JP7341116B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置は、運転席の背もたれの内部空間に組み込まれている。サイドエアバッグ装置はインフレータとエアバッグクッションとを備える。エアバッグクッションはインフレータを収容しており、ロール状又は蛇腹状に折り畳まれた状態で、背もたれの骨格フレームの外側に配されている。
本実施の形態に係るサイドエアバッグ装置は、車両(1)の車幅方向に並ぶ2つの座席の一方(2)の背もたれ(22)の内部空間に組み込まれているサイドエアバッグ装置(4)において、前記背もたれ(22)の骨格フレーム(223)の内側に固定されており、ガスを噴射するインフレータ(43)と、該インフレータ(43)が噴射したガスによって前記2つの座席の前記一方(2)から前記2つの座席の他方(3)にわたって膨張展開するエアバッグクッション(41)とを備え、該エアバッグクッション(41)は、前記インフレータ(43)が収容された収容部(41d)と、該収容部(41d)の水平方向の一側に延びる部分(41a)及び他側に延びる部分(41b,41c)とを有し、膨張展開前の前記エアバッグクッション(41)の少なくとも前記収容部(41d)及び前記一側に延びる部分(41a)は前記骨格フレーム(223)の内側に配されており、前記エアバッグクッション(41)は、膨張展開前は、前記収容部(41d)の後側に連続し、前記収容部(41d)を前記骨格フレーム(223)の内側から覆うように配されており、膨張展開時に前記一方(2)に着座している乗員を拘束する第1部分(41a)と、前記収容部(41d)の前側に連続し、前記骨格フレーム(223)の前側に配されている第2部分(41b)と、該第2部分(41b)に連続し、膨張展開前は前記骨格フレーム(223)の外側に配されており、膨張展開時に前記他方(3)に当接可能な第3部分(41c)とを有する。
本明細書においては、骨格フレームを基準として、当該座席に着座している乗員の側を「内側」、乗員とは反対側を「外側」と定義する。
以下では、サイドエアバッグ装置が運転席に装備されている場合を例示して説明する。
本明細書においては、運転席に着座している運転者が運転中に注視する進行方向前方、又は、車両が通常進行する方向を「前」「前方」「前側」と定義し、当該進行方向の反対向きの後進する方向を「後」「後方」「後側」と定義する。
エアバッグクッションの膨張展開前は第1部分が骨格フレームの内側に配されているので、エアバッグクッションは運転者に近い。しかも、第1部分は収容部に近いので、早期に膨張展開する。以上の結果、エアバッグクッションの膨張展開時に運転者の拘束を早期化することができる。
膨張展開後もエアバッグクッションの収容部が骨格フレームの内側に配されていることにより、膨張展開したエアバッグクッションは運転者と骨格フレームとの間に介在する。故に、運転者からエアバッグクッションに加えられる外力を骨格フレームで受け止めることができるので、エアバッグクッションの拘束性能を向上させることができる。
エアバッグクッションの膨張展開前は第3部分が骨格フレームの外側に配されているので、エアバッグクッションは助手席に向けて膨張展開しやすい。第3部分は第2部分に連続しているので、第2部分の早期の膨張展開に伴い、第3部分の展開が促進される。膨張展開した第3部分が助手席に当接することにより、運転者からエアバッグクッションに加えられる外力を助手席でも受け止めることができる。故に、エアバッグクッションの拘束性を向上させることができる。
膨張展開した第3部分は助手席に着座している乗員を運転席側から拘束して保護することもできる。
本明細書においては、運転席に着座している運転者から見て「左側」「右側」を「左側」「右側」と定義する。
図1は、実施の形態1に係るサイドエアバッグ装置を備える車両の車室内を略示する平面図である。
図中1は車両であり、車両1は運転席2と助手席3とを備える。
運転席2及び助手席3夫々は車両1の車室の床面に設けられている。車両1はいわゆる右ハンドル車であり、運転席2が右側に、助手席3が左側に、夫々配されている。運転席2(及び助手席3)は、車両1の車幅方向に並んでいる2つの座席の一方(及び他方)である。
図1及び図2に示すように、運転席2は、シートクッション21及び背もたれ22を備える。シートクッション21には運転者が着座する。背もたれ22はシートクッション21の後部から上向きに立ち上がっており、シートクッション21に着座している運転者の上半身を受け止める。
同様に、助手席3はシートクッション31及び背もたれ32を備える。
背もたれ22は、シートパッド221、シートカバー222、及び骨格フレーム223(図2参照)を備える。
シートパッド221の外側はシートカバー222によって覆われている。シートカバー222は例えば布製又は合皮製である。図示はしないが、シートカバー222は力布によってシートカバー222の内側から補強されている。
図3に示すように、サイドエアバッグ装置4は、エアバッグクッション41、保形部材42、及びインフレータ43を備える。
エアバッグクッション41は、例えばナイロン繊維等の高強度繊維の編み込みにより強化された布製の袋体である。エアバッグクッション41は、後述するように折り畳まれており、保形部材42によって、折り畳まれた状態で保持されている。
保形部材42は、例えば布製のケース、テープ等である。
エアバッグクッション41は2枚のメインパネル411,412を備える。メインパネル411,412は、マチとなるサブパネル413を介して互いに接合されている。各メインパネル411,412は、一方向に長い第1の矩形における一方の長辺の中央部から第2の矩形が第1の矩形の短手方向に突出しているような凸字状をなす。エアバッグクッション41は、メインパネル411,412夫々の第1の矩形が下になり、第2の矩形が上になるようにして用いられる。即ちエアバッグクッション41の上部には、上向きに突出する凸部がある。
ここで、エアバッグクッション41を概念的に4つの部分に分け、これらを第1部分41a、第2部分41b、第3部分41c、及び収容部41dと呼ぶ。
第1部分41aは、膨張展開時に運転者(運転席2に着座している乗員)を左側方から拘束するように設けられている。第3部分41cは、膨張展開時に助手席3に当接し、助手席3に着座している乗員を右側方から拘束するように設けられている。2つの貫通孔414は、メインパネル411における収容部41dを構成している部分に位置している。
第1部分41aと収容部41dとの境界、収容部41dと第2部分41bとの境界、及び第2部分41bと第3部分41cとの境界は、何れも厳密なものではない。
エアバッグクッション41の収容部41dにはインフレータ43が収容されているので、収容部41dも骨格フレーム223の内側に配されている。メインパネル411(図4参照)における収容部41dを構成している部分の外面が、骨格フレーム223の右面に向いている。
第3部分41cは第2部分41bに連続し、ロール状に折り畳まれた状態で、骨格フレーム223の外側に配されている。平面視において、第3部分41cは、第2部分41b側の逆側の端部から第2部分41bに向けて反時計回りのロール状をなす。
図5及び図6夫々には背もたれ22の左部近傍が模式的に示されている。図7には背もたれ22,32間の空間近傍が示されている。図5~図7の各図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
図8には正面視の背もたれ22,32が模式的に示されている。
膨張展開前のエアバッグクッション41を保形している保形部材42には、図示しない開裂部(例えばミシン目)が設けられている。故に、保形部材42はエアバッグクッション41の膨張圧力によって容易に開裂する(図5参照)。即ち、保形部材42はエアバッグクッション41の膨張展開を阻害しない。図6及び図7における保形部材42の図示は省略する。
エアバッグクッション41の膨張展開前は第1部分41aが骨格フレーム223の内側に配されているので、エアバッグクッション41は運転者に近い。しかも、第1部分41aは収容部41dに近いので、早期に膨張展開する。故に、エアバッグクッション41の膨張展開時に運転者の拘束を早期化することができる。
膨張した第1部分41aから収容部41dとインフレータ43とを介して骨格フレーム223に外力が加わり、この外力に対する反力が骨格フレーム223から収容部41dとインフレータ43とを介して第1部分41aに加わる。骨格フレーム223から第1部分41aへの反力を早期に得ることができるので、運転者の早期拘束時に運転者からエアバッグクッション41に加えられる外力を骨格フレーム223で受け止めることができる。
エアバッグクッション41の膨張展開前は第3部分41cが骨格フレーム223の外側に配されているので、エアバッグクッション41は助手席3に向けて膨張展開しやすい。第3部分41cは第2部分41bに連続しているので、第2部分41bの早期の膨張展開に伴い、第3部分41cの展開が促進される。膨張展開した第3部分41cが助手席3に当接することにより、運転者からエアバッグクッション41に加えられる外力を助手席3でも受け止めることができる。故に、エアバッグクッション41の拘束性を向上させることができる。
骨格フレーム223から第3部分41cへの反力を早期に得ることができるので、第3部分41cは早期に助手席3に到達し、助手席3に乗員が着座している場合は乗員を運転席2側から早期に拘束して保護することができる。
製造者は、メインパネル411,412及びマチとなるサブパネル413を準備し、これらを接合することによって、エアバッグクッション41を形成する(S1)。
次に、製造者はインフレータ43を準備し、スタッドボルト431がエアバッグクッション41の貫通孔414を貫通するようにして、エアバッグクッション41の収容部41dに収容する(S2。図4参照)。
図9に示すステップS2の終了後、製造者は、メインパネル411,412の内面同士が接触するようにして、エアバッグクッション41を矩形平板状にする(S3。図10参照)。ステップS3において、サブパネル413はメインパネル411,412間に挿入され、エアバッグクッション41の上部にある凸部はメインパネル411(又はメインパネル412)の外面側に折り曲げられる。なお、サブパネル413はメインパネル411(又はメインパネル412)の外面側に折り曲げられてもよい。エアバッグクッション41の上部にある凸部はメインパネル411,412間に挿入されてもよい。
その後、製造者は、エアバッグクッション41を保形部材42で保形し(S5)、第1部分41a及び収容部41dが骨格フレーム223の内側に配されるようにして、インフレータ43を骨格フレーム223に固定する(S6。図12参照)。図の見易さのため、図12において保形部材42の図示は省略してある。
第1部分41aと収容部41dとの境界部分での折り曲げる作業は、ステップS4において行なわれることが望ましいが、これに限定されない。
サイドエアバッグ装置4は運転席2の背もたれ22に装備されることが最も好適であるが、これに限定されるものではない。サイドエアバッグ装置4は助手席3の背もたれ32に装備されてもよく、車両1の車幅方向に並ぶ2つの後部座席の一方の背もたれに装備されてもよい。
一方、エアバッグクッション41の第2部分41b及び第3部分41cの配置は骨格フレーム223の前側及び外側に限定されない。例えば、第2部分41b及び第3部分41cの一部又は全部が骨格フレーム223の前側に配されてもよく、骨格フレーム223の内側に配されてもよい。
エアバッグクッション41の形状は限定されない。例えば、エアバッグクッション41は直方体状でもよい。
保形部材42は、布製のケース、テープに限定されない。保形部材42は合成樹脂製でもよく、シートでもよい。
図13は、実施の形態2に係るサイドエアバッグ装置4の製造手順を示すフローチャートである。図13に示すステップS1~S3は、実施の形態1の図9に示すステップS1~S3と同じである。
図14及び図15は、サイドエアバッグ装置4の製造手順を示す説明図である。図14及び図15の各図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
実施の形態2の製造手順は、エアバッグクッション41を一旦保形した後にエアバッグクッション41を折り曲げ、最後に完成した状態で保形する製造手順の一例である。
図16は、実施の形態3に係るサイドエアバッグ装置4の製造手順を示すフローチャートである。図16に示すステップS1~S3,S11は、実施の形態2の図13に示すステップS1~S3,S11と同じである。
図17及び図18は、サイドエアバッグ装置4の製造手順を示す説明図である。図17及び図18の各図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
実施の形態3の製造手順は、エアバッグクッション41の保形前にエアバッグクッション41の折り畳み及び折り曲げを全て終わらせる製造手順の一例である。
図19は、実施の形態4に係るサイドエアバッグ装置4の構成を略示する断面図である。本図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
膨張展開前のエアバッグクッション41の第1部分41aは、平面視において、収容部41d側の逆側の端部から収容部41dに向けて時計回りのロール状をなす。同様に、膨張展開前のエアバッグクッション41の第3部分41cは、平面視において、第2部分41b側の逆側の端部から第2部分41bに向けて時計回りのロール状をなす。
図20は、実施の形態5に係るサイドエアバッグ装置4の構成を略示する断面図である。本図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
膨張展開前のエアバッグクッション41の第1部分41aは、収容部41dの右側に積み重なるようにして蛇腹状に折り畳まれている。同様に、膨張展開前のエアバッグクッション41の第3部分41cは、骨格フレーム223の左側に積み重なるようにして蛇腹状に折り畳まれている。
膨張する第1部分41aは、蛇腹折りが解けて右側に伸展しやすい。一方、膨張する第3部分41cは、蛇腹折りが解けて左側に伸展しやすい。即ち、膨張した第1部分41a及び第3部分41c夫々が骨格フレーム223から遠ざかるように膨張展開しやすい。故に、実施の形態2の場合と同様に、保形部材42と背もたれ22とを早期に開裂させることができる。
図21は、実施の形態6に係るサイドエアバッグ装置4の構成を略示する断面図である。本図に向かって上下左右方向は車両1の前後左右方向に対応する。
同様に、第3部分41cの蛇腹状に折り畳まれた箇所は、第3部分41cの他の箇所に比べて収容部41dに近いので、早期に膨張する。故に、第3部分41cの蛇腹状に折り畳まれた箇所は、第3部分41cのロール状に折り畳まれた箇所を早期に押し出すことができる。つまり、第3部分41cの膨張展開の早期化を促すことができる。
各実施の形態に開示されている構成要件(技術的特徴)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせによって新しい技術的特徴を形成することができる。
なお、特許請求の範囲に付した参照符号は、請求項の理解をしやすくするために付記したものである。
2 運転席(2つの座席の一方)
22 背もたれ
223 骨格フレーム
3 助手席(2つの座席の他方)
4 サイドエアバッグ装置
41 エアバッグクッション
41a 第1部分(一側に延びる部分)
41b 第2部分(他側に延びる部分)
41c 第3部分(他側に延びる部分)
41d 収容部
43 インフレータ
Claims (5)
- 車両(1)の車幅方向に並ぶ2つの座席の一方(2)の背もたれ(22)の内部空間に組み込まれているサイドエアバッグ装置(4)において、
前記背もたれ(22)の骨格フレーム(223)の内側に固定されており、ガスを噴射するインフレータ(43)と、
該インフレータ(43)が噴射したガスによって前記2つの座席の前記一方(2)から前記2つの座席の他方(3)にわたって膨張展開するエアバッグクッション(41)と
を備え、
該エアバッグクッション(41)は、
前記インフレータ(43)が収容された収容部(41d)と、
該収容部(41d)の水平方向の一側に延びる部分(41a)及び他側に延びる部分(41b,41c)と
を有し、
膨張展開前の前記エアバッグクッション(41)の少なくとも前記収容部(41d)及び前記一側に延びる部分(41a)は前記骨格フレーム(223)の内側に配されており、
前記エアバッグクッション(41)は、
膨張展開前は、前記収容部(41d)の後側に連続し、前記収容部(41d)を前記骨格フレーム(223)の内側から覆うように配されており、膨張展開時に前記一方(2)に着座している乗員を拘束する第1部分(41a)と、
前記収容部(41d)の前側に連続し、前記骨格フレーム(223)の前側に配されている第2部分(41b)と、
該第2部分(41b)に連続し、膨張展開前は前記骨格フレーム(223)の外側に配されており、膨張展開時に前記他方(3)に当接可能な第3部分(41c)と
を有するサイドエアバッグ装置(4)。 - 膨張展開前の前記第1部分(41a)はロール状又は蛇腹状に折り畳まれている請求項1に記載のサイドエアバッグ装置(4)。
- 前記内部空間に組み込まれた状態において、膨張展開前の前記第1部分(41a)は、前記収容部(41d)に重なるように前側に折り曲げられ、後側に折り返されてからロール状に折り畳まれている請求項2に記載のサイドエアバッグ装置(4)。
- 膨張展開前の前記第3部分(41c)はロール状又は蛇腹状に折り畳まれている請求項1から3の何れか一項に記載のサイドエアバッグ装置(4)。
- 前記内部空間に組み込まれた状態において、膨張展開前の前記第3部分(41c)は、前記第2部分(41b)から後側に延び、前側に折り返されてからロール状に折り畳まれている請求項4に記載のサイドエアバッグ装置(4)。
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