JP7348814B2 - 原子力発電プラント - Google Patents
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Description
例えば、沸騰水型原子炉では、炉心を内包する原子炉圧力容器をさらに取り囲むように配置された原子炉格納容器(以下、単に「格納容器」とも呼ぶ)内部で、原子炉水位が低下し炉心が露出して冷却が不十分になる可能性がある。
この対策として、水位低下の信号により原子炉は自動的に非常停止され、非常用炉心冷却装置による冷却水の注入によって炉心を冠水させて冷却する。
露出した炉心の冷却が不十分となることにより、原子炉停止後も発生し続ける崩壊熱によって燃料棒の温度が上昇する。燃料棒温度の上昇に伴い、燃料被覆管の温度が上昇することで、燃料被覆管に含まれるZrと水蒸気の反応(水-Zr反応)により多量の水素が発生する。
また、燃料棒の温度が上昇することで、炉心の溶融に至る可能性が存在する。下部ドライウェルへの注水により溶融炉心が冷却され、格納容器の床を形成するコンクリートと溶融した炉心の反応(MCCI;Molten Core Concrete Interaction)の進展を防止するようになっている。
しかし、万一MCCIが継続した場合、水素が発生し続ける。
沸騰水型原子炉の格納容器内には、蒸気を凝縮させることで圧力を減少させるサプレッションプールや、格納容器スプレイなどの安全設備が備わっている。
しかし、非凝縮性ガスである水素は凝縮せず、格納容器内の圧力のうち水素分圧が占める圧力を低減できない。
この水素処理装置は、金属酸化物自体が酸素原子を含んでいるため、酸素ガスを必要とせずに水素を処理できる。このため、過酷事故時での格納容器内の雰囲気のように、水素濃度と比較して酸素濃度が低い雰囲気でも使用可能である。このような水素処理装置は、放射性物質を格納容器外部に放出することがない。また、水蒸気を格納容器外部に放出しないため、格納容器内の水量を減らすことがない。
このような水素透過膜のうち、金属水素透過膜は、一般的に排出される水素の純度が99.9999%以上と高く、水蒸気および放射性物質をほぼ透過しない。
これにより、格納容器内の水量を減らすことがなく、放射性物質を格納容器外部に放出することがない。また、格納容器内外の水素分圧により金属水素透過膜を通した水素透過量が決定されるため、水素分圧が高い格納容器内から水素分圧が低い格納容器外へと水素透過が可能となる。
また、多量の水素を処理するためには、水素透過膜に対して、格納容器内の気体を供給し続ける必要がある。
そして、水素排出装置は、水素のみを透過する金属水素透過膜と、金属水素透過膜の下部かつ流入側に設けられ、水素排出装置に流入した気体を加熱する加熱源とを有する。
さらに、水素排出装置は、金属水素透過膜及び加熱源が収容された容器を備える。
また、加熱源は、流入した気体に含まれる水蒸気と化学反応して反応熱を生じる物質で構成され、反応熱で気体を加熱する。
これにより、水素排出装置に流入した、水蒸気と水素を含む気体が加熱源に接して、水蒸気と加熱源が化学反応して生じた反応熱により気体が加熱されて、加熱された気体が上昇して、加熱源の上方にある金属水素透過膜に流入する。
加熱されることにより、気体が金属水素透過膜の動作温度に達して、金属水素透過膜において、良好に水素を透過させることができる。そして、金属水素透過膜が水素のみを透過するので、水素を気体から分離して配管から排出することができ、水蒸気や気体に含まれる放射性核種は排出されないようにできる。
反応熱により加熱されることにより、加熱された気体が自然に上昇して、加熱源と容器に収容され、かつ加熱源の上方にある金属水素透過膜に流入するので、気体を水素排出装置に吸入させるためのブロワ・ポンプ等や、これらを駆動するための大型の非常用発電機は不要になる。
従って、事故発生時に原子炉格納容器内で発生する多量の水素を、大型の非常用発電機を必要とせずに原子炉格納容器内から除去しつつ、水蒸気および放射性物質を原子炉格納容器内に保持することができる。
水素排出装置は、水素のみを透過する金属水素透過膜と、金属水素透過膜の下部かつ流入側に設けられ、水素排出装置に流入した気体を加熱する加熱源とを有する。
加熱源は、流入した気体に含まれる水蒸気と化学反応して反応熱を生じる物質で構成され、反応熱で気体を加熱する。
この構成において、さらに、金属水素透過膜の上部かつ流出側に、煙突状のチムニを有する構成とすることができる。
そして、加熱源は、金属水素透過膜の下部かつ流入側に設けられている。即ち、流入側にある加熱源の上方に、金属水素透過膜が配置されている。
また、加熱源は、流入した気体に含まれる水蒸気と化学反応して反応熱を生じる物質で構成され、反応熱で気体を加熱する。
反応熱により気体が加熱されて、加熱された気体が軽くなって上昇して、加熱源の上方にある金属水素透過膜に流入する。そして、金属水素透過膜において水素のみが透過するので、気体から水素の一部または全部が分離して排出される。
このとき、気体が加熱されていることにより、気体を金属水素透過膜の動作温度とすることができ、金属水素透過膜において、水素脆化を生じることがなく、良好に水素を透過して水素を排出することができる。
また、金属水素透過膜の材料としては、その他の材料、例えば、V-Ni-Tiなどのバナジウム合金、Ta-Moなどのタンタル合金、Zr-Ni、Zr-Al-Co-Ni-Cuなどのジルコニウム合金、Nb-Ni-Zrなどのニオブ合金等も使用することができる。
また、加熱源は、流入した気体に含まれる水蒸気と化学反応して反応熱を生じる物質で構成され、反応熱で気体を加熱する。
これにより、水素排出装置に流入した、水蒸気と水素を含む気体が加熱源に接して、水蒸気と加熱源が化学反応して反応熱が生じる。そして、反応熱により気体が加熱されて、加熱された気体が上昇して、加熱源の上方にある金属水素透過膜に流入する。
加熱された気体は、金属水素透過膜の動作温度に達して、金属水素透過膜において、良好に水素を透過させることができる。そして、金属水素透過膜が水素のみを透過するので、水素を気体から分離して配管から排出することができ、水蒸気や気体に含まれる放射性核種は排出されないようにできる。
また、反応熱により加熱された気体は、自然に上昇して金属水素透過膜に流入するので、気体を水素排出装置に吸入させるためのブロワ・ポンプ等や、これらを駆動するための大型の非常用発電機は不要になる。
従って、事故発生時に原子炉格納容器内で発生する多量の水素を、大型の非常用発電機を必要とせずに原子炉格納容器内から除去しつつ、水蒸気および放射性物質を原子炉格納容器内に保持することができる。
一方、気体中の水素以外の成分や、金属水素透過膜を透過しなかった残りの水素は、金属水素透過膜の上方の気体排出口から排出される。
そして、排出された気体は、水素排出装置の外で冷却された後に、また気体流入口から水素排出装置に流入することが可能である。
このように気体が循環することにより、気体から水素のみが分離されて排出される。
また、チムニを有することにより、金属水素透過膜の高さを高くしなくても水頭差を大きくすることができ、高価な金属水素透過膜を多く使用しなくても良くなることから、水素排出装置のコストの増大を抑えることができる。
実施例1の原子力発電プラントの概略構成図を、図1に示す。
本実施例の原子力発電プラントは、図1に示すように、原子炉格納容器1内に、炉心2を内包する原子炉圧力容器3が設けられている。
そして、この原子炉圧力容器3には、原子炉圧力容器3内で発生した水蒸気をタービン(図示せず)に送る主蒸気管4が接続されている。
サプレッションチェンバ7は、内部にプール水を貯めている領域のことを言う。このサプレッションチェンバ7内のプールのことを、サプレッションプール8と呼ぶ。
ドライウェル6とサプレッションチェンバ7は、ベント管9によって相互に連通されており、ベント管排気部9aは、サプレッションチェンバ7内のサプレッションプール8の水面下に開口している。
水素排出装置14には、ベントライン15が接続されており、ベントライン15の先に排気塔13が設けられている。ベントライン15は、原子炉格納容器1の前後に隔離弁16が設けられている。
水素排出装置14、ベントライン15、排気塔13、隔離弁16などにより、水素排出設備40が構成されている。
図1の水素排出設備40(水素排出装置14およびその周辺)の概略構成図を、図2に示す。
具体的には、円筒状の容器25の上に接続して円筒状のチムニ22が設けられ、円筒状の容器25とチムニ22の外側を、断熱材34で覆っている。
そして、円筒状の容器25の下部が気体加熱部23となり、円筒状の容器25の上部が水素排出部24となっている。
気体流入口19は、気体を主に通し、かつ固体の流入を防ぐような大きさの開口を有する構成とされる。
加熱源20は、水蒸気と化学反応(結合あるいは吸着)することで反応熱を生じる物質で構成されている。
気体加熱部23よりも下方では、円筒状の容器25に開放弁31が設けられている。この開放弁31は、通常運転時には閉じられており、水素排出装置14の使用時に開放する。
加熱源20の構造としては、反応熱を気体に伝えやすくするため、加熱源20を粒子状として気体加熱部23内に複数個配置し、粒子間を気体が通過することができる形状が望ましいが、他の形状でも構わない。
また、開放弁31および開放弁32は、一度開放すれば、水素排出を停止するまで閉じることはないため、必要な電力は十分小さいことから、非常用バッテリーなどを開放手段として用いる構成とすることができる。なお、例えば外部から圧縮空気等の高圧気体を用いて開く弁を用いるなど、電源を使用しないその他の開放手段を用いて構わない。
ベントライン15(配管)には、水素排出装置隔離弁18と隔離弁16が設けられている。水素排出装置隔離弁18は、水素排出装置14の内部と外部のベントライン15を隔離する。隔離弁16は、原子炉格納容器1の内部と外部を隔離する。
図2および図3に示すように、水素排出部24では、円筒状の容器25内に、円筒状の金属水素透過膜21が複数設置されている。
円筒状の金属水素透過膜21の外部と円筒状の容器25とで囲まれた空間である、膜外空間26は、水素排出口17と連通している。
図2に示すように、円筒状の金属水素透過膜21の外の膜外空間26の上下には、蓋33が設けられている。この蓋33により、膜外空間26に出た水素が水素排出部24の上下に漏れ出すことなく、膜外空間26に出た水素を水素排出口17からベントライン15へ排出することができる。
金属水素透過膜21の材料と加熱源20の材料の組み合わせとしては、気体の温度を金属水素透過膜21の使用温度まで昇温可能であればよい。
この支持体は、金網等の網目状の構成、または、多孔質セラミック等の開口や貫通孔を有する構成として、金属水素透過膜21を透過した水素の移動を妨げないようにする。
例えば、金属水素透過膜21の表面積の合計(断面の円の長さ×筒の長さ×本数)を大きくすると、単位時間当たりに金属水素透過膜21を透過できる水素の量を多くすることができる。
また例えば、金属水素透過膜21の内容積の合計(筒の断面積×筒の長さ×本数)を大きくすると、単位時間当たりに処理できる気体の量を多くすることができる。
従って、例えば、同じ円筒状の金属水素透過膜21を使用する本数を増やすと、単位時間当たりに、金属水素透過膜21を透過できる水素の量および処理できる気体の量を増やすことができる。
また例えば、金属水素透過膜21の筒の断面積を小さくすると、水素排出装置14全体の小型化を図ることができる。
気体流入口19に流入する混合気体の気体成分中で最も密度が小さい気体である水素が排出されると、混合気体の密度が大きくなることで、上昇速度は小さくなる。上昇速度が小さいと、水素排出部24に流入する気体流量、すなわち水素流量が少なくなり、水素が排出される速度が低下する。
そこで、水素が排出される速度の低下を抑制するため、水素排出部24の上方にチムニ22を設けている。
チムニ22を設けることにより、気体流入口19からチムニ22の最上部(開放弁32の部分)までの水頭差が大きくなり、気体の上昇速度が増加し、水素が排出される速度が増加する。
なお、チムニ22を設ける代わりに、水素排出部24の金属水素透過膜21の長さを大きくしても、気体流入口から最上部までの水頭差を大きくできるが、高価な金属水素透過膜21の使用量が多くなるため、水素排出装置14のコストが増大してしまう。
チムニ22を設けた場合、チムニ22によって水頭差を大きくすることができ、かつ水素排出装置14のコストの増大を抑えることができる。
サプレッションプール8の水で水蒸気を凝縮することで、原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制する。この際に、水蒸気内に放射性物質が含まれていた場合、サプレッションプール8の水のスクラビング効果により、大半の放射性物質が除去される。
そのために、蒸気逃し安全弁10を通して放出された水蒸気は、蒸気逃し安全弁排気管11を通って、最終的にクエンチャ12からサプレッションプール8内に放出され、サプレッションプール8のプール水により凝縮される。水蒸気をサプレッションプール8で凝縮して液体の水にすることで、水蒸気の体積が大幅に減少し、原子炉格納容器1の圧力上昇を抑制することができる。
サプレッションプール8で水蒸気を凝縮し、サプレッションプール8内のプール水を残留熱除去系(図示せず)で冷却することで、原子炉格納容器1の温度上昇と圧力上昇を防止し、事故を収束させることができる。
また、万一炉心が溶融し、高温の溶融炉心が原子炉圧力容器3の底部に落下した場合、前述したMCCIにより水素が発生する。
この水素は非凝縮性ガスであるため、サプレッションプール8やスプレイでは凝縮できず、原子炉格納容器1内の圧力上昇要因となる。
原子炉圧力容器3内あるいはドライウェル6内で発生した水素の一部は、ウェットウェル7aへと流入する。
次に、本実施例の原子力プラントにおける、水素排出装置14の動作について説明する。
これらの開放弁31,32を開放することにより、水素を含む気体を、水素排出装置14に流入させることができる。
気体流入口19から気体加熱部23へと流入した水蒸気のうち、一部が気体加熱部23の加熱源20と反応することにより、加熱源20から反応熱が放出される。
加熱源20へと流入した気体は、反応熱により温められる。これにより、気体が水素排出部24の金属水素透過膜21の動作に適した温度になり、また気体が軽くなって、気体加熱部23の上方にある水素排出部24へ流入する。
そして、水素排出部24において、気体のうちの水素の一部または全部が金属水素透過膜21を透過して、膜外空間26に排出される。膜外空間26に排出された水素は、矢印101で示すように、水素排出口17からベントライン15に排出され、さらにベントライン15を経由して、排出塔13から排出される。
そして、残りの水素を含む気体は、ウェットウェル7aで冷却されることにより、また水素排出装置14の気体流入口19から流入することが可能になる。
金属水素透過膜は、一般的に、排出される水素の純度が99.9999%以上と高く、水蒸気および放射性物質をほぼ透過しない。このため、原子炉格納容器1内の水量を減らすことがなく、放射性物質を原子炉格納容器1の外部に放出することがない。
一方、過酷事故時のウェットウェル7a内の気相温度は100~160℃程度であり、使用温度よりも低い。
一般的に、金属水素透過膜を低温で使用した場合、金属水素透過膜が水素脆化して、金属水素透過膜の水素透過性能が劣化する可能性がある。
従って、本実施例の水素排出装置14において、金属水素透過膜21の加熱が必要である。酸化カルシウムと水あるいは水蒸気が反応し、水酸化カルシウムが生じる反応が化学平衡となる温度は、事故時の水蒸気分圧0.2~0.4気圧程度で500~600℃程度である。このため、加熱源20の構成材料を酸化カルシウムとすることで、加熱源20に流入する気体を酸化カルシウムと水蒸気との反応が化学平衡となる温度である500℃近くまで昇温する。昇温された気体が金属水素透過膜21に流入することで、金属水素透過膜21を使用温度まで昇温できる。
また、水素排出装置14により水素を排出し続けた際、ウェットウェル7a内の水素分圧が低くなり、ウェットウェル7a内の全圧が減少した場合、ベント管9を通してドライウェル6からウェットウェル7aへと水素を含む気体が流入する。流入した水素は、水素排出装置14により原子炉格納容器1外に排出されるため、結果的にウェットウェル7a内のみならずドライウェル6内の水素も排出できる。
しかし、原子力発電プラントの運転期間は、一般的に数十年程度であるため、ウェットウェル7a内の水蒸気が水素排出装置14の隙間などから加熱源20内へと漏洩し、加熱源20が徐々に水酸化カルシウムへと化学変化する可能性がある。水酸化カルシウムへと化学変化した場合、装置使用時に水蒸気が流入した際に十分な加熱ができなくなる恐れがある。
これを考慮して、定期検査時に、加熱源20と水蒸気との反応が化学平衡となる温度以上で外部から加熱することで、水酸化カルシウムを逆反応により酸化カルシウムと水蒸気に戻すことで、気体加熱部23の機能を復元できる。
これにより、水素排出装置14に流入した、水蒸気と水素を含む気体が加熱源20に接して、水蒸気と加熱源20が化学反応して反応熱が生じる。そして、反応熱により気体が加熱されて、加熱された気体が上昇して、加熱源20の上方にある金属水素透過膜21に流入する。加熱された気体は、金属水素透過膜21の動作温度に達して、金属水素透過膜21において、良好に水素を透過させることができる。金属水素透過膜21が水素のみを透過するので、水素を気体から分離して、膜外空間26、水素排出口17、ベントライン15を通じて、水素を排出することができ、水蒸気や気体に含まれる放射性物質は放出されないようにできる。
また、反応熱により加熱された気体は、自然に上昇して金属水素透過膜21に流入するので、気体を水素排出装置14に吸入させるためのブロワ・ポンプ等や、ブロワ・ポンプ等を駆動するための大型の非常用発電機は不要になる。
従って、事故発生時に原子炉格納容器1内で発生する多量の水素を、大型の非常用発電機を必要とせずに原子炉格納容器1内から除去しつつ、水蒸気および放射性物質を原子炉格納容器1内に保持することができる。
また、チムニ22を有することにより、金属水素透過膜21の高さを高くしなくても水頭差を大きくすることができ、高価な金属水素透過膜21を多く使用しなくても良くなることから、水素排出装置14のコストの増大を抑えることができる。
これに対して、特許文献1の構成のように、円筒状の管に金属酸化物が充填された処理部に水素を含む気体を流入させる場合には、固体である金属酸化物が充填された処理部に気体を通すので、気体に対する抵抗があるため、ブロワやポンプ等が必要になる。
実施例2の原子力発電プラントの概略構成図を、図4に示す。
本実施例では、図4に示すように、水素排出装置14の配置が実施例1とは異なっている。
本実施例では、水素排出装置14が、ドライウェル6内の上部に配置されている。その他の構成は実施例1と共通している。
そして、ドライウェル6内に配置された水素排出装置14と、水素排出装置14に接続されたベントライン15、排気塔13などにより、水素排出設備40が構成される。
過酷事故時には、ドライウェル6内の上部に水素が移行し成層化する可能性がある。
実施例1では、ウェットウェル7a内に水素排出装置14が存在するため、ドライウェル6内で成層化した水素が原子炉格納容器1の下部に存在するサプレッションプール8へと移行するために多くの時間を要することから、速やかに減圧できない可能性がある。
実施例2では、ドライウェル6内の上部に水素排出装置が存在するため、速やかに成層化した水素を排出可能である。
このような追加のフィルタが必要な場合、自然循環力を確保するために装置の圧損を低減する必要が生じるので、例えばチムニ22が長くなるなど、水素排出装置14のコストが増加する欠点がある。
実施例3の原子力発電プラントの概略構成図を、図5に示す。
本実施例では、図5に示すように、水素排出口17から排気塔13に通じる流路上に、静的水素処理設備設置空間29を設置し、静的水素処理設備設置空間29内に静的水素処理設備27を設置して、水素排出設備40を構成している。
静的水素処理設備27により水素を処理するために必要である、酸素の含まれる外気を取り込むため、静的水素処理設備設置空間29内と大気とを連通する外気取り込み流路30を備えている。
また、外気取り込み流路30を通して水素が大気へと排出されることを防ぐため、逆止弁28が外気取り込み流路30上に設けられている。
金属水素透過膜21の断面形状は、図3に示した円形に限定されず、他の形状(三角形、四角形、楕円形など)としてもよい。
これに対して、図2に示したように、円筒状の容器25とチムニ22を別の構成とした場合には、それぞれの寸法の最適化や設計変更がしやすくなると考えられる。
気体加熱部23の容器の形状は、気体加熱部23内での圧力損失が少なくなるような形状とすることが、流入する気体の流量を増加させ、効率よく水素を除去できるという観点から望ましい。
また、水素排出部24の容器の形状についてもこの限りでなく、水素排出部24に流入した気体のうち、膜を透過しない気体が水素排出部24の上部に存在するチムニ22内の空間へと排出される構造であれば構わない。この際、気体加熱部23と同様に、効率良く水素を除去するため、水素排出部24内での圧力損失が少なくなるような形状とすることが望ましい。
Claims (8)
- 原子炉と、
前記原子炉を格納する原子炉格納容器と、
前記原子炉格納容器内に設けられ、前記原子炉格納容器内に発生した水素を排出するための水素排出装置と、
前記水素排出装置から前記原子炉格納容器の外へ、水素を排出する配管とを備え、
前記水素排出装置は、水素のみを透過する金属水素透過膜と、前記金属水素透過膜の下部かつ流入側に設けられ、前記水素排出装置に流入した気体を加熱する加熱源とを有し、
前記水素排出装置は、前記金属水素透過膜及び前記加熱源が収容された容器を備え、
前記加熱源は、流入した前記気体に含まれる水蒸気と化学反応して反応熱を生じる物質で構成され、前記反応熱で前記気体を加熱する
原子力発電プラント。 - 前記水素排出装置は、前記加熱源の下方に気体流入口を有し、前記金属水素透過膜の上方に気体排出口を有し、前記金属水素透過膜を透過した先の空間と前記配管とを連通させる水素排出口を有し、前記金属水素透過膜を透過しなかった気体を前記気体排出口へ排出し、前記金属水素透過膜を透過した水素を前記水素排出口から前記配管へ排出する請求項1に記載の原子力発電プラント。
- 前記水素排出装置は、前記金属水素透過膜の上部かつ流出側に、煙突状のチムニを有し、前記チムニの上部に前記気体排出口を有する請求項2に記載の原子力発電プラント。
- 前記水素排出装置は、前記加熱源に酸化カルシウムを用いている請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の原子力発電プラント。
- 前記水素排出装置は、前記金属水素透過膜の材料としてタンタル合金またはジルコニア合金を用いている請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の原子力発電プラント。
- 前記配管の前記原子炉格納容器外の部分に、排出された水素を酸素と反応させて処理する、静的水素処理設備が設けられている請求項1に記載の原子力発電プラント。
- 前記水素排出装置の前記加熱源が粒子状である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の原子力発電プラント。
- 前記水素排出装置の前記金属水素透過膜が筒状に成形され、筒状の前記金属水素透過膜の内側が空間であり、前記金属水素透過膜を透過しなかった気体が前記空間を通って前記気体排出口から排出される請求項2に記載の原子力発電プラント。
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