以下、図面を参照しつつ本発明をより具体的に例示説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る2種混合スポイト容器1(以下、スポイト容器1という)は、容器本体10と、スポイト30を有するキャップCと、を備える。軸線Oは、スポイト容器1を構成する容器本体10及びキャップCの中心を通る軸線である。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、上下方向とは、キャップCを容器本体10の口部11に装着してスポイト容器1を正立させた図1の状態での上下方向を意味するものとし、径方向とは、軸線Oに直交する方向を意味するものとし、周方向とは、軸線Oの周りを周回する方向を意味するものとする。
図1は、容器本体10にキャップCをセット(装着)したセット状態を示しており、容器本体10の口部11はキャップCによって閉塞されている。また、当該セット状態においては、スポイト30の内部の第1空間S1と、容器本体10の内部の第2空間S2(容器本体10の内部におけるスポイト30の外側の空間)とは、連通せずに隔離した状態となっている。これにより、例えば、第1空間S1に第1剤を収容し、第2空間S2に第2剤を収容した状態で、スポイト容器1を流通、保管することができる。なお、第1剤及び第2剤を混合することにより形成される混合内容物がスポイト30で滴下可能な液状の内容物であれば、混合前の第1剤及び第2剤の何れか一方は例えば粉末等であってもよい。混合内容物は、例えば化粧品、薬品、又は食品等とすることができるが、これらに限定されるものではない。
図2は、容器本体10を単独で示している。図2に示すように、容器本体10は、円筒状の口部11と、口部11の下端に一体に連なる胴部12と、胴部12の下端部を覆う底部13とを有している。胴部12は、口部11から拡径する肩部12aと、肩部12aの外周縁から垂下する略円筒状の胴本体部12bと、を有する。本例の容器本体10は、口部11と胴部12とが一体に成形され、胴部12の下端開口12cを閉塞するように底部13が取り付けられているが、これに限られず、部材の構成は適宜変更可能である。
容器本体10は、例えば、合成樹脂、ガラス、金属又はこれらの任意の組合せによって形成することができる。容器本体10はボトル形状をなしているが、これに限らず種々の形状を採用可能である。口部11の外周面には、キャップCを着脱可能な雄ねじ部11aが一体に設けられている。なお、本例ではキャップCが口部11に螺合する構成とされているが、これに限らず、例えばアンダーカット係合によってキャップCが口部11に装着される構成としてもよい。
底部13は、弾性変形可能な可動底壁14aを有する内底部材14と、内底部材14を外側から覆う固定部材15と、固定部材15の孔部15aに保持される押し込み部材16と、を有する。
内底部材14は、胴部12の下端開口12cを閉塞する。内底部材14は、ゴムまたはエラストマーなどの軟材質で形成されている。内底部材14は、弾性変形及び復元変形可能な可動底壁14aを有する。内底部材14は、可動底壁14aの外周縁部から上方に延びる環状のシール壁部14bと、可動底壁14aの外周縁部から径方向外側に突出する環状の固定フランジ14cとが設けられている。シール壁部14bは、胴部12の内周面に密接している。固定フランジ14cは、胴部12の胴本体部12bの下端部と固定部材15の段差部(縦リブ15dの上端部)との間で上下方向に挟まれている。これにより、内底部材14は固定部材15の内側に固定保持される。
可動底壁14aは、シール壁部14bの下端部から径方向内側に延在する環状の傾斜部14dと、傾斜部14dの内周縁部から垂下する収容筒部14eと、収容筒部14eの下端部に連なる底壁部14fと、を有する。傾斜部14dは、当該傾斜部14dの外周縁部から径方向内側に向けて、下方に傾斜している。収容筒部14eは、軸線Oを中心とする略円筒状の壁である。本例では、収容筒部14eと底壁部14fとによって収容凹部14gが区画形成されている。図1に示すセット状態から、可動底壁14aを押し上げると、ノズル部33aの先端部(小径筒部33h)が当該収容凹部14g内に配置される。なお、傾斜部14dの上面は、収容凹部14gに向けて下方に傾斜する傾斜底面を構成している。
また内底部材14は、底壁部14fの中央部分から上方に突出する突起部14hを有する。突起部14hは、収容凹部14gの内側に設けられている。本例の突起部14hは略円柱状であり、収容筒部14eと同軸配置されている。図1に示すセット状態において、突起部14hの中心軸はノズル部33a及び栓体34の中心軸と同一直線上にあり、本例では軸線Oに一致している。また、突起部14hの外周面には軸方向に延びる縦リブ14jが設けられている。突起部14h及び縦リブ14jの上部は、上端に向けて先細り状となるように構成されている。突起部14hの形状、位置等は、図示例に限定されず、適宜変更可能である。
固定部材15は、押し込み部材16の押圧壁16c(押圧操作部)を押し込み可能に保持した状態で、胴部12に固定される。固定部材15は、胴部12の胴本体部12bに固定保持される筒状の周壁15bと、周壁15bの下端部から径方向内側に延びる環状の下壁部15cとを有する。本例の周壁15bは、胴本体部12bの下部の外周面にアンダーカット係合しているが、これに限られず、例えば胴本体部12bに螺合(ねじ結合)する構成としてもよい。
下壁部15cの中央部分には、孔部15aが設けられている。本例では、孔部15aが円形であるが、これに限られず、孔部15aの形状は押し込み部材16の形状に応じて適宜変更可能である。また本例では、下壁部15cの外周縁部が接地面を構成し、孔部15aは、当該接地面の径方向内側で上向きに凹となる底上げ部15fに設けられている。周壁15bの内周面には、軸方向に延びる縦リブ15dが設けられている。縦リブ15dは、周壁15bの周方向の複数箇所に間隔を空けて設けられている。下壁部15cの内周縁部には、孔部15aを取り囲む筒状の支持壁15eが設けられている。
押し込み部材16は、固定部材15の孔部15aから外部に露出しており、容器本体10の内部に向けて上方に押し込むことで、可動底壁14aを上方に押し上げることができるように構成されている。具体的に、押し込み部材16は、筒状(本例では円筒状)の側壁16aと、側壁16aの上端部から径方向外側に延びる抜け止めフランジ16bと、側壁16aの下端部を閉塞する板状(本例では平坦な円板状)の押圧壁16cとを有する。なお、本例では、押し込み部材16の押圧壁16cが、押し込み可能な押圧操作部を構成している。押圧壁16cは、図1に示すセット状態で、下壁部15cの接地面よりも高い位置となるように保持される。
側壁16aは、収容筒部14eの径方向外側に配置され、押圧壁16cは底壁部14fの下方に位置する。ここで、側壁16aの内周面は収容筒部14eの外周面の少なくとも一部に当接し、押圧壁16cの上面は底壁部14fの下面に少なくとも部分的に当接していることが好ましい。これによれば、可動底壁14aに対して押し込み部材16を位置決めすることができ、可動底壁14a及び押し込み部材16の姿勢を安定させることができる。抜け止めフランジ16bは、下壁部15cの内周縁部の上面と、可動底壁14aの傾斜部14dの下面との間に挟持される。なお、収容筒部14eの下部は、下方に向けて先細り状に形成されており、収容筒部14eを側壁16aの内側に挿入し易くなっている。本例では、側壁16aを外側から取り囲む支持壁15eによって、上下動する押し込み部材16の姿勢が安定し易くなるように構成されている。
図3は、キャップCを単独で示している。キャップCは、装着部材40及びスポイト30を備える。スポイト30は、吸上げ部材31と、保持部材32と、ノズル部材33と、栓体34とを備える。ノズル部材33はノズル部33aを有し、吸上げ部材31は操作部31aを有している。したがって、スポイト30は、ノズル部33a及び操作部31aを有している。
図1、2に示すように、装着部材40は、口部11に着脱可能な円筒状の装着筒部41を有している。装着筒部41の内周面には、雄ねじ部11aと螺合可能な雌ねじ部41aが一体に設けられている。装着筒部41の上端には、径方向内側に延在する環状頂部42が一体に設けられている。
吸上げ部材31は、外部からの操作に応じて弾性変形及び復元変形可能な有頂円筒状の操作部31aを有している。操作部31aは、ゴムまたはエラストマーなどの軟材質で形成されている。操作部31aは、上方に突出するドーム形状の頂壁の外周縁に円筒状の周壁が一体に垂設された構成とされている。操作部31aの下端部には、径方向外側に延在する円環状の上部フランジ31bが一体に設けられている。また、操作部31aの周壁の外周面における下部には、全周に亘って径方向外側に突出する外周凸部31cが一体に設けられている。環状頂部42の内周縁には、全周に亘って径方向内側に突出する内周凸部42aが一体に設けられており、この内周凸部42aが外周凸部31cと上部フランジ31bとの間に嵌め込まれることにより、上部フランジ31bが環状頂部42の下方に配置された状態で吸上げ部材31が装着部材40に保持されている。
保持部材32は、円筒状の筒部32aと、筒部32aの軸方向中間部から径方向外側に突出する中間フランジ32bとを有する。中間フランジ32bは、上部フランジ31bの下面に沿って配置されている。筒部32aの外周面の上部には、保持凸部32cが設けられている。保持凸部32cは、操作部31aの周壁の内周面に設けられた凹部31dに係合しており、これにより吸上げ部材31に対する保持部材32の軸方向の位置ずれが抑制される。また、吸上げ部材31の下部は、保持部材32によって径方向内側から支持されており、径方向内側への変形が抑制される。保持部材32は合成樹脂製であり、軟質の吸上げ部材31よりも変形し難い。保持部材32を吸上げ部材31と共に装着部材40に予め装着しておくことで、装着部材40にノズル部材33を装着し易くなる。すなわち、保持部材32によって、装着部材40に対するノズル部材33のセット性を向上させることができる。
図1、2に示すように、ノズル部材33は、下部が下方に向けて縮径する管状(本例では円管状)のノズル部33aを有している。ノズル部33aの上部には、径方向外側に延在する円環状の下部フランジ33bが一体に設けられている。下部フランジ33bは、保持部材32の中間フランジ32bの下面に沿って配置された状態で、装着部材40の装着筒部41の内周面にアンダーカット係合により保持されている。また、下部フランジ33bの外周縁部には、上方に突出する凸部33cが設けられており、当該凸部33cは、中間フランジ32bの外周側で、吸上げ部材31の上部フランジ31bの下面に当接する。また、ノズル部材33の上部は、保持部材32によって径方向内側から支持されており、径方向内側への変形が抑制される。
ノズル部材33の下端部、つまりノズル部33aの下端部には先端開口部33dが設けられている。先端開口部33dは、スポイト30の内部の第1空間S1に連通している。なお、図3において、栓体34は閉位置にあり、先端開口部33dを閉塞している。これにより、第1空間S1に収容された第1剤の流出が抑制される。栓体34は、閉位置よりも上方の開位置(図4、5参照)に移動することで先端開口部33dを開放する。すなわち、栓体34は、先端開口部33dを閉塞する閉位置と、先端開口部33dを開放する開位置との間で、ノズル部33aの軸方向に移動可能である。
栓体34は、円板状の板部34aと、板部34aの中心から垂下する軸部34bとを有する。軸部34bの下部の外周面には、抜け止め凸部34cが設けられており、抜け止め凸部34cの上方には、戻り止め凸部34dが設けられている。抜け止め凸部34cは、軸部34bの全周にわたって延在する環状の突起である。戻り止め凸部34dは、軸部34bの周方向の一部のみに設けられている。なお、栓体34の形状は図示例に限定されず、例えば球状等でもよい。抜け止め凸部34cは、栓体34のノズル部33a内への押し込み範囲を規制する。戻り止め凸部34dは、栓体34が開位置から閉位置に戻ることを抑制する。
また、ノズル部33aの下部の内周面には、閉位置にある栓体34の板部34aを支持する上向きの環状支持面33eと、環状支持面33eよりも下方に位置する内向き突起33fとが設けられている。内向き突起33fは、ノズル部33aの内周面における周方向の一部に設けられた突起である。内向き突起33fは、抜け止め凸部34cと係合することにより、栓体34の上方への移動を所定の範囲に規制する(図4参照)。さらに内向き突起33fは、戻り止め凸部34dが内向き突起33fよりも上方に移動した後に、再び内向き突起33fよりも下方に戻り止め凸部34dが移動することを抑制する。これにより、一度開位置に移動した栓体34が、再び閉位置に移動して先端開口部33dを閉塞してしまうことを防止することができる。なお、戻り止め凸部34dは、抜け止め凸部34cよりも突出高さが小さくなっており、予め栓体34をノズル部33aの内部にセットする際、及び、使用直前に可動底壁14aの突起部14hにより栓体34をノズル部33aの内部に押し込む際には、内向き突起33fが戻り止め凸部34dを乗り越える。内向き突起33fは、ノズル部33aの周方向の1箇所のみに設けられていてもよいし、複数箇所に設けられていてもよい。戻り止め凸部34dも栓体34の周方向の1箇所のみに設けられていてもよいし、複数箇所に設けられていてもよい。
栓体34が閉位置にあるとき、板部34aの下面は環状支持面33eに支持され、板部34aの外周面が全周にわたってノズル部33aの内周面(シール面33g)に密接する。これにより、先端開口部33dが栓体34によって閉塞される。なお、閉位置にある栓体34の板部34a外周面が当接するノズル部33aのシール面33gの内径は、シール面33gよりも上方のノズル部33aの内径よりも小さくなっている。栓体34が閉位置から上方に押し込まれて、板部34a外周面がノズル部33aのシール面33gから離間すると、先端開口部33dが開放される。
また、ノズル部33aの先端部(下端部)には、ノズル部33aにおける他の部分よりも直径が小さい小径筒部33hが設けられている。小径筒部33hは、押し込み操作の際に、突起部14hを外側から取り囲む(突起部14hが小径筒部33hの内側に挿入される)ことにより、栓体34に対する突起部14hの位置ずれを抑制する。小径筒部33hの下端部の内周面は、下端に向けて徐々に拡径しており、突起部14hを挿入し易くなっている。
ノズル部材33の下部フランジ33bの下方には、円環板状のパッキン35が配置されている。パッキン35は、パッキン35の上面が下部フランジ33bの下面に接触した状態で、ノズル部33aの外周面にアンダーカット係合により保持されている。
なお、装着部材40、保持部材32、ノズル部材33及び栓体34は、それぞれ合成樹脂製であるが、これに限らない。
以下に、スポイト容器1のセット方法について説明する。先ず、容器本体10にキャップCをセット(装着)する前に、図2に示すように容器本体10の内部(第2空間S2)に第2剤を充填し、図3に示すようにキャップCのスポイト30の内部(第1空間S1)に第1剤を充填しておく。
ここで、スポイト30の内部(第1空間S1)に第1剤を充填する方法としては、装着部材40にノズル部材33を取り付ける前の状態(装着部材40からノズル部材33を取り外した状態)で、ノズル部材33の内部(第1空間S1)に第1剤を充填する。この時、ノズル部材33の先端開口部33dは閉位置にある栓体34によって閉塞されている。そして、予め吸上げ部材31及び保持部材32を組み付けた装着部材40に対して、第1剤を収容するノズル部材33を下方から差し込むようにして装着する。上述のように、吸上げ部材31と共に保持部材32を装着部材40に装着しておくことで、ノズル部材33を容易に装着することができ、またノズル部材33が脱落し難くなる。これにより、キャップCは、図3に示すようにスポイト30の内部の第1空間S1に第1剤が密封された状態となる。
次いで、容器本体10の口部11にキャップCのノズル部33aを挿入し、装着部材40を口部11に螺合させることで、容器本体10にキャップCを装着する。これにより、容器本体10に対するキャップCのセットが完了し、図1に示すセット状態となる。なお、スポイト容器1のセット方法は上記の方法に限られるものではない。
スポイト容器1を使用する際には、図1に示すセット状態から、図4に示すように、押し込み部材16の押圧壁16c(押圧操作部)を容器本体10の内部に向けて上方に押し込む押し込み操作を行う。当該押し込み操作により、押し込み部材16と共に可動底壁14aの突起部14hが上方に移動する。すなわち、押し込み操作により可動底壁14aが弾性変形し、突起部14hは、軸線Oに沿って上昇する。突起部14hは、徐々に小径筒部33hの内側に挿入され、突起部14hの上端部が栓体34の下端部に当接して栓体34をノズル部33a内に押し込む。これにより、栓体34が閉位置から開位置に移動して、先端開口部33dが開放される。また、図4に示すように、栓体34の戻り止め凸部34dは内向き突起33fを乗り越える。栓体34が閉位置から開位置に移動することでノズル部33aの先端開口部33dが開放されると、第1剤と第2剤とを混合可能な使用可能状態となる。なお、この時、図4に示すように可動底壁14aの傾斜部14dが弾性変形して復元力を生じる。そして、押圧力を解除すると傾斜部14dの復元変形により、可動底壁14a及び押し込み部材16が元の位置に戻る。ここで、上記押し込み操作により栓体34の戻り止め凸部34dが内向き突起33fよりも上方に移動することで、栓体34が閉位置に戻らなくなる。すなわち、一度押し込み操作を行った後は、可動底壁14a及び押し込み部材16が元の位置に戻っても、栓体34は開位置にある状態を維持する。
第1剤と第2剤とを混合する際には、図5に示すように操作部31aを押し潰す(弾性変形させる)。これにより、第1空間S1の第1剤が先端開口部33dを通過して第2空間S2に移動し、第1剤と第2剤とが混合して混合内容物が形成される。なお、図5に示すように先端開口部33dが開放された使用可能状態であっても、操作部31aを押し潰すまではスポイト30内から第1剤が流出しない。このため、第1剤と第2剤を混合する前に、容器本体10からスポイト30を抜き出して、スポイト30内(第1空間S1内)の第1剤を確認したり、容器本体10内(第2空間S2内)の第2剤を確認したりすることも可能である。また、例えば容器本体10及びノズル部33aの少なくとも一部を透明もしくは半透明とすることで、スポイト30内の第1剤を確認したり、容器本体10内の第2剤を確認したりすることが容易となる。容器本体10及びノズル部33aの両方を透明もしくは半透明とした場合には、容器本体10からスポイト30を抜き出さなくてもスポイト30内の第1剤を確認することができる。また、第1空間S1から第2空間Sに第1剤を送出した後は、スポイト容器1を振ることによって、第1剤と第2剤との混合を促すことができる。
そして、容器本体10の内部(第2空間S2)に混合内容物が形成された後は、キャップCのスポイト30を用いて、所望の位置に混合内容物を滴下することができる。すなわち、ノズル部33aの先端開口部33dを容器本体10内の混合内容物に浸漬させた状態で操作部31aを指で押圧して弾性変形及び復元変形させることで、容器本体10内の混合内容物をノズル部33a内に吸上げることができる。そして、キャップCを口部11から取り外し、所望の箇所で操作部31aを再度押圧して弾性変形させることで、ノズル部33a内から混合内容物を外部に送出し、滴下することができる。
以上の通り、本実施形態に係るスポイト容器1は、口部11、胴部12、及び底部13を有する容器本体10と、スポイト30を有するとともに口部11を開閉可能なキャップCと、を備え、スポイト30は、管状のノズル部33aと、ノズル部33aの先端開口部33dを閉塞可能な栓体34と、外部からの操作に応じてノズル部33a内の内容物を送出可能な操作部31aと、を有し、底部13は、容器本体10の内部(第2空間S2)に突出する突起部14hが設けられた弾性変形可能な可動底壁14aを有し、押圧操作部(押圧壁16c)の押し込み操作により、先端開口部33dを閉塞する栓体34を突起部14hがノズル部33a内に押し込み、先端開口部33dが開放されるように構成されている。このような構成とすることで、図1に示すセット状態では、第1空間S1に第1剤を収容し、第2空間S2に第2剤を収容することができる。すなわち、異なる2種の内容物(第1剤と第2剤)をスポイト容器1内部の別々の空間に隔離状態で収容することができる。また、使用時には、図4に示すように押圧壁16cの押し込み操作により先端開口部33dを開放させ、図5に示すように操作部31aを押し潰すことで、第1剤と第2剤とを混合することができる。また、形成された混合内容物は、スポイト30を用いて滴下(注出)することができる。なお、容器本体10の口部11をキャップCで閉めた状態を維持しながら、第1剤と第2剤とを混合することができるので、混合過程で内容物が外部に漏出する虞がない。
したがって、本実施形態に係るスポイト容器1によれば、2種の内容物を隔離状態で収容しつつ、使用時には混合状態で滴下することが可能となる。
また、本実施形態に係るスポイト容器1では、可動底壁14aが、突起部14hが栓体34を押し込む際にノズル部33aの先端部が配置される収容凹部14gを有し、突起部14hは、収容凹部14gの内側に設けられている。このような構成とすることで、押し込み操作の際の容器本体10に対するノズル部33aの位置が安定し、また、ノズル部33aの先端開口部33dに突起部14hを挿入し易くなる。また、スポイト容器1の使用可能状態では、収容凹部14gに溜まった混合内容物を、ノズル部33aの先端開口部33dからノズル部33a内に吸い上げやすくなる。なお、ノズル部33aの先端開口部33dに突起部14hをより挿入し易くする観点から、図1に示すように、セット状態においてノズル部33aの先端部が収容凹部14gに進入していることが望ましい。
また、本実施形態に係るスポイト容器1では、可動底壁14aが、収容凹部14gに向けて下方に傾斜する傾斜底面(傾斜部14dの上面)を有する構成としている。このような構成とすることで、可動底壁14aが上方に弾性変形し易くなるため、押し込み操作をより小さい力で行うことができる。また、スポイト容器1の使用時には、傾斜底面によって混合内容物を収容凹部14gに誘導することができるので、スポイト30により吸い上げ易くなり、容器本体10に残留する混合内容物の量を低減することができる。
また、本実施形態に係るスポイト容器1では、栓体34が、先端開口部33dを閉塞する閉位置と、先端開口部33dを開放する開位置との間で移動可能であり、栓体34は、閉位置において外周面がノズル部33aの内周面(シール面33g)に当接する板部34aと、板部34aから垂下する軸部34bとを有し、突起部14hが栓体34をノズル部33a内に押し込む際に、軸部34bの下端部に突起部14hの上端部が当接するように構成されている。このような軸部34bを設けることで、突起部14hの軸方向の大きさ(高さ)を比較的小さく抑えることができる。その結果、押し込み操作の際の突起部14hの姿勢が安定し易くなり、より確実に栓体34を押し込むことができる。
また、本実施形態に係るスポイト容器1では、軸部34bが、軸部34bの下部の外周面に設けられた抜け止め凸部34cと、抜け止め凸部34cの上方に位置する戻り止め凸部34dとを有し、抜け止め凸部34cは、栓体34のノズル部33a内への押し込み範囲を規制し、戻り止め凸部34dは、栓体34の開位置から閉位置への移動を抑制するよう構成されている。このような構成とすることで、栓体34の移動範囲を規制しつつ、使用時に意図せず先端開口部33dが栓体34によって閉塞されることを防止することができる。
また、本実施形態に係るスポイト容器1では、底部13が、胴部12に固定される固定部材15と、固定部材15の孔部15aに外部から押し込み可能に保持され押圧操作部(押圧壁16c)を構成する押し込み部材16と、押し込み部材16の上側に保持され可動底壁14aを構成する内底部材14とを有する。このような構成とすることで、比較的簡易な構成で、安定した押し込み操作が可能な押圧操作部を底部13に設けることができる。なお、押し込み部材16を設けずに、固定部材15の孔部15aから露出する可動底壁14aを直接押し込む構成としてもよい。
以下、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上述した実施形態と基本的な機能が同一である部分は、図中、同一の符号を付して説明を省略する。
図6は、本発明の他の実施形態に係る2種混合スポイト容器2(以下、スポイト容器2という)のセット状態を示しており、図7は、図6の部分拡大図である。
スポイト容器2における容器本体10の底部13は、胴部12に対して回転可能な回転操作部(外側回転部材22)を有する。なお、スポイト容器2において、キャップCの構成は、図上記実施形態のスポイト容器1と同一である(図3参照)。
図7に示すように、底部13は、胴部12に固定される環状の固定部材21と、固定部材21に対して回転可能に保持される外側回転部材22と、外側回転部材22の内側に保持される内側回転部材23と、内側回転部材23の径方向内側に保持される上下動部材24と、上下動部材24の上側に保持される内底部材14とを有する。固定部材21、外側回転部材22、内側回転部材23、上下動部材24、及び内底部材14は軸線Oを中心として同軸配置されている。また、外側回転部材22及び内側回転部材23は軸線Oを中心に回転するように構成されている。
固定部材21は胴部12に対する回転を抑制され、上下動部材24は固定部材21に対する回転を抑制されている。また、内側回転部材23は、外側回転部材22に対する回転を抑制されている。これにより、外側回転部材22及び内側回転部材23は、胴部12、固定部材21、及び上下動部材24に対して、所定の範囲内で回転可能に構成されている。なお、内底部材14は、胴部12及び固定部材21に対する回転を抑制されている。また、上下動部材24は、胴部12、固定部材21、外側回転部材22及び内側回転部材23に対して上下動可能に保持されている。なお、各部材の回転を抑制する構成としては、例えば、相互に周方向に係合する凸部を各部材間に設けることが考えられるが、当該凸部の配置等は特に限定されない。
固定部材21は、胴部12に固定される。固定部材21は、胴部12の胴本体部12bに固定保持される円筒状の周壁21aを有する。周壁21aの下部の外周面には、外側回転部材22が配置される凹状の小径部21bが設けられている。周壁21aの下部の内周面には、軸線Oと平行な縦溝21cが設けられている。縦溝21cには、後述するガイド突起24eの先端部が配置される。縦溝21cは、固定部材21に対する上下動部材24の回転を抑制するための構成である。縦溝21cは、軸線Oを挟んで周方向の2箇所に配置されている。なお、小径部21bには、外側回転部材22の内周面にアンダーカット係合することにより、固定部材21に対する外側回転部材22の脱落を抑制する抑制突起21dが設けられている。
内底部材14は、上下動部材24の上側に保持される。内底部材14の固定フランジ14cは、胴部12の下端部と固定部材21の内周面の段差部との間で上下方向に挟まれている。これにより内底部材14は、胴部12と固定部材21の間で固定保持される。なお、本例の内底部材14は、胴部12及び固定部材21に対する回転を抑制されている。
外側回転部材22は、固定部材21に対して回転可能に保持される。外側回転部材22は、有底筒状であり、外側回転部材22の小径部21bに配置される外筒壁22aと、外筒壁22aの下端部に連なる下壁部22bと、下壁部22bから上方に突出する回転抑制部22cとを有する。外筒壁22aは、回転操作部を構成する。下壁部22bの外周縁部は接地面を構成する。回転抑制部22cは、下壁部22bの上面に設けられた凸部であり、内側回転部材23に係合して外側回転部材22に対する内側回転部材23の回転を抑制する。
内側回転部材23は、環状であり、外側回転部材22の内側に保持されて外側回転部材22と共に回転するように構成されている。内側回転部材23は、図8に示すガイド溝25が形成された円筒状のガイド壁23aを有する。図8に示すように、ガイド溝25は、ガイド壁23aの上端に開口し軸方向に延びる縦溝部25aと、縦溝部25aの下端部から周方向に延びる横溝部25bとを有する。縦溝部25aは、後述するガイド突起24eを横溝部25bに導入するための溝であり、ガイド壁23aの上端の開口部からガイド突起24eを導入する。横溝部25bは、ガイド突起24eと係合して、外側回転部材22の回転操作に応じて上下動部材24を上下動させるための溝である。本例の横溝部25bは、上向きに凸となるように湾曲しており、略円弧状に延在している。なお、ガイド溝25の形状は図示例に限定されない。
図7に示すように、ガイド壁23aの外周面には、外側回転部材22に対する上下方向の移動を抑制するための規制凸部23bが設けられている。ガイド壁23aの内周面には、回転抑制部22cに係合する係合部23cが設けられている。ガイド溝25は、軸線Oを挟んで、内側回転部材23の周方向の2箇所に均等配置されている。
上下動部材24は、収容筒部14eの径方向外側に配置される筒状の側壁24aと、側壁24aの下端部を閉塞する隔壁24bと、側壁24aの外周面から径方向外側に延びる環状壁24cと、環状壁24cの外周縁部から上方に延びるガイド内壁24dと、ガイド内壁24dの外周面に設けられた円柱状のガイド突起24eとを有する。
側壁24aの上端面は、可動底壁14aの傾斜部14dの内周縁部の下面に当接し、側壁24aの内周面は、収容筒部14eの上部の外周面に当接している。また、隔壁24bの上面は、底壁部14fの下面に当接している。ガイド内壁24dは、ガイド壁23aの径方向内側に配置される。
ガイド突起24eは、内側回転部材23のガイド溝25を貫通して、その先端部が固定部材21の縦溝21cに配置される。すなわち、ガイド突起24eは、ガイド溝25に沿って移動する。なお、ガイド突起24eは、縦溝21cによって回転を抑制されているため、上下動部材24は、固定部材21及び胴部12に対して上下動のみ可能となる。
ここで、図8に示すP1は、図6、7に示すセット状態におけるガイド突起24eの位置を示す。図8に二点鎖線で示すP2は、外側回転部材22の回転操作により上下動部材24が最も上昇した状態のガイド突起24eの位置を示している。この時、図9に示すように上下動部材24と共に突起部14hが上昇して、栓体34をノズル部33a内に押し込み、ノズル部33aの先端開口部33dが開放される。また、図8に二点鎖線で示すP3は、外側回転部材22のさらなる回転操作により、上下動部材24がP2から再び下降した状態のガイド突起24eの位置を示している。この時、図10に示すように、上下動部材24と共に突起部14hも下降して、突起部14hは図7に示すセット状態の位置付近まで戻るが、栓体34は開位置で維持される。なお、ガイド突起24eがP3の位置まで到達すると、ガイド突起24eがガイド溝25の横溝部25bの終端部に接触するため、それ以上の外側回転部材22の回転操作が抑制される。
第1剤と第2剤とを混合する際には、図10に示すように操作部31aを押し潰す(弾性変形させる)。これにより、第1空間S1の第1剤が先端開口部33dを通過して第2空間S2に移動し、第1剤と第2剤とが混合して混合内容物が形成される。
そして、容器本体10の内部(第2空間S2)に混合内容物が形成された後は、キャップCのスポイト30を用いて、所望の位置に混合内容物を滴下することができる。
以上の通り、本実施形態に係るスポイト容器2は、口部11、胴部12、及び底部13を有する容器本体10と、スポイト30を有するとともに口部11を開閉可能なキャップCと、を備え、スポイト30は、管状のノズル部33aと、ノズル部33aの先端開口部33dを閉塞可能な栓体34と、外部からの操作に応じてノズル部33a内の内容物を送出可能な操作部31aと、を有し、底部13は、容器本体10の内部(第2空間S2)に突出する突起部14hが設けられた弾性変形可能な可動底壁14aを有し、胴部12に対して回転可能な回転操作部(外側回転部材22の外筒壁22a)の回転操作により、先端開口部33dを閉塞する栓体34を突起部14hがノズル部33a内に押し込み、先端開口部33dが開放されるように構成されている。このような構成とすることで、図6、7に示すセット状態では、異なる2種の内容物(第1剤と第2剤)をスポイト容器2内部の別々の空間に隔離状態で収容することができる。また、使用時には、外側回転部材22の回転操作により、図9、10に示すように先端開口部33dを開放させ、操作部31aを押し潰すことで第1剤と第2剤とを混合することができる。また、形成された混合内容物は、スポイト30を用いて滴下(注出)することができる。
したがって、本実施形態に係るスポイト容器2によれば、2種の内容物を隔離状態で収容しつつ、使用時には混合状態で滴下することが可能となる。
また、本実施形態に係るスポイト容器2では、底部13が、胴部12に固定される環状の固定部材21と、固定部材21に対して回転可能に保持され回転操作部を構成する有底筒状の外側回転部材22と、外側回転部材22の内側に保持され外側回転部材22と共に回転する環状の内側回転部材23と、内側回転部材23の径方向内側に保持されるとともに内側回転部材23の回転に伴い上下動する上下動部材24と、上下動部材24の上側に保持され可動底壁14aを構成する内底部材14とを有する。このような構成とすることで、比較的簡易な構成で、安定した回転操作が可能な回転操作部を底部13に設けることができる。また、内側回転部材23及び上下動部材24が、固定部材21及び外側回転部材22によって外側から覆われているため、ゴミの侵入等による動作不良を防止することができる。
また、本実施形態に係るスポイト容器2では、内側回転部材23は、円筒状のガイド壁23aと、ガイド壁23aに形成されたガイド溝25とを有し、上下動部材24は、ガイド溝25に沿って移動するガイド突起24eを有する。このような構成とすることで、ガイド溝25の角度、長さ等の調整により、内側回転部材23の回転に伴う上下動部材24の上下の動作を容易に調整することができる。
また、本実施形態に係るスポイト容器2では、固定部材21が、固定部材21に対する上下動部材24の回転を抑制するための縦溝21cを有し、ガイド溝25を貫通するガイド突起24eの先端部が縦溝21cに配置される構成としている。このような構成とすることで、ガイド突起24eを、内側回転部材23の回転に伴い上下動部材24を上下動させる機能と、固定部材21に対する回転を抑制する機能との両方に用いることができるので、スポイト容器2の構造をより簡易化することが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記の実施形態では、スポイト30の操作部31aが、ゴムやエラストマー等の軟材質からなる構成としていたが、これに限られず、例えば、キャップ内部のスプリング等により上方付勢されるとともにキャップ上部に位置する押し釦(押圧部)を押し下げることにより、混合内容物を吸上げたり滴下したりする構成としてもよい。また、前記の実施形態の操作部31aは、外部からの直接的な操作に応じて弾性変形及び復元変形することで容器本体10内の混合内容物をノズル部33a内に吸上げるように構成されているが、これに限らず、操作部31aを、適宜設けた操作部材を介した間接的な操作に応じて弾性変形及び復元変形することで容器本体10内の混合内容物をノズル部33a内に吸上げるように構成してもよい。