JP7318482B2 - トナー - Google Patents

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Description

本発明は、トナーに関する。
電子写真法では、像担持体としての電子写真感光体(以下、感光体と記載することがある)の表面を帯電させた後、露光することにより感光体上に静電潜像を形成する。次いで、トナーにより静電潜像をトナー像として現像し、トナー像を記録媒体に転写する。そして、記録媒体上のトナー像を定着装置により定着させ、記録媒体上に画像を形成する。
ところで、電子写真法による画像形成プロセスを実施した場合、感光体表面にイオン性物質(例えば、感光体を帯電させる際に発生する放電生成物)が付着する場合がある。この場合、高湿度環境下において画像形成を行うと、イオン性物質に起因する感光体表面の電気抵抗の低下により、感光体上の潜像電荷が乱れ、その結果、画像流れ(詳しくは、画像が擦れたように流れてぼやける現象)が発生する場合がある。
例えば特許文献1では、画像流れの発生を抑制するために、トナー粒子とステアリン酸金属塩粒子とを有するトナーを用いることが提案されている。ステアリン酸金属塩粒子は、感光体表面においてイオン性物質が付着しやすい傾向がある。これは、ステアリン酸金属塩粒子中のエステル構造とイオン性物質との間の親和性が高いためであると推測される。一方で、ステアリン酸金属塩のもつ滑性により、ステアリン酸金属塩粒子の感光体表面からの除去性は高い。これらのことから、イオン性物質が付着したステアリン酸金属塩粒子は、画像形成装置のクリーニング部材(例えば、クリーニングブレード)により感光体表面から速やかに除去される。従って、特許文献1に記載の技術によれば、感光体表面上のイオン性物質をステアリン酸金属塩粒子と共に除去できるため、画像流れの発生を抑制できる。
特開2017-62343号公報
しかしながら、特許文献1に開示される技術だけでは、画像流れの発生を抑制しつつ、かぶりの発生を抑制することは難しい。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像流れの発生及びかぶりの発生を抑制できるトナーを提供することである。
本発明に係るトナーは、トナー粒子として、第1粒子及び第2粒子を含有する。前記第1粒子は、第1コアと、前記第1コアの表面を覆う第1シェル層とを備える。前記第1コアは、第1結着樹脂を含み、かつステアリン酸金属塩を含まない。前記第2粒子は、第2コアと、前記第2コアの表面を覆う第2シェル層とを備える。前記第2コアは、ステアリン酸金属塩を含む。前記第1シェル層と前記第2シェル層とは、互いに同種の樹脂から構成されている。前記第2コア中の前記ステアリン酸金属塩の含有率は、前記第2コアの全質量に対して、50質量%以上である。前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
本発明によれば、画像流れの発生及びかぶりの発生を抑制できる。
本発明の実施形態に係るトナーの一部の断面構造の一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。まず、本明細書中で使用される用語について説明する。トナーは、トナー粒子の集合体(例えば粉体)である。外添剤は、外添剤粒子の集合体(例えば粉体)である。粉体(より具体的には、トナー粒子の粉体、外添剤粒子の粉体等)に関する評価結果(形状、物性等を示す値)は、何ら規定していなければ、粉体から粒子を相当数選び取って、それら粒子の各々について測定した値の個数平均である。
粒子(より詳しくは、粒子の粉体)の体積中位径(D50)の測定値は、何ら規定していなければ、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製「LA-950」)を用いて測定した、体積基準のメディアン径である。
帯電性の強さは、何ら規定していなければ、摩擦帯電のし易さである。例えば、日本画像学会から提供される標準キャリア(負帯電極性トナー用標準キャリア:N-01、正帯電極性トナー用標準キャリア:P-01)と測定対象(例えばトナー)とを混ぜて攪拌することで、測定対象を摩擦帯電させる。摩擦帯電させる前と後とでそれぞれ、例えば吸引式小型帯電量測定装置(トレック社製「MODEL 212HS」)で測定対象の帯電量を測定する。摩擦帯電の前後での帯電量の変化が大きい測定対象ほど帯電性が強いことを示す。
軟化点(Tm)の測定値は、何ら規定していなければ、高化式フローテスター(株式会社島津製作所製「CFT-500D」)を用いて測定した値である。高化式フローテスターで測定されたS字カーブ(横軸:温度、縦軸:ストローク)において、「(ベースラインストローク値+最大ストローク値)/2」となる温度が、Tm(軟化点)に相当する。融点(Mp)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いて測定された吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)中の最大吸熱ピークの温度である。この吸熱ピークは、結晶化部位の融解に起因して現れる。ガラス転移点(Tg)の測定値は、何ら規定していなければ、示差走査熱量計(セイコーインスツル株式会社製「DSC-6220」)を用いて「JIS(日本産業規格)K7121-2012」に従って測定した値である。示差走査熱量計で測定された吸熱曲線(縦軸:熱流(DSC信号)、横軸:温度)において、ガラス転移に起因する変曲点の温度(詳しくは、ベースラインの外挿線と立ち下がりラインの外挿線との交点の温度)が、Tg(ガラス転移点)に相当する。
酸価の測定値は、何ら規定していなければ、「JIS(日本産業規格)K0070-1992」で規定された中和滴定法に従い測定した値である。
「有機基(より具体的には、アルキル基等)がフェニル基で置換されていてもよい」とは、有機基の水素原子の一部又は全部がフェニル基で置換されていてもよいことを意味する。
「炭素原子数1以上6以下のアルキル基」は、直鎖状又は分枝鎖状で非置換である。炭素原子数1以上6以下のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、及びn-ヘキシル基が挙げられる。
以下、化合物名の後に「系」を付けて、化合物及びその誘導体を包括的に総称する場合がある。化合物名の後に「系」を付けて重合体名を表す場合には、重合体の繰返し単位が化合物又はその誘導体に由来することを意味する。アクリル及びメタクリルを包括的に「(メタ)アクリル」と総称する場合がある。アクリロニトリル及びメタクリロニトリルを包括的に「(メタ)アクリロニトリル」と総称する場合がある。
<トナー>
本実施形態に係るトナーは、例えば正帯電性トナーとして、静電潜像の現像に好適に用いることができる。正帯電性トナーは、現像装置内で、キャリア、現像スリーブ、又はブレードとの摩擦により正に帯電する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子(詳しくは、後述する第1粒子及び第2粒子)の集合体(例えば粉体)である。トナーは、1成分現像剤として使用してもよい。また、混合装置(例えば、ボールミル)を用いてトナーとキャリアとを混合して、2成分現像剤を調製してもよい。
本実施形態に係るトナーに含まれる第1粒子は、第1コアと、第1コアの表面を覆う第1シェル層とを備える。第1コアは、第1結着樹脂を含み、かつステアリン酸金属塩を含まない。本実施形態に係るトナーに含まれる第2粒子は、第2コアと、第2コアの表面を覆う第2シェル層とを備える。第2コアは、ステアリン酸金属塩を含む。第1シェル層と第2シェル層とは、互いに同種の樹脂から構成されている。第2コア中のステアリン酸金属塩の含有率は、第2コアの全質量に対して、50質量%以上である。第2粒子の個数割合は、第1粒子及び第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
なお、2以上の樹脂が同種であることは、それら樹脂を形成する単量体の種類が同一であることを意味する。ただし、2以上の樹脂が同種であるか否かを判断するときに、樹脂を形成する単量体の組成比は、考慮しない。例えば、単量体の組成比が「スチレン/アクリル酸ブチル=50/50(質量比)」である樹脂と、単量体の組成比が「スチレン/アクリル酸ブチル=30/70(質量比)」である樹脂とは、樹脂を形成する単量体の種類が同一であるから、同種の樹脂である。
以下、第2コアの全質量に対する、第2コア中のステアリン酸金属塩の含有率(単位:質量%)を、「ステアリン酸金属塩含有率」と記載することがある。また、第1粒子及び第2粒子の合計の個数に対する第2粒子の個数割合(単位:%)を、「第2粒子個数割合」と記載することがある。第2粒子個数割合の測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
本実施形態に係るトナーは、上述の構成を備えることにより、画像流れの発生及びかぶりの発生を抑制できる。その理由は、以下のように推測される。
本実施形態に係るトナーは、ステアリン酸金属塩を50質量%以上の含有率で含む第2粒子を含有する。また、本実施形態に係るトナーでは、第2粒子個数割合が5%以上である。これらのことから、本実施形態に係るトナーを画像形成に使用すると、トナーの定着工程において第2シェル層が破壊されることにより、第2コア中のステアリン酸金属塩が感光体表面に供給される。そして、感光体表面に供給されたステアリン酸金属塩に、感光体表面上のイオン性物質が付着する。更にイオン性物質が付着したステアリン酸金属塩が、画像形成装置のクリーニング部材により感光体表面から速やかに除去される。よって、本実施形態に係るトナーによれば、感光体表面上のイオン性物質を、ステアリン酸金属塩と共に効果的に除去できる。従って、本実施形態に係るトナーは、画像流れの発生を抑制できる。
また、本実施形態に係るトナーでは、第1粒子及び第2粒子が、いずれもシェル層を有するトナー粒子(カプセルトナー粒子)であり、かつ第1粒子のシェル層(第1シェル層)と第2粒子のシェル層(第2シェル層)とが互いに同種の樹脂から構成されている。また、ステアリン酸金属塩を含む第2粒子の個数割合(第2粒子個数割合)が、25%以下である。これらのことから、本実施形態に係るトナーは、現像装置内において帯電量分布が比較的シャープになるため、かぶりの発生を抑制できる。
第1粒子は、外添剤を備えていてもよい。第1粒子が外添剤を備える場合には、第1粒子は、第1コア及び第1シェル層を有するトナー母粒子(以下、第1トナー母粒子と記載することがある)と、外添剤とを備える。外添剤は第1トナー母粒子の表面に付着する。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、第1トナー母粒子が第1粒子に相当する。
第2粒子は、外添剤を備えていてもよい。第2粒子が外添剤を備える場合には、第2粒子は、第2コア及び第2シェル層を有するトナー母粒子(以下、第2トナー母粒子と記載することがある)と、外添剤とを備える。外添剤は第2トナー母粒子の表面に付着する。なお、必要がなければ外添剤を割愛してもよい。外添剤を割愛する場合には、第2トナー母粒子が第2粒子に相当する。
第1コアは、第1結着樹脂に加え、必要に応じて、内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤及び磁性粉の少なくとも1つ)を含有してもよい。
第2コアは、ステアリン酸金属塩に加え、必要に応じて、第2結着樹脂、及びステアリン酸金属塩以外の内添剤(例えば、着色剤、離型剤、電荷制御剤及び磁性粉の少なくとも1つ)からなる群より選択される一種以上を含有してもよい。
本実施形態において、画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、ステアリン酸金属塩含有率が55質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
本実施形態において、画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、第2粒子の量は、第1粒子100質量部に対して、5質量部以上33質量部以下であることが好ましい。
本実施形態において、画像形成に適したトナーを得るためには、第1シェル層の厚さは、5nm以上30nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。第1シェル層の厚さの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
本実施形態において、画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、第2シェル層の厚さは、3nm以上30nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましく、10nm以上15nm以下であることが更に好ましい。第2シェル層の厚さの測定方法は、後述する実施例と同じ方法又はそれに準ずる方法である。
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について、適宜図面を参照しながら説明する。なお、参照する図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の大きさ、個数、形状等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合がある。
[トナー粒子の構成]
以下、図1を参照して、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子(より具体的には、第1粒子及び第2粒子)の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るトナーの一部の断面構造の一例を示す図である。なお、説明の容易化のため、図1に示す第1粒子10及び第2粒子20が、いずれも外添剤を備えないトナー粒子である場合について説明する。
図1に示す第1粒子10は、第1コア11と、第1コア11の表面を覆う第1シェル層12とを備える。第1コア11は、第1結着樹脂を含み、かつステアリン酸金属塩を含まない。
画像形成に適したトナーを得るためには、第1コア11の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
画像形成に適したトナーを得るためには、第1コア11の表面領域のうち、第1シェル層12が覆っている領域の面積割合(以下、第1シェル被覆率と記載することがある)は、90%以上であることが好ましく、100%であることが特に好ましい。
図1に示す第2粒子20は、第2コア21と、第2コア21の表面を覆う第2シェル層22とを備える。第2コア21は、ステアリン酸金属塩を含む。
画像形成に適したトナーを得るためには、第2コア21の体積中位径(D50)は、4μm以上9μm以下であることが好ましい。
かぶりの発生をより抑制するためには、第2コア21の表面領域のうち、第2シェル層22が覆っている領域の面積割合(以下、第2シェル被覆率と記載することがある)は、90%以上であることが好ましく、100%であることが特に好ましい。
第1シェル層12と第2シェル層22とは、互いに同種の樹脂から構成されている。第2コア21中のステアリン酸金属塩の含有率は、第2コア21の全質量に対して、50質量%以上である。第2粒子20の個数割合は、第1粒子10及び第2粒子20の合計の個数に対して、5%以上25%以下である。
以上、図1を参照しながら、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の一例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明に係るトナーに含まれるトナー粒子は、外添剤(図示せず)を備えてもよい。例えば図1に示す第1粒子10を第1トナー母粒子とし、この第1トナー母粒子の表面に外添剤が付着したトナー粒子を、本発明に係るトナーに含まれる第1粒子としてもよい。また、例えば図1に示す第2粒子20を第2トナー母粒子とし、この第2トナー母粒子の表面に外添剤が付着したトナー粒子を、本発明に係るトナーに含まれる第2粒子としてもよい。
[トナー粒子の要素]
次に、本実施形態に係るトナーに含まれるトナー粒子の要素について説明する。
{第1粒子}
以下、第1粒子に含まれる成分について説明する。
(第1結着樹脂)
第1コアは、例えば全成分の80質量%以上を第1結着樹脂が占める。このため、第1結着樹脂の性質が第1コア全体の性質に大きな影響を与えると考えられる。第1結着樹脂として複数種の樹脂を組み合わせて使用することで、第1結着樹脂の性質(より具体的には、Tg等)を調整することができる。
低温定着性に優れるトナーを得るためには、第1コアは、第1結着樹脂として熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、第1結着樹脂全体の85質量%以上の割合で熱可塑性樹脂を含有することがより好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル酸エステル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、第1結着樹脂として使用できる。
熱可塑性樹脂は、一種以上の熱可塑性単量体を、付加重合、共重合、又は縮重合させることで得られる。なお、熱可塑性単量体は、単独重合により熱可塑性樹脂になる単量体(より具体的には、アクリル酸エステル系単量体、スチレン系単量体等)、又は縮重合により熱可塑性樹脂になる単量体(例えば、縮重合によりポリエステル樹脂になる多価アルコール及び多価カルボン酸の組合せ)である。
低温定着性に優れるトナーを得るためには、第1コアが、第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含有することが好ましく、第1結着樹脂全体の80質量%以上100質量%以下の割合でポリエステル樹脂を含有することがより好ましい。後述する繰返し単位(1-1)中のオキサゾリン基との反応性を高めるためには、第1結着樹脂として含有されるポリエステル樹脂の酸価が、10mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、一種以上の多価アルコールと一種以上の多価カルボン酸とを縮重合させることで得られる。ポリエステル樹脂を合成するための多価アルコールとしては、例えば以下に示すような、2価アルコール(より具体的には、脂肪族ジオール、ビスフェノール等)、及び3価以上のアルコールが挙げられる。ポリエステル樹脂を合成するための多価カルボン酸としては、例えば以下に示すような、2価カルボン酸、及び3価以上のカルボン酸が挙げられる。なお、多価カルボン酸の代わりに、縮重合によりエステル結合を形成できる多価カルボン酸誘導体(より具体的には、多価カルボン酸の無水物、多価カルボン酸ハライド等)を使用してもよい。
脂肪族ジオールの好適な例としては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロパンジオール、α,ω-アルカンジオール(より具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,12-ドデカンジオール等)、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコールが挙げられる。
ビスフェノールの好適な例としては、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、及びビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物が挙げられる。
3価以上のアルコールの好適な例としては、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、及び1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。
2価カルボン酸の好適な例としては、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、1,10-デカンジカルボン酸、コハク酸、アルキルコハク酸(より具体的には、n-ブチルコハク酸、イソブチルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等)、及びアルケニルコハク酸(より具体的には、n-ブテニルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等)が挙げられる。
3価以上のカルボン酸の好適な例としては、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、及びエンポール三量体酸が挙げられる。
第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を使用する場合、ポリエステル樹脂は、非結晶性ポリエステル樹脂であっても、結晶性ポリエステル樹脂であってもよい。広い定着温度幅を容易に確保しつつ、低温定着性に優れるトナーを得るためには、第1コアは、第1結着樹脂として、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。第1コアが非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含む場合、非結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の混合比は、特に限定されず、例えば非結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して結晶性ポリエステル樹脂を1質量部以上30質量部以下の範囲で混合すればよい。なお、非結晶性ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計を用いて測定される吸熱曲線において明確な吸熱ピークが認められないポリエステル樹脂を指す。
(着色剤)
第1コアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、トナーの色に合わせて公知の顔料又は染料を用いることができる。トナーを用いて高画質の画像を形成するためには、第1コア中の着色剤の量が、第1結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
第1コアは、黒色着色剤を含有していてもよい。黒色着色剤の例としては、カーボンブラックが挙げられる。また、黒色着色剤は、イエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤を用いて黒色に調色された着色剤であってもよい。
第1コアは、カラー着色剤を含有していてもよい。カラー着色剤としては、例えばイエロー着色剤、マゼンタ着色剤、及びシアン着色剤が挙げられる。
イエロー着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリールアミド化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。イエロー着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー(3、12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、191、及び194)、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、並びにC.I.バットイエローが挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。マゼンタ着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド(2、3、5、6、7、19、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221、及び254)が挙げられる。
シアン着色剤としては、例えば、銅フタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、及び塩基染料レーキ化合物からなる群より選択される一種以上の化合物を使用できる。シアン着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー(1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、及び66)、フタロシアニンブルー、C.I.バットブルー、並びにC.I.アシッドブルーが挙げられる。
(離型剤)
第1コアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤は、例えば、耐オフセット性に優れるトナーを得るために使用される。耐オフセット性に優れるトナーを得るためには、第1コア中の離型剤の量は、第1結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
離型剤としては、例えば、エステルワックス、ポリオレフィンワックス(より具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、マイクロクリスタリンワックス、フッ素樹脂ワックス、フィッシャートロプシュワックス、パラフィンワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、及びカスターワックスが挙げられる。エステルワックスとしては、天然エステルワックス(より具体的には、カルナバワックス、ライスワックス等)、及び合成エステルワックスが挙げられる。本実施形態では、一種の離型剤を単独で使用してもよいし、複数種の離型剤を併用してもよい。
第1結着樹脂と離型剤との相溶性を改善するために、相溶化剤を第1コアに添加してもよい。
(電荷制御剤)
第1コアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤は、例えば、帯電安定性又は帯電立ち上がり特性に優れるトナーを得るために使用される。トナーの帯電立ち上がり特性は、短時間で所定の帯電レベルにトナーを帯電させることができるか否かの指標になる。
第1コアに正帯電性の電荷制御剤を含有させることで、第1コアのカチオン性(正帯電性)を強めることができる。また、第1コアに負帯電性の電荷制御剤を含有させることで、第1コアのアニオン性(負帯電性)を強めることができる。
正帯電性の電荷制御剤の例としては、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2-オキサジン、1,3-オキサジン、1,4-オキサジン、1,2-チアジン、1,3-チアジン、1,4-チアジン、1,2,3-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,3,5-トリアジン、1,2,4-オキサジアジン、1,3,4-オキサジアジン、1,2,6-オキサジアジン、1,3,4-チアジアジン、1,3,5-チアジアジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、1,2,4,6-オキサトリアジン、1,3,4,5-オキサトリアジン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン等のアジン化合物;アジンファストレッドFC、アジンファストレッド12BK、アジンバイオレットBO、アジンブラウン3G、アジンライトブラウンGR、アジンダークグリ-ンBH/C、アジンディープブラックEW、アジンディープブラック3RL等の直接染料;ニグロシンBK、ニグロシンNB、ニグロシンZ等の酸性染料;アルコキシル化アミン;アルキルアミド;ベンジルデシルヘキシルメチルアンモニウムクロライド、デシルトリメチルアンモニウムクロライド、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩等の4級アンモニウム塩;4級アンモニウムカチオン基を含む樹脂が挙げられる。これらの電荷制御剤の一種のみを使用してもよく、二種以上の電荷制御剤を組み合わせて使用してもよい。
負帯電性の電荷制御剤の例としては、キレート化合物である有機金属錯体が挙げられる。有機金属錯体としては、アセチルアセトン金属錯体、サリチル酸系金属錯体、及びこれらの塩からなる群より選択される一種以上が好ましい。
帯電安定性に優れるトナーを得るためには、第1コア中の電荷制御剤の量は、第1結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。
(磁性粉)
第1コアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉の材料としては、例えば、強磁性金属(より具体的には、鉄、コバルト、ニッケル等)及びその合金、強磁性金属酸化物(より具体的には、フェライト、マグネタイト、二酸化クロム等)、並びに強磁性化処理が施された材料(より具体的には、熱処理により強磁性が付与された炭素材料等)が挙げられる。本実施形態では、一種の磁性粉を単独で使用してもよいし、複数種の磁性粉を併用してもよい。
(第1シェル層)
次に、第1シェル層について説明する。第1シェル層は、後述する第2シェル層の構成樹脂と同種の樹脂から構成される限り、特に限定されない。第1シェル層の構成樹脂としては、例えば、公知の熱硬化性樹脂及び公知の熱可塑性樹脂からなる群より選択される一種以上の樹脂が使用できる。
第1シェル層の構成樹脂として熱硬化性樹脂を使用する場合、使用可能な熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グリオキザール樹脂、及びグアナミン樹脂が挙げられる。
第1シェル層の構成樹脂として熱可塑性樹脂を使用する場合、使用可能な熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、オレフィン系樹脂(より具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等)、ビニル樹脂(より具体的には、塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ビニルエーテル樹脂、N-ビニル樹脂等)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が挙げられる。また、これら各樹脂の共重合体、すなわち上記樹脂中に任意の繰返し単位が導入された共重合体(より具体的には、スチレン-アクリル酸系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂等)も、第1シェル層の構成樹脂として使用できる。
第1コアが第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含む場合、第1シェル被覆率を高めるためには、第1シェル層が下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)と記載することがある)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されていることが好ましい。
Figure 0007318482000001
式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。R1の好適な例としては、水素原子、メチル基、エチル基、及びイソプロピル基が挙げられる。第1シェル被覆率を高めるためには、R1としては、水素原子が好ましい。
化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物は、化合物(1)と、他のビニル化合物とを共重合させた重合物であってもよい。なお、ビニル化合物は、ビニル基(CH2=CH-)、又はビニル基中の水素が置換された基を有する化合物(より具体的には、エチレン、プロピレン、ブタジエン、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン等)である。ビニル化合物は、上記ビニル基等に含まれる炭素-炭素二重結合(C=C)により付加重合して、高分子(樹脂)になり得る。
第1シェル被覆率をより高めるためには、他のビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(より具体的には、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステル)、及びスチレン系単量体(より具体的には、スチレン)からなる群より選択される一種以上のビニル化合物が好ましい。
他のビニル化合物として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合、第1シェル層を容易に形成するためには、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル(より具体的には、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等)、及び(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルからなる群より選択される一種以上が好ましい。
化合物(1)は、付加重合により下記式(1-1)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1-1)と記載することがある)を形成する。下記式(1-1)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。
Figure 0007318482000002
繰返し単位(1-1)は、未開環のオキサゾリン基を有する。未開環のオキサゾリン基は、環状構造を有し、強い正帯電性を示す。未開環のオキサゾリン基は、カルボキシ基、芳香族性スルファニル基、及び芳香族性ヒドロキシ基と反応し易い。例えば、第1シェル層の形成中に繰返し単位(1-1)が第1コア中のポリエステル樹脂のカルボキシ基と反応すると、オキサゾリン基が開環し、下記式(1-2)に示すようにアミド結合及びエステル結合が形成される。こうした結合が形成されることで、第1コアと第1シェル層との結合が強固になり、第1コアからの第1シェル層の脱離が抑制されることになる。なお、下記式(1-2)中のR1は、式(1)中のR1と同義である。また、下記式(1-2)中の*は、第1コア中の原子に結合する部位を表す。
Figure 0007318482000003
本実施形態に係るトナーが正帯電性トナーである場合、トナーの正帯電性を安定して維持しつつ、第1コアからの第1シェル層の脱離を抑制するためには、第1シェル層は、繰返し単位(1-1)と、式(1-2)で表される繰返し単位(以下、繰返し単位(1-2)と記載することがある)とを有するビニル樹脂を含有することが好ましい。以下、繰返し単位(1-1)と繰返し単位(1-2)とを少なくとも含む樹脂を、特定ビニル樹脂と記載することがある。本実施形態に係るトナーが正帯電性トナーである場合、トナーの正帯電性をより安定して維持しつつ、第1コアからの第1シェル層の脱離をより抑制するためには、第1シェル層が特定ビニル樹脂から構成されている(第1シェル層を構成する樹脂が特定ビニル樹脂のみである)ことが好ましい。
特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-1)の割合(モル比)が高くなるほど、特定ビニル樹脂の正帯電性(ひいてはトナーの正帯電性)が高くなる傾向がある。一方、特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-2)の割合(モル比)が高くなるほど、第1コアと第1シェル層との結合が強固になる傾向がある。特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-1)と繰返し単位(1-2)とのモル比は、例えば、第1コア中のポリエステル樹脂の酸価を変更することにより調整できる。
第1シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたことを確認する方法としては、例えば、以下に示す方法が挙げられる。詳しくは、所定量の第1粒子(試料)を溶剤に溶解させる。得られた溶液をNMR(核磁気共鳴)測定用試験管に入れ、NMR装置を用いて1H-NMRスペクトルを測定する。1H-NMRスペクトルでは、化学シフトδ6.5付近に、第2級アミドに由来する三重線(トリプレット)のシグナルが出現する。よって、得られた1H-NMRスペクトルにおいて、化学シフトδ6.5付近に三重線のシグナルが確認されれば、第1シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたと推定される。1H-NMRスペクトルの測定条件の一例としては、以下に示す条件が挙げられる。
1H-NMRスペクトルの測定条件の一例)
NMR装置:フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT-NMR)(日本電子株式会社製「JNM-AL400」)
NMR測定用試験管:5mm試験管
溶剤:重水素化クロロホルム(1mL)
試料温度:20℃
試料質量:20mg
積算回数:128回
化学シフトの内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)
第1シェル被覆率をより高めるためには、特定ビニル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位を更に含むことが好ましい。第1シェル被覆率を更に高めるためには、特定ビニル樹脂は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位の少なくとも一種、繰返し単位(1-1)及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含むことが好ましい。
第1シェル層を形成するための原料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WSシリーズ」)を使用できる。このうち、「エポクロスWS-300」は、2-ビニル-2-オキサゾリン(化合物(1)の一種)と、メタクリル酸メチルとの共重合体(共重合体を形成する単量体の質量比:メタクリル酸メチル/2-ビニル-2-オキサゾリン=1/9)を含む。また、「エポクロスWS-700」は、2-ビニル-2-オキサゾリンと、メタクリル酸メチルと、アクリル酸ブチルとの共重合体(共重合体を形成する単量体の質量比:メタクリル酸メチル/2-ビニル-2-オキサゾリン/アクリル酸ブチル=4/5/1)を含む。
(外添剤)
第1粒子は、外添剤を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、上述した図1に示す第1粒子10を第1トナー母粒子として用い、この第1トナー母粒子(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、第1トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
外添剤粒子としては、無機粒子が好ましく、シリカ粒子、及び金属酸化物(より具体的には、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム等)の粒子が特に好ましい。本実施形態では、一種類の外添剤粒子を単独で使用してもよいし、複数種の外添剤粒子を併用してもよい。
外添剤粒子は、表面処理されていてもよい。例えば、外添剤粒子としてシリカ粒子を使用する場合、表面処理剤によりシリカ粒子の表面に疎水性及び/又は正帯電性が付与されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、カップリング剤(より具体的には、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等)、シラザン化合物(より具体的には、鎖状シラザン化合物、環状シラザン化合物等)、及びシリコーンオイル(より具体的には、ジメチルシリコーンオイル等)が挙げられる。表面処理剤としては、シランカップリング剤及びシラザン化合物からなる群より選ばれる一種以上が特に好ましい。シランカップリング剤の好適な例としては、シラン化合物(より具体的には、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン等)が挙げられる。シラザン化合物の好適な例としては、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)が挙げられる。シリカ基体(未処理のシリカ粒子)の表面が表面処理剤で処理されると、シリカ基体の表面に存在する多数のヒドロキシ基(-OH)が部分的に又は全体的に、表面処理剤に由来する官能基に置換される。その結果、表面処理剤に由来する官能基(詳しくは、ヒドロキシ基よりも疎水性及び/又は正帯電性の強い官能基)を表面に有するシリカ粒子が得られる。
{第2粒子}
次に、第2粒子に含まれる成分について説明する。以下、上述した第1粒子の説明と重複する内容については、説明を省略する場合がある。
(ステアリン酸金属塩)
第2コアに含まれるステアリン酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉄、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸銅、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸カドミウム、及びステアリン酸マグネシウムが挙げられる。画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、第2コアに含まれるステアリン酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムが好ましい。
ステアリン酸金属塩は、例えば第2コアを調製する際の材料(成分)としてステアリン酸金属塩粒子を使用することにより、第2コア中に含有させることができる。
(第2結着樹脂)
第2コアは、第2結着樹脂を含有していてもよい。第2結着樹脂としては、例えば、上述した第1結着樹脂の例として挙げた樹脂が使用できる。第2結着樹脂は、第1結着樹脂と同種の樹脂であっても、異なる樹脂であってもよい。第2結着樹脂として好ましい樹脂は、上述した第1結着樹脂として好ましい樹脂と同じである。
画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、第2結着樹脂の量が、ステアリン酸金属塩100質量部に対して、1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、2質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
(着色剤)
第2コアは、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、例えば、上述した第1コアに含まれる着色剤の例として挙げたものが使用できる。第2コア中の着色剤は、第1コア中の着色剤と同種であっても、異なっていてもよい。画像形成に適したトナーを得るためには、第2コア中の着色剤の量が、ステアリン酸金属塩100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上6.0質量部以下であることがより好ましい。
(離型剤)
第2コアは、離型剤を含有していてもよい。離型剤としては、例えば、上述した第1コアに含まれる離型剤の例として挙げたものが使用できる。第2コア中の離型剤は、第1コア中の離型剤と同種であっても、異なっていてもよい。耐オフセット性に優れるトナーを得るためには、第2コア中の離型剤の量が、ステアリン酸金属塩100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
(電荷制御剤)
第2コアは、電荷制御剤を含有していてもよい。電荷制御剤としては、例えば、上述した第1コアに含まれる電荷制御剤の例として挙げたものが使用できる。第2コア中の電荷制御剤は、第1コア中の電荷制御剤と同種であっても、異なっていてもよい。帯電安定性に優れるトナーを得るためには、第2コア中の電荷制御剤の量が、ステアリン酸金属塩100質量部に対して、1質量部以上3質量部以下であることが好ましい。
(磁性粉)
第2コアは、磁性粉を含有していてもよい。磁性粉としては、例えば、上述した第1コアに含まれる磁性粉の例として挙げたものが使用できる。第2コア中の磁性粉は、第1コア中の磁性粉と同種であっても、異なっていてもよい。
(第2シェル層)
次に、第2シェル層について説明する。第2シェル層は、上述した第1シェル層の構成樹脂と同種の樹脂から構成されている。
第2コアが第2結着樹脂としてポリエステル樹脂を更に含む場合、第2シェル被覆率を高めるためには、第2シェル層が化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されていることが好ましい。なお、第2シェル層が化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されている場合、第1シェル層についても、化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されている。また、第1シェル層が化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されている場合、第1シェル被覆率を高めるためには、第1コアは、第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含むことが好ましい。よって、第1シェル被覆率及び第2シェル被覆率を高めるためには、第1コアが第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、第2コアが第2結着樹脂としてポリエステル樹脂を更に含み、第1シェル層及び第2シェル層が、いずれも化合物(1)を少なくとも含む単量体の重合物(樹脂)から構成されていることが好ましい。
本実施形態に係るトナーが正帯電性トナーである場合、トナーの正帯電性を安定して維持しつつ、第2コアからの第2シェル層の脱離を抑制するためには、第2シェル層が特定ビニル樹脂から構成されている(第2シェル層を構成する樹脂が特定ビニル樹脂のみである)ことが好ましい。特定ビニル樹脂中の繰返し単位(1-1)と繰返し単位(1-2)とのモル比は、例えば、第2コア中のポリエステル樹脂の酸価を変更することにより調整できる。なお、第2シェル層を構成する特定ビニル樹脂について、繰返し単位(1-2)を表す式(1-2)中の*は、第2コア中の原子に結合する部位を表す。
第2シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたことを確認する方法としては、例えば、上述した第1シェル層の形成中にオキサゾリン基が開環して繰返し単位(1-2)が形成されたことを確認する方法と同じ方法が挙げられる。
(外添剤)
第2粒子は、外添剤を更に備えてもよい。外添剤の外添方法としては、例えば、上述した図1に示す第2粒子20を第2トナー母粒子として用い、この第2トナー母粒子(粉体)と外添剤粒子(粉体)とを一緒に攪拌することで、第2トナー母粒子の表面に外添剤粒子を付着させる方法が挙げられる。
外添剤粒子としては、例えば、上述した第1粒子に含まれる外添剤粒子の例として挙げたものが使用できる。第2粒子中の外添剤粒子は、第1粒子中の外添剤粒子と同種であっても、異なっていてもよい。
第1粒子及び第2粒子の双方が外添剤を更に備える場合、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子からの外添剤粒子の脱離を抑制しながら外添剤の機能を十分に発揮させるためには、外添剤の量(複数種の外添剤粒子を使用する場合には、それら外添剤粒子の合計量)が、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子の合計100質量部に対して、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
{材料の好適な組合せ}
本実施形態に係るトナーが正帯電性トナーである場合、トナーの正帯電性をより安定して維持しつつ、画像流れの発生及びかぶりの発生をより抑制するためには、第1シェル層及び第2シェル層は、いずれも特定ビニル樹脂から構成されていることが好ましい。
また、画像流れの発生及びかぶりの発生を特に抑制できるトナーを得るためには、トナーの構成材料が、下記条件1を満たすことが好ましく、下記条件2を満たすことがより好ましい。
条件1:第2コア中のステアリン酸金属塩がステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムであり、第1コアが第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、第2コアが第2結着樹脂としてポリエステル樹脂を更に含み、第1シェル層及び第2シェル層が、いずれも特定ビニル樹脂から構成されている。
条件2:上記条件1を満たし、かつ第1シェル層及び第2シェル層を構成する特定ビニル樹脂が、いずれも(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する繰返し単位の少なくとも一種、繰返し単位(1-1)及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含む。
<トナーの製造方法>
次に、上述した実施形態に係るトナーの好適な製造方法について説明する。以下、上述した実施形態に係るトナーと重複する構成要素については説明を省略する。なお、以下において、第1コア及び第2コアを、まとめて「コア」と記載することがある。また、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を、まとめて「トナー母粒子」と記載することがある。
[トナー母粒子の調製工程]
(コアの調製工程)
まず、凝集法又は粉砕法によりコアを調製する。
凝集法は、例えば、凝集工程及び合一化工程を含む。凝集工程では、コア(詳しくは、第1コア及び第2コアのいずれか)を構成する成分を含む微粒子を水性媒体中で凝集させて、凝集粒子を形成する。合一化工程では、凝集粒子に含まれる成分を水性媒体中で合一化させてコアを形成する。
次に粉砕法を説明する。粉砕法によれば、比較的容易にコアを調製できる上、製造コストの低減が可能である。粉砕法でコアを調製する場合、コアの調製工程は、例えば溶融混練工程と、粉砕工程とを備える。コアの調製工程は、溶融混練工程の前に混合工程を更に備えてもよい。また、コアの調製工程は、粉砕工程後に、微粉砕工程及び分級工程の少なくとも一方を更に備えてもよい。
混合工程では、例えば、コア(詳しくは、第1コア及び第2コアのいずれか)を構成する成分を混合して、混合物を得る。溶融混練工程では、トナー材料を溶融し混練して、溶融混練物を得る。トナー材料としては、例えば混合工程で得られる混合物が用いられる。粉砕工程では、得られた溶融混練物を、例えば室温(25℃)まで冷却した後、粉砕して粉砕物を得る。粉砕工程で得られた粉砕物の小径化が必要な場合は、粉砕物を更に粉砕する工程(微粉砕工程)を実施してもよい。また、粉砕物の粒径を揃える場合は、得られた粉砕物を分級する工程(分級工程)を実施してもよい。以上の工程により、粉砕物であるコアが得られる。
(シェル層の形成工程)
次いで、反応容器に、得られた第1コア及び第2コアと、第1シェル層及び第2シェル層を形成するための原料(シェル原料)と、水(例えばイオン交換水)とを入れる。シェル原料としては、例えばオキサゾリン基含有高分子水溶液が挙げられる。次いで、容器内容物を攪拌しながら、容器内温が設定温度(例えば50℃以上70℃以下の温度)になるまで昇温させる。この際の昇温速度は、例えば0.4℃/分以上0.6℃/分以下である。
容器内温が設定温度に到達した後、設定温度を所定時間(例えば30分以上180分以下の時間)保ちつつ、容器内容物を攪拌することにより、第1コアの表面を覆う第1シェル層が形成されると共に、第2コアの表面を覆う第2シェル層が形成され、トナー母粒子を含む分散液が得られる。シェル原料としてオキサゾリン基含有高分子水溶液を用いた場合は、容器内温が設定温度に到達するまでの間、及び/又は設定温度を所定時間保っている間に、オキサゾリン基含有高分子のオキサゾリン基の一部が、例えばコアの表面に存在するカルボキシ基の一部と反応することで開環する。このオキサゾリン基の開環と共に、コア(詳しくは第1コア及び第2コア)と、オキサゾリン基含有高分子を含むシェル層(詳しくは第1シェル層及び第2シェル層)との間にアミド結合及びエステル結合が形成される。
第1シェル層の厚さ、第2シェル層の厚さ、第1シェル被覆率及び第2シェル被覆率は、各々、例えば、コア中の結着樹脂の酸価、シェル原料の固形分濃度、及びコアの質量に対するシェル原料の使用量のうちの少なくとも1つを変更することにより、調整できる。
[洗浄工程及び乾燥工程]
続いて、得られた分散液中のトナー母粒子をイオン交換水で洗浄した後、例えば連続式表面改質装置を用いてトナー母粒子を乾燥させる。これにより、トナー母粒子の粉体が得られる。
[外添工程]
その後、必要に応じて、混合機(例えば、日本コークス工業株式会社製のFMミキサー)を用いて、得られたトナー母粒子と外添剤とを混合して、トナー母粒子の表面に外添剤を付着させてもよい。なお、トナー母粒子に外添剤を付着させずに、トナー母粒子(より詳しくは、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子)をトナー粒子(より詳しくは、第1粒子及び第2粒子)として使用してもよい。こうして、上述した実施形態に係るトナー(トナー粒子の粉体)が得られる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例の範囲に何ら限定されるものではない。
<結着樹脂の合成>
以下、結着樹脂(詳しくは、第1結着樹脂及び第2結着樹脂)として使用する非結晶性ポリエステル樹脂R-1及び複合樹脂R-2の合成方法について説明する。
[非結晶性ポリエステル樹脂R-1の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量1Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物(プロピレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの平均付加モル数:2モル)100gと、テレフタル酸50gと、アジピン酸30gと、2-エチルヘキサン酸錫(II)54gとを入れた。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内温が235℃になるまで2時間かけてフラスコを加熱した。続けて、窒素雰囲気かつ温度235℃の条件で、反応率が90質量%に達するまで、フラスコ内容物を反応させた。反応率は、式「反応率=100×実際の反応生成水量/理論生成水量」に従って計算した。続けて、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度235℃の条件で、反応生成物(樹脂)のTmが所定の温度(90℃)になるまでフラスコ内容物を反応させて、非結晶性ポリエステル樹脂R-1を得た。非結晶性ポリエステル樹脂R-1は、Tgが30℃であり、Tmが90℃であり、酸価が15mgKOH/gであった。
[複合樹脂R-2の合成]
温度計(熱電対)、脱水管、窒素導入管、及び攪拌装置を備えた容量2Lの4つ口フラスコをマントルヒーターにセットした。続けて、フラスコ内に、エチレングリコール69gと、セバシン酸214gと、2-エチルヘキサン酸錫(II)54gとを入れた。続けて、フラスコ内を窒素雰囲気にした後、フラスコ内温が235℃になるまで2時間かけてフラスコを加熱した。続けて、窒素雰囲気かつ温度235℃の条件で、前述の式で表される反応率が95質量%に達するまでフラスコ内容物を反応させた後、フラスコ内温が160℃になるまでフラスコを冷却した。続けて、フラスコ内に、スチレン156gとメタクリル酸ブチル195gとジブチルパーオキサイド0.5gとの混合溶液を、滴下漏斗により1時間かけて滴下した。続けて、窒素雰囲気かつ温度160℃の条件に、フラスコ内容物を30分間保った。続けて、減圧雰囲気(圧力8kPa)かつ温度200℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させた後、フラスコ内温が180℃になるまでフラスコを冷却した。続けて、フラスコ内に、ラジカル重合禁止剤である4-t-ブチルカテコール1.0gを入れた後、減圧雰囲気(圧力8kPa)下、フラスコ内温が210℃になるまで2時間かけてフラスコを加熱した。続けて、減圧雰囲気(圧力40kPa)かつ温度210℃の条件で、フラスコ内容物を1時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂とスチレン-メタクリル酸ブチル共重合体との複合樹脂である複合樹脂R-2を得た。複合樹脂R-2は、酸価が15mgKOH/gであった。
<トナーの作製>
以下、トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7の作製方法について説明する。なお、以下において、ステアリン酸金属塩を含まないコアを第1コアとし、ステアリン酸金属塩を含むコアを第2コアとして説明する。また、第1コアを有するトナー母粒子を第1トナー母粒子とし、第2コアを有するトナー母粒子を第2トナー母粒子として説明する。また、第1トナー母粒子を有するトナー粒子を第1粒子とし、第2トナー母粒子を有するトナー粒子を第2粒子として説明する。
[トナーTA-1の作製]
(第1コアの調製工程)
100質量部の非結晶性ポリエステル樹脂R-1と、12質量部の複合樹脂R-2と、7質量部の離型剤(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)WEP-8」、成分:エステルワックス)と、9質量部の着色剤(三菱ケミカル株式会社製「MA100」、成分:カーボンブラック)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に投入し、上記FMミキサーを用いて、投入された材料を回転速度1200rpmで3分間混合した。
続けて、得られた混合物を、2軸押出機(株式会社池貝製「PCM-30」)を用いて、材料供給速度100g/分、軸回転速度150rpm、シリンダー温度100℃の条件で溶融混練した。その後、得られた溶融混練物を冷却した。続けて、冷却された溶融混練物を、粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製「ロートプレックス(登録商標)」)を用いて、設定粒子径2mmの条件で粗粉砕した。続けて、得られた粗粉砕物を、粉砕機(フロイント・ターボ株式会社製「ターボミル RS型」)を用いて微粉砕した。続けて、得られた微粉砕物を、分級機(日鉄鉱業株式会社製「エルボージェットEJ-LABO型」)を用いて分級した。その結果、体積中位径(D50)6.7μmの第1コアが得られた。
(第2コアの調製工程)
FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-20B」)に材料を投入する際、300質量部のステアリン酸亜鉛粒子(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)MZ-2」)を更に投入したこと以外は、上述した第1コアの調製と同じ方法で、体積中位径(D50)6.7μmの第2コアを得た。
(シェル層の形成工程)
温度計及び攪拌羽根を備えた容量1Lの3つ口フラスコに、イオン交換水100mLを入れた後、ウォーターバスを用いてフラスコ内温を30℃に保持した。次いでフラスコ内に、シェル原料として10gのオキサゾリン基含有高分子水溶液(株式会社日本触媒製「エポクロス(登録商標)WS-700」、固形分濃度:25質量%)を投入し、フラスコ内容物を攪拌した。次いで、フラスコ内に、上述の方法で得た第1コア95gと、上述の方法で得た第2コア5gとを投入し、フラスコ内温30℃かつ回転速度200rpmの条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。次いで、フラスコ内に、イオン交換水100mLを添加し、更にアンモニア水溶液(濃度1質量%)4mLを添加した後、フラスコ内容物を回転速度150rpmで攪拌しながら、0.5℃/分の昇温速度でフラスコ内温を60℃まで上げた。次いで、フラスコ内温60℃かつ回転速度100rpmの条件で、フラスコ内容物を1時間攪拌した。フラスコ内温を60℃に保っている間に、第1コアの表面を覆う第1シェル層が形成され、第1トナー母粒子が得られた。また、フラスコ内温を60℃に保っている間に、第2コアの表面を覆う第2シェル層が形成され、第2トナー母粒子が得られた。攪拌終了後、フラスコ内にアンモニア水溶液(濃度1質量%)を加えてフラスコ内容物のpHを7に調整し、フラスコ内容物を、その温度が25℃になるまで冷却して、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を含む分散液を得た。なお、第1シェル層及び第2シェル層は、いずれも、メタクリル酸メチルに由来する繰返し単位、アクリル酸ブチルに由来する繰返し単位、繰返し単位(1-1)、及び繰返し単位(1-2)のみを繰返し単位として含む特定ビニル樹脂から構成されていた。
(洗浄工程)
次いで、得られた分散液を、ブフナー漏斗を用いてろ過(固液分離)して、ウェットケーキ状の第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を得た。次いで、得られたウェットケーキ状の第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子をイオン交換水に再分散させた後、ブフナー漏斗を用いてろ過した。更に、再分散とろ過とを5回繰り返して、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を洗浄した。
(乾燥工程)
次いで、洗浄した第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を、濃度50質量%のエタノール水溶液に分散させた。これにより、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を含むスラリーが得られた。続けて、連続式表面改質装置(フロイント産業株式会社製「コートマイザー(登録商標)」)を用いて、熱風温度45℃かつブロアー風量2m3/分の条件で、スラリー中の第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子を乾燥させた。その結果、第1トナー母粒子及び第2トナー母粒子の粉体が得られた。
(外添工程)
得られた第1トナー母粒子の全量及び第2トナー母粒子の全量と、シリカ粒子(日本アエロジル株式会社製「AEROSIL(登録商標)REA90」、表面処理剤により正帯電性が付与されたシリカ粒子)とを、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製「FM-10B」)に投入した。この際、シリカ粒子の投入量は、第1トナー母粒子と第2トナー母粒子との合計100質量部に対して3.0質量部であった。続けて、上記FMミキサーを用いて、回転速度3000rpmかつジャケット温度20℃の条件で投入された材料を5分間混合した。これにより、第1トナー母粒子の表面及び第2トナー母粒子の表面に、外添剤(シリカ粒子の粉体)の全量を付着させた。
続けて、得られた粉体を、200メッシュ(目開き75μm)の篩を用いて篩別した。その結果、正帯電性のトナーであるトナーTA-1(第1粒子及び第2粒子の粉体)が得られた。なお、篩別の前後で、トナーを構成する成分の組成比は変化しなかった。
[トナーTA-2の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内への第1コアの投入量を75gとし、フラスコ内への第2コアの投入量を25gとしたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-2を得た。
[トナーTA-3の作製]
第2コアの調製工程において、FMミキサーへのステアリン酸亜鉛粒子の投入量を156質量部に変更したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-3を得た。
[トナーTA-4の作製]
第2コアの調製工程において、FMミキサーへのステアリン酸亜鉛粒子の投入量を4139質量部に変更したこと、及びシェル層の形成工程において、フラスコ内への第1コアの投入量を75gとし、フラスコ内への第2コアの投入量を25gとしたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-4を得た。
[トナーTA-5の作製]
第2コアの調製工程において、300質量部のステアリン酸亜鉛粒子の代わりに300質量部のステアリン酸カルシウム粒子(堺化学工業株式会社製)を使用したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTA-5を得た。
[トナーTB-1の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内に第2コアを投入しなかったこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-1を得た。なお、トナーTB-1を作製する際の外添工程では、トナー母粒子として第1トナー母粒子のみを用いた。
[トナーTB-2の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内に第2コアを投入しなかったこと、及び外添工程において、1.0質量部のステアリン酸亜鉛粒子(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)MZ-2」)を更に投入したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-2を得た。なお、トナーTB-2を作製する際の外添工程では、トナー母粒子として第1トナー母粒子のみを用いた。また、外添工程において投入されたステアリン酸亜鉛粒子の上記量(1.0質量部)は、第1トナー母粒子100質量部に対する量である。
[トナーTB-3の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内に第2コアを投入しなかったこと、及び外添工程において、0.5質量部のステアリン酸亜鉛粒子(日油株式会社製「ニッサンエレクトール(登録商標)MZ-2」)を更に投入したこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-3を得た。なお、トナーTB-3を作製する際の外添工程では、トナー母粒子として第1トナー母粒子のみを用いた。また、外添工程において投入されたステアリン酸亜鉛粒子の上記量(0.5質量部)は、第1トナー母粒子100質量部に対する量である。
[トナーTB-4の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内への第1コアの投入量を97gとし、フラスコ内への第2コアの投入量を3gとしたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-4を得た。
[トナーTB-5の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内への第1コアの投入量を70gとし、フラスコ内への第2コアの投入量を30gとしたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-5を得た。
[トナーTB-6の作製]
第2コアの調製工程において、FMミキサーへのステアリン酸亜鉛粒子の投入量を105質量部に変更したこと、及びシェル層の形成工程において、フラスコ内への第1コアの投入量を75gとし、フラスコ内への第2コアの投入量を25gとしたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-6を得た。
[トナーTB-7の作製]
シェル層の形成工程において、フラスコ内に第2コアを投入しなかったこと、及び外添工程において、第2トナー母粒子の粉体の代わりに同質量の第2コアの粉体(トナーTA-1の作製に用いた第2コアと同じ調製方法で得られたコアの粉体)を用いたこと以外は、トナーTA-1の作製と同じ方法で、正帯電性のトナーTB-7を得た。
<第2粒子個数割合の測定>
測定対象のトナー(トナーTA-1~TA-5及びTB-4~TB-7のいずれか)を光硬化性のエポキシ樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D-800」)中に十分に分散させた後、得られた分散体を、温度40℃の雰囲気下、紫外線照射しながら2日間硬化させた。硬化後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトームを用いて、得られた硬化物を切削することで、薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に5分間暴露して、ルテニウム染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H-7100FA」)を用いて撮影した。
次いで、得られた断面撮影像内の粒子を無作為に500個選択した。次いで、選択した500個の粒子において第2コアを有する粒子(第2粒子)を、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いて識別し、その個数N2を計数した。なお、ステアリン酸金属塩は、樹脂に比べて染色されにくい。よって、染色の有無によってステアリン酸金属塩が占める領域と、ステアリン酸金属塩以外が占める領域とで画像輝度に差が見られる事から、断面撮影像内において第1粒子と第2粒子とを識別することは可能である。そして、下記式(2)で示される算出式により第2粒子個数割合(単位:%)を算出した。なお、下記式(2)中、Ntは、500個である。
第2粒子個数割合=100×N2/Nt・・・(2)
<第1シェル層の厚さ及び第2シェル層の厚さの測定>
測定対象のトナー(トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のいずれか)を光硬化性のエポキシ樹脂(東亞合成株式会社製「アロニックス(登録商標)LCR D-800」)中に十分に分散させた後、得られた分散体を、温度40℃の雰囲気下、紫外線照射しながら2日間硬化させた。硬化後、ダイヤモンドナイフをセットしたミクロトームを用いて、得られた硬化物を切削することで、薄片を作製した。得られた薄片を、銅メッシュ上で四酸化ルテニウム水溶液(濃度0.5質量%)の蒸気中に5分間暴露して、ルテニウム染色した。続けて、染色された薄片試料の断面を、透過電子顕微鏡(TEM)(株式会社日立ハイテクノロジーズ製「H-7100FA」)を用いて、倍率10万倍で撮影した。そして、画像解析ソフトウェア(三谷商事株式会社製「WinROOF」)を用いてTEM撮影像を解析することで、第1シェル層の厚さ及び第2シェル層の厚さを測定した。
測定の手順については、まず、得られた断面撮影像内において、測定対象(トナー)に含まれる10個の第1粒子を無作為に選択した。そして、選択した10個の第1粒子について、それぞれ第1シェル層の厚さを測定し、測定対象のトナーの評価値(第1シェル層の厚さ)を求めた。より詳しくは、1つの第1粒子(断面)について、断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線が第1シェル層と交差する4箇所の各々で、第1シェル層の厚さを測定した。測定された4箇所の厚さの算術平均値を、その第1粒子の第1シェル層の厚さとした。選択した10個の第1粒子について、それぞれ第1シェル層の厚さを測定し、測定された厚さの個数平均値を測定対象のトナーの評価値(第1シェル層の厚さ)とした。
また、得られた断面撮影像内において、測定対象(トナー)に含まれる10個の第2粒子を無作為に選択した。そして、選択した10個の第2粒子について、それぞれ第2シェル層の厚さを測定し、測定対象のトナーの評価値(第2シェル層の厚さ)を求めた。より詳しくは、1つの第2粒子(断面)について、断面の略中心で直交する2本の直線を引き、それら2本の直線が第2シェル層と交差する4箇所の各々で、第2シェル層の厚さを測定した。測定された4箇所の厚さの算術平均値を、その第2粒子の第2シェル層の厚さとした。選択した10個の第2粒子について、それぞれ第2シェル層の厚さを測定し、測定された厚さの個数平均値を測定対象のトナーの評価値(第2シェル層の厚さ)とした。
なお、第1シェル層の厚さ及び第2シェル層の厚さの測定で使用した断面撮影像から、トナーTA-1~TA-5の第1シェル被覆率及び第2シェル被覆率が、いずれも90%以上100%以下であったことを確認した。
トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のそれぞれについて、使用したステアリン酸金属塩の種類及びその含有率、第2粒子個数割合、第1シェル層の厚さ、並びに第2シェル層の厚さを、表1に示す。なお、表1において、「ZnSt」はステアリン酸亜鉛を示す。表1において、「CaSt」はステアリン酸カルシウムを示す。表1において、ステアリン酸金属塩の含有率は、第2コアの全質量に対するステアリン酸金属塩の含有率(上述したステアリン酸金属塩含有率)を示す。表1において、「-」は、第2粒子を使用しなかったことを意味する。
Figure 0007318482000004
<評価方法>
[帯電量分布]
容量20mLのポリエチレン製容器に、評価対象のトナー(トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のいずれか)5gと、現像剤用キャリア(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用キャリア)10gとを入れた。次いで、ボールミルを用いて、回転速度100rpmの条件で、上記容器内の試料(トナー及びキャリア)を10分間攪拌した。
次いで、試料中のトナーを帯電量・粒子径分布測定機(ホソカワミクロン株式会社製「イースパートアナライザ(登録商標)」)にセットし、トナーの帯電量及び帯電量分布を測定した。測定された帯電量分布に関して、横軸は「Q/d(電荷量/粒子径)」(単位:fC/μm)であり、縦軸は頻度(個数)であった。なお、イースパートアナライザは、電場(一定強度の電界)及び音響場(一定周波数の空気振動)の影響による粒子の運動をレーザードップラー法で検知して、個々の粒子の帯電量と粒子径とを同時に計測する装置である。
得られたトナーの帯電量分布から、最頻値の1/4の頻度の幅(以下、1/4値幅と記載する)を求めた。帯電量分布の1/4値幅が0.9fC/μm未満であれば良いと評価し、帯電量分布の1/4値幅が0.9fC/μm以上であれば良くないと評価した。なお、帯電量分布の1/4値幅が小さいことは、その帯電量分布がシャープであることを示し、帯電量分布の1/4値幅が大きいことは、その帯電量分布がブロードであることを示す。
[2成分現像剤の調製]
京セラドキュメントソリューションズ株式会社製の「TASKalfa5550ci」用キャリア100質量部と、トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のいずれか)10質量部とを、ボールミルを用いて30分間混合して、評価用の2成分現像剤を調製した。
[画像流れ]
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa5550ci」)を使用した。評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機のブラック用現像装置に投入し、トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のいずれか)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。次いで、評価機を用いて、温度32.5℃かつ湿度20%RHの環境下、印字率10%の画像を印刷用紙(A4サイズの普通紙)に1万枚連続で印刷した。次いで、印刷後の評価機を、温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下に24時間静置した。次いで、24時間静置した評価機を用いて、温度32.5℃かつ湿度80%RHの環境下、1枚の印刷用紙(A4サイズの普通紙)の全面にハーフトーン画像(画像濃度:50%)を出力した。次いで、出力した画像を目視で観察し、以下の基準で判定した。判定結果がAの場合、「画像流れの発生を抑制できている」と評価した。一方、判定結果がBの場合、「画像流れの発生を抑制できていない」と評価した。
(判定基準)
A:ハーフトーン画像がぼやけることなく出力されており、画像流れを確認できなかった。
B:ハーフトーン画像が、画像流れによりぼやけた状態で出力されていた。
[かぶり濃度]
評価機としては、カラー複合機(京セラドキュメントソリューションズ株式会社製「TASKalfa5550ci」)を用いた。評価対象を含む2成分現像剤(前述の方法で調製した2成分現像剤)を評価機のブラック用現像装置に投入し、トナー(評価対象:トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のいずれか)を評価機のブラック用トナーコンテナに投入した。次いで、上記評価機を用いて、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、印字率10%の画像を印刷用紙(A4サイズの普通紙)に1万枚連続で印刷した。次いで、温度23℃かつ湿度50%RHの環境下、上記評価機を用いて、1枚の印刷用紙(A4サイズの普通紙)に大きさ20mm×30mmのソリッド画像を印刷した。
次いで、印刷された紙における空白部の反射濃度を、反射濃度計(X-Rite社製「SpectroEye(登録商標)」)により測定した。そして、下記式に基づいて、かぶり濃度(FD)を求めた。かぶり濃度が0.010以下の場合、「かぶりの発生を抑制できている」と評価し、かぶり濃度が0.010を超える場合、「かぶりの発生を抑制できていない」と評価した。
かぶり濃度=空白部の反射濃度-未印刷紙の反射濃度
<評価結果>
トナーTA-1~TA-5及びTB-1~TB-7のそれぞれについて、1/4値幅、画像流れの判定結果、及びかぶり濃度を、表2に示す。
Figure 0007318482000005
トナーTA-1~TA-5は、トナー粒子として、ステアリン酸金属塩を含まない第1コアと第1シェル層とを備えた第1粒子、及びステアリン酸金属塩を含む第2コアと第2シェル層とを備えた第2粒子を含有していた。トナーTA-1~TA-5では、第1シェル層と第2シェル層とが、互いに同種の樹脂(特定ビニル樹脂)から構成されていた。表1に示すように、トナーTA-1~TA-5では、ステアリン酸金属塩含有率が50質量%以上であった。トナーTA-1~TA-5では、第2粒子個数割合が5%以上25%以下であった。
表2に示すように、トナーTA-1~TA-5では、画像流れの判定結果がAであった。よって、トナーTA-1~TA-5は、画像流れの発生を抑制できていた。
表2に示すように、トナーTA-1~TA-5では、かぶり濃度が0.010以下であった。よって、トナーTA-1~TA-5は、かぶりの発生を抑制できていた。トナーTA-1~TA-5は、1/4値幅が0.9fC/μm未満(帯電量分布が比較的シャープ)であったため、かぶりの発生を抑制できていたと考えられる。
表1に示すように、トナーTB-1~TB-3は、ステアリン酸金属塩を含む第2粒子を含有していなかった。トナーTB-4では、第2粒子個数割合が5%未満であった。トナーTB-5では、第2粒子個数割合が25%を超えていた。トナーTB-6では、ステアリン酸金属塩含有率が50質量%未満であった。トナーTB-7は、ステアリン酸金属塩を含むトナー粒子を有していたが、そのトナー粒子にはシェル層が形成されていなかった。
表2に示すように、トナーTB-1、TB-3、TB-4及びTB-6では、画像流れの判定結果がBであった。よって、トナーTB-1、TB-3、TB-4及びTB-6は、画像流れの発生を抑制できていなかった。トナーTB-2、TB-5及びTB-7では、かぶり濃度が0.010を超えていた。よって、トナーTB-2、TB-5及びTB-7は、かぶりの発生を抑制できていなかった。
以上の結果から、本発明によれば、画像流れの発生及びかぶりの発生を抑制できることが示された。
本発明に係るトナーは、例えば複合機又はプリンターにおいて画像を形成するために利用することができる。
10 :第1粒子
11 :第1コア
12 :第1シェル層
20 :第2粒子
21 :第2コア
22 :第2シェル層

Claims (6)

  1. トナー粒子として、第1粒子及び第2粒子を含有するトナーであって、
    前記第1粒子は、第1コアと、前記第1コアの表面を覆う第1シェル層とを備え、
    前記第1コアは、第1結着樹脂を含み、かつステアリン酸金属塩を含まず、
    前記第2粒子は、第2コアと、前記第2コアの表面を覆う第2シェル層とを備え、
    前記第2コアは、ステアリン酸金属塩を含み、
    前記第1シェル層と前記第2シェル層とは、互いに同種の樹脂から構成されており、
    前記第2コア中の前記ステアリン酸金属塩の含有率は、前記第2コアの全質量に対して、50質量%以上であり、
    前記第2粒子の個数割合は、前記第1粒子及び前記第2粒子の合計の個数に対して、5%以上25%以下である、トナー。
  2. 前記第2粒子の量は、前記第1粒子100質量部に対して、5質量部以上33質量部以下である、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記第2シェル層の厚さは、3nm以上30nm以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記第2コア中の前記ステアリン酸金属塩は、ステアリン酸亜鉛又はステアリン酸カルシウムである、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
  5. 前記第1コアは、前記第1結着樹脂としてポリエステル樹脂を含み、
    前記第2コアは、第2結着樹脂としてポリエステル樹脂を更に含み、
    前記第1シェル層及び前記第2シェル層は、いずれも下記式(1)で表される化合物を少なくとも含む単量体の重合物から構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。
    Figure 0007318482000006
    (前記式(1)中、R1は、フェニル基で置換されていてもよい炭素原子数1以上6以下のアルキル基、又は水素原子を表す。)
  6. 前記第1シェル層及び前記第2シェル層は、いずれも、下記式(1-1)で表される繰返し単位と、下記式(1-2)で表される繰返し単位とを少なくとも含む樹脂から構成されている、請求項5に記載のトナー。
    Figure 0007318482000007
    Figure 0007318482000008
    (前記式(1-1)及び前記式(1-2)中、R1は、前記式(1)中のR1と同義であり、
    前記式(1-2)中、*は、前記第1コア中の原子又は前記第2コア中の原子に結合する部位を表す。)
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