JP4073065B2 - 原子炉格納容器の水素除去装置 - Google Patents

原子炉格納容器の水素除去装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に原子力発電所に用いられ事故時に原子炉格納容器内に発生する水素を除去する原子炉格納容器の水素除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図27は従来の原子炉格納容器の概略系統断面図である。原子炉炉心107 を内蔵する原子炉圧力容器101 を格納する原子炉格納容器102 は、原子炉圧力容器101 を包囲する上部ドライウェル103 及び下部ドライウェル104 と、上部ドライウェル103 とベント管106 を介して接続し内部にサプレッションプール105aを備えたウェットウェル105 とから構成される。また原子炉圧力容器101 を包囲して生体遮蔽壁108 が設置されている。
【0003】
原子炉圧力容器101 に接続する主蒸気管109 等の原子炉一次冷却系配管が万一破断した場合、原子炉格納容器102 内の上部ドライウェル103 に高温・高圧の原子炉一次冷却材が放出され、上部ドライウェル103 内の圧力・温度が急激に上昇する。上部ドライウェル103 に放出された高温・高圧の冷却材は、上部ドライウェル103 内の気体と混合して、ベント管106 を通してサプレッションプール水105a中に放出されて冷却される。こうして原子炉圧力容器101 から放出される熱エネルギーの多くはこのサプレッションプール105aにおいて吸収される。
【0004】
原子炉圧力容器101 内には非常用炉心冷却系によりサプレッションプール水105aが注入されて炉心が冷却されるが、この注入水は長期的には炉心から崩壊熱を吸収し、破断した配管の破断口からドライウェルへ流出される。このため、このとき上部ドライウェル103 内の圧力・温度は常にウェットウェル105 よりも高い状態となる。このような長期的事象下で軽水型原子力発電所の原子炉内では、冷却材である水が放射線分解され、水素ガスと酸素ガスが発生する。さらに、燃料被覆管の温度が上昇する場合には水蒸気と燃料被覆管材料のジルコニウムとの間で反応が起こり(Metal-Water 反応と呼ばれる。)、短時間で水素ガスが発生する。こうして発生する水素ガスが破断した配管の破断口等から原子炉格納容器内に放出され、原子炉格納容器102 内の水素ガス濃度は次第に上昇する。また水素ガスは非凝縮性であるから、原子炉格納容器102 内の圧力も上昇する。
【0005】
この状態に対し何等有効な対策を行うことができずに、水素ガス濃度が4vol %かつ酸素ガス濃度が5vol %以上に上昇する、すなわち可燃性ガス濃度が可燃限界を超えたときには、気体は可燃状態となる。さらに水素ガス濃度が上昇すると過剰な反応が起きる可能性がある。
【0006】
こうした事態への有効な対策として、従来の沸騰水型原子力発電設備の場合には、圧力抑制式の原子炉格納容器内を窒素ガスで置換し酸素濃度を低く維持することにより、Metal-Water 反応により短時間で大量に発生する水素ガスに対しても原子炉格納容器内が可燃性雰囲気となることを厳に防止し、固有の安全性を達成している。また、水素ガスを除去するため原子炉格納容器外に設置され再結合器及びブロアを有する可燃性ガス濃度制御装置により、原子炉格納容器内の気体を原子炉格納容器外に吸引し、昇温させて水素ガスと酸素ガスを再結合させて水に戻し、残りの気体を冷却してから原子炉格納容器内へ戻すことで、可燃性ガス濃度の上昇を抑制している。
【0007】
また、上述の装置とは異なり外部電源を必要とせず、静的に可燃性ガス濃度を制御する方法として、水素の酸化触媒を用いて再結合反応を促進させる触媒式再結合装置を原子炉格納容器内に数十個設置する方法が開発されている。こうした水素除去装置の構成は、例えば特開平4−34395 号公報や特開平9−90092 号公報に詳述されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
Metal-Water 反応によって大量の水素が発生する事象下において、上述の水素と酸素の再結合による従来の水素処理方法では、低酸素状態で水素の除去を行うことが困難である。そこで、酸素濃度が低く再結合を行うのが難しい場合にも水素を除去する方法として、水素吸蔵合金の利用が提案されている。
【0009】
パラジウム、チタン、ジルコニウム、希土類等の単体金属は水素との反応により、金属格子間に多量の水素原子を吸蔵して二元系の金属水素化物を生成するが、これら二元系金属水素化物は分解しにくく、水素を放出させるためには高温とする必要があり、また放出能力も低い。よって、水素に対する反応の異なる複数の金属からなる合金(水素吸蔵合金という。)を用いることにより、室温に近い温度で可逆的に水素の吸蔵・放出ができるようになった。
【0010】
しかし、水素吸蔵合金が吸蔵する水素の重量は高々その合金重量の数%にすぎない。例えばTiFe合金の吸蔵水素量は合金重量の約1.8 %である。よって、大量の水素発生に対処するには膨大な量の水素吸蔵合金が必要とされる。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、低酸素条件においても水素を確実に除去し、水素による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明においては、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有し前記ドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備する原子炉格納容器と、この原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段と、前記ドライウェルと前記ウェットウェルのうち少なくとも一方と前記水素反応手段とを連絡する第1の配管と、前記水素反応手段と接続し反応生成物を排出する第2の配管と、前記水素反応手段の内部に保持されたアンモニア合成触媒と、前記水素反応手段に設けられた加熱手段と、前記水素反応手段に設けられた熱交換手段と、を備え、前記加熱手段により昇温して前記水素反応手段に導入される前記原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と窒素を合成してなるアンモニアの生成を促進し、前記熱交換手段により前記アンモニア合成触媒の温度の上昇を抑止すること、を特徴とする。
【0013】
この構成により、LOCA時に原子炉格納容器内に発生する水素と、原子炉格納容器内に存在する窒素を水素反応手段に導入し合成することにより、反応の前後で体積が減少し、水素による原子炉格納容器の内圧の上昇を抑制することができる。
【0016】
さらに、第1の配管内の流体を取込みこの流体中から水素及び窒素を分離し水素反応手段へ分離した水素及び窒素を移送するとともに水素及び窒素以外の成分を第2の配管へ移送する水素分離手段及び窒素分離手段を具備する。
【0017】
この水素分離手段及び窒素分離手段内には、水素分離膜及び窒素分離膜を配置し、水素及び窒素を選択的に透過させる構造とするのが好適である。これにより、アンモニア反応に不要な物質を選択し水素反応手段への移送を防ぐことにより、不純物によるアンモニア合成反応の阻害を防止し反応効率を高めるとともに、不純物による水素反応手段の劣化を防止する。
【0018】
また本発明では、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有しドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備する原子炉格納容器と、この原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段と、ドライウェルとウェットウェルのうち少なくとも一方と水素反応手段とを連絡する第1の配管と、水素反応手段と接続し反応生成物を排出する第2の配管と、水素反応手段に対し炭素化合物を供給する炭素化合物供給手段とを具備し、第1の配管を介して水素反応手段に導入される原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と炭素化合物とを合成することを特徴とする。
【0019】
この構成により、LOCA時に原子炉格納容器内に発生する水素と、原子炉格納容器内に存在する炭素化合物あるいは炭素化合物供給手段により供給される炭素化合物を水素反応手段に導入し合成することにより、水素による原子炉格納容器の内圧の上昇を抑制することができる。
【0020】
さらに、第1の配管内の流体を取込みこの流体中から水素及び炭素化合物を分離し水素反応手段へ分離した水素及び炭素化合物を移送するとともに水素及び炭素化合物以外の成分を第2の配管へ移送する水素分離手段及び炭素化合物分離手段を具備する。
【0021】
この水素分離手段及び炭素化合物分離手段内には、水素分離膜及び炭素化合物分離膜を配置し、水素及び炭素化合物を選択的に透過させる構造とするのが好適である。これにより、水素と炭素化合物の反応に不要な物質を選択し水素反応手段への移送を防ぐことにより不純物による合成反応の阻害を防止し反応効率を高めるとともに、不純物による水素反応手段の劣化を防止する。
【0022】
このとき、炭素化合物供給手段から水素反応手段に二酸化炭素を供給するものとすれば、二酸化炭素は炭素化合物のなかでも生成や貯蔵が容易であるから、炭素化合物供給手段を容易に構成することができる。
【0023】
また本発明では、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有しドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備する原子炉格納容器と、この原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段と、ドライウェルとウェットウェルのうち少なくとも一方と水素反応手段とを連絡する第1の配管と、水素反応手段と接続し反応生成物を排出する第2の配管と、第1の配管内を流通する流体を取込みこの流体中から水素及び炭素化合物を分離して水素反応手段に移送するとともに水素及び炭素化合物以外の成分を第2の配管へ移送する水素分離手段及び炭素化合物分離手段を具備し、第1の配管を介して水素反応手段に導入される原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と炭素化合物とを合成することを特徴とする。
【0024】
この構成により、LOCA時に原子炉格納容器内に発生する水素による原子炉格納容器の内圧の上昇を抑制することができると同時に、特に原子炉格納容器内に水素との反応に想定される必要量の炭素化合物が存在する場合は、炭素化合物貯蔵施設やこの貯蔵施設からの供給手段を設けずとも、原子炉格納容器内雰囲気のなかから分離し直接反応させることにより、より簡素な装置を実現することができる。
【0025】
さらに、水素反応手段において炭素化合物と水素の反応によりアルコールを生成することとする。アルコールのなかでもメタノールやエタノールは、生成が容易でかつ化学的に安定な液体であるから、その貯蔵が容易であり、また気体を液化することで原子炉格納容器の内圧低減に大きく寄与することができる。
【0026】
また、水素反応手段は、炭素化合物・水素合成触媒からなり内部に炭素化合物を導入する触媒層と、この触媒層の周囲に位置し水素を透過する水素分離膜とを具備し、原子炉格納容器内から移送される雰囲気のうち水素を水素透過膜を通して触媒層内に取込みこの水素と炭素化合物とを合成することを特徴とする。これにより、触媒層内に炭素化合物を供給するとともに水素透過膜から水素を導入することにより、炭素化合物と水素の合成反応を効果的に行うことができる。
【0027】
また、第1の配管に原子炉格納容器内雰囲気を移送する電動の移送手段を設ける。これにより、水素反応手段に原子炉格納容器内雰囲気を確実かつ早期に移送することができるから、原子炉格納容器の内圧上昇をより早期に抑制することができる。
【0028】
また、水素反応手段から排出される未反応物質を第1の配管に移送し再度水素反応手段に導入する。これにより反応効率を向上させることができる。
また、反応生成物収容手段に移送される流体を冷却する冷却手段を具備し、流体に凝縮作用を施すこととする。これにより、特に反応生成物が水やアルコールであり高温のため蒸気として存在する場合には、これを液化処理することで反応生成物の回収効率を向上させることができる。
【0029】
また、第2の配管は水素反応手段と原子炉格納容器とを連絡するよう設定する。これにより反応生成物を原子炉格納容器内に戻す構造とすることで設備全体を簡素化することができる。さらに、第2の配管はサプレッションプール中で開口するよう設定することで、反応性生物が水やアルコール等の液体あるいはアンモニア等の可溶性気体である場合にはサプレッションプール水内に反応生成物を保持させることができるから、簡素な構造でかつ原子炉格納容器内圧を効果的に低減することができる。
【0030】
また、水素反応手段での反応生成物を収容する反応生成物収容手段を具備し、第2の配管は水素反応手段と反応生成物収容手段とを連絡するよう設定する。この構成により、原子炉格納容器内への有機化合物の混入を防ぐことで、有機よう素の発生を防止し原子炉格納容器気相部への放射能放出量を低減することができる。
【0031】
さらに、反応生成物収容手段は液状流体を貯蔵するタンクを具備し、このタンク内に流入する気体を原子炉格納容器内に導入することとする。反応生成物が液体であるときにはかかる構成により反応生成物のみを収容した後に未反応ガスを原子炉格納容器に戻すことにより、反応生成物とそれ以外の物質との分別が可能となる。また未反応ガスを再度反応させることもできる。またこのとき、第2の配管に圧縮手段を設け、水素反応手段における反応生成物を圧縮して反応生成物収容手段に移送するよう設定すれば、特に反応生成物が気体である場合においても収容に必要な容積が比較的小さい簡素な構造を実現することができる。
【0032】
また、上記の水素分離手段は水素分離膜を有するとする。水素分離膜により水素を透過させ分離する方法は、PSA法や深冷法等による水素分離方法と比較してより簡素な構造でかつ確実に分離を行うことができる。
【0033】
また本発明では、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有しドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備する原子炉格納容器と、ドライウェルとウェットウェルのうち少なくとも一方に設けられ原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段と、水素反応手段に対し炭素化合物を供給する炭素化合物供給手段とを具備し、水素反応手段に導入される原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と炭素化合物とを合成することを特徴とする原子炉格納容器の水素除去装置を提供する。
【0034】
この構成により、原子炉格納容器内部に水素反応手段を設けここで炭素化合物と水素の反応を行うことで、原子炉格納容器の内圧上昇を抑制するとともに、構築物量及び設備全体の小型化を図ることができる。
【0035】
また本発明では、炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有しドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備し内部に炭素化合物を保持する原子炉格納容器と、前記ドライウェルと前記ウェットウェルのうち少なくとも一方に設けられ原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段を具備し、水素反応手段に導入される原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と原子炉格納容器内に保持された炭素化合物とを合成することを特徴とする。この構成により、例えば反応熱を利用してガスを取り込む自然循環式システムを実現することにより、配管等の構築物量を削減しかつ発電設備全体を小型化することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。原子炉格納容器内の各構成については図27に示した従来の系統図と略同様であるから、以下本実施の形態の特徴的な構成についてのみ説明することとする。
【0037】
本実施の形態においては、原子炉格納容器外に設けられたアンモニア合成手段4と、このアンモニア合成手段4とドライウェル1とを隔離弁6aとを介して連絡する配管5aと、アンモニア合成手段4とウェットウェル2気相部とを隔離弁6bを介して連絡する配管5bと、アンモニア合成手段4とウェットウェル2内のサプレッションプール3とを逆止弁8を介して連絡し反応生成物(主にアンモニア)を排出する戻り配管7とからなる。
【0038】
アンモニア合成手段4においては、化学反応式
3H2 +N2 → 2NH3
で表されるアンモニア合成反応が行われる。
【0039】
このアンモニア合成手段4は図示しない熱交換器を具備し、必要に応じて冷却/加熱を行う。すなわち、LOCA時に隔離弁6a,6bを開とすることでドライウェル1及びウエットウェル2気相部から取込まれる、窒素と水素でその大半をなす未反応ガスは、熱交換器により加熱され、アンモニアが合成される。その際発生する反応熱によりアンモニアはさらに昇温するが、熱交換器により冷却されることで、アンモニアの合成反応が常に促進されるよう反応平衡を維持する。こうして、熱交換器により、アンモニア合成の反応熱を未反応ガスの昇温に利用することで、高い熱効率を維持することができる。
【0040】
アンモニア合成手段4から放出されるアンモニア等の反応生成物及び未反応物質は、戻り配管7を介してサプレッションプール3水中に導かれ、アンモニアは可溶性のためサプレッションプール3水に溶解する。これにより、原子炉格納容器内のアンモニア分圧を低下させ、格納容器内圧上昇を抑制する。
【0041】
かかる事象時には放射性よう素が水溶性のよう化物(例えばCsI)として原子炉格納容器中に放出され、格納容器スプレイ或いはサプレッションプール3でのスクラビングによって水中に保持され、イオンI- に解離し、水中で水や金属イオン、有機物、放射線分解生成物等と反応する。よってサプレッションプール水中の水素イオン濃度が高く酸性を呈する場合には、次亜よう素酸(HOI)が生成されこれがよう化物イオンと反応することにより、あるいはよう化物イオンと水中の溶存酸素が反応することにより、よう素分子(I2 )が生成され気中に放出される。すなわち、以下の各反応で平衡が右側にシフトする。
【0042】
IO3 +2I- +3H+ ←→ 3HOI
HOI+I- +H+ ←→ I2 +H2
4I- +O2 +2H+ ←→ I2 +H2
また逆にサプレッションプール水がアルカリ性を呈する場合には、よう素はイオンとして水中に保持され、気相部へは殆ど放出されない。
【0043】
本実施の形態においては、アンモニア合成手段4により合成されたアンモニアをサプレッションプール3水中に放出する。アンモニアは水に溶解すると水酸化アンモニウムとなり、弱アルカリ性を呈する。よって上述の放射性よう素の気相部への放出を抑制することができるから、原子炉格納容器気相部への放射能放出量を低減することができる。
【0044】
なお、本実施の形態の変形例として、図2に示すように戻り配管7の出口をウェットウェル2気相部に連絡するよう設定してもよい。あるいはサプレッションプール水3の水位が何らかの事情で低下した場合を想定する。この場合においても、水素分子3mol と窒素分子1mol が反応して2mol のアンモニア分子が生成され、すなわちこの合成反応によりガスの体積は約1/2に減少するから、これをウェットウェル2気相部に戻すことで、サプレッションプール3内に戻す場合に比べてその程度は及ばないものの、格納容器内の内圧上昇を抑制することができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図3は本発明の第2の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。第1の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付し、説明を省略する。本実施の形態は上記第1の実施の形態における戻し配管7の途中にプール水9aを内包するアンモニア回収タンク9を設置したものである。アンモニア合成手段4とアンモニア回収タンク9を連絡し反応生成物及び未反応物質をプール水9a内に送る配管7aと、アンモニア回収タンク9とウェットウェル2内のサプレッションプール3とを連絡する配管7bを設ける。
【0046】
Metal-Water 反応によって発生した大量の水素が発生した場合、ドライウェル1あるいはウェットウェル2の雰囲気ガスはアンモニア合成手段5に送られ、雰囲気ガス中の水素と窒素が反応してアンモニアを生成する。生成反応物のうちその大半を占めるアンモニアは、配管7aを通して専用のアンモニア回収タンク9内のプール水に溶解することでタンク9内に保持され、その他の非水溶性物質はアンモニア回収タンク9の気相へ移行し、配管7bを通って格納容器に戻される。
【0047】
これにより、上記第1の実施の形態と略同様の効果が得られると同時に、アンモニアを原子炉格納容器外の専用タンク内に格納することでその放出を防ぐことができる。
【0048】
(第3の実施の形態)
図4は本発明の第3の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図1に示した上記第1の実施の形態においてドライウェル1あるいはウェットウェル2とアンモニア合成手段4とを連絡する配管5aあるいは5b上にブロア10を設けたものである。なお、図では配管5aと5bは途中で合流し配管5cをなしその途中にブロア10を設ける構成をとっているが、配管構成及びブロア10の位置はこれに限定されず、例えば配管5a、5bそれぞれをアンモニア合成手段5と連絡させ、少なくとも一方の配管にブロア10を設けるとしてもよい。また、ブロア10の駆動電源としては所内常用電源を使用するものとする。
【0049】
これにより、上記第1の実施の形態と同様の作用効果が得られると同時に、LOCA時にブロア10を作動させ、ドライウェル1あるいはウェットウェル2内の雰囲気ガスを強制的にアンモニア合成手段4に送り込むことで、原子炉格納容器内に発生する水素をより確実に除去することができる。
【0050】
なお、本実施の形態におけるブロア10の駆動電源として、所内常用電源の使用に代えて、専用の非常用電源を設ける構成をとることもできる。これにより、非常時に外部電源が喪失されるような事態に対しても原子炉格納容器内の水素を確実に除去することができる。
【0051】
(第4の実施の形態)
図5は本発明の第4の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態では、上記第3の実施の形態におけるアンモニア合成手段4として容器内にアンモニア合成触媒11を設置したものを用いる。
【0052】
アンモニア合成触媒11としては、遷移金属のうちアンモニア合成効果の高いFe,Fe34 ,Pt,Ru,OsあるいはU,U34 のうち何れかを用いるのが好適である。このアンモニア合成触媒11を粒状の酸化物担体に担持させて、この粒体をアンモニア合成手段容器4内で板状のカートリッジに充填する。なお、このカートリッジの形状は筒状などでもよく、特に板状に限定されない。
【0053】
この際、アンモニア合成の助触媒として、Al23 ,K2 O,MgO,CaO,K2 CO3 ,K,Na,Cs,Co34 のうちの何れかを用いると好適である。Al23 等の多孔性物質に触媒物質を担持させて触媒有効表面積を増大させることにより触媒によるアンモニア合成反応を促進させる。あるいはK,Na,Cs等のアルカリ金属をFe等の触媒に添加することによりアルカリ金属から電子の供与を受けてアンモニア合成速度を増加させる。
【0054】
あるいは、Fe,Mo,Ti,Coなどの遷移金属フタロシアニンの蒸着膜にNaやKなどのアルカリ金属を蒸着して作ったEDA錯体や、ゼオライト−遷移金属(FeCl3 ,RuCl3 ,OsCl3 )−カリウム錯体も有効である。
【0055】
これにより、第3の実施の形態と同様の作用効果が得られると同時に、触媒によるアンモニア合成反応の反応速度をさらに大きくすることで、原子炉格納容器内の圧力上昇をより確実かつ長期的に抑制することができる。
【0056】
(第5の実施の形態)
図6は本発明の第5の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態では、上記第4の実施の形態におけるブロア10とアンモニア合成手段4とを連絡する配管に水素分離手段12及び窒素分離手段13を設けたものである。図7に本実施の形態の要部(図6の破線囲み部分)を拡大した概略系統図を示す。水素分離手段12には水素分離膜が、窒素分離手段13には窒素分離膜がそれぞれ設置されている。
【0057】
ブロア10と水素分離手段12の入口側12aとを配管5cで連絡する。水素分離手段12の出口側は、分離された水素ガスの排出口12bと、水素ガスが除去されたガスの排出口12cとがある。水素ガスの排出口12bはアンモニア合成手段4の入口側4aと配管5dにより接続されている。また、水素ガスが除去されたガスの排出口12cは窒素分離手段13の入口側13aと配管14aにより接続されている。
【0058】
また窒素分離手段13の出口側は、分離された窒素ガスの排出口13bと、窒素ガスが除去されたガスの排出口13cとがある。窒素ガスの排出口13bはアンモニア合成手段4の入口側4aと配管14bにより接続されている。図では配管14bは配管5dに合流しているが、両配管は別箇にアンモニア合成手段4に連絡するとしてもよい。一方、窒素ガスが除去されたガスの排出口13cは配管14cによりサプレッションプール3と連絡する。図では配管14cは配管7に合流しているが、両配管は別箇にサプレッションプール3に連絡するとしてもよい。
【0059】
水素分離手段10内に設けられる水素分離膜としては、ポリイミド、ポリアラミド等に代表される有機高分子系水素分離膜や、パラジウム、バナジウム等の金属あるいはその合金に代表される金属膜のうちの何れかを使用するものとする。高分子膜は高分子鎖の隙間を分子が通り抜けるもので分子の大きさや速度に応じた分離を行うものであり、金属膜は膜表面の水素吸着により膜内部が拡散される作用を利用して水素だけを透過するものである。あるいは有機高分子膜を母材として金属膜を担持させた複合膜を使用してもよい。
【0060】
一方、窒素分離手段13に設けられる窒素分離膜としては、ポリオレフィン系、セルローストリアセテート、ポリスルホン等の有機高分子膜の使用が好適である。
【0061】
ブロア10により吸引されたドライウェル1あるいはウェットウェル2内の雰囲気ガスは、水素分離手段12を通過し水素分離作用を受け、分離された水素は配管5dを介してアンモニア合成手段4に、また水素分離後に残ったガスは配管14aを介して窒素分離手段13に送られる。ここで窒素分離作用を受け、分離された窒素は配管14bを介してアンモニア合成手段4へ導かれ、また窒素分離後に残ったガスは配管14cを介して原子炉格納容器内に戻される。
【0062】
水素及び窒素はアンモニア合成手段4内に保持される触媒11によりアンモニアとなり、配管7を介して原子炉格納容器のサプレッションプール3水中に送られる。
【0063】
以上の構成により、本実施の形態は上記第4の実施の形態と同様の効果が得られると同時に、原子炉格納容器内雰囲気ガス中から予め窒素と水素を分離してアンモニア合成反応を行うことにより、不純物によるアンモニア合成反応の阻害を防止することで反応効率を上げるとともに、触媒11の劣化を防止することができる。
【0064】
また、水素及び窒素の分離に分離膜を使用することにより、他の分離方法、例えば吸着材を充填した複数の塔にガスを通し分離するPSA法や混合ガスを冷却して凝縮温度の違いによりガス分離を行う深冷法と比較して、単純で安価な構成とすることができる。
【0065】
なお、本実施の形態ではまず水素を分離し次に窒素を分離する構成となっているが、水素分離手段12と窒素分離手段13との配置を入れ替えて分離の順序を逆としてもよい。また同一容器内に水素分離膜と窒素分離膜を配置することで水素及び窒素分離を共通の一手段によって達成することもできる。
【0066】
また、LOCA時には原子炉格納容器のドライウェル1内には水蒸気及び希ガス、ハロゲン等の揮発性化合物やエアロゾル等が発生することが考えられる。この場合には、分離膜や触媒の機能の劣化を防止しかつ格納容器内圧の上昇を長期にわたって抑制するために隔離弁6aを閉とし隔離弁6bを開とすることでウェットウェル2側からの雰囲気のみをアンモニア合成手段4に取込むこととする。あるいはこうしたアンモニア合成反応を阻害する物質を除去する機構として、例えばフィルタやスクラバを水素分離手段12の上流側に配置するとしてもよい。
【0067】
また本実施の形態において、水素分離手段12及び窒素分離手段13により分離される水素ガス及び窒素ガスを圧縮しアンモニア合成手段4内に送り込む圧縮手段を配置した場合も考えられる。図8にこの場合の概略系統図を示す。すなわち、配管5dと配管14bとの合流点とアンモニア合成手段4の間にガス圧縮機(コンプレッサー)15を配置する。圧縮機15としては遠心式あるいは軸流式が望ましいが、特にこれに限定されない。また圧縮機15の電源は所内電源を使用する。あるいは上記第3の実施の形態において説明したブロア10の非常用電源を設けた場合には、これを併用してもよい。
【0068】
このガス圧縮機15により水素ガス及び窒素ガスは圧縮され、アンモニア合成手段4に送られる。こうして高圧条件下でアンモニア合成反応を行うことにより、合成反応速度を上げることが可能である。
【0069】
(第6の実施の形態)
図9は本発明の第6の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図8に示した上記第5の実施の形態におけるアンモニア合成手段4に熱交換手段及び加熱手段を設けたものである。
【0070】
すなわち、圧縮機15により圧縮され昇圧された窒素ガス及び水素ガスは、アンモニア合成手段4に供給されるが、この際アンモニア合成手段4の内部を加熱器16により加熱し、アンモニア合成手段4内部に保持された触媒11によりアンモニア合成を行う。ガスを昇温することにより合成反応をより速く行うことができる。一方で触媒11の温度が上昇し過ぎるとアンモニア生成速度が低下するため、熱交換器26により触媒温度の過度の上昇を抑止する。生成したアンモニア及び未反応物質はサプレッションプール3水中に戻される。
このように高温条件下でアンモニア合成反応を行うことにより、合成反応速度を上げることが可能となる。
【0071】
(第7の実施の形態)
図10は本発明の第7の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図6に示した上記第5の実施の形態における水素分離手段12の上流側に気水分離手段18を配置したものである。
【0072】
この気水分離手段18とは原子炉圧力容器における気水分離器のような大掛かりな装置ではなく、例えば金属メッシュや邪魔板付き通路からなるものを想定する。流入するガス中に含まれる水蒸気が気水分離器を通過する間に凝縮作用を受け、液滴となって放出される。
【0073】
気水分離手段18の出口側は、水分が除去されたガスの排出口18bと、分離された水の排出口18aとがある。水分が除去されたガスの排出口18bは水素分離手段12の入口側と連絡しており、水素ガス、窒素ガスはこの後分離されてアンモニア合成手段4に流入する。また水排出口18bは配管19によりサプレッションプール3と連絡している。
【0074】
この構成により、上記第5の実施の形態と略同様の作用効果が得られると同時に、事前にガス中の水分を除去することにより、水素分離手段12及び窒素分離手段13による水素及び窒素の分離性能を向上させることができるから、アンモニア合成反応をより確実に行うことができる。
【0075】
さらに、シビアアクシデント時に何らかの原因で格納容器スプレイが作動しない場合など、原子炉格納容器内の水蒸気分圧が非常に高くなるような事象に対しても、本実施の形態によれば、原子炉格納容器内雰囲気中の水蒸気を液化しサプレッションプール3水中へ戻すことで原子炉格納容器の内圧上昇を抑制し、かつ水素分離膜や窒素分離膜、アンモニア合成触媒の水蒸気混入による機能低下を大幅に抑制することができる。
【0076】
(第8の実施の形態)
図11は本発明の第8の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図1に示した上記第1の実施の形態におけるアンモニア合成手段4に代えて炭素化合物・水素合成手段20を配置し、これに水素ガスとの反応の原料として炭素化合物を供給する炭素化合物供給手段23を接続したものである。
【0077】
LOCA時に隔離弁6a,6bを開とすることでドライウェル1及びウエットウェル2気相部から導入口20aから雰囲気ガスを炭素化合物・水素合成手段20の容器内部に導入する。ここで取込まれるガス中の水素及び炭素化合物(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、不飽和炭化水素等)は、合成反応により化合物(例えば、炭化水素、アルコール及び酸等)として生成される。
【0078】
また、LOCA時に大量の水素が発生したときには、炭素化合物供給手段21を通して炭素化合物を炭素化合物・水素合成手段20の容器中に送り込むこととする。
【0079】
炭素化合物供給手段23は、炭素化合物を内蔵するタンク或いはボンベと配管、弁からなり、水素の発生量に応じて、反応式から導き出される化学量論比に従い発生水素を完全に反応させるのに必要十分量の炭素化合物を炭素化合物・水素合成手段20の炭素化合物導入口20cに供給する。
【0080】
なお、発生する水素の検出には、従来のドライウェル1及びウェットウェル2のサンプリングラインに設けられた水素ガスセンサを使用するか、あるいは本実施の形態の炭素化合物・水素合成手段の上流側の格納容器内ガスを取り込む配管の近傍に必要に応じてサンプリングライン及び水素ガスセンサを設けて検出することとする。
【0081】
炭素化合物・水素合成手段20内で起こる反応としては、二酸化炭素からのメタノール生成、C1化学反応、二酸化炭素還元による炭素生成、不飽和炭化水素の水素化反応等が挙げられる。其々の反応は以下の化学反応式で表される。
CO2 +3H2 → CH3 OH+H2 O (1)
CO+2H2 → CH3 OH (2)
CO+2H2 → C+2H2
2Cn2n+nH2 → 2Cn3n
炭素化合物・水素合成手段20の排出口20bは何れも戻し配管7に連絡しており、反応生成物及び未反応ガスは原子炉格納容器内へ導かれる。また図では戻り配管7はウェットウェル2気相部に開口しているが、図1の場合と同様に戻り配管7をサプレッションプール3水中に開口するものとしてもよい。
【0082】
この構成により、LOCA時に大量発生する水素等を取出し、水あるいはメタノール等のアルコール等の液体を生成して原子炉格納容器内に戻すことにより、原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することができる。また生成物が上記液体以外の炭素化合物である場合でも、反応の前後でガス状物質のモル数が減少することから、生成物が液体の場合と比べて若干効果は劣るものの原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することができる。
【0083】
また、炭素化合物・水素合成手段20より排出されるガスには放射性物質が含まれることを考慮して、本実施の形態のように反応生成物を原子炉格納容器内に戻す構造とすることで、生成物を保持するための耐圧性の専用の容器やブロア等の様々な付帯設備を設ける必要がなく簡易な構造とすることができる。
【0084】
(第9の実施の形態)
図12は本発明の第9の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図11に示した上記第8の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20の排出口20bを、配管23を介して反応生成物収容手段22に接続している。
【0085】
反応生成物収容手段22は内部に上述の反応によって生成された反応生成物を保持するものである。この出口側は戻り配管7を介して原子炉格納容器内部に連絡している。図に示した収容手段22は、主に反応生成物として水溶性の生成物、特にメタノールやエタノール等のアルコールのように化学的に安定な物質を想定し、ドレンタンクを使用している。
【0086】
反応生成物収容手段22はこうしたドレンタンクに限定されず、反応生成物の性質を考慮して設計する。すなわち、反応生成物が気体の場合には耐圧性の保持タンクを使用し、必要に応じ配管23に弁と圧縮機を設けて逆流を防止する。また気体の種類によってはタンクに吸着材を設置し吸着を行う。また可溶性気体の場合は、タンク内に溶媒を貯留しておき気体を吹き込んで溶かし込む構造とすることもできる。
【0087】
この構成により上記第8の実施の形態と同様の作用効果が得られると同時に、反応生成物を専用の貯蔵手段内部に保持することにより、原子炉格納容器内部で有機化合物とよう素分子との反応による有機よう素の生成を防止する、すなわち原子炉格納容器への有機化合物の混入を防ぐことができる。
【0088】
(第10の実施の形態)
図13は本発明の第10の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図11に示した上記第8の実施の形態においてドライウェル1あるいはウェットウェル2と炭素化合物・水素合成手段20とを連絡する配管5aあるいは5b上にブロア10を設けたものである。なお、図では配管5aと5bは途中で合流し配管5cをなしその途中にブロア10を設ける構成をとっているが、配管構成及びブロア10の位置はこれに限定されず、例えば配管5a、5bそれぞれを炭素化合物・水素合成手段20と連絡させ、少なくとも一方の配管にブロア10を設けるとしてもよい。また、ブロア10の駆動電源としては所内常用電源を使用するものとする。
【0089】
これにより、上記第8の実施の形態と同様の作用効果が得られると同時に、LOCA時にブロア10を作動させ、ドライウェル1あるいはウェットウェル2内の雰囲気ガスを強制的に炭素化合物・水素合成手段20に送り込むことで、原子炉格納容器内に発生する水素をより確実に除去することができる。
【0090】
なお、本実施の形態におけるブロア10の駆動電源として、所内常用電源の使用に代えて、専用の非常用電源を設ける構成をとることもできる。これにより、非常時に外部電源が喪失されるような事態に対しても原子炉格納容器内の水素を確実に除去することができる。
【0091】
(第11の実施の形態)
図14は本発明の第11の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図11に示した上記第8の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20の内部に触媒24を配置したものであり、例えば固定床式反応器、流動床式反応器、薄膜触媒反応器のうちのいずれかを用いたものである。なお、図ではブロア10及び反応生成物収容手段22を併用した場合を示している。
【0092】
LOCA時に隔離弁6a,6bを開とすることでドライウェル1及びウエットウェル2気相部から取込まれるガス中の水素及び炭素化合物(例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、不飽和炭化水素等)は、炭素化合物・水素合成手段20内の触媒24によって合成され、化合物(例えば炭化水素、アルコール及び酸等)が生成される。
【0093】
ここでの触媒24はCO及びH2 を化学吸着するもので、第4〜10族の金属を用いることとする。例えばPt,Pd,Irを触媒として用いた場合はCOは非解離吸着され主にメタノール等のアルコールが生成される。一方Ru,Ni,Fe,Coを触媒として用いた場合はCOは解離吸着され主に炭化水素が生成される。
【0094】
図15は本実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20の一例の概略を示す断面図である。ガスの流れを矢印で示す。このうち破線矢印が原子炉格納容器内から導入されたガスの流れを示す。炭素化合物・水素合成手段20は分離膜25と触媒24によって構成されメンブレンリアクターとも呼ばれる。容器内に上述の触媒からなる触媒層24が形成され、この触媒層24の外周に水素分離膜25が配置される。水素を含む原子炉格納容器内雰囲気ガスは導入口20aから容器内部に導入され、ガス中の水素は水素分離膜25を通って触媒層24に導かれる。この水素分離膜25には水素透過性に優れた物質として例えばパラジウムを用いる。水素以外のガスは透過せずに排出口20bを通して容器外に排出される。
【0095】
一方、水素との反応の原料となる炭素化合物は炭素化合物供給手段21を通して触媒層導入口20cから触媒層24内に導入され、触媒層24で水素と反応する。反応生成物は未反応の水素ガスや炭素化合物とともに触媒層排出口20dから外部へ排出される。
【0096】
炭素化合物・水素合成手段20の排出口20b及び触媒層出口20dは何れも配管23及び反応生成物収容手段22を介して戻し配管7に連絡しており、反応生成物及び未反応ガスは原子炉格納容器内へ導かれる。なお、排出口20bと触媒層排出口20dに対し別個に戻し配管を設けてもよい。
【0097】
また、図15では炭素化合物としてCO2 を用いて、化学反応式
CO2 +3H2 → CH3 OH+H2 O (1)
で表されるメタノールが生成される場合を示している。が、本実施の形態は炭素化合物と水素の合成反応であれば特にこの反応に限定されない。
【0098】
なお、炭素化合物としてCO2 を用いた場合の水素との合成反応としては、上記(1)式の他に、以下の化学反応式で表されるものが考えられる。
CO2 +2H2 → C+2H2
CO2 + H2 → HCOOH
CO2 +4H2 → CH4 +2H2
nCO2 +3nH2 → (CH2n +2nH2
nCO2 +(3n+1)H2 → Cn2n+2+2nH2
第1式は蟻酸を生成する反応、第2式は炭素還元反応である。
【0099】
また、第3式乃至第5式はメタンや低級の炭化水素(プロパン、ブタン、エチレン等)を生成する反応であり、これらの生成物は可燃性気体であり取扱いが難しい。したがって、こうした反応を避けて、(1)式に代表されるメタノール等の安定な物質を生成するように触媒の種類及び反応条件を選択することとする。
【0100】
原料をCO2 としメタノールを選択的に生成するためには、例えば酸化ランタンにパラジウムを担持したものか、あるいは銅−亜鉛−クロム−アルミナ触媒にパラジウムや銀を添加したものを触媒として用いるのが好適である。
【0101】
また、原料をCOとし化学反応式
CO+2H2 → CH3 OH (2)
により表されるメタノールの生成反応を選択的に行う場合には、銅−亜鉛−アルミナ系触媒を用いるのが好適である。
【0102】
この構成により本実施の形態によれば、上記第8の実施の形態とほぼ同様の作用効果が得られると同時に、触媒により水素と炭素化合物との合成反応を促進することで、より早く確実に原子炉格納容器内水素を除去することができる。また、原料を二酸化炭素または一酸化炭素とし、触媒や反応条件を考慮してメタノール等の安定な物質を選択的に生成することにより、原料供給及び反応生成物の保持に要する設備を比較的簡易なものとすることができる。
【0103】
本実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20としては、図15に示した炭素化合物・水素合成手段20を改良したものを使用することもできる。この改良された炭素化合物・水素合成手段20の断面図を図16及び図17に示す。図16は水素分離膜25を襞状に変形したものである。また図17は水素分離膜25を曲折する配管状に配置したものである。これにより、図15に示したものと比べて炭素化合物・水素合成手段20全体の容積を変えることなく水素分離膜表面積を大きくとることにより、原子炉格納容器雰囲気中から水素を効率的に取り込み、水素と炭素化合物との合成反応をより促進することができる。
【0104】
(第12の実施の形態)
図18は本発明の第12の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図12に示した上記第9の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20を原子炉格納容器の内部に設置したものである。
【0105】
原子炉格納容器内に設置される炭素化合物・水素合成手段20としては、ブロアによって原子炉格納容器内雰囲気ガスを強制的に吸引するシステムや、あるいは反応熱を利用した自然循環によってガスを取り込むシステムが挙げられるが、原子炉格納容器の容積をほぼ現状のままとして設置することが可能な後者の自然循環式システムが望ましい。またこの炭素化合物・水素合成手段20はドライウェル1とウェットウェル2それぞれに設置することが望ましい。さらに、炭素化合物・水素合成手段20の触媒層排出口20dから排出される反応生成物は配管23を介して反応生成物収容手段22に送られる。
【0106】
LOCA時にMetal-Water 反応によって大量の水素が発生した場合、原子炉格納容器雰囲気内に発生する水素を、原子炉格納容器内に設置した炭素化合物・水素合成手段20内部に取り込み、炭素化合物供給手段23より供給される炭素化合物と反応させる。なお図では炭素化合物供給手段23を格納容器外に設置しているが、設置場所の条件が許せば原子炉格納容器内に炭素化合物・水素合成手段20と一体的に設置することも考えられる。
【0107】
この構成により上記第9の実施の形態とほぼ同様の作用効果が得られるとともに、配管等の構築物量を削除し、設備全体の設置面積及びコストの削減が可能なより簡易な構成とすることができる。
【0108】
なお、本実施の形態は上記第9の実施の形態の合成反応を原子炉格納容器内部で行えるよう各設備を可能な限り原子炉格納容器内部に配置するものであるが、上記第1乃至第8の実施の形態についても設置場所の条件が許せばこうした原子炉格納容器内への設置を考慮することが可能である。例えば水素と炭素化合物との合成反応による生成物がメタノール等の安定な液体であるならば、上記第8の実施の形態に対し本実施の形態を適用し、原子炉格納容器内部で完結する水素除去装置を実現することができる。
【0109】
なお、設置条件が許せば、炭素化合物供給手段23に代えて、原子炉格納容器内に予め合成反応の原料となる炭素化合物を封入しておき、この炭素化合物を上述の炭素化合物・水素合成手段20により水素と合成するよう設定することが考えられる。これにより、炭素化合物供給手段23を設けた場合と比較して、水素と炭素化合物の反応がより早期に行われるとともに、炭素化合物供給手段23を削除することで設備全体を更に簡素化することができる。
【0110】
(第13の実施の形態)
図19は本発明の第13の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図14に示した上記第11の実施の形態におけるブロア10と炭素化合物・水素合成手段20とを連絡する配管に水素分離手段12を設けたものである。図20に本実施の形態の要部(図19の破線囲み部分)を拡大した概略系統図を示す。水素分離手段12には上記第5の実施の形態において詳述した水素分離膜が設置されている。
【0111】
ブロア10と水素分離手段12の入口側12aとを配管5cで連絡する。水素分離手段12の出口側は、分離された水素ガスの排出口12bと、水素ガスが除去されたガスの排出口12cとがある。水素ガスの排出口12bは炭素化合物・水素合成手段20の入口側20aと配管5dにより接続されている。また、水素ガスが除去されたガスの排出口12cは、配管14aに接続し、配管14aは戻し配管7に合流している。この両配管は別箇にサプレッションプール3に連絡するとしてもよい。あるいはウェットウェル2気相部に連絡するとしてもよい。
【0112】
ブロア10により吸引されたドライウェル1あるいはウェットウェル2内の雰囲気ガスは、水素分離手段12を通過し水素分離作用を受け、分離された水素は配管5dを介して炭素化合物・水素合成手段20に送られ、水素分離後に残ったガスは配管14a及び戻し配管7を介して原子炉格納容器内に戻される。
【0113】
水素及び炭素化合物供給手段21から供給される炭素化合物は、炭素化合物・水素合成手段20内に保持される触媒24により水素と合成され、配管23を介して反応生成物収容手段22へ送られる。さらに未反応物質及び一部の反応生成物は戻し配管7を介して原子炉格納容器のサプレッションプール3水中に送られる。
【0114】
以上の構成により、上記第11の実施の形態と同様の効果が得られると同時に、原子炉格納容器内雰囲気ガス中から予め水素を分離して炭素化合物との合成を行うことにより、不純物による合成反応の阻害を防止することで反応効率を上げるとともに、触媒24の劣化を防止することができる。また、水素の分離に分離膜を使用することにより、他の分離方法と比較して、単純で安価な構成とすることができる。
【0115】
また、LOCA時には原子炉格納容器のドライウェル1内には水蒸気及び希ガス、ハロゲン等の揮発性化合物やエアロゾル等が発生することが考えられる。この場合には、分離膜や触媒の機能の劣化を防止しかつ格納容器内圧の上昇を長期にわたって抑制するために隔離弁6aを閉とし隔離弁6bを開とすることでウェットウェル2側からの雰囲気のみを炭素化合物・水素合成手段20に取込むこととする。あるいはこうしたアンモニア合成反応を阻害する物質を除去する機構として、例えばフィルタやスクラバを水素分離手段12の上流側に配置するとしてもよい。
【0116】
(第14の実施の形態)
図21は本発明の第14の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図19に示した上記第13の実施の形態における炭素化合物供給手段に代えてあるいは併設して、水素分離手段12と炭素化合物・水素合成手段20とを連絡する配管にガス中の炭素化合物を分離する炭素化合物分離手段26を設けたものである。図22に本実施の形態の要部(図21の破線囲み部分)を拡大した概略系統図を示す。炭素化合物分離手段20には炭素化合物分離膜が設置されている。
【0117】
水素分離手段12の水素ガスの排出口12bは炭素化合物・水素合成手段20の入口側4aと配管5dにより接続されている。また、水素ガスが除去されたガスの排出口12cは配管27aを介して炭素化合物分離手段26の入口側26aと接続されている。
【0118】
水素分離手段12の出口側は、分離された水素ガスの排出口12bと、水素ガスが除去されたガスの排出口12cとがある。水素ガスの排出口12bは炭素化合物・水素合成手段20の入口側20aと配管5dにより接続されている。また、水素ガスが除去されたガスの排出口12cは炭素化合物分離手段13aの入口側13aと配管27aにより接続されている。一方、炭素化合物分離手段26の出口側は、分離された炭素化合物の排出口26bと、炭素化合物が除去されたガスの排出口26cとがある。炭素化合物の排出口26bは炭素化合物・水素合成手段20の触媒層入口20cと配管27bにより接続されている。また、炭素化合物が除去されたガスの排出口26cは配管27cを介して原子炉格納容器内に戻される。なお、図では配管27cは配管23と合流し反応生成物収容手段22と連絡しているが、排出口26c及び炭素化合物・水素合成手段20の未反応物質排出口20bは配管23とは別箇に設けられた配管により直接原子炉格納容器に連絡するよう設定してもよい。
【0119】
以上の構成により、上記第13の実施の形態と同様の効果が得られると同時に、原子炉格納容器内雰囲気ガス中から予め水素及び炭素化合物を分離して、合成反応を行うことにより、不純物による合成反応の阻害を防止することで反応効率を上げるとともに、触媒24の劣化を防止することができる。また、水素及び炭素化合物の分離に分離膜を使用することにより、他の分離方法と比較して、単純で安価な構成とすることができる。
【0120】
(第15の実施の形態)
図23は本発明の第15の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、図19に示した上記第13の実施の形態における反応生成物収容手段22と配管5dとを配管29で連絡するとともに、水素分離手段12の水素ガスが除去されたガスの排出口12cを戻し配管29を介して原子炉格納容器内に連絡させたものである。図24に本実施の形態の要部(図23の破線囲み部分)を拡大した概略系統図を示す。
【0121】
水素分離手段12の水素ガスの排出口12bは炭素化合物・水素合成手段20の入口側4aと配管5dにより接続されている。また、水素ガスが除去されたガスの排出口12cは配管29を介して原子炉格納容器内のサプレッションプール3と接続されている。
【0122】
以上の構成により、本実施の形態は上記第14の実施の形態とほぼ同様の効果が得られると同時に、原子炉格納容器内雰囲気ガス中から予め水素を分離して炭素化合物との合成反応を行い、かつ水素分離されたガスをそのまま原子炉格納容器内に戻すことにより、不純物による合成反応の阻害を防止することで反応効率を上げるとともに、触媒24の劣化を防止することができる。さらに、炭素化合物・水素合成手段20から排出される未反応ガスを再び炭素化合物・水素合成手段20に戻し反応させることにより、反応の原料となる炭素化合物を効率的に利用することができる。
【0123】
(第16の実施の形態)
図25は本発明の第16の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。本実施の形態は、水素と炭素化合物の合成によって得られる反応生成物としてメタノールなどの液体を想定し、図23に示した上記第15の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段20と反応生成物収容手段22を連絡する配管に冷却手段を設け、導入されるガスを冷却し凝縮させるものである。なお、ここでの冷却手段としてはクーラあるいは冷却管を想定するが、蒸気を凝縮する機能を有するものであれば特にこれらに限定されない。図26に本実施の形態の要部(図25の破線囲み部分)を拡大した概略系統図を示す。
【0124】
すなわち、炭素化合物・水素合成手段20の排出口20b,20dを配管31aにより冷却手段30の導入口30aに連絡させる。冷却手段30に導入されたガスのうち凝縮され液化された物質は液相排出口30bより戻り配管31bを介して反応生成物収容手段22に送られる。一方、非凝縮性物質は気体のまま気相排出口30cより配管5dと合流する配管31bを介して再び炭素化合物・水素合成手段20に戻される。
【0125】
以上の構成により、本実施の形態は上記第15の実施の形態とほぼ同様の効果が得られると同時に、炭素化合物・水素合成手段より排出される反応生成物を含むガスを冷却し高温のため気体として存在する反応生成物を凝縮により液化し保持することにより、反応生成物の回収効率をさらに上げることができる。
【0126】
【発明の効果】
本発明によれば、原子炉格納容器内の水素を窒素あるいは炭素化合物と合成することにより、原子炉格納容器内の酸素濃度が低い場合においても、すなわちMetal-Water 反応によって原子炉格納容器内に大量の水素が発生するような状況においても、水素を確実に除去し、水素発生による原子炉格納容器の内圧上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の要部を拡大して示した概略系統図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図9】本発明の第6の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図10】本発明の第7の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図11】本発明の第8の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図12】本発明の第9の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図13】本発明の第10の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図14】本発明の第11の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図15】本発明の第11の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段の概略断面図である。
【図16】本発明の第11の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段の概略断面図である。
【図17】本発明の第11の実施の形態における炭素化合物・水素合成手段の概略断面図である。
【図18】本発明の第12の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図19】本発明の第13の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図20】本発明の第13の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の要部を拡大して示した概略系統図である。
【図21】本発明の第14の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図22】本発明の第14の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の要部を拡大して示した概略系統図である。
【図23】本発明の第15の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図24】本発明の第15の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の要部を拡大して示した概略系統図である。
【図25】本発明の第16の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の概略系統図である。
【図26】本発明の第16の実施の形態にかかる原子炉格納容器の水素除去装置の要部を拡大して示した概略系統図である。
【図27】従来の原子炉格納容器の概略系統断面図である。
【符号の説明】
1…ドライウェル、2…ウェットウェル、3…サプレッションプール、
4…アンモニア合成手段、 6a,6b…隔離弁、
8…逆止弁、9…アンモニア回収タンク、10…ブロア、
11…アンモニア合成触媒、12…水素分離手段、13…窒素分離手段、
15…ガス圧縮機、16…加熱器、17…熱交換器、18…気水分離手段、
20…炭素化合物・水素合成手段、21…炭素化合物供給手段、
22…反応生成物収容手段、24…炭素化合物合成触媒、
25…水素分離膜、26…炭素化合物分離手段、30…冷却手段

Claims (11)

  1. 炉心を内包する原子炉圧力容器を包囲するドライウェル及びサプレッションプールを有し前記ドライウェル内雰囲気をベントするウェットウェルを具備する原子炉格納容器と、この原子炉格納容器内の雰囲気を内部に導入する水素反応手段と、前記ドライウェルと前記ウェットウェルのうち少なくとも一方と前記水素反応手段とを連絡する第1の配管と、前記水素反応手段と接続し反応生成物を排出する第2の配管と、前記水素反応手段の内部に保持されたアンモニア合成触媒と、前記水素反応手段に設けられた加熱手段と、前記水素反応手段に設けられた熱交換手段と、を備え、前記加熱手段により昇温して前記水素反応手段に導入される前記原子炉格納容器内の雰囲気中の水素と窒素を合成してなるアンモニアの生成を促進し、前記熱交換手段により前記アンモニア合成触媒の温度の上昇を抑止すること、を特徴とする原子炉格納容器の水素除去装置。
  2. 第1の配管内の流体を取込みこの流体中から水素及び窒素を分離し水素反応手段へ分離した水素及び窒素を移送するとともに水素及び窒素以外の成分を第2の配管へ移送する水素分離手段及び窒素分離手段を具備することを特徴とする請求項記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  3. 第1の配管に原子炉格納容器内雰囲気を移送する電動の移送手段を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  4. 水素反応手段から排出される未反応物質を第1の配管に移送し再度前記水素反応手段に導入することを特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  5. 反応生成物収容手段に移送される流体を冷却する冷却手段を具備し、前記流体に凝縮作用を施すことを特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  6. 第2の配管は水素反応手段と原子炉格納容器とを連絡することを特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  7. 第2の配管はサプレッションプール中で開口することを特徴とする請求項記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  8. 水素反応手段で生成された反応生成物を収容する反応生成物収容手段を具備し、第2の配管は前記水素反応手段と前記反応生成物収容手段とを連絡することを特徴とする請求項1又は2記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  9. 反応生成物収容手段は液状流体を貯蔵するタンクを具備し、このタンク内に流入する気体を原子炉格納容器内に導入することを特徴とする請求項記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  10. 第2の配管に圧縮手段を設け、水素反応手段における反応生成物を圧縮して反応生成物収容手段に移送することを特徴とする請求項記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
  11. 水素分離手段は水素分離膜を有することを特徴とする請求項記載の原子炉格納容器の水素除去装置。
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