JP7337325B2 - 媒体供給装置 - Google Patents

Description

本発明は、媒体が積載される昇降可能な供給トレイを備える媒体供給装置に関する。

従来、用紙の重送を検知する給紙装置として、載置台に積層された用紙の高さ及び用紙の給紙時の重送を同時に検出する検出手段を備える給紙装置が提案されている（例えば、特許文献１参照）。上記検出手段は、最上位の用紙に先端が当接するアームを回転可能に支持し、このアームの回転角度を検出することによって、用紙１枚の厚さの変化を検出する。

特開平７－６１６４９号公報

ところで、画像形成装置においては、用紙等の媒体が繰り出されることに伴い、供給トレイに積載された媒体の数が減少していく。そのため、この媒体の数の減少の検出結果に基づいて、供給トレイを上昇させる制御が行われる。

また、例えば、高速印刷等のために高速で繰り出し動作が行われる場合や、連続的に複数の媒体の繰り出し動作が行われる場合などに、繰り出される最上位の媒体とともに他の媒体が繰り出し方向へ徐々にずれていくことがある。これにより、媒体が繰り出し方向に誤って進入すると、媒体を繰り出す繰り出し部において、例えばピックアップローラと捌き板との間に媒体が挟まってしまう。

このように複数の媒体が繰り出し部に挟まると、最上位の媒体に接触しながら媒体の数の減少を検出する態様では、繰り出し部に挟まった複数の媒体がすべて繰り出されるまで、媒体の数の減少が検出されなくなる。そのため、供給トレイの上昇が遅くなり、媒体の空送が生じる。

なお、上述のように、用紙１枚の厚さの変化を検出する検出手段を備える給紙装置は、アーム等の部材や、非常に高精度な検出手段を配置する必要が生じるため、構成が複雑化する。

本発明の目的は、簡素な構成で、媒体の空送を防止することができる媒体供給装置を提供することである。

１つの態様では、媒体供給装置は、媒体が積載される昇降可能な供給トレイと、前記供給トレイに積載された最上位の前記媒体を繰り出す第１繰り出し部材と、前記媒体の繰り出し方向に前記第１繰り出し部材と間隔を隔てて配置され且つ前記第１繰り出し部材より上方に配置されて最上位の媒体を繰り出す第２繰り出し部材と、前記繰り出し方向における前記第１繰り出し部材と前記第２繰り出し部材との間に前記最上位の媒体が張架されたことを検出する張架検出部と、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されたことが検出された場合に前記供給トレイを上昇させない制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、前記第１繰り出し部材及び前記第２繰り出し部材によって前記最上位の媒体が所定条件で繰り出されている間に、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されていることが連続的に検出されている場合、前記供給トレイを上昇させる制御を行う。

前記態様によれば、簡素な構成で、媒体の空送を防止することができる。

第１実施形態に係る媒体供給装置、及び画像形成装置を示す斜視図である。 第１実施形態に係る媒体供給装置、及び画像形成装置の内部構造を示す正面図である。 第１実施形態に係る、引き出し部が引き出された状態の媒体供給装置を示す斜視図である。 第１実施形態に係る媒体供給装置の制御構成を示す図である。 第１実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その１）である。 第１実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その２）である。 第１実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その３）である。 第１実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その４）である。 第２実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その１）である。 第２実施形態に係る媒体供給装置の内部構造を示す正面図（その２）である。

以下、本発明の第１実施形態に係る媒体供給装置１及び第２実施形態に係る媒体供給装置２について、図面を参照しながら説明する。

＜第１実施形態＞
図１は、媒体供給装置１及び画像形成装置１００を示す斜視図である。

図２は、媒体供給装置１及び画像形成装置１００の内部構造を示す正面図である。
なお、図１及び図２、並びに後述する図３及び図５～図１０に示す上下、前後、左右の各方向は、媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１を右方向、引き出し部４０の引き出し方向Ｄ２を前方向とした説明の便宜上の方向にすぎないが、例えば、上下方向は鉛直方向であり、前後方向及び左右方向は水平方向である。

図１及び図２に示すように、媒体供給装置１は、画像形成装置１００に連結され、図２に示す媒体Ｍを画像形成装置１００に供給する。媒体Ｍは、例えば用紙（枚葉紙）である。

ここで、媒体供給装置１と画像形成装置１００とをまとめて印刷システムと呼ぶことができる。換言すると、印刷システムは、媒体供給装置１と画像形成装置１００とを備える。なお、媒体供給装置１としては、画像形成装置１００に一体に備えられる媒体供給装置であってもよい。

図２に示すように、画像形成装置１００は、第１給紙トレイ１１１と、第２給紙トレイ１１２と、第３給紙トレイ１１３と、搬送経路１２１と、複数の搬送ローラ１２２と、印刷部１３０と、吸着搬送部１４０と、排紙トレイ１５０と、操作パネル１６０とを備える。

第１給紙トレイ１１１は、媒体供給装置１の上方において、画像形成装置１００の左側面に配置されている。第２給紙トレイ１１２及び第３給紙トレイ１１３は、画像形成装置１００の内部に配置されている。第１給紙トレイ１１１、第２給紙トレイ１１２、及び第３給紙トレイ１１３には、媒体Ｍが積載される。

搬送経路１２１は、媒体Ｍが搬送される経路である。図２において、搬送経路１２１を、適宜矢印を付して実線で示す。搬送経路１２１は、両面印刷のために媒体Ｍを反転させる反転経路１２１ａを有する。

印刷部１３０は、例えば、印刷に用いられる各色分の図示しないラインヘッド型インクジェットヘッドを有する。なお、印刷部１３０の印刷方式は、インクジェット印刷方式以外の印刷方式であってもよい。

吸着搬送部１４０は、印刷部１３０に対向するように配置されている。吸着搬送部１４０は、吸着した媒体Ｍを搬送ベルトによって搬送する。なお、吸着搬送部１４０は、媒体Ｍを搬送する搬送手段の一例である。

排紙トレイ１５０は、画像形成装置１００の上部に配置され、印刷済みの媒体Ｍが積載される。

図２に示す操作パネル１６０は、表示部１６１と、操作部１６２とを有する。なお、図１では、操作パネル１６０の図示が省略されている。

表示部１６１は、ユーザの入力操作のための表示画面などの各種情報を表示するディスプレイである。なお、表示部１６１は、タッチパネルを有する場合、入力部としても機能することができる。

操作部１６２は、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける入力部の一例である。

なお、上述の画像形成装置１００の構成はあくまで一例であり、媒体供給装置１によって媒体Ｍを供給される装置には特に制限はなく、印刷部１３０を備えない装置であってもよい。

図３は、引き出し部４０が引き出された状態の媒体供給装置１を示す斜視図である。
図４は、媒体供給装置１の制御構成を示す図である。

図５～図８は、媒体供給装置１の内部構造を示す正面図である。
図２～図８に示すように、媒体供給装置１は、供給トレイ１０と、繰り出し部２０と、筐体３０と、引き出し部４０と、張架検出部５０と、制御部６１と、記憶部６２と、インターフェース部６３と、昇降駆動部７０と、媒体通過検知センサ８０とを備える。

一例ではあるが、供給トレイ１０は、図３に示すように、引き出し部４０とともに、筐体３０から引き出し方向Ｄ２（前方向）に引き出し可能に配置されている。また、供給トレイ１０は、引き出し部４０において、吊り下げ部材の一例である図示しない４本の線状部材（例えばワイヤ）によって吊り下げられており、後述する昇降駆動部７０による４本の線状部材の巻き取り及び巻き出しによって昇降可能となっている。

また、引き出し部４０の引き出しに伴って昇降駆動部７０から供給トレイ１０へ動力を伝達する駆動経路が切断される場合、供給トレイ１０の急な落下を防止するために、例えばロータリーダンパーなどの緩衝装置によって４本の線状部材の巻き出し速度が制限されているとよい。なお、供給トレイ１０は、引き出し部４０とともに引き出されるものに限られない。

図５に示すように、供給トレイ１０には、媒体Ｍが積載される。供給トレイ１０は、後述する昇降駆動部７０の駆動によって昇降可能である。

繰り出し部２０は、繰り出しローラ２１，２２と、捌き板２３と、ガイドプレート２４とを有する。

繰り出しローラ２１，２２のうち繰り出し方向Ｄ１（右方向）における上流側の繰り出しローラ２１は、供給トレイ１０に積載された最上位の媒体Ｍ１を繰り出すスクレーパローラである。繰り出し方向Ｄ１における下流側の繰り出しローラ２２は、繰り出しローラ２１によって繰り出された媒体Ｍを画像形成装置１００に向けて繰り出し方向Ｄ１に搬送するピックアップローラである。

また、繰り出しローラ２１，２２は、例えば、媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１に直交する幅方向（前後方向）において複数ずつ配置されている。後述する張架検出部５０は、複数の繰り出しローラ２２の間に配置されているとよい。なお、繰り出しローラ２１は、最上位の媒体Ｍ１を繰り出す第１繰り出し部材の一例である。また、繰り出しローラ２２は、媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１に繰り出しローラ２１と間隔を隔てて配置され且つ繰り出しローラ２１よりも上方に配置されて最上位の媒体Ｍ１を繰り出す第２繰り出し部材の一例である。この第１繰り出し部材及び第２繰り出し部材としては、繰り出しベルトが掛け渡されたプーリなどであってもよい。

捌き板２３は、繰り出しローラ２２に対向するように配置され、繰り出しローラ２２との間で媒体Ｍを１枚ずつ捌く。これにより、最上位の媒体Ｍ１と２枚目以降の媒体Ｍとが分離する。なお、捌き板２３は、少なくとも媒体Ｍとの接触面がゴムで形成されていることで、媒体Ｍに摩擦抵抗を生じさせるとよい。また、捌き板２３は、引き出し部４０が引き出し方向Ｄ２（前方向）に引き出される動作に連動して、繰り出しローラ２２から離隔する方向に移動するとよい。

ガイドプレート２４は、繰り出しローラ２２によって繰り出し方向Ｄ１に繰り出される媒体Ｍをガイドする。なお、ガイドプレート２４には、捌き板２３を貫通させる図示しない貫通孔が設けられている。

図２及び図３に示すように、筐体３０は、供給トレイ１０、繰り出し部２０、引き出し部４０などを収容する。図３に示すように、筐体３０の上面には、開閉可能な上扉３１が設けられている。この上扉３１の開放時や引き出し部４０の引き出し時には、インターロックスイッチが作動することで媒体供給装置１における媒体Ｍの繰り出し動作などが停止するとよい。

図３に示すように、引き出し部４０は、規制プレート４１と、サイドフェンス４２，４３と、エンドフェンス４４とを有する。

規制プレート４１は、供給トレイ１０に積載された媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１の下流側端部の位置を規制する。

サイドフェンス４２，４３は、互いに対向するように配置され、供給トレイ１０に積載された媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１に直交する幅方向（前後方向）の端部の位置を規制する。

エンドフェンス４４は、供給トレイ１０に積載された媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１の上流側端部の位置を規制するが、引き出し部４０が筐体３０から引き出し方向Ｄ２に引き出された状態で、図３に示すように媒体Ｍの補給を阻害しないように開いた位置に回転可能に配置されている。

図５～図８に示すように、張架検出部５０は、被押し上げ部５１と、張架検知センサ５２とを有する。張架検出部５０は、繰り出し方向Ｄ１における繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２との間に最上位の媒体Ｍ１が張架されたこと、すなわちテンションがかかった状態（供給高さ）にあることを検出する。

被押し上げ部５１は、アーム５１ａと、回転軸部材５１ｂと、コロ５１ｃと、被検知片５１ｄとを有する。

アーム５１ａは、前後方向に延びる回転軸部材５１ｂを回転中心軸として回転可能に配置されている。

コロ５１ｃは、アーム５１ａの端部に回転可能に配置され、繰り出し方向Ｄ１（右方向）における繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２との間において最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられる。これにより、被押し上げ部５１は、回転軸部材５１ｂを回転中心軸として図５～図８における時計回りに回転する。一方、コロ５１ｃが最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられない状態では、被押し上げ部５１は、自重で、回転軸部材５１ｂを回転中心軸として図７に示すように反時計回りに回転する。

被検知片５１ｄは、被押し上げ部５１のうちコロ５１ｃとは異なる端部に設けられている。

張架検知センサ５２は、下方に開口するＵ字形状（コの字形状）を呈する。張架検知センサ５２は、上述のように最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられた状態の被検知片５１ｄによって検出光が遮光されることで、最上位の媒体Ｍ１が張架されていることを表すＯＮ信号（図５、図６、及び図８参照）を出力する。また、張架検知センサ５２は、上述のように最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられない状態の被検知片５１ｄによって検出光が遮光されないと、最上位の媒体Ｍ１が張架されていないことを表すＯＦＦ信号（図７参照）を出力する。このように、張架検出部５０は、繰り出し方向Ｄ１における繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２との間に最上位の媒体Ｍ１が張架されたことを検出可能である。

なお、張架検出部５０は、上述の被押し上げ部５１を有することが望ましいが、例えば水平方向に検出光を照射し、最上位の媒体Ｍ１が張架されたことを検出してもよいため、被押し上げ部５１を有さなくてもよい。

図４に示す制御部６１は、媒体供給装置１全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ（例えばＣＰＵ：Central Processing Unit）を有するとよい。なお、上述のように媒体供給装置１が画像形成装置１００に一体に備えられる場合には、画像形成装置１００の制御部が媒体供給装置１の制御部６１を兼ねてもよい。

制御部６１は、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されたことが検出された場合に供給トレイ１０を上昇させない制御を行う。例えば、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されたことが検出された後に、繰り出し部２０による最上位の媒体Ｍ１の繰り出し動作に伴って供給トレイ１０に積載された媒体Ｍの数が減少していくと、張架検知センサ５２が、最上位の媒体Ｍ１が張架されていないことを表すＯＦＦ信号を出力する。制御部６１は、この張架検知センサ５２が出力するＯＦＦ信号に基づいて、供給トレイ１０を上昇させるように昇降駆動部７０を制御する。

また、詳しくは後述するが、制御部６１は、繰り出しローラ２１，２２によって最上位の媒体Ｍ１が所定条件で（一例としては、規定枚数（例えば３枚）以上）繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。

記憶部６２は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるＲＯＭ（Read Only Memory）、プロセッサが各種の制御プログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるＲＡＭ（Random Access Memory）などを有する。

インターフェース部６３は、画像形成装置１００や他の装置との間で各種情報の授受を行う。

昇降駆動部７０は、例えば、上述の４本の線状部材の巻き取り及び巻き出しを行うことによって供給トレイ１０を昇降させるモータ等のアクチュエータである。昇降駆動部７０は、引き出し部４０の引き出しに伴って昇降駆動部７０から供給トレイ１０へ動力を伝達する駆動経路が切断されるように、カップリング（軸継手）を介して供給トレイ１０に連結されている。

媒体通過検知センサ８０は、繰り出しローラ２２及び捌き板２３よりも繰り出し方向Ｄ１（右方向）における下流側に配置されている。媒体通過検知センサ８０は、例えば一対の光学センサであり、媒体Ｍの通過を検知する。

以下、媒体Ｍの繰り出し動作について、図５～図８を参照しながら説明する。
まず、図５に示すように、繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に１枚のみの媒体Ｍ（最上位の媒体Ｍ１）が進入して繰り出されている状態では、その後、１枚の媒体Ｍが繰り出される毎に、被押し上げ部５１が最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられなくなり、張架検知センサ５２が最上位の媒体Ｍ１が張架されていないことを表すＯＦＦ信号を出力する。制御部６１は、張架検知センサ５２のＯＮ信号からＯＦＦ信号への変化に基づいて、供給トレイ１０を上昇させるように昇降駆動部７０を制御する。この上昇制御は、媒体Ｍの厚さに応じて変えており、例えば厚紙の場合には張架検知センサ５２のＯＮ信号からＯＦＦ信号への変化１回で供給トレイ１０を上昇させ、薄紙の場合には張架検知センサ５２のＯＮ信号からＯＦＦ信号への変化３回で供給トレイ１０を上昇させるように制御する。なお、媒体Ｍの厚さ情報は、媒体供給装置に設けた図示しない用紙種別設定装置（媒体種別設定装置の一例）から取得すればよく、また、媒体供給装置に用紙厚検知装置（媒体厚検知装置の一例）を設けてもよい。

一方、媒体Ｍが重送しやすい媒体である場合には、図６に示すように繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に複数枚の媒体Ｍが進入する状態が起こる。この場合、繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に進入した媒体Ｍは、繰り出しローラ２１の外周面との間でテンションがかけられ、コロ５１ｃを押し上げる。これにより、繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に進入した複数枚の媒体Ｍが繰り出されるまで、張架検知センサ５２が、最上位の媒体Ｍ１が張架されたことを表すＯＮ信号を出力するため、制御部６１は、供給トレイ１０の上昇制御を行わない。

そのため、図７に示すように、繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に進入した複数枚の媒体Ｍが繰り出されて張架検知センサ５２が、最上位の媒体Ｍ１が張架されていないことを表すＯＦＦ信号を出力するときには、最上位の媒体Ｍ１と繰り出しローラ２１との間には高さ方向の隙間が生じる。これにより、供給トレイ１０の上昇が繰り出し部２０の繰り出し動作に間に合わず、空送が生じる。

そこで、制御部６１は、張架検知センサ５２がＯＦＦ信号を出力するまでに繰り出しローラ２１，２２によって繰り出し動作が行われる媒体Ｍの枚数（例えば、１，２枚）よりも多い規定枚数（例えば３枚）以上の媒体Ｍが繰り出されている間に、張架検知センサ５２が連続的にＯＮ信号を出力している場合、見込みで、供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。この制御における供給トレイ１０の上昇タイミング及び上昇量は、予め定められた固定値に基づいて決定されてもよいし、或いは、見込みで供給トレイ１０を上昇させる前と同様になるように決定されてもよい。なお、見込みで供給トレイ１０を上昇させる前の上昇タイミング及び上昇量は、常に一定とはならないため、制御部６１は、所定期間の平均値を求めるとよい。また、制御部６１は、この所定期間の上昇タイミングに基づいて上記の規定枚数を決定してもよい。すなわち、規定枚数は、一定の枚数ではなく変動する枚数であってもよい。なお、制御部６１は、媒体Ｍが規定枚数以上繰り出されているか否かを、例えば媒体通過検知センサ８０の検知結果に基づいて判別するとよい。

このように制御部６１が見込みで供給トレイ１０を上昇させる制御を行うことによって、図６に示すように繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に複数枚の媒体Ｍが進入している場合でも、この進入した複数枚の媒体Ｍのすべてが繰り出される前に、図８に示すように供給トレイ１０が上昇する。これにより、図７に示す例とは異なり、供給トレイ１０の上昇が繰り出し部２０の繰り出し動作に間に合い、空送を防止することができる。

なお、媒体Ｍは、種別ごとに剛性や密着度合が異なるため、繰り出しローラ２２と捌き板２３との間への媒体Ｍの進入しやすさ、ひいては重送のしやすさを判別することは困難である。しかしながら、本第１実施形態のように、繰り出し部２０によって最上位の媒体Ｍ１が規定枚数以上繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、制御部６１は、重送しやすい状況と判別することもできる。制御部６１は、この重送しやすい状況で、上述のように見込みで供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。

以上説明した第１実施形態では、媒体供給装置１は、媒体Ｍが積載される昇降可能な供給トレイ１０と、この供給トレイ１０に積載された最上位の媒体Ｍ１を繰り出す第１繰り出し部材の一例である繰り出しローラ２１と、媒体Ｍの繰り出し方向Ｄ１に繰り出しローラ２１と間隔を隔てて配置され且つ繰り出しローラ２１より上方に配置されて最上位の媒体Ｍ１を繰り出す第２繰り出し部材の一例である繰り出しローラ２２と、繰り出し方向Ｄ１における繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２との間に最上位の媒体Ｍ１が張架されたことを検出する張架検出部５０と、この張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されたことが検出された場合に供給トレイ１０を上昇させない制御を行う制御部６１とを備える。この制御部６１は、繰り出しローラ２１，２２によって最上位の媒体Ｍ１が所定条件で（例えば、規定枚数以上）繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。例えば、制御部６１は、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されたことが検出された後に最上位の媒体Ｍ１が検出されなくなった場合に、供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。

ところで、複数枚の媒体Ｍが繰り出し方向Ｄ１に例えば繰り出しローラ２２と捌き板２３との間まで誤って進入している場合、この複数枚の媒体Ｍが繰り出されるまで、張架検出部５０は、最上位の媒体Ｍ１が張架されたことを検出し続け、供給トレイ１０が上昇しない。この点、制御部６１は、誤って繰り出し方向Ｄ１に進入したすべての媒体Ｍが繰り出される前に、見込みで供給トレイ１０を上昇させることができる。そのため、供給トレイ１０の上昇が繰り出しローラ２１，２２の繰り出し動作に間に合わずに空送が生じるのを回避することができる。また、供給トレイ１０に積載された媒体Ｍのうち繰り出しローラ２１よりも繰り出し方向Ｄ１の上流側において、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを検出する態様と比較して、最上位の媒体Ｍ１を繰り出す繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２との間において、最上位の媒体Ｍ１が供給可能であることを正確に検出することができる。また、張架検出部５０は、繰り出しローラ２１，２２による最上位の媒体Ｍ１の繰り出し動作に伴って供給トレイ１０に積載された媒体Ｍが減少していくことを検出するためのものであるため、制御部６１は、新たな構成を追加しない場合でも、上述のように媒体Ｍの空送を防止することができる。よって、本第１実施形態によれば、簡素な構成で、媒体Ｍの空送を防止することができる。

＜第２実施形態＞
図９及び図１０は、第２実施形態に係る媒体供給装置２の内部構造を示す正面図である。

本第２実施形態では、媒体供給装置２が、上述の第１実施形態に係る媒体供給装置１の構成に加えて、媒体高さ検出部９０を更に備える。そのため、媒体高さ検出部９０について詳細を説明し、その他の事項については説明を省略する。

図９及び図１０に示すように、媒体高さ検出部９０は、被押し上げ部９１と、媒体高さ検知センサ９２とを有する。媒体高さ検出部９０は、繰り出しローラ２１が最上位の媒体Ｍ１を繰り出す際の最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを検出する。

被押し上げ部９１は、連結板９１ａと、被検知片９１ｂとを有する。
連結板９１ａは、繰り出しローラ２１の回転軸と繰り出しローラ２２の回転軸とを回転可能に支持することで、繰り出しローラ２１と繰り出しローラ２２とを連結する。連結板２４は、繰り出しローラ２２の回転軸を回転中心として、繰り出しローラ２１が上下動するように回転可能に配置されている。

連結板９１ａ（被押し上げ部９１）は、繰り出しローラ２１（被押し上げ部５１が最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられる部分よりも繰り出し方向Ｄ１における上流側の一例）が最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられることで繰り出しローラ２１とともに図９及び図１０における時計回りに回転する。一方、繰り出しローラ２１が最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられない状態では、連結板９１ａ（被押し上げ部９１）は、被押し上げ部９１及び繰り出しローラ２１の自重で、図９及び図１０における反時計回りに回転する。

被検知片９１ｂは、連結板９１ａにおいて例えば繰り出しローラ２１よりも上方に設けられている。

媒体高さ検知センサ９２は、右下方に開口するＵ字形状（コの字形状）を呈する。媒体高さ検知センサ９２は、上述のように最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられた状態の被押し上げ部９１の被検知片９１ｂによって検出光が遮光されることで、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを表すＯＮ信号を出力する。また、媒体高さ検知センサ９２は、上述のように最上位の媒体Ｍ１によって押し上げられない状態の被押し上げ部９１の被検知片９１ｂによって検出光が遮光されないと、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにないことを表すＯＦＦ信号を出力する。このように、媒体高さ検出部９０は、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを検出可能である。

本第２実施形態では、図４に示す制御部６１は、繰り出し部２０によって最上位の媒体Ｍ１が規定枚数以上（所定条件の一例）繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、見込みで供給トレイ１０を上昇させるのではなく、媒体高さ検出部９０の検出結果に基づいて供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。

例えば、制御部６１は、繰り出し部２０によって最上位の媒体Ｍ１が規定枚数以上繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、規定枚数繰り出されていた間の媒体高さ検知センサ９２の出力結果を参照し、供給トレイ１０を上昇させる制御を行うとよい。

また、その後、制御部６１は、再び張架検出部５０の出力結果に基づいて供給トレイ１０を上昇させる制御を行ってもよい。或いは、制御部６１は、媒体Ｍの繰り出し動作（例えば、印刷ジョブ）が終了するまで、媒体高さ検出部９０の出力結果に基づいて、供給トレイ１０を上昇させる制御を行い、例えば媒体Ｍの繰り出し動作が終了した後、再び張架検出部５０の出力結果に基づいて供給トレイ１０を上昇させる制御を行ってもよい。

以上説明した第２実施形態においては、上述の第１実施において得られる効果、例えば、簡素な構成で、媒体Ｍの空送を防止することができるという効果を得ることができる。

また、本第２実施形態では、媒体供給装置２は、繰り出しローラ２１が最上位の媒体Ｍ１を繰り出す際の最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを検出する媒体高さ検出部９０を更に備える。制御部６１は、繰り出しローラ２１，２２によって最上位の媒体Ｍ１が規定枚数以上繰り出されている間に、張架検出部５０によって最上位の媒体Ｍ１が張架されていることが連続的に検出されている場合、媒体高さ検出部９０の検出結果に基づいて供給トレイ１０を上昇させる制御を行う。

このように、媒体高さ検出部９０は、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあることを検出する。そのため、媒体高さ検出部９０は、例えば繰り出しローラ２２と捌き板２３との間に誤って進入しているすべての媒体Ｍが繰り出される前に最上位の媒体Ｍ１が供給高さにないことを検出し得る。したがって、張架検出部５０が、誤って進入している複数枚の媒体Ｍの影響で最上位の媒体Ｍ１が張架されていることを連続的に検出している場合に、媒体高さ検出部９０を用いて、最上位の媒体Ｍ１が供給高さにあるか否かをより正確に検出することができる。したがって、制御部６１が供給トレイ１０を適切に上昇させることができるため、媒体Ｍの空送を防止することができる。

なお、本発明は、上述の第１実施形態又は第２実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の第１実施形態及び第２実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、第１実施形態及び第２実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。

［付記１］
媒体が積載される昇降可能な供給トレイと、
前記供給トレイに積載された最上位の前記媒体を繰り出す第１繰り出し部材と、
前記媒体の繰り出し方向に前記第１繰り出し部材と間隔を隔てて配置され且つ前記第１繰り出し部材より上方に配置されて最上位の媒体を繰り出す第２繰り出し部材と、
前記繰り出し方向における前記第１繰り出し部材と前記第２繰り出し部材との間に前記最上位の媒体が張架されたことを検出する張架検出部と、
前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されたことが検出された場合に前記供給トレイを上昇させない制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記第１繰り出し部材及び前記第２繰り出し部材によって前記最上位の媒体が所定条件で繰り出されている間に、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されていることが連続的に検出されている場合、前記供給トレイを上昇させる制御を行う
ことを特徴とする媒体供給装置。

［付記２］
前記制御部は、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されたことが検出された後に前記最上位の媒体が検出されなくなった場合に、前記供給トレイを上昇させる制御を行う
ことを特徴とする付記１記載の媒体供給装置。

［付記３］
前記第１繰り出し部材が前記最上位の媒体を繰り出す際の前記最上位の媒体が供給高さにあることを検出する媒体高さ検出部を更に備え、
前記制御部は、前記最上位の媒体が規定枚数以上繰り出されている間に、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されていることが連続的に検出されている場合、前記媒体高さ検出部の検出結果に基づいて前記供給トレイを上昇させる制御を行う
ことを特徴とする付記１又は２記載の媒体供給装置。

１，２ 媒体供給装置
１０ 供給トレイ
２０ 繰り出し部
２１，２２ 繰り出しローラ
２３ 捌き板
２４ ガイドプレート
３０ 筐体
３１ 上扉
４０ 引き出し部
４１ 規制プレート
４２，４３ サイドフェンス
４４ エンドフェンス
５０ 張架検出部
５１ 被押し上げ部
５１ａ アーム
５１ｂ 回転軸部材
５１ｃ コロ
５１ｄ 被検知片
５２ 張架検知センサ
６１ 制御部
６２ 記憶部
６３ インターフェース部
７０ 昇降駆動部
８０ 媒体通過検知センサ
９０ 媒体高さ検出部
９１ 被押し上げ部
９１ａ 連結板
９１ｂ 被検知片
９２ 媒体高さ検知センサ
１００ 画像形成装置
Ｄ１ 繰り出し方向
Ｄ２ 引き出し方向
Ｍ 媒体
Ｍ１ 最上位の媒体

Claims (2)

1. 媒体が積載される昇降可能な供給トレイと、
   前記供給トレイに積載された最上位の前記媒体を繰り出す第１繰り出し部材と、
   前記媒体の繰り出し方向に前記第１繰り出し部材と間隔を隔てて配置され且つ前記第１繰り出し部材より上方に配置されて最上位の媒体を繰り出す第２繰り出し部材と、
   前記繰り出し方向における前記第１繰り出し部材と前記第２繰り出し部材との間に前記最上位の媒体が張架されたことを検出する張架検出部と、
   前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されたことが検出されないことに基づいて前記供給トレイを上昇させる制御を行う制御部とを備え、
   前記制御部は、前記第１繰り出し部材及び前記第２繰り出し部材によって前記最上位の媒体が、繰り出し動作が行われる前記媒体の枚数よりも多い規定枚数以上繰り出されている間に、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されていることが連続的に検出されていることにも基づいて、前記供給トレイを上昇させる制御を行う
   ことを特徴とする媒体供給装置。
2. 前記第１繰り出し部材が前記最上位の媒体を繰り出す際の前記最上位の媒体が供給高さにあることを検出する媒体高さ検出部を更に備え、
   前記制御部は、前記最上位の媒体が前記規定枚数以上繰り出されている間に、前記張架検出部によって前記最上位の媒体が張架されていることが連続的に検出されている場合、前記媒体高さ検出部の検出結果にも基づいて前記供給トレイを上昇させる制御を行う
   ことを特徴とする請求項１記載の媒体供給装置。

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