JP7324595B2 - 黒色感光性樹脂組成物、その硬化物、およびリジッドフレキシブルプリント配線板 - Google Patents
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Description
また、本発明によれば、上記以外の特性においても、低温保存性および現像性に優れ、最適露光量が少なく、得られた硬化塗膜は、表面状態、耐熱性、柔軟性に優れた黒色感光性樹脂組成物を提供することができる。さらに、本発明の別の形態によれば、前記黒色感光性樹脂組成物からなる硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるプリント配線板を提供することができる。
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、少なくとも、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー(反応性希釈剤)、着色剤、および光重合開始剤を含み、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマー、硬化触媒、充填剤、および難燃剤等の他の成分をさらに含んでもよい。カルボキシル基含有樹脂と熱硬化性樹脂を併用することで、耐熱性、絶縁信頼性等の特性を向上させることができる。以下、本発明による黒色感光性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂としては、分子中に、ビスフェノールA構造と、カルボキシル基を有している従来公知の各種樹脂を使用できる。カルボキシル基含有樹脂がビスフェノールA構造を有することで、柔軟性やはんだ耐熱性が向上する。黒色感光性樹脂組成物が、カルボキシル基を有する樹脂を含むことにより、黒色感光性樹脂組成物に対しアルカリ現像性を付与することができる。特に、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂が、光硬化性や耐現像性の面から好ましい。エチレン性不飽和二重結合は、アクリル酸もしくはメタクリル酸またはそれらの誘導体由来であることが好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のみを用いる場合、後述する感光性モノマーを併用することによって、組成物を感光性とする。尚、本発明において、ビスフェノールAとは、水添ビスフェノールAも含むものである。ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下のような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)を挙げることができる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂を1種以上含んでいれば、さらに、その他の構造を有するカルボキシル基含有樹脂を含んでいてもよい。その他の構造としては、フェノールノボラック構造、クレゾールノボラック構造、ビスフェノールF構造等が挙げられる。
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、感光性モノマーを含む。感光性モノマーは、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物である。感光性モノマーとしては、例えば、慣用公知のポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類のいずれか少なくとも1種から適宜選択して用いることができる。このような感光性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
本発明で用いられる熱硬化性樹脂としては、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、アミノ樹脂、マレイミド化合物、ベンゾオキサジン樹脂、カルボジイミド樹脂、シクロカーボネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、エピスルフィド樹脂などの公知慣用のものが挙げられる。これらの中でも好ましい熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。
本発明の黒色感光性樹脂組成物には、熱硬化触媒を配合することができる。熱硬化触媒としては、例えば、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メトキシ-N,N-ジメチルベンジルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン等のアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等が挙げられる。また、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、メラミン、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン、2-ビニル-2,4-ジアミノ-S-トリアジン、2-ビニル-4,6-ジアミノ-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4-ジアミノ-6-メタクリロイルオキシエチル-S-トリアジン・イソシアヌル酸付加物等のS-トリアジン誘導体を用いることもできる。
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、着色剤として、少なくとも赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であることを特徴とする。着色剤としては、顔料、染料、色素のいずれでも用いることができる。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、四三酸化鉄、黒酸化チタン、銅マンガンブラック、銅クロムブラックおよびコバルトブラック等の無機顔料や、シアニンブラックおよびアニリンブラック等の有機顔料が挙げられる。その中でも、取扱いの安全性や安定性によりカーボンブラックを用いることが好ましい。
本発明において、上記した黒色感光性樹脂組成物を光重合させるために使用される光重合開始剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤等が挙げられる。なかでも、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましく、チタノセン系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の組合せがより好ましい。光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、難燃性をより向上させるために、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことが好ましい。リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーは、リン元素含有ジカルボン酸およびその無水物の少なくとも1種と、アクリレート化合物とを反応して得られる、分子内に1以上の(メタ)アクリレートを含有する化合物である。
本発明の黒色感光性樹脂組成物は、難燃性をさらに向上させるために、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマー以外に難燃剤も用いることができる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム等が挙げられる。難燃剤の配合量は、固形分換算で、ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、好ましくは20~40質量部である。
黒色感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させる目的で、無機充填剤を配合することができる。例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用の無機充填剤が使用できる。
本発明による黒色感光性樹脂組成物は、プリント配線板において、硬化物、特に硬化塗膜を形成するために好適に使用される。例えば、ソルダーレジスト形成用、層間絶縁材、マーキングインキ、カバーレイ、ソルダーダム、プリント配線板のスルーホールやビアホールの貫通孔や凹部の穴部を穴埋めするための充填材として好適に使用することができる。そのなかでも、黒色ソルダーレジスト形成用に好適に使用でき、特にリジッドフレキシブル配線板の黒色ソルダーレジスト層の形成に好適に使用できる。また、本発明による黒色感光性樹脂組成物は、1液性でも2液性以上でもよい。
本発明のプリント配線板は、上記の黒色感光性樹脂組成物の硬化物からなる黒色ソルダーレジスト層を備えるものである。当該黒色ソルダーレジスト層は柔軟性を備えるため、リジッドフレキシブルプリント配線板(RFPC)として好適に使用することができる。
<カルボキシル基含有樹脂ワニス1の合成>
下記一般式(I)においてXがC(CH3)2、平均の重合度nが3.3であるビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量650g/eq、軟化点81.1℃)371部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH52.8部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量287g/eq、軟化点64.2℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールA型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基3.3個のうち約3.1個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルフォスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、カルボキシル基含有樹脂ワニス2を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス1の固形分濃度は62質量%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
<カルボキシル基含有樹脂ワニス2の合成>
下記一般式(I)においてXがCH2、平均の重合度nが6.2であるビスフェノールF型エポキシ樹脂(エポキシ当量950g/eq、軟化点85℃)380部とエピクロルヒドリン925部をジメチルスルホキシド462.5部に溶解させた後、攪拌下70℃で98.5%NaOH60.9部を100分かけて添加した。添加後さらに70℃で3時間反応を行った。反応終了後、水250部を加え水洗を行った。油水分離後、油層よりジメチルスルホキシドの大半および過剰の未反応エピクロルヒドリンを減圧下に蒸留回収し、残留した副製塩とジメチルスルホキシドを含む反応生成物をメチルイソブチルケトン750部に溶解させ、更に30%NaOH10部を加え、70℃で1時間反応させた。反応終了後、水200部で2回水洗を行った。油水分離後、油層よりメチルイソブチルケトンを蒸留回収して、エポキシ当量310g/eq、軟化点69℃のエポキシ樹脂(a)を得た。得られたエポキシ樹脂(a)は、エポキシ当量から計算すると、前記出発物質ビスフェノールF型エポキシ樹脂におけるアルコール性水酸基6.2個のうち約5個がエポキシ化されたものであった。このエポキシ樹脂(a)310部およびカルビトールアセテート282部をフラスコに仕込み、90℃に加熱・攪拌し、溶解した。得られた溶液を一旦60℃まで冷却し、アクリル酸72部(1モル)、メチルハイドロキノン0.5部、トリフェニルフォスフィン2部を加え、100℃に加熱し、約60時間反応させ、酸価が0.2mgKOH/gの反応物を得た。これにテトラヒドロ無水フタル酸140部(0.92モル)を加え、90℃に加熱し、反応を行い、カルボキシル基含有樹脂ワニス1を得た。得られたカルボキシル基含有樹脂ワニス2の固形分濃度は62質量%、固形分酸価(mgKOH/g)は100であった。
[実施例1]
カルボキシル基含有樹脂と、熱硬化性樹脂と、感光性モノマー(反応性希釈剤)と、リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーと、着色剤と、光重合開始剤と、難燃剤とを表1に示す割合(質量部)にて配合し、攪拌機にて予備混合した後3本ロールミルで混練して、黒色感光性樹脂組成物1を調製した。なお、表中の配合量の値は、特に断りがない限り、固形分の質量部を示す。
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒色感光性樹脂組成物2~5を調製した。
各成分の配合を表1の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして、黒色感光性樹脂組成物6~8を調製した。
※1:カルボキシル基含有樹脂ワニス1
※2:カルボキシル基含有樹脂ワニス2
※3:カルボキシル基含有樹脂ワニス3(変性クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、DIC株式会社製、UE-9210、固形分濃度60質量%)
※4:ビフェニルエポキシ樹脂(日本化薬株式会社製、NC-3000H、固形分濃度75質量%)
※5:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、N-770、固形分濃度75質量%)
※6:トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート(東亜合成株式会社製、アロニックスM350)
※7:エトキシ化ビスフェノールA型メタクリレート(2官能、新中村化学工業株式会社製、NKエステルBPE-900)
※8:リン元素含有感光性アクリレートオリゴマー(重量平均分子量:3,000、2官能、ダイセル・サイテック株式会社製、RAYLOCK1722)
※9:赤色着色剤(ピグメントレッド149)
※10:青色着色剤(ピグメントブルー15)
※11:黄色着色剤(ピグメントイエロー147)
※12:黒色着色剤(カーボンブラック)
※13:α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤(IGM Resins社製、Omnirad 369E)
※14:チタノセン系光重合開始剤(岳陽市金茂泰科技有限公司株式会社製、JMT784)
※15:水酸化アルミニウム
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、基板上にスクリーン印刷で乾燥後の膜厚が20μmになるように全面塗布した。その後、熱風循環式乾燥炉で80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。この基板に超高圧水銀ランプ搭載のORC社製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いて、最適露光量でベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行った。この基板を、熱風循環式乾燥炉にて150℃で60分の条件で硬化させた。得られた回路基板に対して下記の評価を行った。
上記の<回路基板の作製>で得られた回路基板の硬化塗膜について、光学顕微鏡を用いて変色や異物などの表面状態を観察した。
以下の基準にて表面状態を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:変色や異物などが全く無かった。
△:変色や異物などが多少あったが、実用上問題無かった。
×:変色や異物などが多かった。
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を5℃で7日間低温保存した。その後、低温保存後の黒色感光性樹脂組成物1~8を用いて、上記の回路基板の作製と同様にして、回路基板を得た。得られた回路基板の硬化塗膜について、光学顕微鏡を用いて変色や異物などの表面状態を観察した。
以下の基準にて表面状態を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:変色や異物などが全く確認されなかった。
×:変色や異物などが確認された。
銅厚18μmの銅ベタ基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥した。続いて、実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、乾燥後の当該基板上にスクリーン印刷法により乾燥後塗膜が20μmとなるように全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させた。次いで、超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いてStouffer 41段ステップタブレットを介して露光し、スプレー圧0.2MPa、液温30℃の1質量%Na2CO3水溶液で60秒現像を行った際に残存したステップタブレットのパターンが16となる露光量を最適露光量(mJ/cm2)とした。最適露光量を表2に示した。最適露光量は値が小さい方が好ましい。
銅厚18μmの回路パターン基板をバフロール研磨後、水洗し、乾燥した。続いて、実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、乾燥後の当該基板上にスクリーン印刷法により乾燥後塗膜が20μmとなるように全面塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で40分、50分、および60分間乾燥させた。次いで、スプレー圧0.2MPa、液温30℃の1質量%Na2CO3水溶液で60秒現像を行い、乾燥させた。
以下の基準にて乾燥塗膜の現像性を目視で評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:乾燥塗膜が現像により完全に除去された。
△:乾燥塗膜が現像後も僅かに残ったが、実用上問題無かった。
×:乾燥塗膜が現像後も明らかに残った。
上記の<回路基板の作製>で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8に関する回路基板の硬化塗膜に、ロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に10秒間浸漬した。次いで、変性アルコールでフラックスを洗浄した。
以下の基準にて硬化塗膜の膨れ・剥がれを目視で評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
◎:硬化塗膜に膨れおよび剥がれがなかった。
○:硬化塗膜に膨れあるいは剥がれが僅かにあったが、実用上問題無かった。
×:硬化塗膜に膨れおよび剥がれが明らかにあった。
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製カプトン100H)にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥し、室温まで放冷した。得られた基板に超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)用いて最適露光量でベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、試験基板を得た。この基板を150℃で60分加熱して硬化した。
得られた基板に対してハゼ折りにより180°折り曲げを数回繰り返して行い、その際の塗膜におけるクラック発生状況を目視および200倍の光学顕微鏡で観察し、クラックが発生するまでに行った折り曲げ回数を測定した。
以下の基準にて柔軟性を評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
◎:折り曲げ回数が6回以上であった。
○:折り曲げ回数が4回以上5回以下であった。
×:折り曲げ回数が3回以下であった。
上記の<回路基板の作製>で得られた回路基板の硬化塗膜の外観(色味)を、目視で評価し、評価結果を表2に示した。硬化塗膜が黒色であれば、隠蔽性に優れるものである。
実施例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、25μm厚のポリイミドフィルム(東レポリイミドフィルム(東レ・デュポン株式会社製、カプトン100H(25μm))にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥して室温まで放冷した。さらに裏面を同様にスクリーン印刷で全面塗布し、80℃で30分乾燥して室温まで放冷し両面塗布基板を得た。得られた両面基板に超高圧水銀ランプ搭載の株式会社オーク製作所製のダイレクト露光装置(DiIMPACT Mms60)を用いて最適露光量でソルダーレジストを全面ベタ露光し、30℃の1質量%Na2CO3水溶液をスプレー圧2Kg/cm2の条件で60秒間現像を行い、150℃で60分間熱硬化を行い評価サンプルとした。この燃焼性試験用サンプルについて、UL94規格(UL94VTM)に準拠した薄材垂直燃焼試験を行った。
上記試験結果に基づいて燃焼性(VTM-0、VTM-1)を評価し、評価結果を表2に示した。
実施例および比較例で得られた黒色感光性樹脂組成物1~8を、ポリイミド基材に銅厚18μmの回路パターン形成された基板に、上記基板作製条件で塗布し硬化した。L/S=100/100μm部をクロスセクションし、塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差を測定した。
以下の基準にて評価し、評価結果を表2に示した。
[評価基準]
○:塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差が0μm以上10μm以下であった。
×:塗膜のトップ部と塗膜のボトム部との長さの差が10μm超であった。
各組成物約1グラムを金属グラインドゲージ(溝深さ25~50μm)上に載せ、金属スクレーパーでゲージの表面を均等な速度で溝の最低深さまで1~2秒かけて引く。引き終わってから3秒後観察し、顕著な班点が現れ始める点を読み、粒子の数が5個以上の溝を評価した。
○:25μm以下であった。
×:25μm超であった。
Claims (7)
- ビスフェノールA構造を有するカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性樹脂、感光性モノマー、着色剤、および光重合開始剤を含み、前記着色剤が、赤色着色剤と青色着色剤と黒色着色剤とを含み、前記黒色着色剤の配合量が、固形分換算で、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上1質量部未満であり、黄色着色剤の配合量が、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、1質量部以下である(但し、1質量部を除く)ことを特徴とする、黒色感光性樹脂組成物。
- 前記黄色着色剤の配合量が、前記カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、0.1質量部以下である、請求項1に記載の黒色感光性樹脂組成物。
- リン元素含有(メタ)アクリレートオリゴマーをさらに含む、請求項1または2に記載の黒色感光性樹脂組成物。
- 前記光重合開始剤が、チタノセン系光重合開始剤およびα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
- 黒色ソルダーレジスト形成用として用いられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか一項に記載の黒色感光性樹脂組成物を硬化させて得られることを特徴とする、硬化物。
- 請求項6に記載の硬化物を有することを特徴とする、リジッドフレキシブルプリント配線板。
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