JP7358737B2 - 蓋材および包装体 - Google Patents
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Description
このような包装体において、内容物の劣化を防止するため、酸素吸収機能を有する積層フィルムの周縁部をヒートシールした包装袋を用いることが知られている。
例えば、特許文献1には、ヒートシール層、酸素吸収層、耐衝撃中間層、およびガスバリア層の構成からなる酸素吸収性多層フィルムによって形成された四方シール袋からなる包装容器が記載されている。この四方シール袋では、ヒートシール層を互いに対向させた2枚の酸素吸収性多層フィルムの周縁部がヒートシールされることによって密閉空間が形成されている。密閉空間には、内容物が封入されている。密閉空間に内容物が封入される際に、包装袋内に入った酸素は酸素吸収層によって吸収される。
包装袋から内容物を取り出す場合には、周縁部に形成されたヒートシール部の一部が切断されることによって包装袋に取り出し用の開口部が形成される。
酸素吸収性多層フィルムのみを用いた包装袋が用いられる場合、包装体としての外形が一定形状になりにくいおそれがある。例えば、包装袋が自立可能袋であったとしても、酸素吸収性多層フィルム自体は変形しやすいため、内容物の状態や形状などによって外形が変化する。このため、輸送時に取り扱いにくいという問題がある。外形を安定させるには、包装体を外箱や搬送トレイなどに収容する必要がある。
例えば、包装体の内容物が電子レンジ加熱可能なレトルト食品の場合、加熱によって、内容物が流動性を持つことが多いため、加熱中に電子レンジの中で、包装体の姿勢を安定させられないおそれもある。
外形を保持しやすい包装容器に開口部を形成し、開口部を酸素吸収性多層フィルムによって封止した包装体も考えられる。しかし、特許文献1の酸素吸収性多層フィルムは、包装容器とヒートシールすると容易には剥がれない。このような包装体では、開封時に酸素吸収性多層フィルムを切り裂くなどの手間がかかるという問題がある。
バリアコート層とシーラント樹脂層とは、ポリウレタン接着剤からなる接着層によりラミネート接合されている。
本発明の実施形態の蓋材および包装体について説明する。
図1は、本発明の実施形態の蓋材を含む包装体の一例を示す模式的な断面図である。図2は、図1におけるA部の拡大図である。
図1に示す一例では、容器3は、底部3a、側部3b、およびフランジ部3cを備えるカップ状に形成されている。
底部3aの平面視形状は特に限定されない。例えば、底部3aの平面視形状は、円形、多角形などであってもよい。底部3aは、一例として、平板状に形成されている。ただし、底部3aは、凹凸形状を有する板状に形成されていてもよい。
フランジ部3cの上面3fは、後述する蓋材2とヒートシール可能な材料によって形成されている。例えば、フランジ部3cの上面3fを形成する材料は、後述する蓋材2のシーラント層と同種の樹脂材料が用いられてもよい。
例えば、容器3は、熱可塑性樹脂からなる容器本体の外面および内面の少なくとも一方に、酸素バリア性が良好な単層または多層の酸素バリアシートが貼り付けられて形成されてもよい。この場合、容器本体の熱可塑性樹脂としては、酸素バリア性を有しない適宜の樹脂材料が使用可能である。例えば、容器本体に使用可能な熱可塑性樹脂の例としては、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂などが挙げられる。
例えば、酸素バリア層としては、上述の酸素バリアシートが用いられてもよい。例えば、容器3は、酸素バリアシートを熱可塑性樹脂層で挟んだ積層体によって成形されてもよい。
容器3の材料は、電子レンジ加熱可能な材料であることがより好ましい。ここで、電子レンジ加熱可能とは、材料が非導電体であって、かつ電子レンジ加熱における内容物4の加熱温度に耐える耐熱温度を備えることを意味する。
内容物4は、酸素から遮断されることによって、安定して保存できる物質であることがより好ましい。
内容物4として好適な具体例としては、例えば、食品、薬品などが挙げられる。
包装体1における内容物4の体積容量は、容器3の容積よりも少ない。このため、蓋材2によって密封された状態では、容器3の内部に無酸素領域5が形成されている。
蓋材2は、容器3のフランジ部3cの上面3fにヒートシールされることによって、容器3を密封することができる。蓋材2は平面視にて、フランジ部3cの外形を覆うことができる外形を有する。蓋材2の平面視の外形は、フランジ部3cの平面視の外形と一致していてもよい。
ただし、蓋材2の平面視の外形は、外周部の少なくとも一部において、フランジ部3cの平面視の外周部よりもはみ出していることがより好ましい。この場合、包装体1の開封時に、はみ出した部位の蓋材2を引っ張ることができる。これにより、包装体1の開封がより容易となる。
蓋材2を構成する積層体には、基材層21、バリア層25、バリアコート層26、接着層23、およびシーラント樹脂層24の他にも図示されない層状部が設けられてもよい。
例えば、蓋材2は、表面強度を向上するための表面保護層、画像が形成された印刷層、バリア層25の密着強度を向上するプライマー層などの層状部が設けられていてもよい。
例えば、表面保護層は、基材層21においてシーラント樹脂層24と反対側の最表面に設けられてもよい。
例えば、印刷層は、接着層23とシーラント樹脂層24との間や、基材層21のバリア層25の反対面に設けられてもよい。
例えば、プライマー層は、基材層21とバリア層25との間に設けられてもよい。
以下では、簡単のため、蓋材2が主要な層構成のみで形成されている場合の例で説明する。
基材層21としては、延伸材料が用いられてもよいし、未延伸材料が用いられてもよい。基材層21としては、特に二軸方向に延伸されたフィルムが用いられることがより好ましい。例えば、基材層21として、PA樹脂、PP樹脂が用いられる場合、それぞれ延伸ナイロン(ONY)、延伸PP(OPP)が用いられることがより好ましい。
基材層21と後述するバリア層25との密着性を向上させるため、基材層21においてバリア層25側の表面には、前処理としてコロナ処理、プラズマ処理、オゾン処理などを施されていてもよい。
特に、プラズマ処理が施されると後述するバリア層25と基材層21とが強固に密着するため、基材層21にはプラズマ処理が施されることがより好ましい。
バリア層25を構成する金属酸化物は一種でもよいし、複数の金属酸化物の混合物でもよい。
バリア層25は、蓋材2として容器3と同等以上の酸素バリア性が得られるように形成される。さらに、バリア層25は、蓋材2として容器3と同等以上の水蒸気バリア性が得られるように形成されることがより好ましい。
例えば、バリア層25に用いることができる金属酸化物としては、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、マグネシウムなどの、酸化物と、これら酸化物の複合物と、が挙げられる。
バリア層25は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ気相成長法などによって形成されてもよい。特に、酸化アルミニウムは、無色透明であり、ボイル・レトルト殺菌処理に対する耐水性にも優れており、広範囲の用途に使用可能であるため、バリア層25として特に好適である。
例えば、酸化アルミニウムによるバリア層25の形成方法としては、アルミニウムを蒸着材料にして、酸素、炭酸ガスと不活性ガスなどとの混合ガスの存在下で成膜を行う反応性蒸着、反応性スパッタリング、反応性イオンプレーティングが用いられてもよい。この場合、アルミニウムが酸化されてすべてAl2O3になると、上述の存在比率B/Aは1.5になる。しかし蒸着方法によっては、一部のアルミニウムが酸化されずに残ったり、過酸化アルミニウムが形成されたりする。このため、上述の存在比率B/Aにはバラツキが生じる場合がある。
B/Aが1.5未満であると、B/A=1.5の場合よりもアルミニウムが多くなり、より緻密な膜が形成される。これにより、良好なガスバリア性が得られるが、蒸着膜が黒く着色するため、光線透過量が低くなる傾向がある。
B/Aが1.5を超えると、B/A=1.5の場合よりも疎な膜が形成されるため、ガスバリア性はより低くなるが、光線透過量が高くなるため透明性に優れる。
B/Aが2.0を超えると良好なガスバリア性が得られなくなるおそれがある。
バリア層25の厚さが5nm未満であると、製造バラツキによってバリア層25が不連続になり、バリア性が発揮できないおそれがある。
バリア層25の厚さは、100nmを超えると可撓性が低下し、クラックが発生しやすくなるおそれがある。
バリア層25の厚さは、10nm以上50nm以下であることがより好ましい。
バリアコート層26は、ガスバリア性を有している。このため、バリアコート層26がバリア層25と積層されることで、蓋材2のガスバリア性がさらに向上する。さらに、バリアコート層26は、バリア層25に比べて柔軟性が高く、後述する接着層23との密着性にも優れている。
塗布液が下記成分(X)、(Y)、(Z)を含む場合、膜構造体はセラミック成分としては、二酸化珪素を有する。
(X) 一般式Si(OR1)4[式(1)]で表される珪素化合物およびその加水分解物の少なくとも1つ。
(Y) 一般式(R2Si(OR3)3)n[式(2)]で表される珪素素化合物およびその加水分解物のうち少なくとも1つ。
(Z) ヒドロキシ基を有する高分子化合物。
ここで、R1、R3は、CH3、C2H5、またはC2H4OCH3、R2は有機官能基である。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、イソシアヌレート部には化学的反応性はなくなる。しかし、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部の極性によって、反応と同様の性能を示すことが知られている。1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと同様に接着剤などに添加される接着性向上剤としても知られている。
このため、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートを式(1)の珪素化合物および成分(Z)に添加することにより、水素結合に基づきガスバリア積層フィルムの水による膨潤を防止してバリアコート層26の耐水性を向上させることができる。
3-イソシアネートアルキルアルコキシシランは、反応性が高く、液安定性が低い。これに対して、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートは、ヌレート部の極性により水溶性ではないが、水系液中に分散しやすいため、液粘度を安定に保つことができる。このため、1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートによる耐水性性能は、3-イソシアネートアルキルアルコキシシランと同等である。さらに、ヌレート部は耐水性があるのみでなく、その極性によりバリアの孔が形成されにくい。
1,3,5-トリス(3-トリアルコキシシリルアルキル)イソシアヌレートには、例えば、3-イソシアネートプロピルアルコキシシランの熱縮合により製造されるものもある。この場合、原料の3-イソシアネートプロピルアルコキシシランが含まれる場合もあるが、特に問題はない。
1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートにおけるメトキシ基は、加水分解速度が速く、また、プロピル基を含むものは比較的安価に入手し得るため、より好ましい。
例えば、成分(Z)の高分子化合物としては、ポリビニルアルコール(PVA)、でんぷん、セルロース類などが用いられてもよい。
特に、PVAが用いられる場合、モノマー単位中に含まれるヒドロキシ基が非常に多いため、加水分解後の金属アルコキシドのヒドロキシ基と非常に強固な水素結合が形成される。
ここで、PVAは、酢酸基が数十%残存しているいわゆる「部分ケン化PVA」から酢酸基が数%しか残存していないいわゆる「完全ケン化PVA」までを含む。PVAの分子量は重合度が300~数千まで多種あるが、どの分子量のものが用いられてもよい。
バリアコート層26に用いるPVAとしては、ケン化度が高いほどより好ましい。バリアコート層26に用いるPVAとしては、重合度が高く高分子量になっているほどより好ましい。ケン化度あるいは分子量が高いと、バリアコート層26の耐水性がより向上する。
例えば、出発溶液が上記成分(X)、(Y)、(Z)を含む場合、Si(OR1)4 の加水分解は、周知のように酸触媒またはアルカリ触媒と、アルコールおよび水とを用いて行われる。特に、酸触媒が用いられると加水分解が制御しやすいためより好ましい。さらに、塩化錫、アセチルアセトナートなどを添加されてもよい。
塗布液を形成するための成分(X)、(Y)、(Z)の混合順序は特に限定されない。ただし、式(2)で表される珪素化合物が塗布液中で分散せずに油滴状に存在するような場合は、加水分解させることによって塗布液中に微分散させることがより好ましい。特に、式(1)および式(2)の珪素化合物を別々に加水分解してから成分(Z)を添加すると、式(1)の珪素化合物の加水分解効率が向上し、SiO2が微分散するためより好ましい。
例えば、塗布液には、イソシアネート化合物、コロイダルシリカおよびスメクタイトなどの粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤などの添加剤が添加されてもよい。
特にバリアコート層26の厚さが50μmを超えると越えるとクラックが生じ易くなるおそれがある。
塗布液による塗膜の乾燥法は特に限定されない。例えば、塗膜の乾燥方法としては、熱風乾燥、熱ロール乾燥、高周波照射、赤外線照射、UV照射などが用いられてもよい。塗膜の乾燥方法は、例示された方法の2以上が組み合わされてもよい。
例えば、接着層23を好適に形成できる接着剤の例としては、主剤と硬化剤とが組み合わされたラミネート用ポリウレタン接着剤が挙げられる。
例えば、ラミネート用ポリウレタン接着剤の主剤としては、エーテル系樹脂またはエステル系樹脂が用いられてもよい。
例えば、ラミネート用ポリウレタン接着剤の硬化剤としては、脂肪族系硬化剤または芳香族系硬化剤が用いられてもよい。
本実施形態では、シーラント樹脂層24は、接着層23側から、酸素吸収樹脂層24Aと、シーラント層24Bとが、この順に積層されている。
酸素吸収樹脂層24Aに含有される熱可塑性樹脂は、後述するシーラント層24Bと接着可能であれば、特に限定されない。
酸素吸収樹脂層24Aに含有される熱可塑性樹脂は、後述するシーラント層24Bの主剤であるベース樹脂と同種の樹脂が用いられることがより好ましい。
例えば、無機系酸素吸収剤の場合、鉄系、亜硫酸塩系、酸化セリウム系などの酸素吸収剤が使用可能である。
鉄系の酸素吸収剤は、鉄および酸化鉄の少なくとも一方を含み、鉄あるいは酸化鉄が水分によってさびる(酸化される)ことによって酸素を除去する。
亜硫酸塩系の酸素吸収剤は、次亜硫酸ナトリウムおよび水酸化カルシウムと酸素との化学反応を利用して、酸素を除去する。
酸化セリウム系の酸素吸収剤は、予め還元によって酸化欠損を有する酸化セリウムが酸化されることによって酸素を除去する。
アスコルビン酸系の酸素吸収剤は、主成分のアスコルビン酸ソーダ、あるいはエリソル酸ソーダ(イソアスコルビン酸ソーダ)が酸化分解されることによって、酸素を除去する。
MXD6ナイロン系の酸素吸収剤は、MXD6ナイロンに、例えばコバルトなどの遷移金属触媒が添加されている。MXD6ナイロン系の酸素吸収剤は、遷移金属触媒によってMXD6ナイロンの酸化反応が促進されるため、酸素を除去することができる。
エチレン性不飽和炭化水素系の酸素吸収剤は、例えば、ポリブタジエン、ポリイソブレンなどの、共役二重結合をもつポリマー、または共役二重結合を有するモノマーと共役結合したポリマーに、例えばコバルトなどの遷移金属触媒が添加されている。エチレン性不飽和炭化水素系の酸素吸収剤は、遷移金属触媒によってポリマー中の二重結合の酸化反応が促進されるため、酸素を除去することができる。
テトラヒドロフタル酸系の酸素吸収剤は、不飽和脂環構造を有する、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸の誘導体、テトラヒドロ無水フタル酸、およびテトラヒドロ無水フタル酸の誘導体の少なくとも1種を含む酸素吸収成分と、例えばベンジル水素などの酸化促進成分と、を含有している。テトラヒドロフタル酸系の酸素吸収剤は、酸化促進成分と酸素とによって酸素吸収成分の酸化が促進されることによって、酸素を除去することができる。
酸素吸収剤の含有量が0.01質量%未満の場合、酸素吸収量が少なくなりすぎるおそれがある。
酸素吸収剤の含有量が20質量%を超える場合、凝集破壊を生じやすくなり、酸素吸収樹脂層での剥離を生じるおそれがある。
例えば、酸素吸収樹脂層24Aにおける酸素吸収剤の含有量は、1質量%以上、10質量%以下であることがより好ましい。
シーラント層24Bは、酸素吸収樹脂層24Aに直接、積層されていてもよいし、図示略の接着層の介在によって接着されていてもよい。
シーラント層24Bのベース樹脂としては、例えば、PE、PP等の樹脂が用いられる。シーラント層24Bのベース樹脂は、容器3のフランジ部3cの上面3fと同種の樹脂であることがより好ましい。
ここで、シーラント層24Bのイージーピール性を評価するための剥離強度測定方法について説明する。
図3は、剥離強度測定方法の模式的な説明図である。
測定サンプル11は、図示略の保持機構を用いて、蓋材2に剥離開始用に設けられたつまみ部2aが下端に位置し、かつ上面3fが水平面に対して45°傾斜するように保持される。つまみ部2aは、把持治具30によって把持される。把持治具30は、力量測定装置(図示略)に連結されている。
剥離強度測定は、上述の状態から、把持治具30を介して引張速度Vでつまみ部2aを鉛直上方に引っ張って蓋材2を剥離させ、剥離の開始時から剥離の終了時まで、力量測定装置によって測定される引張力として、測定される。引張速度Vは、300mm/minである。ただし、把持治具30は、蓋材2の剥離中、その剥離方向が上面3fに対して45°を保つように、剥離の進行に応じて図示左側から右側に移動する。
この剥離強度測定において、良好なイージーピール性と判定できる剥離強度の大きさとしては、例えば、剥離の開始時および終了時では5N以上35N以下、剥離の開始時と終了時の間の中間では5N以上20N以下であることが好ましい。
包装用の蓋材のシーラント層におけるイージーピール機能は、例えば、凝集剥離タイプ、層間剥離タイプ、界面剥離タイプなどに分類される。
特に、ピール層は、連続相と分散相とを有しており、連続相と分散相との界面で破壊が起こる。一つの分散相の界面が破壊されると、隣の分散相まで連続相が破壊される。
例えば、連続相がポリスチレン(PS)樹脂の場合、分散相としてはエチレン・メタアクリル酸共重合(EMAA)樹脂またPE樹脂が使用可能である。例えば、連続相がEMAA樹脂の場合、分散相としてPE樹脂またはPS樹脂が使用可能である。例えば、連続相がPP樹脂の場合、分散相としてはポリブテン樹脂、PE樹脂、EMAA樹脂などが使用可能である。
このような層構成では、蓋材に剥離力が作用すると、シーラント層において応力集中が発生し、シーラント層における最も低強度のピール層に沿って破壊が進展する。
層間剥離タイプの多層フィルムは、例えば、共押出しなどによって2層または3層からなるフィルムを製造する際、最外のシール層と、シール層に隣接するサポート層との層間接着強度が低くなるようにすることによって製造できる。例えば、サポート層、シール層に用いる各樹脂として、互いに融点が大きく乖離している材料を選定する。この場合、樹脂同士の相溶性が低くなるため、層間強度が低くなる。
このような層構成では、蓋材に剥離力が作用すると、シーラント層において応力集中が発生し、シーラント層内で最も低強度となるサポート層とシール層との層界面に沿って破壊が進展する。
シーラント層のシール強度は、容器の樹脂材料との接着強度が低い樹脂材料をシーラント層に含有させることによって調整できる。
例えば、容器がPP樹脂製の場合、シーラント層のベース樹脂にPP樹脂を用い、PP樹脂との接着性が低いPE樹脂を添加しておく。PE樹脂の含有量によって、シール強度が調整される。
例えば、容器がPE樹脂製の場合、シーラント層のベース樹脂にPE樹脂を用い、PE樹脂との接着性が低いPP樹脂を添加しておく。PP樹脂の含有量によって、シール強度が調整される。PE樹脂の場合、熱溶融しやすいため易接着性樹脂であるエチレン・酢酸ビニル共重合(EVA)樹脂を添加することによって、易接着性と易剥離性を両立することができる。
特に、上述のイージーピール機能を有し、シーラント層として用いることができる機能性フィルム(以下、イージーピールフィルムと称する)は、種々の製品が種々のメーカによって製造、販売されている。
シーラント層24Bとして、このようなイージーピールフィルムが用いられてもよい。
容器3の材料がPP系であって非熱処理用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 7603B(商品名;東レフィルム加工(株)製)、DIFAREN(登録商標) E7500T(商品名;DIC(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPP系であってボイル処理(加熱温度100℃未満)用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 7601A、7601C(商品名;東レフィルム加工(株)製)、DIFAREN(登録商標) E3200T、E3311T、E3312T(商品名;DIC(株)製)、CMPS(登録商標) 008C、011C、012C、101C、201C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)、VMX(登録商標)フィルム SMX XB17C、SMX XB09C、SMX XB14、SMX XB11、SMX 1015L、SMX 1010L(商品名;ジェイフィルム(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPP系であってセミレトルト処理(加熱温度121℃未満)用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 9501A、9501C、9501E、CX2、9501H、9501G、9501F(商品名;東レフィルム加工(株)製)、DIFAREN(登録商標) E3701T、E3901T、E3801T、E1900T、E1901T、E3601T(商品名;DIC(株)製)、CMPS(登録商標) 013C、305C、017C、301C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)、T.A.F.(登録商標) 680C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)、VMX(登録商標)フィルム LMX、LMX-H(商品名;ジェイフィルム(株)製)、アロマ-フィルム TP5、TP6、TP11(商品名;オカモト(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPE系であってボイル処理用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 7601A、7601C(商品名;東レフィルム加工(株)製)、DIFAREN(登録商標) 254N、E7300T(商品名;DIC(株)製)、CMPS(登録商標) 008C、011C、012C、101C、201C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)、T.A.F.(登録商標) 610C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPE系であってセミレトルト処理用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 9501A、9501C、9501E、CX2、9501H、9501G、9501F(商品名;東レフィルム加工(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPP系、PE系以外であってボイル処理用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、DIFAREN(登録商標) E7800PET、E7850PET、E7810PET、E7800TT(商品名;DIC(株)製)、CMPS(登録商標) 009(商品名;三菱化学東セロ(株)製)などが挙げられる。
容器3の材料がPE系であってセミレトルト処理用途の場合に、使用可能なイージーピールフィルムの例としては、CFフィルム 9501A、9501C、9501E、CX2、9501H、9501G、9501F(商品名;東レフィルム加工(株)製)、T.A.F.(登録商標) ABF-64C(商品名;三菱化学東セロ(株)製)などが挙げられる。
例えば、酸素吸収樹脂層24Aの層厚は、1μm以上50μm以下であってもよい。酸素吸収樹脂層24Aの層厚は、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。
例えば、シーラント層24Bの層厚は、5μm以上60μm以下であってもよい。シーラント層24Bの層厚は、25μm以上50μm以下であることがより好ましい。
例えば、酸素吸収樹脂層24Aおよびシーラント層24Bがそれぞれフィルム材として形成され、接着剤を介在して互いに接着されることによってシーラント樹脂層24が製造されてもよい。
例えば、酸素吸収樹脂層24Aおよびシーラント層24Bがそれぞれフィルム材として形成され、接着剤を介在すことなく互いに熱融着されることによってシーラント樹脂層24が製造されてもよい。
例えば、酸素吸収樹脂層24Aがフィルム材として形成され、酸素吸収樹脂層24A上にシーラント層24Bが押出成形されることによってシーラント樹脂層24が製造されてもよい。
例えば、シーラント層24Bがフィルム材として形成され、シーラント層24B上にシーラント層24Bが押出成形されることによってシーラント樹脂層24が製造されてもよい。
例えば、シーラント樹脂層24は、酸素吸収樹脂層24Aを形成する材料と、シーラント層24Bを形成する材料とが、共押出しされることによって、製造されてもよい。
基材層21上に、蒸着によってバリア層25を形成し、さらに、バリア層25上に既知の塗工方法によってバリアコート層26を形成する。これにより、基材層21、バリア層25、およびバリアコート層26が積層した第1の積層体を形成する。
一方、上記実施形態と同様にして、第2の積層体であるシーラント樹脂層24を製造する。
この後、第1の積層体のバリアコート層26上、または第2の積層体の酸素吸収樹脂層24A上に、接着層23を形成する接着剤を塗工する。
接着剤の塗工後に、第1の積層体および第2の積層体を重ね合わせて、ラミネート加工して一体化する。その後、必要に応じて、印刷層、表面保護層などを形成してから、外形を打ち抜く。これにより、蓋材2が製造される。
このようにして、内容物4が導入された容器3が蓋材2によって密封され、包装体1が製造される。
包装体1においては、酸素バリア性が良好な容器3の開口3eが、蓋材2によって密封されている。蓋材2は、バリア層25を有することによって、全体として酸素バリア性が良好である。バリア層25のガスバリア性は、バリア層25に含まれる金属酸化物が緻密な層構造を構成することによって得られる。
加えて、バリア層25は、バリアコート層26によって基材層21と反対側から被覆されている。上述したように、バリアコート層26自体もガスバリア性を有するため、蓋材2のガスバリア性がさらに向上する。上述したように、バリアコート層26は、接着層23との密着性にも優れているため、バリア層25上に接着層23を形成する場合に比べて、接着強度が向上する。
上述の作用について、以下に詳しく説明する。
このような無機化合物の層は、硬いが脆いため、蓋材2が曲げられたりして外力が作用するとクラックが生じ易い。クラックはガスバリア性を低下させる原因になる。
本実施形態では、バリア層25が、さらにバリアコート層26によって被覆されている。
バリアコート層26は、例えば、式(2)の珪素化合物が加水分解することによって、式(1)の珪素化合物および成分(Z)の高分子化合物と水素結合を形成している。このため、バリアコート層26には、SiO2などのセラミック成分の緻密なネットワークに柔軟性を有する成分(Z)の高分子化合物が分散されている。高分子化合物は、式(2)の珪素化合物の官能基の配置に由来する部位に結合するため、偏りなく広範囲に分散する。このため、混合物として膜構造体に高分子化合物が分散する場合とは異なり、高分子化合物成分は微視的にも均一に分散している。この結果、膜構造体の内部には上述したようなバリアの孔が形成されにくくなっている。
このように、バリア層25がガスバリア性と柔軟性とを有するバリアコート層26に被覆されているため、相乗効果によって蓋材2のガスバリア性がさらに向上する。
蓋材2によれば、このようにして、強浸透性内容物の浸透が抑制される。
このため、それぞれの官能基が、化学結合することによって、バリアコート層26と接着層23との密着強度が格段に向上する。このような強度向上に寄与している官能基の組み合わせを、[バリアコート層26の官能基、接着層23の官能基]のように記載すると、以下の組み合わせが挙げられる。
[シラノール基、エポキシ基]、[シラノール基、カルボキシル基]、[ヒドロキシ基、シラノール基]、[シラノール基、シラノール基]、[3-グリシドキシプロピル基、シラノール基]、[2-(3,4)エポキシシクロへキシル基、シラノール基]、[3-グリシドキシプロピル基、シラノール基]、[3-グリシドキシプロピル基、シラノール基]。
一方、包装体1の蓋材2において、バリア層25よりも内側には、酸素吸収樹脂層24Aが配置されている。このため、内容物4の導入時に形成される容器3内の空隙に酸素が存在しても、酸素がバリア層25まで浸透すると、酸化反応などによって除去される。この結果、包装体1の空隙部には、無酸素領域5が形成される。
このようにして、容器3内が無酸素状態になるため、酸化等による内容物4の劣化が防止される。
特に、蓋材2のバリア層25には、金属酸化物が使用されているため、蓋材2の光透過性が良好になる。このため、内容物4の視認性が向上する。
その際、蓋材2のシーラント層24Bは、イージーピール性を有しているため、使用者は、軽荷重で蓋材2を容易に剥がすことができる。
下記[表1]に実施例1~6および比較例1~8における蓋材の層構成、容器の構成、および評価結果が示されている。ただし、[表1]では各層の符号は省略されている。
実施例1は、上記実施形態の実施例である。
[表1]に示すように、実施例1の蓋材2の基材層21としては、厚さ12μmのPETフィルム([表1]では「PET」)が用いられた。
バリア層25としては、アルミナ(酸化アルミニウム)が用いられた。酸化アルミニウムは、基材層21上に真空蒸着法を用いて厚さ0.015μm(15nm)に成膜された。
バリアコート層26は、以下のようにして形成された。
酸化アルミニウムで形成されたバリア層25の上面に後述の塗布液を、バーコーターにより塗布した。
塗布液としては、下記方法にて調液された塗布液用溶液(a)、(b)の混合液(コーティング用溶液)が用いられた。塗布液用溶液(a)、(b)の混合割合はそれぞれの固形分の質量をa、bと表したとき、a:b=70:30とされた。
塗布液用溶液(a)は、TEOS17.9gと、メタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間撹拌し、加水分解させた加水分解溶液として得られた。加水分解溶液の固形分は、5%(質量比SiO2換算)であった。
塗布液用溶液(b)は、ポリビニルアルコールの5%(質量比)と、水/メタノール=95/5(質量比)水溶液とを混合して得られた。
上記混合液の塗布後、塗膜は、乾燥機で120℃、1分間乾燥された。これにより、膜厚約0.3μmのバリアコート層26が形成された。
接着層23は、バーコート法を用いて、バリアコート層26上に、厚さ3μmになるように成膜された。
酸素吸収樹脂層24Aとしては、ベース樹脂であるPP樹脂に、酸素吸収剤Aが分散された構成が用いられた。[表2]に示すように、酸素吸収剤Aは、MXD6ナイロンと、触媒としてコバルトと、を含む。
酸素吸収剤Aは、PP樹脂に練り込まれた後、後述するシーラント層24B上に厚さ30μmの層状部として積層された。
シーラント層24Bとしては、主成分がPP樹脂からなる厚さ50μmのイージーピールフィルムが用いられた。
蓋材2は、原料シートが後述する実施例1の容器3の開口を覆う大きさおよび形状に打ち抜かれることによって製造された。実施例1の蓋材2の外形は、一部に凸部を有する円形とされた。蓋材2の面積は約30.2cm2とされた。
タイプXの形状は、図1に示すような断面形状を有する略円錐台型のカップである。タイプXの容積は260mLである。蓋材2と上面3fとの径方向の幅は、4.1mmとされた。
タイプXの容器本体の材料は、シール相手の蓋材のシーラント層の樹脂材料に応じた材料が用いられた。例えば、実施例1の容器3は、蓋材2のシーラント層24Bの主成分がPP樹脂とされたため、容器本体の材料にはPP樹脂が用いられた。
タイプXの容器本体の外表面は酸素バリアシートによって覆われた。酸素バリアシートの層構成は、PPフィルム/接着剤/PB-A/接着剤/PPフィルムとされた。ここで「PB-A」は、凸版印刷(株)製のPRIME BARRIER(登録商標)シリーズの商品名である。PB-Aの厚さは12μmであった。また、PB-Aはバリア層25として、金属酸化物を備えている。
容器3に、評価用の内容物4として、230mLの水が導入された。この後、容器3のフランジ部3cに蓋材2がヒートシールされた。これにより、包装体1が製造された。
包装体1の内部には、30mLの空気が残存した。空気の酸素濃度は20.3%であった。酸素量として約6.1cm3であった。
実施例2~6は、上記施形態の実施例である。以下、実施例1と異なる点を中心に説明する。
[表1]に示すように、実施例2の包装体1は、実施例1の包装体1において、蓋材2のみが異なる。実施例2の蓋材2は、バリア層25のアルミナが、シリカ(酸化珪素)に代えられた以外は、実施例1と同様に構成された。
実施例3の包装体1は、実施例1の包装体1において、蓋材2のみが異なる。実施例3の蓋材2は、酸素吸収樹脂層24Aの酸素吸収剤Aが酸素吸収剤Bに代えられた以外は、実施例1と同様に構成された。[表2]に示すように、酸素吸収剤Bは、酸素欠損された酸化セリウムからなる。
[表1]に示すように、実施例4の包装体1は、実施例1の包装体1において、容器3のみが異なる。実施例4の容器3は、タイプYの構成が用いられた。
タイプYにおいては、酸素バリア層が容器3の内部における中間層に形成された以外は、タイプXと同様の構成を有する。タイプYの容器3は、PPフィルム、上述の酸素バリアシート、およびPPフィルムがこの順に積層された状態で、タイプXと同形状に成形された。
実施例5の包装体1は、実施例1の包装体1におけるシーラント樹脂層24と容器3との主成分樹脂のPP樹脂が、PE樹脂に代えられた以外は、実施例1と同様に構成された。
実施例6の包装体1は、実施例1の包装体1と同様である。ただし、実施例6では、後述する評価の試験方法が実施例1と異なる。具体的には、実施例6の包装体1は、後述するレトルト処理が施された後に評価された。
図4は、第1比較例の蓋材の模式的な断面図である。
[表1]に示すように、比較例1~4は、実施例1の蓋材2に代えて、図4に示す第1比較例の蓋材100Aが用いられた以外は、実施例1と同様に構成された。
第1比較例の蓋材100Aは、実施例1のバリア層25、バリアコート層26が削除され、接着層23、シーラント樹脂層24に代えて、接着層102、シーラント層103を備える。
図示は省略するが、第1比較例の容器としては、実施例1、6と同様なタイプX、Yおよび酸素バリア性を有しないタイプZのいずれかが用いられた。タイプZの容器は、酸素バリア性を有しない以外はタイプXと同様に製造された。具体的には、タイプZの容器は、PP樹脂またはPE樹脂からなる成形品が用いられた。
以下、実施例1と異なる点を中心に説明する。
比較例2の包装体は、シーラント層103と容器との主成分樹脂のPP樹脂が、PE樹脂に代えられた以外は、比較例1と同様に構成された。
比較例3は、容器として実施例1と同様のタイプXの容器が用いられた以外は、比較例1と同様に形成された。
比較例4は、容器として実施例4と同様のタイプYの容器が用いられた以外は、比較例1と同様に形成された。
図5は、第2比較例の蓋材の模式的な断面図である。
[表1]に示すように、比較例5は、実施例1の蓋材2に代えて、図5に示す第2比較例の蓋材100Bが用いられ、容器として比較例1と同様の容器が用いられた以外は、実施例1と同様に構成された。
第2比較例の蓋材100Bは、実施例1のバリア層25、バリアコート層26が削除され、接着層23に代えて、比較例1と同様の接着層102を備える。
比較例5の包装体は、容器には酸素バリア性がないが、蓋材100Bには、シーラント樹脂層24による酸素吸収性を有する場合の例になっている。
図6は、第3比較例の蓋材の模式的な断面図である。
[表1]に示すように、比較例6~8は、実施例1の蓋材2に代えて、図6に示す第3比較例の蓋材100Cが用いられ、容器として比較例1、3と同様の容器が用いられた以外は、実施例1と同様に構成された。
第3比較例の蓋材100Cは、実施例1のシーラント樹脂層24に代えて、シーラント層103を備える。
比較例7の蓋材100Cにおけるバリア層25、バリアコート層26は、実施例2におけるバリア層25、バリアコート層26と同様の構成が用いられた。比較例7の容器としては、比較例1と同様の容器が用いられた。比較例7は、実施例2におけるシーラント樹脂層24の酸素吸収機能と容器3の酸素バリア性と、が削除された例になっている。
比較例8の包装体は、タイプXの容器が用いられた以外は比較例6と同様の構成が用いられた。比較例8は、実施例1おけるシーラント樹脂層24の酸素吸収機能が削除された例になっている。
実施例の評価としては、酸素濃度測定と、剥離強度測定とが行われた。
酸素濃度測定は、各実施例および各比較例に対して行われた。各実施例および各比較例の各評価サンプルは、40℃90%の温湿度で、30日間保管された。この後、各包装体の内部の酸素濃度測定が行われた。
ただし、実施例6の評価サンプルは、保管開始前に、121℃、30分間のレトルト処理が施された。実施例1~5、比較例1~8の各評価サンプルは、レトルト処理されることなく保管が開始された。
剥離強度測定は、実施例1の2個の評価サンプルに対して行われた。剥離強度測定は、上述の実施形態に記載の測定方法(図3参照)に基づいて行われた。
酸素濃度測定の結果、[表1]に示すように、実施例1~6の保管後の酸素濃度は、いずれも0%であった。すなわち、各包装体の内部には、無酸素領域5が形成されていた。
この理由は、実施例1~6が酸素吸収樹脂層24Aを備えるため、酸素吸収樹脂層24A内の酸素吸収剤によって、内部の酸素が除去されるとともに、各容器3が酸素バリア性を有していたからであると考えられる。
レトルト処理されてから保管開始された実施例6でも、実施例1と同様に酸素濃度が0%になっていることから分かるように、レトルト処理によって、酸素吸収機能は損なわれていなかった。したがって、これらの実施例の包装体はレトルト処理可能である。
これに対して、比較例1~4、6~8の評価サンプルは、保管後の酸素濃度が20.3%であり、保管開始前の酸素濃度から変化していなかった。これは、比較例1~4、6~8は、酸素吸収機能を備えていなかったからであると考えられる。
一方、比較例5は、蓋材が実施例1と同様の酸素吸収機能を有していたにも関わらず、酸素濃度は18.8%であった。すなわち、保管後に、保管開始前の酸素濃度から1.5%低下しただけであった。これは、比較例5の容器が酸素バリア性を有していなかったため、内部の酸素が酸素吸収剤Aで吸収されても、吸収量を上回る酸素が、容器を通して外部から浸透したためであると考えられる。
剥離強度測定の結果を下記[表3]に示した。
ただし、測定サンプル11は、レトルト処理されなかったサンプル(「レトルト前」)と、レトルト処理されたサンプル(「レトルト後」)とが準備された。レトルト処理としては、サンプルに120℃の熱水シャワーを30分間噴射する処理が行われた。
[表3]において「スタートエッジ部」の剥離強度は、剥離開始時における剥離強度を示す。「エンドエッジ部」の剥離強度は、剥離終了時における剥離強度を示す。「中間部」の剥離強度は、剥離開始時と剥離終了時との間における剥離強度を示す。「中間部」の剥離強度は、場所によってバラツキがあるため、最小値と最大値とが記載されている。
「中間部」の剥離強度は、「レトルト前」、「レトルト後」にそれぞれ、8N~17N、7N~12Nであった。いずれの剥離強度も5N以上20N以下の範囲に入っていたため、イージーピール性は良好であった。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
2 蓋材
3 容器
4 内容物
5 無酸素領域
21 基材層
23 接着層
24 シーラント樹脂層
24A 酸素吸収樹脂層
24B シーラント層
25 バリア層
26 バリアコート層
Claims (4)
- 樹脂製の基材層と、ガスバリア性を有するバリア層と、前記バリア層を被覆するバリアコート層と、シーラント樹脂層と、を含み、前記基材層、前記バリア層、前記バリアコート層、および前記シーラント樹脂層が、この順に積層された積層体を備え、
前記シーラント樹脂層は、
前記積層体の最表面を形成しており、ヒートシール性およびイージーピール性を有するシーラント層と、
前記シーラント層と前記バリア層との間に配置され、酸素吸収性を有する酸素吸収樹脂層と、
を有しており、
前記バリア層は、
金属酸化物からなり、
前記バリアコート層は、
金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物、および金属アルコキシドの重合
物からなる群から選択された少なくとも1つの化合物と、
ヒドロキシ基含有高分子化合物と、
を含み、
前記酸素吸収樹脂層は、酸素欠損を有する酸化セリウムを含み、
前記バリアコート層と前記シーラント樹脂層とが、ポリウレタン接着剤からなる接着層によりラミネート接合されている、
蓋材。 - 請求項1に記載の蓋材と、
ガスバリア性を有し、一部に開口部が形成された容器と、
を備え、
前記蓋材は、前記シーラント層を介して前記開口部の外周部における前記容器にヒートシールされている、
包装体。 - 前記蓋材を前記容器から剥離する際の剥離強度が、レトルト処理前後のいずれにおいても5N以上35N以下である、
請求項2に記載の包装体。 - 剥離の開始時と終了時の間の中間における前記剥離強度が5N以上20N以下である、
請求項3に記載の包装体。
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