをH(f)としたときに、前記位相差フィルムにおける前記偏光子とは反対側の面が、下記式(1)を満たし、
前記位相差フィルムは、画像表示素子側に積層されるフィルムである偏光板。
(425)/H(212)≦10 (1)
[2]前記位相差フィルムは、厚みが0.5~5.0μmの液晶層、及び厚みが10~50μmの基材フィルムを含み、波長590nmにおける面内位相差値が100~150nmである[1]に記載の偏光板。
[3]前記接着剤層は、活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化層である[1]または[2]に記載の偏光板。
[4]位相差フィルム上に、工程紙を貼合して、積層フィルムを得る工程と、
前記積層フィルムから、前記工程紙を剥離し、位相差フィルムを得る工程と、
接着剤を介して位相差フィルム上に偏光子を貼合して、偏光板を得る工程とを含み、
表面凹凸の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトルをH(f)としたときに、前記工程紙における前記位相差フィルムとの貼合面が、下記式(2)を満たす偏光板の製造方法。
(425)/H(212)≦10 (2)
本発明によれば、偏光板が位相差フィルムを備える場合であっても、偏光板の視認側表面に生じる凹凸を視認しづらくして、偏光板の外観を良好なものとすることができる。
本発明の偏光板の一例を示す断面図である。 本発明の偏光板の一例を示す断面図である。
適宜図を参照しながら、本発明の偏光板及びに偏光板の製造方法ついて説明する。
一実施形態において、本発明の偏光板は図1に示す部材を備える。図1に示す偏光板100は、接着剤層10を介して、偏光子2と位相差フィルム20とが積層されている。図1において、位相差フィルム20は、基材フィルム3と液晶層5とを含む。
本発明の偏光板は、さらに保護フィルムや粘着剤層等を含んでいてもよい。一実施形態において、本発明の偏光板は図2に示す部材を備える。図2に示す偏光板101は、偏光子2の一方の面に接着剤層10を介して位相差フィルム20が積層され、偏光子2の他方の面に接着剤層11を介して保護フィルム4が積層され、位相差フィルム20上に粘着剤層6が積層されている。粘着剤層6は例えば、液晶セル等の画像表示素子に貼合するための粘着剤層であってもよい。
本発明の偏光板において、表面凹凸の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトルをH(f)としたときに、位相差フィルムにおける前記偏光子とは反対側の面が、下記式(1)を満たす。下記式(1)の左辺は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。下限値は特に限定されないが、2以上とすることができる。
(425)/H(212)≦10 (1)
(425)は、周期425μmにおける一次元パワースペクトルを表し、H(212)は、周期212μmにおける一次元パワースペクトルを表し、後述の実施例に記載された方法で測定をすることができる。
位相差フィルムの表面凹凸が、上記式(1)を満たすことにより、偏光板の視認側表面に生じる凹凸を視認しづらくすることができる。偏光板の視認側表面とは、例えば、図1に示す偏光板100において偏光子2の表面であり、図2に示す偏光板101において保護フィルム4の表面である。すなわち、偏光子を基準に画像表示素子に近い側に配置される位相差フィルムの表面形状が式(1)を満たすようにすることで、画像表示素子から遠い側の偏光板表面の凹凸を視認しづらくし、外観を良好なものとすることができる。
上記式(1)が視認側表面の凹凸を視認しづらくさせることに対してどのように寄与しているかを以下のように推定しているが、何ら本発明を限定するものではない。表面凹凸における周期212μmまたは周期425μmの一次元パワースペクトルは、それぞれ位相差フィルムにおける表面の周期200μm付近または周期400μm付近のうねりの大きさを表している。後述のとおり、位相差フィルムは、その製造工程において、傷付き防止や、位相差フィルム同士のブロッキング対策のために、工程紙が貼合されることがある。その結果、工程紙の表面形状は位相差フィルムに転写されることがある。表面形状の転写されやすさは、表面形状の周期に依存することが明らかになった。具体的には、周期が400μm程度の表面形状は転写されやすく、周期が300μm以下の表面形状は転写されづらいことが、本発明者の検討により明らかになった。すなわち、単に算術平均うねりWaを所定値以下にすることにより、位相差フィルム表面の物理的な凹凸を低減するだけでは、視認側表面の凹凸を視認しづらくさせるに不十分である。周期200μmのうねりに対する周期400μm付近のうねりの大きさを所定の範囲とすることで、視認側表面の凹凸を視認しづらくさせることができるものと考えられる。
位相差フィルムの偏光子とは反対側の面は上記式(1)を満足する。この面の算術平均粗さRa(JIS B 0601-2001)は通常0nm以上、好ましくは10nm以上、通常1000nm以下、好ましくは500nm以下であり、クルトシスPku(JIS B 0601-2001)は通常0以上、好ましくは1.0以上、通常10以下、好ましくは5以下であり、スキューネスPsk(JIS B 0601-2001)は通常-5~+5、好ましくは-1~+1である。
以下、本発明の偏光板を構成する各部材について説明をする。
(偏光子)
本発明に用いられる偏光子は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色することにより二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、およびホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化したものを用いることができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他に、酢酸ビニルと共重合可能な他の単量体との共重合体等が挙げられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、およびアンモニウム基を有するアクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常、85~100mol%程度であり、98mol%以上が好ましい。このポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタール等も用いることができる。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常、1,000~10,000程度であり、1,500~5,000程度が好ましい。
ポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、偏光子の原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系原反フィルムの膜厚は、得られる偏光子の厚みを15μm以下とすることを考慮すると、5~35μm程度であるのが好ましく、5~20μmであるのがより好ましい。原反フィルムの膜厚が35μm以上であると、偏光子を製造する際の延伸倍率を高くする必要があり、また得られる偏光子の寸法収縮が大きくなる傾向にある。
一方、原反フィルムの膜厚が5μm以下であると、延伸を施す際のハンドリング性が低下し、製造中に切断などの不具合が発生しやすくなる傾向にある。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素の染色前、染色と同時、または染色の後に行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前またはホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行ってもよい。
一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常、3~8倍程度である。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素で染色する方法としては、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを二色性色素が含有された水溶液に浸漬する方法が採用される。二色性色素として、具体的には、ヨウ素や二色性染料が用いられる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、染色処理の前に水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。
二色性色素としてヨウ素を用いる場合は、通常、ヨウ素およびヨウ化カリウムを含有する水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液におけるヨウ素の含有量は、通常、水100重量部あたり0.01~1重量部程度である。また、ヨウ化カリウムの含有量は、通常、水100重量部あたり0.5~20重量部程度である。染色に用いる水溶液の温度は、通常、20~40℃程度である。
また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、20~1,800秒程度である。
一方、二色性色素として二色性染料を用いる場合は、通常、水溶性二色性染料を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色する方法が採用される。この水溶液における二色性染料の含有量は、通常、水100重量部あたり1×10-4~10重量部程度であり、1×10-3~1重量部程度が好ましい。この水溶液は、硫酸ナトリウム等の無機塩を染色助剤として含有していてもよい。染色に用いる二色性染料水溶液の温度は、通常、20~80℃程度である。また、この水溶液への浸漬時間(染色時間)は、通常、10~1,800秒程度である。
二色性色素による染色後のホウ酸処理は、通常、染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸含有水溶液に浸漬することにより行うことができる。
ホウ酸含有水溶液におけるホウ酸の量は、通常、水100重量部あたり、2~15重量部程度であり、5~12重量部が好ましい。二色性色素としてヨウ素を用いる場合には、このホウ酸含有水溶液はヨウ化カリウムを含有することが好ましい。ホウ酸含有水溶液におけるヨウ化カリウムの量は、通常、水100重量部あたり、0.1~15重量部程度であり、5~12重量部程度が好ましい。ホウ酸含有水溶液への浸漬時間は、通常、60~1,200秒程度であり、150~600秒程度が好ましく、200~400秒程度がより好ましい。ホウ酸含有水溶液の温度は、通常、50℃以上であり、50~85℃が好ましく、60~80℃がより好ましい。
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、例えば、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行うことができる。水洗処理における水の温度は、通常、5~40℃程度である。また、浸漬時間は、通常、1~120秒程度である。
水洗後は乾燥処理が施されて、偏光子が得られる。乾燥処理は、熱風乾燥機や遠赤外線ヒーターを用いて行うことができる。乾燥処理の温度は、通常、30~100℃程度であり、50~80℃が好ましい。乾燥処理の時間は、通常、60~600秒程度であり、120~600秒が好ましい。
乾燥処理によって、偏光子の水分率は実用程度にまで低減される。その水分率は、通常、5~20重量%であり、8~15重量%が好ましい。水分率が5重量%を下回ると、偏光子の可撓性が失われ、偏光子がその乾燥後に損傷したり、破断したりする場合がある。
また、水分率が20重量%を上回ると、偏光子の熱安定性に劣る場合がある。
また、偏光子の製造工程におけるポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、染色、ホウ酸処理、水洗工程、乾燥工程は、例えば、特開2012-159778号に記載されている方法に準じて行ってもよい。この文献記載の方法では、基材フィルムへのポリビニルアルコール系樹脂のコーティングにより、偏光子となるポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。
本発明の効果は、偏光子の厚みがより薄い場合(コシがない場合)に顕著であり、例えば偏光子の厚みは、15μm以下であってもよいし、10μm以下であってもよい。光学特性を良好なものとする観点から、偏光子の厚みは例えば3μm以上である。
(保護フィルム)
保護フィルムは、樹脂フィルムから構成され、さらに透明な樹脂フィルムで構成することができる。特に、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性などに優れる材料で構成することが好ましい。本明細書において、透明な樹脂フィルムとは可視光域において単体透過率が80%以上である樹脂フィルムのことをいう。
保護フィルムを形成する樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、およびポリイミド系樹脂等からなるフィルムが挙げられる。
これらの樹脂フィルムは、原料樹脂によって製膜されるフィルムや、製膜後に横延伸して得られる一軸延伸フィルム、製膜後に縦延伸し、次いで横延伸して得られる二軸延伸フィルムなどであることができる。
これらの樹脂は、単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの樹脂は、任意の適切なポリマー変性を行ってから用いることもでき、このポリマー変性としては、例えば、共重合、架橋、分子末端変性、立体規則性制御、および異種ポリマー同士の反応を伴う場合を含む混合等の変性が挙げられる。
これらの中でも、保護フィルムの材料としては、メタクリル酸メチル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、またはセルロース系樹脂を用いることが好ましい。ここでいうポリオレフィン系樹脂は、鎖状ポリオレフィン系樹脂及び環状ポリオレフィン系樹脂を包含する。
保護フィルムとして用いられるフィルムは、市販品を容易に入手することが可能であり、メタクリル酸メチル系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、スミペックス(住友化学株式会社製)、アクリライト(登録商標)、アクリプレン(登録商標)(以上、三菱レイヨン株式会社製)、デラグラス(登録商標)(旭化成株式会社製)、パラグラス(登録商標)、コモグラス(登録商標)(以上、株式会社クラレ製)、およびアクリビュア(登録商標)(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン株式会社)、アートン(登録商標)(JSR株式会社)等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、ノバクリアー(登録商標)(三菱化学株式会社製)および帝人A-PETシート(帝人化成株式会社製)等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、FILMAX CPPフィルム(FILMAX社製)、サントックス(登録商標)(サン・トックス株式会社製)、トーセロ(登録商標)(東セロ株式会社製)、東洋紡パイレンフィルム(登録商標)(東洋紡績株式会社製)、トレファン(登録商標)(東レフィルム加工株式会社製)、ニホンポリエース(日本ポリエース株式会社製)、および太閤(登録商標)FC(フタムラ化学株式会社製)等を挙げられる。また、セルロース系樹脂フィルムなら、それぞれ商品名で、フジタック(登録商標)TD(富士フイルム株式会社製)、並びにKC2UAおよびコニカミノルタTACフィルムKC(コニカミノルタ株式会社製)等が挙げられる。
また、保護フィルムは、必要に応じて添加剤を含有することもできる。添加剤としては、例えば、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤などを挙げることができる。
本発明の効果は、保護フィルムの厚みがより薄い場合(コシがない場合)に顕著であり、例えば保護フィルムの厚みは、1~50μmであってもよいし、10~40μmであってもよいし、10~35μmであってもよい。
保護フィルムは、偏光子との貼合に先立って、ケン化処理、コロナ処理、又はプラズマ処理等を施しておいてもよい。保護フィルムには、さらに、導電層、ハードコート層、防眩層および低反射層等の機能層を設けることができる。
(位相差フィルム)
位相差フィルムは、例えば上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂から形成することができ、中でも環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂が好ましい。位相差フィルムは、単層から形成されてもよいし、複数の層から形成されてもよい。複数の層を有する位相差フィルムとしては、例えば上記保護フィルムの材料として例示をした樹脂フィルム(基材フィルム)、及び液晶化合物が重合した液晶層を含むもの、複数(例えば2層)の液晶層を含むものであってもよい。位相差を有する層は、樹脂フィルム及び/又は液晶層であることができる。
波長λ(nm)における面内位相差値をRe(λ)とし、厚み方向の位相差値をRth(λ)とするとき、一実施形態において、位相差フィルムの面内位相差値Re(590)は、例えば100~150nmとすることができ、厚み方向の位相差値Rth(590)は、例えば-200~+200nmとすることができる。
面内位相差値Re、厚み方向位相差値Rthは、面内遅相軸方向の屈折率をnx、面内進相軸方向(面内遅相軸方向と直交する方向)の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、位相差フィルムの厚みをdとするとき、下記式(3)、式(4)で定義される。
Re=(nx-ny)×d (3)
Rth=[{(nx+ny)/2}-nz]×d (4)
位相差層が含む液晶層は、λ/4板、λ/2板、ポジティブC層であることができる。
位相差層が複数の液晶層を含む場合、1/4波長板と1/2波長板との組合せ、1/4波長板とポジティブCプレートとの組合せが好ましい。λ/4板は、その波長550nmにおける面内の位相差値Re(550)が、100nm≦Re(550)≦200nmの関係を満足する層である。λ/4板は、Re(450)<Re(550)<Re(650)を満たす逆波長分散性を示してもよい。λ/2板は、Re(550)が、210nm≦Re(550)≦300nmの満足する層である。ポジティブC層は、nz>nx≧nyの関係(nxの大きさとnyの大きさとの差は、例えば±1%以内である。)を満足し、その波長λ[nm]における厚み方向の位相差値Rth(λ)が、-300nm≦Rth(550)≦-20nmの関係を満足することが好ましい。
位相差層が液晶層を含む場合、樹脂フィルムのみで位相差層を構成する場合に比べて、外観の不良が認知されやすい。液晶層は、樹脂フィルムに比べて薄いため、単位厚み当たりの位相差の変化が大きくなるためである。
位相差層が含む液晶層は、液晶化合物が重合して硬化した層を含む層である。液晶化合物の種類については、特に限定されないものの、その形状から、棒状タイプ(棒状液晶化合物)と円盤状タイプ(円盤状液晶化合物、ディスコティック液晶化合物)とに分類できる。さらに、それぞれ低分子タイプと高分子タイプとがある。なお、高分子とは、一般に重合度が100以上のものを言う(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男著、2頁、岩波書店、1992)。本実施形態では、何れの液晶化合物を用いることもできる。
さらに、2種以上の棒状液晶化合物や、2種以上の円盤状液晶化合物、又は、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
なお、棒状液晶化合物としては、例えば、特表平11-513019号公報の請求項1、又は、特開2005-289980号公報の段落[0026]~[0098]に記載のものを好適に用いることができる。円盤状液晶化合物としては、例えば、特開2007-108732号公報の段落[0020]~[0067]、又は、特開2010-244038号公報の段落[0013]~[0108]に記載のものを好適に用いることができる。
液晶層は、重合性基を有する液晶化合物(棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物)を用いて形成することがより好ましい。これにより、光学特性の温度変化や湿度変化を小さくすることができる。
液晶化合物は、2種類以上の混合物であってもよい。その場合、少なくとも1つが2以上の重合性基を有していることが好ましい。すなわち、液晶層は、重合性基を有する棒状液晶化合物又は重合性基を有する円盤状液晶化合物が重合によって固定されて形成された層であることが好ましい。この場合、層となった後はもはや液晶性を示す必要はない。
棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物に含まれる重合性基の種類は、特に制限されるものではなく、例えば、重合性エチレン性不飽和基や環重合性基などの付加重合反応が可能な官能基が好ましい。より具体的には、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基などを挙げることができる。その中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタアクリロイル基及びアクリロイル基の両者を包含する概念である。
液晶層の形成方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が挙げられる。例えば、樹脂フィルム(基材フィルム)に、重合性基を有する液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物(以下、単に「組成物」という。)を塗布して塗膜を形成し、得られた塗膜に対して硬化処理(紫外線の照射(光照射処理)又は加熱処理)を施すことにより、位相差層を製造できる。製造した位相差層は、例えば偏光子上、保護フィルム上、または別の樹脂フィルム(基材フィルム)に転写することができる。
組成物の塗布としては、公知の方法、例えば、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、および、ダイコーティング法により実施できる。
組成物には、上述した液晶化合物以外の成分が含まれていてもよい。例えば、組成物には、重合開始剤が含まれていてもよい。使用される重合開始剤は、重合反応の形式に応じて、例えば、熱重合開始剤や光重合開始剤が選択される。例えば、光重合開始剤としては、α-カルボニル化合物、アシロインエーテル、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物、多核キノン化合物、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせなどが挙げられる。重合開始剤の使用量は、組成物の全固形分に対して、0.01~20質量%であることが好ましく、0.5~5質量%であることがより好ましい。
また、組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、重合性モノマーが含まれていてもよい。重合性モノマーとしては、ラジカル重合性又はカチオン重合性の化合物が挙げられる。その中でも、多官能性ラジカル重合性モノマーが好ましい。
なお、重合性モノマーとしては、上述した重合性基含有の液晶化合物と共重合性のものが好ましい。具体的な重合性モノマーとしては、例えば、特開2002-296423号公報中の段落[0018]~[0020]に記載のものが挙げられる。重合性モノマーの使用量は、液晶化合物の全質量に対して、1~50質量%であることが好ましく、2~30質量%であることがより好ましい。
また、組成物には、塗工膜の均一性及び膜の強度の点から、界面活性剤が含まれていてもよい。界面活性剤としては、従来公知の化合物が挙げられる。その中でも特に、フッ素系化合物が好ましい。
また、組成物には、溶媒が含まれていてもよく、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒としては、例えば、アミド(例、N,N-ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタン)が挙げられる。
その中でも、アルキルハライド、ケトンが好ましい。また、2種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
また、組成物には、偏光子界面側垂直配向剤、空気界面側垂直配向剤などの垂直配向促進剤、並びに、偏光子界面側水平配向剤、空気界面側水平配向剤などの水平配向促進剤といった各種配向剤が含まれていてもよい。さらに、組成物には、上記成分以外にも、密着改良剤、可塑剤、ポリマーなどが含まれていてもよい。
液晶層には、液晶化合物の配向方向を規定する機能を有する配向膜が含まれていてもよい。配向膜は、一般的にはポリマーを主成分とする。配向膜用ポリマー材料としては、多数の文献に記載があり、多数の市販品を入手することができる。
なお、配向膜には、通常公知の配向処理が施される。例えば、ラビング処理、偏光を当てる光配向処理などが挙げられるが、配向膜の算術平均うねりの観点から、光配向処理が好ましい。
本発明の効果は、位相差フィルムの厚みがより薄い場合(コシがない場合)に顕著であり、位相差フィルムの厚みは、例えば60μm以下であってもよいし、40μm以下であってもよい。位相差フィルムの厚みは、通常5μm以上である。また、位相差フィルムが、基材フィルムと液晶層とを含む場合、基材フィルムの厚みは10~50μmであることが好ましく、10~30μmであることがより好ましく、液晶層の厚みは0.5~5.0μmであることが好ましい。
また、位相差フィルムの弾性率は23℃において、5000MPa以下であってもよいし、3000MPa以下であってもよく、通常2000MPa以上である。弾性率は、JIS K 7161に準拠して測定をすることができる。MD方向と、TD方向とで弾性率に異方性がある場合は、本明細書において、弾性率は両者の平均とすることができる。
このような範囲の厚みや弾性率を有する位相差フィルムであっても、本発明によれば式(1)を満足することによって、視認側表面の凹凸を視認しづらくさせることができる。
また、偏光板の外観をより良好なものとする観点から、位相差フィルムにおける偏光子側とは反対側の表面は、算術平均うねりWaが50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。位相差フィルムにおける偏光子側とは反対側の表面の算術平均うねりWaは、通常10nm以上である。
(接着剤層)
接着剤層を形成する接着剤としては、活性エネルギー線硬化型接着剤または水系接着剤を使用することができる。すなわち、接着剤層は、接着剤の硬化層である。
上述のように、偏光板の表面に凹凸が発生する要因の一つとして、接着剤が硬化するときや乾燥されるときの硬化収縮が挙げられる。光照射によって短時間で接着剤を硬化させて接着を行う活性エネルギー線硬化型接着剤を用いる場合の収縮力(単位時間あたり)は一般に、加熱による溶媒(例えば、水。)の乾燥及びその後に必要に応じてなされる養生によって比較的時間をかけて接着を行う水系接着剤よりも大きい。したがって、本発明において位相差フィルムを積層するための接着剤層が活性エネルギー線硬化型接着剤から形成される場合にとりわけ好適に適用でき、得られる凹凸抑制効果が高い。
図2に示す偏光板101のように偏光子の両側に保護フィルムおよび位相差フィルムをそれぞれ配置する場合、保護フィルムを積層するための接着剤と位相差フィルムを積層するための接着剤とは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。上記と同様の理由により保護フィルムを積層するための接着剤も接着剤層を形成する接着剤も、活性エネルギー線硬化型接着剤であることが好ましい。
活性エネルギー線硬化型接着剤とは、電子線、紫外線のような活性エネルギー線を照射することで硬化する接着剤をいい、例えば、重合性化合物及び光重合開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むものなどを挙げることができる。重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系化合物;光硬化性アクリル系化合物等の光硬化性ビニル化合物;光硬化性ウレタン系化合物を挙げることができる。光重合開始剤としては、光カチオン重合開始剤(例えば、光硬化性エポキシ系化合物を用いる場合)や、光ラジカル重合開始剤(例えば、光硬化性アクリル系化合物を用いる場合)を挙げることができる。
水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる接着剤、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤などが挙げられる。中でもポリビニルアルコール系樹脂水溶液からなる水系接着剤が好適に用いられる。
ポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルをケン化処理して得られるビニルアルコールホモポリマーのほか、酢酸ビニルとこれに共重合可能な他の単量体との共重合体をケン化処理して得られるポリビニルアルコール系共重合体、又はそれらの水酸基を部分的に変性した変性ポリビニルアルコール系重合体などを用いることができる。水系接着剤は、多価アルデヒド、水溶性エポキシ化合物、メラミン系化合物、ジルコニア化合物、亜鉛化合物などの添加剤を含むことができる。
接着剤層の厚みは、接着剤を硬化させるときや乾燥させるときの収縮を小さくし、偏光板の凹凸をより低減する観点から、例えば5μm以下であり、2μm以下であることが好ましく、1μm以下であってもよい。また、十分な接着力を発現させる観点から、通常接着剤層の厚みは、0.01μm以上である。
上記接着剤は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、イオントラップ剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、増感剤、粘着付与剤、熱可塑性樹脂、充填剤、流動調整剤、可塑剤、消泡剤等が挙げられる。
(粘着剤層)
偏光板の表面には、粘着剤層を積層させることができる。当該粘着剤層を介して偏光板を液晶セル等の画像表示素子に貼合することができる。図2においては、粘着剤層6がこれに相当する。粘着剤から形成される粘着剤層の厚みは、5~25μmとすることが好ましい。さらに好ましくは、10~25μmである。
粘着剤層を形成する粘着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。粘着剤としては、特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示し、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましい。
粘着剤にはこの他、各種の添加剤が配合されていてもよい。添加剤として、シランカップリング剤や帯電防止剤が挙げられる。
以下、本発明の偏光板の製造方法を説明する。本発明の偏光板は、例えば以下の工程を含む方法により製造することができる。
工程(1):基材フィルム上に配向膜形成した後、当該配向膜上に液晶化合物を塗布し、重合させることにより液晶層を形成して、位相差フィルムを得る工程。
工程(2):位相差フィルム上に、工程紙を貼合して、積層フィルムを得る工程。
工程(3):積層フィルムから、工程紙を剥離し、位相差フィルムを得る工程。
工程(4):接着剤を介して位相差フィルム上に偏光子(または保護フィルム付き偏光子)を貼合して、偏光板を得る工程。
(工程(1))
工程(1)は、位相差フィルムを製造する工程である。位相差フィルムとして、基材フィルムと液晶層とを含む場合、上記のとおり、まず基材フィルム上に液晶化合物を配向させるための配向膜を形成する。配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜等が挙げられ、従来公知の方法により形成することができる。
次いで、配向膜上に液晶化合物を含む組成物を塗布し、必要により溶剤を乾燥させた後、液晶化合物を重合させる。液晶化合物の重合は、重合性官能基を有する化合物を重合させる公知の方法により行うことができる。具体的には、熱重合および光重合が挙げられ、重合の容易さの観点から、光重合が好ましい。光重合は、液晶化合物に紫外線などの活性エネルギー線を照射することにより行うことができる。活性エネルギー線は、基材フィルム側から照射してもよいし、液晶化合物側から照射してもよいし、基材フィルム側と液晶化合物側との両方から照射してもよい。
(工程(2))
工程(2)は、位相差フィルム上に工程紙を積層させて、積層フィルムを得る工程である。工程紙を位相差フィルム上に積層させることで、位相差フィルムの保存や運搬の際の取り扱いを容易にしたり、位相差フィルム同士のブロッキングを防止したり、位相差フィルム上にほこり等が付着し欠陥となるのを防止したりすることができる。このような観点から、工程紙は、位相差フィルムにおける液晶層上に積層させることが好ましい。
工程(2)における工程紙としては、単層から形成されてもよいし、複数の層から形成されてもよい。粘着剤層を含んでいてもよいし、粘着剤層を有さなくてもよいが、糊残り等の不良が低減できる点で、自己粘着性の層を有する工程紙が好ましい。工程紙を形成する材料としては、上記保護フィルムを形成する材料と同様の樹脂が挙げられ、中でもポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテフタレート系樹脂が好ましい。
工程紙としては、市販品として入手しうるものを用いることができる。ポリエチレンテレフタレート系樹脂の基材フィルムを有する市販品の例としては、東洋紡株式会社製「コスモシャイン(登録商標)A4100」が挙げられる。ポリエチレン系樹脂の基材フィルムを有する市販品の例としては、Tredegar Film Products Corporation製「Force Field(登録商標) 1035」、東レフィルム加工株式会社製「トレテック(登録商標)」が挙げられる。
上記式(1)を満足する表面形状を達成するためには、特に工程(2)で使用する工程紙の表面形状が重要であり、工程紙における位相差フィルムが積層される面は、表面凹凸の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトルをH(f)としたときに下記式(2)を満たすことが好ましい。パワースペクトルは、後述の実施例に記載された方法で測定をすることができる。H(425)/H(212)の下限値は、特に限定されないが、2以上とすることができる。
(425)/H(212)≦10 (2)
工程紙の表面の算術平均粗さRa(JIS B 0601-2001)は通常0nm以上、好ましくは10nm以上、通常500nm以下、好ましくは200nm以下であり、クルトシスPku(JIS B 0601-2001)は通常0以上、好ましくは1.0以上、通常10以下、好ましくは5以下であり、スキューネスPsk(JIS B 0601-2001)は通常-5~+5、好ましくは-1~+1である。
このような表面形状の工程紙を位相差フィルムに積層させることにより、式(1)を満たす所望の表面形状を位相差フィルムに転写させることができ、偏光板の視認側表面の外観を良好なものとすることができる。
工程紙として、上記市販のフィルムを使用した場合は、グレードやロットごとに表面形状は異なることがあるため、適宜式(2)を満足するフィルムを選択して使用する。また、工程紙の一方の表面と他方の表面とで、表面形状が異なる場合は、式(2)を満足する表面を位相差フィルムが積層される面とすればよい。
また、偏光板の外観をより良好なものとする観点から、工程紙における位相差フィルムが積層される表面は、算術平均うねりWaが200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であってもよい。工程紙における位相差フィルムが積層される表面の算術平均うねりWaは、通常50nm以上である。
(工程(3))
工程(3)は、積層フィルムから、工程紙を剥離し、位相差フィルムを得る工程である。剥離方法は、特に制限されないが、例えば工程紙または位相差フィルムをロールに抱かせながら剥離してもよい。また、剥離した工程紙は、巻き取ってもよい。
(工程(4))
工程(4)は、接着剤を介して位相差フィルム上に偏光子(または保護フィルム付き偏光子)を貼合して、偏光板を得る工程である。接着剤は、位相差フィルムに塗布してもよいし、偏光子に塗布してもよいし、位相差フィルム及び偏光子の両方に塗布してもよい。
また、位相差フィルムが、液晶層と樹脂フィルムとを含む場合、偏光子への貼合面は、樹脂フィルムの面であってもよいし、液晶層の面であってもよい。接着剤として水系接着剤を使用した場合は、乾燥することにより位相差フィルムと偏光子とを接着することができる。接着剤として活性エネルギー線硬化型接着剤を使用した場合は、紫外線などの活性エネルギー線を照射することにより位相差フィルムと偏光子とを接着することができる。
水系接着剤を使用する場合、乾燥は例えば貼合後のフィルムを乾燥炉に導入することによって行うことができる。乾燥温度(乾燥炉の温度)は、好ましくは30~90℃である。30℃未満であると、位相差フィルムや保護フィルムが偏光子から剥離しやすくなる傾向がある。また乾燥温度が90℃を超えると、熱によって偏光子の偏光性能が劣化するおそれがある。乾燥時間は10~1000秒程度とすることができる。
乾燥工程後、室温又はそれよりやや高い温度、例えば20~45℃程度の温度で12~600時間程度養生する養生工程を設けてもよい。養生温度は、乾燥温度よりも低く設定されるのが一般的である。
活性エネルギー線は、位相差フィルム側から照射してもよいし、偏光子側から照射してもよいし、位相差フィルム側と偏光子側との両方から照射してもよい。
活性エネルギー線硬化型接着剤への活性エネルギー線の照射強度は、活性エネルギー線硬化型接着剤の組成によって適宜決定されるが、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が0.1~6000mW/cmとなるように設定されることが好ましい。照射強度が0.1mW/cm以上である場合、反応時間が長くなりすぎず、6000mW/cm以下である場合、線源から輻射される熱及び活性エネルギー線硬化型接着剤の硬化時の発熱による活性エネルギー線硬化型接着剤の黄変や偏光子の劣化を生じるおそれが少ない。
活性エネルギー線硬化型接着剤への光照射時間についても、活性エネルギー線硬化型接着剤の組成によって適宜決定されるが、上記照射強度と照射時間との積として表される積算光量が10~10000mJ/cmとなるように設定されることが好ましい。積算光量が10mJ/cm以上である場合、重合開始剤由来の活性種を十分量発生させて硬化反応をより確実に進行させることができ、10000mJ/cm以下である場合、照射時間が長くなりすぎず、良好な生産性を維持できる。
位相差フィルム上に偏光子を貼合するにあたり、位相差フィルム表面には、偏光子との接着性を向上させるために、プラズマ処理、コロナ処理、紫外線照射処理、フレーム(火炎)処理、ケン化処理などの表面処理(易接着処理)を行うことができる。例えば位相差フィルムが環状ポリオレフィン系樹脂を含む場合、プラズマ処理やコロナ処理を行うことが好ましい。また、位相差フィルムが、セルロースエステル系樹脂からなる場合には、ケン化処理お行うことが好ましい。ケン化処理としては、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムのようなアルカリ水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
工程(4)では、保護フィルム付き偏光子を位相差フィルムに貼合して、偏光板を得ることもできる。偏光子上に予め接着剤を介して保護フィルムを積層させて、保護フィルム付き偏光子を製造しておき、次いで保護フィルム付き偏光子における偏光子と、位相差フィルムとを貼合してもよい。保護フィルムと偏光子とを貼合する方法としては、上記位相差フィルムと偏光子を貼合する方法と同様の方法が挙げられる。また、保護フィルム、偏光子、及び位相差フィルムを3枚同時に貼合して、偏光板を得ることができる。
上記例では、工程紙を剥離してから、位相差フィルムと偏光子とを貼合する例を示したが、もちろん位相差フィルムと偏光子とを貼合してから、工程紙を剥離してもよい。すなわち、工程(3)と工程(4)との順番は任意である。
以上のようにして、偏光板を製造することができるが、さらに位相差フィルム上に粘着剤層を形成してもよい。この粘着剤層は、例えば液晶セル等の画像表示素子に積層するための粘着剤層であってもよい。粘着剤層は、位相差フィルム上に、粘着剤を直接塗工することにより形成してもよいし、予め基材フィルム上に粘着剤を塗工して粘着剤層を形成しておき、位相差フィルム上に転写することにより形成してもよい。
また、連続的に長尺状の偏光板を製造したときは、所定の形状(例えば、矩形)に裁断して、偏光板の枚葉体としてもよい。
本発明の偏光板を画像表示素子に積層させることで、画像表示装置を得ることができる。画像表示素子としては、画像表示素子としては、液晶セルや有機EL表示素子などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって規定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。なお、実施例で用いた評価方法は、以下のとおりである。
(1) 厚み:
株式会社ニコン製のデジタルマイクロメーターMH-15Mを用いて測定した。
(2) 面内レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRth:
平行ニコル回転法を原理とする位相差計、王子計測機器株式会社製のKOBRA-WPRを用いて、23℃における波長590nmの光で測定した。
(3) 位相差フィルム表面、及び工程紙表面の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトル:H(f)
共焦点干渉顕微鏡であるPLμ NEOX(センソファー・ジャパン製)を使用して、表面の凹凸を走査した。得られた凹凸のデータを解析し、周期212μm及び周期425μmにおけるH(212)及びH(425)を算出した。
(4) 算術平均うねり:Wa
走査型白色干渉顕微鏡であるVS1000(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を使用して、算術平均うねりWaを測定した。測定範囲をX=4000μm以上、Y=2000μm以上の範囲とし、カットオフ値は、100μmとした。
(5)偏光板の外観評価
偏光板の位相差フィルム上に粘着剤層を積層し、粘着剤層を介して偏光板をガラス板に貼合した。偏光板に蛍光灯を映しこみ、その反射像を観察して外観を評価した。蛍光灯の輪郭が歪みなく鮮明に観察される場合を良好と判定し、蛍光灯の輪郭に歪みが生じ鮮明に観察できない場合を不良と判定した。
(6)表面粗さRa、クルトシスPku、スキューネスPskは、それぞれ一次元パワースペクトルの測定で得た凹凸のデータからJIS B 0601-2001に従い求めた。
以下の各部材を準備した。
(偏光子)
(1)プライマー層形成工程
ポリビニルアルコール粉末(日本合成化学工業株式会社製の「Z-200」、平均重合度1100、ケン化度99.5モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度3重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製した。得られた水溶液に架橋剤(田岡化学工業株式会社製の「スミレーズレジン650」)をポリビニルアルコール粉末6重量部に対して5重量部の割合で混合して、プライマー層形成用塗工液を得た。
基材フィルムとして厚み90μmの未延伸のポリプロピレン(PP)フィルム(融点:163℃)を用意し、その片面にコロナ処理を施した後、そのコロナ処理面に小径グラビアコーターを用いて上記プライマー層形成用塗工液を塗工し、80℃で10分間乾燥させることにより、厚み0.2μmのプライマー層を形成した。
(2)積層フィルムの作製(樹脂層形成工程)
ポリビニルアルコール粉末(株式会社クラレ製の「PVA124」、平均重合度2400、ケン化度98.0~99.0モル%)を95℃の熱水に溶解し、濃度8重量%のポリビニルアルコール水溶液を調製し、これをポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液とした。
上記(1)で作製したプライマー層を有する基材フィルムのプライマー層表面にリップコーターを用いて上記ポリビニルアルコール系樹脂層形成用塗工液を塗工した後、80℃で20分間乾燥させることにより、プライマー層上にポリビニルアルコール系樹脂層を形成し、基材フィルム/プライマー層/ポリビニルアルコール系樹脂層からなる積層フィルムを得た。
(3)延伸フィルムの作製(延伸工程)
上記(2)で作製した積層フィルムに対して、フローティングの縦一軸延伸装置を用いて160℃で5.8倍の自由端一軸延伸を実施し、延伸フィルムを得た。延伸後のポリビニルアルコール系樹脂層の厚みは6.1μmであった。
(4)偏光性積層フィルムの作製(染色工程)
上記(3)で作製した延伸フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムとを含む30℃の染色水溶液(水100重量部あたりヨウ素を0.6重量部、ヨウ化カリウムを10重量部含む。)に約180秒間浸漬してポリビニルアルコール系樹脂層の染色処理を行った後、10℃の純水で余分な染色水溶液を洗い流した。
ホウ酸を含む78℃の第1架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部含む。)に120秒間浸漬し、次いで、ホウ酸及びヨウ化カリウムを含む70℃の第2架橋水溶液(水100重量部あたりホウ酸を9.5重量部、ヨウ化カリウムを4重量部含む。
)に60秒間浸漬して架橋処理を行った。その後、10℃の純水で10秒間洗浄し、最後に40℃で300秒間乾燥させることにより、基材フィルム/プライマー層/偏光子からなる偏光性積層フィルムを得た。
(保護フィルム)
環状オレフィン系樹脂フィルム(日本ゼオン株式会社製、ゼオノアフィルム(登録商標))の一方の表面に、ハードコート層を形成したフィルムを準備した。厚みは50μmであった。
(工程紙)
以下の工程紙を用意した。いずれもポリエチレン系樹脂を含み、自己粘着性の層を表層に有する工程紙である。
工程紙A:トレデガー社製「Force Field 1035」
工程紙B:東レフィルム加工株式会社製「トレテック(登録商標)7332K」
工程紙C:東レフィルム加工株式会社製「トレテック(登録商標)N711」
工程紙D:トレデガー社製「Pearl」
工程紙Aの一方の表面における算術平均うねりWaは130nmであり、H(425)は160であり、H(212)は54であった。この表面のH(425)/H(212)は3.0であった。なお、この工程紙Aの表面は肉眼では滑らかであった。
工程紙Bの一方の表面における算術平均うねりWaは140nmであり、H(425)は2700であり、H(212)は41であった。この表面のH(425)/H(212)は66であった。なお、この工程紙Bの表面は肉眼では滑らかであった。
工程紙Cの一方の表面におけるH(425)は2.71×10-5であり、H(212)は2.69×10-5あり、表面粗さRaは190nmであり、クルトシスPkuは2.51であり、スキューネスPskは-0.002であった。この表面のH(425)/H(212)は1.01である。なお、この工程紙Cの表面は肉眼では滑らかであった。
工程紙Dの一方の表面におけるH(425)は2.87×10-6であり、H(212)は1.24×10-6であり、表面粗さRaは98nmであり、クルトシスPkuは2.47であり、スキューネスPskは-0.114であった。この表面のH(425)/H(212)は2.31である。なお、この工程紙Cの表面は肉眼では滑らかであった。







〔表1〕
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工程紙表面の形状
───────────── H(425)/H(212)
(425) H(212)
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工程紙A 160 54 3.0
工程紙B 2700 41 66
工程紙C 2.71×10-5 2.69×10-5 1.01
工程紙D 2.87×10-6 1.24×10-6 2.31
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(位相差フィルム)
日本ゼオン株式会社製の環状オレフィン系樹脂フィルムを準備した。厚みは20μmであった。このフィルムの片面にコロナ処理をした。コロナ処理を施した面に、膜厚が1μmとなるように垂直配向膜用の組成物を塗工した。塗工膜に対して温度100℃で120秒間の熱処理を施し配向膜を形成した。垂直配向膜用の組成物は日産化学工業株式会社製、サンエバーSE610を使用した。
上記で形成した配向膜の上に、調製した光重合性ネマチック液晶化合物(メルク社製、RMM28B)を含有する組成物を塗布した。組成物は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を溶媒として含み、光重合開始剤としてイルガキュア(Irg-907)を含む。この組成物の組成は以下のとおりである。
光重合性ネマチック液晶化合物〔RMM28B〕 :20重量部
光重合開始剤〔イルガキュア(Irg-907)〕 : 5重量部
溶媒〔プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート〕:80重量部
塗布後の塗布層に温度90℃で120秒間乾燥処理を施した。その後、紫外線(UV)照射により液晶化合物を重合させて、厚さ1μmの液晶化合物が硬化した液晶位相差層を形成した(液晶位相差層全体の厚みは2μm)。このようにして、基材フィルムと液晶位相差層とからなる位相差フィルムを得た。位相差フィルムの弾性率は23℃において、MD方向、TD方向それぞれ1900MPa、2300MPaであった。
続いて、上記準備した工程紙A~工程紙Dを、それぞれ表1に示す表面形状を有する面(前記一方の表面)が液晶層との貼合面となるように、液晶層上に貼合し、工程紙A付きの位相差フィルム、工程紙B付きの位相差フィルム、工程紙C付きの位相差フィルムおよび工程紙D付きの位相差フィルムを得た。
この位相差フィルムは、可視光の波長領域において、λ/4波長板として機能し得るものであり、厚み方向にも位相差を示した。
(紫外線硬化性接着剤)
以下の組成からなる紫外線硬化性接着剤を準備した。
3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート〔商品名「CEL2021P」、株式会社ダイセル製):70重量部、
ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル〔商品名「EX-211」、ナガセケムテックス株式会社製〕:20重量部、
2-エチルヘキシルグリシジルエーテル〔商品名「EX-121」、ナガセケムテックス株式会社製〕:10重量部、
光カチオン重合開始剤〔商品名「CPI-100P」、サンアプロ株式会社製〕:2.25重量部
[参考例1]
上記で得た工程紙A付きの位相差フィルムから工程紙Aを剥離し、表れた剥離面(液晶層表面)における位相差フィルムの表面形状を測定したところ、H(425)は7.70×10-5であり、H(212)は7.51×10-5であった。この表面のH(425)/H(212)は1.03である。なお、この剥離面(液晶層表面)は肉眼では滑らかであった。
[実施例1]
以下のようにして偏光板を製造した。
上記保護フィルムにコロナ処理を施した。コロナ処理を施した面に、小径グラビアコーターを用いて上記紫外線硬化性接着剤を塗工した。貼合ロールを用いて、紫外線硬化性接着剤を介し、偏光性積層フィルムの偏光子上に保護フィルムを貼合した。紫外線照射により紫外線硬化性接着剤を硬化させて接着剤層を形成し、保護フィルム/接着剤層/偏光子/プライマー層/基材フィルムの層構成からなる貼合フィルムを得た。接着剤層の厚みは、0.8μmであった。
得られた貼合フィルムから基材フィルムを剥離除去した。基材フィルムは容易に剥離され、第1保護フィルム/接着剤層/偏光子/プライマー層の層構成からなる片面保護フィルム付偏光板を得た。
工程紙A付きの位相差フィルムにおける環状オレフィン系樹脂フィルム上に、コロナ処理を施した。コロナ処理を施した面に、小径グラビアコーターを用いて上記紫外線硬化性接着剤を塗工した。貼合ロールを用いて、紫外線硬化性接着剤を介し、片面保護フィルム付偏光板のプライマー層上に工程紙付きの位相差フィルムを貼合した。紫外線照射により紫外線硬化性接着剤を硬化させて接着剤層を形成した。接着剤層の厚みは、0.8μmであった。
工程紙Aを剥離し、第1保護フィルム/第1接着剤層/偏光子/プライマー層/接着剤層/位相差フィルムからなる偏光板を得た。工程紙Aを剥離して表れた液晶層表面のパワースペクトル比H(425)/H(212)を測定し、偏光板の外観評価を行った。
位相差フィルムにおける偏光子とは反対側の表面の算術平均うねりWaは、50nm以下であった。なお、この剥離面(液晶層表面)は肉眼では滑らかであった。
[比較例1]
工程紙A付きの位相差フィルムを工程紙B付きの位相差フィルムに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、偏光板を作製した。工程紙Bを剥離して表れた液晶層表面のパワースペクトル比H(425)/H(212)を測定し、偏光板の外観評価を行った。位相差フィルムにおける偏光子とは反対側の表面の算術平均うねりWaは、50nm以下であった。なお、この剥離面(液晶層表面)は肉眼では滑らかであった。
以上の結果を表2に示す。






〔表2〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
位相差フィルムの表面の形状
────────────────────── 偏光板の外観
(425) H(212) H(425)/H(212)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
実施例1 43 4.6 9.3 良好
比較例1 130 6.4 20 不良
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
[参考例2]
上記で得た工程紙C付きの位相差フィルムから工程紙Cを剥離し、剥離面における位相差フィルムの表面形状を測定したところ、H(425)は6.09×10-4であり、H(212)は1.08×10-3であり、表面粗さRaは344nmであり、クルトシスPkuは1.84であり、スキューネスPskは+0.209であった。この表面のH(425)/H(212)は0.56である。なお、この剥離面(液晶層表面)は肉眼では滑らかであった。
[実施例2]
工程紙A付きの位相差フィルムを工程紙C付きの位相差フィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にして作成される偏光板は、その工程紙Cを剥離して表れた液晶層表面のパワースペクトル比H(425)/H(212)は10以下であり、その外観は良好である。
[参考例3]
上記で得た工程紙D付きの位相差フィルムから工程紙Dを剥離し、現れた剥離面(液晶層表面)における位相差フィルムの表面形状を測定したところ、H(425)は3.60×10-6であり、H(212)は9.48×10-6であり、表面粗さRaは212nmであり、クルトシスPkuは3.051であり、スキューネスPskは-0.010であった。この表面のH(425)/H(212)は0.38である。なお、この剥離面(液晶層表面)は肉眼では滑らかであった。
[実施例3]
工程紙A付きの位相差フィルムを工程紙D付きの位相差フィルムに変更したこと以外は実施例1と同様にして作成される偏光板は、その工程紙Dを剥離して表れた液晶層表面のパワースペクトル比H(425)/H(212)は10以下であり、その外観は良好である。
本発明によれば、偏光板が位相差フィルムを備える場合であっても、偏光板の視認側表面に生じる凹凸を視認しづらくし、偏光板の外観を良好なものとすることができる。
2 偏光子
3 基材フィルム
4 保護フィルム
5 液晶層
6 粘着剤層
10、11 接着剤層
20 位相差フィルム
100、101 偏光板

Claims (1)

  1. 位相差フィルム上に、工程紙を貼合して、積層フィルムを得る工程と、
    前記積層フィルムから、前記工程紙を剥離し、位相差フィルムを得る工程と、
    接着剤を介して位相差フィルム上に偏光子を貼合して、偏光板を得る工程とを含み、
    表面凹凸の周期f(μm)に対する一次元パワースペクトルをH2(f)としたときに、
    前記工程紙における前記位相差フィルムとの貼合面が、下記式(2)を満たす偏光板の製
    造方法。
    H2(425)/H2(212)≦10 (2)
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