以下、本発明を実施するための形態(本実施形態)を説明する。ただし、本実施形態は、以下の内容に何ら制限されず、本発明の要旨を損なわない範囲内で任意に変更して実施可能である。また、以下では、図1および図2に示す方向を基準として説明する。
図1は、本実施形態に係る冷蔵庫を示す正面図である。なお、以下では、6ドアの冷蔵庫1を例に挙げて説明するが、6ドアに限定されるものではない。
図1に示すように、冷蔵庫1は、冷蔵室2、製氷室3、冷凍室4、第一切替室5(上段切替室、貯蔵室)および第二切替室6(下段切替室、貯蔵室)を備えた断熱箱体10を有している。第一切替室5は、冷蔵温度帯(例えば、1℃~6℃)から冷凍温度帯(例えば、約-20℃~-18℃)まで温度帯を切り替えることができるようになっている。第二切替室6も同様に、冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで温度帯を切り替えることができるようになっている。冷蔵室2は、冷蔵温度帯(例えば、6℃)に設定され、製氷室3および冷凍室4は、冷凍温度帯(例えば、約-20℃)に設定される。
また、冷蔵庫1は、断熱箱体10の正面に、冷蔵室2を開閉する冷蔵室扉2a,2bと、製氷室3を開閉する製氷室扉3aと、冷凍室4を開閉する冷凍室扉4aと、第一切替室5を開閉する第一切替室扉5aと、第二切替室6を開閉する第二切替室扉6aと、を備えている。冷蔵室扉2a,2bは観音開き可能に構成されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5a、および第二切替室扉6aは、手前方向に引き出し可能に構成されている。冷蔵室扉2a,2b、製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、断熱扉である。また、冷蔵室扉2aの庫外側表面には、庫内の温度設定の操作を行う操作部26を設けている。
冷蔵室2と、冷凍室4及び製氷室3とは断熱仕切壁28によって隔てられている。また、冷凍室4及び製氷室3と、第一切替室5とは断熱仕切壁29によって隔てられ、第一切替室5と第二切替室6とは断熱仕切壁30によって隔てられている。
断熱箱体10の天面庫外側の手前側と、断熱仕切壁28の前縁には、断熱箱体10と扉2a、2bを固定するための扉ヒンジ(図示せず)を備えている。上部の扉ヒンジは、扉ヒンジカバー16で覆われている。
本実施形態の冷蔵庫1の第一切替室5および第二切替室6では、冷蔵温度(平均的に4℃程度に維持)と、冷凍温度(平均的に-18℃程度に維持)の何れかを選択することができる。具体的には、第一切替室5と第二切替室6がともに冷凍温度に設定される「FF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷蔵温度と冷凍温度に設定される「RF」モード、第一切替室5と第二切替室6がそれぞれ冷凍温度と冷蔵温度に設定される「FR」モード、第一切替室5と第二切替室6がともに冷蔵温度に設定される「RR」モードの中から選択することができる。
図2は、図1のII-II線断面図である。
図2に示すように、冷蔵庫1は、鋼板製の外箱10aと合成樹脂製(本実施形態ではABS樹脂)の内箱10bとの間に発泡断熱材93(本実施形態ではポリウレタンフォーム)を充填して形成される断熱箱体10により、庫外と庫内が隔てられて構成されている。断熱箱体10には発泡断熱材に加えて、発泡断熱材より熱伝導率が低い(断熱性能が高い)真空断熱材を外箱10aと内箱10bとの間に複数実装することで、内容積の低下を抑えて断熱性能を高めている。本実施形態の冷蔵庫1は、断熱箱体10の背面に真空断熱材25a、下面(底面)に真空断熱材25b、左側面に真空断熱材、右側面に真空断熱材を実装して、貯蔵室より温度が高い庫外からの熱の侵入を抑えて冷蔵庫1の断熱性能を高めている。同様に、本実施形態の冷蔵庫1は、第一切替室扉5aに真空断熱材25e、第二切替室扉6aに真空断熱材25fを実装することで、冷蔵庫1の断熱性能を高めている。
冷蔵室扉2a,2bは、庫内側に複数の扉ポケット33a,33b,33cを備えている。また、冷蔵室2内は、棚34a,34b,34c,34dによって複数の貯蔵スペースに区画されている。製氷室扉3a、冷凍室扉4a、第一切替室扉5aおよび第二切替室扉6aは、それぞれ一体に引き出される製氷室容器3b、冷凍室容器4b、第一切替室容器5b、第二切替室容器6bを備えている。
冷蔵室2の背部には、第一蒸発器14aが実装された第一蒸発器室8aを備えている。また、第一切替室5および第二切替室6の略背部には、第二蒸発器14b(冷却器)が実装された第二蒸発器室8b(冷却器室)を備えている。また、第一切替室5および第二切替室6と、第二蒸発器室8b、後述する第二ファン吐出風路12との間は、断熱仕切壁27によって隔てられている。
なお、断熱仕切壁27は、断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30とは別体であり、図示しないシール部材(一例として軟質ウレタンフォーム)を介して断熱箱体10、断熱仕切壁29及び断熱仕切壁30と接触するように固定し、着脱可能としている。このように、断熱仕切壁27を別体で形成し着脱可能とすることで、第二蒸発器室8bに収納される第二蒸発器14bや後述する第二ファン9b、第一切替室第一フラッパ411、第一切替室第二フラッパ412(図4参照)、第二切替室第一フラッパ421(図4参照)、第二切替室第二フラッパ422(図4参照)といった断熱仕切壁27により覆われる部品に不具合が生じた場合に、断熱仕切壁27を外して容易にメンテナンスが行えるようになる。
また、断熱仕切壁27,28の内部には、真空断熱材は実装せずに主たる断熱部材として発泡断熱材であるポリスチレンフォーム(発泡スチロール)を実装している。一方、断熱仕切壁29,30の内部には発泡断熱材であるポリスチレンフォームとともに、それぞれ真空断熱材25g,25hを実装することで断熱性能を高めている。真空断熱材25g,25hは、発泡断熱材より熱伝導率が低い(断熱性能が高い)ので、断熱仕切壁29,30の主たる断熱部材は真空断熱材となる。なお、断熱仕切壁27,28,29,30の内部に用いる発泡断熱材としては、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームを用いても良い。
冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6の庫内背面側には、それぞれ冷蔵室温度センサ41(図4参照)、冷凍室温度センサ42(図4参照)、第一切替室温度センサ43a,43b(図4参照)、第二切替室温度センサ44a,44b(図4参照)が設けられている。第一蒸発器14aの上部には第一蒸発器温度センサ40aが設けられている。第二蒸発器14bの上部には第二蒸発器温度センサ40bが設けられている。これらのセンサにより、冷蔵室2、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6、第一蒸発器室8a、第一蒸発器14a、第二蒸発器室8b、および、第二蒸発器14bの温度を検知している。また、冷蔵庫1の天井部の扉ヒンジカバー16の内部には、外気温度センサ37と外気湿度センサ38が設けられ、外気(庫外空気)の温度と湿度を検知している。その他にも、扉センサ(図示せず)を設けることで、扉2a,2b,3a,4a,5a,6aの開閉状態をそれぞれ検知している。
第二蒸発器14bについては、圧縮機24が停止した状態で、第二蒸発器14bの下部に備えられた加熱手段である除霜ヒータ21に通電することで除霜する。除霜ヒータ21(ヒータ)は、例えば50W~200Wの電気ヒータを採用すれば良く、本実施形態では150Wのラジアントヒータとしている。第二蒸発器14bの除霜時に発生した除霜水は第二蒸発器室8bの下部の樋23bから第二排水管23cを介して圧縮機24の上部に設けた第二蒸発皿32(図2参照)に排出され、圧縮機24からの放熱や、機械室39に設けられたファン(不図示)による通風等の作用により蒸発する。
また、冷蔵室2の最下段には、室内温度が0℃に保たれるチルド室36が設けられている。このチルド室36の上部には、チルド室36の上方全体を覆うように棚34dが設けられている。この棚34dは、内箱10bや冷蔵室ダクト等にねじ固定され、ユーザが取り外すことができないようになっている。
次に、図3ないし図6および適宜図2を参照しながら庫内の風路構成について説明する。図3は、庫内背面内部の冷気の流れを示す正面図である。なお、図3は、図1の扉、容器を外した状態の正面図である。
図3に示すように、第一蒸発器14aの上方には第一ファン9aが設けられている。第一ファン9aによって送り出される冷却空気は、冷蔵室風路110、冷蔵室吐出口110aを介して冷蔵室2に送風され、冷蔵室2内を冷却する。ここで、第一ファン9aは、例えば、遠心ファンであるターボファン(後向きファン)によって構成され、回転速度を高速(1600min-1)と低速(1000min-1)に制御可能となっている。冷蔵室2に送風された空気は、冷蔵室戻り口110b(図2参照)および冷蔵室戻り口110cから第一蒸発器室8aへと戻り、再び第一蒸発器14aと熱交換する。
冷蔵室2の冷蔵室吐出口110aは、冷蔵室2の上部に設けられている。本実施形態では最上段の棚34aと二段目の棚34bの上方に空気が吐出するようになっている。また、冷蔵室戻り口110cは、冷蔵室2の棚34cと棚34dの間に形成される空間の背部に設けられている。冷蔵室戻り口110b(図2参照)は、冷蔵室2の棚34dと断熱仕切壁28の間に形成される空間の略背面に設けられている。
製氷室3の背面には、製氷室吐出口120aが設けられている。この製氷室吐出口120aは、製氷室3の上部に設けられている。冷凍室4の背面には、冷凍室吐出口120bが設けられている。この冷凍室吐出口120bは、冷凍室4の上部に設けられている。製氷室吐出口120aおよび冷凍室吐出口120bは、冷凍室風路130(冷凍室ダクト)と連通している。第二ファン9bから送り出された冷気は、破線矢印で示すように、冷凍室風路130を通り、分岐して、実線矢印で示すように、製氷室吐出口120aと冷凍室吐出口120bから吐出される。
本実施形態の冷蔵庫1は、第一切替室5および第二切替室6への送風遮断手段として、第一切替室第一フラッパ411、第一切替室第二フラッパ412、第二切替室第一フラッパ421、第二切替室第二フラッパ422を備えている。第一切替室第一フラッパ411および第一切替室第二フラッパ412は、第一切替室5の背部の仕切に実装されている。第二切替室第一フラッパ421および第二切替室第二フラッパ422は、第二切替室6の略背部に実装されている。ここで、第一切替室第一フラッパ411の開口面積は、第一切替室第二フラッパ412の開口面積よりも大きく形成されている。第二切替室第一フラッパ421の開口面積は、第二切替室第二フラッパ422の開口面積よりも大きく形成されている。
第二蒸発器14bは、第一切替室5、第二切替室6および断熱仕切壁30の略背部の第二蒸発器室8b内に設けられている。第二蒸発器14bの上方には第二ファン9bが設けられている。第二ファン9bは、遠心ファンであるターボファン(後向きファン)であり、回転速度は高速(1800min-1)と低速(1200min-1)に制御可能となっている。製氷室3および冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口120cから冷凍室戻り風路120dを介して、第二蒸発器室8b(第二蒸発器14bの下方)に戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第一切替室5の背面下部には、第一切替室戻り口111cが形成されている。第一切替室5を冷却した後の冷気は、第一切替室戻り口111cから排出され、冷凍室戻り風路120dを介して、第二蒸発器室8b(第二蒸発器14bの下方)に戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
図4は、庫内の冷気の流れを示す正面図である。なお、図4は、図1の扉および容器を外した状態の正面図である。
図4に示すように、断熱仕切壁27には、第一切替室5内に冷気を吐出させる第一切替室第一吐出口111a,111aが設けられている。第一切替室第一吐出口111aは、幅方向(左右方向)に細長く形成され、幅方向中央よりも左側(第一切替室戻り口111cとは左右方向の反対側)に位置している。また、第一切替室第一吐出口111aは、庫内高さ方向の中央よりも上側に位置している。
また、断熱仕切壁27には、第一切替室5内に冷気を吐出させる第一切替室第二吐出口111bが形成されている。この第一切替室第二吐出口111bは、断熱仕切壁27の左側の側面に形成されている。これにより、第一切替室第二吐出口111bから吐出された冷気は、内箱10bの内壁面(左側面)に向けて吐出される。また、断熱仕切壁27には、第一切替室第二吐出口111bと第一切替室第二フラッパ412とを連通させる第一切替室連通路111dが形成されている。
また、断熱仕切壁27には、第二切替室6内に冷気を吐出させる第二切替室第一吐出口112a,112aが設けられている。第二切替室第一吐出口112aは、幅方向(左右方区)に細長く形成され、幅方向中央よりも左側(第二切替室戻り口112cとは左右方向の反対側)に位置している。また、第二切替室第一吐出口112aは、庫内高さ方向の中央よりも上側に位置している。
また、断熱仕切壁27には、第二切替室6内に冷気を吐出させる第二切替室第二吐出口112bが形成されている。この第二切替室第二吐出口112bは、断熱仕切壁27の左側の側面に形成されている。これにより、第二切替室第二吐出口112bから吐出された冷気は、内箱10bの内壁面(左側面)に向けて吐出される。また、断熱仕切壁27には、第二切替室第二吐出口112bと第二切替室第二フラッパ422とを連通させる第二切替室連通路112dが形成されている。
図5は、図4のV-V断面の要部拡大図である。
図5に示すように、第二切替室6は、背面上部に第二切替室戻り口112cを備えている。第二切替室戻り口112cから流入した空気は、第二切替室戻り口112cから下方に延伸する第二切替室戻り風路112eを流れ、第二切替室戻り口112cより高さ位置が低く形成された第二蒸発器室流入口112fに至り、第二蒸発器室8bに対して下方から流れ込む。
このように第二切替室戻り口112cから第二蒸発器室流入口112fに至る間に、下方に延伸する風路(第二切替室戻り風路112e)を備えることで、第二ファン9bが停止した際に、第二蒸発器室8b内の低温空気が第二切替室6内に逆流し難くなる。これにより、特に第二切替室6が冷蔵温度に設定された際に、第二切替室6が冷え過ぎるといった事態が生じにくい冷蔵庫1とすることができる。なお、第二切替室戻り口112cから第二蒸発器室流入口112fに至る間に、下方に延伸する風路があれば良いので、第二切替室戻り口112cから流入した空気が、上方に向けて流れた後に、下方に延伸する風路を流れるように構成することもできる。このような逆流抑制構造は、貯蔵室の冷え過ぎを抑制する趣旨であるから、切替室に限らず冷蔵室又はチルド室若しくは弱冷凍室(すなわち、概ね-10℃又は-7℃を下限の保存温度とする室)と蒸発器室との間に配されることができる。
図6は、冷却空気の風路構造の概略図である。
図6に示すように、冷凍室ダンパ(冷凍室フラッパ)431が開放状態に制御されている場合は、第二蒸発器14bと熱交換して低温になった空気は、第二ファン9bを駆動することにより、第二ファン吐出風路12、冷凍室風路130、製氷室吐出口120aおよび冷凍室吐出口120bを介して製氷室3および冷凍室4に送られ、製氷室3の製氷皿内の水、製氷室容器3b内の氷、冷凍室4内の冷凍室容器4bに収納された食品等を冷却する。製氷室3および冷凍室4を冷却した空気は、冷凍室戻り口120cから冷凍室戻り風路120dを介して、第二蒸発器室8b(図2参照)に戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第一切替室第一フラッパ411が開放状態に制御されている場合は、第二ファン9bによって昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第一切替室風路140、第一切替室第一フラッパ411、吐出口形成部材111(図4参照)に備えられた第一切替室第一吐出口111a,111aを介して、第一切替室5に設けた第一切替室容器5b内に直接送られて、第一切替室容器5b内の食品を直接冷却する。第一切替室5を冷却した空気は、第一切替室戻り口111c、冷凍室戻り風路120dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。なお、直接冷却とは、収納された食品に冷気を直接に供給して冷却する方式である。
第一切替室第二フラッパ412が開放状態に制御されている場合は、第二ファン9bによって昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第一切替室風路140、第一切替室第二フラッパ412、吐出口形成部材111(図4参照)に備えられた第一切替室第二吐出口111bから、第一切替室5の側壁に向けて吐出し、第一切替室容器5b内の食品を間接的に冷却する。第一切替室5を冷却した空気は、第一切替室戻り口111c、冷凍室戻り風路120dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。なお、間接冷却とは、食品の乾燥を抑えるために、収納された食品に冷気が直接に当たらないように供給して冷却する方式である。
第二切替室第一フラッパ421が開放状態に制御されている場合は、第二ファン9bによって昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室風路150、第二切替室第一フラッパ421、吐出口形成部材112(図4参照)に備えられた第二切替室第一吐出口112a,112aを介して、第二切替室6に設けた第二切替室容器6b内に直接送られて、第二切替室容器6b内の食品を冷却する。第二切替室6を冷却した空気は、第二切替室戻り口112c、第二切替室戻り風路112dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
第二切替室第二フラッパ422が開放状態に制御されている場合は、第二ファン9bによって昇圧された空気は、第二ファン吐出風路12、第二切替室風路150、第二切替室第二フラッパ422、吐出口形成部材112(図4参照)に備えられた第二切替室第二吐出口112bから、第二切替室6の側壁に向けて吐出し、第二切替室容器6b内の食品を間接的に冷却する。第二切替室6を冷却した空気は、第二切替室戻り口112c、第二切替室戻り風路112dを流れて、第二蒸発器室8bに戻り、再び第二蒸発器14bと熱交換する。
なお、低温の蒸発器が収納される蒸発器室(本実施形態では第二蒸発器室8b)、蒸発器と熱交換して低温になった空気が流れる風路(本実施形態では、第二ファン吐出風路12、冷凍室風路130、第一切替室風路140、第二切替室風路150)、冷凍温度に維持される貯蔵室(本実施形態では製氷室3、冷凍室4、冷凍温度に設定された場合の第一切替室5、冷凍温度に設定された場合の第二切替室6)、冷凍温度に維持される貯蔵室からの戻り風路(本実施形態では、冷凍室戻り風路120d、冷凍温度に設定された場合の第二切替室戻り風路112d)は、冷凍温度になる空間であるため、以下では冷凍温度空間と呼ぶ。また、本実施形態では、第一切替室風路140と第二切替室風路150は、後記するダンパダクト部材300によって構成されている。
図7は、本実施形態に係る冷蔵庫の冷凍サイクルを示す構成図である。
図7に示すように、本実施形態の冷蔵庫1は、圧縮機24、冷媒の放熱を行う放熱手段としての庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b(外箱10aと内箱10bの間の領域の外箱10aの内面に配置)、断熱仕切壁28,29,30(図2参照)の前面部および断熱箱体10(図2参照)の前縁部近傍への結露を抑制する結露防止配管50c(断熱仕切壁28,29,30の内面に配置)、冷媒を減圧する減圧手段である第一キャピラリチューブ53aと第二キャピラリチューブ53b、冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する第一蒸発器14aと第二蒸発器14bを備えている。また、冷蔵庫1は、冷凍サイクル中の水分を除去するドライヤ51と、液冷媒の圧縮機24への流入を抑制する気液分離器54a、54b、冷媒流路を制御する冷媒制御弁52、逆止弁56、冷媒流を接続する冷媒合流部55を備えている。これらを冷媒配管で接続して冷凍サイクルを構成している。冷媒は可燃性冷媒のイソブタンである。
冷媒制御弁52は、流出口52a,52bを備えている。また、冷媒制御弁52は、流出口52aを開放し、流出口52bを閉鎖した「状態1」、流出口52aを閉鎖し、流出口52bを開放した「状態2」、流出口52aと流出口52bの何れも閉鎖した「状態3」、流出口52aと流出口52bの何れも開放した「状態4」の4つの状態に切換え可能な弁である。
次に本実施形態の冷蔵庫1の冷媒の流れについて説明する。圧縮機24から吐出した高温高圧冷媒は、庫外放熱器50a、壁面放熱配管50b、結露防止配管50c、ドライヤ51の順に流れ、冷媒制御弁52に至る。冷媒制御弁52の流出口52aは、冷媒配管を介して第一キャピラリチューブ53aと接続されている。冷媒制御弁52の流出口52bは、冷媒配管を介して第二キャピラリチューブ53bと接続されている。
第一蒸発器14aにより冷蔵室2を冷却する場合は、冷媒制御弁52を、流出口52a側に冷媒が流れる「状態1」に制御する。流出口52aから流出した冷媒は、第一キャピラリチューブ53aにより減圧されて低温低圧となり、第一蒸発器14aに入り庫内空気と熱交換した後に、気液分離器54a、第一キャピラリチューブ53a内の冷媒と熱交換する熱交換部57a、冷媒合流部55を流れ、圧縮機24に戻る。
第二蒸発器14bにより製氷室3、冷凍室4、第一切替室5、第二切替室6を冷却する場合は、冷媒制御弁52を、流出口52b側に冷媒が流れる「状態2」に制御する。流出口52bから流出した冷媒は、第二キャピラリチューブ53bにより減圧されて低温低圧となり、第二蒸発器14bに入り庫内空気と熱交換した後に、気液分離器54b、第二キャピラリチューブ53b内の冷媒と熱交換する熱交換部57b、逆止弁56、冷媒合流部55の順に流れ、圧縮機24に戻る。逆止弁56は冷媒合流部55から第二蒸発器14b側に向かう流れを阻止するように配設している。
図8は、切替室背面側に設けられる断熱仕切壁を示す分解斜視図である。なお、図8では、冷却器である第二蒸発器14bを含む部材も併せて図示している。
図8に示すように、断熱仕切ダクトプレート400(風路構成部材)は、断熱仕切壁27と、ダンパダクト部材300と、を備えて構成されている。
断熱仕切壁27は、前パネル210、後パネル220、発泡断熱材230を備えて構成されている。また、断熱仕切壁27は、第一切替室5(図2参照)と第二切替室6(図2参照)との後方に、跨るように配置される。なお、発泡断熱材230は、ポリスチレンフォーム(発泡スチロール)によって構成されたものであり、予め発泡成形され、前パネル210と後パネル220との間に配設されている。なお、発泡断熱材230に代えて真空断熱材を設けてもよい。発泡断熱材230は、前パネル210、後パネル220の開口212,214,222,223に対向する(前後方向で重なる)領域に開いた開口(不図示)を備えている。
前パネル210は、合成樹脂製であって、正面視において略矩形状の板部211を有している。また、前パネル210には、上部に開口面積が大きく形成された矩形状の開口212が形成されている。また、前パネル210には、開口212の近傍に、内箱10b(図4参照)の内壁面に向けて開口212よりも開口面積の小さい開口213(第一切替室第二吐出口111b、図4参照)が形成されている。この開口213は、板部211に突出して形成された突出部211aの側面に形成され、第一切替室5の左側面に向けて冷気が吐出される。
また、前パネル210は、板部211の下部に開口面積が大きく形成された矩形状の開口214が形成されている。また、前パネル210には、開口214の近傍に、内箱10b(図4参照)の内壁面に向けて開口214よりも開口面積の小さい開口215(第二切替室第二吐出口112b、図4参照)が形成されている。この開口215は、板部211に突出して形成された突出部211bの側面に形成され、第二切替室6の左側面に向けて冷気が吐出される。
また、板部211には、下部の開口214,215の上方かつ上部の開口212,213の下方に、断熱仕切壁30が嵌合して取り付けられる溝部216が形成されている。この溝部216は、板部211の左右方向の一端から他端にかけて全体に形成されている。このように、断熱仕切壁27は、上下に並んだ第一切替室5と第二切替室6とに跨るように切替室の背面に配置されている。
また、板部211には、溝部216の上方に、第一切替室戻り口111cが形成されている。また、板部211には、溝部216の下方に、第二切替室戻り口112cが形成されている。
また、板部211の前面には、開口212を覆うように吐出口形成部材111(図4参照)が取り付けられている。また、板部211の前面には、開口214を覆うように吐出形成部材112(図4参照)が取り付けられている。
後パネル220は、合成樹脂製であって、正面視において略矩形状の板部221を有している。また、後パネル220には、前パネル210の開口212と対向する位置に開口222が形成されている。また、後パネル220には、前パネル210の開口214に対向する位置に開口223が形成されている。また、後パネル220には、第一切替室戻り口111cと連通する戻り連通路224が形成されている。また、後パネル220には、第2切替室戻り口112cと連通する戻り連通路225が形成されている。
また、後パネル220には、前側から見て右端に、上下方向に延びる冷凍室戻り風路120dが形成されている。この冷凍室戻り風路120dは、戻り連通路224と連通している。また、後パネル220の上部には、冷凍室戻り風路120dと連通する冷凍室戻り口120cが形成されている。
ダンパダクト部材300は、第二蒸発器14bによって生成された冷気を第二ファン9b(図3参照)によって取り込み、前パネル210の開口212,213から第一切替室5に冷気を吐出させ、また開口214,215から第二切替室6に冷気を吐出させるように構成されている。また、ダンパダクト部材300は、上部から製氷室3および冷凍室4に冷気を導入するように構成されている。また、ダンパダクト部材300は、前面側に配置される前ケース310と、後面側(背面側)に配置される後ケース320と、が組み合わせて構成されている。
また、ダンパダクト部材300は、前面上部の、開口212に対応する位置に矩形の開口312a(吹出口)と、開口213に対応する位置に矩形の開口312b(吹出口)と、が形成されている。開口312aの開口面積は、開口312bの開口面積よりも大きく形成されている。
また、ダンパダクト部材300は、前面下部の、開口214に対応する位置に矩形の開口312a(吹出口)と、開口215に対応する位置に矩形の開口312b(吹出口)と、が形成されている。開口312aの開口面積は、開口312bの開口面積よりも大きく形成されている。
また、前パネル210には、第一切替室5に対応する側に面ヒータH10が設けられている。また、後パネル220には、冷凍室戻り風路120dの内壁に面ヒータH11が設けられている。これにより、冷凍室戻り風路120d内に霜が付着するのを防止することができる。また、ダンパダクト部材300には、第二ファン9bに対向する内壁に、面ヒータH12が設けられている。これにより、ダンパダクト部材300に霜や水が溜るのを防止でき、さらに第二ファン9bに霜が付着するのを防止できる。
図9は、庫内に配置された仕切部材を示す斜視図である。なお、図9は、冷蔵庫1から冷凍室扉4aおよび冷凍室容器4bを取り外した状態を示している。
図9に示すように、仕切部材500は、貯蔵室である製氷室3と冷凍室4とを左右に仕切るものであり、前後方向に延在して形成されている。なお、仕切部材500は、製氷室3と冷凍室4とを完全に仕切るものではなく、一部において連通している。また、仕切部材500の手前には、上下方向に延びる縦仕切31が設けられている。また、仕切部材500は、縦仕切31の前後方向の投影上の空間に設けられている。
図10は、仕切部材の内部を示す縦断面図である。なお、図10では、仕切部材500から後記するカバー部材60を取り外した状態を示している。
図10に示すように、仕切部材500は、第1配線束w1と第2配線束w2とを結線する結線部75を備えている。また、仕切部材500は、前端が縦仕切31とねじ固定によって接続されている。また、仕切部材500の後方には、冷凍室風路130を構成する冷凍室ダクトが配置されている。また、仕切部材500の上部には、断熱仕切壁28(断熱仕切部材)が配置されている。仕切部材500の下部には、断熱仕切壁29が配置されている。
第1配線束w1は、断熱仕切ダクトプレート400に設けられたダンパ部材(第一切替室第一フラッパ411、第一切替室第二フラッパ412、第二切替室第一フラッパ421、第二切替室第二フラッパ422)、第二ファン9b(図5参照)、ヒータH12(図8参照)などから延びる電線を束ねたものである。第2配線束w2は、前記したダンパ部材、第二ファン9b、ヒータなどの電気部品に電力を供給する電線を束ねたものである。また、第1配線束w1は、冷凍室4の後方に位置する断熱仕切ダクトプレート400から延びている。第2配線束w2は、冷凍室4の上方に位置する断熱仕切壁28から延びている。
図11は、仕切部材の外観斜視図である。
図11に示すように、仕切部材500は、冷凍室4(図10参照)側の側面61に、冷凍室容器4b(図2参照)が保持された冷凍室扉4a(図2参照)をスライド自在に支持するレール部材62,63が形成されている。レール部材62は、側面61に前後方向に延在する2本のレール62a,62bが上下に離間して配置されることで構成されている。レール部材63は、上段冷凍容器(不図示)をスライド自在に支持するものである。なお、冷凍室容器4bは、2段に限定されるものではなく、1段であってもよい。
また、仕切部材500は、該仕切部材500を縦仕切31(図10参照)に固定するための固定部71が形成されている。この固定部71は、上下方向に細長い薄板状に形成され、ねじ固定用のねじ挿通孔71aが形成されている。
また、仕切部材500は、冷凍室4(図3参照)と製氷室3(図3参照)とを連通させる連通部64が形成されている。この連通部64は、レール部材62とレール部材63との間に配置されている。また、連通部64は、後記する第2配線収容部73(図13参照)よりも後方に位置している。
図12は、仕切部材の側面図である。
図12に示すように、レール部材62は、連通部64の下側に位置している。また、レール部材62のレール62aは、仕切部材500の下端に位置している。また、レール部材63は、連通部64の上側に位置している。
連通部64は、レール部材63の下側に、側面視において略V字状に形成された板材を前後に間隔を置いて複数配置することで構成されている。また、連通部64は、前後方向の後寄りに形成されている。
図13は、仕切部材を手前側かつカバー部材側から見た分解斜視図である。
図13に示すように、仕切部材500は、ケース本体70と、カバー部材60とが組み合わされて構成されている。ケース本体70は、カバー部材60側に、第1配線束w1(図10参照)および第2配線束w2(図10参照)が収容される開口70aが形成されている。第1配線束w1および第2配線束w2は、複数コード(電線)が複数束ねられたものである。
カバー部材60は、ケース本体70の開口70aを塞ぐように板状に形成されている。また、カバー部材60にはレール部材62,63および連通部64が形成されている。
ケース本体70は、後記する第1配線束w1が導入して収納される第1配線収納部72と、後記する第2配線束w2が導入される第2配線収納部73と、第1配線束w1と第2配線束w2とが合流する配線合流部74と、第1配線束w1と第2配線束w2とを結線する結線部75と、を備えている。結線部75は、第1配線束w1の各電線と、第2配線束w2の各電線とを、電気的に接続する空間である。
第1配線収納部72は、ケース本体70の後端から前方に向けて延びるように形成されている。また、第1配線収納部72は、第一切替室5と、製氷室3および冷凍室4とを仕切る断熱仕切壁29(図2参照)寄りを通るように構成されている。
第2配線収納部73は、ケース本体70の鉛直方向に延びるように形成されている。また、第2配線収納部73は、第1配線収納部72より前方に位置し、第1配線収納部72に対して直交するようにして配置されている。
配線合流部74は、第1配線束w1と第2配線束w2とをまとめて結線部75に向けて案内する案内路74aを有している。また、配線合流部74は、結線部75との間を仕切る仕切面部74b(上面)を有している。この仕切面部74aの前端には、結線部75の空間と連通させる切欠部74cが形成されている。
結線部75は、第1配線束w1と第2配線束w2との結線した部分を含めた周辺の電線を収納する空間であり、配線合流部74の上方に位置している。また、結線部75は、仕切部材500の庫内奥側ではなく手前側に設けられている。換言すると、結線部75は、第2配線収納部73の前方かつ配線合流部74の上方に位置している。
また、ケース本体70には、カバー部材60がねじ固定されるためのねじ固定穴71b,71cが形成されている。ねじ固定穴71bは、ケース本体70の上部に位置し、ねじ固定穴71cは、ケース本体70の下部に位置している。また、ねじ固定穴71b,71cは、結線部75を挟んで対角線上に設けられている。また、ねじ固定穴71b,71cは結線部75の外に設けることで、結線部75内に水や外気が浸入することを抑制している。
カバー部材60は、図示しない軟質ウレタン系のシール材を介して第1配線収納部72、第2配線収納部73、配線合流部74および結線部75の開口70aを密閉するように、ケース本体70に取り付けられる。
また、カバー部材60は、第2配線収納部73の上端入口を塞がないように上面視U字状の切欠き61cが形成されている。また、カバー部材60には、ねじ固定穴71b,71cに対応する位置にねじ81a,81bが挿通されるねじ挿通孔61a,61bが形成されている。
また、カバー部材60の前端部には、ケース本体70と係止する係止爪61d,61dが形成されている。係止爪61dは、カバー部材60の前端面に形成され、上下に離間して配置されている。
図14は、仕切部材を奥側かつカバー部材側から見た分解斜視図である。
図14に示すように、第1配線収納部72には、第1配線束w1が導入される導入口72aが形成されている。また、第1配線収納部72には、上向きに突出する規制爪72bが形成されている。規制爪72bは、前後に離間して配置され、カバー部材60寄りに形成されている。
結線部75は、上面側に位置する上面部75aと、後面側に位置する後面部75bと、前面側に位置する前面部75cと、左側面側に位置する左側面部75dと、を有して、第1配線束w1と第2配線束w2とが収納される収納部75sが構成されている。
また、結線部75は、上面部75aから下方に向けて延び、第1配線束w1と第2配線束w2の一部が飛び出すのを抑える飛び出し防止リブ75eが形成されている。この飛び出し防止リブ75eは、前面部75cから後面部75bにかけて前後方向に細長板状に形成されている。また、飛び出し防止リブ75eは、前端縁が前面部75cに接続され、後端縁が後面部75bに接続されている。つまり、飛び出し防止リブ75eは、収納部75sの全体ではなく、収納部75sの一部である上部にのみ形成されている。この飛び出し防止リブ75eを収納部75sの上部にのみ形成するとともに、カバー部材60の内側と平行に近接させたことで、上から浸入した水は、カバー部材60の内側に沿って垂下し、第1配線束w1及び第2配線束w2と接触し難くなる。また、切り欠き部74cから排水し、仕切面部74bに水が溜まることを抑制する。
また、収納部75s(飛び出し防止リブ75e)よりもカバー部材60側には、係止孔76a,76aが上下方向に離間して形成されている。この係止孔76aは、カバー部材60の係止爪61dが係止される。
図15は、図12のXV-XV線断面図である。
図15に示すように、結線部75は、上面部75a、後面部75b(図14参照)、前面部75c、左側面部75d、仕切面部74bおよびカバー部材60によって囲まれることで構成されている。また、カバー部材60の内側に飛び出し防止リブ75eが位置している。
結線部75は、飛び出し防止リブ75e、上面部75a、後面部75b(図14参照)、前面部75cおよび左側面部75dによって、凹面が鉛直方向下向きとなるような袋形状部75tを有している。
また、収納部75sの側方には、レール部材63が位置している。また、配線合流部74の側方には、レール部材62が位置している。
図16は、仕切部材を奥側かつケース本体側から見た分解斜視図である。
図16に示すように、カバー部材60には、連通部64の下端に、ケース本体70に掛止される引掛部66aが形成されている。引掛部66aは、前後方向に間隔を空けて複数個所(本実施形態では3ケ所)に形成されている。また、引掛部66aは、ケース本体70側に飛び出して形成されている。
また、カバー部材60の下端部には、係止部材65aが形成されている。この係止部材65aは、前後方向に間隔を空けて複数個所(本実施形態では2ヶ所)に形成されている。
ケース本体70には、前記引掛部66aが引っ掛けられる突起部76aが形成されている。この突起部76aは、引掛部66aに対応する複数位置に形成されている。また、突起部76aは、第1配線収納部72(図14参照)の上方において上向きに突出して形成されている。
また、ケース本体70には、製氷室3(図2参照)側の製氷室容器3b(図2参照)が保持された製氷室扉3a(図2参照)をスライド自在に支持するレール部材78が形成されている。このレール部材78は、レール部材62と左右対称に形成されている。
図17は、ケース本体の第1配線束と第2配線束の配置図である。
図17に示すように、第1配線収納部72は、導入口72a側に、前方に向かうにつれて上昇する上り傾斜面72d(上り傾斜部)が形成されている。これにより、導入口72aから仕切部材500内部への水の浸入を抑えることができる。
また、第1配線収納部72は、上り傾斜面72dに連続して形成され、前方に向けて水平に延びる水平面72eが形成されている。この水平面72eは、第2配線収納部73の手前まで形成されている。この水平面72eには、前記した規制爪72bが形成されている。第1配線束w1は、規制爪72bの紙面に直交する方向の奥側を通るように構成されている。
配線合流部74には、水平面72eに連続して形成され、前方に向かうにつれて下降する下り傾斜面74s(下り傾斜部)が形成されている。この下り傾斜面74sは、第2配線収納部73の鉛直方向下方の投影上に位置している。また、下り傾斜面74sの傾斜角度は、上り傾斜面72dの傾斜角度よりも小さく設定されている。
また、第2配線収納部73の下部には、第1配線束w1を引っ掛けるリング状のフック部材76aが設けられている。また、第2配線収納部73の下部には、第2配線束w2を引っ掛けるリング状のフック部材76bが設けられている。また、配線合流部74には、第1配線束w1および第2配線束w2を併せて引っ掛けるリング状のフック部材76cが設けられている。フック部材76a,76b,76cは、近傍に形成されたフック引掛部材77a,77b,77cに引っ掛けられている。
また、結線部75では、第1配線束w1と第2配線束w2とが、樹脂製のコネクタ部材90を介して電気的に接続される。このように、コネクタ部材90を用いて結線することで、結線作業が容易になる。なお、図17では簡略化して図示しているが、実際には、第1配線束w1と第2配線束w2とは複数のコネクタ部材を介して接続されている。つまり、結線部75では、第1配線束w1の複数のコネクタと、第2配線束w2の複数のコネクタとが、接続されることになる。この場合、コネクタ部材90のすべてのコネクタを袋形状部75t(図15参照)に収めようとすると、図17の紙面垂直方向にコネクタの厚みが大きくなり過ぎて、コネクタ部材90のすべてを袋形状部75tに収納することは困難になる。そこで、本実施形態では、複数のコネクタ部材90をばらけさせて、複数のコネクタ部材90のうちの一部を袋形状部75t内に位置するように収納し、残り(残部)のコネクタ部材90を袋形状部75tから外れた位置(飛び出し防止リブ75eが形成されていない領域)の収納部75sに収納する。このように、結線部75では、複数のコネクタ部材90の一部が袋形状部75t(図15参照)に収納され、残りのコネクタ部材90が袋形状部75tとは異なる収納部75s1(図15参照、非袋形状部)に収納されている。また、図17に示す側面視において、非袋形状部(収納部75s1)が袋形状部75tよりも収納容積が大きく構成されている。これにより、複数のコネクタからなるコネクタ部材90を結線部75に収納できるようになる。また、収納部75s1が袋形状部75tよりも大きく形成されているので、結線部75に、結線した複数のコネクタ部材90を収納し易くなる。
図18は、仕切部材の縦断面図である。
図18に示すように、第1配線収納部72は、上り傾斜面72dおよび水平面72eの裏面(下側)に、肉抜き(肉盗み)形状部72tを有している。また、配線合流部74にも、下り傾斜面74sの裏面(下側)に肉抜き(肉盗み)形状部72uを有している。
これにより、金型成形時のヒケを防止できるとともに、仕切部材500の曲げ応力に対する強度アップが図られている。また、肉抜き形状部72tの凹形状を仕切部材500の上側ではなく、下側に設けることで、凹形状の部分に水が溜まるのを防止できる。
図19は、図18のA部拡大図である。
図19に示すように、配線合流部74は、仕切面部74bの下面にリブ74d(第2リブ)が下向きに突出して形成されている。また、配線合流部74は、下り傾斜面74sの前方に位置する底面74hに、リブ74f(第1リブ)が形成されている。リブ74dは、リブ74fよりも前後方向の後側に位置している。
また、下り傾斜面74sの下端とリブ74fとの間には、鉛直方向に貫通して、水を排出する水抜孔74gが形成されている。この水抜孔74gは例えば複数個所に形成されている。この水抜孔74gは、リブ74dの真下に位置している。
これにより、仮に下り傾斜面74sから水が流れ落ちてきたとしても、リブ74fによって水の流れが堰き止められ、水抜孔74gから仕切部材500の外部に排出される。その結果、水が結線部75側に流れ込むのを抑えることができる。
また、水が第2配線収納部73の後面部75b(壁面)を伝って流れ落ちてきたとしても、リブ74dに当たって落下し、水抜孔74gから仕切部材500の外部に排出される。この場合、リブ74fがリブ74dの前方に位置しているので、リブ74dに当たって落下した水がリブ74fによって堰き止められるので、水が結線部75側に流れ込むのを抑えることができる。
図20は、図12のXX-XX線断面図である。
図20に示すように、第1配線束w1が通る第1配線収納部72には、規制爪72bが形成されている。この規制爪72bは、カバー部材60の内壁面から離れて配置されている。換言すると、カバー部材60の裏面と、規制爪72bとの間に隙間S1が形成されている。また、第1配線束w1の側方には、レール部材62が位置している。
また、仕切部材500のケース本体70には、レール部材62と同じ高さ位置にレール部材78が位置している。また、第1配線収納部72とレール部材78との間には、空間(空気層)72t1が形成されている。この空間72t1は、肉抜き形状部72tと連通している。
ところで、冷凍室4を開放すると、外気により庫内の壁全体が一時的に温まる。このとき、過度に冷却されている第1配線束のコード(銅線)が壁(カバー部材60の裏面)に接触すると、仕切部材500(製氷室3と冷凍室4との間の仕切)のレール部材62に結露が生じる。それによって、凍結が生じ、冷凍室扉4aの摺動性が悪化する。そこで、本実施形態では、規制爪72bを設けることで、第1配線束w1(コード)を冷凍室4の壁面から離して配置している。また、空間72t1を設けることで、第1配線束w1を製氷室3の壁面から離して配置している。その結果、レール部材62,78の結露および凍結を抑制することができる。
なお、カバー部材60の裏面に断熱性を有する弾性部材79(図16参照)を貼るようにしてもよい。また、カバー部材60の裏面と第1配線束w1との間に弾性部材79と同様のもの(図示せず)を設けてもよい。このような場合であっても、前記と同様な効果を得ることができる。
図21は、仕切部材の底面図である。
図21に示すように、仕切部材500には、ケース本体70の底面とカバー部材60の底面とを係止する係止部材65a,65aが設けられている。係止部材65aには、カバー部材60に形成されたつまみ60aを有する係止爪60bと、ケース本体70に形成され、係止爪60bに係止される被係止部(不図示)と、によって構成されている。このように、つまみ60aが仕切部材500の外部から視認できるようにすることで、ケース本体70とカバー部材60とが確実に係止されているか否かを外部から視認できる。また、つまみ60aを長く形成することで、カバー部材60を取り外す際の作業性を向上できる。
図22は、断熱仕切壁を斜め前方から見たときの斜視図である。図23は、断熱仕切壁を斜め後方から見たときの斜視図である。
図22に示すように、断熱仕切壁28は、略四角形状を呈し、製氷室3および冷凍室4側の面部を構成する下ケース28Aと、冷蔵室2側の面部を構成する上ケース28Bと、を組み合わせて構成されている。断熱仕切壁28は、下ケース28Aの面部と上ケース28Bの面部とによって、内部に空隙91(図24参照)が形成されている。また、断熱仕切壁28の後端上面には、樋23aが形成されている。
また、断熱仕切壁28の右側面の前端には、発泡断熱材(発泡ウレタン)が充填される充填孔81(第1孔)が形成されている。また、断熱仕切壁28の左側面の前端にも、同様な充填孔82(第2孔、図24参照)が形成されている。
なお、充填孔81は、下ケース28Aに上向きに凹状に形成された切欠と上ケース28Bに下向きに凹状に形成された切欠とが組み合わされて、四角形状の孔となるように構成されている。この充填孔81の方向(軸方向)は、左右方向である。また、充填孔82についても、充填孔81と同様に下ケース28Aと上ケース28Bとが組み合わされることで四角形状の孔が構成されている。また、充填孔82の方向(軸方向)は、充填孔81と同様に左右方向である。
図23に示すように、断熱仕切壁28の背面には、第3配線束w3(図26参照)が導入される導入口83が形成されている。この導入口83は、四角形状を呈し、左右方向の右寄り(図面では左側)に形成されている。なお、第3配線束w3は、第2配線束w2の一部であり、ヒータなどの高電圧系(高電圧を要する)のコードを有している。
また、断熱仕切壁28の背面には、第4配線束w4(図26参照)が導入される導入口84が形成されている。この導入口84は、四角形状を呈し、左右方向の左寄り(図面では右側)に形成されている。また、導入口84は、導入口83よりも開口面積が小さく形成されている。なお、第4配線束w4は、第2配線束w2の他の一部であり、コントロールパネルやセンサなどの信号系(低電圧を要する)のコードを有している。
図24は、断熱仕切壁の下ケースの内部を示す斜視図である。
図24に示すように、下ケース28Aは、左右方向(幅方向)の略中央部に、前後方向に延びる配線収納凹部86,87,88が形成されている。これら配線収納凹部86,87,88は、前後方向に向けて連続して略直線状に形成されている。
配線収納凹部86は、上面視において四角形状を呈し、第2配線束w2が通される通し孔85が形成されている。また、また、配線収納凹部86には、第2配線束w2が引っ掛けられる引掛部86aが形成されている。この引掛部86aは、L字状に形成され、第2配線束w2が外れ難くなっている。また、配線収納凹部86には、円柱状(棒状)の引掛部86bが複数(本実施形態では2ヶ所)形成されている。
配線収納凹部87は、配線収納凹部86の後端と連通し、前後方向に細長く形成されている。また、配線収納凹部87には、配線束(コード束)を抑える抑え部89aが形成されている。この抑え部89aは、前後方向に離間して複数個所(本実施形態では2ヶ所)に形成されている。
配線収納凹部88は、配線収納凹部87の後端と連通し、前後方向に細長く形成されている。また、配線収納凹部88には、配線束(コード束)を抑える抑え部89bが形成されている。この抑え部89bは、前後方向に離間して複数個所(本実施形態では2ヶ所)に形成されている。
各抑え部89a,89bは、下ケース28Aと一体に樹脂成形され、セルフヒンジ構造を有している。また、抑え部89a,89bは、先端部を配線収納凹部87,88の底面に係合させることで、第2配線束w2が配線収納凹部87,88の底面に押し付けられるようになっている。つまり、配線収納凹部87,88の底面に、第2配線束w2が這うようになっている(図26参照)。これにより、第2配線束w2は、上ケース28B内の天井面ではなく、下ケース28A内の底面に接触した状態になる。
このように、配線収納凹部86,87,88は、前後方向に延びるようにして形成されている。また、配線収納凹部86,87,88は、左右方向(幅方向)の略中央に位置している。換言すると、配線収納凹部86,87,88は、充填孔81からの距離と、充填孔82からの距離とが、ほぼ同じになる位置に形成されている。これにより、断熱仕切壁28に向けて充填孔81,82から発泡液が流動進入してきた場合、発泡液は断熱仕切壁28を充填する最終段階で第2配線束w2に達しやすい。第2配線束w2は後記の通りウレタン流動阻害の原因になり得るから、未充填領域の発生を抑制するに際して、第2配線束w2や配線収納凹部86,87,88をこの領域に設けることが好ましい。
なお、充填孔が例えば配線収納凹部86,87,88に対して一方側のみ、例えば充填孔81のみが設けられている場合、配線収納凹部86,87,88は、充填孔81が設けられている縁(図24中、矢印で示す「右」方向の縁)に対向する縁(図24中、矢印で示す「左」方向の縁)近傍に設けられることが好ましい。
図25は、断熱仕切壁を底側から見た斜視図である。
図25に示すように、断熱仕切壁28の底面には、第2配線束w2が通される通し孔85の縁から下方に延びる円筒部85aが形成されている。この円筒部85aは、前後方向中央よりも前寄りに位置し、仕切部材500の第2配線収納部73(図10参照)に対応する位置に形成されている。また、円筒部85aの前後には、下ケース28Aを補強する補強部85b,85cが形成されている。
図26は、断熱仕切壁内の第2配線束w2の配置を示す平面図である。なお、第2配線束w2については、1本の線を用いて簡略化して図示している。
図26に示すように、第2配線束w2は、下ケース28A内に引き出された後、一方の引掛部86bに掛けられ、そして他方の引掛部86bに掛けられ、さらに引掛部86aに掛けられる。このように、引掛部86a,86bによって第2配線束w2が略S字状に掛けられる。これにより、製造時に作業者が下ケース28Aの外側から引っ張られたり、または下ケース28Aの内側から引っ張られたとしても、第2配線束w2の位置が変動することがない。
また、引掛部86aに掛けられた第2配線束w2は、配線収納凹部87を配置され、そして、配線収納凹部88に配置される。また、配線収納凹部87に通された第2配線束w2は、抑え部89aによって上側から抑えられる。また、配線収納凹部88に通された第2配線束w2は、抑え部89bによって上側から抑えられる。その後、第2配線束w2は、パワー系電源用の第3配線束w3と、信号系電源用の第4配線束w4とに分配される。そして、第3配線束w3は、導入口83に通され、第4配線束w4は、導入口84に通される。
図27は、断熱仕切壁に発泡断熱材の充填領域の変化を示す模式図である。なお、図27の上段は、初期段階、中断は途中の段階、下段は最終段階である。また、図27は、上ケース28Bを取り外した状態である。
図27(a)に示すように、発泡断熱材FIは、充填孔81,82から充填され、充填孔81,82を起点として発泡断熱材FIが放射状に広がる。図27(a)の段階では、充填孔81から充填される発泡断熱材FIと、充填孔82から充填される発泡断熱材FIとは、互いに接触しない状態である。また、充填孔81から充填された発泡断熱材FIは、配線収納凹部86に充填が開始される状態である。
その後、図27(b)に示すように、充填孔81から充填された発泡断熱材FIと、充填孔82から充填された発泡断熱材FIとが幅方向の中央で合流する。そして、後方に向けて発泡断熱材FIの充填領域が広がり、配線収納凹部86,87,88のすべてを含む位置まで発泡断熱材FIによって充填される。
その後、図27(c)に示すように、徐々に後方に充填領域が拡大し、断熱仕切壁28の全体に発泡断熱材FIが充填され、充填が終了する。
このように、第2配線束w2が収納される配線収納凹部86,87,88が前後方向に沿って形成され、かつ、それぞれの充填孔81,82からの距離が略等しい、左右方向の略中央に位置している。これにより、発泡断熱材FIが左右方向の中央に到達するまでに、第2配線束w2によって、発泡断熱材FIの流動が阻害されることを抑えることができる。その結果、断熱仕切壁28内における発泡断熱材FIの充填不足領域の発生を抑えることができるので、断熱仕切壁28の断熱性能が損なわれることを抑えることが可能になる。
次に、下ケース28Aに設けられた抑え部89a,89bの機能について図28A、図28Bを参照して説明する。図28Aは、第2配線束が本実施形態の位置にある場合の模式図を示し、図28Bは、第1配線束が比較例としての位置場合の模式図を示す。
ところで、第2配線束を構成するコード(電線)は、熱電導が高いものであり、冷凍室の冷熱が冷蔵室2に影響を及ぼすおそれがある。つまり、冷蔵室2には、断熱仕切壁28上に載置された、チルド室36(図2参照)を区画するチルドボックスが配置され、チルドボックスが略密閉空間となっており、間接冷却が行われている(熱電導で冷やしている)。また、ヒータを利用して、ヒータのON/OFFするとともに、冷凍室(製氷室3、冷凍室4)の温度帯を利用して冷やしている。また、冷蔵室2は、高湿度帯であり、断熱仕切壁28の上面にある場合、湿度が高いので凍結したりする。
図28Bに比較例として示すように、第2配線束w2が上ケース28Bに接した状態で発泡断熱材FIが充填されている場合、冷凍室(製氷室3および冷凍室4)の冷熱が発泡断熱材FIに伝達される。そして、第2配線束w2は、発泡断熱材FIから多くの冷熱を受け取る。そして、第2配線束w2は、冷蔵室2に対して、多くの冷熱を伝達する。その結果、冷蔵室2のチルドボックスが過度に冷やされるといった不具合が生じる。
そこで、本実施形態では、図28Aに示すように、抑え部89a,89bを用いて第2配線束w2を下ケース28Aに押さえつけるように構成したものである。このような構成の場合、第2配線束w2は、冷凍室(製氷室3および冷凍室4)から多くの冷熱を受ける。しかし、第2配線束w2から発泡断熱材FIに伝達される冷熱量は低く抑えられる。これにより、冷蔵室2に伝達される冷熱量は、低く抑えられる。その結果、冷蔵室2やチルドボックスが過度に冷やされるといった不具合を防止できる。これは、断熱仕切壁28、低温側雰囲気に近接して設けられた下ケース28Aと冷凍室3,4との間、及び高温側雰囲気に近接して設けられた上ケース28Bと冷蔵室2又はチルドボックスとの間に、真空断熱材が配されていない場合に特に問題となる。
上記を敷衍すると、第2配線束w2は、断熱仕切壁28の一方と他方とで温度差がある場合、低温側に近い位置に配することが好ましい。
次に、配線収納凹部87に通された第2配線束w2について、図29を参照して説明する。図29は、図22のXXII-XXII断面図を示す。
第2配線束w2は複数のコード(例えばφ1mm~2mm)を束ねたものである。断熱仕切壁28の内部に充填された発泡断熱材FIが発泡していって発泡領域が拡大するとき、第2配線束w2の包絡線の最大寸法方向がそもそも断熱仕切壁28の空間厚さ方向に沿っていたり、発泡充填に伴い第2配線束w2に力が加わってコードの位置が変わり、最大寸法方向が断熱仕切壁28の空間厚さ方向となるようになってしまったりすると、ウレタンの流動阻害の原因になることを見出した。すなわち第2配線束w2が発泡断熱材FIの流動を阻害し、未充填領域が生じる虞がある。
具体的には、断熱仕切壁28の空間厚さ(配線収納凹部87は含まない空間厚さ)をHとする。第2配線束w2の断面の最大寸法Rについて検討したところ、第2配線束w2が隙間なく束ねられていれば包絡線は円形に近くなり、2×√(コードの断面積の総和/円周率)と近似できると想定されたところ、これは事実を正確には再現できていないことが発覚した。実際には各コード間に隙間がどうしても生じ、結局、第2配線束w2を構成する配線それぞれの径の総和がよい近似を与えることが判明した。径とは、コードの断面が円形であれば直径であり、略円形等であれば最大寸法と考えることができる。
そして、冷蔵庫分野で通常使用される発泡フォーム液の粘度に拘わらず、H-R<5mmが成立すると、断熱仕切壁28の厚みに対して第2配線束w2寸法が大きく、ウレタン流動阻害の原因として対応を検討すべきことが判明した。
これに鑑みて本実施形態では、発泡断熱材FIが流動するためのスペースを十分に確保でき、流動阻害を抑制することができるように、H-R<5mmが成立する部分については、ウレタン流動空間厚さHを拡げるように、配線収納凹部87を設け、ここに第2配線束w2を配した。これにより、第2配線束w2が設けられた部分の厚み寸法を大きくできる(便宜上、H’と記載する。)ため、H’-R<5mmが成立しないようにできる。
以上説明したように、本実施形態の冷蔵庫1では、前後方向に延在し、左右に配置された製氷室3と冷凍室4とを仕切る仕切部材500と、製氷室3および冷凍室4の後方から延びる第1配線束w1と、製氷室3および冷凍室4の上方から延びる第2配線束w2と、を備える。第1配線束w1と第2配線束w2とを結線する結線部75は、仕切部材500の手前側に設けられている(図10参照)。これによれば、第1配線束w1と第2配線束w2とを結線する際に、作業者が庫内に身体を潜り込ませたり、手を伸ばしたりして作業する必要がなくなり、作業性が向上する。
また、本実施形態は、第1配線束w1と第2配線束w2とは、複数のコネクタ90を介して接続される。仕切部材500は、第1配線束w1および第2配線束w2を収容する開口70aが形成されたケース本体70と、開口70aを塞ぐカバー部材60と、を備える。結線部75は、ケース本体70に形成されるとともに、複数のコネクタ90の一部が収納される袋形状部75tを備える(図15参照)。これによれば、一部のコネクタ部材90を袋形状部75tに収納することで、多数のコネクタ部材90が重なって収納できなくなるのを抑えることができ、カバー部材60でケース本体70に蓋をすることが可能になる。
また、本実施形態は、結線部75(袋形状部75t)は、仕切部材500の上端面から鉛直方向の下方に延びる飛び出し防止リブ75eを有している(図14、図15参照)。これによれば、第1配線束w1と第2配線束w2とを結線した配線が結線部75から飛び出すのを抑えることができる。また、飛び出し防止リブ75eを設けることで、簡単な構造で、コネクタ部材90の収納と、結線部75の補強を行うことができる。また、飛び出し防止リブ75eを収納部75sの上部にのみ形成するとともに、カバー部材60の内側と平行に近接させたことで、上から浸入した水は、カバー部材60の内側に沿って垂下し、第1配線束w1及び第2配線束w2と接触し難くなる。また、切り欠き部74cから排水し、仕切面部74bに水が溜まることを抑制する。
また、本実施形態は、仕切部材500は、第1配線束w1と第2配線束w2とが合流して結線部75に案内される配線合流部74を備える。結線部75は、配線合流部74の鉛直方向上方に配置されている(図17参照)。これによれば、結線部75に水が浸入するのを防止することができる。
また、本実施形態は、仕切部材500は、第1配線束w1を前後方向に延在して収容する第1配線収容部72を備える。第1配線収容部72の入口側には、前方に向けて上昇する上り傾斜面72dが形成されている(図17参照)。これによれば、後方から仕切部材500内に水が浸入するのを抑えることができる。
また、本実施形態は、第1配線収容部72の出口側には、前方に向けて下降する下り傾斜面74sが形成されている。下り傾斜面74sの前方には、水抜孔74gが形成されている。水抜孔74gの前方には、上向きに突出するリブ74fが形成されている(図19参照)。これによれば、第1配線収容部72に浸入した水を仕切部材500の外部に排出できる。
また、本実施形態は、第2配線束w2を上下方向に延在して収容する第2配線収容部73を備える。第2配線収容部73の前側に位置する後面部75b(前側流路壁面)は、水抜孔74gの上方に位置している(図19参照)。これによれば、第2配線収容部73から侵入した水を仕切部材500の外部に排出できる。
また、本実施形態は、第2配線束w2が収容され、空隙91を隔てて対向する下ケース28Aおよび上ケース28Bを有する断熱仕切壁28を備える。断熱仕切壁28は、空隙91に連通する充填孔81,82と、空隙91および充填孔81,82を含む領域に充填される発泡断熱材FIと、を備える(図27参照)。第2配線束w2の延在方向に直交する方向に対して一方側に充填孔81が位置し、他方側に充填孔82が位置する。第2配線束w2は、空隙内における充填孔81と充填孔82との中間近傍に位置する。これによれば、第2配線束w2によって発泡断熱材FIの流動が阻害されるのを抑えることができる。
以上、本実施形態について図面を参照しながら説明したが、本実施形態は前記の内容に何ら限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、本実施形態では、第一切替室5と第二切替室6を備えた冷蔵庫1を例に挙げて説明したが、第一切替室5および/または第二切替室6を備えない冷蔵庫であってもよい。
本願は、次の技術的思想を包含する。
[付記1]
断熱仕切部の領域内で空隙を隔てて互いに対向する2つの面部と、
前記空隙に這わされた配線又は配線束と、
前記空隙に配された発泡断熱材と、を備え、
前記2つの面部として、低温側の雰囲気に近接した低温側面部と、高温側の雰囲気に近接した高温側面部と、を備え、
前記配線又は配線束は、前記2つの面部のうち、前記低温側面部に近い位置に配されている冷蔵庫。
[付記2]
前記断熱仕切部、前記高温側面部と前記高温側の雰囲気との間、及び前記低温側面部と前記低温側の雰囲気との間には、真空断熱材が配されていない付記1に記載の冷蔵庫。
[付記3]
断熱仕切部の領域内で空隙を隔てて互いに対向する2つの面部と、
前記空隙に這わされた配線束と、
前記空隙に配された発泡断熱材と、を備え、
前記空隙の厚さをH、
前記配線束を形成する各配線の直径の総和をR、とするとき、
前記配線束のうち、不等式H-R<5mmが成立している領域に在る部分の一部又は全部は、前記2つの面部のいずれかに設けられた配線収納凹部内に配されている冷蔵庫。