JP7325215B2 - 起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム - Google Patents
起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム Download PDFInfo
- Publication number
- JP7325215B2 JP7325215B2 JP2019084944A JP2019084944A JP7325215B2 JP 7325215 B2 JP7325215 B2 JP 7325215B2 JP 2019084944 A JP2019084944 A JP 2019084944A JP 2019084944 A JP2019084944 A JP 2019084944A JP 7325215 B2 JP7325215 B2 JP 7325215B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- water emulsion
- mass
- total
- fat
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Grain Derivatives (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
Description
生クリームは牛乳から遠心分離によって作られ、特有の風味・コク味等を有し、優れた風味を呈することが知られている。しかし、生クリームによるホイップドクリームは、しまりと呼ばれる硬化現象があり、短時間で口溶けが低下したり、また経時的に離水したり、軟化することで、保形性が得られないといった問題があった。また、ホイップされる前の生クリームの状態では、保存中の温度変化や輸送などの振動によって、急激な粘度の上昇や固化が起こりやすいといった作業上の問題があった。
例えば、特許文献1には、起泡性水中油型乳化物の乳化安定性、ホイップした際の作業性、起泡性、外観、保形性、耐離水性を良好にする観点から、油脂、無脂乳固形分及び水を含む水中油型乳化物において、油脂分が25~50重量%であり、油脂が非乳脂又は非乳脂及び乳脂であって、非乳脂がパーム系油脂及びラウリン系油脂のエステル交換油を含み、且つ澱粉分解物及び/又は加工澱粉を含むことが開示されている。
また、特許文献2には、保存時の乳化安定性及びホイップ後の安定性を良好にする観点から、生クリーム又は生クリーム含有水中油型乳化物(A)と、ラウリン系油脂およびエステル交換油を含み、生クリームを含まない水中油型乳化物(B)とを混合してなる起泡性水中油型乳化組成物が開示されている。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が28~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.10~1.80である。
なお、本件明細書において記号の表記はそれぞれ以下を示す。
Pはパルミチン酸、Sはステアリン酸、Oはオレイン酸を示す。
POPは、グリセロール1分子の1位および3位にPが結合し、2位にOが結合したトリアシルグリセロールを示し、
POSは、グリセロール1分子の1位にPが結合し、2位にOが結合し、3位にSが結合したトリアシルグリセロール、および、グリセロール1分子の1位にSが結合し、2位にOが結合し、3位にPが結合したトリアシルグリセロールを示し、
SOSは、グリセロール1分子の1位および3位にSが結合し、2位にOが結合したトリアシルグリセロールを示し、
PPOは、グリセロール1分子の1位および2位にPが結合し、3位にOが結合したトリアシルグリセロール、および、グリセロール1分子の2位および3位にPが結合し、1位にOが結合したトリアシルグリセロールを示し、
PSOは、グリセロール1分子の1位にPが結合し、2位にSが結合し、3位にOが結合したトリアシルグリセロール、および、グリセロール1分子の1位にOが結合し、2位にSが結合し、3位にPが結合したトリアシルグリセロールを示し、
SPOは、グリセロール1分子の1位にSが結合し、2位にPが結合し、3位にOが結合したトリアシルグリセロール、および、グリセロール1分子の1位にOが結合し、2位にPが結合し、3位にSが結合したトリアシルグリセロールを示し、
SSOは、グリセロール1分子の1位および2位にSが結合し、3位にOが結合したトリアシルグリセロール、および、グリセロール1分子の2位および3位にSが結合し、1位にOが結合したトリアシルグリセロールを示す。
ラウリン酸の含有量を、上記下限値以上とすることにより、口溶けが良好になり、一方、上記上限値以下とすることにより、口溶けが過剰となることを抑制し、生クリームらしさを保持できる。また、ラウリン酸の含有量を、かかる数値範囲とすることで、他の成分とのバランスを良好にし、良好な作業性と、生クリームに似た口溶けのバランスを向上できる。
パルミチン酸の含有量を、かかる数値範囲とすることで、他の成分とのバランスを良好にし、良好な作業性と、生クリームに似た口溶け及びのど越しのバランスを向上できる。
ヨウ素価を、上記上限値以下とすることにより、ホイップドクリームとしての良好な起泡性と保型性を保ちつつ、生クリームに似た口溶け、のど越しを得ることができ、上記下限値以上とすることにより、良好な作業性、および生クリームに似た口溶けを得ることができる。
構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールは、主に、後述するエステル交換油Bに由来する成分であり、作業性を向上させる作用を有する。また、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールは、主に、後述するラウリン系油脂Aに由来する成分であり、良好な口溶けが得られる作用を有する。構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比を上記数値範囲とすることで、ホイップドクリームの荒れやダレといった作業性の低下を抑制し、かつ、良好な口溶けを得ることができる。
(g)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの当該油脂中の含有量と、前記起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの当該油脂中の含有量の合計との和が、25~38質量%であり、好ましくは28~36質量%、より好ましくは30~35質量%である。
ラウリン系油脂Aの含有量は、起泡性水中油型乳化物の油脂全量に対して、40~70質量%が好ましく、45~65質量%がより好ましく、50~60質量%が更に好ましい。
エステル交換油Bとしては、エステル交換油1種類を単独で用いてもよいし、異なる原料を用いたエステル交換油2種類以上を混合して用いてもよい。
なお、エステル交換油Bは、原料油脂として、近年心疾患との関連から使用が敬遠される部分水素添加油(ヨウ素価4を超える)を使用しないことが好ましい。
また、エステル交換油Bのヨウ素価が15~40であることが好ましく、20~40であることがより好ましく、20~35であることが更に好ましい。
なかでも、エステル交換油Bの構成脂肪酸のうち、ラウリン酸が20~45質量%、パルミチン酸が10~30質量%であり、かつ、エステル交換油Bのヨウ素価が15~40であることが好ましく、ラウリン酸が20~40質量%、パルミチン酸が15~25質量%であることがより好ましい。
上記化学的触媒としては、例えば、ナトリウムメチラート等のアルカリ金属系触媒が挙げられ、上記酵素としては、アルカリゲネス属、リゾープス属、アスペルギルス属、ムコール属、およびペニシリウム属等に由来するリパーゼが挙げられる。また、上記酵素は、イオン交換樹脂、ケイ藻土、セラミック等の担体に固定化して、固定化リパーゼとして用いることもできるし、粉末の状態で用いることもできる。
パーム分別中融点部Cのヨウ素価は30~55であることが好ましく、35~50であることがより好ましく、38~48であることが更に好ましい。
パーム分別中融点部Cの含有量は、起泡性水中油型乳化物の油脂全量に対して、8~35質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
なお、乳脂肪とは、牛等の反芻動物の乳由来の脂質である。一般に、乳脂肪は、約99重量%のトリグリセリドと、ジグリセリド、モノグリセリド、ラクトン類、メチルケトン類、アルデヒド類、脂肪酸類及び含硫化合物等のその他の成分を含有している。
上記の予備乳化工程では、主原料と副原料とを、加熱、撹拌しながら添加、混合して乳化し、乳化物を得る。油溶性の乳化剤などの油溶性成分を油脂に添加、溶解して油相とし、それ以外のものを水に溶解または分散して水相とし、当該水相に当該油相を添加して混合する方法が好ましく採用される。乳化温度は、40~80℃が好ましく、50~75℃がより好ましい。予備乳化工程には、プロペラ等の撹拌機を保持する各種調合タンクを使用することができる。
上記の加熱殺菌工程は、乳化物を殺菌するために行うための工程であり、起泡性水中油型乳化物の品温が、好ましくは90~150℃、より好ましくは120℃~150℃の条件下で、好ましくは2~30秒間、より好ましくは4~15秒間行う。なお、殺菌装置は、特に限定されないが、例えばUHT滅菌装置や、HTST滅菌装置が好ましく用いられる。
上記の冷却工程は、熱交換器による冷却、蒸発冷却などによる方法で行うことができる。
上記の均質化工程は、一般的に知られている均質化装置を使用することができ、例えば、ケトル型チーズ乳化釜、ステファンミキサーの様な高速せん断乳化釜、スタティックミキサー、インラインミキサー、バルブ式ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、およびディスパーミル等が挙げられる。
上記のエージング工程は、油脂類の結晶状態を安定化させ、適度な粘度に調整するための工程であり、好ましくは1~10℃、より好ましくは2~7℃の温度条件下で、好ましくは6~60時間、より好ましくは12~54時間静置することにより行う。
本実施形態において、ホイップドクリームは上記の起泡性水中油型乳化物が起泡されてなるものである。ホイップドクリームは、公知の方法により起泡されるものであり、ケーキ類のトッピングやナッペに好適に使用される。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 以下の条件(a)~(f)を満たす、起泡性水中油型乳化物。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が28~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.10~1.80である。
2. 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、ラウリン系油脂Aを40~70質量%含有する、1.に記載の起泡性水中油型乳化物。
3. 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、エステル交換油Bを含有し、
エステル交換油Bの構成脂肪酸のうち、ラウリン酸が20~50質量%、パルミチン酸が10~30質量%であり、かつ、
エステル交換油Bのヨウ素価が15~40である、1.または2.に記載の起泡性水中油型乳化物。
4. 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、パーム分別中融点部Cを8~35質量%含有する、1.乃至3.いずれか一つに記載の起泡性水中油型乳化物。
5. パーム分別中融点部Cのヨウ素価が30~55である、4.に記載の起泡性水中油型乳化物。
6. 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、エステル交換油Bを10~35質量%含有する、3.に記載の起泡性水中油型乳化物。
7. さらに以下の条件(g)を満たす、1.乃至6.いずれか一つに記載の起泡性水中油型乳化物。
(g)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの当該油脂中の含有量と、前記起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの当該油脂中の含有量の合計との和が、25~38質量%である。
8. 1.乃至7.いずれか一つに記載された起泡性水中油型乳化物が起泡されてなるホイップドクリーム。
(1)エステル交換油1~5の調製
表1に示す割合(質量%)で、各油脂を混合して110℃に加熱し、十分に脱水させた後、化学触媒としてナトリウムメチラートを油脂量の0.08質量%添加し、減圧下、100℃で0.5時間攪拌しながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応後、水洗して触媒を除去し、活性白土を用いて脱色し、さらに脱臭を行って、エステル交換油脂1~5をそれぞれ得た。
表2に示すヨウ素価、油脂組成を有する各油脂(ラウリン系油脂A、エステル交換油B、パーム分別中融点部C、その他油脂D)を用意した。
次に各油脂の含有割合が表3に示す割合となるように、各油脂を、60℃に加熱、溶解して混合した。
続けて、表4に示す配合に従い、油溶性の乳化剤であるレシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド合計0.18質量%を、上記の各油脂に溶解し油相とした。60℃に加温した水に脱脂粉乳4.5質量%、クエン酸ナトリウム0.2質量%および水溶性の乳化剤であるショ糖脂肪酸エステルを0.12%溶解し、水相とした。水相をホモミキサーで撹拌しながら油相を徐々に加え、予備乳化した。その後高圧ホモゲナイザーで均質化し、得られた乳化物を加熱殺菌機で約142℃で殺菌した。予備冷却後、再度高圧ホモゲナイザーで均質化を行い、続けて、プレート式冷却機により冷却を行った。その後5℃の温度条件下で48時間エージングし、起泡性水中油型乳化物をそれぞれ得た。得られた起泡性水中油型乳化物は、そのまま5℃で保管し、以下のホイップドクリームの作製に用いた。
得られた各起泡性水中油型乳化物800gにグラニュー糖を64g加え、ホバートミキサーN50、ワイヤーホイッパーを使用し、3速でホイップして、八部立てのホイップドクリームを作製した。得られたホイップドクリームについて以下の評価を行った。結果を、表5に示す。
・生クリームと比較したときの口溶け:上記(3)で得られたホイップドクリームと同様にグラニュー糖を加えて八分立てした生クリーム(乳脂肪分35%)を、熟練したパネラー10名が試食し、以下の基準(-2~2の5段階)に従って、評価点を付け、平均値をとった。
(基準)
2 生クリームよりも口溶けがよすぎて、生クリームに似ていない
1 生クリームよりも口溶けがややよい
0 生クリームと口溶けが同等
-1 生クリームよりも口溶けがやや悪い
-2 生クリームよりも口溶けがとても悪い
(基準)
2 生クリームよりものど越しがよすぎて、生クリームに似ていない
1 生クリームよりものど越しがややよい
0 生クリームとのど越しが同等
-1 生クリームよりものど越しがやや悪い
-2 生クリームよりものど越しがとても悪い
1 荒れる
2 やや荒れる(造花作業の後半から荒れがみられる)
3 状態がよい
4 ややだれる
5 だれる
実施例および比較例で原料として用いた油脂について、構成脂肪酸中のラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸を基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.4.2.3-2013 脂肪酸組成(キャピラリーガスクロマトグラフ法)」に準じて測定し、その値から実施例および比較例の組成物中の油脂について、構成脂肪酸中のラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸の割合を求めた。結果を、表2,3に示す。
実施例および比較例で原料として用いた油脂について、ヨウ素価を基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の「2.3.4.1-2013 ヨウ素価(ウィイス-シクロヘキサン法)」により測定し、その値から実施例および比較例の組成物中の油脂についてヨウ素価を求めた。結果を、表2,3に示す。
実施例および比較例で原料として用いた油脂について、POP、PPO、POS、PSO+SPO、SOS、SSOをHPLC-ESI-MS/MSシステムを用い、以下に示す方法で分離・定量し、その値から実施例および比較例の組成物中の油脂中のPOP、PPO、POS、PSO+SPO、SOS、SSOの量を求めた。結果を、表2,3に示す。
油脂試料をアセトン/アセトニトリル混合溶媒に希釈し、終濃度およそ60-120μg/mlの油脂試料溶液とした。また、このときに、内部標準物質としてトリウンデカノインを終濃度0.5μg/mlとなるよう添加した。
POP、rac-PPO、rac-POS、rac-PSO、SOS、rac-SSO、(いずれも月島食品工業製)を標準物質とし、標準溶液(1.0~25μg/ml)を調製した。また、このときに、各希釈倍率の標準溶液に、内部標準物質としてトリウンデカノインを終濃度0.5μg/mlとなるよう添加した。
上記TAG標準溶液、または油脂試料溶液を以下の条件のHPLCシステムに注入し、TAG分子種の異性体分離を行った。
装置:高速液体クロマトグラフAlliance e2695(Waters)
カラム:SunShell C30,2.6μm 2.1mm i.d.×150mm(クロマニックテクノロジーズ)
カラムオーブン温度:20℃
流量:0.4ml/min
移動相:アセトン/アセトニトリルを0分から10分の間に80/20から90/10、10分から10.1分の間に90/10から100/0にリニアに変化させ、その後分析終了まで保持した。
検出にはESI-MS/MSシステム(Waters社製Quattro micro API)を用い、MRMモードでピークを検出した。
MRMトランジッション
PPO(m/z 850.8→551.5,577.5)
PSO(m/z 878.8→577.5,579.5,605.6,)
SSO(m/z 906.9→607.6,605.6)
測定するサンプルにより、適宜定量イオンを選択し、定量計算に用いた。
TAG溶液の分析により得られたイオンクロマトグラムの各TAGのピーク面積により検量線を作成し、油脂試料の各TAGを定量した。
なお、分離できないPSOとSPOに関しては、rac-PSOを標準物質として検量線を作成し、合計量として定量した。ここで「rac-」はラセミ体を示し、例えばrac-PSOはsn-PSO、sn-OSPの等量混合物であることを示す。また、「sn-」はトリアシルグリセロールが鏡像異性体の一方であることを示し、例えばsn-PSOはグリセロール1分子の1位にPが結合し、2位にSが結合し、3位にOが結合したトリアシルグリセロールであり、sn-OSPはグリセロール1分子の1位にOが結合し、2位にSが結合し、3位にPが結合したトリアシルグリセロールであることを表す。
J.Oleo Sci.,66,(3)259-268(2017)に記載のガスクロマトグラフィーによるTAG分析法に準じた方法で、原料油脂の、構成脂肪酸の炭素数の合計が36、38、40、42のトリアシルグリセロールの定量を行い、その値から実施例および比較例の組成物中の油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36、38、40、42のトリアシルグリセロールの量を求めた。結果を、表2,3に示す。
Claims (11)
- 以下の条件(a)~(f)を満たす、起泡性水中油型乳化物。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が33~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.30~1.80である。 - 起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、ラウリン系油脂Aを40~55質量%含有し、
ラウリン系油脂Aが、ヤシ油、パーム核油、及びこれらの分別油、これらのヨウ素価4以下の極度硬化油からなる群から選ばれる1以上の油脂であり、
以下の条件(a)~(f)を満たす、起泡性水中油型乳化物。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が28~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.30~1.80である。 - 起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、エステル交換油Bを含有し、
エステル交換油Bの構成脂肪酸のうち、ラウリン酸が20~50質量%、パルミチン酸が10~30質量%であり、かつ、
エステル交換油Bのヨウ素価が15~40であり、
以下の条件(a)~(f)を満たす、起泡性水中油型乳化物。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が33~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.10~1.80である。 - 起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、ラウリン系油脂Aを40~55質量%、及びエステル交換油Bを含有し、
ラウリン系油脂Aはヤシ油、パーム核油、及びこれらの分別油、これらのヨウ素価4以下の極度硬化油からなる群から選ばれる1以上の油脂であり、
エステル交換油Bの構成脂肪酸のうち、ラウリン酸が20~50質量%、パルミチン酸が10~30質量%であり、かつ、
エステル交換油Bのヨウ素価が15~40であり、
以下の条件(a)~(f)を満たす、起泡性水中油型乳化物。
(a)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、ラウリン酸が28~40質量%である。
(b)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂を構成する脂肪酸のうち、パルミチン酸が15~24質量%である。
(c)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂のヨウ素価が18.0~30.0である。
(d)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールが、当該油脂中19~30質量%である。
(e)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの油脂中の含有量の合計が4~13質量%である。
(f)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が40~42のトリアシルグリセロールの質量に対する、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの質量の比が1.10~1.80である。 - 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、ラウリン系油脂Aを40~70質量%含有し、
ラウリン系油脂Aが、ヤシ油、パーム核油、及びこれらの分別油、これらのヨウ素価4以下の極度硬化油からなる群から選ばれる1以上の油脂である、請求項1または3に記載の起泡性水中油型乳化物。 - 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、エステル交換油Bを含有し、
エステル交換油Bの構成脂肪酸のうち、ラウリン酸が20~50質量%、パルミチン酸が10~30質量%であり、かつ、
エステル交換油Bのヨウ素価が15~40である、請求項1または2に記載の起泡性水中油型乳化物。 - 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、エステル交換油Bを10~35質量%含有する、請求項3、4および6いずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物。
- 前記起泡性水中油型乳化物の全油脂中に、パーム分別中融点部Cを8~35質量%含有する、請求項1乃至7いずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物。
- パーム分別中融点部Cのヨウ素価が30~55である、請求項8に記載の起泡性水中油型乳化物。
- さらに以下の条件(g)を満たす、請求項1乃至9いずれか一項に記載の起泡性水中油型乳化物。
(g)当該起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれる、構成脂肪酸の炭素数の合計が36~38のトリアシルグリセロールの当該油脂中の含有量と、前記起泡性水中油型乳化物の全油脂に含まれるPOP、POS、およびSOSの当該油脂中の含有量の合計との和が、25~38質量%である。 - 請求項1乃至10いずれか一項に記載された起泡性水中油型乳化物が起泡されてなるホイップドクリーム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019084944A JP7325215B2 (ja) | 2019-04-26 | 2019-04-26 | 起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019084944A JP7325215B2 (ja) | 2019-04-26 | 2019-04-26 | 起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020178638A JP2020178638A (ja) | 2020-11-05 |
JP7325215B2 true JP7325215B2 (ja) | 2023-08-14 |
Family
ID=73022572
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019084944A Active JP7325215B2 (ja) | 2019-04-26 | 2019-04-26 | 起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7325215B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010022305A (ja) | 2008-07-23 | 2010-02-04 | Fuji Oil Co Ltd | 起泡性水中油型乳化物 |
JP2018121548A (ja) | 2017-01-30 | 2018-08-09 | 太陽油脂株式会社 | ホイップクリーム用油脂組成物 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5746088B2 (ja) * | 2012-04-26 | 2015-07-08 | 太陽油脂株式会社 | クリーム用油脂組成物 |
-
2019
- 2019-04-26 JP JP2019084944A patent/JP7325215B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010022305A (ja) | 2008-07-23 | 2010-02-04 | Fuji Oil Co Ltd | 起泡性水中油型乳化物 |
JP2018121548A (ja) | 2017-01-30 | 2018-08-09 | 太陽油脂株式会社 | ホイップクリーム用油脂組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020178638A (ja) | 2020-11-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4502839B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化組成物 | |
JP5635288B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化組成物 | |
JP5306757B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化油脂組成物 | |
JP4211868B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化物 | |
JP2011103809A (ja) | ホイップクリーム用ハードストック及び該ハードストックを使用したホイップクリーム | |
Flack | Butter, margarine, spreads, and baking fats | |
JP2008161106A (ja) | ホイップクリーム用油脂組成物 | |
WO2001058279A1 (fr) | Creme fouettee | |
JP2016208970A (ja) | 凍結ホイップクリーム用油脂組成物 | |
JP2017029022A (ja) | 水中油型乳化脂用乳化材 | |
JP2007202417A (ja) | 冷菓用水中油型乳化物 | |
EP3787414B1 (en) | Food composition comprising dairy fat suitable for whipping or foaming and whipped or foamed food composition comprising dairy fat | |
JP5640609B2 (ja) | ホイップクリーム用油脂組成物 | |
JP7325215B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化物およびホイップドクリーム | |
JP6762197B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化物とそれを用いたホイップドクリーム | |
JP2019195294A (ja) | 起泡性水中油型乳化物とそれを用いたホイップドクリーム | |
JP2018068290A (ja) | スプレッドとバタークリーム用油中水型乳化物およびバタークリームの製造方法 | |
JP6899624B2 (ja) | ホイップクリーム | |
JP2007244218A (ja) | ホイップクリーム用油脂組成物 | |
JP6184764B2 (ja) | 冷凍菓子用ミックスおよびそれを使用した冷凍菓子 | |
JP2002320446A (ja) | 水中油型乳化脂の製造方法 | |
JP2012019766A (ja) | チルド流通ホイップドクリーム用起泡性水中油型乳化油脂組成物 | |
JP7210150B2 (ja) | 起泡性水中油型乳化物及びホイップドクリーム | |
JP4390375B2 (ja) | 水中油型乳化脂 | |
JP6062683B2 (ja) | プリン用水中油型乳化物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220325 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230221 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230314 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230512 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230725 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230801 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7325215 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |