JP7316657B2 - スリンガ部材の取付方法及び密封構造 - Google Patents

スリンガ部材の取付方法及び密封構造 Download PDF

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Description

本発明は、スリンガ部材の取付方法と、当該取付方法が適用される軸受装置の密封構造に関する。
一般に軸受装置には、相互に軸回転する内輪と外輪との間にスリンガ部材と当該スリンガ部材に接触するシールリップを有するシール部材とが介在され、これによって、内輪と外輪との間が密封されるよう構成される。このような密封によって、軸受空間内への泥水等の浸入が防止され、或いは、軸受空間内に充填されるグリース等の潤滑剤の外部漏出が防止される。
前記のスリンガ部材は、例えば、回転側である内輪の外周面に嵌合によって取付けられる。この場合、スリンガ部材は、嵌合円筒部と、嵌合円筒部の一端部から外径側に延びる円板部とを含み、嵌合円筒部を内輪に軸方向に沿って嵌合することによって取付けられる。そして、スリンガ部材の抜けを防止するため、内輪の外周には、スリンガ部材の嵌合方向の後側の端部に軸方向に近接して外径側に突出する抜け止め突部を設けることがなされる場合がある(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2014-52070号公報 特許第6228756号公報
ところで、特許文献1及び特許文献2に開示された例では、前記抜け止め突部(特許文献1では係止突起(図5及びその関連記載参照)、特許文献2では抜け止め部(図2、図3及びその関連記載参照))が内輪の外周面に事前に形成されている。したがって、スリンガ部材の内輪に対する取付けに際しては、この抜け止め突部を嵌合円筒部が乗り越えるようにして嵌合円筒部を内輪に嵌合する必要がある。そのため、スリンガ部材の反りや塑性変形が生じ、内輪に対する嵌合締め代が低下することがある。これによって、前記シールリップのスリンガ部材に対する所期の接触締め代も得られなくなり、シール機能が低下する不具合も生じる懸念があった。
本発明は、前記実情に鑑みなされたもので、反りや塑性変形が生じにくいスリンガ部材の取付方法と、この取付方法を適用することにより軸受装置の密封精度の安定化を図ることができる密封構造を提供することを目的としている。
第1の発明に係るスリンガ部材の取付方法は、相互に軸回転する内外2部材の一方の部材に取付けられるスリンガ部材の取付方法であって、前記スリンガ部材は、前記一方の部材に嵌合される嵌合円筒部と、該嵌合円筒部の軸方向端部から径方向に延びる円板部とを含み、前記スリンガ部材を前記一方の部材に前記嵌合円筒部を軸方向に沿って嵌合させた後、前記一方の部材に、前記嵌合円筒部における前記嵌合方向の後側端部に軸方向に近接するよう径方向に突出する突部を形成することを特徴とする。
本発明のスリンガ部材の取付方法によれば、一方の部材にスリンガ部材を嵌合により取付ける際には、一方の部材には、嵌合に過重な負荷が加わるような突部が存在しないから、スリンガ部材に反りや塑性変形を生じることなく嵌合がなされる。そして、嵌合後に、一方の部材に、スリンガ部材の嵌合円筒部における嵌合方向の後側端部に近接して径方向に突出する突部が形成されるから、スリンガ部材の抜けが阻止され、スリンガ部材の所期の機能が安定して発揮される。
本発明のスリンガ部材の取付方法において、前記突部は、前記一方の部材に前記嵌合円筒部を嵌合させた後、前記一方の部材を軸方向に沿ってプレス加工して、当該一方の部材の一部を径方向に突出変形させることによって形成されるものとしてもよい。
この場合、前記一方の部材の前記一部は、当該一方の部材から軸方向に沿って前記嵌合方向の反対側に突出する形状とされ、前記突部は、前記プレス加工により当該一部を径方向へ突出するよう屈曲変形させることにより形成されるものとしてもよい。
本発明のスリンガ部材の取付方法において、前記一方の部材及びスリンガ部材とは別体のリング部材を準備し、前記突部は、前記一方の部材に前記嵌合円筒部を嵌合させた後、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう当該一方の部材に組付けることにより形成されるものとしてもよい。
この場合、前記リング部材は、平ワッシャ状の部材からなり、前記突部は、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記一方の部材に接着剤を介して組付けることによって形成されるものとしてもよい。
また、前記リング部材は、前記一方の部材に軸方向に沿ってかしめ嵌合し得る円筒部とフランジ部とからなり、前記突部は、前記リング部材を、前記フランジ部の一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記円筒部の前記一方の部材に対するかしめ嵌合を介して組付けることによって形成されるものとしてもよい。
或いは、前記リング部材と前記一方の部材とは、軸方向に沿って相互にかしめ嵌合し得る凹凸部を備え、前記突部は、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記一方の部材に前記凹凸部の相互のかしめ嵌合を介して組付けることによって形成されるものとしてもよい。
第2の本発明に係る密封構造は、前記いずれかに記載のスリンガ部材の取付方法が適用される軸受装置の密封構造であって、前記相互に軸回転する内外2部材は、前記軸受装置の内輪及び外輪とされ、前記2部材の前記一方の部材には、前記スリンガ部材が、前記いずれかに記載の取付方法によって取付けられ、前記2部材の他方の部材には、前記スリンガ部材に接触するシールリップを有するシール部材が取付けられ、前記スリンガ部材と前記シール部材とにより前記内外2部材間が密封されるよう構成されていることを特徴とする。
本発明の密封構造によれば、スリンガ部材が反りや塑性変形が生じことなく、所定の位置に安定した取付状態に維持されるから、シール部材との所期の接触締め代状態が持続される。これにより、前記軸受装置の密封精度の安定化を図ることができる。
本発明のスリンガ部材の取付方法及び密封構造によれば、スリンガ部材の取付が反りや塑性変形を生じることなくなされ、また、この取付方法を適用した軸受装置の密封構造では、密封精度の安定化を図ることができる。
(a)は本発明のスリンガ部材の取付方法及び密封構造が適用される軸受装置を概略的に示す縦断面図である。 図1のX部の拡大図である。 本発明に係るスリンガ部材の取付方法の第一の実施形態を示す工程図であり、(a)はスリンガを取付対象に嵌合する前の工程を、(b)は取付対象のスリンガ部材を嵌合する工程を、(c)は取付対象に突部を形成する工程を、それぞれ示す。 同実施形態の変形例を示す図3(a)(b)(c)と同様図である。 本発明に係るスリンガ部材の取付方法の第二の実施形態を示す図3(a)(b)(c)と同様図である。 同実施形態の変形例を示す図3(a)(b)(c)と同様図である。 同実施形態の第二の変形例を示す図3(a)(b)(c)と同様図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車の車輪(不図示)を軸Lの回りに回転(軸回転)可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、ハブベアリングであって、大略的に、外輪(内外2部材の他方の部材)2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内輪(内外2部材の一方の部材)5を構成する。外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント70を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット71によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転(同軸回転)可能とされ、外輪2と、内輪5との間に環状の軸受空間Sが形成される。軸受空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。
以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4との間、及び、外輪2とハブ輪3との間には、ベアリングシール(密封装置)8,9が装着され、軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部が密封される。これによって、軸受空間S内への泥水等の浸入や軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。本発明に係るスリンガ部材の取付方法及び密封構造は、例えば、当該軸受装置1における車体側のベアリングシール8及び車輪側のベアリングシール9に適用される。
以下、本発明に係るスリンガ部材の取付方法及び密封構造の一例が適用される車輪側のベアリングシール9について、図2をも参照して説明する。図例のベアリングシール9は、内輪5を構成するハブ輪3に取付けられるスリンガ部材10と、外輪2に取付けられるシール部材20とが組み合わさって構成される。スリンガ部材10は、内輪5を構成するハブ輪3におけるハブ輪本体30の外周面30aに外嵌(嵌合)される嵌合円筒部11と、嵌合円筒部11の車輪側の軸方向端部11aから、湾曲部12を介してハブフランジ32の車体側面32aに添うよう外径方向に延びる円板部13とを含む。スリンガ部材10は後記する方法によって、ハブベアリング3の所定位置に取付けられる。そして、この所定位置に取り付けられたスリンガ部材10の嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部11cに、軸L方向に近接するよう外径方向に突出する突部30cが後記する方法によって形成されている。
シール部材20は、外輪2の車輪側内周面2bに内嵌される芯金21と、芯金21にインサート成型により一体とされたゴム等の弾性材からなるリップ部材22とからなる。リップ部材22は、スリンガ部材10に接触する3個のシールリップ23,24,25を備えている。さらに詳しくは、第1のシールリップ23は、ラジアルリップであり、嵌合円筒部11の外周面11bに弾性的に接触する。また、第2のシールリップ24は、アキシャルリップであり、湾曲部12の凹曲面12aに弾性的に接触する。さらに、第3のシールッリップ25は、アキシャルリップであり、円板部13の車体側面13aに弾性的に接触する。図2におけるシールリップ23,24,25の2点鎖線部は、これらシールリップ23,24,25の弾性変形前の原形状を示している。芯金21は、外輪2の車輪側内周面2bに内嵌される円筒部211と、円筒部211の車体側端部211aから内径側に延びる屈曲形状の内向鍔部212とからなる。リップ部材22は、円筒部211の車輪側端部211bから円筒部211の内周面211c及び内向鍔部212の車輪側面212aの全面を覆い、内向鍔部212の内径側端部212bに至るように、芯金21に一体とされている。リップ部材22は、さらに円筒部211の車輪側端部211bを回り込んで外輪2の車輪側内周面2bと円筒部211の外周面211dとの間に圧縮状態で介在する環状突部26を備えている。図2では、環状突部26の圧縮変形前の原形状を2点鎖線で示している。
スリンガ部材10は、ハブ輪3(内輪5)に対し、円板部13が車輪側になるよう、取付けられる。図3(a)(b)(c)及び図4(a)(b)(c)は、本発明に係るスリンガ部材10の取付方法の第一の実施形態とその変形例を示す。これらの例は、スリンガ部材10をハブ輪3に嵌合によって取付けた後、後記する突部30cを、ハブ輪3を軸L方向に沿ってプレス加工して、ハブ輪3の一部を径方向に突出変形させることによって形成することで特徴付けられる。
図3(a)(b)(c)に示す例では、図2にも示すように、ハブ輪本体30の外周面30aにおけるスリンガ部材10の取付部は、段差壁部30bを介して軸受空間S側より大径に形成されている。そして、図3(a)(b)の工程において、スリンガ部材10を、嵌合円筒部11における円板部13とは反対側の端部(嵌合方向aの後側端部)11cに治具(不図示)を作用させて、嵌合円筒部11をハブ輪本体30の大径部に軸L方向に沿った白抜矢印方向(嵌合方向)aに沿って圧入嵌合する。この圧入嵌合を、円板部13がハブフランジ32の車体側面13aに当接する位置まで行う。その後、図3(c)の工程において、ハブ輪本体30の段差壁部30bにおける外径側部分の一部30c0を前記嵌合方向aと同方向(白抜矢印方向b)に沿ってプレス加工し、当該一部30c0をハブ輪本体30の外周面30aより外径方向に突出変形させ、嵌合円筒部11の嵌合方向aの後側端部(円板部13とは反対側の端部)11cに近接する突部30cを形成する。これによって、スリンガ部材10のハブ輪3(内輪5)に対する取付けが完了する。引き続き、予めシール部材20が所定位置に取り付けられた外輪2を転動体6…等を介してハブ輪3に組付けることにより、軸受装置1の組立が完了する。
上記のようにスリンガ部材10が取付けられ、シール部材20とともに外輪2が組付けられた軸受装置1において、軸受装置1の稼動とともに内輪5が軸Lの回りに回転(軸回転)し、シールリップ23,24,25がスリンガ部材10に弾性的に相対摺接する。これによって、スリンガ部材10とシール部材20とにより密封構造が構成される。したがって、軸受空間S内への泥水等の浸入が防止され、また、軸受空間S内に充填される潤滑材の外部漏出が防止され、内輪5の外輪2に対する軸回転が円滑に維持される。また、シール部材20の外輪2に対する取付部には、環状突部26が圧縮状態で介在するから、外輪2と芯金2との金属嵌合部に泥水等が浸入することが防止され、この金属嵌合部が発錆する懸念が生じ難い。
そして、内輪5にスリンガ部材10を嵌合により取付ける際には、嵌合に過重な負荷が加わるような突部が存在しないから、スリンガ部材10に反りや塑性変形を生じることなく嵌合がなされる。したがって、嵌合締め代が変動せず、スリンガ部材10が安定した嵌合状態に維持される。しかも、スリンガ部材10の嵌合後に、内輪5に、スリンガ部材10の嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部に近接して径方向に突出する突部30cが形成されるから、スリンガ部材10の抜けが阻止され、スリンガ部材10の所期の機能が安定して発揮される。特に、内輪5の軸回転に伴い、スリンガ部材10が軸L方向に変位することなく所定位置に維持されるから、各シールリップ23,24,25のスリンガ部材10に対する接触締め代が所期の状態に維持され、これによりベアリングシール9の安定した密封機能が発揮される。また、突部30cは、ハブ輪30をプレス加工することにより形成されるから、追加部材がなく、工数及びコストを抑え、負荷増が少なくスリンガ部材10の取付を実施することができる。
図4(a)(b)(c)に示す例では、ハブ輪本体30の段差壁部30bにおける外径側部分の一部30c0は、図4(a)に示すように、予め、段差壁部30bから軸L方向に沿って嵌合方向aの反対側に突出する形状とされる。そして、図4(a)(b)に示す工程では、図3(a)(b)の場合と同様に、嵌合円筒部11をハブ輪本体30の大径部に軸L方向に沿った白抜矢印方向(嵌合方向)aに沿って圧入嵌合する。その後、図4(c)に示す工程において、前記突出する形状とされたハブ輪本体30の一部30c0を白抜矢印方向bに沿ってプレス加工し、当該一部30c0をハブ輪本体30の外周面30aより外径方向に突出するよう屈曲変形させ、嵌合円筒部11の嵌合方向aの後側端部11cに近接する突部30cを形成する。この場合も、突部30cにより、前記と同様の機能が発揮される。また、追加部材がなく、工数及びコストを抑え、負荷増が少なくスリンガ部材10の取付を実施することができる。
その他の構成は、図3に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その説明を割愛する。
なお、本実施形態では、軌道輪3aとスリンガ部材10の嵌合円筒部11が嵌合される内輪におけるスリンガ嵌合面とを分離するため、ハブ輪本体30の外周面30aに段差壁部30bが設けられており、この段差壁部30bの一部をプレス加工することにより突部30cを形成するようにしているが、段差壁部30bが設けられない場合、前記軌道輪3aにおける外周面30aとの境界近傍部をプレス加工することによって、前記同様の突部を形成することも可能である。
図5(a)(b)(c)~図7(a)(b)(c)は、本発明に係るスリンガ部材10の取付方法の第二の実施形態とその変形例を示す。これらの例は、内輪5及びスリンガ部材10とは別体のリング部材15を準備し、スリンガ部材10をハブ輪3に嵌合によって取付けた後、リング部材15をその一部がハブ輪本体30より径方向に突出するようハブ輪本体30に組付けることで特徴付けられる。これらの例では、リング部材15の当該一部が後記する突部15aを構成する。
図5(a)(b)(c)に示す例では、リング部材15は平ワッシャ状の形状とされ、その外径は、ハブ輪本体30における大径部の径より大とされている。また、ハブ輪本体30の段差壁部30bは、スリンガ部材10をハブ輪本体30の所定の位置に嵌合した際に、スリンガ部材10における嵌合円筒部11の前記後側端部11cと略同一面となるように形成されている。そして、図5(a)(b)に示す工程において、前記各例と同様に嵌合円筒部11をハブ輪本体30の大径部に軸L方向に沿った白抜矢印方向(嵌合方向)aに沿って圧入嵌合する。その後、図5(c)に示す工程において、リング部材15を、その外径側の一部がハブ輪本体30の外周面30aより外径側に突出するよう、段差壁部30bに接着剤16を介して組付け固定する。この組付けにより、リング部材15の外径側の一部がハブ輪本体30の外周面30aより外径側に突出した状態に固定され、当該一部が嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部11cに軸L方向に近接するよう径方向に突出する突部15aとされる。
上記のようにスリンガ部材10が取付けられ、外輪2が組付けられた軸受装置1において、軸受装置1の稼動とともに内輪5が軸Lの回りに回転(軸回転)し、シールリップ23,24,25がスリンガ部材10に弾性的に相対摺接する。これによって、スリンガ部材10とシール部材20とにより密封構造が構成される。したがって、軸受空間S内への泥水等の浸入が防止され、また、軸受空間S内に充填される潤滑材の外部漏出が防止され、内輪5の外輪2に対する軸回転が円滑に維持される。そして、内輪5にスリンガ部材10を嵌合により取付ける際には、嵌合に過重な負荷が加わるような突部が存在しないから、スリンガ部材10に反りや塑性変形を生じることなく嵌合がなされる。しかも、スリンガ部材10の嵌合後に、内輪5に、スリンガ部材10の嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部11cに近接して径方向に突出する突部15aが形成されるから、スリンガ部材10の抜けが阻止され、スリンガ部材10の所期の機能が安定して発揮される。特に、内輪5の軸回転に伴い、スリンガ部材10が軸L方向に変位することなく所定位置に維持されるから、各シールリップ23,24,25のスリンガ部材10に対する接触締め代が所期の状態に維持され、これにより安定した密封機能が発揮される。また、突部15aは、リング部材15をハブ輪30に接着固定することにより、寸法精度よく形成することができる。
図6(a)(b)(c)に示す例では、ハブ輪本体30における段差壁部30bの外径側部分に、嵌合方向aとは反対側に延びる環状突起30dが形成されている。また、リング部材15は、ハブ輪本体30に軸L方向に沿ってかしめ嵌合し得る円筒部150と円筒部150の一端から外径方向に延びるフランジ部151とからなる。フランジ部151の外径は、ハブ輪本体30における大径部の径より大とされている。また、リング部材15の円筒部150は、この前記環状突起30dに対し軸L方向に沿ってかしめ嵌合(内嵌)し得る形状とされている。そして、図6(a)(b)に示す工程において、前記各例と同様に、嵌合円筒部11をハブ輪本体30の大径部に軸L方向に沿った白抜矢印方向(嵌合方向)aに沿って圧入嵌合する。その後、図6(c)に示す工程において、リング部材15を、その円筒部150を環状突起30dに白抜矢印方向cに沿ってかしめ嵌合し、フランジ部151の一部がハブ輪本体30の外周面30aより外径側に突出するよう、ハブ輪本体30に組付ける。フランジ151の当該一部が、嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部11cに軸L方向に近接するよう径方向に突出する突部15aとされる。
この例においても、突部15aが図5に示す例と同様の機能を奏する。また、円筒部150を環状突起30dをかしめ嵌合することにより、突部15aを寸法精度よく形成することができる。
図7(a)(b)(c)に示す例では、ハブ輪本体30における段差壁部30bとリング部材15とに、軸L方向に沿って相互にかしめ嵌合し得る凹凸部が設けられている。具体的には、段差壁部30bに軸方向に凹む凹部30eが、リング部材15に軸方向に突出する凸部15bが設けられている。凹部30eと突部15bとは互いに軸L方向に対向関係でかしめ嵌合し得るように構成されている。また、リング部材15の外径はハブ輪本体30の外径より大とされている。そして、図7(a)(b)に示す工程において、前記各例と同様に、嵌合円筒部11をハブ輪本体30の大径部に軸L方向に沿った白抜矢印方向(嵌合方向)aに沿って圧入嵌合する。その後、図7(c)に示す工程において、リング部材15を、その凸部15bを凹部30eに白抜矢印方向dに沿ってかしめ嵌合し、リング部材15の外径側の一部がハブ輪本体30の外周面30aより外径側に突出するよう、ハブ輪本体30に組付ける。リング部材15の当該一部が、嵌合円筒部11における嵌合方向aの後側端部11cに軸L方向に近接するよう径方向に突出する突部15aとされる。
この例においても、突部15aが図5に示す例と同様の機能を奏する。また、凸部15bを凹部30eにかしめ嵌合することにより、突部15aを寸法精度よく形成することができる。
なお、前記各実施形態では、本発明のスリンガ部材の取付方法が適用される対象をハブベアリングのような軸受装置としたが、ハブベアリングに限らず他の態様の軸受装置でもよく、また、軸受装置に限らず、相互に軸回転する内外2部材で構成されるものであれば他の産業機械であってもよい。また、突部30c(15a)の形状や形成態様は、例示したものに限らず、他の形状等も採用することは可能である。さらに、突部30c(15a)は、周方向に連続する環状に形成されるものや、周方向に複数が間欠的に形成されるものであってもよい。突部30c(15a)を周方向に連続する環状に形成するか、周方向に間欠的に形成するかは、第一の実施形態の場合プレス加工機のダイスの形状選択や、第二の実施形態の場合リング部材5の形状設定等により適宜適正に実施することができる。
また、前記各実施形態では、軸受装置1の内輪5が回転側、外輪2が固定側とされているが、外輪2が回転側、内輪5が固定側であってもよい。この場合、外輪2にスリンガ部材10が取付けられ、内輪5にシール部材20が取付けられる。そして、径方向に向く各部位は、前記各例と逆の方向に向くことになる。さらに、本発明は、車体側のベアリングシール8にも適用可能である。加えて、スリンガ部材10及びシール部材20の形状も、適用箇所や仕様等に応じて適宜変更が可能である。
1 ハブベアリング(軸受装置)
2 外輪(他方の部材)
3 ハブ輪(内輪)
5 内輪(一方の部材)
10 スリンガ部材
11 嵌合円筒部
11a 軸方向端部
11c 嵌合方向の後側端部
12 円板部
15 リング部材
150 円筒部
151 フランジ部
16 接着剤
20 シール部材
23,24,25 シールリップ
30c,15a 突部
30c0,15a 一部
a 嵌合方向
L 軸

Claims (8)

  1. 相互に軸回転する内外2部材の一方の部材に取付けられるスリンガ部材の取付方法であって、
    前記スリンガ部材は、前記一方の部材に嵌合される嵌合円筒部と、該嵌合円筒部の軸方向端部から径方向に延びる円板部とを含み、
    前記スリンガ部材を前記一方の部材に前記嵌合円筒部を軸方向に沿って嵌合させた後、前記一方の部材に、前記嵌合円筒部における前記嵌合方向の後側端部に軸方向に近接するよう径方向に突出する突部を形成することを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  2. 請求項1に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記突部は、前記一方の部材に前記嵌合円筒部を嵌合させた後、前記一方の部材を軸方向に沿ってプレス加工して、当該一方の部材の一部を径方向に突出変形させることによって形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  3. 請求項2に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記一方の部材の前記一部は、当該一方の部材から軸方向に沿って前記嵌合方向の反対側に突出する形状とされ、前記突部は、前記プレス加工により当該一部を径方向へ突出するよう屈曲変形させることにより形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  4. 請求項1に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記一方の部材及びスリンガ部材とは別体のリング部材を準備し、
    前記突部は、前記一方の部材に前記嵌合円筒部を嵌合させた後、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう当該一方の部材に組付けることにより形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付構造。
  5. 請求項4に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記リング部材は、平ワッシャ状の部材からなり、
    前記突部は、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記一方の部材に接着剤を介して組付けることによって形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  6. 請求項4に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記リング部材は、前記一方の部材に軸方向に沿ってかしめ嵌合し得る円筒部とフランジ部とからなり、
    前記突部は、前記リング部材を、前記フランジ部の一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記円筒部の前記一方の部材に対するかしめ嵌合を介して組付けることによって形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  7. 請求項4に記載のスリンガ部材の取付方法において、
    前記リング部材と前記一方の部材とは、軸方向に沿って相互にかしめ嵌合し得る凹凸部を備え、
    前記突部は、前記リング部材を、その一部が前記一方の部材より径方向に突出するよう前記一方の部材に前記凹凸部の相互のかしめ嵌合を介して組付けることによって形成されることを特徴とするスリンガ部材の取付方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載のスリンガ部材の取付方法が適用される軸受装置の密封構造であって、
    前記相互に軸回転する内外2部材は、前記軸受装置の内輪及び外輪とされ、
    前記2部材の前記一方の部材には、前記スリンガ部材が、請求項1~7のいずれか一項に記載の取付方法によって取付けられ、
    前記2部材の他方の部材には、前記スリンガ部材に接触するシールリップを有するシール部材が取付けられ、
    前記スリンガ部材と前記シール部材とにより前記内外2部材間が密封されるよう構成されていることを特徴とする密封構造。
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