JP7323913B2 - 睡眠誘導剤である複素環化合物 - Google Patents
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Description
特許文献1には、以下の化合物(化合物X)も具体的に記載されている。
特許文献2には、上記化合物の中間体である以下の化合物(化合物Y)も具体的に記載されている。
即ち、本発明は以下の通りである。
環Aは、炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する5又は6員芳香族複素環、又はベンゼンであり;
R1は、カルボキシ基であり;
m個のR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、又は5又は6員芳香族複素環基であり;
環Bは、5又は6員芳香環であり;
n個のR3は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアリール基であり;
mは、0、1、又は2であり;及び
nは、1又は2である。
但し、1)環Aが、ベンゼンである場合には、以下の部分構造式で表される基:
以下の部分構造式で表される基:
2)環Aが、ベンゼンである場合には、以下の部分構造式で表される基:
以下の部分構造式で表される基:
で表される化合物又はその塩。
(2)環Aが、ピリジン、チオフェン、又はベンゼンであり、
R1が、カルボキシ基であり、
m個のR2が、それぞれ独立して、ハロゲン原子又は炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する5又は6員芳香族複素環基であり;
環Bが、ベンゼンであり;及び
n個のR3が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルコキシ基、又はC6-C10アリール基である、上記(1)に記載の化合物又はその塩。
(3)環Aが、ピリジン又はチオフェンである、上記(1)又は(2)に記載の化合物又はその塩。
(4)環Aが、ピリジン又はチオフェンであり、
環Bが、ベンゼンであり、
n個のR3が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基、又はフェニルであり、及び、
mが、0である、上記(1)に記載の化合物又はその塩。
(5)以下の化合物群から選択される、上記(4)に記載の化合物又はその塩:
(6)環Aが、ベンゼンである、上記(1)又は(2)に記載の化合物又はその塩。
(7)上記(1)に記載の化合物(I)又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する医薬。
(8)医薬として使用するための、上記(1)に記載の化合物(I)又はその薬学上許容される塩。
(9)以下の式(Ia):
環Aは、炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する、5又は6員芳香族複素環、又はベンゼンであり;
R1は、カルボキシ基であり;
m個のR2は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アリール基、又は5又は6員芳香族複素環基であり;
環Bは、5又は6員芳香環であり;
n個のR3は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、又はアリール基であり;
mは、0、1、又は2であり;及び
nは、1又は2である。
但し、1)環Aが、ベンゼンである場合には、以下の部分構造式で表される基:
以下の部分構造式で表される基:
2)環Aが、ベンゼンである場合には、以下の部分構造式で表される基:
以下の部分構造式で表される基:
で表される化合物又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、アデノシンA2A受容体を標的としたポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)である医薬。
(10)上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、徐波睡眠を誘導するための医薬。
(11)上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩を有効成分として含有する、不眠症の予防又は治療のための医薬。
(12)上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における徐波睡眠の誘導方法。
(13)上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩を、それを必要とする哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物における不眠症の治療又は予防方法。
(14)哺乳動物における徐波睡眠の誘導に使用するための、上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩。
(15)不眠症の治療又は予防に使用するための、上記(9)で定義された化合物(Ia)又はその薬学上許容される塩。
(1)ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子;好ましくはフッ素原子)、
(2)ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1-6アルキル基等)、
(3)シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3-6シクロアルキル基等)、
(4)低級アルキニル基(例えば、エチニル、1-プロピニル、プロパルギル等のC2-6アルキニル基等)、
(5)低級アルケニル基(例えば、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル等のC2-6アルケニル基等)、
(6)C1-6アルコキシ基(例えば、メトキシ)で置換されていてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル、α-メチルベンジル、フェネチル等のC7-12アラルキル基等)、
(7)アリール基(例えば、フェニル、ナフチル等のC6-10アリール基等、好ましくはフェニル基)、
(8)ハロゲン原子で置換されていてもよい低級アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ等のC1-6アルコキシ基、トリフルオロメトキシ等)、
(9)アリールオキシ基(例えば、フェノキシ等のC6-10アリールオキシ基等)、
(10)ハロゲン原子で置換されていてもよい、ホルミル基又は低級アルカノイル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル等のC1-6アルキル-カルボニル基等、シクロヘキシルカルボニル等のC3-6シクロアルキル-カルボニル基等)、
(11)アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル、ナフトイル等のC6-10アリール-カルボニル基等)、
(12)ホルミルオキシ基又は低級アルカノイルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ等のC1-6アルキル-カルボニルオキシ基等)、
(13)アリールカルボニルオキシ基(例えば、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等のC6-10アリール-カルボニルオキシ基等)、
(14)カルボキシ基、
(15)低級アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル等のC1-6アルコキシ-カルボニル基等)、
(16)アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル等のC7-12アラルキルオキシ-カルボニル基等)、
(17)カルバモイル基、
(18)モノ-、ジ-又はトリ-ハロゲノ低級アルキル基(例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル等のモノ-、ジ-又はトリ-ハロゲノC1-6アルキル基等)、
(19)オキソ基、
(20)アミジノ基、
(21)イミノ基、
(22)アミノ基、
(23)モノ-低級アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ等のモノ-C1-6アルキルアミノ基等)、
(24)ジ-低級アルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ等のジ-C1-6アルキルアミノ基等)、
(25)置換基を有していてもよい、炭素原子と1個の窒素原子に加えて窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれたヘテロ原子を1~3個含んでいてもよい3~8員の含窒素複素環基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、アミノ基、モノ-C1-6アルキルアミノ基、ジ-C1-6アルキルアミノ基、カルボキシル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、カルバモイル基、モノ-C1-6アルキル-カルバモイル基、ジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、C6-10アリール-カルバモイル基、C6-10アリール基、C6-10アリールオキシ基、及びハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニルアミノ基、オキソ基等から選ばれる1~5個の置換基を有していてもよい、炭素原子と1個の窒素原子に加えて窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選ばれたヘテロ原子を1~3個含んでいてもよい3~8員の含窒素複素環基;例えば、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピリジル、ピロリニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イミダゾリジニル、ピペリジル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、ピペラジニル、N-メチルピペラジニル、N-エチルピペラジニル等)、
(26)アルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等のC1-3アルキレンジオキシ基等)、
(27)ヒドロキシ基、
(28)ニトロ基、
(29)シアノ基、
(30)メルカプト基、
(31)スルホ基、
(32)スルフィノ基、
(33)ホスホノ基、
(34)スルファモイル基、
(35)モノ-低級アルキルスルファモイル基(例えば、N-メチルスルファモイル、N-エチルスルファモイル、N-プロピルスルファモイル、N-イソプロピルスルファモイル、N-ブチルスルファモイル等のモノ-C1-6アルキルスルファモイル基等)、
(36)ジ-低級アルキルスルファモイル基(例えば、N,N-ジメチルスルファモイル、N,N-ジエチルスルファモイル、N,N-ジプロピルスルファモイル、N,N-ジブチルスルファモイル等のジ-C1-6アルキルスルファモイル基等)、
(37)低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ等のC1-6アルキルチオ基等)、
(38)アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、ナフチルチオ等のC6-10アリールチオ基等)、
(39)低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル等のC1-6アルキルスルフィニル基等)、
(40)アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル、ナフチルスルフィニル等のC6-10アリールスルフィニル基等)、
(41)低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、ブチルスルホニル等のC1-6アルキルスルホニル基等)、
(42)アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル、ナフチルスルホニル等のC6-10アリールスルホニル基等)、
(43)低級アルキルカルボニルアミノ基(例えば、メチルカルボニルアミノ等のC1-6アルキルカルボニルアミノ基等)等からなる群(本明細書中、置換基群Aという)、
(44)アラルキルアミノ(例えば、ベンジルアミノ等のC7-12アラルキルアミノなど)、及び
(45)置換基(例えば、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基)を有していてもよいアリールスルホニルアミノ基(例えば、フェニルスルホニルアミノ、ナフチルスルホニルアミノ等のC6-10アリールスルホニルアミノ基等)(本明細書中、[置換基群A]という)から選択される置換基が用いられる。
R2のアルキル基としては、C1-C6アルキル基が好ましく、そしてメチルが最も好ましい。
R2のアルコキシ基としては、C1-C6アルコキシ基が好ましく、そしてメトキシが最も好ましい。
R2のアリール基としては、C6-C10アリール基が好ましく、そしてフェニルが最も好ましい。
R2の5又は6員芳香族複素環基としては、炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する5又は6員芳香族複素環基が好ましい。これらの内、ピリジル及びチエニルが最も好ましい。
R2は、好ましくはハロゲン原子又は5又は6員芳香族複素環基であり、より好ましくは、フッ素原子、ピリジル、又はチエニルである。
R3のアルキル基としては、C1-C6アルキル基が好ましく、そしてメチル及びプロピルが最も好ましい。
R3のアルケニル基としては、C2-C6アルケニル基が好ましい。
R3のアルキニル基としては、C2-C6アルキニル基が好ましく、そしてエチニルが最も好ましい。
R3のアルコキシ基としては、C1-C6アルコキシ基が好ましく、そしてメトキシが最も好ましい。
R3のアリール基としては、C6-C10アリール基が好ましく、そしてフェニルが最も好ましい。
R3は、好ましくはハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルコキシ基及びC6-C10アリール基であり、より好ましくは、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子、メチル、プロピル、エチニル、メトキシ及びフェニルである。
nは、好ましくは1又は2である。
環Aが、炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する5又は6員芳香族複素環であり;
R1が、カルボキシ基であり;
m個のR2が、それぞれ独立して、5又は6員芳香族複素環基(好ましくは、炭素原子以外の環構成原子として、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~4個の複素原子を含有する5又は6員芳香族複素環基)であり;
環Bが、5又は6員芳香環であり;
n個のR3が、それぞれ独立して、ハロゲン原子、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、C1-C6アルコキシ基、又はC6-C10アリールであり;
mが、0又は1であり;及び
nが1又は2である、
化合物(I)。
m個のR2が、それぞれ独立して、ピリジル又はチエニルであり;
環Bが、ベンゼンであり;
n個のR3が、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、C1-C6アルキル基(例えば、メチル、プロピル)、C2-C6アルケニル基(例えば、ビニル)、C2-C6アルキニル基(例えば、エチニル)、C1-C6アルコキシ基(例えば、メトキシ)、又はC6-C10アリール(例えば、フェニル)、より好ましくは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、C1-C6アルキル基(例えば、プロピル)、C2-C6アルケニル基(例えば、ビニル)、又はC6-C10アリール(例えば、フェニル)である、
上記の[化合物A-1]。
[化合物A-3]
以下の部分構造式で表される基:
上記の[化合物A-1]又は[化合物A-2]に記載の化合物。
[化合物A-4]
以下の化合物群から選択される化合物。
化合物(I)の内、他の好ましい例としては以下の化合物群から選択される化合物が挙げられる:
用量は対象疾患、症状、投与対象、投与方法等によって異なるが、例えば、本発明化合物を化合物(I)又は(Ia)の量として、約0.1~100mg/kg(体重)、好ましくは約1~10mg/kg(体重)、更に好ましくは約1~3mg/kg(体重)を1日あたり、1回又は2ないし3回に分けて投与するのが好ましい。
化合物(I)又は(Ia)を含有する医薬は、経口又は非経口投与され、上記した化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用して用いてもよい。
無痛化剤の好適な例として、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。
抗酸化剤の好適な例として、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が挙げられる。
着色剤の好適な例として、例えばタール色素、カラメル、三二酸化鉄、酸化チタン、リボフラビン類等が挙げられる。
甘味剤の好適な例として、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、単シロップ等が挙げられる。
本発明の式(I)で表される化合物、化合物X及びY、その異性体、溶媒和物及びそれらの塩は、その基本骨格あるいは置換基の種類に基づく特徴を利用し、種々の公知の合成法を適用して製造することができる。例えば以下の合成法に従って製造することができるが、これらに限定されるものではなく、所望に応じて適宜修飾できる。かかる修飾としては、アルキル化、アシル化、アミノ化、イミノ化、ハロゲン化、還元、酸化等が挙げられ、通常当分野で用いられる反応又は方法が利用される。その際、官能基の種類によっては、当該官能基を原料もしくは中間体の段階で適当な保護基(容易に当該官能基に転化可能な基)に置き換えておくことが製造技術上効果的な場合がある。保護基の化学的特性、その導入の手法、及びその除去は例えばT. Greene and P. Wuts “Protective Groups in Organic Synthesis” (3rded.), John Wiley & Sons NY (1999)に詳述されている。
一般的に知られる溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、1,2-ジメトキエタン、1,4-ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ピリジン、ルチジン等の芳香族へテロ環化合物、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化物、メタノール、エタノール、2-プロパノール、2,2-ジメチルエタノール等のアルコール類、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル等の炭化水素化合物、ギ酸、酢酸等のカルボン酸類、あるいは、水等が挙げられる。
反応において用いられる溶媒は、単一の溶媒を用いる場合も、2種類から6種類の溶媒を混合して用いる場合もある。
又、反応において、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルアミン、ピリジン、N-メチルモルホリン等のアミン類、又は塩基を共存させて行なう場合がある。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリ-n-ブチルアミン、ピペリジン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩類、りん酸一水素二カリウム、りん酸三ナトリウム等のリン酸塩類、水素化ナトリウム等の水素化アルカリ金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属アルコラート類、n-ブチルリチウム等の有機リチウム類、エチルマグネシウムブロミド等のグリニャール試薬類、リチウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド等を例示すことができる。
又、反応において、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等の酸を共存させて行なう場合がある。
適当な溶媒中、適当な塩基の存在下で、化合物(1)を、化合物(1)に対して通常2倍モル量の化合物(2)と反応させて、式(I)で表される化合物を得る工程である
溶媒は、特に限定されないが、通常、化合物(1)に対して1~10倍モル当量の範囲で適宜選択して使用すればよい。
塩基は、特に限定されないが、通常、化合物(1)に対して0.01から5倍モル当量の範囲で適宜選択して使用すればよい。
反応温度は、通常、約100~約250℃、好ましくは約150~約220℃である。
反応時間は、通常、約0.01~約20時間である。
実施例
A2AR PAM YNT-2221又はYNT-2224を除く全ての化合物は、一般的方法に基づいて合成される。
一般的方法
1)化合物Aの合成(YNT-2224の中間体)
2)YNT-2224の合成
1)化合物Bの合成(YNT-2221の中間体)
2)YNT-2221の合成
[材料と方法]
種々のA2AR PAMを上記の実施例に従って合成した。アデノシン、DMSO(ジメチルスルホキシド)、DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)、及び非必須アミノ酸(NEAA)は、ナカライテスク株式会社から購入した。FBS(ウシ胎児血清)は、株式会社ニチレイバイオサイエンスから購入した。HBSS(ハンクス平衡塩溶液)及びHEPES(ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸)は、ギブコから購入した。ハイグロマイシンB、ペニシリン及びストレプトマイシンは、フジフイルム和光純薬株式会社から購入した。ペントバルビタール(ソムノペンチル)は、共立製薬株式会社から購入した。ピューロマイシンは、InvioGen社から購入した。生理食塩水は、大塚製薬株式会社から購入した。3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)は、トクリスバイオサイエンスから購入した。
国際統合睡眠医科学研究機構で飼育された、体重21~27g(10~15週齢)の雄性C57BL/6近交系マウスを実験に用いた。動物は、室温23±0.5°C、相対湿度50±5%の、12時間明/12時間暗のサイクル(8時ちょうどに点灯、照度およそ100lux)に自動制御された断熱や防音を施した記録室で飼育した。全ての動物は自由飲水・摂餌とした。実験は、アメリカ国立衛生研究所による実験動物の管理と使用のための手引(全米研究評議会、2011)における勧告に厳格に従って実施した。実験プロトコルは、関連する日本及び機関の法令及びガイドラインに準拠するものであり、筑波大学動物実験委員会によって許可されたものである(プロトコル番号14-322)。使用する動物の数、及び動物が経験する痛みや不快感を最小限にするあらゆる努力を行った。
A2ARのFLAGエピトープタグ付きオープンリーディングフレームを、マウスの脳の全RNAからPCRによって増幅した。得られたアンプリコンをpMXs-IRES-Puroレトロウイルスベクターにクローニングした(Kitamura et al.、2003)。次に、プラスミドをレトロウイルスパッケージング細胞株Plat-Eにトランスフェクトした(Morita et al.、2000)。トランスフェクトしたPlat-E細胞の上清を24時間後に回収し、レトロウイルスのエコトロピック受容体を強く発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に適用した(Montminy et al.、1990)。マウスA2ARを発現するCHO(mA2AR-CHO)細胞は、ハイグロマイシンB(250μg ml-1)とピューロマイシン(10μg ml-1)の処理により、5%FBS及び1%NEAAを補充したDMEM中で選択した。続いて、mA2AR-CHO細胞を、5%FBS、1%NEAA、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、及び250μg ml-1のハイグロマイシンBを補充したDMEM中で、5%CO2の雰囲気下、37℃で維持した。
A2A受容体の活性化は、マウスA2A受容体を発現しているCHO細胞における環状アデノシン一リン酸(cAMP)の蓄積によって定量した。CHO細胞を、384-ウェルマイクロプレート(1ウェルあたり2×103細胞)中、1M HEPES、0.25M IBMXを含むHBSSに懸濁し、アデノシン及び所定の濃度のA2AR PAMsとともに、30分間、25°Cでインキュベートした。Eu-cAMPトレーサー及びULight-抗-cAMP抗体を含む検出混合液を添加し1時間25℃でインキュベートした。マイクロプレートリーダー(ARVOX5;パーキンエルマー、ウォルサム、マサチューセッツ;励起:340nm;発光:665nm)を用いてフェルスター共鳴エネルギー移動(FRET)シグナルを測定した。全ての実験は、製造元の指示に従って実施した(LANCE Ultra cAMPキット、パーキンエルマー)。cAMPレベルは、cAMP標準曲線のダイナミックレンジ(「線形部分」)に基づいて決定し、ベースライン又はアデノシン治療群に対して正規化した。
ペントバルビタール[50mg kg-1個体体重、腹腔内(i.p.)]によりマウスを麻酔し、次いで定位固定装置に置いた。睡眠ポリグラフの記録の為の脳波(EEG)及び筋電図(EMG)の電極を慢性的にマウスに埋め込んだ(Oishi et al.、2016)。パキノスとフランクリンのアトラス(2004)に従って、皮質の上の頭蓋骨を通って2つのステンレス鋼ネジ(直径1mm)からなるインプラントを挿入し(ブレグマ又はラムダから、前後,+1.0mm;左右,-1.5mm)EEG電極として用いた。2つの絶縁されたステンレス鋼のテフロンコートされたワイヤーを両方の僧帽筋の筋肉内に両側性に配置しEMG電極として用いた。全ての電極にはマイクロコネクターをつけ、歯科用セメントで頭蓋骨に固定した。
対照となるデータの為に、22時ちょうどに生理食塩水又はベヒクル(10ml kg-1、i.p.)をマウスに注射した。使用直前にYNT-2167を生理食塩水に溶解し、実験日の22時ちょうどに、75mg kg-1の用量で腹腔内投与した。マウスは、対照又は薬物注射を受ける群にランダムに振り分けた。
手術後10日目に、マウスを断熱及び防音が施された記録室の透明バレルに個々に収容し、ポリグラフ記録を開始する前の馴化の3-5日間EEG-EMG記録ケーブルにつないだ。自発的な睡眠-覚醒サイクルを調べる為に、各動物について24時間(20時ちょうどに開始、暗期のはじまり)の記録をとった。次いで動物は、睡眠-覚醒のパラメーターが36時間記録される、検査の薬理学的フェーズに入った。最初の24時間の間に集積したデータもまた実験2日目のためのベースラインとなる比較データとして用いた。皮質EEG/EMGシグナルを増幅し、フィルタリングし(EEG 0.5-30Hz;EMG 20-200Hz)、次いでサンプリング速度128Hzでデジタル化し、データ収集ソフトウェアSleepSign(登録商標)(キッセイコムテック、松本、日本)を用いて記録した。ビジランス状態は、SleepSign(登録商標)(ver3.4)ソフトウェアによって、標準的な基準に従って(Oishi et al.、2016)、覚醒、急速眼球運動(REM)睡眠、及びSWSの3段階に10秒エポックでオフラインで分類された。最終工程として、定義づけられたビジランス状態を視覚的に調べ、必要な場合には補正した。
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