JP7305467B2 - ロール状長尺ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板 - Google Patents

ロール状長尺ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板 Download PDF

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Description

本発明は、ロール状長尺ガラスクロス、プリプレグ、及びプリント配線板に関する。
電子機器に用いられるプリント配線板は、通常、ガラスクロス等の基材にエポキシ樹脂やポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してプリプレグとし、該プリプレグを単数又は複数枚重ねると共に、必要に応じて銅箔を重ねた後に加熱加圧成形して積層板とし、次いで、銅箔からなる回路パターンを形成する方法によって、製造される。
近年、スマートフォン等の情報端末の高性能化、高速通信化に伴い、プリント配線板の低誘電率化、低誘電正接化が著しく進行している。プリント配線板を構成するガラスクロスにおいても、低誘電ガラスクロスが多く提案されている(例えば、特許文献1~6)。
特許文献1~6に開示されている低誘電ガラスクロスは、従来より、一般に使用されているEガラスクロスに対してガラス中のB23の含有割合を多くすることにより、低誘電率、低誘電正接を実現している。
特許第4269194号公報 特開2010-508226号公報 国際公開第2016/175248号公報 US9556060号公報 国際公開第2017/187471号公報 TWI1591041号公報
しかしながら、ガラスクロスを低誘電化するためにガラス中のB23含有割合を増加すると、ガラスの弾性係数が低下し、ガラスクロスの風合いが柔らかくなる傾向にある。Eガラスクロスの弾性率が約74GPaであるのに対し、例えば、日東紡績株式会社製のNEガラスクロスの弾性率は64GPa(日東紡績株式会社のホームページに掲載)、旭化成株式会社製Lガラスクロスのパルスエコーオーバーラップ法により求められる弾性率は61GPa、これら低誘電ガラスクロスはEガラスクロスと比較していずれも弾性係数が小さい。
ここで、弾性係数が小さいガラスクロスは、ガラスクロス製造時の表面処理工程、開繊工程、搬送、及び巻取り工程で、タルミ、目曲がり、及びシワ等の織構造の歪が発生しやすく、ロール品質が低下する。また、弾性係数が小さいガラスクロスは、プリント配線板を製造する過程での加熱加圧成形時、回路パターン形成時における寸法変化のバラツキが大きくなるという問題を抱えている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、弾性係数が小さいガラスクロスであっても、シワ等の織構造の歪が抑えられ(すなわち、ロール品質に優れ)、プリント配線板としたときの寸法変化のバラツキが小さいガラスクロスを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の要件を満たす巻取り芯管に巻き取られたガラスクロスは、ロール品質に優れ、プリント配線板としたときの寸法変化のバラツキが小さく抑えられることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1]
複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成され、巻取り芯管に巻かれた、ロール状長尺ガラスクロスであって、
1)ガラスクロスの厚さが、8μm以上100μm以下であること、
2)巻き硬度が、45以上70以下であること、
3)幅入れ量が、マイナス0.5%以上0.1%未満であること、
を満たす、ロール状長尺ガラスクロス。
[2]
ガラスクロスの弾性係数が、50GPa以上70GPa以下である、
[1]に記載のロール状長尺ガラスクロス。
[3]
ガラスクロスの弾性係数が、50GPa以上63GPa以下である、
[1]に記載のロール状長尺ガラスクロス。
[4]
ホウ素の含有量とリンの含有量との和が、5質量%以上20質量%以下である、
[1]~[3]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロス。
[5]
ホウ素の含有量とリンの含有量との和が、6.5質量%以上20質量%以下である、
[1]~[3]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロス。
[6]
ガラスクロスの厚さが、35μm以上60μm以下であり、
巻き硬度が、45以上60以下である、
[1]~[5]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロス。
[7]
ガラスクロスの厚さが、8μm以上35μm未満であり、
巻き硬度が、50以上65以下である、
[1]~[5]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロス。
[8]
幅方向の一方の端部より80mm内側の測定点、及び、前記測定点よりもう一方の端部に向かい、前記もう一方の端部から80mm内側に至るまでの範囲に200mm毎に設けられた測定点において測定される各々の巻き硬度から算出される巻き硬度の変動係数が、0.025以下である、
[1]~[7]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロス。
[9]
隣り合う前記測定点の巻き硬度の差が、2より小さい、
[8]に記載のロール状長尺ガラスクロス。
[10]
[1]~[9]のいずれかに記載のロール状長尺ガラスクロスと、
マトリックス樹脂組成物と、を有する、
プリプレグ。
[11]
[10]に記載のプリプレグを有する、プリント配線板。
本発明によれば、ガラスクロスの弾性係数が小さい場合でも、シワ等の織構造の歪が抑制されてロール品質に優れ、プリント配線板を製造する過程の寸法変化のバラツキが小さいガラスクロスを提供することができる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスを製造における、ガラスクロスを巻き取ることに用いた装置の一例を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
<ロール状長尺ガラスクロス>
本実施形態のガラスクロスは、複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成され、巻取り芯管に巻かれたロール状長尺ガラスクロスである。ロール状長尺ガラスクロスは、ガラスクロスロールともいう。
また、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、
1)ガラスクロスの厚さが、8μm以上100μm以下であること、
2)巻き硬度が、45以上70以下であり、
3)幅入れ量が、マイナス0.5%以上0.1%未満であること、
を満たす、ロール状長尺ガラスクロスである。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、巻取り時に発生するシワ等の織構造の歪が無くロール品質に優れ、当該ガラスクロスロールのガラスクロスを用いることによりプリント配線板を製造する過程における寸法変化のバラツキを小さくすることができる。これは、ガラスクロスロールが上記の1)~3)の要件を満たすことにより、ロール状になる前までに生じた歪が軽減され、また、解反時の歪の発生も抑えることができるためであると考えられる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスの厚さは、8μm以上100μm以下、好ましくは8μm以上70μm以下、より好ましくは8μm以上50μm以下である。
デジタル機器の高機能、小型軽量化によるプリント配線板の薄型化や高密度化のためには、ガラスクロスの厚さは100μm以下に薄くする必要がある。
上記厚さは、プリント配線板の薄型化や高密度化の観点から薄い方が好ましいが、強度の観点から、厚さの下限は8μmである。
なお、本実施形態におけるロール状長尺ガラスクロスの厚さとは、ロールの層を構成するガラスクロスの厚さを指す。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける幅入れ量は、マイナス0.5%以上0.1%未満である。幅入れ量は、好ましくはマイナス0.4%以上0.1%未満であり、より好ましくはマイナス0.3%以上0.05%以下であり、さらに好ましくはマイナス0.2%以上0.05%以下であり、よりさらに好ましくはマイナス0.1%以上0%以下である。
ガラスクロスの幅入れとは、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程において、経糸が巻取り張力により張り、その影響により緯糸の縮みが生じるため、幅方向に圧縮応力が作用する現象である。
ここで、本実施形態における「幅入れ量」とは、無張力下におけるガラスクロスの幅Woと、巻き取りロール上でのガラスクロスの幅Waを用いて、以下の式(1)によって求められる値である。
幅入れ量(%)=(Wa-Wo)/Wo×100 ・・・(1)
幅入れ量は、具体的には実施例に記載の方法によって測定することができる。
幅入れ量が0.1%未満であることにより、緯糸は本来のうねり状態であるか適度に張った状態が維持され、且つ、経糸も緯糸に拘束されてうねり状態が幅方向で均一に近づくため、寸法安定性に優れたガラスクロスが得られる。
また、幅入れ量がマイナス0.5%以上であることにより、経糸のうねりが過度に増大することなく、本来のうねり状態に近い形で維持されるため、ガラスクロスを密に積層することができ、巻取り状態が緊密になりやすい。
幅入れ量がマイナス0.5%以上0.1%未満であることにより、ガラスクロスの経糸及び緯糸のうねり構造がそれぞれ均一になり、且つ、巻取り状態が緊密に積層された状態となる。
また、幅入れ量がマイナス0.5%以上0.1%未満であることにより、ガラスクロスの巻取りより前の工程、例えば、製織工程、開繊工程、表面処理工程等でガラスクロスに生じた歪までも解消されるため、織構造の均一なガラスクロスとすることができる。
織構造、うねり構造が均一なガラスクロスは、該ガラスクロスに熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してプリプレグとし、該プリプレグを用いて積層板とし、次いで、銅箔からなる回路パターンを形成する工程において、寸法変化のバラツキを低減させることができる。
ロール状長尺ガラスクロスの幅入れ量をマイナス0.5%以上0.1%未満とする方法としては、例えば、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程において、巻取り方法を調整する方法(具体的には、巻取り張力を調整する方法、ニップ圧を調整する方法、巻取りを行う直前にエキスパンダーロール等でガラスクロスを拡布する方法、ニップロールの材質をゴム弾性を有するゴム状弾性体とする方法等)、ガラスクロスに用いる糸種、織密度、糸幅等を調整して経糸及び緯糸のうねり構造やSS特性を調整する方法、ガラスクロスに塗布するシランカップリング剤の種類や塗布量を調整してガラスクロスの摩擦係数を調整する方法、ガラスクロスの風合いを調整する方法、及びこれらの方法を適時組み合わせた方法等が挙げられる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける幅入れ量は、ロールの内層から外層にいたるまで、すなわち、ロールの開始から終了までのロール全体にわたって、同等であることが好ましい。内層側の幅入れ量と外層側の幅入れ量との差は、好ましくは0.2%以下であり、より好しくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.05%以下である。上記幅入れ量の差の下限は、0%であることが理想であるが、0%超過であってもよい。
ここで、ロールの内層とは、ロール状長尺ガラスクロスの層の厚さの半分より内側までをいい、ロールの外層とは、ロール状長尺ガラスクロスの層の厚さの半分より最表層までをいう。より具体的には、例えば、巻取り芯管の直径が100mmであり、芯管の直径を含むロール全体の径が300mmである場合、100mm超過200mm以下が内層であり、200mm超過300mm以下が外層である。
ロール状長尺ガラスクロスの内層側と外層側の幅入れ量の差の測定方法としては、以下の1)~6)に沿った方法である。
1)ガラスクロスロールの最表層面における幅方向の長さを測定する。このとき、長尺方向(MD方向ともいう)に対して垂直な向きである幅方向の長さWaを測定し、測定した部位の片方の端部に印をつける。
2)ガラスクロスロールから約2mのガラスクロスを巻き出した時点において、タルミが無い状態で、上記1)において印をつけた箇所の幅方向の長さWoを測定する。
3)式(1)により幅入れ量を求める。
4)同じガラスクロスロールを用いて、上記1)から3)までの測定を5回繰り返し、その平均値を、外層側における幅入れ量とする。
5)次に、最初のガラスクロスロールの層の厚さの1/4の位置まで解反し、その地点における幅方向の長さを測定する。上記1)から4)を同様に行い、内層側における幅入れ量とする。
6)上記外層側における幅入れ量と、上記内層側における幅入れ量とから、内層側の幅入れ量と外層側の幅入れ量との差を求める。
ガラスクロスの巻取りでは、ロール内部、すなわち、ロール最表層よりも内側で接線方向に作用する引張応力がマイナスになるのを防ぐ目的で、巻き初めのロール径が小さい時に比べてロール径が大きくなるにつれて巻取り張力を低下させるのが一般である。そのため、幅入れ量もロール内層側と外層側とで異なり、経糸と緯糸のうねり状態もロール内層側と外層側とで差が生じてしまう傾向にある。
特に、弾性係数が小さく風合いが柔らかいガラスクロスほどロール内部に作用するマイナスの引張応力の影響でシワ等の歪が発生しやすいため、ロール径に応じた巻取り張力の差を大きくする必要があり、幅入れ量のロール内層部と外層部の差もより大きなものになる傾向にある。
しかしながら、ロール内層部と外層部とで経糸と緯糸のうねり状態の差異があると、ロール内層部から作製するプリント配線板とロール外層部から作製するプリント配線板では、ガラスクロスの寸法安定効果が異なる。すなわち、同じロールのガラスクロスから作製されたプリント配線板の寸法変化のバラツキが大きくなる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスによれば、幅入れ量がロールの内層から外層にいたるまで同等であり、ロール内層部と外層部のうねり構造を同等に均一にすることができる。したがって、同じロールから作製されるプリント配線板の寸法変化のバラツキを小さくすることができる。
また、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける巻き硬度は、45以上70以下、好ましくは46以上65以下、より好ましくは47以上64以下、さらに好ましくは48以上63以下である。
本実施形態における巻き硬度は、Hands Schmidt & Co GmbH Schichtstr社製のSCHMIDT control instruments HP-10型の硬度計で、幅方向に3点、すなわち、両端部より80mm内側の地点の2点、及び、幅方向の中心地点の1点を測定して求められる巻き硬度の平均値である。また、本実施形態における巻き硬度は、最表層の面において測定した値である。
巻き硬度が45以上であることにより、巻取り芯管に巻き取ったときにガラスクロスが密に積層され、1)ロールの外層側でも半径方向への圧縮応力が十分に作用し、2)接線方向には全層にわたり同等の引張応力が作用し、また、3)巻取り工程で織構造の歪が発生し難く、保管中においても応力再分配等による歪が発生せず、解反工程においても一般的な引張張力の範囲で歪の発生を抑えられる。なお、上記3)は、ガラスクロスの各層間同士で相互に拘束しロール内部でガラスクロスが動かないためと推定される。
上記の1)~3)の理由から、プリプレグ塗工時に織構造の均一なガラスクロスが得られる。
巻き硬度が70以下であることにより、ロール内層部と外層部との接線方向に作用する引張応力の差異を小さく抑えることができ、ロール状長尺ガラスクロス全長にわたり均一性に優れるガラスクロスが得られる。
巻き硬度は、ガラスクロスを巻取る工程において、巻取り張力を調整する方法、ニップ圧を調整する方法、巻取りを行う直前にエキスパンダーロール等でガラスクロスを拡布する方法等によって、ガラスクロスを緻密に巻き取ることで、45以上70以下に調整することができる。
また、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、ガラスクロスの厚さが8μm以上35μm以未満であり、巻き硬度が50以上65以下であることが好ましい。
ガラスクロスの厚さが8μm以上35μm以未満であるとき、巻き硬度は、より好ましくは51以上64以下であり、さらに好ましくは52以上63以下である。
厚さが8μm以上35μm未満のように薄いガラスクロスは、厚さが厚いガラスクロスと比べて風合いが柔らかくなる傾向にあり、ロール状に巻かれた状態で応力緩和により織構造の歪が発生しやすい。
巻き硬度が50以上であることにより、ロール状に巻かれた状態における層間圧力が高く、ガラスロス層同士がお互いに拘束されるためと推定されるが歪の発生を抑制することができる。
また、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、ガラスクロスの厚さが35μm以上60μm以下であり、巻き硬度が45以上60以下であることが好ましい。
ガラスクロスの厚さが35μm以上60μm以下であるとき、巻き硬度は、より好ましくは46以上59以下であり、さらに好ましくは47以上58以下である。
厚さが35μm以上60μm以下のガラスクロスは、厚さが8μm以上35μm未満の薄いガラスクロスに比べて巻き密度が粗くなる傾向にあるため、ロール内層部で巻き締まりによる歪が発生しやすい。
巻き硬度が60以下であることにより、接線方向に作用する内部応力をロール内層部においても引張側に維持できるため、巻き締まりなどによる歪が発生することなく、均一なガラスクロスとなる。
また、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける強熱減量は、好ましくは0.1質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.13%質量以上1.5%質量以下、さらに好ましくは0.15%質量以上1.3%以下、よりさらに好ましくは0.16質量%以上1.2質量%以下である。
ガラスクロスの強熱減量は、ガラスクロスの表面に塗布されるシランカップリング剤を含むコーティング層の量を間接的に求める指標である。また、ここで言う「強熱減量」とは、JISR3420に記載されている方法に従って測定される値である。
強熱減量が0.1%以上であることにより、積層板を製造する際に、十分なマトリックス樹脂との接着性が得られ、また、耐吸湿性、耐熱性がより向上する傾向にある。
また、強熱減量が0.1%以上であることにより、ガラスクロス同士の摩擦力が低下し、巻取りロール状に積層されているガラスクロス層が動きやすいため、ガラスクロス巻取り時に織構造の歪が補正されて均一になりやすい傾向にある。
強熱減量が2.0質量%以下であることにより、ガラスクロスへの樹脂浸透が良好となる傾向にある。また、強熱減量が2.0質量%以下であることにより、ガラスクロス同士の摩擦力を適度の滑り性に抑えることができ、巻取りロール上でガラスクロスが幅方向に収縮してシワ等の歪が発生することを抑制することができる傾向にある。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスは、信号の高速化要求に応えることが可能であり、且つ、Eガラスに比べて弾性係数が小さい、低誘電ガラスクロスが好ましい。
低誘電ガラスのガラスクロスとしては、例えば、Lガラスクロス(比弾性係数61GPa)、NEガラスクロス(弾性係数64GPa)、B23含有量15質量%~30質量%、SiO2含有量45質量%~60質量%、P25含有量2質量%~8質量%の低誘電ガラスクロス(弾性係数56GPa)等が挙げられる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける弾性係数は、好ましくは50GPa以上70GPa以下であり、より好ましくは51GPa以上65GPa以下、さらに好ましくは52GPa以上63GPa、よりさらに好ましくは54GPa以上60GPa以下である。
上述した低誘電ガラスのガラスクロスはEガラスクロスに比べて弾性係数が小さく、外部からの応力の影響を受けやすいため、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスとすることにより、織構造の歪が補正されて均一になりやすい傾向にある。
また、上述した低誘電であり弾性係数が小さいガラスクロスは、風合いが柔らかく、タルミや目曲がりやシワ等の織構造の歪が発生しやすく、このような品質上の不具合は、プリント配線板の性能、信頼性、安全性を損なうリスクが大きいため、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスとして織構造の歪を解消することは非常に有用である。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスにおける、ガラス中のホウ素の含有量とリンの含有量との和は、好ましくは5質量%以上20質量%以下、より好ましくは6質量%以上20質量%、さらに好ましくは6.5質量%以上20質量%以下、よりさらに好ましくは7質量%以上10質量%以下である。ホウ素の含有量及びリンの含有量は、ロール状長尺ガラスクロスを構成するガラス全量に対する割合(質量%)である。
ガラス中のホウ素の含有量とリンの含有量との和が大きいほどガラスクロスの誘電率、誘電正接を小さくできる傾向にある。
ホウ素の含有量とリンの含有量との和が5質量%以上であることにより、一般的なEガラスクロスを用いて得られる積層板に比べ、誘電率、誘電正接が有意に低下するため、データ通信や信号処理の大容量化、高速化への適用性が向上する。例えば、Eガラスの誘電率が7程度であるのに対し、ホウ素の含有量とリンの含有量との和が7.4%であるとき誘電率が約4.8、また、ホウ素の含有量とリンの含有量との和が9.2%であるとき誘電率が約4.4と、誘電率が小さくなる傾向にある。
ホウ素の含有量とリンの含有量との和が20質量%以下であることにより、ガラスクロスの耐吸湿性及び/又は耐熱性をホウ素の含有量とリンの含有量との和が2質量%程度であるEガラスと同等に維持できる。
ガラス中のホウ素の含有量とリンの含有量との和は、ガラス糸を製造する過程で、ホウ素とリンとを含有するガラス原材料の仕込み量により調整することができる。また、ガラス中のホウ素及びリンの含有量は、ガラス糸を製造する工程で、ガラスの原材料を熔融している工程中に変化するため、その変化量を織り込んで仕込み量を適宜調整してもよい。
本実施形態におけるガラスクロス中の「ホウ素の含有量」及び「リンの含有量」は、ICP発光分光分析法によって求められる値である。
具体的には、ホウ素の含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、炭酸ナトリウムで融解した後、希硝酸で溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってホウ素を測定し、試料中の含有量を求めた値である。
また、リンの含有量は、ガラスクロス試料を秤取し、硫酸、硝酸及びフッ化水素で加熱分解した後、希硝酸で加熱溶解して定容し、ICP発光分光分析法によってリンを測定し、試料中の含有量を求めた値である。
後述する本発明の実施例では、ICP発光分光分析には日立ハイテクサイエンス社製のPS3520VDDIIを用いて測定した。
本実施形態のガラスクロスは、幅方向の一方の端部より80mm内側の測定点、及び、上記測定点よりもう一方の端部に向かい、上記もう一方の端部から80mm内側に至るまでの範囲に200mm毎に設けられた測定点において測定される各々の巻き硬度から算出される巻き硬度の変動係数が0.025以下であることが好ましい。
巻き硬度の変動係数は、より好ましくは0.021以下であり、さらに好ましくは0.018以下であり、よりさらに好ましくは0.016以下である。
巻き硬度の変動係数が0.025以下であることにより、ロール状のガラスクロスの半径方向に作用する圧縮応力と接線方向に作用する引張応力とが幅方向で同様に作用する。そのため、弾性係数が小さく風合いが柔らかい低誘電ガラスクロスにおいても歪のない織構造の均一なガラスクロスが得られる傾向にある。
巻き硬度の変動係数は、小さい方がガラスクロスの織構造が均一となるため、0であることが理想であるが、0超過であってもよい。
また、本実施形態のガラスクロスは、幅方向の一方の端部より80mm内側の測定点、及び、上記測定点よりもう一方の端部に向かい、上記もう一方の端部から80mm内側に至るまでの範囲に200mm毎に設けられた測定点で測定される各々の巻き硬度において、隣り合う上記測定点の差が2より小さいことが好ましい。
上記隣り合う測定点の巻き硬度の差は、より好ましくは1より小さく、さらに好ましくは0である。
隣り合う測定点の巻き硬度の差が2より小さいことにより、弾性係数が小さく風合いが柔らかい低誘電ガラスクロスにおいても、ロール状のガラスクロスの接線方向に作用する引張応力の、幅方向の局所的な違いに起因する長手方向のズレを抑制することができる。そのため、ロール内層部に発生しやすいシワが抑えられたガラスクロスを得られる傾向にある。
上記隣り合う測定点の巻き硬度の差は、小さい方がガラスクロスを均一とすることができるため、0であることが理想であるが、0超過であってもよい。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスの長さは、特に限定されないが、通常200m以上5,000m以下である。ガラスクロスの長さの範囲が200m以上5,000m以下にあれば、タルミ、目曲がり、シワ等の織構造の歪が低減される効果を十分に得ることができる。ガラスクロスの長さは、長い方が、プリプレグ製造等を多量に連続して実施できるため好ましい。一方で、ガラスクロスの長さが短い方が、ロール状ガラスクロスの大きさ、重量が小さくなり、取り扱いや保管性に優れるため好ましい。
ガラスクロスの用途、及び加工する目的に合わせ、上記範囲からロール状長尺ガラスクロスの長さを適宜選択することが可能である。
本実施形態のガラスクロスの幅は、特に限定されないが、500mm以上、600mm以上、700mm以上、800mm以上、900mm以上、又は1000mm以上でよく、2000mm以下、1900mm以下、1800mm以下、1700mm以下、1600mm以下、1500mm以下、1400mm以下、又は1300mm以下でよい。
特に、当該幅は、800mm以上1500mm以下であることが好ましい。ガラスクロスの幅は、より好ましくは900mm以上1400mm以下、さらに好ましくは1000mm以上1300mm以下である。
ガラスクロスの幅が800mm以上であることにより、製織工程、開繊工程、表面処理工程等においてガラスクロスにタルミ、シワ等の織構造の均一性に歪が生じやすいが、本実施形態のロール状のガラスクロスとすることにより、上記の歪を解消し、織構造の均一なガラスクロスとすることができる傾向にある。
また、ガラスクロスの幅が800mm以上1500mm以下の範囲であることにより、タルミ、目曲がり、シワ等の織構造の歪が低減される効果が十分に得られる傾向にあり、また、プリント配線板用のプリプレグ製造で常用されている樹脂塗工機に供してプリプレグを製造することができる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスが巻き取られた巻取り芯管は、直径100mm以上500mm以下の巻取り芯管であることが好ましい。巻取り芯管の直径は、より好ましくは130mm以上350mm以下、さらに好ましくは150mm以上300mm以下である。
巻取り芯管の直径が100mm以上であることにより、ロール内層部と外層部とでガラスクロスに作用する応力の差異が小さくなり、タルミ、目曲がり、シワ等の織構造の歪が低減される効果がより大きく得られる傾向にある。
巻取り芯管の直径が500mm以下であることにより、ロール状長尺ガラスクロスの径、重量を小さく抑えることができ、取り扱い性に優れる傾向にある。
巻取り芯管の径は、ガラスクロスの厚さ、長さ、重量、さらには、ガラスクロスに要求される均一性の度合いに応じ、上記直径の範囲から適宜選択することが可能である。
ガラスクロスの織り構造としては、特に限定されないが、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等の織り構造が挙げられる。さらに異種のガラス糸を用いた混織構造でもよい。この中でも、平織り構造が好ましい。
<ロール状長尺ガラスクロスの製造方法>
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスを製造する方法としては、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程において、巻取り張力を調整する方法が好適に挙げられる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスの製造における、ガラスクロスを巻取り芯管に巻き取る工程は、例えば、図1に模式的に示すように、ガラスクロス14を巻取り芯管11に巻取る直前にエキスパンダーロール13、及びニップロール12を配置してガラスクロスの拡布を行う装置を用いることにより、製造することができる。
ロール状ガラスクロスの製造では、ガラスクロスを巻取る直前に、巻取り芯管又は巻取りロールの近傍にエキスパンダーロールを配置し、該エキスパンダーロールにガラスクロスを通すことが好ましい。エキスパンダーロールは、ガラスクロスの幅入れを一旦解消させることができ、該エキスパンダーロールより上流の工程に依存せず、安定した巻取りが可能となる傾向にある。
エキスパンダーロールとしては、ガラスクロスを屈曲させてロールに通すことにより、ガラスクロスを両端方向に広げる作用を有するものであれば特に限定されない。エキスパンダーロールとしては、例えば、宮川ローラー社製のゼブラローラーCタイプ、Dタイプ等の、外周面に、繊維織物の走行方向に傾斜して複数の溝を有するタイプ;宮川ローラー社製のゼブラローラーAタイプ、Bタイプ、明和ゴム社製のコンポジヘリカルロール等の、繊維織物の走行方向に傾斜して摩擦係数や硬度の異なるゴムを交互に並べたタイプ;三橋社製のフラットエキスパンダーロール、ミラボーロール等の、ロール外周に設置したゴムが回転に伴い伸び縮みするタイプ;カンセンエキスパンダー社製のエキスパンダーロール、金陽社製のゴムエキスパンダーロール等の、ロールの軸を湾曲させたタイプ;加貫ローラー製のラジアルクラウンタイプ等の、両端部の直径に比べて中央部の直径が大きいクラウンロールと呼ばれるタイプ;等を用いることができる。
また、本実施形態のロール状ガラスクロスの巻き取りでは、ニップロールによって前記巻取りロールの中心方向に10N/m以上500N/m以下の圧力、すなわちニップ圧をさらに付与しながら巻き取りを行うことが好ましい。ニップロールによって付与される圧力は、好ましくは10~500N/mであり、より好ましくは30~400N/m、さらに好ましくは50~300N/mである。ニップロールは、通常使用されるものであれば特に制限されない。
ニップロールにより10N/m以上の圧力を付与しながら巻取りを行うことにより、巻取られているガラスクロスの層間への空気の巻き込みを小さくすることができるため、最外層にあるガラスクロスと1層内層側にあるガラスクロスとに適度な摩擦力が作用する。そのため、最外層のガラスクロスに巻取り張力に起因する圧縮応力が作用した場合でも、最外層がその一層内層のガラスクロスに拘束されて動き難くなるため、巻きシワが発生を抑えられ、巻き硬度を調整できる。
ニップロールにより500N/m以下の圧力を付与しながら巻取りを行うことにより、ガラスクロスに局所的に圧力が作用することによる毛羽立ち等の品質上の問題を抑えられる傾向にある。
また、上記のニップロールの材質は、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム、シリコーンゴム、ブチルゴム、スチレンゴム、ウレタンゴム、ハイバロンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム等からなる群より選択される1種以上を含む、ゴム弾性を有するゴム状弾性体であることが好ましい。
また、上記のニップロールは、デュロメータタイプA型の硬度であるショアA硬度が30以上80以下であることが好ましい。ショアA硬度が80以下であることにより、圧力が作用する面積が大きくなるため、エキスパンダーロールで拡幅されたガラスクロスを、拡幅された状態を維持して巻き取ることができる傾向にある。また、エキスパンダーロールとニップロールとの間を短くして配置することにより、エキスパンダーロールで拡幅されたクロスを、拡幅された状態をより維持して巻き取ることができる傾向にある。
ショア硬度が30以上であることにより、ニップロール自身の経時歪が抑えられるため、長期にわたり安定した巻取りを行うことができる傾向にある。
<シート状のガラスクロス>
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスには、ロール状のガラスクロスから、解反して、シート状のガラスクロスとしたものも含まれる。また、ロール状のガラスクロスからガラスクロスを解反しながら、連続して、プリプレグ等の製造に供することもできる。
本実施形態によれば、タルミ、目曲がり、シワ等の歪が少ないため、取り扱い性に優れ、且つ、寸法安定性に優れる、誘電率、誘電正接が低いガラスクロスを提供することができる。
<プリプレグ>
本実施形態の一つは、本実施形態のロール状長尺ガラスクロスと、マトリックス樹脂組成物と、を有するプリプレグである。マトリックス樹脂は、該ガラスクロスに含侵している。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスの少なくとも一部を用いてプリプレグを製造することにより、プリプレグを加熱加圧成形して積層板を形成する工程、及び、回路を形成する工程での寸法安定性に優れるプリプレグを提供することができる。
本実施形態のロール状長尺ガラスクロスを用いて作製されるプリプレグは、常法に従って製造することができる。例えば、本実施形態のロール状のガラスクロスを解反して得たガラスクロスに、エポキシ樹脂のようなマトリックス樹脂を有機溶剤で希釈したワニスを含浸させた後、乾燥炉にて有機溶剤を揮発させ、熱硬化性樹脂をBステージ状態(半硬化状態)にまで硬化させて樹脂含浸プリプレグを作製すればよい。
マトリックス樹脂組成物としては、上述のエポキシ樹脂の他に、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、BT樹脂、官能基化ポリフェニレンエーテル樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、全芳香族ポリエステルの液晶ポリマー(LCP)、ポリブタジエン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂;及び、それらの混合樹脂等が挙げられる。誘電特性、耐熱性、耐溶剤性、及びプレス成形性を向上させる観点から、マトリックス樹脂組成物としては、熱可塑性樹脂を熱硬化性樹脂で変性した樹脂を用いてもよい。
また、マトリックス樹脂組成物としては、樹脂中にシリカ及び水酸化アルミニウム等の無機充填剤;臭素系、リン系、金属水酸化物等の難燃剤;その他シランカップリング剤;熱安定剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;顔料;着色剤;滑沢剤;等を混在させた樹脂を使用してもよい。
<プリント配線板>
本実施形態の一つは、本実施形態のプリプレグを用いて製造されるプリント配線板、すなわち、本実施形態のプリプレグを有するプリント配線板である。本実施形態のプリプレグを用いてプリント配線板を製造することにより、高品質で、配線回路の正確なプリント配線板を提供することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例及び比較例において、各物性は、以下の方法によって測定した。
(1)ガラスクロスの物性
ガラスクロスの物性、具体的には、ガラスクロスの厚さ、経糸及び緯糸の質量、経糸及び緯糸を構成するフィラメントの径、フィラメント数、経糸及び緯糸の織密度は、JIS R3420に従い測定した。
(2)ロール状のガラスクロスの幅入れ量
幅入れ量は、無張力下におけるガラスクロスの幅Woと、巻き取りロール上でのガラスクロスの幅Waを用いて、以下の式(1)によって求めた。
幅入れ量(%)=(Wa-Wo)/Wo×100 ・・・(1)
幅入れ量は、具体的には、以下の1)~4)に沿って測定した。
1)ガラスクロスロールの最表層面における幅方向の長さを測定した。このとき、MD方向に対して垂直な向きである幅方向の長さWaを測定し、測定した部位の片方の端部に印をつけた。
2)ガラスクロスロールから約2mのガラスクロスを巻き出した時点において、タルミが無い状態で、上記1)において印をつけた箇所の幅方向の長さWoを測定した。
3)式(1)により幅入れ量を求めた。
4)同じガラスクロスロールを用いて、上記1)から3)までの測定を5回繰り返し、その平均値を幅入れ量とした。
(3)ロール状のガラスクロスの巻き硬度、巻き硬度の変動率、隣り合う測定点の巻き硬度の差
巻き硬度は、ロール状のガラスクロスにおいて、Hands Schmidt & Co GmbH Schichtstr社製のSCHMIDT control instruments HP-10型の硬度計で、幅方向に3点、すなわち、両端部より80mm内側の地点の2点、および、幅方向の中心地点の1点を測定し、平均値をロール状のガラスクロスの巻き硬度とした。
巻き硬度の変動率、隣り合う測定点の巻き硬度の差についても、Hands Schmidt & Co GmbH Schichtstr社製のSCHMIDT control instruments HP-10型の硬度計を用いて算出した。
(4)寸法安定性評価
(試験プリプレグ作製)
実施例及び比較例で得られたロール状のガラスクロスの表層側500mを、幅430mmの3本に巻取り方向と同じ方向で分割加工し、幅430mm、長さ500mの3本のガラスクロスを得、それぞれ表層側a、表層側b、表層側cとした。ここで、表層側500mとは、最表層の巻取り終了点からの500mである。
また、実施例及び比較例で得られたロール状のガラスクロスの内層側500mを、幅430mmの3本に分割加工し、幅430mm、長さ500mの3本のガラスクロスを得、それぞれ内層側a、内層側b、内層側cとした。ここで、内層側500mとは、巻取り芯管の巻取り開始点より550mから、上記巻取り芯管の巻取り開始点より50mまでの間の500mである。
次いで、得られた6本のガラスクロスである、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cのそれぞれを、エポキシ樹脂ワニスを用いたプリプレグ塗工に供し、6本の試験プリプレグである、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを得た。なお、エポキシ樹脂ワニスは、低臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂80質量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂20質量部、ジシアンジアミド2質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.2質量部、2-メトキシ-エタノール100質量部を配合して調合した。プリプレグ塗工は、ガラスクロスを3m/minの速度で搬送させ、エポキシ樹脂ワニスにガラスクロスを浸漬し、樹脂含量が68質量%になるように隙間を調整したスリットを通して余分なワニスを掻き落とした後、乾燥温度170℃、乾燥時間1分30秒の条件で乾燥する条件で行った。
(試験基板作製)
ロール状のガラスクロスの異なる部位から作製された試験プリプレグ、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを用いて、以下の方法で試験基板、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを作製した。
プリプレグを340mm×340mmの大きさにカットし、該プリプレグを2枚積層し、次いで両表面に厚さ12μmの銅箔を配置し後、195℃、40kgf/cm2で圧縮成型し、試験基板である、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cを得た。
(寸法安定性評価)
得られた試験基板に、125mm間隔となるよう、タテ方向3カ所×ヨコ方向3カ所の合計9カ所に標点をつけた。そして、タテ方向、ヨコ方向のそれぞれについて、隣接する2標点の標点間隔6箇所を測定し、測定値αを得た。次に、エッチング処理によって鋼箔を取り除き、170℃で30分加熱した後、該標点間隔を再度測定し、測定値βを得た。経糸方向、緯糸方向について、測定値αと測定値βとの差の測定値αに対する割合を算出し、経糸方向、緯糸方向について、それぞれ6点の基準点間の寸法変化率値を求めた。
上記の寸法変化率の測定を、ロール状のガラスクロスの異なる部位から作製された試験基板6枚である、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cについて実施し、経糸方向、緯糸方向について、それぞれ合計36点の基準点間の寸法変化率値を求めた。
次いで、6枚の試験基板である、表層側a、表層側b、表層側c、内層側a、内層側b、及び内層側cから得られた経糸方向の寸法変化率値36点の平均値を求め、経糸方向の寸法変化率とした。また、経糸方向の36点の寸法変化率値の標準偏差を求め、経糸方向の寸法変化率のバラツキとした。
同様に、緯糸方向の寸法変化率値36点の平均値を求め、緯糸方向の寸法変化率とした。また、緯糸方向の36点の寸法変化率値の標準偏差を求め、緯糸方向の寸法変化率のバラツキとした。
(5)ロール状のガラスクロス品質、及び、解反時のロール状のガラスクロス品質
ロール状のガラスクロス品質は、ロール巻取り時、及び、巻き終わり後に外観検査を行い、巻きシワの有無、巻き崩れの有無を確認した。表中○は、ロール巻取り時、及び、巻き終わり後において、巻きシワ及び巻き崩れが無かったことを表す。
解反時のロール状のガラスクロス品質は、解反しているロールの外観検査を行い、巻きシワ、巻き締まりシワに起因する凹凸の有無を確認した。表中○は、巻きシワ及び凹凸が無かったことを表す。
<実施例1>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径4.0μm、フィラメント数50本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量1.44×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量7.35%、リン含量0.02%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸95.0本/25mm、緯糸95.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。
該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスAを得た。
該ガラスクロスAを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力300N、テーパ率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ15μm、強熱減量0.89%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスAを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスAの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスAの幅入れ量は0%、巻き硬度の平均値は61、巻き硬度の変動率は0.008、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスAを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワ、凹凸がなく、均一な状態であった。
<実施例2>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量4.86×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量7.35%、リン含量0.02%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65.0本/25mm、緯糸67.0本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスBを得た。
該ガラスクロスBを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力300N、テーパ率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.60%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスBを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスBの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスBの幅入れ量はマイナス0.08%、巻き硬度の平均値は56、巻き硬度の変動率は0.009、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスBを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<比較例1>
実施例2と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスHを得た。
該ガラスクロスHを初期巻取張力300N、テーパ率20%の巻取り張力条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.60%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスHを得た。
ロール状のガラスクロスHは、巻き芯側500m~最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生してしまった。ロール状のガラスクロスHの幅入れ量は0.19%、巻き硬度の平均値は56、巻き硬度の変動率は0.028、巻き硬度差は3であった。
ロール状のガラスクロスHを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察された巻きシワより、ロール内層部に凹凸を伴う深いシワが存在していた。
<比較例2>
実施例2と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスIを得た。
該ガラスクロスIを初期巻取張力200N、テーパ率20%の巻取り条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.58%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスIを得た。
ロール状のガラスクロスIの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスIの幅入れ量は0.16%、巻き硬度の平均値は48、巻き硬度の変動率は0.018、巻き硬度差は2であった。
ロール状のガラスクロスIを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
<比較例3>
実施例2と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスJを得た。
該ガラスクロスJを初期巻取り張力100N、テーパ率20%の巻取り条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.60%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスJを得た。
ロール状のガラスクロスJの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスJの幅入れ量は0.08%、巻き硬度の平均値は43、巻き硬度の変動率は0.009、巻き硬度差は3であった。
ロール状のガラスクロスJを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
<実施例3>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量9.78×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数61GPa、ホウ素含量7.35%、リン含量0.02%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスCを得た。
該ガラスクロスCを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力240N、テーパ率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.56%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスCを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスCの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスCの幅入れ量は0%、巻き硬度の平均値は48、巻き硬度の変動率は0.009、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスCを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<実施例4>
実施例3と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスDを得た。
該ガラスクロスDを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力400N、テーパ率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.54%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスDを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスDの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスDの幅入れ量はマイナス0.08%、巻き硬度の平均値は53、巻き硬度の変動率は0.007、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスDを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<比較例4>
実施例3と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスKを得た。
該ガラスクロスKを、初期巻取り張力400N、巻取り張力のテーパー率20%の巻取り張力条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.57%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスKを得た。
ロール状のガラスクロスKは、巻き芯側200m~最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生してしまった。ロール状のガラスクロスKの幅入れ量は0.23%、巻き硬度の平均値は53、巻き硬度の変動率は0.022、巻き硬度差は3であった。
ロール状のガラスクロスKを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察された巻きシワより、さらに深い凹凸を伴うシワがロール内層部に存在していた。
<比較例5>
実施例3と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスLを得た。
該ガラスクロスLを、初期巻取り張力240N、巻取り張力のテーパー率20%の巻取り張力条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.56%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスLを得た。
ロール状のガラスクロスLの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスLの幅入れ量は0.16%、巻き硬度の平均値は48、巻き硬度の変動率は0.021、巻き硬度差は2であった。
ロール状のガラスクロスLを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
<比較例6>
実施例3と同様の用法でガラスクロスを作製し、ガラスクロスMを得た。
該ガラスクロスMを、初期巻取り張力100N、巻取り張力のテーパー率20%の巻取り張力条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ46μm、強熱減量0.56%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスMを得た。
ロール状のガラスクロスMの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスMの幅入れ量は0.08%、巻き硬度の平均値は44、巻き硬度の変動率は0.018、巻き硬度差は3であった。
ロール状のガラスクロスMを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察されなかったが、ロール内層部に軽微な巻きシワが存在していた。
<実施例5>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量9.55×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数56GPa、ホウ素含量7.35%、リン含量4.00%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスEを得た。
該ガラスクロスEを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力400N、テーパー率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ45μm、強熱減量0.89%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスEを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスEの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスEの幅入れ量はマイナス0.08%、巻き硬度の平均値は52、巻き硬度の変動率は0.008、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスEを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<実施例6>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数100本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量4.71×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数56GPa、ホウ素含量7.35%、リン含量4.00%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸65.0本/25mm、緯糸67.0本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスFを得た。
該ガラスクロスFを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力300N、テーパー率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ28μm、強熱減量0.91%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスFを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスFの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスFの幅入れ量はマイナス0.08%、巻き硬度の平均値は56、巻き硬度の変動率は0.008、巻き硬度差は1であった。
また、ロール状のガラスクロスFを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<実施例7>
経糸、緯糸ともに、平均フィラメント径5.0μm、フィラメント数200本、撚り数1.0Z、単位長さ辺りの重量10.88×10-6kg/mのガラス糸(弾性係数74GPa、ホウ素含量2.1%、リン含量0.01%)を使用し、エアジェットルームを用い、経糸52.5本/25mm、緯糸52.5本/25mmの織密度でガラスクロスを製織し、幅1,350mmの生機を得た。該生機に400℃で24時間加熱処理し脱糊した後、シランカップリング剤である、N-β-(N-ビニルベンジルアミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン;SZ6032(東レ・ダウコーニング社製)を用いた処理液にガラスクロスを浸漬し、絞液後、120℃で1分乾燥し、さらに高圧水スプレーによる開繊を実施した後に幅加工を行い、ガラスクロスGを得た。
該ガラスクロスGを、エキスパンダーロールで拡布した後、初期巻取り張力400N、テーパー率70%の巻取り張力条件で、巻取りロール上でショア硬度30のゴム弾性を有するニップロールで幅方向に均一にニップ圧を加えながら、直径240mmの巻取り芯管に巻取り、厚さ44μm、強熱減量0.17%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスGを得た。
なお、前記巻取り過程工程中に、巻き硬度の推移を確認しながら巻取り張力とニップ圧を調整し、ロール内部の応力分布と巻き硬度の制御を行いながら巻取りを実施した。
ロール状のガラスクロスGの外観は、巻きシワや巻き崩れ等の品質不具合がなく、均一なロール形状であった。また、ロール状のガラスクロスGの幅入れ量は0.08%、巻き硬度の平均値は55、巻き硬度の変動率は0.022、巻き硬度差は2であった。
また、ロール状のガラスクロスGを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、ロール内層部に至る全層において、巻きシワや凹凸がなく、均一な状態であった。
<比較例7>
実施例7と同様の方法で、ガラスクロスを作製し、ガラスクロスNを得た。
該ガラスクロスNを、初期巻取り張力400N、テーパー率20%の巻取り張力条件で、直径240mmの巻き芯管に巻取り、厚さ44μm、強熱減量0.16%、幅1,290mm、長さ2,000m、のロール状のガラスクロスNを得た。
ロール状のガラスクロスNは、巻き芯側100m~最外層に至るまで、軽微な巻きシワが発生した。ロール状のガラスクロスNの幅入れ量は0.23%、巻き硬度の平均値は54、巻き硬度の変動率は0.029、巻き硬度差3であった。
ロール状のガラスクロスNを、寸法安定性評価用の試験基板を作製するために解反している時に観察した結果、巻取り時に観察された巻きシワより、さらに深い凹凸を伴うシワがロール内層部に存在していた。
[試験例]
実施例1~7、比較例1~7で得られたロール状のガラスクロスA~G、H~Nについて、前記した方法で寸法安定性の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0007305467000001
表1の結果から、実施例1~7で得られたロール状のガラスクロスA~Gは、ロール内層部と外層部、及び幅方向の3か所において、いずれも同等の寸法安定性を示し、寸法変化率のバラツキが小さいものであった。
実施例1の厚さ15μm、幅入れ量0%、巻き硬度61のガラスクロスロールA、
実施例2の厚さ28μm、幅入れ量マイナス0.08%、巻き硬度56のガラスクロスロールB、
実施例3の厚さ46μm、幅入れ量0%、巻き硬度48のガラスクロスロールC、
実施例4の厚さ46μm、幅入れ量マイナス0.08%、巻き硬度53のガラスクロスロールD
は、ロール内層部と外層部、及び幅方向の3か所において、いずれも同等の寸法安定性を示し、寸法変化率のバラツキが小さいものであった。
実施例3のガラスクロスロールCと比べて巻き硬度が高い実施例4のガラスクロスロールDは、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、より小さいものであった。
実施例2のガラスクロスロールBと厚さが同等である、比較例1の幅入れ量が0.19%のガラスクロスロールH、比較例2の幅入れ量が0.16%のガラスクロスロールIは、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、大きく劣るものであった。
また、比較例3の巻き硬度が43と低いガラスクロスロールJにおいても、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、大きく劣るものであった。
実施例3、4のガラスクロスロールC、Dと厚さが同等である、比較例4の幅入れ量が0.23%のガラスクロスロールK、比較例5の幅入れ量が0.16%のガラスクロスロールLは、ガラスクロスロールC、Dと比較して、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、大きく劣るものであった。また、比較例6の巻き硬度が44と低いガラスクロスロールMにおいても、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、大きく劣るものであった。
実施例5の厚さ45μm、幅入れ量マイナス0.08%、巻き硬度52のガラスクロスロールEは、同じ厚さの実施例3、4のガラスクロスロールC、Dと比較し、寸法変化率のバラツキが更に小さいものであった。
実施例6の厚さ28μm、幅入れ量マイナス0.08%、巻き硬度56のガラスクロスロールFは、同じ厚さの実施例2のガラスクロスロールBと比較し、寸法変化率のバラツキが更に小さいものであった。
実施例7の厚さ44μm、幅入れ量0.08%、巻き硬度55のガラスクロスロールGは、同等の厚さの実施例3、4、5のガラスクロスロールC、D、Eと比較し、寸法変化率のバラツキが若干大きなものであった。
比較例7の厚さ44μm、幅入れ量0.19%、巻き硬度54のガラスクロスロールNは、実施例7の幅入れ量0.08%のガラスクロスロールGに比べ、寸法変化率、寸法変化率のバラツキとも、大きく劣るものであった。
11:巻取り芯管
12:ニップロール
13:エキスパンダーロール
14:ガラスクロス

Claims (11)

  1. 複数本のガラスフィラメントからなるガラス糸を経糸及び緯糸として構成され、巻取り芯管に巻かれた、ロール状長尺ガラスクロスであって、
    1)ガラスクロスの厚さが、8μm以上100μm以下であること、
    2)巻き硬度が、45以上70以下であること、
    3)幅入れ量が、マイナス0.5%以上0.1%未満であること、
    を満たす、ロール状長尺ガラスクロス。
  2. ガラスクロスの弾性係数が、50GPa以上70GPa以下である、
    請求項1に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  3. ガラスクロスの弾性係数が、50GPa以上63GPa以下である、
    請求項1に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  4. ホウ素の含有量とリンの含有量との和が、5質量%以上20質量%以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  5. ホウ素の含有量とリンの含有量との和が、6.5質量%以上20質量%以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  6. ガラスクロスの厚さが、35μm以上60μm以下であり、
    巻き硬度が、45以上60以下である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  7. ガラスクロスの厚さが、8μm以上35μm未満であり、
    巻き硬度が、50以上65以下である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  8. 幅方向の一方の端部より80mm内側の測定点、及び、前記測定点よりもう一方の端部に向かい、前記もう一方の端部から80mm内側に至るまでの範囲に200mm毎に設けられた測定点において測定される各々の巻き硬度から算出される巻き硬度の変動係数が、0.025以下である、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  9. 隣り合う前記測定点の巻き硬度の差が、2より小さい、
    請求項8に記載のロール状長尺ガラスクロス。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載のロール状長尺ガラスクロスと、
    マトリックス樹脂組成物と、を有する、
    プリプレグ。
  11. 請求項10に記載のプリプレグを有する、
    プリント配線板。
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